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特許7566953スキャン内焦点変位の低コストでの推定及び/又は追跡
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】スキャン内焦点変位の低コストでの推定及び/又は追跡
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241007BHJP
   H05G 1/26 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
A61B6/03 533B
A61B6/03 550G
H05G1/26 J
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023031467
(22)【出願日】2023-03-02
(65)【公開番号】P2023152764
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-07-28
(31)【優先権主張番号】17/657,411
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】アーカ・ダッタ
(72)【発明者】
【氏名】アダム・イスラエル・コーエン
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-154142(JP,A)
【文献】特開2013-009874(JP,A)
【文献】特開2017-153590(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0320994(US,A1)
【文献】特開2015-116408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
H05G 1/00 - 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
コンピュータ可読メモリ(114)に格納されたコンピュータ実行可能なコンポーネントを実行するプロセッサ(112)であって、前記コンピュータ実行可能なコンポーネントは、
医用イメージングスキャナ(104)にエアスキャンを実行させるスキャンコンポーネント(116)であって、前記医用イメージングスキャナは、X線管(106)と、ガントリ(108)と、多チャンネル多列検出器(110)とを有する、スキャンコンポーネント(116)、
前記医用イメージングスキャナによって生成され前記エアスキャンに関連するデータ(302)にアクセスする受信器コンポーネント(118)であって、前記データは、前記エアスキャン中に前記X線管が移動するガントリ角度のセット(402)を含み、前記データは、前記エアスキャン中に前記多チャンネル多列検出器によって記録される強度値行列のセット(404)を含み、前記強度値行列のセットは前記ガントリ角度のセットに対応する、受信器コンポーネント(118)、
前記強度値行列のセットに基づいてチャンネルスパニング強度勾配のセット(902)を計算する勾配コンポーネント(122)であって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットはガントリ角度のセットに対応する、勾配コンポーネント(122)、
勾配-変位伝達関数(1202)を前記チャンネルスパニング強度勾配のセットに適用し、それによって、前記ガントリ角度のセットに対応する焦点変位のセット(1204)を生成する、変位コンポーネント(124)、及び
前記焦点変位のセットに基づいて1つ以上の電子的動作(1402)を開始する実行コンポーネント(126)
を含む、プロセッサ(112)
を含むシステム。
【請求項2】
前記1つ以上の電子的動作(1402)は、前記ガントリ角度のセット(402)に対する前記焦点変位のセット(1204)を電子ディスプレイ上でプロットすることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つ以上の電子的動作(1402)は、前記焦点変位のセット(1204)が少なくとも1つの閾値を満たさないという判定に応答して、前記医用イメージングスキャナはメンテナンスを受けるべきとする推奨を送信することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コンピュータ実行可能なコンポーネントは、
前記強度値行列のセット(404)に基づいて列平均化強度値ベクトルのセット(602)を計算する平均コンポーネント(120)であって、前記列平均化強度値ベクトルのセットは前記ガントリ角度のセットに対応し、前記勾配コンポーネント(122)は、あるチャンネル区間の列平均化強度値ベクトルのセットにトレンドライン技法を適用することによって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセット(902)を計算する平均コンポーネント(120)
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記変位コンポーネント(124)は、前記医用イメージングスキャナの1つ以上の設定可能なパラメータに基づいて、利用可能な複数の伝達関数のセットから前記勾配-変位伝達関数(1202)を選択する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の設定可能なパラメータは、前記X線管(106)の陽極-陰極電圧、前記X線管の陽極-陰極電流、前記X線管のフィルタの種類、又は前記X線管の焦点サイズを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記勾配-変位伝達関数(1202)は、前記X線管に注入された複数の焦点位置摂動に基づいて推定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
コンピュータ実装方法であって、
プロセッサ(112)に動作可能に結合されたデバイスによって、医用イメージングスキャナ(104)にエアスキャンを実行させることであって、前記医用イメージングスキャナは、X線管(106)、ガントリ(108)、及び多チャンネル多列検出器(110)を有する、エアスキャンを実行させること、
前記デバイスによって、前記医用イメージングスキャナによって生成され前記エアスキャンに関連するデータ(302)にアクセスすることであって、前記データは、前記エアスキャン中に前記X線管が移動するガントリ角度のセット(402)を含み、前記データは、前記エアスキャン中に前記多チャンネル多列検出器によって記録される強度値行列のセット(404)を含み、前記強度値行列のセットは、前記ガントリ角度のセットに対応する、データ(302)にアクセスすること、
前記デバイスによって、前記強度値行列のセットに基づいて、チャンネルスパニング強度勾配のセット(902)を計算することであって、チャンネルスパニング強度勾配のセットは、前記ガントリ角度のセットに対応する、チャンネルスパニング強度勾配のセット(902)を計算すること、
前記デバイスによって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットに勾配-変位伝達関数(1202)を適用し、それによって、前記ガントリ角度のセットに対応する前記焦点変位のセット(1204)を生成すること、及び
前記デバイスによって、前記焦点変位のセットに基づいて、1つ以上の電子的動作(1402)を開始すること
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記1つ以上の電子的動作(1402)は、前記デバイスによって、電子ディスプレイ上に、前記ガントリ角度のセット(402)に対する前記焦点変位のセット(1204)をプロットすることを含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記1つ以上の電子的動作(1402)は、前記焦点変位のセット(1204)が少なくとも1つの閾値を満たさないという判定に応答して、前記デバイスによって、前記医用イメージングスキャナ(104)がメンテナンスを受けるべきとする推奨を送信することを含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記デバイスによって、前記強度値行列のセット(404)に基づいて、列平均化強度値ベクトルのセット(602)を計算することであって、前記列平均化強度値ベクトルのセットは前記ガントリ角度のセット(402)に対応し、前記チャンネルスパニング強度勾配のセット(902)を計算することは、あるチャンネル区間の列平均化強度値ベクトルのセットにトレンドライン技法を適用することに基づいている、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記デバイスによって、前記医用イメージングスキャナ(104)の1つ以上の設定可能なパラメータに基づいて、利用可能な伝達関数のセットから前記勾配-変位伝達関数(1202)を選択することを含む、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
前記1つ以上の設定可能なパラメータは、前記X線管(106)の陽極-陰極電圧、前記X線管の陽極-陰極電流、前記X線管のフィルタの種類、又は前記X線管の焦点サイズを含む、請求項12記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
前記勾配-変位伝達関数(1202)は、X線管(106)に注入された複数の焦点位置摂動に基づいて推定される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は追跡するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、プログラム命令を有するコンピュータ可読メモリ(114)を含み、前記プログラム命令は、前記プロセッサ(112)によって実行可能であり、前記プロセッサは、
医用イメージングスキャナ(104)にエアスキャンを実行させることであって、前記医用イメージングスキャナは、X線管(106)と、ガントリ(108)と、多チャンネル多列検出器(110)とを有する、エアスキャンを実行させること、
前記医用イメージングスキャナによって生成され前記エアスキャンに関連するデータ(302)にアクセスすることであって、前記データは、前記エアスキャン中に前記X線管が移動するガントリ角度のセット(402)を含み、前記データは、前記エアスキャン中に前記多チャンネル多列検出器によって記録される強度値行列のセット(404)を含み、前記強度値行列のセットは前記ガントリ角度のセットに対応する、データ(302)にアクセスすること、
前記強度値行列のセットに基づいてチャンネルスパニング強度勾配のセット(902)を計算することであって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットはガントリ角度のセットに対応する、強度勾配のセット(902)を計算すること、
勾配-変位伝達関数(1202)を前記チャンネルスパニング強度勾配のセットに適用し、それによって、前記ガントリ角度のセットに対応する焦点変位のセット(1204)を生成すること、及び
前記焦点変位のセットに基づいて1つ以上の電子的動作(1402)を開始すること
を実行する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、医用イメージング装置の焦点に関し、より具体的には、スキャン内焦点変位を低コストで推定する及び/又は追跡することに関する。
【背景技術】
【0002】
医用イメージング装置のX線管において、電子ビームが陰極から陽極に向かって加速され、X線が発生する。電子ビームが陽極に衝突する領域は、焦点と呼ばれる。焦点位置が望ましくない位置及び/又は意図しない位置にある場合、画像アーチファクトが発生することがある。このような画像アーチファクトを補正又は防止するには、医用イメージング装置の焦点が医用イメージングスキャン中にどのように動くかを追跡することにかかっていると考えられる。
【0003】
これらの技術的問題のうちの1つ以上の問題に対処することができるシステム及び/又は技術が望まれ得る。
【発明の概要】
【0004】
以下では、本発明の1つ以上の実施形態の基本的な理解を提供するための概要を提示する。この概要は、重要な構成要素又は重大な構成要素を特定することを意図するものではないし、特定の実施形態の範囲又は特許請求の範囲の範囲を表すことを意図するものでもない。本概要の唯一の目的は、後述する更に詳細な説明の前段階として、簡略化された形態で概念を提示することである。本明細書に記載される1つ以上の実施形態では、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡するデバイス、システム、コンピュータ実装方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品が説明される。
【0005】
一つ以上の実施形態によれば、システムが提供される。システムは、コンピュータ実行可能なコンポーネントを格納することができるコンピュータ読み取り可能なメモリを含むことができる。システムは、コンピュータ読み取り可能なメモリに動作可能に結合されたプロセッサであって、コンピュータ読み取り可能なメモリに格納されたコンピュータ実行可能なコンポーネントを実行することができるプロセッサをさらに含むことができる。様々な実施形態において、コンピュータ実行可能なコンポーネントは、医用イメージングスキャナにエアスキャンを実行させるスキャンコンポーネントを含むことができ、前記医用イメージングスキャナは、X線管と、ガントリと、多チャンネル多列検出器とを有する。様々な態様において、コンピュータ実行可能なコンポーネントは、前記医用イメージングスキャナによって生成され前記エアスキャンに関連するデータにアクセスすることができる受信器コンポーネントを更に含むことができ、前記データは、前記エアスキャン中に前記X線管が移動するガントリ角度のセットを含むことができ、前記データは、前記エアスキャン中に前記多チャンネル多列検出器によって記録される強度値行列のセットを含むことができ、及び/又は前記強度値行列のセットは前記ガントリ角度のセットに対応することができる。様々な例では、コンピュータ実行可能なコンポーネントは、前記強度値行列のセットに基づいてチャンネルスパニング強度勾配のセットを計算する勾配コンポーネントを更にふくむことができ、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットはガントリ角度のセットに対応することができる。様々な例において、コンピュータ実行可能なコンポーネントは、勾配-変位伝達関数を前記チャンネルスパニング強度勾配のセットに適用することができる変位コンポーネントを更に含むことができ、それによって、前記ガントリ角度のセットに対応する焦点変位のセットを生成することができる。様々な態様において、コンピュータ実行可能なコンポーネントは、前記焦点変位のセットに基づいて1つ以上の電子的動作を開始する実行コンポーネントを更に含むことができる。
【0006】
一つ以上の実施形態によれば、上記のシステムは、コンピュータの実装方法及び/又はコンピュータプログラム製品として実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡する例示的で非限定的なシステムのブロック図である。
図2】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による医用スキャナの例示的で非限定的なブロック図である。
図3】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡する、エアスキャンデータを含む例示的で非限定的なシステムのブロック図である。
図4】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、ガントリ角度のセット及び/又は強度値行列のセットを含むエアスキャンデータを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図5】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による強度値行列を示す例示的で非限定的なブロック図である。
図6】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡する、列平均化強度値ベクトルのセットを含む例示的で非限定的なシステムのブロック図である。
図7】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、列平均化強度値ベクトルのセットを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図8】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、列平均化強度値ベクトルを強度値行列からどのようにして生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図9】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡する、チャンネルスパニング強度勾配のセットを含む例示的で非限定的なシステムのブロック図である。
図10】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、チャンネルスパニング強度勾配のセットを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図11】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、チャンネルスパニング強度勾配を、列平均化強度値ベクトルからどのように生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図12】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡する、勾配-変位伝達関数及び/又は焦点変位のセットを含む例示的で非限定的なシステムのブロック図である。
図13】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、焦点変位のセットをチャンネルスパニング強度勾配のセットからどのようにして生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図である。
図14】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡する、電子的動作のセットを含む例示的で非限定的なシステムのブロック図を示す。
図15】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による非限定的な例示的プロットである。
図16】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による非限定的な例示的プロットである。
図17】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による非限定的な例示的プロットである。
図18】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、勾配-変位伝達関数を生成するための例示的で非限定的なコンピュータ実装方法のフロー図を示す。
図19】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、勾配-変位伝達関数を生成するための例示的で非限定的なコンピュータ実装方法のフロー図を示す。
図20】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、勾配-変位伝達関数を生成するための例示的で非限定的なコンピュータ実装方法のフロー図を示す。
図21】本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡する、例示的で非限定的なコンピュータ実装方法のフロー図を示す。
図22】本明細書に記載された1つ以上の実施形態を容易に実現できる例示的で非限定的な動作環境のブロック図を示す。
図23】明細書に記載された様々な実装を実行するように動作可能な例示的ネットワーキング環境を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、単に例示であり、実施形態及び/又は実施形態の適用若しくは実施形態の使用を制限することを意図するものではない。さらに、先の「背景技術」若しくは「概要」の欄又は「発明を実施するための形態」の欄で提示された明示的又は暗示的な情報に拘束される意図はない。
【0009】
次に、1つ以上の実施形態が図面を参照して説明される。ここで、参照される類似の数字は、全体を通して類似の構成要素に言及するために使用される。以下では、1つ以上の実施形態が、より完璧に理解できるように、説明のため、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、様々な例において、明らかに、これらの具体的な詳細がなくても1つ以上の実施形態を実施することができる。
【0010】
医用イメージング装置(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ)のX線管内では、電子ビームを陰極から陽極に向かって加速させることができる。電子ビームが陽極に衝突すると、X線が発生する。電子ビームが衝突する表面領域は、焦点(例えば、X線管の焦点、及び/又は医用イメージング装置の焦点)と呼ぶことができる。焦点の位置が望ましくない位置に変化する及び/又は意図せずに変化すると、画像アーチファクト(例えば、影、縞、バンド、リング)が発生することがある。このような画像アーチファクトを補正又は防止するには、医用イメージング装置の焦点が医用イメージングスキャン中にどのように動くかを追跡することにかかっていると考えられる。
【0011】
例えば、医用イメージング装置のX線管は、医用イメージング装置のガントリの中心の周りを及び/又はガントリに沿って回転することができる。従って、医用イメージングスキャン(例えば、走査プロトコル)は、医用イメージング装置のX線管を、ガントリ角度のセットに渡って(例えば、ガントリの中心の周りの/ガントリに沿う角度区間に渡って)移動させることを含む場合がある。各ガントリ角度において、X線管は、ガントリのボアを直径方向及び/又は半径方向に通過することができる1つ以上のX線を放出することができ、この1つ以上のX線は、X線管に対して角度的に対向することが維持されるようにガントリの中心の周りを/ガントリに沿って回転する検出器(例えば、多チャンネル及び/又は多列の検出器)によって捕獲/記録することができる。したがって、各ガントリの角度において、検出器は、どんな物体(例えば、患者の解剖学的構造)がガントリのボアに現在配置されていてもその物体の固有の「ビュー」を捕獲/記録すると考えることができる。
【0012】
好ましくないことに、X線管がガントリの中心の周りを/ガントリに沿って回転するにつれて、X線管の焦点は意図せずに位置が変化することがある(例えば、シフト及び/又はドリフトすることがある)。このように焦点が意図せずに移動してしまうのは、いくつかの理由による(例えば、ガントリの角度が異なると、地球の磁場とX線管の電子ビームとの相互作用が異なることによる、及び/又は、ガントリの角度が異なると、重力とX線管の陽極及び/又は陰極との相互作用が異なることによる)。いずれの場合でも、焦点の位置は、ガントリ角度によって変化することがある。このような焦点位置の変化は、スキャン内焦点変位と呼ぶことができる(例えば、1回のスキャンにおいて、X線管が複数のガントリ角度に渡って移動することがあるため)。このようなスキャン内焦点変位によって、医用イメージング装置が著しい画像アーチファクトを発生させてしまうことがあり、これは望ましくない。
【0013】
このような画像アーチファクトを補正、防止、及び/又は低減するためには、このようなスキャン内焦点変位を推定及び/又は追跡することが有益であると考えられる。言い換えれば、このような画像アーチファクトを改善する前に、スキャン中に/スキャンの間に渡って、焦点がどのように及び/又はどこに移動するかを知ることは有益であると考えられる。当業者であれば、X線管の焦点の瞬間的な位置は、適切なタングステンエッジ測定技術によって、実験的に決定できることは理解すると考えられる。しかしながら、X線管が回転可能であると思われる各ガントリ角度に対して、このようなタングステンエッジ測定技術を実施することは、非常に負荷が大きく、時間がかかり、及び/又は多くの資源を必要とする。X線管は、典型的には、ガントリの中心の周りを/ガントリに沿って360度の区間に渡って回転することができ、このような360度の区間は、典型的には、数百又は数千のガントリ角度(例えば、X線管が回転可能な位置であって、ガントリの中心の周りにおける/ガントリに沿う数百及び/又は数千の位置)に分割することができる。このような数百及び/又は数千のガントリ角度の各々において(例えば、このような数百及び/又は数千のビューの各々において)タングステンエッジ測定を実行することは、望ましくないことがある。
【0014】
さらに、スキャン内焦点変位は、ガントリ角度だけでなく、医用イメージング装置の設定可能な他のパラメータ(例えば、医用イメージング装置の陽極-陰極電圧、医用イメージング装置の陽極-陰極電流、医用イメージング装置で使用するフィルタの種類、医用イメージング装置の焦点のサイズ)にも依存すると考えられる。医用イメージング装置の可能なガントリ角度を医用イメージング装置の可能なパラメータコンフィギュレーションと組み合わせることができる及び/又は順列を求めることができる方法は、数万通りの異なる方法が存在すると考えられる。このような数万通りの組み合わせ/順列ごとにタングステンエッジ測定を実行することは、過剰な負荷になると考えられる。
【0015】
したがって、これらの技術的問題のうちの1つ以上の問題に対処することができるシステム及び/又は技術が望まれ得る。
【0016】
本明細書に記載される様々な実施形態は、これらの技術的問題のうちの1つ以上の問題に対処することができる。本明細書に記載される1つ以上の実施形態は、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡することができるシステム、コンピュータ実装方法、装置、及び/又はコンピュータプログラム製品を含むことができる。すなわち、本明細書に記載される様々な実施形態の発明者らは、医用イメージング装置のスキャン内焦点変位を追跡、監視、及び/又は計算することができる技術を考え出した。この技術は、ガントリ角度と設定可能なパラメータとの可能な組み合わせ/順列ごとにタングステンエッジ測定を適用するという大きな労力が掛かっていない。特に、本発明者らは、医用イメージング装置に対して計算することができる新規の指標及び/又は特徴を考え出し、この新規の指標/特徴は、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する/容易に追跡するために利用することができる。様々な例において、このような新規の指標/特徴は、本明細書で説明するように、チャンネルスパニング強度勾配とすることができる。
【0017】
より具体的には、上述したように、医用イメージング装置のX線管が特定のガントリ角度から(例えば、医用イメージング装置のガントリの中の周りの/ガントリに沿う特定の位置から)X線を放出すると、このようなX線は、医用イメージング装置の検出器によって捕獲/記録することができる。検出器は、多チャンネル及び/又は多列のアーキテクチャを示すことができるので、その特定のガントリ角度に対する検出器の出力は、強度値行列とすることができる。言い換えれば、出力は、ハウンスフィールドユニット値の行列とすることができ、各ハウンスフィールドユニット値は、検出器の特定の列及び特定のチャンネルに対応する。様々な態様において、本発明者らは、ハウンスフィールドユニット値の勾配が、検出器の適切なチャンネル区間で計算及び/又は近似できることを認識した。さらに、本発明者らは、このような勾配(チャンネルスパニング強度勾配と呼ぶことができる)の値が、医用イメージング装置のX線管の焦点の位置と密接に相関することを認識した。すなわち、本発明者らは、医用イメージング装置の既知のチャンネルスパニング強度勾配が与えられれば、医用イメージング装置の焦点の位置を正確に予測及び/又は推論できることを実現した。さらにまた、医用イメージング装置のガントリ角度と設定可能なパラメータとの可能な組み合わせ/順列の各々に対してチャンネルスパニング強度勾配を計算すると、このような可能な組み合わせ/順列の各々に対してタングステンエッジ測定を行うことと比較して、消費時間を少なくすること、消費資源を少なくすること、及び/又は負荷を少なくすることができる。したがって、本発明者らは、本明細書に記載された様々なシステム及び/又は技術を考え出しており、このシステム及び/又は技術は、チャンネルスパニング強度勾配を活用することによって、低コスト及び/又は低負荷で、スキャン内焦点変位を推定及び/又は追跡することができる。
【0018】
様々な態様において、本明細書に記載された様々な実施形態は、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡することができるコンピュータツール(例えば、コンピュータ実行可能ハードウェア及び/又はコンピュータ実行可能ソフトウェアの適切な組み合わせ)とすることができる。様々な態様において、コンピュータツールは、スキャンコンポーネント、受信器コンポーネント、平均コンポーネント、勾配コンポーネント、変位コンポーネント、及び/又は実行コンポーネントを含むことができる。
【0019】
様々な実施形態では、X線管、ガントリ、及び/又は検出器を含む医用スキャナがある。様々な態様において、医用スキャナは、適切な種類の所望の医用イメージング装置(例えば、CTスキャナ)とすることができる。いずれの場合でも、医用スキャナのX線管は、ガントリの中心の周りを/ガントリに沿って回転することができる(例えば、一部の例では、X線管はガントリの中心の周りを360度回転することができ、他の例では、X線管はガントリの中心の周りを他の適切な角度区間に渡って回転することができる)。様々な実施態様において、医用スキャナの検出器は、検出器がX線管に対して角度的に対向することが維持されるように(例えば、X線管と検出器がガントリのボアを挟んで互いに向き合うように)、ガントリの中心の周りを/ガントリに沿って回転することができる。
【0020】
様々な態様において、医用スキャナは、制御可能な及び/又は設定可能な様々な設定/パラメータを有することができる。様々な例において、医用スキャナの制御可能/設定可能な設定/パラメータは、ガントリ角度(例えば、度及び/又はラジアン)とすることができる。言い換えれば、そのような制御可能/設定可能な設定/パラメータは、ガントリの中心の周りを/ガントリに沿ってX線管が回転するときの角度位置と考えることができる。当業者であれば理解できるように、医用スキャナによって実行されるスキャン(例えば、スキャンプロトコル)では、複数のガントリ角度に対して(例えば、ガントリの中心の周りにおいて/ガントリに沿った適切な角度区間に渡って)X線管を移動させることができる。
【0021】
様々な例において、医用スキャナの別の制御可能/設定可能な設定/パラメータは、陽極-陰極電圧及び/又は陽極-陰極電流とすることができる。すなわち、このような制御可能/設定可能な設定/パラメータは、電子ビームを陰極から陽極に加速するようにX線管に印加される電圧(例えば、ピークキロボルト)及び/又は電流(例えば、ミリアンペア)とすることができる。当業者であれば理解できるように、医用スキャナによって実行されるスキャン(例えば、スキャンプロトコル)は、X線管が一定の陽極-陰極電圧/電流に保持されている間に、複数のガントリ角度に対してX線管を移動させることを含むことができる。しかし、他の場合には、医用スキャナによって実行されるスキャン(例えば、スキャンプロトコル)は、陽極-陰極電圧/電流を変化させながら(例えば、異なるガントリ角度ではX線管に異なる陽極-陰極電圧/電流が印加されるように)複数のガントリ角度に対してX線管を移動させることを含むことができる。
【0022】
様々な態様において、医用スキャナの制御可能/設定可能な更に別の設定/パラメータは、X線管に実装されるフィルタの種類とすることができる。例えば、X線管は、一部の例では、フラットフィルタを使用することができ、及び/又は、他の例では、ボウタイフィルタを使用することができる。
【0023】
様々な実施例において、医用スキャナのさらに別の制御可能/設定可能な設定/パラメータは、X線管の焦点の大きさとすることができる。すなわち、このような制御可能/設定可能な設定/パラメータは、陽極の表面積のうちの、電子ビームが当たる、及び/又は電子ビームが衝突する部分の直径及び/又は半径(例えば、ミクロン及び/又はミリメートル)とすることができる。当業者であれば理解できるように、医用スキャナによって実行されるスキャン(例えば、スキャンプロトコル)では、X線管が一定の焦点サイズに保持されている間に、複数のガントリ角度に対してX線管を移動させることができる。しかし、他の場合には、医用スキャナによって実行されるスキャン(例えば、スキャンプロトコル)は、焦点サイズを変化させながら(例えば、異なるガントリ角度ではX線管に異なる焦点サイズが生成されるように)複数のガントリ角度に対してX線管を移動させることを含むことができる。
【0024】
いずれの場合でも、医用スキャナのスキャン内焦点変位を推定及び/又は追跡することが望まれる。言い換えれば、X線管がガントリの中心の周りを回転するにつれて、X線管の焦点がどのように/どこに移動するのかを決定することが望まれる。本明細書に記載されているコンピュータツールは、このような推定及び/又は追跡を容易に実行することができる。
【0025】
様々な実施形態において、コンピュータツールのスキャンコンポーネントは、医用スキャナにエアスキャンを実行するように電子的に指示及び/又は命令することができる。すなわち、ガントリのボア内に物体及び/又は患者の解剖学的構造が配置されていない状態で(例えば、ガントリのボア内には空気だけが存在している状態で)、スキャンコンポーネントは、電子的に、医用スキャナが、複数のガントリ角度のセットに対してX線管を移動させることができ、ここで、X線管は各ガントリ角度からX線を放出することができ、検出器は各ガントリ角度に対してX線を捕獲/記録することができる。
【0026】
様々な実施形態において、コンピュータツールの受信器コンポーネントは、エアスキャンの間に及び/又はエアスキャンに応答して検出器により生成されたエアスキャンデータを電子的に受信することができる、及び/又はエアスキャンデータに電子的にアクセスすることができる。一部の例では、受信器コンポーネントは、受信器コンポーネントがリモートであるか、及び/又はローカルであるかを問わず、適切な集中型及び/又は分散型のデータ構造(例えば、グラフデータ構造、リレーショナルデータ構造、ハイブリッドデータ構造)からエアスキャンデータを電子的に検索することができる。他の例では、受信器コンポーネントは、医用スキャナ自体からエアスキャンデータを電子的に検索することができる。いずれの場合でも、受信器コンポーネントは、コンピュータツールの他のコンポーネントがエアスキャンデータと電子的にやり取り(例えば、読み取り、書き込み、編集、操作)できるように、エアスキャンデータを電子的に取得する、及び/又はエアスキャンデータに電子的にアクセスすることができる。
【0027】
様々な態様において、エアスキャンデータは、エアスキャン中にX線管が移動する複数のガントリ角度のセットを示す/含むことができる。一部の例では、複数のガントリ角度のセットを、ガントリの中心の周りにおける/ガントリに沿う「ビュー」のセットと考えることができる。様々な実施態様において、エアスキャンデータは、強度値行列のセットをさらに示す/含むことができ、強度値行列のセットは、複数のガントリ角度のセットにそれぞれ(例えば、一対一で)対応する。より具体的には、エアスキャン中にX線管が回転する特定のガントリ角度ごとに、検出器は特定の強度値行列(例えば、ハウンスフィールドユニット値の行列)を生成/作成することができ、特定の強度値行列は、検出器が特定のガントリ角度からX線管によって放出されるX線を記録/捕獲した結果と考えることができる。当業者であれば理解できるように、強度値行列の次元は、検出器の物理的構造に依存すると考えられる。例えば、検出器が、適切な正の整数a及びbについて、a個のチャンネル及びb個の列を有する多チャンネル且つ多列の構造を示す場合、各強度値行列は、ハウンスフィールドユニット値のa×b行列(例えば、又はb×a行列)とすることができ、各ハウンスフィールドユニット値は、検出器の或るチャンネルと或る列にそれぞれ対応することができる。
【0028】
様々な実施形態において、コンピュータツールの平均コンポーネントは、列平均化強度値行列のセットに基づいて、列平均化強度値ベクトルのセットを電子的に計算することができる。様々な態様において、列平均化強度値ベクトルのセットは、強度値行列のセットに、したがってガントリ角度のセットに、(例えば、一対一で)対応することができる。例えば、所与の強度値行列に対して、平均コンポーネントは、当該所与の強度値行列に基づいて、強度値ベクトルを計算することができる。当該所与の強度値行列は特定のガントリ角度に対応することができるので、計算された強度値ベクトルも、当該特定のガントリ角度に対応すると考えることができる。いずれの場合でも、平均コンポーネントは、所与の強度値行列の列平均を求めることによって、強度値ベクトルを計算することができる。
【0029】
例えば、上述のように、医用スキャナの検出器がa個のチャンネルとb個の列を有する場合、検出器によって生成される強度値行列は、ハウンスフィールドユニット値のa×b行列とすることができる。説明を簡単にするために、強度値行列の要素(i,j)は、検出器のi番目のチャンネルとj番目の列によって記録されたハウンスフィールドユニット値であり、iは1とaとの間の範囲(当該範囲に1とaを含む)内の整数であり、jは1とbとの間の範囲(当該範囲に1とbを含む)内の整数であるとする。様々な態様において、平均コンポーネントは、1番目のチャンネルの全ての列に対して記録されたハウンスフィールドユニット値の1番目の平均強度値を、例えば、以下の式で計算することができる。
【0030】
【数1】
ここでI(1,j)は、検出器の1番目のチャンネルとj番目の列によって記録されたハウンスフィールドユニット値である。同様に、平均コンポーネントは、a番目のチャンネルの全ての列に対して記録されたハウンスフィールドユニット値のa番目の平均強度値を、例えば以下の式で計算することができる。
【0031】
【数2】
ここでI(a,j)は、検出器のa番目のチャンネルとj番目の列によって記録されたハウンスフィールドユニット値である。したがって、1番目の平均強度値からa番目の平均強度値は、全体として、a個の要素を有するベクトルを形成すると考えることができる。このようなベクトルは、列平均化強度値ベクトルと呼ぶことができる。
【0032】
いずれの場合でも、平均コンポーネントは、強度値行列のセットに基づいて、列平均化強度値ベクトルのセットを電子的に計算することができる(例えば、強度値行列ごとに、列平均化強度値ベクトルを1つ計算することができる)。
【0033】
様々な実施形態において、コンピュータツールの勾配コンポーネントは、列平均化強度値ベクトルのセットに基づいて、チャンネルスパニング強度勾配のセットを電子的に計算することができる。様々な態様において、チャンネルスパニング強度勾配のセットは、それぞれ、列平均化強度値ベクトルのセット、したがってガントリ角度のセットに(例えば、一対一で)対応することができる。例えば、所与の列平均化強度値ベクトルについて、勾配コンポーネントは、当該所与の列平均化強度値ベクトルに基づいてチャンネルスパニング強度勾配を計算することができる。当該所与の列平均化強度値ベクトルは特定のガントリ角度に対応することができるので、計算されたチャンネルスパニング強度勾配も、当該特定のガントリ角度に対応すると考えることができる。いずれの場合でも、勾配コンポーネントは、当該所与の列平均化強度値ベクトルにトレンドラインをフィッティングすることによって、チャンネルスパニング強度勾配を計算することができる。
【0034】
例えば、上述のように、医用スキャナの検出器がa個のチャンネル及びb個の列を有する場合、列平均化強度値ベクトルは、列平均化ハウンスフィールドユニット値のa個の要素ベクトルとすることができる。説明を簡単にするために、列平均化強度値ベクトルの要素(i)は、検出器のi番目のチャンネルによって記録されたハウンスフィールドユニット単位値を検出器のb個の列の全てに渡って平均することによって得られるスカラーであり、iは1とaとの間の範囲(当該範囲に1とaを含む)内の整数であるとする。言い換えれば、列平均化強度値ベクトルは、検出器のチャンネルごとに1つの要素を有すると考えることができる。様々な態様において、勾配コンポーネントは、列平均化強度値ベクトルの要素の適切な区間、したがって適切なチャンネル区間を選択することができる。一部の例では、この区間は、列平均化強度値ベクトルにおけるa個の全ての要素(したがって、a個の全てのチャンネル)とすることができる(例えば、この区間は、1番目のチャンネルからa番目のチャンネルまでとすることができる)。他の例では、この区間は、列平均化強度値ベクトルのa個の全ての要素よりも少なく(したがって、a個の全てのチャンネルよりも少なく)することができる(例えば、この区間は、q番目のチャンネルからr番目のチャンネルまでとすることができる。ここで、q及びrは、1≦q<r≦aを満たす整数とすることができる)。いずれの場合でも、要素の区間(例えば、チャンネル区間)が選択されると、勾配コンポーネントは、このような要素の区間をグラフにプロットすることができ、及び/又はかかるプロットに線形トレンドラインを当てはめることができる。様々な態様において、このような線形トレンドラインの勾配は、1チャンネルあたりのハウンスフィールドユニットの大きさ及び/又は単位を有することができ、チャンネルスパニング強度勾配と呼ぶことができる。
【0035】
いずれの場合でも、勾配コンポーネントは、列平均化強度値ベクトルのセットに基づいて、チャンネルスパニング強度勾配のセットを電子的に計算することができる(例えば、列平均化強度値ベクトルごとに1つのチャンネルスパニング強度勾配を計算することができる)。
【0036】
様々な実施形態において、コンピュータツールの変位コンポーネントは、チャンネルスパニング強度勾配のセットに基づいて、焦点変位のセットを電子的に計算することができる。様々な態様において、焦点変位のセットは、チャンネルスパニング強度勾配のセットに、したがってガントリ角度のセットに、(例えば、一対一で)対応することができる。例えば、所与のチャンネルスパニング強度勾配について、変位コンポーネントは、当該所与のチャンネルスパニング強度勾配に基づいて、焦点変位(例えば、所定の/所望の焦点位置からミクロン単位及び/又はミリメートル単位で測定された変位、並びに/又は適切な軸/方向に沿ってミクロン単位及び/又はミリメートル単位で測定された変位)を計算することができる。当該所与のチャンネルスパニング強度勾配は、特定のガントリ角度に対応することができるので、計算された焦点変位も、当該特定のガントリ角度に対応すると考えることができる。
【0037】
様々な例において、変位コンポーネントは、所与のチャンネルスパニング強度勾配に勾配-変位伝達関数を適用することによって、焦点変位を計算することができる。様々な態様において、勾配-変位伝達関数は、チャンネルスパニング強度勾配値(例えば、及び/又はチャンネルスパニング強度勾配値の変化)を引数と見なし、焦点変位の値(例えば、適切な軸及び/又は方向に沿って測定されるX線管の焦点の位置の変化)を出力として生成する適切な数学関数及び/又は複数の数学関数の組み合わせとすることができる。様々な例において、勾配-変位伝達関数は、本明細書でより詳細に説明するように、実験的に得ることができる。
【0038】
いずれの場合でも、焦点変位のセットはガントリ角度のセットに対応することができるので、焦点変位のセットは、X線管がガントリの中心の周りを/ガントリに沿って回転するにつれて医用スキャナの焦点がどのように及び/又はどこに移動するかを表現するものと考えることができる。言い換えれば、焦点変位のセットは、医用スキャナのスキャン内の焦点の動きを表現する及び/又は表すものと考えることができる(例えば、スキャン内焦点変位のセットと考えることができる)。
【0039】
様々な実施形態において、コンピュータツールの実行コンポーネントは、焦点変位のセットに基づいて、1つ以上の電子的動作を電子的に開始及び/又は実行することができる。非限定的な実施例として、実行コンポーネントは、一部の態様において、適切な電子ディスプレイ/モニタ/スクリーン上に、ガントリ角度のセットに対する焦点変位のセットを電子的にプロットすることができる。従って、医療専門家は、このようなプロットを視覚的に見ることで、医用スキャナの焦点の位置がガントリ角度によってどのように変化するかを理解することができる。別の非限定的な例として、実行コンポーネントは、様々な例において、焦点変位のセットに基づいてメンテナンスの推奨を電子的に生成及び/又は電子的に送信することができる。例えば、実行コンポーネントは、焦点変位のセットを適切な閾値と比較することができ、焦点変位のセットが閾値を満たさない場合(例えば、セット内の最大焦点が、許容可能な最大の変位の閾値より大きい場合)、実行コンポーネントは、医用スキャナがメンテナンスを受けるべきであることを推奨できる。実際、一部の例では、焦点変位のセットが閾値を満たさない場合、実行コンポーネントは、医用スキャナのメンテナンスの訪問を自動的にスケジュールすることができる。
【0040】
いずれの場合でも、焦点変位のセットは、ガントリ角度のセットに対応することができ、医用スキャナのスキャン内の焦点の動きを表す及び/又は表現するものと考えることができる。
【0041】
焦点変位のセットを正確に特定するために、最初に勾配-変位伝達関数を特定することが必要になる。様々な態様において、勾配-変位伝達関数は、医用スキャナ自体に依存すると考えられ、したがって、以下のように、実験的に、及び/又は実験用の設定により得ることができる。
【0042】
まず、医用スキャナの基準チャンネルスパニング勾配を取得することができる。基準チャンネルスパニング勾配を得るために、医用スキャナでパーシャルエアスキャンを実行することができる。すなわち、ガントリのボアに空気しかない状態で、X線管は各ガントリ角度からX線を放出し、検出器はそのX線を記録/捕獲し、それによって1つの強度値行列を得ることができる。このような強度値行列は、パーシャルエアスキャンの結果により得られるので、空気ベースの強度値行列と呼ぶことができる。様々な態様において、(上記のような)列平均化することは、空気ベースの強度値行列に対して実行することができ、それによって列平均化強度値ベクトルを得ることができる。このような列平均化強度値ベクトルは、パーシャルエアスキャンに基づいたものであるので、それは、空気ベースの列平均化強度値ベクトルと呼ぶことができる。様々な実施態様において、線形トレンドラインをプロットして、線形トレンドラインを、適切な区間による空気ベースの列平均化強度値ベクトルにフィッティングすることによって、チャンネルスパニング勾配を(上記のように)計算することができる。このようなチャンネルスパニング勾配は、医用スキャナの基準チャンネルスパニング勾配と呼ぶことができる。
【0043】
次に、医用スキャナの基準焦点位置を取得することができる。基準焦点位置を得るために、医用スキャナによってパーシャルエッジスキャンを実行することができる。すなわち、ガントリ内には空気しかなく、陽極と陰極の間にタングステンエッジが配置された状態で、X線管は、基準チャンネルスパニング勾配に使用されるガントリ角度と同じガントリ角度からX線を放射し、検出器はそのX線を捕獲/記録し、それによって1つの強度値行列を生成することができる。このような強度値行列はパーシャルエッジスキャンの結果により得られるので、エッジベースの強度値行列と呼ぶことができる。様々な態様において、エッジベースの強度値行列を空気ベースの強度値行列で要素ごとに分割することによって、正規化を容易にすることができ、それによって正規化されたエッジベースの強度値行列を生成することができる。当業者であれば理解できるように、正規化されたエッジベースの強度値行列から、点広がり関数を導出することができる(例えば、線広がり関数を最初に導出し、次に、線広がり関数から点広がり関数を導出することができる)。点広がり関数は多次元ガウス分布と考えることができるので、点広がり関数の重心は医用スキャナの焦点を表すと考えることができる。従って、点広がり関数の重心の位置は、医用スキャナの基準焦点位置と考えることができる。
【0044】
適切な反復回数に対して、既知の位置シフトを注入することによって、医用スキャナの焦点を摂動させることができ、上記のように、摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配と摂動が加えられた焦点位置の両方を(例えば、基準チャンネルスパニング勾配及び基準焦点位置を得る方法と同じ方法で)得ることができる。例えば、既知の位置シフトを注入した後、摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配は、
上記の同じガントリ角度でパーシャルエアスキャンを実行すること(それによって、摂動が加えられた空気ベースの強度値行列が得られる)、
摂動が加えられた空気ベースの強度値行列を列平均化すること(それによって、摂動が加えられた空気ベースの列平均化強度値ベクトルが得られる)、及び
線形トレンドラインをプロットして、線形トレンドラインを、摂動が加えられた空気ベースの列平均化強度値ベクトルにフィッティングすること(それによって、摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配が得られる)
によって得ることができる。
さらに、既知の位置シフトを注入した後、摂動が加えられた焦点位置は、
上記と同じガントリ角度でパーシャルエッジスキャンを実行すること(それによって、エッジベースの強度値行列が得られる)、
摂動が加えられた空気ベースの強度値行列で割ることによって、摂動が加えられたエッジベースの強度値行列を正規化すること(それによって、正規化された後の摂動が加えられたエッジベースの強度値行列が得られる)、及び
正規化された後の摂動が加えられたエッジベースの強度値行列から摂動が加えられた点広がり関数を導くこと(ここで、摂動が加えられた点広がり関数の重心の位置は、摂動が加えられた焦点位置と考えることができる)
によって得ることができる。
【0045】
様々な態様において、そのような摂動(例えば、既知の位置シフトの注入)は、任意の適切な反復回数で実行する(例えば、各反復回数において、異なる位置シフト及び/又は固有の位置シフトが注入される)ことができ、それによって、摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配のセット及び摂動が加えらえた焦点位置のセット(勾配のセット及び焦点位置のセットは互いに対応する)が生成される。
【0046】
次に、チャンネルスパニング勾配の変化のセットは、摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配のセットの各勾配から基準チャンネルスパニング勾配を減算することによって計算できる。同様に、摂動が加えられた焦点変位のセットは、摂動が加えられた焦点位置のセットの各焦点位置から基準焦点位置を減算することによって計算できる。摂動が加えられた焦点変位のセットは、チャンネルスパニング勾配の変化のセットに(例えば、一対一で)対応するものと考えられることに留意されたい。
【0047】
様々な実施態様において、摂動が加えられた焦点変位のセットは、チャンネルスパニング勾配の変化のセットに対してプロットすることができ、適切なトレンドライン(例えば、線形、二次、指数、対数、多項式のトレンドライン)を、かかるプロットにフィッティングすることができる。様々な態様において、このようなトレンドラインは、チャンネルスパニング勾配の変化を引数と見なし、焦点変位を出力として生成することができるので、トレンドラインを勾配-変位伝達関数と考えることができる。したがって、このようにして、勾配-変位伝達関数を実験的に求めることができる。
【0048】
当業者であれば理解できるように、勾配-変位伝達関数は、医用スキャナの制御可能/設定可能なパラメータ/設定に依存する。例えば、上記の実験手順は、医用スキャナが、特定の陽極-陰極電圧/電流、特定のフィルタ、及び/又は特定の焦点サイズを利用するときに実行することができ、それによって特定の勾配-変位伝達関数を生成することができる。様々な例において、上述の実験手順は、医用スキャナが、異なる陽極-陰極電圧/電流、異なるフィルタ、及び/又は異なる焦点サイズを利用するときに繰り返すことができ、それによって異なる勾配-変位伝達関数を生成することができる。このようにして、構成が異なる医用スキャナに対して、異なる伝達関数を得ることができる。
【0049】
様々な態様において、勾配-変位伝達関数を得るために実行されるタングステンエッジ測定の数(例えば、パーシャルエッジスキャンの数)は、医用スキャナの使用可能な全てのガントリ角度で1回のタングステンエッジ測定が実行された場合に必要になると考えられるタングステンエッジ測定の数よりも著しく小さくなる可能性があることに注意すべきである。実際、上記のように、医用スキャナのガントリの中心の周りに/ガントリに沿って、数百又は数千のガントリ角度が存在することが多い。したがって、タングステンエッジ測定のみによってスキャン内焦点変位を追跡するには、数百又は数千のタングステンエッジ測定を実行すること(例えば、各ガントリ角度において1つのパーシャルエッジスキャンを実行すること)が必要であると考えられる。これは、過度に時間がかかり、負荷が大きいと考えらえる。さらに、このようなコスト/負荷は、医用スキャナの他の設定可能/制御可能なパラメータ/設定が更に変更しやすくなることによって大きくなると考えられる(例えば、ガントリ角度、陽極-陰極電圧/電流、フィルタの種類、及び/又は焦点サイズの各固有の組み合わせに対して、固有のタングステンエッジ測定が必要になると考えられる)。
【0050】
これとは対照的に、本明細書に記載されている勾配-変位伝達関数は、はるかに少ないタングステンエッジ測定によって得ることができます。実際、所与の陽極-陰極電圧/電流、所与のフィルタ、及び/又は所与の焦点サイズに対して、正確な勾配-変位伝達関数は、数十及び/又は数ダースのタングステンエッジ測定(例えば、数十/数ダースのパーシャルエッジスキャン、数十/数ダースの摂動)により得ることができる。言い換えれば、本明細書に記載されるような勾配-変位伝達関数によってスキャン内焦点変位を推定する及び/又は追跡することは、タングステンエッジ測定のみによってスキャン内焦点変位を推定する/追跡することと比較して、時間、努力及び/又は他の資源の点でコストをはるかに少なくすることができる。
【0051】
したがって、本明細書に記載される様々な実施形態は、チャンネルスパニング強度勾配及び/又は勾配-変位伝達関数を活用することによって、医用スキャナのスキャン内焦点変位を低コストで電子的に推定/追跡することができるコンピュータツールと考えることができる。
【0052】
本明細書に記載された様々な実施形態は、ハードウェア及び/又はソフトウェアで使用され、本質的には技術的に高度な問題(例えば、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定すること及び/又は容易に追跡すること)であって、抽象的ではなく、人間による一連の精神活動として実行できない問題を解決することができる。さらに、実行される一部の処理は、スキャン内焦点変位を低コストで推定/追跡することに関する定義されたタスクを実行するための専用のコンピュータ(例えば、X線管、ガントリ、多チャンネル-多列検出器)によって実行することができる。例えば、この定義されたタスクには、プロセッサに動作可能に結合されたデバイスによって、医用イメージングスキャナにエアスキャンを実行させることであって、前記医用イメージングスキャナは、X線管、ガントリ、及び多チャンネル多列検出器を有する、エアスキャンを実行させること;前記デバイスによって、前記医用イメージングスキャナによって生成され前記エアスキャンに関連するデータにアクセスすることであって、前記データは、前記エアスキャン中に前記X線管が移動するガントリ角度のセットを含み、前記データは、前記エアスキャン中に前記多チャンネル多列検出器によって記録される強度値行列のセットを含み、前記強度値行列のセットは、前記ガントリ角度のセットに対応する、データにアクセスすること;前記デバイスによって、前記強度値行列のセットに基づいて、チャンネルスパニング強度勾配のセットを計算することであって、チャンネルスパニング強度勾配のセットは、前記ガントリ角度のセットに対応する、チャンネルスパニング強度勾配のセットを計算すること;前記デバイスによって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットに勾配-変位伝達関数を適用し、それによって、前記ガントリ角度のセットに対応する前記焦点変位のセットを生成すること;及び/又は前記デバイスによって、前記焦点変位のセットに基づいて、1つ以上の電子的動作を開始すること、を含むことができる。様々な例において、この1つ以上の電子的動作は、前記デバイスによって、電子ディスプレイ上に、前記ガントリ角度のセットに対する前記焦点変位のセットをプロットすることを含む。
【0053】
この定義されたタスクは、人間によって手動で実行されるものではない。実際、人間の精神も、ペンと紙を使用する人間も、医用スキャナ(例えば、CTスキャナ)にエアスキャンを電子的に実行させること、この医用スキャナの多チャンネル多列検出器によって記録されたハウンスフィールド行列に電子的にアクセスすること、このハウンスフィールド行列に基づいて勾配値を電子的に計算すること、及び/又はこの勾配値に勾配-変位伝達関数を電子的に適用すること、それによってスキャン内焦点変位のセットを生成することはできない。これに対し、本明細書に記載される様々な実施形態は、コンピュータ技術と本質的かつ密接に関係しており、コンピューティング環境の外で実施することができない(例えば、医用イメージングスキャナは、X線放射が関心対象(患者の解剖学的構造など)を通過することによって医用画像を生成することができる本質的にコンピュータが備えられた装置であり、使用可能な全てのガントリ角度でタングステンエッジ測定をしなくても、医用画像スキャナによって生成されたエアスキャンデータに基づいて、医用画像スキャナの焦点の位置を推定する及び/又は追跡することができるコンピュータツールは、同様に本質的にコンピュータが備えられており、コンピュータなしでは、理にかなった方法、実用的な方法、及び合理的な方法で実施することができない)。
【0054】
さらに、様々な実施形態は、スキャン内焦点変位を低コストで推定する及び/又は追跡することに関する本明細書で記載された様々な教示を実用的なアプリケーションに統合することができる。上記で説明したように、スキャン内焦点変位を測定する/追跡する1つの可能な方法として、医用画像スキャナの使用可能な全てのガントリ角度でタングステンエッジ測定(例えば、パーシャルエッジスキャン)を実行することが考えられる。しかし、この方法は非常に負荷が大きく、時間がかかると考えられる。この問題を解決するために、本発明者らは、チャンネルスパニング勾配を利用したスキャン内焦点変位を推定する/追跡するのための様々な技術を考え出した。より具体的には、医用イメージングスキャナはエアスキャンを実行することができ、エアスキャンは、医用イメージングスキャナのX線管が複数のガントリ角度のセットを移動すること、及び医用イメージングスキャナの多チャンネル多列検出器によって各ガントリ角度における強度値行列を記録することを含むことができる。次に、各強度値行列に対して列平均化が実行され、これによって、列平均化強度値ベクトルのセットを生成することができる。次に、列平均化強度値ベクトルの各々に線形トレンドラインをフィッティングすることにより、チャンネルスパニング勾配のセットを生成することができる。最後に、勾配-変位伝達関数をチャンネルスパニング勾配のセットに適用することができ、それにより、ガントリ角度のセットに対応する焦点変位のセットを生成することができる。様々な例において、焦点変位のセットは、X線管がガントリの中心の周りを/ガントリに沿って回転するにつれて、医用イメージングスキャナの焦点がどのように/又はどこに移動するかを表していると考えることができる。すなわち、焦点変位のセットは、スキャン内の焦点の動きを示す/表すものと考えることができる。このような技術は、各ガントリ角度に対してチャンネルスパニング勾配を計算することを伴うが、このような計算は、各ガントリ角度においてタングステンエッジスキャンを実行するよりもはるかに負荷が少なく、及び/又は時間がかからないようにすることができる。さらに、勾配-変位伝達関数は、タングステンエッジ測定を利用することにより実験的に得られるが、勾配-変位伝達関数を正確に特定するために必要となるタングステンエッジ測定は、あらゆるガントリ角度において別々にタングステンエッジ測定を実行することを必要とする場合よりも、かなり少なくてすむ。したがって、いずれの場合でも、本明細書に記載された様々な実施形態は、あらゆるガントリ角度に対して別々にタングステンエッジ測定が実行される場合よりも大幅に少ないコストで、スキャン内焦点変位を推定する及び/又は追跡することが可能となる。このように低コストでスキャン内焦点変位を推定する/追跡することができるコンピュータツールは、医用イメージングスキャナの焦点の分野において、具体的かつ現実的に技術を確実に改善し、したがって、確かにコンピュータの有用かつ実用的な用途に適している。
【0055】
さらに、本明細書に記載された様々な実施形態は、有意に超えることのない単なる数学的計算を対象にしているわけではないことが強調されなければならない。実際、本明細書に記載されているように、本発明者らは、スキャン内の焦点の動きを推定/追跡する効率的で低コストの技術を考え出した。効率的で低コストの技術は、使用可能な全てのガントリ角度でタングステンエッジ測定を実行するのではなく、各ガントリ角度でチャンネルスパニング強度勾配を計算すること、そのようなチャンネルスパニング強度勾配に勾配-変位伝達関数を適用することを含むことができる。このような機能を可能にする/表すための具体的な詳細は、本明細書において、コンピュータプロセッサによって実行される一連のステップ、動作、及び/又は数学的計算として提示されるが、これは、単に、本技術を知的に議論する他の方法が存在しないからであることに留意されたい。本技術は数学的計算を利用する及び/又は含むが、本技術は、現実世界の技術的問題に対する実用的、技術的な解決策である。結局のところ、本明細書で説明されるように、チャンネルスパニング勾配の計算を通じてスキャン内の焦点の動きを推定する/追跡することは、各ガントリ角度で別々のタングステンエッジ測定を実行することと比較して、時間、努力及び資源の点ではるかに負荷の少ない新規の技術である。本技術が数学的概念を含むという事実は、このような技術的な利点を無効にしたり拒絶したりするものではない。
【0056】
さらになお、本明細書に記載される様々な実施形態は、開示された説明に基づいて、現実の有形デバイスを制御することができる。例えば、本明細書に記載された様々な実施形態は、現実のX線管、現実のガントリ、及び/又は現実の多チャンネル-多列検出器を有する現実の医用イメージングスキャナ(例えば、CTスキャナ)を電子的に制御すること(例えば、電源を投入する、電源を切る、校正する、係合させる、はずす)ができる。
【0057】
本明細書における図及びその説明は、非限定的な実施例を提供するものであり、必ずしも同一の縮尺で表されているわけではないことを理解されたい。
【0058】
図1は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡することができる一実施例の非限定的システム100のブロック図である。図示されるように、スキャン内焦点追跡システム102は、任意の適切な有線及び/又は無線の電子接続部を通じて、医用スキャナ104と電子的に統合することができる。
【0059】
様々な実施形態において、医用スキャナ104は、任意の適切な所望の医用イメージング装置とすることができる。例えば、医用スキャナ104は、様々な態様において、CTスキャナとすることができる。いずれの場合でも、医用スキャナ104は、X線管106、ガントリ108、及び/又は検出器110を含むことができる。様々な態様において、X線管106は、ガントリ108の中心の周りにおいて及び/又はガントリ108に沿って、異なる角度位置に回転することができる。様々な例では、検出器110は、X線管106に対向する角度を維持するように、ガントリ108の中心の周りを/ガントリに沿って回転することもできる(例えば、検出器110の角度位置を、X線管106の角度位置に対して180度異ならせることができる)。さらに、様々な実施例において、X線管106は、陰極(図示せず)及び陽極(図示せず)を含むことができ、X線管106内で、かかる陰極及び陽極に電圧が印加されることにより、電子ビームを陰極から陽極に加速させることができる。電子ビームが陽極に衝突すると、X線放射が生成され、ガントリ108の中央のボアに向かって放射及び/又は伝搬することができる。物体(例えば、患者の解剖学的構造)がガントリ108の中央のボア内に配置されると、X線放射は物体を通過し、検出器110によって記録され、それによって医用画像(例えば、CT画像)を生成することができる。これは図2に示されている。
【0060】
図2は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による医用スキャナの非限定的で例示的なブロック図200を示す。言い換えれば、図2は、医用スキャナ104の非限定的で例示的な実施形態を示す。図示のように、ガントリ108は、円形経路及び/若しくはリングとすることができ、円形経路及び/若しくはリングの周囲を(並びに/又は円形経路及び/若しくはリングに沿って)、X線管106と検出器110の両方が制御可能に回転することができる。非限定的な例として、X線管106は、ガントリ108の中央のボアに向かって半径方向に1つ以上のX線202を放出することができ、X線管106は、ガントリ108の中心の周りを/ガントリ108に沿って、回転方向204に移動することによって、X線202の放出方向を変更することができる。さらに、検出器110は、X線管106に対向する角度を維持するように、回転方向204に回転することもでき、それによって、検出器110はX線202を捕獲及び/又は記録することができる。
【0061】
図2には明示されていないが、当業者であれば、検出器110は任意の適切な所望のアーキテクチャを表すことを理解する。例えば、検出器110は、一部の例では、多チャンネル及び/又は多列のアーキテクチャを表すことができる。この場合、検出器110は、(例えば、図2のx-y面内において)ガントリ108の周方向に沿って配置される任意の適切な数の検出器チャンネルを有することができ、検出器110は、ガントリ108の長手方向/ボア方向に沿って(例えば、図2のz軸に沿って)配置される任意の適切な数の検出器列を有することができる。
【0062】
当業者がさらに理解するように、X線管106のガントリ108に沿う場所及び/又は位置は、ガントリ角度(例えば、度及び/又はラジアン)によって表すことができ、ガントリ角度の符号は、X線管106が基準位置からガントリ108の中心の周りを/ガントリ108に沿って回転した方向(例えば、反時計回り及び/又は時計回り)を表すことができ、及び/又はガントリ角度の大きさは、X線管106が基準位置からガントリ108の中心の周りを/ガントリ108に沿ってどれだけ回転したかを表すことができる。
【0063】
いずれの場合でも、医用スキャナ104の焦点は、X線管106がガントリ108の中心の周りを/ガントリ108に沿って回転するにつれて、シフトする、ドリフトする、及び/又は動くことがある。上記のように、このような動きは、スキャン内焦点変位と呼ぶことができ、ガントリの角度が異なると、重力及び/又は地球の磁場とX線管との相互作用が異なることによって生じることがある。残念ながら、このようなスキャン内焦点変位は、検出器110によってかなりの画像アーチファクト(例えば、目立つ画像ストリーク、目立つ画像シャドウ、バンド、リング)が発生する原因となり得る。このような画像アーチファクトを補正する及び/又は低減するには、X線管106がガントリ108の中心の周りを/ガントリ108に沿って回転するにつれて焦点の位置がどのように変化するかを推定する、追跡する、及び/又は別の方法で測定することにかかっていると考えられる。本明細書で説明するように、スキャン内焦点追跡システム102は、このような推定、追跡、及び/又は測定を、低コスト及び/又は低負荷の方法で、容易に実行することができる。
【0064】
図1に戻ると、様々な実施形態において、スキャン内焦点追跡システム102は、プロセッサ112(例えば、コンピュータ処理装置、マイクロプロセッサ)と、プロセッサ112に動作可能及び/又は使用可能及び/又は通信可能に接続/結合されたコンピュータ可読メモリ114とを含むことができる。コンピュータ可読メモリ114は、コンピュータ実行可能命令を格納することができる。コンピュータ実行可能命令は、プロセッサ112により実行されると、プロセッサ112及び/又はスキャン内焦点追跡システム102の他のコンポーネント(例えば、スキャンコンポーネント116、受信器コンポーネント118、平均コンポーネント120、勾配コンポーネント122、変位コンポーネント124、及び/又は実行コンポーネント126)に、1つ以上の動作を実行させることができる。様々な実施形態において、コンピュータ読み取り可能なメモリ114は、コンピュータ実行可能なコンポーネント(例えば、スキャンコンポーネント116、受信器コンポーネント118、平均コンポーネント120、勾配コンポーネント122、変位コンポーネント124、及び/又は実行コンポーネント126)を格納することができ、プロセッサ112は、コンピュータ実行可能コンポーネントを実行することができる。
【0065】
様々な実施形態において、スキャン内焦点追跡システム102は、スキャンコンポーネント116を含むことができる。様々な態様において、本明細書に記載されるように、スキャンコンポーネント116は、医用スキャナ104にエアスキャンを実行させるように、電子的に指示する、命令する、及び/又は他の方法で実行させることができる。
【0066】
様々な実施形態において、スキャン内焦点追跡システム102は、受信器コンポーネント118をさらに含むことができる。様々な例において、本明細書で説明するように、受信器コンポーネント118は、医用スキャナ104によるエアスキャンの間、及び/又は医用スキャナ104によるエアスキャンに応答して、生成されたデータを電子的に受信する、検索する、及び/又は生成されたデータにアクセスすることができる。様々な例において、データは、エアスキャン中にX線管106が移動するガントリ角度のセットを含むことができ、及び/又は、データは、検出器110によって記録された強度値行列のセットであって、ガントリ角度のセットに対応する強度値行列のセットをさらに含むことができる。
【0067】
様々な実施形態において、スキャン内焦点追跡システム102は、平均コンポーネント120をさらに含むことができる。様々な態様において、本明細書に記載されるように、平均コンポーネント120は、強度値行列のセットに対して電子的に列平均化を実行し、それによって列平均化強度値ベクトルのセットを生成することができる。
【0068】
様々な実施形態において、スキャン内焦点追跡システム102は、勾配コンポーネント122をさらに含むことができる。様々な例において、本明細書に記載されるように、勾配コンポーネント122は、列平均化強度値ベクトルのセットに基づいて、チャンネルスパニング強度勾配のセットを電子的に計算することができる。
【0069】
様々な実施形態において、スキャン内焦点追跡システム102は、変位コンポーネント124をさらに含むことができる。様々な態様において、本明細書に記載されるように、変位コンポーネント124は、チャンネルスパニング強度勾配のセットに基づいて、焦点変位のセットを、勾配-変位伝達関数によって電子的に計算することができる。
【0070】
様々な実施形態において、スキャン内焦点追跡システム102は、実行コンポーネント126をさらに含むことができる。様々な例において、本明細書に記載されるように、実行コンポーネント126は、焦点変位のセットに基づいて1つ以上の電子的動作を電子的に実行することができる(例えば、焦点変位のセットをガントリ角度のセットに対してプロットする、焦点変位のセットを閾値と比較することによって電子的に推奨を行う)。
【0071】
図3は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡することができるエアスキャンデータを含む例示的で非限定的なシステム300のブロック図を示す。図示されるように、システム300は、一部の例では、システム100と同じコンポーネントを含むことができ、エアスキャンデータ302をさらに含むことができる。
【0072】
様々な実施形態において、スキャンコンポーネント116は、医用スキャナ104にエアスキャンを実行させるように、電子的に指示し、電子的に命令し、及び/又は他の方法で電子的に制御することができる。すなわち、ガントリ108のボア内が空気だけの状態で、X線管106は、任意の適切なガントリ角度のセットに対して移動することができる。各ガントリ角度において、X線管106は、ガントリ108のボアを通過するように半径方向にX線を放出することができ、検出器110は、このようなX線を捕獲/記録することができる。様々な例において、このようなエアスキャンの間に、このようなエアスキャンに応答して、及び/又はこのようなエアスキャンによって、医用スキャナ104で生成される電子データは、エアスキャンデータ302と考えることができる。
【0073】
様々な実施形態において、受信器コンポーネント118は、エアスキャンデータ302を電子的に受信する、及び/又は電子的にアクセスすることができる。様々な実施形態において、受信器コンポーネント118は、任意の適切な集中型及び/又は分散型のデータ構造(図示せず)からエアスキャンデータ302を電子的に検索することができる。他の様々な実施例では、受信器コンポーネント118は、医用スキャナ104自体からエアスキャンデータ302を電子的に検索することができる。いずれの場合でも、受信器コンポーネント118は、スキャン内焦点追跡システム102の他のコンポーネントがエアスキャンデータ302と電子的にやり取りできるように、エアスキャンデータ302を電子的に取得する及び/又はエアスキャンデータ302に電子的にアクセスすることができる。
【0074】
様々な態様において、エアスキャンデータ302は、エアスキャン中にX線管106が移動するガントリ角度のセットを含む/表す適切な電子データ構造とすることができる、及び/又はエアスキャン中に検出器110によって記録される強度値行列のセットを含む/表す適切な電子データ構造とすることができる。これは、図4図5によって更に説明される。
【0075】
図4は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、ガントリ角度のセット及び/又は強度値行列のセットを含むエアスキャンデータを示す例示的で非限定的なブロック図400を示す。すなわち、図4は、エアスキャンデータ302の非限定的な例示的実施形態を示している。図示されるように、エアスキャンデータ302は、ガントリ角度のセット402を示す及び/若しくは含むことができる、並びに/又はガントリ角度のセット402に対応する強度値行列のセット404を示す及び/若しくは含むことができる。
【0076】
様々な態様において、ガントリ角度のセット402は、エアスキャン中にX線管106がガントリ108の中心の周りを/ガントリ108に沿って移動するガントリ角度のセットとすることができる(例えば、角度区間とすることができる)。様々な例において、ガントリ角度のセット402は、適切な正の整数nに対してn個の角度値(例えば、角度及び/又はラジアン)(ガントリ角度1からガントリ角度n)を含むことができる。例えば、ガントリ角度1は、ガントリ108の中心の周りの/ガントリ108に沿う1番目の位置であって、X線管106がエアスキャン中に回転する1番目の位置を表すスカラーと考えることができ、ガントリ角度nは、ガントリ108の中心の周りの/ガントリ108に沿うn番目の位置であって、X線管106がエアスキャン中に回転するn番目の位置を表すスカラーと考えることができる。
【0077】
様々な態様において、強度値行列のセット404は、エアスキャン中の検出器110の電子出力及び/又はエアスキャンに応答した検出器110の電子出力を表すことができる。様々な例において、強度値行列のセット404は、ガントリ角度のセット402と(例えば、一対一で)対応することができる。したがって、様々な例において、強度値行列のセット404は、n個の行列(強度値行列1から強度値行列n)を含むことができる。より具体的には、強度値行列1は、エアスキャン中にX線管106がガントリ角度1からX線を放出したときの検出器110の出力と考えることができる。同様に、強度値行列nは、エアスキャン中にX線管106がガントリ角度nからX線を放出したときの検出器110の出力と考えることができる。当業者であれば理解できるように、各強度値行列の次元及び/又は形式は、検出器110のアーキテクチャに依存する。このことは、図5でさらに説明される。
【0078】
図5は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による強度値行列を示す例示的で非限定的なブロック図500を示す図である。すなわち、図5は、強度値行列のセット404のいずれか1つの強度値行列の例示的で非限定的な実施形態を示している。
【0079】
様々な実施形態に、強度値行列502がある。様々な態様において、強度値行列502は、強度値行列のセット404のいずれか1つの強度値行列とすることができる。様々な態様において、検出器110は、適切な正の整数sに対してs個の検出器チャンネル(検出器チャンネル1~検出器チャンネルs)を有することができる。様々な例において、検出器チャンネル1~検出器チャンネルsは、全体で検出器チャンネルのセット504を形成すると考えることができる。様々な態様において、検出器110は、適切な正の整数tに対してt個の検出器列(検出器列1~検出器列t)を有することができる。様々な例では、検出器列1~検出器列tは、全体で検出器列のセット506を形成すると考えることができる。検出器110はs個のチャンネル及びt個の列を有することができるので、強度値行列502は、図示のように、s×t行列とすることができ、このs×t行列の各要素は、検出器110の特定のチャンネルと特定の列とに対応するものである。例えば、強度値行列502の強度値1(1)は、X線管106がガントリ角度のセット402の中の特定のガントリ角度に位置したときに、検出器110の検出器チャンネル1及び検出器列1によって測定される/測定された、捕獲される/捕獲された、及び/又は記録される/記録されたスカラーのハウンスフィールドユニット値とすることができる。別の実施例として、強度値行列502の強度値1(t)は、X線管106が特定のガントリ角度に位置したときに、検出器110の検出器チャンネル1及び検出器列tによって測定される/測定された、捕獲される/捕獲された、及び/又は記録される/記録されたスカラーのハウンズフィールドユニット値とすることができる。さらに別の実施例として、強度値行列502の強度値s(1)は、X線管106が特定のガントリ角度に位置したときに、検出器110の検出器チャンネルs及び検出器列1によって測定される/測定された、捕獲される/捕獲された、及び/又は記録される/記録されたスカラーのハウンスフィールドユニット値とすることができる。さらに別の実施例として、強度値行列502の強度値s(t)は、X線管106が特定のガントリ角度に位置したときに、検出器110の検出器チャンネルs及び検出器列tによって測定される/測定された、捕獲される/捕獲された、及び/又は記録される/記録されたスカラーのハウンズフィールドユニット値とすることができる。
【0080】
図6は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡するための列平均化強度値ベクトルのセットを含む例示的で非限定的なシステム600のブロック図である。図示されるように、システム600は、一部の例では、システム300と同じコンポーネントを含むことができ、列平均化強度値ベクトルのセット602をさらに含むことができる。
【0081】
様々な実施形態において、平均コンポーネント120は、エアスキャンデータ302に基づいて、列平均化強度値ベクトルのセット602を電子的に生成し、電子的に計算し、及び/又は他の方法で電子的に計算することができる。これは、図7-8で更に説明される。
【0082】
図7は、本明細書に記載の1つ以上の実施形態による、列平均化強度値ベクトルのセットを示す例示的で非限定的なブロック図700を示す。すなわち、図7は、列平均化強度値ベクトルのセット602の非限定的で例示的な実施形態を示している。
【0083】
図示されるように、列平均化強度値ベクトルのセット602は、強度値行列のセット404に(例えば、一対一で)対応することができる。したがって、強度値行列のセット404はn個の行列を含むことができるので、列平均化強度値ベクトルのセット602はn個のベクトル(列平均化強度値ベクトル1~列平均化強度値ベクトルn)を含むことができる。言い換えれば、強度値行列ごとに、1つの列平均化強度値ベクトルが存在する。例えば、列平均化強度値ベクトル1は、強度値行列1に対応することができる。すなわち、平均コンポーネント120は、強度値行列1に基づいて(例えば、数学的に処理することによって)、列平均化強度値ベクトル1を電子的に計算することができる。さらに、列平均化強度値ベクトル1は強度値行列1に対応することができ、強度値行列1はガントリ角度1に対応することができるので、列平均化強度値ベクトル1はガントリ角度1に対応すると考えることができる。同様に、別の実施例として、列平均化強度値ベクトルnは、強度値行列nに対応することができる。これは、平均コンポーネント120が、強度値行列nに基づいて(例えば、数学的に処理することによって)、列平均化強度値ベクトルnを電子的に計算できることを意味する。さらに、列平均化強度値ベクトルnは強度値行列nに対応することができ、強度値行列nはガントリ角度nに対応することができるので、列平均化強度値ベクトルnはガントリ角度nに対応すると考えることができる。様々な例において、列平均化強度値ベクトルのセット602の各ベクトルは、強度値行列のセット404のうちの1つの強度値行列に、列平均化を実行することによって計算することができる。これは、図8で更に説明される。
【0084】
図8は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、強度値行列からどのようにして列平均化強度値ベクトルを生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図800を示す図である。
【0085】
様々な態様において、強度値行列502は、上記で説明したものとすることができる。様々な例において、平均コンポーネント120は、強度値行列502に基づいて列平均化強度値ベクトル802を電子的に生成することができる。言い換えれば、強度値行列502は、強度値行列のセット404のうちの任意の強度値行列とすることができ、列平均化強度値ベクトル802は、列平均化強度値ベクトルのセット602のうちの、強度値行列502に対応する強度値ベクトルとすることができる。様々な例において、平均コンポーネント120は、強度値行列502に対して列平均化することによって、列平均化強度値ベクトル802を生成することができる。より具体的には、検出器110はs個のチャンネルとt個の列を有することができるので、強度値行列502は、上記のように、ハウンスフィールドユニット値のs×t行列とすることができ、列平均化強度値ベクトル802は、平均したハウンスフィールドユニット値のs要素ベクトルとすることができる。すなわち、列平均化強度値ベクトル802は、s個の要素(列平均化強度値1~列平均化強度値s)を有することができる。様々な態様において、列方向の平均強度値1は、強度値行列502の、検出器チャンネル1に関連する全てのハウンスフィールドユニット値の平均値(例えば、中央値)とすることができる。言い換えれば、列平均の強度値1は、強度値1(1)から強度値1(t)までの平均値(例えば、中央値)に等しい(及び/又は、基づいた)値とすることができる。同様に、様々な例において、列平均化強度値sは、強度値行列502のうちの検出器チャンネルsに関連する全てのハウンスフィールドユニット値の平均値(例えば、中央値)とすることができる。換言すれば、列平均化強度値sは、強度値s(1)から強度値s(t)の平均値(例えば、中央値)に等しい(及び/又は、基づいた)値とすることができる。したがって、様々な例において、列平均化強度値ベクトル802は、強度値行列502の検出器列のセット506を平均することによって得られる結果と考えることができる。
【0086】
いずれの場合でも、平均コンポーネント120は、エアスキャンデータ302に基づいて、列平均化強度値ベクトルのセット602を生成することができる。
【0087】
図9は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡することができるチャンネルスパニング強度勾配のセットを含む例示的で非限定的なシステム900のブロック図である。図示されるように、システム900は、一部の例では、システム600と同じコンポーネントを含み、チャンネルスパニング強度勾配のセット902をさらに含むことができる。
【0088】
様々な実施形態において、勾配コンポーネント122は、列平均化強度値ベクトルのセット602に基づいて、チャンネルスパニング強度勾配のセット902を電子的に生成し、電子的に計算することができる。これは、図10図11で更に説明される。
【0089】
図10は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、チャンネルスパニング強度勾配のセットを示す例示的で非限定的なブロック図である。すなわち、図10は、チャンネルスパニング強度勾配のセット902の非限定的な例示的実施形態を示している。
【0090】
図示されるように、チャンネルスパニング強度勾配のセット902は、列平均化強度値ベクトルのセット602に(例えば、一対一で)対応することができる。したがって、列平均化強度値ベクトルのセット602はn個のベクトルを含むことができるので、チャンネルスパニング強度勾配のセット902はn個の勾配(チャンネルスパニング強度勾配1~チャンネルスパニング強度勾配n)を含むことができる。言い換えれば、列平均化強度値ベクトルごとに1つのチャンネルスパニング強度勾配がある。例えば、チャンネルスパニング強度勾配1は、列平均化強度値ベクトル1に対応することができる。すなわち、勾配コンポーネント122は、列平均化強度値ベクトル1に基づいて(例えば、数学的に処理することによって)、チャンネルスパニング強度勾配1を電子的に計算することができる。さらに、チャンネルスパニング強度勾配1は列平均化強度値ベクトル1に対応することができ、列平均化強度値ベクトル1はガントリ角度1に対応することができるので、チャンネルスパニング強度勾配1はガントリ角度1に対応すると考えることができる。同様に、別の実施例として、チャンネルスパニング強度勾配nは、列平均化強度値ベクトルnに対応することができる。これは、勾配コンポーネント122が、列平均化強度値ベクトルnに基づいて(例えば、数学的に処理することによって)、チャンネルスパニング強度勾配nを電子的に計算できることを意味することができる。さらに、チャンネルスパニング強度勾配nが列平均化強度値ベクトルnに対応することができ、列平均化強度値ベクトルnがガントリ角度nに対応することができるので、チャンネルスパニング強度勾配nはガントリ角度nに対応すると考えることができる。様々な例において、チャンネルスパニング強度勾配のセット902の各強度勾配は、列平均化強度値ベクトルのセット602のうちの対応する強度値ベクトルに線形トレンドラインを適合させることによって計算することができる。これは、図11で更に説明される。
【0091】
図11は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、チャンネルスパニング強度勾配がどのようにして列平均化強度値ベクトルから生成することができるかを示す例示的で非限定的なブロック図1100を示す。
【0092】
様々な態様において、列平均化強度値ベクトル802は、上記のようなベクトルとすることができる。様々な例において、勾配コンポーネント122は、列平均化強度値ベクトル802に基づいてチャンネルスパニング強度勾配1102を電子的に生成することができる。言い換えれば、列平均化強度値ベクトル802は、列平均化強度値ベクトルのセット602のうちのいずれかの強度値ベクトルとすることができ、チャンネルスパニング強度勾配1102は、チャンネルスパニング強度勾配のセット902のうちの、列平均化強度値ベクトル802に対応する強度勾配とすることができる。様々な例において、チャンネルスパニング強度勾配1102は、列平均化強度値ベクトル802にフィッティングされる線形トレンドラインの勾配に等しい(及び/又は、線形トレンドラインの勾配に基づいた)スカラーとすることができる。
【0093】
特に、様々な態様において、勾配コンポーネント122は、検出器チャンネルのセット504からチャンネルの連続する適切な区間を選択することができる。一部の例では、勾配コンポーネント122は、連続する区間として、検出器チャンネルのセット504全体を選択することができる(例えば、検出器チャンネル1から検出器チャンネルsまでの区間を選択することができる)。他の例では、勾配コンポーネント122は、連続する区間として、検出器チャンネルのセット504全体よりも狭い区間を選択することができる(例えば、任意の適切な整数u及びvに対して(1≦u<v≦s)、検出器チャンネルuから検出器チャンネルvまでの区間を選択することができる)。いずれの場合でも、列平均化強度値ベクトル802は、検出器チャンネルごとに1つの要素(例えば、1つの強度値)を有することができるので、検出器チャンネルのセット504からチャンネルの連続する区間を選択することは、列平均化強度値ベクトル802の要素の対応する連続する区間を選択することと類似及び/又は同等であると考えることができる。例えば、検出器チャンネルuで始まり検出器チャンネルvで終わるチャンネルの連続する区間の選択は、列平均化強度値uで始まり列平均化強度値vで終わる列平均化強度値ベクトル802の要素の連続する区間に対応すると考えることができる。様々な態様において、勾配コンポーネント122は、列平均化強度値ベクトル802の要素の連続する区間をプロットすることができる。様々な態様において、勾配コンポーネント122は、任意の適切な技術(例えば、最小二乗和)により、このプロットに、線形トレンドライン及び/又はベストフィットの線をフィッティングすることができる。様々な例において、そのような線形トレンドライン及び/又はベストフィットの線の勾配は、チャンネルスパニング強度勾配1102と考えることができる。
【0094】
本明細書では、列平均化強度値ベクトル802のチャンネル及び/又は要素の区間が連続する場合について説明されているが、これは、説明を容易にするための非限定的な単なる一実施例である。当業者であれば、様々な例において、列平均化強度値ベクトル802のチャンネル及び/又は要素の非連続的な区間に対して、プロット及び/又はフィッティングして、チャンネルスパニング強度勾配1102を生成できることを理解する。
【0095】
いずれの場合でも、勾配コンポーネント122は、列平均化強度値ベクトルのセット602に基づいて、チャンネルスパニング強度勾配のセット902を生成することができる。
【0096】
図12は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定及び/又は容易に追跡することができ、勾配-変位伝達関数及び/又は焦点変位のセットを含む例示的で非限定的なシステム1200のブロック図を示す。図示されるように、システム1200は、一部の例では、システム900と同じコンポーネントを含むことができ、勾配-変位伝達関数1202及び/又は焦点変位のセット1204をさらに含むことができる。
【0097】
様々な実施形態において、変位コンポーネント124は、勾配-変位伝達関数1202を電子的に記憶し、電子的に管理し、電子的に制御し、及び/又は勾配-変位伝達関数1202に電子的にアクセスすることができる。様々な態様において、勾配-変位伝達関数1202は、チャンネルスパニング強度勾配(及び/又はチャンネルスパニング強度勾配の変化)を入力の引数と見なし、焦点変位を出力として生成することができる適切な数学関数及び/又は数学関数の組み合わせとすることができる。勾配-変位伝達関数1202がどのようにして特定及び/又は取得することができるかに関する追加の詳細が、図18~20で説明される。
【0098】
いずれの場合でも、変位コンポーネント124は、勾配-変位伝達関数1202をチャンネルスパニング強度勾配のセット902に適用することによって、焦点変位のセット1204を電子的に生成することができる。これについては、図13で更に説明される。
【0099】
図13は、本明細書に記載される1つ以上の実施形態による、焦点変位のセット1204がどのようにしてチャンネルスパニング強度勾配のセット902から生成されるかを示す例示的で非限定的まブロック図1300を示す。
【0100】
図示されるように、焦点変位のセット1204は、チャンネルスパニング強度斜面のセット902と(例えば、一対一で)対応することができる。したがって、チャンネルスパニング強度斜面のセット902はn個の勾配を含むことができるので、焦点変位のセット1204は、n個の変位(焦点変位1~焦点変位n)を含むことができる。言い換えれば、チャンネルスパニング強度勾配ごとに1つの焦点変位が存在する。
【0101】
例えば、焦点変位1は、チャンネルスパニング強度勾配1に対応することができる。すなわち、変位コンポーネント124は、チャンネルスパニング強度勾配1を勾配-変位伝達関数1202に入力することによって、焦点変位1を電子的に計算することができる。さらに、焦点変位1がチャンネルスパニング強度勾配1に対応することができ、チャンネルスパニング強度勾配1がガントリ角度1に対応することができるので、焦点変位1はガントリ角度1に対応すると考えることができる。様々な例において、焦点変位1は、任意の適切な軸及び/又は方向の距離を表すスカラーとすることができ、この距離は、X線管106がガントリ角度1に応じた位置に配置されたときの焦点の位置と、所望の焦点位置及び/又は所定の焦点位置とのずれである。言い換えれば、焦点変位1は、X線管106がガントリ角度1の位置に配置されたときに、焦点がその所望の位置/所定の位置からどれだけ離れているかを(例えば、ミクロンで)表すことができる。
【0102】
同様に、焦点変位nは、チャンネルスパニング強度勾配nに対応することができる。すなわち、変位コンポーネント124は、チャンネルスパニング強度勾配nを勾配-変位伝達関数1202に入力することによって焦点変位nを電子的に計算することができる。上記のように、焦点変位nはチャンネルスパニング強度勾配nに対応することができ、チャンネルスパニング強度勾配nはガントリ角度nに対応することができるので、焦点変位nはガントリ角度nに対応すると考えることができる。様々な例において、焦点変位nは、任意の適切な軸及び/又は方向の距離を表すスカラーとすることができ、この距離は、X線管106がガントリ角度nに応じた位置に配置されたときの焦点の位置と、所望の焦点位置及び/又は所定の焦点位置とのずれである。言い換えれば、焦点変位nは、X線管106がガントリ角度nの位置に配置されたときに、焦点がその所望の位置/所定の位置からどれだけ離れているかを(例えば、ミクロンで)表すことができる。
【0103】
したがって、X線管106は、スキャン中(例えば、スキャンコンポーネント116によって行われるエアスキャン中)にガントリ角度のセット402の全体を移動することができ、焦点変位のセット1204は、ガントリ角度のセット402に対応することができるので、焦点変位のセット1204は、医用スキャナ104のスキャン内の焦点の動きを示す、表す、及び/又は伝えると考えることができる(例えば、X線管106がガントリ108の中心の周りを/ガントリ108に沿って回転するにつれて、焦点が適切な軸に沿って/適切な次元においてどのように移動するかを示すと考えることができる)。
【0104】
図14は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡することができる電子的動作のセットを含む例示的で非限定的なシステム1400のブロック図を示す。図示されるように、システム1400は、一部の例では、システム1200と同じコンポーネントを含むことができ、電子的動作のセット1402をさらに含むことができる。
【0105】
様々な実施形態において、実行コンポーネント126は、焦点変位のセット1204に基づいて、電子的動作のセット1402を電子的に実行すること、生じさせること、開始すること、及び/又は円滑に進めることができる。様々な態様において、電子的動作のセット1402は、焦点変位のセット1204に関連する及び/又は関係する適切な数の動作を含むことができる。
【0106】
非限定的な例として、電子的動作のセット1402は、任意の適切な電子ディスプレイ、スクリーン、及び/又はモニタ(図示せず)に、ガントリ角度のセット402に対する焦点変位のセット1204を視覚的にプロットする、グラフにする、及び/又は表現することを含むことができる。その場合、ガントリ角度のセット402は横軸方向に沿ってプロットする/グラフにすることができ、及び/又は焦点変位のセット1204は縦軸方向に沿ってプロットする/グラフにすることができる。様々な態様において、医療専門家及び/又は技術専門家は、X線管106がガントリ108の中心の周りを/ガントリ108に沿って回転するにつれて、医用スキャナ104の焦点がどのように移動し及び/又は位置を変更するかを見るために、このようなプロット/グラフを視覚的に調べたり/視覚的に詳しく調べることができる。
【0107】
別の非限定的な例として、電子的動作のセット1402は、焦点変位のセット1204を適切な閾値と比較すること、及び/又はその比較に基づいて適切なコンピューティングデバイス(図示せず)に対して推奨事項を生成すること/送信することを含むことができる。例えば、実行コンポーネント126は、焦点変位のセット1204の各変位を許容可能な最大変位の閾値と電子的に比較することができる。焦点変位のセット1204の任意の変位が許容可能な最大変位の閾値を超える場合、実行コンポーネント126は、任意の適切なコンピューティングデバイス(図示せず)に対してメッセージを電子的に生成する及び/又は送信することができ、そのメッセージは、技術的メンテナンス及び/又は修理が医用スキャナ104に実行されることを推奨する及び/又は要求するものである。対照的に、焦点変位のセット1204のどの変位も許容可能な最大変位の閾値を超えない場合、実行コンポーネント126は、適切なコンピューティングデバイス(図示せず)に対してメッセージを電子的に生成する及び/又は送信することができ、そのメッセージは、技術的メンテナンス及び/又は修理を医用スキャナ104に実行することはまだ必要ではないことを示すものである。
【0108】
上述した様々な詳細を明らかにするために、図15図17が検討される。図15図17は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態による非限定的で例示的なプロット1500、1600、及び1700を示す。
【0109】
様々な態様において、本発明者らは、本明細書に記載の非限定的実施形態を実施化した。この実施形態では、医用スキャナ104が984個のガントリ角度を含むエアスキャンを実行し、検出器110が800以上のチャンネルを有している。様々な例において、プロット1500は、この非限定的な実施形態に対して、列平均化強度値ベクトルのセット602を、グレースケールで視覚的に示している。図示されるように、984個のガントリ角度(例えば、図15において「ビュー」と呼ばれる)の各々は、対応する列平均化強度値ベクトルを有することができ、各列平均化強度値ベクトルは、800を超える要素(例えば、検出器110のチャンネルごとに1つの要素)を有する。様々な例において、プロット1600は、そのような非限定的な実施形態に対して、チャンネルスパニング強度勾配のセット902を視覚的に示している。図示されるように、984個のガントリ角度(例えば、この場合も「ビュー」と呼ばれる)の各々は、対応するチャンネルスパニング強度勾配を有することができる。図16には明示的に示されていないが、各チャンネルスパニング強度勾配は、(Hounsfield Unit/Channel)の単位を有すると考えることができる。様々な態様において、プロット1700は、この非限定的な実施形態の焦点変位のセット1204を視覚的に示す。図示されるように、984個のガントリ角度(例えば、この場合も「ビュー」と呼ばれる)の各々は、対応する焦点変位の値を有することができ、これは、各ガントリ角度の(例えば、各ビューの)対応するチャンネルスパニング強度勾配に勾配-変位伝達関数1202を適用することによって得ることができる。
【0110】
本明細書で説明されるように、焦点変位のセット1204は、医用スキャナ104のスキャン内の焦点の動きを表現する/表すことができ、チャンネルスパニング強度勾配のセット902を勾配-変位伝達関数1202に入力することによって計算することができる。したがって、この計算を容易に行うためには、まず、勾配-変位伝達関数1202が得られなければならない。上記のように、勾配-変位伝達関数1202は、チャンネルスパニング強度勾配(及び/又はチャンネルスパニング強度勾配の変化)を入力引数とし、焦点変位値を出力として生成することができる適切な数学的関数及び/又は数学的関数の組み合わせとすることができる。勾配-変位伝達関数1202を構成する、及び/又は勾配-変位伝達関数1202に含まれる特定の関数(例えば、多項式、正弦波、対数、指数)及び/又は係数値は、医用スキャナ104の特性によって変えることができる。言い換えれば、勾配-変位伝達関数1202の万能な形態は存在しない。それにもかかわらず、医用スキャナ104の特性にかかわらず、勾配-変位伝達関数1202は、図18図20で説明するように、例外なく導出及び/又は取得することができる。
【0111】
図18~20は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、勾配-変位伝達関数を生成するための例示的で非限定的なコンピュータ実装方法1800、1900、及び2000のフロー図を示す。
【0112】
まず、コンピュータ実装方法1800を検討する。様々な実施形態において、動作1802は、勾配-変位伝達関数(例えば、1202)を必要とする医用スキャナ(例えば、104)にアクセスすることを含むことができる。
【0113】
様々な態様において、動作1804は、医用スキャナの基準チャンネルスパニング勾配を計算することを含むことができる。様々な例において、これは以下のように実現することができる。まず、医用スキャナは、任意の単一のガントリ角度でパーシャルエアスキャンを実行することができる(例えば、フルエアスキャンでは複数のガントリ角度の全てを移動することができるが、パーシャルエアスキャンは1つのガントリ角度で実行することができる)。このパーシャルエアスキャンの結果として、医用スキャナの多チャンネル多列検出器(例えば、110)によって記録される単一の強度値行列を得ることができる。このような強度値行列は、空気ベースの強度値行列と呼ぶことができる。次に、図6図8で説明したように、空気ベースの強度値行列に対して列平均化を実行することができ、それによって、強度値ベクトルを生成することができる。そのような強度値ベクトルは、空気ベースの強度値ベクトル(例えば、空気ベースの列平均化強度値ベクトル)と呼ぶことができる。最後に、図9図11に関して上述したように、線形トレンドライン及び/又は最も当てはまるラインを、空気ベースの強度値ベクトルにフィッティングすることができ、そのような線形トレンドライン及び/又は最も当てはまるラインの勾配は、基準チャンネルスパニング勾配と考えることができる。
【0114】
様々な例において、動作1806は、基準チャンネルスパニング勾配に対応する基準焦点位置を計算することを含むことができる。様々な例において、これは以下のように実現することができる。まず、医用スキャナは、基準チャンネルスパニング勾配を計算するために使用されるのと同じガントリ角度でパーシャルエッジスキャンを実行することができる(例えば、フルエッジスキャンでは複数のガントリ角度を移動することができるが、パーシャルエッジスキャンは一つのガントリ角度で実行することができる)。このパーシャルエッジスキャンの結果として、医用スキャナの多チャンネル多列検出器(例えば、110)によって記録される単一の強度値行列を得ることができる。このような強度値行列は、エッジベースの強度値行列と呼ぶことができる。次に、エッジベースの強度値行列は、空気ベースの強度値行列で要素ごとに割り算することにより、正規化することができる。このような正規化の結果は、正規化されたエッジベースの強度値行列と呼ばれることができる。最後に、正規化されたエッジベースの強度値行列から、線広がり関数及び/又は点広がり関数を導出する及び/又は近似することができる。当業者であれば、この方法での線広がり関数及び/又は点広がり関数の導出の仕方を理解する。様々な例において、点広がり関数のセントロイドの位置は、基準焦点位置と考えることができる。
【0115】
図示されるように、コンピュータ実装方法1800は、次に、コンピュータ実装方法1900の動作1902に進むことができる。
【0116】
様々な実施形態において、動作1902は、医用スキャナの摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配を計算することを含むことができる。様々な例において、これは以下のように実現することができる。まず、既知の位置シフトを医用スキャナに注入することができる(例えば、医用スキャナのX線管の陽極及び/又は陰極は、任意の適切な既知の量だけ互いにシフトさせることができる)。次に、医用スキャナは、既知の位置シフトが注入された後、基準チャンネルスパニング勾配を計算するために使用されたのと同じガントリ角度で、パーシャルエアスキャンを実行することができる。このパーシャルエアスキャンの結果として、医用スキャナの多チャンネル多列検出器によって記録された単一の強度値行列を得ることができる。この強度値行列は、摂動が加えられた空気ベースの強度値行列と呼ぶことができる。次に、図6図8に関して上述したように、摂動が加えられた空気ベースの強度値行列に対して列平均化を実行することができ、これによって強度値ベクトルが生成される。この強度値ベクトルは、摂動が加えられた空気ベースの強度値ベクトル(例えば、摂動が加えられた空気ベースの列平均化強度値ベクトル)と呼ぶことができる。最後に、図9図11に関して上述したように、線形トレンドライン及び/又は最も当てはまるラインを、摂動が加えられた空気ベースの強度値ベクトルにフィッティングすることができ、及び、このような線形トレンドラインの勾配及び/又は最も当てはまるラインの勾配は、摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配と考えることができる。
【0117】
様々な態様において、動作1904は、摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配に対応する摂動が加えられた焦点位置を計算することを含むことができる。様々な例において、これは以下のように実現することができる。まず、医用スキャナは、既知の位置シフトを注入した後、基準チャンネルスパニング勾配を計算するために使用されるのと同じガントリ角度で、パーシャルエッジスキャンを実行することができる。このパーシャルエッジスキャンの結果として、医用スキャナの多チャンネル多列検出器によって記録される単一の強度値行列を得ることができる。このような強度値行列は、摂動が加えられたエッジベースの強度値行列と呼ぶことができる。次に、摂動が加えられたエッジベースの強度値行列は、摂動が加えられた空気ベースの強度値行列で要素ごとに割り算をすることにより正規化することができる。この正規化の結果は、正規化された後の摂動が加えられたエッジベースの強度値行列と呼ぶことができる。最後に、正規化された後の摂動が加えられたエッジベースの強度値行列から、線広がり関数及び/又は点広がり関数を導出する及び/又は近似することができる。当業者であれば、この方法で線広がり関数及び/又は点広がり関数をどのように導出すればよいかを理解する。様々な例において、この点広がり関数のセントロイドの位置は、摂動が加えられた焦点位置と考えることができる。
【0118】
様々な例において、動作1906は、適切な正の整数wに対して、摂動が加えられたw個の焦点位置及び摂動が加えられたw個のチャンネルスパニング勾配が計算されたかどうかを決定することを含むことができる。計算されていない場合、コンピュータ実装方法1900は動作1902に戻ることができる。計算されている場合、コンピュータ実装方法1900は、コンピュータ実装方法2000の動作2002に進むことができる。図19から分かるように、動作1902~1906は、摂動が加えられた焦点位置と摂動が加えられたチャンネルスパニング勾配とのw個の組が計算されるまで反復することができる。言い換えれば、動作1902~1906は、w個の既知の位置シフト(例えば、w個の既知の位置シフトの全てが互いに異なるものとすることができる)が医用スキャナに注入されるまで反復することができる。
【0119】
ここで、コンピュータ実装方法2000を検討する。様々な実施形態において、動作2002は、摂動が加えられたw個の焦点位置(例えば、動作1904で計算された焦点位置)の各々から基準焦点位置(例えば、動作1806で計算された焦点位置)を減算することによってw個の焦点変位を計算することを含むことができる。
【0120】
様々な態様において、動作2004は、摂動が加えられたw個のチャンネルスパニング勾配(例えば、動作1902で計算された勾配)の各々から基準チャンネルスパニング勾配(例えば、動作1804で計算された勾配)を減算することによってチャンネルスパニング勾配のw個の変化を計算することを含むことができる。
【0121】
様々な例において、動作2006は、チャンネルスパニング勾配のw個の変化に対するw個の焦点変位をプロットすることを含むことができる。
【0122】
様々な例において、動作2008は、このプロットにトレンドライン(例えば、線形トレンドライン、二次トレンドライン、多項式トレンドライン、指数トレンドライン、対数トレンドライン、正弦波トレンドライン)をフィッティングすることを含むことができる。様々な例において、そのようなトレンドラインは、勾配-変位伝達関数と考えることができる。この場合、医用スキャナのチャンネルスパニング勾配(例えば、複数のチャンネルスパニング勾配902のうちの1つのチャンネルスパニング勾配)が与えられると、焦点変位は、次のように計算することができる。
与えられたチャンネルスパニング勾配から基準チャンネルスパニング勾配(例えば、動作1804で計算された勾配)を減算する、及び、
減算により得られた差をトレンドラインに(例えば、勾配-変位伝達関数に)に供給する。
【0123】
いずれの場合でも、図18図20は、医用スキャナ104について、勾配-変位伝達関数1202をどのようにして実験的に得ることができるかを説明している。
【0124】
様々な実施形態において、勾配-変位伝達関数1202の特定の関数及び/又は係数は、医用スキャナ104の様々な設定可能及び/又は制御可能な設定/パラメータに依存するものである。例えば、勾配-変位伝達関数1202は、医用スキャナ104の陽極-陰極の電圧及び/又は電流、医用スキャナ104のフィルタの種類(例えば、フラットフィルタやボウタイフィルタ)、及び/又は医用スキャナ104の焦点のサイズ(例えば、ミクロン及び/又はミリメートル)に依存するものである。したがって、様々な例において、医用スキャナ104の制御可能なパラメータ/設定の各固有の組み合わせに対して、固有の勾配-変位伝達関数を得ることができる(例えば、医用スキャナ104が第1の陽極-陰極電圧/電流、第1のフィルタ、及び/又は第1の焦点サイズを使用するように構成される場合、第1の勾配-変位伝達関数を得ることができ、医用スキャナ104が第2の陽極-陰極電圧/電流、第2のフィルタ、及び/又は第2の焦点サイズを使用するように構成される場合、第2の勾配-変位伝達関数を得ることができる)。したがって、様々な例において、コンピュータ実装方法1800~2000を、医用スキャナ104の設定可能なパラメータの各固有の組み合わせに対して繰り返すことができる。
【0125】
一部の例では、変位コンポーネント124は、(例えば、図18図20が繰り返し実施されるので)勾配-変位伝達関数のセットを利用することができ及び/又は勾配-変位伝達関数のセットにアクセスすることができ、変位コンポーネント124は、医用スキャナ104の特定の及び/又は現在の設定可能なパラメータに基づいて、このセットから勾配-変位伝達関数1202を選択することができる。
【0126】
図21は、本明細書に記載された1つ以上の実施形態による、スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は容易に追跡することができる例示的で非限定的なコンピュータ実装方法2100のフロー図を示す。様々な例において、スキャン内焦点追跡システム102は、コンピュータ実装方法2100を容易に実行することができる。
【0127】
様々な実施形態において、動作2102は、プロセッサに動作可能に結合されたデバイスによって(例えば、スキャンコンポーネント116によって)、医用イメージングスキャナ(例えば、104)にエアスキャンを実行させることを含むことができる。医用イメージングスキャナは、X線管(例えば、106)、ガントリ(例えば、108)、及び/又は多チャンネル多列検出器(例えば、110)を有する。
【0128】
様々な態様において、動作2104は、デバイスによって(例えば、受信器コンポーネント118によって)、医用イメージングスキャナによって生成されたデータであって、エアスキャンに関連するデータ(例えば、302)にアクセスすることを含むことができる。様々な例において、データは、エアスキャン中にX線管が移動するガントリ角度のセット(例えば、402)を含むことができる。さらに、データは、エアスキャン中に多チャンネル多列検出器によって記録された強度値行列のセット(例えば、404)を含むことができる。様々な例において、強度値行列のセットは、ガントリ角度のセットに対応することができる。
【0129】
様々な例において、動作2106は、デバイスによって(例えば、勾配コンポーネント122によって)、強度値行列のセットに基づいてチャンネルスパニング強度勾配のセット(例えば、902)を計算することを含むことができる。様々な例において、チャンネルスパニング強度勾配のセットは、ガントリ角度のセットに対応することができる。
【0130】
様々な態様において、動作2108は、デバイスによって(例えば、変位コンポーネント124によって)、チャンネルスパニング強度勾配のセットに勾配-変位伝達関数(例えば、1202)を適用し、それによって、ガントリ角度のセットに対応する焦点変位のセット(例えば、1204)を生成することを含むことができる。
【0131】
様々な例において、2110は、デバイスによって(例えば、実行コンポーネント126によって)、焦点変位のセットに基づいて1つ以上の電子的動作(例えば、1402)を開始することを含むことができる。
【0132】
図21には明示されていないが、1つ以上の電子的動作は、デバイスによって(例えば、実行コンポーネント126によって)、電子ディスプレイ上に、(例えば、図17に示すように)ガントリ角度のセットに対して焦点変位のセットをプロットすることを含むことができる。
【0133】
図21には明示的に示されていないが、1つ以上の電子的動作は、焦点変位のセットが少なくとも1つの閾値を満たさないという判定に応答して、デバイスによって(例えば、実行コンポーネント126によって)、医用イメージングスキャナがメンテナンスを受けるべきであるという推奨を送信することを含むことができる。
【0134】
図21には明示的に示されていないが、コンピュータ実装方法2100は、強度値行列のセットに基づいて、デバイスによって(例えば、平均コンポーネント120によって)、列平均化強度値ベクトルのセット(例えば602)を計算することを更に含むことができ、列平均化強度値ベクトルのセットは、ガントリ角度のセットに対応することができる。様々な例において、チャンネルスパニング強度勾配のセットを計算することは、(例えば、図9図11で説明したように)チャンネル区間の列平均化強度値ベクトルのセットにトレンドライン技術を適用することに基づくことができる。
【0135】
図21には明示的に示されていないが、コンピュータ実装方法2100は、医用イメージングスキャナの1つ以上の設定可能なパラメータに基づいて、デバイスによって(例えば、変位コンポーネント124によって)、利用可能な伝達関数のセットから、勾配-変位伝達関数を選択することを更に含むことができる。様々な例において、1つ以上の設定可能なパラメータは、X線管の陽極-陰極電圧、X線管の陽極-陰極電流、X線管のフィルタの種類、及び/又はX線管の焦点サイズを含むことができる。
【0136】
図21には明示されていないが、(例えば、図18~20に関して説明したように)X線管に注入された複数の焦点位置摂動に基づいて、勾配-変位伝達関数を推定することができる。
【0137】
したがって、本明細書に記載された様々な実施形態は、チャンネルスパニング強度勾配を活用することによって、低コスト及び/又は低負荷の方法で、医用スキャナのスキャン内の焦点の動きを推定及び/又は追跡することができるコンピュータツールを含む。このような技術は、医用スキャナの使用可能な全てのガントリ角度でタングステンエッジスキャンを実行するのと比較して、はるかに効率的であると考えることができる。このようなコンピュータツールは、コンピュータの有用かつ実用的なアプリケーションと言える。
【0138】
様々な例において、機械学習アルゴリズム及び/又はモデルは、本明細書に記載された任意の適切な態様を容易に行うために、任意の適切な方法で実装することができる。本技術の様々な実施形態の上記の機械学習の一部の態様を容易に行うために、人工知能(AI)について以下に検討する。本明細書の本技術の様々な実施形態は、人工知能を採用して、本技術の1つ以上の特徴の自動化を容易にすることができる。コンポーネントは、本明細書に開示された様々な実施形態/実施例を実施するための様々なAIベースのスキームを採用することができる。本技術の多数の決定(例えば、決定する、確認する、推論する、計算する、予測する、予知する、推定する、導出する、予想する、検出する、処理する)を実現する又は支援するために、本技術のコンポーネントは、アクセスが許可されているデータの全体又はサブセットを調べ、事象及び/又はデータによって取り込まれた情報のセットからシステム及び/又は環境の状態について推論する又はその状態を決定することが可能である。決定は、例えば、特定のコンテキスト又は動作を識別するために使用することができ、又は、状態に対する確率分布を生成することができる。決定は確率論的、すなわち、データ及び事象の検討結果に基づいて関心のある状態の確率分布を計算することを意味する。また、決定は、事象及び/又はデータのセットから、よりハイレベルの事象を求めるために採用される技術を指すこともある。
【0139】
このような決定によって、複数の事象が近い時間に関連付けられているかどうか、事象及びデータが1つ以上の事象及びデータソースに由来するかどうかにかかわらず、観測されたイベント及び/又は保存されたイベントデータのセットから新しいイベント又は動作を構築することができる。本明細書に開示されたコンポーネントは、請求項に記載された対象に関する自動的動作及び/又は決定された動作を実行する場合、様々な分類((例えば、トレーニングデータによって)明示的に訓練された分類及び(例えば、行動、好み、履歴情報を観察すること、外部情報を受け取ることなどによって)暗黙的に訓練された分類)のスキーム及び/又はシステム(例えば、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、エキスパートシステム、ベイジアン・ビリーフ・ネットワーク、ファジー論理、データ融合エンジンなど)を使用することができる。したがって、分類スキーム及び/又は分類システムを使用して、複数の機能、動作、及び/又は決定を自動的に学習し、実行することができる。
【0140】
分類器は、入力属性ベクトルz=(z、z、z、z、z)を、その入力があるクラスに属する信頼度に対応付けることができる(f(z)=confidence(class)のように)。このような分類は、確率的及び/又は統計的な解析(例えば、解析ユーティリティやコストを考慮する)を利用して、自動的に実行されるべき動作を決定することができる。サポートベクターマシン(SVM)は、使用できる分類器の一例である。SVMは、使用可能な入力の空間において超曲面を見つけることによって動作し、超曲面は、トリガー基準を非トリガーイベントから分割するものである。直感的に、超局面によって、トレーニングデータに近いがトレーニングデータとは同一ではないテストデータに対して正しく分類することができる。他の有向モデル分類手法及び無向モデル分類手法としては、例えば、ナイーブベイズ、ベイジアンネットワーク、決定木、ニューラルネットワーク、ファジー論理モデル、及び/又は異なるパターンの独立性を提供する確率的分類モデルがあり、これらのいずれも使用することができる。また、本明細書で使用される分類は、優先順位のモデルを開発するために利用される統計的回帰を含むものである。
【0141】
当業者であれば、本明細書の開示が、本技術の様々な実施形態の非限定的な例を説明していることを理解する。記載及び/又は説明を容易にするために、本技術の様々な実施形態を説明する場合、本明細書の開示の様々な部分で、用語「各」が使用される。当技術分野における当業者は、用語「各」の用法が非限定的な例であることを理解する。言い換えれば、本明細書の開示が、ある特定の対象及び/又はコンポーネントの「各」に適用される説明をする場合、これは、本技術の様々な実施形態の非限定的な例であると理解されるべきであり、この説明は、本技術の様々な他の実施形態において、当該特定の物体及び/又はコンポーネントの「各」にほとんど適用されない場合があることをさらに理解すべきである。
【0142】
本明細書に記載された様々な実施形態に対してコンテキストを追加するために、図22及び以下の説明では、本明細書に記載された様々な実施形態を実装することができる適切な計算環境2200の概要が簡潔に記載されることが意図されている。実施形態は、1つ以上のコンピュータで実行可能なコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈の中で説明したが、当業者は、実施形態が、他のプログラムモジュールの組み合わせて実装できること、及び/又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせとして実装できることも認識する。
【0143】
一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含む。さらに、当業者は、本発明の方法が、他のコンピュータシステム構成(シングルプロセッサコンピュータシステム又はマルチプロセッサコンピュータシステム、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、モノのインターネット(IoT)デバイス、分散コンピューティングシステム、ならびに、パーソナルコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス、マイクロプロセッサを使用した又はプログラム可能な民生用電子機器などであり、これらの各々は1つ以上の関連デバイスに動作的に結合することができる)で実施できることを理解する。
【0144】
本明細書の例示された実施形態は、通信ネットワークを通じてリンクされるリモート処理デバイスによって特定のタスクが実行される分散コンピューティング環境でも実施することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカル及び遠隔の両方のメモリ記憶装置に配置することができる。
【0145】
コンピューティングデバイスは、典型的には、様々な媒体を含み、この媒体は、コンピュータ可読記憶媒体、機械可読記憶媒体、及び/又は通信媒体を含むことができ、これらの2つの用語は、本明細書では以下のように互いに異なるものとして用いられている。コンピュータ可読記憶媒体又は機械可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な記憶媒体とすることができ、コンピュータ可読記憶媒体又は機械可読記憶媒体としては、揮発性媒体及び不揮発性媒体、取外し可能な媒体及び取外し不可能な媒体がある。例として、コンピュータ可読記憶媒体又は機械可読記憶媒体は、情報(コンピュータ可読命令又は機械可読命令、プログラムモジュール、構造化データ又は非構造化データなど)を記憶するための任意の方法又は技術で実現することができるが、これに限定されることはない。
【0146】
コンピュータ可読記憶媒体としては、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多目的ディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)又は他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又は他の磁気ストレージデバイス、ソリッドステートドライブ又は他のソリッドステートストレージデバイス、又は所望の情報を記憶するために使用できる他の有形の及び/又は非一時的な媒体があるが、これらに限定されることはない。この点で、ストレージ、メモリ又はコンピュータ可読媒体に適用される本明細書の用語「有形」又は「非一時的」という用語は、修飾語として、一時的な伝搬信号それ自体のみを排除し、単なる一時的な伝搬信号それ自体ではない全ての標準のストレージ、メモリ又はコンピュータ可読媒体に対する権利を放棄しないものと理解すべきである。
【0147】
コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、アクセス要求、クエリー又は他のデータ検索プロトコルを用いて、媒体によって記憶された情報に関する様々な動作に対して、1つ以上のローカル又はリモートのコンピューティング装置によってアクセスすることができる。
【0148】
通信媒体は、典型的には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他の構造化データ若しくは非構造化データを、変調データ信号(例えば、搬送波又は他の伝送技術)などのデータ信号で具現化するものであり、通信媒体には、任意の情報提供媒体又は伝送媒体を含む。用語「変調データ信号」又は信号は、情報を1つ以上の信号に符号化する方法で設定された又は変更された特性の1つ以上を有する信号を表す。例として、通信媒体には、有線媒体(有線ネットワーク又は直接有線接続など)及び無線媒体(音響、RF、赤外線、及び他の無線媒体など)があるが、これらに限定されることはない。
【0149】
図22を再び参照すると、本明細書に記載された態様の様々な実施形態を実装するための例示的な環境2200は、コンピュータ2202を含み、コンピュータ2202は、処理ユニット2204、システムメモリ2206及びシステムバス2208を含む。システムバス2208は、システムメモリ2206を含むシステムコンポーネント(システムメモリ2206に限定されることはない)を、処理ユニット2204に結合する。処理ユニット2204は、入手可能な様々なプロセッサとすることができる。デュアルマイクロプロセッサ及び他のマルチプロセッサアーキテクチャも、処理ユニット2204として採用することができる。
【0150】
システムバス2208は、入手可能な様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用して、メモリバス(メモリコントローラを有している又は有していない)、周辺バス、及びローカルバスにさらに相互接続できるいくつかのタイプのバス構造のいずれかのバス構造とすることができる。システムメモリ2206は、ROM2210及びRAM2212を含む。基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリ(ROM、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、EEPROMなど)に格納することができ、このBIOSは、起動時などにコンピュータ2202内の要素間で情報を伝送する支援をする基本ルーチンを含む。RAM2212は、データをキャッシュするためのスタティックRAMのような高速RAMを含むこともできる。
【0151】
コンピュータ2202は、内蔵ハードディスクドライブ(HDD)2214(例えば、EIDE、SATA)、1つ以上の外部記憶装置2216(例えば、磁気フロッピーディスクドライブ(FDD)2216、メモリスティック又はフラッシュドライブリーダー、メモリカードリーダーなど)及びディスク2222(CD-ROMディスク、DVD、BDなど)に対して読み取り又は書き込みができるドライブ2220(半導体ドライブ、光ディスクドライブなど)を更に含む。あるいは、ソリッドステートドライブが使用される場合、ディスク2222は、別途用意される場合を除いて、必要ないと考えられる。内蔵HDD2214は、コンピュータ2202内に位置するように図示されているが、内蔵HDD2214は、外部で使用するために適切なシャーシ(図示せず)に配置することもできる。さらに、環境2200には示されていないが、HDD2214に加えて、又はHDD2214の代わりに、ソリッドステートドライブ(SSD)を使用することができる。HDD2214、外部記憶装置2216、及びドライブ2220は、それぞれ、HDDインターフェース2224、外部記憶装置インターフェース2226及びドライブインターフェース2228によって、システムバス2208に接続することができる。外部ドライブ実装のためのインターフェース2224としては、ユニバーサルシリアルバス(USB)技術及び電気電子学会(IEEE)1394インターフェース技術のうちの少なくとも1つ又は両方がある。他の外部ドライブ接続技術は、本明細書に記載される実施形態から考えられる範囲内のものである。
【0152】
ドライブ及びそれらに関連するコンピュータ可読記憶媒体は、データ、データ構造、コンピュータが実行可能な命令などの不揮発性記憶装置として利用できる。コンピュータ2202において、ドライブ及び記憶媒体は、適切なデジタル形式の任意のデータの保存に対応している。上記のコンピュータ可読記憶媒体の記載は、それぞれの種類の記憶装置について言及しているが、当業者には、現在存在している又は将来開発されるかにかかわらず、コンピュータによって読み取り可能な他の種類の記憶媒体も、例示した動作環境で使用できること、さらに、この記憶媒体が、本明細書に記載した方法を実行するコンピュータで実行可能な命令を含むことができることが理解されるべきである。
【0153】
複数のプログラムモジュール(オペレーティングシステム2230、1つ以上のアプリケーションプログラム2232、他のプログラムモジュール2234及びプログラムデータ2236など)をドライブ及びRAM2212に格納することができる。オペレーティングシステム、アプリケーション、モジュール、及び/又はデータの全て又は一部を、RAM2212にキャッシュすることもできる。本明細書で説明するシステム及び方法は、様々な市販のオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組合せを利用して実施することができる。
【0154】
コンピュータ2202は、任意に、エミュレーション技術を含むことができる。例えば、ハイパーバイザー(図示せず)又は他の手段が、オペレーティングシステム2230のハードウェア環境をエミュレートすることができ、エミュレートされたハードウェアは、任意に、図22に示されたハードウェアと異なっていてもよい。そのような実施形態では、オペレーティングシステム2230は、コンピュータ2202において提供された複数の仮想マシン(VM)のうちの1つのVMを構成することができる。さらに、オペレーティングシステム2230は、アプリケーション2232のためのランタイム環境(Javaランタイム環境又はNETフレームワークなど)を提供することができる。ランタイム環境は、一貫性のある実行環境であり、アプリケーション2232がランタイム環境を含む任意のオペレーティングシステム上で実行されることを可能にする。同様に、オペレーティングシステム2230はコンテナをサポートすることができ、アプリケーション2232はコンテナの形態とすることができる。コンテナは、軽量でスタンドアロンの実行可能なソフトウェアのパッケージであり、このパッケージは、例えば、アプリケーションのコード、ランタイム、システムツール、システムライブラリ及び設定を含む。
【0155】
さらに、コンピュータ2202は、TPM(trusted processing module)のようなセキュリティモジュールで有効にすることができる。例えばTPMでは、ブートコンポーネントは、次のブートコンポーネントをハッシュ化し、結果がセキュアド値(secured value)に一致するのを待ってから、次のブートコンポーネントをローディングする。このプロセスは、コンピュータ2202のコード実行スタックの任意の層で行うことができ、例えば、アプリケーション実行レベル又はオペレーティングシステム(OS)カーネルレベルで適用され、それによって、コード実行の任意のレベルでのセキュリティが可能になる。
【0156】
ユーザは、1つ以上の有線/無線入力デバイス(例えば、キーボード2238、タッチスクリーン2240、及びポインティングデバイス(マウス2242など))を使用して、コマンド及び情報をコンピュータ2202に入力することができる。他の入力デバイス(図示せず)としては、マイク、赤外線(IR)リモートコントロール、無線周波数(RF)リモートコントロール、又は他のリモートコントロール、ジョイスティック、仮想現実コントローラ及び/又は仮想現実ヘッドセット、ゲームパッド、スタイラスペン、画像入力デバイス(例えば、カメラ)、ジェスチャセンサ入力デバイス、視覚動きセンサ入力デバイス、感情検出デバイス又は顔検出デバイス、生体測定入力デバイス(例えば、指紋スキャナ又は虹彩スキャナ)などがある。これら及び他の入力デバイスは、システムバス2208に結合することができる入力デバイスインターフェース2244を通じて処理ユニット2204に接続されることがあるが、他のインターフェース(例えば、パラレルポート、IEEE1394シリアルポート、ゲームポート、USBポート、IRインターフェース、BLUETOOTH(登録商標)インターフェース等)によって接続することができる。
【0157】
モニタ2246又は他の種類の表示デバイスも、インターフェース(ビデオアダプタ2248など)を通じてシステムバス2208に接続することができる。モニタ2246に加えて、コンピュータは、典型的には、スピーカ、プリンタなどの他の周辺出力デバイス(図示せず)を含む。
【0158】
コンピュータ2202は、1つ以上のリモートコンピュータ(リモートコンピュータ2250など)との有線通信及び/又は無線通信を介して、論理的接続を使用し、ネットワーク化された環境において動作することができる。リモートコンピュータ2250は、ワークステーション、サーバコンピュータ、ルータ、パーソナルコンピュータ、ポータブルコンピュータ、マイクロプロセッサベースのエンターテインメントアプライアンス、ピアデバイス、又は他の共通のネットワークノードとすることができ、典型的には、コンピュータ2202に関連して説明した多くの要素又は全ての要素を含むが、簡潔のため、メモリ/ストレージデバイス2252のみが図示されている。図示されている論理的接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)2254及び/又はより大きなネットワーク(例えばワイドエリアネットワーク(WAN)2256)との有線/無線接続を含む。このようなLAN及びWANのネットワーキング環境は、オフィスや企業で一般的であり、企業規模のコンピュータネットワーク(イントラネットなど)を容易にし、企業規模のコンピュータネットワークの全てをグローバル通信ネットワーク(例えば、インターネット)に接続することができる。
【0159】
LANネットワーキング環境で使用される場合、コンピュータ2202は、有線及び/又は無線の通信ネットワークインターフェース又はアダプタ2258を通じてローカルネットワーク2254に接続することができる。アダプタ2258は、LAN2254への有線通信又は無線通信を容易に行うことができ、LAN2254は、無線モードでアダプタ2258と通信するために、LAN2254に配置された無線アクセスポイント(AP)を含むことができる。
【0160】
WANネットワーキング環境で使用される場合、コンピュータ2202は、モデム2260を含むことができ、WAN2256に通信を確立するための他の手段を通じて(例えば、インターネットによって)WAN2256上の通信サーバに接続することができる。モデム2260は、内部モデム又は外部モデムとすることができ、更に、有線デバイス又は無線デバイスとすることができ、モデム2260は、入力デバイスインターフェース2244を通じてシステムバス2208に接続することができる。ネットワーク化された環境では、コンピュータ2202又はコンピュータ2202の一部に対して示されたプログラムモジュールは、リモートメモリ/ストレージデバイス2252に格納することができる。図示されたネットワーク接続は例示であり、コンピュータ間の通信リンクを確立する他の手段を使用できることが理解される。
【0161】
LAN又はWANのネットワーキング環境で使用される場合、コンピュータ2202は、上記の外部記憶装置2216に加えて、又は外部記憶装置2216の代わりに、クラウドストレージシステム又は他のネットワークベースのストレージシステム(情報の記憶及び処理の1つ以上の態様を提供するネットワーク仮想マシンなどであるが、これに限定されることはない)にアクセスすることができる。一般に、コンピュータ2202とクラウドストレージシステムとの間の接続は、LAN2254又はWAN2256を通じて、例えば、それぞれアダプタ2258又はモデム2260によって確立することができる。コンピュータ2202を関連するクラウドストレージシステムに接続すると、外部ストレージインターフェース2226は、アダプタ2258及び/又はモデム2260の助けにより、他の種類の外部ストレージと同様に、クラウドストレージシステムによって提供されるストレージを管理できる。例えば、外部ストレージインターフェース2226は、クラウドストレージソースへのアクセスを実現し、クラウドストレージソースがコンピュータ2202に物理的に接続されているかのようにすることができる。
【0162】
コンピュータ2202は、無線デバイス又は無線通信で動作可能に配置された構成要素(例えば、プリンタ、スキャナ、デスクトップ及び/又はポータブルコンピュータ、ポータブルデータアシスタント、通信衛星、無線で検出可能なタグに関連する任意の機器又は場所(例えば、キオスク、新聞売店、商品棚など)、及び電話)と通信するように動作可能である。これには、Wi-Fi(Wireless Fidelity)及びBLUETOOTH(登録商標)の無線技術を含めることができる。したがって、通信は、従来のネットワークのように事前に定義された構造であってもよいし、単に、少なくとも2つのデバイス間のアドホック通信であってもよい。
【0163】
図23は、開示された対象が相互にやり取りすることができるサンプルコンピューティング環境2300の概略的なブロック図である。サンプルコンピューティング環境2300は、1つ以上のクライアント2310を含む。クライアント2310は、ハードウェア及び/又はソフトウェア(例えば、スレッド、プロセス、コンピューティングデバイス)とすることができる。サンプルコンピューティング環境2300は、1つ以上のサーバ2330も含む。サーバ2330も、ハードウェア及び/又はソフトウェア(例えば、スレッド、プロセス、コンピューティングデバイス)とすることができる。サーバ2330は、例えば、本明細書に記載された1つ以上の実施形態を採用することによって、トランスフォーメーションを実行するためのスレッドを格納することができる。クライアント2310とサーバ2330との間の1つの可能な通信は、2つ以上のコンピュータプロセスの間で送信されるように適合されたデータパケットの形態とすることができる。サンプルコンピューティング環境2300は、クライアント2310とサーバ2330との間の通信を容易に実行するために使用することができる通信フレームワーク2350を含む。クライアント2310は、情報を、クライアント2310に対してローカルに記憶するために使用することができる1つ以上のクライアントデータストア2320に動作可能に接続される。同様に、サーバ2330は、情報をサーバ2330に対してローカルに記憶するために使用することができる1つ以上のサーバデータストア2340に動作可能に接続されている。
【0164】
本明細書に記載された様々な実施形態は、細部のレベルで技術的に統合することが可能なシステム、方法、装置及び/又はコンピュータプログラム製品とすることができる。コンピュータプログラム製品は、本明細書に記載された様々な実施形態の態様をプロセッサに実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(又は複数のコンピュータ可読記憶媒体)を含むことができる。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによって使用される命令を保存及び記憶することができる有形デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置、又はこれらの任意の適切な組み合わせとすることができるが、これらに限定されることはない。コンピュータ可読記憶媒体の具体的な例で可能性のある全てのものを含むリストには、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、機械的に符号化したデバイス(パンチカード、又は命令が溝に記録された隆起構造など)及びこれらの任意の適切な組合せが含まれる。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書において、一時的な信号それ自体(電波又は他の自由に伝播する電磁波、導波管又は他の伝送媒体を伝播する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを進む光パルス)、又はワイヤを伝送する電気信号など)と解釈されるべきではない。
【0165】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からコンピューティング/処理デバイスに、又はネットワーク(例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、及び/又は無線ネットワーク)を通じて外部コンピュータ又は外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバー、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ及び/又はエッジサーバを有することができる。各計算/処理デバイスのネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、そのコンピュータ可読プログラム命令が、計算/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶されるように、そのコンピュータ可読プログラム命令を、計算/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に転送する。本明細書に記載された様々な実施形態の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路用のコンフィグレーションデータ、又は1つ以上のプログラミング言語(オブジェクト指向プログラミング言語(Smalltalk、C++など)、手続き型プログラミング言語(「C」プログラミング言語、又は同様のプログラミング言語など)の任意の組み合わせで書かれたソースコード又はオブジェクトコードとすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で完全に、ユーザのコンピュータ上で部分的に、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行することができ、ユーザのコンピュータ上で部分的に及びリモートコンピュータ上で部分的に、又はリモートコンピュータ又はサーバ上で完全に実行することができる。後者の場合、リモートコンピュータは、任意のタイプのネットワーク(ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)など)を通じてユーザのコンピュータに接続することができ、外部コンピュータに(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用したインターネットを通じて)接続することができる。一部の実施形態では、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本明細書に記載の様々な実施形態の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路を好みに設定することにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行できる。
【0166】
様々な実施形態の態様が、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して本明細書で説明されている。フローチャート及び/又はブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解される。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンが生成され、命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサによって実行され、フローチャート及び/又はブロック図のブロックで指定される機能/動作を実施するための手段を作成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体に格納することもでき、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、及び/又は他の装置に、特定の方法で機能するように指示することができ、コンピュータ可読記憶媒体に格納された命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート及び/又はブロック図のブロックに指定された機能/動作の態様を実装する命令を含む製造物品を有することができる。コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、又は他の装置にロードされ、一連の動作行為を、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他の装置で実行させて、コンピュータ実装プロセスを生成させ、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、又は他の装置で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロックで特定される機能/動作を実施する。
【0167】
図面のフローチャート及びブロック図は、本明細書に記載された様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、命令のモジュール、セグメント、又は一部分を表すことができ、命令のモジュール、セグメント、又は一部分は、指定された論理機能を実装するための1つ以上の実行可能な命令を含む。一部の代替的な実装では、ブロックに記載された機能は、図面に記載された順序とは別の順序で発生することができる。例えば、連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行することができ、ブロックは、関係する機能に応じて、時には逆の順序で実行することができる。また、ブロック図及び/又はフローチャートの各ブロック、ならびにブロック図及び/又はフローチャートのブロックの組み合わせは、専用ハードウェアを使用したシステムであって、指定された機能又は動作を実行する、又は専用ハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行するシステムによって実装することができる。
【0168】
本発明の対象は、1台のコンピュータ及び/又は複数台のコンピュータで実行されるコンピュータプログラム製品のコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で記載されているが、当業者は、本開示が、他のプログラムモジュールと組み合わせて実施できることも認識する。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、及び/又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含む。さらに、当業者は、他のコンピュータシステム構成(例えば、シングルプロセッサコンピュータシステム又はマルチプロセッサコンピュータシステム、ミニコンピューティングデバイス、メインフレームコンピュータ、ならびにコンピュータ、ハンドヘルドコンピューティングデバイス(例えば、PDA、電話)、マイクロプロセッサを使用した又はプログラム可能な家電製品又は産業用電子機器など)で本発明のコンピュータ実装方法を実施できることを理解する。図示された態様は、通信ネットワークを通じてリンクされているリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境でも実施することができる。しかしながら、本開示の一部又は全ての態様は、スタンドアロンコンピュータで実施することができる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールを、ローカル及びリモートの両方のメモリ記憶デバイスに配置することができる。
【0169】
本願において、用語「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェース」などは、コンピュータ関連のエンティティ又は1つ以上の特定の機能を有する動作マシンに関連するエンティティを表す及び/又は含むことができる。本明細書に開示されるエンティティは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのいずれかとすることができる。例えば、コンポーネントとしては、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、プログラム、及び/又はコンピュータであるが、これらに限定されることはない。例として、サーバ上で実行されるアプリケーションとサーバとの両方を、コンポーネントとすることができる。1つ以上のコンポーネントは、プロセス及び/又は実行スレッド内に存在することができ、コンポーネントは、1つのコンピュータに配置させること、及び/又は2つ以上のコンピュータ間に分散させることができる。別の実施例では、それぞれのコンポーネントは、様々なデータ構造が格納された様々なコンピュータ可読媒体から実行することができる。コンポーネントは、ローカルの処理及び/又はリモートの処理を通じて、例えば、1つ以上のデータパケットを有する信号(例えば、ローカルシステム、分散システムにおいて、及び/又はその信号によって他のシステムと通じるインターネットなどのネットワークにおいて、別のコンポーネントとやり取りする1つのコンポーネントからのデータ)によって、通信することができる。別の実施例として、コンポーネントは、プロセッサが実行するソフトウェア又はファームウェアアプリケーションによって動作する電気回路又は電子回路によって動作する機械部品によって提供される特定の機能を有する装置とすることができる。このような場合、プロセッサは、装置の内部又は外部に存在することができ、ソフトウェア又はファームウェアアプリケーションの少なくとも一部を実行することができる。さらに別の実施例として、コンポーネントは、機械的部品を持たない電子部品を通じて特定の機能を提供する装置とすることができ、電子部品は、電子部品の機能の少なくとも一部を与えるソフトウェア又はファームウェアを実行するために、プロセッサ又は他の手段を含むことができる。一態様において、コンポーネントは、例えばクラウドコンピューティングシステム内の仮想マシンによって電子部品をエミュレートすることができる。
【0170】
更に、用語「又は」は、排他的な「又は」ではなく、包含的な「又は」を意味することが意図されている。つまり、特に別段の定めがない限り、あるいは文脈から明らかな場合を除き、「XはA又はBを使用する」は、包括的で自然な任意の組合せを意味することが意図されている。つまり、XがAを使用する、XがBを使用する、又はXがAとBの両方を使用する場合、これらのいずれの例も、「XはA又はBを使用する」を満たすことになる。さらに、本明細書及び添付図面で使用される冠詞「1つ(a)」及び「1つ(an)」は、別段の定めがない限り、又は文脈から単数形であることが明らかでない限り、一般には、「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。本明細書では、単語「例」及び「例示的」は、一実施例、一例、又は一実例としての役割を果たすという意味で使用される。誤解を避けるため、本明細書に開示された対象は、このような例に限定されるものではない。加えて、本明細書において「例」及び/又は「例示的」として説明される態様又は設計は、必ずしも、他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではなく、当業者に知られている例示的な均等の構造及び技術を排除することを意図するものでもない。
【0171】
本明細書で採用されているように、用語「プロセッサ」は、実質的に任意のコンピューティング処理ユニット又はデバイスを表すことができ、このコンピューティング処理ユニット又はデバイスは、シングルコア・プロセッサ、ソフトウェアがマルチスレッドの実行能力を有するシングルプロセッサ、マルチコア・プロセッサ、ソフトウェアがマルチスレッドの実行能力を有するマルチコア・プロセッサ、ハードウェア・マルチスレッド技術が使用されたマルチコア・プロセッサ、並列プラットフォーム、及び分散共有メモリを有する並列プラットフォームを含むが、これらに限定されることはない。さらに、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、ディスクリートゲート又はトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア構成要素、又は本書に記載された機能を実行するように設計された、これらの任意の組み合わせを表すことができる。さらに、プロセッサは、空間の使用を最適化する目的又はユーザ機器の性能を向上させる目的で、分子及び量子ドットを使用したトランジスタ、スイッチ及びゲートなどのナノスケールアーキテクチャを利用することができるが、これらに限定されることはない。プロセッサは、複数のコンピューティング処理ユニットの組み合わせとして実装することもできる。本開示では、「ストア」、「ストレージ」、「データストア」、「データストレージ」、「データベース」、及び構成要素の動作及び機能に関連する実質的に他の任意の情報記憶要素などの用語を使用して、「メモリ構成要素」、「メモリ」に具現化されるエンティティ、又はメモリを含む要素を表す。本明細書に記載されたメモリ及び/若しくはメモリ構成要素は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリとすることができ、又は揮発性メモリと不揮発性メモリの両方を含んでいてもよいことが理解されるべきである。例示であって限定ではないが、不揮発性メモリとしては、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブルROM(PROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去可能なROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、又は不揮発性ランダムアクセスメモリ(RAM)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM))がある。揮発性メモリとしては、例えば、RAMがあり、RAMは、外部キャッシュ・メモリとして機能することができる。例示であって限定ではないが、RAMは、同期RAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、同期DRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンストSDRAM(ESDRAM)、Synchlink DRAM(SLDRAM)、ダイレクトラムバスRAM(DRRAM)、direct Rambus RAM(DRDRAM)、direct Rambus dynamic RAM(RDRAM)などの多くの形態で利用できる。さらに、本明細書に開示されたシステム又はコンピュータ実装方法のメモリ構成要素は、これら及び他の任意の適切な種類のメモリを含むことが意図されているが、これらに限定されることはない。
【0172】
上記で説明したことには、システム及びコンピュータ実装方法の単なる例が含まれているだけである。もちろん、本開示を説明する目的で、構成要素又はコンピュータ実装方法の考えられる全ての組み合わせを記載することは不可能であるが、当業者であれば、本開示の更に多くの組合せ及び順列が可能であることを認識できる。さらに、用語「含む」、「有する」、「所有する」などが、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、添付書類、及び図面で使用される場合において、このような用語は、用語「含む」と同様に、請求項において「含む」が移行語として使用される場合に解釈されるように包含的であることを意図している。
【0173】
様々な実施形態の説明は、例示の目的で示されているが、考えられる実施形態が全て含まれることを意図するものではなく、開示される実施形態を限定することを意図するものでもない。当業者にとっては、記載された実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、多くの修正及び変形が明らかである。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見つけられる技術より優れた実用的な用途、又は市場で見つけられる技術と比べて技術的に改善されていることを最適なやり方で説明するために選択された、又は当業者が本明細書に開示された実施形態を理解できるように選択された。
【0174】
[実施形態1]
システムであって、
コンピュータ可読メモリに格納されたコンピュータ実行可能なコンポーネントを実行するプロセッサであって、前記コンピュータ実行可能なコンポーネントは、
医用イメージングスキャナにエアスキャンを実行させるスキャンコンポーネントであって、前記医用イメージングスキャナは、X線管と、ガントリと、多チャンネル多列検出器とを有する、スキャンコンポーネント、
前記医用イメージングスキャナによって生成され前記エアスキャンに関連するデータにアクセスする受信器コンポーネントであって、前記データは、前記エアスキャン中に前記X線管が移動するガントリ角度のセットを含み、前記データは、前記エアスキャン中に前記多チャンネル多列検出器によって記録される強度値行列のセットを含み、前記強度値行列のセットは前記ガントリ角度のセットに対応する、受信器コンポーネント、
前記強度値行列のセットに基づいてチャンネルスパニング強度勾配のセットを計算する勾配コンポーネントであって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットはガントリ角度のセットに対応する、勾配コンポーネント、
勾配-変位伝達関数を前記チャンネルスパニング強度勾配のセットに適用し、それによって、前記ガントリ角度のセットに対応する焦点変位のセットを生成する、変位コンポーネント、及び
前記焦点変位のセットに基づいて1つ以上の電子的動作を開始する実行コンポーネント
を含む、プロセッサ
を含むシステム。
[実施形態2]
前記1つ以上の電子的動作は、前記ガントリ角度のセットに対する前記焦点変位のセットを電子ディスプレイ上でプロットすることを含む、実施形態1に記載のシステム。
[実施形態3]
前記1つ以上の電子的動作は、前記焦点変位のセットが少なくとも1つの閾値を満たさないという判定に応答して、前記医用イメージングスキャナはメンテナンスを受けるべきとする推奨を送信することを含む、実施形態1に記載のシステム。
[実施形態4]
前記コンピュータ実行可能なコンポーネントは、
前記強度値行列のセットに基づいて列平均化強度値ベクトルのセットを計算する平均コンポーネントであって、前記列平均化強度値ベクトルのセットは前記ガントリ角度のセットに対応し、前記勾配コンポーネントは、あるチャンネル区間の列平均化強度値ベクトルのセットにトレンドライン技法を適用することによって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットを計算する平均コンポーネント
を含む、実施形態1に記載のシステム。
[実施形態5]
前記変位コンポーネントは、前記医用イメージングスキャナの1つ以上の設定可能なパラメータに基づいて、利用可能な複数の伝達関数のセットから前記勾配-変位伝達関数を選択する、実施形態1に記載のシステム。
[実施形態6]
前記1つ以上の設定可能なパラメータは、前記X線管の陽極-陰極電圧、前記X線管の陽極-陰極電流、前記X線管のフィルタの種類、又は前記X線管の焦点サイズを含む、実施形態5に記載のシステム。
[実施形態7]
前記勾配-変位伝達関数は、前記X線管に注入された複数の焦点位置摂動に基づいて推定される、実施形態1に記載のシステム。
[実施形態8]
コンピュータ実装方法であって、
プロセッサに動作可能に結合されたデバイスによって、医用イメージングスキャナにエアスキャンを実行させることであって、前記医用イメージングスキャナは、X線管、ガントリ、及び多チャンネル多列検出器を有する、エアスキャンを実行させること、
前記デバイスによって、前記医用イメージングスキャナによって生成され前記エアスキャンに関連するデータにアクセスすることであって、前記データは、前記エアスキャン中に前記X線管が移動するガントリ角度のセットを含み、前記データは、前記エアスキャン中に前記多チャンネル多列検出器によって記録される強度値行列のセットを含み、前記強度値行列のセットは、前記ガントリ角度のセットに対応する、データにアクセスすること、
前記デバイスによって、前記強度値行列のセットに基づいて、チャンネルスパニング強度勾配のセットを計算することであって、チャンネルスパニング強度勾配のセットは、前記ガントリ角度のセットに対応する、チャンネルスパニング強度勾配のセットを計算すること、
前記デバイスによって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットに勾配-変位伝達関数を適用し、それによって、前記ガントリ角度のセットに対応する前記焦点変位のセットを生成すること、及び
前記デバイスによって、前記焦点変位のセットに基づいて、1つ以上の電子的動作を開始すること
を含む、コンピュータ実装方法。
[実施形態9]
前記1つ以上の電子的動作は、前記デバイスによって、電子ディスプレイ上に、前記ガントリ角度のセットに対する前記焦点変位のセットをプロットすることを含む、実施形態8に記載のコンピュータ実装方法。
[実施形態10]
前記1つ以上の電子的動作は、前記焦点変位のセットが少なくとも1つの閾値を満たさないという判定に応答して、前記デバイスによって、前記医用イメージングスキャナがメンテナンスを受けるべきとする推奨を送信することを含む、実施形態8に記載のコンピュータ実装方法。
[実施形態11]
前記デバイスによって、前記強度値行列のセットに基づいて、列平均化強度値ベクトルのセットを計算することであって、前記列平均化強度値ベクトルのセットは前記ガントリ角度のセットに対応し、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットを計算することは、あるチャンネル区間の列平均化強度値ベクトルのセットにトレンドライン技法を適用することに基づいている、実施形態8に記載のコンピュータ実装方法。
[実施形態12]
前記デバイスによって、前記医用イメージングスキャナの1つ以上の設定可能なパラメータに基づいて、利用可能な伝達関数のセットから前記勾配-変位伝達関数を選択することを含む、実施形態8に記載のコンピュータ実装方法。
[実施形態13]
前記1つ以上の設定可能なパラメータは、前記X線管の陽極-陰極電圧、前記X線管の陽極-陰極電流、前記X線管のフィルタの種類、又は前記X線管の焦点サイズを含む、実施形態12記載のコンピュータ実装方法。
[実施形態14]
前記勾配-変位伝達関数は、X線管に注入された複数の焦点位置摂動に基づいて推定される、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
[実施形態15]
スキャン内焦点変位を低コストで容易に推定する及び/又は追跡するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、プログラム命令を有するコンピュータ可読メモリを含み、前記プログラム命令は、前記プロセッサによって実行可能であり、前記プロセッサは、
医用イメージングスキャナにエアスキャンを実行させることであって、前記医用イメージングスキャナは、X線管と、ガントリと、多チャンネル多列検出器とを有する、エアスキャンを実行させること、
前記医用イメージングスキャナによって生成され前記エアスキャンに関連するデータにアクセスすることであって、前記データは、前記エアスキャン中に前記X線管が移動するガントリ角度のセットを含み、前記データは、前記エアスキャン中に前記多チャンネル多列検出器によって記録される強度値行列のセットを含み、前記強度値行列のセットは前記ガントリ角度のセットに対応する、データにアクセスすること、
前記強度値行列のセットに基づいてチャンネルスパニング強度勾配のセットを計算することであって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットはガントリ角度のセットに対応する、強度勾配のセットを計算すること、
勾配-変位伝達関数を前記チャンネルスパニング強度勾配のセットに適用し、それによって、前記ガントリ角度のセットに対応する焦点変位のセットを生成すること、及び
前記焦点変位のセットに基づいて1つ以上の電子的動作を開始すること
を実行する、コンピュータプログラム製品。
[実施形態16]
前記1つ以上の電子的動作は、前記ガントリ角度のセットに対する前記焦点変位のセットを電子ディスプレイ上でプロットすることを含む、実施形態15に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施形態17]
前記1つ以上の電子的動作は、前記焦点変位のセットが少なくとも1つの閾値を満たさないという判定に応答して、前記医用イメージングスキャナはメンテナンスを受けるとする推奨を送信することを含む、実施形態15に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施形態18]
前記プログラム命令は、
前記強度値行列のセットに基づいて列平均化強度値ベクトルのセットを計算することであって、前記列平均化強度値ベクトルのセットは前記ガントリ角度のセットに対応し、前記プロセッサは、あるチャンネル区間の列平均化強度値ベクトルのセットにトレンドライン技法を適用することによって、前記チャンネルスパニング強度勾配のセットを計算すること
を前記プロセッサに実行させることが可能である、実施形態15に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施形態19]
前記プログラム命令は、
前記医用イメージングスキャナの1つ以上の設定可能なパラメータに基づいて、利用可能な複数の伝達関数のセットから前記勾配-変位伝達関数を選択すること
を前記プロセッサに実行させることが可能である、実施形態15に記載のコンピュータプログラム製品。
[実施形態20]
前記1つ以上の設定可能なパラメータは、前記X線管の陽極-陰極電圧、前記X線管の陽極-陰極電流、前記X線管のフィルタの種類、又は前記X線管の焦点サイズを含む、実施形態19に記載のコンピュータプログラム製品。
【符号の説明】
【0175】
104 医用イメージングスキャナ
106 X線管
108 ガントリ
110 多チャンネル多列検出器
112 プロセッサ
114 メモリ
116 スキャンコンポーネント
118 受信器コンポーネント
120 平均コンポーネント
122 勾配コンポーネント
124 変位コンポーネント
126 実行コンポーネント
302 エアスキャンデータ
402 ガントリ角度のセット
404 強度値行列のセット
602 列平均化強度値ベクトルのセット
902 チャンネルスパニング強度勾配のセット
1202 勾配-変位伝達関数
1204 焦点変位のセット
1402 電子的動作

図1
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