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  • 特許-悪臭中和および芳香デリバリーシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】悪臭中和および芳香デリバリーシステム
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/20 20060101AFI20241007BHJP
   B01J 20/12 20060101ALI20241007BHJP
   B01J 20/24 20060101ALI20241007BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20241007BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20241007BHJP
   A61L 9/014 20060101ALI20241007BHJP
   A61L 9/12 20060101ALI20241007BHJP
   B01J 20/02 20060101ALI20241007BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20241007BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B01J20/20 B
B01J20/12 A
B01J20/24 A
B01J20/26 A
B01J20/28 Z
A61L9/014
A61L9/12
B01J20/02 B
B01J20/12 C
B01J20/20 D
C04B38/00 303Z
A01M1/20 D
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023035933
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2019566187の分割
【原出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2023078233
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】62/512,416
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17198076.6
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アディ ファデル
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス オレーリー
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-154915(JP,A)
【文献】特開平07-236399(JP,A)
【文献】特開平04-038958(JP,A)
【文献】特開平11-155942(JP,A)
【文献】特開2017-074458(JP,A)
【文献】登録実用新案第3167069(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 20/20
B01J 20/12
B01J 20/24
B01J 20/26
B01J 20/28
A61L 9/014
A61L 9/12
B01J 20/02
C04B 38/00
A01M 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)本体部であって、
多孔質材料から成るハニカムを含み、
前記ハニカムが、互いに結合した複数の個別セルを含み、
前記複数のセルが、ある密度で結合しており、
複数範囲にある各セルが、壁と、第一の端部と、第二の端部とを有する中空管を含み、
前記壁が、前記中空管の内寸を定める内表面を有し、
前記壁が、厚さを有し、
前記管の前記第一の端部および前記第二の端部が、開放されており、
複数範囲にある各個別セルの前記第一の端部が、揃っており、
複数範囲にある各個別セルの前記第二の端部が、揃っており、
複数範囲にある各個別セルの前記第一の端部と前記第二の端部との間の距離、および複数範囲にある各個別セルの前記中空管の前記内寸により、複数範囲にある各個別セルの容積が定められており、
複数範囲にある各個別セルの前記第一の端部と前記第二の端部との間の距離、複数範囲にある各個別セルの前記中空管の前記内表面および前記内寸により、複数範囲にある各個別セルにおける表面積が定められており、
複数範囲にある各個別セルにおける各表面積の合計により、前記複数のセルの合計表面積が定められており、
前記複数のセルの前記第一の端部により、前記本体部の底面が定められており、
前記複数のセルの前記第二の端部により、前記本体部の上面が定められており、
少なくとも1つの側面を有し、
前記少なくとも1つの側面が、連続的な平面である
本体部と、
b)活性組成物であって、
複数範囲にある各個別セルが、前記活性組成物を容積内に引き込むように構成されており、
前記本体部の前記多孔質材料が、前記活性組成物を吸収するように構成されており、
前記本体部の前記多孔質材料が、前記活性組成物を蒸発により分散させるように構成されている
活性組成物と
を含み、
前記多孔質材料が、粘土を含み、
前記活性組成物が、20℃で0.2mmHg超の蒸気圧を有する30重量%未満の原料および20℃で0.01mmHg未満の蒸気圧を有する40重量%未満の原料を含む液体組成物である、装置。
【請求項2】
前記本体部が、不規則な形状、正方形、長方形、円形、楕円形、ひし形、半円形および台形から成る群より選択される断面形状を有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
複数範囲にある前記個別セルが、不規則な形状、正方形、長方形、円形、楕円形、ひし形、半円形および台形から成る群より選択される断面形状を有する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
複数範囲にある前記個別セルが、ともに揃っている、請求項1記載の装置。
【請求項5】
複数範囲にある前記個別セルが、直線状である、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記複数のセルの密度が、1平方インチあたりセル50~1000個である、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記本体部の前記多孔質材料が、1ヶ月までの期間にわたり前記活性組成物を蒸発により分散させるように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記装置の底面と流体連通するように構成された容器をさらに含み、ここで、前記流体連通が、前記活性組成物を複数範囲にある前記各個別セルの前記容積内に引き込むように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項9】
蒸発による前記活性組成物の分注が、前記複数のセルの前記第一の端部および前記第二の端部からの前記複数のセルを通る空気流を増加させることにより向上する、請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記本体部の前記多孔質材料が、悪臭を有する分子を吸収するように構成されている、請求項1記載の装置。
【請求項11】
悪臭を有する分子の吸収が、前記複数のセルの前記第一の端部および前記第二の端部からの前記複数のセルを通る空気流を増加させることにより向上する、請求項10記載の装置。
【請求項12】
請求項1記載の装置をその必要に応じて空間に置く工程、および前記活性組成物を前記装置から蒸発させる工程を含む、活性組成物を周囲空間に分注する方法。
【請求項13】
請求項1記載の装置および少なくとも1種の活性組成物を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2017年5月30日に出願された米国仮特許出願第62/512,416号および2017年10月24日に出願された欧州特許出願第17198076.6号の優先権を主張し、それらの全体について、それらの内容すべてを参照により本明細書に援用する。
【0002】
発明の分野
本開示は、香料製造の分野に関し、より正確には、本開示は、活性組成物を分注し、周囲空間における悪臭を吸収する装置、およびこの装置に関連する消費者物品に関する。
【0003】
背景技術
活性液を周囲空間に分注する装置は、公知である。例えば、1種の装置としては、容器と、芯と、活性液が蒸発する放出体とを含むいわゆる芯ベースの装置がある。そのような芯ベースの装置の問題の1つは、活性液の周囲への放出を制御して、活性液の蒸発が速すぎたり、遅すぎたりすることを回避することが難しい点である。芯ベースの装置に関連するその他の問題としては、それらが複雑である点、および活性組成物を効率的に分配するのに多量の活性組成物が必要とされる点が挙げられる。
【0004】
その結果、多量の活性組成物を必要としない、活性組成物のための単純かつ効率的なデリバリー装置が必要である。
【0005】
発明の概要
一態様により、
a)本体部であって、
多孔質材料から成るハニカムを含み、
ハニカムが、互いに結合した複数の個別セルを含み、
複数のセルが、ある密度で結合しており、
複数範囲にある各セルが、壁と、第一の端部と、第二の端部とを有する中空管を含み、
壁が、中空管の内寸を定める内表面を有し、
壁が、厚さを有し、
管の第一の端部および第二の端部が、開放されており、
複数範囲にある各個別セルの第一の端部が、揃っており、
複数範囲にある各個別セルの第二の端部が、揃っており、
複数範囲にある各個別セルの第一の端部と第二の端部との間の距離、および複数範囲にある各個別セルの中空管の内寸により、複数範囲にある各個別セルの容積が定められており、
複数範囲にある各個別セルの第一の端部と第二の端部との間の距離、複数範囲にある各個別セルの中空管の内表面および内寸により、複数範囲にある各個別セルにおける表面積が定められており、
複数範囲にある各個別セルにおける各表面積の合計により、複数のセルの合計表面積が定められており、
複数のセルの第一の端部により、本体部の底面が定められており、
複数のセルの第二の端部により、本体部の上面が定められており、
少なくとも1つの側面を有し、
少なくとも1つの側面が、連続的な平面である
本体部と、
b)活性組成物であって、
複数範囲にある各個別セルが、活性組成物を容積内に引き込むように構成されており、
本体部の多孔質材料が、活性組成物を吸収するように構成されており、かつ
本体部の多孔質材料が、活性組成物を蒸発により分散させるように構成されている
活性組成物と
を含む装置が提供される。
【0006】
一態様において、多孔質材料は、木炭、セラミック、プラスチック、粘土、セルロースおよびこれらの混合物から成る群より選択される。
【0007】
一態様において、本体部は、不規則な形状、正方形、長方形、円形、楕円形、ひし形、半円形および台形から成る群より選択される断面形状を有する。
【0008】
一態様において、複数範囲にある個別セルは、不規則な形状、正方形、長方形、円形、楕円形、ひし形、半円形および台形から成る群より選択される断面形状を有する。
【0009】
一態様において、複数範囲にある個別セルは、ともに揃っている(co-aligned)。
【0010】
一態様において、複数範囲にある個別セルは、直線状である。
【0011】
一態様において、密度は、1平方インチあたりセル50~1000個である。
【0012】
一態様において、複数のセルの合計表面積は、1000cm~3000cmである。
【0013】
一態様において、本体部の多孔質材料は、1ヶ月までの期間にわたり活性組成物を蒸発により分散させるように構成されている。
【0014】
一態様において、装置は、装置の底面と流体連通するように構成された容器をさらに含み、ここで、流体連通は、活性組成物を複数範囲にある各個別セルの容積内に引き込むように構成されている。
【0015】
一態様において、蒸発による活性組成物の分注は、複数のセルの第一の端部および第二の端部からの複数のセルを通る空気流を増加させることにより向上する。
【0016】
一態様において、本体部の多孔質材料は、悪臭を有する分子を吸収するように構成されている。
【0017】
一態様において、悪臭を有する分子の吸収は、複数のセルの第一の端部および第二の端部からの複数のセルを通る空気流を増加させることにより向上する。
【0018】
一態様により、活性組成物を周囲空間に分注する方法であって、本明細書に示される幾つかの態様による装置を用意する工程、装置を空間内に置く工程、および活性組成物を装置から蒸発させる工程を含む方法が提供される。
【0019】
一態様により、本明細書に示される幾つかの態様による装置と少なくとも1種の活性組成物とを含むキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本明細書に示される特定の態様による装置を示す。
図2】本明細書に示される特定の態様による装置の個別セルをクローズアップした図を示す。
図3】本明細書に示される特定の態様による別の装置を示す。
図4】本明細書に示される特定の態様によるその他の装置の個別セルをクローズアップした図を示す。
【0021】
詳細な説明
以下の説明において、説明の目的で示される実践可能な特定の実施形態を参照する。これらの実施形態は、当業者が本明細書に記載の本開示を実践できるように詳細に説明され、その他の実施形態が利用可能であり、本明細書に示される態様の範囲から逸脱することなく論理的変化を加えることができると理解される。よって、例示的な実施形態の以下の説明は、限定的な意味合いで解釈されるべきではなく、本明細書に示される様々な態様の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0022】
読者がこの技術的開示の性質および本質をできるだけ速く確かめることができるように、米国特許法施行規則第1.72条第(b)項に準拠して要約書を作成する。要約書は、請求項の範囲または意味を解釈または限定するために使用されるのではないという理解のもと提出する。
【0023】
本開示は、香料製造の分野に関し、より正確には、本開示は、活性組成物を分注し、周囲空間における悪臭を吸収する装置、およびこの装置に関連する消費者物品に関する。幾つかの態様において、装置の本体部は、高い表面積を有し、活性組成物を吸収および蒸発することができる材料から作製される。装置の本体部は、任意の断面形状、例えば、不規則な形状、正方形の形状、長方形の形状、円形の形状、楕円形の形状、ひし形の形状、半円形の形状、台形の形状などを有していてもよい。幾つかの態様において、装置の本体部は、互いに結合した複数のセルを含み、ここで、複数のセルは、活性組成物を装置の本体部内に引き込むように構成されている。さらに、互いに結合した複数のセルは、装置の底面から装置の上面(10)に向かって、またはその反対に、装置の上面(10)から装置の底面に向かって、本体部に空気を流すことができるように構成されている。
【0024】
本明細書に記載の幾つかの態様による装置の例は、図1~4に示されている。
【0025】
装置:図1および2を参照すると、本明細書に示される幾つかの態様により、
a)本体部(1)であって、
多孔質材料から成るハニカムを含み、
ハニカムが、互いに結合した複数の個別セル(2)を含み、
複数の個別セル(2)が、互いの間に間隔(p)を有し、
複数のセル(2)が、ある密度で結合しており、
複数範囲にある各セル(2)が、壁(3)と、第一の端部(4)と、第二の端部(5)とを有する中空管を含み、
壁(3)が、中空管の内寸(7)を定める内表面(6)を有し、
壁(3)が、厚さ(8)を有し、
管の第一の端部(4)および第二の端部(5)が、開放されており、
複数範囲にある各個別セル(2)の第一の端部(4)が、揃っており、
複数範囲にある各個別セル(2)の第二の端部(5)が、揃っており、
複数範囲にある各個別セル(2)の第一の端部(4)と第二の端部(5)との間の距離、および複数範囲にある各個別セル(2)の中空管の内寸(7)により、複数範囲にある各個別セル(2)の容積が定められており、
複数範囲にある各個別セル(2)の第一の端部(4)と第二の端部(5)との間の距離、複数範囲にある各個別セル(2)の中空管の内表面(6)および内寸(7)により、複数範囲にある各個別セル(2)内の表面積が定められており、
複数範囲にある各個別セルにおける各表面積の合計により、複数のセルの合計表面積が定められており、
複数のセルの第一の端部により、本体部(1)の底面(9)が定められており、
複数のセルの第二の端部により、本体部(1)の上面(10)が定められており、
少なくとも1つの側面(11)を有し、
少なくとも1つの側面(11)が、連続的な平面である
本体部(1)と、
b)活性組成物であって、
複数範囲にある各個別セル(2)が、活性組成物を容積内に引き込むように構成されており、
本体部(1)の多孔質材料が、活性組成物を吸収するように構成されており、かつ
本体部(1)の多孔質材料が、活性組成物を蒸発により分散させるように構成されている
活性組成物と
を含む装置が提供される。
【0026】
本明細書で使用されているように、「ハニカム」という用語は、アレイ内の複数の個別セルを形成する、個別セルの配置を意味する。複数は、1個より多くの個別セルを含んでいてもよい。個別セルのアレイの非限定的な例としては、10×10アレイ、18×18アレイ、30×30アレイなどが挙げられる。
【0027】
本明細書で使用されているように、「連続的な平面」という用語は、表面の厚さ全体にわたり延伸する孔または穿孔を有しない表面を意味する。
【0028】
本体部(1)は、1種以上の様々な多孔質材料から作製されていてもよい。本体部(1)に適した多孔質材料としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されることはない:多孔質磁器材料、プラスチック、成形セラミック、ガラス繊維、粘土、活性炭、セルロースなど。
【0029】
幾つかの態様において、多孔質材料は、木炭、セラミック、プラスチック、粘土、セルロースおよびこれらの混合物から成る群より選択される。幾つかの態様において、多孔質材料は木炭である。幾つかの実施形態において、木炭は活性炭である。
【0030】
本体部(1)は、当業者により容易に選択される適切な方法により形成されてもよい。本体部(1)を形成する方法の非限定的な例としては、鋳造、押出成形、3D印刷などが挙げられる。
【0031】
いかなる特定の理論にも限定されることを意図するものではないが、多孔質材料は、活性組成物を吸収するように構成されており、ここで、活性組成物は、活性組成物が複数範囲にある各個別セル(2)の容積内に残留しないように、またはこれが無視できる量でしか残留しないように、多孔質材料の細孔内へと浸透および配置される。さらに、多孔質材料は、活性組成物が、装置の寿命の間にわたり比較的安定した速度で多孔質材料の細孔から蒸発できるように構成されており、ここで、活性組成物の蒸発により、活性組成物が周囲空間に分散する。
【0032】
幾つかの態様において、多孔質材料の細孔径は、5μm~200μmである。
【0033】
幾つかの態様において、本体部(1)は、複数の個別セルの合計表面積1平方センチメートルあたり0.01g~0.1gの活性組成物を吸収することができる。あるいは、本体部(1)は、複数の個別セルの合計表面積1平方センチメートルあたり0.02g~0.08gの活性組成物を吸収することができる。
【0034】
代替的な一態様において、多孔質材料は、活性組成物を吸収するように構成されており、ここで、活性組成物は、多孔質材料の細孔内へと、および複数のセル内の各個別セル(2)の中空管内で、浸透および配置されている。幾つかの態様において、活性組成物が、複数のセル内の各個別セル(2)の中空管のすべてまたは一部を占めていてもよい。
【0035】
幾つかの態様において、装置の寿命は、1ヶ月以上である。よって、幾つかの態様において、本体部の多孔質材料は、1ヶ月までの期間にわたり活性組成物を蒸発により分散させるように構成されている。
【0036】
幾つかの態様において、多孔質材料は、本体部(1)から蒸発する活性組成物の量が十分な量にあり、活性組成物が周囲空間内のその臭気閾値(odor threshold)にあること、またはそれを上回ることを確実にすることを保証するように構成されている。
【0037】
さらに、幾つかの態様において、多孔質材料は、装置から周囲空間に放出される活性組成物の量が、装置の寿命にわたり比較的一定のままであることを保証するように構成されている。幾つかの態様において、製品の寿命にわたり比較的一定に維持することは、多孔質材料からの蒸発速度が、ユーザーが香料に慣れる速度および/または周囲空間内の活性組成物の水準がその臭気閾値未満に低下する速度と同じであることを保証することにより達成される。
【0038】
幾つかの個別セルがより詳細に示されている図2を参照すると、複数範囲にある各個別セル2)が、壁(3)と、第一の端部(4)と、第二の端部(5)とを有する中空管を含むことが分かる。各個別セル(2)は管を含み、ここで、壁(3)は、中空管の内寸(7)を定める内表面(6)を有し、ここで、壁(3)は厚さ(8)を有し、管の第一の端部(4)および第二の端部(5)は開放されている。
【0039】
幾つかの態様において、複数範囲にある各個別セル(2)の第一の端部(4)と第二の端部(5)との間の距離、および複数範囲にある各個別セル(2)の中空管の内寸(7)により、複数範囲にある各個別セル(2)の容積が定められる。複数範囲にある各個別セル(2)の第一の端部(4)と第二の端部(5)との間の距離、複数範囲にある各個別セル(2)の中空管の内表面(6)および内寸(7)により、複数範囲にある各個別セル(2)内の表面積が定められており、ここで、複数範囲にある各個別セルにおける各表面積の合計により、複数のセルの合計表面積が定められている。
【0040】
複数のセルの合計表面積は、少なくとも1つの側面(11)の表面積よりも大きいと容易に理解することができる。幾つかの態様において、複数のセルの合計表面積は、多くの要素により影響を受け、この要素としては、装置の寸法、個別セルの壁(3)の厚さ、中空管の内寸(7)、個別セルのアレイの密度などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0041】
以下の例1、および規則的な形状を有する装置の非限定的な例による図1を参照すると、幾つかの態様において、複数のセルの合計表面積は、各セルの表面積をセルの総数で掛けたものである。例1に記載の装置は、立方体の各辺が46mm、かさ容積がおよそ100cmの立方体である。複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル100個であり、個別セルの壁(3)の厚さは、0.50mmであり、各個別セルの間隔(p)は、2.54mmである。よって、本体部(1)は、18×18アレイに324個のセルを含む。各セルの表面積は、375mmである。よって、複数のセルの合計表面積は、121500mm(1215cmまたは188平方インチまたは1.3平方フィート)。
【0042】
以下の例2を参照すると、記載の装置は、立方体状であり、43mmの幅および長さ、ならびに42mmの高さを有する。セルは、六角形であり、複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル200個である。個別セルの壁(3)の厚さは、0.37mmである。セルは、585個のセルのアレイ内に配置されている。各セルの表面積は、213mmである。よって、複数のセルの合計表面積は、124989mm(1250cmまたは194平方インチまたは1.34平方フィート)である。
【0043】
以下の例3を参照すると、記載の装置は、立方体の各辺が46mm、かさ容積がおよそ100cmの立方体である。複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル300個であり、個別セルの壁(3)の厚さは、0.30mmであり、各個別セルの間隔(p)は、1.47mmである。よって、本体部(1)は、31×31アレイに961個のセルを含む。各セルの表面積は、215mmである。よって、複数のセルの合計表面積は、206616mm(2066cmまたは320平方インチまたは2.2平方フィート)である。
【0044】
よって、個別セルの密度により装置の合計表面積:容積比が変わり得る。当業者であれば、本体部(1)により吸収される活性組成物の量が十分な量にあり、装置から周囲空間に放出される活性組成物の量が装置の寿命にわたり比較的一定のままであることを確実にすること、および/またはこの活性組成物の量が十分な量にあり、周囲空間内のその臭気閾値を上回ることを保証するように、装置の表面積:容積比が構成されていてもよいと容易に理解できる。
【0045】
幾つかの態様において、本体部(1)により吸収される活性組成物の量が十分な量にあり、装置から周囲空間に放出される活性組成物の量が装置の寿命にわたり比較的一定のままであることを確実にすること、および/またはこの活性組成物の量が十分な量にあり、周囲空間内のその臭気閾値を上回ることを保証するように、複数の個別セルの合計表面積が構成されている。
【0046】
幾つかの態様において、複数範囲にある個別セル(2)は、不規則な形状、正方形、長方形、円形、楕円形、ひし形、半円形および台形から成る群より選択される断面形状を有する。
【0047】
一態様において、蒸発による活性組成物の分注は、複数の個別セル(2)の第一の端部および第二の端部からの複数の個別セル(2)を通る空気流を増加させることにより向上する。
【0048】
本明細書で使用されているように、「速度」という用語は、所定の時間枠の間に周囲に放出される単位時間あたりの活性組成物の量、あるいは所定の期間あたりの装置からの活性組成物の重量損失を意味する。
【0049】
本明細書で使用されているように、「実質的に一定な速度」という用語は、少なくとも20日、または25日の期間の本明細書に示される幾つかの態様による装置の使用にわたり、平均速度のおよそ80%~およそ120%、あるいは90%~110%の間に含まれる範囲で変動し得る速度を意味する。
【0050】
いかなる特定の理論にも限定されることを意図するものではないが、増加した空気流により、活性組成物が多孔質材料から蒸発する速度が上昇し、したがって、周囲空間への活性組成物の分散速度が上昇する。幾つかの態様において、分散速度の上昇は、10%、または20%、または30%、または40%、または50%、または60%、または70%、または80%、または90%、または100%、または150%、または200%、または250%、または300%、または350%、または400%、または450%、または500%、またはそれより高い。
【0051】
幾つかの態様において、活性組成物の分散速度を上昇させることにより、周囲空間における活性組成物の量が増加する。
【0052】
幾つかの態様において、複数の個別セル(2)の第一の端部および第二の端部からの複数の個別セル(2)を通る空気流は、ファンにより、またはその他の適切な空気移動装置により増加させられる。適切な空気移動装置の非限定的な例は、米国特許第9,457,117号明細書および米国特許出願公開第2005/01031号明細書に開示されている。
【0053】
幾つかの態様において、本体部(1)の多孔質材料は、悪臭を有する分子を吸収するように構成されている。悪臭として知覚される臭いは、多くの環境に存在し、我々の日常生活で経験されている。この不利な連想を誘発する付臭剤は、例えば、廃棄物、ごみ入れ、トイレ、猫砂ならびに食品の処理および加工により生じ得る産業および住宅の環境悪臭から成り得る。トイレ(特に排泄物)、キッチンおよび体の悪臭は、日常生活における悪臭の一般的な環境源のうちのほんの幾つかである。通常、悪臭は、様々なアミン、チオール、スルフィド、短鎖脂肪族および不飽和酸、例えば脂肪酸、およびそれらの誘導体を含むことが一般的であり得る1種より多くの悪臭化合物の複合混合物である。住宅または体に関する悪臭は、排泄物の悪臭中にみられる様々な化学化合物、例えば、インドール、スカトールおよびメタンチオール;尿中にみられるピペリジンおよびモルホリン;キッチンおよびごみの悪臭中にみられるピリジンおよびトリエチルアミン;ならびに、腋窩の悪臭中にみられる短鎖脂肪酸、例えば、3-メチル-3-ヒドロキシヘキサン酸、3-メチルヘキサン酸または3-20メチル-2-ヘキセン酸によるものであることが一般的である。
【0054】
いかなる特定の理論にも限定されることを意図するものではないが、本体部(1)の多孔質材料は、周囲空間に存在する悪臭化合物を吸収することができ、これにより、悪臭化合物の濃度がそれらの各臭気閾値未満に低下し、したがって、悪臭が中和される。
【0055】
幾つかの態様において、悪臭を有する分子の吸収は、複数の個別セル(2)の第一の端部および第二の端部からの複数の個別セル(2)を通る空気流を増加させることにより向上する。幾つかの態様において、悪臭化合物を含む周囲空間からの空気は、本体部の底面(9)を通して本体部(1)に引き込まれる。幾つかの態様において、悪臭化合物は、本体部(1)を通る空気の通過として吸収され、本体部の上面(10)を出る空気は、活性組成物およびより低い濃度の悪臭化合物を含む。
【0056】
いかなる特定の理論にも限定されることを意図するものではないが、増加した空気流により、悪臭化合物が多孔質材料により吸収される速度が上昇する。幾つかの態様において、吸収速度の上昇は、10%、または20%、または30%、または40%、または50%、または60%、または70%、または80%、または90%、または100%、または150%、または200%、または250%、または300%、または350%、または400%、または450%、または500%、またはそれより高い。
【0057】
幾つかの態様において、悪臭化合物の吸収速度を上昇させることにより、周囲空間における悪臭化合物の量が低下する。
【0058】
幾つかの態様において、装置は、装置の底面(9)と流体連通するように構成された容器をさらに含み、ここで、流体連通は、複数範囲にある各個別セル(2)の容積内に活性組成物を引き込むように構成されている。
【0059】
幾つかの態様において、流体連通は直接的であり、ここで、容器は、装置の底面(9)に直接連通している。代替的な態様において、流体連通は、容器が装置の底面(9)から分かれており、容器の内容物が、管、芯、導管、または液体を運ぶその他の適切な手段により装置の底面(9)に移されるという点で間接的である。容器および流体連通の非限定的な例は、米国特許第9,457,117号明細書および米国特許出願公開第2005/01031号明細書に開示されている。
【0060】
幾つかの態様において、装置は、活性組成物が使い尽くされたら再利用可能である。幾つかの態様において、活性組成物の供給物を補給するために、ユーザーは、本体部(1)を活性組成物の溶液に浸漬して、これにより、活性組成物を、複数範囲にある各個別セル(2)に引き込み、本体部(1)の多孔質材料により吸収させてもよい。あるいは、活性組成物の供給物を、容器を再充填することにより補給してもよい。
【0061】
ユーザーは、本体部に導入する特定の活性組成物を選択し、選択した活性組成物に本体部(1)を浸漬することにより、または選択した活性組成物で容器を充填することにより、選択した活性組成物を導入することができると容易に理解することができる。
【0062】
装置が再充填可能である幾つかの態様において、ユーザーは、装置の望ましい使用期間の間に実質的に蒸発する揮発性液体組成物を用いてもよい。実質的に蒸発とは、使用期間の間に蒸発した揮発性液体の質量が、装置に吸収された揮発性液体の初期質量の75%より大きいことを意味する。あるいは、幾つかの態様において、使用期間の間に蒸発した揮発性液体の質量は、装置に吸収された揮発性液体の初期質量の80%より大きい。あるいは、幾つかの態様において、使用期間の間に蒸発した揮発性液体の質量は、装置に吸収された揮発性液体の初期質量の85%より大きい。幾つかの態様において、液体組成物は、20℃にて0.01mmHg未満の蒸気圧で、20重量%未満の原料を含む。
【0063】
幾つかの態様において、活性組成物の分散を防止または妨害してもよい。活性組成物の分散を防止または妨害する方法としては、本体部(1)の上面および底面を封止すること、本体部を通る空気流を防止することなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0064】
活性組成物:本明細書で使用されているように、「活性組成物」という用語は、少なくとも部分的に揮発性であり、すなわち蒸発可能であり、かつ芳香またはその他の利益を周囲空間に付与することが可能な液体を意味する。
【0065】
活性組成物は、40重量%~100重量%の香料または精油;あるいは、60重量%~100重量%の香料または精油を含有していてもよい。これらの調製物の残分としては、当業者に一般的に知られているように、溶媒、染料、着色剤、酸化防止剤、UV阻害剤、苦味剤などを挙げることができる。特定の調製物について、活性調製物を分注する複数のハニカム構造の最適な合計表面積を求めるために試験してもよい。
【0066】
幾つかの態様において、活性組成物は香料である。香料としては、香料製造において現在使用されている、すなわち賦香作用を発揮することが可能ないずれの原料または原料混合物も使用可能である。しかしながら、香料は、天然または合成由来の原料の多かれ少なかれ複合的な混合物であることがより頻繁である。ここで、原料の性質および種類は、より詳細な説明を保証しておらず、これは、いかなる場合でも網羅的なものではなく、当業者であれば、その一般的な知見に基づいて、かつ意図される使用または用途および望ましい官能効果によりそれらを選択することができる。一般的に、これらの賦香原料は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、酢酸塩、亜硝酸塩、テルペン炭化水素、窒素含有または硫黄含有複素環式化合物、および天然または合成由来の精油の様々な化学分類に属する。これらの原料のうちの多くは、いずれの場合にも、参照文書、例えばS.Arctanderによる書籍であるPerfume and Flavor Chemicals、1969、Montclair、N.J.、アメリカ合衆国に、もしくはそのより最近の版に、またはその他の類似した内容の著作物に、また香料製造の分野の膨大な特許文献に一覧にされている。
【0067】
幾つかの態様において、賦香作用は、感覚的および/または感情的な利益をもたらすことをさらに含んでいても、あるいは賦香作用は、使用者が香料に慣れることを防止するように構成されていてもよい。幾つかの態様において、感覚的および/または感情的な利益は、さらなる薬剤を活性組成物に添加することによりもたらされてもよい。例えば、説明の目的で、活性組成物は、冷感を使用者にもたらす冷却化合物をさらに含んでいてもよい。
【0068】
幾つかの態様において、活性組成物は、装置の寿命にわたり均質に蒸発するように構成されている。幾つかの態様において、「均質に蒸発」という用語は、蒸発速度を指す。しかしながら、幾つかの態様において、「均質に蒸発」という用語は、性能、例えば周囲空間における香りの知覚強度を意味し、ここで、装置の性能は、装置の寿命にわたり特定の水準のままである。
【0069】
幾つかの態様において、活性組成物は、均質に蒸発し、1ヶ月後に装置内で10%以下の活性組成物を残すように構成されている。幾つかの態様において、活性組成物は、活性組成物が均質に蒸発し、1ヶ月後に装置内で10%以下の活性組成物を残すことを保証するのに十分な蒸気圧を有する原料を含む。
【0070】
幾つかの態様において、活性組成物は、周囲空間における活性組成物の知覚強度および/または香りが、1ヶ月までにわたり一定のままであるか、または変わらないままであることを保証するのに十分な蒸気圧を有する原料を含む。
【0071】
幾つかの態様において、液体組成物は、20℃で0.2mmHg超の蒸気圧を有する30重量%未満の原料および20℃で0.01mmHg未満の蒸気圧を有する40重量%未満の原料を含む。あるいは、液体組成物は、20℃で0.2mmHg超の蒸気圧を有する20重量%未満の原料および20℃で0.01mmHg未満の蒸気圧を有する30重量%未満の原料を含む。あるいは、液体組成物は、20℃で0.2mmHg超の蒸気圧を有する15重量%未満の原料および20℃で0.01mmHg未満の蒸気圧を有する25重量%未満の原料を含む。
【0072】
本開示の装置により発揮され得る賦香効果について本明細書で先に特に言及したが、同じ原則が、脱臭または消毒蒸気を拡散する類似した装置に適用され、香料は、脱臭組成物、抗菌剤、殺虫剤、防虫剤または昆虫誘引剤と交換される。本明細書で使用されているように、「消毒蒸気」という用語は、観察者を囲む空気の受容度(degree of acceptance of the air)を向上させることが可能な物質の蒸気を意味するが、特定種の昆虫、例えば、イエバエもしくは蚊または殺菌もしくは静菌活性を有する他の昆虫に対して誘引または忌避効果を発揮可能な物質も意味する。また、幾つかの態様において、そのような薬剤の混合物を使用してもよい。
【0073】
よって、幾つかの態様において、多孔質材料は、本体部(1)から蒸発する活性組成物の量が十分な量にあり、活性組成物が周囲空間においてその所望の効果を達成するのに必要な量にあるか、またはそれを上回ることを確実にすることを保証するように構成されている。
【0074】
幾つかの態様において、本体部(1)により吸収される活性組成物の量が十分な量にあり、装置から周囲空間に放出される活性組成物の量が装置の寿命にわたり比較的一定のままであることを確実にすること、および/またはこの活性組成物の量が十分な量にあり、周囲空間におけるその所望の効果を達成するのに必要な量を上回ることを保証するように、複数のハニカム構造の合計表面積が構成されている。
【0075】
幾つかの態様において、複数のハニカム構造(2)により装置の合計表面積:容積比が増加し、それにより、本体部(1)により吸収される活性組成物の量が十分な量にあり、装置から周囲空間に放出される活性組成物の量が装置の寿命にわたり比較的一定のままであることを確実にすること、および/またはこの活性組成物の量が十分な量にあり、周囲空間におけるその所望の効果を達成するのに必要な量を上回ることを保証するように、装置の表面積:容積比が構成されている。
【0076】
幾つかの態様において、活性組成物は十分な蒸気圧を有する原料を含み、装置から周囲空間に放出される活性組成物の量が装置の寿命にわたり比較的一定のままであることが保証され、かつ/またはこの活性組成物は十分な量にあり、周囲空間におけるその所望の効果を達成するのに必要な量を上回る。
【0077】
幾つかの態様において、活性組成物はまた、例えば、溶媒、増粘剤、酸化防止剤、染料、苦味剤およびUV阻害剤として作用する任意の原料を含有していてもよい。
【0078】
幾つかの態様において、活性組成物は、1種以上の溶媒をさらに含む。幾つかの態様において、1種以上の溶媒は、単一相の液体を有すること、および/または周囲空気への活性組成物の蒸発速度を調整することが有用であり得る。溶媒は、イソパラフィン、パラフィン、炭化水素、グリコール、グリコールエーテル、グリコールエーテルエステル、エステルまたはケトンの群に属していてもよい。
【0079】
本開示における使用に適した市販で入手可能な溶媒の例としては、商標名Isopar(登録商標)H、J、K、L、M、PまたはV(イソパラフィン;製造元:Exxon Chemical)、Norpar(登録商標)12または15(パラフィン;製造元:Exxon Chemical)、Exxsol(登録商標)D155/170、D40、D180/200、D220/230、D60、D70、D80、D100、D110またはD120(脱芳香(dearomatised)炭化水素;製造元:Exxon Chemical)、Dowanol(登録商標)PM、DPM、TPM、PnB、DPnB、TPnB、PnPまたはDPnP(グリコールエーテル;製造元:Dow Chemical Company)、Eastman(登録商標)EP、EB、EEH、DM、DE、DPまたはDB(グリコールエーテル;製造元:Eastman Chemical Company)、Dowanol(登録商標)PMAまたはPGDA(グリコールエーテルエステル;製造元:Dow Chemical Company)またはEastman(登録商標)EBアセテート、Eastman(登録商標)DEアセテート、Eastman(登録商標)DBアセテート、Eastmanm EEP(すべてグリコールエーテルエステル;全製造元:Eastman Chemical Company)のもと知られている溶媒が挙げられる。
【0080】
本開示における使用に適したその他の溶媒としては、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ミリスチン酸イソプロピル、フタル酸ジエチル、2-エチルヘキシルアセテート、メチルn-アミルケトンまたはジイソブチルケトンが挙げられる。
【0081】
幾つかの態様において、活性組成物中に存在する溶媒の合計量は、0.0%~80%、あるいは30%~70%の間で変化してもよく、パーセンテージは、活性組成物の重量を基準とする。
【0082】
有用な増粘剤原料の非限定的な例としては、エチルセルロース(その市販の例は、Hercules Inc.から入手可能である)、フュームドシリカ(その市販の例は、Degussaから入手可能である)およびスチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(その市販の例は、Shellから入手可能である)が挙げられる。
【0083】
幾つかの態様において、活性組成物中に存在する増粘剤の合計量は、0.0%~10%、あるいは1%~4%の間で変化してもよく、パーセンテージは、活性組成物の重量を基準とする。
【0084】
有用な酸化防止剤原料の非限定的な例としては、立体障害アミン、すなわち2,2,6,6-テトラメチルピペリジンの誘導体、例えば商標名Uvinul(登録商標)(製造元BASF AG)またはTinuvin(登録商標)(製造元:Ciba Speciality Chemicals)で知られているもの、ならびにアルキル化ヒドロキシアレン誘導体、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)が挙げられる。
【0085】
幾つかの態様において、活性組成物中に存在する酸化防止剤の合計量は、0.0%~10%、あるいは1%~4%の間で変化してもよく、パーセンテージは、活性組成物の重量を基準とする。
【0086】
活性組成物のその他の任意の原料は、染料を含む。適切な染料は、油溶性であってもよく、The Society of Dyers and Colouristにより発行されたColour Index Internationalにみることができる。適切な染料の非限定的な例としては、アントラキノンの誘導体、メチン、アゾ、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、アジン、アミノケトン、スピロオキサジン、チオキサンテン、フタロシアニン、ペリレン、ベンゾピランまたはペリノン族が挙げられる。市販で入手可能なそのような染料の例は、商標名Sandoplast(登録商標)Violet RSB、Violet FBL、Green GSB、Blue 2BまたはSavinyl(登録商標)Blue RS(すべてアントラキノン誘導体;製造元:Clariant Huningue S.A.)、Oilsol(登録商標)Blue DB(アントラキノン;製造元:Morton International Ltd.)、Sandoplast(登録商標)Yellow 3G(メチン;製造元:Clariant Huningue S.A.)、Savinyl(登録商標)Scarlet RLS(アゾ金属錯体;製造元:Clariant Huningue S.A.)、Oilsol(登録商標)Yellow SEG(モノアゾ;製造元:Morton International Ltd.)、Fat Orange(登録商標)R(モノアゾ;製造元:Hoechst AG)、Fat Red(登録商標)SB(ジアゾ;製造元:Hoechst AG)、Neozapon(登録商標)Blue 807(フタロシアニン;製造元:BASF AG)、Fluorol(登録商標)Green Golden(ペリレン;製造元:BASF AG)のもと知られている。
【0087】
幾つかの態様において、活性組成物中に存在する染料の合計量は、0.0%~0.5%、あるいは0.005%~0.05%の間で変化してもよく、パーセンテージは、活性組成物の重量を基準とする。
【0088】
幾つかの態様において、苦味剤は、製品を不快にして、活性組成物が特に幼児により摂取されにくくすることが望ましいであろう。苦味剤の非限定的な例としては、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルn-ブチルケトンまたはデナトニウム塩、例えば商標Bitrex(商標)(製造元:Mac Farlan Smith Ltd.)としても知られている安息香酸デナトニウムが挙げられる。
【0089】
苦味剤は、0.0%~5%の間で含まれる合計量で活性組成物に組み込まれてもよく、パーセンテージは、活性組成物の総重量を基準とする。Bitrex(商標)の場合、この量は、活性組成物の総重量の0.0%~0.1%、あるいは0.001%~0.05%の間で含まれ得る。
【0090】
有用なUV阻害剤原料の非限定的な例としては、ベンゾフェノン、ジフェニルアクリレートまたはシンナメート、例えば、商標名Uvinul(登録商標)(製造元:BASF AG)のもと入手可能なものが挙げられる。
【0091】
幾つかの態様において、活性組成物中に存在するUV阻害剤の合計量は、0.0%~0.5%、あるいは0.01%~0.4%の間で変化してもよく、パーセンテージは、活性組成物の総重量を基準とする。
【0092】
幾つかの態様において、活性組成物は、20℃で測定して4Pa~270Paの蒸気圧を有する原料を含む。幾つかの態様において、蒸気圧は、比較的一定の組成が装置の寿命にわたり維持され、活性組成物が製品の寿命の間に比較的安定した速度で蒸発することを保証するのに十分である。幾つかの態様において、少なくとも60重量%の活性組成物は、20℃で測定して4Pa~270Paの蒸気圧を有する原料を含む。
【0093】
幾つかの態様において、少なくとも80重量%の活性組成物は、4Pa~270Paの間に含まれる蒸気圧を有する原料を含む。
【0094】
本明細書に示される幾つかの態様による装置を利用した方法:幾つかの態様により、本明細書に示される幾つかの態様による装置を用意する工程と、装置を空間内に置く工程と、活性組成物を装置から蒸発させる工程とを含む活性組成物を周囲空間に分注する方法が提供される。
【0095】
キット:幾つかの態様により、本明細書に示される幾つかの態様による装置と少なくとも1種の活性組成物とを含むキットであって、ユーザーが、特定の活性組成物を少なくとも1種の活性組成物から選択し、選択した少なくとも1種の活性組成物を本明細書に示される態様により利用することができるキットが提供される。
【0096】
本開示を最も良好に説明するが、以下の例には限定されない。
【0097】
実施例
例1
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を図1に図示されているように組み立てた。装置は、立方体の各辺が46mm、かさ容積がおよそ100cmの立方体であった。複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル100個であり、個別セルの壁(3)の厚さは0.50mm、各個別セルの間隔(p)は2.54mmであった。よって、本体部(1)は、18×18アレイに324個のセルを含んでいた。各セルの表面積は375mmであった。よって、複数のセルの合計表面積は121500mm(1215cmまたは188平方インチまたは1.3平方フィート)であった。
【0098】
例2
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を組み立て、ここで、装置は立方体状であり、43mmの幅および長さ、ならびに42mmの高さを有していた。セルは六角形であり、複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル200個であった。個別セルの壁(3)の厚さは0.37mmであった。セルは、585個のセルのアレイに配置されていた。各セルの表面積は213mmであった。よって、複数のセルの合計表面積は124989mm(1250cmまたは194平方インチまたは1.34平方フィート)であった。
【0099】
例3
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を図1に図示されているように組み立てた。装置は、立方体の各辺が46mm、かさ容積がおよそ100cmの立方体であった。複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル300個であり、個別セルの壁(3)の厚さは0.30mmであり、各個別セルの間隔(p)は1.47mmであった。よって、本体部(1)は、31×31アレイに961個のセルを含んでいた。各セルの表面積は215mmであった。よって、複数のセルの合計表面積は206616mm(2066cmまたは320平方インチまたは2.2平方フィート)であった。
【0100】
例4
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を図1に図示されているように組み立てる。本体部(1)は、活性炭から形成されている。本体部に賦香組成物を充填し、装置の総質量を記録する。その後、装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。
【0101】
この例の目的は、装置重量の経時的な低下により証明されるように、装置が活性組成物を分散させることが可能なことを示すことである。さらに、この例の目的は、装置が活性組成物を均一な速度で分散させることが可能なことを示すことである。
【0102】
例5
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を図1に図示されているように組み立てる。本体部(1)は、活性炭から形成されている。本体部を賦香組成物で充填し、装置の総質量を記録する。その後、装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。並行して、第二の同一の装置を組み立てる。その後、第二の装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、連続的な空気流を本体部に通して導入し、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。
【0103】
この例の目的は、装置重量の経時的な低下により証明されるように、装置が活性組成物を分散させることが可能なことを示すことである。さらに、この例の目的は、分散速度が、空気流を本体部に通して導入することにより上昇することを示すことである。
【0104】
例6
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を図1に図示されているように組み立てる。本体部(1)は、活性炭から形成されている。本体部を賦香組成物で充填し、装置の総質量を記録する。その後、装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。さらに、ヘッドスペースの試料を得て、賦香組成物の濃度を求める。並行して、第二の同一の装置を組み立てる。その後、第二の装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、連続的な空気流を本体部に通して導入し、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。さらに、ヘッドスペースの試料を得て、賦香組成物の濃度を求める。
【0105】
この例の目的は、装置重量の経時的な低下により証明されるように、装置が活性組成物を分散させることが可能なことを示すことである。さらに、この例の目的は、分散速度が、空気流を本体部に通して導入することにより上昇することを示すことである。
【0106】
最終的に、この例の目的は、装置が、活性組成物の臭気閾値を上回る活性組成物を分注することが可能であることを示すことである。
【0107】
例7
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を図1に図示されているように組み立てる。本体部(1)は、活性炭から形成されている。本体部を賦香組成物で充填し、装置の総質量を記録する。その後、装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。並行して、同一の装置を組み立てる。同一の装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、空気流を本体部に通して導入し、ここで、各装置についての空気流の速度は異なり、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。
【0108】
この例の目的は、装置重量の経時的な低下により証明されるように、装置が活性組成物を分散させることが可能なことを示すことである。さらに、この例の目的は、分散速度が、空気流を本体部に通して導入することにより上昇すること、および分散速度が、本体部(1)を通る空気流の速度に比例することを示すことである。
【0109】
例8
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を図1に図示されているように組み立てる。本体部(1)は、活性炭から形成されている。本体部を賦香組成物で充填し、装置の総質量を記録する。その後、装置を、試験用悪臭を含む温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。並行して、同一の装置を組み立てる。同一の装置を、試験用悪臭を含む温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、空気流を本体部に通して導入し、ここで、各装置についての空気流の速度は異なり、重量を、規則的な時間間隔で45日まで記録する。さらに、ヘッドスペースの試料を得て、賦香組成物および試験用悪臭の濃度を求める。
【0110】
この例の目的は、装置重量の経時的な低下により証明されるように、装置が活性組成物を分散させることが可能なことを示すことである。さらに、この例の目的は、分散速度が、空気流を本体部に通して導入することにより上昇することを示すことである。
【0111】
さらに、この例の目的は、装置が試験用悪臭を試験室から除去することが可能であることを示すことである。
【0112】
最終的に、この例の目的は、装置が、活性組成物の臭気閾値を上回る活性組成物を分注することが可能であることを示すことである。
【0113】
例9
例2に記載の空気清浄剤分注器を活性炭および粘土鉱物から作製した。試験用活性組成物で充填する前の分注器の質量は27.96gであった。分注器を、5分にわたり、FlexiSolv(登録商標)DBE(登録商標)-LVPエステル(ジメチルアジペートおよびジメチルグルタレートを含む混合物;製造元:Invista)に浸漬した。その後、分注器を液体から除去し、過剰な液体をその表面から排出した。浸漬後の分注器の質量は37.11gであった;よって、分注器の本体に吸収された活性組成物の質量は9.15gであった。
【0114】
その後、装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、質量を規則的な時間間隔で30日まで記録した。各時間間隔で装置から蒸発した活性組成物の累積質量は、以下の表1に示される。
【0115】
【表1】
【0116】
並行して、第二の同一の装置を、第一の装置と同じ手法で製造した。試験用活性組成物で充填する前の分注器の質量は29.00gであった。浸漬後の分注器の質量は38.29gであった;よって、分注器の本体に吸収された揮発性物質の質量は9.27gであった。
【0117】
その後、第二の装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置いた。軸流ファン(AC Infinityモデル#8025)を用いて、分注器の本体部のセルを通して、およそ1m/sの速度で空気を連続的に吹き込んだ。第二の装置の質量を規則的な時間間隔で8時間まで記録し、最後の記録は、1日経過した後に行った。各時間間隔で装置から蒸発した活性組成物の累積質量は、以下の表2に示される。
【0118】
【表2】
【0119】
この例の目的は、本開示の装置が、装置重量の経時的な低下により証明されるように、活性組成物を分散させることが可能であることを示すことである。
【0120】
さらに、この例の目的は、分散速度が、空気流を本体部に通して導入することにより上昇することを示すことである。この例において、空気流により、蒸発速度がおよそ26倍上昇する。すなわち、空気流なしの装置では、およそ26分で分散したのに比べ、空気流が本体部のセルを流れる装置では、1分でおよそ同量の揮発性物質が分散した。
【0121】
例10
例2に記載の空気清浄剤分注器5個を、活性炭および粘土鉱物から作製した。試験用活性組成物で充填する前の各分注器の質量を記録し、その後、各分注器を、5分にわたり、FlexiSolv(登録商標)DBE(登録商標)-LVPエステル(ジメチルアジペートおよびジメチルグルタレートの混合物;製造元:Invista)に浸漬した。5個の分注器を液体から除去し、過剰な液体をそれらの表面から排出した。浸漬後の各分注器の質量を記録し、各分注器の本体に吸収された揮発性物質の質量を計算した。
【0122】
その後、5個の装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置いた。各分注器に1つの軸流ファンで、軸流ファン(AC Infinityモデル#8025)を用いて、およそ1m/sの速度で各分注器の本体部のセルを通して空気を吹き込んだ。各ファンユニットを、制御すべき各分注器を通して空気が吹き込まれる周波数を可能にするプログラム可能なプラグイン電気スイッチに接続した。各スイッチを、表3に記載のように、様々なオン/オフサイクル時間でプログラムした。各分注器の質量を規則的な時間間隔で21日まで記録した。各装置から蒸発した活性組成物の累積質量は、以下の表3に示される。
【0123】
【表3】
【0124】
この例の目的は、本明細書に示される態様による装置からの活性物質の蒸発速度が、装置の本体を通して空気が吹き込まれる周波数を調整することにより制御可能であることを示すことである。
【0125】
例11
例2に記載の空気清浄剤分注器5個を活性炭および粘土鉱物から作製した。香料原材料を含む試験用活性組成物で充填する前の各分注器の質量を記録し、その後、各分注器を、5分にわたり様々な香料原材料に浸漬した。5個の分注器を香料原材料から除去し、過剰な液体をそれらの表面から排出した。浸漬後の各分注器の質量を記録し、各分注器の本体に吸収された香料原材料の質量を計算した。この例に使用した香料原材料、および各装置に吸収された各量は、以下の表4に示される。
【0126】
【表4】
【0127】
その後、5個の装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、各装置の質量を、時間間隔を空けて38日まで記録した。各装置から蒸発した活性組成物の累積質量は、以下の表5に示される。
【0128】
【表5】
【0129】
この例の目的は、本明細書に示される態様による装置が、装置からの材料の経時的な重量損失により証明されるように、様々な活性組成物を分散させることが可能であることを示すことである。イソノニルアセテートおよびリナリルアセテートが装置から迅速に蒸発した一方で、フェニルアセトアルデヒドがゆっくりと蒸発したことが明らかである。フロロパル(Floropal)およびベルジルアセテート(verdyl acetate)は、38日の試験期間の間、一定の速度で蒸発した。
【0130】
例12
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を、約32%~約38%のAl、約48%~約54%のSiOおよび約12%~約16%のMgOを含むセラミックコーディエライトから組み立てた。装置は、20mmの直径および20mmの高さを含む円筒形であった。複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル400個であり、個別セルの壁(3)の厚さは0.15mmであり、各個別セルの間隔(p)は1.10mmであった。よって、本体部(1)は、およそ14,800mm(148cm)の複数のセルの合計表面積を含んでいた。
【0131】
例13
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を、約32%~約38%のAl、約48%~約54%のSiOおよび約12%~約16%のMgOを含むセラミックコーディエライトから組み立てた。装置は、33mmの直径および5.5mmの高さを含む円筒形であった。複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル400個であり、個別セルの壁(3)の厚さは0.15mmであり、各個別セルの間隔(p)は1.10mmであった。よって、本体部(1)は、およそ11,100mm(111cm)の複数のセルの合計表面積を含んでいた。
【0132】
例14
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を、約32%~約38%のAl、約48%~約54%のSiOおよび約12%~約16%のMgOを含むセラミックコーディエライトから組み立てた。装置は、25mmの直径および100mmの高さを含む円筒形であった。複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル400個であり、個別セルの壁(3)の厚さは0.15mmであり、各個別セルの間隔(p)は1.10mmであった。よって、本体部(1)は、およそ115,600mm(1,156cm)の複数のセルの合計表面積を含んでいた。
【0133】
例15
本開示に準拠した空気清浄剤分注器を、約32%~約38%のAl、約48%~約54%のSiOおよび約12%~約16%のMgOを含むセラミックコーディエライトから組み立てた。装置は、25mmの直径および50mmの高さを含む円筒形であった。複数のセルの密度は、1平方インチあたりセル400個であり、個別セルの壁(3)の厚さは0.15mmであり、各個別セルの間隔(p)は1.10mmであった。よって、本体部(1)は、およそ57,800mm(578cm)の複数のセルの合計表面積を含んでいた。
【0134】
例16
例2に記載の空気清浄剤分注器を活性炭および粘土鉱物から作製した。活性組成物で充填する前の分注器の質量は28.65gであった。分注器を、5分にわたり芳香組成物を含む活性組成物(Black BerryおよびBay MSR296385M2;製造元:Firmenich)に浸漬した。その後、分注器を液体から除去し、過剰な液体をその表面から排出した。浸漬後の分注器の質量は37.62gであった;よって、分注器の本体に吸収された活性組成物の質量は8.97gであった。
【0135】
その後、装置を、温度湿度調整した試験室(20℃~22℃および45%~55%の相対湿度)内に置き、質量を規則的な時間間隔で28日まで記録した。各時間間隔で装置から蒸発した揮発性物質の累積質量は、以下の表6に示される。
【0136】
【表6】
【0137】
さらに、時間間隔を空けて28日の試験期間の間に、装置から放出される芳香の強度を評価した。試料の感覚評価のために、300ftの評価用キャビンを使用した。試験の間のキャビン内の環境条件は、72°F、35%室内湿度であり、1時間ごとに5回空気を入れ替えた。低に設定した携帯用卓上ファンをキャビンの床に置き、内部の空気を循環させた。試料をキャビン内に置き、評価前に1時間にわたり平衡させた。キャビンを、20~24人の経験はあるが訓練されていない評価者により評価した。「経験はあるが訓練されていない評価者」とは、公式的な嗅覚訓練は受けたことはないが、芳香の評価に携わっていたことがあり、香りの特性の等級付けにおける経験を有する者を意味する。
【0138】
すべての評価者にキャビン内の香りを嗅ぎ、1~7のカテゴリー尺度を使用して香りの強度を等級付けするように指示し、ここで、1は、知覚可能な香りがないことを示し、7は、香りが非常に強いことを示す。試験期間の間の装置からの芳香の平均強度の等級付けは、以下の表7に示される。
【0139】
【表7】
【0140】
この例の目的は、本開示の装置が、装置からの活性組成物の経時的な重量損失により証明されるように、芳香組成物を分散させることが可能であることを示すことである。この例の第二の目的は、装置が、被験者により容易に知覚可能な水準で芳香組成物を空間に分注することが可能であることを示すことである。
【0141】
この文書を通して引用される刊行物を、それらの全体について、参照により本明細書に援用する。本開示の様々な態様を、例および好ましい実施形態を参照することにより先で説明してきたが、本開示の範囲は、前述の記載により定義されるのではなく、特許法の原則のもと適切に解釈される以下の請求項により定義されると理解される。
図1
図2
図3
図4