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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電子タクシー利用権管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/08 20120101AFI20241007BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241007BHJP
【FI】
G06Q20/08 300
G06Q50/40
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023038138
(22)【出願日】2023-03-10
(65)【公開番号】P2024128872
(43)【公開日】2024-09-24
【審査請求日】2023-03-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500215012
【氏名又は名称】第一交通産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】323012966
【氏名又は名称】株式会社アクシス・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100179165
【弁理士】
【氏名又は名称】宇都宮 将之
(72)【発明者】
【氏名】島田祐輔
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-077123(JP,A)
【文献】特開2019-160028(JP,A)
【文献】特開2017-084151(JP,A)
【文献】特開2003-216704(JP,A)
【文献】特開2017-091066(JP,A)
【文献】特許第6387545(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理サーバと、
契約者端末及び利用者端末と、
タクシー車載ツールからなる電子タクシー利用権管理システムであって、
前記管理サーバと、前記契約者端末と、前記利用者端末とがネットワークを介して接続されており、

前記管理サーバは、電子タクシー利用権管理システムを管理するための基本になる機器であり、
当該管理サーバは管理部、ユーザ登録部、情報記憶部及び利用権発行部を有し、
前記管理部は申込内容に沿った基本与信枠の管理、電子タクシー利用権の状態、所持者、利用状況や譲渡経路の管理を行い、
契約者の設定内容に応じて電子タクシー利用権を自動発権し、
電子タクシー利用権を発権する際は、契約者の与信額の範囲に応じてタクシー利用権の発権を許可し、与信額の残高を管理し、
前記ユーザ登録部は、タクシー利用者の情報を登録し、当該タクシー利用者が使用する利用者端末の専用アプリが使用できる状態とし、
前記情報記憶部は、契約者情報や与信枠の電子タクシー利用権管理システムに関する情報を記憶し、
前記利用権発行部は、契約者からの要求に応じて前記管理部により管理される電子タクシー利用権の発権を行い、

前記契約者端末は、電子タクシー利用権を使用する契約を締結した契約者が使用するための端末であり、
利用者情報を管理するユーザ管理部、
前記タクシー利用権の与信枠を管理する与信枠管理部
前記電子タクシー利用権を付与する利用権付与部、
情報を送受信するための送受信部を有し、
前記ユーザ管理部は、前記契約者情報や支払い方法を入力して申し込みを行うための入力や変更を管理し、
前記与信枠管理部は、 タクシー利用権管理システムを利用するため、電子タクシー利用権の発権時に設定する利用上限金額を管理し、
前記利用権付与部は、前記与信枠管理部の管理情報を用いて発権した電子タクシー乗車利用権を、タクシー利用者の利用者端末に対して付与を行い、
前記送受信部は、前記管理サーバや前記利用者端末とネットワークを通じてデータを送受信し、

前記利用者端末は、前記契約者端末を通じて電子タクシー利用権を受け取るためのタクシー利用者が使用する端末であり、
前記電子タクシー利用権の管理をするための利用権管理部、
前記電子タクシー利用権を表示する利用権表示部、
ネットワークを介して前記契約者端末と情報を送受信するための送受信部を有し、
前記利用権管理部は、利用者に付与された電子タクシー利用権を管理し、
前記利用権表示部は、タクシーの料金メーター機に表示された利用金額を入力し、入力した内容を利用権表示部に表示でき、
前記利用者端末により管理サーバに利用者登録を行い、前記管理サーバの管理部で利用者登録を受け、当該利用者は当該利用者端末により電子タクシー乗車利用権の譲受や利用を行い、
前記利用者端末から前記管理サーバへタクシーの利用情報が送信され、

前記タクシー車載ツールは、タクシー利用者に提示し、利用者端末に読み取ってもらってからタクシー使用情報をネットワークを介して管理サーバに送信し、前記電子タクシー利用権を決済するための決済情報部を有する、

ことを特徴とする電子タクシー利用権管理システム。
【請求項2】
前記契約者端末のユーザ管理部により、共同権利者と一般利用者を設定し、前記契約者端
末の利用権付与部により一方又は双方に電子タクシー利用権を前記利用者端末に付与でき
ることを特徴とする請求項1に記載の電子タクシー利用権管理システム。
【請求項3】
前記利用者端末は、電子タクシー利用権の発権を申請するための利用権申請部を有するこ
とを特徴とする請求項1に記載の電子タクシー利用権管理システム。
【請求項4】
前記契約者端末の利用権付与部および前記利用者端末の利用権管理部により、電子タクシー利用権の一部又は全部を、利用できる回数を1回に指定された電子タクシー乗車利用権として発権することを特徴とする請求項1に記載の電子タクシー利用権管理システム。
【請求項5】
前記電子タクシー利用権を少なくとも同一の利用限度額や利用期限の条件でまとめて利用や付与することが可能なことを特徴とする請求項1に記載の電子タクシー利用権管理システム。
【請求項6】
電子タクシー利用権を決済や発権をする際に、前記利用者端末により決済や発権を行う目的を入力することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の電子タクシー利用権管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子タクシー利用権管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タクシーチケットはタクシーに乗車した際の料金の支払いとして紙媒体のチケットが用いられることがほとんどである。紙媒体のタクシーチケットとしては、契約者からの依頼によりタクシーチケット発行会社から契約者に発行され、その契約者からタクシーを利用する従業員等に予め配布されて利用されるものである。
【0003】
また、従来のタクシーチケットは、タクシーを利用した際に、日付、区間、及び金額をタクシーチケットに記入し、タクシー運転手よりタクシー会社に集約される。その後、各タクシー会社からタクシーチケット発行会社に料金が請求され、タクシーチケット発行会社では予め定めた期間に応じて利用料金が取りまとめられ、契約者に請求される流れとなる。
【0004】
また、企業や団体等の契約者が、催事に参加者を招待する際にタクシーチケットを提供する場合もある。例えば、タクシーチケット発行会社が、契約者からの利用内容に基づいて、タクシーチケットの有効期限、利用区間、限度額等を印刷したタクシーチケットを発行するといったことも行われる。
【0005】
しかしながら、タクシーチケットに記載されている有効期限や限度額等の使用に関する条件は、タクシー運転手が目視で確認することになるため、特に夜間などの暗い場所での受け渡しなどにおいて誤認や見落としをしてしまい、利用可否判断を誤ってしまうケースがある。誤った可否判断をおこなってしまうと、有効期限が過ぎてしまっているタクシーチケットが使われたり、利用限度額を超えているタクシーチケットが使われたりするので、規定外使用に伴う不利益な問題が発生してしまうことがある。また、紛失や盗難にあったタクシーチケットで不正利用されてしまうケースもあり、契約者の申し出により書面で無効通知書を発行してタクシー乗務員へ受け取りの注意喚起を行うが、多くのタクシーチケットが市場に存在する中で目視での確認を行うには限界が有り、完全な無効対応を行う事は非常に困難な現状が有る。
【0006】
これらの問題を解決する手段の一つとして、近年では紙媒体として使用されていたタクシーチケットを電子化して電子タクシーチケットとして利用するシステムも開発されている。
【0007】
この様なタクシーチケットに関する発行や管理等に関するシステムについてはいくつかの技術が開示されている(例えば、特許文献1や特許文献2)。特許文献1 には、使途を制限したタクシーチケットを必要な時に必要な枚数、入手することができるタクシーチケット発行管理システムが開示されている。
【0008】
また、特許文献2 には、タクシーチケット発行者、該タクシーチケット発行者とタクシーチケットの利用について契約を結んだ契約者、該契約者から提供されるタクシーチケットを用いてタクシーを利用する利用者、及びタクシー運行者により用いられるタクシーチケット発行管理システムの利便性を向上するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017―091066号公報
【文献】特許第6387545号
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなタクシーチケット発行管理システムは催事の使用を目的とするものであり、利用者のニーズに応じて適宜利用できるものではなかった。また、特許文献2に記載されているタクシーチケット発行管理システムは利便性が向上するものの、タクシーチケットという概念はこれまでの紙のタクシーチケットと同様の観念のものであり、紙の代替として電子チケットを取り扱う内容であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本件発明者らは、この様な問題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来の電子タクシーチケットシステムの利便性を維持したまま、電子タクシーチケットに利用権という概念を取り入れて自由な譲渡を可能にし、さらにタクシー利用者のニーズへ迅速に対応可能なシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明は、(1)~(9)である。
(1)管理サーバと、契約者端末及び利用者端末と、タクシー車載ツールからなり、前記管理サーバは、利用者情報や与信額やタクシー利用情報を記憶する情報記憶部、電子タクシー利用権の利用可能な金額を管理する管理部を有し、前記契約者端末は、利用者情報を管理するユーザ管理部、前記電子タクシー利用権を発権する利用権発権部、ネットワークを介して前記利用者端末と情報を送受信するための送受信部を有し、前記利用者端末は、前記電子タクシー利用権の管理をするための利用権管理部、前記電子タクシー利用権を表示する利用権表示部、ネットワークを介して前記契約者端末と情報を送受信するための送受信部を有し、前記タクシー車載ツールは、前記電子タクシー利用権を決済するための決済情報部を有し、前期管理サーバと、前記利用者端末と、前記利用者端末機とがネットワークを介して接続されている電子タクシー利用権管理システム。
(2)前記契約者端末に予め利用可能な金額を設定する与信情報管理部を設けることを特徴とする前記(1)に記載の電子タクシー利用権管理システム。
(3)前記与信情報管理部は、予め利用可能な金額が設定されている与信額の範囲において、自動で電子タクシー利用権を付与する金額と、手動で電子タクシー利用権を付与する金額を調整可能とする与信情報調整部であることを特徴とする前記(2)に記載の電子タクシー利用権管理システム。
(4)前記契約者端末のユーザ管理部により、共同権利者と一般利用者を設定し、前記契約者端末の利用権発権部により一方又は双方に電子タクシー利用権を前記利用者端末に発権できることを特徴とする前記(1)から(3)のいずれか1つに記載の電子タクシー利用権管理システム。
(5)前記利用者端末は、電子タクシー利用権の発権を申請するための利用権申請部を有することを特徴とする前記(1)に記載の電子タクシー利用権管理システム。
(6)前記与信情報管理部は、定期的に契約者に予め利用可能な金額が設定されている与信額を契約者端末に付与する設定を行うことができ、前記利用権発権部により定期的に前記共同権利者と一般利用者に予め設定した予め利用可能な金額が設定されている与信額の中で電子タクシー利用権付与する設定を行うことができることを特徴とする前記(1)に記載の電子タクシー利用権管理システム。
(7)前記契約者端末の利用権発権部および前記利用者端末の利用権管理部により、電子タクシー利用権の一部又は全部を、利用できる回数を1回に指定された電子タクシー乗車利用権として発権することを特徴とする前記(1)に記載の電子タクシー利用権管理システム。
(8)前記電子タクシー利用権を少なくとも同一の利用限度額や利用期限の条件でまとめて利用や付与することが可能なことを特徴とする前記(1)に記載の電子タクシー利用権管理システム。
(9)電子タクシー利用権を決済や発権をする際に、前記利用者端末300により決済や発権を行う目的を入力することが可能であることを特徴とする前記(1)に記載の電子タクシー利用権管理システム。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電子タクシー利用権管理システムを用いることにより、紙のタクシーチケットを発行する従来のシステムよりも利便性を向上することができ、電子タクシー利用権の自由な譲渡を可能にし、さらにタクシー利用者のニーズへ迅速に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの管理サーバの概略図である。
図3】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム管理サーバの情報記憶部の概略図である。
図4】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの契約者端末の概略図である。
図5】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの利用者端末の概略図である。
図6】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムのタクシー車載ツールの概略図である。
図7】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムのタクシー事業者端末の概略図である。
図8】本実施形態に係る電子タクシー利用権をタクシー利用時に決済する方法を示す図である。
図9】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの契約者端末画面の一態様である。
図10】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの契約者端末画面の一態様である。
図11】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの契約者端末画面の一態様である。
図12】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの利用者端末に表示される画面の一態様である。
図13】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの利用者端末に表示される画面の一態様である。
図14】本発明の実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムの利用者端末に表示される画面の一態様である。
図15】本実施例の電子タクシー利用権管理システム1における電子タクシー利用権の付与、分与と再分与、譲渡と再譲渡の態様を示す概要図である。
図16】本実施例の電子タクシー利用権管理システム1と既存の債権管理システム600の連携の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る電子タクシー利用権管理システム1の実施形態について、以下、図1図16を参酌して説明するが、以下の説明で使用する用語を記載する。本実施形態で用いる電子タクシー利用権とは、広義にはタクシーを利用するための権利(利用可能額(与信枠を分与された額))のことであり、狭義には当該権利から具体的な利用上限額として発行された電子タクシー乗車利用権のことをいう(決済時に使用できる回数を1回に指定された電子タクシー利用権)。この様に、タクシーを利用する権利(利用権)という権利の概念をシステムとして取り入れることにより、柔軟な利用を実現することができる。以降、本実施形態では区別が必要な記載については、前者を電子タクシー利用権と表記し、後者を電子タクシー乗車利用権と表記する。また、電子タクシー利用権を渡すことを付与と表記し、譲渡や再譲渡等を含めるものとする。また、本実施形態において、契約者とは本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1の直接的な契約者(企業や個人事業主、個人等)であり、代表申込者とは電子タクシー利用権管理システム1の利用の申し込みを行う者(本実施形態のシステムを管理する管理者も含む場合もある)をいう。さらに、本実施形態の電子タクシー利用権のユーザとしては、譲渡機能や追加利用権の要求が行える共同権利者と、電子タクシー利用権の使用を行う一般利用者がある。上記のユーザとは、この様な本実施形態の電子タクシー利用権管理システム2を使用する者すべてを含む。ただし、使用形態をより分かり易くするために当該ユーザのうちでタクシーを利用する者を特
にタクシー利用者と表現する場合もある。
【0016】
本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム1の概略図を図1に示す。図1に示したように、本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システムは、最小限の構成として、管理サーバ100、管理端末101、契約者端末200、利用者端末300とタクシー車載ツール400からなる。管理サーバ100は本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1を管理するための基本になる機器であり、契約者端末200は電子タクシー利用権を使用する契約を締結した契約者が使用するための端末である。また、利用者端末300は契約者端末200を通じて電子タクシー利用権を受け取るための利用者用の端末であり、受け取った電子タクシー利用権を管理したり表示させたりする装置である。タクシー車載ツール400は、前記利用者端末300に表示された電子タクシー利用権情報を運転手が確認した後に、タクシー車載ツール400に表示された決済情報部を利用者端末300で読み取り、当該利用者端末300を通じてタクシーの利用情報を前記管理サーバ100に送信する。これら、管理サーバ100、契約者端末200、利用者端末300はネットワークを介して繋がった状態となっている。管理端末101は電子タクシー利用権管理システム1の管理会社のシステム管理者が使用する端末で本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1を操作等する端末であり、一般的なパーソナルコンピュータを用いてネットワークを介して管理サーバ100を使用する。なお、ネットワークを図1にはそれぞれ1つずつ示しているが、これらはいずれも1つでも複数であってもよい。
タクシー事業端末500は、本発明に必ず必要なものではないが、タクシー事業者が使用する端末であり、タクシー情報やタクシーの利用実績等を管理するための端末である。
【0017】
本実施形態の電子タクシー利用権管理システムでは、電子タクシー利用権の発行などを行うシステム管理会社、契約者、タクシー利用者及びタクシー会社は、各者のパーソナルコンピュータやスマートフォン等からネットワークを介して管理サーバ100にアクセスすることになる。タクシー利用者は自身が使用する利用者端末300からネットワークを介して、自身でアプリをダウンロードしてスマートフォン等にインストールして使用する。初回起動時には当該アプリによりユーザ登録が促され、結果的にアプリにユーザ情報が記録される。
タクシー運転手はタクシーに備えられたタクシー車載ツール400をタクシー利用者に提示し、利用者端末300で読み取ってもらってからタクシー使用情報を、ネットワークを介して管理サーバ100に送信する。
【0018】
図2は本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム1の管理サーバ100の概略図である。管理サーバ100は、情報記憶部110、管理部120、ユーザ登録部130、派生情報入力部140、利用権発行部150が設けられる。また、図示はしていないが情報データ等を送受信するための送受信部と、本システムが提供する管理画面を使用せずに、協業会社の独自システム(アプリ含む)等から直接的に発権指示などを受けられる様に「API連携部」も備えても良い。情報記憶部110は、契約者情報や与信枠等の電子タクシー利用権管理システム1に関する情報を記憶する(図3で後述)。
管理部120は、電子タクシー利用権管理システム1で用いられる電子タクシー利用権の全般を管理する。例えば、電子タクシー利用権の状態、所持者、利用状況や譲渡経路といったものを管理する。また、契約者の設定内容に応じて電子タクシー利用権を自動発権したり、緊急のリクエストに応じて電子タクシー利用権を手動発権したりすることができる。また、電子タクシー利用権を発権する際は、契約者の与信額の範囲に応じてタクシー利用権の発権を許可したり、与信額の残高を管理したりする。
ユーザ登録部130は、タクシー利用者の情報を登録し、当該タクシー利用者が使用する利用者端末300の専用アプリが使用できる状態とする。
派生情報入力部140は本実施形態の電子タクシー利用権に紐付く情報(タクシー利用代金、降車地情報など)を入力する。
利用権発行部150は、契約者からの要求に応じて前記管理部120により管理される電子タクシー利用権の発権を行う。与信枠の範囲内の要求であれば電子タクシー利用権の発権を行い、範囲外の要求であれば電子タクシー利用権の発権は行わない等の処理を実行する。なお、本実施形態の管理サーバ100はクラウドサーバを用いたが、これに限定されるものではなく、管理者自身が保有・管理するサーバ等を用いてもよいし、バックアップサーバと併せて使用してもよい。
【0019】
図3は、本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム1の管理サーバ100の情報記憶部110の概略図である。当該情報記憶部110は、契約者情報や与信情報、タクシーの利用情報等を記憶する。契約者情報としては、例えば会社名や所在地、法人番号、電話番号、代表者名、管理者、契約者のID・パスワード情報等があり、申込情報記憶部111に保存する。与信情報としては、本実施形態の電子タクシー利用権管理システムを利用するための具体的な金額、支払方法、利用プラン等を与信情報記憶部112に記憶する。タクシーの利用情報としては、本実施形態の電子タクシー利用権管理システムの利用時に派生する情報(タクシー利用代金、降車地情報など)を派生情報記憶部113に保存する。タクシー事業者が管理するタクシー車両に関連した無線番号(タクシー車両を特定可能な番号)や車種、識別名称などの各種情報を記憶する為のタクシー情報記憶部114を有する。なお、管理サーバ100には、マウスやキーボード等の入力装置、モニター等の表示機器が接続される。
【0020】
図4は、契約者が本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム1を使用する契約者端末200の概略図である。契約者端末200は、契約者のパソコン(本実施形態では使用)やタブレット・スマートホン等が端末として利用可能である。また、契約者端末200は、ユーザ管理部210、与信枠管理部220、利用権付与部230、送受信部240を備える。ユーザ管理部210では、前記契約者情報支払い方法等を入力して申し込みを行うための入力や変更等の申請を行うことができる。ユーザ管理部210は、本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム1の独自の機能としてもよく、ネットワークを通じてインターネットブラウザ上で申し込みを行う機能としてもよい。
【0021】
与信枠管理部220は、本実施形態のタクシー利用権管理システム1を利用するため、申込内容に沿った基本与信枠の管理、電子タクシー利用権の発権時に設定する利用上限金額の管理等を行う事が可能となる。
本実施形態の電子タクシー利用権管理システムでは、あらかじめ設定された基本与信枠で電子タクシー乗車利用権として利用上限金額を事前に設定する必要がある。
この様な設定を行うことにより、実際に電子タクシー乗車利用権を使用するユーザの利用可能範囲額が確保され、許容外となるような利用を抑制する事が可能となる点で契約者のメリットとなる。また、電子タクシー乗車利用権の発権を行う際に設定額に応じた基本与信枠が消費される。これにより、電子タクシー乗車利用権として使用可能な総額を一定にコントロールする事が可能となることでシステム管理者のメリットとなる。
加えて本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1においては、前述の事前設定を用いて自動制御で電子タクシー乗車利用権を発権する事も、一時設定を用いた任意タイミングでの手動操作による電子タクシー乗車利用権の発権を行う事も可能である。
また、自身の基本与信枠から発権された電子タクシー乗車利用権の無効化等も行うことができる。これら基本機能以外の応用機能及び詳細については後述する。
なお、本実施形態においてはネットワークを介して申し込みを行う方法を示したが、申し込みに関しては契約者が紙媒体を用いた方法により申し込みを行い、システム管理者が申し込み情報などを本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1に入力する方法なども可能である。
【0022】
利用権付与部230は、前記与信枠管理部220の管理情報を用いて発権した電子タクシー乗車利用権を、タクシー利用者の利用者端末300に対して付与(譲渡や再譲渡)を行う事ができる。さらに、タクシー利用権付与部230では、第三者(一般利用者)を契約者に連なる共同権利者として設定(権限付与)及び管理する事も可能である。共同権利者に設定(権限付与)された者は、設定した契約者の管理下にある電子タクシー利用権や与信枠等について、再譲渡や電子タクシー乗車利用権化等の機能が使用可能となり、関連する操作を行う事ができる。なお、電子タクシー利用権の付与方法等の詳細については後述する。また、再譲渡の機能が使用可能になることで、電子タクシー乗車利用権を利用者端末300同士で受け渡しすることが可能となる。送受信部240は、利用者端末300や管理サーバ100等とネットワークを通じてデータを送受信する。
【0023】
図5は、本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム1の利用者端末300の概略図である。利用者端末300は、契約者端末200を通じて電子タクシー利用権を受け取るためのタクシー利用者が使用する端末であり、受け取った電子タクシー乗車利用権をタクシー利用時に表示等させて使用するものである。当該利用者端末300は、図5に示す通り、利用権管理部310、利用権表示部320、利用権申請部330、位置情報取得部340,送受信部350を有する。
【0024】
利用権管理部310は、利用者に付与された電子タクシー利用権を管理するものであり、契約者端末200のタクシー利用権付与部230により送受信部350を通じて付与された電子タクシー利用権や、共同権利者の利用者端末300の利用権管理部310から送受信部350を通じて付与された電子タクシー利用権の管理を行う。
また、電子タクシー乗車利用権に設定された利用上限金額の範囲内で車内決済するために、利用金額の入力監視や利用管理を行う。当該利用権管理部310により管理される電子タクシー乗車利用権の情報は利用権表示部320により表示され、利用状況等を確認することができる。
また、当該利用権管理部310は、契約者端末200により代表申込者から一般利用者が共同権利者として権限を付与された場合は、電子タクシー乗車利用権を付与する機能も発揮して、他の一般利用者に電子タクシー乗車利用権の付与(再譲渡)や電子タクシー乗車利用権の無効化等をすることができる。なお、本実施形態では、共同権利者の登録行為が行えるのは代表申込者のみの制限を設け、契約者以外の利用者に際限なく使われるのを防ぐ形態とした。なお、この様な態様に限定されるものではなく、代表申込者の要望等に応じて、共同権利者から代表申込者へ他の一般利用者を共同権利者とする要望申請を行い、申請に対する許可が成される事で共同権利者化ができるようにしたり、共同権利者が直接一般利用者を共同権利者化できるような設定としたりする事も可能である。
【0025】
利用権申請部330は、共同権利者から契約者端末200に向けて電子タクシー利用権の付与を要求することができ、付与の要求を受けた代表申込者は契約者端末200により要求のあった利用者端末300に必要に応じて新たに電子タクシー利用権の付与ができる。これにより、利用者のニーズに応じて迅速に電子タクシー利用権を付与することが可能となる。位置情報取得部340は、利用者端末300の位置情報を取得する。また、利用者端末300は、図示しない情報読取部を有してもよく、撮影部(カメラ、スキャナ等)や、近距離無線通信(NFC: Near Field Communication)部等、情報を読み取ることが可能な種々の形態を採ることができる。利用者端末300としてはスマートフォン等の携帯電話等を用いることができるが、特にこれに限定されるものではなく、モバイルパソコンやタブレット等も使用することができる。
【0026】
図6は、本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム1のタクシー車載ツール400の概略図である。本実施形態においては、タクシー車載ツール400は決済用のQRコード(登録商標)を決済情報部410として備えるシートを用いたが特にそれに限定されるものではなく、スマートフォンやタブレット等によりドライバーズアプリとしてネットワークを介した状態のものをタクシー車載ツール400として用いても良い。なお、本実施形態ではQRコード(登録商標)自体の情報は情報記憶部110のタクシー情報記憶部114に記憶されている車両情報や会社情報等と紐づく引数情報である。
決済の流れとしては、上記決済用のQRコード(登録商標)を利用者端末300で読み取った場合は、当該利用者端末300から管理サーバ100へ利用情報が送信される。また、タクシー車載ツールとしてドライバーズアプリを使用した場合はタクシー車載ツール400で利用者コードを読み取り、当該タクシー車載ツール400から管理サーバ100に利用情報が送信される。利用情報としては、例えば、QRコード(登録商標)自体の情報、使用した電子タクシー乗車利用権の情報、決済金額、任意入力(入力は必須)した乗車地(いずれはドライバーズアプリなどから自動取得)、降車地GPS情報、決済に関する任意備考情報(利用目的等)などである。以上、本実施形態の決済の流れを記載したが特にこれに限定されるものではない。
【0027】
図7は、本実施形態に係る電子タクシー利用権管理システム1のタクシー事業者端末500の概略図である。当該タクシー事業者端末500は、タクシー事業者が管理するタクシーで決済された電子タクシー乗車利用権情報の照会を行う決済照会部510、タクシー事業者が管理するタクシーの情報(上記決済情報部410に表示されるQRコード(登録商標)等含む)の変更等を行うタクシー情報変更部520、タクシー事業者の実績に基づいた実績情報やデータ分析情報の照会を行う実績情報照会部530、タクシー事業者の営業担当者などに紹介者コードの追加発行を行う紹介者コード管理部540を有する。
【0028】
実績情報照会部530は、電子タクシー乗車利用権の利用を受け付けた個々のタクシー単位やタクシーが所属するタクシー事業者単位などで、利用時間帯・利用金額・利用者層などの情報を集約し、それらを営業分析に活用できる形で体系表示した実績情報や、実績情報を基に分析したタクシー需要が見込める場所・時間帯・利用者層などの分析情報を提供する。
紹介コード管理部540は、タクシー事業者が、自身が発行するタクシーチケットの代用として本システムを利用者に紹介する事も想定される。その際、タクシー事業者の中で、営業担当者の誰がどの位の利用者に紹介し登録に至ったのかを把握できる様に、紹介者コードを用いて流入経路の集計を行う。その為、タクシー事業者自身が営業担当者などに紹介者コードを発行できる機能を有している。
なお、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1はシステム管理会社とタクシー事業者は同一事業者である場合は、タクシー事業者端末500とシステム管理会社管理端末101を統一して使用することも可能である。
【0029】
本実施例の電子タクシー利用権管理システム1の申し込み方法の流れの概要は上述の通りであるが、ここではもう少し具体的にネットワークを介した申し込み方法について説明する。
【0030】
本実施形態におけるネットワークを介した申し込み方法としては、代表申込者が契約者のパソコン等でインターネットブラウザを用いて申し込みを行う。本実施形態の電子タクシー利用権管理システムのWebサイト等で、利用規約に同意し、その後申し込み項目(契約者情報、紹介者コード等)を入力して、システム管理会社に審査依頼を行う。システム管理会社では、契約者の申し込みを受け付けたのち、管理サーバ100に設けられた図示しないオート審査部において、契約者よって入力された項目(法人番号、契約者名、収入形態、本社所在地等の一般的な情報)に不備や虚偽情報、ブラックリスト者が含まれていないかの自動確認が行われ、申し込みに対する本システムの利用許可判断が自動で実施される。
利用許可された申し込みについては、本システムを利用する為に必要なID等の基本情報(契約者情報及び代表申込者情報も含む)を自動生成し、申し込み時に要望された与信額に応じた基本与信枠の付与を行った上で、契約者(代表申込者宛)に対して利用許可通知を行う。利用許可通知を受けた契約者(代表申込者)は、自身の契約者端末200により本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1をwebページ等で管理・使用を行う。
【0031】
オート審査部での入力項目の自動確認で、許可保留とされた申込に対しては、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1のシステム管理会社(システム管理者)へ目視による入力項目の確認等の実施を促す為に、その理由と共にエラー等が表示される。システム管理会社(システム管理者)は、必要に応じて契約者(代表申込者)への直接確認や入力情報の修正を行い、再度の自動利用許可判断または手動による利用許可判断を実施する。
自動もしくは手動による利用許可判断で不許可とされた申込に対しては、本実施形態の電子タクシー利用権管理システムの利用お断りの通知を行うことになる。
ただし例外として、自動利用許可判断で不許可とされた申込であっても、前記システム管理会社(システム管理者)が特別に利用可能と判断した場合には、手動による利用許可を行う場合もあり得る。
本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1ではオート審査部での自動による入力項目確認・審査・許可判断を実施したが、特にこれに限定されるものではなく、システム管理者がすべて目視等のマニュアルで審査・判断を行っても良いし、外部サービスの審査を活用しても良い。オート審査部は一般的な公知の方法で実施することが可能である。以上が、契約者(代表申込者)がネットワークを介して本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1の申し込みを行う手続きの流れである。この様な流れと実質的に同等の仕組みで紙媒体を用いて申し込み手続きを行うことも可能である。
【0032】
前述の自動での入力項目確認及び利用許可判断においては、本人確認情報の相違(国税庁法人番号システムWeb―APIや経済産業省の情報提供REST API等の情報照会等)、反社疑念(日経テレコン等の情報と照会)、過去の利用情報(システム利用停止や支払遅延状況等の利用情報)との照会、特定項目(年金受給者やパート・アルバイト情報等の収入形態等)の照会等を行う事により、総合的な判断を実施する。
【0033】
上記契約者(代表申込者)が入力する申し込み情報の一つである支払方法について説明する。新規の申し込み時に選択できる支払方法は銀行振込又はコンビニ支払いのみであるが、口座振替やクレジットカード払いを希望される場合は前述の契約者のWebページでの変更手続きや、書面での変更手続きを行う事ができる。
【0034】
上記契約者(代表申込者)が入力する申し込み情報の一つである与信枠情報について説明する。本実施形態においては、与信額の枠に応じて6つのプランを設定し、プランに応じて本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1の利用料を与信額以外に別途紐付けて管理する。本実施形態においては、個人向けプランとして、与信額3万円(システム利用料100円/月)、与信額5万円(システム利用料200円/月)、与信額10万円(システム利用料300円/月)、法人向けプランとして、与信額10万円(システム利用料500円/月)、与信額20万円(システム利用料1,000円/月)、与信額30万円(システム利用料1,500円/月)のものを設定したが、この与信額やシステム利用料は適宜追加や変更が可能となるものである。なお、与信額については原則として当月に使用するものであり翌月に残額等は失効させることも可能であるが、本実施形態においては2ヵ月間利用可能とする設定とした。なお、本実施形態では2ヵ月間利用可能とする設定としたが、これに限定されるものでは無く、当月から数か月の範囲等で自由に設定する事ができる。
【0035】
次に、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1を利用した電子タクシー利用権の発権の流れを具体的に説明する。
本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1における電子タクシー利用権を使用する対象者としては、前述の通り、共同権利者と一般利用者がある。共同権利者は、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1の代表申込者が、電子タクシー乗車利用権を使用する一般利用者の内、共同権利者としての権利を行使できる様に設定登録した対象者であり、代表申込者自身も電子タクシー乗車利用権を使用する場合は共同権利者にもなり得る。
当該共同権利者は、代表申込者から与信枠の一部もしくは全てを分け与えられ(与信枠としての電子タクシー利用権の分与)、当該分与された与信枠の一部もしくは全てを消費し、与信枠消費に応じた利用上限額が設定された電子タクシー乗車利用権を発権する事が可能である。また、電子タクシー乗車利用権は自身で使用する事も、再譲渡権限に基づいて一般利用者に再譲渡を行う事も可能である。
なお、一度の電子タクシー乗車利用権化において消費を行わなかった与信枠は、再度の電子タクシー乗車利用権化を行う際に消費する事が出来る。
【0036】
この様な共同権利者は、1名以上の対象者を代表申込者が自由に設定することが可能である。一方、一般利用者は、代表申込者(もしくは共同権利者)から発権された電子タクシー乗車利用権を譲受して利用することが可能である。共同権利者及び一般利用者はいずれも本実施形態においては前記利用者端末300にアプリをインストールして利用登録を行ったうえで、上記の様な態様で使用を行う。本実施形態の電子タクシー乗車利用権としては、利用上限額の他に、利用期限(指定日や期間)、譲渡可能回数、発権目的(通常業務、出退勤、来客送迎等)、利用用途(出勤、帰宅等)などの明記・記憶が可能であり、各自事に適応した内容や付与する権利数を決めるものである。例えば、電子タクシー乗車利用権の利用期限を20XX年10月末日まで、発権目的を出退勤、利用限度額を1000円と設定し、10権利分を各自に付与する事ができる。また、利用時には利用用途として出勤を明記する事ができる。この様に、一般的な電子マネー形式ではなく、電子タクシー乗車利用権の形式にするのは、タクシー業界や利用者の今までの習慣的にタクシーの利用形態として馴染がある点で優れる。また、契約者としては電子タクシー利用権の利用状況を細かく管理し易く、ユーザー(タクシーの利用者)としては同時に複数の契約者の電子タクシー利用権を使用する場合もあり得るため、管理性や利便性においてもメリットがある。
また、本実施形態の様に電子タクシー乗車利用権として一定額の利用上限額を設けることにより、タクシー利用時のおつり相当の目的外利用を防止することも可能となる。
本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1はこの様なコンセプトのもとで開発したものであり、本実施形態の様な電子タクシー利用権のシェアリング可能な良い点と
今までの紙媒体タクシーチケットの良い点が両立されているので従来のシステムよりも優れるシステムである。なお、本実施形態では上述の電子タクシー利用権の様な使用形態で使用することが優れるものであるが、それに限定されるものではなく、直接電子マネーの様に使用することも設計上は可能なものである。
【0037】
本実施形態の電子タクシー利用権の使用形態の一つとして、上述の使用態様以外に同一条件で発権された同一契約者の電子タクシー乗車利用権をまとめることもできる(本実施形態ではこの様な電子タクシー利用権のまとまりをブックと称する。)。当該ブックを用いることにより、10権利ある同一条件・同一契約者の電子タクシー乗車利用権を1ブックとして取り扱う事で(紙媒体タクシーチケット等の10枚綴りをイメージした形態)、ブック単位での譲渡や決済が行える様になる。例えば、高額となる決済や譲渡を行う場合、利用上限額の設定が低い電子タクシー乗車利用権を1権利毎に選択して実行するとなると、手間がかかり不便であるため、まとめることにより容易に譲渡や決済が可能となる点で優れる。なお、本実施形態においては、同一条件として少なくとも利用期限及び利用上限額を用い、電子タクシー利用権をブックとしてまとめることとした。この様なブックは、利用者の利用場面(利用時、譲渡時、譲受時など)に応じてブックとしてまとめる条件(ブック化条件)を適時選択して用いた方が、利用場面に応じた必要情報を素早く表示する事が可能となるため、利便性が高く、管理も行い易い点で優れる。また、ブック化条件としては上述の条件以外に、契約者情報、譲渡者情報、操作識別情報、発権目的、発権理由、譲渡目的、譲渡理由、無効化状態を条件に用い、状況に応じた条件を選択する事で、各利用場面に適したブックを取り扱うことが可能となる。この様なブックとしての使用形態は必須のものではなく、契約者(代表申込者)やユーザー(タクシーの利用者)が自由に選択するといったことを可能としたり、全く使用しない設定にしたりすることができる。
【0038】
本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1では、契約者(代表申込者)から共同権利者へ分け与えられる前述の与信枠について、共同権利者はその与信枠の一部又は全てについて、再譲渡を実施できない設定とする。
これは、管理上あらかじめ設けた金額内での使用に制限(予算や役職権限の使用可能額等)することが目的であり、与信枠の譲渡は個人毎に個別に設定した金額以上の金額が行き渡らないようにするためである。
なお、当該再譲渡の制限については特に限定されるものではなく、契約者の使用形態に応じてこの様な再譲渡の方法ができるように設定することも可能である。
【0039】
前記電子タクシー利用権を使用する対象者の区分けとしては、例えば個人で利用する場合では、父親が代表申込者兼共同権利者、母親が父親から権限付与された共同権利者、その子供が一般利用者として使用するようなケースが考えられる。また、法人の場合では、企業の本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1の管理部署の社員が代表申込者となり、会社役員や管理職等の従業員が共同権利者となり、一般職等の従業員が一般利用者として登録して使用するケースが考えられる。その他にも、顧客や社外の事業者向けに事前に利用者端末300にアプリをインストールしてもらっておき、当該対象者に電子タクシー乗車利用権を譲渡することも可能となる。
【0040】
本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1の電子タクシー利用権の発権の流れとしては、まずは前述の申し込み時に設定した月額プランの与信額に応じて、契約端末200に毎月1日(契約者の要望で付与日は変更することは可能)に自動で与信枠が付与される。契約者端末200の与信枠管理部220では、前述で付与された与信枠(広義の電子タクシー利用権)について、自動で電子タクシー乗車利用権の発権及び譲渡が行える枠(自動枠)と、手動で電子タクシー乗車利用権の発権もしくは与信枠の分与が行える枠(手動枠)とに、振り分け調整することが可能である。自動枠では、任意による自動化内容の設定が可能で、電子タクシー乗車利用権の譲渡対象者毎に設定(利用上限額や発権数など)した内容に基づいて、利用権付与部230が自動付与を行う。なお、与信枠の分与等についても自動化設定する事が可能である。手動枠では、与信枠保有者(代表申込者や共同権利者)が各々において、利用権付与部230に手動操作で指示を行う事で、任意のタイミングでの電子タクシー乗車利用権化が可能である。また、前述されている通り、当該電子タクシー利用権の譲渡を代表申込者が行う形態としては、代表申込者に提供されるWeb管理画面を通じて遠隔での手動譲渡を行うこともできる。これらの調整については、契約者の利用実態に応じて調整する事が好ましい。なお、電子タクシー乗車利用権を譲渡された共同権利者や一般利用者は、前述の通り電子タクシー乗車利用権をタクシー乗車時の料金精算において使用することが可能となる。
【0041】
次に、本実施例の電子タクシー利用権管理システム1を利用した電子タクシー利用権の譲渡方法について具体的に説明する。本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1では、上述の通り共同権利者や一般利用者に電子タクシー利用権が付与(譲渡)されることになるが、それに加えて共同権利者は共同権利を持つ契約者(代表申込者)の電子タクシー乗車利用権に限り、別のユーザー(共同権利者や一般利用者)へさらに譲渡(再譲渡)することも可能である。
当該電子タクシー乗車利用権の譲渡をユーザ間(共同権利者及び一般利用者)で行う形態としては、対面の場合は利用者端末300を持ち寄ってアプリを通じて譲渡を行い、遠隔の場合においては利用者端末300のアプリを通じて、利用権管理部310により譲渡を行うことができる。また、遠隔譲渡で譲受者を指定する方法としては、過去の譲渡履歴やお気に入り、利用者ID等の情報を活用して指定が行える。
【0042】
タクシー利用者は、アプリストア等から本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1用のアプリを検索し、利用者端末300を用いてインターネットを通じてアプリのダウンロードを行いインストールする。タクシーの利用者は、利用者端末300にインストールされたアプリ及びネットワークを介して管理サーバに利用者登録を行い、管理サーバ100の管理部120で自動登録され、一般利用者として登録を受ける。これにより、タクシー利用者は一般利用者として利用者端末300により電子タクシー乗車利用権の譲受や利用を行うことが可能となる。
【0043】
共同権利者は、利用者端末300の利用権申請部330を通じて、代表申込者に対して電子タクシー利用権の追加分与(分与額などの指定が可能)や追加譲渡(利用上限額や発権数などの指定が可能)を申請することができる。申請を受けた代表申込者は、残りの電子タクシー利用権(与信枠や保有権利数)を加味して追加分与や追加譲渡の対応を行うことになる。この様な機能により、ユーザの1人が急遽電子タクシー利用権が必要になった場合でも、リアルタイムで電子タクシー利用権の追加分与や追加譲渡を受けることができる点で利便性に優れる。
なお、本実施形態では上述の共同権利者による電子タクシー利用権の追加申請を行う形態としたが、それに限定されるものではなく、一般利用者から代表申込者や共同権利者に対して電子タクシー乗車利用権の追加譲渡や追加再譲渡の申請が行える形態をとることも可能である。
【0044】
次に、利用者端末300を用いて電子タクシー乗車利用権をタクシー乗車時に決済する方法を図8で具体的に説明する。利用者はタクシーに乗車した際に、乗車中に決済の準備を行う。まずは、利用権管理部310において使用する電子タクシー乗車利用権を選択し、乗車地や利用目的等の情報も併せて入力を行う。
なお、情報入力を補助する方法としては、過去の入力情報を入力候補として表示し、入力候補を選択するだけで簡単に入力できる様にする方法をとることが可能だが、特にこれに限定されるものではない。
降車時にはタクシーの料金メーター機に表示された利用金額を入力し、入力された内容を利用権表示部320に表示してタクシー乗務員に提示する。タクシー乗務員は、提示された利用権表示部320の利用金額を確認し、問題がなければユーザにタクシー端末400の決済情報部410に表示されたQRコード(登録商標)を利用者端末300でスキャンして頂くように促し、スキャンが行われる事で決済手続きが実行される。
【0045】
前述の通り、本実施形態の電子タクシー利用権は、付与や譲渡などを行うことができるが、電子タクシー利用権に変更(発権、譲渡、再譲渡、決済など)を加える場合には、その目的や理由を入力し、記憶するものとする。実際の利用者端末300で再譲渡する場面においては、再譲渡を行う利用者端末300で再譲渡する目的(譲渡目的)や再譲渡する理由(譲渡理由)などの入力を行い、利用者管理部310によりデータを管理され、送受信部350により実行時に管理サーバ100の情報記憶部110に記録される。なお、譲渡目的としては、代表申込者が再譲渡の妥当性を確認できるような内容(例えば、イベント招待など)を入力する。また、譲渡理由としては、譲受したユーザが利用シーンを把握できる内容(例えば、イベント会場までの交通費など)を入力する。この様に各操作に対応する目的や理由を入力することにより、システム上で一覧確認できるようになるため、システム管理者や代表申込者がタクシー利用者の利用実態を把握する事が容易となり、分かり易い点で優れる。なお、本実施形態では各操作に対応する目的や理由を入力する設定としたが、これに限定されるものでは無く、入力しない設定にしたり適時選択できる設定にする事ができる。
【0046】
図9図11は、本実施形態の契約者端末200の画面(パソコンのディスプレイ等に表示される画面)の一態様である。
図9は、自動で電子タクシー乗車利用権化を行う分(自動枠)と、手動で電子タクシー乗車利用権化を行う分(手動枠)とに、与信枠を任意で配分する設定を行う画面である。なお、これらの枠は個人毎でも部署毎に共通でも設定することが可能である。
図10は、自動で電子タクシー乗車利用権化を行う条件内容や、その利用権の譲渡先(共同権利者や一般利用者)に関する設定を行う画面である。
図11は、本実施形態の電子タクシー乗車利用権の使用状況を示す画面である。利用日時、利用者、乗車地と降車地、乗車タクシー情報等の一覧を確認できる画面である。
なお、図9図11は表示画面の一態様を示すものであるためこれに限定されるものではなく、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1を実現できる内容であれば自由に設計変更等が可能である。
【0047】
図12及び図13は、本実施形態の利用者端末300の画面(スマホ画面)の一態様である。図12及び図13は電子タクシー乗車利用権(狭義の電子タクシー利用権)を利用することを想定したものである。図12は、中央の画面が利用者端末300のメニュー画面であり、左側の画面が本実施形態の電子タクシー乗車利用権を再譲渡するための画面、右側が本実施形態の電子タクシー利用権を決済するための画面である。中央のTOP画面では、画面中程に配置された各種ボタンをタップすることにより、再譲渡画面や決済画面などへ容易に遷移することが可能である。図13は、共同権利者が分与された与信枠から電子タクシー乗車利用権を発権する状態を示す画面である。例えば共同権利者の一人が分与された与信枠を選択し、その枠内で、利用上限額や利用期限、譲渡可能回数などを入力して電子タクシー乗車利用権化の実行を行うことで、入力された利用上限額に応じた与信枠の消費と引き換えに電子タクシー乗車利用権化を行うことができる。
なお、図12及び図13は表示画面の一態様を示すものであるためこれに限定されるものではなく、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1を実現できる内容であれば自由に設計変更等が可能である。
【0048】
次に、広義の電子タクシー利用権の流れについて説明する。
狭義の電子タクシー利用権では、譲渡者(代表申込者や共同権利者)が利用上限額や利用期限などの任意の権利行使制限を具体化した電子タクシー乗車利用権を利用形態に用いたが、広義の電子タクシー利用権の利用形態では権利行使制限を自由に設定できる形式(権利行使制限がないだけのケースや権利行使制限が混在するケース)をとる。
具体的には、前述のように代表申込者から共同権利者へ与信枠の一部もしくは全てを分け与える事(与信枠としての電子タクシー利用権の分与)が出来るのは同様だが、共同権利者から一般利用者もしくは共同権権利者へ当該分与された与信枠の一部もしくは全てを再度分け与える事(分与された電子タクシー利用権の再分与)が可能である。また、分与もしくは再分与された電子タクシー利用権(与信枠)は、タクシー乗車料金の決済時に直接的に与信額を消費する形(電子マネー的な形式)で利用する事ができ、決済時に消費しなかった残与信枠は、次の決済時に使用する事が出来る。
なお、本実施形態では、一般利用者による再分与操作は行えない仕様とするが、これに限定される物では無い。
また、分与及び再分与された与信枠の有効期限は、その原資となったシステム管理者から付与された与信枠の有効期限を最大期間として踏襲するが、代表申込者や共同権利者が最大期間の範囲内で独自に設定しても良い。
【0049】
次に、広義及び狭義を用いる意義や利用ケースについて、もう少し詳しく示す。
前述のとおり、狭義の電子タクシー利用権(電子タクシー乗車利用権)は、利用上限額や利用期限を設ける事で意図的に汎用性を抑えられる形態としているが、これは制限の範囲内で限られた利用をさせたい契約者(代表申込者)の利用需要に応える為である。これに対し広義の電子タクシー利用権は、利用制限の縛りを緩やかにして与信枠をダイレクトに使用できる形態としており、与信枠を余すことなく素早く利用できる状況を望む契約者(代表申込者)の利用需要に応える為である。
利用需要としては元来、本実施形態で示す所の広義だけもしくは狭義だけが常に存在している分けではなく、利用シーンやユーザによって適時変化しつつ併存していくものである為、本システムでは柔軟に選択し適応できる広義と狭義を持つ電子タクシー利用権を用いる事とした。
これにより、本実施形態における狭義の電子タクシー利用権に相当する概念のみをもつ従来システム(電子タクシーチケットシステム)より、本システムは優れているといえる。
なお、一つの契約(電子タクシー利用権)に対して、家族に属する人物のみ、もしくは会社に属する人物のみでユーザグループを構成する場合は、広義の電子タクシー利用権を用いるほうが柔軟に使用できるので利便性が高いと言える。
また、共同権利者や一般利用者として自身のグループに属さない人物も取り込んでユーザグループを構成する場合には、狭義の電子タクシー乗車利用権を用いる方が想定外の利用を抑制する事ができ利便性が高いと言える。
この様に広義の電子タクシー利用権及び狭義のタクシー利用権はそれぞれの利点があるため、本実施形態の電子タクシー利用権管理システムではどちらかに限定して利用することもでき、さらに双方の利点を生かして使用するために混在した状態でも使用することが可能となる点で利便性に優れるものである。
【0050】
次に、狭義に対して広義の電子タクシー利用権を用いる事に対する主な利点について具体的に示す。
第一の利点としては、電子タクシー乗車利用権化のステップをスキップする事ができ、前述の通り保有する与信枠から直接的に利用金額を決済(与信消費)できる点が挙げられる。
次に第二の利点としては、電子タクシー乗車利用権の利用では、利用上限金額(消費与信額)に対して最大額まで決済しなかった場合に消費与信額に対するロスが出てしまうが、前記第一の利点の恩恵により与信枠を余すことなく使用できる点が挙げられる。
なお、同じく与信枠を最大まで利用できるものとしてクレジットカードが存在するが、契約中の全期間を通して常に与信枠の範囲内で収まるような与信運用(利用と支払の調整)が必要となる。これに対し本実施形態では、前述の通り与信枠を定期利用(サブスクリプション)の対象とする事で一定期間毎に与信枠の付与を行い、期間を区切った与信運用が行える利用形態としている。これにより、与信利用の運用計画を容易に構築する事ができ、構築済みの運用計画を繰り返し実施する事や状況に応じた運用計画を実施する事も可能としている点で優れている。これに加え、本実施形態の電子タクシー利用権管理システムでは使用目的をタクシーの利用に限定している点で管理が容易になる点でも優れる。
最後に第三の利点としては、前記第一の利点及び第二の利点の影響により、与信枠を電子マネー的な扱いとして利用する事が可能となる点が挙がられる。
なお、本実施形態では、実際の決済額に対して後払い形態としている為、一般的な電子マネーの実施形態で用いられる利用想定額(利用予定額+予備費等の余剰額)のチャージ(前払い)が不必要であり、事前に余剰額の支払いを行わなくて良い点で優れている。
なお、本実施形態では後払いを行う形式を用いることにしているが、これに限定される物では無く、必要な与信額等に対して各種支払方法を用いた前払いを行う形式を用いても良い。
【0051】
最後に、図14に本実施形態の電子タクシー利用権管理システムの広義の電子タクシー利用権を使用するための利用者端末300の画面(スマホ画面)の一態様を示す。特に図示した内容に限定されるものではないが、広義の電子タクシー利用権と狭義の電子タクシー利用権とを利用者端末300の使用者が直感的に判断し易い表記とすることが好ましい。図14では、利用者端末300の画面に与信枠として金額が表記されているため広義の電子タクシー利用権であることが判断できる。なお、狭義の電子タクシー利用権の場合は図12図13に図示するように保有権利数で表記される。
【0052】
これまで本実施例の電子タクシー利用権管理システム1の利用について記載したが、最後に既存の債権管理システム600との連携についての説明を行う。既存の債権管理システム600とは、売り上げの計上や請求情報を生成して請求書等に関する情報を出力可能とするシステムである。図14に本実施例の電子タクシー利用権管理システム1と既存の債権管理システム600の連携の概要図を記載する。図16に記載するように、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1と既存の債権管理システム600はネットワークを介さずにオフライン(マニュアル操作)により連携を行う。具体的には、管理サーバ100に蓄積される電子タクシー利用権管理システム1のデータをUSBメモリ等の半導体メモリを用いた補助記憶装置に保存し、その後に既存の債権管理システム600(管理サーバ含む)にUSBメモリ等を接続して前記データを既存の債権管理システム600に移行させる。移行させるデータは電子タクシー利用権の利用情報や契約者情報や電子タクシー利用権管理システム利用情報等であるが特に限定されるものではなく、既存の債権管理システムに応じて適宜設定することが可能である。
【0053】
この様な方法で連携を行うことにより、本実施形態の電子タクシー利用権管理システムと既存の債権管理システム600を容易に連携することができるだけでなく、すでに使用をしている債権管理システム600をそのまま継続利用しつつ、新規に本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1を追加で導入できる点で優れるものとなる。一般的な債権管理システム600は古くから使用をしているシステムが多く、別の新しいシステムと統合するために既存のデータを移行するには非常に多くの労力がかかるだけではなく、請求書の発行等を行う債権管理システムの管理者が新たに別のシステムの操作方法を覚えなおす必要もなく新システムの電子タクシー利用権管理システム1を導入することが可能となる。また、債権管理システム600を例えば新しい債権管理システム600’(図示しない)に代替する事になった場合でも、電子タクシー利用権管理システム1との連携は情報の受入れ体制(情報フォーマットなど)を整えるだけで済む為、代替作業に伴う運用体制の影響範囲を最小に留める事が可能となる。なお、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1は図16の連携方法を用いたが、この様なメリットが必要のない場合は債権管理システム600と同等の機能を本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1に予め組み込んだ一つのシステムとすることも可能である。
【0054】
本実施例の電子タクシー利用権管理システム1とは直接連携するものではないが、既存の債権管理システム600と連携して外部の債権回収会社(クレジットカード発行会社等)に債権を譲渡することも可能である。これにより、債権の回収を外部の関連会社等に代行して実施してもらうことが可能となる。なお、既存の債権管理システム600により請求書情報を作成して直接契約者に請求することも可能であり、本実施形態の電子タクシー利用権管理システム1を使用するものの業務形態に応じて適宜選択することができる。
【0055】
<変形例>
(1)本実施形態の例では、電子タクシー利用権管理システム1の基本的な運用方法を説明してきたが、これ以外にも、利用上限額を常に最大額で利用する「クーポン権」としてのシステム活用や、タクシーなどの運行予約に対して発行する「予約証明権(船車権)」としてのシステム活用など、設定値などの調節を行う事で様々な活用形態をとる事も可能である。
(2)本実施形態の例では、電子タクシー利用権管理システム1の契約者を1つの形態を説明したが、特にこれに限定されるものではなく、2以上の契約者が本実施形態の電子タクシー利用権管理システムを使用して電子タクシー利用権を利用できる。例えば、1ユーザが一つの利用者端末300を使用して、2以上の契約者(共同権利者や一般利用者含む)から電子タクシー利用権の付与を受けることができ、当該電子タクシー利用権を目的等に応じて使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 電子タクシー利用権管理システム
100 管理サーバ
101 システム管理会社管理端末
110 情報記憶部
111 申込情報記憶部
112 与信情報記憶部
113 派生情報記憶部
120 管理部
130 ユーザ登録部
140 派生情報入力部
150 利用権発行部
200 契約者端末
210 ユーザ管理部
220 与信枠管理部
230 利用権付与部
240 送受信部
300 利用者端末
310 利用権管理部
320 利用権表示部
330 利用権申請部
340 位置情報取得部
350 送受信部
400 タクシー車載ツール
410 決済情報部
500 タクシー事業者端末
510 決済照会部
520 タクシー情報変更部
530 実績情報照会部
540 紹介コード管理部
550 タクシー情報記憶部
600 債権管理システム
600’ 新しい債権管理システム


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16