(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 71/02 20060101AFI20241007BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20241007BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241007BHJP
C08L 33/14 20060101ALI20241007BHJP
C08K 5/544 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
C08L71/02
C08K5/17
C08K3/013
C08L33/14
C08K5/544
(21)【出願番号】P 2023068864
(22)【出願日】2023-04-19
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2022077714
(32)【優先日】2022-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】305032254
【氏名又は名称】サンスター技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】牛尼 伸也
【審査官】中川 裕文
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-084022(JP,A)
【文献】特開2022-158326(JP,A)
【文献】特開2021-161429(JP,A)
【文献】特開2021-161430(JP,A)
【文献】特開2021-161431(JP,A)
【文献】特開2020-172621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C09J 1/00- 5/10
9/00-201/10
C09K 3/10- 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の架橋性シリル基を有する変性重合体(A)、
融点が20℃以上100℃未満の脂肪族アミン化合物(B)、
硬化触媒(C)、
可塑剤(D)及び
充填材(E)
を含み、
架橋性シリル基を有する変性重合体(A)が、架橋性シリル基を主鎖の末端に有し、かつポリオキシアルキレン骨格を主鎖に有する変性重合体(A1)、及び架橋性シリル基を主鎖の末端に有し、かつ(メタ)アクリレートに由来する骨格を主鎖に有する変性重合体(A2)を含み、
100質量部の変性重合体(A)中に、20~80質量部の変性重合体(A2)を含み、
脂肪族アミン化合物(B)が、イミノ基とアミノ基を有し、融点が55℃以上かつ80℃以下である脂肪族アミン化合物(B1)を含むことを特徴とする硬化性組成物
、
ただし、ポリオキシエチレン鎖を含有する(メタ)アクリル酸エステル単位を5質量%以上かつ50質量%未満含む(メタ)アクリル酸エステル系重合体を含む硬化性組成物を除く。
【請求項2】
イミノ基とアミノ基を有し、融点が55℃以上かつ80℃以下である脂肪族アミン化合物(B1)が、ベヘニルプロピレンジアミンを含む請求項1の硬化性組成物。
【請求項3】
イミノ基とアミノ基を有し、融点が20℃以上かつ55℃未満の脂肪族アミン化合物(B2)、及び/又は融点が20℃以上かつ65℃未満の脂肪族アミン化合物(B3)をさらに含む請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
100質量部の脂肪族アミン化合物(B1)に対して、脂肪族アミン化合物(B2)及び脂肪族アミン化合物(B3)の合計を、5~200質量部含む請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
100質量部の変性重合体(A)に対して、0.1~10質量部の脂肪族アミン化合物(B)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
変性重合体(A)は、変性重合体(A1)および変性重合体(A2)の他に、ペンダント型にぶら下がった(側鎖に)架橋性シリル基を有する(メタ)アクリレートに由来する骨格を有する変性重合体(A3)をさらに含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
架橋性シリル基を末端に有し、かつ(メタ)アクリレートに由来する骨格を有する変性重合体(A2)が、少なくともブチルアクレートに由来する骨格を有する変性重合体(A2-1)を含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
変性重合体(A2)は、少なくともC13~19の脂肪族(メタ)アクリレートに由来する骨格を有する変性重合体(A2-2)を含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
アミノ基とシリル基を有するシランカップリング剤及び/又はケチミノ基とシリル基を有するシランカップリング剤(F)を、更に含有する請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
シランカップリング剤(F)のシリル基がトリエトキシもしくはメチルジエトキシである請求項9に記載の硬化性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物に関し、さらに詳しくは、建築用シーリング材として好適に使用可能な硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性組成物は、種々の用途に使用される。硬化性組成物は、例えば、シーリング材として、外壁の目地等に使用される。表面汚染および塗膜汚染を防止可能な種々のシーリング材が報告されている。
【0003】
特許文献1は、ポリプロピレンオキサイド主鎖の末端にメチルジメトキシシリル官能基を有する変性シリコーンポリマー、メタクリル酸エステル及び/又はアクリル酸エステルの共重合体、融点が60℃から80℃の1,12-ジアミノドデカン、ジオクチルフタレート(可塑剤)、炭酸カルシウム(充填剤)等を含む一液性非汚染性シーリング材組成物を開示する(特許文献1特許請求の範囲、実施例1~2等参照)。特許文献1は、そのシーリング材組成物は、汚染防止性および耐候性に優れることを開示する。
【0004】
特許文献2は、ポリプロピレンオキサイド主鎖の末端に、加水分解性シリル基を有する重合体(例えば、旭硝子(株)製エクセスター2410(商品名))、ステアリルアミン、ポリプロピレングリコール等を含む室温硬化性組成物を開示する(特許文献2特許請求の範囲、実施例1~2等参照)。特許文献2は、その室温硬化性組成物は、光沢性、汚れ性および伸びに優れることを開示する。
【0005】
特許文献3は、ビニル系重合体の主鎖の末端に、加水分解性シリル基を有する重合体、-NH-R-NH2(Rは、炭素数1~5の脂肪族炭化水素基)で示される基を有するアミン化合物、含フッ素非イオン系界面活性剤等を含む硬化性組成物を開示する(特許文献3特許請求の範囲等参照)。特許文献3は、その硬化性組成物は、硬化後に優れた防汚性および自浄作用を持続的に発揮することを開示する。
【0006】
特許文献4は、(メタ)アクリル酸エステル重合体の主鎖の末端に、トリメトキシシリル基を有する重合体、炭素数20以上のアルキル基及びアミノ基を有するアミン化合物、アミノ基を有するシランカップリング剤、充填剤等を含むシーリング材組成物を開示する(特許文献4特許請求の範囲、実施例1~4等参照)。特許文献4は、屋外暴露後の耐汚染性に優れることを開示する。
【0007】
特許文献5は、ポリ(メタ)アクリレートの主鎖の両方の末端に、トリメトキシシリル基を有する変性ポリマー、ポリオキシプロピレンの主鎖の両方の末端に、トリメトキシシリル基を有する変性ポリマー、融点が50℃以上で炭素数20以上のアルキル基を有するアルキルアミン、トリエトキシシリル基を有するアミン系シランカップリング剤、充填剤、可塑剤等を含むシーリング材組成物を開示する(特許文献5特許請求の範囲、実施例1等参照)。特許文献5は、耐汚染性に優れることを開示する。
【0008】
特許文献6は、主鎖がポリ(メタ)アクリレートであり、その主鎖の両方の末端にトリメトキシシリル基を有する変性ポリマー、主鎖がポリオキシプロピレンであり、その主鎖の両方の末端にトリメトキシシリル基を有する変性ポリマー、炭素数20以上の1価の炭化水素基を有するモノアミン、炭素数20未満の1価の炭化水素基を有するアミン、アミノ基を有するシランカップリング剤、充填剤、可塑剤等を含むシーリング材組成物を開示する(特許文献6特許請求の範囲、実施例1~7等参照)。特許文献6は、耐汚染性に優れることを開示する。
【0009】
特許文献7は、主鎖がポリプロピレンオキサイドであり、その主鎖の末端にメチルジメトキシシリル基を有する変性ポリマー、主鎖がメチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートの共重合体であり、その主鎖の側鎖にトリメトキシシリル基を有する変性ポリマー、融点が55℃以上であるアミン化合物、アミノシラン化合物、充填剤、可塑剤等を含むシーリング材組成物を開示する(特許文献7特許請求の範囲、実施例1~6等参照)。特許文献7は、優れた接着性を有するとともに、硬化性に優れたゴム弾性を長期間にわたって維持することができることを開示する。
【0010】
特許文献8は、主鎖がポリプロピレンオキサイドであり、その主鎖の末端にメチルジメトキシシリル基を有する変性ポリマー、主鎖がメチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートの共重合体であり、その主鎖の側鎖にトリメトキシシリル基を有する変性ポリマー、融点が60℃以下であるモノアミン化合物、モノアミン化合物の融点より5℃以上高い融点を有するジアミン化合物、充填剤、可塑剤等を含む硬化性組成物を開示する(特許文献8特許請求の範囲、実施例1~5等参照)。特許文献8は、その硬化性組成物は、硬化後に優れた防汚効果を長期間にわたって維持することができることを開示する。
【0011】
特許文献9は、主鎖がポリプロピレンオキサイドであり、その主鎖の末端にメチルジメトキシシリル基を有する変性ポリマー、主鎖がメチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートの共重合体であり、その主鎖の側鎖にトリメトキシシリル基を有する変性ポリマー、融点が50℃以下であるジアミン化合物、充填剤、可塑剤等を含む硬化性組成物を開示する(特許文献9特許請求の範囲、実施例1~3等参照)。特許文献9は、その硬化性組成物は、硬化後に優れた防汚効果を長期間にわたって維持することができることを開示する。
【0012】
特許文献10は、主鎖がポリプロピレンオキサイドであり、その主鎖の末端にメチルジメトキシシリル基を有する変性ポリマー、主鎖がメチルメタクリレートとn-ブチルアクリレートの共重合体であり、その主鎖の側鎖にトリメトキシシリル基を有する変性ポリマー、融点が65℃以下であるモノアミン化合物、モノアミン化合物の融点以下の融点を有するジアミン化合物、充填剤、可塑剤等を含む硬化性組成物を開示する(特許文献10特許請求の範囲、実施例2~3等参照)。特許文献10は、その硬化性組成物は、硬化後に優れた防汚効果を長期間にわたって維持することができることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開平5-125271号公報
【文献】特許第3335523号公報
【文献】特許第5289755号公報
【文献】特許第6668903号公報
【文献】特開2019-151676号公報
【文献】特開2020-172621号公報
【文献】特開2021-161428号公報
【文献】特開2021-161429号公報
【文献】特開2021-161430号公報
【文献】特開2021-161431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
硬化性組成物が、シーリング材として使用される場合、組成物が製造された後、比較的長期保管(例えば、50℃で30日間保管)後に使用されることがある。このような保管条件は、夏季の建設現場での保管条件として想定される。しかし、上述の特許文献1~10記載の組成物は、そのような長期保管後であっても、所望の伸び、破断強度、耐汚染性、耐候性を示し得るか否か何ら記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の2種類の変性重合体(A1)及び(A2)、特定の脂肪族アミン化合物(B1)、硬化触媒(C)、可塑剤(D)及び充填材(E)を含む、硬化性組成物が得られることを見出した。更に、そのような硬化性組成物は、シーリング材用途に好適であることを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0016】
本明細書は、下記の形態を含む。
1.
少なくとも1個の架橋性シリル基を有する変性重合体(A)、
融点が20℃以上100℃未満の脂肪族アミン化合物(B)、
硬化触媒(C)、
可塑剤(D)及び
充填材(E)
を含み、
架橋性シリル基を有する変性重合体(A)が、架橋性シリル基を主鎖の末端に有し、かつポリオキシアルキレン骨格を主鎖に有する変性重合体(A1)、及び架橋性シリル基を主鎖の末端に有し、かつ(メタ)アクリレートに由来する骨格を主鎖に有する変性重合体(A2)を含み、
脂肪族アミン化合物(B)が、イミノ基とアミノ基を有し、融点が55℃以上かつ75℃未満である脂肪族アミン化合物(B1)を含むことを特徴とする硬化性組成物。
2.
イミノ基とアミノ基を有し、融点が55℃以上かつ80℃以下である脂肪族アミン化合物(B1)が、ベヘニルプロピレンジアミンを含む上記1の硬化性組成物。
3.
イミノ基とアミノ基を有し、融点が20℃以上かつ55℃未満の脂肪族アミン化合物(B2)、及び/又は融点が20℃以上かつ65℃未満の脂肪族アミン化合物(B3)をさらに含む上記1又は2に記載の硬化性組成物。
4.
100質量部の脂肪族アミン化合物(B1)に対して、脂肪族アミン化合物(B2)及び脂肪族アミン化合物(B3)の合計を、5~200質量部含む上記1~3のいずれか一つに記載の硬化性組成物。
5.
100質量部の変性重合体(A)に対して、0.1~10質量部の脂肪族アミン化合物(B)を含むことを特徴とする上記1~4のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
6.
変性重合体(A)は、変性重合体(A1)および変性重合体(A2)の他に、ペンダント型にぶら下がった(側鎖に)架橋性シリル基を有する(メタ)アクリレートに由来する骨格を有する変性重合体(A3)をさらに含む、上記1~5のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
7.
架橋性シリル基を末端に有し、かつ(メタ)アクリレートに由来する骨格を有する変性重合体(A2)が、少なくともブチルアクレートに由来する骨格を有する変性重合体を含む、上記1~6のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
8.
変性重合体(A2)は、少なくともC13~19の脂肪族(メタ)アクリレートに由来する骨格を有する変性重合体(A2-2)を含む、上記1~7のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
9.
100質量部の変性重合体(A)中に、20~80質量部の変性重合体(A2)を含む、上記1~8のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
10.
アミノ基とシリル基を有する化合物(シランカップリング剤でしょうか)及び/又はケチミノ基とシリル基を有するシランカップリング剤(F)を、更に含有する上記1~9のいずれか1つに記載の硬化性組成物
11.
シランカップリング剤(F)のシリル基がトリエトキシもしくはメチルジエトキシである上記10に記載の硬化性組成物。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、特定の2種類の変性重合体(A1)及び(A2)、特定の脂肪族アミン化合物(B1)、硬化触媒(C)、可塑剤(D)及び充填材(E)を含む。本発明の実施形態の硬化性組成物は、室温より高温で長期保管(例えば、50℃で30日間保管)後に使用したとしても、硬化後に、伸び、破断強度、及び耐汚染性について、バランスの良い性質を示す。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、伸び及び破断強度を測定するために使用した、ISO形試験体を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、一の要旨において、新たな硬化性組成物を提供し、それは、
少なくとも1個の架橋性シリル基を有する変性重合体(A)(以下、「重合体(A)」ともいう)、
融点が20℃以上100℃未満の脂肪族アミン化合物(B)(以下、「アミン化合物(B)」ともいう)、
硬化触媒(C)、
可塑剤(D)及び
充填材(E)
を含み、
架橋性シリル基を有する変性重合体(A)が、架橋性シリル基を主鎖の末端に有し、かつポリオキシアルキレン骨格を主鎖に有する変性重合体(A1)(以下、「重合体(A1)」ともいう)、及び架橋性シリル基を主鎖の末端に有し、かつポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(A2)(以下、「重合体(A2)」ともいう)を含み、
脂肪族アミン化合物(B)が、イミノ基とアミノ基を有し、融点が55℃以上かつ80℃以下である脂肪族アミン化合物(B1)(以下「アミン化合物(B1)」ともいう)を含む。
その硬化性組成物は、シーリング材として好適に使用することができる。
【0020】
本明細書において、「少なくとも1個の架橋性シリル基を有する変性重合体(A)」(重合体(A))とは、「架橋性シリル基を主鎖の末端に有し、かつポリオキシアルキレン骨格を主鎖に有する変性重合体(A1)」(重合体(A1))、及び「架橋性シリル基を主鎖の末端に有し、かつポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(A2)」(重合体(A2))を含み、本発明が目的とする硬化性組成物を得ることができる限り特に制限されることはない。
【0021】
本明細書において「架橋性シリル基」とは、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、硬化触媒によって触媒される反応によって、シロキサン結合を形成して架橋し得る基をいう。「加水分解性基」とは、本発明が目的とする硬化性組成物を得ることができる限り、特に制限されることはなく、従来既知の加水分解性基であってよい。加水分解性基として、具体的には、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等を例示することができる。架橋性基は、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基が好ましく、加水分解性が穏やかで取り扱い易いので、アルコキシ基が特に好ましい。
【0022】
架橋性シリル基は、本発明が目的とする硬化性組成物を得ることができる限り、架橋性基以外の基を有してよく、架橋性基以外の基として、例えば、アルキル基を例示することができる。
架橋性シリル基として、より具体的には、例えば、トリアルコキシシリル基(トリメトキシシリル基及びトリエトキシシリル基等)、アルキルジアルコキシシリル基(メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基及びエチルジエトキシシリル基等)が特に好ましい。
【0023】
「重合体(A1)」とは、主鎖の末端に「架橋性シリル基」を有し、ポリオキシアルキレンでできている骨格(又はポリオキシアルキレンに由来する骨格)を主鎖に有し、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り特に制限されることはない。
重合体(A1)において「ポリオキシアルキレン骨格」とは、アルキレンオキサイドが重合して得られるポリアルキレンオキサイド(又はアルキレンオキサイド重合体)でできている骨格をいい、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
【0024】
重合体(A1)は、少なくとも1つの架橋性シリル基を(主鎖に)有し、2つまたは3つの架橋性シリル基を有することがより好ましく、2つの架橋性シリル基を有することが最も好ましい。
重合体(A1)が有する架橋性シリル基の数の平均値は、1.0~3.0であることが好ましく、1.5~2.5であることがより好ましく、1.7~2.3であることがさらに好ましい。
【0025】
「ポリオキシアルキレン」として、例えば、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド-エチレンオキサイド共重合体等を例示できる。なかでも入手が容易である点で、ポリプロピレンオキサイドが好ましい。
重合体(A1)として、数平均分子量が8000~50000であることが好ましく。20000~50000であることがより好ましい。
【0026】
重合体(A1)として、市販品を用いることができる。
このような重合体(A1)として、例えば、AGC(株)製のエクセスターシリーズ(ES-S2410やES-S4530(商品名)等)、カネカ(株)製のSAX-220(商品名)、SB820S(商品名)等を例示できる。
重合体(A1)は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0027】
「重合体(A2)」とは、主鎖の末端に「架橋性シリル基」を有し、ポリ(メタ)アクリレートでできている骨格(又はポリ(メタ)アクリレートに由来する骨格)を主鎖に有し、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り特に制限されることはない。
「ポリ(メタ)アクリレート骨格」とは、(メタ)アクリレート(又は(メタ)アクリル酸エステル)が重合して得られるポリ(メタ)アクリレート(又はポリ(メタ)アクリル酸エステル重合体)でできている骨格をいい、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
【0028】
重合体(A2)は、少なくとも1つの架橋性シリル基を(主鎖に)有し、2つまたは3つの架橋性シリル基を有することがより好ましく、2つの架橋性シリル基を有することが最も好ましい。
重合体(A2)が有する架橋性シリル基の数の平均値は、1.0~3.0であることが好ましく、1.5~2.5であることがより好ましく、1.7~2.3であることがさらに好ましい。
【0029】
重合体(A2)において「ポリ(メタ)アクリレート」として、例えば、(メタ)アクリレート(又は(メタ)アクリル酸エステル)が重合して得られるポリ(メタ)アクリレート(又は(メタ)アクリル酸エステル重合体)を例示することができる。
そのような(メタ)アクリレートとして、例えば、下記の化合物を例示することができる:
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ビフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
2-アミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基及び/又はイミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル;
ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第3級アミンを有する(メタ)アクリル酸エステル;
トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート等のハロゲンを有する(メタ)アクリル酸エステル。
これらの(メタ)アクリレートは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0030】
更に、上記ポリ(メタ)アクリレートは、上記繰り返し単位のほかに、これらと共重合性を有する単量体単位を含んでいてもよい。
そのような単量体として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシ基を含有する単量体単位;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド等のアミド基を含有する単量体単位;アミノエチルビニルエーテル、ポリオキシエチレンアクリレート、ポリオキシエチレンメタクリレートのようなエーテル結合を有する化合物等を含むことができる。
更に、アクリロニトリル、スチレン、α-メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に由来する単量体単位を含むことができる。
【0031】
更に、上記ポリ(メタ)アクリレートは、反応性シリル基を有する単量体単位を含むことができる。
反応性シリル基を有する単量体単位として、例えば、(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルメチルジエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルジメチルエトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルメチルジメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルジメチルメトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルメチルジエトキシシラン、2-(メタ)アクリロキシエチルジメチルエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルメチルジメトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジメチルメトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルトリエトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルメチルジエトキシシラン、4-(メタ)アクリロキシブチルジメチルエトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルメチルジメトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジメチルメトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルトリエトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルメチルジエトキシシラン、5-(メタ)アクリロキシペンチルジメチルエトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルメチルジメトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルジメチルメトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルメチルジエトキシシラン、6-(メタ)アクリロキシヘキシルジメチルエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類を例示できる。
【0032】
反応性シリル基を有する単量体単位として、例えば、メルカプトメチルジメチルメトキシシラン、メルカプトメチルジメチルエトキシシラン、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、メルカプトメチルメチルジエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、4-メルカプトブチルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類を例示することができる。
【0033】
上述のポリ(メタ)アクリレートの単量体組成は、本発明が目的とする硬化性組成物を得ることができる限り、適宜、選択することができる。
ポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことがより好ましい。
ポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことがより好ましい。
【0034】
重合体(A2)は、少なくともブチルアクレートに由来する骨格を有する重合体(A2-1)を含むことが好ましい。
この場合、硬化性組成物は、柔軟性がより増し、伸び性能がより向上するという、有利な効果を奏し得る。
重合体(A2)は、少なくともC13~19の脂肪族(メタ)アクリレートに由来する骨格を有する重合体(A2-2)を含むことが好ましい。
この場合、硬化性組成物は、後述する脂肪族アミン化合物(B)との相乗効果により貯蔵安定性後の耐汚染性により優れる傾向にあるという、有利な効果を奏し得る。
【0035】
重合体(A2)は、数平均分子量が3,000~100,000であることが好ましく、13,000~50,000であることがより好ましく、20,000~35,000であることが更に好ましい。
重合体(A2)の数平均分子量が3,000以上である場合、硬化性組成物の硬化物の物性(例えば、伸び及び強度等)を高めることができ、数平均分子量が100,000以下の場合、作業性を確保することが可能である(又は硬化性組成物を、より容易に、より効率的に塗工することができる)。
【0036】
アクリル系重合体(A2)の製造方法は、公知の方法を適宜利用することができ、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、特に制限されることはない。
例えば、後述する実施例で使用するアクリル系重合体(a2-2)~(a2-6)の製造方法は、それらを得られる限り、特に限定されず、公知の方法を適宜利用することができる。例えば、特許第4829107号(特許文献11)に記載の方法を参照できる。例えば、上記の単量体をラジカル重合により重合し、得られた重合体中に存在する末端アルケニル官能基に対して、ヒドロシラン化合物を反応させることで末端シリル基を有するアクリル系重合体(A2)を得ることができる。
【0037】
例えば、後述する実施例で使用するアクリル系重合体(a2-7)~(a2-8)の製造方法として、別の公知の方法を適宜利用することができる。例えば、特開2022-138640(特許文献12)に記載の方法を参照できる。例えば、反応性シリル基を有する(メタ)アクリル系モノマーとシリル基を有さない(メタ)アクリル系モノマーとを含む混合物を3段階で反応させる方法が提案されている。第一段階では、反応性シリル基を有するモノマーを比較的高濃度で存在させ、第二段階では、反応性シリル基を有するモノマーをゼロもしくは比較的低濃度で存在させ、第三段階では、反応性シリル基を有するモノマーを追加添加して反応させることで末端にシリル基を有するアクリル系重合体(A2)を得ることができる。
【0038】
例えば、後述する実施例で使用するアクリル系重合体(a2-9)~(a2-12)の製造方法として、更に別の公知の方法を適宜利用することができる。例えば、特開2022-64209(特許文献13)に記載の方法を参照できる。例えば、シリル基を有さない(メタ)アクリル系モノマーと反応性シリル基を有する(メタ)アクリル系モノマーと反応性シリル基を有するメルカプトシランを混合して反応させ、必要に応じて反応の最終段階で反応性シリル基を有する(メタ)アクリル系モノマーを追加することにより、末端シリル基を有するアクリル系重合体(A2)を得ることができる。
【0039】
アクリル系重合体(A)はリビングラジカル重合により製造されていてもよい。アクリル系重合体(A)はランダム共重合体またはブロック共重合体であってよい。
【0040】
重合体(A2)として、市販品を用いることができる。
このような重合体(A2)として、例えば、カネカ(株)製のSA-410S(商品名)、SB802S(商品名)を例示できる。
重合体(A2)は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0041】
尚、重合体(A1)及び(A2)は、少なくとも1つの架橋性シリル基を、主鎖の末端に有する。重合体(A1)及び(A2)が、架橋性シリル基をたとえ側鎖に有するとしても、後述する重合体(A3)に該当しない。即ち、後述する(A3)は、重合体(A1)及び(A2)を除く。
【0042】
本発明の実施形態において、重合体(A)は、重合体(A1)および重合体(A2)の他に、ペンダント型にぶら下がった(側鎖に)架橋性シリル基を有し、かつ、(メタ)アクリレートに由来する骨格を有する変性重合体(A3)(以下、「重合体(A3)」ともいう)を更に含むことができる。
【0043】
「重合体(A3)」において、「架橋性シリル基」と、「ポリ(メタ)アクリレート骨格」は、「重合体(A1)」及び「重合体(A2)」の欄にて、記載した通りである。
重合体(A3)は、「架橋性シリル基」が、側鎖に存在し、ペンダント型に主鎖と結合していることで、重合体(A2)と相違する。
重合体(A3)は、ペンダント型にぶら下がった(側鎖に)架橋性シリル基を有し、かつ、(メタ)アクリレートに由来する骨格を主鎖に有し、本願が目的とする硬化性組成物を得ることができる限り、特に制限されることはない。
重合体(A3)を含む場合、重合体(A1)に比べ硬化性組成物の硬化物の耐候性が向上し得、重合体(A2)と比べて粘度が低いため、硬化性組成物の作業性を向上し得るという有利な効果を奏し得る。即ち、耐候性と作業性を両立させるために、重合体(A3)を用いて、耐候性を維持しながら重合体(A2)の添加量を抑え、作業性を確保することが可能である。
【0044】
重合体(A3)のポリ(メタ)アクリレートの単量体組成は、本発明が目的とする硬化性組成物を得ることができる限り、適宜、選択することができる。
ポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含むことがより好ましい。
【0045】
重合体(A3)は、少なくともブチルアクレートに由来する骨格を(主成分として)有する重合体を含むことが好ましい。
この場合、硬化性組成物は、柔軟性がより増し、伸び性能がより向上するという、有利な効果を奏し得る。
重合体(A3)は、少なくともステアリルアクリレートなどの長鎖アルキル(例えば、炭素数13~19のアルキル、好ましくは、炭素数15~18のアルキル)に由来する骨格を有する重合体を含むことが好ましい。
この場合、硬化性組成物は、50℃貯蔵した組成物を使用したシーリング材組成物の汚染性を軽減するという、有利な効果を奏し得る。
【0046】
重合体(A3)は、数平均分子量が500~100,000であることが好ましく、1,000~50,000であることがより好ましく、2,000~17,000であることが更に好ましい。
【0047】
重合体(A3)として、市販品を用いることができる。
このような重合体(A3)として、例えば、東亜合成(株)製のARUFONシリーズのUS6100(商品名)、US-6150(商品名)等を例示できる。
重合体(A3)は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0048】
重合体(A1)~(A3)の合計が有する架橋性シリル基の数の平均値は、1.0~4.0であることが好ましく、1.3~3.0であることがより好ましく、1.5~2.5であることがさらに好ましい。
【0049】
重合体(A2)および(A3)に含有する(メタ)アクリレート骨格を有する重合体を、重合体(A)を100として、20~80の質量比で含むことが好ましく、25~75の質量比で含むことがより好ましく、40~70の質量比で含むことが更に好ましく、45~60の質量比で含むことが、更により好ましい。
(メタ)アクリレート骨格を有する重合体を、重合体(A)を100として、20~80の質量比で含む場合、本発明の実施形態の硬化性組成物は、耐候性により優れるという有利な効果を奏し得る。
【0050】
100質量部の重合体(A)中に、80~20質量部の変性重合体(A1)を含むことが好ましく、75~25質量部の変性重合体(A1)を含むことがより好ましく、60~30質量部の変性重合体(A1)を含むことが更に好ましく、55~40質量部の変性重合体(A1)を含むことが更により好ましい。
100質量部の重合体(A)中に、80~20質量部の変性重合体(A1)を含む場合、本発明の実施形態の硬化性組成物は、上述の発明の効果により優れ、作業性により優れるという有利な効果を奏し得る。
100質量部の重合体(A)中に、20~80質量部の変性重合体(A2)を含むことが好ましく、25~75質量部の変性重合体(A2)を含むことがより好ましく、40~70質量部の変性重合体(A2)を含むことが更に好ましく、45~60質量部の変性重合体(A2)を含むことが更により好ましい。
100質量部の重合体(A)中に、20~80質量部の変性重合体(A2)を含む場合、本発明の実施形態の硬化性組成物は、上述の発明の効果により優れ、耐候性により優れるという有利な効果を奏し得る。
【0051】
重合体(A)は、重合体(A3)を含むことができ、重合体(A1)~(A3)に関する重量比(重合体(A1)/(重合体(A2)+(A3)))は、80/20~20/80であることが好ましく、75/25~25/75であることがより好ましく、60/40~30/70であることが更に好ましく、55/45~40/60であることが、更により好ましい。
重合体(A1)~(A3)に関する重量比(重合体(A1)/(重合体(A2)+(A3)))は、80/20~20/80である場合、本発明の実施形態の硬化性組成物は、耐候性及び作業性により優れるという有利な効果を奏し得る。
【0052】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、重合体(A)を、硬化性組成物全体を100質量%として、15~65質量%含むことが好ましく、18~50質量%含むことがより好ましく、22~45質量%含むことが更に好ましく、26~40質量%含むことが更により好ましい。
重合体(A)を、硬化性組成物全体を100質量%として、15~65質量%含む場合、本発明の実施形態の硬化性組成物は、強度および伸びにより優れるという有利な効果を奏し得る。
【0053】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、融点が20℃以上100℃未満の脂肪族アミン化合物(B)(以下、「アミン化合物(B)」という)を含み、アミン化合物(B)は、イミノ基とアミノ基を有し、融点が55℃以上かつ80℃以下である脂肪族アミン化合物(B1)(以下、「アミン化合物(B1)」ともいう)を含むことが好ましい。
本明細書において、「アミン化合物(B)」とは、脂肪族炭化水素中の少なくとも1つの炭素原子が、窒素原子で置換された化合物であって、その融点が20℃以上100℃未満である化合物をいい、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り特に制限されることはない。
アミン化合物(B)について、「脂肪族炭化水素化合物」とは、炭素と水素からなる化合物であって、飽和でも不飽和でもよく、鎖状でも環状でも、直鎖状でも分枝状でもよいが、芳香族炭化水素を含まない。
【0054】
本明細書において、「アミン化合物(B1)」とは、アミノ基とイミノ基を有し、融点が55℃以上80℃以下の化合物をいい、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り特に制限されることはない。
本明細書において、「アミノ基」とは、-NH2で表される1価の基をいい、上述の脂肪族炭化水素中の1つの炭素原子と結合した炭素原子を、窒素原子で置き換えて得ることができる。「イミノ基」とは、-NH-で表される2価の基をいい、上述の脂肪族炭化水素中の2つの炭素原子と結合した炭素原子を、窒素原子で置き換えて得ることができる。
【0055】
アミン化合物(B1)は、下記式(B1-1)で表される化合物を含むことが好ましい:
式(B1-1):R12-NH-R11-NH2
〔式(B1-1)中、R11は、炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基を示す。R12は、炭素数20~24の1価の脂肪族炭化水素基を示す。]
本発明の実施形態の硬化性組成物は、当該アミン化合物(B1-1)を含む場合、50℃で貯蔵(又は保管)した硬化性組成物を使用して得られるシーリング材組成物の汚染性をより軽減することができる(又は耐汚染性をより向上することができる)という有利な効果を奏する。
【0056】
上記式(B1-1)においてR11で示される「炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基」として、例えば、炭素数1~5の直鎖または分岐状のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、2-エチルトリメチレンなど)、炭素数2~5の直鎖または分岐状のアルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1-メチルビニレン基、1-メチルプロペニレン基、2-メチルプロペニレン基、1-メチルペンテニレン基、3-メチルペンテニレン基、1-エチルビニレン基、1-エチルプロペニレン基など)、炭素数2~5の直鎖または分岐状のアルキニレン基(例えば、エチニレン基、1-プロピニレン基、1-ブチニレン基、1-ペンチニレン基、1-ヘキシニレン基、2-ブチニレン基、2-ペンチニレン基、1-メチルエチニレン基、3-メチル-1-プロピニレン基、3-メチル-1-ブチニレン基など)を例示できる。
R11は、アミノ基とイミノ基という2つの極性基に挟まれた疎水性の構造であり、本アミン化合物(B1-1)の分極性を発揮させる構造であることから、R11は、炭素数1~5の直鎖または分岐状のアルキレン基であることが好ましく、特にトリメチレン基であることが好ましい。
【0057】
上記式(B1-1)においてR12で示される「炭素数20~24の1価の脂肪族炭化水素基」として、例えば、ベヘニル基、エイコシル基(又はエイコサン基)、ヘンイコシル基(又はヘンイコサン基、ヘンティコサン基)、ドコシル基(又はドコサン基)、トリコシル基(又はトリコサン基)、テトラコシル基(又はテトラコサン基)のようなアルキル基;ドコサエニル基(又はドコサエン基)のようなアルケニル基;およびそれらの異性体などを例示できる。
式(B1-1)は、極性基と疎水基を有する分極できる構造であり、その中でR12は、より疎水性を強調できる構造であることから、R12は、炭素数20~24の直鎖のアルキル基が好ましく、特にベヘニル基が好ましい。
【0058】
アミン化合物(B1)として、より具体的には、ベヘニルプロピレンジアミン(融点:60℃)、エイコサンプロピレンジアミン、テトラコサンプロピレンジアミン等を例示することができ、ベヘニルプロピレンジアミンが特に好ましい。
アミン化合物(B1)は、単独又は組み合わせて使用することができる。
アミン化合物(B1)は、市販品を使用することができる。
【0059】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、イミノ基とアミノ基を有し、融点が20℃以上かつ55℃未満の脂肪族アミン化合物(B2)(以下、「アミン化合物(B2)」ともいう)、及び/又は融点が20℃以上かつ65℃未満の脂肪族アミン化合物(B3)(以下、「アミン化合物(B3)」ともいう)をさらに含むことができる。
本明細書において、「アミン化合物(B2)」とは、アミノ基とイミノ基を有し、融点が20℃以上55℃未満の化合物をいい、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り特に制限されることはない。「アミノ基」と「イミノ基」は、上述の通りである。
【0060】
アミン化合物(B2)は、下記式(B2-1)で表される化合物を含むことが好ましい:
式(B2-1):R22-NH-R21-NH2
〔式(B2-1)中、R21は、炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基を示す。R22は、炭素数14~19の1価の脂肪族炭化水素基を示す。]
本発明の実施形態の硬化性組成物は、当該アミン化合物(B2-1)を含む場合、耐汚染性により優れるという有利な効果を奏する。
【0061】
上記式(B2-1)においてR21で示される「炭素数1~5の2価の脂肪族炭化水素基」として、例えば、炭素数1~5の直鎖または分岐状のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、2-エチルトリメチレンなど)、炭素数2~5の直鎖または分岐状のアルケニレン基(例えば、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、1-メチルビニレン基、1-メチルプロペニレン基、2-メチルプロペニレン基、1-メチルペンテニレン基、3-メチルペンテニレン基、1-エチルビニレン基、1-エチルプロペニレン基など)、炭素数2~5の直鎖または分岐状のアルキニレン基(例えば、エチニレン基、1-プロピニレン基、1-ブチニレン基、1-ペンチニレン基、1-ヘキシニレン基、2-ブチニレン基、2-ペンチニレン基、1-メチルエチニレン基、3-メチル-1-プロピニレン基、3-メチル-1-ブチニレン基など)を例示できる。
R21は、アミノ基とイミノ基という2つの極性基に挟まれた疎水性の構造であり、本アミン化合物(B2-1)の分極性を発揮させる構造であることから、R21は、炭素数1~5の直鎖または分岐状のアルキレン基であることが好ましく、特にトリメチレン基であることが好ましい。
【0062】
上記式(B2-1)においてR22で示される「炭素数14~18の1価の脂肪族炭化水素基」として、例えば、ステアリル基、ミリスチル基、パルミチル基のようなアルキル基;オレイル基のようなアルケニル基などを例示できる。
式(B2-1)は、極性基と疎水基を有する分極できる構造であり、その中でR22は、炭素数14~18の直鎖または分岐状のアルキル基であることが好ましく、特にステアリル基であることが好ましい。
【0063】
アミン化合物(B2)として、より具体的には、牛脂アルキルプロピレンジアミン、硬化牛脂アルキルプロピレンジアミン、オレイルプロピレンジアミンなどを例示できる。より具体的には、例えば、ライオン(株)製のデュオミンCD(C8~18アルキル-NH-C3H6-NH2)(融点:15-30℃)、デュオミンT(C14~18アルキル-NH-C3H6-NH2)(融点:30-40℃)、デュオミンHT(C14~18アルキル-NH-C3H6-NH2)(融点:30-50℃)、日油(株)製のニッサンアミンDOB-R(C18H35-NH-C3H6-NH2;オレイルプロピレンジアミン)(融点:約20℃)、硬化牛脂プロピレンジアミン(日油(株)製のニッサンアミンDT-H、凝固点:40~42℃)等を例示できる。
アミン化合物(B2)は、単独又は組み合わせて使用することができる。
アミン化合物(B2)は、市販品を使用することができる。
【0064】
本明細書において、「アミン化合物(B3)」とは、融点が20℃以上かつ65℃未満の脂肪族アミン化合物をいい、上述のアミン化合物(B1)及び(B2)を除くアミン化合物であり、本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り特に制限されることはない。
本発明の実施形態の硬化性組成物は、アミン化合物(B3)を含む場合、耐汚染性により優れるという有利な効果を奏し得る。
【0065】
そのようなアミン化合物(B3)として、例えば、1,12-ドデカンジアミン、1,10-デカンジアミン(融点:59~64℃)、1,8-オクタンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン等のジアミン化合物、ベヘニルアミン(融点:55~65℃)、ラウリルアミン(融点:28℃)、ステアリルアミン(融点:53℃)等のモノアミン化合物などの脂肪族アミン化合物を例示できる。これらのアミン化合物は、従来公知の方法にしたがって製造することができる。市販品を使用してもよい。
アミン化合物(B3)は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
【0066】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の硬化性組成物に対して、0.1~10質量部の脂肪族アミン化合物(B)を含むことが好ましく、0.3~5質量部の脂肪族アミン化合物(B)を含むことがより好ましく、0.5~3質量部の脂肪族アミン化合物(B)を含むことが更に好ましい。
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の重合体(A)に対して、0.1~10質量部の脂肪族アミン化合物(B)を含む場合、耐汚染性により優れるという有利な効果を奏し得る。
【0067】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の脂肪族アミン化合物(B1)に対して、脂肪族アミン化合物(B2)及び脂肪族アミン化合物(B3)の合計を、5~200質量部含んでよく、10~100質量部含んでよく、20~70質量部含んでよく、30~60質量部含んでよい。
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の脂肪族アミン化合物(B1)に対して、脂肪族アミン化合物(B2)及び脂肪族アミン化合物(B3)の合計を、5~200質量部含む場合、50℃で14日間静置後の耐汚染性がより良好であるという有利な効果を奏し得る。
【0068】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、硬化触媒(C)を含む。本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、硬化触媒は特に制限されることはなく、硬化性組成物に使用される公知の硬化触媒を使用することができる。
硬化触媒として、例えば、ジオクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビスエトキシシリケート、ジオクチル錫オキサイド等の錫系触媒やテトライソプロピルチタネート、テトラn-ブチルチタネートおよびこれらの部分加水分解縮合物、チタンジイソプロピルビスアセチルアセテート、チタンジイソプロピルビスエチルエチルアセトアセテート等のチタン系触媒等を例示できる。
【0069】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の硬化性組成物に対して、0.05~3質量部の硬化触媒(C)を含むことが好ましく、0.08~2.5質量部の硬化触媒(C)を含むことがより好ましく、0.1~1.5質量部の硬化触媒(C)を含むことが更に好ましく、0.15~1質量部の硬化触媒(C)を含むことが更により好ましい。
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の重合体(A)に対して、0.05~3質量部の硬化触媒(C)を含む場合、塗布及びへらならし作業の時間を確保しつつ、適切に硬化する作業性(又は塗布作業性)を有するという有利な効果を奏し得る。
【0070】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、可塑剤(D)を含む。本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、可塑剤は特に制限されることはなく、硬化性組成物に使用される公知の可塑剤を使用することができる。
可塑剤として、例えば、無官能性アクリルポリマー等のアクリル酸エステル系可塑剤、フタル酸ジエステル類、エポキシ化ヘキサヒドロフタル酸ジエステル類、アルキレンジカルボン酸ジエステル類、アルキルベンゼン類、ポリアルキレングリコール等を例示できる。
【0071】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の硬化性組成物に対して、3~40質量部の可塑剤(D)を含むことが好ましく、6~35質量部の可塑剤(D)を含むことがより好ましく、8~30質量部の可塑剤(D)を含むことが更に好ましく、10~25質量部の可塑剤(D)を含むことが更により好ましい。
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の重合体(A)に対して、3~40質量部の可塑剤(D)を含む場合、塗布作業性により優れるという有利な効果を奏し得る。
【0072】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、充填材(E)を含む。本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、充填材(E)は特に制限されることはなく、硬化性組成物に使用される公知の充填材(E)を使用することができる。
充填材として、例えば、重質炭酸カルシウム、脂肪酸処理炭酸カルシウム、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、タルク、酸化チタン等を例示できる。
【0073】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の硬化性組成物に対して、5~65質量部の充填材(E)を含むことが好ましく、10~60質量部の充填材(E)を含むことがより好ましく、20~55質量部の可塑剤(D)を含むことが更に好ましく、30~50質量部の充填材(E)を含むことが更により好ましい。
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の重合体(A)に対して、5~65質量部の充填材(E)を含む場合、たれを生じ難いという性質(耐たれ性)により優れるという有利な効果を奏し得る。
【0074】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、アミノ基とシリル基を有するシランカップリング剤及び/又はケチミノ基とシリル基を有するシランカップリング剤(F)(以下、「シランカップリング剤」ともいう)を、更に含むことができる。本発明が目的とする硬化性組成物を得られる限り、シランカップリング剤(F)は特に制限されることはなく、硬化性組成物に使用される公知のシランカップリング剤(F)を使用することができる。
シランカップリング剤(F)のシリル基は、トリエトキシもしくはメチルジエトキシを含むことが好ましい。
シランカップリング剤(F)として、例えば、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン等を例示することができる。
【0075】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の硬化性組成物に対して、0.1~5質量部のシランカップリング剤(F)を含むことが好ましく、0.5~3質量部のシランカップリング剤(F)を含むことがより好ましく、0.8~2質量部のシランカップリング剤(F)を含むことが更に好ましい。
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の重合体(A)に対して、0.1~5質量部のシランカップリング剤(F)を含む場合、基剤との接着性により優れるという有利な効果を奏し得る。
【0076】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、上記の各成分に加えて、通常の硬化性組成物に使用される種々の添加剤を含むことができる。そのような添加剤として、例えば、着色剤、有機溶剤、密着剤、老化防止剤、揺変剤、水分保給剤、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤、酸化防止剤、耐汚染性向上剤、貯蔵安定性向上剤等を例示することができる。
【0077】
着色剤として、例えば、ベンガラ、酸化チタン、カーボンブラック、他の着色顔料、染料等を例示できる。
有機溶剤として、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、リグロイン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、n-ヘキサン、ヘプタン、イソパラフィン系高沸点溶剤等を例示できる
密着剤として、例えば、エポキシ化合物等を例示できる。
【0078】
老化防止剤として、例えば、ヒンダードフェノール類、メルカプタン類、スルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、チオアルデヒド類等を例示できる。
揺変剤として、例えば、コロイダルシリカ、有機ベントナイト、脂肪酸アマイド、ポリアマイドワックス、水添ひまし油等を例示することができる。
水分保給剤として、例えば、水、無機塩類の水和物等を例示することができる。
紫外線吸収剤・光安定剤として、例えば、ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等を例示することができる。
酸化防止剤として、例えば、ヒンダードフェノール類等を例示することができる。
耐汚染性向上剤として、フッ素化合物を例示することができる。
貯蔵安定性向上剤として、ビニルシランを例示することができる。
【0079】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、100質量部の硬化性組成物に対して、0.01~5質量部の種々の添加剤を含んでよく、0.1~3質量部の種々の添加剤を含んでよく、0.2~2質量部の種々の添加剤を含んでよい。
【0080】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、上述の重合体(A)から必要成分を全て含む一液型組成物であってよく、上記重合体(A)、アミン化合物(B)等を含む主材と、硬化触媒(C)等を含む硬化材からなる二液型組成物であってよく、更に、(A)から(E)以外の、例えば着色剤等を含む場合、その別の成分を分離して含む三液型組成物であってよい。本発明の実施形態の硬化性組成物は、一液型組成物として使用したとしても、安定性に優れる。
【0081】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、通常の温度で硬化することができるが、好ましくは5~50℃の範囲で硬化させることができる。
【0082】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、種々の用途に使用することができる、例えば、建築用シーリング材、自動車、電器、土木用のシーリング材、その他接着剤、塗料、コーティング材、ポッティング材、成形物等に使用することができる。
本発明の実施形態の硬化性組成物は、特に建築用シーリング材として、好適に使用することができる。建築用シーリング材として、場合に有効であり、例えば、マット調仕上げ塗装外壁用、ゆず肌仕上げ塗装外壁用または砂岩調塗装外壁用のシーリング材として好適に使用することができる。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、重量部及び重量%の基準としている。
【0084】
本実施例で使用した成分を以下に示す。
(A)少なくとも1つの架橋性シリル基を有する変性重合体
(A1)架橋性シリル基を末端に有し、ポリオキシアルキレン骨格を有する変性重合体
(a1-1)メチルジメトキシシリル基を末端に有し、ポリオキシプロピレン骨格を主鎖に有する変性重合体(AGC(株)製のエクセスター ES-S4530(商品名))
(a1-2)トリメトキシシリル基を末端に有し、ポリオキシプロピレン骨格を主鎖に有する変性重合体(カネカ(株)製のSAX-220(商品名))
【0085】
(A2)架橋性シリル基を末端に有し、ポリ(メタ)アクリレート骨格を有する変性重合体
(a2-1)メチルジメトキシシリル基を末端に有し、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(カネカ(株)製のSA410S(商品名))
(a2-2)メチルジメトキシ架橋性シリル基を末端に有し、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(エチルアクリレート/ブチルアクリレート/ステアリルアクリレート=7.5/75/17.5(モル比))、Mn=28000、平均官能基数f=2
(a2-3)メチルジメトキシ架橋性シリル基を末端に有し、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(ブチルアクリレート=100%)
【0086】
(a2-4)トリメトキシシリル基を末端に有し、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/ステアリルアクリレート=5/80/15)、Mn=36000、平均官能基数f=2
(a2-5)トリエトキシシリル基を末端に有し、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(エチルアクリレート/ブチルアクリレート/ステアリルアクリレート=7.5/75/17.5)、Mn=30000、平均官能基数f=2
(a2-6)メチルジエトキシシリル基を末端に有し、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/ステアリルアクリレート=5/80/15)、Mn=25000、平均官能基数f=2
(2a-7)トリメトキシシリルプロピルメタ(アクリレート)に基づく末端を有し、側鎖又はもう一つの末端にトリメトキシシリル基を有する、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(エチルアクリレート/ブチルアクリレート/ステアリルアクリレート=7.5/75/17.5)、Mn=24000、平均官能基数f=2
【0087】
(2a-8)メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートに基づく末端を有し、側鎖又はもう一つの末端にメチルジメトキシシリル基を有する、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(エチルアクリレート/ブチルアクリレート/ステアリルアクリレート=7.5/75/17.5)、Mn=30000、平均官能基数f=2
(2a-9)メチルジメトキシシリルプロピルチオールに基づく末端を有し、側鎖又はもう一つの末端にメチルジメトキシシリル基を有する、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(エチルアクリレート/ブチルアクリレート/ステアリルアクリレート=7.5/75/17.5)、Mn=30000、平均官能基数f=2
(2a-10)トリメトキシシリルプロピルチオールに基づく末端を有し、側鎖又はもう一つの末端にトリメトキシシリル基を有する、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート=5/80/15)、Mn=30000、平均官能基数f=2
(2a-11)メチルジメトキシシリルプロピルチオールに基づく末端を有し、側鎖又はもう一つの末端にトリメトキシシリル基を有する、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート=5/80/15)、Mn=30000、平均官能基数f=2
(2a-12)トリメトキシシリルプロピルチオールに基づく末端を有し、側鎖又はもう一つの末端にメチルジメトキシシリル基を有する、ポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体(エチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2-エチルヘキシルアクリレート=7.5/75/17.5)、Mn=30000、平均官能基数f=2
【0088】
(A3)架橋性シリル基を側鎖に有し、ポリ(メタ)アクリレート骨格を有する変性重合体
(a3-1)トリメトキシシリル基を側鎖に有し、メチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートからなるポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体、重量平均分子量2,500、1分子あたりのシリル基の平均個数:1
東亜合成(株)製のARUFON US-6100(商品名)を使用した。ARUFON US-6100(商品名)は、(a3-1)変性重合体を20質量%含み、無変性のメチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートからなるポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する重合体を80質量%含む。この無変性(無官能性)重合体を(d3)として示す。
(a3-2)トリメトキシシリル基を側鎖に有し、メチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートの共重合体(メチルメタクリレート成分の含有量:25重量%、n-ブチルアクリレート成分の含有量:75重量%)からなるポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する変性重合体、重量平均分子量7,000、1分子あたりのシリル基の平均個数:1
東亜合成(株)製のARUFON US-6150(商品名)を使用した。ARUFON US-6150(商品名)は、(a3-2)変性重合体を30質量%含み、無変性のメチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートからなるポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する重合体を70質量%含む。この無変性(無官能性)重合体を(d4)として示す。
【0089】
(B)融点が20℃以上100℃未満の脂肪族アミン化合物
(B1)イミノ基とアミノ基を有し、融点が55℃以上80℃以下である脂肪族アミン化合物
(b1-1)ベヘニルプロピレンジアミン(日油(株)製のニッサンアミンDV、融点:60℃)
(B2)イミノ基とアミノ基を有し、融点が20℃以上55℃未満である脂肪族アミン化合物
(b2-1)硬化牛脂プロピレンジアミン(日油(株)製のニッサンアミンDT-H、融点:40~42℃)
【0090】
(B3)融点が20℃以上65℃未満である脂肪族アミン化合物((B1)と(B2)を除く)
(b3-1)デカンジアミン(融点:59~64℃)
(b3-2)ベヘニルアミン(日油(株)製のニッサンアミンVB-S、融点:55~65℃)
(b3-3)ラウリルアミン(日油(株)製のニッサンアミンBB、融点:28℃)
(b3-4)ステアリルアミン(日油(株)製のニッサンアミンAB、融点:53℃)
【0091】
(C)硬化触媒
(c1)ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)(日東化成(株)製のネオスタンU-303(商品名))
(D)可塑剤
(d1)無官能性アクリルポリマー、重量平均分子量2,500(東亜合成(株)製のUP-1110(商品名))
(d2)ポリプロピレングリコール(AGC(株)製のエクセノール3020(商品名))
(d3)無官能性アクリルポリマー(東亜合成(株)製のARUFON US-6100(商品名)に含まれる無官能性のメチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートからなるポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する重合体)
(d4)無官能性アクリルポリマー(東亜合成(株)製のARUFON US-6150(商品名)に含まれる無官能性のメチルメタクリレート及びn-ブチルアクリレートからなるポリ(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有する重合体)
【0092】
(E)充填剤
(e1)炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製のカルファイン500(商品名))
(F)アミノ基又はケチミノ基を有するシランカップリング剤
(f1)N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製のKBM-603(商品名))
(f2)3-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製のKBE-903(商品名))
(f3)3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン(信越化学工業(株)製のKBE-9103P(商品名))
(X)その他
(x1)ビニルシラン(信越化学工業(株)製のKBE-1003(商品名))
(x2)紫外線吸収剤(BASFジャパン製のチヌビン326(商品名))
(x3)フッ素化合物(セイミケミカル製のサ―フロンKH-40(商品名))
【0093】
数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)
各重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、下記条件でポリスチレン換算して算出した。
装置:GPC-8220(東ソー製)
カラム:TSKgel G7000HXL/7.8mmID×1本+TSKgel GMHXL/7.8mmID×2本+TSKgel G2500HXL/7.8mmID×1本(全て東ソー製)
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/min
濃度:1.5mg/mL
注入量:300μL
カラム温度:40℃
【0094】
これらの成分を表2~5に示す割合で配合し、実施例1~25及び比較例1~11の硬化性組成物を製造した。
上述の硬化性組成物の硬化物の各々について、耐汚染性、耐候性、初期伸び(%)、初期破断強度(MPa)、加熱後の伸び率(%)、加熱後の破断強度(MPa)を、下記の方法で測定し、評価した。結果を表2~5に示す。
【0095】
耐汚染性A
硬化性組成物をハイバリアカートリッジ(株式会社昭和丸筒製のハイバリアカートリッジ(商品名))内で、23℃で14日間保管した。
耐汚染性は、JSIA 003:2011“建築用シーリング材に施工された仕上げ塗材の促進汚染性試験方法”日本シーリング材工業会発行に準じて評価した。
但し、B型試験体を用い、バリアプライマーおよび仕上げ塗材は使用しなかった。
硬化剤組成物の養生条件は、23℃、50%RHで7日間であった。
試験は、以下の方法で行った。
50℃で14日間、試験体と桜島火山灰を静置した。
その後、試験体の目地を水平にして、火山灰を試験体に均一に振りかけて5分間静置した。試験体の目地を垂直にして、刷毛で数回払った後、試験体の表面の汚れを目視にて観察した。JIS L 0805に記載の見本のグレースケールと試験体表面を比較して、1~5で採点した。
評価基準を以下に示す。
5:汚染無及び火山灰の付着が無いためとても良い
4:良い
3:不十分
2:悪い
1:汚染有り及び火山灰付着多いためとても悪い
【0096】
耐汚染性B
硬化性組成物をハイバリアカートリッジ(株式会社昭和丸筒製のハイバリアカートリッジ(商品名))内で、23℃で14日間保管した。
耐汚染性Aで記載した方法と同様の方法を用いて、B型試験体を得た。硬化性組成物の養生条件は23℃、50%RHで7日間であった。
桜島火山灰とその試験体を、屋外で南面(30°の傾斜を有する)暴露台に設置して、3か月間、屋外で暴露した。
その後、耐汚染性Aで記載した方法と同様の方法を用いて、試験体表面に、桜島火山灰を散布して、耐汚染性Bを評価した。評価基準は同じであった。
【0097】
耐汚染性C
硬化性組成物をハイバリアカートリッジ内で、50℃で30日間保管したことを除いて、耐汚染性Aで記載した方法と同様の方法を用いて、B型試験体を得た。硬化性組成物の養生条件は23℃、50%RHで7日間であった。
桜島火山灰とその試験体を、屋外で南面(30°の傾斜を有する)暴露台に設置して、3か月間、屋外で暴露した。
その後、耐汚染性Aで記載した方法と同様の方法を用いて、試験体表面に、桜島火山灰を散布して、耐汚染性Cを評価した。評価基準は同じであった。
【0098】
耐候性
JIS A 6063に記載の陽極酸化アルミニウム板(幅40mm×長さ40mm×厚み3mm)に硬化性組成物を打設した。打設サイズは幅40mm×長さ30mm×厚み5mmであった。23℃、50%RHの条件で、14日間養生して、試験体を得た。
試験体を、岩崎電機製アイスーパーUV SUV-W262(商品名)にセットして、500時間光照射した。光照射95分ごとに、120秒間水を噴射した。光照射の条件は、下記表1に示した。
【0099】
【表1】
目視にて試験体を観察した。評価基準は、下記のとおりである。
〇:亀裂無し
△:僅かに亀裂有り(微細亀裂0.5mm以下は存在し得る。)
×:明確な亀裂有り
【0100】
伸び及び破断強度
伸び及び(最大)破断強度はJIS A 1439に記載の「5.3 引張特性試験」に準じて評価した。
JIS A 5052Pに記載の陽極酸化アルミニウム板を用いて、
図1に示すようなISO形試験体を作製した。
被着体の接着面をIPA(イソプロピルアルコール)で清掃後、プライマー(サンスター技研(株)製のプライマーUD-EX(商品名))を塗布し(2往復塗布)、23℃、65%RHで、オープンタイムを1時間であった。
硬化性組成物の打設サイズは幅10mm×深さ8mm×長さ50mmであった。
初期伸び及び初期破断強度は、硬化性組成物を打設後、23℃50%RHで14日養生後、測定した。
加熱後の伸び及び破断強度は、硬化性組成物を打設後、23℃50%RHで14日養生後、更に、120℃で10日間養生後、測定した。
その後、50mm/minの引張速度にて測定を行い、50%引張応力(M50)、最大引張応力(Tmax)、最大荷重時の伸び(Emax)を求め破壊状態を記録した。尚、試験体数は、N=3であった。
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
実施例1~25の硬化性組成物は、(A1)ポリオキシアルキレン骨格を主鎖に有し、架橋性シリル基を主鎖の末端に有する、変性重合体、(A2)(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有し、架橋性シリル基を主鎖の末端に有する、変性重合体、(B1)アミノ基とイミノ基を有し、55℃以上80℃以下の融点を有する、脂肪族アミン化合物などを含むので、耐汚染性、耐候性、伸び、破断強度のいずれもバランスよく優れる。
【0106】
比較例1~11の硬化性組成物は、(A1)ポリオキシアルキレン骨格を主鎖に有し、架橋性シリル基を主鎖の末端に有する、変性重合体、(A2)(メタ)アクリレート骨格を主鎖に有し、架橋性シリル基を主鎖の末端に有する、変性重合体、(B1)アミノ基とイミノ基を有し、55℃以上80℃以下の融点を有する、脂肪族アミン化合物のいずれか1つを含まないので、耐汚染性、耐候性、伸び、破断強度のいずれかに劣る。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の実施形態の硬化性組成物は、特定の2種類の変性重合体(A1)及び(A2)、特定の脂肪族アミン化合物(B1)、硬化触媒(C)、可塑剤(D)及び充填材(E)を含む。本発明の実施形態の硬化性組成物は、室温より高温で長期保管(例えば、50℃で30日間保管)後に使用したとしても、硬化後に、伸び、破断強度、及び耐汚染性について、バランスの良い性質を示す。