(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】シート給送装置、画像読取装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/06 20060101AFI20241007BHJP
B65H 3/46 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B65H3/06 340D
B65H3/46 D
(21)【出願番号】P 2023094606
(22)【出願日】2023-06-08
(62)【分割の表示】P 2019007228の分割
【原出願日】2019-01-18
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三田村 哲幸
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-45301(JP,A)
【文献】特開2006-232453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/06
B65H 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1位置から前記第1位置よりも上方の第2位置へ移動可能であり、シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを搬送する搬送部材と、
前記搬送部材に圧接してニップ部を形成し、該ニップ部において前記搬送部材が搬送するシートを一枚ずつに分離する分離部材と、
前記分離部材の一部を覆う第3位置と、前記第3位置から退避した第4位置とに移動可能な
分離カバーと、
を備え、
前記
分離カバーが前記第4位置に位置する状態において、前記積載部が前記第1位置から前記第2位置に移動する際に、前記積載部が前記
分離カバーに当接して前記
分離カバーが前記第4位置から前記第3位置に移動することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記
分離カバーは、回動自在に支持されていることを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記
分離カバーが前記第3位置に位置するとき、前記
分離カバーを前記第4位置から前記第3位置へ向かう方向に付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記
分離カバーが前記第4位置に位置するとき、前記付勢部材は、前記
分離カバーを前記第3位置から前記第4位置へ向かう方向に付勢することを特徴とする請求項3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
シートを積載するための積載部と、
前記積載部に積載されたシートを給送する給送部材であって、前記積載部に積載されたシートから離間した第1位置と、前記積載部に積載されたシートに当接してシートを給送可能な第2位置とに移動可能な給送部材と、
前記給送部材によって給送されたシートを搬送する搬送部材と、
前記搬送部材に圧接してニップ部を形成し、該ニップ部において前記搬送部材が搬送するシートを一枚ずつに分離する分離部材と、
前記分離部材の一部を覆う第3位置と、前記第3位置から退避した第4位置とに移動可能な
分離カバーと、
を備え、
前記給送部材が前記第1位置から前記第2位置に移動するのに連動して、前記第4位置に位置する前記
分離カバーが前記第3位置に移動することを特徴とするシート給送装置。
【請求項6】
前記
分離カバーを、前記第4位置から前記第3位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、
前記
分離カバーに係合して、前記
分離カバーの前記第4位置から前記第3位置へ移動を規制する規制部と、
を備え、
前記給送部材が前記第1位置から前記第2位置に移動する際、前記給送部材が前記第4位置に位置する前記
分離カバーに当接することで、前記
分離カバーと前記規制部との係合が解除され、前記
分離カバーは前記付勢部材の付勢力によって前記第4位置から前記第3位置に移動することを特徴とする請求項5に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記規制部は、前記
分離カバーが係合する係合孔であり、
前記
分離カバーは、前記給送部材と当接することで、前記係合孔における前記
分離カバーの移動が規制される位置から移動が許容される位置に移動し、前記付勢部材の付勢力によって前記係合孔に案内されながら前記第4位置から前記第3位置に移動することを特徴とする請求項6に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記積載部は、前記搬送部材によるシートの搬送方向の下流端部に凹凸部を有し、
前記
分離カバーは、前記搬送方向の上流端部に凹凸部を有し、
前記
分離カバーが前記第4位置に位置するとき、前記積載部の前記凹凸部と、前記
分離カバーの前記凹凸部は互い違いに配置されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項9】
シートを積載するための積載部と、
前記積載部に積載されたシートを搬送する搬送部材と、
前記搬送部材に圧接してニップ部に形成し、該ニップ部において前記搬送部材が搬送するシートを一枚ずつに分離する分離部材と、
装置本体に対して開閉可能に支持され、前記装置本体に対して開いて前記分離部材を露出させる第1位置と、前記装置本体に対して閉じた第2位置との間を移動可能な開閉部材と、
前記分離部材の一部を覆う第3位置と、前記第3位置から退避した第4位置とに移動可能な
分離カバーと、
を備え、
前記開閉部材が前記第1位置から前記第2位置に移動するのに連動して、前記第4位置に位置する前記
分離カバーが前記第3位置に移動することを特徴とするシート給送装置。
【請求項10】
前記
分離カバーを、前記第4位置から前記第3位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、
前記
分離カバーに係合して、前記
分離カバーの前記第4位置から前記第3位置へ移動を規制する規制部と、
を備え、
前記開閉部材が前記第1位置から前記第2位置に移動する際、前記開閉部材が前記規制部に当接することで、前記
分離カバーと前記規制部との係合が解除され、前記
分離カバーは前記付勢部材の付勢力によって前記第4位置から前記第3位置に移動することを特徴とする請求項9に記載のシート給送装置。
【請求項11】
前記積載部は、前記搬送部材によるシートの搬送方向の下流端部に凹凸部を有し、
前記
分離カバーは、前記搬送方向の上流端部に凹凸部を有し、
前記
分離カバーが前記第4位置に位置するとき、前記積載部の前記凹凸部と、前記
分離カバーの前記凹凸部は互い違いに配置されることを特徴とする請求項9又は10に記載のシート給送装置。
【請求項12】
前記分離部材を着脱可能に保持する保持部を有し、
前記分離部材は、前記
分離カバーが前記第4位置に位置する状態において、前記保持部から取り外すことが可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項13】
前記分離部材は、分離ローラと、前記分離ローラの回転軸と、ユーザに把持される把手部を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項14】
シートの画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部に向けてシートを給送する請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に向けてシートを給送する請求項1乃至13のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いてシートに画像を形成する電子写真複写機、レーザビームプリンタなどの画像形成装置や、スキャナなどの画像読取装置に好適なシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート給送装置においては、給送されたシートを搬送するフィードローラと、フィードローラに圧接してフィードローラと共にニップ部を形成し、ニップ部においてフィードローラに搬送されるシートを一枚に分離する分離ローラを有する構成が知られている。
【0003】
このようなシート給送装置を継続的に使用する場合、分離ローラの摩耗や、シートから発生する紙粉が分離ローラに付着するのに伴い、ユーザやメンテナンスを行う作業者によって分離ローラが交換されることがある。ここで特許文献1では、カバー部材を移動させた後、分離ローラを交換する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の構成では、分離ローラの交換後、カバー部材を移動し忘れた状態でシートの給送が行われる場合が想定される。この場合、シートの搬送パス側に突出したカバー部材や分離ローラの回転軸にシートが引っ掛かり、シートが詰まってジャムが発生するおそれがある。
【0006】
そこで本発明はこのような現状に鑑み、分離ローラの交換時にカバー部材を移動させ忘れた場合でも、シートのジャムが発生することを抑制することができるシート給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るシート給送装置の代表的な構成は、第1位置から前記第1位置よりも上方の第2位置へ移動可能であり、シートが積載される積載部と、前記積載部に積載されたシートを搬送する搬送部材と、前記搬送部材に圧接してニップ部を形成し、該ニップ部において前記搬送部材が搬送するシートを一枚ずつに分離する分離部材と、前記分離部材の一部を覆う第3位置と、前記第3位置から退避した第4位置とに移動可能な分離カバーと、を備え、前記分離カバーが前記第4位置に位置する状態において、前記積載部が前記第1位置から前記第2位置に移動する際に、前記積載部が前記分離カバーに当接して前記分離カバーが前記第4位置から前記第3位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シート給送装置において、分離部材の交換時に分離カバーを移動させ忘れた場合でも、シートのジャムが発生することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】ADFのシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】ADFの画像読み取り時の制御を示すフローチャートである。
【
図4】分離ローラの交換時のADFの断面図である。
【
図5】分離ローラの交換時のADFの斜視図である。
【
図9】分離ローラの交換時のADFの断面図である。
【
図10】分離ローラの交換時のADFの斜視図である。
【
図13】分離ローラの交換時のADFの断面図である。
【
図14】分離ローラの交換時のADFの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
<画像読取装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係るシート給送装置を備える画像読取装置の全体構成を図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
図1は、画像読取装置Aの断面概略図である。ここで
図1(a)は、原稿トレイ6が後述する待機位置に位置する状態を示し、
図1(b)は、原稿トレイ6が後述する給送位置に位置する状態を示す。
【0012】
図1に示す様に、画像読取装置Aは、リーダ200と、ADF100から構成される。ADF100は、シートSを自動で搬送しながらシートSの画像を読み取る装置である。ADF100は、リーダ200に対して不図示のヒンジにより回動自在に支持されている。
【0013】
リーダ200は、原稿であるシートSの画像を読み取る第一スキャナユニット202(画像読取部)と、シートSを載置する第一ガラス板201と、第一ガラス板201と副走査方向に並んで配置された原稿台ガラス209を有する。第一スキャナユニット202は、不図示のモータの駆動力により駆動することで、第一ガラス板201の下方の位置と原稿台ガラス209の下方の位置との間を移動する。
【0014】
リーダ200で画像を読み取る際は、まず原稿台ガラス209上にシートSを載置する。次に、第一スキャナユニット202が移動しながら原稿台ガラス209を介してシートSの画像読取面に光を走査し、反射光をイメージセンサで受光してシートSの画像データを読み取る。なお、原稿台ガラス209へのアクセスは、ADF100を回動させて上方に開放することで可能となる。
【0015】
ADF100は、第一スキャナユニット202よりもシートSが搬送される搬送パスHの下流側でシートSの画像を読み取る第二スキャナユニット205(画像読取部)を備える。第二スキャナユニット205は、シートSの画像読取面に光を走査し、反射光をイメージセンサで受光してシートSの画像データを読み取る。
【0016】
またADF100は、シートSを積載する原稿トレイ6(積載部)と、原稿トレイ6に積載されたシートSをピックアップして給送するピックローラ41(給送ローラ)を備える。また原稿トレイ6に積載されたシートSを搬送するフィードローラ42(搬送ローラ)と、フィードローラ42に圧接して分離ニップ部に形成し、分離ニップ部においてフィードローラ42が搬送するシートを一枚に分離する分離ローラ5を備える。またフィードローラ42によって搬送され、分離ローラ5によって一枚に分離されたシートSを搬送するフィードローラ対4(4a~4d)を備える。原稿トレイ6、ピックローラ41、フィードローラ42、分離ローラ5等は、シートSを給送するシート給送装置300を構成する。
【0017】
原稿トレイ6は、トレイ支持軸6aに回動自在に支持されている。また原稿トレイ6の下方には、リフタ駆動軸63aに軸支されたリフタ63が設けられている。リフタ駆動モータ84の駆動力によってリフタ駆動軸63aが回転すると、これに伴ってリフタ63が時計周りに回動し、リフタ63が原稿トレイ6に当接する。リフタ63がさらに回動すると、原稿トレイ6がトレイ支持軸6aを中心に回動し、原稿トレイ6の先端部が上昇する。原稿トレイ6の先端部が上昇すると、原稿トレイ6に積載されたシートSがピックローラ41に当接し、ピックローラ41によるシートSの給送が可能となる。
【0018】
このように原稿トレイ6は、原稿トレイ6に積載されたシートSとピックローラ41とが離間する待機位置(第1位置)から、原稿トレイ6に積載されたシートSをピックローラ41に当接させる給送位置(第2位置)との間を回動して移動する。リフタ63は、原稿トレイ6を待機位置から給送位置に移動させる移動手段である。
【0019】
ピックローラ41は、ピックアーム46に支持されている。ピックアーム46は、フィードローラ42を軸支する回転軸45に対して回動可能に支持されており、不図示のカムの回転によって回動が制御されている。また回転軸45は、外装カバーである開閉カバー2に回転可能に支持されている。つまり開閉カバー2は、回転軸45を介して、ピックローラ41やフィードローラ42を支持している。またピックアーム46は、不図示のバネによって下方へ常時付勢されている。この付勢力により、原稿トレイ6が給送位置に位置するとき、ピックローラ41は原稿トレイ6上のシートSに圧接する。なお、ピックアーム46の回動動作に関しては後述する。
【0020】
また開閉カバー2(開閉部材)は、ADF100の支持軸2aに対して回動自在に支持されており、ADF100の装置本体に対して開いた開位置と、閉じた閉位置との間を回動して移動する(
図4参照)。開閉カバー2は、開位置に位置するときに搬送パスHを開放し、閉位置に位置するときに搬送パスHを閉鎖する。また開閉カバー2の内部には、原稿トレイ6に積載されたシートSの最上面を検出する、フォトインタラプタである原稿検出センサ89が設けられている。原稿検出センサ89は、ピックアーム46に形成されたフラグ43とともに用いられる。原稿検出センサ89の具体的な検出動作については後述する。
【0021】
分離ローラ5は、回転軸5aに回転可能に軸支されている。また回転軸5aには、不図示のトルクリミッタが取り付けられている。トルクリミッタは、分離ローラ5のシートSの給送時の回転方向と逆方向のトルクを分離ローラ5に作用させる。分離ローラ5は、このトルクによってシートSを一枚ずつに分離する。また分離ローラ5の回転軸5aは、分離カバー3(カバー部材)によって覆われている。分離カバー3については後述する。
【0022】
ADF100によりシートSの画像を読み取る際は、まず原稿トレイ6に積載されたシートSをピックローラ41により給送し、分離ローラ5によって1枚に分離させながら、フィードローラ42により搬送パスHに搬送する。搬送パスHに搬送されたシートSは、上ガイド9と下ガイド7によってガイドされながら、フィードローラ対4a~4cによって第一ガラス板201上に搬送される。
【0023】
次に、第一スキャナユニット202が第一ガラス板201を介してシートSに光を照射し、シートSの第一面の画像を読み取る。その後、ユーザからシートSの第二面を読み取る指示がされている場合、第二スキャナユニット205によりシートSの第二面の画像が読み取られる。その後、シートSは、排出ローラ対17によって排出部18に排出される。
【0024】
<制御部>
次に、ADF100の制御部の構成について説明する。
【0025】
図2は、ADF100のシステム構成を示すブロック図である。
図2に示す様に、ADF100の制御部は、CPU81、ROM82、RAM83から構成される。ROM82には、制御プログラムが格納される。RAM83には、入力データや作業用データが格納される。CPU81は、ROM82に記憶されたプログラムに基づいて、RAM83を作業領域として利用しながら各種の演算処理を行う。
【0026】
また制御部80には、リフタ駆動軸63aを回転駆動させる駆動源となるリフタ駆動モータ84と、ピックローラ41、フィードローラ42、フィードローラ対4の駆動源となる搬送駆動モータ85が接続されている。また制御部80には、ピックアーム46の回動を制御する不図示のカムの駆動源となるカム駆動モータ86が接続されている。
【0027】
また制御部80には、搬送パスセンサ87、開閉センサ88、原稿検出センサ89、トレイセンサ90が接続されている。トレイセンサ90は、原稿トレイ6に積載されたシートSを検出する。開閉センサ88は、開閉カバー2が閉位置に位置することを検出する。
【0028】
搬送パスセンサ87は、搬送パスH内に設けられ、搬送パスHに搬送されるシートSを検出する。搬送パスセンサ87により検出されたシートSの搬送情報は、RAM83に一時保存される。制御部80は、RAM83に一次保存された搬送情報に基づいて、搬送駆動モータ85の駆動タイミングなどを微調整し、ADF100によるシートSの搬送速度制御を行う。
【0029】
<画像読み取りシーケンス>
次に、ADF100によるシートSの画像読み取りシーケンスについて、
図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0030】
図3に示す様に、まず制御部80は、開閉センサ88によって開閉カバー2が閉位置にあることを検出し、トレイセンサ90によって原稿トレイ6に積載されたシートSを検出する(S1、S2)。次に制御部80は、ユーザからシートSの画像読み取り指令を受信すると、カム駆動モータ86とリフタ駆動モータ84を駆動させて、ピックアーム46を下降させ、原稿トレイ6の先端部を上昇させる(S3~S5)。
【0031】
ピックアーム46の下降に伴い、ピックアーム46に形成されたフラグ43も下降する。このようにフラグ43が下降することで、フラグ43によって遮られていた原稿検出センサ89の発光素子の光が受光素子に検出されるようになる。このように原稿検出センサ89の受光素子が光を検出する時、制御部80はシートSの紙面の検出なしと判定する。
【0032】
その後、ピックアーム46と共に下降するピックローラ41と、上昇する原稿トレイ6に積載されたシートSは当接する。原稿トレイ6は、ピックローラ41と原稿トレイ6に積載されたシートSとが当接した後も上昇し続ける。これによりピックアーム46は下降を停止し、原稿トレイ6に積載されたシートSに押し上げられて原稿トレイ6と共に上昇する。
【0033】
その後、ピックアーム46に形成されたフラグ43が、原稿検出センサ89の発光素子の光を遮光する位置まで到達する。このように原稿検出センサ89の受光素子の光が遮られた時、制御部80はシートSの紙面の検出ありONと判定する(S6)。次に制御部80は、原稿トレイ6を所定量上昇させて、ピックローラ41がシートSを給送するのに適した位置に原稿トレイ6を配置し、原稿トレイ6の停止させる(S7)。このように原稿トレイ6が待機位置から給送位置に移動される。
【0034】
次に制御部80は、搬送駆動モータ85を駆動させてシートSの給送を開始し、シートSの画像の読み取り動作を開始する(S8)。原稿トレイ6に積載されたシートSは、画像の読み取り動作が行われる度に給送されて最上面の高さが下がっていく。これに伴い、ピックアーム46がピックローラ41やフラグ43と共に下がっていく。制御部80は、フラグ43が原稿検出センサ89の発光素子の光を遮光できない位置まで下がると、紙面の検出なしと判定し、リフタ駆動モータ84を駆動させて原稿トレイ6を再び上昇させる(S9、S10)。
【0035】
次に、シートSの画像の読み取り動作が継続され、最終的に原稿トレイ6に積載されたシートSが無くなる。制御部80は、トレイセンサ90の検出結果から原稿トレイ6上にシートSが無くなったことを検出し、搬送駆動モータ85を停止させ、シートSの画像の読み取り動作を終了させる(S11、S12)。
【0036】
その後、制御部80は、リフタ駆動モータ84を駆動させ、原稿トレイ6の先端部を下降させて待機位置に移動させる(S13)。また制御部80は、カム駆動モータ86を駆動させてピックアーム46を上昇させる(S14)。これにより画像読み取りシーケンスが終了する。
【0037】
<分離ローラの交換について>
分離ローラ5には、フィードローラ42やシートSによるシートSの搬送方向の力と、不図示のトルクリミッタによるシートSの搬送方向と反対方向の力が作用する。従って、シートSの搬送方向の力のみ作用するフィードローラ対4などと比較して摩耗しやすく、ADF100の製品寿命より短い期間で新品への交換が必要となる場合が多い。そこで次に、分離ローラ5の交換動作について説明する。
【0038】
図4、
図5は、分離ローラ5の交換時のADF100の断面図と斜視図である。
図4、
図5に示す様に、分離ローラ5を交換する際、交換を行う作業者は、まず開閉カバー2を閉位置から開位置に移動させる。これにより搬送パスHが開放され、分離ローラ5を取り出すための空間が確保されると共に、分離カバー3や分離ローラ5が露出する。
【0039】
分離カバー3は、分離カバー軸3aに回動自在に支持され、分離ローラ5の回転軸5aを覆うと共にシートSを分離ニップ部にガイドするカバー位置と、分離ローラ5の回転軸5aを露出させる退避位置との間を回動して移動可能に構成されている。また分離カバー3は、画像の読み取り時などの通常動作時はカバー位置に位置している。
【0040】
分離カバー3は、カバー位置から退避位置に移動する際、シートSの搬送方向の上流側に回動する。このため、分離カバー3を退避位置に移動させる際に、原稿トレイ6に積載されたシートS(特に名刺などの幅狭のシートS)が搬送パスHに進入することを抑制することができる。なお、原稿トレイ6の先端部には、退避位置に位置する分離カバー3が配置される空間64が設けられている。このため、原稿トレイ6にシートSが積載されていても、分離カバー3をカバー位置から退避位置に移動させることができる。
【0041】
次に作業者は、分離カバー3をカバー位置から退避位置に移動させる。これにより分離ローラ5の回転軸5aが露出し、分離ローラ5の回転軸5aの端部に設けられた把手部51が露出する。作業者は、露出した把手部51を把持し、分離ローラ5を回転軸5aと共に分離ホルダ52から取り外し、新たな分離ローラ5を分離ホルダ52に装着する。その後、作業者は、分離カバー3を退避位置からカバー位置へ移動させ、開閉カバー2を開位置から閉位置へ移動させる。これにより分離ローラ5の交換作業が終了する。
【0042】
なお、分離カバー3は、次の構成により、カバー位置に位置する時、退避位置からカバー位置に向かう方向に付勢され、退避位置に位置する時、カバー位置から退避位置に向かう方向に付勢されている。
【0043】
図6(a)は、分離カバー3の周囲の斜視図であり、分離カバー3をシートSの搬送方向の下流側且つ下方から見たときの斜視図である。
図6(b)は、分離カバー3の周囲の断面図である。なお、
図6では、分離ローラ5は省略されている。
【0044】
図6に示す様に、分離カバー3に形成されたバネ掛け部3bと、シートSをガイドする下ガイド7に形成されたバネ掛け部72には、引っ張りバネであるバネ8が吊架されている。分離カバー3が退避位置に位置するとき、バネ掛け部3bは、分離カバー軸3aよりもシートSの搬送方向の下流側に位置する。これによりバネ8の付勢力は、
図3(b)に示す矢印MO方向のモーメントを発生させ、分離カバー3はカバー位置から退避位置に向かう方向に付勢される。
【0045】
これに対して分離カバー3がカバー位置に位置するとき、バネ掛け部3bは、分離カバー軸3aよりもシートSの搬送方向の上流側に位置する。これによりバネ8の付勢力は、
図3(b)に示す矢印Mc方向のモーメントを発生させ、分離カバー3は退避位置からカバー位置に向かう方向に付勢される。
【0046】
<分離カバーと原稿トレイ>
分離カバー3を交換した後、分離カバー3を退避位置からカバー位置に移動させ忘れる場合が想定される。分離カバー3が退避位置に位置する状態でシートSが給送されると、シートSが分離ローラ5の回転軸5aなどに引っ掛かってジャムを発生させるおそれがある。そこで本実施形態では、原稿トレイ6が待機位置から給送位置に移動する動作に連動して、退避位置に位置する分離カバー3をカバー位置に移動させる。以下、この動作について説明する。
【0047】
図7は、ADF100の断面図であり、原稿トレイ6が待機位置から給送位置に移動する動作に連動して、退避位置に位置する分離カバー3がカバー位置に移動する動作を
図7(a)~
図7(c)の順に示した図である。
【0048】
まず
図7(a)に示す様に、分離カバー3が退避位置に位置する状態で、制御部80がリフタ駆動モータ84を駆動させると、原稿トレイ6の先端部が上昇して、待機位置から給送位置への移動が開始される。これにより原稿トレイ6の先端部が分離カバー3に当接する。
【0049】
次に
図7(b)に示す様に、原稿トレイ6の先端部がさらに上昇すると、原稿トレイ6によって分離カバー3が下から上に押圧され、分離カバー3が退避位置からカバー位置に向かって分離カバー軸3aを中心に回動を開始する。
【0050】
次に
図7(c)に示す様に、原稿トレイ6の先端部がさらに上昇すると、分離カバー3もさらに回動し、最終的にカバー位置に移動する。このような構成により、原稿トレイ6の待機位置から給送位置への移動に連動して、退避位置に位置する分離カバー3をカバー位置させることができる。従って、分離カバー3を閉じ忘れたことに起因するシートSのジャムを抑制することができる。
【0051】
また上述したシーケンスの通り、原稿トレイ6が待機位置から給送位置へ移動する際、ピックアーム46は下降する。ここでピックアーム46には凹部46aが形成されている。分離カバー3は、原稿トレイ6の移動に連動して退避位置からカバー位置に移動する際、凹部46aを通ってカバー位置へ移動するため、分離カバー3とピックアーム46は互いに干渉しない。従って、両者が干渉して分離カバー3の移動が妨げられることや、ピックアーム46が押し上げられることを抑制することができる。
【0052】
また上述した通り、分離カバー3がカバー位置に位置するとき、分離カバー3はバネ8の付勢力によって退避位置からカバー位置に向かう方向に付勢されている。このため、分離カバー3がカバー位置に移動した後に原稿トレイ6が当接した場合に、分離カバー3が退避位置に移動することを抑制することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、制御部80は、ADF100によるシートSの画像の読み取り枚数が所定枚数に達したタイミングで、分離ローラ5の交換が必要な旨を不図示の操作部に表示してユーザに通知する。しかし本発明はこれに限られず、例えば搬送パスセンサ87によって分離ローラ5を通過する区間の搬送情報を監視して、搬送レベルが所定以下になったタイミングで通知する構成としてもよい。また搬送駆動モータ85に流れる電流の値などから搬送パフォーマンスを判定し、パフォーマンスレベルが所定以下になったタイミングで通知する構成としてもよい。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るシート給送装置を備える画像読取装置の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の図面、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図8は、本実施形態に係る画像読取装置Aの断面概略図である。
図8に示す様に、本実施形態では、原稿トレイ6は回動せずに固定支持された構成である。このため、シートSを給送する際は、上述した方法によってピックアーム46を下降させてピックローラ41を原稿トレイ6上のシートSに当接させる。つまりピックローラ41は、原稿トレイ6に積載されたシートSから離間した待機位置(第1位置)と、待機位置から下降して原稿トレイ6に積載されたシートSに当接してシートSを給送可能な給送位置(第2位置)との間を移動する。
【0056】
なお、本実施形態では、リフタ63や原稿検出センサ89は設けられていない。従って、
図3に示す画像読み取りシーケンスにおいて、原稿検出センサ89を用いた工程(S6、S9)や原稿トレイ6を移動させる工程(S5、S7、S10、S13)は行われず、その他の工程が行われる。
【0057】
図9、
図10は、分離ローラ5の交換時のADF100の断面図と斜視図である。
図9、
図10に示す様に、分離ローラ5を交換する際は、開閉カバー2を閉位置から開位置に移動させ、分離カバー3をカバー位置から退避位置に移動させる。これにより搬送パスHを開放させ、分離ローラ5や分離カバー3を露出させる。
【0058】
本実施形態では、分離カバー3はシートSの搬送方向に沿ってスライド移動することでカバー位置と退避位置との間を移動する。分離カバー3には、円形状のボス3c、3dが設けられている。ボス3c、3dは、下ガイド7に形成されたL字形状のガイド孔7a(係合孔)と直線形状のガイド孔7b(係合孔)にそれぞれ係合する。これにより分離カバー3は、ガイド孔7a、7bに案内されながら、シートSの搬送方向の上流側の退避位置と下流側のカバー位置との間をスライド移動する。
【0059】
またボス3cと下ガイド7のバネ掛け部702には、引っ張りバネであるバネ83(付勢部材)が吊架されている。バネ83は、ボス3cをシートSの搬送方向の下流側、且つ、下方(
図9に示す矢印Fs方向)に付勢する。分離カバー3がカバー位置から退避位置に移動する際、ボス3cはガイド孔7aにおけるシートSの搬送方向の下流端部から上流端部に移動した後、バネ83による下方への付勢力によって、ガイド孔7aの下端部である規制部7a1に移動する。このように分離カバー3のボス3cがガイド孔7aの規制部7a1に係合することで、ボス3cのシートSの搬送方向の移動が規制され、分離カバー3の退避位置からカバー位置への移動が規制される。
【0060】
また分離ローラ5を保持する分離ホルダ52(保持部材)は、支持部52aに揺動可能に支持されており、不図示のバネによって上方に付勢されている。そして分離ホルダ52は、分離カバー3がカバー位置から退避位置へ移動するのに連動して、分離カバー3との接触による上方への移動の規制が解除され、支持部52aを中心に搬送パスH側に揺動する。これにより作業者は、分離ホルダ52にアクセスしやすくなり、分離ローラ5の着脱を行いやすくなる。
【0061】
また分離カバー3のシートSの搬送方向の上流端部と、原稿トレイ6のシートSの搬送方向の下流端部は、それぞれ櫛歯状の櫛歯部3e、6b(凹凸部)となっており、両者は互い違いに配置される。これにより分離ローラ5の回転軸線方向から見た時に、退避位置に位置する分離カバー3と原稿トレイ6がオーバーラップする。このような構成によりシート搬送方向における分離カバー3と原稿トレイ6との間の距離を近づけることができる。従って、分離カバー3がカバー位置に位置する時、分離カバー3と原稿トレイ6の間の領域にシートSが挟まってシートSがダメージを受けることを抑制できる。
【0062】
また本実施形態では、ピックローラ41が待機位置から給送位置に移動する動作に連動して、退避位置に位置する分離カバー3をカバー位置に移動させる。以下、この動作について説明する。
【0063】
図11は、ADF100の断面図であり、ピックローラ41が待機位置から給送位置に移動する動作に連動して、退避位置に位置する分離カバー3がカバー位置に移動する動作を
図11(a)、
図11(b)の順に示した図である。
【0064】
図11に示す様に、まず分離カバー3が退避位置に位置する状態で、開閉カバー2が閉位置にあることを開閉センサ88が検出し、原稿トレイ6に積載されたシートSをトレイセンサ90が検出し、ユーザからシートSの読み取り指令を受信する。これにより制御部80がカム駆動モータ86を駆動させ、ピックローラ41の待機位置から給送位置への移動が開始される。
【0065】
次に、ピックローラ41は、退避位置に位置する分離カバー3と接触する。このとき、ピックローラ41は、ボス3dよりもシートSの搬送方向の上流側で分離カバー3と接触する。なお、原稿トレイ6に積載されたシートSの配置によっては、ピックローラ41はシートSを介して分離カバー3と接触する。これにより分離カバー3には、搬送駆動モータ85のトルクと、ピックローラ41(ピックアーム46含む)の自重により生じる力との合力である
図11(b)に示す矢印Fp方向の力が作用する。
【0066】
このように分離カバー3に作用した力は、分離カバー3を
図11(b)に示す矢印Mp方向(時計方向)に回動させるモーメントを生じさせる。このモーメントにより、ボス3cはバネ83の下方への付勢力に抗してガイド孔7a内を規制部7cから上方に移動し、分離カバー3(ボス3c)の規制部7cへの係合が解除される。これによりボス3cの退避位置からカバー位置への移動が許容される。
【0067】
次に、ボス3cはバネ83の付勢力により、ガイド孔7aに沿ってシートSの搬送方向の下流側から上流側へ移動する。これに伴ってボス3dもガイド孔7bに沿ってシートSの搬送方向の下流側から上流側へ移動する。これにより分離カバー3が退避位置からカバー位置へ移動する。このような構成により、ピックローラ41の待機位置から給送位置への移動に連動して、退避位置に位置する分離カバー3をカバー位置に移動させることができる。従って、分離カバー3を閉じ忘れたことに起因するシートSのジャムを抑制することができる。
【0068】
なお、ピックローラ41と分離カバー3が接触した状態で、ピックローラ41を回転させると、この回転による摩擦力は分離カバー3を退避位置からカバー位置に移動させる方向の力として分離カバー3に作用する。この摩擦力によって分離カバー3を退避位置からカバー位置に移動させることも可能である。
【0069】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例として、AFD100にシャッタ22を設ける構成について説明する。
【0070】
図12は、変形例に係る画像読取装置Aの断面概略図である。
図12に示す様に、変形例に係るADF100は、シャッタ22を有する。シャッタ22は、開閉カバー2に支持されている。また変形例に係るADF100は、ピックアーム46を回動させる不図示のカムは設けられておらず、開閉カバー2が開位置に移動する際に、ピックアーム46は開閉カバー2の支持が解除されて垂れ下がる構成となっている。
【0071】
シャッタ22は、開閉カバー2が閉位置に位置するとき、シートSの搬送方向のピックローラ41とフィードローラ42との間の位置に配置され、ピックアーム46の不図示の突起に引っ掛かって略鉛直方向に起立する姿勢となる。これによりシャッタ22は、原稿トレイ6に積載されたシートSの先端が搬送パスHへ進入することを規制する。
【0072】
ここで開閉カバー2の開位置への移動に伴ってピックアーム46が下方に垂れ下がると、ピックアーム46に支持されたピックローラ41も下方に移動する。このとき、ピックローラ41が退避位置に位置する分離カバー3に当接する。これにより第2実施形態と同様のメカニズムによって分離カバー3が退避位置からカバー位置に移動する。このように変形例の構成においても、ピックローラ41の下降動作に連動して分離カバー3を退避位置からカバー位置に移動させることができ、シートSのジャムを抑制することができる。
【0073】
(第3実施形態)
次に、本発明に係るシート給送装置を備える画像読取装置の第3実施形態について図を用いて説明する。第1実施形態、第2実施形態と説明の重複する部分については、同一の図面、同一の符号を付して説明を省略する。
【0074】
図13、
図14は、分離ローラ5の交換時のADF100の断面図と斜視図である。
図13、
図14に示す様に、本実施形態に係るADF100は、第2実施形態の構成に対して、L字状のガイド孔7aを無くし、その代わりに係止部材900を設ける構成である。ボス3cは、ガイド孔7aが無いため、バネ83を引っ掛ける部分として機能する。その他の構成は、第2実施形態の構成と概ね同じである。
【0075】
係止部材900(規制部)は、支持部900aに上下方向に揺動可能に支持されており、圧縮コイルバネであるバネ902によって上方に付勢されている。また係止部材900は、分離カバー3に係合する係合部900cと、搬送パスH側に突出し、開閉カバー2の接触部2bと接触する接触アーム900pを有する。
【0076】
分離カバー3が退避位置に位置する時、係止部材900の係合部900cは、分離カバー3の引っ掛け部3fに引っ掛かるように係合する。換言すれば、分離カバー3は、係止部材900の係合部900cに係合する。これにより係止部材900は、分離カバー3のシートSの搬送方向への移動を規制し、分離カバー3の退避位置からカバー位置への移動を規制する。
【0077】
また本実施形態では、開閉カバー2が開位置(第1位置)から閉位置(第2位置)に移動する動作に連動して、退避位置に位置する分離カバー3をカバー位置に移動させる。以下、この動作について説明する。
【0078】
図15は、ADF100の断面図であり、開閉カバー2が開位置から閉位置に移動する動作に連動して、退避位置に位置する分離カバー3がカバー位置に移動する動作を
図15(a)、
図15(b)の順に示した図である。
【0079】
図15に示す様に、開閉カバー2の開位置から閉位置への移動を開始させると、開閉カバー2の接触部2bと接触アーム900pとが接触する。そこから開閉カバー2をさらに閉位置に向かって移動させると、開閉カバー2の接触部2bによって接触アーム900pが下方に押し込まれる。これにより係止部材900が支持部900a中心に下方に揺動し、係合部900cも下方に移動する。この係合部900cの移動により、分離カバー3の引っ掛け部306と係合部900cとの係合が解除され、分離カバー3の退避位置からカバー位置への規制が解除される。
【0080】
分離カバー3の退避位置からカバー位置への規制が解除されると、バネ83の付勢力によって、分離カバー3が退避位置からカバー位置に移動する。このような構成により、開閉カバー2の開位置から閉位置への移動に連動して、退避位置に位置する分離カバー3をカバー位置させることができる。従って、分離カバー3を閉じ忘れたことに起因するシートSのジャムを抑制することができる。
【0081】
なお、係止部材900を付勢するバネ902の付勢力は、接触アーム900pを介して開閉カバー2に作用する。従って、バネ902の付勢力を、開閉カバー2を閉位置で保持する力より弱く設定することが望ましい。これにより開閉カバー2が意図せず閉位置から開位置に移動することを防止することができる。
【0082】
なお、第1~第3実施形態では、画像読取装置AのADF100において、画像を読み取る画像読取部である第一スキャナユニット202に向けてシートSを給送するシート給送装置300について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、画像形成装置において、画像を形成する画像形成部に向けてシートを給送するシート給送装置に本実施形態の構成を適用しても上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0083】
2…開閉カバー(開閉部材)
3…分離カバー(カバー部材)
3e…櫛歯部(カバー部材の凹凸部)
5…分離ローラ
5…回転軸(分離ローラの回転軸)
6…原稿トレイ(積載部)
6b…櫛歯部(積載部の凹凸部)
7a…ガイド孔(係合孔)
7b…ガイド孔(係合孔)
7c…規制部
41…ピックローラ(給送ローラ)
42…フィードローラ(搬送ローラ)
63…リフタ(移動手段)
83…バネ(付勢部材)
52…分離ホルダ(保持部材)
202…第一スキャナユニット(画像読取部)
205…第二スキャナユニット(画像読取部)
300…シート給送装置
900…係止部材(規制部)
A…画像読取装置
S…シート