(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241007BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241007BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B41J29/38 104
G03G21/00 398
H04N1/00 885
H04N1/00 912
(21)【出願番号】P 2023095290
(22)【出願日】2023-06-09
(62)【分割の表示】P 2022020968の分割
【原出願日】2013-11-07
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】山水 大史
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-109196(JP,A)
【文献】特開2004-222234(JP,A)
【文献】特開2008-119899(JP,A)
【文献】特開2003-233276(JP,A)
【文献】特開2011-197222(JP,A)
【文献】特開2013-020048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
前記画像形成装置の感光ドラムを回転させるモータと、
情報を表示する表示部と、
非接触で人を検知可能な人感センサと、
スキャナ駆動部を有するスキャナと、
前記表示部にコピー機能を選択するための指示部及び前記コピー機能以外の特定の機能を選択するための指示部が表示されていない状態で前記人感センサの検知に従って、前記表示部に少なくとも前記コピー機能を選択するための前記指示部及び前記コピー機能以外の特定の機能を選択するための前記指示部を表示させる表示制御手段と、
前記コピー機能を選択するための前記指示部の操作に基づき、コピーを開始するための指示部を操作することなく、前記モータを駆動させる駆動手段と、
トレイに原稿が置かれたことを検知したことに基づき、前記スキャナ駆動部を駆動させる制御手段と、
前記コピー機能を選択するための指示部を操作した後、前記コピーを開始するための指示部の操作に基づき、記録媒体に画像を形成する形成手段と
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記特定の機能はファックス機能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記コピー機能を選択するための前記指示部の操作に基づき、前記コピー機能を使用可能な状態になるように前記モータを駆動させることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記コピー機能を選択するための前記指示部の操作に従っては、前記
コピー機能は実行されない、ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記人感センサは、赤外線を受信する赤外線センサであることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記人感センサは、前記画像形成装置に人が接近したことを検知可能なセンサであることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コピー機能以外の特定の機能を選択するための前記指示部は、ファックス指示部であり、前記ファックス指示部の操作に従っては、前記モータを駆動させないことを特徴とする請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
感光ドラムを回転させるモータと情報を表示する表示部と非接触で人を検知可能な人感センサとスキャナ駆動部を有するスキャナを有する画像形成装置の制御方法であって、
前記表示部にコピー機能を選択するための指示部及び前記コピー機能以外の特定の機能を選択するための指示部が表示されていない状態で前記人感センサの検知に従って、前記表示部に少なくとも前記コピー機能を選択するための前記指示部及び前記コピー機能以外の特定の機能を選択するための前記指示部を表示させる表示制御ステップと、
前記コピー機能を選択するための前記指示部の操作に基づき、コピーを開始するための指示部を操作することなく、前記モータを駆動させる駆動ステップと、
トレイに原稿が置かれたことを検知したことに基づき、前記スキャナ駆動部を駆動させる制御ステップと、
前記コピー機能を選択するための指示部を操作した後、前記コピーを開始するための指示部の操作に基づき、記録媒体に画像を形成する形成ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置を省電力状態から復帰させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリントやスキャンなどの機能が実行されていないときに、当該機能を実行するプリント部やスキャナ部(以下、適宜プリンタ部等と略記する)への電力供給が停止される省電力状態に移行する画像形成装置が知られている。そして、画像形成装置が省電力状態の場合に、ユーザによる復帰ボタンの押下などの復帰要因が検知されると、プリント部やスキャナ部に電力が供給される。
【0003】
しかしながら、復帰要因が検出された場合であっても、必ずしもプリント部等を使用するとは限らない。例えば、スキャンした原稿の画像データを画像形成装置のメモリに格納する場合には、プリンタ部に電力を供給する必要がない。つまり、復帰要因が検出された場合に、全てのデバイスに電力を供給すると、必要のないデバイスにまで電力が供給されてしまう。
【0004】
そこで、使用される機能を実行するデバイスに電力を供給し、使用されない機能を実行するデバイスには電力が供給されないように制御する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示される画像形成装置では、省電力状態を解除する要因に応じて、どのデバイスに電力を供給するかを判断する。具体的には、特許文献1では、外部機器からの印刷要求信号を受信した場合には、プリントを行うためにプリント部に電力を供給するがスキャナ部には電力を供給しない。また、スキャナ部に原稿が置かれたことがセンサによって検知された場合には、スキャナ部に電力が供給されるがプリント部には電力が供給されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した引用文献1では、プリンタ部等の使用が確定しない場合には、プリンタ部等へは電力が供給されない。具体的には、操作部に設けられる復帰ボタンが操作された場合には、プリントやスキャンの機能を使用するか確定していないので、プリント部等へは電力が供給されない。その後、プリントやスキャンの機能を使用することが確定したときに、当該機能を実行するために必要なデバイスに電力が供給される(特許文献1の段落0038)。すなわち、特許文献1では、プリントやスキャンの機能の使用が確定されるまでは、プリンタ部等には電力が供給されない。このため、ユーザは、プリンタ部やスキャナ部等への電力が安定されるまでの時間、プリンタ部やスキャナ部をリセットする時間、前記プリンタ部やスキャナ部の準備動作(駆動系(モータ類)の駆動)を行う時間などを、待たなくてはならない。
【0008】
一方、プリントやスキャンの機能を使用するか確定していない状態で、プリンタ部等の準備動作を実行すると、当該プリンタ部等が使用されなかった場合に、当該準備動作に伴う電力が無駄に消費されてしまう。さらに、プリンタ部等が使用されなかった場合に、デバイスの準備動作に伴う騒音が発生してしまうという不都合がある。
【0009】
そこで、本発明は、画像形成装置が省電力状態から復帰する場合にプリンタ部等の準備動作によって無駄に電力が消費されることおよび騒音が発生することを防止することを目的とする。さらに、本発明では、プリンタ部等の使用が確定する前に、前記プリンタ部等に電力を供給しておくことによって、プリンタ部等の使用が確定したときに、プリンタ部等の機能が使用可能になるまでの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成装置は、前記画像形成装置の感光ドラムを回転させるモータと、情報を表示する表示部と、非接触で人を検知可能な人感センサと、スキャナ駆動部を有するスキャナと、前記表示部にコピー機能を選択するための指示部及び前記コピー機能以外の特定の機能を選択するための指示部が表示されていない状態で前記人感センサの検知に従って、前記表示部に少なくとも前記コピー機能を選択するための前記指示部及び前記コピー機能以外の特定の機能を選択するための前記指示部を表示させる表示制御手段と、前記コピー機能を選択するための前記指示部の操作に基づき、コピーを開始するための指示部を操作することなく、前記モータを駆動させる駆動手段と、トレイに原稿が置かれたことを検知したことに基づき、前記スキャナ駆動部を駆動させる制御手段と、前記コピー機能を選択するための指示部を操作した後、前記コピーを開始するための指示部の操作に基づき、記録媒体に画像を形成する形成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置によれば、画像形成装置が省電力状態から復帰する場合にプリンタ部等の準備動作によって無駄に電力が消費されることおよび騒音が発生することを防止することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置によれば、プリンタ部等の使用が確定する前に、前記プリンタ部等に電力を供給しておくことによって、プリンタ部等の使用が確定したときに、プリンタ部等の機能が使用可能になるまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の画像形成装置の構造を示した図である。
【
図2】画像形成装置の表示部の詳細を示した図である。
【
図3】画像形成装置のコントローラのブロック図である。
【
図6】各電力状態における各デバイスの電力供給状態を示す表である。
【
図7】電源オフ状態の画像形成装置の状態を示した図である。
【
図8】第2スリープ状態の画像形成装置の状態を示した図である。
【
図9】第1スリープ状態の画像形成装置の状態を示した図である。
【
図10】スタンバイ状態(プリンタ部およびスキャナ部:通常モード)の画像形成装置の状態を示した図である。
【
図11】調整状態の画像形成装置の状態を示した図である。
【
図12】画像形成装置が第2スリープ状態から復帰する処理を示したフローチャートである。
【
図13】代理応答できないパケットを受信した場合に電源制御部が出力する信号を示したシーケンス図である。
【
図14】ジョブを受信した場合に電源制御部が出力する信号を示したシーケンス図である。
【
図15】人体検知センサが人を検知した場合または操作部のボタンが押下された場合に電源制御部が出力する信号を示したシーケンス図である。
【
図16】タイマが所定時間をカウントした場合に電源制御部が出力する信号を示したシーケンス図である。
【
図17】原稿検知センサが原稿を検知した場合に電源制御部が出力する信号を示したシーケンス図である。
【
図18】手差しトレイに用紙がセットされた場合に電源制御部が出力する信号を示したシーケンス図である。
【
図19】(a)プリンタ部の復帰動作を示すフローチャートであり、(b)スキャナ部の復帰動作を示すフローチャートである。
【
図20】表示部に表示される各種の機能ボタンが選択されたときの画像形成装置の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【0015】
<画像形成装置の全体構成>
図1は、本発明の第1実施形態の画像形成装置の構造を示した図である。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像入力デバイスであるスキャナ部13と、画像出力デバイスであるプリンタ部14と、を備えている。
【0017】
スキャナ部13は、原稿上に形成された画像を読み取って画像データを取得するデバイスである。原稿上に形成された画像に照射された光の反射光をCCDに入力することによって、当該画像の情報を電気信号に変換する。この電気信号は、R、G、B各色からなる輝度信号に変換され、後述するコントローラ11に対して出力される。
【0018】
スキャナ部13のトレイ1250にセットされた原稿は、原稿フィーダ1260によって、1枚ずつ、プラテンガラス1211上の光学ユニット1213の読取位置に給送される。そして、前記光学ユニット1213による読み取られた原稿は、排出トレイ1219に排出される。光学ユニット1213のランプ1212から照射されて原稿で反射した光は、ミラー1214、1215、1216、及びレンズ1217を介して、CCDイメージセンサ1218に入力される。なお、原稿の読み取り方法は、原稿フィーダ1260による自動送り方式ではなく、プラテンガラス1211上に載置された原稿に対して、光学ユニット1213が搭載されたキャリッジを走査する方法であってもよい。なお、第1実施形態では、モノクロ印刷が可能な画像形成装置10について説明するが、当該画像形成装置10はカラー印刷が可能であっても良い。
【0019】
プリンタ部14は、入力された画像データを用いて用紙に画像を形成するデバイスである。なお、本実施形態のプリンタ部14の画像形成方式は、感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリンタ部14は、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に印字するインクジェット方式であっても良い。
【0020】
また、画像形成装置10は、プリンタ部14によって画像が形成される用紙を収納する複数の用紙カセット1311、1312、1313、1314および手差しトレイ1315を有している。プリンタ部14のレーザドライバ1321は、レーザ発光部1322を駆動する。レーザドライバ1321は、コントローラ11から出力された画像データに応じたレーザ光を、レーザ発光部1322に発光させる。レーザ光は、感光ドラム1323に照射され、感光ドラム1323には、レーザ光に応じた潜像が形成される。この感光ドラム1323の潜像の部分には現像器1324によって現像剤が付着される。転写部1325は、感光ドラム1323に付着された現像剤を、搬送路1331を通過した記録紙に転写する。現像剤の乗った記録紙は搬送ベルト1326によって、定着器1327に搬送される。定着器1327は、熱と圧力により現像剤を記像紙に定着させる。定着器1327を通過した記録紙は、搬送路1335、搬送路1334を通過して、排紙トレイ1328に排出される。あるいは、印字面を反転して排紙トレイ1328に排出する場合には、記録は、搬送路1336、搬送路1338まで導かれた後、搬送路1337、搬送路1334を通過する。
【0021】
また、両面印刷を行う場合、記録紙は、定着器1327から搬送路1336に導かれて、フラッパ1329によって、搬送路1333に導かれる。その後、記録紙を逆方向に搬送し、フラッパ1329によって、搬送路1338、再給紙搬送路1332へ導かれる。再給紙搬送路1332へ導かれた記録紙は、搬送路1331を通り、転写部1325へ給紙される。
【0022】
<操作部の詳細>
図2は、操作部の詳細を示した図である。画像形成装置10は、操作部12を有している。
図2に示すように、操作部12は、ユーザによって操作される各種ボタン121と、画像を表示する表示部122と、を有している。表示部122の表面には、タッチパネルが設けられる。この表示部122には、画像形成装置10のステータスを表示するステータス画面、コピー機能やファックス機能を選択するための選択画面、選択画面で選択された機能を実行するために必要な情報を入力するための設定画面などが表示される。この
図2の表示部には、上記した選択画面が表示されている。ボタン121は、印刷部数などを入力するためのボタン121a、コピーやFAX送信などを開始するためのスタートボタン121b、および画像形成装置10を省電力状態(後述する第1スリープ状態)に移行させるための節電ボタン121cを有している。
【0023】
画像形成装置10を起動したとき、表示部122には、選択画面が表示される。選択画面には、コピー機能を実行するためのコピーボタン122a、スキャン機能を実行するためのスキャンボタン122b、FAX機能を実行するためのFAXボタン122c、およびプリント機能を実行するためのプリントボタン122dが配置される。
【0024】
<画像形成装置10のコントローラ11の説明>
図3は、画像形成装置の全体を制御するコントローラを示したブロック図である。
図3を参照して、画像形成装置10の全体の動作を制御するコントローラ11の詳細について説明する。
【0025】
図3に示すように、コントローラ11は、上記したスキャナ部13、プリンタ部14および操作部12と電気的に接続されている。このコントローラ11は、CPU301、RAM302、ROM303、操作部I/F305、LANコントローラ306、人体検知センサ310、用紙検知センサ312および電源制御部401を備えている。そして、CPU301、RAM302、ROM303、操作部I/F305、LANコントローラ306、人体検知センサ310、用紙検知センサ312および電源制御部401は、システムバス307に接続されている。また、コントローラ11は、HDD304、画像処理部309、スキャナI/F311およびプリンタI/F313を備えている。HDD304、画像処理部309、スキャナI/F311およびプリンタI/F313は、画像バス308に接続されている。
【0026】
CPU301は、ROM303に記憶された制御プログラム等に基づいて接続中の各種デバイスとのアクセスを統括的に制御すると共に、コントローラ11で実行される各種処理についても統括的に制御する。
【0027】
RAM302は、CPU301が動作するためのシステムワークメモリである。このRAM302は、画像データを一時記憶するためのメモリでもある。RAM302は、電源がオフの場合でも記憶した内容を保持することが可能なSRAM、及び電源がオフの場合には記憶した内容が消去されるDRAMを有している。ROM303には、装置のブートプログラムなどが格納されている。HDD304は、ハードディスクドライブであり、画像形成装置10を制御するプログラムや画像データを格納する。
【0028】
操作部I/F305は、システムバス307と操作部12と接続するためのインターフェース部である。この操作部I/F305は、操作部12に表示するための画像データをシステムバス307から受け取り操作部12に出力すると共に、操作部12から入力された情報をシステムバス307へと出力する。
【0029】
LANコントローラ306は、画像形成装置10と、ネットワーク60に接続される外部装置20との間の情報の入出力を制御する。
【0030】
人体検知センサ310は、赤外線を受光する赤外線センサがマトリクス状に配列された赤外線センサアレイである。人体検知センサ310が人などから放射される赤外線を受光することによって、画像形成装置10に人が接近したことを検知する。なお、ここでは、本実施形態では、人体検知センサ310が人を検知する例について説明するが、赤外線を放射する物体であれば、この人体検知センサ310で検知することができる。なお、人体検知センサは、上記した赤外線センサに限定されない。物体が画像形成装置10に接近したことを検知できるセンサであれば、赤外線センサ以外のデバイス(光を検知する光センサ、物理力で変形するひずみセンサ、磁気を検知する磁気センサ、温度を検知する温度センサなど)であっても良い。
【0031】
用紙検知センサ312は、手差しトレイ1315に用紙がセットされたことを検知する。
【0032】
電源制御部401は、画像形成装置10の各部への電力供給を制御する。電源制御部401の詳細についは後述する。
【0033】
画像バス308は、画像データをやり取りするための伝送路であり、PCIバスやIEEE1394等のバスで構成されている。
【0034】
画像処理部309は、画像処理を行うためのものであり、RAM302に記憶された画像データを読み出し、JPEG、JBIGなどの拡大または縮小および、色調整などの画像処理を行う。
【0035】
スキャナ部13は、スキャナ制御部331とスキャナ駆動部332とを有している。スキャナ駆動部332は、トレイ1250にセットされた原稿をスキャナ部13の読取位置まで搬送するための紙搬送用のモータなどを含み、物理的に駆動するデバイスである。スキャナ制御部331は、スキャナ駆動部332の動作を制御する。スキャナ制御部331は、スキャナ処理を行う際にユーザによって設定された設定情報をCPU301との通信により受信し、当該設定情報に基づいてスキャナ駆動部332の動作を制御する。
【0036】
プリンタ部14は、プリンタ制御部341とプリンタ駆動部342とを有している。プリンタ駆動部342は、感光ドラム1323を回転させるモータ、定着器1327を回転させるモータ、および紙搬送モータなどを含み、物理的に駆動するデバイスである。プリンタ制御部341は、プリンタ駆動部342の動作を制御する。プリンタ制御部341は、プリント処理を行う際にユーザによって設定された設定情報をCPU301との通信により受信し、当該設定情報に基づいてプリンタ駆動部342の動作を制御する。
【0037】
<画像形成装置10の電源ユニット40の説明>
図4は、画像形成装置10の電源回路図である。上記した画像形成装置10の各部には、電源ユニット40によって生成された電力が供給される。この電源ユニット40は、第1電源供給部410と、第2電源供給部411と、第3電源供給部412と、を有している。
【0038】
第1電源供給部410は、プラグPを介して供給される交流電力を直流電力(例えば、5.1V(第1の出力電力))に変換する。そして、当該直流電力が、第1電源系統のデバイス(電源制御部401、CPU301、RAM302、ROM303、HDD304、LANコントローラ306、人体検知センサ310、用紙検知センサ312および操作部12のボタン121)に供給される。本実施形態では、CPU301は、第2電源供給部411や第3電源供給部412からの電力供給を受けずに、第1電源供給部410のみから供給される電力で動作する。つまり、CPU301の電源は、第2電源供給部411および第3電源供給部412から独立している。第2電源供給部411は、プラグPを介して供給される交流電力を直流電力(例えば、12V(第2の出力電力))に変換する。この直流電力は、第2電源系統のデバイス(操作部12の表示部122、画像処理部309、プリンタ部14のプリンタ制御部341、およびスキャナ部13のスキャナ制御部331)に供給される。また、第3電源供給部412は、プラグPを介して供給される交流電力を直流電力(例えば、24V)に変換して、第3電源系統のデバイス(プリンタ駆動部342、およびスキャナ駆動部332)に電力を供給する。
【0039】
また、第1電源供給部410と第1電源系統のデバイスとの間には、ユーザの操作によってON状態またはOFF状態となる電源スイッチ416が設けられる。電源制御部401には、電源スイッチ416の状態(ON状態もしくはOFF状態)を示す信号Dが入力されている。また、電源ユニット40は、電源スイッチ416と並列に配置されるFET(電界効果トランジスタ)からなるスイッチ417を有する。このスイッチ417は、電源制御部401から出力される制御信号Eによって、ON状態からOFF状態、またはOFF状態からON状態になる。なお、電源スイッチ416には、ソレノイド416aが設けられている。電源制御部401から出力される制御信号Kに応じて、当該ソレノイドに電圧が印加されて電源スイッチ416がOFF状態になる。画像形成装置10に設けられるオートシャットダウン機能、リモートシャットダウン機能が実行される場合に、電源制御部401が制御信号Kを出力することによってソレノイドを駆動し、電源スイッチ416をオフにする。オートシャットダウン機能は、後述する第2スリープ状態でユーザの操作が無い状態で所定時間が経過した場合に、画像形成装置10をシャットダウンする機能である。また、リモートシャットダウン機能は、外部装置20から送信されるシャットダウン指示に応じて、画像形成装置10がシャットダウンする機能である。
【0040】
プラグPと第2電源供給部411との間には、リレースイッチ418が設けられる。また、プラグPと第3電源供給部412との間には、リレースイッチ419が設けられる。リレースイッチ418および419は、電源制御部401から出力される制御信号Fによって、ON状態からOFF状態、またはOFF状態からON状態になる。
【0041】
電源スイッチ416とCPU301、ROM303およびHDD304との間には、スイッチ420が設けられる。スイッチ420は、電源制御部401から出力される制御信号Hによって、ON状態からOFF状態、またはOFF状態からON状態になる。
【0042】
第2電源供給部411とプリンタ制御部341との間には、スイッチ421aが設けられている。また、第3電源供給部412とプリンタ駆動部342との間には、スイッチ421bが設けられている。これらのスイッチ421aおよびスイッチ421bは、電源制御部401から出力される制御信号Jによって、ON状態からOFF状態、またはOFF状態からON状態になる。
【0043】
第2電源供給部411とスキャナ制御部331との間には、スイッチ422aが設けられている。また、第3電源供給部412とスキャナ駆動部332との間には、スイッチ422bが設けられている。これらのスイッチ422aおよびスイッチ422bは、電源制御部401から出力される制御信号Kによって、ON状態からOFF状態、またはOFF状態からON状態になる。
【0044】
<画像形成装置10の電力状態について>
図5は、画像形成装置10の電力状態の遷移図である。
【0045】
画像形成装置10は、
図5に示すように、電源オフ状態、第2スリープ状態、第1スリープ状態、スタンバイ状態および調整状態のいずれかの状態となる。なお、画像形成装置10は、上記した状態以外の状態になっても良い。
【0046】
画像形成装置10は、電源スイッチ416がユーザによってOFF状態になった場合に、電源オフ状態に移行する。
【0047】
電源オフ状態で、ユーザによって電源スイッチ416がON状態にされると、画像形成装置10は、スタンバイ状態に移行する。
【0048】
そして、スタンバイ状態で節電ボタン121cが押下された場合には、画像形成装置10は第2スリープ状態に移行する。また、スタンバイ状態で操作部12(タッチパネルやボタン121)が操作されずに所定時間が経過した場合には、画像形成装置10は第2スリープ状態に移行する。
【0049】
そして、本実施形態では、第2スリープ状態で、PDL(page description language)ジョブ(印刷要求)を受信した場合、または節電ボタン121cが押下された場合、画像形成装置10はスタンバイ状態に移行する。また、第2スリープ状態で、人体検知センサ310、用紙検知センサ312またはスキャナ部13に設けられる原稿検知センサ333(
図4参照)が検知状態になった場合、画像形成装置10はスタンバイ状態に移行する。
【0050】
この第2スリープ状態では、LANコントローラ306が、外部装置20から送信される特定のパケットに対して、コントローラ11のCPU301の代わりに、応答を返す。当該LANコントローラ306の機能を代理応答と呼ぶ。LANコントローラ306が代理応答を行うことによって、第2スリープ状態のままで、外部装置から送信される特定のパケットに対して応答することができる。
【0051】
そして、第2スリープ状態で、LANコントローラ306が代理応答できないパケット(PDLジョブを除く)を外部装置20から受信した場合には、画像形成装置10は第2スリープ状態から第1スリープ状態に移行する。
【0052】
第1スリープ状態に移行した画像形成装置10は、当該代理応答できないパケットを処理した後、前述した所定時間を待たずに、第2スリープ状態に移行する。
【0053】
また、第2スリープ状態でプリンタ制御部341に設けられるタイマ350(
図4参照)が所定時間をカウントした場合、画像形成装置10は調整状態に移行する。そして、画像形成装置10は、調整状態で特定動作(感光ドラム1323の回転など)を実行すると、再度第2スリープ状態に移行する。
【0054】
図6は、画像形成装置10の各電力状態におけるデバイスの給電状態をまとめた表である。
図7~
図11は、各電力状態における画像形成装置の電力状態を示した図である。
図6~
図11を参照して、画像形成装置10の電力状態について説明する。
【0055】
(1)電源オフ状態
電源オフ状態は、
図6および
図7に示すように、画像形成装置10の各部に電力が供給されていない状態である。電源オフ状態では、
図7に示すように、各スイッチ416~422がOFF状態になっている。なお、電源オフ状態は、ハイバネーション状態であっても良い。ハイバネーション状態とは、コンピュータの電源を切る直前の状態を不揮発性のメモリに保存して、次に電源を入れたときに電源を切る直前の状態から作業を再開することが可能な状態である。このハイバネーション状態では、電源オフ状態と同様に各スイッチ416~422がOFF状態になっている。ハイバネーション状態では、ハイバネーション状態に移行する前の画像形成装置10の状態がHDD304に記憶される。そして、画像形成装置10は、ハイバネーション状態から復帰する場合に、HDD304に記憶された情報を用いて高速復帰することができる。上記した電源オフ状態は、画像形成装置10の各部への電力供給が停止される状態として説明したが、この電源オフ状態は画像形成装置10の全ての部分への電力供給を停止する状態だけではない。例えば、上記した電源オフ状態は、RAM302への電力供給が維持されるサスペンド状態を含む。サスペンド状態とは、コンピュータの電源を切る直前の状態を揮発性のメモリ(例えば、RAM302)に保存して、次に電源を入れたときに電源を切る直前の状態から作業を再開することが可能な状態である。なお、タイマ350は電池で駆動するように構成されており、電源オフ状態であってもタイマ350は駆動する。
【0056】
(2)第2スリープ状態
第2スリープ状態では、
図6および
図8に示すように、電源制御部401、RAM302、LANコントローラ306、人体検知センサ310、用紙検知センサ312、原稿検知センサ333および操作部12のボタン121に電力が供給される。なお、第2スリープ状態で電力が供給される上記したデバイスは一例である。一方、第2スリープ状態では、CPU301、ROM303、HDD304、画像処理部309、スキャナ部13およびプリンタ部14に電力が供給されない。第2スリープ状態では、第1電源供給部410から第1電源系統のデバイス(電源制御部401、RAM302、LANコントローラ306、人体検知センサ310、用紙検知センサ312、原稿検知センサ333およびボタン121)に電力が供給される。第2スリープ状態では、
図8に示すように、スイッチ416および417がON状態となり、且つ、その他のスイッチ418~422がOFF状態となる。この第2スリープ状態では、ユーザによる操作部12のボタン121の操作を受け付けることができる。また、第2スリープ状態では、LANコントローラ306が外部装置20から送信されるパケットを受信することができる。また、第2スリープ状態では、人体検知センサ310が、画像形成装置10に人が接近したことを検知することができる。また、第2スリープ状態では、用紙検知センサ312が手差しトレイに用紙がセットされたことを検知することができる。また、第2スリープ状態では、原稿検知センサ333が、トレイ1250に原稿がセットされたことを検知することができる。
【0057】
(3)第1スリープ状態
第1スリープ状態は、ネットワーク60からの問い合わせなどに対してコントローラ11の全てを起動させずに応答するための状態である。第1スリープ状態では、第1電源供給部410から少なくともCPU301およびHDD304に電力が供給される。これにより、CPU301がHDD304に格納される情報を用いて、LANコントローラ306が受信した代理応答できないパケットに対して応答を返すことができる。第1スリープ状態では、
図6および
図9に示すように、電源制御部401、RAM302、LANコントローラ306、ボタン121、CPU301、ROM303に電力が供給される。さらに、第1スリープ状態では、人体検知センサ310、用紙検知センサ312、原稿検知センサ333およびHDD304にも電力が供給される。第1スリープ状態では、第2電源系統のデバイスおよび第3電源系統のデバイスに電力が供給されていない。第1スリープ状態では、
図9に示すように、スイッチ416、417、および420がON状態となり、且つ、スイッチ418、419、421および422がOFF状態となる。なお、第1スリープ状態で電力が供給される上記したデバイスは一例である。
【0058】
(4)調整状態
調整状態は、感光ドラム1323とその感光ドラム1323上のトナーを掻き取るブレードとが長時間同じ位置で接触するのを防止するために移行する状態である。画像形成装置10がこの調整状態に移行すると、感光ドラム1323が回転して、感光ドラム1323とブレードとの相対位置が変化する。この調整状態では、
図6および
図10に示すように、プリンタ制御部341およびプリンタ駆動部342に電力が供給されているが、CPU301やHDD304には電力が供給されていない。調整状態では、
図10に示すように、スイッチ416、417、418、419および421がON状態となり、且つ、スイッチ420および422がOFF状態となる。
【0059】
(5)スタンバイ状態
スタンバイ状態は、
図6および
図11に示すように、コントローラ11、操作部12、プリンタ部14およびスキャナ部13の各部に電力が供給される状態である。具体的には、スタンバイ状態では、
図11の各スイッチ416~422がON状態となる。
【0060】
ここで、電源制御部401の詳細について説明する。
【0061】
電源制御部401は、CPLD(Complex Programmable Logic Device)である。この電源制御部401は、画像形成装置10が上記した各電力状態に移行するのを制御する。この電源制御部401は、第2スリープ状態で電力が供給されており、第2スリープ状態からの複数の種類の復帰要因を検知する。電源制御部401は、
図4に示すように、復帰要因として、LANコントローラ306から信号NW-1および信号NW-2を受信する。信号NW-1は、LANコントローラ306がPDLジョブを受信したときに電源制御部401に出力される。また、信号NW-2は、LANコントローラ306が代理応答できないパケットを受信したときに電源制御部401に出力される。また、電源制御部401は、復帰要因として、操作部12のボタン121から信号Pを受信する。信号Pは、ボタン121がユーザにより操作されたときに電源制御部401に出力される。また、電源制御部401は、復帰要因として、人体検知センサ310から信号Qを受信する。信号Qは、人体検知センサ310が画像形成装置10に接近する人を検知したときに電源制御部401に出力される。また、電源制御部401は、復帰要因として、タイマ350から信号Rを受信する。信号Rは、設定された時間がタイマ350によってカウントされたときに電源制御部401に出力される。上記した時間は、画像形成装置10が第2スリープ状態に移行する前に、CPU301がタイマ350に設定する。また、電源制御部401は、復帰要因として、原稿検知センサ333から信号Vを受信する。信号Vは、原稿検知センサ333が原稿を検知したときに電源制御部401に出力される。また、電源制御部401は、復帰要因として、手差しトレイに設けられる用紙検知センサ312から信号Wを受信する。信号Wは、手差しトレイに用紙がセットされた場合に電源制御部401に出力される。
【0062】
電源制御部401は、上記した復帰要因(信号NW-1、NW-2、P、Q、R、V、W)の論理に基づいて、各スイッチ417~422の状態をON状態またはOFF状態にする。
【0063】
信号出力手段としての電源制御部401は、信号NW-1が入力される場合、制御信号E、F、K、J、Hを出力する(信号レベルを“Hi”にする)。これにより、画像形成装置10がスタンバイ状態に移行する。なお、信号NW-1が入力される場合、電源制御部401は、制御信号S1およびTを出力しない(信号レベルを“Low”にする)。
【0064】
また、電源制御部401に信号P、信号Q、信号Vまたは信号Wが入力される場合も同様に、電源制御部401は、制御信号E、F、K、J、Hを出力し(信号レベルを“Hi”にする)、画像形成装置10がスタンバイ状態に移行する。なお、信号PまたはQが入力される場合、電源制御部401は、制御信号S1およびTを出力する(信号レベルを“Hi”にする)。また、信号Vが入力される場合、電源制御部401は、制御信号S1を出力するが(信号レベルを“Hi”にする)、制御信号Tを出力しない(信号レベルを“Low”にする)。また、信号Wが入力される場合、電源制御部401は、制御信号Tを出力するが(信号レベルを“Hi”にする)、制御信号S1を出力しない(信号レベルを“Low”にする)。
【0065】
また、電源制御部401に信号NW-2が入力される場合、制御信号E、Hを出力する(信号レベルを“Hi”にする)。これにより、画像形成装置10が第1スリープ状態に移行する。
【0066】
また、電源制御部401に信号Rが入力される場合、制御信号FおよびJを出力する(信号レベルを“Hi”にする)。これにより、画像形成装置10が調整状態に移行する。なお、信号Rが入力される場合、電源制御部401は、制御信号S2を出力する。
【0067】
また、電源制御部401には、電源スイッチ416の状態を示す信号Dが入力される。電源スイッチ416がユーザの操作によってOFF状態になると、電源制御部401に信号Dが入力される。信号Dが入力される電源制御部401は、制御信号E、F、H、J、Kを出力する(信号レベルを“Hi”にする)。これにより、画像形成装置10が電源オフ状態に移行する。
【0068】
<第2スリープ状態からの復帰処理>
図12は、画像形成装置が第2スリープ状態から復帰する処理を示したフローチャートである。
図13~
図18は、電源制御部401に入力される信号および電源制御部401から出力される信号のシーケンス図である。次に、
図12~
図18を参照して、画像形成装置10が第2スリープ状態から復帰するときに電源制御部401が行う信号処理について説明する。
【0069】
電源制御部401が復帰要因として信号NW-1、NW-2、P、Q、R、V、Wのいずれかを検出する(S100)。
【0070】
(A)代理応答できないパケットを受信した場合
図12および
図13に示すように、LANコントローラ306が代理応答できないパケットを受信した場合には、電源制御部401には、LANコントローラ306から信号NW-2が入力される(信号NW-2が“Hi”レベルになる)。当該信号NW-2が“Hi”レベルになると、電源制御部401は、制御信号Hの信号レベルを“Hi”にする(S111)。これにより、スイッチ420がON状態になり、第1電源供給部410からCPU301、ROM303およびHDD304に電力が供給される。その結果、画像形成装置10は、第2スリープ状態から第1スリープ状態になる。
【0071】
(B)PDLジョブを受信した場合
図12および
図14に示すように、LANコントローラ306がPDLジョブを受信した場合、電源制御部401には、LANコントローラ306から信号NW-1が入力される(信号NW-1の信号レベルが“Hi”になる)。当該信号NW-1が“Hi”レベルになると、電源制御部401は、制御信号Hの信号レベルを“Hi”にする(S121)。これにより、これにより、スイッチ420がON状態になり、第1電源供給部410からCPU301、ROM303およびHDD304に電力が供給される。
【0072】
次に、電源制御部401は、制御信号Fの信号レベルを“Hi”にする(S122)。これにより、第2電源供給部420および第3電源供給部430の電源が立ち上がる。第2電源供給部420および第3電源供給部430の電圧レベルが安定すると、電源制御部401は、制御信号JおよびKの信号レベルを“Hi”にする(S123)。これにより、プリンタ部14およびスキャナ部13に電力が供給される。その結果、画像形成装置10は、第2スリープ状態からスタンバイ状態になる。ここでは、PDLジョブを受信した場合にプリンタ部14およびスキャナ部13の両方に電力を供給する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、PDLジョブを受信した場合に、プリンタ部14には電力を供給するが、スキャナ部13には電力を供給しなくても良い。
【0073】
(C)ボタン121が押下された場合、人体検知センサ310が人を検知した場合
図12および
図15に示すように、ボタン121が押下された場合、電源制御部401には、ボタン121から信号Pが入力される(信号Pの信号レベルが“Hi”になる)。また、人体検知センサ310が人などを検知した場合、電源制御部401には、人体検知センサ310から信号Qが入力される(信号Qの信号レベルが“Hi”になる)。当該信号PまたはQが“Hi”レベルになると、制御信号S1およびTの信号レベルを“Hi”にする(S130)。そして、電源制御部401は、制御信号Hの信号レベルを“Hi”にする(S131)。これにより、これにより、スイッチ420がON状態になり、第1電源供給部410からCPU301、ROM303およびHDD304に電力が供給される。
【0074】
次に、電源制御部401は、制御信号Fの信号レベルを“Hi”にする(S132)。これにより、第2電源供給部420および第3電源供給部430の電源が立ち上がる。第2電源供給部420および第3電源供給部430の電圧レベルが安定すると、電源制御部401は、制御信号JおよびKの信号レベルを“Hi”にする(S133)。これにより、プリンタ部14およびスキャナ部13に電力が供給される。その結果、画像形成装置10は、第2スリープ状態からスタンバイ状態になる。
【0075】
(D)タイマ350が所定時間をカウントした場合
図12および
図16に示すように、タイマ350が所定時間をカウントした場合、電源制御部401には、タイマ350から信号Rが入力される(信号Rの信号レベルが“Hi”になる)。当該信号Rが“Hi”レベルになると、制御信号S2の信号レベルを“Hi”にする(S140)。
【0076】
次に、電源制御部401は、制御信号Fの信号レベルを“Hi”にする(S142)。これにより、第2電源供給部420および第3電源供給部430の電源が立ち上がる。第2電源供給部420および第3電源供給部430の電圧レベルが安定すると、電源制御部401は、制御信号Jの信号レベルを“Hi”にする(S143)。これにより、プリンタ部14に電力が供給される。その結果、画像形成装置10は、第2スリープ状態から調整状態になる。
【0077】
(E)原稿検知センサ333が原稿を検知した場合
図12および
図17に示すように、原稿検知センサ333が原稿を検知した場合、電源制御部401には、原稿検知センサ333から信号Vが入力される(信号Vの信号レベルが“Hi”になる)。当該信号Vが“Hi”レベルになると、制御信号S1の信号レベルを“Hi”にする(S150)。そして、電源制御部401は、制御信号Hの信号レベルを“Hi”にする(S151)。これにより、これにより、スイッチ420がON状態になり、第1電源供給部410からCPU301、ROM303およびHDD304に電力が供給される。
【0078】
次に、電源制御部401は、制御信号Fの信号レベルを“Hi”にする(S152)。これにより、第2電源供給部420および第3電源供給部430の電源が立ち上がる。第2電源供給部420および第3電源供給部430の電圧レベルが安定すると、電源制御部401は、制御信号JおよびKの信号レベルを“Hi”にする(S153)。これにより、プリンタ部14およびスキャナ部13に電力が供給される。その結果、画像形成装置10は、第2スリープ状態からスタンバイ状態になる。
【0079】
(F)用紙検知センサ312が用紙を検知した場合
図12および
図18に示すように、用紙検知センサ312が用紙を検知した場合、電源制御部401には、用紙検知センサ312から信号Wが入力される(信号Wの信号レベルが“Hi”になる)。当該信号Wが“Hi”レベルになると、制御信号Tの信号レベルを“Hi”にする(S160)。そして、電源制御部401は、制御信号Hの信号レベルを“Hi”にする(S161)。これにより、これにより、スイッチ420がON状態になり、第1電源供給部410からCPU301、ROM303およびHDD304に電力が供給される。
【0080】
次に、電源制御部401は、制御信号Fの信号レベルを“Hi”にする(S162)。これにより、第2電源供給部420および第3電源供給部430の電源が立ち上がる。第2電源供給部420および第3電源供給部430の電圧レベルが安定すると、電源制御部401は、制御信号JおよびKの信号レベルを“Hi”にする(S163)。これにより、プリンタ部14およびスキャナ部13に電力が供給される。その結果、画像形成装置10は、第2スリープ状態からスタンバイ状態になる。
【0081】
<プリンタ部の復帰処理>
図19(a)は、プリンタ部14の復帰処理を示したフローチャートである。
【0082】
次に、
図19(a)を参照して、プリンタ部14の復帰処理について説明する。
【0083】
まず、第2電源供給部411からプリンタ部14のプリンタ制御部341に供給される電圧が安定すると(S191)、プリンタ制御部341がリセット解除を行う(S192)。リセットが解除されたプリンタ制御部341は、プリンタ制御部341に入力される信号の論理を確認する(S193)。
【0084】
プリンタ制御部341に制御信号S1およびS2のいずれもが入力されない場合(制御信号S1およびS2の信号レベルが共に“Low”レベルの場合)、プリンタ制御部341は、プリンタ駆動部342の準備動作を行う(S194)。この準備動作とは、プリンタ部14がプリント可能な状態になるまでに実行される動作であって、感光ドラム1323の回転動作や定着器1327の回転動作を含む。この準備動作が完了すると、プリンタ部14は、印刷可能な状態となる。
【0085】
プリンタ制御部341に制御信号S2が入力される場合(制御信号S2の信号レベルが“Hi”レベルの場合)、プリンタ制御部341は、プリンタ駆動部342の調整動作を行う(S195)。感光ドラム1323と当該感光ドラム1323の表面のトナーを掻き取るブレードとが長時間接触することによって、感光ドラム1323の表面にブレードの痕が残ることがある。上記した調整動作とは、このブレードの痕が残らないように、感光ドラム1323とブレードとの間の相対位置を変化させる動作を言う。具体的には、プリンタ制御部341は、感光ドラム1323を間欠的に回転させる。
【0086】
また、プリンタ制御部341に制御信号S1が入力される場合(制御信号S1の信号レベルが“Hi”レベルの場合)、プリンタ制御部341は、プリンタ駆動部342を駆動させない。
【0087】
<スキャナ部の復帰処理>
図19(b)は、スキャナ部13の復帰処理を示したフローチャートである。
【0088】
次に、
図19(b)を参照して、スキャナ部13の復帰処理について説明する。
【0089】
まず、第2電源供給部411からスキャナ部13のスキャナ制御部331に供給される電圧が安定すると(S196)、スキャナ制御部331がリセット解除を行う(S197)。リセットが解除されたスキャナ制御部331は、スキャナ制御部331に入力される信号の論理を確認する(S198)。
【0090】
スキャナ制御部331に制御信号Tが入力されない場合(制御信号Tの信号レベルが“Low”レベルの場合)、スキャナ制御部331は、スキャナ駆動部332の準備動作を行う(S199)。この準備動作とは、スキャナ部13がスキャン可能な状態になるまでに実行される準備動作であって、光学ユニット1213のホーミング動作やランプ1212の点灯動作を含む。この準備動作が完了すると、スキャナ部13は、原稿の読み取りが可能な状態となる。
【0091】
また、スキャナ制御部331に制御信号Tが入力される場合(制御信号Tの信号レベルが“Hi”レベルの場合)、スキャナ制御部331は、スキャナ駆動部332を駆動させない。
【0092】
<プリント機能またはスキャン機能の使用が確定したときに動作フロー>
図20は、表示部に表示される選択画面においてユーザによって機能ボタンが選択されたときの電源制御部401の動作を示したフローチャートである。画像形成装置10がスタンバイ状態になると、操作部12の表示部122に選択画面(
図2参照)が表示される。ここでは、制御信号S1およびTの信号レベルが“Hi”の状態でスタンバイ状態に移行した画像形成装置10の動作について説明する。
【0093】
表示部122のコピーボタン122aがユーザによって押下されると(S210)、電源制御部401は、制御信号S1およびTの信号レベルを“Low”にする(S211)。これにより、プリンタ制御部341は、プリンタ駆動部342の準備動作を行う。その結果、プリンタ部14が印刷可能な状態になる。また、スキャナ制御部331は、スキャナ駆動部332の準備動作を行う。その結果、スキャナ部13が原稿を読み取り可能な状態になる。これにより、ユーザは、スキャナ機能およびプリント機能の両方を使って、原稿のコピーを行うことができる。
【0094】
次に、表示部122のスキャンボタン122bがユーザによって押下されると(S220)、電源制御部401は、制御信号Tの信号レベルを“Low”にする(S221)。制御信号S1の信号レベルは、“Hi”で維持される。これにより、スキャナ制御部331は、スキャナ駆動部332の準備動作を行う。その結果、スキャナ部13が原稿を読み取り可能な状態になる。なお、ここでは、プリンタ駆動部342の準備動作は制限される。これにより、ユーザは、スキャン機能を使用して読み取られた画像をHDD304などに格納することができる。
【0095】
次に、表示部122のファックスボタン122cがユーザによって押下されると(S230)、電源制御部401は、制御信号Tの信号レベルを“Low”にする(S231)。制御信号S1の信号レベルは、“Hi”で維持される。これにより、スキャナ制御部331は、スキャナ駆動部332の準備動作を行う。その結果、スキャナ部13が原稿を読み取り可能な状態になる。なお、ここでは、プリンタ駆動部342の準備動作は制限される。これにより、ユーザは、スキャン機能を使用して読み取られた原稿の画像データをファクシミリ送信することができる。
【0096】
次に、表示部122のプリントボタン122dがユーザによって押下されると(S240)、電源制御部401は、制御信号S1の信号レベルを“Low”にする(S241)。制御信号Tの信号レベルは、“Hi”で維持される。これにより、プリンタ制御部341は、プリンタ駆動部342の準備動作を行う。その結果、プリンタ部14が印刷可能な状態になる。なお、ここでは、スキャナ駆動部332の準備動作は制限される。これにより、ユーザは、プリント機能を使用してHDD304に蓄積された印刷ジョブに基づく印刷やサーバに蓄積された印刷ジョブに基づく印刷を行うことができる。
【0097】
<本実施形態の効果>
上記構成によれば、第2スリープ状態で画像形成装置10がPDLジョブを受信した場合、ユーザによる選択画面での操作を待たずに、プリンタ駆動部342の準備動作を実行することができる。すなわち、画像形成装置10は、PDLジョブを受信した場合には、ただちにプリンタ部14が印刷可能な状態になる。
【0098】
また、第2スリープ状態で人体検知センサ310が人を検知した場合やボタン121が押下された場合、プリンタ部14およびスキャナ部13の準備動作が制限される。この場合には、プリンタ部14やスキャナ部13の駆動系が動作しない(感光ドラム1323および定着器1327のモータが駆動しない)ので、画像形成装置10は、駆動系の動作に関わる騒音を出すことなく、静かにスタンバイ状態に移行する。
【0099】
また、駆動系が動作しないスタンバイ状態に移行した後、機能ボタン122a-122dが押下されて使用する機能が確定すると、プリンタ部14やスキャナ部13の駆動系が動作する。駆動系が動作しないスタンバイ状態では、すでにプリンタ部14やスキャナ部13に電力が安定して供給されると共に、すでにプリンタ部14やスキャナ部13のリセット解除が行われている。したがって、機能ボタン122a-122dがユーザによって押下されるとすぐに、プリンタ部14が印刷可能な状態、もしくはスキャナ部13が読取可能な状態になる。
【0100】
また、原稿検知センサ333が原稿を検知した場合、スキャナ部13の駆動系が準備動作を行うが、プリンタ部14の駆動系が準備動作を行わない。原稿検知センサ333が原稿を検知する場合には、スキャナ部13を使用する可能性が高いことから、スキャナ部13の機能を使用可能な状態にするために、スキャナ部13のスキャナ駆動部332が準備動作を行う。ただし、原稿検知センサ333が原稿を検知したとしても、コピー機能を実行するか、スキャンした原稿の画像をHDD304に保存するか、FAX送信するかなど、プリンタ部14を使用するかどうかが確定されない。このため、プリンタ部14のプリンタ駆動部342の準備動作を行わない。プリンタ部14の機能を使用することが確定された段階で、プリンタ駆動部342の準備動作が実行される。
【0101】
また、用紙検知センサ312が用紙を検知した場合、プリンタ部14の駆動系が準備動作を行うが、スキャナ部13の駆動系が準備動作を行わない。用紙検知センサ312が用紙を検知する場合には、プリンタ部14を使用する可能性が高いことから、プリンタ部14の機能を使用可能な状態にするために、プリンタ部14のプリンタ駆動部342が準備動作を行う。ただし、用紙検知センサ312が用紙を検知したとしても、スキャナ機能を使用するかどうかが確定されない。このため、スキャナ部13のスキャナ駆動部332の準備動作を行わない。スキャナ部13の機能を使用することが確定された段階で、スキャナ駆動部332の準備動作が実行される。
【0102】
上記実施形態では、
図12および
図20に示した各ステップをハードウェアロジック回路の電源制御部401が実行する例について説明した。本発明はこれに限らず、電源制御部401がプロセッサであって、このプロセッサがプログラムを実行することによって、
図12および
図20に示した各ステップを実行しても良い。
【0103】
本実施形態におけるフローチャートに示す機能は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をコンピュータパソコン等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【符号の説明】
【0104】
10 画像形成装置
11 コントローラ
13 スキャナ部
14 プリンタ部
301 CPU
401 電源制御部