(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20241007BHJP
【FI】
B65D83/08 E
B65D83/08 G
(21)【出願番号】P 2023124696
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2024-01-17
(31)【優先権主張番号】P 2022127860
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 貴博
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3112574(JP,U)
【文献】特開2004-196303(JP,A)
【文献】特開2012-148814(JP,A)
【文献】特開2012-232758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の軟包材が互いに接合されて形成された第1シール部と、
前記第1シール部が形成された状態の前記軟包材における前記第1シール部に交差する方向に延びる一対の端部域がそれぞれ接合されて形成された一対の第2シール部と、
開口部を有する第1面部と、
前記第1面部に対向する第2面部と、
前記開口部を閉塞するように前記第1面部に取り付けられた蓋シートと、
前記第1面部
において前記蓋シートを被覆するように剥離可能に貼付されたカバーシートと、を備えた包装体であって、
前記カバーシートは、一部が接着剤非塗工部となるように接着剤が塗布されて形成された接着剤塗工部を、該カバーシートの一方の面に有し、
前記第1面部から剥離した前記カバーシートを前記第2面部に貼付することで、該カバーシートと該第2面部とで画成される空間に、前記接着剤非塗工部を通じて物品の収容が可能になされている、包装体。
【請求項2】
前記カバーシートが四角形であり、四辺からなる前記カバーシートの周縁部のうち、三辺に沿う周縁部が前記接着剤塗工部であり、一辺に沿う周縁部が前記接着剤非塗工部である、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記カバーシートは、前記一方の面とは反対側の面における前記四辺のうち前記接着剤非塗工部が形成された一辺に対応する位置に、該カバーシートの剥離開始位置を示す表示が施されている、請求項2に記載の包装体。
【請求項4】
対向する二辺の前記接着剤塗工部は、それらの端縁のうち、前記接着剤非塗工部側に位置する端縁が、前記カバーシートの端縁まで達している、請求項2又は3に記載の包装体。
【請求項5】
前記第1面部、前記第2面部及び前記カバーシートがいずれも略同寸法の四角形である、請求項2又は3に記載の包装体。
【請求項6】
前記カバーシートが、包装体に収容された収容対象物の縦幅及び横幅と略同寸法の四角形である、請求項2又は3に記載の包装体。
【請求項7】
前記第2面部に、前記カバーシートの適正貼付位置を示す表示が施されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項8】
前記第1シール部及び前記第2シール部により、平面視における前記包装体の周縁部の三方又は四方が封止されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項9】
前記第1シール部は、前記軟包材における一対の側部域が合掌状に互いに接合されて形成されており、
前記第2面部が前記第1シール部を含んでいる、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項10】
前記第1シール部が倒伏して前記第2面部と接しており、
前記第1シール部の倒伏方向と反対方向に前記接着剤非塗工部が位置するように前記カバーシートを前記第2面部に貼付することを示す表示が施されている、請求項9に記載の包装体。
【請求項11】
前記第2面部に、前記包装体内に収容された収容対象物の効能又は成分を表示する能書が施されており、
前記カバーシートを前記第2面部に貼付したときに、前記能書が該カバーシートによって掩蔽されるようになされている、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項12】
前記カバーシートの外面に、前記包装体内に収容された収容対象物に関する表示が施されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装体。
【請求項13】
前記カバーシートの内面に、該カバーシートの使用方法に関する情報が表示されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項14】
前記カバーシートにおける前記接着剤非塗工部と第1面部との間に形成される開口を少なくとも部分的に閉鎖する閉鎖手段を有している、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のウェットティッシュが収容されたウェットティッシュ包装体や、複数のティッシュペーパが収容されたポケットティッシュ包装体が知られている。このようなウェットティッシュ包装体やポケットティッシュ包装体は、外出する場合等に携帯されて使用されることが多い。
【0003】
ところで、外出中、包装体に収容されたウェットティッシュやティッシュペーパを使用したときに、使用済みのウェットティッシュやティッシュペーパを廃棄する際、使用者の周りにゴミ箱等がないと、この使用済みのウェットティッシュやティッシュペーパの処分に困る場合があった。そこで、使用済みのウェットティッシュを収容する使用済みティッシュペーパ収容部を設けた包装体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1で開示された包装体は、複数のウェットティッシュが収容される包装体本体と、該包装体本体の外面側に設けられる使用済みウェットティッシュ収容部と、を備える。この包装体は、シート部材における一対の第1側縁側が互いに接合されて形成された第1シール部と、前記第1シール部が形成された状態の前記シート部材における前記一対の第1側縁に交差する方向に延びる一対の側縁側がそれぞれ接合されて形成された一対の第2シール部とを備えている。使用済みウェットティッシュ収容部は、前記第1シール部、該第1シール部から前記第1側縁の延びる方向に交差する方向に延出して形成された第1シール延出部、及びこの包装体本体を構成するシート部材により構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で提案された包装体では、衛生上の観点から、使用者が製品を使用する直前まで、開口部の蓋シートのバージン性を確保するための外装袋が必要になる。そのため、特許文献1で開示された技術では、外装袋のため余分な樹脂が必要となる。
【0007】
したがって本発明は、開口部の蓋シートのバージン性を確保するための外装袋が不要であり、樹脂の使用量の削減が可能となる包装体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、包装体に関する。
前記包装体は、シート状の軟包材が互いに接合されて形成された第1シール部と、
前記第1シール部が形成された状態の前記軟包材における前記第1シール部に交差する方向に延びる一対の端部域がそれぞれ接合されて形成された一対の第2シール部と、
開口部を有する第1面部と、
前記第1面部に対向する第2面部と、
前記開口部を閉塞するように前記第1面部に取り付けられた蓋シートと、
前記第1面部の少なくとも一部を被覆するように剥離可能に貼付されたカバーシートと、を備えていることが好ましい。
前記カバーシートは、一部が接着剤非塗工部となるように接着剤が塗布されて形成された接着剤塗工部を、該カバーシートの一方の面に有していることが好ましい。
前記包装体は、前記第1面部から剥離した前記カバーシートを前記第2面部に貼付することで、該カバーシートと該第2面部とで画成される空間に、前記接着剤非塗工部を通じて物品の収容が可能になされていることが好ましい。
【0009】
また本発明は、別の包装体に関する。
前記包装体は、シート状の軟包材が互いに接合されて形成された第1シール部と、
前記第1シール部が形成された状態の前記軟包材における前記第1シール部に交差する方向に延びる一対の端部域がそれぞれ接合されて形成された一対の第2シール部と、
第1面部と、
第1シール部を有し、且つ前記第1面部に対向する第2面部と、
前記第1面部又は第2面部に形成された開口部と、
前記第1面部及び前記第2面部のうち、前記開口部が形成された面とは反対側の面の少なくとも一部を被覆するように貼付されたカバーシートと、を備えていることが好ましい。
前記カバーシートは、一部が接着剤非塗工部となるように接着剤が塗布されて形成された接着剤塗工部を、該カバーシートの内面に有していることが好ましい。
前記カバーシートと前記反対側の面とで画成される空間に、前記接着剤非塗工部を通じて物品の収容が可能になされていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開口部の蓋シートのバージン性を確保するための外装袋が不要であり、樹脂の使用量の削減が可能となる包装体が提供される。
本発明によれば、収容空間に使用済みの収容対象物や他のゴミ等を収容できるので、利便性に優れる包装体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の包装体の一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す包装体のII-II線断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の包装体の別の実施形態を示す斜視図(
図1相当図)である。
【
図4】
図4(a)は、カバーシートを接着剤が塗工された面から見た平面図であり、
図4(b)は、カバーシートを表示が施された面から見た平面図である。
【
図5】
図5(a)ないし(c)はそれぞれ、包装体の第1面部に貼付されたカバーシートを剥離させ、第2面部に貼付するまでの手順を順次示す工程図である。
【
図6】
図6は、第2面部にカバーシートが貼付された包装体の
図2相当図である。
【
図7】
図7は、カバーシートにより画成される空間内に物品を収容している状態を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、カバーシートの別の実施形態を示す
図4相当図である。
【
図9】
図9(a)~(d)は、剥離開始表示の位置のバリエーションを示す平面図である。
【
図10】
図10(a)は、閉鎖手段の一実施形態を示す平面図であり、
図10(b)は該閉鎖手段の閉鎖を解除した状態の包装体を示す斜視図である。
【
図11】
図11(a)~(d)は、閉鎖手段のバリエーションを示す平面図である。
【
図12】
図12は、閉鎖手段の別の実施形態を示すカバーシートの平面図である。
【
図13】
図13は、カバーシートのさらに別の実施形態を示す平面図である。
【
図14】
図14は、カバーシートのさらに別の実施形態を示す平面図である。
【
図15】
図15は、カバーシートのさらに別の実施形態を示す図であって、該カバーシートの貼付位置の位置合わせを説明するための斜視図である。
【
図16】
図16は、本発明の包装体のさらに別の実施形態を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、本発明の包装体のさらに別の実施形態を示す斜視図である。
【
図18】
図18(a)~(d)は、複数のカバーシートを有する包装体のバリエーションを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1及び
図2に示す実施形態の包装体1は、シート状の軟包材10により形成されている。包装体1は、1枚の矩形の軟包材10の一対の側部域どうしを一部重ねた状態で接合して、該軟包材10を筒状に形成し、筒状となった該軟包材10における二つの開口端を含む端部域それぞれを接合することで形成されている。
【0013】
包装体1は、略直方体の形状を有しており、第1方向Xとこれと直交する第2方向Yとを有している。第1方向Xは、後述する第1シール部21の延在方向と一致しており、本実施形態では包装体1の長手方向とも一致している。第2方向Yは、第1シール部21の延在方向と直交しており、本実施形態では包装体1の短手方向とも一致している。
【0014】
軟包材10によって形成された包装体1は、
図1及び
図2に示すとおり、収容対象物2を収容可能な収容部5を備えている。収容部5は、
図2に示すとおり、収容対象物2を収容可能な収容空間51を有している。収容部5内には、複数枚の収容対象物2が矩形等の所定の形状に折り畳まれているか、又は折り畳まれていない状態で積層された積層体2Sが収容されている。
収容対象物2としては、例えば不織布等の繊維シートに、化粧水、乳液、美容液、洗顔料、メイク落とし、洗髪料、除菌液、洗浄料、活性剤水、アルコール含有液、水等の液体を含浸させたもの等が挙げられる。これに代えてティッシュペーパのようなドライのシートを収容対象物2とすることもできる。
【0015】
収容部5は、第1面部F1と、第1面部F1の反対側の面である第2面部F2とを有している。収容部5は、対向する第1面部F1と第2面部F2との間に、一対の第3面部F3,F3を有している。一対の第3面部F3,F3は、第2方向Yにおいて互いに対向している。収容部5は、第1面部F1、第2面部F2、及び一対の第3面部F3,F3の各面が軟包材10により形成されている。
【0016】
収容部5は、第3面部F3において第1方向Xに延びる直線状の折り目が、該第3面部F3の高さ方向中央に形成されており(図示せず)、該折り目を第2方向Y内方側に向かって谷折りにすることによって、第3面部F3を形成する軟包材10をV字状に折り込むことが可能になされている。このように、収容部5は一対の第3面部F3,F3にガセット形状を有する。
【0017】
収容部5は、
図1及び
図2に示すとおり、第1面部F1に、収容対象物2を取り出すための開口部3及び該開口部3を開閉する蓋シート4を備えている。
【0018】
開口部3は、軟包材10の第1面部F1を貫通する貫通孔であり、第1面部F1の中央に位置している。開口部3は、収容部5における収容対象物2の収容空間51と連通している。収容対象物2は、この開口部3を通じて外部へ取り出される。開口部3の形状は特に限定されず、例えば長方形、正方形、円形又は楕円形等の形状にすることができる。なお、開口部3は、少なくとも蓋シート4を引き上げたときに形成されるものであればよい。したがって、蓋シート4を初めて引き上げる迄は包装体1に開口部3が形成されておらず、蓋シート4を初めて引き上げるときに、第1面部F1の一部が蓋シート4とともに引き上げられて開口部3が初めて形成されるようになっていてもよい。
【0019】
蓋シート4は、第1面部F1の外面において、開口部3の全域を被覆しており、第1面部F1に剥離可能に貼付されている。蓋シート4としては、第1面部F1との対向面に粘着剤からなる粘着層を有するシールシートを用いることができる。
蓋シート4の粘着層は再剥離性を有していることが好ましい。この場合、再剥離性を有する粘着剤で粘着層を形成することにより、該粘着層に再剥離性を付与することができる。斯かる粘着剤としては、汎用的なアクリル系粘着剤が好ましい。
【0020】
図2及び4に示すとおり、包装体1は、矩形の軟包材10における一対の側部域どうしが合掌状に接合され、第1方向Xに沿って形成された第1シール部21を有している。また、収容部5は、第1方向Xの両端部の位置に一対の第2シール部22,22を有している。第2シール部22は、第1方向Xと交差する方向、具体的には直交する方向に延びている。第1シール部21は、一対の第2シール部22,22間に位置している。
包装体1の製造工程において第1シール部21は、矩形の軟包材10を筒状に形成する接合箇所であり、第2面部F2側において第1方向Xに沿って、矩形状の軟包材10の側部域どうしを接合している。すなわち第2面部F2は第1シール部21を含んでいる。第1シール部21は、収容部5の第2方向Yにおける略中央に位置しているが、第1シール部21の位置はこれに限定されず、例えば第2方向Yの中央から外方側へ偏在した位置に形成されていてもよい。第1シール部21は第2方向Yの一方側に倒伏して第2面部F2と接している。
第2シール部22,22は、筒状の軟包材10の両端に位置する開口を閉塞する接合箇所であって、第1シール部21とともに密閉された収容空間51を有する収容部5を形成する接合箇所である。すなわち第2シール部22,22は、筒状の軟包材10の両側に位置し、且つ開口を有する一対の端部域に形成されている。
第1シール部及び第2シール部22の形成は、例えばヒートシールにより行われる。
【0021】
包装体1を構成する軟包材10としては、液不透過性のシート材を用いることができ、例えばアルミニウムからなるシート、熱可塑性樹脂フィルム、アルミニウム、シリカ又はアルミナ等を蒸着した熱可塑性樹脂フィルム、シーラント層となる熱可塑性樹脂フィルム、熱可塑性樹脂フィルムの間にアルミニウム層を挟んだ積層フィルム等のいずれかまたは複数からなるシート材を用いることができる。熱可塑性樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ナイロンフィルム等の基材フィルム、又はこれらフィルムが積層した積層構造を有するものであってもよい。収容対象物2(例えばウェットシート)に含まれる液体が滲出したり揮発したりすることを抑制する観点から、軟包材10は、アルミニウムからなるシート、PETフィルム、又はアルミニウム層が積層した積層構造を有していることが好ましい。斯かる積層構造における熱可塑性樹脂の層は単層であってもよく、2層以上の多層であってもよい。
【0022】
図1及び
図2に示すとおり、包装体1はカバーシート40を備える。カバーシート40は、包装体1の使用前の状態において、第1面部F1の少なくとも一部を被覆するように剥離可能に第1面部F1に貼付されている。例えば、カバーシート40は蓋シート4を少なくとも覆うように第1面部F1に貼付される。かかる構成により、蓋シート4はカバーシート40によって使用直前まで保護されるので、使用者が蓋シート4を開封する直前まで、蓋シート4のバージン性が確保される。その結果、従来用いられていた、包装体の保護用の外装袋が不要となり、合成樹脂の使用量を削減することができる。
【0023】
使用者は包装体1に収容された収容対象物2を使用する際、カバーシート40を第1面部F1から剥離させ、次いで蓋シート4を開封して開口部3を露出させ、該開口部3から収容対象物2を指で摘まんで包装体1の外部へ取り出す。
【0024】
図1に示すとおり、カバーシート40は、その長手方向に沿う各側縁が、第1面部F1の長手方向に沿う各側縁と一致するように第1面部F1に貼付されている。また、カバーシート40は、その短手方向に沿う各端縁が、各第2シール部22の内方端縁22b(
図1参照)と一致するように第1面部F1に貼付されている。すなわち第1面部F1及びカバーシート40はいずれも同寸法の矩形である。したがって、第1面部F1と対向する面である第2面部F2とカバーシート40も略同寸法の四角形である。こうすることで、後述するとおり、カバーシート40と第2面部F2とで画成される空間Sを最大限大きくすることができ、使用後の収容対象物2を該空間Sに多量に収納させることができる。
斯かる「略同寸法」とは、四角形であるカバーシート40の縦幅(第1方向Xの長さ)及び横幅(第2方向Yの長さ)が、第1面部F1及び第2面部F2の縦幅(第1方向Xの長さ)及び横幅(第2方向Yの長さ)に対して、同じである場合と、10mm以内で短い場合とが含まれる。
第1面部F1にカバーシート40をより確実に貼付する観点から、本実施形態のカバーシート40の第1方向Xの長さは、第1面部F1の第1方向Xの長さよりも好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上短い。上記と同様の観点から、本実施形態のカバーシート40の第2方向Yの長さは、第1面部F1の第2方向Yの長さよりも好ましくは1mm以上、より好ましくは3mm以上短い。カバーシート40を斯かる寸法にすることによって、包装体1の製造工程において、カバーシート40の貼付位置がずれた場合や、ヒートシールの位置がずれた場合であっても、カバーシート40を第1面部F1により確実に貼付することができる。
【0025】
カバーシート40の寸法は、
図3に示すとおり、収容対象物2であるウェットティッシュやティッシュペーパなどの矩形の物品の縦幅(第1方向Xの長さ)及び横幅(第2方向Yの長さ)と略同寸法にすることもできる。
斯かる「略同寸法」とは、四角形であるカバーシート40の縦幅(第1方向Xの長さ)及び横幅(第2方向Yの長さ)が、収容対象物2の縦幅(第1方向Xの長さ)及び横幅(第2方向Yの長さ)に対して、同じである場合と、10mm以内で短い場合とが含まれる。
ウェットティッシュやティッシュペーパが折り畳まれた状態で収容されている場合には、前記の物品(収容対象物2)の縦幅及び横幅は、折り畳まれた状態での寸法のことである。カバーシート40の寸法をこのように設定することで、該カバーシート40と収容対象物2との一体感を使用者に与えることができる。また、カバーシート40が第2面部F2よりも小さい寸法となり、第2面部F2における収容対象物2が存在する平面状の領域に貼り直すことが可能となるので、第2面部F2にカバーシート40を貼り直す操作が容易となる。
【0026】
図3に示す形態において、第1面部F1にカバーシート40をより確実に貼付する観点から、カバーシート40の第1方向Xの長さは、収容対象物2の第1方向Xの長さよりも1mm以上短いことが好ましく、3mm以上短いことがより好ましい。上記と同様の観点から、カバーシート40の第2方向Yの長さは、収容対象物2の第2方向Yの長さよりも1mm以上短いことが好ましく、3mm以上短いことがより好ましい。カバーシート40を斯かる寸法にすることによって、包装体1の製造工程において、カバーシート40の貼付位置がずれた場合であっても、該カバーシート40を第1面部F1により確実に貼付することができる。
なお、
図3に示す実施形態の包装体1は、
図1に示す実施形態の包装体と異なり、第3面部F3にガセット形状を有しておらず、扁平な筒形状を有している。
【0027】
図3に示すように、カバーシート40が、第1面部F1及び第2面部F2の寸法よりも小さい四角形である場合、使用前の包装体1においてカバーシート40は、第2シール部22の内方端縁22bよりも第1方向X内方に離間して位置するように、第1面部F1に貼付されていることが好ましい。すなわち第1方向Xにおいてカバーシート40と第2シール部22の内方端縁22bとの間に間隔C1を設けることが好ましい(
図3参照)。
包装体1は段ボール等の梱包箱に複数収容されて梱包される。包装体1は、梱包箱内で、一方の第2シール部22を下方に、他方の第2シール部22を上方に向けた状態で梱包されることがある。この梱包状態では、収容対象物2が下方にずれることによって、包装体1の下方の第2シール部22近傍の部分が潰れ易くなる。斯かる潰れに対し、前記の間隔C1を設けることで、カバーシート40の下方部分が収容対象物2の下に回り込むことを抑制でき、カバーシート40に縒れ又はシワが生じることを抑制することができる。梱包状態においてカバーシート40の縒れ又はシワの発生をより抑制する観点から、第1方向Xにおけるカバーシート40と第2シール部22の内方端縁22bとの間の間隔C1(
図3参照)は、一方の第2シール部22側に設けられていることが好ましく、梱包状態において下方に配置される方の第2シール部22側に設けられていることがより好ましい。当該間隔C1は、一対の第2シール部22それぞれの側に設けられていてもよい。
上記と同様の観点から、第1方向Xにおけるカバーシート40と第2シール部22の内方端縁22bとの間の間隔C1は、収容対象物2を収容した包装体1の厚みの半分以上であることが好ましい。包装体1の厚みは、第1方向Xの全長を二等分する仮想直線と第2方向Yの全幅を二等分する仮想直線との交点の位置、すなわち包装体1の中央位置で測定する。
【0028】
図4(a)及び
図4(b)に示すとおり、カバーシート40は、その第1面部F1との対向面である内面に、一部が接着剤非塗工部43となるように接着剤が塗布されて形成された接着剤塗工部42を有している。本実施形態のカバーシート40の内面において接着剤塗工部42は、接着剤が略環状に塗布された部分であり、該略環状の部分において接着剤非塗工部43が、接着剤が塗布されていない欠落部となっている。例えば接着剤塗工部42は、一部が欠落した矩形環状又は円環状(C字状)をなしている。カバーシート40の内面には、該カバーシート40を第2面部F2に貼付したときに収容空間Sとなる部分を囲む周辺領域に接着剤塗工部42が形成されている。前記周辺領域において接着剤が塗工されていない欠落部分が、接着剤非塗工部43である。すなわち接着剤塗工部42に囲まれた部分には、接着剤が塗工されていない。当該収容空間Sについては後述する。
またカバーシート40の内面全域に接着剤を塗工して塗工面を形成した後、該塗工面上に印刷を施して、接着剤塗工部42及び接着剤非塗工部43を形成してもよい。
【0029】
本実施形態の接着剤塗工部42は、カバーシート40の周縁部に沿って設けられている(
図4参照)。詳細には、四角形であるカバーシート40の内面における四辺の周縁部のうち、二つの短辺に沿う周縁部が第1短手接着剤塗工部421及び第2短手接着剤塗工部422となっており、これらの短辺を連結する一つの長辺に沿う周縁部が長手接着剤塗工部423となっている。もう一つの長辺に沿う周縁部は接着剤非塗工部43となっている。したがって接着剤塗工部42は二つの短手接着剤塗工部421,422と、これらの端部を連結する長手接着剤塗工部423とから構成される略コ字状(略C字状)をしている。このように、四辺からなるカバーシート40の周縁部のうち、三辺に沿う周縁部が接着剤塗工部42であり、一辺に沿う周縁部が接着剤非塗工部43となっている。カバーシート40は、その第1面部F1との非対向面である外面には接着剤が塗布されていない。
カバーシート40の接着剤塗工部42の幅は、接着性の観点から3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がより好ましい。剥離性の観点から、接着剤塗工部42の幅は、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、15mm以下がより好ましい。操作性の観点から、包装体1の使用前において接着剤塗工部42が蓋シート4と重ならないように、カバーシート40が第1面部F1に貼付されていることが好ましい。
【0030】
各短手接着剤塗工部421,422は、一定の幅をもって第2方向Y(横方向Y)に延びている。同様に、長手接着剤塗工部423も、一定の幅を持って第1方向X(縦方向X)に延びている。各接着剤塗工部421,422,423の幅はそれぞれ同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
四角形のカバーシート40の一辺に沿う周縁部に接着剤非塗工部43が形成されている場合、該接着剤非塗工部43が形成された辺40aを、非塗工辺40aともいう。
図4に示すカバーシート40は、対向する長手方向に沿う二辺のうちの一方の長辺40aが、非塗工辺40aとなっている。
【0031】
図4(a)に示すとおり、対向する二辺の各短手接着剤塗工部421,422は、それらの端縁のうち、接着剤非塗工部43側に位置する一方の端縁が、カバーシート40の長手方向に沿う長辺40a(非塗工辺40a)まで達しておらず、該長辺40a(非塗工辺40a)よりも第2方向Yの手前で終端している。こうすることで、使用者がカバーシート40を包装体1の第1面部F1から剥離する際、非塗工辺40aの両側に位置する角を指で把持しやすくなり、該カバーシート40の剥離が容易になるという利点がある。
【0032】
図4(b)に示すとおり、本実施形態のカバーシート40の外面すなわち、第1面部F1との非対向面には、第1方向Xに延びる接着剤非塗工部43の二つの端部の少なくとも一方に対応する位置に、該カバーシート40の剥離開始位置を示す剥離開始表示41が施されている。これによって包装体1の使用者は、カバーシート40の剥離を開始させる位置を容易に認識することができ、剥離操作を正確且つ容易に行うことができる。斯かる効果を奏する観点から、剥離開始表示41は、カバーシート40の内面とは反対側の外面における四辺のうち接着剤非塗工部43が形成された一辺に対応する位置に施されていればよい。
本実施形態の剥離開始表示41は、二等辺三角形となっており、該三角形の頂部がカバーシート40の角に位置している。この二等辺三角形の剥離開始表示41は、該三角形の頂部が、カバーシート40の剥離開始位置又は剥離方向を示す。剥離開始表示41として例えば、カバーシート40の地色と異なる色での塗り分けや、文字、記号及び/又は図形の表示等が挙げられる。
【0033】
カバーシート40は透明又は不透明であり得る。いずれの場合であっても、カバーシート40の外面には、収容部5に収容される収容対象物2に関する表示を施すことができる。例えば収容対象物2を想起させる商品名、ロゴ、イメージキャラクター、及び/又はキャッチコピーなどのアイキャッチ性の高いデザインを、カバーシート40の外面に施すことができる。カバーシート40は一枚の平坦なシート材から構成されるので、包装体1の第1面部F1に直接表示を施す場合に比べ、シートに曲がりや皺が発生しづらい。したがって、カバーシート40の外面に表示を付すことには、包装体1が良好な外観を呈するという利点がある。尤もこのことは包装体1の第1面部F1に表示を付すことを妨げるものではない。したがって例えば包装体1の第1面部F1に、カバーシート40に付した表示と同一又は異なる表示を付すことができる。
【0034】
カバーシート40が透明又は不透明の何れの場合においても、該カバーシート40に各種デザインを施すことに代えて、又はそれに加えて、カバーシート40と第1面部F1とで画成される空間に、包装体1の商品価値を高めるための宣伝文が表示されたチラシ、試供品又はノベルティグッズなどを収容してもよい。
【0035】
カバーシート40が第1面部F1に貼付された状態において、該カバーシート40に設けられた接着剤塗工部42は、蓋シート4と重なっていないことが好ましい(
図1及び
図3参照)。こうすることで、カバーシート40を第1面部F1から剥離するときに、意図せず蓋シート4が剥がれて収容対象物2が開口部3から露出することを効果的に防止できる。
【0036】
図5~7には、
図1に示す包装体1の使用例が図示されている。
カバーシート40は、包装体1の第1面部F1から剥離した該カバーシート40を、第2面部F2に貼付することで、該カバーシート40と第2面部F2との間に空間S(
図6及び
図7参照)が画成されるようになされている。そしてカバーシート40は該空間Sに、接着剤非塗工部43を通じて物品の収容が可能になっている。このことを、
図5(a)ないし(c)及び
図6を参照しながら説明する。
【0037】
まず、
図5(a)に示すとおり、包装体1の第1面部F1からカバーシート40を剥離する。このとき、カバーシート40における剥離開始表示41が存する部分を2本の指で摘まんでカバーシート40を引き上げると剥離操作を容易に行うことができる。
【0038】
次に、
図5(b)に示すとおり、包装体1を上下反転させて第2面部F2を上方に向ける。この状態下、第2面部F2とカバーシート40の内面(すなわち接着剤塗工部42が形成された面)とを対向させる。引き続き
図5(c)に示すとおり、第2面部F2へカバーシート40を貼付する。貼付に際しては、
図5(b)に示すとおり、第2面部F2の表面に設けられたターゲットマーク50を目安にしてカバーシート40の貼付位置を決定する。すなわちターゲットマーク50は、第2面部F2へのカバーシート40の適正貼付位置を示す表示である。
【0039】
ターゲットマーク50は、
図5(b)に示すとおり略L字形をしており、カバーシート40が第2面部F2の適正な位置に貼付された場合に、該カバーシート40の隣り合う一対の角部47,48と一致する位置に設けられている。具体的には、カバーシート40における第1短手接着剤塗工部421と長手接着剤塗工部423との交点の角部47、及び第2短手接着剤塗工部422と長手接着剤塗工部423との交点の角部48と一致する位置の2か所に、ターゲットマーク50が設けられている。
【0040】
図5(b)に示す2か所のターゲットマーク50,50を目安に、
図5(c)に示すとおり、カバーシート40を第2面部F2に貼付する。貼付が完了した状態においては、
図5に示すとおり、カバーシート40の二つの長辺40a,40bの位置は、第2面部F2の二つの長辺F2a,F2bの位置と略一致している。また
図5(c)に示すとおり、カバーシート40の二つの短辺40c,40cの位置は、第2シール部22の内方端縁22b,22bの位置と略一致している。
【0041】
このようにして第2面部F2のカバーシート40の貼付操作が完了すると、
図6に示すとおり、カバーシート40と第2面部F2とによって空間Sが画成される。この空間S内には、接着剤非塗工部43を通じて物品の収容が可能になる。
このように、包装体1によれば、蓋シート4のバージン性を確保する目的で使用されるカバーシート40を、物品の収容空間Sを形成する部材としても使用するので、別途空間Sを形成するための部材を用意することを要しない。この点からも、包装体1によれば、樹脂の使用量の削減が可能である。また収容空間Sに使用済みの収容対象物2を収容できるので、利便性に優れる(
図7参照)。
図7では、収容空間Sに、使用済みの収容対象物2を収容している状態が示されている。収容空間Sに収容される物品は、使用済みの収容対象物2に限られず、他のゴミ等であってもよい。
【0042】
第2面部F2の表面には種々の表示を施すことができる。例えば収容対象物2の効能又は成分を表示する能書を施すことができる。能書を第1面部F1に表示することも技術的には可能であるが、その場合にはカバーシート40によって能書が覆われてしまう。したがって能書は2面部F2に表示することが好ましい。第2面部F2にはカバーシート40が貼付されるが、それは包装体1の使用時であることから、能書がカバーシート40に覆われて見えなくなってしまっても差し支えない。むしろ、能書はデザイン性に劣る表示であることが多いので、デザイン性の高い部材であるカバーシート40によって能書が掩蔽されるようになされていることは、包装体1全体のデザイン性を高める点から有利である。
【0043】
カバーシート40の接着剤塗工部42の接着力は、人が軽い力で引っ張ることで簡単に第1面部F1から剥離できる程度であり且つ第2面部F2に貼付した後は、自然状態(外力を加えない状態)では剥離しない程度であることが好ましい。これにより、カバーシート40の操作性をより向上できる。
接着剤塗工部42の接着力は、カバーシート40の剥離強度として測定することができる。操作性をより向上させる観点から、カバーシート40の剥離強度は、以下の範囲内であることが好ましい。
店頭等で意図せず剥離することを抑制する観点から、カバーシート40は、第1面部F1からの剥離強度が、好ましくは1N以上100N以下、より好ましくは2N以上90N以下である。使用時の剥離を容易にするという観点から、カバーシート40は、第1面部F1からの剥離強度が、好ましくは0.1N以上50N以下、より好ましくは0.5N以上30N以下である。
カバーシート40を第2面部F2に貼り直すことをより容易にする観点から、カバーシート40は、第2面部F2からの剥離強度が、好ましくは0.1N以上70N以下、より好ましくは0.5N以上50N以下である。第2面部F2にカバーシート40を貼付した状態において、使用済みの収容対象物2を収納した際の剥れにくさをより向上させる観点から、カバーシート40は、第2面部F2からの剥離強度が、好ましくは2N以上200N以下、より好ましくは3N以上150N以下である。第2面部F2からの剥離強度は、第1面部F1から剥離したカバーシート40を第2面部F2に貼付した後、該カバーシート40を該第2面部F2から剥離するときの強度である。
剥離強度は以下の方法により測定される。
【0044】
〔剥離強度の測定方法〕
第1面部F1又は第2面部F2に貼付されたカバーシート40に対し、接着剤非塗工部43における任意の箇所に径6mmの穴を開ける。次いでフック型の治具を前記の穴に引っ掛けて、該治具と接続したフォースゲージを用いて、第1面部F1又は第2面部F2からカバーシート40を剥離したときの最大強度を測定し、これを剥離強度とする。当初からカバーシート40が第1面部F1に貼付されている場合、カバーシート40を第2面部F2に貼付して20℃の環境下で1日静置した後に、前記の方法によって第2面部F2からの剥離強度を測定する。当初からカバーシート40が第2面部F2に貼付されている場合は、カバーシート40を第1面部F1に貼付して20℃の環境下で1日静置した後に、前記の方法によって第1面部F1からの剥離強度を測定する。
カバーシート40の内面に、後述する易剥離接合部73が設けられている場合、該易剥離接合部73に紙片等を貼り付けて、該易剥離接合部73の接着力を無効化させた上で、前記の測定を行う。
【0045】
前記の剥離強度は、接着剤の種類、及び接着剤塗工部42の面積又は寸法の何れかによって調整することができる。
例えば、接着剤塗工部42を形成する接着剤は、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、又はゴム系粘着剤等であることが好ましい。
剥離強度を前述した範囲内にし易くする観点から、接着剤塗工部42の面積は、カバーシート40の面積の好ましくは3%以上50%以下、より好ましくは10%以上30%以下である。接着剤塗工部42の面積は、カバーシート40の内面において接着剤が存する部分の面積であり、接着剤非塗工部43の面積を含まない。
また接着剤塗工部42の幅は、前述した範囲内とすることができる。さらに接着剤塗工部42の形状はコの字形状すなわちC字形状、又は欠落部(接着剤非塗工部43)を上辺に有する台形形状等であることが好ましい。
【0046】
図6に示すとおり、包装体1は、カバーシート40を第2面部F2に貼付するとき、第1シール部21の倒伏方向i(
図6では紙面の左方向)と反対方向に接着剤非塗工部43が位置するように、該カバーシート40の貼付方向性が決定される構成となっていることが有利である。このような方向性をもってカバーシート40を第2面部F2に貼付することで、
図7に示すとおり、空間Sに使用済みの収容対象物2を収容する動作が第1シール部21によって妨げられづらくなる。
【0047】
第2面部F2に貼付するカバーシート40の貼付方向性を一意に決定するために包装体1に施されている構成としては、例えば第2面部F2に貼付方向性を示す表示部(図示せず)を施すことなどが挙げられる。つまり、第1シール部21の倒伏方向と反対方向に接着剤非塗工部43が位置するようにカバーシート40を第2面部F2に貼付することを示す表示を第2面部F2又はカバーシート40に施すことが有利である。より具体的には、使用済みの収容対象物2を前記空間Sに収容するときに、収容対象物2が第1シール部21でつっかえることが抑制されるので、該収容時の操作性の点で有利である。
【0048】
本発明の包装体1及びその構成部材は、
図1~
図7に示す実施形態に限定されない。以下に、本発明に係る包装体1及びその構成部材の別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、
図1~
図7に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、
図1~
図7に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0049】
上述した本実施形態のカバーシート40Aは、接着剤塗工部42において第2方向Yに延びる短手接着剤塗工部421,422が、非塗工辺40aまで達していないものであったが、斯かる形態に限られない。
図8(a)及び(b)に示すカバーシート40Aは、対向する二辺の接着剤塗工部421,422を有し、これら接着剤塗工部421,422における端縁のうち、接着剤非塗工部43側に位置する端縁が、カバーシートの端縁(非塗工辺40a)まで達している。すなわち短手接着剤塗工部421,422が、カバーシート40の第2方向Yにおける全幅に延在している。これにより第2面部F2におけるカバーシート40Aの剥がれをより抑制することができる。
【0050】
本実施形態のカバーシート40Aは、内面に、該カバーシート40Aの使用方法に関する情報の表示44が施されている。カバーシート40Aの内面に施された表示44を、以下、「内面表示44」ともいう。内面表示44が含むカバーシート40Aの使用方法に関する情報は、カバーシート40Aを第2面部F2に貼付することで、該カバーシート40Aと第2面部F2とで画成される空間Sを形成する方法に関する情報であり、当該方法を文字、図又は画像等で示した情報である。
内面表示44は、上記の情報の他、包装体や収容対象物2に関する情報を含んでいてもよい。これらの情報は、二次元バーコード又はURL等であってもよい。
カバーシート40Aの内面に、前記の使用方法に関する情報等の情報の表示を施す場合、該カバーシート40Aの内面全域に接着剤を塗工して塗工面とした後、該塗工面上に前記表示を印刷して、接着剤非塗工部43及び略コ字状(略C字状)の接着剤塗工部42を形成してもよい。あるいは、前記塗工面上に、樹脂製のフィルム層を貼付して、接着剤非塗工部43及び略コ字状(略C字状)の接着剤塗工部42を形成した後、該フィルム層の表面に前記表示を印刷してもよい。
【0051】
また本実施形態のカバーシート40Aは、剥離開始表示41が、カバーシート40の外面における四辺のうち接着剤非塗工部43が形成された非塗工辺40aに対応する位置に施されているが、当該非塗工辺40aに対応する位置のうち、剥離開始表示41の位置が
図4に示す形態と異なっている〔
図8(b)参照〕。より具体的には、本実施形態の剥離開始表示41は、非塗工辺40aの両側に位置する角に存在せず、第2方向Yに延びる一方の短手接着剤塗工部421よりも第1方向X内方であって、該接着剤塗工部421と隣接した位置に設けられている。このように剥離開始表示41が、第2方向Yに延びる接着剤塗工部421よりも第1方向X内方に位置することで、より確実に接着剤非塗工部43から剥離を開始するよう誘導することができ、カバーシート40Aの剥離操作をより容易に行うことができる。
【0052】
図9(a)~(d)に、剥離開始表示41の位置のバリエーションが示されている。
図9(a)に示すように、剥離開始表示41は、第2方向Yに延びる接着剤塗工部421,422と第1方向Xに隣接していなくともよい。
図9(a)に示す剥離開始表示41は、第1方向Xに延びる接着剤非塗工部43の第1方向X中央に位置している。
図8及び
図9(a)に示す剥離開始表示41は、接着剤塗工部42と重ならない位置に設けられていたが、
図9(b)~(d)に示すように、剥離開始表示41は、接着剤塗工部42と部分的又は全体的に重なっていてもよい。
図9(b)に示す剥離開始表示41は、二等辺三角形の頂部が、第2方向Y内方を向き且つ短手接着剤塗工部421における第1方向Xの内方端縁と重なっており、当該三角形の第1方向X外方側の半分が短手接着剤塗工部421と重なっている。
図9(c)に示す剥離開始表示41は、二等辺三角形の頂部を第1方向Xの内方に向けた状態で、短手接着剤塗工部421と重なっている。
図9(d)に示す剥離開始表示41は、二等辺三角形の一方の等辺及び頂部を非塗工辺40a上に配した状態で、短手接着剤塗工部421と重なっている。
【0053】
図10(a)及び(b)に示す形態は、カバーシート40Bにおける接着剤非塗工部43と第1面部F1との間に形成される開口を、少なくとも部分的に閉鎖する閉鎖手段70を有している。斯かる開口は、接着剤非塗工部43におけるカバーシート40と第1面部F1との間の隙間である。閉鎖手段70による閉鎖によって、カバーシート40Bの未剥離性又は蓋シート4の未開封性を保証することができる。
本実施形態の閉鎖手段70は、ミシン目72を有するタックシール71である。このタックシール71は、ミシン目72と非塗工辺40aとが重なっており、該非塗工辺40aを挟んでカバーシート40と第1面部F1とに跨って貼付されている。包装体1bの第1面部F1からカバーシート40Bを剥離する際、タックシール71はミシン目72に沿って破断される〔
図10(b)参照〕。この破断の有無により、カバーシート40Bが剥離されたか否か(バージン性)を示すことができる。
タックシール71は、楕円形等の第2方向Yに長い形状であってもよい。この場合、カバーシート40Bを第2面部F2に貼付して該カバーシート40Bと第2面部F2とで画成される空間Sを形成した際に、第2方向Yに長いタックシール71を用いて、当該空間Sの入口となる接着剤非塗工部43側の開口を閉鎖してもよい。
【0054】
図11(a)~(d)及び
図12に、閉鎖手段70のバリエーションが示されている。
図11(a)~(d)に示す閉鎖手段70は、易剥離接合部73であり、接着剤非塗工部43においてカバーシート40Bと第1面部F1とを接合している。易剥離接合部73は、カバーシート40Bと第1面部F1とを接合している箇所であり、接着剤が存する面積が接着剤塗工部42よりも小さいことで、該易剥離接合部73における接合を容易に解除できる箇所である。易剥離接合部73は、接着剤が塗工された部分に印刷を施して、該接着剤を被覆した箇所と被覆しない箇所とを設けることで、形成されてもよい。
図11(a)~(c)に示す易剥離接合部73は、平面視矩形状であり、接着剤非塗工部43に部分的に形成されている。この場合、包装体は、単数の易剥離接合部73を有していてもよく〔
図11(a)及び(c)参照〕、複数の易剥離接合部73を有していてもよい〔
図11(a)及び(c)参照〕。
図11(a)及び(b)に示すように、接着剤非塗工部43において易剥離接合部73は、剥離開始表示41とは重ならない位置に設けてもよい。また、接着剤非塗工部43に易剥離接合部73のみ設けてもよい〔
図11(c)及び(d)参照〕。また
図11(d)に示すように、易剥離接合部73は、接着剤非塗工部43の第1方向X全長に連続して延びていてもよい。
【0055】
図12に示す閉鎖手段70は、カバーシート40Bの非塗工辺40a沿って形成された破断用接合部75である。破断用接合部75は、カバーシート40Bにおいて接着剤非塗工部43よりも第2方向Y外方に延出し、ミシン目を介してカバーシート40Bと連続し且つ第1方向Xに延びる長片部分である。また破断用接合部75は、その全域において第1面部F1と接合している。
図12に示すカバーシート40Bは、破断用接合部75と、短手接着剤塗工部421よりも第1方向X外方に延出する剥離延出部431とを有している。破断用接合部75は、剥離延出部431にも形成されており、該剥離延出部431を含むカバーシート40Bの第1方向X全長に連続している。
図12に示すカバーシート40Bは、剥離延出部431を把持しながら、ミシン目に沿ってカバーシート40Bを破断しつつ、第1面部F1から剥離することで、非塗工辺40aが形成される。この破断によって、カバーシート40Bは破断用接合部75から切り離される一方、破断用接合部75は第1面部F1に残存する。
【0056】
図9~
図12に示す実施形態は、閉鎖手段70によって、接着剤非塗工部43と、第1面部F1との間に形成される開口が少なくとも部分的に閉鎖されるものであったが、
図1~8に示すように、包装体は、閉鎖手段70を具備しなくともよい。
【0057】
後述する製造工程において、カバーシート40は、接着剤塗工部42を介して軟包材10に貼付された後、該軟包材10を筒状にして第1シール部21が形成される。第1シール部21が形成されるまでに、カバーシート40が貼付された軟包材10は、搬送ロール等で搬送されることがある。この搬送中に、カバーシート40と軟包材10との間に接着剤非塗工部43から空気が入り込んで、カバーシート40に皺が発生することがある。特に、一対の搬送ロール間に前記軟包材10が導入されると、空気の入り込みによってカバーシート40に皺が生じ易い。
前記の空気の入り込みを抑制して、皺の発生をより抑制する観点から、カバーシート40は
図13に示す構成を具備することが好ましい。
図13(a)に示すカバーシート40Cは、接着剤塗工部42が略U字状となっており、カバーシート40Cの一方の短辺に沿う周縁部に、接着剤非塗工部43が形成されている。斯かる接着剤塗工部42は、カバーシート40Cの一対の長辺に沿う周縁部に設けられた長手接着剤塗工部423,424と、他方の短辺に沿う周縁部に設けられた短手接着剤塗工部422とにより形成されている。この接着剤非塗工部43は、第1方向Xにおいて短手接着剤塗工部422と対向している。
図13(a)に示すカバーシート40Cは、軟包材10の搬送方向が第1方向Xに対応している場合に、接着剤非塗工部43から空気が入り込み難く、皺の発生をより抑制することができる。
【0058】
図13(b)~(c)に示すカバーシート40Cは、該カバーシート40Cの三辺に沿う周縁部に設けられた略コの字状の接着剤塗工部42と、カバーシート40Cの一方の長辺に沿う周縁部に設けられた接着剤非塗工部43とが形成されている。斯かる接着剤塗工部42は、カバーシート40Cの一方の長辺に沿う周縁部に設けられた長手接着剤塗工部423と、一対の短辺に沿う周縁部に設けられた短手接着剤塗工部421,422とにより形成されている。
図13(b)~(d)に示すカバーシート40Cは、該カバーシート40の一方の長辺から離間した円形の易剥離接合部73を有することによって、接着剤非塗工部43と第1面部F1との間に形成される開口から、空気がより入り込み難くなっている。
【0059】
図13(b)に示す易剥離接合部73は、接着剤非塗工部43に位置している。接着剤非塗工部43からの空気の入り込みをより抑制する観点から、カバーシート40Cは以下の構成を具備することが好ましい。
第2方向Yにおいて易剥離接合部73と非塗工辺40aとの間の距離L1〔
図13(b)参照〕は、カバーシート40Cの収容空間Sを形成する部分の第2方向Yの長さL
Y〔
図13(b)参照〕に対して好ましくは3%以上60%以下、より好ましくは8%以上30%以下である。「カバーシート40Cの収容空間Sを形成する部分」は、カバーシート40Cにおいて接着剤非塗工部43を含む接着剤が塗布されていない部分を指す。
前記距離L1〔
図13(b)参照〕は、好ましくは3mm以上30mm以下、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
第1方向Xにおいて易剥離接合部73と接着剤塗工部421,422との間の最短距離L2〔
図13(b)参照〕は、カバーシート40Cの収容空間Sを形成する部分の第1方向Xの長さL
X〔
図13(b)参照〕に対して好ましくは5%以上50%未満、より好ましくは20%以上50%未満である。前記最短距離L2は、第1方向Xにおける一対の接着剤塗工部421,422それぞれと易剥離接合部73との離間距離のうち、最短の方の距離である。
前記最短距離L2〔
図13(b)参照〕は、好ましくは5mm以上50mm未満以下、より好ましくは10mm以上50mm未満である。
【0060】
図13(c)に示すカバーシート40Cは、接着剤非塗工部43に位置する易剥離接合部73aに加えて、該易剥離接合部73aよりも第2方向Y内方に位置する易剥離接合部73b(以下、「内方接合部73b」ともいう。)を有している。斯かるカバーシート40Cは、第2方向Yの略中央に位置し、第1方向Xに離間する2個の内方接合部73b,73bを有している。
図13(d)に示すカバーシート40Cは、複数の易剥離接合部73aと、内方接合部73bとを有している。斯かるカバーシート40Cは、第2方向Yの略中央に位置し、第1方向Xに離間する1個の内方接合部73bを有している。
【0061】
搬送によるカバーシート40Cにおける皺の発生を抑制しつつ、第1面部F1からカバーシート40Cを剥離する際の操作性をより向上する観点から、内方接合部73bを含む易剥離接合部73は下記の構成を具備することが好ましい。
易剥離接合部73の1個当たりの面積は、カバーシート40Cの収容空間Sを形成する部分の面積に対して好ましくは0.01%以上10%以下、より好ましくは0.1%以上5%以下である。
易剥離接合部73の1個当たりの面積は、好ましくは5mm
2以上100mm
2以下、より好ましくは10mm
2以上30mm
2以下である。
易剥離接合部73の面積は、カバーシート40Cの収容空間Sを形成する部分の面積に対して好ましくは1%以上50%以下、より好ましくは10%以上30%以下である。
図13(c)及び(d)に示すように、カバーシート40Cが易剥離接合部73を複数有する場合、前記の「易剥離接合部73の面積」は、複数の易剥離接合部73の合計面積とする。
易剥離接合部73aと内方接合部73bとの第2方向Yにおける離間距離L3〔
図13(c)参照〕は、カバーシート40Cの収容空間Sを形成する部分の第2方向Yの長さL
Y〔
図13(c)参照〕に対して好ましくは5%以上50%以下、より好ましくは10%以上30%以下である。
前記離間距離L3は、好ましくは5mm以上50mm以下、より好ましくは10mm以上30mm以下である。
また第1面部F1からカバーシート40Cを剥離する際の操作性をより向上する観点から、易剥離接合部73aと内方接合部73bとは、第1方向Xにおける位置が重なっていないことが好ましい〔
図13(c)及び(d)参照〕。
【0062】
カバーシート40Cが、一対の短辺に沿う周縁部に設けられた短手接着剤塗工部421,422を有する場合、第1面部F1からの剥離性と、第2面部F2への貼付性とをより両立させる観点から、カバーシート40Cは、一方の短手接着剤塗工部が、非塗工辺40aまで達していないことが好ましい(
図14参照)。すなわち一方の短手接着剤塗工部422は非塗工辺40aよりも第2方向Yの手前で終端し、他方の短手接着剤塗工部421は非塗工辺40aまで達している。この場合、カバーシート40Cの外面において非塗工辺40aまで達していない短手接着剤塗工部422と非塗工辺40aとの間の部分425を、カバーシート40Cの剥離開始部分425とすることできる。本実施形態のカバーシート40Cは、その外面において剥離開始部分425に対応する位置に、剥離開始表示41を設けてもよい(
図14において図示せず)。
【0063】
図15に示す包装体1cにおいてカバーシート40Dは、内面に、該カバーシート40Dの貼付位置をターゲットマーク50に合わせるための内面表示44aを有している。このカバーシート40Dは、一対の短手接着剤塗工部421,422と接続する長手接着剤塗工部423を有しており、該長手接着剤塗工部423の第2方向Yの内方端縁と短手接着剤塗工部421,422の第1方向Xの内方端縁とによって形成される2つの角部それぞれに、内面表示44aが位置している。斯かるカバーシート40Dは、内面表示44と、第2面部F2に設けられたターゲットマーク50とを重ね合わせるように配されることで、第2面部F2における適正な位置に貼付される。
【0064】
図13~15に示すように、カバーシート40C,40Dは、角が丸い矩形形状であってもよい。また
図8~12に示すように、カバーシート40A,40Bは、角が直角の矩形形状であってもよい。
【0065】
図16に示す包装体1dは、第1シール部21を含む第2面部F2に、収容対象物2を取り出すための開口部3aを有している。本実施形態の第1面部F1は、収容対象物2を取り出すための開口部を有していない。
本実施形態の開口部3aは、第1方向Xに延びるスリット状の開口であり、互いに嵌合可能な凸条及び凹条を有するチャック機構を備えている。このチャック機構により、本実施形態の開口部3aは開閉自在となっている。本実施形態の開口部3aは、第1シール部21よりも第2方向Y外方に形成されているが、開口部3aの位置は特に限定されない。
【0066】
本実施形態の包装体1dは、開口部3aが形成された面F2とは反対側の面の少なくとも一部を被覆するように貼付されたカバーシート40を備えている。より具体的には、本実施形態の包装体1dは、開口部3aが形成された第2面部F2とは反対側の第1面部F1に貼付されたカバーシート40を備えている(
図16参照)。
本実施形態の包装体1dは、使用前の状態から、カバーシート40が第1面部F1に貼付されている。このカバーシート40は、着脱可能に第1面部F1に貼付されていてもよく、又は着脱不能に第1面部F1に貼付されていてもよい。いずれの場合であっても、本実施形態の包装体1dでは、カバーシート40と第1面部F1とで画成される空間Sが形成されており、上述した実施形態と同様に、接着剤非塗工部43を通じて物品の収容が可能になされている。すなわち、本実施形態の包装体1dは、カバーシート40を貼り直す操作を行わない。
【0067】
収容対象物2を取り出すための開口部が形成された面とは反対側の面に、カバーシート40が貼付されている包装体は、
図16に示す形態に限られない。例えば、前記開口部が形成された面が第1面部F1であり、カバーシート40が貼付された面が第2面部F2である形態が挙げられる。
【0068】
図17に示す包装体1fは、上述した各実施形態の包装体よりも高さが高い形態である。すなわち第3面部F3の高さ(高さ方向の長さ)が、上述した各実施形態の包装体よりも高い。
図17に示す包装体1fは、第1シール部21(
図17において図示せず)を有する第2面F2が接地面となって図示されており、第1面部F1には開口部3が形成され、且つ該開口部3が蓋シート4によって閉塞されている。本実施形態の包装体1fは、六面体形状となっており、収容部5が、第1面部F1と第2面部F2との間に、第2方向Yに対向する一対の第3面部F3,F3に加えて、第1方向Xに対向する一対の第4面部F4,F4を有している。これら第3面部F3及び第4面部F4は、包装体1fにおいて第1面部F1と第2面部F2との間に位置する側面である。第4面部F4は、第1面F1及び第2面F2それぞれから第1方向X外方に延出した端部域が、第1方向X内方側(収容部5側)に折り込まれて形成されている。より具体的には、軟包材10において、第1面部F1から第1方向X外方に延出した第1延出部24と、第2面部F2から第1方向X外方に延出した第2延出部25とが、これらの第1方向X外方端部で第2シール部22により合掌状に接合されており、これら第1延出部24及び第2延出部25を第2面部F2側に折り曲げることによって、第4面部F4が形成されている。第1延出部24は、第1面部F1に連接された端縁で、第2方向Yに沿って第2面部F2側に折り曲げられている。これにより、第4面F4の外面は第1延出部24によって形成されている。第2延出部25は、第2面部F2に連接された端縁で、第2方向Yに沿って折り曲げられ、該折り曲げられた箇所よりも第1方向X外方側の箇所25a(以下、「外方折り曲げ部25a」ともいう。)でさらに第2方向Yに沿って折り曲げられている。斯かる第2延出部25は、外方折り曲げ部25aよりも第1方向X外方側の端部が、第2面部F2側に折り曲げられており、第2延出部25どうしが対向している。この対向した第2延出部25どうしは、接着剤によって互いに接合されている。
【0069】
図17に示す包装体1fは、一方の第3面部F3にカバーシート40を備えている。このように、カバーシート40は、何れか一方の第3面部F3の少なくとも一部を被覆するように剥離可能に貼付されていてもよい。本実施形態のカバーシート40は、接着剤非塗工部43が第1面部F1側となるように第3面部F3に配されている。これにより、第2面部F2を接地面とした状態で、上方(第1面部F1側)が接着剤非塗工部43で開口した収容空間Sが形成されるので、該収容空間Sに、使用済みの収容対象物を収容することができる。これに代えて、カバーシート40は、第3面部F3から剥離した後、第2面部F2及び第4面部F4の何れかの面に貼付して、使用してもよい。
図17に示す包装体1fは、カバーシート40が何れか一方の第3面部F3の少なくとも一部を被覆するように剥離可能に貼付されていたが、これに代えて、カバーシート40が、第3面部F3及び第4面部F4の何れかの側面であって、該面の少なくとも一部を被覆するように剥離可能に貼付されていてもよい。また複数のカバーシート40が、収容部5の側面F3,F4の何れか一以上の面に貼付されてもよい。
さらに包装体1fは、複数のカバーシート40を備え、各カバーシート40が第1面部F1、第2面部F2、第3面部F3、及び第4面部F4のうちの異なる面に貼付されていてもよい。例えば包装体1fは、第2面部F2にカバーシート40を備え、何れか一方の第3面部F3に別のカバーシート40を備えていてもよい。
【0070】
上述した実施形態の包装体は、1枚の軟包材10の一対の側部域を合掌状に接合した第1シール部21を有するものであったが、斯かる形態に限られない。例えば、第1シール部21は、1枚の軟包材10の一対の側部域の端縁どうしを第2方向Yにずらした状態で重ね合わせ、該重ね合わせた部分を接合して形成してもよい。この場合、第1シール部21は、包装体1の第1方向Xに沿う一方の側縁を形成するとともに、第2面部F2と一体化される。
また包装体は、二つ折りにした1枚の軟包材10の周縁どうしを三方シールして、第1シール部21及び一対の第2シール部22を形成したものであってもよい。あるいは、包装体は、2枚の軟包材10を重ね合わせ、その周縁どうしを四方シールして、一対の第1シール部21及び一対の第2シール部22を形成したものであってもよい。三方シール又は四方シールによって形成された第1シール部21及び第2シール部22を有する包装体は、平面視における該包装体の周縁部の三方又は四方が封止されたものとなる。この場合、第1面部F1及び第2面部F2それぞれは、第1シール部21及び第2シール部22それぞれを含んでいる。
【0071】
次に本発明の包装体の好ましい製造方法を、
図1に示す包装体1の製造方法を例に説明する。
本実施形態の製造方法は、1枚の軟包材10に開口部3を形成するカット工程と、該開口部3を覆うように軟包材10に蓋シート4を貼付する蓋貼付工程と、該蓋貼付工程後に、軟包材10にカバーシート40を貼付する貼付工程と、該貼付工程後に、軟包材10の側部域どうしを合掌状に重ね合わせて筒状にした状態で、側部域どうしを接合して合掌状の第1シール部21を形成する筒状体形成工程と、第1シール部21が形成された軟包材10からなる筒状体の両端部である端部域を接合して、一対の第2シール部22を形成する端部接合工程と、を具備する。
【0072】
本実施形態の製造方法は、カット工程及び蓋貼付工程後の軟包材10に対し、すなわち開口部3が形成され且つこれを覆う蓋シート4が貼付された軟包材10に対し、貼付工程を行う。貼付工程では、軟包材10の第1面部F1に対応する箇所にカバーシート40を貼付する。カバーシート40には、予め接着剤塗工部42及び接着剤非塗工部43が形成されており、該接着剤塗工部42の接着によって第1面部F1に貼付される。
筒状体形成工程では、貼付工程後の軟包材10上に収容対象物2(積層体2S)を配置した状態で、該軟包材10の側部域どうしを合掌状に接合する。これにより第1シール部21が形成される。本実施形態の筒状体形成工程は、前記の接合をヒートシール加工により行う。
筒状体形成工程では、筒状体における第3面部F3に対応する箇所に第1方向Xに延びる直線状の折り目を形成することで、筒状体をガセット状の形状とすることができる。
【0073】
端部接合工程では、筒状体の端部域を接合して、該端部域の開口を閉塞する。本実施形態においては、端部域の接合をヒートシール加工により行う。これにより、一対の第2シール部22が形成されるとともに、収容対象物2を内包した収容部5が形成される。
以上の工程を経て、
図1に示す包装体1が製造される。
【0074】
以上、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。また、上述した実施形態を組み合わせてもよい。
例えば前記実施形態においては、カバーシート40に設けられた第1及び第2短手接着剤塗工部421,422の端部と、長手接着剤塗工部423とが連結して連続した略コ字状(略C字状)の接着剤塗工部42をなしていたが、これに代えて、空間S内に収容された物品が脱落しない限度において、各短手接着剤塗工部421,422と長手接着剤塗工部423とが連結しておらず、各接着剤塗工部421,422,423が個々に独立していてもよい。
また、カバーシート40に設けられた接着剤非塗工部43は、該カバーシート40の第1方向Xに沿う一辺の周縁部に設けられていたが、第2方向Yに沿う一辺の周縁部に設けられていてもよい。
また、接着剤塗工部42は、カバーシートの周縁部以外の部分に設けられていてもよい。例えば、四角形のカバーシートの平面視において、四辺の周縁よりも10mm以上内方に接着剤塗工部42が設けられていてもよい。
【0075】
また前記実施形態においては、各接着剤塗工部421,422,423は接着剤が連続的に塗工されて形成されていたが、これに代えて空間Sに収容された物品が脱落しない限度において、接着剤が間欠塗工されて各接着剤塗工部421,422,423形成されていてもよい。間欠塗工としては、接着剤がストライプ状、スパイラル状又は破線状に塗工された接着剤塗工部42が挙げられる。
【0076】
また前記実施形態においては、第2面部F2にターゲットマーク50が2か所設けられていたが、ターゲットマークを設ける数はこれに限られず、例えば1か所でもよく、あるいは3か所以上でもよい。また、ターゲットマーク50の形状は
図4(b)に示すものに限られない。
また一対の第2シール部22,22は、第1方向Xの長さ(縦幅)が同じであってもよく、異なっていてもよい。後者の場合、包装体1を吊り下げて陳列するための吊り下げ穴を、縦幅が長い方の第2シール部22に形成してもよい。
【0077】
また、前記実施形態においては、第1面部F1上に一枚のカバーシート40が貼付されていたが、これに代えて同一の又は異なる二枚以上の複数のカバーシートを貼付してもよい。斯かる形態として、
図18(a)~(d)に示すものが挙げられる。
図18(a)~(d)に示す各包装体1eは、2枚のカバーシート40を具備している。これらカバーシート40の接着剤非塗工部43は、カバーシート40が貼付される収容部5の貼付面(図示せず)における第1方向Xに沿う二辺のうちの一方側に形成されている。貼付面は、第1面部F1又は第2面部F2である。
図18(a)に示す包装体1eは、同形同大の2枚のカバーシート40が第1方向Xに沿って並列配置されている。これら並列した2枚分のカバーシート40の輪郭と貼付面とは面積及び形状が略一致している。
図18(a)に示す包装体1eでは、カバーシート40と貼付面とで画成される空間Sが2個形成される。
図18(b)~(d)に示す包装体1eは、2枚のカバーシート40が部分的又は全体的に重なり合って配置されている。
図18(b)に示す包装体1eは、同形同大の2枚のカバーシート40が第1方向Xに部分的に重なった状態で配置されている。
図18(b)に示す包装体1eでは、一方のカバーシート40と貼付面とで画成される空間S、及び一方のカバーシート40と他方のカバーシート40と貼付面とで画成される空間Sが形成される。
図18(c)に示す包装体1eは、同形同大の2枚のカバーシート40が全体的に重なった状態で配置されている。
図18(c)に示す包装体1eでは、一方のカバーシート40と貼付面とで画成される空間S、及び他方のカバーシート40と一方のカバーシート40とで画成される空間Sが形成される。これらの空間Sは、包装体1eの厚み方向において2段重ねに形成されている。
図18(d)に示す包装体1eは、大きさの異なる2枚のカバーシート40を有し、小さい方のカバーシート40が大きい方のカバーシート40上に重なった状態で配置されている。
図18(d)に示す包装体1eでは、大きい方のカバーシート40と貼付面とで画成される空間S、及び小さい方のカバーシート40と大きい方のカバーシート40とで画成される空間Sが形成される。これらの空間Sは、包装体1eの厚み方向において2段重ねに形成されている。
このように二枚以上の複数のカバーシートを具備する場合、各カバーシートに設けられる接着剤非塗工部43の配置を異ならせてもよい。例えば、一方のカバーシート40は、その周縁部のうち第1方向Xに沿う一辺の周縁部に接着剤非塗工部43が形成され、他方のカバーシート40は、その周縁部のうち第2方向Yに沿う一辺の周縁部に接着剤非塗工部43が形成されていてもよい。
【0078】
前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
<1>
シート状の軟包材が互いに接合されて形成された第1シール部と、
前記第1シール部が形成された状態の前記軟包材における前記第1シール部に交差する方向に延びる一対の端部域がそれぞれ接合されて形成された一対の第2シール部と、
開口部を有する第1面部と、
前記第1面部に対向する第2面部と、
前記開口部を閉塞するように前記第1面部に取り付けられた蓋シートと、
前記第1面部の少なくとも一部を被覆するように剥離可能に貼付されたカバーシートと、を備えた包装体であって、
前記カバーシートは、一部が接着剤非塗工部となるように接着剤が塗布されて形成された接着剤塗工部を、該カバーシートの一方の面に有し、
前記第1面部から剥離した前記カバーシートを前記第2面部に貼付することで、該カバーシートと該第2面部とで画成される空間に、前記接着剤非塗工部を通じて物品の収容が可能になされている、包装体。
【0079】
<2>
前記蓋シートの粘着層は再剥離性を有しており、該粘着層が粘着剤アクリル系粘着剤からなる、前記<1>に記載の包装体。
<3>
前記包装体を構成する前記軟包材は、液不透過性のシート材であり、
前記シート材は、アルミニウムからなるシート、熱可塑性樹脂フィルム、アルミニウム、シリカ又はアルミナ等を蒸着した熱可塑性樹脂フィルム、シーラント層となる熱可塑性樹脂フィルム、熱可塑性樹脂フィルムの間にアルミニウム層を挟んだ積層フィルムのいずれかまたは複数からなるシート材である、前記<1>又は<2>に記載の包装体。
<4>
前記軟包材は、アルミニウムからなるシート、PETフィルム、又はアルミニウム層が積層した積層構造を有しているシートである、前記<3>に記載の包装体。
<5>
前記カバーシートの前記接着剤塗工部の接着力は、人が軽い力で引っ張ることで簡単に前記第1面部から剥離できる程度であり且つ前記第2面部に貼付した後は、自然状態では剥離しない程度である、前記<1>~<4>のいずれか一に記載の包装体。
<6>
前記カバーシートが前記第1面部に貼付された状態において、該カバーシートに設けられた前記接着剤塗工部は、前記蓋シートと重なっていない、前記<1>~<5>のいずれか一に記載の包装体。
【0080】
<7>
前記カバーシートが四角形であり、四辺からなる前記カバーシートの周縁部のうち、三辺に沿う周縁部が前記接着剤塗工部であり、一辺に沿う周縁部が前記接着剤非塗工部である、前記<1>~<6>のいずれか一に記載の包装体。
<8>
前記カバーシートの前記接着剤塗工部の幅は、3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、10mm以上がより好ましく、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、15mm以下がより好ましい、前記<7>に記載の包装体。
<9>
前記カバーシートは、該カバーシートの外面における前記四辺のうち前記接着剤非塗工部が形成された一辺に対応する位置に、該カバーシートの剥離開始位置を示す表示が施されている、前記<7>又は<8>に記載の包装体。
<10>
対向する二辺の前記接着剤塗工部は、それらの端縁のうち、前記接着剤非塗工部側に位置する端縁が、前記カバーシートの端縁まで達している、前記<7>~<9>のいずれか一に記載の包装体。
<11>
前記第1面部、前記第2面部及び前記カバーシートがいずれも略同寸法の四角形である、前記<1>~<10>のいずれか一に記載の包装体。
【0081】
<12>
前記略同寸法に、四角形である前記カバーシートの縦幅及び横幅が、前記第1面部及び前記第2面部の縦幅及び横幅に対して、同じである場合と、10mm以内で短い場合とが含まれる、前記<11>に記載の包装体。
<13>
前記カバーシートが、包装体に収容された収容対象物の縦幅及び横幅と略同寸法の四角形である、前記<1>~<10>のいずれか一に記載の包装体。
<14>
前記カバーシートの寸法は、前記物品の矩形の物品の縦幅及び横幅と略同寸法であり、 前記略同寸法に、四角形であるカバーシートの縦幅及び横幅が、収容対象物の縦幅及び横幅に対して、同じである場合と、10mm以内で短い場合とが含まれる、前記<13>のいずれか一に記載の包装体。
<15>
前記カバーシートの第1方向の長さは、前記物品の第1方向の長さよりも1mm以上短いことが好ましく、3mm以上短いことがより好ましく、前記カバーシートの第2方向の長さは、前記物品の第2方向の長さよりも1mm以上短いことが好ましく、3mm以上短いことがより好ましい、前記<13>又は<14>に記載の包装体。
<16>
前記第2面部に、前記カバーシートの適正貼付位置を示す表示が施されている、前記<1>~<15>のいずれか一に記載の包装体。
【0082】
<17>
前記第1シール部及び前記第2シール部により、平面視における前記包装体の周縁部の三方又は四方が封止されている、前記<1>~<16>のいずれか一に記載の包装体。
<18>
前記第1シール部は、前記軟包材における一対の側部域が合掌状に互いに接合されて形成されており、
前記第2面部が前記第1シール部を含んでいる、前記<1>~<16>のいずれか一に記載の包装体。
<19>
前記第1シール部が倒伏して前記第2面部と接しており、
前記第1シール部の倒伏方向と反対方向に前記接着剤非塗工部が位置するように前記カバーシートを前記第2面部に貼付することを示す表示が施されている、前記<18>に記載の包装体。
<20>
前記第2面部に、前記包装体内に収容される収容対象物の効能又は成分を表示する能書が施されており、
前記カバーシートを前記第2面部に貼付したときに、前記能書が該カバーシートによって掩蔽されるようになされている、前記<1>~<19>のいずれか一に記載の包装体。
<21>
前記第2面部の表面に種々の表示が施されている、前記<1>~<20>のいずれか一に記載の包装体。
<22>
前記カバーシートの外面に、前記包装体内に収容される収容対象物に関する表示が施されている、前記<1>~<21>のいずれか一に記載の包装体。
<23>
前記カバーシートの内面に、該カバーシートの使用方法に関する情報が表示されている、前記<1>~<22>のいずれか一に記載の包装体。
<24>
前記カバーシートにおける前記接着剤非塗工部と第1面部との間に形成される開口を少なくとも部分的に閉鎖する閉鎖手段を有している、前記<1>~<23>のいずれか一に記載の包装体。
<25>
シート状の軟包材が互いに接合されて形成された第1シール部と、
前記第1シール部が形成された状態の前記軟包材における前記第1シール部に交差する方向に延びる一対の端部域がそれぞれ接合されて形成された一対の第2シール部と、
第1面部と、
第1シール部を有し、且つ前記第1面部に対向する第2面部と、
前記第1面部又は第2面部に形成された開口部と、
前記第1面部又は前記第2面部のうち、前記開口部が形成された面とは反対側の面の少なくとも一部を被覆するように貼付されたカバーシートと、を備えており、
前記カバーシートは、一部が接着剤非塗工部となるように接着剤が塗布されて形成された接着剤塗工部を、該カバーシートの内面に有し、
前記カバーシートと前記反対側の面とで画成される空間に、前記接着剤非塗工部を通じて物品の収容が可能になされている、包装体。
【符号の説明】
【0083】
1 包装体
2 収容対象物
2S 積層体
3 開口部
4 蓋シート
5 収容部
10 軟包材
21 第1シール部
22 第2シール部
F1 第1面部
F2 第2面部
S 収容空間
X 第1方向
Y 第2方向
40 カバーシート
41 剥離開始表示
42 接着剤塗工部
43 接着剤非塗工部
50 ターゲットマーク
70 閉鎖手段