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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 50/30 20200101AFI20241007BHJP
   B62M 7/12 20060101ALI20241007BHJP
   B62K 11/10 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B62J50/30
B62M7/12
B62K11/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023138190
(22)【出願日】2023-08-28
【審査請求日】2024-03-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】千葉 良平
(72)【発明者】
【氏名】南 秀美
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-083373(JP,A)
【文献】特開平04-090982(JP,A)
【文献】特開平03-128789(JP,A)
【文献】国際公開第2021/145276(WO,A1)
【文献】特開平06-247374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/00 - 99/00
B62K 11/10
B62M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、
前記車体フレームに設けられたピボット軸と、
前記ピボット軸に揺動可能に支持され、かつ、開口部および前記開口部と連通する収容空間を有するスイングアームと、
前記スイングアームに支持された後輪と、
前記収容空間に収容され、かつ、前記後輪を駆動するモータと、
前記収容空間に収容され、かつ、前記モータを制御する制御装置と、
前記収容空間に収容された空気ダクトと、
前記開口部と連通し、かつ、前記収容空間に空気を送る冷却用ファンと、を備え、
前記空気ダクトの一端には、前記冷却用ファンに向けて開口する第1開口部が形成され、
前記空気ダクトの他端には、前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方に向けて開口する第2開口部が形成されている、電動車両。
【請求項2】
前記スイングアームの後端部に配置され、前記後輪を支持する駆動軸を備え、
前記スイングアームは、
前記後輪よりも車幅方向の一方側に位置し、かつ、車両前後方向に延びる第1部分と、
前記後輪よりも前方に位置し、かつ、前記第1部分の前端部から前記車幅方向の他方側に向けて延びる第2部分と、を有し、
前記第1部分の前記前端部には、前記制御装置が配置され、
前記第1部分の後端部には、前記駆動軸が配置され、
前記第2部分には、前記空気ダクトが配置されている、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記空気ダクトは、車両前後方向に延びかつ前記後輪の前記車幅方向の中心を通過する車両中心線と平面視で交差する、請求項2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記開口部は、前記第2部分において、平面視で前記車両中心線に対し前記制御装置と反対側に位置する、請求項3に記載の電動車両。
【請求項5】
前記冷却用ファンは、平面視で前記車両中心線に対し前記制御装置と反対側に配置されている、請求項4に記載の電動車両。
【請求項6】
前記開口部は、前記車幅方向の他方側に向けて開口し、
前記冷却用ファンの回転軸は、前記車幅方向に延びる、請求項5に記載の電動車両。
【請求項7】
前記空気ダクトの前記第2開口部は、車両側面視で前記制御装置の少なくとも一部と重なる、請求項6に記載の電動車両。
【請求項8】
前記空気ダクトの前記第1開口部は、車両側面視で前記第2開口部の少なくとも一部と重なる、請求項7に記載の電動車両。
【請求項9】
前記スイングアームは、前記収容空間を区画する第1室と第2室とを備え、
前記第1室と前記第2室とは車幅方向に並び、
前記制御装置は、前記第1室に収容され、
前記空気ダクトは、前記第2室に収容され、
前記制御装置は、車両側面視で前記空気ダクトの少なくとも一部と重なる、請求項1に記載の電動車両。
【請求項10】
車体フレームと、
前記車体フレームに設けられたピボット軸と、
前記ピボット軸に揺動可能に支持され、かつ、開口部および前記開口部と連通する収容空間を有するスイングアームと、
前記スイングアームに支持された後輪と、
前記スイングアームの後端部に配置され、前記後輪を支持する駆動軸と、
前記収容空間に収容され、かつ、前記後輪を駆動するモータと、
前記収容空間に収容され、かつ、前記モータを制御する制御装置と、
前記収容空間に収容された空気ダクトを備え、
前記開口部と連通し、かつ、前記収容空間に空気を送る冷却用ファンと、を備え、
前記スイングアームは、
前記後輪よりも車幅方向の一方側に位置し、かつ、車両前後方向に延びる第1部分と、
前記後輪よりも前方に位置し、かつ、前記第1部分の前端部から前記車幅方向の他方側に向けて延びる第2部分と、を有し、
前記第1部分には、前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方が配置され、
前記第1部分の後端部には、前記駆動軸が配置され、
前記空気ダクトの一端には、前記冷却用ファンに向けて開口する第1開口部が形成され、
前記空気ダクトの他端には、前記第1部分に配置された前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方に向けて開口する第2開口部が形成され
前記開口部の全ては、前記第2部分において、平面視で前記車両前後方向に延びかつ前記後輪の前記車幅方向の中心を通過する車両中心線に対し前記第1部分に配置された前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方と反対側に位置し、
前記冷却用ファンは、前記第1部分に配置された前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方に空気を送る、電動車両。
【請求項11】
前記スイングアームは、前記収容空間を区画する第1室と第2室とを備え、
前記第1室と、前記第2室とは、前記車幅方向に並び、
前記制御装置は、前記第1室に収容され、
前記空気ダクトは、前記第2室に収容され、
前記制御装置は、車両側面視で前記空気ダクトの少なくとも一部と重なる、請求項10に記載の電動車両。
【請求項12】
前記制御装置および前記モータは、前記第1部分に配置され、
前記開口部は、平面視で前記車両中心線に対し前記第1部分に配置された前記制御装置および前記モータの反対側に位置する、請求項10に記載の電動車両。
【請求項13】
車体フレームと、
前記車体フレームに設けられたピボット軸と、
前記ピボット軸に揺動可能に支持され、かつ、開口部および前記開口部と連通する収容空間を有するスイングアームと、
前記スイングアームに支持された後輪と、
前記スイングアームの後端部に配置され、前記後輪を支持する駆動軸と、
前記収容空間に収容され、かつ、前記後輪を駆動するモータと、
前記収容空間に収容され、かつ、前記モータを制御する制御装置と、
前記開口部と連通し、かつ、前記収容空間に空気を送る冷却用ファンと、を備え、
前記スイングアームは、
前記後輪よりも車幅方向の一方側に位置し、かつ、車両前後方向に延びる第1部分と、
前記後輪よりも前方に位置し、かつ、前記第1部分の前端部から前記車幅方向の他方側に向けて延びる第2部分と、を有し、
前記第1部分には、前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方が配置され、
前記第1部分の後端部には、前記駆動軸が配置され、
前記開口部は、前記第2部分において、前記車幅方向の他方側の側面に形成され
前記開口部の全ては、前記第2部分において、平面視で前記車両前後方向に延びかつ前記後輪の前記車幅方向の中心を通過する車両中心線に対し前記第1部分に配置された前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方と反対側に位置し、
前記冷却用ファンは、前記第1部分に配置された前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方に空気を送る、電動車両。
【請求項14】
前記冷却用ファンの回転軸は、前記車幅方向に延びる、請求項13に記載の電動車両。
【請求項15】
前記冷却用ファンは、車両側面視で前記制御装置の少なくとも一部と重なる、請求項14に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動二輪車等の電動車両は、駆動輪(例えば後輪)を駆動するモータと、モータに電力を供給するバッテリと、モータを制御する制御装置と、を備えている。例えば、特許文献1の電気自動二輪車では、モータおよび制御装置は、後輪を支持するスイングアーム内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5208653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の電気自動二輪車では、スイングアームは、モータおよび制御装置を収容する機器取付空間と、ファンから送られた空気が流れる空気送流空間とを備え、仕切り壁によって機器取付空間と空気送流空間とが仕切られている。このため、ファンから送られた空気によって発熱部品であるモータや制御装置を十分に冷却できないという問題がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、モータおよび制御装置の少なくとも一方を効果的に冷却することができる電動車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動車両は、車体フレームと、前記車体フレームに設けられたピボット軸と、前記ピボット軸に揺動可能に支持され、かつ、開口部および前記開口部と連通する収容空間を有するスイングアームと、前記スイングアームに支持された後輪と、前記収容空間に収容され、かつ、前記後輪を駆動するモータと、前記収容空間に収容され、かつ、前記モータを制御する制御装置と、前記収容空間に収容された空気ダクトと、前記開口部と連通し、かつ、前記収容空間に空気を送る冷却用ファンと、を備え、前記空気ダクトの一端には、前記冷却用ファンに向けて開口する第1開口部が形成され、前記空気ダクトの他端には、前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方に向けて開口する第2開口部が形成されている。
【0007】
本発明に係る電動車両によると、空気ダクトの一端に形成された第1開口部は冷却用ファンに向けて開口し、空気ダクトの他端に形成された第2開口部はモータおよび制御装置の少なくとも一方に向けて開口している。上記態様によれば、冷却用ファンから送られた空気をモータおよび制御装置の少なくとも一方に空気ダクトを介して流すことができる。これにより、モータや制御装置を効果的に冷却することができ、モータや制御装置に不具合が発生することを抑制することができる。
【0008】
本発明に係る他の電動車両は、車体フレームと、前記車体フレームに設けられたピボット軸と、前記ピボット軸に揺動可能に支持され、かつ、開口部および前記開口部と連通する収容空間を有するスイングアームと、前記スイングアームに支持された後輪と、前記スイングアームの後端部に配置され、前記後輪を支持する駆動軸と、前記収容空間に収容され、かつ、前記後輪を駆動するモータと、前記収容空間に収容され、かつ、前記モータを制御する制御装置と、前記開口部と連通し、かつ、前記収容空間に空気を送る冷却用ファンと、を備え、前記スイングアームは、前記後輪よりも車幅方向の一方側に位置し、かつ、車両前後方向に延びる第1部分と、前記後輪よりも前方に位置し、かつ、前記第1部分の前端部から前記車幅方向の他方側に向けて延びる第2部分と、を有し、前記第1部分には、前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方が配置され、前記第1部分の後端部には、前記駆動軸が配置され、前記開口部は、前記第2部分において、平面視で前記車両前後方向に延びかつ前記後輪の前記車幅方向の中心を通過する車両中心線に対し前記第1部分に配置された前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方と反対側に位置し、前記冷却用ファンは、前記第1部分に配置された前記モータおよび前記制御装置の少なくとも一方に空気を送る。
【0009】
本発明に係る他の電動車両によると、開口部は、スイングアームの第2部分において、平面視で車両中心線に対しスイングアームの第1部分に配置されたモータおよび制御装置の少なくとも一方と反対側に位置する。そして、開口部に連通する冷却用ファンは、第1部分に配置されたモータおよび制御装置の少なくとも一方に空気を送る。上記態様によれば、冷却用ファンから送られた空気をモータおよび制御装置の少なくとも一方に流すことができる。これにより、モータや制御装置を効果的に冷却することができ、モータや制御装置に不具合が発生することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、モータおよび制御装置の少なくとも一方を効果的に冷却することができる電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る電気自動二輪車の側面図である。
図2図2は、一実施形態に係る電気自動二輪車の平面図である。
図3図3は、一実施形態に係るスイングアームの断面図である。
図4図4は、一実施形態に係るスイングアームの側面図である。
図5図5は、変形例に係るスイングアームの断面図である。
図6図6は、他の変形例に係るスイングアームの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る電動車両の実施形態について説明する。ここでは、電動車両として電気自動二輪車を例に挙げて説明するが、本発明の電動車両は、電気自動二輪車に限定されない。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0013】
図1は、電気自動二輪車10の側面図である。以下の説明では特に断らない限り、前、後、左、右、上、下は、それぞれ電気自動二輪車10の運転者から見た前、後、左、右、上、下を意味するものとする。図面に付した符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表す。図面中の符号Yは車幅方向を表す。本実施形態では、車幅方向Yは、左右方向である。図面中の符号Xは車両前後方向を表す。車両前後方向Xは車幅方向Yと平面視で直交する方向である。図面中の符号Zは上下方向を表す。上下方向Zは、正面視において車幅方向Yと直交する方向である。ただし、上記方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0014】
図1に示すように、電気自動二輪車10は、車体フレーム12と、車体フレーム12に設けられたピボット軸24と、ピボット軸24に揺動可能に支持されたスイングアーム50と、バッテリ30と、車体フレーム12を覆う車体カバー13と、前輪25と、後輪26と、を備えている。
【0015】
図1に示すように、車体フレーム12は、ハンドル14と、ハンドル14から下方に延びるヘッドパイプ16と、ヘッドパイプ16の下端に連結されたフロントフォーク18と、ヘッドパイプ16の中途部から下方に延びるダウンチューブ20と、ダウンチューブ20の後端に連結された左右一対のメインパイプ22と、を備えている。フロントフォーク18の下端部には、前輪25が回転自在に取り付けられている。前輪25は、従動輪を構成している。メインパイプ22は、側面視において、上斜め後方に延びている。スイングアーム50の後部とメインパイプ22の後部とには、リアクッション28が架け渡されている。スイングアーム50の後端部には、後輪26が回転自在に設けられている。後輪26は、後述するモータ70の動力で駆動する駆動輪を構成している。
【0016】
図1に示すように、電気自動二輪車10は、運転者が着座するシート32を備えている。シート32は、メインパイプ22に支持されている。
【0017】
バッテリ30は、後述するモータ70を駆動する駆動源である。バッテリ30は、後述する制御装置75を介してモータ70に電力を供給する。バッテリ30は、充放電可能なバッテリである。バッテリ30は、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池である。図1に示すように、バッテリ30は、シート32よりも下方に配置されている。バッテリ30は、スイングアーム50よりも前方に配置されている。バッテリ30は、車体フレーム12に支持されている。バッテリ30は、例えば、メインパイプ22に支持されている。
【0018】
図1に示すように、ピボット軸24は、車体フレーム12のダウンチューブ20に設けられている。ピボット軸24は、車幅方向Y(図2参照)に延びる。
【0019】
図1に示すように、スイングアーム50の前端部50F(図3も参照)は、ピボット軸24に取り付けられている。スイングアーム50は、ピボット軸24を中心に上下方向Zに揺動可能に構成されている。スイングアーム50は、後輪26を回転可能に支持する。スイングアーム50は、シート32の下方に配置されている。図2に示すように、スイングアーム50は、バッテリ30の後方に配置されている。
【0020】
図3に示すように、スイングアーム50は、ケース51と、ケース51の左側面を覆うカバー52とを備えている。ケース51とカバー52との間には仕切り壁は設けられていない。即ち、ケース51の内部空間とカバー52の内部空間は連続している。スイングアーム50は、車両前後方向Xに延びる第1部分55と、車幅方向Yに延びる第2部分56とを有する。第1部分55は、ケース51の一部とカバー52とによって構成されている。第1部分55は、後輪26よりも左方に位置する。第2部分56は、ケース51の一部によって構成されている。第2部分56は、第1部分55の前端部55Fから右方に向けて延びる。第2部分56の右端部56Rは、後輪26よりも右方に位置する。第2部分56は、後輪26よりも前方に位置する。
【0021】
図3に示すように、スイングアーム50は、後述する収容空間62を区画する第1室55Sと第2室56Sとを備えている。第1室55Sは、第1部分55に設けられている。第2室56Sは、第2部分56に設けられている。第1室55Sと、第2室56Sとは車幅方向Yに並ぶ。第1室55Sは、第2室56Sよりも左方に位置する。第1室55Sは、第2室56Sと連通している。
【0022】
図3に示すように、スイングアーム50は、開口部60と、開口部60と連通する収容空間62と、収容空間62と連通する排気口68とを有している。開口部60は、ケース51に形成されている。開口部60は、スイングアーム50の第2部分56に形成されている。開口部60は、第2部分56の右側面に形成されている。開口部60は、第2部分56において、平面視で車両中心線CLに対し後述する制御装置75およびモータ70と反対側に位置する。即ち、開口部60は、車両中心線CLよりも右方に位置する。車両中心線CLは、車両前後方向Xに延びかつ後輪26の車幅方向Yの中心を通過する線である。開口部60は、右方に向けて開口している。図2に示すように、開口部60は、バッテリ30よりも右方に位置する。図3に示すように、収容空間62は、ケース51およびカバー52に形成されている。排気口68は、ケース51に形成されている。排気口68は、スイングアーム50の第1部分55に形成されている。排気口68は、後方に向けて開口している。排気口68は、モータ70よりも後方に位置する。排気口68は、後述する駆動軸34よりも後方に位置する。
【0023】
図3に示すように、電気自動二輪車10は、駆動軸34を備えている。駆動軸34は、車幅方向Yに延びる。駆動軸34は、後輪26を回転可能に支持する。駆動軸34は、スイングアーム50の後端部に配置されている。より詳細には、駆動軸34は、スイングアーム50の第1部分55の後端部55Rに配置されている。
【0024】
図3に示すように、電気自動二輪車10は、後輪26を駆動するモータ70と、モータ70を制御する制御装置75と、空気ダクト80と、冷却用ファン90と、を備えている。
【0025】
図3に示すように、制御装置75は、スイングアーム50の収容空間62に収容されている。制御装置75は、スイングアーム50の第1部分55の前端部55Fに配置されている。制御装置75は、図示しない取り付け手段によって前端部55Fに固定されている。制御装置75は、スイングアーム50の第1室55Sに収容されている。制御装置75は、車両中心線CLよりも左方に位置する。制御装置75は、図示しない配線によってバッテリ30(図1参照)と接続されている。制御装置75は、モータ70の駆動を制御する。即ち、制御装置75は、後輪26の駆動を制御する。
【0026】
図3に示すように、モータ70は、スイングアーム50の収容空間62に収容されている。モータ70は、スイングアーム50の第1部分55の後端部55Rに配置されている。モータ70は、スイングアーム50の第1室55Sに収容されている。モータ70は、車両中心線CLよりも左方に位置する。モータ70は、制御装置75よりも後方に配置されている。モータ70は、駆動軸34よりも前方に配置されている。モータ70の回転軸70Sには、第1ギア70Gが設けられている。第1ギア70Gは、駆動軸34に設けられた第2ギア34Gと噛み合う。モータ70の駆動力は、第1ギア70Gおよび第2ギア34Gを介して駆動軸34(即ち後輪26)に伝達される。モータ70は、図示しない配線によって制御装置75と接続されている。
【0027】
図3に示すように、空気ダクト80は、スイングアーム50の収容空間62に収容されている。空気ダクト80は、スイングアーム50の第2部分56に配置されている。空気ダクト80は、スイングアーム50の第2室56Sに収容されている。空気ダクト80は、後輪26よりも前方に配置されている。空気ダクト80は、冷却用ファン90の左方に配置されている。スイングアーム50の開口部60を上流側、スイングアーム50の排気口68を下流側としたとき、空気ダクト80は冷却用ファン90よりも下流側に配置されている。空気ダクト80は、車幅方向Yに延びる。空気ダクト80は、車両中心線CLと平面視で交差する。空気ダクト80の右端80Rには、冷却用ファン90に向けて開口する第1開口部81Hが形成されている。第1開口部81Hが冷却用ファン90に向けて開口するとは、第1開口部81Hの延長線上に冷却用ファン90が位置することを意味する。第1開口部81Hは、車両中心線CLよりも右方に位置する。空気ダクト80の左端80Lには、モータ70および制御装置75の少なくとも一方に向けて開口する第2開口部82Hが形成されている。本実施形態の第2開口部82Hは、制御装置75に向けて開口している。第2開口部82Hが制御装置75に向けて開口するとは、第2開口部82Hの延長線上に制御装置75が位置することを意味する。第2開口部82Hは、車両中心線CLよりも左方に位置する。第2開口部82Hは、後方に行くほど右方に傾斜するように開口している。第1開口部81Hの開口面積は、第2開口部82Hの開口面積よりも大きい。図4に示すように、空気ダクト80の少なくとも一部は、車両側面視で制御装置75と重なる。第1開口部81Hは、車両側面視で第2開口部82Hの少なくとも一部と重なる。本実施形態では、第1開口部81Hは、車両側面視で第2開口部82Hの全体と重なる。第2開口部82Hは、車両側面視で制御装置75の少なくとも一部と重なる。本実施形態では、第2開口部82Hの全体は、車両側面視で制御装置75と重なる。
【0028】
図3に示すように、冷却用ファン90は、スイングアーム50の収容空間62に収容されている。冷却用ファン90は、スイングアーム50の第2部分56に配置されている。冷却用ファン90は、スイングアーム50の第2室56Sに収容されている。冷却用ファン90は、平面視で車両中心線CLに対し制御装置75と反対側に配置されている。即ち、冷却用ファン90は、車両中心線CLよりも右方に位置する。冷却用ファン90は、後輪26よりも右方に配置されている。冷却用ファン90は、開口部60より左方に設けられているが、開口部60に設けてもよい。冷却用ファン90の回転軸は、車幅方向Yに延びる。冷却用ファン90は、スイングアーム50の開口部60と連通している。なお、冷却用ファン90と開口部60との間には、開口部60から流入した空気を冷却用ファン90の吸気口に導くための専用の吸気ダクトが設けられていてもよい。図4に示すように、冷却用ファン90は、車両側面視で制御装置75の一部と重なる。なお、冷却用ファン90は、車両側面視でモータ70の一部と重なるように配置されていてもよいし、車両側面視で制御装置75の一部およびモータ70の一部と重なるように配置されていてもよい。図3に示すように、冷却用ファン90は、スイングアーム50の収容空間62に空気を送る。より詳細には、冷却用ファン90は、スイングアーム50の外部の空気を収容空間62内に送る。冷却用ファン90は、制御装置75およびモータ70の少なくとも一方に空気を送る。本実施形態では、冷却用ファン90は、制御装置75およびモータ70に空気を送る。スイングアーム50の外部の空気は、矢印FLに示すように冷却用ファン90によって収容空間62内に流れ、空気ダクト80を介して制御装置75、モータ70の順に流れ、排気口68から外部に排出される。
【0029】
以上のように、本実施形態の電気自動二輪車10によると、空気ダクト80の右端80Rに形成された第1開口部81Hは冷却用ファン90に向けて開口し、空気ダクト80の左端80Lに形成された第2開口部82Hはモータ70および制御装置75の少なくとも一方に向けて開口している。上記態様によれば、冷却用ファン90から送られた空気をモータ70および制御装置75の少なくとも一方に空気ダクト80を介して流すことができる。これにより、モータ70や制御装置75を効果的に冷却することができ、モータ70や制御装置75に不具合が発生することを抑制することができる。
【0030】
本実施形態の電気自動二輪車10では、スイングアーム50の第1部分55の前端部55Fには、制御装置75が配置され、スイングアーム50の第1部分55の後端部55Rには、駆動軸34が配置され、スイングアーム50の第2部分56には、空気ダクト80が配置されている。上記態様によれば、第2部分56に配置された空気ダクト80を介して第1部分55の前端部55Fに配置された制御装置75に冷却用ファン90から送られた空気をより効果的に流すことができる。
【0031】
本実施形態の電気自動二輪車10では、空気ダクト80は、車両前後方向Xに延びかつ後輪26の車幅方向Yの中心を通過する車両中心線CLと平面視で交差する。上記態様によれば、開口部60から取り入れられた空気をより確実に制御装置75に流すことができる。
【0032】
本実施形態の電気自動二輪車10では、開口部60は、第2部分56において、平面視で車両中心線CLに対し制御装置75と反対側に位置する。上記態様によれば、制御装置75から離れた部分に開口部60を設けることができるため、暖められていない外気(スイングアーム50の外に存在する空気)をより多く制御装置75に流すことができる。
【0033】
本実施形態の電気自動二輪車10では、冷却用ファン90は、平面視で車両中心線CLに対し制御装置75と反対側に配置されている。上記態様によれば、開口部60から暖められていない外気をより多く取り入れることができる。
【0034】
本実施形態の電気自動二輪車10では、開口部60は、車幅方向Yの他方側(ここでは右方)に向けて開口し、冷却用ファン90の回転軸は、車幅方向Yに延びる。上記態様によれば、スイングアーム50の前方に、例えばバッテリ30等の発熱部材が配置されていても、発熱部材によって暖められた空気が開口部60を介して収容空間62に流れ込むことが抑制される。このため、制御装置75の冷却をより効果的に行うことができる。
【0035】
本実施形態の電気自動二輪車10では、空気ダクト80の第2開口部82Hは、車両側面視で制御装置75の少なくとも一部と重なる。上記態様によれば、冷却用ファン90からの空気を制御装置75により効果的に送ることができる。
【0036】
本実施形態の電気自動二輪車10では、空気ダクト80の第1開口部81Hは、車両側面視で第2開口部82Hの少なくとも一部と重なる。上記態様によれば、冷却用ファン90からの空気を制御装置75により効果的に送ることができる。
【0037】
本実施形態の電気自動二輪車10では、制御装置75は、スイングアーム50の第1室55Sに収容され、空気ダクト80は、スイングアーム50の第2室56Sに収容され、制御装置75は、車両側面視で空気ダクト80の少なくとも一部と重なる。上記態様によれば、冷却用ファン90からの空気を制御装置75により効果的に送ることができる。
【0038】
本実施形態の電気自動二輪車10では、開口部60は、スイングアーム50の第2部分56において、平面視で車両中心線CLに対しスイングアーム50の第1部分55に配置されたモータ70および制御装置75の少なくとも一方と反対側に位置する。そして、開口部60に連通する冷却用ファン90は、第1部分55に配置されたモータ70および制御装置75の少なくとも一方に空気を送る。上記態様によれば、暖められていない外気を冷却用ファン90によりモータ70および制御装置75の少なくとも一方に流すことができる。これにより、モータ70や制御装置75を効果的に冷却することができ、モータ70や制御装置75に不具合が発生することを抑制することができる。
【0039】
本実施形態の電気自動二輪車10では、空気ダクト80の右端80Rには、冷却用ファン90に向けて開口する第1開口部81Hが形成され、空気ダクト80の左端80Lには、前端部55Fに配置されたモータ70および制御装置75の少なくとも一方に向けて開口する第2開口部82Hが形成されている。上記態様によれば、空気ダクト80を介して冷却用ファン90から送られた空気をモータ70および制御装置75の少なくとも一方により効果的に流すことができる。
【0040】
本実施形態の電気自動二輪車10では、制御装置75は、スイングアーム50の第1室55Sに収容され、空気ダクト80は、スイングアーム50の第2室56Sに収容され、制御装置75は、車両側面視で空気ダクト80の少なくとも一部と重なる。上記態様によれば、冷却用ファン90からの空気を制御装置75により効果的に送ることができる。
【0041】
本実施形態の電気自動二輪車10では、冷却用ファン90は、車両側面視で制御装置75およびモータ70の少なくとも一方の少なくとも一部と重なる。上記態様によれば、冷却用ファン90からの空気を制御装置75および/またはモータ70により効果的に送ることができる。
【0042】
本実施形態の電気自動二輪車10では、制御装置75およびモータ70は、第1部分55に配置され、開口部60は、平面視で車両中心線CLに対し第1部分55に配置された制御装置75およびモータ70の反対側に位置する。上記態様によれば、制御装置75およびモータ70から離れた部分に開口部60を設けることができるため、暖められていない外気をより多く制御装置75およびモータ70に流すことができる。
【0043】
本実施形態の電気自動二輪車10では、開口部60は、第2部分56において、車幅方向Yの他方側の側面(例えば右側面)に形成されている。上記態様によれば、スイングアーム50の前方に、例えばバッテリ30等の発熱部材が配置されていても、発熱部材によって暖められた空気が開口部60を介して収容空間62に流れ込むことが抑制される。このため、制御装置75の冷却をより効果的に行うことができる。
【0044】
本実施形態の電気自動二輪車10では、冷却用ファン90の回転軸は、車幅方向Yに延びる。上記態様によれば、開口部60から収容空間62に向けてより効果的に空気を流すことができる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0046】
上述した実施形態では、空気ダクト80の第2開口部82Hは、制御装置75に向けて開口していたが、これに限定されない。例えば、空気ダクト80の第2開口部82Hは、モータ70に向けて開口していてもよい。また、図5に示すように、空気ダクト80の第2開口部82Hは、制御装置75に向けて開口する制御装置用開口部82H1と、モータ70に向けて開口するモータ用開口部82H2と、を備えていてもよい。この場合、冷却用ファン90から送られた空気は、制御装置用開口部82H1を介して制御装置75に送られると共に、モータ用開口部82H2を介してモータ70に送られる。
【0047】
上述した実施形態では、開口部60は右方に向けて開口していたが、これに限定されない。例えば、図6に示すように、開口部60は、前方に向けて開口していてもよい。図6に示す例では、開口部60は、車両中心線CLと重なる。
【0048】
上述した実施形態では、電気自動二輪車10は、スイングアーム50の収容空間62に収容された空気ダクト80を有していたが、空気ダクト80を有していなくてもよい。この場合、冷却用ファン90は、制御装置75およびモータ70の少なくとも一方に空気を直接送ることができるように配置される。例えば、冷却用ファン90の回転軸の延長線上に制御装置75および/またはモータ70が位置するように、冷却用ファン90が収容空間62に配置される。
【0049】
上述した実施形態では、ケース51とカバー52とは連続しており、仕切り壁によって仕切られていないが、ケース51とカバー52とは仕切り壁によって仕切られていてもよい。この場合、仕切り壁には、ケース51とカバー52とを連通する連通孔が設けられていてもよい。また、モータ70は、仕切り壁を貫通するようにして配置されていてもよい。制御装置75は、仕切り壁のうちカバー52側の面に配置されていてもよい。このとき、制御装置75は、空気ダクト80から排出された空気により、仕切り壁を介して間接的に冷却される。仕切り壁をアルミニウム合金によって成形することで、制御装置75の冷却性が向上する。
【符号の説明】
【0050】
10 電気自動二輪車(電動車両)
12 車体フレーム
24 ピボット軸
26 後輪
34 駆動軸
50 スイングアーム
55 第1部分
55S 第1室
55F 前端部
55R 後端部
56 第2部分
56S 第2室
60 開口部
62 収容空間
70 モータ
75制御装置
80 空気ダクト
80R 右端(一端)
80L 左端(他端)
81H 第1開口部
82H 第2開口部
90 冷却用ファン
【要約】
【課題】モータおよび制御装置の少なくとも一方を効果的に冷却すること。
【解決手段】電気自動二輪車10は、車体フレーム12と、車体フレーム12に設けられたピボット軸24と、開口部60および開口部60と連通する収容空間62を有するスイングアーム50と、スイングアーム50に支持された後輪26と、収容空間62に収容され、かつ、後輪26を駆動するモータ70と、収容空間62に収容され、かつ、モータ70を制御する制御装置75と、収容空間62に収容された空気ダクト80と、開口部60と連通し、かつ、収容空間62に空気を送る冷却用ファン90と、を備え、空気ダクト80の右端80Rには、冷却用ファン90に向けて開口する第1開口部81Hが形成され、空気ダクト80の左端80Lには、モータ70および制御装置75の少なくとも一方に向けて開口する第2開口部82Hが形成されている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6