(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】会計装置及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/00 20060101AFI20241007BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G07G1/00 331A
G07G1/01 301E
(21)【出願番号】P 2023144697
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2022025564の分割
【原出願日】2016-12-08
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】五反田 剛
(72)【発明者】
【氏名】中島 隆司
(72)【発明者】
【氏名】須崎 晃子
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-027449(JP,A)
【文献】特開2002-074525(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
会計に係るデータを入力するための入力デバイスと、
前記入力デバイスを操作する操作者の方向に画面を向けて配置される第1の表示デバイスと、
前記第1の表示デバイスの画面の方向とは異なる方向に入金口及び出金口を設け、会計に関する入金及び出金を処理する釣銭機と、
前記第1の表示デバイスの画面の方向とは異なる方向に向けて配置される第2の表示デバイスと、
レシート用紙に印刷を行うプリンタと、
前記入力デバイスを介して入力された前記会計に係るデータと前記釣銭機に入力された金額とを基に会計を処理し、前記プリンタによるレシート用紙への印刷と前記釣銭機からの釣銭の出金を制御するとともに前記第1の表示デバイス及び第2の表示デバイスの表示を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、
複数の業務の一覧を含む業務メニューを
前記第2の表示デバイスではなく前記第1の表示デバイスの画面に表示させ、
前記入力デバイスを介して前記業務メニューの中から会計以外で入金又は出金を伴う業務が選択されると、当該業務の実行を支援する情報を
前記第1の表示デバイスではなく前記第2の表示デバイスの画面に表示させ、当該業務の実行が終了すると、前記プリンタによるレシート用紙への印刷を制御し、
前記入力デバイスを介して前記業務メニューの中から前記
会計を処理する業務が選択されると、当該業務の実行を支援する情報を
前記第2の表示デバイスではなく前記第1の表示デバイスの画面に表示させる、会計装置。
【請求項2】
サインオン操作により入力された店員コードを記憶する記憶手段、
をさらに具備し、
前記制御部は、
前
記サインオン操作の後、前記入力デバイスを介して前記業務メニューの中からいずれかの業務が選択されると前記店員コードの入力を受け付け、入力された前記店員コードが前記記憶手段で記憶されている前記店員コードと一致しない場合には前記選択された業務の実行を不能とする、請求項1記載の会計装置。
【請求項3】
前記会計を処理する業務は、売上登録の名称で示される業務を含む、請求項1記載の会計装置。
【請求項4】
前記プリンタは、前記第2の表示デバイスの画面の方向と同じ方向に会計の明細を示すレシートの発行口を配置してなる、請求項1記載の会計装置。
【請求項5】
前記会計以外で出金を伴う業務の実行を支援する情報は、前記釣銭機から回収する金種と回収枚数とを指定するための情報を含む、請求項1記載の会計装置。
【請求項6】
会計に係るデータを入力するための入力デバイス、前記入力デバイスを操作する操作者の方向に画面を向けて配置される第1の表示デバイス、前記第1の表示デバイスの画面の方向とは異なる方向に入金口及び出金口を設け、会計に関する入金及び出金を処理する釣銭機、前記第1の表示デバイスの画面の方向とは異なる方向に向けて配置される第2の表示デバイス、及び、レシート用紙に印刷を行うプリンタ、を備えた会計装置のコンピュータを、
前記入力デバイスを介して入力された前記会計に係るデータと前記釣銭機に入力された金額とを基に会計を処理し、前記プリンタによるレシート用紙への印刷と前記釣銭機からの釣銭の出金を制御するとともに前記第1の表示デバイス及び第2の表示デバイスの表示を制御する手段、
複数の業務の一覧を含む業務メニューを
前記第2の表示デバイスではなく前記第1の表示デバイスの画面に表示させる手段、
前記入力デバイスを介して前記業務メニューの中から会計以外で入金又は出金を伴う業務が選択されると、当該業務の実行を支援する情報を
前記第1の表示デバイスではなく前記第2の表示デバイスの画面に表示させ、当該業務の実行が終了すると、前記プリンタによるレシート用紙への印刷を制御する手段、及び、
前記入力デバイスを介して前記業務メニューの中から前記
会計を処理する業務が選択されると、当該業務の実行を支援する情報を
前記第2の表示デバイスではなく第1の表示デバイスの画面に表示させる手段、
として機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、釣銭機を備えた会計装置及びコンピュータを当該会計装置として機能させるための制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
勘定台を挟んで店員と客とが対面し、客が買い上げる商品の会計に係るデータの入力を店員が行い、釣銭機への入金及び釣銭の取出しを客が行うようにした会計装置がある。この種の会計装置は、釣銭機の入金口及び出金口が勘定台を挟んで店員の作業スペース側とは反対側の客通路側に設けられている。このため、店員が釣銭機に貨幣を入金したり釣銭機から貨幣を出金させたりする場合には、勘定台の周囲を回って客通路まで行く必要がある。
【0003】
店員が釣銭機に入金する業務として釣銭準備金の補充業務がある。補充業務が選択されると、会計装置では、店員用の表示デバイスに例えば釣銭機に収容されている貨幣について金種毎に収容枚数又は不足枚数が表示される。そこで店員は、表示された情報を基に必要な貨幣を釣銭機の入金口から投入して、釣銭を補充する。
【0004】
店員が釣銭機から貨幣を出金させる業務として回収業務がある。回収業務が選択されると、会計装置では、店員用の表示デバイスに例えば釣銭機に収容されている貨幣について金種毎に収容枚数又は余剰枚数が表示される。そこで店員は、表示された情報を基に入力デバイスを操作して金種毎に回収枚数を指定する。そうすると、釣銭機では、指定された金種の貨幣が回収枚数だけ出金されるので、店員は、出金口に出金された貨幣を回収する。
【0005】
いずれの業務においても、店員は、作業スペースにて表示デバイスに表示された内容を確認した後、勘定台の周囲を回って客通路まで移動して貨幣の投入又は回収を行う。このため、例えば貨幣の投入又は回収の作業中に表示内容を確認する必要が生じた場合には、一旦作業スペースに戻って確認した後、再度客通路まで移動しなければならず、作業効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、入金口又は出金口が店員の作業スペース側にない釣銭機への入金作業又は釣銭機からの出金作業を効率良くできる会計装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、会計装置は、入力デバイスと、第1の表示デバイスと、釣銭機と、第2の表示デバイスと、プリンタと、制御部とを備える。入力デバイスは、会計に係るデータを入力する。第1の表示デバイスは、入力デバイスを操作する操作者の方向に画面を向けて配置される。釣銭機は、第1の表示デバイスの画面の方向とは異なる方向に入金口及び出金口を設け、会計に関する入金及び出金を処理する。第2の表示デバイスは、第1の表示デバイスの画面の方向とは異なる方向に向けて配置される。プリンタは、レシート用紙に印刷を行う。制御部は、入力デバイスを介して入力された会計に係るデータと釣銭機に入力された金額とを基に会計を処理する。そして制御部は、プリンタによるレシート用紙への印刷と釣銭機からの釣銭の出金を制御するとともに第1の表示デバイス及び第2の表示デバイスの表示を制御する。また制御部は、複数の業務の一覧を含む業務メニューを第1の表示デバイスの画面に表示させる。そして、入力デバイスを介して業務メニューの中から会計以外で入金又は出金を伴う業務が選択されると、制御部は、当該業務の実行を支援する情報を第2の表示デバイスの画面に表示させ、当該業務の実行が終了すると、プリンタによるレシート用紙への印刷を制御する。また、入力デバイスを介して業務メニューの中から会計以外で入金又は出金を伴う業務以外の業務が選択されると、制御部は、当該業務の実行を支援する情報を第1の表示デバイスの画面に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態である会計装置の外観構成を示す斜視図。
【
図2】同会計装置に含まれるPOS端末の制御回路構成を示すブロック図。
【
図3】同POS端末の補助記憶デバイスで記憶される業務テーブルのデータ構造を示す模式図。
【
図4】同POS端末のCPUが制御プログラムに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図。
【
図5】同POS端末において補充業務開始時に第2のタッチパネルに表示される画面の一例を示す模式図。
【
図6】同POS端末において補充業務終了時に第2のタッチパネルに表示される画面の一例を示す模式図。
【
図7】同POS端末において回収業務開始時に第2のタッチパネルに表示される画面の一例を示す模式図。
【
図8】同POS端末において回収業務終了時に第2のタッチパネルに表示される画面の一例を示す模式図。
【
図9】第2の実施形態において、POS端末のCPUが制御プログラムに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、入金口又は出金口が店員の作業スペース側にない釣銭機への入金作業又は釣銭機からの出金作業を効率良くできる会計装置の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
始めに、第1の実施形態について、
図1~
図8を用いて説明する。
図1は、一実施形態である会計装置1の外観構成を示す斜視図である。会計装置1は、商品販売データを登録処理するPOS(Point Of Sales)端末10と、現金の支払いを受け付けて釣銭を払い出す釣銭機20とを含む。POS端末10は、勘定台(チェックアウトカウンタ)30の上に載置されている。釣銭機20は、硬貨入金口21、硬貨出金口22、紙幣入金口23及び紙幣出金口24を露出させた状態で勘定台30に埋設されている。
【0012】
勘定台30は、POS端末10を操作する店員が作業を行うスペースと、会計を行う客が通る通路とを仕切る。
図1において、勘定台30の手前側が客の通路であり、その反対側が店員の作業スペースである。図示するように勘定台30は、露出した硬貨入金口21、硬貨出金口22、紙幣入金口23及び紙幣出金口24が客通路側に向くように設置されている。
【0013】
POS端末10は、制御回路を実装する本体11と、この本体11に設けられたキーボード12、第1のタッチパネル13、第2のタッチパネル14、レシートプリンタ15等の種々の入出力デバイスとを含む。
【0014】
キーボード12は、作業スペースに居る店員が操作し易いように本体11に取り付けられている。キーボード12には、会計に係るデータを入力するためのキーとして会計キー、締めキー等が配置されている。会計キーは、会計の開始を指令するキーである。締めキーは、会計の終了を指令するキーである。
【0015】
第1のタッチパネル13は、液晶ディスプレイ等の表示デバイス(第1の表示デバイス)と、この表示デバイスの画面上に配置されたタッチセンサとを有する。第1のタッチパネル13は、店員が画面の情報を確認できるように、画面を作業スペース側に向けて本体11に取り付けられている。
【0016】
第2のタッチパネル14は、液晶ディスプレイ等の表示デバイス(第2の表示デバイス)と、この表示デバイスの画面上に配置されたタッチセンサとを有する。第2のタッチパネル14は、客が画面の情報を確認できるように、画面を客通路側に向けて本体11に取り付けられている。具体的には第2のタッチパネル14は、釣銭機20の入金口21,23への貨幣の入金及び出金口22,24から出金された貨幣の回収を行う作業者から目視可能な方向に向けて配置されている。すなわち、第1のタッチパネル13と、第2のタッチパネル14とは、勘定台30の上部空間においてそれぞれ画面を相反する方向に向けて配置されている。
【0017】
レシートプリンタ15は、帯状のレシート用紙をレシート発行口15aまで搬送する途中で印字ヘッドによりレシート印字データを印字する。そしてレシートプリンタ15は、レシート発行口15aから排出された印字済のレシート用紙をカッタで切断することによって、レシートを発行する。レシートプリンタ15は、客が自らレシートを受け取るように、レシート発行口15aを客通路側に向けて本体11に取り付けられている。
したがって、釣銭機20の入金口21,23及び出金口22,24が露出している方向と、第2のタッチパネル14の画面が向いている方向と、レシート発行口15aが向いている方向とは同じである。
【0018】
釣銭機20は、硬貨を金種別に収容する硬貨金庫と、紙幣を金種別に収容する紙幣金庫とを備える。そして釣銭機20は、硬貨入金口21に投入された硬貨については金種を識別して硬貨金庫に金種別に収容する。同様に釣銭機20は、紙幣入金口23に投入された紙幣については金種を識別して紙幣金庫に金種別に収容する。また釣銭機20は、POS端末10からの出金指令に応じて、硬貨金庫又は紙幣金庫に収容されている硬貨又は紙幣を硬貨出金口22又は紙幣出金口24に出金する。このような釣銭機20は、周知の自動釣銭機を適用することができる。
【0019】
図2は、POS端末10が備える制御回路100の概略構成を示すブロック図である。POS端末10は、制御回路100の構成要素として、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、補助記憶デバイス104、時計部105、通信インターフェース106、キーボードコントローラ107、2つのタッチパネルコントローラ108及び109、プリンタコントローラ110、スキャナインターフェース111、釣銭機インターフェース112等を含む。そしてこれらの要素をアドレスバス,データバス等を含むシステム伝送路113で接続することによって、POS端末10の制御回路100が構成される。特にCPU101と、ROM102,RAM103及び補助記憶デバイス104とがシステム伝送路113で接続されることによって、POS端末10のコンピュータが構成される。
【0020】
CPU101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU101は、ROM102及びRAM103に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムに基づいて、POS端末10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
ROM102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM102は、上記オペレーティングシステムを記憶する。ROM102は、上記ミドルウェア又はアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。ROM102は、CPU101が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
RAM103は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM103は、CPU101が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。またRAM103は、CPU101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとしても利用される。
補助記憶デバイス104は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス104は、CPU101が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはCPU101での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス104としては、例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等を使用できる。
【0021】
時計部105は、POS端末10の時刻情報源として機能する。CPU101は、時計部105によって計時される時刻情報を基に、現在の日付及び時間を取得する。
通信インターフェース106は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークを介して接続されるサーバ等の外部機器と間で所定の通信プロトコルに則りデータ通信を行う。
【0022】
キーボードコントローラ107は、キーボード12を制御し、操作者によって操作されたキーに対応したキー信号をキーボード12から取り込む。
タッチパネルコントローラ108は、第1のタッチパネル13の表示デバイスへの表示を制御する。またタッチパネルコントローラ108は、第1のタッチパネル13のタッチセンサからの信号により、画面上のタッチ位置座標を検知する。
タッチパネルコントローラ109は、第2のタッチパネル14の表示デバイスへの表示を制御する。またタッチパネルコントローラ109は、第2のタッチパネル14のタッチセンサからの信号により、画面上のタッチ位置座標を検知する。
プリンタコントローラ110は、レシート印字データをレシートプリンタ15に出力して、レシートの印字・発行動作を制御する。
【0023】
スキャナインターフェース111は、バーコード、二次元データコード等のコードシンボルを光学的に読み取るためのスキャナ16を接続する。そしてスキャナインターフェース111は、スキャナ16との間でデータ信号を授受することにより、スキャナ16で読み取られたコードシンボルのデータを取り込む。なお、スキャナ16は、定置式スキャナであってもよいし、ハンディ式スキャナであってもよい。
【0024】
釣銭機インターフェース112は、釣銭機20を接続する。そして釣銭機インターフェース112は、釣銭機20との間でデータ信号を授受することにより、釣銭機20に投入された金銭のデータを取り込む。また釣銭機インターフェース112は、釣銭データ等の出金に係るデータを釣銭機20に送出して、釣銭機20からの出金を制御する。
【0025】
かかる構成の制御回路100を本体11に実装したPOS端末10は、
図3に示すデータ構造の業務テーブル40を、補助記憶デバイス104で記憶する。
業務テーブル40は、POS端末10で実行可能な種々の業務メニューに対して一意に割り当てられている業務コードにそれぞれ関連付けて、その業務メニューの名称と表示切替フラグとを記憶したものである。表示切替フラグは、対応する業務コードで識別される業務を実行する場合に、その業務の実行を支援する情報を第1のタッチパネル13に表示させるのか第2のタッチパネル14に表示させるのかを特定する1ビットのデータである。本実施形態では、業務の実行を支援する情報を第1のタッチパネル13に表示させることを指示するときの表示切替フラグを“0”とし、第2のタッチパネル14に表示させることを指示するときの表示切替フラグを“1”とする。
図3に示す業務テーブル40の例では、業務名称「釣銭補充」、「釣銭回収」、「日計精算」に対して表示切替フラグを“1”に設定しており、業務名称「売上登録」、「返品登録」、「日計点検」、「設定」等に対して表示切替フラグを“0”に設定している。どの業務に対して表示切替フラグを“1”とするか“0”とするかは任意であるが、典型的には店員が現金を釣銭機20に投入したり、釣銭機20から出金された現金を回収したりする作業が含まれる業務に対して表示切替フラグを“1”とする。
【0026】
ここで、業務の実行を支援する情報としては、例えば操作者に操作方法を教示するガイダンスが該当する。また、例えば釣銭補充業務又は釣銭回収業務の場合には、釣銭機20に収容されている貨幣の金種別の収容枚数、不足枚数、余剰枚数等の情報も、業務の実行を支援する情報に相当する。
【0027】
釣銭機20においては、硬貨金庫及び紙幣金庫にそれぞれ収容されている硬貨及び紙幣の枚数が金種別に計数されている。また、金種毎に上限の閾値枚数と下限の閾値枚数とが設定されている。そして釣銭機20は、或る金種において収容枚数が下限の閾値枚数を下回った場合、その金種の下限閾値枚数から収容枚数を減じた枚数に設定枚数aを加算した枚数を不足枚数として算出する。同様に、或る金種において収容枚数が上限の閾値枚数を上回った場合、その金種の収容枚数から上限閾値枚数を減じた枚数に設定枚数bを加算した枚数を余剰枚数として算出する。設定枚数a及び設定枚数bは任意であり適宜設定可能である。
【0028】
なお、不足枚数及び余剰枚数の算出方法は、上記の方法に限定されるものではない。また、収容枚数、不足枚数及び余剰枚数の管理を釣銭機20が行うのでなく、POS端末10が行ってもよい。
【0029】
図4は、CPU101が、ROM102又は補助記憶デバイス104に記憶された制御プログラムに従って実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。CPU101は、操作者によるサインオン操作が行われると、
図4の流れ図に示す手順の処理を開始する。サインオン操作は特に限定されるものではない。例えばキーボード12に配設されたサインオンキーを店員が操作するとともに、その店員固有の店員コードがバーコード化されたバーコードシンボルをスキャナ16でスキャニングすることで、サインオン操作としてもよい。サインオン操作が行われることにより、店員コードがメモリエリアM1に記憶される。メモリエリアM1は、RAM103に形成されている。
なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0030】
CPU101は先ず、Act1として第1のタッチパネル13に業務メニューを表示させる。業務メニューには、業務テーブル40に記憶された業務名称の一覧が含まれる。業務メニューを確認した店員は、実行すべき業務の業務名称にタッチする。
【0031】
業務メニューを表示させたCPU101は、Act2としてその業務メニューからいずれか1つの業務名称が選択されるのを待ち受ける。タッチパネルコントローラ108に入力されたタッチセンサの信号により1つの業務名称が選択されたことを確認すると(Act2にてYES)、CPU101は、Act3として業務テーブル40を検索して、タッチされた業務名称の業務コードに関連付けられて設定されている表示切替フラグFを検出する。そしてCPU101は、Act4として表示切替フラグの値をメモリエリアM2に書き込む。メモリエリアM2は、RAM103に形成されている。
【0032】
CPU101は、Act5として選択された業務名称で特定される業務のプログラムをスタートさせる。そしてCPU101は、以下に説明するAct6~Act13の処理を実行する。
【0033】
Act6では、CPU101は、業務の実行を支援する情報を表示するか否かを確認する。表示しない場合(Act6にてNO)、CPU101は、Act10に進む。表示する場合(Act6にてYES)、CPU101は、Act7に進む。
【0034】
Act7では、CPU101は、メモリエリアM2の値を調べる。メモリエリアM2の値が“0”の場合(Act7にてNO)、CPU101は、Act8に進む。メモリエリアM2の値が“1”の場合(Act7にてYES)、CPU101は、Act9に進む。 Act8では、CPU101は、業務の実行を支援する情報を第1のタッチパネル13に表示させる。Act9では、CPU101は、業務の実行を支援する情報を第2のタッチパネル14に表示させる。Act8又はAct9の処理を終えると、CPU101は、Act10に進む。
【0035】
Act10では、CPU101は、入力デバイスからの入力を待ち受ける。POS端末10においては、キーボード12、第1のタッチパネル13、第2のタッチパネル14及びスキャナ16が入力デバイスとなる。入力デバイスからの入力があると(Act10にてYES)、CPU101は、Act11に進む。
【0036】
Act11では、CPU101は、入力デバイスからの入力に従った処理を実行する。この処理は、入力内容によって異なるので、ここでの詳細な説明は省略する。処理を終了すると、CPU101は、Act12に進む。
Act12では、CPU101は、Act11での処理により業務が終了したか否かを判定する。業務が終了していない場合(Act12にてNO)、CPU101は、Act6に戻る。そして、Act6以降の処理を前述したのと同様に繰り返す。
【0037】
かくしてCPU101は、入力デバイスからの入力がある毎にその入力に従った処理を実行する。そして、メモリエリアM2の値が“0”の場合には、CPU101は、業務の実行を支援する情報を第1のタッチパネル13に表示させる。これに対し、メモリエリアM2の値が“1”の場合には、CPU101は、業務の実行を支援する情報を第2のタッチパネル14に表示させる。こうして、入力に従った処理を実行した結果、業務の終了を判定すると(Act12にてYES)、CPU101は、Act13に進む。
Act13では、CPU101は、メモリエリアM2をクリアする。以上で、CPU101は、制御プログラムに従った情報処理を終了する。
【0038】
次に、
図4の流れ図に示した情報処理の具体例を説明する。
始めに、店員がPOS端末10を操作して、客が買い上げる商品の売上登録業務を行う場合を例示する。売上登録業務を実施する店員は、業務メニューから業務名称「売上登録」にタッチする。そうすると、メモリエリアM2に“0”が書き込まれる。また、CPU101が売上登録業務のプログラムに基づく情報処理を開始する。
【0039】
先ずCPU101は、売上登録用のメモリエリアM3を初期化する。メモリエリアM3は、RAM103に形成されている。またCPU101は、売上登録操作を案内するためのガイダンスを表示させる。ガイダンスは、メモリエリアM2に“0”が書き込まれているので、第1のタッチパネル13に表示される。
【0040】
店員は、第1のタッチパネル13に表示されたガイダンスに従って入力デバイス(キーボード12、第1のタッチパネル13又はスキャナ16)を操作して、客が買い上げる商品の販売データをPOS端末10に入力する。そうするとCPU101は、商品の販売データをメモリエリアM3に登録処理するとともに、その商品の品名、金額等を第1のタッチパネル13及び第2のタッチパネル14に表示させる。またCPU101は、会計操作を案内するためのガイダンスを表示させる。ガイダンスは、メモリエリアM2に“0”が書き込まれているので、第1のタッチパネル13に表示される。
【0041】
客が買い上げる商品の販売データを入力し終えると、店員は、第1のタッチパネル13に表示されたガイダンスに従って会計キーを操作する。そうするとCPU101は、メモリエリアM3に記憶された商品の販売データを基に客が買い上げる商品の合計金額を算出する。そしてCPU101は、合計金額を第1のタッチパネル13及び第2のタッチパネル14に表示させる。またCPU101は、客に代金の支払いを促すためのガイダンスを表示させる。ガイダンスは、メモリエリアM2に“0”が書き込まれているので、第1のタッチパネル13に表示される。
【0042】
店員は、第1のタッチパネル13に表示されたガイダンスに従って客に代金の支払いを促すとともに、商品の袋詰め作業を行う。一方、客は、第2のタッチパネル14に表示された合計金額を現金で支払うために、紙幣又は硬貨を釣銭機20の入金口21,23に投入する。釣銭機20に入金された紙幣又は硬貨の金額はCPU101に通知され、第1のタッチパネル13及び第2のタッチパネル14に表示される。
【0043】
店員は、合計金額以上の金額が釣銭機20に入金されたことを確認したならば、締めキーを操作する。そうするとCPU101は、合計金額と支払金額、すなわち釣銭機20への入金金額とから釣銭額を算出する。そしてCPU101は、釣銭額を第1のタッチパネル13及び第2のタッチパネル14に表示させる。このとき、釣銭が生じた場合には、CPU101は、釣銭機20に釣銭データを出力する。またCPU101は、レシート印字データを生成し、レシートプリンタ15に出力して、レシートの印字・発行を制御する。かくして会計装置1では、レシート発行口15aからレシートが発行される。また、釣銭がある場合には、釣銭機20の出金口22,24から釣銭としての硬貨又は紙幣が払い出される。そこで客は、店員から袋詰めされた商品を受け取るとともに、レシートと釣銭とを自ら受け取る。以上で、一人の客に対する売上登録業務を終了する。
【0044】
なお、引き続き、次の客が買い上げる商品の売上登録業務を継続する場合には、店員は、継続操作を行う。継続操作は、特に限定されるものではない。例えばキーボード12に配設された継続キーを店員が操作することで、継続操作としてもよい。継続操作が行われると、CPU101は、メモリエリアM3を初期化する。またCPU101は、売上登録操作を案内するためのガイダンスを再度表示させる。ガイダンスは、メモリエリアMに“0”が書き込まれているので、第1のタッチパネル13に表示される。
【0045】
一方、売上登録業務を終了する場合には、店員は、サインオフ操作を行う。サインオフ操作は、特に限定されるものではない。例えばキーボード12に配設されたサインオフキーを店員が操作することで、サインオフ操作としてもよい。サインオフ操作が行われると、メモリエリアM2がクリアされる。そしてPOS端末10は、サインオフ状態となる。
【0046】
ここにCPU101を主体とするコンピュータは、入力デバイスを介して入力されたデータと釣銭機20に入力された金額とを基に会計を処理し、釣銭機20からの釣銭の出金を制御するとともに第1の表示デバイス及び第2の表示デバイスの表示を制御する制御部、として機能する。
【0047】
因みに、上述した売上登録業務において、店員は、客が支払った現金に触れたり、釣銭機20から払い出された釣銭に触れたりすることはない。したがって衛生的であるので、会計装置1は、パン、ドーナツ、ケーキ等の食品を販売する店舗に適用して好適である。
【0048】
次に、会計以外で釣銭機20への入金を伴う業務として、釣銭機20に釣銭準備金を補充する業務について説明する。補充業務を実施する店員は、業務メニューから業務名称「釣銭補充」にタッチする。そうすると、メモリエリアM2に“1”が書き込まれる。また、CPU101が釣銭補充業務のプログラムに基づく情報処理を開始する。
【0049】
先ずCPU101は、補充開始を指令するためのガイダンスを表示させる。ガイダンスは、メモリエリアM2に“1”が書き込まれているので、第2のタッチパネル14に表示される。
図5は、補充開始を指令するためのガイダンスを含む画面SC1の一例である。図示するように画面SC1には、テキストTX1、TX2、TX3と、補充開始ボタンBT1の画像とが表示される。テキストTX1は、補充業務中であることを示す。テキストTX2は、補充が必要な貨幣の金種及びその不足枚数を示す。テキストTX3は、補充開始操作を案内するガイダンスを示す。
【0050】
業務名称「釣銭補充」にタッチした店員は、釣銭機20に補充するための現金を持って作業スペースから客通路へと移動する。そして店員は、第2のタッチパネル14に表示された画面SC1を確認したならば、補充開始ボタンBT1にタッチする。そうすると釣銭機20が起動するので、店員は、少なくともテキストTX2に表示されている金種の硬貨又は紙幣を硬貨入金口21又は紙幣入金口23から不足枚数以上入金する。こうして入金された硬貨又は紙幣は、釣銭機20の硬貨金庫又は紙幣金庫に金種別に収容される。
【0051】
釣銭機20を起動させたCPU101は、補充終了を指令するためのガイダンスを表示させる。ガイダンスは、メモリエリアM2に“1”が書き込まれているので、第2のタッチパネル14に表示される。
図6は、補充終了を指令するためのガイダンスを含む画面SC2の一例である。図示するように画面SC2には、テキストTX1、TX2、TX4と、補充終了ボタンBT2の画像とが表示される。テキストTX1、TX2は、画面SC1のテキストTX1、TX2と同様である。テキストTX4は、補充終了操作を案内するガイダンスを示す。
【0052】
補充作業を終了した店員は、第2のタッチパネル14に表示された画面SC2の補充終了ボタンBT2にタッチする。そうするとCPU101は、釣銭機20に補充された貨幣の金種と補充枚数とをリスト化したデータをレシート用紙に印刷するようにレシートプリンタ15を制御する。またCPU101は、釣銭機20を停止させる。以上で、釣銭補充業務が終了する。
【0053】
したがって、釣銭補充業務を終えた店員は、レシート発行口15aから発行されたレシート用紙を回収することで、釣銭機20に補充した貨幣の金種と補充枚数とを確認することができる。
【0054】
次に、会計以外で釣銭機20からの出金を伴う業務として、釣銭機20から釣銭準備金を回収する業務について説明する。回収業務を実施する店員は、業務メニューから業務名称「釣銭回収」にタッチする。そうすると、メモリエリアM2に“1”が書き込まれる。また、CPU101が釣銭回収業務のプログラムに基づく情報処理を開始する。
【0055】
先ずCPU101は、回収開始を指令するためのガイダンスを表示させる。ガイダンスは、メモリエリアM2に“1”が書き込まれているので、第2のタッチパネル14に表示される。
図7は、回収開始を指令するためのガイダンスを含む画面SC3の一例である。図示するように画面SC3には、テキストTX5、TX6、TX7と、プルダウンリストPL1、PL2と、回収開始ボタンBT3の画像とが表示される。テキストTX5は、回収業務中であることを示す。テキストTX6は、回収が必要な貨幣の金種及びその余剰枚数を示す。テキストTX7は、回収開始操作を案内するガイダンスを示す。プルダウンリストPL1は、貨幣の金種リストを表示する。プルダウンリストPL2は、例えば10枚を単位とする回収枚数を表示する。
【0056】
業務名称「釣銭回収」にタッチした店員は、釣銭機20から回収した貨幣を収容するための袋などを持って作業スペースから客通路へと移動する。そして店員は、第2のタッチパネル14に表示された画面SC3を確認したならば、プルダウンリストPL1、PL2から回収対象の金種と回収枚数とを指定し、回収開始ボタンBT3にタッチする。そうすると釣銭機20が起動して、指定された金種の貨幣が指定された回収枚数だけ出金する。例えば、店員がプルダウンリストPL1から金種「一万円」を指定し、プルダウンリストPL2から回収枚数「10枚」を指定すると、紙幣出金口24から10枚の一万円札が出金される。同様に、店員がプルダウンリストPL1から金種「100円」を指定し、プルダウンリストPL2から回収枚数「20枚」を指定すると、硬貨出金口22から20枚の百円硬貨が出金される。そこで店員は、出金された紙幣又は硬貨を紙幣出金口24又は硬貨出金口22から回収して、袋等に収容する。
【0057】
釣銭機20に指令を行ったCPU101は、回収を継続するか終了するかを促すガイダンスを表示させる。ガイダンスは、メモリエリアM2に“1”が書き込まれているので、第2のタッチパネル14に表示される。
図8は、回収業務を継続するか終了するかを促すガイダンスを含む画面SC4の一例である。図示するように画面SC4には、テキストTX5、TX6、TX8と、継続ボタンBT4及び終了ボタンBT5の画像とが表示される。テキストTX5、TX6は、画面SC3のテキストTX5、TX6と同様である。テキストTX8は、回収業務を継続する場合と終了する場合との操作を案内するガイダンスを示す。
【0058】
指定した金種の回収を終えた店員は、次に回収すべき金種があるか否かを判断する。そして回収すべき金種がある場合には、店員は、継続ボタンBT4にタッチする。そうするとCPU101は、継続ボタンの入力を受け付ける処理を実行し、前述した回収開始を指令するためのガイダンスを含む画面SC3を第2のタッチパネル14に表示させる。そこで店員は、前記と同様に、プルダウンリストPL1、PL2から金種と回収枚数とを指定し、回収開始ボタンBT3にタッチする。
【0059】
一方、回収すべき金種がない場合には、店員は、終了ボタンBT5にタッチする。そうするとCPU101は、釣銭機20から出金した貨幣の金種と出金枚数とをリスト化したデータをレシート用紙に印刷するようにレシートプリンタ15を制御する。またCPU101は、釣銭機20を停止させる。以上で、釣銭回収業務が終了する。
【0060】
したがって、釣銭回収業務を終えた店員は、レシート発行口15aから発行されたレシート用紙を回収することで、釣銭機20から回収した貨幣の金種と回収枚数とを確認することができる。
【0061】
このように、本実施形態の会計装置1においては、勘定台30に取り付けられた釣銭機20の入金口21、23及び出金口22、24が、勘定台30によって仕切られた店員の作業スペースとは反対側の客通路側を向いている。また、勘定台30の上に載置されたPOS端末10の第1のタッチパネル13の画面が作業スペース側を向いており、第2のタッチパネル14の画面が客通路側を向いている。そして、会計以外で釣銭機20への入金又は出金を伴う業務のうちの予め定められた一部の実行が指令された場合には、POS端末10が、当該業務の実行を支援する情報を第2のタッチパネル14に表示させる。
【0062】
したがって、釣銭機20への入金又は釣銭機20からの出金を伴う業務を担当する店員は、客通路側にて、第2のタッチパネル14に表示される情報の支援を受けながら入金又は出金を伴う業務を実行できる。その結果、入金又は回収の業務中に表示内容を確認する必要が生じた場合でも、店員は、客通路に居ながらにしてその内容を確認することができる。したがって、店員が一旦作業スペースに戻って表示内容を確認した後、再度客通路まで移動するという面倒が無くなるので、業務を効率よく行うことができる。
【0063】
また、レシートプリンタ15についても、レシート発行口15aを客通路側に向けて配置されている。したがって、業務内容を印字したレシート用紙がレシートプリンタ15から発行される場合においても、店員は客通路に居ながらにしてそのレシート用紙の発行を受けることができる。したがって、レシート用紙を回収するために客通路に居た店員が作業スペース側に戻るという手間も生じ得ない。
【0064】
なお、
図1では、勘定台30の釣銭機20が埋設された箇所の直上にPOS端末10を載置した例を示したが、釣銭機20が埋設された箇所からずれた個所にPOS端末10が載置されてもよい。また
図1では、勘定台30を挟んで店員の作業スペースとは反対側を客の通路としたが、客の通路は、作業スペース以外であれば、必ずしも作業スペースの反対側に限定されるものではない。そして客の通路が作業スペースの反対側ではない場合、釣銭機20は、硬貨入金口21、硬貨出金口22、紙幣入金口23及び紙幣出金口24が客通路側に露出するように配置する。また、第2のタッチパネル14も、通路に居る客又は店員が画面の表示内容を確認できる位置に配置する。そうすることによって、入金口又は出金口が店員の作業スペース側にない釣銭機への入金作業又は釣銭機からの出金作業を効率良くできる会計装置を提供することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について、
図9を用いて説明する。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点は、POS端末10のCPU101が制御プログラムに従って実行する情報処理の手順の一部である。それ以外の構成は第1の実施形態と同様なので、
図1~
図3及び
図5~
図8はそのまま第2の実施形態でも適用し、その詳しい説明は省略する。
【0066】
図9は、第2の実施形態において、POS端末10のCPU101が制御プログラムに従って実行する主要な情報処理の手順を、一部を簡略して示す流れ図である。なお、
図4と共通する処理ブロックには同一の符号を付してある。
【0067】
図9を
図4と比較すれば分かるように、Act1~Act5までの処理手順は第1の実施形態と同じである。第2の実施形態では、Act5として選択された業務名称で特定される業務のプログラムをスタートさせた後、CPU101は、Act21としてスキャナ16によりバーコードがスキャニングされるのを待機する。そしてバーコードがスキャニングされたことを検知したならば、CPU101は、Act22としてそのバーコードを解析して得られるコードが、サインオン中の店員を識別する店員コードと一致するか否かを判断する。一致しない場合には(Act22にてNO)、CPU101は、スキャニングされたバーコードの入力をエラーとする。なお、エラーとした後の処理は特に限定されるものではない。次のスキャニング入力を待機してもよいし、選択された業務を終了してもよい。
【0068】
Act22においてバーコードを解析して得られるコードがサインオン中の店員を識別する店員コードと一致する場合には(Act22にてYES)、CPU101は、前述したAct6~Act13の処理を実行する。
【0069】
このように、第2の実施形態においては、POS端末10にサインオンした店員だけが業務メニューから選択した業務を実行することができる。したがって、例えばサインオンした店員が作業スペースを離れているときに、別の店員等が釣銭機20からの出金を伴う業務を実行して釣銭機20から不正に現金を取得することはできない。よって、セキュリティ性が高い会計装置を提供することができる。
【0070】
以下、上述した実施形態の変形例について説明する。
例えば実施形態において、1ビットの表示切替フラグの代わりに2ビットのデータを業務テーブルに設定する。そして、このデータが“10”又は“11”の場合には、業務の実行を支援する情報を第1のタッチパネル13と第2のタッチパネル14との両方に表示させる。こうすることにより、第1のタッチパネル13と第2のタッチパネル14との両方に業務の実行を支援する情報が表示されるので、操作者はどちらのタッチパネルからも同じ情報を得ることができる。
【0071】
例えば実施形態において、第1のタッチパネル13及び第2のタッチパネル14の代わりに、表示デバイスとポインティングデバイスとを採用する。このような構成としても、実施形態と同様な作用効果を奏し得る。
【0072】
なお、POS端末10の譲渡は一般に、制御プログラム等のプログラムがROM102に記憶された状態にて行われる。しかしこれに限らず、プログラムがROM102に記憶されていない状態で、あるいは別の制御プログラムがROM102又は補助記憶デバイス104に記憶された状態で譲渡されてもよい。そしてこの場合は、POS端末10が備える書き込み可能な記憶デバイスに、このPOS端末とは個別に譲渡された制御プログラム等がユーザなどの操作に応じて書き込まれるか、上記の別の制御プログラムを書き替えてもよい。制御プログラム等の譲渡は、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0073】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]会計に係るデータを入力するための入力デバイスと、前記入力デバイスを操作する操作者の方向に画面を向けて配置される第1の表示デバイスと、前記第1の表示デバイスの画面の方向とは異なる方向に入金口及び出金口を設け、会計に関する入金及び出金を処理する釣銭機と、前記第1の表示デバイスの画面の方向とは異なり、かつ前記入金口への貨幣の入金及び前記出金口から出金された貨幣の回収を行う作業者から目視可能な方向に向けて配置される第2の表示デバイスと、前記入力デバイスを介して入力されたデータと前記釣銭機に入力された金額とを基に会計を処理し、前記釣銭機からの釣銭の出金を制御するとともに前記第1の表示デバイス及び第2の表示デバイスの表示を制御する制御部と、を具備し、前記入力デバイスは、会計以外で入金又は出金を伴う業務のうちの予め定められた一部の業務の実行を指令する手段を含み、前記制御部は、前記入力デバイスを介して前記業務の実行が指令されると、当該業務の実行を支援する情報を前記第2の表示デバイスの画面を表示させる会計装置。
[2]前記第2の表示デバイスの画面を、前記釣銭機の入金口及び出金口が設けられた方向と同じ方向に向けて配置してなる、付記[1]記載の会計装置。
[3]前記第1の表示デバイスの画面と前記第2の表示デバイスの画面とを勘定台の上部空間において相反する方向に向けて配置してなる、付記[1]又は[2]記載の会計装置。
[4]前記第2の表示デバイスは、タッチパネルであり、前記業務の実行を支援する情報は、当該業務の実行に係る入力を受け付けるボタン画像を含む、付記[1]乃至[3]のうちいずれか一項記載の会計装置。
[5]前記釣銭機の入金口及び出金口が設けられた方向と同じ方向に会計の明細を示すレシートの発行口を配置してなるプリンタ、をさらに具備する、付記[1]乃至[4]のうちいずれか一項記載の会計装置。
[6]会計に係るデータを入力するための入力デバイス、前記入力デバイスを操作する操作者の方向に画面を向けて配置される第1の表示デバイス、前記第1の表示デバイスの画面の方向とは異なる方向に入金口及び出金口を設け、会計に関する入金及び出金を処理する釣銭機、及び、前記第1の表示デバイスの画面の方向とは異なり、かつ前記入金口への貨幣の入金及び前記出金口から出金された貨幣の回収を行う作業者から目視可能な方向に向けて配置される第2の表示デバイスと、を備え、前記入力デバイスは、会計以外で前記釣銭機への入金又は前記釣銭機からの出金を伴う業務の実行を指令する手段を含む会計装置のコンピュータを、前記入力デバイスを介して入力されたデータと前記釣銭機に入力された金額とを基に会計を処理する手段、前記釣銭機からの釣銭の出金を制御するとともに前記第1の表示デバイス及び第2の表示デバイスの表示を制御する手段、及び、前記入力デバイスを介して前記業務の実行が指令されると、当該業務の実行を支援する情報を前記第2の表示デバイスの画面を表示させる手段、として機能させるための制御プログラム。
【符号の説明】
【0074】
1…会計装置、10…POS端末、11…本体、12…キーボード、13…第1のタッチパネル、14…第2のタッチパネル、15…レシートプリンタ、16…スキャナ、20…釣銭機、21…硬貨入金口、22…硬貨出金口、23…紙幣入金口、24…紙幣出金口、30…勘定台、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…補助記憶デバイス、112…釣銭機インターフェース。