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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】登録装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20241007BHJP
   G07G 1/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G07G1/12 321K
G07G1/12 301E
G07G1/00 331A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023156276
(22)【出願日】2023-09-21
(62)【分割の表示】P 2022097316の分割
【原出願日】2016-12-22
(65)【公開番号】P2023164702
(43)【公開日】2023-11-10
【審査請求日】2023-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】五反田 剛
(72)【発明者】
【氏名】中島 隆司
(72)【発明者】
【氏名】須崎 晃子
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-157391(JP,A)
【文献】特開2016-27449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済対象の取引の内容を登録するための登録処理を行う登録手段と、
前記登録手段による前記登録処理の終了後、決済者により投入される現金の入金機による取り込みが開始され、さらに保留を指示するための予め定められた操作が行われたことに応じて、既に取り込んだ現金を保留したままで現金の取り込みを中断するよう前記入金機を制御する入金制御手段と
前記入金機による現金の取り込みの中断後、前記登録手段による前記登録処理を再開させる再開制御手段と、
を具備した登録装置
【請求項2】
前記入金制御手段は、前記再開制御手段による前記登録処理の再開後に、入金の再開を指示するための予め定められた操作が行われたことに応じて、保留した現金の取り込みに続く追加の現金の取り込みを前記入金機に開始させる、
請求項1に記載の登録装置。
【請求項3】
表示面に表示された情報を前記決済者に確認させるためのタッチパネルに、保留を指示するためのボタンを含んだ操作画面を表示させる表示手段、
をさらに備え、
前記入金制御手段は、前記ボタンにタッチされた場合に、保留を指示するための予め定められた操作が行われたとする、
請求項1に記載の登録装置。
【請求項4】
前記登録手段による前記登録処理の終了後、前記入金機による現金の取り込みが開始され、さらに取り止めを指示するための予め定められた操作が行われたことに応じて、前記入金機により既に取り込まれた金額分の現金を出金機に払い出させる出金制御手段、
をさらに備え、
かつ前記再開制御手段は、前記出金機による現金の払い出し後にも、前記登録手段による前記登録処理を再開させる、
請求項1に記載の登録装置。
【請求項5】
登録装置を制御するコンピュータを、
決済対象の取引の内容を登録するための登録処理を行う登録手段と、
前記登録手段による前記登録処理の終了後、決済者により投入される現金の入金機による取り込みが開始され、さらに保留を指示するための予め定められた操作が行われたことに応じて、既に取り込んだ現金を保留したままで現金の取り込みを中断するよう前記入金機を制御する入金制御手段と、
前記入金機による現金の取り込みの中断後、前記登録手段による前記登録処理を再開させる再開制御手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、登録装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
セミセルフ方式の会計装置では、取引内容の登録を店員の操作に応じて行う。そして当該会計装置は、店員が取引内容の登録を終えて入金開始のための操作を行うと、客による現金の投入を受け付ける状態となる。会計装置は、客により現金が投入されたならば、それを取り込み、投入金額を計数する。会計装置は、投入金額が登録された取引の決済金額以上となったのちに、客により決済の実行を指示する操作が行われたことに応じて、投入金額から決済金額を決済する。
このような会計装置を利用したチェックアウトに際して、客は、現金の投入を開始した後に、取引内容の変更を要望する場合がある。例えば、現金の投入を開始してから、手持ちの金額が決済金額に満たないことに気付き、商品の一部の買上を取り消す場合などである。
【0003】
このような場合に対応するために、会計装置は、現金の取り込みを取り止め、取引内容の登録を行う状態に戻る機能を備える。そして会計装置は、現金の取り込みを取り止めるに際して、それまでの投入金額分の現金を払い出すようにしている。
このため、変更後の取引内容での決済のためには、客は現金の投入を最初からやり直さなければならなかった。
【0004】
このような事情から、現金の投入を取り止めて取引内容の登録を再開した場合でも、その再開した登録により変更された取引内容についての決済に係る現金投入の手間を省けることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-27449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、現金の投入を取り止めて取引内容の登録を再開した場合でも、その再開した登録により変更された取引内容についての決済に係る現金投入の手間を省くことができる登録装置及びそのプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の登録装置は、登録手段、入金制御手段及び再開制御手段を備える。登録手段は、決済対象の取引の内容を登録するための登録処理を行う。入金制御手段は、登録手段による登録処理の終了後、決済者により投入される現金の入金機による取り込みが開始され、さらに保留を指示するための予め定められた操作が行われたことに応じて、既に取り込んだ現金を保留したままで現金の取り込みを中断するよう入金機を制御する。再開制御手段は、入金機による現金の取り込みの中断後、登録手段による登録処理を再開させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る会計装置の外観構成を示す斜視図。
図2図1に示される会計装置の要部回路構成を示すブロック図。
図3図2中のCPUの第1の実施形態における情報処理のフローチャート。
図4】一例としての操作画面を示す図。
図5図2中のCPUの第2の実施形態における情報処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、いくつかの実施の形態について図面を用いて説明する。
なお以下に説明する実施の形態は、客が決済者となって商品の売買を行う取引に関する会計を行う場合である。
【0010】
[第1の実施形態]
図1は実施形態に係る会計装置1の外観構成を示す斜視図である。
図2は会計装置1の要部回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように会計装置1は、POS(point of sales)端末10及び釣銭機20を含む。POS端末10は、商品販売データを登録処理する。釣銭機は、現金の支払いを受け付けて釣銭を払い出す。POS端末10は、勘定台(チェックアウトカウンタ)30の上に載置されている。釣銭機20は、硬貨入金口21、硬貨出金口22、紙幣入金口23及び紙幣出金口24を露出させた状態で勘定台30に埋設されている。
【0011】
勘定台30は、POS端末10を操作する店員が作業を行うスペースと、会計を行う客が通る通路とを仕切る。図1において、勘定台30の手前側が客の通路であり、その反対側が店員の作業スペースである。図示するように勘定台30は、露出した硬貨入金口21、硬貨出金口22、紙幣入金口23及び紙幣出金口24が客通路側に向くように設置されている。
【0012】
POS端末10は、図2に示す制御回路100を実装する本体11と、この本体11に設けられたキーボード12、第1のタッチパネル13、第2のタッチパネル14、レシートプリンタ15等の種々の入出力デバイスとを含む。なお、キーボード12は、図1には表れておらず、図2に示される。
キーボード12は、作業スペースに居る店員が操作し易い状態で本体11に取り付けられている。
【0013】
第1のタッチパネル13は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスと、この表示デバイスの表示面に重ねて配置されたタッチセンサとを有する。第1のタッチパネル13は、店員が表示面に表示された情報を確認できるように、表示面を作業スペース側に向けて本体11に取り付けられている。
第2のタッチパネル14は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスと、この表示デバイスの表示面に重ねて配置されたタッチセンサとを有する。第2のタッチパネル14は、客が表示面に表示された情報を確認できるように、表示面を客通路側に向けて本体11に取り付けられている。すなわち、第1のタッチパネル13と、第2のタッチパネル14とは、勘定台30の上部空間においてそれぞれ表示面を相反する方向に向けて配置されている。
【0014】
レシートプリンタ15は、帯状のレシート用紙をレシート発行口15aまで搬送する途中で印字ヘッドによりレシート印字データを印字する。レシートプリンタ15は、レシート発行口15aから排出された印字済のレシート用紙をカッタで切断することによって、レシートを発行する。レシートプリンタ15は、発行されたレシートを客が直接取ることができるように、レシート発行口15aを客通路側に向けて本体11に取り付けられている。
【0015】
釣銭機20は、硬貨を金種別に収容する硬貨金庫と、紙幣を金種別に収容する紙幣金庫とを備える。そして釣銭機20は、硬貨入金口21に投入された硬貨を取り込み、金種を識別した上で硬貨金庫に金種別に収容する。釣銭機20は、紙幣入金口23に投入された紙幣を取り込み、金種を識別した上で紙幣金庫に金種別に収容する。釣銭機20は、POS端末10からの出金指令に応じて、硬貨金庫又は紙幣金庫に収容されている硬貨又は紙幣を硬貨出金口22又は紙幣出金口24から排出する。このような釣銭機20としては、周知の自動釣銭機を適用することができる。つまり釣銭機20は、取込手段及び払出手段としての機能を備える。
【0016】
図2に示すように制御回路100は、CPU(central processing unit)101、ROM(read-only memory)102、RAM(random-access memory)103、補助記憶デバイス104、時計部105、通信インタフェース106、キーボードコントローラ107、タッチパネルコントローラ108,109、プリンタコントローラ110、スキャナインタフェース111及び釣銭機インタフェース112を含む。そしてこれらの要素をアドレスバス及びデータバス等を含むシステム伝送路113で接続することによって、制御回路100が構成される。特にCPU101、ROM102、RAM103及び補助記憶デバイス104がシステム伝送路113で接続されることによって、POS端末10を制御するためのコンピュータが構成される。
【0017】
CPU101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。CPU101は、ROM102及びRAM103に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムに基づいて、POS端末10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。
【0018】
ROM102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。ROM102は、上記オペレーティングシステムを記憶する。ROM102は、上記ミドルウェア又はアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。ROM102は、CPU101が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合もある。
【0019】
RAM103は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。RAM103は、CPU101が各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。またRAM103は、CPU101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとしても利用される。
【0020】
補助記憶デバイス104は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶デバイス104は、CPU101が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはCPU101での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス104としては、例えばEEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、あるいはSSD(solid state drive)等を使用できる。
【0021】
時計部105は、POS端末10の時刻情報源として機能する。
通信インタフェース106は、LAN(local area network)等の通信ネットワークを介して接続されるサーバ等の外部機器と間で所定の通信プロトコルに則りデータ通信を行う。
【0022】
キーボードコントローラ107は、キーボード12を制御し、操作者によって操作されたキーに対応したキー信号をキーボード12から取り込む。
【0023】
タッチパネルコントローラ108は、第1のタッチパネル13の表示デバイスへの表示を制御する。またタッチパネルコントローラ108は、第1のタッチパネル13のタッチセンサからの信号により、第1のタッチパネル13の表示デバイスでの画面上のタッチ位置座標を検知する。
【0024】
タッチパネルコントローラ109は、第2のタッチパネル14の表示デバイスへの表示を制御する。またタッチパネルコントローラ109は、第2のタッチパネル14のタッチセンサからの信号により、第2のタッチパネル14の表示デバイスでの画面上のタッチ位置座標を検知する。
プリンタコントローラ110は、レシート印字データをレシートプリンタ15に出力して、レシートの発行動作を制御する。
【0025】
スキャナインタフェース111は、バーコード、二次元データコード等のコードシンボルを光学的に読み取るためのスキャナ16を接続する。そしてスキャナインタフェース111は、スキャナ16との間でデータ信号を授受することにより、スキャナ16で読み取られたコードシンボルのデータを取り込む。なお、スキャナ16は、定置式スキャナであってもよいし、ハンディ式スキャナであってもよい。
【0026】
釣銭機インタフェース112は、釣銭機20を接続する。そして釣銭機インタフェース112は、釣銭機20との間でデータ信号を授受することにより、釣銭機20への金銭の投入金額に関するデータを釣銭機20から取り込む。また釣銭機インタフェース112は、釣銭データ等の出金に係るデータを釣銭機20に送出して、釣銭機20からの出金を制御する。
【0027】
次に以上のように構成された会計装置1の動作について説明する。
会計装置1は、同種の既存の装置が備えるような複数の業務モードを備える。これら複数の業務モードのうちの1つであり、会計処理のための業務モードで会計装置1が起動されると、CPU101はROM102又は補助記憶デバイス104に記憶されたアプリケーションプログラムに従って情報処理を開始する。なお、以下に説明する情報処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
【0028】
当該アプリケーションプログラムは、典型的には、会計装置1がその利用者に譲渡される際には、ROM102又は補助記憶デバイス104に記憶される。しかし、会計装置1のハードウェアとは別に利用者に譲渡されたアプリケーションプログラムが、補助記憶デバイス104に書き込まれてもよい。ただしこの場合、譲渡される会計装置1のROM102又は補助記憶デバイス104に、上記アプリケーションプログラムとはバージョンが異なる同種のアプリケーションプログラムが記憶されていてもよいし、そのようなプログラムが記憶されていなくてもよい。前者の場合、会計装置1のハードウェアとは別に利用者に譲渡されて補助記憶デバイス104に書き込まれたアプリケーションプログラムは、バージョンが異なる同種のアプリケーションプログラムの代わりに利用される。なお、アプリケーションプログラムの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行える。
【0029】
図3は上記のアプリケーションプログラムに基づくCPU101の情報処理のフローチャートである。
Act1としてCPU101は、RAM103又は補助記憶デバイス104に記憶される商品リストをクリアする。
Act2としてCPU101は、買上商品を商品リストに追加するための商品追加操作がなされるのを待ち受ける。そしてCPU101は、例えば買上商品のバーコードをスキャナ16で読み取るなどの所定の操作が行われたならばYesと判定し、Act3へと進む。
Act3としてCPU101は、上記の操作により入力される商品コードを追加するように商品リストを更新する。
【0030】
Act4としてCPU101は、商品追加操作がなされたか否かを確認する。そしてCPU101は、当該操作が行われていないならばNoと判定し、Act5へと進む。
Act5としてCPU101は、登録済みの買上商品を商品リストから削除するための商品削除操作がなされたか否かを確認する。そしてCPU101は、当該操作が行われていないならばNoと判定し、Act6へと進む。
Act6としてCPU101は、小計が指示されたか否かを確認する。そしてCPU101は、当該指示が行われていないならばNoと判定し、Act4へと戻る。
かくしてCPU101はAct4-Act6においては、商品追加操作、商品削除操作及び小計指示のいずれかがなされるのを待ち受ける。そしてCPU101は、商品追加操作が行われたならば、Act3としての処理を再度実行する。これに対してCPU101は、例えば商品のうちの1つを選択した上で、その削除を指示するための操作が例えばキーボード12にて行われたならば、Act5にてYesと判定し、Act7へと進む。
【0031】
Act7としてCPU101は、削除が指示された商品を削除するべく商品リストを更新する。そしてこののちにCPU101は、Act4-Act6の待受状態に戻る。
【0032】
店員は、商品追加操作を繰り返し行うとともに、必要に応じて商品削除操作を行うことにより、商品リストが実際の買上商品を反映するものとなるようにする。この状態が、商品登録状態であり、取引の内容を登録する状態である。かくして、Act2-Act5及びAct6としての処理は、決済対象の取引の内容を登録するための登録処理に相当する。つまり、アプリケーションプログラムに基づく情報処理をCPU101が実行することによって、CPU101を中枢部分とするコンピュータは登録手段として機能する。
【0033】
店員は、商品リストが実際の買上商品を反映するものとなったら、キーボード12又は第1のタッチパネル13にて、小計を指示する。そうするとCPU101は、Act6にてYesと判定し、Act8へと進む。
【0034】
Act8としてCPU101は、入金開始指示がなされたか否かを確認する。そしてCPU101は、当該指示がなされていないならばNoと判定し、Act9へと進む。
Act9としてCPU101は、現計指示がなされたか否かを確認する。そしてCPU101は、当該指示がなされていないならばNoと判定し、Act8へと戻る。
かくしてCPU101はAct8及びAct9においては、入金開始指示又は現計指示がなさるのを待ち受ける。
【0035】
店員は、客が現金決済を希望し、かつ釣銭機20の利用を希望するならば、キーボード12又は第1のタッチパネル13にて、入金開始を指示する。そうするとCPU101は、Act8にてYesと判定し、Act10へと進む。
Act10としてCPU101は、釣銭機20を有効化する。これにより釣銭機20は、貨幣の投入を受け付ける状態となる。そして客が硬貨入金口21及び紙幣入金口23へと貨幣を投入すると、釣銭機20はこの貨幣を取り込んで、投入金額を計数する。
【0036】
Act11としてCPU101は、精算指示がなされたか否かを確認する。そしてCPU101は、当該指示がなされていなければNoと判定し、Act12へと進む。
Act12としてCPU101は、中断指示がなされたか否かを確認する。そしてCPU101は、当該指示がなされていなければNoと判定し、Act13へと進む。
Act13としてCPU101は、取り止め指示がなされたか否かを確認する。そしてCPU101は、当該指示がなされていなければNoと判定し、Act11へと戻る。
かくしてCPU101はAct11-Act13においては、精算指示、中断指示又は取り止め指示がなされるのを待ち受ける。
【0037】
CPU101は例えば、釣銭機20により貨幣の投入を受け付けている際には、上記の各指示を客が行うための操作画面を第2のタッチパネル14に表示させる。
図4は一例としての操作画面SC1を示す図である。
操作画面SC1は、文字列CS11,CS12,CS13及びボタンB1,B2,B3を含む。文字列CS11は、代金として投入すべき現金の金額、すなわち決済金額を表す。文字列CS12は、現時点での投入金額を表す。文字列CS13は、現時点で決済を実行した場合の釣銭の金額を表す。ボタンB1は、精算指示のためのボタンである。ボタンB2は、取り止め指示のためのボタンである。ボタンB3は、中断指示のためのボタンである。
【0038】
客は、現時点での投入金額により代金を決済する場合には、ボタンB1にタッチする。つまり、ボタンB1へのタッチは、決済操作の一例である。客は、現時点までの現金投入を無効として、商品登録状態に戻りたい場合にボタンB2にタッチする。つまり、ボタンB2へのタッチは、取り止め操作の一例である。客は、現時点までの現金投入状態を保留して、商品登録状態に戻りたい場合にボタンB3にタッチする。つまり、ボタンB3へのタッチは、中断操作の一例である。なおCPU101は、投入金額が代金の金額未満である場合には、ボタンB1へのタッチを無効とするか、ボタンB1を表示しないようにしてもよい。
【0039】
CPU101は、ボタンB2がタッチされたならば、Act13にてYesと判定し、Act14へと進む。
Act14としてCPU101は、払い戻し処理を行う。CPU101は具体的には、現時点での投入金額分の貨幣を釣銭機20に払い出させるとともに、釣銭機20が計数している投入金額をゼロにクリアする。そしてCPU101はこののち、Act4-Act6の待受状態に、すなわち商品登録状態に戻る。
【0040】
一方でCPU101は、Act11-Act13の待受状態にあるときにボタンB3がタッチされたならば、Act12にてYesと判定する。そしてCPU101はこの場合には、Act14をパスしてAct4-Act6の待受状態に戻る。つまりCPU101は、貨幣を払い出すことなく、かつ釣銭機20が計数している投入金額を維持したままで、商品登録状態に戻る。かくしてアプリケーションプログラムに基づく情報処理をCPU101が実行することによって、CPU101を中枢部分とするコンピュータは、取り込み済みの現金を保留したままで登録処理を再開させる再開制御手段として機能する。
【0041】
CPU101は、Act11-Act13の待受状態にあるときにボタンB1がタッチされたならば、Act11にてYesと判定し、Act15へと進む。なおCPU101は、Act8及びAct9の待受状態にあるときに現計指示がなされた場合は、Act9にてYesと判定し、この場合にもAct15へと進む。
【0042】
Act15としてCPU101は、決済処理を実行する。CPU101は具体的には、Act11からAct15へと進んだ場合には、釣銭機20が計数している投入金額から代金を差し引く。なお、現時点までの現金投入状態が保留されている状態において、「商品登録」→「小計指示」→「入金開始指示」の順で操作がなされた場合には、釣銭機20で追加の現金の投入を受け付ける状態となる。この状態で新たに現金の投入が客によりなされると、その投入金額は、保留されていた投入金額に加算される。そしてそのような加算により最終的に求まる投入金額から代金が差し引かれる。つまり、再開された登録処理が終了してから精算指示がなされるまでに取り込まれる現金の金額に、保留してある金額を加えた金額を投入金額として、当該投入金額から取引の代金が決済される。かくしてアプリケーションプログラムに基づく制御処理をCPU101が実行することによって、CPU101を中枢部分とするコンピュータは決済手段として機能する。またCPU101は、Act9からAct15へと進んだ場合には、現計指示の際に店員により入力される預かり金額から代金を差し引く。そしてCPU101は、釣銭が生じるならば、その釣銭を釣銭機20から排出させる。なお、CPU101は、Act9からAct15へと進んだ場合には、POS端末10に別途接続されて店員側に向けられた釣銭機に釣銭を排出させたり、POS端末10に別途接続されて店員側に向けられた金銭ドロワを開放させたりしてもよい。またCPU101は、現時点までの現金投入状態が保留されている状態において、「商品登録」→「小計指示」の順で操作がなされた場合には、現計指示を受け付けないようにしてもよい。この場合にCPU101は、入金開始指示を待ち受けてもよいし、Act8において自動的にYesと判定してもよい。
【0043】
Act16としてCPU101は、レシートを発行する。具体的にはCPU101は、取引の内容及び決済の結果などを表したレシート印字データを生成し、このレシート画像をプリントするようレシートプリンタ15に指示する。
CPU101はこののち、Act1に戻り、次の取引についての会計の開始に備える。
【0044】
以上のように会計装置1によれば、客は、釣銭機20への現金投入を一旦開始したのちであっても、ボタンB3にタッチすることにより、釣銭機20への現金投入状況を保留したままで、商品登録状態に戻ることができる。そして、こののちに店員が入金開始指示を再度行えば、客は上記の保留した現金投入状況からの現金投入を継続することができる。これに対して、客が釣銭機20への現金投入を一旦開始したのちにボタンB2にタッチした場合には、投入済みの金額が釣銭機20から払い出された上で、商品登録状態に戻る。従って、こののちに店員が入金開始指示を再度行えば、客は釣銭機20への現金投入を最初からやり直さなければならない。このため、客は、釣銭機20への現金投入を一旦開始したのちに、買上商品を追加したくなったり、買上商品を削除したくなったりした場合には、ボタンB3にタッチすることにより、その後の現金投入にかかる手間を少なくすることができる。
【0045】
また会計装置1によれば、客は、ボタンB2にタッチすることにより、それまでの現金投入を無効として、その後に現金投入を最初からやり直すことも可能である。
【0046】
(第2の実施形態)
会計装置1のハードウェアの要部構成は、第1の実施形態と第2の実施形態とで同じであってよい。そして会計装置1が第1の実施形態と第2の実施形態とで異なるのは、ROM102又は補助記憶デバイス104に記憶されるアプリケーションプログラムの内容である。従って、当該アプリケーションプログラムに基づいてCPU101が行う情報処理の内容が、第1の実施形態と第2の実施形態とで異なる。
【0047】
図5はアプリケーションプログラムに基づく第2の実施形態におけるCPU101の情報処理のフローチャートである。なお、図5に示される動作のうちで図3と同一の動作については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0048】
第2の実施形態においてCPU101は、Act1-Act12については第1の実施形態と同様に行う。そしてCPU101は、Act12にてNoと判定したならば、Act13へと進まず、Act11へと戻る。つまりCPU101は、Act11及びAct12において、精算指示及び中断指示がなされるのを待ち受け、取り止め指示については待ち受けない。このためCPU101は、この待受状態において第2のタッチパネル14に表示させる画面を、図4に示すボタンB2を省いたものとする。
【0049】
一方、第2の実施形態においてCPU101は、Act7にて、削除が指示された商品を削除するべく商品リストを更新したのちには、第1の実施形態のようにそのままAct4-Act6の待受状態に戻るのではなく、Act21へと進む。
【0050】
Act21としてCPU101は、これまでに買上登録された全ての商品が削除されたか否かを確認する。CPU101は具体的には、商品リストに商品コードが1つも含まれないか否かを確認する。そしてCPU101は、商品リストに商品コードが1つでも含まれるならばNoと判定し、Act4-Act6の待受状態に戻る。しかしながらCPU101は、商品リストに商品コードが1つも含まれないならば、Act21にてYesと判定し、Act22へと進む。
【0051】
Act22としてCPU101は、払い戻し処理を行う。CPU101は具体的には、まず、釣銭機20で計数している投入金額がゼロであるか否かを確認する。そしてCPU101は、当該投入金額がゼロではなければ、その投入金額と同額の貨幣を釣銭機20に払い出させるとともに、釣銭機20が計数している投入金額をゼロにクリアする。なおCPU101は、釣銭機20で計数している投入金額がゼロであるならば、そのままこのAct22を終える。そしてCPU101はこののち、Act4-Act6の待受状態に戻る。ただしCPU101はこのときには、Act2の待受状態に戻ってもよい。
【0052】
このようにCPU101は、商品リストに登録された商品が無くなることにより、決済すべき代金の金額がゼロになったことに応じて、保留してあった金額を釣銭機20に払い出させる。かくしてアプリケーションプログラムに基づく情報処理をCPU101が実行することによって、CPU101を中枢部分とするコンピュータは払出制御手段として機能する。
【0053】
つまり、現金投入が開始されたのちに商品登録の状態に戻る場合に、第1の実施形態においては、その時点で現金を払い戻すか、現金投入状況を保留するかを客が選択できたのに対し、第2の実施形態においては、必ず現金投入状況を保留する。そして第2の実施形態においては、上記のように戻った商品登録状態において行われる商品削除操作によって登録済みの商品の全てが削除されたことに応じて、預かり済みの現金の払い戻しが自動的に行われる。
【0054】
かくして客は、登録済みの商品の一部を削除するか、あるいは買上商品を追加するだけであるならば、その後の現金投入の作業を、中断した状態から継続することができ、現金投入にかかる手間を少なくすることができる。
【0055】
そして第2の実施形態の会計装置1によれば、客は、現金投入を開始したのちに商品登録の状態に戻る場合には、第1の実施形態のようにボタンB2,B3を押し分ける必要がなく、第1の実施形態に比べて操作が簡易となる。ただし第2の実施形態では、商品登録の状態に戻る際に投入済みの現金の払い戻しを行うことはできず、第1の実施形態のほうが客のニーズに応じた柔軟な動作が可能である。
【0056】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0057】
第1の実施形態における図3に示されるAct13を省くことなしに、図5に示されるAct21及びAct22を追加して実行することもできる。このようにすれば、客は、現金投入を開始したのちに商品登録の状態に戻る場合には、その時点で現金を払い戻すか否かを第1の実施形態のように選択できる。そしてさらに、客が現金投入状況を保留することを選択した場合には、登録済みの商品の全てが削除されたことに応じて、預かり済みの現金の払い戻しが自動的に行われる。
【0058】
商品追加操作を客が行うようにしたセルフ方式の会計装置として実施することもできる。この場合は、客による商品削除操作を受け付けるようにしてもよいし、客による商品削除操作は受け付けないようにしてもよい。客による商品削除操作は受け付けないようにする場合は、図3又は図5におけるAct5及びAct7を省いてもよいし、店員による特殊な操作として商品削除操作を受け付けることとし、図3又は図5におけるAct5及びAct7をそのまま残してもよい。
【0059】
決済対象の取引は、商品の売買には限らず、例えばサービスの授受などの任意の取引であってよい。
【0060】
制御処理によりCPU101が実現する各機能は、その一部または全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1] 決済対象の取引の内容を登録するための登録処理を行う登録手段と、
決済者により投入される現金を取り込む取込手段と、
前記登録手段による前記登録処理の終了後、予め定められた決済操作が行われるよりも前に、予め定められた中断操作が行われたことに応じて、前記取込手段により取り込まれた前記現金を保留したままで、前記登録手段による前記登録処理を再開させる再開制御手段と、
前記再開制御手段の制御の下に再開された前記登録処理が終了した後に前記決済操作が行われたことに応じて、再開された前記登録処理が終了してから前記決済操作が行われるまでに前記取込手段により取り込まれる現金の金額に、前記保留した現金の金額を加えた金額を投入金額として、当該投入金額から前記登録手段により登録された取引の代金を決済する決済手段と、
を具備した会計装置。
[付記2] 現金を前記決済者に対して払い出す払出手段をさらに備え、
かつ前記再開制御手段は、前記決済操作が行われるよりも前に、予め定められた取り止め操作が行われた場合には、前記取込手段により取り込まれた前記現金と同額の現金を前記払出手段により払い出させた上で、前記登録手段による前記登録処理を再開させる、
付記1に記載の会計装置。
[付記3] 前記中断操作が行われたことに応じて前記再開制御手段の制御の下に再開された前記登録処理により登録された前記取引の内容に応じた決済金額がゼロになったことに応じて、前記保留された現金と同額の現金を前記払出手段により払い出させる払出制御手段と、
をさらに具備する付記1又は付記2に記載の会計装置。
[付記4] 店員の操作に応じて前記登録手段が前記登録処理を行う、セミセルフ方式である、
付記1-付記3のいずれか一項に記載の会計装置。
[付記5] 決済対象の取引の内容を登録するための登録処理を行う登録手段と、
決済者により投入される現金を取り込む取込手段と、を具備した会計装置を制御するコンピュータを、
前記登録手段による前記登録処理の終了後、予め定められた決済操作が行われるよりも前に、予め定められた中断操作が行われたことに応じて、前記取込手段により取り込まれた前記現金を保留したままで、前記登録手段による前記登録処理を再開させる再開制御手段と、
前記再開制御手段の制御の下に再開された前記登録処理が終了した後に前記決済操作が行われたことに応じて、再開された前記登録処理が終了してから前記決済操作が行われるまでに前記取込手段により取り込まれる現金の金額に、前記保留した現金の金額を加えた金額を投入金額として、当該投入金額から前記登録手段により登録された取引の代金を決済する決済手段と、
して機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0062】
1…会計装置、10…POS端末、11…本体、12…キーボード、13…第1のタッチパネル、14…第2のタッチパネル、15…レシートプリンタ、16…スキャナ、20…釣銭機、21…硬貨入金口、22…硬貨出金口、23…紙幣入金口、24…紙幣出金口、100…制御回路、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…補助記憶デバイス、105…時計部、106…通信インタフェース、107…キーボードコントローラ、108…タッチパネルコントローラ、109…タッチパネルコントローラ、110…プリンタコントローラ、111…スキャナインタフェース、112…釣銭機インタフェース、113…システム伝送路。

図1
図2
図3
図4
図5