(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】頭部装着型表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20241007BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G09F9/00 357
(21)【出願番号】P 2023502911
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2020070145
(87)【国際公開番号】W WO2022012750
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】515267541
【氏名又は名称】ルソスペース, プロジェクトス エンゲンハリア エリデーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】デ マトス ぺレイラ ヴィエイラ,イヴォ イヴェス
(72)【発明者】
【氏名】デ ソウサ ゴウヴェイア ペレイラ ヒカルテ,ジョアン カルロス
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0265476(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0293358(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0168783(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111078170(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するために光を放出するように構成された複数の画素素子を備えるシースルー素子を含み、前記複数の画素素子は、複数の表示セグメントを形成するように前記シースルー素子の表示領域全体に分配され、前記複数の表示セグメントのそれぞれは、前記複数の画素素子のうち一部の複数の画素素子を含み、
隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の画素距離は、前記隣接する表示セグメントのそれぞれにおける隣接する画素素子間の画素距離よりも大きい頭部装着型表示装置であって、
前記頭部装着型表示装置は、元の画像の画素の前記複数の画素素子へのマッピングに基づいて、前記複数の画素素子のそれぞれを電気的に駆動するための制御回路を含み、前記制御回路は、前記元の画像の複数の異なる画像部分を前記複数の表示セグメントのそれぞれ異なる部分にマッピングするように適合されるものであり、
前記制御回路は、前記複数の異なる画像部分のそれぞれをそれぞれの異なるセグメントセットにマッピングするように適合され、それぞれのセグメントセットは、第1の表示セグメントと少なくとも1つの第2の表示セグメントとを含むことを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項2】
前記複数の表示セグメントが、複数のクラスタを形成するように、前記シースルー素子の前記表示領域全体に分配されることを特徴とし、前記複数のクラスタのそれぞれは、前記複数の表示セグメントのうち一部の複数の表示セグメントを含み、
隣接するクラスタに属する隣接する画素素子間の画素距離は、前記隣接するクラスタのそれぞれにおける隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の画素距離よりも大きいことを特徴とする
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
画像を表示するために光を放出するように構成された複数の画素素子を備えるシースルー素子を含み、前記複数の画素素子は、複数の表示セグメントを形成するように前記シースルー素子の表示領域全体に分配され、前記複数の表示セグメントのそれぞれは、前記複数の画素素子のうち一部の複数の画素素子を含み、
隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の画素距離は、前記隣接する表示セグメントのそれぞれにおける隣接する画素素子間の画素距離よりも大きい頭部装着型表示装置であって、
前記複数の表示セグメントのそれぞれによって放出される発散光ビームのその発散を低減するための光学システムをさらに備え、前記光学システムは、
複数のセグメントグループのそれぞれの異なるセグメントグループにそれぞれ関連付けられた複数の光学素子を含み、それぞれのセグメントグループは前記複数の表示セグメントのうち一部の複数の表示セグメントを含み、
セグメントグループのそれぞれの表示セグメントによって放出された光ビームは、前記の関連付けられた光学素子によって、前記頭部装着型表示装置を装着したユーザーの眼の網膜で前記光ビームを受信できる位置に向けられ、
前記頭部装着型表示装置は、元の画像の同じ画像部分を表示するようにセグメントセットのそれぞれの表示セグメントを駆動するように適合された制御回路を含み、前記セグメントセットは前記複数の表示セグメントからの2つ以上の表示セグメントを含み、
セグメントセットのそれぞれの表示セグメントは、異なるセグメントグループに含まれることを特徴とする頭部装着型表示装置。
【請求項4】
前記第1の表示セグメントと前記セグメントセットの前記少なくとも1つの第2の表示セグメントのそれぞれとの間に、少なくとも1つの他のセグメントセットから少なくとも1つの表示セグメントが配置されることを特徴とする請求項1
又は2に記載の表示装置。
【請求項5】
前記セグメントセットは、前記第1の表示セグメントとは異なる方向に位置する複数の第2の表示セグメントを含むことを特徴とする請求項1
、2、4
のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の第2の表示セグメントは、前記第1の表示セグメントの周りに均一な角度間隔で分配されることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の第2の表示セグメントは、4、8、または16個の第2の表示セグメントであることを特徴とする請求項5又は6に記載の表示装置。
【請求項8】
それぞれのセグメントセットは、クラスタのそれぞれの異なるセットに含まれ、それぞれのクラスタセットは、2つ以上のクラスタを含むことを特徴とする請求項
2又は請求項2に従属する場合の請求項4~7のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項9】
少なくとも1つのクラスタセットの前記クラスタは、隣接するクラスタの少なくとも1つの対を含むことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
少なくとも1つのクラスタセットの前記クラスタは全て隣接していないことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項11】
それぞれのセグメントセットの前記表示セグメントは、少なくとも1つのクラスタセットのそれぞれの前記クラスタ内のそれぞれの異なるセグメント位置に配置されることを特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記複数の画素素子および前記複数の表示セグメントは、前記表示領域内で二次元に分配されることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項13】
前記複数のクラスタは、前記表示領域内で二次元に分配されることを特徴とする請求項
2に従属する場合の請求項
12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記複数のセグメントグループは、前記表示領域において二次元に分配されることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項15】
前記複数の表示セグメントは、複数のクラスタを形成するように、前記シースルー素子の前記表示領域にわたって分配され、
前記複数のクラスタのそれぞれが、それぞれの異なるセグメントグループに対応し、
隣接するクラスタに属する隣接する画素素子間の画素距離は、前記隣接するクラスタのそれぞれにおける隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の画素距離よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着型表示(HMD)装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HMD装置は、拡張現実アプリケーションに役立つ可能性がある。従来のHMD装置(例えば、WO2014/063716A1を参照)では、透明シート部材が画素素子のアレイとともに供給され、これを駆動して、例えば、数字、記号、アイコン、文字、グラフィックス、テキスト、またはその他の画像表現の形式で、絵画的表現を表示することができる。以下で簡単に「画像」とも呼ばれるこの絵画的表現は、従来技術では、レンズ効果および/またはミラー効果を有する光学構造のシステムを使用して、HMD装置の装着者の眼に伝達される。この光学構造は、この透明シート部材上にこの画素素子と共に形成され、この画素素子から出射する光ビームに対してコリメーティング効果を有する。この画素素子によって表示されるこの画像は、例えば、有益な情報を表すか、または有益なコンテンツのないアートワークを表すことができる。この画素素子は、HMD装置の装着者の片眼または両眼の視野内に位置するシート領域内のこの透明なシート部材全体に分配され、この画素素子によって表示されるこの画像に加えて、この装着者がこの透明シート部材を通して現実世界のライブビューを見ることができるように、十分なスペースを残す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
HMD装置に関連する挑戦の1つは、このHMD装置のユーザーが、避けられない回転眼球運動にもかかわらず、鮮明な(つまり、焦点が合った)拡張現実画像を見ることができるようにすることである。したがって、本明細書で開示される本発明の実施形態の目的は、ユーザーが彼の又は彼女の眼の異なる回転位置で鮮明な拡張現実画像を見ることを可能にするHMD装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の上記および/または他の目的は、添付の特許請求の範囲に定義され、本明細書に示され、説明されるHMD装置によって達成される。
【0005】
本発明のある実施形態によれば、画像を表示するために光を放出するように構成された複数の画素素子を備えるシースルー素子を含む頭部装着型表示装置が提供される。前記複数の画素素子は、複数の表示セグメントを形成するように前記シースルー素子の表示領域全体に分配される。前記複数の表示セグメントのそれぞれは、前記複数の画素素子のうち一部の複数の画素素子を含み、隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の画素距離は、前記隣接する表示セグメントのそれぞれにおける隣接する画素素子間の画素距離よりも大きい。この表示装置はさらに、元の画像の画素の前記複数の画素素子へのマッピングに基づいて、前記複数の画素素子のそれぞれを電気的に駆動するための制御回路を含む。前記制御回路は、前記元の画像の複数の異なる画像部分を前記複数の表示セグメントのそれぞれ異なる部分にマッピングするように適合されるものであって、前記制御回路は、前記複数の異なる画像部分のそれぞれをそれぞれの異なるセグメントセットにマッピングするように適合され、それぞれのセグメントセットは、第1の表示セグメントと少なくとも1つの第2の表示セグメントとを含む。ある実施形態では、前記第1の表示セグメントとそれぞれのセグメントセットの前記少なくとも1つの第2の表示セグメントのそれぞれとの間に、少なくとも1つの他のセグメントセットからの少なくとも1つの表示セグメントが配置される。
【0006】
前記元の画像の複数の画像部分の少なくともいくつかまたは全ては、前記元の画像の単一の画素をそれぞれ含むことができる。追加的または代替的に、前記元の画像の複数の画像部分の少なくともいくつかまたは全ては、前記元の画像の複数の画素をそれぞれ含むことができる。ある実施形態では、前記複数の画像部分の少なくとも一部または全てがそれぞれ、表示セグメントに含まれる画素素子の数と同数の前記元の画像の画素を含む。
【0007】
セグメントセットは、ある実施形態では、前記第1の表示セグメントとは異なる方向に位置する複数の第2の表示セグメントを含む。前記複数の第2の表示セグメントは、前記第1の表示セグメントの周りに均一な角度間隔で分配してもよい。前記セグメントセットには、全部で4、8、または16個の第2の表示セグメントがあってもよい。
【0008】
前記表示セグメントは、クラスタ化された方法で配置される場合と配置されない場合がある。表示セグメントのクラスタ化された配置を有する本発明の実施形態は、画像を表示するために光を放出するように構成された複数の画素素子を備えたシースルー素子を含む頭部装着型表示装置を提供してもよく、ここで、前記複数の画素素子は、複数の表示セグメントを形成するように前記シースルー素子の表示領域全体に分配される。前記複数の表示セグメントのそれぞれは、前記複数の画素素子のうち一部の複数の画素素子を含み、隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の画素距離は、前記隣接する表示セグメントのそれぞれにおける隣接する画素素子間の画素距離よりも大きい。前記複数の表示セグメントが、複数のクラスタを形成するように、前記シースルー素子の前記表示領域全体に分配され、前記複数のクラスタのそれぞれは、前記複数の表示セグメントのうち一部の複数の表示セグメントを含む。隣接するクラスタに属する隣接する画素素子間の画素距離は、前記隣接するクラスタのそれぞれにおける隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の画素距離よりも大きい。これらの距離関係は、前記表示領域の少なくとも一次元に適用される。ある実施形態では、前記クラスタは、例えば、二次または平行四辺形のグリッドパターンに従って、前記表示領域全体に二次元に分配される。このような実施形態では、上記の距離関係は、二次元のそれぞれにおいて別々に適用してもよい。前記クラスタの二次元に分配された配置を有する実施形態では、前記クラスタ距離は、二次元のそれぞれにおいて同じであってもよい。
【0009】
上記の前記セグメントセットのそれぞれは、クラスタのそれぞれの異なるセットに含まれてもよく、それぞれのクラスタセットは2つ以上のクラスタを含む。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのクラスタセットの前記クラスタは、隣接するクラスタの少なくとも1つの対を含む。ある実施形態では、少なくとも1つのクラスタセットの前記クラスタは全て隣接していない。それぞれのセグメントセットの前記表示セグメントは、少なくとも1つのクラスタセットのそれぞれの前記クラスタ内のそれぞれの異なるセグメント位置に配置されてもよい。
【0010】
本発明のある実施形態によれば、画像を表示するために光を放出するように構成された複数の画素素子を備えるシースルー素子を含み、前記複数の画素素子は、複数の表示セグメントを形成するように前記シースルー素子の表示領域全体に分配される頭部装着型表示装置がさらに提供される。前記複数の表示セグメントのそれぞれは、前記複数の画素素子のうち一部の複数の画素素子を含み、隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の画素距離は、前記隣接する表示セグメントのそれぞれにおける隣接する画素素子間の画素距離よりも大きい。前記表示装置は、前記複数の表示セグメントのそれぞれによって放出される発散光ビームのその発散を低減するための光学システムをさらに備え、前記光学システムは、それぞれの異なるセグメントグループにそれぞれ関連付けられた複数の光学素子を含む。それぞれのセグメントグループは、前記複数の表示セグメントのうち一部の複数の表示セグメントを含む。セグメントグループのそれぞれの表示セグメントによって放出された光ビームは、前記の関連付けられた光学素子によって、前記頭部装着型表示装置を装着したユーザーの眼の網膜で前記光ビームを受信できる位置に向けられる。前記表示装置はまた、元の画像の同じ画像部分(マルチ画素部分またはシングル画素部分)を表示するようにセグメントセットのそれぞれの表示セグメントを駆動するように適合された制御回路を含む。前記セグメントセットは、前記複数の表示セグメントからの2つ以上の表示セグメントを含み、セグメントセットのそれぞれの表示セグメントは、異なるセグメントグループに含まれる。
【0011】
光学素子は、ホログラフィックおよび回折光学素子のうちの少なくとも1つを含み得る。ホログラフィック光学素子は、透過光学構造および/または反射光学構造を実装してもよい。回折光学素子は、マイクロレンズ構造、ピンホール構造、およびマイクロ反射ミラー(例えば、放物面ミラー)のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0012】
前記表示セグメントのクラスタ化された配置を有する実施形態では、複数のクラスタのそれぞれが、それぞれの異なるセグメントグループに対応し得る。しかしながら、前記複数の光学素子のそれぞれの、それぞれの異なるセグメントグループへの関連付けを確立するための前記表示セグメントのグループ化は、前記表示セグメントの物理的クラスタリングに依存せず、同様に、前記表示領域全体にわたって前記表示セグメントの一様な分配を示す実施形態において実施され得ることを理解されたい。
【0013】
前記シースルー素子は、ある実施形態では、プレート、シート、スライスまたはレンズの形態の透明なベース部材(または本体)を含む。前記表示領域は、前記シースルー素子の連続した中断のない領域である。本発明の前記HMD装置は、複数のシースルー素子を含んでもよい。前記HMD装置が、物理的に異なる透明なベース部材を有する2つ以上のシースルー素子を含む場合、任意の数の前記2つ以上のシースルー素子が、本発明に従ってそれぞれの複数の画素素子を含んでもよい。本明細書で使用されるように、透明という用語は、クリアビューの透明度を指すだけでなく、ユーザーが前記シースルー素子を通して現実世界を見て認識することを可能にするレベルまでの半透明および不透明性も含むことを意味する。完全な透明と完全な不透明の間のスケールで特定のレベルの透明度を定義するのではなく、透明という用語は、本開示の文脈において、可視波長範囲の光が前記シースルー素子を通過して、前記HMD装置の装着者が前記シースルー素子を通して現実世界を見ることを可能にする前記シースルー素子の特性を指す。
【0014】
前記複数の画素素子及び前記複数の表示セグメントは、前記表示領域内に二次元に分配されてもよい。さらに、前記複数のクラスタおよび/または前記複数のセグメントグループは、前記表示領域内に二次元に分配されてもよい。本発明のある実施形態は、以下のうちの少なくとも1つを提供する。
- 前記複数のクラスタは、前記二次元のそれぞれに均等に分配される。
- 前記複数のクラスタのそれぞれに含まれる前記複数の表示セグメントは、前記二次元のそれぞれに均等に分配される。そして、
- 前記複数の表示セグメントのそれぞれに含まれる前記一部の複数の画素素子は、前記二次元のそれぞれに均等に分配される。
【0015】
前記のクラスタ、セグメント及び画素素子の分配パターンは、同じでも異なっていてもよい。前記のクラスタ、クラスタ当たりのセグメント及びセグメント当たりの画素素子の少なくとも1つの可能な二次元分配パターンは、二次、長方形、六角形、平行四辺形または三角形の格子パターンを含む。
【0016】
ある実施形態において、前記複数の画素素子は、第1の方向と、第1の方向に垂直な第2の方向とに沿って分配される。前記表示セグメントのそれぞれは、画素素子の正方形の配列、例えば画素素子の2×2または3×3配列、を含んでもよく、前記クラスタのそれぞれは、セグメントの正方形の配列、例えばセグメントの3×3配列を含み得る。前記同じ表示セグメントに属する隣接する画素素子間の第1および/または第2の方向の画素距離は、前記複数の表示セグメント全体で等しくても異なっていてもよく、前記同じ表示セグメントクラスタに属する隣接する表示セグメント間の第1および/または第2の方向のセグメント距離は、前記複数のクラスタ全体で等しくても異なっていてもよい。それぞれの表示セグメントの前記一部の複数の画素素子は、前記第1及び第2の方向のそれぞれに所定の画素距離で相互に間隔を空けて配置される。前記複数のクラスタは、前記第1の方向及び第2の方向のそれぞれに所定のクラスタ距離で相互に間隔を空けて配置される。そして、それぞれのクラスタの前記複数の表示セグメントは、前記第1の方向及び第2方向のそれぞれに所定のセグメント距離で相互に間隔を空けて配置される。前記セグメント距離は、前記第1及び前記第2方向の少なくとも一方における前記クラスタ距離よりも小さく、前記画素距離は、前記第1及び前記第2方向の少なくとも一方における前記セグメント距離よりも小さい。
【0017】
ある実施形態において、複数の画素素子のそれぞれは、波長が不変な光を放出するように設計されるか、または波長が制御可能な光を放出するように設計される。前記画素素子のそれぞれは、可視光(すなわち、人間の眼にとって可視である)を放出するように適合されてもよい。前記画素素子の放出波長の変化は、電気制御によって生じ得る。
【0018】
ある実施形態において、前記表示装置は光学システムを含むものであって、前記複数の画素素子から放出された光を受信し、それぞれのセグメントの前記画素素子から放出された光を、複数のコリメートされた、実質的に平行で、空間的に相対的にオフセットされた光ビームに整形し、それぞれが、前記セグメントセットのそれぞれの異なる前記表示セグメントから生じる光を運ぶものである。したがって、元の画像のその同じ部分から発信されて複製された画像情報は、相互に変位した方法でユーザーの眼に届けられる。
【0019】
本発明の頭部装着型表示装置は、人の頭部に装着されるように設計された任意の表示装置とすることができ、例えば、ヘルメットの一部であってもよいし、ユーザーの頭部上でHMD装置を支持するための独自の支持構造を有していてもよい。このような支持構造は、例えば、ユーザーの耳および/または鼻の上に載る頑丈なフレームの形態をとり得るか、または頭の上を滑るための弾性ストラップまたは頭の周りに結ぶための織物バンドを含み得る。ある実施形態において、頭部装着型表示装置は、一対のメガネまたはバイザーであるか、またはその一部である。本開示の頭部装着型表示装置は、装着者(すなわち頭部装着型表示装置を装着している人)の片眼のみの前に複数の表示セグメントクラスタを提供するように設計されてもよいし、装着者の右眼及び左眼のそれぞれの前方にそれぞれの複数の表示セグメントクラスタを提供するように設計されてもよい。
【0020】
前記シースルー素子は、可視光に対して透明性を示す前記表示装置の一部または部分であり、前記シースルー素子を通してユーザーの周囲の物理的な世界をユーザーが見ることができる。透明性を示す前記シースルー素子の領域をシースルー領域と呼ぶことがある。前記画素素子は、前記シースルー素子の透明な本体の少なくとも1つの外面に配置されてもよい。前記本体は、例えば、シート、プレートまたはレンズの形態であってもよい。前記画素素子は、例えば、接着または他の接続技術を用いて、前記画素素子を有する透明フィルムまたはシートを前記本体に取り付けることによって、前記本体の少なくとも一つの外面に設けてもよい。
【0021】
画素素子は、画像の単色または多色の画素を表示する素子である。単色の場合、各画素素子は、単一の発光ダイオードを含み得る。多色の場合、それぞれの画素素子は、異なる色(例えば、赤、緑及び青)の複数の個別に制御可能な発光ダイオードを含み得る。画素素子には、例えば、有機発光ダイオード(OLED)またはマイクロLEDまたはLCD素子が含まれ得る。
【0022】
画素素子の分配のどの方向においても、隣接する画素素子は、互いに3つの距離のいずれかを有し得る。比較的短いセグメント内の画素距離;比較的長いクラスタ内、セグメント間の画素距離(または単に非クラスタの実施形態ではセグメント間の画素距離);と、さらに比較的長いクラスタ間の画素距離(クラスタ化された実施形態、すなわち前記表示セグメントのクラスタ化された配置を有する実施形態の場合のみ)。前記セグメント内の画素距離は、前記の同じ表示セグメントに属する、隣り合う(すなわち隣接する)画素素子間の距離である。前記セグメント内の画素距離は、単に画素距離と呼ばれることもある。前記クラスタ内のセグメント間の画素距離は、前記同じクラスタ内の隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の距離(または単に非クラスタの実施形態における隣接する表示セグメントに属する隣接する画素素子間の距離)である。この距離は、単にセグメント距離と呼ばれることがある。前記クラスタ間の画素距離は、隣接するクラスタに属する隣接する画素素子間の距離である(クラスタ化された実施形態の場合のみ)。この距離は、単にクラスタ距離と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、クラスタ間の画素距離は、隣接するクラスタ間のその距離(すなわちクラスタ距離)の代表的な尺度としてもよく、前記クラスタ内、セグメント間の画素距離は、前記同じ表示セグメントクラスタに属する隣接する表示セグメント間のその距離(すなわちセグメント距離)の代表的な尺度としてもよい。
【0023】
したがって、本開示のある実施形態は、前記同じ表示セグメント内に位置する画素素子が比較的小さい画素距離で相互に間隔を空けており、前記同じ表示セグメントクラスタ内に位置する表示セグメントが比較的大きなセグメント距離で相互に間隔を空けており、隣接する表示セグメントクラスタの対が、さらに比較的大きなクラスタ距離で間隔を空けている表示装置を提供する。
【0024】
従来のHMD装置では、元の画像の画素は、前記HMD装置のそれぞれの画素素子に1対1でマッピングされる。本発明のある実施形態では、逆に、複数の画素素子に対する元の画像の画素の一対多マッピングが確立される。このような実施形態では、元の画像の1つの画素は、画素素子の前記グループがそれぞれ同じ1つの画素を表示するように、画素素子のグループにマッピングされる。これにより、前記HMD装置に対して回転眼球運動が存在する場合でも、ユーザーの眼に鮮明な画像を提供することができるビーム複製技術の実装が可能となる。このようなビーム複製技術を用いて、本発明のHMD装置のための大きなアイボックスを得ることができる。画素素子の前記グループは、それぞれ異なる表示セグメントに配置され、画素素子の前記グループを含む前記表示セグメントは、それぞれ異なるクラスタまたは異なるセグメントグループに配置され得る(これにより、それぞれのセグメントグループは、前記光学システムの異なる光学素子と関連付けられる)。ある実施形態では、1つの表示セグメントのサイズに対応する画像コンテンツは、表示領域全体に複数回複製され、すなわち、複数の相互に離れた表示セグメント(それぞれが異なるクラスタに配置されてもよい)が制御され、元の画像の同じ部分を同時に表示するように駆動される。
【0025】
ぞれぞれの表示セグメントの前記画素素子は、前記それぞれの表示セグメントの前記領域内に規則的または不規則に分配し得る。同様に、それぞれのクラスタの前記表示セグメントは、前記それぞれのクラスタの前記領域内に規則的または不規則に分配されてもよく、前記クラスタは、前記シースルー素子の前記表示領域内に同様に規則的または不規則に分布してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明のさらなる詳細、利点および態様は、図面と組み合わせられた場合のある実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図面は、
【
図1】例示的な実施形態によるHMD装置を実装する眼鏡を概略的に示す。
【
図2】本発明の例示的な実施形態によるHMD装置のシースルー素子の一部を概略的かつ全体的に示す。
【
図3】
図2のシースルー素子のより大きな部分を概略的かつ平面図で示す。
【
図4】
図2と
図3のシースルー素子の一部を概略的かつ平面図で示す。そして、
【
図5】本発明の実施形態によるHMD装置の光学動作の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
最初に
図1を参照する。眼鏡は、一般に10のように指定され、フレーム12と、フレーム12によって所定の位置に保持された2つのレンズ(またはガラス)14とを含む。フレーム12は、慣用的に知られている方法であるが、サイドアーム16およびブリッジ18を含む。使用者が装着する場合、眼鏡10は、サイドアーム16を使用者の耳に載せるとともに、ブリッジ18を使用者の鼻に載せる。レンズ/ガラス14は、眼鏡10の装着者の眼の視力欠損(例えば、近視、乱視、遠視、老眼)を軽減するのに有用な視力矯正効果を提供する光学レンズであってもよいし、あるいは、透明な基材からなり、視力矯正効果をもたらさない単純なシート、スライスまたはプレートであってもよい。より一般的な用語では、レンズ/ガラス14はそれぞれ、本開示の意味の範囲内でシースルー素子を実装する。ユーザーの眼は、
図1において20と指定されている。本発明によるHMD装置は、眼鏡での実施に限定されないことを理解されたい。他の形態の実施が可能であり、当業者によって容易に想像され得る。例えば、ヘルメットのバイザーは、本発明によるHMD装置の別の実施形態であってもよい。この装置の装着者の片眼または両眼の前にシースルー素子を配置するのに好適な頭部装着型支持構造を備える任意の装置が、本発明を実施するために使用され得る。この頭部装着型支持構造は、1つ以上の頑丈なまたは剛性構造部品(例えば、フレーム12)および/または1つ以上の可撓性のある部品、例えば、弾性ストラップ、織物リボン、ワイヤ部材などから形成され得る。
【0028】
この眼鏡10は、以下では一般にHMD装置とも称される。
【0029】
レンズ/ガラス14の少なくとも一方は、画素素子層22および光学素子層24を備えている。
図1に示す実施形態の例では、両方のレンズ/ガラス14は、それぞれ画素素子層22および光学素子層24を備えている。この画素素子層22は複数の画素素子を含み、この光学素子層24は複数の光学素子を含む。画素素子も光学素子も
図1には具体的に示されていない。これらの素子について、
図2~
図5を参照してより詳細に説明する。この画素素子は、関連するレンズ/ガラス14の領域全体に全く不規則に分配され、それぞれが複数の表示セグメント(以下、簡単に「セグメント」)を含む複数の表示セグメントクラスタ(以下、簡単に「クラスタ」)を形成する。それぞれのセグメントには、複数の画素素子が含まれている。前記画素素子層22のそれぞれの画素素子は、HMD装置10によって表示される元の画像のそれぞれの画素を表示する役割を果たす。
【0030】
光学素子層24の光学素子は、前記画素素子層22の前記画素素子によって放出される光ビームを成形および/または方向付けするのに有効な任意の素子を含み得る。光学素子は、回折構造、屈折構造、透過構造および反射構造のいずれかを含み得る。ある実施形態では、前記光学素子は、前記画素素子によって放出される光ビームに対して反射されるミラーを実装するホログラフィック光学素子によって形成される。他の実施形態では、前記光学素子は、前記画素素子によって放出される光ビームに対して透過性である収束レンズ構造を実装するホログラフィック光学素子によって形成される。いくつかの実施形態において、前記画素素子層22および前記光学素子層24は、関連するレンズ/ガラス14の同じ面に設けられ、他の実施形態では、前記の層22、24は、関連するレンズ/ガラス14の反対側の面に設けられる。
図1に示す例示的な事例では、前記画素素子層22は、左眼または右眼20を向くように関連するレンズ/ガラス14の側に配置され、前記光学素子層
24は、左眼または右眼20から背を向けるようにレンズ/ガラス14の反対側に配置される。この場合、前記画素素子層22の前記画素素子は、左/右眼20から離れる方向に光ビームを放出し、前記光学素子層24の前記光学素子は、受光した前記光ビームを反射して左/右眼20に向けることが有効である。前記画素素子層22および前記光学素子層24は、別々に製造されたフィルムまたはシートによって形成されてもよく、これらは、例えば、適切な接着剤の使用を通じてレンズ/ガラス14に固定されてもよい。
【0031】
前記HMD装置10は、前記画素素子層22の前記画素素子によって放出された光ビームを左または右眼20に向けるように設計されているので、左/右眼20に入る前記光ビームは、人間の角膜と人間のレンズによって網膜上に焦点が合う。ある実施形態では、前記光学素子層24は、前記画素素子層22の前記画素素子によって放出される光ビームに対してコリメート効果を有する。前記画素素子によって放出されると、これらの光ビームは一般的には発散し、前記光学素子層24は前記光ビームの発散量を減らして、光ビームを実質的にゼロの発散(及びゼロの収束)または残りわずかな量の発散を有するコリメート光ビームに変換します。
【0032】
レンズ/ガラス14の材料は、一般に、可視波長スペクトルの光に対して透過性である(すなわち、人間の眼に見える)。同時に、前記画素素子層22は、前記HMD装置10の装着者が画素素子層22を通して彼または彼女の周りの物理的な世界の画像を観察できるように、隣接する画素素子間に十分な隙間を残す。これらの隙間は、異なるセグメントまたは異なるクラスタに属する隣接する画素素子間に残され、前記の同じセグメントに属する隣接する画素素子間に残されることもある。このようにして、前記HMD装置10の前記ユーザーは、彼または彼女の周りの物理的な世界を見ることができ、同時に、前記光学素子層24と併せて前記画素素子層22によって作成された拡張現実画像を見ることができる。
【0033】
ここで、シースルー素子26の表示領域30内に不規則に分配された複数の画素素子28を備えたシースルー素子26の一部を概略的に示す
図2をさらに参照する。前記シースルー素子26はベース材料で形成されるかまたはベース材料を含み、ベース材料は可視波長範囲の光に対して透過性であり、ガラスまたはプラスチック材料でできていてもよい。前記シースルー素子26は、
図1のHMD装置10のレンズ/ガラス14のいずれかによって形成されてもよい。そのような場合、前記画素素子28は、前記画素素子層22に含まれてもよい。
図2から、前記画素素子28はセグメント32にグループ化され、それぞれのセグメントは図示の例示的な実施形態では4つの画素素子28の規則的な2×2配列を含む。それぞれのセグメント32内の画素素子28の数は4つに限定されず、他の複数の数の画素素子28を代わりにそれぞれのセグメント32に含めることができることを理解されたい。それぞれのセグメント32内の前記画素素子28の配列パターンは、二次マトリックス配列(例えば、2×2、5×5、または20×20マトリックスなど)に限定されず、以下を含むがこれらに限定されない任意のパターンとすることができる。例えば、長方形のマトリックス配列(例えば、3×2、5×3または10×5)、三角形のマトリックス配列、菱形のマトリックス配列などである。全体として、セグメント32当たりの画素素子28の総数は、2から100を超える範囲のどこかであり得る。さらに、画素素子28のその数は、すべてのセグメント32で同じであってもよく、同じでなくてもよいことを理解されたい。
【0034】
図2に示される実施形態では、前記セグメント32は行および列に規則的に配置され、行方向(第1の方向、またはx方向)に隣接するセグメント32間の距離Sxと、列方向(第2の方向、またはy方向)に隣接するセグメント32間の距離Sy、を有する。距離Sxは、例えば、行方向に互いに隣接し、それぞれが隣接するセグメント32の対とは異なるセグメント32に属する2つの画素素子28の中心から中心までを測定することができる。あるいは、距離Sxは、前記隣接する画素素子28間の端から端までのギャップとして測定してもよい。距離Sxは、行方向のクラスタ内のセグメント間の画素距離を表し、セグメント32の同じクラスタ内の、隣接するセグメント32間のx距離に適用される。距離Syは、同様に定義することができ、列方向のクラスタ内のセグメント間の画素距離を表す。距離Sxと距離Syは、等しくてもよいし、異なっていてもよい。ある実施形態では、距離Sxは、行方向に互いに隣接し、同じクラスタに属するセグメント32のすべての対について同じである。同様に、距離Syは、ある実施形態では、列方向に互いに隣接し、同じクラスタに属するセグメント32のすべての対について同じである。さらに、ある実施形態は、距離Sxがすべてのクラスタにわたって同じであること、および/または距離Syがすべてのクラスタにわたって同じであることを提供する。距離Sxは、行方向のセグメント距離と略称することがあり、距離Syは、列方向のセグメント距離と略称することがある。
【0035】
図2からさらに分かるように、それぞれのセグメント32の前記画素素子28は、前記セグメント32と同じ行方向および列方向に沿って分配され、行方向に互いにセグメント内の画素距離Px、列方向で互いにセグメント内の画素距離Pyを有する。距離PxとPyは同じであっても異なっていてもよい。ここでも、前記距離PxおよびPyは、例えば、同じセグメント32に属する2つの隣接する画素素子28の中心から中心まで測定することができる、または前記2つの隣接する画素素子28の間の端から端までのギャップとして測定してもよい。ある実施形態では、前記距離Pxは、行方向に互いに隣接し、同じセグメント32に属する画素素子28のすべての対について同じである(行方向においてセグメント32ごとに3つ以上の画素素子28が提供される場合にのみ適用可能)。同様に、前記距離Pyは、ある実施形態では、列方向に互いに隣接し、同じセグメント32に属する画素素子28のすべての対について同じである(列方向においてセグメント32ごとに3つ以上の画素素子28が提供される場合にのみ適用可能)。さらに、ある実施形態は、前記距離Pxがクラスタのすべてのセグメント32全体にわたって同じであることを提供し、場合によってはすべてのクラスタ全体にわたって同じであることを提供する、および/または前記距離Pyがクラスタのすべてのセグメント32全体にわたって同じであることを提供し、場合によってはすべてのクラスタ全体にわたって同じであることを提供する。前記距離Pxは、行方向の画素距離または画素ピッチと簡単に呼ばれることがあり、前記距離Pyは、列方向の画素距離または画素ピッチと簡単に呼ばれることがある。
【0036】
図2の例から容易に理解できるように、行方向の前記セグメント距離Sxは前記画素距離Pxよりも大きく、列方向の前記セグメント距離Syは前記画素距離Pyよりも大きい。例えば、前記セグメント距離Sxは、要因によって前記画素距離Pxよりも2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、またはそれ以上大きくてもよく、前記セグメント距離Syは、要因によって前記画素距離Pyよりも2倍、3倍、5倍、10倍、20倍、またはそれ以上大きくてもよい。前記セグメント距離Sxが前記画素距離Pxよりも大きい要因は、前記セグメント距離Syが前記画素距離Pyよりも大きい要因と、同じであってもよいし、異なっていてもよい。したがって、前記セグメント32およびそれぞれのセグメント32内の画素素子28は、異なる距離で配置される。
【0037】
前記画素素子28は、電気的制御下で光を放出するのに適した任意のデザインを有することができる。ある実施形態では、前記画素素子28は、発光ダイオード(有機発光ダイオード、OLED、およびマイクロLEDを含む)から形成される。他の実施形態では、マイクロレーザ構造および液晶ディスプレイ(LCD)素子を含む、他のタイプの発光構造が前記画素素子28の実装に用いられてもよい。
【0038】
前記画素素子28の発光スペクトルは、単色または多色であり得る。多色スペクトルの場合、それぞれの画素素子28は、複数(例えば、3つ)のサブ画素素子から構成されてもよく、それぞれのサブ画素素子は、異なる単色、例えば赤、青及び緑の光を発するように適合される。適切な電気駆動回路を用いて前記サブ画素素子を個別に制御することにより、多色の色範囲から多数の色を生成することができる。それぞれのサブ画素素子は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、LCD素子またはマイクロレーザとして構成され得る。
【0039】
図2はさらに、電気画素駆動回路36と、前記セグメント32に含まれる前記画素素子28を個別に制御するための電子制御ユニット38とを含む制御回路34を示す。前記制御回路34によって提供される制御は、前記画素素子28のオンオフ制御を含み、ある実施形態では、それぞれの画素素子28によって放出される光の強度および色のうちの少なくとも1つの制御をさらに含む。オンオフ制御は、それぞれの画素素子28がアクティブに発光しているか(すなわちオン状態)、または暗いままであるか(オフ状態)を決定する。前記制御ユニット38は、元の画素化された画像の画素情報をそこに記憶しているか、またはそこにアクセスしており、前記元の画像の前記画素情報を前記シースルー素子の前記画素素子28にマッピングするように(例えば、プログラミングによって)適切に構成されている。前記マッピングに基づいて、前記制御ユニット38は、前記画素駆動回路36を制御して、前記画素素子28を電気的に駆動する。
【0040】
ここで、
図2のシースルー素子26のより大きな部分を示す
図3をさらに参照する。
図3では、前記シースルー素子26の画素素子28は個別には描かれていない。代わりに、
図3は、前記表示領域30にわたる前記シースルー素子26の前記セグメント32の分配のみを示している。図からわかるように、前記セグメント32は、クラスタ40にグループ化され、
図2の前記セグメント32と同じxおよびy方向(行および列方向)に規則的に分配され、行方向に隣接するクラスタ
40間に距離Cxが存在し、列方向に隣接するクラスタ
40間に距離Cyが存在する。
図3に示される例示的な実施形態では、それぞれのクラスタ40は、3×3マトリックスアレイに配置された全部で9つのセグメント32から構成される。それぞれのクラスタ40に含まれるセグメント32の総数は、9つに限定されず、他の実施形態では、任意の他の複数のセグメント32を含み得ることが理解されるべきである。しかし、本発明の原理を説明するために、以下では、それぞれのクラスタ40が合計9個のセグメント32を含むと仮定する。さらに、それぞれのクラスタ40における前記セグメント32の配置パターンは、二次マトリックス配列(例えば、2×2、3×3、4×4、または5×5行列など)に限定されず、例えば、長方形のマトリックス配列(例えば、、3×2、4×3、または5×2)、三角形のマトリックス配列、菱形のマトリックス配列などを含む任意のパターンであることができる。全体として、クラスタ40当たりのセグメント32の総数は、2から20を超える範囲のどこかであり得る。
【0041】
前記距離Cxは、例えば、行方向に互いに隣接し、隣接するクラスタ40の対とは異なるクラスタ40にそれぞれが属する2つの画素素子28の中心から中心までを測定することができる。あるいは、前記距離Cxは、前記隣接する画素素子28間の端から端までのギャップとして測定されてもよい。距離Cxは、行方向のクラスタ間の画素距離を表す。前記距離Cyも同様に定義でき、列方向のクラスタ間の画素距離を表す。前記距離CxとCyは、等しくても異なっていてもよい。ある実施形態では、前記距離Cxは、行方向に互いに隣接するクラスタ40のすべての対について同じである。同様に、前記距離Cyは、ある実施形態では、列方向に互いに隣接するクラスタ40のすべての対について同じである。距離CxおよびCyは、それぞれ行方向および列方向のクラスタ距離と簡単に呼ばれることがある。
【0042】
図3から容易に理解できるように、行方向の前記クラスタ距離Cxは前記セグメント距離Sxよりも大きく、列方向の前記クラスタ距離Cyは前記セグメント距離Syよりも大きい。例えば、前記クラスター距離Cxは、前記セグメント距離Sxよりも2倍、3倍、5倍、10倍、またはそれ以上大きくてもよく、前記クラスター距離Cyは、前記セグメント距離Syよりも2倍、3倍、5倍、10倍、またはそれ以上大きくてもよい。前記クラスタ距離Cxが前記セグメント距離Sxよりも大きい要因は、前記クラスタ距離Cyが前記セグメント距離Syよりも大きい要因と同じであってもよいし、異なっていてもよい。したがって、前記クラスタ40および前記セグメント32は、異なる距離で配置される。クラスタリングは、隣接するセグメント32のいくつかの対(すなわち、隣接するセグメント32が異なるクラスタに位置する対)を、隣接するセグメント32の他の対(すなわち、隣接するセグメント32が前記同じクラスター内に位置する対)よりも大きな間隔を有するようにする。
【0043】
前記画素素子28、セグメント32、及びクラスタ40のサイズおよび密度は、前記画素素子28、セグメント32、及びクラスタ40の間の空間において前記シースルー素子26を通過する光からユーザが物理的な世界を認識するために、画素素子28、セグメント32、およびクラスタ40の間に十分な空間を残すよう適切に選択される。
【0044】
図2および
図3の実施形態では、前記セグメント32の前記クラスタリングを利用して、特定のクラスタ40に位置する特定のセグメント32によって放出される光ビームをいわば複製することができ、それは、1つまたは複数の他のクラスタ40に位置する1つまたは複数の他のセグメント32を制御して、特定のセグメント32によって現在表示されている元の画像の同じ部分を同時に表示することによる。特に、ある実施形態では、画素素子28を制御するように適切に構成される制御回路34を提供するものであり、特定のクラスタ40に位置する特定のセグメント32によって現在表示されている元の画像部分が、異なる隣接するクラスタ40にそれぞれ位置する複数の他のセグメント32によって複製される(すなわち、同時に表示される)ようにする。制御回路34は、元の画像の特定の画像部分を異なるクラスタ40に位置する複数のセグメント32に必要なマッピングを行うことができる。
図2および3の前記表示セグメント32のクラスタ化された配置を使用する元の画像部分の表示の複製は、
図4および5を参照して以下により詳細に説明される。
【0045】
図4は、
図2および3の前記シースルー素子26の一部を平面図で示す。9つの表示セグメントクラスタ40-1から40-9が、3×3配列で
図4にまとめて示されている。
図4の前記クラスタ40-1から40-9のそれぞれは、
図3の前記クラスタ40の1つに対応し、
図3のように、3×3のマトリックスに配置された合計9個の表示セグメント32を含む。
図4では中央のクラスタを40-1で示し、前記中央のクラスタ40-1を囲む前記クラスタを40-2~40-9で示している。したがって、前記クラスタ40-2~40-9のそれぞれは、前記中央のクラスタ40-1に隣接する。
図4に示す例では、前記周囲のクラスタ40-2から40-9は、前記中央のクラスタ40-1の周りに均一な角度間隔で分配されている。明らかに、中央のクラスタという用語は、
図4に示されるクラスタセット内のクラスタ40-1の中心位置のみを指すが、中央のクラスタ40-1は、前記シースルー素子26の中心に配置する必要はなく、代わりに、前記シースルー素子26の前記表示領域30内のどこにでも配置することができる。
【0046】
前記中央のクラスタ40-1は、
図4に記された数字1でラベル付けされた中央のセグメント32(第1のセグメント)を有する。中央のセグメントという用語は、検討中の前記クラスタのセグメントの前記3×3マトリックスの中心に位置するセグメントを指す。周囲のクラスタ40-2~40-9はそれぞれ、記された数字1’でラベル付けされた周辺のセグメント32(第2のセグメント)を有する。周辺のセグメントという用語は、検討中の前記クラスタのセグメントの3×3マトリックスの中央のセグメントではないセグメントのいずれかを指す。数字1は、ある時点で前記中央のクラスタ40-1の前記中央のセグメント32によって表示される元の画像の特定の部分を示す。数字1’は、同じ元の画像部分の複製または「コピー」を示す。隣接する、すなわち周囲のクラスタ40-2~40-9のそれぞれは、前記中央のクラスタ40-1の前記中央のセグメント32が前記元の画像部分1を表示するのと同じ時点で「コピー」1’を表示する周辺のセグメント32を有する。前記元の画像部分1を表示する前記セグメント32と、前記元の画像部分1の「コピー」1’を表示する前記セグメント32とが一緒になってセグメントセットを形成し、そのメンバーはそれぞれ前記制御回路34によって駆動されて同時に同じ画像コンテンツを表示する。前記制御ユニット38は、同一の元の画像部分を前記セグメントセットの全てのメンバーにマッピングする機能を有する。
【0047】
図4から分かるように、前記元の画像部分1の「コピー」1’を表示する前記周辺のセグメント32は、前記クラスタ40-2から40-9内のそれぞれ異なる周辺位置に配置される。
図4の例示的な実施形態では、前記中央のクラスタ40-1の左上隣である前記クラスタ40-2は、その右下隅のセグメント32に「コピー」1’を表示するが、これは前記中央のクラスタ40-1に最も近い。同様に、右上、右下、および左下の隣接するクラスタ40-4、40-6、および40-8はそれぞれ、左下、左上、および右上のコーナーのセグメント32にそれぞれ「コピー」1’を表示する。上、右、下、および左の隣接するクラスタ40-3、40-5、40-7、および40-9は、それらの下、左、上、および右の中央端部のセグメント32にそれぞれ「コピー」1’を表示する。
【0048】
図4に示される実施形態では、前記クラスタ40-1から40-9は一緒になって、本開示の意味でのクラスタセットを形成する。前記クラスタセットのそれぞれのクラスタは、前記元の画像の同じ画素セット、すなわち同じ元の画像部分を表示するセグメント32を有する。上述のように、前記クラスタ40-2から40-9のそれぞれは、前記中央のクラスタ40-1に隣接している。しかし、「コピー」1’を表示する前記クラスタ40-2~40-9が前記中央のクラスタ40-1に隣接する必要はないことを理解されたい。代わりに、クラスタセットが相互の近隣を含まないことは、本開示の範囲内である。したがって、クラスタセットは、互いに隣接するクラスタ40の対を含まなくてもよい。例えば、クラスタセットが中央のクラスタ40を含み、複数の周囲のクラスタ40が中央クラスタ40を例えば均一な角度間隔で取り囲む実施形態を想定することができる。それぞれの前記周囲のクラスタ40と前記中央のクラスタ40との間に、すなわち、前記中央クラスタ40から半径方向に見た場合、異なるクラスタセットに属する少なくとも1つの他のクラスタ40が配置され得る。
【0049】
上記の複製パターンを使用して、特定のクラスタ40の前記中央のセグメント32に表示される元の画像部分を、8つの周囲のクラスタ40のそれぞれの異なる周辺セグメント32(前記クラスタ周辺に沿った位置の点で異なる)によって合計8回複製することができる。次に、それぞれのクラスタ40の前記セグメント32は、前記元の画像の異なる部分をそれぞれ表示するが、中央のセグメント32は、いわゆる「オリジナル」の画像部分を表示し、残りの(つまり、周辺の)セグメント32はそれぞれ「レプリカ」を表示します。ここで説明する前記複製パターンは、前記シースルー素子26の前記表示領域30に設けられたすべてのクラスタ40に適用することができるが、前記表示領域30の周辺に位置するクラスタ40が、他のクラスタ40によってすべての側面が取り囲まれるのではなく、隣接するクラスタ40の数が減るだけである、という制限に従う。
【0050】
上記で想定された例示的なシナリオでは、前記「オリジナル」画像部分の8つの「レプリカ」は、x-y平面において、検討中の画像部分の「オリジナル」を表示するセグメント32によって生成される光ビーム(すなわち、「オリジナル」光ビーム)に関して、シフトまたは変位された8つの「複製された」光ビームで表される。ある実施形態では、前記複製された光ビームおよび前記元の光ビームは、前記シースルー素子26から前記HMD装置の装着者の眼まで、互いに実質的に平行なコリメートされた光ビームとして移動する。これらの光ビームは、空間的にばらばらであるか、部分的に重なり合っている可能性がある。
【0051】
次に
図5をさらに参照すると、同じまたは同様の構成要素は、
図1から
図4と同じ参照番号を使用して示されているが、
図5に挿入された参照番号に文字「a」が付加されて区別する。
図5の以下の説明がその他のことを伝えていない限り、これらの構成要素の説明については、
図1から
図4の前述の説明を参照されたい。
【0052】
図5では、本発明の一実施形態によるHMD装置は、一般に42aで示され、図示のように、HMD装置42aを装着したユーザの眼20aの前で適切に使用するために配置される。前記HMD装置42aは、シースルー素子(図示されていないが、例えば、
図2から4のシースルー素子26によって形成される)上に設けられた複数の画素素子(
図5には示されていない)を含み、そして、クラスタ化された配置を有する複数の表示セグメント32aにグループ化される。前記画素素子の前記セグメント32aへのグループ化は、
図2に関連して説明したのと同じ原理に従うことができ、前記表示セグメント32aの前記クラスタ40aへのクラスタ化は、
図3および4に関連して説明したのと同じ原理に従うことができる。
図5には、それぞれのクラスタ40a-1、40a-2、40a-3内に3つのセグメント32aを有する3つのクラスタ40a-1、40a-2、および40a-3が示されている。それぞれのクラスタ40a-1、40a-2、または40a-3内のセグメント32aの総数は、3つより大きくてもよく、たとえば9つ(
図3および4のように)でもよいことを理解されたい。
図5のHMD装置42aの図は、
図3および4の前記シースルー素子26の断面図に対応するので、
図5の図面平面の前方および後方の平面に位置するセグメント32aは、
図5の断面図には見られない。
【0053】
前記HMD装置42aは、複数のホログラフィック光学素子44aを含む光学システム43aをさらに含み、これらは一緒になって
図1の光学素子層24を形成するか、またはそれに含まれてもよい。
図5に示される例示的なシナリオでは、前記ホログラフィック光学素子44aは、眼20aに面する前記セグメント32aの側で前記セグメント32aから離れて配置され、前記セグメント32aによって生成される光ビーム46aに対して透過性である。前記セグメント32aに含まれる前記画素素子は、眼20aの一般的な方向に光を放出するように方向付けられる。別の実施形態では、前記セグメント32aに含まれる前記画素素子は、眼20aから離れる方向に光を発するように方向付けられる。そのような実施形態では、前記HMD装置42aは、眼20aから離れて面する前記セグメント32aの側にセグメント32aから離れて配置され、光ビーム46aに反射効果を提供するホログラフィック光学素子を含む。前記ホログラフィック光学素子44a(前記光ビーム46aに対して透過性であるか反射性であるかにかかわらず)は、セグメント32aから放出されると発散する光ビーム46aの発散を低減し、光ビーム46aをコリメートされた光ビーム48aに変換し、コリメートされた光ビーム48aを眼20aに向ける。同じ元の画像部分からの画像情報を運ぶ複数のコリメートされた光ビーム48a(すなわち、元の光ビームおよび1つまたは複数の複製された光ビーム)は、
図5に示すように、ホログラフィック光学素子44aの位置から眼20aまで互いに平行に伝播する。逆に、前記元の画像の異なる部分からの画像情報を搬送するコリメートされた光ビーム48aは、前記ホログラフィック光学素子44aの位置から眼20aまで平行に、または互いに角度を成して伝播することができる。
【0054】
図5では、それぞれのホログラフィック光学素子44aは、それぞれ異なるクラスタ40aに関連付けられている。したがって、前記クラスタ40a-1はホログラフィック光学素子44a-1に関連付けられ、前記クラスタ40a-2はホログラフィック光学素子44a-2に関連付けられ、前記クラスタ40a-3はホログラフィック光学素子44a-3に関連付けられる。特定のクラスタ40aのセグメント32aから発生する光ビーム46aのみが、関連するホログラフィック光学素子44aによって適切にコリメートされ、眼20aに向けられる。特定のクラスタ40aに関連付けられていないホログラフィック光学素子44aの他のものは、前記特定のクラスタ40aの前記セグメント32aから現れる光ビーム46aを適切にコリメートして眼20aに向けない。
【0055】
図5に示される例示的な状況では、クラスタ40a-2の中央のセグメント32a、クラスタ40a-1の下部のセグメント32a、およびクラスタ40a-3の上部のセグメント32aによって生成される3つの光ビーム46aが、元の画像の同じ部分を表示する。上記で導入された用語を使用して、クラスタ40a-2の中央のセグメント32aによって生成された光ビーム46aは、元の光ビームと呼ぶことができ、クラスタ40a-1の下部のセグメント32aおよびクラスタ40a-3の上部のセグメント32aによって生成された光ビーム46aは、複製された光ビームと呼ぶことができる。図から分かるように、これらの光ビームは、ホログラフィック光学素子44a-1、44a-2、44a-3によるコリメーション後に、相互に平行なコリメート光ビーム48aとして眼20aに向かって進行し、それぞれ異なり、相対的に空間的にオフセットされた位置または領域で眼20aの前面に当たる。説明のために、
図5のHMD装置42aが、
図3および
図4に示されるように、それぞれのクラスタ40a内にセグメント32aの同じ3×3配列を有すると仮定すると、さらに6つの複製された光ビームが前記HMD装置42aによって次のように生成される。前記クラスタ40a-2の前記中央のセグメント32aから放出された前記元の光ビームの複製として、
図5の図面平面の前方に位置するクラスタ40a内のセグメント32aによって放射される3つと、
図5の図面平面の後方に位置するクラスタ40a内のセグメント32aによって放射される3つである。
【0056】
要約すると、前記光学システム43aは、前記セグメント32aから受け取った光をコリメートされた光ビーム48aに成形する。前記光学システム43aは、同じ元の画像部分を同時に表示するセグメント32aから発生するコリメートされた光ビーム48aが、光学システム43aから眼20aへの同じ伝播方向を有し、互いに空間的にオフセットされるように構成される。逆に、元の画像の異なる画像部分を表示し、したがって異なる画像情報を運ぶセグメント32aから発生するコリメートされた光ビーム48aは、前記光学システム43aから眼20aまで互いに異なる方向で伝播することができる。
【0057】
図5に示される例示的な実施形態では、前記ホログラフィック光学素子44aは、相互に重なり合って示されている。前記ホログラフィック光学素子44aが相互に重なることなく形成される他の実施形態が容易に考えられることが理解されるべきである。
【0058】
本発明によるHMD装置は、ビーム複製を提供しない、すなわちHMD装置の画素素子のアレイの領域を横切る複数の空間的にオフセットされた位置で元の光ビームが複製されない従来のHMD装置よりも大きな射出瞳を提供することができる。前記射出瞳は、複数の空間的にオフセットされた光ビームの生成の結果として大きくなり得る。したがって、本発明の実施形態は、HMD装置に対するユーザーの眼の動きが存在する場合でも、元の画像の画像情報がユーザーの瞳に到達して入ることができることを保証することができる。
【0059】
本発明の実施形態によれば、表示セグメントのクラスタは、HMD装置のシースルー素子の表示領域全体に均等に分配され得るものであり、それぞれのクラスタは表示セグメントの均等な分配を含むことができ、それぞれの表示セグメントは画素素子の均等な分配を含むことができる。表示セグメントのクラスタ化された配置を持たない他の実施形態では、前記表示セグメントは、前記シースルー素子の前記表示領域にわたって均等に分散され得る。HMD装置の画素素子の複数のサブセットを制御して、複数のサブセットのそれぞれが元の画像の同じ(マルチ画素またはシングル画素の)画像部分を表示するようにすることができる。本発明の特定の実施形態は、元の画像の(マルチ画素またはシングル画素の)画像部分の、表示セグメントのそれぞれの異なるセットへの1対多のマッピングを提供し、それによりセグメントセットのそれぞれのセグメントが同じ元の画像部分を表示し、異なる元の画像部分が異なるセグメントセットによって表示されるようにする。それぞれのセグメントセットのセグメントは互いに隣接していなくてもよい、すなわち、少なくとも1つの他のセグメントセットからの1つまたは複数のセグメントが、特定のセグメントセットのセグメントのそれぞれの対の間に配置されてもよい。大型のアイボックスを提供するHMD装置は、相互に隣接しない表示セグメントのセットに画像コンテンツを複製することによって提供できます。前記HMD装置の制御回路は、同じ画像部分を画素素子の前記サブセットのそれぞれにマッピングし、マッピングに従って前記サブセットの前記画素素子を駆動するように適切に構成され得る。このようにして、同じ元の画像部分から同じ画像情報を表す複数の光ビームを生成し、空間的に分配させてユーザーの眼に届けることができる。彼または彼女の眼の動きがあっても、ユーザーは常に前記HMD装置によって表示される情報の鮮明な画像を見ることができる。