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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】熱処理を用いた結晶化システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 9/02 20060101AFI20241007BHJP
   C07C 63/26 20060101ALN20241007BHJP
   C07C 51/43 20060101ALN20241007BHJP
【FI】
B01D9/02 602B
B01D9/02 603A
B01D9/02 604
B01D9/02 605
B01D9/02 611A
B01D9/02 601J
B01D9/02 625A
C07C63/26 J
C07C51/43
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023507999
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 US2021044161
(87)【国際公開番号】W WO2022031593
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】63/061,529
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/154,933
(32)【優先日】2021-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521566092
【氏名又は名称】ディーエイチエフ アメリカ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 友了
(72)【発明者】
【氏名】梅田 勇
(72)【発明者】
【氏名】平山 鋼太郎
(72)【発明者】
【氏名】平山 響子
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-125703(JP,A)
【文献】特開平08-208561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 9/00-9/04
C07C 1/00-409/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの化合物(18)を溶解剤(20)と混合した溶液(24)を結晶化する方法であって、
前記方法は、
前記溶液(24)を熱処理容器(12)に貯留し、
前記溶液(24)を、前記溶液(24)の現在温度が所定処理温度となるまで加熱する前記溶液(24)の加熱工程を行う段階と、
前記溶液(24)の現在温度を、前記所定処理温度に所定処理時間保持する段階と、
前記溶液(24)の現在温度を、前記所定処理温度及び前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度よりも低くなるまで前記溶液(24)を冷却する前記溶液(24)の冷却工程を行う段階と、
前記溶液(24)を、前記溶液(24)の現在温度が前記少なくとも1つの化合物(18)の所定終了温度になるまで冷却することにより、前記溶液(24)中の前記少なくとも1つの化合物(18)の複数の結晶粒子(30)を形成させる段階と、
第1フェーズ(64)と第2フェーズ(66、68、70)からなる複数の冷却フェーズを有する冷却工程を利用して、前記第2フェーズ(66、68、70)を行っている間に前記溶液(24)の冷却速度に基づいて前記複数の結晶粒子(30)各々の粒径を所定変動許容値で変える段階と、を有し、
前記熱処理容器(12)が、前記熱処理容器(12)の内表面積及び外表面積の少なくとも一方と前記熱処理容器(12)の前記内容積との比率(R)である下記式(1)又は式(2)で規定される形態を有し、
前記所定処理温度が、前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度及び溶融温度よりも高く、前記少なくとも1つの化合物(18)が前記溶解剤(20)中で溶融する温度であり、
前記所定終了温度が、前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度より低く、結晶が析出し始め、前記溶液(24)中の前記複数の結晶粒子(30)の形成される温度であり、
前記第1フェーズ(64)で、前記溶液(24)の現在温度を所定処理温度から前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度まで下げ、
前記第2フェーズ(66、68、70)で、前記溶液(24)の現在温度を、前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度から前記少なくとも1つの化合物(18)の所定終了温度まで下げ、
前記冷却速度が、冷却方法による前記少なくとも1つの化合物(18)に関連した複数の結晶粒子(30)の所望の粒径を与える経験的データに基づいており、
前記所定変動許容値は、前記複数の結晶粒子(30)の所望の粒径から許容できる変動パーセントが±5%であことを特徴とする方法。
【数1】
【数2】
(ここで、比率(R)、熱処理容器(12)の内容積(V)、外表面積A OUT 、内表面積A IN である。)
【請求項2】
さらに、前記熱処理容器(12)の外表面積を前記熱処理容器(12)の内容積で割った値によって前記比率(R)である下記式(1)で規定する、ことを特徴とする含む請求項に記載の方法。
【数1】
ここで、比率(R)、熱処理容器(12)の内容積(V)、外表面積A OUT である。)
【請求項3】
さらに、前記少なくとも1つの化合物(18)の所望の結晶粒径に基づいて前記溶液(24)の結晶化に関連した冷却速度を決定し、
前記複数の結晶粒子(30)各々の粒径が、125μm~1000μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記決定された冷却速度に基づいて前記溶液(24)を結晶化に用いる冷却方法を選択する、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記選択された冷却方法及び決定された冷却速度を用いて前記溶液(24)を冷却することにより前記溶液(24)の冷却工程を行う、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
さらに、前記冷却工程で用いる熱処理容器(12)の反応場に関連する前記比率(R)に基づいて、前記溶液(24)中の前記少なくとも1つの化合物(18)の複数の結晶粒子(30)が所定変動許容値を満たし、
前記所定変動許容値は、前記少なくとも1つの化合物(18)の複数の結晶粒子(30)の所望の粒径から許容できる変動パーセントが±5%である、ことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの化合物(18)を溶解剤(20)と混合した溶液(24)を結晶化するシステムであって、
前記システムは、
前記溶液(24)を貯留するように構成された熱処理容器(12)を有し、
前記溶液(24)の現在温度が所定処理温度になるまで加熱することによって前記溶液(24)の加熱工程を行うように構成された加熱アセンブリ(32)と、
前記所定処理温度にある前記溶液(24)の現在温度を、所定処理時間保持するように構成された前記加熱アセンブリ(32)と、
前記溶液(24)の現在温度が前記所定処理温度より低く、且つ、前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度になるまで前記溶液(24)を冷却することにより前記溶液(24)の冷却工程を行うように構成された冷却装置(40,42)と、
前記溶液(24)の現在温度が、前記少なくとも1つの化合物(18)の所定終了温度になるまで前記溶液(24)を冷却することにより、前記溶液(24)中の前記少なくとも1つの化合物(18)の複数の結晶粒子(30)を形成させ、且つ、第1フェーズ(64)と第2フェーズ(66,68,70)からなる複数の冷却フェーズを有する冷却工程を用いる前記第2フェーズ(66,68,70)の間に前記溶液(24)の冷却速度に基づいて前記複数の結晶粒子(30)各々の粒径を所定変動許容値で変える、ように構成されたコントローラ(14)と、を備え
前記熱処理容器(12)が、前記熱処理容器(12)の内表面積及び外表面積の少なくとも一方と前記熱処理容器(12)の前記内容積との比率(R)である下記式(1)又は式(2)で規定される形態を有し、
前記所定処理温度が、前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度及び溶融温度よりも高く、前記少なくとも1つの化合物(18)が前記溶解剤(20)中で溶融する温度であり、
前記所定終了温度が、前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度より低く、結晶が析出し始め、前記溶液(24)中の前記複数の結晶粒子(30)の形成される温度であり、
前記コントローラ(14)は、前記第1フェーズ(64)で、前記溶液(24)の現在温度を所定処理温度から前記少なくとも1つの化合物(18)の前記結晶化温度まで下げるように構成され、
前記コントローラ(14)は、前記第2フェーズ(66、68、70)で、前記溶液(24)の現在温度を前記少なくとも1つの化合物(18)の結晶化温度から前記少なくとも1つの化合物(18)の所定終了温度まで下げるように構成され、
前記冷却速度が、冷却方法による化合物(18)に関連した複数の結晶粒子(30)の所望の粒径を与える経験的データに基づいており、
前記複数の結晶粒子(30)各々の粒径が、125μm~1000μmであことを特徴とするシステム。
【数1】
【数2】
ここで、比率(R)、熱処理容器(12)の内容積(V)、外表面積A OUT 、内表面積A IN 、である。)
【請求項8】
前記比率(R)は、前記熱処理容器(12)の外表面積を前記熱処理容器(12)の内容積で割った値である下記式(1)で定義される、ことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【数1】
ここで、比率(R)、熱処理容器(12)の内容積(V)、外表面積A OUT である。)
【請求項9】
前記コントローラ(14)は、前記少なくとも1つの化合物(18)の所望の結晶粒径に基づいて、前記溶液(24)の結晶化に関連した冷却速度を決定するように構成されており
前記前記少なくとも1つの化合物(18)の所望の結晶粒径が125μm~1000μmである、ことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラ(14)は、前記決定された冷却速度に基づいて前記溶液(24)を結晶化するに用いられる冷却方法を選択するように構成されている、ことを特徴とする請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラ(14)は、前記選択された冷却方法及び前記決定された冷却速度を用いて前記溶液(24)を冷却することにより、前記溶液(24)の冷却工程を行うように構成されている、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラ(14)は、前記冷却工程で使用される熱処理容器(12)の反応場に関連した前記比率(R)に基づいて、前記溶液(24)中の前記少なくとも1つの化合物(18)の複数の結晶粒子(30)の所定変動許容値を満たすように構成されており、
前記所定変動許容値は、所望の粒径から許容できる変動パーセントが±5%である、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物を精製するための結晶化方法に関し、より具体的には、特定の加熱及び冷却技術を用いて化合物を精製する熱処理を用いた結晶化システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
結晶化工程は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製品に混合される化合物をリサイクルするため、化合物中の不純物を減らすのに使用される。化合物の具体例は、代表的にPET製造に使用され、あるいはPET製品中の原料として種々の特性を与えるテレフタル酸(TPA)である。
【0003】
近年、急速な人口増加と経済発展により、自然環境汚染を抑えるための継続的なリサイクル運動の努力があるにも拘わらず、TPAの使用は驚くべき速度で増加している。TPA製造における需要増に対応するため、TPAは、使用後に結晶化工程を用いてリサイクルされる。精製するとき、既存の結晶化工程は、多くの場合、大型の加圧反応器を使用して精製テレフタル酸(TPA)としている。しかしながら、結晶化工程に適切な反応性を与える大型加圧反応器は、大型加圧反応器に関連する反応場を容量的に大きくする必要があり、結晶化工程において反応場の対応が遅く、コントロールするのが難しくなっていた。
【0004】
例えば、粗TPAは、パラキシレンの臭素促進接触酸化によって生成し、水素化工程によって精製することができる。
【0005】
そこで、大型加圧反応容器は高価であり、反応容器の大きさ故に政府によって規制されている。さらに、既存の結晶化工程は、加熱/冷却工程をコントロールするのに時間がかかり、複雑である。その結果、TPAは、非常に高い投資と運転コストで生産されることになる。
【0006】
さらに、結晶化の冷却操作時に、結晶粒子各々の粒径は、粒径特性がTPAの有用な物理的あるいは化学的性質を決定するので、TPAのリサイクルにおいて重要なファクターである。しかしながら、既存の結晶化工程は、遅く、不経済で面倒なコントロールシステムと方法を用い、反応器を冷却操作しているときに粒径を決めている。
【0007】
好ましくない大型加圧反応器と加熱/冷却操作の使用は、TPAを妥当な時間と費用で製造することを困難にしている。所望の粒径のTPAを製造するためには、加熱/冷却操作を精密にコントロールしないとTPAの効果的な結晶化ができない虞がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、既存の結晶化工程の1つ以上の上記欠点を克服する強化された結晶化技術および装置を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一実施形態で、少なくとも1つの化合物を溶解剤と混合した溶液を結晶化する方法を提供する。この方法は、溶液を、溶液の現在温度が所定処理温度となるまで加熱する溶液の加熱工程を行う段階、溶液の現在温度を、所定処理温度に所定処理時間保持する段階、溶液の現在温度が、所定処理温度と少なくとも1つの化合物の結晶化温度より低くなるまで溶液を冷却する溶液の冷却工程を行う段階、溶液を、溶液の現在温度が少なくとも1つの化合物の所定終了温度になるまで冷却することにより、溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子を形成させる段階、及び、複数の冷却フェーズを有する冷却工程を利用して、冷却工程を行っているときの溶液の冷却速度に基づいて複数の結晶粒子各々の粒径を変える段階を含んでいる。
【0010】
一例で、この方法は、複数の冷却フェーズに、第1フェーズと第2フェーズとを有している。変形例で、この方法は、第1フェーズで、溶液の現在温度を所定処理温度から少なくとも1つの化合物の結晶化温度まで下げることを含んでいる。さらなる変形例で、この方法は、第2フェーズで、溶液の現在温度を、少なくとも1つの化合物の結晶化温度から少なくとも1つの化合物の所定終結温度まで下げることを含んでいる。
【0011】
別の実施形態で、この方法は、溶液を、熱処理容器の内容積と、熱処理容器の内表面積と外表面積の少なくとも一方との比率で規定される形態を有する熱処理容器に貯留することを含んでいる。その変形例で、熱処理容器の外表面積を、熱処理容器の内容積で割った値による比率を規定することを含んでいる。
【0012】
また別の例で、この方法は、少なくとも1つの化合物の所望の結晶粒径に基づいて溶液の結晶化に関連した冷却速度を決定することを含んでいる。その変形例で、この方法は、決定された冷却速度に基づいて溶液を結晶化に用いる冷却方法を選択することを含んでいる。また別の変形例で、この方法は、選択された冷却方法及び決定された冷却速度を用いて、溶液を冷却することにより溶液の冷却工程を行うことを含んでいる。さらに別の変形例で、この方法は、選ばれた冷却方法と決定された冷却速度に基づいて、少なくとも1つの化合物の所望の結晶粒径に関連する溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子が、所定変動許容値を満たすことを含んでいる。さらに別の変形例で、この方法は、冷却工程で用いる熱処理容器の反応場に関連する比率に基づいて、溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子が所定変動許容値を満たすことを含んでいる。
【0013】
本開示の別の実施形態において、少なくとも1つの化合物を溶解剤と混合した溶液を結晶化するシステムを提供する。このシステムは、溶液の現在温度が所定処理温度になるまで加熱することによって溶液の加熱工程を行うように構成された加熱アセンブリを有している。加熱アセンブリは、所定処理温度にある溶液(24)の現在温度を、所定処理時間保持するように構成されている。また、このシステムは、溶液の現在温度が所定処理温度より低く、少なくとも1つの化合物の結晶化温度になるまで溶液を冷却することにより溶液の冷却工程を行うように構成された冷却装置を有している。コントローラは、溶液の現在温度が、少なくとも1つの化合物の所定終了温度になるまで冷却することにより、溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子を形成させ、そして、複数の冷却フェーズを有する冷却工程を用いる冷却工程を行っている時、溶液の冷却速度に基づいて複数の結晶粒子各々の粒径を変えるように構成されている。
【0014】
一例で、複数の冷却フェーズは、第1フェーズと第2フェーズとを有している。この変形例で、コントローラは、第1フェーズで、溶液の現在温度を所定処理温度から少なくとも1つの化合物の結晶化温度まで下げるように構成されている。別の変形例で、第2フェーズで、溶液の現在温度を少なくとも1つの化合物の結晶化温度から少なくとも1つの化合物の所定終了温度まで下げるように構成されている。
【0015】
別の例では、システムは、熱処理容器を有し、熱処理容器の内容積と、熱処理容器の内表面積と熱処理容器の外表面積の少なくとも一方との比率で規定された構成の熱処理容器内に、溶液を貯留するように構成されている。その変形例で、比率は、熱処理容器の外表面積を熱処理容器の内容積で割った値で定義される。
【0016】
さらに別の例では、コントローラは、少なくとも1つの化合物の所望の結晶粒径に基づいて溶液の結晶化に関連する冷却速度を決定するように構成されている。その変形例で、コントローラは、決定された冷却速度に基づいて溶液を結晶化に用いられる冷却方法を選択するように構成されている。別の変形例では、コントローラは、選択された冷却方法及び決定された冷却速度を用いて溶液を冷却することにより、溶液の冷却工程を行うように構成されている。さらに別の変形例で、コントローラは、選択された冷却方法および決定された冷却速度に基づいて、少なくとも1つの化合物の所望の結晶粒径に関連して、溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子の所定変動許容値を満足するように構成されている。さらに別の変形例では、コントローラは、冷却工程で使用される熱処理容器の反応場に関連する比率に基づいて、溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子が、少なくとも1つの化合物の所望の結晶粒径に対し、所定変動許容値を満足するようにする。
【0017】
本開示のさらに別の実施形態で、溶解剤と混合された少なくとも1種の化合物を有する溶液を結晶化する方法を提供する。この方法は、溶液を、溶液の現在温度が所定処理温度となるまで加熱する溶液の加熱工程を行う段階、溶液の現在温度を、所定処理温度に所定処理時間保持する段階、少なくとも1種の化合物の所望の結晶粒径に基づいて溶液を結晶化に関連する冷却速度を決定する段階、決定された冷却速度に基づいて溶液を結晶化するために用いる冷却方法を選択する段階、選択された冷却方法と決定された冷却速度を用いて溶液を冷却することによって溶液の冷却工程を行う段階、溶液を、溶液の現在温度が少なくとも1つの化合物の所定終了温度になるまで冷却することにより、溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子を形成させる段階、及び、選択された冷却方法と決定された冷却速度に基づいた溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子が、少なくとも1つの化合物の所望の結晶粒径に関して所定変動許容値を満たす段階からなっている。
【0018】
本開示の別の実施形態において、少なくとも1つの化合物を溶解剤と混合した溶液を結晶化するシステムを提供する。このシステムは、溶液の現在温度が所定処理温度になるまで溶液を加熱することによって溶液の加熱工程を行うように構成された加熱アセンブリを有している。この加熱アセンブリは、溶液の現在温度を、所定処理温度に所定処理時間保持するように構成されている。冷却装置が、溶液の現在温度が所定処理温度と、少なくとも1つの化合物の結晶化温度より低くなるまで溶液を冷却することにより、溶液の冷却工程を行うように構成されている。この冷却装置は、少なくとも1つの化合物の所望の結晶粒径に基づいて溶液を結晶化することに関連する冷却速度を決定し、決定された冷却速度に基づいて溶液を結晶化するに用いられる冷却方法を選択し、選択された冷却方法と決定された冷却速度で溶液の冷却工程を実行し、溶液の現在温度が少なくとも1つの化合物の所定終了温度になるまで溶液を冷却することにより、溶液中に少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子を形成させ、そして、選択された冷却方法と決定された冷却速度に基づいて、溶液中の少なくとも1つの化合物の複数の結晶粒子が、少なくとも1つの化合物の所望の結晶粒径との関係で所定変動許容値を満足させる、ように構成されている。
【0019】
ここに開示した方法、システム、および装置は、種々の態様を達成するための任意の手段で実施できる。その他の特徴は、添付の図面および以下の詳細な説明から明らかであろう。
【0020】
実施形態例は、例として説明しているものであり、添付の図面に限定されるものではない。ここでは、類似の参照符号は、同じ符号にしている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の実施形態に対応した熱処理容器を特徴とする結晶化システムの具体例を示す概略図である。
図2図1の結晶化システムで用いる熱処理容器の形態の別の具体例を示す概略図である。
図3図1の結晶化システムで用いる熱処理容器を配列する具体例を示す概略図である。
図4図1の結晶化システムで用いる熱処理容器を配列する別の具体例を示す概略図である。
図5】本開示の実施形態に従って図1図4に示す結晶化システムを操作するときに、熱処理を用いた結晶化方法の具体例を示すフローチャートである。
図6図1の結晶化システムの加熱操作中の現在温度と時間時間との関係の具体例を示すグラフ表示である。
図7図2の結晶化システムの加熱操作中の現在温度と時間との関係の具体例を示すグラフ表示である。
図8図1の結晶化システムの冷却操作中の現在温度と粒径との関係の具体例を示すグラフ表示である。
図9図1の結晶化システムの冷却操作中の現在温度と粒径との関係の別の具体例を示すグラフ表示である。
図10】本開示の実施形態に対応し、インライン熱処理容器を特徴とした結晶化システムの別の具体例である概略図である。
図11図10の結晶化システムと共に用いる背圧レギュレータの具体例である。
図12図10の結晶化システムと共に用いる背圧レギュレータの別の具体例である。
図13】本開示の実施形態に従って図10図12に示す結晶化システムを操作するとき、熱処理を用いる結晶化方法の別の具体例であるフローチャートである。
図14図10の結晶化システムによって行われる冷却操作を行っているときの冷却速度と粒径との関係の具体例を示すグラフ表示である。
図15図10の結晶化システムによって行われる冷却操作を行っているときの結晶粒子の数と粒径との関係の具体例を示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態の他の特徴は、添付図面及び以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0023】
本開示の実施形態を、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0024】
図1は、熱処理容器12を有する結晶化システム10の具体例を、本開示の実施形態に従って示している。図示した実施形態で、結晶化システム10は、熱処理容器12に関連した種々の装置にネットワーク16を介して通信可能に接続されたコントロールシステム14を有し、種々の装置に指示して結晶化工程を操作するように構成されている。
【0025】
結晶化工程を行っているとき、ミキサー22で化合物18を溶解剤20と混合し、スラリーなどのスラッジ23を形成する。一実施形態で、化合物18は粗TPAなどのリサイクル可能な材料であり、溶解剤20は水などの液体溶媒である。化合物18と溶解剤20の比率は、具体例として凡そ1:5(粗TPA20%と水80%)である。一実施形態で、ミキサー22をコントロールシステム14で操作し、粗TPAを水に入れてスラッジ23を生成する。
【0026】
一実施形態で、コントロールシステム14は、ポンプ26に指示して、スラッジ23をミキサー22から導管28を介して矢印Aで示した流れ方向に取り出す。次いで、取り出されたスラッジ23は、結晶化工程のために導管28を介して熱処理容器12に送り出される。
【0027】
スラッジ23の送り出しが終わると、熱処理容器12を、スクリューキャップ等のカバー25でシールする。実施形態で、スラッジ23は、化合物18がスラッジ23内で溶融するまで熱処理容器12内で加熱され、この時スラッジ23は溶液24となる。操作では、結晶化システム10は、熱処理を用いた結晶化工程を行い、化合物18に関連した複数の結晶粒子30を生成する。
【0028】
一実施形態で、熱処理容器12は、適量の溶液24を確実に貯留するように構成され、また、加熱キルン体として機能するための加熱アセンブリ32によって加熱されるように構成されている。一例で、加熱アセンブリ32は、誘導加熱システムであることができる。別の例では、加熱アセンブリ32は、異なる適用に合うように、電気、ガス、またはオイルヒータなど任意の適切な加熱装置とすることができる。
【0029】
熱処理容器12の構成は、具体例として貯留量が凡そ50~100ミリリットル(ml)で、これは、結晶化工程に典型的に使用される既存の加圧反応器よりもはるかに小さく、そして耐圧が凡そ4~7メガパスカル(MPa)である。しかしながら、この貯留量と耐圧は、異なる適用ではそれに合わせて変えることができる。
【0030】
ある実施形態で、熱処理容器12は、熱処理容器12の内容積と外表面積との比率で規定される構成である。一実施形態で、熱処理容器12の外表面積は、熱処理容器12の内表面積に合わせた輪郭を直接なぞった外皮表面積である。別の実施形態では、熱処理容器12の外表面積は、外表面積の形態によって変らないが、熱処理容器12の内表面積と密に対応している。熱処理容器12の全体の大きさを比較的小さくするために、内容積と外表面積の比率を、所定値に維持する。この形態では、熱処理容器12の内容積中の反応場の容積を小さくすることができ、コントロールし易く、結晶化工程に迅速に対応できるようになる。
【0031】
反応場に関連する熱処理容器12の内容積と外表面積との比率は、具体例として下記式(1)で示される。
【0032】
【数1】
ここで、Rは、熱処理容器12の内容積V(例えば、立方ミリメーター、mm)と熱処理容器12の外表面積AOUT(例えば、平方ミリメーター、mm)との間の特定表面比率である。一実施形態で、この比率Rは、0.125mm-1以上または0.125mm-1であり、比率Rの所定値は、具体例として凡そ0.13(例えば、mm-1)である。この例ではミリメートル単位を使用しているが、適用に合わせてメートルまたはインチなど任意の適切な単位も考えられる。
【0033】
いくつかの実施形態で、熱処理容器12は、熱処理容器12の内容積と内表面積との比率によって規定される構成である。一実施形態で、熱処理容器12の内表面積は、熱処理容器12の内表面積に合わせるように輪郭を直接なぞった内皮表面積である。別の実施形態で、熱処理容器12の外表面積は、外表面積の形態によって変らないが、熱処理容器12の内表面積と密に対応している。熱処理容器12の全体の大きさを比較的小さくするために、内容積と外表面積との比率を、所定値に維持する。この形態では、熱処理容器12の内容積にある反応場容積を小さくすることができ、コントロールし易く、結晶化工程に迅速に対応できるようになる。
【0034】
熱処理容器12の内容積と内表面積との反応場に関連する比率は、別の具体例として下記式(2)で示される。
【0035】
【数2】
ここで、Rは、熱処理容器12の内容積V(例えば、立方ミリメーター、mm)と熱処理容器12の内表面積AIN(例えば、平方ミリメーター、mm)との間の特定表面比率である。一実施形態で、比率Rは、0.125mm-1以上または0.125mm-1であり、比率Rの所定値は具体例として凡そ0.13(例えば、mm-1)である。この例ではミリメートル単位が使用しているが、適用に合わせてメートルまたはインチなどの任意の適切な単位も考えられる。
【0036】
結晶化工程を行うために、結晶化システム10は、加熱工程と、加熱工程終了後の冷却工程を行う。一実施形態で、加熱工程の前に、スラッジ23の入った熱処理容器12は、カバー25を閉じてシールする。加熱工程を開始するために、加熱アセンブリ32は、スラッジ23が確実に貯留された熱処理容器12を、所定処理時間にわたって所定処理温度まで誘導加熱する。
【0037】
一実施形態で、所定処理温度は、化合物18の溶融温度よりも高くして、化合物18が溶解剤20中で溶融するようにする。スラッジ23を所定処理時間にわたって加熱した後では、スラッジ23は溶液24となる。
【0038】
処理温度は、具体例として凡そ100~750℃の範囲であり、処理時間は、具体例として凡そ1~60分の範囲である。しかしながら、この処理温度の範囲と処理時間の範囲は、異なる適用ではそれに合わせて変えることができる。一実施形態で、処理温度は凡そ100~400℃の範囲であり、別の実施形態で、処理温度は凡そ100~300℃の範囲である。例えば、処理温度は、凡そ345℃である。
【0039】
一実施形態で、加熱アセンブリ32により誘起される熱処理を行っているとき、熱処理容器12は、所定処理温度が凡そ270℃、所定内圧が凡そ5.5MPaになる。この場合、結晶化システム10は、亜臨界水処理を行ってTPAの結晶化工程を行う。
【0040】
一実施形態で、加熱アセンブリ32は、熱処理容器12の少なくとも一部を取り囲むように構成された1つ以上の加熱誘導コイル34と、加熱誘導コイル34を誘導駆動するように構成された高周波電源部36とを有している。一実施形態で、熱処理容器12は、加熱誘導コイル34によって誘導加熱される磁性グレードのステンレス鋼で作製されている。
【0041】
温度センサ38は、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続され、熱処理容器12の現在温度をリアルタイムで測定するように構成されている。別の実施形態では、温度センサ38は、結晶化工程を行っているとき熱処理容器12内溶液24の現在温度をリアルタイムで測定するように構成されている。
【0042】
冷却工程を行っているとき、水スプレー40および/またはファン42などの冷却装置が、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続され、溶液24の現在温度を効果的に下げるように構成されている。一実施形態で、冷却工程は、熱処理容器12に関連する外気または自然の空気のみを用いて行われる。実施形態では、適用に合わせて、外気、水スプレー40、およびファン42を任意に組み合わせて使用している。
【0043】
データ記憶装置44は、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続され、結晶化システム10によって行われる結晶化工程に関連する任意のデータを一時的または恒久的に記憶するように構成されている。実施形態で、データ記憶装置44は、コントロールシステム14によって行われる1つ以上の指示を記憶する非一時的コンピュータ読み取り可能記憶媒体とすることができ、データ記憶装置ストレージ44に記憶されたデータは、さらに別の工程でのコントロールシステム14によって電気的に取り出すことができる。
【0044】
ここで、図2は、図1の結晶化システム10で用いる熱処理容器12の形態を別の具体例として示している。図1及び図2に図示した実施形態で、高周波電源部36は、加熱誘導コイル34を用いて熱処理容器12の温度を所定処理温度、例えば270℃まで上昇させるに足りる高周波電流を生成して流し、被処理液24を処理する。
【0045】
高周波電源部36は、具体例として通電周波数が凡そ20キロヘルツ(KHz)、最大出力が凡そ20キロワット(KW)である。しかしながら、高周波電源部36の周波数と最大出力は、異なる適用ではそれに合わせて、変えることができる。
【0046】
一実施形態で、高周波電源部36を、所定処理時間の間、加熱誘導コイル34を誘導駆動するのに使用している。例えば、高周波電源部36は、加熱誘導コイル34を駆動して、30分間で熱処理容器12,12A,12B内の溶液24の現在温度を所定処理温度270℃まで上昇させる。実施形態で、所定処理時間は、最適な結晶化進行を得るための熱処理容器12内溶液24の滞留時間に関連している。
【0047】
実施形態で、結晶化システム10には、1つ以上の熱処理容器12、12A、12Bがある。図2においては、複数の熱処理容器12A,12Bが直列に配列されている。図示した実施形態で、加熱アセンブリ32によって提供される伝熱領域は、第1熱処理容器12Aと第2熱処理容器12Bの両方で共有している(12Aおよび12Bの両方を総称して12とする)。しかしながら、ある実施形態では、第1熱処理容器12Aと第2熱処理容器12Bが、それぞれの加熱誘導コイル34によって別々に加熱されている。
【0048】
図2に図示した実施形態の形態上の違いは、温度センサ38(図1)が存在しないことである。いくつかの実施形態で、温度センサ38は、結晶化工程における熱処理容器12および/または溶液24の現在温度に関する情報を提供している。熱処理容器12および/または溶液24の現在温度に基づいて、コントロールシステム14は、加熱アセンブリ32を操作する。しかしながら、図2では、温度センサ38に代って、結晶化システム10に整磁合金層46がある。
【0049】
一実施形態で、整磁合金層46は、熱処理容器12,12A,12B外表面の少なくとも一部を覆うように構成された材料からなっている。一例では、整磁合金層46は、熱処理容器12、12A、12B外表面の少なくとも一部に着脱可能に接続されている。別の例では、整磁合金層46は、熱処理容器12、12A、12Bの外表面の少なくとも一部に固定して取り付けられている。
【0050】
実施形態では、整磁合金層46は、整磁合金層46の現在温度が磁気変態点を表す所定温度(例えば、270℃)に達すると、整磁合金層46の磁力が自動的になくなる特性を有している。具体例である整磁合金層46の磁気変換点は、この温度を超えると強磁性材料が比透磁率をなくして磁性がなくなり、常磁性的になるキュリー温度を表している。
【0051】
キュリー温度の具体的な範囲は、凡そ100~750℃の間である。一実施形態で、整磁合金層46は、キュリー温度の270℃またはそれ以下では磁性機能を有し、あるいはキュリー温度の270℃を超える非磁性機能を有する整磁合金から作成される。この構成では、整磁合金層46が加熱アセンブリ32によって誘導加熱されると、整磁合金層46の現在温度に基づいて磁性機能と非磁性機能の一方を自動的に選択する機能を有する。
【0052】
したがって、個々の加熱システムを使用せずに、整磁合金層46の現在温度が所定温度270℃を超えると、整磁合金層46は自動的に比透磁率を失い、その磁性がなくなる。だが、整磁合金層46の現在温度が所定温度270℃以下のとき、整磁合金層46は比透磁率を維持し、その磁性により、加熱アセンブリ32による連続的な誘導加熱が可能になる。
【0053】
ここで図3は、熱処理容器12A、12B、12C、12Dを配列する具体例を示している(12A~12Dはまとめて12と記載する)。この配列では、コンベア装置などの移送システム48が、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続され、矢印Bによって指定する流れ方向に1つ以上の熱処理容器12A、12B、12C、12Dを直列に進むように構成されている。
【0054】
図示した実施形態で、第1ロボットシステム50Aは、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続されて、第1熱処理容器12Aを移送システム48の第1位置に移送するように構成されている。第1熱処理容器12Aが加熱アセンブリ32によって誘導加熱されると、第1熱処理容器12Aは、コンベアベルト等の移動部材52を用いて矢印C1で示す流れ方向に移送され、移送システム48の第2位置まで進む。
【0055】
一例で、第2熱処理容器12Bは、第1位置から第2位置まで進んだ第1熱処理容器12Aと同じであってよい。別の例で、第2熱処理容器12Bは、加熱工程を行っているときに第2位置まで進んだ別の熱処理容器12とすることができる。
【0056】
加熱工程が終了すると、第2熱処理容器12Bは、移動部材52を用いて矢印C2で規定する流れ方向に移送され、移送システム48の第3位置まで進む。第3位置に位置する第3熱処理容器12Cは、コントロールシステム14によって行われる冷却工程に入る。
【0057】
冷却工程を行っているとき、第3熱処理容器12Cは、水スプレー40によって冷却される。この図示した実施形態で、溶24は、水によって冷却されて溶24中で化合物18の結晶化を開始する。異なる適用ではそれに合わせて、強制空気または外気空気を用いるその他の冷却方法も考えられる。
【0058】
冷却工程の後、第3熱処理容器12Cは、移動部材52を用いて矢印C3で示す流れ方向に移送され、移送システム48の第4位置まで進む。第4位置にある第4熱処理容器12Dは、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続された第2ロボットシステム50Bによって取り出される。続いて、第4熱処理容器12Dは、適切な場所に保管するか、または、さらなる処理のために別の場所に移送することができる。
【0059】
ここで図4は、熱処理容器12A、12B、12C、12D、12Eの配列の別の具体例を示している(12A~12Eをまとめて12とする)。図示した実施形態では、移送システム48はメリーゴーランド型システムであり、回転テーブルなどの移動部材52を用いて矢印Dで指定する流れ方向に熱処理容器12A~12Eを順次移送するように構成されている。この構成では、1つのロボットシステム50(例えば、50Aまたは50B)のみを、移動部材52に関連して熱処理容器12それぞれの送り出しおよび取出しに利用している。
【0060】
次に図5は、本開示の実施形態に従って、TPAなどの少なくとも1つの化合物18を溶解剤20と混合した溶液24などの流体生成物について、結晶化工程を行う方法100の具体例をフローチャートで示している。方法100は、図1図4に示す結晶化システム10に関連して示している。
【0061】
一実施形態で、方法100は、加熱アセンブリ32に通信可能に接続されたコントロールシステム14によって実施することができる。一実施形態で、方法100を実施するステップは、コントロールシステム14内の電子コントローラのメモリの1つに記憶され、電子コントローラの各プロセッサ、またはその他コンピュータ使用可能媒体によって実行されるコンピュータ読み取り可能プログラム指示の形態にすることができる。
【0062】
別の実施形態で、方法100を実施するステップは、コントロールシステム14などのモジュールまたはコントローラで記憶され、実行することができる。ここで、コントロールシステム14は、結晶化システム10の電子コントローラの1つから独立していても独立していなくてもよい。方法100は、連続的に行ってもよく、または、最初にスタートボタン(図示していない)を押すなど1つ以上の所定行為に応答して開始するようにしてもよい。方法100のどのステップも、適用するに適した任意の順序で行うことができる。
【0063】
方法100は、ステップ102で開始する。上記したように、コントロールシステム14によって行われる結晶化工程は、加熱工程と、加熱工程の後にある冷却工程とを有している。この図示した実施形態で、ステップ104~106は、加熱工程に関連し、ステップ108~112は冷却工程に関連している。
【0064】
ステップ104で、コントロールシステム14は、加熱アセンブリ32に指示して、熱処理容器12に貯留された溶液24を所定処理温度(例えば270℃)まで誘導加熱する。ステップ106で、コントロールシステム14は、加熱アセンブリ32に指示して、溶液24の現在温度を所定処理時間(例えば、30分)の間所定処理温度に保持するようにする。
【0065】
実施形態で、所定処理時間は、熱処理容器12を1以上の加熱方法を用いて加熱している時間である。加熱方法は、具体例として誘導加熱、電気加熱、ガス加熱などが挙げられる。加熱工程を行っているときに温度センサ38を用いる場合、溶液24の現在温度は、図6に示すように、一時的に所定処理温度を超える。
【0066】
ここで図6は、加熱工程を行っているときの溶液24の現在温度の具体例をグラフ表示54している。図6で、X軸は加熱工程を行っているときの経過時間[Time]を表し、Y軸は加熱工程を行っているときの溶液24の現在温度[Temp]を表している。
【0067】
図6で、加熱工程が進行するにつれて、加熱アセンブリ32による誘導加熱により溶液24の温度[Temp]が上昇する。溶液24の温度[Temp]が所定処理温度[Temp1](例えば、270℃)を超えると、コントロールシステム14は加熱アセンブリ32に指示して誘導加熱操作を停止し、溶液24の温度[Temp]を所定処理温度[Temp1]まで下げるようにする。
【0068】
溶液24の温度[Temp]が270℃となったとき[Time1]とし、コントロールシステム14は、加熱アセンブリ32に指示して、溶液24の温度[Temp]を所定処理時間保持するようする。所定処理時間が経過した後、加熱工程は終了したとみなされる。しかしながら、図7に示すように、加熱工程で整磁合金層46を利用する場合には、温度センサ38を用いなくても溶液24の現在温度を自動的にコントロールすることができる。
【0069】
次に図7は、加熱工程を行っているときの溶液24の現在温度の別の具体例をグラフ表示56している。図7で、X軸は加熱工程の経過時間[Time]を表し、Y軸は加熱工程を行っているときの溶液24の現在温度[Temp]を表している。
【0070】
図7で、加熱工程が進行するにつれて、加熱アセンブリ32による誘導加熱によって、溶液24の温度[Temp]が上昇する。溶液24の温度Tempが所定処理温度[Temp1](例えば、270℃)になったとき、整磁合金層46の磁性が自動的になくなり、常磁性的に挙動する。
【0071】
[Time2]と指定した時間で、誘導加熱操作を停止することなく、加熱アセンブリ32は、溶液24の温度[Temp]を所定処理時間保持することができる。所定処理時間が経過した後、加熱工程は終了したとみなされる。そのため、加熱工程の全体的操作は、高い運転コストと時間を要せず、容易にコントロールされる。
【0072】
ここで図5に戻り、コントロールシステム14は、加熱工程が終了すると冷却工程を行わせる。コントロールシステム14によって行われる冷却工程の重要な側面は、複数の結晶粒子30各々の粒径が、冷却工程を行っているときの溶液24の冷却速度に基づいて変わることである。
【0073】
一実施形態で、粒径は、複数の結晶粒子30に関連する標準偏差が所定値より小さくなるように、例えば、正規分布で1未満となるようにコントロールされる。例えば、標準偏差の所定値範囲は0と0.6の間である。そのように、いくつかの実施形態で、結晶粒子30の全ての粒径を標準偏差ゼロにすることができる。
【0074】
一実施形態で、冷却工程は、各々の粒径が複数の結晶粒子30の粒径の平均値から標準偏差が1以内になるように標準偏差を定義している。そのため、各々の粒径は、平均値に近くすることができ、殆どの粒径が平均値近くに拡がると予想される。
【0075】
具体的に、冷却速度は、溶液24の現在温度に関連して、特定の冷却方法および/または所定冷却時間に基づいて決定される。実施形態で、冷却速度は、複数の結晶粒子30各々の粒径を決めている。
【0076】
実施形態で、冷却工程は、熱処理容器12に対し1つ以上の冷却方法で行うことができる。冷却方法は、具体例として自然冷却方法、空気冷却方法、水冷却方法などが挙げられる。実施形態で、所定冷却時間は、冷却工程が持続する時間である。
【0077】
一実施形態で、自然冷却方法は、熱処理容器12が熱処理容器12を取り囲む大気空気(または室温)によって自然冷却される冷却技術である。一実施形態で、空気冷却方法は、熱処理容器12がファン42による強制空気によって冷却される別の冷却技術である。一実施形態で、水冷却方法は、さらに別の冷却技術を指し、ここで、熱処理容器12は、水スプレー40によってスプレーされた水によって冷却される。
【0078】
ステップ108において、コントロールシステム14は、少なくとも1つの化合物18の所望の粒径に基づいて所定冷却時間を決定する。ある実施形態で、所望の粒径は、標準偏差が1.0未満の値を有することに関連している。例えば、結晶粒子30の少なくとも凡そ68%(すなわち、所望の粒径の標準偏差1以内)が所望の粒径を有している。いくつかの実施形態で、所望の粒径とは、複数の結晶粒子30に関連する標準偏差が0.5未満である複数の結晶粒子30各々の粒径である。
【0079】
実施形態で、所定冷却時間は、熱処理容器12が1つ以上の冷却方法を用いて冷却される時間である。TPAの所望の粒径は、具体例として凡そ125~200マイクロメートル(μm)の範囲である。
【0080】
例えば、少なくとも1つの化合物18それぞれの結晶粒子の所望の粒径は、殆どの結晶粒径(例えば、90%)が130~150μmの範囲に拡がると予想されるようにユーザーまたは別のシステム(例えば、キーボードまたはタッチスクリーンを介して)から受けることができる。所望の粒径を受けると、コントロールシステム14は、データ記憶装置44に記憶された経験的データを読み出し、所望の粒径に関連した冷却時間を引き出す。
【0081】
実施形態で、経験的データは、冷却方法に関連した冷却時間に関する情報、および化合物18に関連した複数の結晶粒子30各々の対応する粒径である。例えば、試行錯誤方法を用いて、コントロールシステム14は、種々の実験的な冷却操作を行うことができる。
【0082】
実験的な冷却操作で、冷却方法、冷却時間、および化合物18に関連した複数の結晶粒子30各々の粒径を含む経験的データを収集することができる。例えば、コントロールシステム14は、TPAの結晶粒子30それぞれについて冷却時間を測定し、および画像解析を行って、TPAの対応する粒径をデータ記憶装置44に記憶する。
【0083】
経験的データは、具体例としてTPAの冷却方法、冷却時間、および対応する粒径との関係を表す参照表であり、下に表1として示す。
【0084】
【表1】
ここで、冷却時間は秒で示し、粒径はマイクロメートル(またはミクロン)で示す。冷却時間の決定は、経験的データにおける所望の粒径と粒径との比較で行う。例えば、所望の粒径に最も近い粒径は、コントロールシステム14で選ばれる。
【0085】
ステップ110で、コントロールシステム14は、経験データを用いて決定された冷却時間に基づいて冷却方法を選択する。一実施形態で、コントロールシステム14は、データ記憶装置44に記憶された経験的データを読み出し、決定された冷却時間に関連する冷却方法を選択する。例えば、決定された冷却時間に最も近い冷却時間を有する冷却方法は、コントロールシステム14によって選択される。
【0086】
ステップ112で、コントロールシステム14は、熱処理容器12に貯留された溶液24に対し、選択された冷却方法を用いて、溶液24の現在温度を少なくとも1つの化合物18の結晶化温度よりも低くなるまで冷却操作を行う。TPAの結晶化温度は、具体例として160~182℃の範囲である。
【0087】
次に図8は、結晶化システム10において冷却操作を行っているとき、溶液24の現在温度と複数の結晶粒子30各々の粒径との関係を示す具体例をグラフ表示58、60、62している。図8で、X軸は冷却工程を行っているときの粒径[Size]を、Y軸は冷却工程を行っているときの溶液24の現在温度[Temp]を示している。
【0088】
図8で、冷却工程が進むと、コントロールシステム14が行う冷却方法により溶液24の温度[Temp]が下っていく。溶液24の温度[Temp]が少なくとも1つの化合物18の結晶化温度[Temp2](例えば、160℃)より低くなると、溶液24の結晶化状態が始まる。このとき、溶液24が析出し始め、始まった結晶化状態が、溶液24中の複数の結晶粒子30の形成となる。
【0089】
実施形態では、所定処理温度[Temp1]は、結晶化温度[Temp2]よりも高い。溶液24の温度[Temp]が所定終了温度[Temp3](例えば、100℃)まで下がったとき、冷却工程が終了したとみなされる。実施形態で、結晶化温度[Temp2]は、所定終了温度[Temp3]よりも高い。
【0090】
実施形態で、所定冷却時間は、溶液24の温度[Temp]が所定処理温度[Temp1]と所定終了温度[Temp3]との間にある時間となる。例えば、所定冷却時間は、冷却工程開始後、溶液24の現在温度が270℃となった時から、溶液24の現在温度が100℃となった時までの時間である。
【0091】
曲線58は、水冷却却方法を用いたコントロールシステム14による冷却工程を行っているとき、複数の結晶粒子30各々の粒径[Size]対する溶液24の現在温度[Temp]を表している。冷却工程が終了したとき、複数の結晶粒子30各々の最終粒径[Size1]は、具体例として凡そ125μmである。
【0092】
曲線60は、空気冷却方法を用いてコントロールシステム14による冷却工程を行っているとき、複数の結晶粒子30各々の粒径[Size]に対する溶液24の現在温度[Temp]を表している。冷却工程が終了したとき、複数の結晶粒子30各々の最終粒径[Size2]は、具体例として凡そ201μmである。
【0093】
曲線62は、自然冷却方法を用いてコントロールシステム14による冷却工程を行っているとき、複数の結晶粒子30各々の粒径[Size]に対する溶液24の現在温度[Temp]を表している。冷却工程が終了した時、複数の結晶粒子30各々の最終粒径[Size3]は、具体例として501μmである。
【0094】
ここで図9は、結晶化システム10の冷却操作において、溶液24の現在温度と複数の結晶粒子30各々の粒径との関係の具体例をグラフ表示64、66、68、70している。図9において、X軸は冷却工程を行っているときの粒径[Size]を、Y軸は冷却工程を行っているときの溶液24の現在温度[Temp]を表している。
【0095】
図9では、コントロールシステム14は、複数の冷却フェーズを有する冷却工程を行っているときに少なくとも2つの冷却方法を利用している。図示した実施形態で、コントロールシステム14が、水スプレー40および/またはファン42などの冷却装置に指示して、冷却工程の第1フェーズにあるときに空気冷却方法および/または水冷却却方法を行うようにする。
【0096】
曲線64は、溶液24の現在温度[Temp]が所定処理温度[Temp1](例えば、270℃)から結晶化温度[Temp2](例えば、160℃)に下る冷却工程の第1フェーズを表している。溶液24の現在温度[Temp]が結晶化温度[Temp2]になったとき、コントロールシステム14により冷却工程の第2フェーズが行われる。
【0097】
曲線66は、水冷却方法を用いたコントロールシステム14によって行われる冷却工程の第2フェーズにおける粒径[Size]に対する溶液24の現在温度[Temp]を表わしている。水冷却方法を用いた第2フェーズの間、溶液24の現在温度[Temp]は、結晶化温度[Temp2]から所定終了温度[Temp3]まで下る。第2フェーズの終了したとき、複数の結晶粒子30各々の最終粒径[Size4]は、具体例として凡そ200μmである。
【0098】
曲線68は、空気冷却方法を用いてコントロールシステム14によって行われる冷却工程の第2フェーズにおける粒径[Size]に対する溶液24の現在温度[Temp]を表している。空気冷却方法を用いた第2フェーズで、溶液24の現在温度[Temp]は、結晶化温度[Temp2]から所定終了温度[Temp3]まで下る。第2フェーズの終了したとき、複数の結晶粒子30各々の最終粒径[Size5]は、具体例として凡そ500μmである。
【0099】
曲線70は、自然冷却方法を用いたコントロールシステム14によって行われる冷却工程において、第2フェーズでの粒径[Size]に対する溶液24の現在温度[Temp]を表している。自然冷却方法を用いた第2フェーズでは、溶液24の現在温度[Temp]は、結晶化温度[Temp2]から所定終了温度[Temp3]まで下がる。冷却工程が終了したとき、複数の結晶粒子30各々の最終粒径[Size6]は、具体例として凡そ1000μmである。そのため、冷却工程の全体的な操作は、結晶化工程の最終製品(TPAなど)の粒径をコントロールする上で非常に自由度がある。
【0100】
ここで図5に戻り、方法100はステップ114で終了し、コントロールはステップ102に戻ることができる。ステップ102~114のうちの1つ以上は、所望により繰り返すことができる。
【0101】
次に図10は、インライン熱処理容器74を有する結晶化システム72の別の具体例を、本開示の実施形態に従って示している。図示した実施形態では、結晶化システム72は、インライン熱処理容器74に関連した種々の構成装置とネットワーク16を介して通信可能に接続されたコントロールシステム14を有し、種々の構成装置に指示して結晶化工程を作動させるように構成されている。
【0102】
結晶化システム72の重要な態様は、インライン熱処理容器74が、インライン熱処理容器74内にスラッジ23を連続的に送り出すことによって結晶化工程を行うように構成されていることである。一実施形態で、ポンプ26は、スラッジ23をミキサー22から導管28を介して矢印Xで示した流れ方向に取り出すのに使用される。
【0103】
一実施形態で、インライン熱処理容器74は、所定長さの管状または円筒形状を有する細長い本体を有している。管状形態の構成では、インライン熱処理容器74の内径は、異なる適用ではそれに合わせて変えることができる。一例で、インライン熱処理容器74は、マイクロリアクター、マイクロ構造リアクター、またはマイクロチャネルリアクターとして作用することができる。この構成では、結晶粒子30の粒径が、凡そ100%が同じとなるように均一化することができる(例えば、粒径の標準偏差<0.1)。
【0104】
スラッジ23の特性に応じて、インライン熱処理容器74の構成、所定長さなど、異なる適用にはそれに合わせて変えることができる。インライン熱処理容器74の一端には、高圧ポンプ76がインライン熱処理容器74に流通するように接続され、スラッジ23を、結晶化工程を行うインライン熱処理容器74内に連続的に送り出すように構成されている。
【0105】
スラッジ23の送り出しが終了すると、スラッジ23は、高圧ポンプ76の作用により、インライン熱処理容器74内を矢印Yで示した流れ方向に連続的に前進させる。実施形態で、溶液23は、インライン熱処理容器74内で化合物18がスラッジ23中に溶融するまで加熱され、その際、スラッジ23は溶液24となる。
【0106】
上記の結晶化システム10と同様に、結晶化システム72の処理温度は、具体例として凡そ100~750℃の範囲である。具体例である処理時間もまた、およそ1~60分の範囲である。しかしながら、この処理温度範囲と処理時間範囲は、異なる適用ではそれに合わせて変えることができる。一実施形態で、処理温度は凡そ100~400℃の範囲であり、別の実施形態で、処理温度は凡そ100~300℃の範囲である。例えば、処理温度は凡そ345℃である。
【0107】
図10で、加熱アセンブリ32により誘起される熱処理を行っているとき、インライン熱処理容器74は、所定処理温度が凡そ270℃、および所定内圧が凡そ5.5MPaに達することができる。一例では、結晶化システム72は、TPAの結晶化工程に亜臨界水処理を行っている。
【0108】
一実施形態で、インライン熱処理容器74は、適量の溶液24を確実に貯留するように構成され、また、加熱アセンブリ32によって加熱して加熱炉本体として機能するように構成されている。操作中、結晶化システム72は、熱処理を用いて結晶化工程を行い化合物18に関連する複数の結晶粒子30を生成する。
【0109】
一実施形態で、加熱アセンブリ32は、インライン熱処理容器74の少なくとも一部を囲むように構成された1つ以上の加熱誘導コイル34と、加熱誘導コイル34を誘導駆動するように構成された高周波電源部36を有している。一実施形態で、インライン熱処理容器74は、加熱誘導コイル34によって誘導加熱される磁性グレードのステンレス鋼で作製される。
【0110】
第1圧力センサ78は、加熱アセンブリ32の上流に設置され、第2圧力センサ80は加熱アセンブリ32の下流に設置される。第1圧力センサ78と第2圧力センサ80はいずれもインライン熱処理容器74の内圧を測定するように構成されている。第1圧力センサ78と第2圧力センサ80を、異なる適用に合わせてその他適切な位置にすることも考えられる。
【0111】
一実施形態で、第1圧力センサ78は、加熱誘導コイル34の上流にあるインライン熱処理容器74の内圧を測定するように構成されている。また、第2圧力センサ80は、加熱誘導コイル34の下流にあるインライン熱処理容器74の内圧を測定するように構成されている。
【0112】
例えば、第1圧力センサ78と第2圧力センサ80の双方がコントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続され、結晶化工程を行っているときのインライン熱処理容器74の内圧をリアルタイムで監視する。一実施形態で、コントロールシステム14は、第1圧力センサ78と第2圧力センサ80の少なくとも1つから受信した信号に基づいて、ネットワーク16を介して高圧ポンプ76をコントロールするように構成されている。
【0113】
圧力リリーフ弁82は、インライン熱処理容器74の内圧を逃がすように構成され、加熱アセンブリ32の下流に設置されている。圧力リリーフ弁82の他の適切な場所は、異なる適用ではそれに合わせて例えば加熱アセンブリ32の上流なども考えられる。一例では、圧力リリーフ弁82は、自動圧縮逆止弁であり、別の例では、圧力リリーフ弁82の開閉動作は、コントロールシステム14によって自動的にコントロールされる。
【0114】
1つ以上の温度センサ38が、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続され、インライン熱処理容器74の現在温度をリアルタイムで測定するように構成されている。別の実施形態では、温度センサ38が、結晶化工程を行っているときのインライン熱処理容器74内の溶液24の現在温度をリアルタイムで測定するように構成されている。
【0115】
冷却工程を行っているとき、冷却ジャケット84などの冷却装置は、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続され、溶液24の現在温度を効率よく下げるように構成されている。一例で、冷却ジャケット84は、外気空気または自然空気のみを使用し、別の例では、冷却ジャケット84は、水などの適切なクーラントまたは冷却剤を用いる。水と空気の組み合わせも、適用に合わせて考えられる。水および/または空気の温度は、コントロールシステム14によって、例えば温度センサ38を使用してコントロールすることができる。
【0116】
図10で、例えば、冷却ジャケット84は、インライン熱処理容器74内の溶液24を冷却するのに水を使用している。溶液24が冷却ジャケット84によって冷却されると、インライン熱処理容器74内に1つ以上の結晶粒子30が形成される。高圧ポンプ76による内圧により、複数の結晶粒子30は、インライン熱処理容器74内を矢印Zで示す流れ方向に移動し、その後、さらなる工程のために排出される。
【0117】
インライン熱処理容器74の反対側端部で、結晶粒子30は、インライン熱処理容器74の外部に送り出され、所望に応じてさらなる工程に入る。例えば、送り出された結晶粒子30は、結晶化工程の終了時に所望の粒径を有するTPAの最終生成物とすることができる。
【0118】
背圧レギュレータ86は、インライン熱処理容器74に流通するように接続され、晶析システム72の上流圧力(または背圧)を保持するように構成されている。背圧レギュレータ86の各種自動化動作は、コントローラ14によって達成される。
【0119】
一実施形態で、コントローラ14は、背圧レギュレータ86とネットワーク16を介して通信可能に接続されている。実施形態で、ネットワーク16は、有線および/または無線のデータ伝送インターフェースであることができる。背圧レギュレータ86の詳細な説明は、図11および図12に関連するパラグラフで以下に記載する。
【0120】
さらに、データ記憶装置44は、コントロールシステム14とネットワーク16を介して通信可能に接続され、結晶化システム72によって行われる結晶化工程に関連するデータを、一時的または恒久的に記憶するように構成されている。実施形態で、データ記憶装置44を、コントロールシステム14によって行われる1つ以上の指示を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体とすることができ、データ記憶装置44に記憶されたデータは、さらなる処理のためにコントロールシステム14によって電気的に取り出すことができる。
【0121】
ここで図11は、結晶化システム72と共に使用される背圧レギュレータ86の具体例を示している。図示した実施形態で、背圧レギュレータ86は、インライン熱処理容器74と流通するように接続され、インライン熱処理容器74から受けた結晶粒子30の流れを制限するようした漏斗形状部または円錐状部88を有している。操作中における結晶粒子30の流速は、具体例として凡そ200ミリリットル/分である。
【0122】
図11で、結晶化システム72の背圧レギュレータ86は、入口90と出口92とを有し、入口90と出口92との間に漏斗形状部88が位置している。単一の入口90および単一の出口92で示しているが、異なる適用ではそれに合わせて任意の数の入口および出口も考えられる。
【0123】
図示した実施形態で、背圧レギュレータ86の入口90は、インライン熱処理容器74の排出端部と連通し、流通するように接続されている。典型的に、排出終了時には、結晶粒子30は高圧(例えば、高圧ポンプ76によって生成)で排出される。
【0124】
インライン熱処理容器74内に蓄積する高圧を下げるために、漏斗形状部88は、結晶粒子30の流れを制限するように構成されている。この形態では、例えば、結晶粒子30の排出圧力を凡そ6MPaから凡そ0MPa(例えば、ゼロ標準大気)まで下げる。その結果、結晶粒子30は、出口92においてより低い圧力で排出される。
【0125】
一実施形態で、漏斗形状部88は、背圧レギュレータ86内で漏斗形状部88の内径が結晶粒子30の流れ方向Y方向に徐々に小さくなるように、インライン熱処理容器74の一端でシームレスに長手方向に延びている。図11に示すように、例えば、漏斗形状部88は、入口90と出口92との間で連続的に狭くなる断面開口を有するように、漏斗形状部88の上流側内径D1が漏斗形状部88の下流側内径D2よりも大きくなっている。
【0126】
漏斗形状部88の上流内径D1は、具体例として凡そ6ミリメートルであり、漏斗形状部88の下流内径D2は、具体例として凡そ0.5ミリメートルである。異なる適用ではそれに合わせてその他適切な形態も考えられる。
【0127】
ここで図12は、結晶化システム72と共に用いられる背圧レギュレータ86’の別の具体例を示している。図示した実施形態で、背圧レギュレータ86’は、3つの第1漏斗形状部94A、94B、94Cと2つの第2漏斗形状部96B、96Cとを有している。
【0128】
典型的に、背圧レギュレータ86’内にある第1漏斗形状部94A,94B,94Cそれぞれは、結晶粒子30の流れを抑えるように構成されている。しかし、背圧レギュレータ86’内にある第2漏斗形状部96B,96Cそれぞれは、結晶粒子30の流れの抑えを解放するように構成されている。
【0129】
図12において、結晶化システム72の背圧レギュレータ86’は、入口90と出口92とを有し、第1漏斗形状部94A,94B,94Cの少なくとも1つ、及び第2漏斗形状部96B,96Cの少なくとも1つは、入口90と出口92との間に位置している。3つの第1漏斗形状部94A、94B、94Cと2つの第2漏斗形状部96B、96Cとを示しているが、異なる適用ではそれに合わせて任意の数の第1および第2漏斗形状部が考えられる。
【0130】
図示した実施形態で、背圧レギュレータ86’の入口90は、インライン熱処理容器74の排出端部と流通するように接続されている。図11の漏斗形状部88と同様に、背圧レギュレータ86’内にある第1漏斗形状部94A,94B,94Cそれぞれは、結晶粒子30の流れを抑えるように構成されている。
【0131】
第1漏斗形状部94A,94B,94Cとは異なって第2漏斗形状部96B,96Cそれぞれは、第2漏斗形状部96B,96Cの内径が結晶粒子30の流れ方向Yに徐々に大きくなるようシームレスに長手方向に延びて構成されている。図12に示すように、第2漏斗形状部96Bの上流側内径D3は、第2漏斗形状部96Bの下流側内径D4よりも小さくなっていて、第2漏斗形状部96Bの断面開口が入口90と出口92との間で連続的な拡がりがあるようになっている。
【0132】
第2漏斗形状部96Bの上流内径D3は、具体例として凡そ2ミリメートルであり、第2漏斗形状部96Bの下流内径D4は、具体例として凡そ6ミリメートルである。異なる適用ではそれに合わせてその他適切な形態も考えられる。図示した実施形態で、第1漏斗形状部94A,94B,94Cと第2漏斗形状部96B,96Cとが連通し、互いに流通するように接続されていて、結晶粒子30の連続的流路を作っている。
【0133】
背圧レギュレータ86’内の結晶粒子30の排出圧力を徐々に下げるために、背圧レギュレータ86’には第1チャンバ98A、第2チャンバ98B、第3チャンバ98Cを有している。図12で、第1チャンバ98Aには1つの第1漏斗形状部94Aがあり、第2チャンバ98Bには1つの第1漏斗形状部94Bと1つの第2漏斗形状部96Bとがあり、第3チャンバ98Cには1つの第1漏斗形状部94Cと1つの第2漏斗形状部96Cとがある。この例では、第1チャンバ98Aの第1圧力レベルは凡そ6MPa、第2チャンバ98Bの第2圧力レベルは凡そ4MPa、第3チャンバ98Cの第3圧力レベルは凡そ2MPaである。
【0134】
この図示した実施形態で、インライン熱処理容器74の排出端部から受けた加圧された結晶粒子30は、背圧レギュレータ86’の第1、第2、第3チャンバ98A,98B,98Cを直列に通っていく。このようにして、結晶粒子30は、背圧レギュレータ86’の内圧を下げながら、中断することなく入口90から出口92に連続的に送り出される。
【0135】
その結果、結晶粒子30が流れ方向Zに進むにつれて、出口92での結晶粒子30の排出圧力は凡そ0MPa(例えば、ゼロ標準大気)となる。3つのチャンバ98A、98B、98Cを示しているが、異なる適用ではそれに合わせて任意の数のチャンバが考えられる。
【0136】
次に図13は、TPAなど少なくとも1つの化合物18を溶解剤20と混合した溶液24などの流体生成物について、結晶化工程を行う別の具体例としての方法200をフローチャートで示している。方法200は、図10図12に示した結晶化システム72に関連して示している。
【0137】
一実施形態で、方法200は、加熱アセンブリ32と通信可能に接続されたコントロールシステム14によって実施することができる。一実施形態で、方法200を実施するステップは、コントロールシステム14内の電子コントローラのメモリの1つに記憶され、電子コントローラの各プロセッサ、またはその他のコンピュータ使用可能な媒体によって実行されるコンピュータ読み取り可能プログラム指示の形態とすることができる。
【0138】
別の実施形態で、方法200を実施するステップは、コントロールシステム14などのモジュールまたはコントローラに記憶して実行することができる。これらは、結晶化システム72の電子コントローラの1つから独立していても独立していなくともよい。方法200は、連続的に行ってもよく、または最初にスタートボタン(図示していない)を押すなどの1つ以上の所定行為に応答して開始してもよい。方法200のステップは、適用に適した任意の順序で実行することができる。
【0139】
方法200は、ステップ202で始まる。上記したように、コントロールシステム14によって行う結晶化工程は、加熱工程と、加熱工程の後にある冷却工程とを有している。この図示した実施形態で、ステップ204は加熱工程に関連し、ステップ206~212は冷却工程に関連している。
【0140】
ステップ204で、コントロールシステム14は、加熱アセンブリ32に指示して、インライン熱処理容器74に貯留された溶液24を所定処理温度(例えば、270℃)に誘導加熱する。次いで、コントロールシステム14は、加熱アセンブリ32に指示して、溶液24の現在温度を所定処理時間(例えば、30分間)、所定処理温度に保持する。
【0141】
ステップ206で、コントロールシステム14は、少なくとも1つの化合物18の所望の結晶粒径に基づいて冷却速度を決定する。例えば、所望の結晶粒径は、ユーザーまたは別のシステムによって選択された所定結晶粒径とすることができる。
【0142】
実施形態で、この冷却速度は、上記した冷却方法のうちの1つ以上を用いてインライン熱処理容器74の冷却速度である。いくつかの実施形態で、この冷却速度は、加熱工程が終了した時のインライン熱処理容器74内にある溶液24の冷却速度である。
【0143】
方法100と同様に、少なくとも1つの化合物18それぞれの結晶粒子の所望の結晶粒径は、殆ど(例えば、90%以上)の結晶粒径が130~150μmの範囲に拡がると予想されるように、ユーザーから受け取るか、または別のシステム(例えば、キーボードまたはタッチスクリーンを介して)で選択することができる。所望の粒径を受信すると、コントロールシステム14は、データ記憶装置44に記憶された経験的データを読み出し、所望の粒径に関連する冷却速度を取り出す。
【0144】
実施形態で、経験的データはさらに、冷却方法に関連した冷却速度に関する情報、および化合物18に関連した複数の結晶粒子30各々の対応する粒径に関する情報である。例えば、試行錯誤法を用いて、コントロールシステム14は、種々の実験的冷却操作を行うことができる。
【0145】
実験的な冷却操作で、冷却方法、冷却速度、および化合物18に関連する複数の結晶粒子30各々の粒径を含む経験に基づくデータを収集することができる。例えば、コントロールシステム14は、TPAの結晶粒子30それぞれについて冷却速度を測定し、画像解析を行い、TPAの対応する粒径をデータ記憶装置44に記憶する。
【0146】
具体例である経験的データは、TPAの冷却方法、冷却速度、および対応する粒径との関係を表わす参照表であり、以下の表2に示す。
【0147】
【表2】
ここで、冷却速度は℃/秒で示し、粒径はマイクロメートル(またはミクロン)で示す。冷却速度の決定は、経験的データにおける所望の粒径と粒径との比較によっている。例えば、所望の粒径に最も近い粒径は、コントロールシステム14によって選択される。
【0148】
ここで図14は、冷却工程を行っているときの冷却速度と粒径との関係を示すグラフ表示を具体例として示している。曲線300は、冷却工程における複数の結晶粒子30各々の粒径粒径[Size]を、溶液24(またはインライン熱処理容器74)の冷却速度[Cooling Speed]との関係を表している。
【0149】
冷却工程が終了したとき、複数の結晶粒子30各々の最終粒径[Size1]は、具体例として、-20℃/秒の冷却速度[Speed1]を適用したとき凡そ125μmである。この例では、溶液24の現在温度が20℃/秒で下がる水冷却方法を用いて溶液24を冷却すると、結晶粒子30各々の最終粒径[Size1]は凡そ125μmとなる。
【0150】
別の例で、複数の結晶粒子30各々の最終粒径[Size2]は、具体例として-5℃/秒の冷却速度[Speed2]を適用した場合、凡そ201μmである。この例では、溶液24の現在温度が5℃/秒で下るように空気冷却方法を用いて溶液24を冷却すると、結晶粒子30各々の最終粒径[Size2]は凡そ201μmとなる。
【0151】
図13に戻り、ステップ208で、コントロールシステム14は、経験データで決定された冷却速度に基づいて冷却方法を選択する。一実施形態で、コントロールシステム14は、データ記憶装置44に記憶された経験的データを読み出し、決定された冷却速度に関連する冷却方法を選択する。例えば、決定された冷却速度に最も近い冷却速度を有する冷却方法は、コントロールシステム14によって選択される。
【0152】
ステップ210で、コントロールシステム14は、インライン熱処理容器74の反応場に基づいて粒径を決定する。上記で論じたと同様に、反応場は、インライン熱処理容器74の内容積に関連している。この例で、インライン熱処理容器74を用いているが、適用ではそれに合わせて熱処理容器12などその他熱処理容器も考えられる。
【0153】
一実施形態で、粒径の全体的な適合性を確保するために、粒径は、結晶粒子30を製造するコントロールシステム14によって決定され、結晶粒子30の大部分が常に所望の粒径を有するようにする。このように、各粒径は、結晶粒子30の粒径の平均値に近づくことができ、したがって、殆どの粒径は、平均値にできるだけ近い分布であると予想される。
【0154】
ここで図15は、冷却工程を行っているときの結晶粒子の数とMと記載した粒径との関係を示すグラフ表示を具体例として示している。曲線302、304のそれぞれは、冷却工程中に生成した結晶粒子30の数を、結晶粒子30各々の粒径Mとの関係で表している。一実施形態で、粒径Mは、少なくとも1つの化合物18の所望の粒径である。
【0155】
より具体的に、曲線302は結晶化システム72で生成した結晶粒子30の数を表し、曲線304は結晶化システム72を用いない既存の結晶化工程で生成した結晶粒子30の数を表している。曲線304に示すように、従来の結晶化システムを用いると、結晶粒子30の粒径は、所望の粒径Mからほぼ正規分布で広く分布しており、粒径の釣鐘状分布となっている。
【0156】
しかしながら、曲線302に示すように、結晶化システム72を用いたとき、結晶粒子30の粒径は所望の粒径M付近に高度に集中している。一実施形態で、所望の粒径MからVで指定した所定変動範囲は、コントロールシステム14によって決定される。
【0157】
例えば、コントロールシステム14は、インライン熱処理容器74の反応場に関連する比率Rに基づいて、所定変動範囲Vの粒径をコントロールする。このようにして、結晶化システム72によって生成される結晶粒子30の所定量(例えば、凡そ90%)が所望の粒径Mを有している。そのように、殆どの粒径は、所望の粒径Mにできるだけ近い位置に分布して結晶粒子30の有用な物理的または化学的特性を高めることができる。
【0158】
ここで図13に戻り、ステップ212で、コントロールシステム14は、選択された冷却方法及び決定された冷却速度で、インライン熱処理容器74に貯留された溶液24に対し、溶液24の現在温度が少なくとも1つの化合物18の結晶化温度よりも低くなるまで冷却操作を行う。具体例として、TPAの結晶化温度は160~182℃の範囲である。
【0159】
一実施形態で、冷却操作は、溶液24中の結晶粒子30の粒径それぞれが所望の結晶粒径Mに関して結晶粒子30の所定変動許容値を満たすように、コントロールシステム14によって行う。一例で、所定変動許容値は、所望の粒径M(例えば、±5μm)からの許容できる変動量である。別の例では、所定変動許容値は、所望の粒径Mから許容できる変動パーセント(例えば、±5%)である。
【0160】
一実施形態で、所望の結晶粒径Mに対する結晶粒子30の所定変動許容値は、冷却工程で使用されるインライン熱処理容器74の反応場に関連した比率Rに基づいて満すものである。方法200はステップ214で終了し、コントロールはステップ202に戻ってよい。ステップ202~214のうちの1つ以上を、所望により繰り返すことができる。
【0161】
ここに記載した方法100および方法200のステップは、コントロールシステム14のプロセスコントローラまたはその他類似の装置で実行できると理解されたい。具体的には、プロセスコントローラは、コンピュータ読み取り可能指示を実行するように構成されて、方法100および方法200の1つ以上のステップを行うことができる。操作が実行できる動作状態から、限られた数の操作が実行できるスリープ状態に移行するように構成することができ、したがって、結晶化システム10および/または結晶化システム72電源の静止消費電力をさらに低減している。
【0162】
本開示は、本開示を代表する上記に列挙した特定の実施形態、実施例および図面を参照することにより容易に理解できる。しかしながら、同様のことを説明する目的で記載しており、本開示は、その精神および範囲から逸脱することなく、具体的に図示した以外の方法でも実施され得ることを理解しなければならない。実現されるように、本開示は、種々のその他実施形態が可能であり、そのいくつかの構成要素および関連する詳細は、全て本開示の基本概念から逸脱することなく種々の変更が可能である。したがって、説明は本質的に具体例であり、いかなる形式でも制限するものではないと見なされる。ここに記載したシステム、方法、および装置の修正および変形は、当業者には明らかであろう。このような修正および変形は、添付の特許請求の範囲に入ることを意図している。
【符号の説明】
【0163】
10 結晶化システム
12、12A、12B、12C、12D、12E 熱処理容器
14 コントロールシステム、コントローラー
16 ネットワーク
18 化合物
20 溶解剤
22 ミキサー
23 スラッジ
24 溶液
25 カバー
26 ポンプ
28 導管
30 結晶粒子
32 加熱アセンブリ
34 加熱誘導コイル
36 高周波電源部
38 温度センサ
40 冷却装置、水スプレー
42 冷却装置、ファン
44 データ記憶装置、データ記憶装置ストレージ
46 整磁合金層
48 移送システム
50 ロボットシステム
50A 第1ロボットシステム
50B 第2ロボットシステム
52 移動部材
64 第1フェーズ
66、68、70 第2フェーズ
100 方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15