(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電池セル、電池、電力消費機器及び電池セルの製造方法と製造機器
(51)【国際特許分類】
H01M 10/653 20140101AFI20241007BHJP
H01M 10/6554 20140101ALI20241007BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20241007BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20241007BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20241007BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20241007BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20241007BHJP
【FI】
H01M10/653
H01M10/6554
H01M10/613
H01M10/615
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/15
(21)【出願番号】P 2023508046
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 CN2021112495
(87)【国際公開番号】W WO2023015558
(87)【国際公開日】2023-02-16
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】周文林
(72)【発明者】
【氏名】徐良帆
(72)【発明者】
【氏名】陳文偉
(72)【発明者】
【氏名】李星
(72)【発明者】
【氏名】李全坤
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0028425(US,A1)
【文献】特開2006-40901(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111146372(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52-10/667
H01M 50/00-50/198
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
開口を有するハウジングと、
前記ハウジング内に収容されるための電極アセンブリと、
前記開口に被せるためのエンドキャップと、
前記エンドキャップの前記電極アセンブリに向かう側に位置し、前記エンドキャップと前記電極アセンブリとを隔離するための絶縁部材と、
前記絶縁部材内に嵌設され、前記エンドキャップに密着されるように構成される熱伝導部材とを含
み、
前記絶縁部材上に、溝口が前記エンドキャップに向かう収容溝が設けられ、前記熱伝導部材の少なくとも一部は、前記収容溝内に収容される、
ことを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記熱伝導部材は、前記エンドキャップの厚さ方向に対向して配置される第1の密着面と第2の密着面を含み、前記第1の密着面は、前記エンドキャップに密着されるために用いられ、前記第2の密着面は、前記収容溝の底面に密着されるために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記絶縁部材は、前記収容溝の底部に位置する絶縁部を含み、前記絶縁部は、前記電極アセンブリと前記熱伝導部材とを仕切るために用いられ、
前記収容溝の深さは、前記絶縁部の厚さよりも大きい、ことを特徴とする請求項2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記絶縁部材は、前記エンドキャップに密着されるための第3の密着面を有し、前記収容溝は、前記第3の密着面から、前記エンドキャップから離反する方向へ凹み、前記第3の密着面と前記第1の密着面とは面一である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の電池セル。
【請求項5】
前記絶縁部材にストッパー部材が設けられ、前記ストッパー部材は、前記熱伝導部材が前記絶縁部材から脱離することを制限するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記ストッパー部材は、前記熱伝導部材と前記収容溝の底面との分離を制限するために用いられる、ことを特徴とする請求項5に記載の電池セル。
【請求項7】
前記エンドキャップの厚さ方向において、前記ストッパー部材の少なくとも一部と前記底面との間にストッパー隙間が形成され、前記ストッパー隙間は、前記熱伝導部材の一部を収容して、前記熱伝導部材と前記底面との分離を制限するために用いられる、ことを特徴とする請求項6に記載の電池セル。
【請求項8】
前記熱伝導部材に貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、前記ストッパー部材を収容するために用いられ、前記貫通孔の孔壁上にストッパー突起が形成され、
前記ストッパー部材は、相互接続された接続部とストッパー部を含み、前記接続部は、前記底面に接続され、前記ストッパー部と前記底面との間に前記ストッパー隙間が形成され、前記ストッパー隙間は、前記ストッパー突起を収容するために用いられる、ことを特徴とする請求項7に記載の電池セル。
【請求項9】
前記ストッパー部材は、前記底面から突出し、前記ストッパー部材の前記底面から離反する端に第4の密着面が形成され、前記第4の密着面は、前記エンドキャップに密着されるために用いられる、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記エンドキャップは、熱管理部材に付着されるために用いられ、前記熱管理部材は、前記電池セルの温度を管理するために用いられる、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項11】
前記エンドキャップは、前記熱管理部材に付着されるための密着部を有し、前記熱伝導部材は、前記密着部に密着されるために用いられる、ことを特徴とする請求項10に記載の電池セル。
【請求項12】
前記エンドキャップの厚さ方向において、前記熱管理部材の投影と前記熱伝導部材との投影とは少なくとも部分的に重なる、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の電池セル。
【請求項13】
前記熱伝導部材は、金属材質である、ことを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項14】
電池であって、
請求項1~13のいずれか一項に記載の電池セルと、
前記電池セルを収容するための筐体とを含む、ことを特徴とする電池。
【請求項15】
前記電池は、熱管理部材をさらに含み、前記熱管理部材は、前記エンドキャップに付着されるために用いられ、前記熱管理部材は、前記電池セルの温度を管理するために用いられる、ことを特徴とする請求項14に記載の電池。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の電池を含む、ことを特徴とする電力消費機器。
【請求項17】
電池セルの製造方法であって、
開口を有するハウジングを提供することと、
電極アセンブリを提供することと、
エンドキャップと、エンドキャップの片側に位置する絶縁部材と、前記絶縁部材
の、溝口が前記エンドキャップに向かう収容溝内に嵌設され、前記エンドキャップに密着されるように構成される熱伝導部材とを提供することと、
前記電極アセンブリを前記ハウジング内に収容することと、
前記エンドキャップを前記開口に被せ、前記絶縁部材を前記エンドキャップの前記電極アセンブリに向かう側に位置させることとを含む、ことを特徴とする電池セルの製造方法。
【請求項18】
電池セルの製造機器であって、
開口を有するハウジングを提供するための第1の提供装置と、
電極アセンブリを提供するための第2の提供装置と、
エンドキャップと、エンドキャップの片側に位置する絶縁部材と、前記絶縁部材
の、溝口が前記エンドキャップに向かう収容溝内に嵌設され、前記エンドキャップに密着されるように構成される熱伝導部材とを提供するための第3の提供装置と、
前記電極アセンブリを前記ハウジング内に収容するために用いられ、前記エンドキャップを前記開口に被せ、前記絶縁部材を前記エンドキャップの前記電極アセンブリに向かう側に位置させるためにも用いられる組み立て装置とを含む、ことを特徴とする電池セルの製造機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池技術分野に関し、具体的には、電池セル、電池、電力消費機器及び電池セルの製造方法と製造機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、電子機器、例えば、携帯電話、ノートパソコン、バッテリ車、電気自動車、電気飛行機、電気汽船、電動自動車玩具、電動汽船玩具、電動飛行機玩具及び電動ツールなどに広く応用されている。
【0003】
電池セルは、一般的には、正極板と負極板との間での金属イオンの移動によって電気エネルギーを発生する。電池セルの充放電プロセスにおいて、内部に熱を発生し、電池セル内部の熱がタイムリーに放出できなければ、電池セルの耐用年数に直接的に影響を及ぼす。
【0004】
そのため、電池セルの耐用年数をどのように向上させるかは、電池技術における早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例は、電池セルの耐用年数を効果的に向上させることができる電池セル、電池、電力消費機器及び電池セルの製造方法と製造機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本出願の実施例は、電池セルを提供し、該電池セルは、開口を有するハウジングと、前記ハウジング内に収容されるための電極アセンブリと、前記開口に被せるためのエンドキャップと、前記エンドキャップの前記電極アセンブリに向かう側に位置し、前記エンドキャップと前記電極アセンブリとを隔離するための絶縁部材と、前記絶縁部材内に嵌設され、前記エンドキャップと密着されるように構成される熱伝導部材とを含む。
【0007】
上記技術案では、絶縁部材内に熱伝導部材が嵌設され、熱伝導部材がエンドキャップに密着され、電極アセンブリから発生した熱が熱伝導部材によってエンドキャップに効率的に伝達されることが可能であり、熱伝導部材の設置が電極アセンブリとエンドキャップとの間の伝熱効率を向上させ、電極アセンブリから発生した熱を熱伝導部材によってエンドキャップにより容易に伝達することが可能であり、電池セルの放熱性能を効果的に向上させ、電池セルの耐用年数を延ばす。
【0008】
いくつかの実施例では、前記絶縁部材上に、溝口が前記エンドキャップに向かう収容溝が設けられ、前記熱伝導部材の少なくとも一部は、前記収容溝内に収容され、前記熱伝導部材は、前記エンドキャップの厚さ方向に対向して配置される第1の密着面と第2の密着面を含み、前記第1の密着面は、前記エンドキャップに密着されるために用いられ、前記第2の密着面は、前記収容溝の底面に密着されるために用いられる。
【0009】
上記技術案では、熱伝導部材の少なくとも一部は、絶縁部材の収容溝内に収容され、収容溝は、熱伝導部材に対して制限の役割を果たし、熱伝導部材を絶縁部材内に嵌設することを実現する。熱伝導部材の第1の密着面はエンドキャップに密着され、熱伝導部材とエンドキャップとの密着を実現し、熱伝導部材の第2の密着面が収容溝の底面に密着され、熱伝導部材と電極アセンブリとの距離を短縮し、熱伝導部材と電極アセンブリの放熱距離を低減させることができる一方、熱伝導部材と絶縁部材との接触面積を大きくし、絶縁部材と熱伝導部材との間の伝熱効率を向上させることができ、絶縁部材における熱を熱伝導部材に迅速に伝達することができ、電池セルの放熱性能をさらに向上させる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記絶縁部材は、前記収容溝の底部に位置する絶縁部を含み、前記絶縁部は、前記電極アセンブリと前記熱伝導部材とを仕切るために用いられ、前記収容溝の深さは、前記絶縁部の厚さよりも大きい。
【0011】
上記技術案では、収容溝の深さは、電極アセンブリと熱伝導部材とを仕切る絶縁部の厚さよりも大きく、絶縁部は、比較的に薄い。電極アセンブリから発生した熱は、絶縁部によって熱伝導部材により容易に伝達され、これにより電池セル内部の熱がタイムリーに放出される。
【0012】
いくつかの実施例では、前記絶縁部材は、前記エンドキャップに密着されるための第3の密着面を有し、前記収容溝は、前記第3の密着面から、前記エンドキャップから離反する方向へ凹み、前記第3の密着面と前記第1の密着面とが面一である。
【0013】
上記技術案では、絶縁部材の第3の密着面と熱伝導部材の第1の密着面とが面一であり、第1の密着面と第3の密着面を同時にエンドキャップに密着させることができ、熱伝導部材と絶縁部材における熱をエンドキャップに伝達することを容易にし、電池セル内部の熱の放出に有利である。
【0014】
いくつかの実施例では、前記絶縁部材上にストッパー部材が設けられ、前記ストッパー部材は、前記熱伝導部材が前記絶縁部材から脱離することを制限するために用いられる。
【0015】
上記技術案では、絶縁部材におけるストッパー部材は、熱伝導部材に対して制限の役割を果たし、熱伝導部材が絶縁部材から脱離することを制限し、電池セルの組み立てを容易にする。
【0016】
いくつかの実施例では、前記絶縁部材上に、溝口が前記エンドキャップに向かう収容溝が設けられ、前記熱伝導部材の少なくとも一部は、前記収容溝内に収容され、前記ストッパー部材は、前記熱伝導部材と前記収容溝の底面との分離を制限するために用いられる。
【0017】
上記技術案では、ストッパー部材が、熱伝導部材が収容溝の底面から脱離することを制限する役割を果たすことによって、熱伝導部材を、収容溝の底面と接触する状態に常に維持し、絶縁部材と熱伝導部材との間の伝熱効率を向上させ、絶縁部材における熱を熱伝導部材に迅速に伝達することが可能である。
【0018】
いくつかの実施例では、前記エンドキャップの厚さ方向において、前記ストッパー部材の少なくとも一部と前記底面との間にストッパー隙間が形成され、前記ストッパー隙間は、前記熱伝導部材の一部を収容して、前記熱伝導部材と前記底面との分離を制限するために用いられる。
【0019】
上記技術案では、熱伝導部材の少なくとも一部は、ストッパー部材と底面との間に形成されるストッパー隙間内に収容され、熱伝導部材に対する位置制限を実現し、熱伝導部材が収容溝の底面から脱離することを制限するという目的を達成する。ストッパーは簡易な構造である。
【0020】
いくつかの実施例では、前記熱伝導部材に貫通孔が設けられ、前記貫通孔は、前記ストッパー部材を収容するために用いられ、前記貫通孔の孔壁上にストッパー突起が形成され、前記ストッパー部材は、相互接続された接続部とストッパー部を含み、前記接続部は、前記底面に接続され、前記ストッパー部と前記底面との間に前記ストッパー隙間が形成され、前記ストッパー隙間は、前記ストッパー突起を収容するために用いられる。
【0021】
上記技術案では、熱伝導部材の貫通孔の孔壁におけるストッパー突起は、ストッパー部と収容溝の底面との間に形成されるストッパー隙間内に収容され、絶縁部材と熱伝導部材は、ストッパー部材によって、係止による嵌め合いを実現し、熱伝導部材と絶縁部材の取り外し及び取り付けを容易にする。
【0022】
いくつかの実施例では、ストッパー部材は、前記底面から突出し、前記ストッパー部材の前記底面から離反する端に第4の密着面が形成され、前記第4の密着面は、前記エンドキャップに密着されるために用いられる。
【0023】
上記技術案では、ストッパー部材の第4の密着面はエンドキャップに密着され、絶縁部材における熱をエンドキャップに伝達することに有利である。
【0024】
いくつかの実施例では、前記エンドキャップは、熱管理部材に付着されるために用いられ、前記熱管理部材は、前記電池セルの温度を管理するために用いられる。
【0025】
上記技術案では、エンドキャップは、熱管理部材に付着されるために用いられ、電池セルは、エンドキャップによって熱管理部材と熱伝達を行うことができ、熱管理部材によって電池セルの温度を調整することを容易にする。絶縁部材内に熱伝導部材が嵌設されるため、電池セルに対する熱管理部材の熱管理効率を効果的に向上させ、電池セルを合理的な範囲内の使用温度にすることができる。
【0026】
いくつかの実施例では、前記エンドキャップは、前記熱管理部材に付着されるための密着部を有し、前記熱伝導部材は、前記密着部に密着されるために用いられる。
【0027】
上記技術案では、エンドキャップの密着部は、熱管理部材に付着されるために用いられるし、密着部に密着されるためにも用いられ、熱管理部材と熱伝導部材との間の熱伝達経路を短縮することができ、電池セルに対する熱管理部材の熱影響効率を向上させる。
【0028】
いくつかの実施例では、前記エンドキャップの厚さ方向において、前記熱管理部材の投影と前記熱伝導部材との投影とは少なくとも部分的に重なる。
【0029】
上記技術案では、エンドキャップの厚さ方向における熱管理部材の投影とエンドキャップの厚さ方向における熱伝導部材の投影とは少なくとも部分的に重なり、熱管理部材と熱伝導部材との間の熱伝達経路を効果的に短縮することができ、電池セルに対する熱管理部材の熱影響効率を向上させる。
【0030】
いくつかの実施例では、前記熱伝導部材は、金属材質である。
【0031】
上記技術案では、熱伝導部材は金属材質であり、これにより、熱伝導部材が優れている熱伝導能力を有する。
【0032】
第2の態様では、本出願の実施例は、電池を提供し、該電池は、第1の態様のいずれか一つの実施例による電池セルと、前記電池セルを収容するための筐体とを含む。
【0033】
いくつかの実施例では、前記電池は、熱管理部材をさらに含み、前記熱管理部材は、前記エンドキャップに付着されるために用いられ、前記熱管理部材は、前記電池セルの温度を管理するために用いられる。
【0034】
第3の態様では、本出願の実施例は、第2の態様のいずれか一つの実施例による電池を含む電力消費機器を提供する。
【0035】
第4の態様では、本出願の実施例は、電池セルの製造方法を提供し、該方法は、開口を有するハウジングを提供することと、電極アセンブリを提供することと、エンドキャップと、エンドキャップの片側に位置する絶縁部材と、前記絶縁部材内に嵌設され、前記エンドキャップに密着されるように構成される熱伝導部材とを提供することと、電極アセンブリを前記ハウジング内に収容することと、前記エンドキャップを前記開口に被せ、前記絶縁部材を前記エンドキャップの前記電極アセンブリに向かう側に位置させることとを含む。
【0036】
第5の態様では、本出願の実施例は、電池セルの製造機器をさらに提供し、該製造機器は、開口を有するハウジングを提供するための第1の提供装置と、電極アセンブリを提供するための第2の提供装置と、エンドキャップと、エンドキャップの片側に位置する絶縁部材と、前記絶縁部材内に嵌設され、前記エンドキャップに密着されるように構成される熱伝導部材とを提供するための第3の提供装置と、電極アセンブリを前記ハウジング内に収容するために用いられ、前記エンドキャップを前記開口に被せ、前記絶縁部材を前記エンドキャップの前記電極アセンブリに向かう側に位置させるためにも用いられる組み立て装置とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本出願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例で使用する必要がある図面を簡単に説明するが、理解すべきこととして、以下の図面は、本出願のいくつかの実施例を示すことに過ぎず、範囲に対する限定と見なされるべきではなく、当業者にとっては、創造的な労力を支払うことなく、図面に基づいて他の関連する図面を入手することができる。
【
図1】本出願のいくつかの実施例による車両の構造概略図である。
【
図2】本出願のいくつかの実施例による電池の構造概略図である。
【
図3】本出願のいくつかの実施例による電池セルの分解図である。
【
図4】
図3に示すエンドキャップアセンブリの構造概略図である。
【
図5】
図4に示すエンドキャップアセンブリのA箇所の部分拡大図である。
【
図6】
図4に示すエンドキャップアセンブリの部分分解図である。
【
図7】エンドキャップアセンブリと熱管理部材の位置関係図である。
【
図8】本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造方法のフローチャートである。
【
図9】本出願のいくつかの実施例による電池セルの製造機器の概略的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本出願の実施例の目的、技術案、及び利点をより明確にするために、以下、本出願の実施例の図面を結び付けながら、本出願の実施例における技術案を明確に説明する。説明される実施例は、本出願の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を払わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本出願の保護範囲に属する。
【0039】
特に定義されない限り、本出願で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本出願において、出願の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためにのみ用いられ、本出願を制限することを意図するものではない。本出願の明細書と請求の範囲及び上記の図面の説明における用語である「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な「含む」を意図的にカバーするものである。本出願の明細書と請求の範囲又は上記の図面における用語である「第1」、「第2」などは、異なる対象を区別するためのものであり、特定の順序又は主副関係を説明するためのものではない。
【0040】
本出願において「実施例」と言及する場合、実施例で説明された特定の特徴、構造又は特性が本出願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書における各箇所に記載されたこの語句は、必ずしも全てが同じ実施例を指すものではなく、他の実施例と相互排他する独立した又は代替的な実施例でもない。
【0041】
本出願の記述において、説明すべきこととして、特に明記し、限定する場合を除き、「取り付け」、「繋がり」、「接続」、「付着」という用語は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、直接に接続してもよく、中間媒体を介して間接に接続してもよく、2つの素子の内部を連通させてもよい。当業者は、具体的な状況に応じて、上記用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0042】
本出願の実施例において、同一の符号は同一の構成要素を表し、また、簡潔のために、異なる実施例において、同一の構成要素に対する詳細な説明を省略する。なお、図面に示される本出願の実施例における各部材の厚さ、長さ・幅などの寸法、及び集積装置の全体的な厚さ、長さ・幅などの寸法は、例示的なものに過ぎず、本出願を限定するものではない。
【0043】
本出願における「複数」とは、二つ以上(二つを含む)のことを言う。
【0044】
本出願において、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池などを含んでもよいが、本出願の実施例では、それを限定しない。電池セルは、円柱体、扁平体、長方体、又はその他の形状などを有してもよく、本出願の実施例ではこれについても限定しない。電池セルは、パッケージングの形態によって、一般的には、柱形電池セル、四角形電池セルとパウチ電池セルの3つの種類に分けられ、本出願の実施例では、それを限定しない。
【0045】
本出願の実施例で言及した電池は、より高い電圧と容量を提供するために1つ又は複数の電池セルを含む単一の物理的モジュールを指す。例えば、本出願に言及される電池には、電池モジュール又は電池パックなどが含まれてもよい。電池は、一般的には、1つ又は複数の電池セルをパッケージングするための筐体を含む。筐体は、液体又はその他の異物が電池セルの充電又は放電に影響を与えることを逃すことができる。
【0046】
電池セルは電極アセンブリと電解液とを含み、電極アセンブリは正極板、負極板とセパレータによって構成される。電池セルは、主に金属イオンが正極板と負極板との間で移動することにより動作する。正極板は、正極集電体と正極活物質層とを含み、正極活物質層は、正極集電体の表面に塗布されており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極活物質層が塗布された正極集電体から突出しており、正極活物質層が塗布されていない正極集電体は、正極タブとされる。リチウムイオン電池を例にして、正極集電体の材料はアルミニウムであってもよく、正極活物質は、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、三元リチウム又はマンガン酸リチウムなどであってもよい。負極板は、負極集電体と負極活物質層とを含み、負極活物質層は、負極集電体の表面に塗布されており、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極活物質層が塗布された負極集電体から突出しており、負極活物質層が塗布されていない負極集電体は、負極タブとされる。負極集電体の材料は銅であってもよく、負極活物質は、炭素又はシリコンなどであってもよい。大電流を流しても溶断が生じないように、正極タブの数は複数で積層されており、負極タブの数は複数で積層されている。セパレータの材質は、PP(polypropylene、ポリプロピレン)又はPE(polyethylene、ポリエチレン)などであってもよい。また、電極アセンブリは、巻回型構造であってもよいし、積層型構造であってもよく、本出願の実施例はこれに限定されるものではない。
【0047】
発明者らは、電池セルの充放電プロセスにおいて、電池セル内部に熱を発生し、電池セル内部の熱がタイムリーに放出できなければ、電池セルの耐用年数に影響を及ぼすことに気づいた。
【0048】
発明者らが検討したところ、電池セルでは、エンドキャップと電極アセンブリとの絶縁を実現するために、エンドキャップと電極アセンブリとの間に絶縁部材を設けることで、エンドキャップと電極アセンブリを絶縁して隔離する必要があることを発見した。絶縁部材によってエンドキャップと電極アセンブリとの絶縁隔離を実現したが、絶縁部材の熱伝導能力が悪いため、電極アセンブリから発生した熱が絶縁部材によってエンドキャップに伝達されにくく、電池セル内部の熱が放出されにくくなる。よって、電池セル内部の熱が継続的に累積することに伴い、電池セル内部の温度が次第に上昇し、電池セルの性能に影響を与え、ひいては爆発のリスクが発生し、電池セルの耐用年数に影響を及ぼす。
【0049】
これに鑑みて、本出願の実施例は、電池セルを提供する。絶縁部材内に熱伝導部材を嵌設し、熱伝導部材をエンドキャップに密着することで、電池セルの電極アセンブリから発生した熱を熱伝導部材によってエンドキャップに伝達することが可能である。
【0050】
このような電池セルでは、熱伝導部材の設置によって、電極アセンブリとエンドキャップとの間の伝熱効率を向上させ、電極アセンブリから発生した熱を熱伝導部材によってエンドキャップにより容易に伝達することが可能である。よって、電池セルの放熱性能が効果的に向上し、電池セルの耐用年数が延びる。
【0051】
本出願の実施例による電池セルは、電池及び電池セルを用いる電力消費機器に適用される。
【0052】
電力消費機器は、車両、携帯電話、携帯型機器、ノートパソコン、汽船、宇宙航空機、電動玩具と電動ツールなどであってもよい。車両は、燃料油自動車、ガス自動車、又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車、又はレンジエクステンダー自動車などであってもよく、宇宙航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトルと宇宙船などを含み、電動玩具は、固定型又は移動型電動玩具、例えば、ゲーム機、電気自動車玩具、電気汽船玩具、電気飛行機玩具などを含み、電動ツールは、金属切削電動ツール、研磨電動ツール、組み立て電動ツールと鉄道用電動ツール、例えば、電動ドリル、電動グラインダー、電動レンチ、電動ドライバー、電動ハンマ、ハンマードリル、コンクリート振動機、電動鉋などを含む。本出願の実施例では特に上記電力消費機器について限定しない。
【0053】
以下の実施例は、説明を容易にするために、電力消費機器が車両であることを例として説明する。
【0054】
図1を参照すると、
図1は、本出願のいくつかの実施例による車両1000の構造概略図であり、車両1000の内部には電池100が設置され、電池100は車両1000の底部又は先頭部又は後尾部に設置されてよい。電池100は、車両1000への給電に使用されることができ、例えば、電池100は、車両1000の操作電源とすることができる。
【0055】
車両1000は、コントローラ200と、モータ300とをさらに含んでもよく、コントローラ200は、電池100がモータ300に給電し、例えば、車両1000の始動、ナビゲーション及び走行時の動作電力需要に用いるように制御するために用いられる。
【0056】
いくつかの実施例では、電池100は、車両1000の操作電源として用いることができるだけでなく、車両1000の駆動電源として、燃料油又は天然ガスの代わりに、又はその一部の代わりに車両1000に駆動動力を提供することもできる。
【0057】
図2を参照すると、
図2は、本出願のいくつかの実施例による電池100の構造概略図であり、電池100は、筐体10と、電池セル20とを含み、筐体10は、電池セル20を収容するために用いられる。
【0058】
ここで、筐体10は、電池セル20に収容空間を提供するために用いられ、筐体10は、様々な構造を採用してもよい。いくつかの実施例では、筐体10は、第1の部分11と、第2の部分12とを含んでもよく、第1の部分11と第2の部分12とが互いに被せられることで、電池セル20を収容するための収容空間を画定する。
【0059】
第1の部分11と第2の部分12は、様々な形状、例えば、長方体、円柱体などであってもよい。第1の部分11は、片側が開放された中空構造であってもよい。第2の部分12は、片側が開放された中空構造であってもよい。第2の部分12の開放側が第1の部分11の開放側に被せられることで、収容空間を有する筐体10を形成する。第1の部分11が、片側が開放された中空構造であり、第2の部分12が板状構造であってもよく、第2の部分12が第1の部分11の開放側に被せられることで、収容空間を有する筐体10を形成する。
【0060】
第1の部分11と第2の部分12は、シール素子によって封止を実現してもよく、シール素子は、シールリング、シーラントなどであってもよい。
【0061】
電池100において、電池セル20は、一つであってもよいし、複数であってもよい。電池セル20が複数であれば、複数の電池セル20の間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続であってもよく、直並列接続は、複数の電池セル20に直列接続も並列接続も含まれることを意味する。複数の電池セル20をまず直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールを直列接続又は並列接続又は直並列接続して一体を形成し、筐体10内に収容してもよい。全ての電池セル20の間を直接的に直列接続又は並列接続又は直並列接続してから、全ての電池セル20で構成される全体を筐体10内に収容してもよい。
【0062】
いくつかの実施例では、電池100は、バスバー部材をさらに含んでもよく、複数の電池セル20の間は、バスバー部材によって電気的接続を実現することによって、複数の電池セル20の直列接続又は並列接続又は直並列接続を実現することができる。
【0063】
バスバー部材は、金属導体、例えば、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチール、アルミニウム合金などであってもよい。
【0064】
いくつかの実施例では、電池100は、熱管理部材30(
図2では図示されない)をさらに含んでもよい。熱管理部材30は、電池セル20の温度を管理するために用いられる。
【0065】
熱管理部材30は、電池セル20の温度を管理するための部材であり、電池セル20の温度を管理することは、電池セル20に対して加熱又は冷却を行うことを指す。つまり、熱管理部材30は、電池セル20を加熱するための加熱部材であってもよく、電池セル20を降温するための冷却部材であってもよい。
【0066】
熱管理部材30は、流体を収容することで電池セル20の温度を調整するための部材であってもよい。この流体は、液体又はガス、例えば、水、水とエチレングリコールの混合液又は空気などであってもよい。
【0067】
熱管理部材30によって、電池セル20の温度を管理し、電池セル20を合理的な使用温度範囲内に制御し、電池セル20の性能を確保し、電池セル20の耐用年数を向上させることができる。
【0068】
図3は、本出願のいくつかの実施例による電池セル20の分解図である。
図3を参照すると、電池セル20は、ハウジング21と、電極アセンブリ22と、エンドキャップアセンブリとを含み、エンドキャップアセンブリは、エンドキャップ23と、絶縁部材24とを含む。
【0069】
ハウジング21は、電極アセンブリ22を収容するための部材であり、一端に開口が形成された中空構造であってもよい。ハウジング21は、様々な形状、例えば、円柱体、長方体などであってもよい。ハウジング21の形状は、電極アセンブリ22の形状によって確定されてもよい。電極アセンブリ22が円柱体構造であれば、ハウジング21として円柱体構造を選択してもよく、電極アセンブリ22が長方体構造であれば、ハウジング21として長方体構造を選択してもよい。ハウジング21の材質は、様々なもの、例えば、銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金などであってもよい。
【0070】
ハウジング21内の電極アセンブリ22は、一つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、
図3に示すように、電極アセンブリ22は複数であり、複数の電極アセンブリ22は、エンドキャップ23の幅方向Yに沿って積層されて配置される。
【0071】
電極アセンブリ22は、電池セル20において電気化学反応が生じる部材である。電極アセンブリ22は、正極板と、負極板と、セパレータとを含んでもよい。電極アセンブリ22は、正極板、セパレータ及び負極板を巻き取ることで形成される巻回型構造であってもよい。電極アセンブリ22は、正極板、セパレータ及び負極板を積層して配置することで形成される積層型構造であってもよい。
【0072】
正極板は、正極集電体と、正極集電体の対向する両側に塗布された正極活物質層とを含んでもよい。負極板は、負極集電体と、負極集電体の対向する両側に塗布された負極活物質層とを含んでもよい。電極アセンブリ22は、正極タブ221と、負極タブ222とを含み、正極タブ221は、正極板における、正極活物質層が塗布されていない部分であってもよく、負極タブ222は、負極板における、負極活物質層が塗布されていない部分であってもよい。
【0073】
エンドキャップ23は、ハウジング21の開口に被せられ、電池セル20の内部環境を外部環境から隔離する部材である。エンドキャップ23は、ハウジング21の開口に被せられ、エンドキャップ23とハウジング21は共同で電極アセンブリ22、電解液及び他の部材を収容するための封止空間を画定する。エンドキャップ23の形状は、ハウジング21の形状に適合してもよく、例えば、ハウジング21は、長方体構造であり、エンドキャップ23は、ハウジング21に適合する矩形板状構造であり、また例えば、ハウジング21は、円柱体構造であり、エンドキャップ23は、ハウジング21に適合する円形板状構造である。エンドキャップ23の材質は、様々なもの、例えば、銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金などであってもよく、エンドキャップ23の材質とハウジング21の材質とが同じであっても異なっていてもよい。
【0074】
エンドキャップ23上に電極端子が設置されてもよい。電極端子は、電極アセンブリ22に電気的に接続されることで、電池セル20の電気エネルギーを出力するために用いられる。電極端子は、正極電極端子231と、負極電極端子232とを含んでもよく、正極電極端子231は、正極タブ221に電気的に接続されるために用いられ、負極電極端子232は、負極タブ222に電気的に接続されるために用いられる。例示的には、正極電極端子231は、一つの集電部品を介して正極タブ221に電気的に接続されてもよく、負極電極端子232は、別の集電部品を介して負極タブ222に電気的に接続されてもよい。
【0075】
絶縁部材24は、エンドキャップ23と電極アセンブリ22とを隔離するための部材であり、絶縁部材24によって、エンドキャップ23と電極アセンブリ22との絶縁隔離を実現し、正負極の短絡リスクを低減させる。絶縁部材24は、絶縁材質であり、絶縁部材24は、プラスチック、ゴムなどのような絶縁材質であってもよい。
【0076】
図3と
図4を結び付けて、
図4は、
図3に示すエンドキャップアセンブリの構造概略図である。本出願の実施例は、電池セル20を提供し、電池セル20は、ハウジング21と、電極アセンブリ22と、エンドキャップ23と、絶縁部材24と、熱伝導部材25とを含む。ハウジング21は、開口を有する。電極アセンブリ22は、ハウジング21内に収容されるために用いられる。エンドキャップ23は、開口に被せるために用いられる。絶縁部材24は、エンドキャップ23の電極アセンブリ22に向かう側に位置し、絶縁部材24は、エンドキャップ23と電極アセンブリ22とを隔離するために用いられる。熱伝導部材25は、絶縁部材24内に嵌設され、熱伝導部材25は、エンドキャップ23に密着されるように構成される。
【0077】
絶縁部材24内に嵌設される熱伝導部材25は、一つであってもよいし、複数であってもよい。熱伝導部材25の材料は、様々なもの、例えば、金属、セラミックス、石英、大理石、熱伝導接着剤などであってもよい。
【0078】
熱伝導部材25は、良好な熱伝導性能を有し、熱伝導部材25の熱伝導率は、絶縁部材24の熱伝導率よりも大きい。即ち、熱伝導部材25の熱伝導能力は、絶縁部材24の熱伝導能力よりも優れており、絶縁部材24の熱伝導能力が悪くて電池セル20内部の熱をタイムリーに放出できないという状況を改善する。例えば、熱伝導部材25は、アルミニウム材質であり、絶縁部材24は、ゴム材質であり、アルミニウム材質の熱伝導率は、ゴム材質の熱伝導率よりも明らかに大きい。
【0079】
「熱伝導部材25が絶縁部材24内に嵌設される」ことは、熱伝導部材25の少なくとも一部が絶縁部材24内に位置することを指し、熱伝導部材25の部分が絶縁部材24内に位置することであってもよく、熱伝導部材25全体が完全に絶縁部材24内に位置することであってもよい。熱伝導部材25が絶縁部材24内に嵌設されることで、熱伝導部材25が電極アセンブリ22にさらに近接し、電池セル20内部の放熱に有利である。
【0080】
「熱伝導部材25がエンドキャップ23に密着されるように構成される」ことは、熱伝導部材25がエンドキャップ23と直接的に接触する状態を有し、熱伝導部材25によって吸収される熱をエンドキャップ23により効果的に伝達できることを指す。熱伝導部材25は、エンドキャップ23と接触する状態を常に維持してもよく、あるシナリオのみで、熱伝導部材25がエンドキャップ23と接触する状態を維持することであってもよい。例えば、電池セル20が正置きにされる場合(ハウジング21の開口が上向きであり、エンドキャップ23がハウジング21の頂部に位置する)、絶縁部材24は、重力の作用で、エンドキャップ23との間に隙間が存在する可能性があり、それによって熱伝導部材25とエンドキャップ23との間に小さい隙間が存在し、熱伝導部材25がエンドキャップ23と接触していない。一方、電池セル20が反転される場合(ハウジング21の開口が下向きであり、エンドキャップ23がハウジング21の底部に位置する)、絶縁部材24は、自体の重力及び電極アセンブリ22と電解液の重力の作用で下方に移動し、熱伝導部材25とエンドキャップ23を接触させる。無論、電池セル20が反転される場合及び電池セル20が正置にされる場合のいずれにおいても熱伝導部材25がエンドキャップ23との接触を常に維持することであってもよい。
【0081】
本実施例では、絶縁部材24内に熱伝導部材25が嵌設され、且つ熱伝導部材25がエンドキャップ23に密着されることで、電極アセンブリ22から発生した熱を熱伝導部材25によってエンドキャップ23に効率的に伝達することが可能である。、熱伝導部材25の設置によって、電極アセンブリ22とエンドキャップ23との間の伝熱効率が向上し、電極アセンブリ22から発生した熱を熱伝導部材25によってエンドキャップ23により容易に伝達することが可能であり、電池セル20の放熱性能を効果的に向上させ、電池セル20の耐用年数を延ばす。
【0082】
図5は、
図4に示すエンドキャップアセンブリのA箇所の部分拡大図であり、いくつかの実施例では、
図5を参照すると、絶縁部材24上に、溝口がエンドキャップ23に向かう収容溝241が設けられ、熱伝導部材25の少なくとも一部は、収容溝241内に収容される。熱伝導部材25は、エンドキャップ23の厚さ方向Zに対向して配置される第1の密着面251と第2の密着面252を含む。第1の密着面251は、エンドキャップ23に密着されるために用いられ、第2の密着面252は、収容溝241の底面2411に密着されるために用いられる。
【0083】
「熱伝導部材25の少なくとも一部が収容溝241内に収容される」ことは、熱伝導部材25が完全に収容溝241内に収容されることであってもよく、熱伝導部材25の一部が収容溝241内に位置することであってもよい。熱伝導部材25が完全に収容溝241内に位置する場合、熱伝導部材25における、エンドキャップ23に密着されるための第1の密着面251は、収容溝241内に位置する。この場合には、エンドキャップ23は、熱伝導部材25の第1の密着面251に密着されるように、部分的に収容溝241へ延在してもよい。熱伝導部材25の一部が収容溝241内に位置する場合、熱伝導部材25における、エンドキャップ23に密着されるための第1の密着面251は、収容溝241外に位置する。
【0084】
収容溝241の溝口がエンドキャップ23に向かうことで、収容溝241は底面2411と溝側面2412とを有する。溝側面2412は、底面2411の縁に囲設され、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおいて、溝口は、溝側面2412の頂端に位置し、底面2411は、溝側面2412の底端に位置する。熱伝導部材25は、収容溝241内に収容され、溝側面2412は、熱伝導部材25の外周側に位置する。熱伝導部材25の外周面と収容溝241の溝側面2412との間に隙間が存在してもよく、直接的に接触して嵌め合いを形成してもよい。熱伝導部材25の外周面は、熱伝導部材25における、第1の密着面251と第2の密着面252以外の表面である。
【0085】
収容溝241の形状は、熱伝導部材25の形状に適合してもよい。例えば、熱伝導部材25が矩形ブロックであれば、収容溝241は、熱伝導部材25に適合する矩形溝であってもよい。また例えば、熱伝導部材25が円形ブロックであれば、収容溝241は、熱伝導部材25に適合する円形溝であってもよい。
【0086】
第1の密着面251と第2の密着面252はいずれも平面であってもよい。熱伝導部材25がブロック状部材であることを例として、第1の密着面251と第2の密着面252は、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおける熱伝導部材25の二つの端面であってもよい。
【0087】
本実施例では、熱伝導部材25の少なくとも一部は、絶縁部材24の収容溝241内に収容され、収容溝241は、熱伝導部材25に対して制限の役割を果たし、熱伝導部材25を絶縁部材24内に嵌設することを実現する。熱伝導部材25の第1の密着面251がエンドキャップ23に密着され、熱伝導部材25とエンドキャップ23との密着を実現する。熱伝導部材25の第2の密着面252が収容溝241の底面2411に密着され、熱伝導部材25と電極アセンブリ22との距離を縮小し、熱伝導部材25と電極アセンブリ22の放熱距離を低減させることができる一方、電極アセンブリ22から発生した熱を熱伝導部材25により容易に伝達することが可能である。他方では、熱伝導部材25と絶縁部材24との接触面積を大きくし、絶縁部材24と熱伝導部材25との間の伝熱効率を向上させることができ、絶縁部材24における熱を熱伝導部材25に迅速に伝達することができ、電池セル20の放熱性能をさらに向上させる。
【0088】
いくつかの実施例では、引き続き
図5を参照すると、絶縁部材24は、収容溝241の底部に位置する絶縁部242を含み、絶縁部242は、電極アセンブリ22(
図3に示される)と熱伝導部材25とを仕切るために用いられる。収容溝241の深さは、絶縁部242の厚さよりも大きい。
【0089】
絶縁部242とは、絶縁部材24における、収容溝241の底部に位置して電極アセンブリ22と熱伝導部材25とを仕切る部分を指す。エンドキャップ23の厚さ方向Zにおいて、熱伝導部材25は、絶縁部242の、電極アセンブリ22から離反する側に位置する。絶縁部242は、電極アセンブリ22と熱伝導部材25とを仕切る役割を果たす。
【0090】
収容溝241の深さは、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおける収容溝241の寸法であり、絶縁部242の厚さは、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおける絶縁部242の寸法である。
【0091】
本実施例では、収容溝241の深さは、電極アセンブリ22と熱伝導部材25とを仕切る絶縁部242の厚さよりも大きく、絶縁部242は、比較的に薄い。電極アセンブリ22から発生した熱は、絶縁部242によって熱伝導部材25により容易に伝達され、これにより電池セル20内部の熱がタイムリーに放出される。
【0092】
いくつかの実施例では、引き続き
図5を参照すると、絶縁部材24は、エンドキャップ23に密着されるための第3の密着面243を有し、収容溝241は、第3の密着面243から、エンドキャップ23から離反する方向へ凹み、第3の密着面243と第1の密着面251とが面一である。
【0093】
第3の密着面243と第1の密着面251とが面一であり、即ち、第3の密着面243と第1の密着面251とが共面である。収容溝241が第3の密着面243から、エンドキャップ23から離反する方向へ凹み、且つ熱伝導部材25の第1の密着面251と絶縁部材24の第3の密着面243とが面一であるため、熱伝導部材25は、いずれかの部位が収容溝241の外に位置することなく、収容溝241内に完全に収容されている。
【0094】
本実施例では、絶縁部材24の第3の密着面243と熱伝導部材25の第1の密着面251とは面一であり、第1の密着面251と第3の密着面243を同時にエンドキャップ23に密着することができ、熱伝導部材25と絶縁部材24における熱をエンドキャップ23に伝達することを容易にし、電池セル20内部の熱の放出に有利である。
【0095】
なお、絶縁部材24の第3の密着面243がエンドキャップ23に密着されるため、絶縁部材24とエンドキャップ23の構造はよりコンパクトであり、電極アセンブリ22のためにより多くの空間を空けることができ、電池セル20のエネルギー密度の向上に有利である。
【0096】
いくつかの実施例では、引き続き
図5を参照すると、絶縁部材24にストッパー部材244が設けられる。ストッパー部材244は、熱伝導部材25が絶縁部材24から脱離することを制限するために用いられる。
【0097】
ストッパー部材244は、熱伝導部材25が絶縁部材24から脱離することを制限する部材である。ストッパー部材244は、様々な構造であってもよく、熱伝導部材25が絶縁部材24から脱離することを制限できるものであればよい。熱伝導部材25の少なくとも一部が収容溝241内に収容される実施例では、ストッパー部材244が、熱伝導部材25が絶縁部材24から脱離することを制限することは、ストッパー部材244が、熱伝導部材25が収容溝241から脱離することを制限することと理解されてもよい。熱伝導部材25は、収容溝241の底面2411に設置されてもよく、収容溝241の溝側面2412に設置されてもよい。ストッパー部材244と絶縁部材24とは、一体成形構造であってもよいし、分離型構造であってもよい。
【0098】
熱伝導部材25が絶縁部材24から脱離することを制限するストッパー部材244は、一つであってもよいし、複数であってもよい。
【0099】
本実施例では、絶縁部材24におけるストッパー部材244は、熱伝導部材25に対して制限の役割を果たし、熱伝導部材25が絶縁部材24から脱離することを制限し、熱伝導部材25が常に絶縁部材24と接触することを確保し、絶縁部材24における熱を熱伝導部材25に伝達することを容易にする。なお、電池セル20を組み立てる過程において、熱伝導部材25は絶縁部材24から脱離することがなく、電池セル20の組み立てを容易にする。
【0100】
他の実施例では、他の方式によって、熱伝導部材25が絶縁部材24から脱離することを制限してもよく、例えば、熱伝導部材25と絶縁部材24とが一体に接着される。
【0101】
いくつかの実施例では、引き続き
図5を参照すると、絶縁部材24上に、溝口がエンドキャップ23に向かう収容溝241が設けられ、且つ熱伝導部材25の少なくとも一部が収容溝241内に収容される実施例において、ストッパー部材244は、熱伝導部材25と収容溝241の底面2411との分離を制限するためのものであってもよい。
【0102】
ストッパー部材244は、熱伝導部材25と収容溝241の底面2411との分離を制限するための部材であり、ストッパー部材244の制限作用で、熱伝導部材25は収容溝241内で上下に揺れることがなく、収容溝241内における熱伝導部材25の安定性を確保する。
【0103】
ストッパー部材244が、熱伝導部材25が収容溝241の底面2411から脱離することを制限する役割を果たすことによって、熱伝導部材25を、収容溝241の底面2411と接触する状態に常に維持し、絶縁部材24と熱伝導部材25との間の伝熱効率を向上させ、絶縁部材24における熱を熱伝導部材25に迅速に伝達することを可能にする。
【0104】
図6は、
図4に示すエンドキャップアセンブリの部分分解図である。いくつかの実施例では、
図6を参照すると、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおいて、ストッパー部材244の少なくとも一部と収容溝241の底面2411との間にストッパー隙間245が形成される。ストッパー隙間245は、熱伝導部材25の一部を収容して、熱伝導部材25と収容溝241の底面2411との分離を制限するために用いられる。
【0105】
エンドキャップ23の厚さ方向Zにおいて、ストッパー部材244の少なくとも一部と収容溝241の底面2411との間にストッパー隙間245が形成される。ストッパー部材244全体と収容溝241の底面2411との間にストッパー隙間245が形成されることであってもよく、例えば、ストッパー部材244は、収容溝241の溝側面2412上に突設される環状構造であり、ストッパー部材244全体は収容溝241の底面2411から離間しており、ストッパー隙間245を形成する。ストッパー部材244の一部と収容溝241の底面2411との間にストッパー隙間245が形成されることであってもよく、例えば、ストッパー部材244は、収容溝241の底面2411に突設され、ストッパー部材244の一部が収容溝241の底面2411から離間しており、ストッパー隙間245を形成する。
【0106】
熱伝導部材25の少なくとも一部は、ストッパー部材244と収容溝241の底面2411との間に形成されるストッパー隙間245内に収容されることで、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおける、熱伝導部材25に対する位置制限を実現し、熱伝導部材25が収容溝241の底面2411から脱離することを制限するという目的を達成する。ストッパーは簡易な構造である。
【0107】
いくつかの実施例では、引き続き
図6を参照すると、熱伝導部材25に貫通孔253が設けられる。貫通孔253は、ストッパー部材244を収容するために用いられ、貫通孔253の孔壁上にストッパー突起2531が形成される。ストッパー部材244は、相互接続された接続部2441とストッパー部2442を含む。接続部2441は、収容溝241の底面2411に接続され、ストッパー部2442と収容溝241の底面2411との間にストッパー隙間245が形成される。ストッパー隙間245は、ストッパー突起2531を収容するために用いられる。
【0108】
ストッパー部材244と絶縁部材24とは、一体成形構造であってもよく、ストッパー部材244の材質と絶縁部材24の材質とは同じであってもよく、例えば、ストッパー部材244と絶縁部材24の材質はいずれもゴム又はプラスチックなどである。
【0109】
ストッパー部材244のストッパー部2442は、ある程度の弾性変形能力を有する弾性部材であってもよい。ストッパー部材244が熱伝導部材25における貫通孔253を通過する過程では、ストッパー部2442は、ストッパー突起2531の押圧作用で弾性変形が発生し、ストッパー部2442がストッパー突起2531を乗り越えることによって、ストッパー突起2531をストッパー部2442と収容溝241の底面2411との間のストッパー隙間245内に係止する。ストッパー部材244の接続部2441は、円柱形構造であってもよく、ストッパー部2442は、接続部2441の円周面上に周設される環状構造であってもよく、ストッパー突起2531は、貫通孔253の孔壁に周設される環状構造であってもよい。
【0110】
収容溝241の底面2411におけるストッパー部材244は、一つであってもよいし、複数であってもよい。熱伝導部材25における貫通孔253は、ストッパー部材244に対応する。収容溝241内における熱伝導部材25の安定性を向上させるために、ストッパー部材244を同一直線上にない複数のものとしてもよく、複数のストッパー部材244は共同で熱伝導部材25を制限する。例示的には、収容溝241の底面2411に、同一直線上にない三つのストッパー部材244が設置される。
【0111】
本実施例では、熱伝導部材25の貫通孔253の孔壁におけるストッパー突起2531は、ストッパー部2442と収容溝241の底面2411との間に形成されるストッパー隙間245内に収容される。絶縁部材24と熱伝導部材25は、ストッパー部材244によって、係止による嵌め合いを実現し、熱伝導部材25と絶縁部材24の取り外し及び取り付けを容易にする。
【0112】
いくつかの実施例では、引き続き
図6を参照すると、ストッパー部材244は、収容溝241の底面2411から突出し、ストッパー部材244の、収容溝241の底面2411から離反する端に第4の密着面2443が形成される。第4の密着面2443は、エンドキャップ23に密着されるために用いられる。
【0113】
第4の密着面2443は、エンドキャップ23に密着され、ストッパー部材244とエンドキャップ23との接触を維持するために用いられる。第4の密着面2443は、ストッパー部材244の、収容溝241の底面2411から離反する端の端面であってもよい。
【0114】
絶縁部材24の第3の密着面243がエンドキャップ23に密着される実施例では、第4の密着面2443はエンドキャップ23に密着されるため、第4の密着面2443と第3の密着面243とが面一であり、即ち、第4の密着面2443と第3の密着面243とが共面であり、ストッパー部材244を完全に収容溝241内に位置させる。絶縁部材24の第3の密着面243がエンドキャップ23に密着されていない場合には、第4の密着面2443がエンドキャップ23に密着されるため、ストッパー部材244は部分的に収容溝241の外に位置する。
【0115】
本実施例では、ストッパー部材244の第4の密着面2443はエンドキャップ23に密着され、絶縁部材24における熱をエンドキャップ23に伝達することに有利である。
【0116】
図7は、エンドキャップアセンブリと熱管理部材30の位置関係図である。いくつかの実施例では、
図7を参照すると、エンドキャップ23は、熱管理部材30に付着されるために用いられ、熱管理部材30は、電池セル20の温度を管理するために用いられる。
【0117】
エンドキャップ23は、熱管理部材30に付着されるために用いられ、エンドキャップ23と熱管理部材30とが接触関係を維持するだけで、両者が接続されて固定されていないことであってもよいし、エンドキャップ23と熱管理部材30が一体に固定接続されること、例えば、エンドキャップ23と熱管理部材30が熱伝導接着剤によって固定接続されることであってもよい。
【0118】
熱管理部材30は、電池セル20の温度を管理する部材である。熱管理部材30は、電池セル20を加熱してもよく、電池セル20を冷却してもよい。熱管理部材30が電池セル20を加熱すれば、熱管理部材30の熱を、エンドキャップ23によって熱伝導部材25に伝達することが可能であり、熱伝導部材25は、熱を放出して電池100内部を加熱する。熱管理部材30が電池セル20を冷却すれば、電池セル20内部の熱を、熱伝導部材25によってエンドキャップ23に伝達することが可能であり、熱管理部材30は、エンドキャップ23における熱を放出して、電池セル20を冷却する。
【0119】
本実施例では、エンドキャップ23は、熱管理部材30に付着されるために用いられ、電池セル20は、エンドキャップ23によって熱管理部材30と熱伝達を行うことができ、それによって熱管理部材30によって電池セル20の温度を調整することを容易にする。絶縁部材24内に熱伝導部材25が嵌設されるため、電池セル20に対する熱管理部材30の熱管理効率を効果的に向上させ、電池セル20を合理的な範囲内の使用温度にすることができる。
【0120】
いくつかの実施例では、引き続き
図7を参照すると、エンドキャップ23は、熱管理部材30に付着されるための密着部2331を有し、熱伝導部材25は、密着部2331に密着されるために用いられる。
【0121】
密着部2331は、エンドキャップ23における、熱管理部材30に付着されるだけでなく、熱伝導部材25に密着される部分である。密着部2331は、エンドキャップ23と熱管理部材30との間に位置する板状構造であってもよい。
【0122】
エンドキャップ23は、様々な構造であってもよい。例示的には、エンドキャップ23は、本体部233と、凸部234とを含み、本体部233は、ハウジング21(
図7では図示されない)の開口に被せられるために用いられ、凸部234は、本体部233の外面から突出し、本体部233の内面における、凸部234に対応する位置に、凹部235が形成され、凹部235は、電極アセンブリ22(
図7では図示されない)のタブの少なくとも一部を収容して、電極アセンブリ22のためにより多くの空間を空けるために用いられ、電池セル20のエネルギー密度の向上に有利である。密着部2331は、エンドキャップ23の長手方向Xにおける凸部234の両側に位置する本体部233の部分であってもよい。つまり、エンドキャップ23における密着部2331は、二つであり、エンドキャップ23の長手方向Xにおいて、二つの密着部2331はそれぞれ凸部234の両側に位置する。無論、絶縁部材24内に嵌設される熱伝導部材25は、二つであってもよく、一つの熱伝導部材25は、一つの密着部2331と対応して密着される。
【0123】
電池セル20では、電極端子は、エンドキャップ23の凸部234に取り付けられてもよく、例えば、正極電極端子231と負極電極端子232はいずれも凸部234に取り付けられ、正極電極端子231と負極電極端子232は、エンドキャップ23の長手方向Xに間隔をあけて配列される。
【0124】
熱管理部材30上に、凸部234を逃すための逃げ孔31が設置されてもよい。
【0125】
本実施例では、エンドキャップ23の密着部2331は、熱管理部材30に付着されるために用いられるだけでなく、密着部2331に密着されるためにも用いられ、熱管理部材30と熱伝導部材25との間の熱伝達経路を短縮することができ、電池セル20に対する熱管理部材30の熱影響効率を向上させる。
【0126】
いくつかの実施例では、引き続き
図7を参照すると、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおいて、熱管理部材30の投影と熱伝導部材25との投影とが少なくとも部分的に重なる。
【0127】
エンドキャップ23の密着部2331が熱管理部材30に付着されており、且つエンドキャップ23が熱伝導部材25に密着される実施例では、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおいて、密着部2331は、熱管理部材30と熱伝導部材25との間に位置してもよい。熱管理部材30、密着部2331及び熱伝導部材25の三方は、エンドキャップ23の厚さ方向Zに積層されて配置される。熱管理部材30は、密着部2331の外面に付着され、熱伝導部材25は、密着部2331の内面に密着される。
【0128】
本実施例では、エンドキャップ23の厚さ方向Zにおける熱管理部材30の投影とエンドキャップ23の厚さ方向Zにおける熱伝導部材25の投影とが少なくとも部分的に重なり、熱管理部材30と熱伝導部材25との間の熱伝達経路を効果的に短縮することができ、電池セル20に対する熱管理部材30の熱影響効率を向上させる。
【0129】
いくつかの実施例では、熱伝導部材25は、金属材質である。
【0130】
熱伝導部材25の材質は、銅、鉄、アルミニウム、鋼、アルミニウム合金などの材質のうちの一つ又は複数であってもよい。熱伝導部材25の材質が様々なものであれば、熱伝導部材25は、接続されている複数の部分に分けられてもよく、複数の部分は、異なる材質を採用してもよい。例えば、熱伝導部材25は、接続されている二つの部分を含み、そのうちの一つの部分の材質は、鉄であり、もう1つの部分の材質は、アルミニウムである。例示的には、熱伝導部材25は、絶縁部材24内に嵌設される金属ブロック、例えば、アルミニウムブロックである。
【0131】
本実施例では、熱伝導部材25が金属材質であり、熱伝導部材25が優れている熱伝導能力を有する。
【0132】
本出願の実施例は、筐体10と、以上のいずれか一つの実施例による電池セル20とを含む電池100を提供し、筐体10は、電池セル20を収容するために用いられる。
【0133】
いくつかの実施例では、電池100は、熱管理部材30をさらに含み、熱管理部材30は、エンドキャップ23に付着されるために用いられ、熱管理部材30は、電池セル20の温度を管理するために用いられる。
【0134】
本出願の実施例は、以上のいずれか一つの実施例による電池100を含む電力消費機器を提供する。
【0135】
電力消費機器は、前述した、電池100を用いるいずれか一つの機器であってもよい。
【0136】
図3と
図4を参照すると、本出願の実施例は、ハウジング21と、電極アセンブリ22と、エンドキャップ23と、絶縁部材24と、熱伝導部材25とを含む角型電池100をさらに提供する。電極アセンブリ22は、ハウジング21内に収容される。エンドキャップ23は、本体部233と、凸部234とを含み、本体部233は、ハウジング21の開口に被せられ、凸部234は、本体部233の外面から突出し、本体部233の内面における、凸部234に対応する位置に、凹部235が形成され、凹部235は、電極アセンブリ22のタブの少なくとも一部を収容するために用いられる。絶縁部材24は、エンドキャップ23の電極アセンブリ22に向かう側に位置し、エンドキャップ23と電極アセンブリ22とを隔離するために用いられる。熱伝導部材25は、絶縁部材24内に嵌設され、エンドキャップ23の本体部233に密着される。熱伝導部材25を設置することで、電極アセンブリ22から発生した熱を熱伝導部材25によってエンドキャップ23の本体部233に効率的に伝達することが可能であり、電極アセンブリ22とエンドキャップ23との間の伝熱効率を向上させる。さらに、熱伝導部材25によって、電極アセンブリ22から発生した熱をエンドキャップ23の本体部233により容易に伝達することが可能であり、電池セル20の放熱性能を効果的に向上させ、電池セル20の耐用年数を延ばす。
【0137】
本出願の実施例は、電池セル20の製造方法を提供し、
図8を参照すると、
図8は、本出願のいくつかの実施例による電池セル20の製造方法のフローチャートであり、この方法は、
開口を有するハウジング21を提供するステップS100と、
電極アセンブリ22を提供するステップS200と、
エンドキャップ23と、エンドキャップ23の片側に位置する絶縁部材24と、絶縁部材24内に嵌設され、エンドキャップ23に密着されるように構成される熱伝導部材25とを提供するステップS300と、
電極アセンブリ22をハウジング21内に収容するステップS400と、
エンドキャップ23をハウジング21の開口に被せ、絶縁部材24をエンドキャップ23の電極アセンブリ22に向かう側に位置させるステップS500とを含む。
【0138】
上記方法において、ステップS100、ステップS200とステップS300の前後順序を制限せず、例えば、まずステップS300を実行してから、ステップS200を実行し、更にステップS100を実行してもよい。
【0139】
説明すべきこととして、上記各実施例による製造方法で製造された電池セル20に関連する構造は、前記各実施例による電池セル20を参照することができ、ここで、詳細な説明を省略する。
【0140】
なお、本出願の実施例は、電池セル20の製造機器2000をさらに提供する。
図9は、本出願のいくつかの実施例による電池セル20の製造機器2000の概略的ブロック図である。
図9を参照すると、製造機器2000は、第1の提供装置2100と、第2の提供装置2200と、第3の提供装置2300と、組み立て装置2400とを含む。
【0141】
ここで、第1の提供装置2100は、開口を有するハウジング21を提供するために用いられる。第2の提供装置2200は、電極アセンブリ22を提供するために用いられる。第3の提供装置2300は、エンドキャップ23と、エンドキャップ23の片側に位置する絶縁部材24と、絶縁部材24内に嵌設されてエンドキャップ23に密着されるように構成される熱伝導部材25を提供するために用いられる。組み立て装置2400は、電極アセンブリ22をハウジング21内に収容するために用いられる。組み立て装置2400はさらに、エンドキャップ23を開口に被せ、絶縁部材24をエンドキャップ23の電極アセンブリ22に向かう側に位置させるために用いられる。
【0142】
説明すべきこととして、上記実施例による製造機器2000で製造された電池セル20の関連する構造は、前記各実施例による電池セル20を参照することができ、ここで、詳細な説明を省略する。
【0143】
説明すべきこととして、本出願における実施例及び実施例における特徴は互いに衝突しない場合に組み合わせることができる。
【0144】
以上の実施例は、本出願の技術案を説明するためのものに過ぎず、本出願を限定するためのものではなく、当業者にとって、本出願には、様々な修正及び変更が可能である。本出願の精神及び原則内で行われる全ての修正、同等の置き換え、改善などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0145】
10-筐体、11-第1の部分、12-第2の部分、20-電池セル、21-ハウジング、22-電極アセンブリ、221-正極タブ、222-負極タブ、23-エンドキャップ、231-正極電極端子、232-負極電極端子、233-本体部、2331-密着部、234-凸部、235-凹部、24-絶縁部材、241-収容溝、2411-底面、2412-溝側面、242-絶縁部、243-第3の密着面、244-ストッパー部材、2441-接続部、2442-ストッパー部、2443-第4の密着面、245-ストッパー隙間、25-熱伝導部材、251-第1の密着面、252-第2の密着面、253-貫通孔、2531-ストッパー突起、30-熱管理部材、31-逃げ孔、100-電池、200-コントローラ、300-モータ、1000-車両、2000-製造機器、2100-第1の提供装置、2200-第2の提供装置、2300-第3の提供装置、2400-組み立て装置、X-長手方向、Y-幅方向、Z-厚さ方向。