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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】携帯情報端末およびその表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20241007BHJP
   G01S 5/14 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
G01S5/14
G01S5/02 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023509936
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(86)【国際出願番号】 JP2021013384
(87)【国際公開番号】W WO2022208628
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橋本 康宣
(72)【発明者】
【氏名】秋山 仁
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】中出 眞弓
(72)【発明者】
【氏名】益岡 信夫
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-515044(JP,A)
【文献】特表2019-512671(JP,A)
【文献】特開2007-298441(JP,A)
【文献】特開2014-126380(JP,A)
【文献】特開2019-039877(JP,A)
【文献】国際公開第2019/052998(WO,A1)
【文献】特開2012-198833(JP,A)
【文献】特開2014-142721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 1/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波源の無線信号を受信する無線受信デバイスと自端末の移動量と回転量の測定を行うセンサと表示デバイスと制御装置を備えた携帯情報端末であって、
前記制御装置は、
前記無線受信デバイスにより受信した電波源の受信強度と、前記センサで測定した自端末の移動量と回転量から前記電波源の位置を推定し、
携帯情報端末の位置から見た前記電波源の推定位置の相対的位置関係を示す3次元的な方向と距離を示す図形的ガイド表示を外界画像に重ねて前記表示デバイスに表示するとともに、前記電波源の推定位置の誤差を低減するためのガイダンスを前記表示デバイスに表示することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯情報端末であって、
前記制御装置は、前記電波源の推定位置の誤差範囲を3次元的方向による違いを含めて表示することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項3】
電波源の無線信号を受信する無線受信デバイスと自端末の移動量と回転量の測定を行うセンサと表示デバイスと制御装置を備えた携帯情報端末であって、
前記制御装置は、
前記無線受信デバイスにより受信した電波源の受信強度と、前記センサで測定した自端末の移動量と回転量から前記電波源の位置を推定し
前記電波源の位置の推定の精度が所定以上となった場合、携帯情報端末の位置から見た前記電波源の推定位置の相対的位置関係を示す3次元的な方向と距離を示す図形的ガイド表示を外界画像に重ねて前記表示デバイスに表示することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項4】
請求項3に記載の携帯情報端末であって、
前記電波源の位置の推定の精度が所定未満の場合、外界基準の電波源の位置推定を行うことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯情報端末であって、
前記図形的ガイド表示の先端が、前記電波源の推定位置の表示に重なることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯情報端末であって、
前記図形的ガイド表示の先端が、前記電波源の推定位置の表示に重ならないことを特徴とする携帯情報端末。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯情報端末であって、
前記図形的ガイド表示が、外界の実体物との遮蔽関係も反映した表示であることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯情報端末であって、
前記制御装置は、ユーザ視点の画像であり前記電波源が含まれる画像に対して、前記図形的ガイド表示を重畳させて表示することを特徴とする携帯情報端末。
【請求項9】
請求項1ないし4のいずれかに記載の携帯情報端末であって、
前記制御装置は、前記電波源の位置の移動履歴を合わせて表示することを特徴とする携帯情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグやビーコンなどの電波源の位置を推定し表示する電波源探索用の携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
電波源の位置推定に関する技術分野の背景技術として特許文献1がある。特許文献1では、携帯型端末を位置移動させて異なる位置にて、発信機から受けた受信電波強度及び受信側である携帯型端末自身の位置を計測し、多地点で得られた計測結果としての受信電波強度及び受信側位置情報を統合して発信機の位置を推定し、2次元地図情報に重ねて推定電波源の位置を表示する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-142180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、2次元地図上で位置を示す必要があるので、まず、地図情報を取得できない環境では利用できない、という課題がある。また、屋内の場合、屋内測位ができない環境では、地図上の自端末位置が分からないため、電波源の位置も地図上でどこにあるのか分からない。さらに、地図情報に載っていない実体物があって、それに隠れて推定した電波源位置がわかりにくい、という場合もある。その他、電波源の高さについての情報が欠落しているという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、電波源を探索する場合において、推定された電波源位置をユーザに分かり易く提示する携帯情報端末およびその表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、その一例を挙げるならば、電波源の無線信号を受信する無線受信デバイスと自端末の移動量と回転量の測定を行うセンサと表示デバイスと制御装置を備えた携帯情報端末であって、制御装置は、無線受信デバイスにより受信した電波源の受信強度と、センサで測定した自端末の移動量と回転量から電波源の位置を推定し、携帯情報端末の位置から見た電波源の推定位置の相対的位置関係を示す3次元的な方向と距離を示す図形的ガイド表示を外界画像に重ねて表示デバイスに表示するように構成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電波源を探索する場合において、推定された電波源位置をユーザに分かり易く提示する携帯情報端末およびその表示方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1における電波源探索システムの概略構成図である。
図2A】実施例1における携帯情報端末がHMDの場合の電波源推定位置の表示例である。
図2B図2Aにおいて電波源の位置が変化した場合の電波源推定位置の表示例である。
図3】実施例1における携帯情報端末の一例としてのHMDの外観構成例である。
図4】実施例1における携帯情報端末(HMD)の機能ブロック構成例である。
図5】実施例1における電波源探索の処理フロー図である。
図6】実施例1における電波源の方向推定の説明図である。
図7】実施例1における電波源推定位置の表示の変形例である。
図8】実施例2における電波源推定位置の表示例である。
図9】実施例2における電波源探索の処理フロー図である。
図10】実施例3における電波源推定位置の表示例である。
図11】実施例4における電波源推定位置の表示例である。
図12】実施例5における電波源探索システムの概略構成図である。
図13】実施例5における電波源探索の処理フロー図である。
図14A】実施例6における携帯情報端末がスマートウォッチの場合の電波源推定位置の表示例である。
図14B図14Aにおいて電波源が構造物によって遮蔽された位置にある場合の電波源推定位置の表示例である。
図15A】実施例6における携帯情報端末がスマートウォッチの場合の電波源推定位置の他の表示例である。
図15B図15Aにおいて電波源が上に向かう方向にある場合の電波源推定位置の表示例である。
図16】実施例7における相手端末探索システムの概略構成図である。
図17A】実施例7における相手端末推定位置の表示例である。
図17B】実施例7における相手端末推定位置の他の表示例である。
図18】実施例7における相手端末探索の処理フロー図である。
図19A】実施例8における電波源推定位置の表示例である。
図19B図19Aにおいて電波源の位置推定の精度が上がった場合の電波源推定位置の表示例である。
図20】実施例8における電波源探索の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本実施例における電波源探索システムの概略構成図である。図1において、電波源探索システムは、電波源80の位置を探索し推定する携帯情報端末として、例えば、HMD(Head Mount Display)である携帯情報端末1A、スマートフォンである携帯情報端末1B、スマートウォッチである携帯情報端末1Cの少なくとも1つを持つ。以下の携帯情報端末の電波源探索動作は、これらの携帯情報端末が単独で行ってもよいし、連携して行ってもよい。なお、以下の記述では、携帯情報端末1Aから1Cを総称して携帯情報端末1と記述する。また、携帯情報端末を単に端末と記述する場合がある。
【0011】
サーバ2は、通信網9を介して、各携帯情報端末1の処理を代行したり、各携帯情報端末1間の情報の送受信を媒介したり、必要な情報を提供したりする。サーバ2は例えば、ローカルサーバ、クラウドサーバ、エッジサーバ、ネットサービス等であり、その形態は問わない。
【0012】
図2Aは、本実施例における携帯情報端末がHMDの場合の電波源推定位置の表示例である。図2Aにおいて、外枠は、HMDが光学シースルーの場合はユーザの視野を表し、ビデオシースルーの場合はディスプレイの視野を表す。
【0013】
図2Aに示すように、81で示す丸が電波源推定位置を表示するマーク位置であり(以降、電波源推定位置81と記す)、電波源推定位置81とHMDの装着者からの遠近感が直観的に分かるオブジェクトであるガイド82を表示する。例えば、図2Aに示すように、ガイド82は一定間隔が分かるオブジェクトとすればよい。また、電波源推定位置81とガイド82を外界の画像に重ねて表示する。このように、本実施例における電波源推定位置の表示は、電波源の推定位置と共に、電波源推定位置の相対的位置関係を示す3次元的な方向と距離を示す図形的ガイド表示を外界画像に重ねて表示する。なお、図2Aにおいて、電波源推定位置までの距離を83に示すように表示してもよい。また、84に示すように距離の目安になるポイント間の間隔を示してもよい。
【0014】
また、図2Bは、図2Aにおいて電波源の位置が変化した場合の電波源推定位置の表示例である。図2Bに示すように、視野内における電波源推定位置81にガイド82の先端の表示位置に合わせる、すなわち重ねることで、より電波源推定位置の場所が強調されて分かり易くなる。また、目標までの距離間が分かるので、物に隠れている場合も、位置の認識がしやすい。
【0015】
図3は、本実施例における携帯情報端末の一例としてのHMDの外観構成例である。図3において、HMDである携帯情報端末1Aは、眼鏡状の筐体10に、表示面11を含む表示デバイスを備える。この表示デバイスは、例えば透過型表示デバイスであり、表示面11には外界の実像が透過され、その実像上に画像が重畳表示される。筐体10には、制御装置、カメラ12、測距センサ13、他のセンサ部14等が実装されている。
【0016】
カメラ12は、例えば筐体10の左右両側に配置された2つのカメラを有し、HMDの前方を含む範囲を撮影して画像を取得する。測距センサ13は、HMDと外界の物体との距離を測定するセンサである。測距センサ13は、TOF(Time Of Flight)方式のセンサを用いてもよいし、ステレオカメラや他の方式を用いてもよい。センサ部14は、HMDの位置および向きの状態を検出するためのセンサ群を含む。筐体10の左右には、マイクを含む音声入力装置18、スピーカやイヤホン端子を含む音声出力装置19等を備える。
【0017】
HMDである携帯情報端末1Aには、リモートコントローラ等の操作器20が付属していてもよい。その場合、HMDは、その操作器20との間で例えば近距離無線通信を行う。ユーザは、手で操作器20を操作することで、HMDの機能に関する指示入力や表示面11でのカーソル移動等ができる。HMDは、外部のスマートフォンやPC等と通信して連携を行ってもよい。例えば、HMDは、スマートフォンのアプリケーションからAR(拡張現実:Augmented Reality)の画像データを受信してもよい。
【0018】
HMDである携帯情報端末1Aは、AR等の仮想画像を表示面11に表示させてもよい。例えば、HMDである携帯情報端末1Aは、ユーザを誘導するための仮想画像を生成し、表示面11に表示する。
【0019】
図4は、図3のHMDである携帯情報端末1Aの機能ブロック構成例である。基本的には、他の携帯情報端末1も同様の構成である。携帯情報端末1は、プロセッサ101、メモリ102、カメラ12、測距センサ13、センサ部14、表示デバイス103、通信デバイス104、マイクを含む音声入力装置18、スピーカ等を含む音声出力装置19、無線送信デバイス105、無線受信デバイス106、操作入力部107、およびバッテリ108等を備える。これらの要素はバス等を通じて相互に接続されている。
【0020】
プロセッサ101は、CPU、ROM、RAM等で構成され、HMDの制御装置を構成する。プロセッサ101は、メモリ102の制御プログラム31やアプリケーションプログラム32に従った処理を実行することにより、OS、ミドルウェア、アプリケーション等の機能や他の機能を実現する。メモリ102は、不揮発性記憶装置等で構成され、プロセッサ101等が扱う各種のデータや情報を記憶する。メモリ102には、一時的な情報として、カメラ12等によって取得した画像や検出情報等も格納される。
【0021】
カメラ12は、レンズから入射した光を撮像素子で電気信号に変換して画像を取得する。測距センサ13は、例えばTOF(Time Of Flight)センサを用いる場合、外界に出射した光が物体に当たって戻ってくるまでの時間から、その物体までの距離を計算する。センサ部14は、例えば、加速度センサ141、ジャイロセンサ(角速度センサ)142、地磁気センサ143、GPS受信器144を含む。センサ部14は、これらのセンサの検出情報を用いて、HMDの位置、向き、動き等の状態を検出する。HMDは、これに限らず、照度センサ、近接センサ、気圧センサ等を備えてもよい。
【0022】
表示デバイス103は、表示駆動回路や表示面11を含み、表示情報34の画像データに基づいて、表示面11に仮想画像等を表示する。なお、表示デバイス103は、透過型表示デバイスに限らず、非透過型表示デバイス等としてもよい。
【0023】
通信デバイス104は、所定の各種の通信インタフェースに対応する通信処理回路やアンテナ等を含む。通信インタフェースの例は、モバイル網、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、赤外線等が挙げられる。通信デバイス104は、他の携帯情報端末1やアクセスポイントとの間での無線通信処理等を行う。通信デバイス104は、操作器との近距離通信処理も行う。
【0024】
無線送信デバイス105は、位置推定に用いる識別信号を伴った電波源の無線信号を送信する。ここで、識別情報を伴った無線信号とは、例えばBluetooth等の信号である。無線受信デバイス106は、上記の識別信号を伴った電波源の無線信号を受信し、受信強度を測定する。なお、無線送信デバイス105と無線受信デバイス106を使用して、情報通信を行ってもよい。また、無線信号の送信のみ、あるいは受信のみ行う携帯情報端末1の場合は、必要なデバイスを備えていればよい。
【0025】
音声入力装置18は、マイクからの入力音声を音声データに変換する。音声出力装置19は、音声データに基づいてスピーカ等から音声を出力する。音声入力装置は、音声認識機能を備えてもよい。音声出力装置は、音声合成機能を備えてもよい。操作入力部107は、HMDに対する操作入力、例えば電源オン/オフや音量調整等を受け付ける部分であり、ハードウェアボタンやタッチセンサ等で構成される。バッテリ108は、各部に電力を供給する。
【0026】
プロセッサ101による制御装置は、処理によって実現される機能ブロックの構成例として、通信制御部101A、表示制御部101B、データ処理部101C、およびデータ取得部101Dを有する。
【0027】
メモリ102には、制御プログラム31、アプリケーションプログラム32、設定情報33、表示情報34、位置推定情報35等が格納されている。制御プログラム31は、携帯情報端末1間の相対的位置関係の推定を実現するためのプログラムである。アプリケーションプログラム32は、ユーザに対する誘導機能を実現するプログラムである。設定情報33は、各機能に係わるシステム設定情報やユーザ設定情報を含む。表示情報34は、仮想画像を表示面11に表示するための画像データや位置座標情報を含む。位置推定情報35は、位置推定を行うための、携帯情報端末1の移動距離、外界に対する携帯情報端末1の向き、無線信号の受信強度に係る情報である。
【0028】
通信制御部101Aは、他の携帯情報端末1との通信の際等に、通信デバイス104を用いた通信処理を制御する。表示制御部101Bは、表示情報34を用いて、表示デバイス103の表示面11への仮想画像等の表示を制御する。
【0029】
データ処理部101Cは、位置推定情報35を読み書きし、自機と相手端末との相対的位置関係の推定等を行う。
【0030】
データ取得部101Dは、無線受信デバイス106から無線信号の強度を取得し、カメラ12、測距センサ13、およびセンサ部14等の各種のセンサから各検出データを取得する。データ取得部101Dは、各種センサの検出データから、自位置を推定し、移動距離を測定する。
【0031】
図5は、本実施例における電波源探索の処理フロー図である。図5において、携帯情報端末1は、まずステップS1で探索開始指示を受けると、ステップS2で、無線受信デバイス106により電波源の無線信号を受信する。外界の電波源と自端末との相対的位置関係の把握の基礎となるため、携帯情報端末1は、外界における自端末の位置変化と向きの変化を常に測定している必要がある。そのため、携帯情報端末1は、同じくステップS2において、図4におけるセンサ部14のセンサの検出データから自端末の移動量と向きの変化である回転量の測定を行う。そして、ステップS3で、プロセッサ101は電波源位置の推定を行い、ステップS4で電波源の推定位置とガイドの表示を行う。そして、探索終了の指示を受けるまで、ステップS2からS4の処理を続け、電波源の推定位置の表示とガイドの表示を更新し続ける。このように、電波源を探して移動している状況で、随時電波源位置を推定し、電波源の推定位置の表示とガイドの表示を更新し続ける。
【0032】
複数の地点での測定を統合して電波源位置の推定をする場合は、現在と過去における自端末の位置と向きの関係を知る必要がある。携帯情報端末1は、ステップS2における自端末の移動量と回転量の測定から、常に外界に対する自端末の移動量と向きの変化を把握しているので、現在と過去における自端末の位置と向きの関係も把握できる。
【0033】
電波源の位置推定方法の1例としては、下記がある。
【0034】
電波の受信強度は、反射波が十分に小さい状態では、距離の二乗に反比例する。この特性を表す関数を使い、複数地点のデータから最小二乗法でフィッティングを行うことにより、電波源位置の推定ができる。すなわち、受信強度Pは、下記で算出される。
【0035】
P=k/{(X-X+(Y-Y+(Z-Z
ここで、k:電波源強度に依存した係数、(X、Y、Z):電波源位置、(X、Y、Z):受信位置、である。
【0036】
そのため、複数の受信位置で受信強度Pを測定し、パラメータフィッティングにより、kと(X、Y、Z)すなわち電波源位置を求める。反射波が強いときは誤差を生じるが、電波源に近づくに従って、相対的に反射波は弱くなるので、推定精度は向上する。フィッティング関数は、上記に限定されず、反射波による歪も考慮して、高次の項を取り入れる等してもよい。なお、位置推定の計算負荷が大きい場合は、携帯情報端末で行うのでなく、サーバ等、他の機器で計算を行ってもよい。
【0037】
また、電波源の位置推定方法の他の例として下記がある。
【0038】
UWB(超広帯域無線、Ultra Wide Band)の技術を使うと、一か所の測定値で、電波源の位置を推定することができる。図6は、電波源の方向推定の説明図である。図6において、AOA(Angle of Arrival) の方法で、アンテナの配列面70に対する電波源80の方向θが分かる。これに合わせて、電波源との距離情報dで電波源の位置が分かる。
【0039】
電波源との距離は、例えば以下の2つの方法で分かる。
(1)端末の時刻同期がある場合、電波の到達時刻の測定。
(2)端末側から送信したトリガに対する電波源からの返信にかかる時間を測定。
なお、上記の方法でも、誤差を低減するため、複数個所における推定電波源位置の平均値を使用してもよい。
【0040】
図7は、本実施例における電波源推定位置の表示の変形例である。図7において、ガイド82を、HMDの装着者から電波源推定位置81に向かう線上を避けて表示すると、電波源推定位置81までの経路がよく見えるので、ガイド82の先端位置を、電波源推定位置を表示するマーク位置から外して横へ表示してもよい。すなわち、ガイド82の先端が、電波源推定位置の表示に重ならないようにしてもよい。
【0041】
このように、本実施例では、HMDを含めたユーザが携帯する携帯情報端末からの電波源推定位置の3次元的相対的位置関係、すなわち、携帯情報端末位置からの3次元的方向と距離を示す図形的ガイド表示を、外界画像に重ねて表示する。これにより、実際に見えている外界の様子と、電波源の位置関係が直観的に分かるので、電波源の位置認識がしやすい。
【0042】
以上のように、本実施例によれば、電波源を探索する場合において、推定された電波源位置をユーザに分かり易く提示する携帯情報端末およびその表示方法を提供できる。
【実施例2】
【0043】
図8は、本実施例における携帯情報端末がHMDの場合の電波源推定位置の表示例である。
【0044】
図8に示すように、電波源推定位置が、物体の陰に隠れている、あるいは、カバン等の中にあるなど、外観から直接は確認できない位置にある場合、ガイド82の外界の物体に遮蔽される部分を、その他の部分とは異なる形式で表示する。すなわち、図8では、ガイド82の表示が外界の実体物との遮蔽関係も反映した表示となるように、遮蔽される部分を点線表示、遮蔽されない部分を実線表示としている。なお、その他の表示例としては、濃淡の別、色の別等で表示する。また、電波源推定位置81も、同様に点線表示等の異なる形式で表示してもよい。これにより、電波源推定位置と外界の物体間の位置関係がより分かり易くなるという効果がある。
【0045】
図9は、本実施例における電波源探索の処理フロー図である。図9において、図5と同じ処理は同じ符号を付し、その説明は省略する。図9において、図5と異なる点は、ステップS2をステップS10に置き替えた点である。すなわち、ステップS10において、ガイド82の表示に遮蔽関係を反映させるため、ステップS2の処理にさらに外界の物体までの距離の測定を加えた点である。
【実施例3】
【0046】
本実施例では、電波源推定位置の誤差に異方性がある場合、その異方性を反映した3次元的な形式で電波源推定位置を表示する点について説明する。
【0047】
図10は、本実施例における電波源推定位置の表示例である。
【0048】
上記した電波源の位置推定方法の1つである、複数地点のデータから最小二乗法でフィッティングを行う方法の場合、水平面上に移動しながら測定を行うと、垂直方向の測定位置の広がりがなくなり、垂直方向の位置推定誤差が大きくなる場合がある。そのようなときに、図10に示すように、誤差の大きい方向である垂直方向に延びた形状のマーク85で電波源推定位置を表示する。すなわち、電波源推定位置の誤差範囲を3次元的方向による違いを含めて表示する。
【0049】
これにより、誤差の目安となると共に、測定位置を増やす場合の参考になる。なお、電波源推定位置の誤差を低減するための具体的な追加測定点のガイダンス86を表示してもよい。
【実施例4】
【0050】
本実施例では、ショッピングセンターなどで、複数の店舗に設置された電波ビーコンをたよりに複数の店舗の場所を探す場合等、目標となる電波源が複数ある場合に、複数の電波源推定位置をガイドと共に表示する例について説明する。
【0051】
図11は、本実施例における電波源推定位置の表示例である。図11において、電波信号に含まれる電波源のID情報により、複数の電波源を区別して測定し、例えば第1の電波源推定位置87と第2の電波源推定位置88をそれぞれ表示する。
【0052】
表示方法としては、多様な表示方法を取りうる。すなわち、電波源推定位置の遠近による距離差に応じて、推定位置やガイドの表示の態様を異ならせてもよい。図11では、遠い電波源ほど、電波源推定位置を表示するマークの大きさを小さくし(遠い第2の電波源推定位置88を近い第1の電波源推定位置87よりも小さくしている)、ガイド82の線も細くしている。なお、遠近により、色を変えてもよい。さらにまた、外界がすっきり見えるように、近い電波源へのガイドのみ表示するようにしてもよい。
【0053】
また、携帯情報端末1は、地図情報が利用できる場合は、電波源に到達するための移動方向の案内89をARオブジェクトとして表示してもよい。これにより、電波源への距離感が分かるガイドと共に、移動方向の案内が表示されることにより、目標地点到達までの距離感が掴めることになり、ユーザにとり、安心感が増す。なお、この案内は電波源がひとつの場合でも有効である。電波源が複数の場合は、近い電波源から回るための道順で誘導してもよい。また、地図情報は、携帯情報端末に記録されているものでもよいし、サーバ2から取得してもよい。
【0054】
本実施例によれば、一度に複数の電波源推定位置を確認できるので、利便性が向上する。
【実施例5】
【0055】
本実施例では、スマートフォンで電波源の位置推定を行い、電波源推定位置とガイドの表示をHMDで行う例について説明する。
【0056】
図12は、本実施例における電波源探索システムの概略構成図である。図12において、図1および図3と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。図12において、図1および図3と異なる点は、HMD1Aに、電波源(30a~30d)を4つ搭載した点である。
【0057】
図12に示すように、本実施例では、スマートフォン1BとHMD1Aとの位置関係を測定するために、HMD1AにUWBの電波源を3つ以上搭載し、その電波源位置をスマートフォンから測定する。図12では、電波源を4つ搭載する例を示した(30a~30d)。スマートフォン1BとHMD1Aの位置関係の情報から、スマートフォン1Bで測定した目標電波源位置をHMD1Aの座標系での位置に変換する。
【0058】
図13は、本実施例における電波源探索の処理フロー図である。図13において、携帯情報端末1AがHMD。携帯情報端末1Bがスマートフォンである。まずステップS21A、S21Bにおいて、探索開始のユーザ指示は、どちらの携帯情報端末に対して行ってもよく、携帯情報端末1A、1B間の通信により、何れかの携帯情報端末への探索開始指示をトリガとして、それぞれの携帯情報端末1A、1Bの電波源探索の処理が開始される。
【0059】
携帯情報端末1Bでは、ステップS22Bで、図5で説明したステップS2と同様の無線信号の受信と自端末の移動量と回転量の測定を行う。そして、ステップS23Bで、図5で説明したステップS3と同様の電波源位置の推定を行なう。
【0060】
次に、ステップS24Bで、携帯情報端末1A、1B間の位置関係を測定する。なお、この処理は、携帯情報端末1AのステップS24Aでも、対応した処理を行う。そして、ステップS25Bで、ステップS23Bで推定した電波源推定位置の情報を携帯情報端末1Aへ送信し提供する。
【0061】
その後、ステップS27Bにおいて、探索終了の指示を受けたかを判断し、探索終了の指示を受けるまで、ステップS22BからS25Bの処理を続け、電波源の推定位置の更新をし続ける。なお、探索終了のユーザ指示は、どちらの携帯情報端末に対して行ってもよく、携帯情報端末1A、1B間の通信により、何れかの携帯情報端末への探索終了指示をトリガとして、それぞれの携帯情報端末1A、1Bの電波源探索の処理が終了する。
【0062】
携帯情報端末1Aでは、ステップS22Aにおいて、遮蔽関係の表示のため外界の物体の距離測定を行う。なお、ガイドの表示に遮蔽関係を反映させない場合は、測定しなくてもよい。
【0063】
次に、ステップS24Aで、携帯情報端末1A、1B間の位置関係を測定し、ステップS25Aで、携帯情報端末1Bから送信された電波源推定位置の情報を受信する。
【0064】
そして、ステップS26Aで、携帯情報端末1A、1B間の位置関係の情報をもとに、携帯情報端末1Bから送信された電波源推定位置を携帯情報端末1Aの座標系での電波源推定位置に変換し、図5で説明したステップS4と同様の電波源の推定位置とガイドの表示を行う。
【0065】
その後、ステップS27Aにおいて、探索終了の指示を受けたかを判断し、探索終了の指示を受けるまで、ステップS22AからS26Aの処理を続け、電波源の推定位置とガイドの表示の更新をし続ける。
【0066】
なお、図1では携帯情報端末間の連携関係を図示していないが、本実施例のように、複数の携帯情報端末で処理を分散してよい。また、携帯情報端末間の相対的位置関係が分かれば、電波の受信処理も協同で行ってもよい。
【0067】
以上のように、本実施例では、HMDで表示を行うことで、直観的に電波源位置を把握することができる。また、位置推定の計算をスマートフォンで行うことにより、HMDでの処理負担の軽量化が図れる。
【実施例6】
【0068】
本実施例では、電波源推定位置とガイドの表示領域が小さい場合の表示例について説明する。
【0069】
図14Aは、本実施例における携帯情報端末がスマートウォッチの場合の電波源推定位置の表示例である。図14Aにおいて、スマートウォッチ1Cのように表示領域が小さい携帯情報端末の場合、ガイド表示が小さく見づらくならないように、図2Bに示したようなガイド表示の先端を電波源推定位置に合わせる表示としない。すなわち、図14Aにおいて、スマートウォッチ1Cは、ガイド91の先端を電波源推定位置に合わせず、電波源推定位置81に対して、スマートウォッチ1Cの位置を規準に、奥行方向は上向き、手前方向は下向き、左右方向は左右への傾斜での表示とし、電波源推定位置までの直観的な感覚をガイド(ここでは矢印)の形状で表示する。言い換えれば、矢印の方向で電波源の方向を示し、長さで電波源までの距離を示す。なお、図14Aに示すように、電波源推定位置までの距離と角度を92に示すように表示してもよいし、93に示すように、ガイド91の長さの距離の目安になるスケールを表示してもよい。
【0070】
図14Bは、図14Aにおいて電波源の位置が変化し、電波源が構造物によって遮蔽された位置にある場合の電波源推定位置の表示例である。図14Bに示すように、電波源が遮蔽された位置にある場合は、ガイド91の矢印先端部分に斜線を付し、矢印先端部分の表示形態を変える。
【0071】
なお、ガイド91を重畳させて表示する外界の画像は、ユーザ視点の画像であり電波源が含まれる画像である。そして、この画像は、ガイド表示時点に撮影したものでなくてもよい。さらに、別の端末により撮影されたものでもよい。
【0072】
図15Aは、本実施例における携帯情報端末がスマートウォッチの場合の電波源推定位置の他の表示例である。図15Aにおいて、図14Aと同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。図15Aにおいて、図14Aと異なる点は、スマートウォッチ1Cは、スマートウォッチ1Cの水平面、あるいは、表示面に対して、電波源のある方向が、下に向かう方向か、上に向かう方向かを、ガイド91の矢印が先細りか先太りか、という形状により示している。すなわち、図15Aにおいては、矢印が先細りであるので、電波源が下に向かう方向にあることを示している。図15Bは、電波源が上に向かう方向にあることを示している表示例である。
【0073】
なお、矢印が先細りか先太りかという形状に代えて、色を変える等、区別のつく表示であればよい。また、傾きにより、先太りの変化率を変える等、表示の態様を変えてもよい。これにより、小さい表示画面であっても、電波源のある高さの見当がつくという効果がある。
【0074】
また、水平面に対する傾きを表示した場合は、スマートウォッチ1Cの高さを変えて水平を示す高さを探れば、高さが分かる。また、表示面に対する傾きを表示した場合は、表示面の傾きを変えて、矢印の表示面に対する傾きが0となる角度を探れば、電波源位置が直観的に分かり易くなる。
【実施例7】
【0075】
本実施例では、双方の人間が、電波源探索機能を持った携帯情報端末を所持している場合、双方で相手側の端末位置を推定することができる例について説明する。
【0076】
図16は、本実施例における電波源探索システムの概略構成図である。図16において、図1と同じ構成は同じ符号を付し、その説明は省略する。図16において、図1と異なる点は、HMDである携帯情報端末1Aと1Dが電波源探索機能を持ち、双方で相手側の端末位置を推定する点である。
【0077】
図17Aは、本実施例における相手端末推定位置の表示例である。図17Aにおいて、相手端末推定位置94を表示するとともに、相手端末が自端末を捕捉したかどうか、すなわち、十分な精度で位置推定ができたか、の表示95を表示する。これにより、相手端末の状況把握ができる。
【0078】
図17Bは、本実施例における相手端末推定位置の他の表示例である。図17Bにおいて、相手端末推定位置94を表示するとともに、相手端末の移動履歴96を表示する。自端末の測定結果のみでも、移動履歴は分かるが、相手端末から移動情報を取得できれば、推定位置の変化を精密に知ることができる。
【0079】
図18は、本実施例における相手端末探索の処理フロー図である。図18において、まずステップS31A、S31Dにおいて、探索開始のユーザ指示は、どちらの携帯情報端末に対して行ってもよく、携帯情報端末1A、1D間の通信により、何れかの携帯情報端末への探索開始指示をトリガとして、それぞれの携帯情報端末1A、1Dの相手端末探索の処理が開始される。
【0080】
以降のそれぞれの携帯情報端末1A、1Dの相手端末探索の処理は同様の処理であるので携帯情報端末1Aの処理を代表して説明する。
【0081】
携帯情報端末1Aは、ステップS32Aで、図9で説明したステップS10と同様の無線信号の受信と自端末の移動量と回転量の測定および外界物体までの距離の測定を行う。そして、ステップS33Aで、移動量と回転量情報の送受信を携帯情報端末1Dと行う。そして、ステップS34Aで、携帯情報端末1Dの移動量と回転量情報を合わせて、図5で説明したステップS3と同様の処理により携帯情報端末1Dの端末位置の推定を行なう。
【0082】
次のステップS35A、36Aは、相手端末からみた自端末の位置推定データを利用して、より推定精度を向上させる処理である。すなわち、相手端末の新しい位置の推定を行うと、自端末位置を始点とし、相手端末位置を終点とする端末間ベクトルV1が得られる。同様に、相手端末の測定による端末間ベクトルV2が得られる。この2つのベクトルは、同じ座標系の値に変換すれば、位置推定に誤差が無ければ逆ベクトルになるべきものである。なお、お互いの座標系の関係は、各端末の回転量のデータも含めた過去の位置測定におけるデータ交換により分かるので、相手端末が測定した端末間ベクトルは自端末の値に変換できる。よって、双方の端末において、下記式のように、この2つのベクトルの和から誤差Δを見積もることができる。
Δ=(V1+V2)/2
そのため、ステップS35Aで、推定位置情報の送受信を携帯情報端末間で行い、相手端末位置情報を入手する。そしてステップS36Aにより、この誤差Δを考慮して、相手端末位置の再推定を行う。再推定による端末間ベクトルV1’は下記である。
V1’=V1―Δ=(V1―V2)/2
この誤差修正は、電波源測定に起因する誤差以外にも、自端末の移動量と回転量の測定に起因する誤差の修正にもなっている。なお、推定精度を向上させる必要がなければ、この再推定は行わなくてもよい。その場合、ステップS35A、36Aはスキップする。
【0083】
次に、ステップS37Aで、図5で説明したステップS4と同様の処理の相手端末の推定位置とガイドの表示を行う。その後、ステップS38Aにおいて、探索終了の指示を受けたかを判断し、探索終了の指示を受けるまで、ステップS32AからS37Aの処理を続け、相手端末の推定位置の表示とガイドの表示を更新し続ける。
【0084】
このように、本実施例によれば、相手側の端末位置の推定を行う際に、相手端末から見た自端末の位置は、ベクトルの方向を変えれば自端末から見た相手端末の位置であるので、双方の推定結果を併せれば、推定精度が向上できる。また、移動履歴も取得することにより、過去の推定結果も合わせて現在の位置推定のデータとして使用することができ、推定精度を向上させることができる。
【実施例8】
【0085】
本実施例では、他の探索方法と併用する例について説明する。
【0086】
図19Aは、本実施例における電波源推定位置の表示例である。図19Aにおいて、例えば、データ数が少ない、距離がある、等の理由で携帯情報端末の電波受信による直接の電波源推定の精度が低い場合、携帯情報端末1は、まず、他の探索方法である屋内測位等の測位技術による外界基準の電波源の位置推定、すなわち間接探索を行う。図19Aにおいて、間接探索中は、直接探索準備中等の表示97を表示し、電波源推定位置を表示するマークも概略位置である広い範囲を示す電波源推定位置98を表示する。
【0087】
図19Bは、図19Aにおいて電波源の位置推定の精度が上がった場合の電波源推定位置の表示例である。図19Bにおいて、データ数が増えるか、間接推定情報に基づいて電波源位置に近づくなどして、推定精度が上がった時点で、直接探索による推定位置の表示に切替える。すなわち、図19Bに示すように、直接探索開始の表示99を表示し、図2Aと同様の、推定精度が上がった電波源推定位置81およびガイド82を表示する。
【0088】
図20は、本実施例における電波源探索の処理フロー図である。図20において、図5と同じ処理については同じ符号を付し、その説明は省略する。図20において、携帯情報端末1は、ステップS1で探索開始指示を受けると、ステップS15で他の探索方法である間接探索による電波源の位置推定を行い、図19Aに示す、概略位置である広い範囲を示す電波源推定位置の表示を行う。そして、図5と同様のステップS2で直接探索による無線信号を受信し自端末の移動量と回転量の測定を行う。そして、ステップS3で電波源位置の推定を行い、ステップS16で推定位置誤差が所定値より小さいかを判定し、小さくなければ推定精度が低いと判断し、ステップS15に戻り、推定精度が所定精度となるまで、間接探索による電波源位置推定を繰り返す。そして、推定精度が所定精度以上となると、ステップS2、S3で無線信号受信、自端末の移動量と回転量の測定、電波源位置の推定を更新し、ステップS4で、直接探索による推定位置の表示に切替え、図19Bに示す電波源推定位置81およびガイド82を表示する。そして、探索終了の指示を受けるまで、ステップS2からS4の処理を続け、電波源の推定位置の表示とガイドの表示を更新し続ける。
【0089】
このように、本実施例では、直接探索による電波源の位置推定の精度が低い段階から、推定位置の目安がつくので、探索を効率的に行うことができる。本手法は、待ち合わせ等でも有効である。すなわち、最初は、地図情報を元にして、待ち合わせ場所に向かい、十分近くにきて、電波の受信が可能になってから、電波源探索による最後の精密な位置推定を用いて、より効率的に目標人物に会うことができる。
【0090】
以上実施例について説明したが、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1、1A~1D:携帯情報端末、2:サーバ、9:通信網、10:筐体、11:表示面、101:プロセッサ、102:メモリ、103:表示デバイス、107:操作入力部、
80:電波源、81:電波源推定位置、82:ガイド、87:第1の電波源推定位置、88:第2の電波源推定位置、91:ガイド、94:相手端末推定位置、96:移動履歴
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図20