(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】LIDARシステムにおけるノイズ校正およびターゲット検出
(51)【国際特許分類】
G01S 7/497 20060101AFI20241007BHJP
G01S 17/34 20200101ALI20241007BHJP
【FI】
G01S7/497
G01S17/34
(21)【出願番号】P 2023512265
(86)(22)【出願日】2020-08-31
(86)【国際出願番号】 US2020048745
(87)【国際公開番号】W WO2022039759
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2023-08-28
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521095112
【氏名又は名称】エヴァ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100119792
【氏名又は名称】熊崎 陽一
(72)【発明者】
【氏名】ビスワナサ クマール バルガブ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ペリン ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ムートリ ラジェンドラ ツシャール
(72)【発明者】
【氏名】レズク ミナ
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-135446(JP,A)
【文献】特開2004-177350(JP,A)
【文献】特開2004-257961(JP,A)
【文献】再公表特許第2019/004146(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0284245(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0339359(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LIDAR(光検出および測距)システムであって、
FMCW(周波数変調連続波)赤外線(IR)光ビームを送信し、同光ビームの反射からリターン信号を受信する光スキャナと、
前記光スキャナに接続され、同リターン信号から時間領域でLIDARターゲットの距離に応じた周波数を有するベースバンド信号を生成する光処理装置と、
プロセッサ、およびこのプロセッサにより実行されるプログラム命令を格納するメモリを含む信号処理装置と、を備え、
前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されると、前記ベースバンド信号の信号ピークを周波数領域でLIDARシステムノイズの推定値と比較し、その比較に基づいてターゲットを特定するように構成さ
れており、
かつ、前記信号ピークは、前記ベースバンド信号の周波数ビンに亘る信号エネルギー、同周波数ビンに亘る前記ベースバンド信号の自己相関、および同周波数ビンに亘る前記ベースバンド信号と前記LIDARシステムノイズの推定値との間の相互相関のうち一つ以上に基づくものであり、
前記LIDARシステムノイズの推定値は、前記LIDARシステムが無エコー校正状態にあるときに、LIDARターゲット距離に応じた周波数を有するベースバンド信号を計測することにより生成されたものである、LIDARシステム。
【請求項2】
請求項1記載のLIDARシステムであって、
前記LIDARシステムノイズの推定値は、無エコーでの工場校正、低出力起動による校正、遮蔽された視野(FOV)での無エコー校正、およびターゲット不在校正のいずれかによるもの
である、LIDARシステム。
【請求項3】
請求項2記載のLIDARシステムであって、前記LIDARシステムノイズの推定値は、さらに、ノイズエネルギー、ノイズエネルギー平均、ノイズエネルギー分散、ノイズエネルギー歪度、およびノイズエネルギー尖度のうち一つ以上の計測値を含む、LIDARシステム。
【請求項4】
請求項3記載のLIDARシステムであって、前記工場校正は、前記光スキャナの全視野(FOV)を赤外線(IR)吸収体で遮断するときの前記ベースバンド信号の計測値を含む、LIDARシステム。
【請求項5】
請求項3記載のLIDARシステムであって、前記低出力起動による校正は、任意のリターン信号のエネルギーが前記LIDARシステムの検出レベル未満のときの前記ベースバンド信号の計測値を含む、LIDARシステム。
【請求項6】
請求項3記載のLIDARシステムであって、前記遮蔽された視野(FOV)での無エコー校正は、前記光スキャナが遮蔽された視野(FOV)に向けられたときの前記ベースバンド信号の計測値を含む、LIDARシステム。
【請求項7】
請求項3記載のLIDARシステムであって、前記光スキャナの視野(FOV)は、ターゲット反射のない無反射部を有しており、前記ターゲット不在校正は、前記光スキャナが前記ターゲット反射のない無反射部に向けられたときの前記ベースバンド信号の計測値を含む、LIDARシステム。
【請求項8】
請求項3記載のLIDARシステムであって、前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されると、さらに、前記LIDARシステムノイズの推定値から独立した最も高い信号を選択することにより前記ターゲットを特定する、LIDARシステム。
【請求項9】
請求項3記載のLIDARシステムであって、前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されると、さらに、前記LIDARシステムノイズの推定値に基づく信号対ノイズ比の閾値を超える最も高い信号ピークを選択することにより前記ターゲットを特定する、LIDARシステム。
【請求項10】
請求項3記載のLIDARシステムであって、前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されると、さらに、最も高い
信号対ノイズ比を有する信号ピークを選択することにより前記ターゲットを特定する、LIDARシステム。
【請求項11】
請求項3記載のLIDARシステムであって、前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されると、さらに、最も高い非負の信号マイナスノイズ対ノイズ比(S-N)/Nを有する信号ピークを選択することにより前記ターゲットを特定する、LIDARシステム。
【請求項12】
請求項3に記載のシステムであって、前記プロセッサにより前記プログラム命令が実行されると、さらに、
LIDARシステム内の内部反射を軽減するために、前記ベースバンド信号内の最小閾値周波数未満の周波数をマスクする、
ドップラーシフトによるエイリアシングを軽減するために、前記ベースバンド信号内の最大閾値周波数を超える周波数をマスクする、
非定常ノイズを補償するために前記LIDARシステムノイズの推定値の分散を増加させる、
または、インパルスノイズをデータベースで追跡し、前記ベースバンド信号内の対応する周波数をマスクする、
のいずれかにより、前記周波数領域における信号ピークが検出ターゲットを示すこと
を特定する、LIDARシステム。
【請求項13】
FMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
同システムが無エコー校正状態にあるときに、LIDARターゲット距離に応じた周波数を有するベースバンド信号を計測することにより、FMCW-LIDARシステムノイズの推定値を生成するステップ、
同システムがターゲット検出モードにあるときにターゲットリターン信号から前記ベースバンド信号を生成するステップ、
前記ターゲット検出モードで生成された前記ベースバンド信号を、前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値と比較するステップ、
および、前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定するステップ
であって、
前記信号ピークが、前記ベースバンド信号の周波数ビンに亘る信号エネルギー、同周波数ビンに亘る前記ベースバンド信号の自己相関、および同周波数ビンに亘る前記ベースバンド信号と前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値との間の相互相関のうち一つ以上に基づくものであるステップ
、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
前記無エコー校正状態は、無エコーでの工場校正状態、低出力起動による校正状態、遮蔽された視野(FOV)での無エコー校正状態、およびターゲット不在校正状態のうち、のいずれかによるもの
である、方法。
【請求項15】
請求項14に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値は、さらに、ノイズエネルギー、ノイズエネルギー平均、ノイズエネルギー分散、ノイズエネルギー歪度、およびノイズエネルギー尖度のうち一つ以上の計測値を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
同システムが無エコー校正状態にあるときに前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値を生成する方法は、同システムの視野(FOV)を遮蔽する外部赤外線(IR)吸収体で同システムの赤外線(IR)光ビームを吸収することを含む、方法。
【請求項17】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
同システムが低出力駆動による前記無エコー校正状態にあるときに前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値を生成する方法は、同システムの赤外線(IR)光ビームのエネルギーを、同システムの視野(FOV)内のターゲット検出を妨げるレベルまで低下させることを含むことを含む、方法。
【請求項18】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
遮蔽された視野(FOV)で同システムが前記無エコー校正状態にあるときに前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値を生成する方法は、前記遮蔽された視野(FOV)で同システムの赤外線(IR)光ビームを赤外線(IR)吸収体に向けることを含む、方法。
【請求項19】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
同システムが前記ターゲット不在校正状態にあるときに前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値を生成する方法は、同システムの赤外線(IR)光ビームをターゲット反射のない無反射部に向けることを含む、方法。
【請求項20】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定する方法は、前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値から独立した最も高い信号を選択することを含む、方法。
【請求項21】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定する方法は、前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値に基づく信号対ノイズ比の閾値を超える最も高い信号ピークを選択することを含む、方法。
【請求項22】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定する方法は、前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値に基づいて最も高い信号対ノイズ比を有する信号ピークを選択することを含む、方法。
【請求項23】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定する方法は、前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値に基づいて最も高い非負の信号マイナスノイズ対ノイズ比(S-N)/Nを有する信号ピークを選択することを含む、方法。
【請求項24】
請求項15に記載のFMCW-LIDARシステムにおける方法であって、
前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定する方法は、
同システム内の内部反射を軽減するために、前記ベースバンド信号内の最小閾値周波数未満の周波数をマスクする、
ドップラーシフトによるエイリアシングを軽減するために、前記ベースバンド信号内の最大閾値周波数を超える周波数をマスクする、
非定常ノイズを補償するために前記FMCW-LIDARシステムノイズの推定値の分散を増加させる、
または、インパルスノイズをデータベースで追跡し、前記ベースバンド信号内の対応する周波数をマスクする、
のうち少なくとも一つを含む、方法。
【請求項25】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、LIDARシステム内のプロセッサにより実行されると、前記LIDARシステムが下記を実行するプログラム命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
同システムが無エコー校正状態にあるときにベースバンド信号を計測することによりFMCW-LIDARシステムにおけるシステムノイズの推定値を生成する。ここで、前記ベースバンド信号は、LIDARターゲット距離に応じた周波数を有し、前記システムノイズの推定値は、ノイズエネルギー、ノイズエネルギーの1次モーメント(平均)、ノイズエネルギーの2次モーメント(分散)、ノイズエネルギーの3次モーメント(非対称性(歪度))、およびノイズエネルギーの4次モーメント(尖度)のうち一つ以上の計測値を含む。;
前記FMCW-LIDARシステムがターゲット検出モードにあるときに、ターゲットリターン信号から前記ベースバンド信号を生成する。;
ターゲット検出モードで生成された前記ベースバンド信号を前記システムノイズの推定値と比較する。;
前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定する。
ここで、前記信号ピークは、前記ベースバンド信号の周波数ビンに亘る信号エネルギー、同周波数ビンに亘る前記ベースバンド信号の自己相関、および同周波数ビンに亘る前記ベースバンド信号と前記LIDARシステムノイズの推定値との間の相互相関のうち一つ以上に基づくものである。
【請求項26】
(削除)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)に基づき 2020年8月18日に出願された米国特許出願第 16/996,706号の優先権を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、LIDAR(光検出および測距)システムに関し、詳しくは、FMCW(周波数変調連続波)LIDARシステムにおけるノイズ校正(キャリブレーション)および補償を用いたターゲット検出に関する。
【背景技術】
【0003】
周波数変調連続波(FMCW)LIDARシステムは、チャープ周波数を有する赤外線レーザを用いてターゲットを照射し、ターゲットからの散乱光や反射光を検出するためにコヒーレント受信器を使用する。送信された信号のローカルコピーと、ターゲットへの往復時間によって遅延されたリターン信号とを混合することで、同受信器でシステムの視野内の各ターゲットまでの距離に比例する周波数の信号を生成する。
このようなLIDARシステムでは、ヒトへの安全上の配慮から、低出力レーザが使用されており、物体からのリターン信号は非常に低い信号強度に保たれる。同システムの検出距離と精度は、信号対ノイズ比に依存するが、従来の解決策では、リターン信号を適切に処理するために同システムのノイズ特性を確実に判定することが困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、本発明の態様、すなわち、LIDARシステムノイズを校正し、システムノイズ特性を補償することでターゲット検出を向上させるLIDARシステムおよび方法の各発明の態様について説明する。
【0005】
本発明の一態様によるLIDARシステムは、FMCW(周波数変調連続波)赤外線(IR)光ビームを送信し、同光ビームの反射からのリターン信号を受信する光スキャナを備える。また、前記光スキャナに接続されて、同リターン信号から時間領域でLIDARターゲットの距離に応じた周波数を有するベースバンド信号を生成する光処理装置を備える。さらに、前記光処理装置に接続されて、周波数領域で同ベースバンド信号の信号ピークをLIDARシステムノイズの推定値と比較し、その比較に基づいてターゲットの可能性の高いものを特定する信号処理装置を備える。
【0006】
本発明の一態様において、前記LIDARシステムノイズの推定値は、無エコーでの工場校正(製品出荷前の校正)、低出力起動による校正、遮蔽された視野での無エコー校正、およびターゲット不在校正のいずれかによるものであり、かつ、前記信号ピークは、前記ベースバンド信号の周波数ビンに亘る信号エネルギー、同周波数ビンに亘る前記ベースバンド信号の自己相関、および同周波数ビンに亘る前記ベースバンド信号と前記LIDARシステムノイズの推定値との間の相互相関のうち一つ以上に基づくように構成される。
【0007】
本発明の一態様において、前記LIDARシステムノイズの推定値は、さらに、ノイズエネルギー、ノイズエネルギーの1次モーメント(平均)、ノイズエネルギーの2次モーメント(分散)、ノイズエネルギーの3次モーメント(非対称性(歪度))、およびノイズエネルギーの4次モーメント(尖度)のうち一つ以上の計測値を含むように構成される。
【0008】
本発明の一態様において、前記信号処理システムは、
前記LIDARシステムノイズの推定値から独立した最も高い信号ピーク、
前記LIDARシステムノイズの推定値に基づく信号対ノイズ比の閾値を超える最も高い信号ピーク、
最も高い前記信号対ノイズ比を有する信号ピーク、
または、最も高い非負の信号マイナスノイズ対ノイズ比(S-N)/Nを有する信号ピーク、のうちいずれかの信号ピークを選択することにより、前記ターゲットの可能性の高いものを特定するように構成される。
【0009】
本発明の一態様において、前記信号処理装置は、
LIDARシステム内の内部反射を軽減するために、前記ベースバンド信号内の最小閾値周波数未満の周波数をマスクする、
ドップラーシフトによるエイリアシングを軽減するために、前記ベースバンド信号内の最大閾値周波数を超える周波数をマスクする、
非定常ノイズを補償するために前記LIDARシステムノイズの推定値の分散を増加させる、
または、インパルスノイズをデータベースで追跡し、前記ベースバンド信号内の対応する周波数をマスクする、
のいずれか一つ以上により前記ターゲットの可能性の高いものを特定するように構成される。
【0010】
本発明の一態様による、FMCW-LIDARシステムにおける方法は、
同システムが校正状態にあるときに、LIDARターゲット距離に応じた周波数を有するベースバンド信号を計測することにより、LIDARシステムノイズの推定値を生成するステップ;
同システムがターゲット検出モードにあるときにターゲットリターン信号から前記ベースバンド信号を生成するステップ;
前記ターゲット検出モードで生成された前記ベースバンド信号を、前記LIDARシステムノイズの推定値と比較するステップ;
および、前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度(確率)を決定するステップ、を含む。
【0011】
本発明の一態様において、FMCW-LIDARシステムにおける非一時的コンピュータ可読媒体は、同システム内のプロセッサにより実行されると、同システムが下記を実行するプログラム命令を含む。
同システムが無エコー校正状態にあるときにベースバンド信号を計測することによりFMCW-LIDARシステムにおけるシステムノイズの推定値を生成する。ここで、前記ベースバンド信号は、LIDARターゲット距離に応じた周波数を有し、前記システムノイズの推定値は、ノイズエネルギー、ノイズエネルギーの1次モーメント(平均)、ノイズエネルギーの2次モーメント(分散)、ノイズエネルギーの3次モーメント(非対称性(歪度))、およびノイズエネルギーの4次モーメント(尖度)のうち一つ以上の計測値を含む。;
前記FMCW-LIDARシステムがターゲット検出モードにあるときに、ターゲットリターン信号から前記ベースバンド信号を生成する。;
ターゲット検出モードで生成された前記ベースバンド信号を前記システムノイズの推定値と比較する。;
前記推定値との比較に基づいて周波数領域で前記ベースバンド信号の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の種々の態様を明確にするために、後述の詳細な説明(実施形態)で参照される図面を示す。なお図中の同一の符号は同一の要素である。
【0013】
【
図1】本発明の実施形態によるLIDARシステムを示すブロック図である。
【0014】
【
図2】本発明の実施形態によるLIDAR波形の一例を示す時間-周波数特性図である。
【0015】
【
図3A】
図3Aは、本発明の実施形態によるLIDARシステムを示すブロック図である。
【0016】
【
図3B】
図3Bは、本発明の実施形態によるLIDARシステムの電気光学系を示すブロック図である。
【0017】
【
図4】本発明の実施形態による信号処理装置を示すブロック図である。
【0018】
【
図5】本発明の実施形態によるサブバンド信号の一例を示す信号強度-周波数特性図である。
【0019】
【
図6】
図6A~
図6Dは、本発明の実施形態による、無エコーノイズ校正方法の一例を示す説明図である。
【0020】
【
図7】本発明の実施形態による、ピーク検出方法の一例を示す信号強度-周波数特性図である。
【0021】
【
図8】本発明の実施形態による、ピーク検出方法の一例を示す信号強度-周波数特性図である。
【0022】
【
図9】
図9は、本発明の実施形態による、ピーク検出方法の一例を示す信号強度-周波数特性図である。
【0023】
【
図10】
図10は、本発明の実施形態による、ピーク検出方法の一例を示す信号強度-周波数特性図である。
【0024】
【
図11】本発明の実施形態による、ノイズ校正およびターゲット検出方法を示すフローチャートである。
【0025】
【
図12】本発明の実施形態による、信号処理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態によるLIDARシステム、およびLIDARシステムのノイズ校正およびシステムノイズ特性の補償を適用してターゲット検出を向上させる方法について説明する。
本発明の実施形態におけるLIDARシステムは、輸送、製造、計測、医療、セキュリティシステムなど、任意のセンシング市場に導入することができる。その他、実施形態で説明されるLIDARシステムは、自動運転支援システムや自動運転車の空間認識を支援する周波数変調連続波(FMCW)デバイスのフロントエンド(前置型)パーツとして実装される。
【0027】
図1は、一実施形態によるLIDARシステム100を示している。LIDARシステム100には、複数のコンポーネントが組み込まれているが、図示より少ないコンポーネントであってもよく、または追加コンポーネントを含んでもよい。
図1に示すように、LIDARシステム100は、フォトニクスチップ上に実装された光学回路101を有する。光学回路101には、アクティブ光学部品とパッシブ光学部品とが組み込まれる。アクティブ光学部品は、光信号を生成、増幅、および/または検出するようになっており、異なる波長の光ビームを有し、一つ以上の光増幅器、一つ以上の光学的な検出器等を含む。
【0028】
フリースペースオプティクス115は、光信号を伝送し適切な入力/出力ポートにルーティングおよび操作するための一つ以上の光導波路を備える。フリースペースオプティクス115には、タップ、波長分割多重器(WDM)、スプリッタ/コンバイナ(分割器/合成器)、偏光ビームスプリッタ(PBS)、コリメータ、カプラ等の一つ以上の光学部品が含まれる。加えて、フリースペースオプティクス115には、偏波状態を変換し、たとえば偏光ビームスプリッタ(PBS)を使用して受信偏光光を光検出器に直接誘導するための部品が含まれる場合がある。また、フリースペースオプティクス115には、周波数の異なる光ビームを軸(例.速軸)上の異なる角度に偏向する回折素子がさらに含まれる場合がある。
【0029】
本実施形態のLIDARシステム100は、一つ以上のスキャンミラーを有する光スキャナ102を備えている。これらのスキャンミラーは、スキャンパターンに従って環境をスキャンする光信号を誘導するために、回折素子の速軸に直交または実質的に直交する軸(例.遅軸)に沿って回転可能になっている。
たとえば、スキャンミラーは一つまたは複数のガルバノメータによって回転可能である。光スキャナ102は、また環境内の任意の物体に反射した光を受信し、光学回路101のパッシブ光学(回路)部品に戻るリターン光ビームにする。リターン光ビームは、たとえば偏光ビームスプリッタによって光検出器に向けられる。
なお、光スキャナ102には、ミラーやガルバノメータに加えて、四分の一波長板、レンズ、反射防止コーティングされた光学窓などの部品が含まれる場合がある。
【0030】
LIDARシステム100には、光学回路101および光スキャナ102を制御およびサポートするために、LIDAR制御装置110が設けられる。LIDAR制御装置110には、LIDARシステム100に必要な処理デバイスが含まれる。処理デバイスはマイクロプロセッサ、中央処理装置などの汎用処理デバイスであり、具体的には、複合命令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実装するプロセッサ、あるいは、命令セットの組み合わせを実装するプロセッサである。また、上記処理デバイスは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:現場プログラム可能ゲートアレイ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等の特殊用途処理デバイスの一つ以上であってもよい。
LIDAR制御装置110には、上記処理デバイスによって実行されるデータおよび命令を格納するためのメモリが含まれる。このメモリは、たとえば読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)などの磁気ディスクメモリ、コンパクトディスク読み取り専用(CD-ROM)およびコンパクトディスク読み書き可能メモリ(CD-RW)などの光ディスクメモリ、またはその他の種類の非一時的メモリである。
【0031】
LIDAR制御装置110には、DSPなどの信号処理ユニット112が設けられる。これにより、LIDAR制御装置110は、光学ドライバ103を制御するためのデジタル制御信号を出力する。デジタル制御信号は、信号変換ユニット106を介してアナログ信号に変換される。信号変換ユニット106にはたとえばデジタル/アナログ変換器が含まれる。
光学ドライバ103は、光学回路101のアクティブ光学部品に駆動信号を送り、レーザや増幅器などの光源を駆動する。他の一実施形態においては、複数の光源を駆動するために、複数の光学ドライバ103および信号変換ユニット106を設けてもよい。
【0032】
LIDAR制御装置110はまた、光スキャナ102に対してデジタル制御信号を出力する。モーション制御装置105は、LIDAR制御装置110から受信した制御信号に基づいて、光スキャナ102のガルバノメータを制御することができる。具体的には、デジタル/アナログ変換器を使用して、LIDAR制御装置110からの座標ルーティング情報を、光スキャナ102のガルバノメータによって処理可能な信号に変換することができる。
また、モーション制御装置105は、光スキャナ102のコンポーネントの位置または動作に関する情報をLIDAR制御装置110に送り返すこともできる。具体的には、アナログ・デジタル変換器を使用して、ガルバノメータの位置に関する情報をLIDAR制御装置110が処理可能な信号に変換することができる。
【0033】
LIDAR制御装置110は、入力されたデジタル信号を解析するように構成される。これに関連して、LIDARシステム100には、光学回路101で受信された一つまたは複数のビームを測定するための光受信器104が設けられる。具体的には、光受信器104としての基準ビーム受信器は、アクティブ光学部品からの基準ビームの振幅を測定し、アナログ/デジタル変換器により同基準ビーム受信器からの信号を、LIDAR制御装置110で処理可能な信号に変換する。また、光受信器104としてのターゲット受信器は、ビート周波数変調光信号の形でターゲットの距離と速度に関する情報をもつ光信号を計測する。この場合、光信号の反射ビームは、ローカル発振器からの第2の信号(ローカルコピー)と混合されてもよい。
光受信器104には、ターゲット受信器からの信号をLIDAR制御装置110によって処理可能な信号に変換する高速アナログ/デジタル変換器を設けることができる。本実施形態では、光受信器104からの信号は、LIDAR制御装置110に受信される前に、信号調整ユニット107による信号調整を施される。たとえば信号調整ユニット107では、光受信器104からの信号に対して、オペアンプによる受信信号の増幅が行われ、増幅された信号がLIDAR制御装置110に送られる。
【0034】
LIDARシステム100には、環境の画像をキャプチャするように構成された一つ以上の撮像装置108、同システムの地理的位置を提供するように構成された全地球測位システム(GPS)109、または他のセンサ入力を設けることもできる。
また、LIDARシステム100には画像処理装置114を設けることができる。この場合、同画像処理装置114は、撮像装置108および全地球測位システム(GPS)109から画像および地理的位置を受信し、画像および位置またはそれに関連する情報を、LIDAR制御装置110またはそれに接続された他の装置に送信するように構成される。
【0035】
LIDARシステム100は、非縮退光学光源を用いて二次元で距離および速度を同時に測定するように構成される。この機能により、周囲環境の距離、速度、方位および高さ(標高)について遠距離計測がリアルタイムで可能になる。
【0036】
本実施形態におけるスキャンプロセスは、光学ドライバ103およびLIDAR制御装置110から開始される。LIDAR制御装置110は、光学ドライバ103に一つまたは複数の光ビームをそれぞれ変調するように指示し、これらの変調信号は光学回路101のパッシブ光学回路を通ってフリースペースオプティクス115のコリメータに伝送される。同コリメータは、この光を光スキャナ102に向けて誘導し、光スキャナ102はモーション制御装置105で事前にプログラムされたパターンで環境をスキャンする。
光学回路101には、光ビームが光学回路101を出る際に偏光を変換する偏光波板(PWP)を設けてもよい。この場合、偏光波板は四分の一波板または半波板を採用することができる。偏光された光ビームの一部は、光学回路101に戻るように反射される場合もある。たとえば、LIDARシステム100で使用されるレンズ・コリメータシステムは、自然な反射特性または反射コーティングを有する場合があり、これにより光ビームの一部が光学回路101に反射される。
【0037】
環境から反射された光信号は、光学回路101を通して受信器(光受信機104)に送られる。このとき、反射光の偏光が変化しているため偏光光の一部とともに偏光ビームスプリッタに送られる。その結果、反射された光信号は、光源と同じ光ファイバまたは波導路には戻らず、それぞれ異なる光受信器に反射される。これらの信号は互いに干渉し、混合信号を生成する。ターゲットから戻ってくる各ビーム信号は、時間シフトされた波形を生成し、これら2つの波形間の時間的位相差によって光受信器(光検出器) で計測されるビート周波数が生成される。そして、この混合信号は光受信器104で処理される。
【0038】
光受信器104で受信したアナログ信号は、ADC(アナログ/デジタル変換器)によりデジタル信号に変換される。次いで、同デジタル信号は、LIDAR制御装置110に送信される。同装置の信号処理ユニット112は、同デジタル信号を受信しそれらを処理する。
本実施形態において、信号処理ユニット112は、モーション制御装置105およびガルバノメータ(図示されない)から位置データを受信し、画像処理装置114から画像データを受信することができる。これにより、信号処理ユニット112は、光スキャナ102が追加ポイントを走査する際に、環境内のポイントの範囲と速度に関する情報を有する3Dポイントクラウドを生成することができる。信号処理ユニット112はまた、3Dポイントクラウドを画像データと重ね合わせて、周囲の物体の速度および距離を決定する場合もある。このユニットによるシステムはさらに衛星ベースのナビゲーション位置データを処理して正確な全地球的位置情報を提供する場合もある。
【0039】
図2は、LIDARシステム100のようなLIDARシステムで使用可能なFMCWスキャン信号201の時間-周波数ダイアグラム200である。この例において、スキャン信号201の波形は、チャープ帯域幅Δf
Cおよびチャープ周期T
Cを持つ鋸波形(鋸「チャープ」)であり、f
FM(t)とラベル付けされている。鋸波の傾きは、k=(Δf
C/T
C)となる。
図2にはまたターゲットリターン信号202が示される。f
FM(t-Δt)で示されるターゲットリターン信号202は、スキャン信号201の時間遅延バージョンであり、Δtは、スキャン信号201によるターゲットへの照射往復時間である。この往復時間は Δt=2R/v で表すことができる。ここで、R はターゲットの距離、v は光ビームの速度である光速cである。したがって、同ターゲットの距離R は、R=c(Δt/2) として計算できる。
リターン信号202がスキャン信号と光学的に混合されると、距離依存の差周波数(「ビート周波数」)Δf
R(t)が生成される。ビート周波数Δf
R(t)は、鋸波の傾きkによって時間遅延Δtに線形(直線的)に関連付けられる。つまり、Δf
R(t)=kΔtとして表される。ターゲット距離RはΔt に比例するため、ターゲット距離Rは R =(c/2)(Δf
R(t)/k) として計算できる。すなわち、距離Rは、ビート周波数Δf
R(t)に線形(直線的)に関連付けられる。
ビート周波数Δf
R(t)は、LIDARシステム100の光受信器104でアナログ信号として生成される。このビート周波数は、LIDARシステム100の信号調整ユニット107内のアナログ/デジタル変換器(ADC)によってデジタル信号に変換される。
このようにしてデジタル化されたビート周波数信号は、LIDARシステム100内の信号処理ユニット(例えば、信号処理ユニット112)でデジタル処理される。
ただし、ターゲットがLIDARシステム100に対して速度を有する場合、ターゲットのリターン信号には一般に周波数オフセット(ドップラーシフト)が生じることに注意する必要がある。ドップラーシフトは別途検出されてリターン信号の周波数を補正するために使用されるため、
図2では説明の簡略化のためドップラーシフトは表示されない。
また、ADCのサンプリング周波数は、エイリアシングを発生させずにシステムで処理可能な最高のビート周波数に設定される。一般的に処理可能な最高周波数はサンプリング周波数の半分(すなわち「ナイキスト制限」)である。例えば、制限のないADCのサンプリング周波数が1ギガヘルツである場合、エイリアシングなしで処理できる最高ビート周波数(Δf
Rmax)は500メガヘルツである。この制限は、システムの最大ターゲット距離R
max=(c/2)(Δf
Rmax/k)で決まり、これは鋸波の傾きkを変更することによって調整することができる。
本実施形態では、データサンプルはADCから連続的に得られるが、下記に説明する後続のデジタル処理は、「時間セグメント」に分割され、LIDARシステム100内の周期性に関連付けられることがある。たとえば時間セグメントは、一定数のチャープ周期T
C、または前述の光スキャナの方位における回転数に対応する。
【0040】
図3Aは、一実施形態によるFMCW-LIDARシステム300を示すブロック図である。LIDARシステム300は、FMCW(周波数変調連続波)赤外線(IR)光ビーム304を送信し、光スキャナ301の視野(FOV)内のターゲット312などから光ビーム304の反射によるリターン信号313を受信する光スキャナ301を備える。LIDARシステム300はまた、リターン信号313から時間領域でLIDARターゲット距離に応じた周波数を含むベースバンド信号314を生成する光処理装置302を備えている。光処理装置302には、LIDARシステム100で説明したフリースペースオプティクス115、光学回路101、光ドライバ103および光受信器104等の構成素子が含まれる場合がある。
LIDARシステム300にはさらに、信号処理装置303を備える。この信号処理装置303は、ベースバンド信号314のエネルギーを周波数領域で計測し、このエネルギー計測値をLIDARシステムノイズの推定値と比較して、周波数領域での信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定するものである。信号処理装置303には、LIDARシステム100における信号変換ユニット106、信号調整ユニット107、LIDAR制御システム110および信号処理ユニット112等の構成素子が含まれる場合がある。
【0041】
図3Bは、一実施形態によるLIDARシステム350の電気光学系の一例を示すブロック図である。LIDARシステム350は、
図1で説明した光スキャナ102と同様な光スキャナ301を備える。LIDARシステム350にはまた、上記のように、LIDARシステム100で説明したフリースペースオプティクス115、光学回路101、光ドライバ103および光受信機104等の構成素子が含まれる場合がある。
【0042】
光処理装置302には、周波数変調連続波(FMCW)光ビーム304を生成するための光源305が設けられる。光源305からの光ビーム304は光カプラ306に向けられ、光ビーム304の一部が偏光ビームスプリッタ(PBS)307に送られる。光ビーム304のサンプル308(基準ビーム)は、光カプラ306から光検出器(PD)309に送られる。
PBS 307は、偏光による光ビーム304を光スキャナ301に向けるように設けられる。光スキャナ301は、LIDARウィンドウ311の視野(FOV)310をカバーする方位角および仰角の範囲で、光ビーム304をターゲット環境にスキャンするように設定される。なお
図3Bでは説明の簡略化のため方位角スキャンのみが示されている。
【0043】
図3Bに示すように、光ビーム304は、所定の方位角(または角度範囲)で、LIDARウィンドウ311を通過し、ターゲット312に照射される。ターゲット312からのリターン信号313は、LIDARウィンドウ311を通過し、光スキャナ301によってPBS307に戻される。
【0044】
ターゲット312からの反射により光ビーム304とは異なる偏光をもつリターン信号313は、PBS307を通して光検出器(PD)309に導かれる。PD309では、リターン信号313が光ビーム304のローカルサンプル308と光学的に混合され、時間領域で距離依存ベースバンド信号314が生成される。この距離依存ベースバンド信号314は、光ビーム304のローカルサンプル308とリターン信号313との間の周波数差対時間(すなわち、ΔfR(t))である。
【0045】
図4は、ベースバンド信号314を処理する信号処理装置303の一実施形態を示す詳細なブロック図である。前述したように、信号処理装置303は、LIDARシステム100の信号変換ユニット106、信号調整ユニット107、LIDAR制御装置110、および信号処理ユニット112等の構成素子が含まれる場合がある。
【0046】
信号処理装置303は、アナログ-デジタル変換器(ADC)401、時間領域信号プロセッサ402、ブロックサンプラ403、離散フーリエ変換プロセッサ404、周波数領域信号プロセッサ405、およびピーク検索プロセッサ406を備える。信号処理装置303の各コンポーネントブロックは、たとえばハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアを組み合わせて実装される。
【0047】
図4では、時間領域で連続したアナログ信号であるベースバンド信号314がADC401によってサンプリングされ、一連の時間領域サンプル315が生成される。時間領域サンプル315は、時間領域プロセッサ402によって処理され、さらなる処理のために調整される。たとえば、時間領域プロセッサ402は、望ましくない信号の成分を取り除くか、後続の処理に適した形にするために、ウェイト付けやフィルタリングを適用することがある。そして、時間領域プロセッサ402の出力信号316がブロックサンプラ403に送られる。
ブロックサンプラ403は、時間領域サンプル315の出力信号316をN個のサンプル317(Nは1より大きい整数)のグループに分け、DFTプロセッサ404に送る。DFTプロセッサ404は、N個の時間領域サンプル317のグループを、ベースバンド信号314の帯域幅をカバーする周波数領域のN個の周波数ビンまたはサブバンド318に変換する。N個のサブバンド318は、周波数領域プロセッサ405に送られて、さらなる処理のために調整される。たとえば、周波数領域プロセッサ405は、ノイズ低減のためにサブバンド318を再サンプリングおよび/または平均化する場合がある。また、周波数領域プロセッサ405は、後述するように、信号統計量やシステムノイズ統計量を計算する場合もある。その後、処理されたサブバンド319がピーク検索プロセッサ406に送られ、LIDARシステム300の視野内のターゲットを表す信号ピークが検索されることになる。
【0048】
ピーク検索プロセッサ405に送られるサブバンド信号319は、ターゲットからのリターン信号313のエネルギーと、リターン信号313が処理されるときにLIDARシステム300に寄与する全ノイズとの合計となる。一般にほとんどの電子システムにはノイズ源があり、これらがノイズフロアを形成してシステムの性能を制限している。ノイズフロアとはシステム内のすべてのノイズ源の合成レベルである。ベースバンド信号314から生成されたサブバンド信号319のような電子システム内の信号が検出されるためには、これらの信号レベルが信号積分およびノイズ平均化などの特殊な信号処理技術がないノイズフロアを上回る必要がある。
【0049】
LIDARシステム(例えば、LIDARシステム300)内のノイズ源には、熱雑音、1/fノイズ、ショットノイズ、インパルスノイズ、RIN(レーザに関連する相対強度ノイズ)、TIA(トランスインピーダンスアンプ)ノイズ、およびADC(アナログ/デジタル変換)ノイズが含まれる場合がある。これらのノイズ源は、当業者には既に知られているところであり、システムノイズは、たとえば、周波数ビン間での信号強度(エネルギー)対周波数プロファイル、周波数ビン間での1次モーメント(平均)、周波数ビン間での2次モーメント(分散)、周波数ビン間での3次モーメント(非対称性(歪度))、および/または周波数ビン間での4次モーメント(尖度またはピークの鋭さ)によって特徴付けることができる。
【0050】
図5は、システムノイズを含むサブバンド信号319の信号強度対周波数の一例を示すダイヤグラム500であり、図示を容易にするために連続波形として(離散周波数ビンまたはサブバンドとしてではなく)示されている。周波数は、0からΔf
Rmaxまでの範囲で示される。
サブバンド信号319についての追加の情報がない場合、ピーク検索プロセッサ406は、ターゲットを示す可能性が最も高いリターン信号として最も高い信号ピーク501を選択し、たとえばより低い信号ピーク502を選択しない。しかしながら、ピーク検索プロセッサ406がシステムノイズの推定値を有する場合、サブバンド信号319をシステムノイズ推定値と比較することができ、追加の選択基準に基づいて異なる選択またはより良い選択をすることができる。
図5(および後述の
図7~
図10)において、信号およびノイズ値は、信号強度対周波数特性図として示されている。ただし、前述したように、システムノイズは、周波数に関する、エネルギー平均、エネルギー分散、エネルギー非対称性(歪度)、および尖度を表す1次~4次モーメントのいずれかによって追加的に特徴付けられる場合がある。一方、ベースバンド信号は、エネルギーだけでなく、ベースバンド内の周波数ビン間の自己相関統計、および/またはベースバンド信号とシステムノイズ推定値との間の相互相関統計の観点から特徴付けられる場合がある。
【0051】
一例として、システムノイズの推定値は、LIDARシステム300などのLIDARシステムを、検出可能なリターン信号(例えば、リターン信号313)が存在しない無エコー(無響)校正モードで動作させることによって得ることができる。この動作モードでは、通常のシステムノイズ機構のすべてが生成され、システムノイズ源からのエネルギーのみを含むベースバンド信号313(およびサブバンド信号319)が得られる。
【0052】
図6Aは、一実施形態による、工場環境(製品出荷前)で実施可能な無エコーノイズ校正を示す。
図6Aでは、赤外線(IR)吸収体321が、光スキャナ301の視野(FOV)310を完全に遮断し、光ビーム304のすべてのエネルギーを吸収するサイズでLIDARウィンドウ311の前に配置される。
【0053】
図6Bは、一実施形態による、LIDARシステムの起動時にリアルタイムで現場で実施可能な無エコーノイズ校正を示す。
このノイズ校正では、光スキャナ301のFOV310内の物体からの任意の反射(エネルギー)がシステムのノイズフロアを下回って検出不可能となるように、光ビーム304の出力パワー(電力)がシステムの起動時に減衰する(
図6Bにおいて破線の軽量線で示す)。
【0054】
図6Cは、一実施形態による、LIDARシステム(例えば、LIDARシステム300)の動作中にリアルタイムで現場で実施可能な無エコーノイズ校正を示す。
このノイズ校正では、光スキャナ301の角度範囲がLIDARウィンドウ311によるFOV310を超えるように拡大され、光ビーム304がスキャン中にシステムエンクロージャ(筐体)320内に配置されたIR吸収材322Aおよび322B(遮蔽部材:無反射部)に周期的に向けられる。
図6Cに示すように、スキャンの開始時の第1の時間間隔中に、光ビーム304(304Aとして識別される)がIR吸収材322Aを照射し、システムノイズの推定値を生成する。第2の時間間隔中に、光ビーム304(304Bとして識別される)がLIDARウィンドウ311のFOV310をスキャンし、ターゲット312からのリターン信号313を生成する。第3の時間間隔中に、光ビーム304(304Cとして示される)がIR吸収材322Bによって吸収され、別のシステムノイズの推定値を生成する。この校正プロセスは、各スキャン中に繰り返されるため、システムノイズの推定値がリアルタイムで継続的に更新されることになる。
【0055】
図6Dは、一実施形態による、LIDARシステムの動作中にリアルタイムで現場で実施可能な他の無エコーノイズ校正を示す。
このノイズ校正では、光スキャナはLIDARウィンドウ311のFOV310内で通常のスキャンを行うが、光ビーム304Bからの信号リターンが明らかなターゲット(ターゲット312からのリターン313など)を示すFOV内の場所を無視し、光ビーム304Dが光スキャナ301のFOV内のターゲットを含まない領域に向けられるとサブバンド信号を記録する。この校正方法は、たとえば、システム100内の撮像装置108やシステム100内の画像処理装置114による画像処理によってサポートされる場合がある。
【0056】
図7は、サブバンド信号319と、
図6Aから
図6Dで示したいずれかの校正方法によるシステムノイズ推定値701との関係を示す信号強度対周波数特性
図700である。
図7の例では、信号処理装置303内のピーク検索プロセッサ406は、最小の閾値SNR(信号対ノイズ比)を超えるSNRをもつ最も高い信号ピークを選択するように設定されている。
図7において信号ピーク702はそのSNR703が閾値SNRを超えており、信号ピーク704もそのSNR705が閾値SNRを超えている。ピーク検索プロセッサ406は、上記の選択基準により、信号ピーク702を選択する。信号ピーク702が信号ピーク704よりも高いため信号ピーク704は選択されない。
【0057】
図8は、異なるピーク選択基準を示すもので、サブバンド信号319とシステムノイズ推定値701との関係を示す信号強度対周波数特性
図800である。
図8の例では、ピーク検索プロセッサ406は、エネルギーレベルに関係なく、最も高いSNRを持つ信号ピークを選択するように設定される。この選択基準の下では、信号ピーク702は最も高いピークエネルギーを有しているにもかかわらず、信号ピーク704のSNR705よりも低いSNR703を有するため選択されない。
【0058】
図9は、ノイズ推定値701と、サブバンド信号319とノイズ推定701値との差(S-N/N)とを比較する信号強度対周波数特性
図900である。なお、
図9ではサブバンド信号319とノイズ推定値701との差は、信号マイナスノイズ(S-N) 901で示される。
図9の例では、ピーク検索プロセッサ406は、最も高い非負の信号マイナスノイズ対ノイズ比(S-N)/Nを有する信号ピークを選択するように設定されている。この選択基準の下では、(S-N)/N 903が(S-N)/N 905よりも大きいため、信号ピーク902を信号ピーク904よりも優先して選択する。
【0059】
一実施形態において、信号処理装置303は、周波数領域の信号ピークが検出されたターゲットを示す尤度を向上させ、また周波数領域の偽ターゲットからの信号ピークが実際のターゲットとして解釈される尤度を減少させるために、サブバンド信号(例えば、信号319)とシステムノイズ推定値(例えば、システムノイズ推定値701)を修正可能に設定することができる。
前述のように、信号処理装置303、特に周波数領域プロセッサ405は、後続の処理のためにシステムノイズ推定値の統計値を計算することができる。たとえば、周波数領域プロセッサ405は、DFTプロセッサ404によって生成された各周波数サブバンド(周波数ビン)のノイズの分散を計算するように構成してもよく、また、周波数ビン間のノイズの共分散を計算するように構成してもよい。さらに、周波数領域プロセッサ405は、ノイズの任意のモーメントを計算するように構成することもできる(例えば、質量系の重心または慣性モーメントに類似する、周波数に関するノイズエネルギーの1次モーメントまたは2次モーメント)。さらに、周波数領域プロセッサ405は、各周波数ビンでのピークパワーを時間経過で追跡して、ランダムなインパルスノイズを捉えるように構成することもできる。
【0060】
図10は、ターゲット検出を向上させるための他の実施形態による信号処理技術を示す信号強度対周波数特性
図1000である。
たとえば光処理装置302内の内部反射は、その短い距離のためにベースバンド信号314の低周波数成分にアーティファクトを引き起こし、偽のターゲットとして現れることがある。
一実施形態による周波数領域プロセッサ405は、このような内部反射の影響を緩和し、それらを除去するために、サブバンド信号319において最小閾値周波数(f
min)未満の周波数を低周波数マスク1001でマスクするように設定される。
【0061】
別の例として、LIDARシステム(例えば、システム100または300)の最大測定距離またはその近くのターゲットは、ベースバンド信号にドップラー周波数シフトを加算または減算する速度を有し、対応するベースバンド周波数がΔfRmaxを超えて断続的な低周波数エイリアシングまたは範囲ジャンプとして現れることがある。なお範囲ジャンプとは、ターゲットが長い距離から近い距離へと短時間で跳ね返るように見える現象である。
一実施形態による周波数領域プロセッサ405は、LIDARシステムの最大測定距離またはその近くのターゲットの速度変化の影響を緩和するために、サブバンド信号319の最大閾値周波数(fmax)を超える周波数を高周波数マスク1002でマスクするように設定される。
【0062】
また、システム100またはシステム300における一つ以上のノイズ源は、非定常(つまり、時間変動)であるため、一度だけのノイズ校正では、各周波数ビン内のシステムノイズの確率的な分散の正確な推定が得られないことがある。上述したように、周波数領域プロセッサ405は、各周波数ビン内のシステムノイズの分散を計算するように設定される場合がある。
一実施形態による周波数領域プロセッサ405は、このような非定常ノイズ源を補償するために、
図10のノイズ分散エンベロープ1003に示すように、周波数ビン間のノイズ推定701の分散または共分散を増加させるように設定される。
【0063】
また、システム100またはシステム300内の一つ以上のノイズ源には、インパルスノイズが含まれることがある。これは、通常、外部源(例えば、雷、電力サージ、および他の予測不可能なエネルギー放電)からのランダムなノイズスパイクである。
一実施形態による周波数領域プロセッサ405は、データベース内でインパルスノイズを追跡し、インパルスノイズが記録された周波数ビン(インパルスノイズビン)をマスクするプロセスを行うように設定される。
【0064】
なお、本明細書において、ベースバンド信号314の周波数と、サブバンド信号319の周波数に関する言及は、同じ周波数を相互に参照することができ、ベースバンド信号314に対する言及がサブバンド信号319を除外せず、およびサブバンド信号319に対する言及がベースバンド信号314を除外するものではない。
【0065】
図11は、前述の実施形態に従ってノイズ校正および補償を行うLIDARシステム(例えば、LIDARシステム100またはLIDARシステム300)における方法1100を示すフローチャートである。
方法1100は、ステップ(操作)1102で開始され、ここではFMCW-LIDARシステム内のシステムノイズ(例えばノイズ推定値701)の推定値を生成する。これは、システムが無エコー校正状態にある場合(例えば
図6Aから6Dに示されるように)に、LIDARターゲット距離に応じた周波数を含むベースバンド信号(例えばベースバンド信号314)を計測することによって行われる。システムノイズの推定値には、前述したシステムノイズの1次モーメント、2次モーメント、3次モーメント、および4次モーメントのうち少なくとも一つが含まれる。
方法1100は、ステップ(操作)1104で続行され、ここではシステムがターゲット検出モードにあるときに、ターゲットリターン信号(例えばターゲットリターン信号313)からFMCW-LIDARシステム内でベースバンド信号を生成する。
方法1100は、ステップ(操作)1106で続行され、ここではターゲット検出モードで生成されたベースバンド信号をシステムノイズの推定値と比較する。
そして、方法1100は、ステップ(操作)1108で終了する。ここでは、周波数領域の信号ピークが、検出ターゲットを示す尤度を決定する(たとえば
図5、7、8、9、または10で説明した選択方法および補償技術のいずれかを使用することができる)。
【0066】
図12は、LIDARシステム100またはLIDARシステム300のようなLIDARシステム内の処理装置1200(たとえば
図4で説明した信号処理装置303と同様)のブロック図である。
処理装置1200には、プロセッサ1201が含まれており、これはLIDARシステムで使用するために設計された汎用処理装置または特殊処理装置である。
プロセッサ1201は、メモリ1202に接続されており、これは非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、RAM、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気ディスクメモリ、光ディスクメモリ)のいずれかであり、LIDARシステムにおいてプロセッサ1201を実行すると、LIDARシステムがここで説明されている方法を実行する命令を含む。
特に、メモリ1202には、LIDARシステムが、本明細書に記載の無エコー校正状態にあるときに、ベースバンド信号(例えば314)を計測することによって、LIDARシステム(例えば100,300)内のシステムノイズ(例えば701)の推定値を生成する命令1204が含まれる。ベースバンド信号には、LIDARターゲット距離に応じた周波数を含まれており、システムノイズの推定値には、前述したシステムノイズの1次モーメント、2次モーメント、3次モーメント、および4次モーメントのうち少なくとも一つが含まれる。
非一時的コンピュータ可読媒体1202には、さらに、LIDARシステムが本明細書に記載のターゲット検出モードにあるときに、ターゲットリターン信号(例えば313)からLIDARシステムでベースバンド信号を生成するための命令1206が含まれる。 非一時的コンピュータ可読媒体1202には、さらに、ターゲット検出モードで生成されたベースバンド信号を、前述したようにシステムノイズの推定値と比較するための命令1208が含まれる。
加えて、非一時的コンピュータ可読媒体1202には、前述したように周波数領域の信号ピークが検出ターゲットを示す尤度を決定するための命令1210が含まれる。
【0067】
前述した説明では、本発明の実施形態を理解しやすくするために、特定のシステム、コンポーネント、方法などの具体例を複数示しているが、当業者であればこれらの具体例の説明がなくても本発明を実施しうる。
また、公知のコンポーネントや方法はその詳細が省略されていたり、単純なブロック図の形式で示されることがあるが、これは本発明の理解を容易にするためである。したがって、開示された内容は単に例示であり、一事例は他の例示と異なる場合があっても、本発明の範囲内に含まれる場合がある。
【0068】
本明細書において「一実施形態」または「実施形態」という表現が使用される場合、それらの実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が少なくとも一つの実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書のいくつかの箇所で「一実施形態において」または「実施形態において」という表現が現れている場合、必ずしも同じ実施形態を示すものではない。
【0069】
ここで説明されている方法の操作は特定の順序で示されているが、各方法の操作の順序は変更されることがあり、特定の操作を逆順で行ってもよいし、少なくとも一部の操作を他の操作と同時に行ってもよい。異なる操作の指示または補助的な操作は、断続的または交互に行うことができる。
【0070】
上記の本発明に関する実施形態の説明は、その抽象的な概念説明を含め本発明をこれらに限定するものではない。本明細書において説明された実施形態や具体例は、本発明の説明の目的で記載されるものであり、本件技術分野における当業者が認識する範囲で種々の同等な変更を行うことができる。
ここで使用される「例」または「例示的」の語は、事例または例示として役立つように使用されている。「例」または「例示的」と説明された態様や造形がどのようなものであっても他の態様や造形に対して優れたものとして解釈されるべきではない。「例」または「例示的」という用語の使用は、概念を具体的な形で示すことを意図している。
本明細書において使用される「または」の用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」として解釈されることを意図している。つまり、特に指定されていない限り、あるいは文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを含む」という表現は、自然な包括的な並び替えのいずれかを意味する。つまり、XがAを含む場合、XがBを含む場合、あるいはXがAとBの両方を含む場合、すべての前述の場合において、「X はAまたはBを含む」という条件を満たすものとする。
さらに、本明細書および添付された特許請求の範囲の請求項で使用される冠詞「a」と「an」は、特に指定されていない限り、文脈から単数形であることが明らかでない場合には「一つまたは複数」を意味するものと解釈される。
さらに、明細書において「第1」、「第2」、「第3」、「第4」のような用語が使用される場合、これらの用語は異なる要素を区別するためのラベルとして使用されるもので、数字の指定に従って必ずしも順序を示すものではない。