(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】負荷時タップ切換器の切換開閉器および負荷時タップ切換器
(51)【国際特許分類】
H01F 29/04 20060101AFI20241007BHJP
H01H 33/66 20060101ALN20241007BHJP
【FI】
H01F29/04 502B
H01H33/66 Q
(21)【出願番号】P 2023574903
(86)(22)【出願日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2022001585
(87)【国際公開番号】W WO2023139643
(87)【国際公開日】2023-07-27
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】江口 直紀
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/240781(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/04
H01H 33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷時タップ切換器のタップ選択器に接続されるタップ端子と、
前記タップ端子にバルブスイッチを介して接続されるバルブと、
前記タップ端子に抵抗スイッチを介して接続され、前記タップ端子に対して前記バルブと並列に接続される限流抵抗器と、を有し、
前記抵抗スイッチは、相互に当接可能な第1端子および第2端子を有し、
前記第1端子は、第1方向に移動して、第1当接面および第2当接面において前記第2端子に当接可能であり、
前記第1当接面および前記第2当接面は、前記第1方向に平行な第1平面に対して相互に面対称に配置されると共に、前記第1平面に直交する第2平面に対して夫々が面対称形状であり、
前記第1当接面の前記第2平面における断面形状は、前記第1平面を挟んで前記第1当接面とは反対側に中心が配置される円弧形状であり、
前記第2当接面の前記第2平面における断面形状は、前記第1平面を挟んで前記第2当接面とは反対側に中心が配置される円弧形状であ
り、
前記第1端子および前記第2端子が相互に当接して、前記第1端子および前記第2端子が弾性変形し、前記第1端子の前記第1当接面および前記第2当接面と前記第2端子とが面接触する、
負荷時タップ切換器の切換開閉器。
【請求項2】
前記第1端子は、前記第1当接面を含む第1当接部材と、前記第2当接面を含む第2当接部材と、金属板により形成されて前記第1当接部材および前記第2当接部材を支持する第1支持部材と、を有し、
前記第2端子は、前記第1当接面と当接可能な第3当接面を含む第3当接部材と、前記第2当接面と当接可能な第4当接面を含む第4当接部材と、金属板により形成されて前記第3当接部材および前記第4当接部材を支持する第2支持部材と、を有する、
請求項1に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器。
【請求項3】
前記第1当接部材、前記第2当接部材、前記第3当接部材および前記第4当接部材は、共通当接部材により構成される、
請求項2に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器。
【請求項4】
前記第1当接面、前記第2当接面、前記第3当接面および前記第4当接面は、円筒面であり、
前記第1当接部材および前記第3当接部材は、前記第1当接面の稜線と前記第3当接面の稜線とが90°ねじれた状態で配置され、
前記第2当接部材および前記第4当接部材は、前記第2当接面の稜線と前記第4当接面の稜線とが90°ねじれた状態で配置される、
請求項2または3に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器。
【請求項5】
前記第1当接面、前記第2当接面、前記第3当接面および前記第4当接面は、球面である、
請求項2または3に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器と、
前記タップ選択器と、を有する、
負荷時タップ切換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、負荷時タップ切換器の切換開閉器および負荷時タップ切換器に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷時タップ切換器は、変圧器運転中(負荷時)にタップを切り換える装置である。一般に、負荷時タップ切換器は、タップ選択器と、切換開閉器と、を有する。タップ選択器は、変圧器タップ巻線において運転するタップを選択する。切換開閉器は、選択されたタップに回路を切り換える。切換開閉器は、バルブ、限流抵抗器および抵抗スイッチを有する。抵抗スイッチは、閉極時のチャタリングアークにより消耗する。抵抗スイッチの消耗を抑制することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、抵抗スイッチの消耗を抑制することができる負荷時タップ切換器の切換開閉器および負荷時タップ切換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の負荷時タップ切換器の切換開閉器は、タップ端子と、バルブと、限流抵抗器と、を持つ。タップ端子は、負荷時タップ切換器のタップ選択器に接続される。バルブは、タップ端子にバルブスイッチを介して接続される。限流抵抗器は、タップ端子に抵抗スイッチを介して接続される。限流抵抗器は、タップ端子に対してバルブと並列に接続される。抵抗スイッチは、相互に当接可能な第1端子および第2端子を有する。第1端子は、第1方向に移動して、第1当接面および第2当接面において第2端子に当接可能である。第1当接面および第2当接面は、第1方向に平行な第1平面に対して相互に面対称に配置されると共に、第1平面に直交する第2平面に対して夫々が面対称形状である。第1当接面の第2平面における断面形状は、第1平面を挟んで第1当接面とは反対側に中心が配置される円弧形状である。第2当接面の第2平面における断面形状は、第1平面を挟んで第2当接面とは反対側に中心が配置される円弧形状である。第1端子および第2端子が相互に当接して、第1端子および第2端子が弾性変形し、第1端子の第1当接面および第2当接面と第2端子とが面接触する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】実施形態の切換開閉器の1相あたりの回路図。
【
図6】第1の実施形態のスイッチ組立の固定部の斜視図。
【
図7】第1の実施形態の抵抗スイッチ端子の斜視図。
【
図10】切換開閉器の切換動作のタイミングチャート。
【
図11】第1タップ端子から第2タップ端子への切換動作における通電状態の変化の説明図。
【
図12】第2タップ端子から第1タップ端子への反転切換動作における通電状態の変化の説明図。
【
図15】第2の実施形態のスイッチ組立の固定部の斜視図。
【
図16】第2の実施形態の抵抗スイッチ固定端子および抵抗スイッチ共通端子の斜視図。
【
図18】第2の実施形態の変形例の共通当接部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の負荷時タップ切換器の切換開閉器および負荷時タップ切換器を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の負荷時タップ切換器1の斜視図である。負荷時タップ切換器1は、運転状態において変圧器の巻数比(変圧比)を変えることで電圧を調整する装置である。負荷時タップ切換器1は、タップ選択器2と、駆動機構5と、切換開閉器10と、を有する。
【0008】
タップ選択器2は、変圧器タップ巻線において運転するタップを選択する選択動作を実施する。駆動機構5は、電動操作装置(不図示)から駆動軸6を介して伝達される駆動力により、タップ選択器2を駆動する。
切換開閉器10は、選択されたタップに回路を切り換える切換動作を実施する。切換開閉器10は、円筒容器10aの内部に配置されて絶縁油に浸漬されている。
【0009】
実施形態の切換開閉器10について詳しく説明する。
図2は、実施形態の切換開閉器10の回路図であり、3相交流のうち1相あたりを示す。以下には、特に言及されない限り、切換開閉器10の1相あたりの構成が説明される。切換開閉器10は、1個のバルブVを有する小容量の切換開閉器である。切換開閉器10は、第1タップ端子T1と第2タップ端子T2との間で回路を切り換える。
【0010】
図2に示されるように、切換開閉器10は、バルブVと、第1バルブスイッチSV1と、第2バルブスイッチSV2と、を有する。切換開閉器10は、第1限流抵抗器R1と、第1抵抗スイッチSR1と、第2限流抵抗器R2と、第2抵抗スイッチSR2と、をさらに有する。切換開閉器10は、第1通電スイッチSM1と、第2通電スイッチSM2と、をさらに有する。
【0011】
バルブVは、真空を絶縁・消弧媒体として用いた真空遮断器である。バルブVの第1端部は、第1バルブスイッチSV1を介して第1タップ端子T1に接続される。バルブVの第1端部は、第2バルブスイッチSV2を介して第2タップ端子T2に接続される。バルブVの第2端部は、中性点端子18に接続される。
【0012】
第1限流抵抗器R1の第1端部は、第1抵抗スイッチSR1を介して第1タップ端子T1に接続される。第1限流抵抗器R1の第2端部は、中性点端子18に接続される。第1限流抵抗器R1は、第1タップ端子T1に対してバルブVと並列に接続される。第2限流抵抗器R2の第1端部は、第2抵抗スイッチSR2を介して第2タップ端子T2に接続される。第2限流抵抗器R2の第2端部は、中性点端子18に接続される。第2限流抵抗器R2は、第2タップ端子T2に対してバルブVと並列に接続される。
【0013】
第1抵抗スイッチSR1は、抵抗スイッチ固定端子35Rと、抵抗スイッチ共通端子32Rと、抵抗スイッチ導体55Rと、を有する。抵抗スイッチ固定端子35Rは、第1限流抵抗器R1の第1端部に接続される。抵抗スイッチ共通端子32Rは、第1タップ端子T1に接続される共通端子32の一部である。抵抗スイッチ導体55Rは、抵抗スイッチ固定端子35Rおよび抵抗スイッチ共通端子32Rに対して、当接および離間が可能である。抵抗スイッチ導体55Rが抵抗スイッチ固定端子35Rおよび抵抗スイッチ共通端子32Rに当接すると、第1抵抗スイッチSR1が閉極する。抵抗スイッチ導体55Rが抵抗スイッチ固定端子35Rおよび抵抗スイッチ共通端子32Rから離間すると、第1抵抗スイッチSR1が開極する。第2抵抗スイッチSR2は、第1抵抗スイッチSR1と同様に形成される。
【0014】
第1通電スイッチSM1は、第1タップ端子T1に対してバルブVと並列に接続される。第2通電スイッチSM2は、第2タップ端子T2に対してバルブVと並列に接続される。
【0015】
図3は、実施形態の切換開閉器10の斜視図である。
図3に示される切換開閉器10は、
図1に示される円筒容器10aの内部に配置されている。
本願において、極座標系のZ方向、R方向およびθ方向が、以下のように定義される。Z方向は、切換開閉器10の中心軸の方向である。例えば、Z方向は鉛直方向であり、+Z方向は上方向である。R方向は、切換開閉器10の径方向である。+R方向は、径方向の外側の方向(中心軸から離れる方向)である。θ方向は、切換開閉器10の中心軸の周方向である。+θ方向は、+Z方向に進む右ネジの回転方向である。例えば、R方向およびθ方向は水平方向である。
【0016】
切換開閉器10は、第1取付板12と、第2取付板13と、支柱14と、を有する。
第1取付板12、第2取付板13および支柱14は、導電性を有する金属材料で形成され、中性点端子18に接続される。
【0017】
切換開閉器10は、蓄勢機構15を有する。
蓄勢機構15は、第2取付板13の-Z方向に配置される。蓄勢機構15は、蓄勢バネ15sを含む。
図1に示される駆動機構5は、タップ選択器2の選択動作と並行して、
図3に示される蓄勢バネ15sの伸長または圧縮(蓄勢動作)を実施する。蓄勢機構15は、タップ選択器2の選択動作の完了後に、蓄勢された蓄勢バネ15sを開放する。蓄勢機構15は、蓄勢バネ15sの復元力(蓄勢力の開放)により、カムユニット60の中心のシャフト61(
図5参照)を所定角度だけ回転させる。これにより、蓄勢機構15は、切換開閉器10の切換動作を瞬時に行う。
【0018】
切換開閉器10は、第1限流抵抗器R1および第2限流抵抗器R2を有する。第1限流抵抗器R1および第2限流抵抗器R2は、第1取付板12の+Z面に固定される。
【0019】
切換開閉器10は、切換ユニット20を有する。
切換ユニット20は、第1取付板12と第2取付板13との間に配置され、両者によって支持される。切換ユニット20は、3相交流の各相について形成される。3相の切換ユニット20が、θ方向に並んで配置される。切換ユニット20は、前述されたバルブVと、第1スイッチ組立S1と、第2スイッチ組立S2と、を有する。バルブVは、切換ユニット20のθ方向の中央であって、+R方向に配置される。
【0020】
第1スイッチ組立S1は、
図2に示されるように、第1通電スイッチSM1、第1バルブスイッチSV1および第1抵抗スイッチSR1を含む。第2スイッチ組立S2は、第2通電スイッチSM2、第2バルブスイッチSV2および第2抵抗スイッチSR2を含む。
図3に示されるように、第1スイッチ組立S1および第2スイッチ組立S2は、θ方向にバルブVを挟んで配置される。第1スイッチ組立S1はバルブVの-θ方向に配置され、第2スイッチ組立S2はバルブVの+θ方向に配置される。
【0021】
図4は、切換開閉器10の中心軸側から見た切換ユニット20の斜視図である。切換ユニット20は、ユニットベース21と、バルブ開閉機構22と、を有する。
ユニットベース21は、底板部21aと、支柱部21bと、を有する。ユニットベース21は、前述されたバルブV、第1スイッチ組立S1および第2スイッチ組立S2を支持する。
【0022】
第1スイッチ組立S1は、固定部30と、可動部40,50と、を有する。第2スイッチ組立S2は、第1スイッチ組立S1と面対称に形成される。
固定部30は、切換ユニット20の+R方向に配置され、ユニットベース21の底板部21aに固定される。可動部40,50は、固定部30の-R方向に配置される。可動部40,50は、平行リンク42,52を介して、ユニットベース21の支柱部21bに支持される。可動部40,50は、固定部30に対して略R方向に移動可能である。可動部40,50は、+Z方向に配置される第1可動部40と、-Z方向に配置される第2可動部50と、を有する。
【0023】
図5は、カムユニット60の斜視図である。
図5には、カムユニット60に加えて、1相の切換ユニット20のみが図示されている。カムユニット60は、切換開閉器10の中心軸に沿って配置される。切換ユニット20は、カムユニット60の+R方向に配置される。1個のカムユニット60が、3相の切換ユニット20の切換動作を実施する。カムユニット60は、シャフト61と、+Z方向に配置される第1カム70と、Z方向の中央に配置されるバルブカム65と、-Z方向に配置される第2カムユニット80uと、を有する。第1カム70は、第1可動部40を移動させる。バルブカム65は、バルブ開閉機構22を動作させる。第2カムユニット80uは、第2可動部50を移動させる。
【0024】
(第1の実施形態)
図6は、第1の実施形態の第1スイッチ組立S1の固定部30を-R方向から見た斜視図である。固定部30は、スイッチベース31を有する。スイッチベース31は、樹脂などの絶縁材料により形成される。スイッチベース31は、Z方向を長手方向とする直方体状に形成される。
【0025】
第1スイッチ組立S1は、第1タップ端子T1および共通端子32をさらに有する。第1スイッチ組立S1は、通電スイッチ固定端子35M、バルブスイッチ固定端子35Vおよび抵抗スイッチ固定端子35Rをさらに有する。共通端子32は、真鍮または銅・タングステン合金などの金属材料等により形成される。通電スイッチ固定端子35M、バルブスイッチ固定端子35Vおよび抵抗スイッチ固定端子35Rも、共通端子32と同様の材料により形成される。
【0026】
第1タップ端子T1は、スイッチベース31の+R面に配置される。第1タップ端子T1は、共通端子32に接続される。第1スイッチ組立S1の固定部30には第1タップ端子T1が配置され、第2スイッチ組立S2の固定部30には第2タップ端子T2が配置される。第1タップ端子T1および第2タップ端子T2は、
図1に示されるタップ選択器2に対して配線3により接続される。
【0027】
共通端子32は、Z方向に伸びる。共通端子32は、スイッチベース31の-R面の-θ方向に配置される。共通端子32の+Z方向の端部に、通電スイッチ共通端子32Mおよびバルブスイッチ共通端子32Vが形成される。共通端子32の-Z方向の端部に、抵抗スイッチ共通端子32Rが形成される。通電スイッチ共通端子32M、バルブスイッチ共通端子32Vおよび抵抗スイッチ共通端子32Rは、共通端子32の一部であり、共通端子と一体に形成される。通電スイッチ共通端子32M、バルブスイッチ共通端子32Vおよび抵抗スイッチ共通端子32Rの形状は、同様である。
【0028】
通電スイッチ固定端子35M、バルブスイッチ固定端子35Vおよび抵抗スイッチ固定端子35Rは、スイッチベース31の-R面の+θ方向に配置される。通電スイッチ固定端子35M、バルブスイッチ固定端子35Vおよび抵抗スイッチ固定端子35Rは、共通端子32に沿ってZ方向に並んで配置される。通電スイッチ固定端子35Mは、通電スイッチ共通端子32Mとθ方向に並んで配置される。バルブスイッチ固定端子35Vは、バルブスイッチ共通端子32Vとθ方向に並んで配置される。抵抗スイッチ固定端子35Rは、抵抗スイッチ共通端子32Rとθ方向に並んで配置される。通電スイッチ固定端子35M、バルブスイッチ固定端子35Vおよび抵抗スイッチ固定端子35Rの形状は、同様である。
【0029】
図7は、第1の実施形態の第2可動部50の斜視図である。第2可動部50は、フレーム51と、平行リンク52と、第1ローラ(カムフォロワ)53と、第2ローラ(カムフォロワ)54と、抵抗スイッチ導体(第1端子)55Rと、を有する。
【0030】
フレーム51は、可動端子支持部51aと、中央部51bと、ローラ支持部51cと、を有する。
平行リンク52の第1端部は、フレーム51の中央部51bに接続される。平行リンク52の第2端部は、
図4に示されるように、ユニットベース21の支柱部21bに接続される。これにより、第2可動部50は、固定部30に対して略R方向に移動可能である。抵抗スイッチ導体55Rは、抵抗スイッチ共通端子32Rおよび抵抗スイッチ固定端子35Rに対して、同時に当接および離反する。
【0031】
抵抗スイッチ導体55Rは、真鍮または銅・タングステン合金などの金属材料等により形成される。抵抗スイッチ導体55Rは、略円柱状に形成される。抵抗スイッチ導体55Rは、フレーム51の可動端子支持部51aに支持される。可動端子支持部51aのθ方向の側壁に開口57Rが形成される。開口57Rには抵抗スイッチ導体55Rの中心軸が挿通される。可動端子支持部51aの-R方向の側壁と抵抗スイッチ導体55Rとの間には、抵抗スイッチバネ56Rが配置される。抵抗スイッチバネ56Rは、抵抗スイッチ導体55Rを+R方向に付勢する。
【0032】
図5に示されるように、カムユニット60は、第2カムユニット80uを有する。第2カムユニット80uは、第2可動部50を移動させる。第2カムユニット80uは、第2カム80と、第2カム回転制御機構90と、を有する。第2カム回転制御機構90は、第2カム80の回転を制御する。
【0033】
第2カム80の外周83の-Z方向の端部には、第2溝部80aが形成される。第2溝部80aには、第2可動部50の第2ローラ54が収容される。第2可動部50の第1ローラ53は、第2カム80の外周(+R面)83に当接する。これにより、第2可動部50のR方向の位置が規制される。第2カム80の外周83には、R方向の位置が異なる第1外周部86および第2外周部87が形成される。第1外周部86は-R方向に配置され、第2外周部87は+R方向に配置される。
【0034】
第2カム80がθ方向に回転すると、第1外周部86の+R方向に隣接して第2可動部50が配置される。このとき、第2可動部50は、R方向の移動可能範囲のうち、-R方向の端部に配置される。これにより、抵抗スイッチ導体55Rが抵抗スイッチ共通端子32Rおよび抵抗スイッチ固定端子35Rから離間して、第1抵抗スイッチSR1が開極する。
【0035】
第2カム80がθ方向に回転すると、第2外周部87の+R方向に隣接して第2可動部50が配置される。このとき、第2可動部50は、R方向の移動可能範囲のうち、+R方向の端部に配置される。これにより、抵抗スイッチ導体55Rが抵抗スイッチ共通端子32Rおよび抵抗スイッチ固定端子35Rに当接して、第1抵抗スイッチSR1が閉極する。
【0036】
図4に示される第1可動部40は、第2可動部50と同様に形成される。第2可動部50の抵抗スイッチ導体55Rに代えて、第1可動部40は、通電スイッチ導体45Mおよびバルブスイッチ導体45Vを有する。バルブスイッチ導体45Vは、通電スイッチ導体45Mより+R方向に配置される。第1可動部40のR方向の位置を変化させることにより、第1通電スイッチSM1および第1バルブスイッチSV1の開極および閉極の様々な組み合わせが実現される。
【0037】
図8は、第1の実施形態の抵抗スイッチの側面図である。第1抵抗スイッチSR1および第2抵抗スイッチSR2(以下、抵抗スイッチSRと言う。)は、相互に当接可能な抵抗スイッチ導体(第1端子)55Rと、抵抗スイッチ固定端子(第2端子)35Rおよび抵抗スイッチ共通端子32Rと、を有する。抵抗スイッチ共通端子32Rは、抵抗スイッチ固定端子35Rと同様である。以下には、抵抗スイッチ固定端子35Rが代表として説明される。
【0038】
抵抗スイッチ導体55Rは、+R方向に移動して、抵抗スイッチ固定端子35Rに当接可能である。抵抗スイッチ導体55Rは、第1当接面C1および第2当接面C2において、抵抗スイッチ固定端子35Rに当接可能である。第1当接面C1および第2当接面C2は、+R方向に平行な第1平面F1に対して、相互に面対称である。例えば、第1平面F1は水平面である。
【0039】
抵抗スイッチ固定端子35Rのθ方向の幅と同じ範囲を、抵抗スイッチ導体55Rの第1当接面C1および第2当接面C2のθ方向の幅とする。第1当接面C1および第2当接面C2は、第1平面F1に直交する第2平面F2に対して、夫々が面対称である。例えば、第2平面F2は、抵抗スイッチ固定端子35Rのθ方向の中心を通るRZ平面である。
【0040】
第1当接面C1の第2平面F2における断面形状は、第1円弧A1の形状である。第1円弧A1の中心P1は、第1平面F1を挟んで第1当接面C1とは反対側に配置される。第2平面F2のθ方向の位置にかかわらず、第1円弧A1の形状は同じである。すなわち、第1当接面C1の形状は、抵抗スイッチ導体55Rの中心軸と平行に伸びる円筒の外周面の形状である。
【0041】
第2当接面C2の第2平面F2における断面形状は、第2円弧A2の形状である。第2円弧A2の中心P2は、第1平面F1を挟んで第2当接面C2とは反対側に配置される。第2平面F2のθ方向の位置にかかわらず、第2円弧A2の形状は同じである。すなわち、第2当接面C2の形状は、抵抗スイッチ導体55Rの中心軸と平行に伸びる円筒の外周面の形状である。
【0042】
第1当接面C1および第2当接面C2を除いた、抵抗スイッチ導体55Rの外周面の、第2平面F2における断面形状は、円弧A0の形状である。円弧A0の中心P0は、抵抗スイッチ導体55Rの中心軸上に配置される。すなわち、第1円弧A1および第2円弧A2の曲率半径は、円弧A0の曲率半径より大きい。第1当接面C1および第2当接面C2の曲率半径は、抵抗スイッチ導体55Rの外周面の曲率半径より大きい。
【0043】
図9は、第1の実施形態の抵抗スイッチ固定端子35Rの斜視図である。抵抗スイッチ固定端子35Rは、θ方向から見て、-R方向に開口する略V字形状である。抵抗スイッチ固定端子35Rは、第3当接面C3および第4当接面C4において、抵抗スイッチ導体55Rの第1当接面C1および第2当接面C2に当接可能である。
【0044】
第3当接面C3および第4当接面C4は、第1平面F1に対して相互に面対称である。第3当接面C3および第4当接面C4は、第2平面F2に対して夫々が面対称である。
【0045】
第3当接面C3の第2平面F2における断面形状は、第3直線L3の形状である。第3直線L3に直交する第3平面(不図示)における第3当接面C3の断面形状は、第3円弧A3の形状である。第3円弧A3の中心は、第3当接面C3を挟んで第1平面F1とは反対側に配置される。第3平面の第3直線L3上の位置にかかわらず、第3円弧A3の形状は同じである。すなわち、第3当接面C3の形状は、第3直線L3と平行に伸びる円筒の外周面の形状である。第3当接面C3は、第1平面F1に向かって凸の形状である。第3当接面C3の稜線は、第3直線L3に一致する。
【0046】
第4当接面C4の第2平面F2における断面形状は、第4直線L4の形状である。第4直線L4に直交する第4平面(不図示)における第4当接面C4の断面形状は、第4円弧A4の形状である。第4円弧A4の中心は、第4当接面C4を挟んで第1平面F1とは反対側に配置される。第4平面の第4直線L4上の位置にかかわらず、第4円弧A4の形状は同じである。すなわち、第4当接面C4の形状は、第4直線L4と平行に伸びる円筒の外周面の形状である。第4当接面C4は、第1平面F1に向かって凸の形状である。第4当接面C4の稜線は、第4直線L4に一致する。
【0047】
図8に示されるように、抵抗スイッチ導体55Rの第1当接面C1と、抵抗スイッチ固定端子35Rの第3当接面C3とが当接する。同様に、抵抗スイッチ導体55Rの第2当接面C2と、抵抗スイッチ固定端子35Rの第4当接面C4とが当接する。以下には、第1当接面C1と第3当接面C3との当接が代表として説明される。
【0048】
前述されたように、抵抗スイッチ固定端子35Rの第3当接面C3の形状は、第3直線L3と平行に伸びる円筒の外周面の形状である。抵抗スイッチ導体55Rの第1当接面C1の形状は、抵抗スイッチ導体55Rの中心軸と平行に伸びる円筒の外周面の形状である。第1当接面C1の稜線と、第3当接面C3の稜線とは、90度ねじれている。そのため、第1当接面C1と第3当接面C3との接触は、最初に点接触になる。
【0049】
第2可動部50の構成部材の伸縮等により、抵抗スイッチ導体55Rの位置が中心軸の方向にずれる可能性がある。この場合でも、第1当接面C1と第3当接面C3との接触位置が変化しない。抵抗スイッチSRの開極および閉極のタイミングが変化しにくい。これにより、負荷時タップ切換器1の切換開閉器10の動作信頼性が向上する。
【0050】
抵抗スイッチバネ56R(
図7参照)により、抵抗スイッチ導体55Rが抵抗スイッチ固定端子35Rに押し付けられる。抵抗スイッチ導体55Rおよび抵抗スイッチ固定端子35Rが弾性変形する。第1当接面C1と第3当接面C3との接触は、点接触から面接触に変化する。
【0051】
前述されたように、第1当接面C1の曲率半径は、抵抗スイッチ導体55Rの外周面の曲率半径より大きい。そのため、第1当接面C1と第3当接面C3との接触面の面積が大きくなる。接触面の半径(Herz半径)は0.2mm以上である。接触面における圧力が小さくなり、第1当接面C1および第3当接面C3の消耗が抑制される。
【0052】
切換開閉器10の切換動作(シーケンス)について説明する。前述されたように、切換開閉器10の切換動作は、蓄勢バネ15s(
図3参照)の蓄勢力の開放によりシャフト61(
図5参照)が回転して、瞬時に行われる。
図10は、切換開閉器10の切換動作のタイミングチャートである。
図10の各チャートは、上側が閉極(ON)状態であり、下側が開極(OFF)状態である。
図11は、第1タップ端子T1から第2タップ端子T2への切換動作における通電状態の変化の説明図である。
図12は、第2タップ端子から第1タップ端子への反転切換動作における通電状態の変化の説明図である。
【0053】
図5に示される第2カム回転制御機構90は、第2カム80の回転を制御する。
第2カム回転制御機構90は、切換開閉器10の切換動作の開始時に、所定角度だけ第2カム80を回転させて、第2可動部50を移動させる。これにより、
図11に示される切換動作のb時点からC時点にかけて、第1抵抗スイッチSR1が開極し、第2抵抗スイッチSR2が閉極する。その後、D時点でバルブVが開極する。以上により、切換動作におけるバルブVの開極に先行して、タップ切換先の第2限流抵抗器R2に通電される。第2カム回転制御機構90は、
図10に示されるように、C時点の後から切換動作の終了まで、第2カム80を回転停止した状態に保持する。
【0054】
第2カム回転制御機構90は、切換開閉器10の反転切換動作の開始時に、所定角度だけ第2カム80を逆回転させて、第2可動部50を逆方向に移動させる。これにより、
図12に示される反転切換動作のp時点からQ時点にかけて、第1抵抗スイッチSR1が閉極し、第2抵抗スイッチSR2が開極する。その後、r時点でバルブVが開極する。以上により、反転切換動作におけるバルブVの開極に先行して、タップ切換先の第1限流抵抗器R1に通電される。第2カム回転制御機構90は、
図10に示されるように、Q時点の後から反転切換動作の終了まで、第2カム80を回転停止した状態に保持する。
【0055】
図11に示される切換動作のb時点では、第2抵抗スイッチSR2の抵抗スイッチ固定端子35Rと抵抗スイッチ導体55Rとの間に電位差が生じている。b時点からC時点にかけて第2抵抗スイッチSR2が閉極するとき、抵抗スイッチ固定端子35Rと抵抗スイッチ導体55Rとの間にチャタリングアークが発生する可能性がある。反転切換動作のp時点からQ時点にかけての第1抵抗スイッチSR1においても同様である。
【0056】
前述されたように、抵抗スイッチ導体55Rは、+R方向に移動して、抵抗スイッチ固定端子35Rに当接可能である。抵抗スイッチ導体55Rは、第1当接面C1および第2当接面C2において、抵抗スイッチ固定端子35Rに当接可能である。第1当接面C1および第2当接面C2は、+R方向に平行な第1平面F1に対して、相互に面対称に配置される。第1当接面C1の第1円弧A1の中心P1は、第1平面F1を挟んで第1当接面C1とは反対側に配置される。第2当接面C2の第2円弧A2の中心P2は、第1平面F1を挟んで第2当接面C2とは反対側に配置される。
【0057】
第1当接面C1の曲率半径は、抵抗スイッチ導体55Rの外周面の曲率半径より大きい。これにより、第1当接面C1と第3当接面C3との接触面の面積が大きくなる。前述されたように、切換開閉器10の切換動作および反転切換動作においてチャタリングアークが発生しても、第1当接面C1および第3当接面C3に作用するダメージが分散される。第2当接面C2および第4当接面C4についても同様である。したがって、抵抗スイッチSRの消耗を抑制することができる。
【0058】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態の抵抗スイッチの側面図である。第2の実施形態では、抵抗スイッチSRの端子の形状が、第1の実施形態とは異なる。第1の実施形態と同様である部分における第2の実施形態の説明は省略される場合がある。
【0059】
図14は、第2の実施形態の第2可動部の斜視図である。第1の実施形態の抵抗スイッチ導体55Rに代えて、第2の実施形態の切換開閉器は、抵抗スイッチ可動端子(第1端子)55Rを有する。抵抗スイッチ可動端子55Rは、第1当接面C1を含む第1当接部材B1と、第2当接面C2を含む第2当接部材B2と、第1当接部材B1および第2当接部材B2を支持する第1支持部材252と、を有する。
【0060】
第1支持部材252は、鉄、アルミニウムまたは真鍮等の金属板により形成される。第1支持部材252は、金属板の打ち抜きまたは折り曲げなどのプレス加工により形成される。第1支持部材252は、ベース部253と、アーム部254と、第1傾斜部256と、第2傾斜部257と、を有する。
【0061】
ベース部253の法線は、R方向と平行である。ベース部253は、抵抗スイッチバネ56Rにより+R方向に付勢される。
アーム部254は、ベース部253のθ方向の両端部から、-R方向に伸びる。アーム部254の先端には、支持軸255が立設される。支持軸255は、θ方向の外側に伸びる。支持軸255は、フレーム51の可動端子支持部51aの開口57Rに挿入される。可動端子支持部51aは、第1支持部材252をR方向に移動可能に支持する。
【0062】
第1傾斜部256は、ベース部253の+Z方向の端辺から、+Z方向および-R方向に伸びる。第1傾斜部256の法線は、Z方向およびR方向と交差する。第1傾斜部256の+Z方向および+R方向の表面に、第1当接部材B1が装着される。第1当接部材B1は、締結部材等により第1傾斜部256に固定される。抵抗スイッチ固定端子35Rに当接する第1当接部材B1のθ方向の隣に、抵抗スイッチ共通端子32Rに当接する第1当接部材が装着される。
【0063】
第2傾斜部257は、
図14に示されるように、ベース部253の-Z方向の端辺から、-Z方向および-R方向に伸びる。第2傾斜部257の法線は、Z方向およびR方向と交差する。第2傾斜部257の-Z方向および+R方向の表面に、第2当接部材B2が装着される。第2当接部材B2は、締結部材等により第2傾斜部257に固定される。抵抗スイッチ固定端子35Rに当接する第2当接部材B2のθ方向の隣に、抵抗スイッチ共通端子32Rに当接する第2当接部材が装着される。
【0064】
図15は、第2の実施形態の第2スイッチ組立S2の固定部30を-R方向から見た斜視図である。第2スイッチ組立S2の共通端子32は、スイッチベース31の-R面の+θ方向に配置される。第2の実施形態の抵抗スイッチ共通端子32Rの形状は、通電スイッチ共通端子32Mおよびバルブスイッチ共通端子32Vと異なる。第2スイッチ組立S2の通電スイッチ固定端子35M、バルブスイッチ固定端子35Vおよび抵抗スイッチ固定端子35Rは、スイッチベース31の-R面の+θ方向に配置される。第2の実施形態の抵抗スイッチ固定端子35Rの形状は、通電スイッチ固定端子35Mおよびバルブスイッチ固定端子35Vと異なる。抵抗スイッチ共通端子32Rおよび抵抗スイッチ固定端子35Rの形状は、相互に同様である。以下には、抵抗スイッチ固定端子35Rが代表として説明される。
【0065】
図16は、第2の実施形態の抵抗スイッチ固定端子35Rおよび抵抗スイッチ共通端子32Rの斜視図である。抵抗スイッチ固定端子35Rは、第3当接面を含む第3当接部材B3と、第4当接面を含む第4当接部材B4と、第3当接部材B3および第4当接部材B4を支持する第2支持部材232と、を有する。
【0066】
第2支持部材232は、鉄、アルミニウムまたは真鍮等の金属板により形成される。第2支持部材232は、金属板の打ち抜きまたは折り曲げなどのプレス加工により形成される。第2支持部材232は、ベース部233と、第1傾斜部236と、第2傾斜部237と、を有する。
【0067】
ベース部233の法線は、R方向と平行である。ベース部233は、締結部材等によりスイッチベース31(
図15参照)に固定される。
【0068】
第1傾斜部236は、ベース部233の+Z方向の端辺から、+Z方向および-R方向に伸びる。第1傾斜部236の法線は、Z方向およびR方向と交差する。第1傾斜部236の-Z方向および-R方向の表面に、第3当接部材B3が装着される。
【0069】
第2傾斜部237は、ベース部233の-Z方向の端辺から、-Z方向および-R方向に伸びる。第2傾斜部237の法線は、Z方向およびR方向と交差する。第2傾斜部237の+Z方向および-R方向の表面に、第4当接部材B4が装着される。
【0070】
図17は、第2の実施形態の共通当接部材Bの説明図である。第1当接部材B1、第2当接部材B2、第3当接部材B3および第4当接部材B4は、共通当接部材Bにより構成される。共通当接部材Bは、真鍮または銅・タングステン合金などの金属材料等により形成される。共通当接部材Bは、第1当接面C1、第2当接面C2、第3当接面C3および第4当接面C4となる共通当接面Cを有する。第2の実施形態の共通当接部材Bの共通当接面Cの形状は、円筒面である。
【0071】
第2の実施形態の共通当接部材Bの形状について説明する。
直方体240がイメージされる。直方体240の厚さ方向の両端面が、直方体240の主面241,246である。主面241,246は正方形である。主面241の端辺245の長さに比べて、直方体240の厚さは小さい。
【0072】
直方体240の一方の主面241が、平面から円筒面242に変更される。円筒面242は、円筒または円柱の外周面である。円筒面242の稜線243は、主面241の中心244を通り、主面241の端辺245に平行である。
【0073】
直方体240の他方の主面246に対する内接円247がイメージされる。内接円247を断面とする円筒により、直方体240が打ち抜かれる。円筒の内側に残る部分が、共通当接部材Bになる。共通当接部材Bの円筒面242の周縁部248に、丸面取り(不図示)が施される。丸面取りの内側の円筒面242が、共通当接面Cである。
【0074】
他方の主面246には、取付部(不図示)が形成される。取付部は、第1支持部材252または第2支持部材232に対する共通当接部材Bの取り付けに利用される。
以上の説明は、必ずしも共通当接部材Bの製造工程と一致しない。共通当接部材Bの構成材料は高価である。共通当接部材Bは、直方体240からではなく、円盤状の素材から最終形状に加工される。これにより、共通当接部材Bの構成材料が節約されて、製造コストが抑制される。
【0075】
共通当接部材Bが第1支持部材252に装着されて、第1当接部材B1および第2当接部材B2が構成される。共通当接部材Bの共通当接面Cは円筒面である。共通当接部材Bは、共通当接面Cの円筒面の稜線243がRθ平面(水平面)と平行になるように、第1支持部材252に装着される。
【0076】
図13に示されるように、第1当接面C1および第2当接面C2は、+R方向に平行な第1平面F1に対して相互に面対称に配置される。第1当接面C1および第2当接面C2は、第1平面F1に直交する第2平面F2に対して、夫々が面対称である。第1当接面C1の第2平面F2における断面形状は、第1円弧A1の形状である。第2当接面C2の第2平面F2における断面形状は、第2円弧A2の形状である。第1当接面C1の第1円弧A1の中心は、第1平面F1を挟んで第1当接面C1とは反対側に配置される。第2円弧A2の中心は、第1平面F1を挟んで第2当接面C2とは反対側に配置される。
【0077】
これにより、第1当接面C1の曲率半径が大きくなる。第1当接面C1と第3当接面C3との接触面の面積が大きくなる。切換開閉器10の切換動作および反転切換動作においてチャタリングアークが発生しても、第1当接面C1および第3当接面C3に作用するダメージが分散される。第2当接面C2および第4当接面C4についても同様である。したがって、抵抗スイッチSRの消耗を抑制することができる。
【0078】
抵抗スイッチ可動端子55Rは、金属板により形成されて第1当接部材B1および第2当接部材B2を支持する第1支持部材252を有する。抵抗スイッチ固定端子35Rは、金属板により形成されて第3当接部材B3および第4当接部材B4を支持する第2支持部材232を有する。
【0079】
これにより、抵抗スイッチ可動端子55Rおよび抵抗スイッチ固定端子35Rの製造が容易化される。第2可動部50に装着される抵抗スイッチ可動端子55Rが軽量化されて、抵抗スイッチ可動端子55Rの振動が抑制される。抵抗スイッチSRの開極および閉極のタイミングが変化しにくい。これにより、負荷時タップ切換器1の切換開閉器10の動作信頼性が向上する。
【0080】
第1当接部材B1、第2当接部材B2、第3当接部材B3および第4当接部材B4は、共通当接部材Bにより構成される。
これにより、抵抗スイッチSRのコストが抑制される。
【0081】
共通当接部材Bが第1支持部材252に装着されて、第1当接部材B1および第2当接部材B2が構成される。
図17の左側に示されるように、共通当接部材Bは、共通当接面Cの稜線243がRθ平面(水平面)と平行になるように、第1支持部材252に装着される。第1当接部材B1の第1当接面C1の稜線243は、Rθ平面と平行である。第2当接部材B2の第2当接面C2の稜線243についても同様である。
【0082】
共通当接部材Bが第2支持部材232に装着されて、第3当接部材B3および第4当接部材B4が構成される。
図17の右側に示されるように、共通当接部材Bは、共通当接面Cの稜線243がRZ平面と平行になるように、第2支持部材232に装着される。第3当接部材B3の第3当接面C3の稜線243は、RZ平面と平行である。第4当接部材B4の第4当接面C4の稜線243についても同様である。
【0083】
Rθ平面とRZ平面とは直交する。第1当接面C1の稜線243と、第3当接面C3の稜線243とが、90°ねじれた状態になる。第1当接部材B1および第3当接部材B3は、第1当接面C1の稜線243と第3当接面C3の稜線243とが90°ねじれた状態で配置される。同様に、第2当接部材B2および第4当接部材B4は、第2当接面C2の稜線243と第4当接面C4の稜線243とが90°ねじれた状態で配置される。
【0084】
第2可動部50の構成部材の伸縮等により、抵抗スイッチ可動端子55Rの位置が、
図13に示される支持軸255の方向にずれる可能性がある。この場合でも、第1当接面C1と第3当接面C3との接触点G1の位置および第2当接面C2と第4当接面C4との接触点G2の位置が変化しない。抵抗スイッチSRの開極および閉極のタイミングが変化しにくい。これにより、負荷時タップ切換器1の切換開閉器10の動作信頼性が向上する。
【0085】
支持軸255から接触点G1および接触点G2までの距離が短くなるように、抵抗スイッチSRが設計されている。これにより、第2可動部50の振動が抑制されるので、抵抗スイッチSRの開極および閉極のタイミングが変化しにくい。したがって、負荷時タップ切換器1の切換開閉器10の動作信頼性が向上する。
【0086】
図18は、第2の実施形態の変形例の共通当接部材Bの斜視図である。変形例の共通当接部材Bは、共通当接面Cが球面である点で、第2の実施形態とは異なる。第2の実施形態と同様である部分における変形例の説明は省略される場合がある。
【0087】
第1当接部材B1、第2当接部材B2、第3当接部材B3および第4当接部材B4は、共通当接部材Bにより構成される。共通当接部材Bは、真鍮または銅・タングステン合金などの金属材料等により形成される。共通当接部材Bは、第1当接面C1、第2当接面C2、第3当接面C3および第4当接面C4となる共通当接面Cを有する。第2の実施形態の変形例の共通当接部材Bの共通当接面Cの形状は、球面である。
【0088】
第2の実施形態の変形例においても、第1当接面C1の曲率半径が大きくなる。第1当接面C1と第3当接面C3との接触面の面積が大きくなる。切換開閉器10の切換動作および反転切換動作においてチャタリングアークが発生しても、第1当接面C1および第3当接面C3に作用するダメージが分散される。第2当接面C2および第4当接面C4についても同様である。したがって、抵抗スイッチSRの消耗を抑制することができる。
【0089】
共通当接部材Bは、以下のように製造される。円盤状の素材の一方の端面が球面に加工される。球面の頂点は端面の中央に位置する。球面の周縁部に丸面取りが施される。他方の端面に取付部が形成される。以上により、共通当接部材Bが完成する。
球面の加工は比較的容易である。したがって、切換開閉器10の製造コストが抑制される。
【0090】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、第1当接部材B1の第1当接面C1の第1円弧A1の中心は、第1平面F1を挟んで第1当接面C1とは反対側に配置される。第2当接部材B2の第2当接面C2の第2円弧A2の中心は、第1平面F1を挟んで第2当接面C2とは反対側に配置される。これにより、抵抗スイッチSRの消耗を抑制することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0092】
A1…第1円弧、A2…第2円弧、B…共通当接部材、B1…第1当接部材、B2…第2当接部材、B3…第3当接部材、B4…第4当接部材、C1…第1当接面、C2…第2当接面、C3…第3当接面、C4…第4当接面、F1…第1平面、F2…第2平面、P1…中心、P2…中心、R1…第1限流抵抗器、R2…第2限流抵抗器、SR1…第1抵抗スイッチ、SR2…第2抵抗スイッチ、SV1…第1バルブスイッチ、SV2…第2バルブスイッチ、T1…第1タップ端子、T2…第2タップ端子、V…バルブ、1…負荷時タップ切換器、2…タップ選択器、10…切換開閉器、32R…抵抗スイッチ共通端子(第2端子)、35R…抵抗スイッチ固定端子(第2端子)、55R…抵抗スイッチ導体(第1端子)、55R…抵抗スイッチ可動端子(第1端子)、232…第2支持部材、243…稜線、252…第1支持部材。