(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】鉄道車両、および鉄道車両の製造方法
(51)【国際特許分類】
B61D 17/08 20060101AFI20241007BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20241007BHJP
B60R 13/02 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
B61D17/08
B61D37/00 Z
B61D37/00 F
B60R13/02 B
(21)【出願番号】P 2024020773
(22)【出願日】2024-02-15
【審査請求日】2024-06-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞野 優太
(72)【発明者】
【氏名】中村 征広
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-084550(JP,A)
【文献】特開2019-214269(JP,A)
【文献】特開2018-144776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/08
B61D 37/00
B60R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側構体と、前記側構体の車体幅方向の車内側に配置される内装パネルと、を備え、
前記内装パネルは、窓キセと腰パネルと、を有し、
前記窓キセ、および前記腰パネルは、それぞれ前記側構体に支持されている鉄道車両であって、
前記腰パネルは、前記窓キセの下側に配置され、
前記腰パネルの上端部の車体幅方向の車外側には、前記側構体に設けられた固定受具が配置され、
前記窓キセの下端部は、前記腰パネルの上端部を車体幅方向の車内側から覆い、
前記窓キセの下端部、前記腰パネルの上端部、および前記固定受具には、締結具が車体幅方向の車内側から挿入し、前記締結具によって、前記窓キセの下端部、および前記腰パネルの上端部が前記固定受具に一体的に締結され、
前記窓キセは、前記下端部以外の所定箇所で前記側構体に直接的、または間接的に固定され、
前記腰パネルは、前記上端部以外で前記側構体に直接的、または間接的に固定されていないことを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記腰パネルの下端部には下端取付具が設けられ、
前記側構体に、前記下端取付具を取り付けるための下端受具が設けられ、
前記下端取付具は、車体幅方向に拘束されている状態、且つ車体長手方向に摺動可能な状態で前記下端受具に取り付けられていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記腰パネルの少なくとも一方
の側端部には側端取付具が設けられ、
前記側構体に、前記側端取付具を取り付けるための側端受具が設けられ、
前記側端取付具は、車体幅方向に拘束されている状態、且つ車体長手方向に摺動可能な状態で前記側端受具に取り付けられていることを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
請求項1に記載の鉄道車両であって、
前記固定受具には、車体幅方向に略垂直な板状の固定片が設けられ、
前記腰パネルの上端部には上端取付具が設けられ、
前記上端取付具は、下側、および車体長手方向の両側が開放した空間部を有し、
前記固定片が前記空間部に挿入していることを特徴とする鉄道車両。
【請求項5】
請求項
2に記載の鉄道車両の製造方法であって、
前記下端取付
具を、前記下端受
具に取り付ける第1工程と、
前記窓キセを前記下端部以外の所定箇所で前記側構体に直接的、または間接的に固定する第2工程と、
前記腰パネルを車体長手方向に摺動させることで前記腰パネルの位置を前記窓キセの位置に合わせる第3工程と、
前記窓キセの下端部、前記腰パネルの上端部、および前記固定受具に、前記締結具を車体幅方向の車内側から挿入し、前記締結具によって、前記窓キセの下端部、および前記腰パネルの上端部を前記固定受具に一体的に締結する第4工程と、を有することを特徴とする鉄道車両の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側構体と、側構体の内側面に取り付けられた内装パネルと、を備える鉄道車両、および鉄道車両の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、鉄道車両の客室の側壁は、側構体に内装パネルを取り付けてある。そして、内装パネルは、側窓の周囲を覆う窓キセと、側窓の下方部分である腰部を覆う腰パネルと、を有する(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、出願人は、従来、窓キセ、および腰パネルを側構体に取り付けるにあたり、腰パネルの上端部が露出することを防ぐために、腰パネルの上端部を車体幅方向車内側から窓キセの下端部で覆っていた。そして、腰パネルの上端部、および窓キセの下端部はそれぞれ個別に側構体に固定されていた。
【0004】
図13は、従来の腰パネルの上端部、および窓キセの下端部の側構体への固定構造を簡易的に表した部分断面概略図である。
図13に示すように、側構体13を構成する横骨部材131に受部材92が固定されている。受部材92は、車体幅方向に直交する板状の固定部92Aを有する。そして、固定部92Aには、スペーサー93を介して腰パネル90の上端部90Uが皿ビス94で締結されている。また、窓キセ91の下端部91Dは、腰パネル90の上端部90Uに接合した状態で、窓キセ91の車体長手方向両隣に隣接された柱部材(図示なし)にビス95で締結されている。
【0005】
また、出願人は、以下の(1)~(5)の手順からなる取付方法で、窓キセ、および腰パネルを側構体に取り付けていた。
(1)側構体に形成された窓開口の位置に合わせて窓キセを仮付けする。
(2)窓キセと腰パネルとの目地位置を側構体に罫書く。
(3)窓キセを取り外す。
(4)目地位置に合わせて腰パネルを側構体に固定する。
(5)目地位置に合わせて窓キセを側構体に固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
内装パネルの位置は側窓の位置に合わせる必要があることと、腰パネルの上端部を窓キセの下端部で覆い、腰パネル、および窓キセを個別に側構体に固定するという構造とから、窓キセを仮付けした後に取り外すという工程が発生していた。すなわち上述の内装パネルの側構体への固定構造、および内装パネルの側構体への取付方法では、内装パネルの側構体への取付に手間が掛かっていた。
【0008】
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、美感性の低下を防ぎつつ、内装パネルの側構体への取り付けを容易にする鉄道車両、および鉄道車両の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の一態様による鉄道車両、および鉄道車両の製造方法は、以下のような特徴を有する。
【0010】
(1)鉄道車両であって、
側構体と、前記側構体の車体幅方向の車内側に配置される内装パネルと、を備え、
前記内装パネルは、窓キセと腰パネルと、を有し、
前記窓キセ、および前記腰パネルは、それぞれ前記側構体に支持されている鉄道車両であって、
前記腰パネルは、前記窓キセの下側に配置され、
前記腰パネルの上端部の車体幅方向の車外側には、前記側構体に設けられた固定受具が配置され、
前記窓キセの下端部は、前記腰パネルの上端部を車体幅方向の車内側から覆い、
前記窓キセの下端部、前記腰パネルの上端部、および前記固定受具には、締結具が車体幅方向の車内側から挿入し、前記締結具によって、前記窓キセの下端部、および前記腰パネルの上端部が前記固定受具に一体的に締結され、
前記窓キセは、前記下端部以外の所定箇所で前記側構体に直接的、または間接的に固定され、
前記腰パネルは、前記上端部以外で前記側構体に直接的、または間接的に固定されていないことを特徴とする。
上記(1)に記載の態様によって、窓キセは、下端部以外の所定箇所で側構体に直接的、または間接的に固定され、腰パネルは、上端部以外で側構体に直接的、または間接的に固定されていないということは、内装パネルを側構体に取り付ける際に、窓キセの位置決めをした後に、窓キセの位置に合わせて腰パネルの車体長手方向の位置を調整することができる。その結果、従来の窓キセを仮付けした後に取り外すという工程を省くことができる。また、窓キセの下端部と腰パネルの上端部と固定受具とが一体的に締結されているので、当該工程を省きつつ、腰パネルの上端部を窓キセで隠して、美観性を向上させることができる。
【0011】
(2)(1)に記載の鉄道車両であって、前記腰パネルの下端部には下端取付具が設けられ、前記側構体に、前記下端取付具を取り付けるための下端受具が設けられ、前記下端取付具は、車体幅方向に拘束されている状態、且つ車体長手方向に摺動可能な状態で前記下端受具に取り付けられていることが好ましい。上記(2)に記載の態様によって、腰パネルの下端部で側構体に摺動可能に取り付けられることになるので、腰パネルの位置合わせを安定的に行うことができる。
(3)(2)に記載の鉄道車両において、前記腰パネルの少なくとも一方の側端部には側端取付具が設けられ、前記側構体に、前記側端取付具を取り付けるための側端受具が設けられ、前記側端取付具は、車体幅方向に拘束されている状態、且つ車体長手方向に摺動可能な状態で前記側端受具に取り付けられていることが好ましい。上記(3)に記載の態様によって、腰パネルの下端部から近い位置で側構体に摺動可能に取り付けられることになるので、腰パネルの取り付け作業が容易となる。
(4)(2)に記載の鉄道車両において、前記固定受具には、車体幅方向に略垂直な板状の固定片が設けられ、前記腰パネルの上端部には上端取付具が設けられ、前記上端取付具は、下側、および車体長手方向の両側が開放した空間部を有し、前記固定片が前記空間部に挿入していることが好ましい。上記(4)に記載の態様によって、腰パネルを側構体に車体幅方向に拘束されている状態、且つ車体長手方向に摺動可能な状態で取り付けるために固定受具を利用することができるので、部品点数を抑えてコスト削減を図ることができる。
(5)(2)乃至(4)の何れか1つに記載の鉄道車両の製造方法であって、
前記下端取付具、前記側端取付具、または前記上端取付具を、前記下端受具、前記側端受具、または前記上端受具に取り付ける第1工程と、
前記窓キセを前記下端部以外の所定箇所で前記側構体に直接的、または間接的に固定する第2工程と、
前記腰パネルを車体長手方向に摺動させることで前記腰パネルの位置を前記窓キセの位置に合わせる第3工程と、
前記窓キセの下端部、前記腰パネルの上端部、および前記固定受具に、前記締結具を車体幅方向の車内側から挿入し、前記締結具によって、前記窓キセの下端部、および前記腰パネルの上端部を前記固定受具に一体的に締結する第4工程と、を有することを特徴とする。
上記(5)に記載の態様によって、従来のような窓キセを仮付けした後に取り外すという工程を省くことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、美感性の低下を防ぎつつ、内装パネルの側構体への取り付けを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】車体を車体幅方向において車内側から車外側を見た概略部分側面図である。
【
図3B】窓キセの下枠付近を右斜め上から見た部分斜視図である。
【
図3C】窓キセの下枠付近を右斜め下から見た部分斜視図である。
【
図4C】右側の第1取付具付近の部分拡大斜視図である。
【
図4D】右側の第2取付具付近の部分拡大斜視図である。
【
図5A】内装パネルを取り外した状態の車体の内側面である。
【
図5B】
図5Aにおいて右側から2番目に設置された第1受具付近の部分拡大斜視図である。
【
図5C】
図5Aにおいて右側に設置された外側第2受具付近の部分拡大斜視図である。
【
図5D】内側第2受具付近の部分拡大斜視図である。
【
図6A】第1取付具の第1受付具への取付構造を簡易的に表した斜視図である。
【
図6B】第1取付具の第1受付具への取付構造を簡易的に表した部分断面概略図である。
【
図7A】第2取付具の第2受付具への取付構造を簡易的に表した斜視図である。
【
図7B】第2取付具の第2受付具への取付構造を簡易的に表した部分断面概略図である。
【
図8】窓キセ、および腰パネルの側構体への固定構造を簡易的に表した部分断面概略図である。
【
図9】内装パネルの側構体への取付方法を含む鉄道車両の製造方法のフローチャートである。
【
図10】第2実施形態に係る腰パネルの背面図である。
【
図11】第2実施形態に係る窓キセ、および腰パネルの側構体への固定構造を簡易的に表した部分断面概略図である。
【
図12】第3実施形態に係る窓キセ、および腰パネルの側構体への固定構造を簡易的に表した部分断面概略図である。
【
図13】従来の窓キセ、および腰パネルの側構体への固定構造を簡易的に表した部分断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る鉄道車両について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る鉄道車両(以下、「車両」と称する)の概略側面図である。車両1は、優等用車両からなる。なお、車両1を構成する車体10の長手方向(車体長手方向)において、車両1が進行する側を「前側」とし、進行する側と反対側を「後側」とする。
図1においては、左側に進行している状況を想定し、左側が前側であり、右側が後側である。また、車体幅方向における「車内側」、「車外側」を「幅方向車内側」、「幅方向車外側」と称する。
【0015】
図1に示すように、車体10は、台枠11と、台枠11の前側および後側の端部に立設される前後一対の妻構体12と、台枠11の車体幅方向の両端部に立設される左右一対の側構体13と、前後一対の妻構体12の上端部および左右一対の側構体13の上端部に接続される屋根構体14と、を備える。側構体13には、1つの出入用開口13h1、1つの小側窓用開口13h2、および5つの大側窓用開口13h3が形成されている。出入用開口13h1が最も後側に配置されている。出入用開口13h1の前側に小側窓用開口13h2が配置されている。小側窓用開口13h2の前側には、5つの大側窓用開口13h3が車体長手方向に略等間隔で配置されている。
【0016】
出入用開口13h1には、車体長手方向に沿って開閉可能な側扉21が設置されている。小側窓用開口13h2には、小側窓22が設置されている。各大側窓用開口13h3には、大側窓23が設置されている。なお、各開口13h1~13h3の個数、形状、および配置は適宜に変更してもよい。
【0017】
次に、車体10の車内について説明する。
図2は、車体10を車体幅方向において車内側から車外側を見た概略部分側面図である。
図2に示すように、車体10の内側面には、内装パネル30が取り付けられている。なお、後述するように、内装パネル30は、側構体13に固定されている。
【0018】
内装パネル30は、窓キセ31と腰パネル32とを有する。窓キセ31は、全体的に横長矩形状の枠体であり、大側窓23の位置に合わせて、詳細には大側窓23の縁部を全周に亘って覆った状態で且つ大側窓23の幅方向車内側の表面に接する状態で各大側窓23の位置に対応して車両前後方向に隣接して設置されている。腰パネル32は、全体的に横長矩形状の板状体である。窓キセ31の下側には、2枚の腰パネル32が車体長手方向に当接した状態で設置されている。
【0019】
前側の腰パネル32の前側先端と窓キセ31の前側先端とは車体長手方向において同一位置に配置されている。すなわち、前側の腰パネル32の前側先端と窓キセ31の前側先端とは車体高さ方向に沿って直線状に連続している。一方、後側の腰パネル32の後側先端と窓キセ31の後側先端とは車体長手方向において同一位置に配置されている。すなわち、後側の腰パネル32の後側先端と窓キセ31の後側先端とは車体高さ方向に直線状に連続している。
【0020】
次に、窓キセ31について説明する。
図3Aは窓キセ31の正面図である。窓キセ31は全体的に横長矩形状の枠体である。以下において、窓キセ31について、短辺方向を「窓キセ縦方向」と称し、長辺方向を「窓キセ横方向」と称し、窓キセ縦方向、および窓キセ横方向に直交する方向を「窓キセ直交方向」と称する。窓キセ31が側構体13に取り付けられた状態において、窓キセ横方向は車体長手方向に平行であり、窓キセ直交方向は車体幅方向に平行である。そして、
図3Aにおける紙面の手前側が幅方向車内側となる。
【0021】
なお、便宜上、窓キセ31に対して、
図3Aにおける窓キセ縦方向に沿った上側、下側を、「上側」、「下側」と称する。同様に、
図3Aにおける窓キセ横方向に沿った左側、右側を、「左側」、「右側」と称し、
図3Aにおける窓キセ直交方向に沿った紙面の手前側、奥側を、「表側」、「裏側」と称する。
【0022】
窓キセ31の略中央には、正面視略横長矩形状の窓開口31hが形成されている。窓キセ31における窓開口31hよりも上側、下側、左側、および右側の部分をそれぞれ「上枠31U」、「下枠31D」、「左枠31L」、および「右枠31R」と称する。なお、第1実施形態では、窓キセ31は左右対称に構成されている。ただし、窓キセ31を左右非対称に構成してもよい。
【0023】
図3Bは窓キセ31の下枠31D付近を車内側の右斜め上から見た部分斜視図であり、
図3Cは窓キセ31の下枠31D付近を右斜め下から見た部分斜視図である。
図3B、および
図3Cに示すように、下枠31Dには、テーブルとして機能するテーブル部31Dtが2つ形成されている。
【0024】
テーブル部31Dtは、下枠31Dの窓キセ横方向の中央部と左枠31Lとの間、および中央部と右枠31Rとの間のそれぞれに1つずつ形成されており、下枠31Dの窓キセ縦方向における上側の約3/5の範囲で、窓キセ直交方向の表側に突出している。
【0025】
また、下枠31Dは、天板部31D1と側板部31D2とを有する。天板部31D1は、全体的に板状であり、窓キセ縦方向に略直交している。天板部31D1の上面大半は平坦である。側板部31D2は、全体的に板状であり、天板部31D1の表側端部で略直角に且つ下方に屈曲して形成されている。なお、テーブル部31Dtは、天板部31D1と側板部31D2とに亘って形成されている。
【0026】
また、下枠31Dの側板部31D2には、後述するボルト52が挿入される8つのボルト挿入孔31Dhが形成されている。各ボルト挿入孔31Dhは、側板部31D2の窓キセ縦方向におけるテーブル部31Dtが形成されていない範囲で、窓キセ縦方向における略同一位置に形成されている。また、ボルト挿入孔31Dhは側板部31D2の窓キセ横方向の中心の両側に4つずつ形成されている。詳細には、側板部31D2の窓キセ横方向の中心の両側に形成された各4つのボルト挿入孔31Dhは、窓キセ横方向に略等間隔で形成されている。さらには、左側の4つのボルト挿入孔31Dhと、右側の4つのボルト挿入孔31Dhとは、側板部31D2の窓キセ横方向の中心に対して対称位置となるように形成されている。
【0027】
次に、腰パネル32について説明する。
図4Aは腰パネル32の正面図であり。
図4Bは腰パネル32の背面図である。腰パネル32は全体的に横長矩形状である。以下において、腰パネル32について、短辺方向を「腰パネ縦方向」と称し、長辺方向を「腰パネ横方向」と称し、腰パネ縦方向、および腰パネ横方向に直交する方向を「腰パネ直交方向」と称する。腰パネル32が側構体13に取り付けられた状態において、腰パネ横方向は車体長手方向に平行であり、腰パネル直交方向は車体幅方向に平行である。そして、
図4Aにおける紙面の手前側、および
図4Bにおける紙面の奥側が幅方向車内側である。
【0028】
なお、便宜上、腰パネル32に対して、
図4Aにおける腰パネ縦方向に沿った上側、下側を、「上側」、「下側」と称する。同様に、
図4Aにおける腰パネ横方向に沿った左側、右側を、「左側」、「右側」と称し、
図4Aにおける腰パネ直交方向に沿った紙面の手前側、奥側を、「表側」、「裏側」と称する。
【0029】
腰パネル32の略中央には、全体的に横長矩形状の凹部32hが形成されている。凹部32hは、腰パネ直交方向の裏側に窪んでいる。腰パネル32における凹部32hの周囲は、全体的に横長矩形の枠状に形成されている。以下において、この枠状部分の凹部32hより上側、下側、左側、および右側を「上端部32U」、「下端部32D」、「左端部32L」、および「右端部32R」と称する。なお、第1実施形態では、腰パネル32は左右対称に構成されている。ただし、腰パネル32を左右非対称に構成してもよい。
【0030】
上端部32Uには、腰パネル32、および窓キセ31が側構体13に取り付けられたときに、車体幅方向にボルト挿入孔31Dhに対向する位置に、後述するボルト52が挿入される4つのボルト挿入孔32Uhが形成されている。
【0031】
下端部32Dの裏側には2つの第1取付具321が設けられている。2つの第1取付具321は、腰パネ縦方向において同一位置に配置されている。また、一方の第1取付具321は、腰パネル32の腰パネ横方向の中心から左側へ所定距離をおいて配置され、他方の第1取付具321は、腰パネル32の腰パネ横方向の中心から右側へ所定距離をおいて配置されている。
【0032】
左端部32Lの裏側、および右端部32Rの裏側には、それぞれ第2取付具322が設けられている。各第2取付具322は腰パネ縦方向において同一位置に配置されている。また、一方の第2取付具322は、腰パネル32の左右方向中心から左側へ所定距離をおいて配置され、他方の第2取付具322は、腰パネル32の左右方向中心から右側へ所定距離をおいて配置されている。
【0033】
次に、第1取付具321について説明する。
図4Cは、右側の第1取付具321付近の部分拡大斜視図である。
図4Cに示すように、第1取付具321は、下端部32Dに接合される矩形板状の基部321Bと、該基部321Bの下端から車内内側に屈曲して立設される接続部321Cと、該接続部321Cの車内側端部から下方に屈曲して延設された第1差込片321Aと、を備え、全体として断面略Z字状に形成されている。第1差込片321Aは、全体的に矩形板状であり、腰パネ縦方向の下側、且つ、腰パネ直交方向の裏側を向いて斜めに突出している。すなわち、第1差込片321Aは、下端部32Dの背面に対して傾斜している。第1実施形態において、第1取付具321の下端部32Dの背面に対する傾斜角度は、約30度である。ただし、後述するように、側外板130の大側窓23より下の部分は、車体10の下方ほど車体幅方向車内側に入り込む態様(いわゆる裾絞り形状)で傾斜しており、第1取付具321の下端部32Dの背面に対する傾斜角度は、この側外板130の傾斜角度に応じて異なる。
【0034】
また、第1取付具321は、腰パネ縦方向、および腰パネ横方向において、下端部32Dの範囲に収まっている。したがって、第1取付具321の下端は、下端部32Dの下端よりも上方に位置し、第1取付具321の腰パネ横方向における外側の端は、下端部32Dの腰パネ横方向における外側の端よりも内側に位置している(
図4B参照)。
【0035】
次に、第2取付具322について説明する。
図4Dは、右側の第2取付具322付近の部分拡大斜視図である。
図4Dに示すように、第2取付具322は、本体部材322Aと、板バネ部材322Bと、ライナープレート322Cと、を有する。
【0036】
本体部材322Aは、全体的に矩形板状である。本体部材322Aに含まれるガイド部322A1は、右端部32Rに対して、腰パネ縦方向の下側、且つ、腰パネ直交方向の裏側を向いて斜めに突出している。すなわち、ガイド部322A1は、右端部32Rの背面に対して傾斜している。ガイド部322A1の下側先端部は、腰パネ直交方向の裏側に円弧状に反り返っている。第1実施形態において、ガイド部322A1の右端部32Rに対する傾斜角度は、約30度である。ただし、後述するように、側外板130の大側窓23より下の部分は、幅方向車内側に進むにつれて下降する態様で傾斜しており、ガイド部322A1の右端部32Rの背面に対する傾斜角度は、この側外板130の傾斜角度に応じて異なる。
【0037】
ガイド部322A1の腰パネ直交方向の表側には板バネ部材322Bが配置されている。板バネ部材322Bは、ライナープレート322Cを介してガイド部322A1に固定されている。
【0038】
板バネ部材322Bは、押さえ板バネで構成されている。板バネ部材322Bに係る押さえ板バネは、一方の端部で固定され、他方の端部で対象物に圧力をかける(対象物を押さえ付ける)構造を有する。板バネ部材322Bがガイド部322A1に固定されている状態において、固定される側の端部は上側に配置され、対象物に圧力をかける側の端部は下側に配置されている。また、板バネ部材322Bがガイド部322A1に固定されている状態において、板バネ部材322Bが圧力をかける向きは、ガイド部322A1の車両外側面に対して垂直方向のガイド部322A1への向きである。
【0039】
また、板バネ部材322Bの下側約半分の部分とガイド部322A1との間にライナープレート322Cは介在していない。このライナープレート322Cが介在していないガイド部322A1と板バネ部材322Bとが対向している部分に、後述する突出片42Aが差し込まれる。
【0040】
次に、内装パネル30の幅方向車外側の構造について説明する。
図5Aは、内装パネル30を取り外した状態の車体10の内側面を表した図である。
図5Aに示すように、側構体13は、側外板130と、横骨部材131と、縦柱132と、間柱133と、腰掛受134と、を有する。側外板130に形成されている大側窓用開口13h3(
図5Aにおいて図示なし)に合わせて大側窓23が設置されている。
【0041】
側外板130は、車体高さ方向における大側窓用開口13h3より下側の途中で屈曲している。言い換えると、側外板130は、車体高さ方向に所定幅をもった車体長手方向に平行な屈曲部CPを境界にして上側と下側とで屈曲している。屈曲部CPは車体長手方向視の断面において円弧状である。車体長手方向において、側外板130の屈曲部CPより上側部分は車体高さ方向に平行であり、側外板130の屈曲部CPより下側部分は、幅方向車内側に進むにつれて下降する態様で傾斜している。したがって、側外板130の屈曲部CPより下側部分は車体10の床面に対して傾斜していることになる。なお、第1実施形態において、側外板130の屈曲部CPを挟んだ上側と下側との角度(側外板傾斜角度)は約30度である。ただし、この側外板傾斜角度は適宜に設定可能である。また、側外板130は全体的に平板状であり、屈曲していなくてもよい。
【0042】
側外板130の幅方向車内側の表面(内側面)であって大側窓23の下側には5本の横骨部材131が設置されている。詳細には、側外板130の内側面であって屈曲部CPの上側には1本の横骨部材131が設置され、屈曲部CPの下側には4本の横骨部材131が側外板130の傾斜方向に沿って略等間隔で並設されている。なお、一番下側の横骨部材131は、車体10の床面付近であって側外板130の下端部に設置されている。
【0043】
各横骨部材131は、ハット形鋼からなり、直交断面の外側に突出して形成されている顎部で側外板130の内側面に接合されている。また、各横骨部材131は、車体長手方向に平行に延在している。各横骨部材131の車体長手方向の両端部は、大側窓23の車体長手方向の両先端よりも外側に突出している。
【0044】
縦柱132は、大側窓23の車体長手方向の外側両隣に1本ずつ設置されている。また、縦柱132は、ハット形鋼からなる。そして、縦柱132は、当該直交断面で両外側に突出して形成された鍔部で、プレート141を介して5本の横骨部材131の天板部131Aの表面に直交する態様で接合されている。また、縦柱132は、車体10の床面付近から大側窓23の上端よりも上側まで延在している。そして、縦柱132は、側外板130の屈曲形状に応じて屈曲している。
【0045】
また、各縦柱132の天板部132Aの幅方向車内側には、腰パネル用スペーサー501が1つずつ接着されている。各腰パネル用スペーサー501は、窓キセ31が設置されたときの車体長手方向両端に位置するボルト挿入孔31Dh、および腰パネル32が設置されたときの車体長手方向両端に位置するボルト挿入孔32Uhと車体幅方向に対向する位置に設置されている。ボルト挿入孔31Dh、32Uhには、後述するボルト52が幅方向車内側から挿入されるので、腰パネル用スペーサー501、およびその幅方向車外側の天板部132Aには、ボルト挿入孔31Dh、32Uhに連通するボルト挿入孔501hが形成されている。なお、車体幅方向において、天板部132Aの腰パネル用スペーサー501と反対側のボルト挿入孔501hに対応した位置にはボルト52と螺合可能にフローティングナット(図示なし)が接合されている。
【0046】
また、腰パネル用スペーサー501の幅方向車内側の表面には、腰パネル32の上端部32Uが当接する。すなわち、腰パネル用スペーサー501は、腰パネル32の上端部32Uと各縦柱132との間に介在する。
【0047】
間柱133は、大側窓23の下側において、大側窓23の車体長手方向の中心に1本設置されている。また、間柱133は、ハット形鋼からなる。そして、間柱133は、当該直交断面で両外側に突出して形成された鍔部で、プレート142A、142Bを介して4本の横骨部材131の天板部131Aの表面に直交する態様で接合されている。また、間柱133は、車体10の床面付近から、側外板130の屈曲部CPよりも上側であって大側窓23の下端付近まで延在している。そして、間柱133は、側外板130の屈曲形状に応じて屈曲している。
【0048】
腰掛受134は、大側窓23の下側において、間柱133と各縦柱132との間で車体長手方向に所定間隔をおいて2本ずつ設置されている。間柱133寄りの各腰掛受134と間柱133との間の距離と、各縦柱132寄りの各腰掛受134と各縦柱132との間の距離と、は略同一である。また、腰掛受134は、ハット形鋼からなる。そして、腰掛受134は、当該直交断面で両外側に突出して形成された鍔部で、不図示のプレートを介して2本の横骨部材131の天板部131Aの表面に直交する態様で接合されている。また、腰掛受134は、車体10の床面付近から、側外板130の屈曲部CPよりも下側まで延在している。
【0049】
側外板130の内側面から縦柱132の天板部132A、間柱133の天板部133A、および腰掛受134の天板部134Aのそれぞれの幅方向車内側の表面までの長さは同一である。そして、2本の縦柱132の天板部132A、1本の間柱133の天板部133A、および4本の腰掛受134の天板部134Aの下端部の幅方向車内側の表面には、横長矩形板状の1枚の床敷物受135が横断して接合されている。床敷物受135は、側外板130の屈曲部CPより下側部分と平行であり、当該部分と同様に、車体10の床面に対して傾斜している。
【0050】
間柱133寄りの各腰掛受134と間柱133との間、および各縦柱132寄りの各腰掛受134と各縦柱132との間には、第1取付具321を取り付ける(受ける)ための第1受具41が設置されている。第1受具41は、床敷物受135に設けられており、床敷物受135の上端から上側に突出している。
【0051】
各縦柱132の側外板130の屈曲部CPの下側近傍には、第2取付具322を取り付ける(受ける)ための外側第2受具421が設置されている。外側第2受具421は、後述する吹寄パネル44に接着されている。なお、吹寄パネル44は天板部132Aの幅方向車内側の表面側に設けられている。また、間柱133の側外板130の屈曲部CPの下側近傍には、第2取付具322を取り付ける(受ける)ための内側第2受具422が設置されている。内側第2受具422は、溶接によって、間柱133の天板部133Aに接合されている。
【0052】
図5Bは、
図5Aにおいて最も左側に設置された第1受具41付近の部分拡大斜視図である。
図5Bに示すように、第1受具41は、本体部材41Aと、板バネ部材41Bと、ライナープレート41Cを有する。
【0053】
本体部材41Aは、床敷物受135の上端部の幅方向車外側の表面に溶接されている。本体部材41Aは、ガイド部41A1と、入り込み防止部41A2とを有する。ガイド部41A1は、床敷物受135の上端から上側に突出している。また、ガイド部41A1は、矩形平板状であり、車体幅方向に直交している。言い換えると、車体長手方向において、ガイド部41A1は、車体高さ方向に平行である。入り込み防止部41A2は、ガイド部41A1の上端部から幅方向車外側に略直角に屈曲してなる。
【0054】
ガイド部41A1の幅方向車内側には板バネ部材41Bが配置されている。板バネ部材41Bはライナープレート41Cを介して、不図示のリベットによってガイド部41A1に固定されている。板バネ部材41Bは、押さえ板バネで構成されている。板バネ部材41Bに係る押さえ板バネは、一方の端部で固定され、他方の端部で対象物に圧力をかける(対象物を押さえ付ける)構造を有する。板バネ部材41Bがガイド部41A1に固定されている状態において、固定される側の端部は下側に配置され、対象物に圧力をかける側の端部は上側に配置されている。また、板バネ部材41Bがガイド部41A1に固定されている状態において、板バネ部材41Bが圧力をかける向きは、ガイド部41A1の車両内面側に対して垂直方向のガイド部41A1への向きである。
【0055】
また、ライナープレート41Cは全体的に矩形状であり、板バネ部材41Bよりも大きくガイド部41A1よりも小さい。さらには、板バネ部材41Bの車体長手方向の両側、および車体高さ方向の上側からライナープレート41Cが突出している。板バネ部材41Bとライナープレート41Cとの間には、後述するように第1取付具321が差し込まれる。
【0056】
図5Cは、
図5Aにおいて右側に設置された外側第2受具421付近の部分拡大斜視図である。
図5Cに示すように、外側第2受具421は、第2取付具322を上から被せ込むための外側突出片421Aを有する。外側突出片421Aは、全体的に矩形平板状であり、車体長手方向に直交する断面は、車体高さ方向に平行である。言い換えると、外側突出片421Aの形状は、車体幅方向に直交する矩形平板状である。また、外側突出片421Aは、間柱133側に向けて吹寄パネル44から車体長手方向に突出している。
【0057】
図5Dは、内側第2受具422付近の部分拡大斜視図である。
図5Dに示すように、内側第2受具422は、第2取付具322を上から被せ込むための内側突出片422Aを2つ有する。内側突出片422Aは、全体的に矩形平板状であり、車体長手方向に直交する断面は、車体高さ方向に平行である。言い換えると、内側突出片422Aの形状は、車体幅方向に直交する矩形平板状である。また、内側突出片422Aは、間柱133から各縦柱132側に向けて車体長手方向に突出している。
【0058】
外側突出片421Aの車体長手方向に直交する断面形状と、内側突出片422Aの車体長手方向に直交する断面形状と、は略同一である。また、外側突出片421Aの上端位置と、内側突出片422Aの上端位置と、は略同一である。さらに、外側突出片421Aの車体幅方向における位置と、内側突出片422Aの車体幅方向における位置と、は略同一である。
【0059】
なお、以下において、第2取付具322を取り付けるものとして外側第2受具421と内側第2受具422とを合わせて、「第2受具42」と総称する。また、第2取付具322を上から被せ込むためのものとして外側突出片421Aと内側突出片422Aとを合わせて、「突出片42A」と総称する。
【0060】
また、
図5Aに示すように、一番上側に配置されている横骨部材131には、横骨部材131の上方に設置されている大側窓23に係る窓キセ31、および当該大側窓23の下方に配置される2枚の腰パネル32を固定するための第3受具43が設置されている。第3受具43は、不図示のビスによって、横骨部材131の天板部131Aに固定されている。
【0061】
また、第3受具43は、窓キセ31、および腰パネル32を固定するための固定片43Aを有する。固定片43Aは、全体的に横長矩形平板状であり、車体長手方向に直交する断面は、車体高さ方向に平行である。言い換えると、固定片43Aの形状は、車体幅方向に直交する横長矩形平板状である。また、固定片43Aは、横骨部材131の天板部131Aから幅方向車内側に所定距離をおいた状態で車体高さ方向に平行に立設されている。
【0062】
固定片43Aには、前述のビス54を挿入させるためのボルト挿入孔43hが6つ形成されている。ボルト挿入孔43hは、窓キセ31を設置したときの車体長手方向両端を除いた6つのボルト挿入孔31Dh、および腰パネル32を設置したときの車体長手方向両端を除いた6つのボルト挿入孔32Uhと車体幅方向に対向する位置に形成されている。
【0063】
固定片43Aの車体長手方向の中心の両側において、車体幅方向の両外側のボルト挿入孔43hと、車体幅方向の中央のボルト挿入孔43hと、の間には、横長矩形状の腰パネル用スペーサー502が、固定片43Aの幅方向車内側の表面に接着されている。同様に、固定片43Aの車体長手方向の中心の両側において、車体幅方向の両内側のボルト挿入孔43hと、車体幅方向の中央のボルト挿入孔43hと、の間には、矩形状の腰パネル用スペーサー503が、固定片43Aの幅方向車内側の表面に接着されている。
【0064】
後述するように腰パネル用スペーサー502、503の幅方向車内側の表面には、腰パネル32の上端部32Uが当接する。すなわち、腰パネル用スペーサー502、503は、腰パネル32の上端部32Uと固定片43Aとの間に介在する。なお、腰パネル32の上端部32Uを幅方向車外側で当接させるためのスペーサーとして、前述の腰パネル用スペーサー501を含めて「スペーサー50」と総称する。
【0065】
間柱133の天板部133Aの幅方向車内側の表面には、全高さにわたって緩衝部材60が接着されている。緩衝部材60は、スポンジなどの弾力性を有する材料からなる。緩衝部材60の幅方向車内側の表面は、側外板130の内面に平行である。そして、左側に設置される腰パネル32の右端部32R、および右側に設置される腰パネル32の左端部32Lの背面に当接する。なお、緩衝部材60は、内側第2受具422を直交する態様で覆っている。
【0066】
また、各縦柱132の天板部132Aの幅方向車内側の表面には、吹寄パネル44が設けられている。吹寄パネル44は、床敷物受135の上端から固定片43Aの上端まで延在している。吹寄パネル44の幅方向車内側の表面は、側外板130の内面に平行である。そして、吹寄パネル44は、左側に設置される腰パネル32の左端部32L、および右側に設置される腰パネル32の右端部32Rの背面に当接する。なお、吹寄パネル44の幅方向車外側の表面に外側第2受具421が接着されており、吹寄パネル44は、外側第2受具421を直交する態様で覆っている。ただし、外側第2受具421の取り付け箇所は適宜に設定可能であり、外側第2受具421は必ずしも吹寄パネル44に取り付けられていなくてもよい。例えば、吹寄パネル44が設けられていない場合、縦柱132の天板部132Aに外側第2受具421が取り付けられていてもよい。
【0067】
次に、窓キセ31、および腰パネル32の側構体13への固定構造、ならびに腰パネル32の側構体13への取付構造について説明する。
【0068】
最初に、腰パネル32の側構体13への取付構造について説明する。腰パネル32は、第1取付具321が第1受具41に取り付けられるとともに、第2取付具322が第2受具42に取り付けられることによって、車体長手方向に沿って移動可能、且つ、車体幅方向に拘束された状態で、側構体13に支持される。
【0069】
図6A、
図6Bは、第1取付具321の第1受具41への取付構造(
図5Bに図示した第1受具41での取付構造)の一例を表す図であり、
図7A、
図7Bは、第2取付具322の第2受具42への取付構造(
図5Cに図示した外側第2受具421での取付構造)の一例を表す図である。なお、
図6A、および
図7Aでは、便宜上、腰パネル32の記載を省略している。
【0070】
図6A、
図6Bに示すように、矩形平板状の第1取付具321の第1差込片321Aは、第1受具41の板バネ部材41Bとライナープレート41Cとの間に上から差し込まれ、第1受具41によって車体高さ方向上向きに係止されている。第1差込片321Aは、車体幅方向の両側で板バネ部材41Bとライナープレート41Cとに密着して挟み込まれて状態で、板バネ部材41Bから幅方向車外側へ圧力を受けている(押し付けられている)。したがって、第1取付具321は、車体幅方向への移動が拘束されている。また、第1受具41において、第1差込片321Aと車体長手方向に対向するものはない。すなわち、第1差込片321Aは板バネ部材41Bの押圧力によって生じる摩擦力のみで固定され、第1受具41との関係では摩擦力に抗して車体長手方向に移動可能である。したがって、第1取付具321は、第1受具41に取り付けられた状態において、第1受具41の土台となるガイド部41A1に沿った車体長手方向に摺動可能である。
【0071】
図7A、
図7Bに示すように、第2取付具322は、外側第2受具421における矩形平板状の外側突出片421Aに、上側から本体部材322Aと板バネ部材322Bとで挟み込まれており、外側第2受具421によって車体高さ方向上向きに係止されている。外側突出片421Aは、車体幅方向の両側で本体部材322Aのガイド部322A1と板バネ部材322Bとに密着して挟み込まれた状態で、板バネ部材322Bから幅方向車外側へ圧力を受けている(押し付けられている)。したがって、第2取付具322は、車体幅方向への移動が拘束されている。また、第2取付具322において、外側突出片421Aと車体長手方向に対向するものはない。すなわち、第2取付具322は板バネ部材322Bの押圧力によって生じる摩擦力のみで固定され、外側突出片421Aとの関係では摩擦力に抗して車体長手方向に移動可能である。したがって、第2取付具322は、第2受具42に取り付けられた状態において、外側突出片421Aに沿った車体長手方向に摺動可能である。
【0072】
次に、窓キセ31、および腰パネル32の側構体13への固定構造について説明する。腰パネル32は、窓キセ31と一体的に側構体13に固定される。
図8は、窓キセ31、および腰パネル32の側構体13への固定構造を模式的に表した図である。なお、
図8は、
図3Bに図示した右側のテーブル部31Dtの最も突出している箇所を断面で表している。
【0073】
図8に示すように、幅方向車外側から幅方向車内側に向けて、第3受具43の固定片43Aと、腰パネル32の上端部32Uと、窓キセ31の下枠31Dと、が並んでいる。固定片43Aと上端部32Uとは、腰パネル用スペーサー502を介して接合されている。上端部32Uと下枠31Dとは、窓キセ用スペーサー51を介して接合されている。
【0074】
また、
図8には図示されていないが、固定片43Aに形成された6つのボルト挿入孔43hと、2枚の腰パネル32のそれぞれの上端部32Uに形成された3つのボルト挿入孔32Uhと、下枠31Dに形成された6つのボルト挿入孔31Dhと、は車体幅方向に連通している。
【0075】
また、固定片43Aのボルト挿入孔43hの幅方向車外側の表面には、フローティングナット53がリベット(図示なし)で固定されている。そして、下枠31Dの車体幅方向の車内側からビス54がボルト挿入孔31Dh、32Uh、43hに挿入し、フローティングナット53で締結されている。図示は省略するが、窓キセ31が設置されたときの車体長手方向両端部も同様に、下枠31Dの幅方向車内側からビス54がボルト挿入孔31Dh、32Uh、501hに挿入し、フローティングナットで締結されている。その結果、上端部32U、および下枠31D、が横骨部材131に固定された第3受具43、および縦柱132に一体的に固定されている。
【0076】
第1取付具321、および第2取付具322と、第1受具41、および第2受具42と、の位置、および寸法の関係としては、第1取付具321の第1差込片321Aの先端が第1受具41の板バネ部材41Bの先端に配置されたときに、第2取付具322のガイド部322A1の先端、および板バネ部材322Bの先端が、第2受具42の突出片42Aの上端より上側に配置されていること、且つ、第1取付具321の第1差込片321Aの先端が第1受具41の板バネ部材41Bの根元(差し込める限界位置)に配置されたときに、第2取付具322がガイド部322A1、および板バネ部材322Bで、第2受具42の突出片42Aを被せ込んでいることが必要である。
【0077】
なお、窓キセ31は、下枠31D以外の所定箇所で適宜に側構体13に固定されているものとする。この窓キセ31の下枠31D以外の所定箇所での側構体13への固定構造は、従来技術を適用可能である。例えば、左枠31L、および右枠31Rは、面ファスナーによって縦柱132に車体幅方向、車体長手方向、および車体高さ方向に摺動不可能に拘束された状態で固定されている。また、上枠31Uは、大側窓23の上方近傍に配置されている横骨部材(図示なし)にビス(図示なし)で固定されることによって、車体幅方向、車体長手方向、および車体高さ方向に摺動不可能に拘束された状態で固定されている。
【0078】
次に、内装パネル30の側構体13への取付方法を含む鉄道車両の製造方法について説明する。
図9は、内装パネル30の側構体13への取付方法を含む鉄道車両の製造方法のフローチャートである。内装パネル30の側構体13への取付方法は、腰パネル取付工程S1、窓キセ位置出し工程S2、腰パネル位置調整工程S3、および窓キセ・腰パネル締結工程S4を含む。
【0079】
腰パネル取付工程S1において、車体高さ方向の上側から第1取付具321を第1受具41に差し込むと共に、車体高さ方向の上側から第2取付具322を第2受具42に被せ込むことで、腰パネル32を下部、および両側部で車体長手方向に摺動可能な状態、且つ、車体幅方向に拘束した状態で側構体13に取り付ける。
【0080】
第1実施形態では、1枚の窓キセ31に対して2枚の腰パネル32が設置されるので、1枚の腰パネル32について腰パネル取付工程S1を行った後に、次の腰パネル32について腰パネル取付工程S1を行う。
【0081】
窓キセ位置出し工程S2において、既に設置されている大側窓23に基づいて窓キセ31の位置を調整した後に、下枠31D以外の箇所(上枠31U、左枠31L、右枠31R)で適宜に側構体13に固定する。すなわち、下枠31Dの仮付けを行う。ここでは、窓キセ31の下枠31Dを2枚の腰パネル32の上端部32Uの幅方向車内側に被らせる。
【0082】
腰パネル位置調整工程S3において、腰パネル32を車体長手方向に沿って移動させることで、仮付けされた窓キセ31に対する腰パネル32の位置調整を行って、窓キセ31と腰パネル32との車体高さ方向における目地を合わせる(窓キセ31の車体長手方向の両端と腰パネル32の車体長手方向の両端とを合わせる)。
【0083】
窓キセ・腰パネル締結工程S4において、ビス54をボルト挿入孔31Dh、32Uh、43hなどに挿入して、フローティングナット53などに締結させることで、窓キセ31、および腰パネル32を一体的に側構体13に固定する。
【0084】
以上のように、第1実施形態に係る車両1によれば、側構体13と、側構体13の車体幅方向内側に配置される内装パネル30と、を備え、内装パネル30は、窓キセ31と腰パネル32と、を有し、窓キセ31、および腰パネル32は、それぞれ側構体に支持されており、腰パネル32は、窓キセ31の下側に配置され、腰パネル32の上端部32Uの車体幅方向外側には、側構体13に設けられた第3受具43が配置され、窓キセ31の下枠31Dは、腰パネル32の上端部32Uを車体幅方向内側から覆い、窓キセ31の下枠31D、腰パネル32の上端部32U、および第3受具43には、ボルト52が車体幅方向車内側から挿入し、ボルト52によって、窓キセ31の下枠31Dと腰パネル32の上端部32Uと第3受具43とが一体的に締結され、窓キセ31は、下枠31D以外の上枠31U、左枠31L、および右枠31Rで側構体13に直接的、または間接的に固定され、腰パネル32は、上端部32U以外で側構体13に直接的、または間接的に固定されていない。窓キセ31の下枠31D、および腰パネル32の上端部32Uが一体的に第3受具43に締結され、さらに窓キセ31は、下枠31D以外の上枠31U、左枠31L、および右枠31Rで側構体13に直接的、または間接的に固定され、腰パネル32は、上端部32U以外で側構体13に直接的、または間接的に固定されていないということは、内装パネル30を側構体13に取り付ける際に、先に腰パネル32を適当な位置に配置した後に窓キセ31の位置決めをして下枠31D以外で固定して仮付けしてから、窓キセ31の位置に合わせて腰パネル32の車体長手方向の位置を調整することができる。その結果、従来の窓キセを仮付けした後に取り外すという工程を省くことができる。すなわち、車体10内部の美観性の低下を防ぎつつ、内装パネル30の側構体13への取り付けが容易になる。
【0085】
また、第1実施形態の車両1によれば、腰パネル32の下端部32Dには第1取付具321が設けられ、側構体13に、第1取付具321を車体幅方向に拘束する第1受具41が設けられ、第1取付具321は、第1受具41に車体幅方向に拘束されている状態で、車体長手方向に摺動可能である。腰パネル32の下端部32Dで摺動可能に取り付けられることになるので、腰パネル32の位置合わせを安定的に行うことができる。さらに、第1実施形態の車両1によれば、腰パネル32の少なくとも一方の側端部32L、32Rには第2取付具322が設けられ、側構体13に、第2取付具322を車体幅方向に拘束する第2受具42が設けられ、第2取付具322は、第2受具42に車体幅方向に拘束されている状態で、車体長手方向に摺動可能である。腰パネル32の下端部32Dから近い位置で側構体13に摺動可能に取り付けられることになるので、腰パネル32の取り付け作業が容易となる。
【0086】
さらには、前述の内装パネル30の側構体13への取付方法を含む鉄道車両の製造方法によれば、従来のような窓キセを仮付けした後に取り外すという工程を省くことができるので、美感性の低下を防ぎつつ、内装パネルの側構体への取り付けを容易にすることができる。
【0087】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。そこで、第1実施形態に係る変形例について説明する。なお、以下に説明する変形例同士を適宜に組み合わせることも可能である。
【0088】
大側窓23の下方には、2枚の腰パネル32が車体長手方向に並設されているが、大側窓23の下方に配置される腰パネル32の枚数は2枚に限られない。したがって、大側窓23の下方には、1枚の腰パネル32が配置されてもよいし、大側窓23の下方に3枚以上の腰パネル32が車体長手方向に並設されてもよい。あるいは、小側窓22の下方に1枚の腰パネル32が配置されてもよい。また、大側窓23の下方に並設される2枚の腰パネル32の構造は同一であるが、大側窓23の下方に並設される腰パネル32の枚数が複数である場合、全て、または一部の腰パネル32の構造が相互に異なっていてもよい。ただし、これらの変形例の場合、車体10内部の美感性の観点から、大側窓23の車体長手方向の両端と、その下方に配置される腰パネル32の車体長手方向の両端とが、車体高さ方向に一直線上に接続されていることが好ましい。
【0089】
第1取付具321、および第2取付具322の構造、ならびに第1受具41、および第2受具42の構造は、腰パネル32が車体長手方向に摺動可能であると共に、車体幅方向に拘束されるという条件を満たす範囲で適宜に変形してもよい。例えば、第1実施形態では、第1取付具321が第1受具41に差し込み可能であり、第2取付具322が第2受具42に被せ込み可能であるが、第1取付具321、および第2取付具322の双方が、第1受具41、および第2受具42に差し込み可能、または被せ込み可能となるようにしてもよい。
【0090】
第1取付具321、および第2取付具322で側構体13に取り付けるとき、第1受具41が第1取付具321を係止し、第2受具42が第2取付具322を係止することによって、腰パネル32は、第1受具41、および第2受具42を介して側構体13に支持されるが、第1受具41、または第2受具42の何れか一方が第1取付具321、または第2取付具322を係止するようにしてもよい。ただし、この場合、係止していないのが第1受具41であれば、少なくとも第1差込片321Aはガイド部41A1と板バネ部材41Bとの間に差し込まれており、係止していないのが第2受具42であれば、少なくともガイド部322A1と板バネ部材322Bとは突出片42Aを被せ込んでいるものとする。
【0091】
第1受具41における本体部材41Aと板バネ部材41Bとの車体幅方向における位置関係を反対にしてもよい。さらには、板バネ部材41Bを本体部材41Aのガイド部41A1のような板状にしてもよい。また、第2取付具322における本体部材322Aと板バネ部材322Bとの腰パネ直交方向における位置関係を反対にしてもよい。さらには、板バネ部材322Bを本体部材322Aのガイド部322A1のような板状にしてもよい。
【0092】
腰パネル32の下端部32Dでの側構体13への取り付け位置、および取り付け個数、ならびに腰パネル32の側端部32L、Rでの側構体13への取り付け位置、および取り付け個数は特に限定されず、腰パネル32が車体幅方向に摺動可能であると共に、側端部32L、32R、および下端部32Dで車体幅方向に拘束されるという条件を満たす範囲で適宜に変更してもよい。
【0093】
腰パネル32の上端部32Uでの側構体13への固定位置、および固定個数、言い換えると、腰パネル32と窓キセ31とを一体的に側構体13に固定する箇所、および箇所の個数は特に限定されず、適宜に変更してもよい。
【0094】
<第2実施形態>
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。以下においては、主に、第2実施形態として、第1実施形態と異なる点について説明する。また、第1実施形態と同一の構成、または同様に対応する構成については同一の符号、および用語を用いる。
【0095】
第2実施形態に係る腰パネル32’は、第1実施形態での第2取付具322を有していない。すなわち、腰パネル32’は、側端部32L、32Rで車体長手方向に摺動可能な状態、且つ車体幅方向に拘束された状態で側構体13に取り付けられていない。腰パネル32’は、下端部32Dの他に上端部32Uで車体長手方向に摺動可能な状態、且つ車体幅方向に拘束された状態で側構体13に取り付けられている。腰パネル32’の上端部32Uには、上端部32Uで車体長手方向に摺動可能な状態、且つ車体幅方向に拘束された状態で側構体13に取り付けるための第3取付具323が設けられている。
【0096】
図10は、第2実施形態に係る腰パネル32’の背面図である。
図10に示すように、第3取付具323は、腰パネ横方向の中心の左側と右側とに1箇所ずつ設けられている。第3取付具323の腰パネ横方向における位置は、腰パネル32’が側構体13に固定されたときに腰パネル用スペーサー502に当接する範囲に収まっている。また、第3取付具323は、腰パネル32’の上端部32Uの上端から上方に一定の幅で突出して形成されている。
【0097】
図11は、第2実施形態に係る第3取付具323での腰パネル32’の側構体13への取付構造を簡易的に表した部分断面概略図である。なお、上端部32Uの第3取付具323が設けられている部分以外の部分の上端の車体高さ方向位置は、第3受具43の固定片43Aの上端の車体高さ方向位置と同一である。
【0098】
図11に示すように、第3取付具323は、表板部323A、横板部323B、および裏板部323Cを有する。表板部323Aは上端部32Uから連続して腰パネ縦方向の上側に延設されている。横板部323Bは表板部323Aの上端部から腰パネ直交方向の裏側に略直角に屈曲している。裏板部323Cは横板部323Bの腰パネ直交方向の裏側の端部から下方に略直角に屈曲している。
【0099】
表板部323A、および裏板部323Cは、側面視で腰パネ高さ方向に平行である。裏板部323Cの下端は、表板部323Aの下端、言い換えると上端部32Uの上端より下方に位置する。また、表板部323Aと横板部323Bと裏板部323Cとで区画された空間部K1は、腰パネ横方向の両側、および下側で開放している。さらには、表板部323Aの裏側の表面と裏板部323Cの表側の表面との距離は、言い換えると、空間部K1の腰パネ直交方向長さは、固定片43Aの厚さと腰パネル用スペーサー502の厚さとを合わせた長さと略同一である。そして、空間部K1に固定片43A、および腰パネル用スペーサー502を挿入させることで、第3取付具323は、固定片43Aの腰パネル用スペーサー502が接合されている部分に、車体長手方向に摺動可能な状態、且つ、車体幅方向に拘束した状態で引っ掛けられている。
【0100】
なお、第2実施形態に係る内装パネル30の側構体13への取付方法も、前述の腰パネル取付工程S1、窓キセ位置出し工程S2、腰パネル位置調整工程S3、および窓キセ・腰パネル締結工程S4を含む。ただし、腰パネル取付工程S1では、車体高さ方向の上側から第1取付具321を第1受具41に差し込むと共に、車体高さ方向の上側から第3取付具323を固定片43Aの腰パネル用スペーサー502が接合されている部分に引っ掛ける。
【0101】
<第3実施形態>
次に、本発明に係る第3実施形態について説明する。以下においては、主に、第3実施形態として、第2実施形態と異なる点について説明する。また、第2実施形態と同一の構成、または同様に対応する構成については同一の符号、および用語を用いる。
【0102】
第3実施形態に係る腰パネル32’’において、第2実施形態での第3取付具323と同一位置に、腰パネル32’’を車体長手方向に摺動可能な状態、且つ車体幅方向に拘束された状態で側構体13に取り付けるための第4取付具324が設けられている。
【0103】
図12は、第3実施形態に係る第4取付具324での腰パネルの側構体13への取付構造を簡易的に表した部分断面概略図である。
図12に示すように、第4取付具324は、土台部材324A、および板バネ部材324Bを有する。
【0104】
土台部材324Aの腰パネ横方向に直交する断面はL字形状であり、土台部材324Aは、上端部32Uから連続して腰パネ縦方向上側に延設されている縦板部分324A1と、縦板部分の上端部から腰パネ直交方向の裏側に略直角に屈曲した横板部分324A2と、を有する。横板部分324A2の腰パネ直交方向の長さは、固定片43Aの厚さと腰パネル用スペーサー502の厚さとを合わせた長さよりも長い。
【0105】
横板部分324A2の縦板部分324A1との屈曲部分から固定片43Aの厚さと腰パネル用スペーサー502の厚さとを合わせた長さを越えた箇所に、板バネ部材324Bが設けられている。板バネ部材324Bは、押さえ板バネ324B1と、押さえ板バネ324B1を横板部分324A2に締結するためのビス324B2と、を有する。押さえ板バネ324B1は、縦板部分324A1に平行な状態且つ腰パネ直交方向において固定片43Aの厚さと腰パネル用スペーサー502の厚さとを合わせた長さと略同一の距離をおいて対向した状態でビス324B2によって横板部分324A2に締結されている。押さえ板バネ324B1は、腰パネ直交方向で縦板部分324A1側に向かって圧力をかけることが可能である。また、土台部材324Aと板バネ部材324Bとで区画された空間部K2は、腰パネ横方向の両側、および下側で開放している。さらには、空間部K2の腰パネ直交方向長さは、固定片43Aの厚さと腰パネル用スペーサー502の厚さとを合わせた長さと略同一である。そして、空間部K2に固定片43A、および腰パネル用スペーサー502を挿入させることによって、第4取付具324が第3受具43に取り付けられる。よって、腰パネル32’’は、上端部32Uで車体長手方向に摺動可能な状態、且つ、車体幅方向に拘束した状態で取り付けられていることになる。
【0106】
なお、
図12に図示された第3実施形態の変形例に係る内装パネル30の側構体13への取付方法も、第1実施形態に係る腰パネル取付工程S1、窓キセ位置出し工程S2、腰パネル位置調整工程S3、および窓キセ・腰パネル締結工程S4を含む。ただし、腰パネル取付工程S1では、車体高さ方向の上側から第1取付具321を第1受具41に差し込むと共に、車体高さ方向の上側から第4取付具324の縦板部分324A1、および押さえ板バネ324B1を固定片43Aの腰パネル用スペーサー502が接合されている部分に被せ込む。
【0107】
以上のように、第2、3実施形態に係る車両1によれば、第3受具43には、車体幅方向に略垂直な板状の固定片43Aが設けられ、腰パネル32の上端部32Uには第3取付具323、第4取付具324が設けられ、第3取付具323、第4取付具324は、下側、および車体長手方向の両側が開放した空間部K1、K2を有し、固定片43Aが空間部K1、K2に挿入している。このことにより、腰パネル32を側構体13に車体幅方向に拘束されている状態、且つ車体長手方向に摺動可能な状態で取り付けるために第3受具43を利用することができるので、部品点数を抑えてコスト削減を図ることができる。
【0108】
なお、図示はされていないが、第2実施形態、および第3実施形態に係る側構体13には、第1実施形態に係る第2受具42は設けられていない。また、第1取付具321、および第3取付具323、第4取付具324と、第1受具41、および第3受具43と、の位置、および寸法の関係としては、第1取付具321の第1差込片321Aの先端が第1受具41の板バネ部材41Bの先端に配置されたときに、第3取付具323の裏板部323Cの先端、第4取付具324の押さえ板バネ324B1の先端が、第3受具43の固定片43Aの上端より上側に配置されていること、且つ、第1取付具321の第1差込片321Aの先端が第1受具41の板バネ部材41Bの根元(差し込める限界位置)に配置されたときに、第3受具43の固定片43Aが第3取付具323の空間部K1、第4取付具324の空間部K2に挿入していることが必要である。
【0109】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0110】
1…車両
10…構体
13…側構体
30…内装パネル
31…窓キセ
31U…上枠、31D…下枠、31L…左枠、31R…右枠
32…腰パネル
32U…上端部、32D…下端部、32L…左端部、32R…右端部
321…第1取付部、322…第2取付部、323…第3取付部、324…第4取付部
41…第1受具、42…第2受具、43…第3受具
52…ボルト
130…側外板、131…横骨部材、132…縦柱、135…床敷物受
K1、K2…空間部
【要約】
【課題】美感性の低下を防ぎつつ、内装パネルの側構体への取り付けを容易にする鉄道車両、および鉄道車両の製造方法を提供すること。
【解決手段】腰パネル32の上端部32Uの車体幅方向車外側には、側構体13に設けられた第3受具43が配置され、窓キセ31の下枠31Dは、腰パネル32の上端部32Uを車体幅方向車内側から覆い、窓キセ31の下枠31D、腰パネル32の上端部32U、および第3受具43には、ボルト52が車体幅方向車内側から挿入し、ボルト52によって、窓キセ31、および腰パネル32の側構体13に一体的に締結され、窓キセ31は、下枠31D以外の所定箇所で側構体13に直接的、または間接的に固定され、腰パネル32は、上端部32U以外で側構体13に直接的、または間接的に固定されていない。
【選択図】
図8