(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】折り曲げ鉄筋交点算出システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20241007BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20241007BHJP
E04C 5/02 20060101ALN20241007BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
E04C5/02 ESW
(21)【出願番号】P 2024085134
(22)【出願日】2024-05-24
【審査請求日】2024-05-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】木村 士温
(72)【発明者】
【氏名】秦 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】堀越 直樹
(72)【発明者】
【氏名】正司 明夫
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-127709(JP,A)
【文献】特開2004-013332(JP,A)
【文献】特開2018-032255(JP,A)
【文献】特開2022-015063(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114547918(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
E04C 5/02
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した湾曲部と前記湾曲部の両端に連続する直線状の直線部とからなる鉄筋の中心軸を含むコンクリートの断面の頂点座標の情報を示す断面情報を取得する断面取得手段と、
前記断面取得手段により取得された断面情報に基づいて、前記鉄筋の2つの前記直線部の中心軸を示す中心軸情報を算出する中心軸算出手段と、
前記中心軸
算出手段により取得された中心軸情報に基づいて、2つの前記中心軸の交点を示す交点情報を算出する交点算出手段とを備えること
を特徴とする折り曲げ鉄筋交点算出システム。
【請求項2】
前記断面取得手段は、前記鉄筋と前記コンクリートの表面とのかぶり距離に関するかぶり情報をさらに取得し、
前記中心軸算出手段は、前記断面取得手段により取得された断面情報とかぶり情報とに基づいて、前記中心軸情報を算出すること
を特徴とする請求項1に記載の折り曲げ鉄筋交点算出システム。
【請求項3】
前記断面取得手段は、前記鉄筋の湾曲部の曲げ半径と曲げ角度との情報をさらに取得し、
前記交点算出手段により算出された交点情報と前記断面取得手段により取得された前記鉄筋の湾曲部の曲げ半径と曲げ角度との情報に基づいて、前記鉄筋の湾曲部と直線部との間の変曲点を示す変曲点情報を算出する変曲点算出手段をさらに備えること
を特徴とする請求項1に記載の折り曲げ鉄筋交点算出システム。
【請求項4】
湾曲した湾曲部と前記湾曲部の両端に連続する直線状の直線部とからなる鉄筋の中心軸を含むコンクリートの断面の頂点座標の情報を示す断面情報を取得する断面取得ステップと、
前記断面取得ステップにより取得された断面情報に基づいて、前記鉄筋の2つの直線部の中心軸を示す中心軸情報を算出する中心軸算出ステップと、
前記中心軸
算出ステップにより取得された中心軸情報に基づいて、2つの前記中心軸の交点を示す交点情報を算出する交点算出ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする折り曲げ鉄筋交点算出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り曲げ鉄筋交点算出システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンクリートの斜め引張応力に対する抵抗力を向上させるために、コンクリート内部に鉄筋の一部を湾曲させた湾曲部と湾曲部の両端に連続する直線状の直線部とからなる折り曲げ鉄筋が設けられる。この折り曲げ鉄筋を含むコンクリートを3次元仮想空間上に設計するときに、例えば折り曲げ鉄筋の湾曲部と直線部との変曲点を設定するために、折り曲げ鉄筋の2つの直線部の中心軸の交点の位置を求めることが必要とされている。この折り曲げ鉄筋の中心軸の交点を求める技術として、例えば特許文献1のような曲げ内半径低減方法及び鉄筋コンクリート構造物が開示されている。
【0003】
特許文献1の開示技術によれば、軸方向鉄筋の直角フックにおける曲げ内側に曲げ内半径低減部材を取り付けることによって、支圧力を集中させることなく直角フックの曲げ内半径を小さくすることができ、鉄筋組立の作業性が向上し、コンクリート打設の施工性が向上し、鉄筋コンクリートの変形性能が向上する軸方向鉄筋の曲げ内半径低減部材、その曲げ内半径低減方法及び鉄筋コンクリート構造物が記載されており、他の鉄筋コンクリート構造物においては、さらに、軸方向鉄筋は柱梁接合部のコンクリートに埋め込まれ、軸方向鉄筋における柱の軸方向に延在する部分の仮想中心軸線と梁の軸方向に延在する部分の仮想中心軸線との交点である仮想交点から曲げ内半径低減部材の両端点までの距離が所定値以上である鉄筋コンクリート構造物について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、3次元仮想空間上の鉄筋の中心軸を自動的に求めることを想定していない。これにより、特許文献1の開示技術では、例えば折り曲げ鉄筋の交点を算出するために、鉄筋の中心軸の情報を入力する必要がある。このため、特許文献1の開示技術では、折り曲げ鉄筋の交点を自動的に算出することができないという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、折り曲げ鉄筋の交点を自動的に算出することができる折り曲げ鉄筋交点算出システム及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る折り曲げ鉄筋交点算出システムは、湾曲した湾曲部と前記湾曲部の両端に連続する直線状の直線部とからなる鉄筋の中心軸を含むコンクリートの断面の頂点座標の情報を示す断面情報を取得する断面取得手段と、前記断面取得手段により取得された断面情報に基づいて、前記鉄筋の2つの直線部の中心軸を示す中心軸情報を算出する中心軸算出手段と、前記中心軸算出手段により取得された中心軸情報に基づいて、2つの前記中心軸の交点を示す交点情報を算出する交点算出手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る折り曲げ鉄筋交点算出システムは、第1発明において、前記断面取得手段は、前記鉄筋と前記コンクリートの表面とのかぶり距離に関するかぶり情報をさらに取得し、前記中心軸算出手段は、前記断面取得手段により取得された断面情報とかぶり情報とに基づいて、前記中心軸情報を算出することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る折り曲げ鉄筋交点算出システムは、第1発明において、前記断面取得手段は、前記鉄筋の湾曲部の曲げ半径と曲げ角度との情報をさらに取得し、前記交点算出手段により算出された交点情報と前記断面取得手段により取得された前記鉄筋の湾曲部の曲げ半径と曲げ角度との情報に基づいて、前記鉄筋の湾曲部と直線部との間の変曲点を示す変曲点情報を算出する変曲点算出手段をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る折り曲げ鉄筋交点算出プログラムは、湾曲した湾曲部と前記湾曲部の両端に連続する直線状の直線部とからなる鉄筋の中心軸を含むコンクリートの断面の頂点座標の情報を示す断面情報を取得する断面取得ステップと、前記断面取得ステップにより取得された断面情報に基づいて、前記鉄筋の2つの直線部の中心軸を示す中心軸情報を算出する中心軸算出ステップと、前記中心軸算出ステップにより取得された中心軸情報に基づいて、2つの前記中心軸の交点を示す交点情報を算出する交点算出ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明~第4発明によれば、本発明の折り曲げ鉄筋交点算出システム及び折り曲げ鉄筋交点算出プログラムは、断面情報に基づいて、中心軸情報を算出し、算出した中心軸情報に基づいて、交点情報を算出する。これにより、断面の頂点座標の情報から交点情報を算出することが可能となるため、折り曲げ鉄筋の交点を自動的に算出することができる。
【0012】
第2発明によれば、本発明の折り曲げ鉄筋交点算出システムは、断面情報とかぶり情報とに基づいて、中心軸情報を算出する。これにより、鉄筋のかぶり距離を考慮し、より高精度に折り曲げ鉄筋の交点を自動的に算出することが可能となる。
【0013】
第3発明によれば、本発明の折り曲げ鉄筋交点算出システムは、交点情報と曲げ半径と曲げ角度とに基づいて、変曲点情報を算出する。これにより、交点情報から、折り曲げ鉄筋の変曲点を算出することが可能となるため、より精密に折り曲げ鉄筋を含んだコンクリートの設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本実施形態における3次元仮想空間上のコンクリートの断面の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出装置の構成の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出装置の機能の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出システムの動作のフローチャートの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態における3次元仮想空間上のコンクリートの一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における鉄筋の中心軸の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における鉄筋の変曲点の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出システムの一例について、図面を用いて説明する。
【0016】
図1は、折り曲げ鉄筋交点算出システム100の構成の一例を示す模式図である。折り曲げ鉄筋交点算出システム100は、例えば
図1に示すように、折り曲げ鉄筋交点算出装置1と、サーバ3と、ユーザ端末2とが公共通信網4を介して接続される。また、折り曲げ鉄筋交点算出システム100は、折り曲げ鉄筋交点算出装置1のみを備えていてもよい。また、折り曲げ鉄筋交点算出システム100は、図示しないカメラ等を備えていてもよい。
【0017】
サーバ3は、折り曲げ鉄筋交点算出装置1等から送信された各種データを記憶する記憶媒体である。また、サーバ3は、必要に応じて記憶した各種データを折り曲げ鉄筋交点算出装置1、及びユーザ端末2に送信する。サーバ3は、例えば折り曲げ鉄筋交点算出装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよく、例えば折り曲げ鉄筋交点算出装置1の代わりに少なくとも一部の処理を行ってもよい。
【0018】
公共通信網4は、例えば折り曲げ鉄筋交点算出装置1が通信回路を介して接続されるインターネット網等である。公共通信網4は、いわゆる光ファイバ通信網で構成されてもよい。また、公共通信網4は、有線通信網のほか、無線通信網等の公知の通信技術で実現してもよい。ユーザ端末2は、例えば折り曲げ鉄筋交点算出システム100を用いたサービスのユーザ等が保有し、公共通信網4を介して折り曲げ鉄筋交点算出装置1と接続される。ユーザ端末2は、例えばデータベースを生成する電子機器を示してもよい。ユーザ端末2は、例えばパーソナルコンピュータや、タブレット端末等の電子機器が用いられる。ユーザ端末2は、例えば折り曲げ鉄筋交点算出装置1の備える機能のうち、少なくとも一部の機能を備えてもよい。ユーザ端末2は、ユーザに算出結果を提示できる図示しないディスプレイ、又はスピーカを備えていてもよい。
【0019】
折り曲げ鉄筋交点算出装置1は、入力された各種情報に基づいて、それぞれ処理を行う。折り曲げ鉄筋交点算出装置1は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の電子機器が用いられるほか、例えばスマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、IoT(Internet of Things)デバイス等の電子機器、Raspberry Pi(登録商標)等のシングルボードコンピュータが用いられてもよい。
【0020】
折り曲げ鉄筋交点算出装置1は、
図2に示すように例えば3次元仮想空間上に設けられた湾曲した湾曲部23と湾曲部23の両端に連続する直線状の直線部22とからなる鉄筋20の中心軸21を含むコンクリート5の断面Dの頂点A、B、Cの座標の情報を示す断面情報に基づいて、鉄筋20の中心軸21を示す中心軸情報を算出し、算出した中心軸情報に基づいて、中心軸21の交点Eを示す交点情報を算出する。
【0021】
次に、
図3、4を参照して、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出装置1の一例を説明する。
図3は、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出装置1の構成の一例を示す模式図であり、
図4は、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出装置1の機能の一例を示す模式図である。
【0022】
折り曲げ鉄筋交点算出装置1は、例えば
図3に示すように、筐体10と、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、保存部104と、I/F105~107とを備える。CPU101と、ROM102と、RAM103と、保存部104と、I/F105~107とは、内部バス110により接続される。
【0023】
CPU101は、折り曲げ鉄筋交点算出装置1全体を制御する。ROM102は、CPU101の動作コードを格納する。RAM103は、CPU101の動作時に使用される作業領域である。保存部104は、各種情報が保存される。保存部104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)の他、SSD(Solid State Drive)やSDカード、miniSDカード等のデータ保存装置が用いられる。なお、例えば折り曲げ鉄筋交点算出装置1は、図示しないGPU(Graphics Processing Unit)を有してもよい。
【0024】
I/F105は、公共通信網4を介して各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。I/F106は、入力部108との情報の送受信を行うためのインターフェースである。入力部108として、例えばキーボードが用いられ、折り曲げ鉄筋交点算出装置1を利用するユーザ等は、入力部108を介して、各種情報又は折り曲げ鉄筋交点算出装置1の制御コマンド等を入力する。I/F107は、表示部109との各種情報の送受信を行うためのインターフェースである。表示部109は、保存部104に保存された各種情報、又は折り曲げ鉄筋交点算出装置1の処理状況等を出力する。表示部109として、ディスプレイが用いられ、例えばタッチパネル式でもよい。
【0025】
保存部104は、例えば公共通信網4を介して送信された、又は入力部108を介して入力された各種情報が記憶されるほか、各種処理に用いられるアルゴリズム、プログラム等が記憶される。
【0026】
表示部109は、各種情報を表示する。表示部109は、例えば算出結果、画像等を表示する。
【0027】
図4は、折り曲げ鉄筋交点算出装置1の機能の一例を示す模式図である。折り曲げ鉄筋交点算出装置1は、取得部11と、取得部11に接続された中心軸算出部12と、中心軸算出部12に接続された交点算出部13と、交点算出部13に接続された変曲点算出部14とを備える。なお、
図4に示した各機能は、CPU101が、RAM103を作業領域として、保存部104等に保存されたプログラムを実行することにより実現され、例えば人工知能により制御されてもよい。
【0028】
取得部11は、断面情報等の各種情報を取得する。取得部11は、例えば図示しないカメラが撮像した画像やサーバ3から送信された情報を、公共通信網4を介して取得し、取得した画像に基づいて各種情報を取得してもよい。また、取得部11は、入力部108を介して入力された断面情報等を取得してもよい。なお、取得部11が各種情報を取得する頻度、及び周期は、任意である。また、取得部11は、鉄筋20とコンクリート5の表面とのかぶり距離に関するかぶり情報を取得してもよい。
【0029】
中心軸算出部12は、取得部11により取得された断面情報に基づいて、鉄筋20の中心軸21を示す中心軸情報を算出する。
【0030】
交点算出部13は、中心軸算出部12により算出された中心軸情報に基づいて、中心軸21の交点Eを示す交点情報を算出する。
【0031】
変曲点算出部14は、交点算出部13により算出された交点情報に基づいて、鉄筋20の変曲点を示す変曲点情報を算出する。
【0032】
次に、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出システム100の動作の一例について説明する。
図5は、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出システム100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0033】
まず、ステップS11において、取得部11は、各種情報を取得する。また、取得部11は、例えばサーバ3に記憶されている各種情報を、公共通信網4を介して取得してもよい。取得部11は、例えば断面情報を取得してもよい。断面情報は、例えば
図6に示すようなコンクリート5の断面Dを示す情報である。断面情報は、
図2に示すように、鉄筋20の中心軸21を含むコンクリート5の断面Dの情報を示す。断面情報は、例えば断面Dの大きさを示す情報であってもよい。断面情報は、例えば断面Dの頂点A、B、C等の座標を示す情報であってもよい。また、断面情報は、断面Dに含まれる鉄筋20の情報であってもよい。断面情報は、例えば鉄筋20の径、長さ、曲げ半径、曲げ角度等の情報が含まれていてもよい。取得部11は、例えば3次元仮想空間上のコンクリート5の形状や大きさ、座標等の情報から抽出した断面情報を取得してもよい。
【0034】
また、ステップS11において、取得部11は、かぶり距離に関するかぶり情報を取得してもよい。かぶり情報は、かぶり距離に関する情報である。かぶり情報は、例えばコンクリート5の表面から鉄筋20までのかぶり距離、又は方向等を示す情報であってもよい。取得部11は、例えば予め設定されたかぶり情報を取得してもよい。
【0035】
次に、ステップS12において、中心軸算出部12は、ステップS11により取得された断面情報に含まれる断面Dの頂点座標A、B、Cに基づいて、鉄筋20の2つの直線部22の中心軸21を示す中心軸情報を算出する。中心軸情報は、鉄筋20の直線部22の中心軸21の座標、方向、ベクトル等の情報である。ステップS12において、中心軸算出部12は、鉄筋20の直線部22の2以上の中心軸21a、21bを示す中心軸情報を算出する。中心軸算出部12は、例えば頂点Aから所定の距離分だけ離れた箇所に点aを設定し、点aを通る頂点Aから頂点Bへの方向に延びる直線を中心軸21aとして算出してもよい。また、中心軸算出部12は、例えば頂点Cから所定の距離分だけ離れた箇所に点bを設定し、点bを通る頂点Cから頂点Bへの方向に延びる直線を中心軸21bとして算出してもよい。また、中心軸算出部12は、ロドリゲスの回転公式等を用いて、点aを90°回転させた箇所の点を点bとしてもよい。
【0036】
また、ステップS12において、中心軸算出部12は、ステップS11により取得された断面情報に含まれる断面Dの頂点座標A、B、Cと、かぶり情報とに基づいて、中心軸情報を算出してもよい。ステップS12において、中心軸算出部12は、鉄筋20の直線状の2以上の中心軸21a、21bを示す中心軸情報を算出する。中心軸算出部12は、例えば頂点Bから頂点Cへの方向に頂点Aからかぶり距離分だけ離れた箇所に点aを設定し、点aを通る頂点Aから頂点Bへの方向に延びる直線を中心軸21aとして算出してもよい。また、中心軸算出部12は、例えば頂点Bから頂点Aの方向に頂点Cからかぶり距離分だけ離れた箇所に点bを設定し、点bを通る頂点Cから頂点Bへの方向に延びる直線を中心軸21bとして算出してもよい。
【0037】
次に、ステップS13において、交点算出部13は、ステップS12により算出された中心軸情報に基づいて、中心軸21の交点Eを示す交点情報を算出する。交点情報は、2以上の直線部22の中心軸21a、21bの交点Eの座標等を示す情報である。交点算出部13は、例えばステップS12により中心軸算出部12により算出された中心軸21a、21bの延長上にある交点Eを算出してもよい。
【0038】
また、ステップS13において、
図7に示すように、交点算出部13は、例えばステップS12により算出された中心軸21a、21bのそれぞれの直線上にある点P、Qを算出し、(1)式を用いて交点Eを算出してもよい。また、かかる場合、PQベクトルの長さが0とならないように、ベクトル長を持つ垂線ベクトルを点P、Qの何れかに加えてもよい。これにより、計算処理過程にて、分母が0となることがなくなるため、処理を簡易的にすることが可能となる。
【数1】
【0039】
次に、ステップS14において、変曲点算出部14は、
図8に示すように、ステップS13において算出された交点情報と断面情報に含まれる鉄筋20の湾曲部23の曲げ半径Rと曲げ角度θとに基づいて、鉄筋20の直線部22と湾曲部23との間にある変曲点X
1、X
2を示す変曲点情報を算出する。曲げ角度θは、例えば二つの中心軸21a、21bの角度であってもよい。変曲点情報は、鉄筋20の直線部22と湾曲部23との境界を示す座標であり、鉄筋20の曲げの変曲点X
1、X
2の座標等を示す情報である。変曲点算出部14は、例えば(2)式を用いて、交点Eから変曲点Xまでの距離bを算出する。
【数2】
【0040】
また、変曲点算出部14は、例えば(3)式を用いて、変曲点X
1、X
2を算出する。
かかる場合、Xは、交点Eの座標を示す。
【数3】
【0041】
これにより、本実施形態における折り曲げ鉄筋交点算出システム100の動作が終了する。これにより、折り曲げ鉄筋交点算出システム100は、断面情報に基づいて、中心軸情報を算出し、算出した中心軸情報に基づいて、交点情報を算出する。これにより、断面Dの頂点A、B、Cの座標の情報から交点情報を算出することが可能となるため、鉄筋20の交点Eを自動的に算出することができる。
【0042】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1 :折り曲げ鉄筋交点算出装置
2 :ユーザ端末
3 :サーバ
4 :公共通信網
5 :コンクリート
10 :筐体
11 :取得部
12 :中心軸算出部
13 :交点算出部
14 :変曲点算出部
20 :鉄筋
21 :中心軸
22 :直線部
23 :湾曲部
100 :折り曲げ鉄筋交点算出システム
101 :CPU
102 :ROM
103 :RAM
104 :保存部
105 :I/F
106 :I/F
107 :I/F
108 :入力部
109 :表示部
110 :内部バス
【要約】
【課題】折り曲げ鉄筋の交点を自動的に算出することができる折り曲げ鉄筋交点算出システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】折り曲げ鉄筋交点算出システムは、湾曲した湾曲部と前記湾曲部の両端に連続する直線状の直線部とからなる鉄筋の中心軸を含むコンクリートの断面の頂点座標の情報を示す断面情報を取得する断面取得手段と、前記断面取得手段により取得された断面情報に基づいて、前記鉄筋の2つの直線部の中心軸を示す中心軸情報を算出する中心軸算出手段と、前記中心軸取得手段により取得された中心軸情報に基づいて、2つの前記中心軸の交点を示す交点情報を算出する交点算出手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図2