(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】半導体装置および実装基板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20241007BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20241007BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241007BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20241007BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
H01L21/92 602G
H01L21/92 602J
H01L29/78 652M
H01L29/78 652Q
H01L29/78 653C
H01L29/78 656A
H01L29/78 658J
H05K3/46 Q
H05K1/02 J
(21)【出願番号】P 2024108085
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2024513164の分割
【原出願日】2023-09-11
【審査請求日】2024-07-04
(32)【優先日】2022-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 光章
(72)【発明者】
【氏名】浜崎 正生
(72)【発明者】
【氏名】網師本 亮一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 弘
(72)【発明者】
【氏名】油井 隆
【審査官】相澤 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-097999(JP,A)
【文献】特開2018-137393(JP,A)
【文献】特開2014-132636(JP,A)
【文献】特開2020-053593(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002368(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/115561(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/116481(WO,A1)
【文献】特開2019-169579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 29/78
H01L 21/336
H05K 3/46
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
半導体層と、
前記半導体層内に形成された縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、
前記縦型MOSトランジスタの上面を被覆する保護膜であって、前記縦型MOSトランジスタのソース電極を前記保護膜の外部に露出させる第1の開口部と、前記縦型MOSトランジスタのゲート電極を前記保護膜の外部に露出させる第2の開口部と、を有する前記保護膜と、
銅を主成分とし、前記第1の開口部における前記ソース電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ソース電極に接続された第1の配線電極と、
銅を主成分とし、前記第2の開口部における前記ゲート電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ゲート電極に接続された第2の配線電極と、を備え、
前記半導体層の平面視において、前記半導体装置は矩形であり、
前記第1の開口部は、外周の全長が前記保護膜で閉じており、
前記第2の開口部は、外周の全長が前記保護膜で閉じており、
前記第1の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ソース電極と前記保護膜と前記第1の配線電極とがこの順で積層された第1の外周構造が形成され、
前記第1の外周構造の最上層は、前記第1の配線電極であり、
前記第2の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ゲート電極と前記保護膜と前記第2の配線電極とがこの順で積層された第2の外周構造が形成され、
前記第2の外周構造の最上層は、前記第2の配線電極であり、
前記第1の配線電極の上面である第1の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、
前記第2の配線電極の上面である第2の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、
前記第1の外周構造は、前記第1の配線電極露出部のうちの、前記第1の外周構造に含まれない部分の上面よりも上方に突出し、
前記第2の外周構造は、前記第2の配線電極露出部のうちの、前記第2の外周構造に含まれない部分の上面よりも上方に突出し、
前記半導体装置の最上方位置は、前記第1の外周構造または/および前記第2の外周構造に存在し、
前記半導体層の平面視において、前記第1の配線電極露出部の面積は、前記第1の開口部の面積よりも大きく、
前記半導体層の平面視において、前記第2の配線電極露出部の面積は、前記第2の開口部の面積よりも大きく、
さらに、前記半導体層の下面に接触して形成された金属層を備え、
前記金属層の厚さは、前記第1の配線電極の最大の厚さよりも厚く、
前記第1の配線電極は、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記半導体層の断面視において、前記第1の配線電極の外側に向かって逆テーパ形状となる壁面を有し、
前記壁面は、前記保護膜と接触しない
半導体装置。
【請求項2】
前記保護膜は、前記半導体層の平面視における前記第1の開口部の周囲の部分に、前記断面視において、前記第1の開口部に向かってテーパ形状となるテーパ形状領域を有し、
前記半導体層の平面視において、前記壁面は、前記テーパ形状領域の内部に位置する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
チップサイズパッケージ型の半導体装置であって、
半導体層と、
前記半導体層内に形成された縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、
前記縦型MOSトランジスタの上面を被覆する保護膜であって、前記縦型MOSトランジスタのソース電極を前記保護膜の外部に露出させる第1の開口部と、前記縦型MOSトランジスタのゲート電極を前記保護膜の外部に露出させる第2の開口部と、を有する前記保護膜と、
銅を主成分とし、前記第1の開口部における前記ソース電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ソース電極に接続された第1の配線電極と、
銅を主成分とし、前記第2の開口部における前記ゲート電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ゲート電極に接続された第2の配線電極と、を備え、
前記半導体層の平面視において、前記半導体装置は矩形であり、
前記第1の開口部は、外周の全長が前記保護膜で閉じており、
前記第2の開口部は、外周の全長が前記保護膜で閉じており、
前記保護膜は、第1の保護膜層と、前記第1の保護膜層よりも上方に位置する第2の保護膜層とを含む複数の保護膜層からなる多層構造であり、
前記第1の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ソース電極と前記第1の保護膜層と前記第1の配線電極と前記第2の保護膜層とがこの順で積層された第1の外周構造が形成され、
前記第1の外周構造の最上層は、前記第2の保護膜層であり、
前記第2の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ゲート電極と前記第1の保護膜層と前記第2の配線電極と前記第2の保護膜層とがこの順で積層された第2の外周構造が形成され、
前記第2の外周構造の最上層は、前記第2の保護膜層であり、
前記第1の配線電極の上面のうちの、前記第1の外周構造に含まれない部分である第1の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、
前記第2の配線電極の上面のうちの、前記第2の外周構造に含まれない部分である第2の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、
前記第1の外周構造は、前記第1の配線電極露出部の上面よりも上方に突出し、
前記第2の外周構造は、前記第2の配線電極露出部の上面よりも上方に突出し、
前記半導体装置の最上方位置は、前記第1の外周構造または/および前記第2の外周構造に存在し、
前記第1の外周構造における前記第1の配線電極の厚さを第1の厚さとし、前記第1の外周構造における前記第2の保護膜層の厚さを第2の厚さとすると、前記第2の厚さは前記第1の厚さ以下であり、
前記第1の配線電極は、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記半導体層の断面視において、前記第1の配線電極の外側に向かって逆テーパ形状となる壁面を有する
半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層の平面視において、前記壁面は、前記第1の配線電極の外周に沿って当該外周の全長に形成されている
請求項1または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体装置の平面視において、前記半導体装置は、長手方向を有する長方形であり、
前記半導体層の平面視において、前記壁面は、前記第1の配線電極の外周のうちの、前記長手方向と直交する位置を少なくとも含む部分に形成されている
請求項1または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の開口部は複数であり、
前記第1の配線電極は、前記複数の第1の開口部と1対1で対応する、前記複数の第1の開口部と同数の複数である
請求項1または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体層の平面視において、前記複数の第1の配線電極のそれぞれにおける前記第1の配線電極露出部の面積は、前記複数の第1の開口部のうちの、当該第1の配線電極に1対1で対応する第1の開口部の面積よりも大きい
請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積をM1とし、前記半導体層の平面視における前記第1の開口部の面積をS1とする場合において、
S1/M1により示される、前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積に対する前記半導体層の平面視における前記第1の開口部の面積の占有率である第1の占有率は、0.5以上1.0未満である
請求項1または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の開口部は複数であり、
前記第1の配線電極は、前記複数の第1の開口部と1対1で対応する、前記複数の第1の開口部と同数の複数であり、
前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積をM1とし、前記半導体層の平面視における前記複数の第1の開口部の合計面積をS1とする場合において、
S1/M1により示される、前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積に対する、前記半導体層の平面視における前記複数の第1の開口部の合計面積の占有率である第1の占有率は、0.5以上1.0未満である
請求項1または請求項3に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の占有率は、0.9以上1.0未満であり、
前記半導体層の平面視における前記第1の配線電極露出部の面積をP1とする場合において、
P1/M1により示される、前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積に対する前記半導体層の平面視における前記第1の配線電極露出部の面積の占有率である第2の占有率は、0.9以上1.1以下である
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の占有率は、0.9以上1.0未満であり、
前記半導体層の平面視における、前記複数の第1の配線電極のそれぞれにおける前記第1の配線電極露出部の合計面積をP1とする場合において、
P1/M1により示される、前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積に対する、前記半導体層の平面視における、前記複数の第1の配線電極のそれぞれにおける前記第1の配線電極露出部の合計面積の占有率である第2の占有率は、0.5以上1.0以下である
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
第1の配線層と、層間絶縁層と、第2の配線層とがこの順で積層された実装基板であって、
前記層間絶縁層内にフェイスアップで実装された、請求項1または請求項3に記載の半導体装置と、
前記第2の配線層に形成された第1の配線と、
前記第1の配線と前記第1の配線電極の上面とを接続する、前記実装基板に直交する方向に延伸する1以上の第1の接続配線であって、前記第1の配線電極の上面とは、前記第1の配線電極の上面のうち、前記半導体層の平面視において、前記第1の外周構造に重ならない部分において接続する前記1以上の第1の接続配線と、を備える
実装基板。
【請求項13】
さらに、
前記第2の配線層に形成された第2の配線と、
前記第2の配線と前記第2の配線電極の上面とを接続する、前記実装基板に直交する方向に延伸する第2の接続配線であって、前記第2の配線電極の上面とは、前記第2の配線電極の上面のうち、前記半導体層の平面視において、前記第2の外周構造に重ならない部分において接続する第2の接続配線と、を備え、
前記1以上の第1の接続配線のそれぞれの、前記1以上の第1の接続配線のそれぞれが延伸する方向に直交する断面、および、前記第2の接続配線の、前記第2の接続配線が延伸する方向に直交する断面は円形であり、
前記1以上の第1の接続配線のうちの少なくとも1つの断面は、前記第2の接続配線の断面よりも大きい
請求項12に記載の実装基板。
【請求項14】
前記1以上の第1の接続配線は、複数である
請求項12に記載の実装基板。
【請求項15】
前記第1の配線電極の上面のうちの最も低い位置を基準とする、前記半導体装置の最上方位置までの高さは、前記実装基板に直交する方向における前記1以上の第1の接続配線の長さの15%以上である
請求項12に記載の実装基板。
【請求項16】
前記第1の配線電極は、複数であり、
前記1以上の第1の接続配線は、前記複数の第1の配線電極のそれぞれと1対1で対応する複数であり、
前記複数の第1の接続配線のそれぞれは、当該第1の接続配線に1対1で対応する、前記複数の第1の配線電極のうちの1の第1の配線電極により、前記第1の配線に接続され、
前記複数の第1の接続配線のそれぞれの、前記複数の第1の接続配線のそれぞれが延伸する方向に直交する断面は、互いに等しい
請求項12に記載の実装基板。
【請求項17】
前記実装基板の平面視において、
前記実装基板は、長手方向を有する形状であり、
前記半導体装置は、長手方向を有する形状であり、
前記実装基板の前記長手方向と、前記半導体装置の前記長手方向とは、互いに直交する
請求項12に記載の実装基板。
【請求項18】
さらに、前記層間絶縁層よりも上方に配置された電子部品を備え、
前記実装基板の平面視において、
前記電子部品は、長手方向を有する形状であり、
前記半導体装置は、長手方向を有する形状であり、
前記電子部品は、少なくとも一部が前記半導体装置と重なり、
前記電子部品の前記長手方向と、前記半導体装置の前記長手方向とは、互いに直交する
請求項12に記載の実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、および、半導体装置を実装する実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体装置を実装する実装基板の省スペース化を実現するために、半導体装置を実装基板内部に埋め込んで実装する実装方法が提案されている。
【0005】
そこで、本開示は、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る半導体装置は、チップサイズパッケージ型の半導体装置であって、半導体層と、前記半導体層内に形成された縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、前記縦型MOSトランジスタの上面を被覆する保護膜であって、前記縦型MOSトランジスタのソース電極を前記保護膜の外部に露出させる第1の開口部と、前記縦型MOSトランジスタのゲート電極を前記保護膜の外部に露出させる第2の開口部と、を有する前記保護膜と、銅を主成分とし、前記第1の開口部における前記ソース電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ソース電極に接続された第1の配線電極と、銅を主成分とし、前記第2の開口部における前記ゲート電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ゲート電極に接続された第2の配線電極と、を備え、前記半導体層の平面視において、前記半導体装置は矩形であり、前記第1の開口部は、外周の全長が前記保護膜で閉じており、前記第2の開口部は、外周の全長が前記保護膜で閉じており、前記第1の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ソース電極と前記保護膜と前記第1の配線電極とがこの順で積層された第1の外周構造が形成され、前記第1の外周構造の最上層は、前記第1の配線電極であり、前記第2の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ゲート電極と前記保護膜と前記第2の配線電極とがこの順で積層された第2の外周構造が形成され、前記第2の外周構造の最上層は、前記第2の配線電極であり、前記第1の配線電極の上面である第1の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、前記第2の配線電極の上面である第2の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、前記第1の外周構造は、前記第1の配線電極露出部のうちの、前記第1の外周構造に含まれない部分の上面よりも上方に突出し、前記第2の外周構造は、前記第2の配線電極露出部のうちの、前記第2の外周構造に含まれない部分の上面よりも上方に突出し、前記半導体装置の最上方位置は、前記第1の外周構造または/および前記第2の外周構造に存在し、前記半導体層の平面視において、前記第1の配線電極露出部の面積は、前記第1の開口部の面積よりも大きく、前記半導体層の平面視において、前記第2の配線電極露出部の面積は、前記第2の開口部の面積よりも大きく、さらに、前記半導体層の下面に接触して形成された金属層を備え、前記金属層の厚さは、前記第1の配線電極の最大の厚さよりも厚く、前記第1の配線電極は、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記半導体層の断面視において、前記第1の配線電極の外側に向かって逆テーパ形状となる壁面を有し、前記壁面は、前記保護膜と接触しない。
【0007】
本開示の一態様に係る半導体装置は、チップサイズパッケージ型の半導体装置であって、半導体層と、前記半導体層内に形成された縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、前記縦型MOSトランジスタの上面を被覆する保護膜であって、前記縦型MOSトランジスタのソース電極を前記保護膜の外部に露出させる第1の開口部と、前記縦型MOSトランジスタのゲート電極を前記保護膜の外部に露出させる第2の開口部と、を有する前記保護膜と、銅を主成分とし、前記第1の開口部における前記ソース電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ソース電極に接続された第1の配線電極と、銅を主成分とし、前記第2の開口部における前記ゲート電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ゲート電極に接続された第2の配線電極と、を備え、前記半導体層の平面視において、前記半導体装置は矩形であり、前記第1の開口部は、外周の全長が前記保護膜で閉じており、前記第2の開口部は、外周の全長が前記保護膜で閉じており、前記保護膜は、第1の保護膜層と、前記第1の保護膜層よりも上方に位置する第2の保護膜層とを含む複数の保護膜層からなる多層構造であり、前記第1の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ソース電極と前記第1の保護膜層と前記第1の配線電極と前記第2の保護膜層とがこの順で積層された第1の外周構造が形成され、前記第1の外周構造の最上層は、前記第2の保護膜層であり、前記第2の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ゲート電極と前記第1の保護膜層と前記第2の配線電極と前記第2の保護膜層とがこの順で積層された第2の外周構造が形成され、前記第2の外周構造の最上層は、前記第2の保護膜層であり、前記第1の配線電極の上面のうちの、前記第1の外周構造に含まれない部分である第1の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、前記第2の配線電極の上面のうちの、前記第2の外周構造に含まれない部分である第2の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、前記第1の外周構造は、前記第1の配線電極露出部の上面よりも上方に突出し、前記第2の外周構造は、前記第2の配線電極露出部の上面よりも上方に突出し、前記半導体装置の最上方位置は、前記第1の外周構造または/および前記第2の外周構造に存在し、前記第1の外周構造における前記第1の配線電極の厚さを第1の厚さとし、前記第1の外周構造における前記第2の保護膜層の厚さを第2の厚さとすると、前記第2の厚さは前記第1の厚さ以下であり、前記第1の配線電極は、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記半導体層の断面視において、前記第1の配線電極の外側に向かって逆テーパ形状となる壁面を有する。
【0008】
本開示の一態様に係る実装基板は、第1の配線層と、層間絶縁層と、第2の配線層とがこの順で積層された実装基板であって、前記層間絶縁層内にフェイスアップで実装された上記半導体装置と、前記第2の配線層に形成された第1の配線と、前記第1の配線と前記第1の配線電極の上面とを接続する、前記実装基板に直交する方向に延伸する1以上の第1の接続配線であって、前記第1の配線電極の上面とは、前記第1の配線電極の上面のうち、前記半導体層の平面視において、前記第1の外周構造に重ならない部分において接続する前記1以上の第1の接続配線と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る半導体装置等によると、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る半導体装置の上面の一部を、斜め上方から撮像した撮像画像である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る第1の外周構造の構造を示す拡大断面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る半導体装置の耐性と、実施の形態1に係る半導体装置の形状およびSi厚との関係を示す模式図である。
【
図7】
図7は、熱処理工程により、実施の形態1に係る半導体装置が変形する様子の一例を模式的に示す、実施の形態1に係る半導体装置および第1の外周構造の断面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施の形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、実施の形態1に係る半導体装置の構造の一例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、実施の形態2に係る半導体装置の構造の一例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、実施の形態2に係る半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
【
図15】
図15は、実施の形態2に係る第1の外周構造の構造を示す拡大断面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態3に係る実装基板の構造の一例を示す平面図である。
【
図17】
図17は、実施の形態3に係る実装基板の構造の一例を示す断面図である。
【
図18】
図18は、実施の形態3に係る実装基板の構造の一例を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
発明者らは、縦型MOSトランジスタを備える半導体装置の開発を行っている。
【0012】
一方で、近年、半導体装置を実装する実装基板の省スペース化が要望されている。
【0013】
この要望に対して、発明者らは、半導体装置を実装基板内部に埋め込んで実装することができれば、実装基板の省スペース化を実現できるのではないかと考えた。
【0014】
そこで、発明者らは、この考えに基づいて、実装基板内に樹脂封止されてフェイスアップで実装される、縦型MOSトランジスタを備える半導体装置の開発を行うこととした。
【0015】
発明者らは、この開発を通じて、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置が存在することに気が付いた。
【0016】
すなわち、発明者らは、半導体装置の上面に、半導体装置を封入する樹脂に食い込む突起を設けることで、この突起が樹脂内における半導体装置の位置を固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれの抑制、および、実装基板内部における半導体装置の位置の安定化を実現できるという知見を得た。
【0017】
さらに、発明者らは、半導体装置の上面に突起が存在する場合、半導体装置を封入した後に固形化した樹脂の上面にも、半導体装置の上面の突起を反映した突起が形成されることを見出した。そして、発明者らは、この樹脂の上面に形成された突起を、実装基板を加工する際のガイドラインとして利用することで、この突起が存在しない場合に比べて、実装基板をより精度よく加工することが可能になるという知見を得た。
【0018】
そこで、発明者らは、これら知見に基づいて、さらに、実験、検討を重ねた。その結果、発明者らは、下記本開示に係る半導体装置等に想到した。
【0019】
本開示の一態様に係る半導体装置は、フェイスアップ実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、半導体層と、前記半導体層内に形成された縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、前記縦型MOSトランジスタの上面を被覆する保護膜であって、前記縦型MOSトランジスタのソース電極を前記保護膜の外部に露出させる第1の開口部と、前記縦型MOSトランジスタのゲート電極を前記保護膜の外部に露出させる第2の開口部と、を有する前記保護膜と、銅を主成分とし、前記第1の開口部における前記ソース電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ソース電極に接続された第1の配線電極と、銅を主成分とし、前記第2の開口部における前記ゲート電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ゲート電極に接続された第2の配線電極と、を備え、前記半導体層の平面視において、前記半導体装置は矩形であり、前記第1の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ソース電極と前記保護膜と前記第1の配線電極とがこの順で積層された第1の外周構造が形成され、前記第1の外周構造の最上層は、前記第1の配線電極であり、前記第2の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ゲート電極と前記保護膜と前記第2の配線電極とがこの順で積層された第2の外周構造が形成され、前記第2の外周構造の最上層は、前記第2の配線電極であり、前記第1の配線電極の上面である第1の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、前記第2の配線電極の上面である第2の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、前記第1の外周構造は、前記第1の配線電極露出部のうちの、前記第1の外周構造に含まれない部分の上面よりも上方に突出し、前記第2の外周構造は、前記第2の配線電極露出部のうちの、前記第2の外周構造に含まれない部分の上面よりも上方に突出し、前記半導体装置の最上方位置は、前記第1の外周構造または/および前記第2の外周構造に存在し、前記半導体層の平面視において、前記第1の配線電極露出部の面積は、前記第1の開口部の面積よりも大きく、前記半導体層の平面視において、前記第2の配線電極露出部の面積は、前記第2の開口部の面積よりも大きく、前記半導体層の平面視における前記半導体層の面積をS[mm2]とし、前記半導体層の下面から前記保護膜の上面までの厚さをh[mm]とすると、h/S≧0.025の関係が成立する。
【0020】
上記構成の半導体装置によると、この半導体装置を実装基板内に樹脂封止されてフェイスアップで実装する場合、半導体装置の上面において、第1の外周構造および第2の外周構造が、樹脂に食い込む。
【0021】
このため、樹脂に食い込む第1の外周構造および第2の外周構造が、樹脂内における半導体装置の位置を固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれの抑制、および、実装基板内部における半導体装置の位置の安定化が実現される。
【0022】
また、半導体装置を封入した後に固形化した樹脂の上面に、第1の外周構造および第2の外周構造を反映した突起が形成される。
【0023】
このため、樹脂に対して、樹脂の上面から第1の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行う場合に、樹脂の上面に形成される、第1の外周構造に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、樹脂の上面から第1の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0024】
さらには、同様に、樹脂に対して、樹脂の上面から第2の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行う場合に、樹脂の上面に形成される、第2の外周構造に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、樹脂の上面から第2の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0025】
このように、上記構成の半導体装置によると、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置が提供される。
【0026】
また、さらに、前記半導体層の下面に接触して形成された金属層を備え、前記金属層の厚さは、前記第1の配線電極の最大の厚さよりも厚く、前記第1の配線電極は、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記半導体層の断面視において、前記第1の配線電極の外側に向かって逆テーパ形状となる壁面を有し、前記壁面は、前記保護膜と接触しないとしてもよい。
【0027】
また、前記保護膜は、前記半導体層の平面視における前記第1の開口部の周囲の部分に、前記断面視において、前記第1の開口部に向かってテーパ形状となるテーパ形状領域を有し、前記半導体層の平面視において、前記壁面は、前記テーパ形状領域の内部に位置するとしてもよい。
【0028】
本開示の一態様に係る半導体装置は、フェイスアップ実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、半導体層と、前記半導体層内に形成された縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタと、前記縦型MOSトランジスタの上面を被覆する保護膜であって、前記縦型MOSトランジスタのソース電極を前記保護膜の外部に露出させる第1の開口部と、前記縦型MOSトランジスタのゲート電極を前記保護膜の外部に露出させる第2の開口部と、を有する前記保護膜と、銅を主成分とし、前記第1の開口部における前記ソース電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ソース電極に接続された第1の配線電極と、銅を主成分とし、前記第2の開口部における前記ゲート電極の、前記保護膜の外部への露出部分を隙間なく被覆する、前記ゲート電極に接続された第2の配線電極と、を備え、前記半導体層の平面視において、前記半導体装置は矩形であり、前記保護膜は、第1の保護膜層と、前記第1の保護膜層よりも上方に位置する第2の保護膜層とを含む複数の保護膜層からなる多層構造であり、前記第1の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ソース電極と前記第1の保護膜層と前記第1の配線電極と前記第2の保護膜層とがこの順で積層された第1の外周構造が形成され、前記第1の外周構造の最上層は、前記第2の保護膜層であり、前記第2の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に、前記ゲート電極と前記第1の保護膜層と前記第2の配線電極と前記第2の保護膜層とがこの順で積層された第2の外周構造が形成され、前記第2の外周構造の最上層は、前記第2の保護膜層であり、前記第1の配線電極の上面のうちの、前記第1の外周構造に含まれない部分である第1の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、前記第2の配線電極の上面のうちの、前記第2の外周構造に含まれない部分である第2の配線電極露出部は、前記半導体装置の外部に露出し、前記第1の外周構造は、前記第1の配線電極露出部の上面よりも上方に突出し、前記第2の外周構造は、前記第2の配線電極露出部の上面よりも上方に突出し、前記半導体装置の最上方位置は、前記第1の外周構造または/および前記第2の外周構造に存在し、前記第1の外周構造における前記第1の配線電極の厚さを第1の厚さとして、前記第1の外周構造における前記第2の保護膜層の厚さを第2の厚さとすると、前記第2の厚さは、前記第1の厚さの半分より大きく、かつ、前記第1の厚さ以下であり、前記半導体層の平面視において、前記第1の配線電極露出部の面積は、前記第1の開口部の面積よりも大きく、前記半導体層の平面視において、前記第2の配線電極露出部の面積は、前記第2の開口部の面積よりも大きい。
【0029】
上記構成の半導体装置によると、この半導体装置を実装基板内に樹脂封止されてフェイスアップで実装する場合、半導体装置の上面において、第1の外周構造および第2の外周構造が、樹脂に食い込む。
【0030】
このため、樹脂に食い込む第1の外周構造および第2の外周構造が、樹脂内における半導体装置の位置を固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれの抑制、および、実装基板内部における半導体装置の位置の安定化が実現される。
【0031】
また、半導体装置を封入した後に固形化した樹脂の上面に、第1の外周構造および第2の外周構造を反映した突起が形成される。
【0032】
このため、樹脂に対して、樹脂の上面から第1の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行う場合に、樹脂の上面に形成される、第1の外周構造に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、樹脂の上面から第1の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0033】
さらには、同様に、樹脂に対して、樹脂の上面から第2の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行う場合に、樹脂の上面に形成される、第2の外周構造に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、樹脂の上面から第2の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0034】
このように、上記構成の半導体装置によると、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置が提供される。
【0035】
また、前記第2の保護膜層のうち、前記半導体層の平面視において前記第1の配線電極と重なる部分の最小の幅は、前記第2の保護膜層のうち、前記半導体層の平面視において前記第1の配線電極または前記第2の配線電極と重ならない部分の厚さよりも大きく、前記第2の保護膜層のうち、前記半導体層の平面視において前記第2の配線電極と重なる部分の最小の幅は、前記第2の保護膜層のうち、前記半導体層の平面視において前記第1の配線電極または前記第2の配線電極と重ならない部分の厚さよりも大きいとしてもよい。
【0036】
また、前記第1の配線電極露出部の上面を基準とする前記第1の外周構造の高さは、前記第1の開口部における前記第1の配線電極の厚さの50%以上であり、前記第2の配線電極露出部の上面を基準とする前記第2の外周構造の高さは、前記第2の開口部における前記第2の配線電極の厚さの50%以上であるとしてもよい。
【0037】
また、前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積をM1とし、前記半導体層の平面視における前記第1の開口部の面積をS1とする場合において、S1/M1により示される、前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積に対する前記半導体層の平面視における前記第1の開口部の面積の占有率である第1の占有率は、0.5以上1.0未満であるとしてもよい。
【0038】
また、前記第1の占有率は、0.9以上1.0未満であり、前記半導体層の平面視における前記第1の配線電極露出部の面積をP1とする場合において、P1/M1により示される、前記半導体層の平面視における前記ソース電極の面積に対する前記半導体層の平面視における前記第1の配線電極露出部の面積の占有率である第2の占有率は、0.9以上1.1以下であるとしてもよい。
【0039】
また、前記半導体層の平面視における前記第2の開口部の面積をS2とし、前記半導体層の平面視における前記第2の配線電極露出部の面積をP2とする場合において、P2/S2により示される、前記半導体層の平面視における前記第2の開口部の面積に対する、前記半導体層の平面視における前記第2の配線電極露出部の面積の占有率である第3の占有率は、1.27以上であるとしてもよい。
【0040】
また、前記半導体層の平面視において、前記第1の配線電極の形状と、前記第2の配線電極の形状とは、中央線を対称軸とする線対称であり、前記中央線は、前記半導体装置を面積において二等分するとしてもよい。
【0041】
本開示の一態様に係る実装基板は、第1の配線層と、層間絶縁層と、第2の配線層とがこの順で積層された実装基板であって、前記層間絶縁層内にフェイスアップで実装された、請求項1または請求項4に記載の半導体装置と、前記第2の配線層に形成された第1の配線と、前記第1の配線と前記第1の配線電極の上面とを接続する、前記実装基板に直交する方向に延伸する1以上の第1の接続配線であって、前記第1の配線電極の上面とは、前記第1の配線電極の上面のうち、前記半導体層の平面視において、前記第1の外周構造に重ならない部分において接続する前記1以上の第1の接続配線と、を備える。
【0042】
上記構成の実装基板によると、半導体装置の上面において、第1の外周構造および第2の外周構造が、層間絶縁層を形成する物質に食い込む。
【0043】
このため、層間絶縁層を形成する物質に食い込む第1の外周構造および第2の外周構造が、層間絶縁層内における半導体装置の位置を固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における層間絶縁層剥がれの抑制、および、実装基板内部における半導体装置の位置の安定化が実現される。
【0044】
また、層間絶縁層を形成する物質が例えば樹脂の場合、半導体装置を封入した後に固形化した樹脂の上面に、すなわち、層間絶縁層の上面に、第1の外周構造および第2の外周構造を反映した突起が形成される。
【0045】
このため、層間絶縁層に対して、層間絶縁層の上面から第1の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行う場合に、層間絶縁層の上面に形成される、第1の外周構造に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、層間絶縁層の上面から第1の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0046】
さらには、同様に、層間絶縁層に対して、層間絶縁層の上面から第2の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行う場合に、層間絶縁層の上面に形成される、第2の外周構造に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、層間絶縁層の上面から第2の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0047】
このように、上記構成の実装基板によると、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置を実装する実装基板が提供される。
【0048】
また、さらに、前記第2の配線層に形成された第2の配線と、前記第2の配線と前記第2の配線電極の上面とを接続する、前記実装基板に直交する方向に延伸する第2の接続配線であって、前記第2の配線電極の上面とは、前記第2の配線電極の上面のうち、前記半導体層の平面視において、前記第2の外周構造に重ならない部分において接続する第2の接続配線と、を備え、前記1以上の第1の接続配線のそれぞれの、前記1以上の第1の接続配線のそれぞれが延伸する方向に直交する断面、および、前記第2の接続配線の、前記第2の接続配線が延伸する方向に直交する断面は円形であり、前記1以上の第1の接続配線のうちの少なくとも1つの断面は、前記第2の接続配線の断面よりも大きいとしてもよい。
【0049】
本開示の一態様に係る実装基板は、第1の配線層と、層間絶縁層と、第2の配線層とがこの順で積層された実装基板であって、前記層間絶縁層内にフェイスアップで実装された、半導体層を有する半導体装置であって、上面に第1の配線電極を有する前記半導体装置と、前記第2の配線層に形成された第1の配線と、前記第1の配線と前記第1の配線電極の上面とを接続する、前記実装基板に直交する方向に延伸する1以上の第1の接続配線とを備え、前記半導体装置は、前記第1の配線電極の、前記半導体層の平面視における外周部分に第1の外周構造が形成され、前記第1の外周構造は、前記第1の配線電極の上面のうちの、前記半導体層の平面視において、前記第1の外周構造に重ならない部分よりも上方に突出し、前記半導体装置の最上方位置は、前記第1の外周構造に存在し、前記第1の配線電極は、少なくとも、前記第1の配線電極の上面のうちの、前記半導体層の平面視において、前記第1の外周構造に重ならない部分において前記半導体装置の外部に露出し、前記1以上の第1の接続配線は、前記第1の配線電極の上面とは、前記半導体装置の前記第1の配線電極の上面のうち、前記半導体層の平面視において、前記第1の外周構造に重ならない部分において接続する。
【0050】
上記構成の実装基板によると、半導体装置の上面において、第1の外周構造が、層間絶縁層を形成する物質に食い込む。
【0051】
このため、層間絶縁層を形成する物質に食い込む第1の外周構造が、層間絶縁層内における半導体装置の位置を固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における層間絶縁層剥がれの抑制、および、実装基板内部における半導体装置の位置の安定化が実現される。
【0052】
また、層間絶縁層を形成する物質が例えば樹脂の場合、半導体装置を封入した後に固形化した樹脂の上面に、すなわち、層間絶縁層の上面に、第1の外周構造を反映した突起が形成される。
【0053】
このため、層間絶縁層に対して、層間絶縁層の上面から第1の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行う場合に、層間絶縁層の上面に形成される、第1の外周構造に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、層間絶縁層の上面から第1の配線電極露出部に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0054】
このように、上記構成の実装基板によると、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置を実装する実装基板が提供される。
【0055】
また、前記1以上の第1の接続配線は、複数であるとしてもよい。
【0056】
また、前記第1の配線電極の上面のうちの最も低い位置を基準とする、前記半導体装置の最上方位置までの高さは、前記実装基板に直交する方向における前記1以上の第1の接続配線の長さの15%以上であるとしてもよい。
【0057】
また、前記第1の配線電極は、複数であり、前記1以上の第1の接続配線は、前記複数の第1の配線電極のそれぞれと1対1で対応する複数であり、前記複数の第1の接続配線のそれぞれは、当該第1の接続配線に1対1で対応する、前記複数の第1の配線電極のうちの1の第1の配線電極により、前記第1の配線に接続され、前記複数の第1の接続配線のそれぞれの、前記複数の第1の接続配線のそれぞれが延伸する方向に直交する断面は、互いに等しいとしてもよい。
【0058】
また、前記実装基板の平面視において、前記実装基板は、長手方向を有する形状であり、前記半導体装置は、長手方向を有する形状であり、前記実装基板の前記長手方向と、前記半導体装置の前記長手方向とは、互いに直交するとしてもよい。
【0059】
また、さらに、前記層間絶縁層よりも上方に配置された電子部品を備え、前記実装基板の平面視において、前記電子部品は、長手方向を有する形状であり、前記半導体装置は、長手方向を有する形状であり、前記電子部品は、少なくとも一部が前記半導体装置と重なり、前記電子部品の前記長手方向と、前記半導体装置の前記長手方向とは、互いに直交するとしてもよい。
【0060】
以下、本開示の一態様に係る半導体装置等の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する趣旨ではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0061】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る半導体装置について説明する。この半導体装置は、フェイスアップ実装が可能なチップサイズパッケージ型の半導体装置であって、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置である。
【0062】
<構造>
以下、実施の形態1に係る半導体装置の構造について説明する。実施の形態1に係る半導体装置は、N(Nは1以上の整数)個の縦型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが形成された、フェイスアップ実装が可能なチップサイズパッケージ(Chip Size Package:CSP)型の半導体デバイスである。上記N個の縦型MOSトランジスタは、いわゆる、トレンチ型MOSFET(Field Effect Transistor)である。
【0063】
本開示においては、Nは2であるとして説明をするが、Nは必ずしも2に限定される必要はなく、Nは1であってもよいし、3以上であってもよい。
【0064】
図1は、実施の形態1に係る半導体装置1の構造の一例を示す平面図である。
図1に示すように、半導体装置1は、半導体装置1の平面視において(すなわち、後述する半導体層40の平面視において)矩形である。
【0065】
図2、
図3は、半導体装置1の構造の一例を示す断面図である。
図2は、
図1のI-Iにおける切断面を示し、
図3は、
図1のII-IIにおける切断面を示す。
【0066】
図1~
図3に示すように、半導体装置1は、金属層30と、半導体層40と、酸化膜34と、保護膜35と、半導体層40内に形成された第1の縦型MOSトランジスタ10と、半導体層40内に形成された第2の縦型MOSトランジスタ20と、第1の縦型MOSトランジスタ10のソース電極として機能する第1のソース電極13と、第1の縦型MOSトランジスタ10のゲート電極として機能する第1のゲート電極19と、第2の縦型MOSトランジスタ20のソース電極として機能する第2のソース電極23と、第2の縦型MOSトランジスタ20のゲート電極として機能する第2のゲート電極29と、第1のソース電極13に接続された第1の配線電極12と、第1のゲート電極19に接続された第2の配線電極52と、第2のソース電極23に接続された第3の配線電極22と、第2のゲート電極29に接続された第4の配線電極54とを備える。
【0067】
本開示においては、半導体装置1は、金属層30を備えるとして説明をするが、半導体装置1は、必ずしも金属層30を備える構成に限定される必要はない。
【0068】
なお、
図1において、第1のソース電極13と、第1のゲート電極19と、第2のソース電極23と、第2のゲート電極29とを、破線によりあたかも視認することが出来るかの如く図示しているが、実際にはこれらの構成要素を半導体装置1の外部から直接視認することはできない。
【0069】
半導体層40は、半導体基板32と低濃度不純物層33とが積層されて構成される。
【0070】
ここで、半導体層40の平面視における半導体層40の面積をS[mm2]とし、半導体層40の下面から保護膜35の上面までの厚さをh[mm]とすると、h/S≧0.025の関係が成立する。
【0071】
半導体基板32は、半導体層40の下面側に配置され、第1導電型の不純物を含むシリコンからなる。
【0072】
低濃度不純物層33は、半導体層40の上面側に配置され、半導体基板32に接触して形成され、半導体基板32の第1導電型の不純物の濃度より低い濃度の第1導電型の不純物を含む。低濃度不純物層33は、例えば、エピタキシャル成長により半導体基板32上に形成されてもよい。
【0073】
酸化膜34は、半導体層40の上面に配置され、低濃度不純物層33に接触して形成される。
【0074】
保護膜35は、第1の縦型MOSトランジスタ10の上面、および、第2の縦型MOSトランジスタ20の上面を被覆する保護膜であって、第1のソース電極13を保護膜35の外部に露出させる第1の開口部61と、第1のゲート電極19を保護膜35の外部に露出させる第2の開口部62と、第2のソース電極23を保護膜35の外部に露出させる第3の開口部63と、第2のゲート電極29を保護膜35の外部に露出させる第4の開口部64とを有する。
【0075】
ここで、保護膜35が、第1の縦型MOSトランジスタ10の上面、および、第2の縦型MOSトランジスタ20の上面を被覆するとは、半導体層40の平面視において、開口部を除く半導体装置1のほぼ全面で保護膜35が製膜されている状態のことをいう。ここで、半導体装置1のほぼ全面とは、半導体装置1をウェーハからダイシングして切り出す際のダイシングマージンとして確保されたウェーハの領域のうち、ダイシング後の半導体装置1の四辺にわずかに残った外周領域を除く、半導体装置1の全面のことをいう。このため、この外周領域では、例外的に酸化膜34が半導体装置1の上面に露出している。
【0076】
また、本開示でいう保護膜35の開口部とは、半導体層40の平面視において、開口部の外周の全長が保護膜35で閉じている形状のことをいう。このため、半導体層40の平面視において、外周の一部が、上記例外的に酸化膜34が半導体装置1の上面に露出している外周領域と重複する形状は、本開示でいう保護膜35の開口部には該当しない。
【0077】
本開示においては、保護膜35は、第1のソース電極13を保護膜35の外部に露出させる開口部として、1つの第1の開口部61を有するとして説明するが、保護膜35は、第1のソース電極13を保護膜35の外部に露出させる開口部として複数の開口部を有するとしてもよい。
【0078】
同様に、本開示においては、保護膜35は、第1のゲート電極19を保護膜35の外部に露出させる開口部として、1つの第2の開口部62を有するとして説明するが、保護膜35は、第1のゲート電極19を保護膜35の外部に露出させる開口部として複数の開口部を有するとしてもよい。
【0079】
本開示においては、保護膜35は、第2のソース電極23を保護膜35の外部に露出させる開口部として、1つの第3の開口部63を有するとして説明するが、保護膜35は、第2のソース電極23を保護膜35の外部に露出させる開口部として複数の開口部を有するとしてもよい。
【0080】
同様に、本開示においては、保護膜35は、第2のゲート電極29を保護膜35の外部に露出させる開口部として、1つの第4の開口部64を有するとして説明するが、保護膜35は、第2のゲート電極29を保護膜35の外部に露出させる開口部として複数の開口部を有するとしてもよい。
【0081】
なお、保護膜35は、単層構造であってもよいし、複数の層が積層された多層構造であってもよい。本開示においては、保護膜35は、第1の保護膜層35Aと、第1の保護膜層35Aよりも上方に位置する第2の保護膜層35Bとが積層された多層構造(ここでは、2層構造)であるとして説明する。
【0082】
第1の保護膜層35Aは、限定されない一例として、窒化珪素で構成されてもよく、例えば、その膜厚は、0.3μmである。
【0083】
第2の保護膜層35Bは、限定されない一例として、ポリイミドで構成されてもよく、例えば、その膜厚は、8μmである。
【0084】
金属層30は、半導体基板32の下面に接触して形成され、銀、銅、ニッケル、または、これらの合金からなってもよいし、電極として機能することが可能な、導電率の良好な金属材料からなってもよい。なお、金属層30には、金属材料の製造工程において不純物として混入する金属以外の元素が微量に含まれていてもよい。
【0085】
低濃度不純物層33の、第1の縦型MOSトランジスタ10が形成される領域には、第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第1のボディ領域18が形成される。第1のボディ領域18には、第1導電型の不純物を含む第1のソース領域14、第1のゲート導体15、および第1のゲート絶縁膜16が形成される。
【0086】
第1のソース電極13は、酸化膜34の開口を通して、第1のソース領域14および第1のボディ領域18に接続される。
【0087】
第1のソース電極13は、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0088】
第1の配線電極12は、第1のソース電極13に接続され、第1の開口部61における第1のソース電極13の、保護膜35の外部への露出部分を隙間なく被覆する。これにより、第1のソース電極13は、半導体装置1の外部の物質による腐食が抑制される。
【0089】
第1の配線電極12は、銅を主成分とし、限定されない一例として、メッキにより形成される。第1の配線電極12は、例えば、その厚さは、10μmである。
【0090】
なお、保護膜35が、第1の開口部61以外にも、第1のソース電極13を保護膜35の外部に露出させる1以上の開口部を有している場合には、半導体装置1は、それら1以上の開口部のそれぞれについて、第1の配線電極12と同様の配線電極を備えることとなる。
【0091】
第1のゲート電極19は、第1のゲート導体15と電気的に接続される。
【0092】
第1のゲート電極19は、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0093】
第2の配線電極52は、第1のゲート電極19に接続され、第2の開口部62における第1のゲート電極19の、保護膜35の外部への露出部分を隙間なく被覆する。これにより、第1のゲート電極19は、半導体装置1の外部の物質による腐食が抑制される。
【0094】
第2の配線電極52は、銅を主成分とし、限定されない一例として、メッキにより形成される。第2の配線電極52は、例えば、その厚さは、10μmである。
【0095】
なお、保護膜35が、第2の開口部62以外にも、第1のゲート電極19を保護膜35の外部に露出させる1以上の開口部を有している場合には、半導体装置1は、それら1以上の開口部のそれぞれについて、第2の配線電極52と同様の配線電極を備えることとなる。
【0096】
低濃度不純物層33の、第2の縦型MOSトランジスタ20が形成される領域には、第1導電型と異なる第2導電型の不純物を含む第2のボディ領域28が形成される。第2のボディ領域28には、第1導電型の不純物を含む第2のソース領域24、第2のゲート導体25、および第2のゲート絶縁膜26が形成される。
【0097】
第2のソース電極23は、酸化膜34の開口を通して、第2のソース領域24および第2のボディ領域28に接続される。
【0098】
第2のソース電極23は、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0099】
第3の配線電極22は、第2のソース電極23に接続され、第3の開口部63における第2のソース電極23の、保護膜35の外部への露出部分を隙間なく被覆する。これにより、第2のソース電極23は、半導体装置1の外部の物質による腐食が抑制される。
【0100】
第3の配線電極22は、銅を主成分とし、限定されない一例として、メッキにより形成される。第3の配線電極22は、例えば、その厚さは、10μmである。
【0101】
なお、保護膜35が、第3の開口部63以外にも、第2のソース電極23を保護膜35の外部に露出させる1以上の開口部を有している場合には、半導体装置1は、それら1以上の開口部のそれぞれについて、第3の配線電極22と同様の配線電極を備えることとなる。
【0102】
第2のゲート電極29は、第2のゲート導体25と電気的に接続される。
【0103】
第2のゲート電極29は、限定されない一例として、アルミニウム、銅、金、銀のうちのいずれか1つ以上を含む金属材料で構成されてもよい。
【0104】
第4の配線電極54は、第2のゲート電極29に接続され、第4の開口部64における第2のゲート電極29の、保護膜35の外部への露出部分を隙間なく被覆する。これにより、第2のゲート電極29は、半導体装置1の外部の物質による腐食が抑制される。
【0105】
第4の配線電極54は、銅を主成分とし、限定されない一例として、メッキにより形成される。第4の配線電極54は、例えば、その厚さは、10μmである。
【0106】
なお、保護膜35が、第4の開口部64以外にも、第2のゲート電極29を保護膜35の外部に露出させる1以上の開口部を有している場合には、半導体装置1は、それら1以上の開口部のそれぞれについて、第4の配線電極54と同様の配線電極を備えることとなる。
【0107】
ここで、第1の配線電極12の最大の厚さ、第2の配線電極52の最大の厚さ、第3の配線電極22の最大の厚さ、および、第4の配線電極54の最大の厚さは、金属層30の厚さよりも薄い。すなわち、金属層30の厚さは、第1の配線電極12の最大の厚さ、第2の配線電極52の最大の厚さ、第3の配線電極22の最大の厚さ、および、第4の配線電極54の最大の厚さよりも厚い。
【0108】
半導体装置1において、例えば、第1導電型をN型、第2導電型をP型として、第1のソース領域14、第2のソース領域24、半導体基板32、および、低濃度不純物層33はN型半導体であり、かつ、第1のボディ領域18、および、第2のボディ領域28はP型半導体であってもよい。
【0109】
また、半導体装置1において、例えば、第1導電型をP型、第2導電型をN型として、第1のソース領域14、第2のソース領域24、半導体基板32、および、低濃度不純物層33はP型半導体であり、かつ、第1のボディ領域18、および、第2のボディ領域28はN型半導体であってもよい。
【0110】
本開示においては、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20とが、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした、いわゆるNチャネル型トランジスタであるとして説明する。
【0111】
また、本開示においては、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20とが同様であり、第1のソース電極13と第2のソース電極23とが同様であり、第1のゲート電極19と第2のゲート電極29とが同様であり、第1の配線電極12と第3の配線電極22とが同様であり、第2の配線電極52と第4の配線電極54とが同様であるとして説明する。
【0112】
このため、以下では、第1の縦型MOSトランジスタ10と第2の縦型MOSトランジスタ20とについて、これらを代表して第1の縦型MOSトランジスタ10について説明し、第1のソース電極13と第2のソース電極23とについて、これらを代表して第1のソース電極13について説明し、第1のゲート電極19と第2のゲート電極29とについて、これらを代表して第1のゲート電極19について説明し、第1の配線電極12と第3の配線電極22とについて、これらを代表して第1の配線電極12について説明し、第2の配線電極52と第4の配線電極54とについて、これらを代表して第2の配線電極52について説明する。
【0113】
図2、
図3に示すように、第1の配線電極12の上面は、半導体装置1の外部に露出し、第2の配線電極52の上面は、半導体装置1の外部に露出する。
【0114】
本開示において、第1の配線電極12の上面のうち、半導体装置1(実施の形態2においては、後述の半導体装置1A)の外部に露出する部分を第1の配線電極露出部71と定義し、第2の配線電極52の上面のうち、半導体装置1(実施の形態2においては、後述の半導体装置1A)の外部に露出する部分を第2の配線電極露出部72と定義する。
【0115】
このため、実施の形態1においては、第1の配線電極露出部71は、第1の配線電極12の上面であり、第2の配線電極露出部72は、第2の配線電極52の上面である。
【0116】
すなわち、実施の形態1においては、第1の配線電極12の上面である第1の配線電極露出部71は、半導体装置1の外部に露出し、第2の配線電極52の上面である第2の配線電極露出部72は、半導体装置1の外部に露出する。
【0117】
ここで、
図1~
図3に示すように、半導体層40の平面視において、第1の配線電極露出部71の面積は、第1の開口部61の面積よりも大きく、第2の配線電極露出部72の面積は、第2の開口部62の面積よりも大きい。
【0118】
また、
図2、
図3に示すように、第1の配線電極12の、半導体層40の平面視における外周部分に、第1のソース電極13と保護膜35と第1の配線電極12とがこの順で積層された第1の外周構造101が形成され、第2の配線電極52の、半導体層40の平面視における外周部分に、第1のゲート電極19と保護膜35と第2の配線電極52とがこの順で積層された第2の外周構造102が形成される。
【0119】
ここで、第1の外周構造101の最上層は、第1の配線電極12であり、第2の外周構造102の最上層は、第2の配線電極52である。
【0120】
図2、
図3に示すように、第1の外周構造101は、第1の配線電極露出部71のうちの、第1の外周構造101に含まれない部分の上面よりも上方に突出し、第2の外周構造102は、第2の配線電極露出部72のうちの、第2の外周構造102に含まれない部分の上面よりも上方に突出し、半導体装置1の最上方位置は、第1の外周構造101、または/および、第2の外周構造102に存在する。
【0121】
図4は、半導体装置1の上面のうち、第2の配線電極52近傍の部分を、半導体装置1の斜め上方から撮像した撮像画像である。
【0122】
図4から、第2の配線電極52の、半導体層40の平面視における外周部分に、第2の外周構造102に含まれない部分の上面よりも上方に突出する第2の外周構造102が形成されている様子が見て取れる。
【0123】
図5は、第1の外周構造101の構造を示す拡大断面図である。
【0124】
本開示においては、第2の外周構造102は、第1の外周構造101に対して、第1のソース電極13を第1のゲート電極19に読み替えたものと同様であるとして説明する。
【0125】
このため、以下では、第1の外周構造101と第2の外周構造102とについて、
図5を用いて説明する。
【0126】
図5に示すように、第1の配線電極12は、半導体層40の平面視における外周部分に、半導体層40の断面視において、第1の配線電極12の外側に向かって逆テーパ形状となる第1の壁面201であって、保護膜35と接触しない第1の壁面201を有する。
【0127】
また、
図5に示すように、保護膜35は、半導体層40の平面視における第1の開口部61の周囲の部分に、半導体層40の断面視において、第1の開口部61に向かってテーパ形状となる第1のテーパ形状領域202を有する。
【0128】
ここで、
図5に示すように、半導体層40の平面視において、第1の壁面201は、第1のテーパ形状領域202の内部に位置する。
【0129】
同様に、第2の配線電極52は、半導体層40の平面視における外周部分に、半導体層40の断面視において、第2の配線電極52の外側に向かって逆テーパ形状となる第2の壁面であって、保護膜35と接触しない第2の壁面を有する。
【0130】
また、同様に、保護膜35は、半導体層40の平面視における第2の開口部62の周囲の部分に、半導体層40の断面視において、第2の開口部62に向かってテーパ形状となる第2のテーパ形状領域を有する。
【0131】
ここで、同様に、半導体層40の平面視において、第2の壁面は、第2のテーパ形状領域の内部に位置する。
【0132】
<考察>
上記構成の半導体装置1によると、この半導体装置1を実装基板内に樹脂封止されてフェイスアップで実装する場合、半導体装置1の上面において、第1の外周構造101および第2の外周構造102が、樹脂に食い込む。
【0133】
このため、樹脂に食い込む第1の外周構造101および第2の外周構造102が、樹脂内における半導体装置1の位置を固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれの抑制、および、実装基板内部における半導体装置1の位置の安定化が実現される。
【0134】
また、半導体装置1を封入した後に固形化した樹脂の上面に、第1の外周構造101および第2の外周構造102を反映した突起が形成される。
【0135】
このため、樹脂に対して、樹脂の上面から第1の配線電極露出部71に到達する穴を空ける加工を行う場合に、樹脂の上面に形成される、第1の外周構造101に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、樹脂の上面から第1の配線電極露出部71に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0136】
さらには、同様に、樹脂に対して、樹脂の上面から第2の配線電極露出部72に到達する穴を空ける加工を行う場合に、樹脂の上面に形成される、第2の外周構造102に対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、樹脂の上面から第2の配線電極露出部72に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0137】
このように、上記構成の半導体装置1によると、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置が提供される。
【0138】
上述した通り、半導体層40の平面視において、第1の配線電極露出部71の面積は、第1の開口部61の面積よりも大きく、第2の配線電極露出部72の面積は、第2の開口部62の面積よりも大きい。
【0139】
これにより、半導体層40の平面視において、第1の配線電極露出部71の面積は、第1の開口部61の面積よりも大きくなく、第2の配線電極露出部72の面積は、第2の開口部62の面積よりも大きくない場合に比べて、樹脂の上面から第1の配線電極露出部71に到達する穴を空ける加工、および、樹脂の上面から第2の配線電極露出部72に到達する穴を空ける加工の自由度を高めることができる。
【0140】
半導体装置1を実装基板に埋め込んで実装する場合、半導体装置1は、実装基板から応力、衝撃を受けることがある。半導体層40の平面視における半導体装置1の面積(以下、「チップ面積」とも称する)に対する、半導体層40の下面から保護膜35の上面までの厚さ(以下、「Si厚」とも称する)が過度に小さいと、これら実装基板から受ける応力、衝撃に対する半導体装置1の十分な耐性が得られない。
【0141】
発明者らは、実装基板から受ける応力、衝撃に対する半導体装置1の耐性と、半導体層40の平面視における半導体装置1の形状およびSi厚との関係について、実験、検討を行った。その結果、発明者らは、半導体層40の平面視における半導体装置1の形状が、2[mm]×2[mm]の場合に、Si厚が0.1mm以上であれば、半導体装置1は、実装基板から受ける応力、衝撃に対する十分な耐性を得られるとの知見を得た。
【0142】
発明者らは、この知見を基に、さらに、実験、検討を重ね、半導体層40の平面視における半導体装置1の形状を、2[mm]×2[mm]よりも小さくする場合には、チップ面積S[mm2]に比例して、Si厚h[mm]を薄くしても、半導体装置1は、実装基板から受ける応力、衝撃に対する十分な耐性を得られるとの知見、および、半導体層40の平面視における半導体装置1の形状を、2[mm]×2[mm]よりも大きくする場合には、チップ面積S[mm2]に比例して、Si厚h[mm]を厚くすれば、半導体装置1は、実装基板から受ける応力、衝撃に対する十分な耐性を得られるとの知見を得た。
【0143】
図6は、発明者らが実験、検討を通じて得られた、実装基板から受ける応力、衝撃に対する半導体装置1の耐性と、半導体層40の平面視における半導体装置1の形状およびSi厚との関係を示す模式図である。
【0144】
図6に示すように、チップ面積をS[mm
2]とし、Si厚をh[mm]とすると、h/S≧0.025の関係が成立する範囲において、半導体装置1は、実装基板から受ける応力、衝撃に対する十分な耐性を得られる。
【0145】
図7は、半導体装置1が実装基板内に樹脂封止されてフェイスアップで実装される場合における樹脂封止の際の熱処理工程により、半導体装置1が変形する様子の一例を模式的に示す、半導体装置1および第1の外周構造101の断面図である。
【0146】
上述した通り、半導体装置1は、裏面側に、第1の配線電極12の最大の厚さ、第2の配線電極52の最大の厚さ、第3の配線電極22の最大の厚さ、および、第4の配線電極54の最大の厚さよりも厚い金属層30を備える。一般に、金属層30を構成する金属(例えば、銀、銅、ニッケル、または、これらの合金)は、半導体層40を構成する、不純物を含む半導体(例えば、不純物がドーピングされたシリコン)よりも、熱膨張率が大きい。
【0147】
このため、
図7の(b)に図示するように、半導体装置1を実装基板内に樹脂封止する際に行う樹脂を硬化させるための熱処理時には半導体装置1の温度も上昇するため、半導体装置1には、裏面を凸とする反りが生じる。これにより、熱処理時における、第1の外周構造101の、逆テーパ形状となる第1の壁面201の傾きは、
図7の(a)および(b)に図示されるように、熱処理前よりも、半導体装置1の上方側に変化することとなる。
【0148】
その後、熱処理が終了して、樹脂および半導体装置1の温度が冷却されると(常温に回帰すると)、
図7の(c)に図示するように、半導体装置1に生じていた裏面を凸とする反りが緩和される。これにより、冷却後における、第1の外周構造101の、逆テーパ形状となる第1の壁面201の傾きは、
図7の(b)および(c)に図示されるように、熱処理時よりも、半導体装置1の下方側に変化することとなる。
【0149】
このように、第1の外周構造101の、逆テーパ形状となる第1の壁面201の傾きは、熱処理が終了して、樹脂および半導体装置1の温度が冷却される過程において、半導体装置1の反りの緩和に伴って、半導体装置1の上方側から下方側へと変化することとなる。この変化により、第1の外周構造101は、逆テーパ形状となる第1の壁面201を有さない構成に比べて、より強固に樹脂へ食い込むこととなる。
【0150】
したがって、上記構成の半導体装置1によると、第1の外周構造101は、逆テーパ形状となる第1の壁面201を有することで、第1の壁面201を有さない構成に比べて、樹脂内における半導体装置1の位置をより強固に固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれのさらなる抑制、および、実装基板内部における半導体装置1の位置のさらなる安定化が実現される。
【0151】
また、同様の理由により、上記構成の半導体装置1によると、第2の外周構造102は、逆テーパ形状となる第2の壁面を有することで、第2の壁面を有さない構成に比べて、樹脂内における半導体装置1の位置をより強固に固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれのさらなる抑制、および、実装基板内部における半導体装置1の位置のさらなる安定化が実現される。
【0152】
さらには、上述した通り、半導体層40の平面視において、第1の壁面201は、第1のテーパ形状領域202の内部に位置する。
【0153】
これにより、上記構成の半導体装置1によると、第1の外周構造101は、第1の壁面201が、第1のテーパ形状領域202の内部に位置しない構成に比べて、より強固に樹脂へと食い込むこととなる。
【0154】
したがって、上記構成の半導体装置1によると、第1の外周構造101は、半導体層40の平面視において、第1の壁面201が第1のテーパ形状領域202の内部に位置することで、半導体層40の平面視において、第1の壁面201が第1のテーパ形状領域202の内部に位置しない構成に比べて、樹脂内における半導体装置1の位置をより強固に固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれのさらなる抑制、および、実装基板内部における半導体装置1の位置のさらなる安定化が実現される。
【0155】
また、同様の理由により、上記構成の半導体装置1によると、第2の外周構造102は、半導体層40の平面視において、第2の壁面が第2のテーパ形状領域の内部に位置することで、半導体層40の平面視において、第2の壁面が第2のテーパ形状領域の内部に位置しない構成に比べて、樹脂内における半導体装置1の位置をより強固に固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれのさらなる抑制、および、実装基板内部における半導体装置1の位置のさらなる安定化が実現される。
【0156】
ところで、逆テーパ形状となる第1の壁面201および第2の壁面は、半導体層40の平面視において、第1の配線電極12および第2の配線電極52の外周に沿ってぐるりと逆テーパ形状となっていてもよいが、外周に沿って一部だけが逆テーパ形状となっていてもよい。
【0157】
第1の壁面201および第2の壁面を、外周に沿って一部だけを逆テーパ形状とする場合には、半導体装置1の反りが最も大きくなる方向と整合する部分に逆テーパ形状を設けることが好ましい。例えば、半導体層40の平面視において、半導体装置1が長手方向を有する長方形である場合には、長手方向における反りが最も大きな反りとなるので、第1の壁面201および第2の壁面の、半導体装置1の長手方向と直交する位置を含む部分に逆テーパ形状が設けられることが好ましい。
【0158】
図8は、半導体層40の平面視において、第1のソース電極13の面積をM1、第1の開口部61の面積をS1、第1の配線電極露出部71の面積をP1とする場合において、S1/M1により示される、第1のソース電極13の面積に対する第1の開口部61の面積の占有率が、0.5以上1.0未満の場合(以下、「第1の場合」とも称する)における、半導体装置1の平面図である。なお、
図8および後述の
図10には、第1の配線電極露出部71が図示されていないが、半導体層40の平面視における第1の配線電極露出部71の面積P1は、
図8および後述の
図10においては、第1の配線電極12の面積と一致する。
【0159】
図9は、第1の場合における半導体装置1の断面図であって、
図8におけるIII-IIIにおける切断面を示す。
【0160】
図10は、S1/M1により示される、第1のソース電極13の面積に対する第1の開口部61の面積の占有率が、0.9以上1.0未満であり、P1/M1により示される、第1のソース電極13の面積に対する第1の配線電極露出部71の面積の占有率が0.5以上である場合(以下、「第2の場合」とも称する)における、半導体装置1の平面図である。
【0161】
図11は、第2の場合における半導体装置1の断面図であって、
図10におけるIV-IVにおける切断面を示す。
【0162】
一般に、はんだ等の接合材を用いてフェイスダウンで実装する半導体装置は、接合材のボイド等による実装不良の発生を抑制するために、常識的には、S1/M1は、0.5未満である。
【0163】
これに対して、本開示に係る半導体装置1は、はんだ等の接合材を用いずにフェイスアップで実装するために、接合材のボイド等による実装不良の発生を心配する必要がない。このため、半導体装置1のオン抵抗の低減、および、半導体装置1の放熱特性の向上の観点から、
図8、
図9に示す例のように、半導体装置1において、S1/M1は、0.5以上にすることが好ましい、すなわち、S1/M1は、0.5以上1.0未満であることが好ましい。
【0164】
S1/M1が1.0未満であることが好ましいとする理由は、半導体層40の平面視において、第1の開口部61の面積S1が第1のソース電極13の面積M1よりも大きいと、第1の開口部61により、第1のソース電極13で被覆されていない酸化膜34の領域まで開口されてしまうためである。
【0165】
半導体装置1のオン抵抗の低減、および、半導体装置1の放熱特性の向上の観点から、さらに言えば、
図10、
図11に示す例のように、半導体装置1において、S1/M1は、0.9以上1.0未満であり、かつ、P1/M1は、0.9以上1.1以下であることがより好ましい。これは、半導体装置1のオン抵抗の低減、および、半導体装置1の放熱特性のために、可能な限り第1のソース電極13の外部への露出を大きくする意図である。
【0166】
なお、
図10、
図11に示す例では、半導体層40の平面視において、第1のゲート電極19の面積をM2、第2の開口部62の面積をS2、第2の配線電極露出部72の面積をP2とする場合において、P2/M2により示される、第1のゲート電極19の面積に対する第2の配線電極露出部72の面積の占有率は、0.9以上1.1以下となっている。
【0167】
図10、
図11に示す例のように、P2/M2により示される、第1のゲート電極19の面積に対する第2の配線電極露出部72の面積の占有率が、0.9以上1.1以下であることは有効である。
【0168】
第2の配線電極露出部72を、半導体装置1を封止する樹脂に空けた穴を介して半導体装置1の外部配線と良好に接続させるためには、半導体層40の平面視における、第2の配線電極露出部72の面積P2は、半導体層40の平面視における、第2の開口部62の面積S2よりも大きいことが好ましい。
【0169】
一般に、第2の開口部62は、半導体層40の平面視において円形であることが多い。これに対して、上述した通り、半導体装置1は、半導体層40の平面視において矩形である。
【0170】
このため、M2をS2よりも拡大する際には、半導体層40の平面視における第2の配線電極露出部72は矩形にすることが好ましい。この場合、半導体層40の平面視において、S2よりも大きくなる、矩形である第2の配線電極露出部72の形状は、円形である第2の開口部62に外接する正方形である。ここで、円に外接する正方形は、円の面積の1.27倍である。
【0171】
これらのことから、P2/S2により示される、第2の開口部62の面積に対する、第2の配線電極露出部72の面積の占有率は、1.27以上であることが好ましいと言える。
【0172】
また、第1の配線電極露出部71を、半導体装置1を封止する樹脂に空けた穴を介して半導体装置1の外部配線と良好に接続させ、かつ、第2の配線電極露出部72を、半導体装置1を封止する樹脂に空けた穴を介して半導体装置1の外部配線と良好に接続させるためには、半導体層40の平面視において、第1の配線電極12の面積と、第2の配線電極52の面積とができるだけ広く、かつ、第1の配線電極12の形状と、第2の配線電極52の形状とが等しいことが好ましい。
【0173】
図12は、第1の配線電極12と第2の配線電極52とが、上記望ましい形状を実現している半導体装置1の構造の一例を示す平面図である。
【0174】
図12に示すように、半導体層40の平面視において、第1の配線電極12の形状と、第2の配線電極52の形状とを、中央線を対称軸とする線対称とし、中央線が、半導体装置1を面積において二等分する形状とすることで、半導体装置1は、上記好ましい形状が実現される。
【0175】
(実施の形態2)
以下、実施の形態1に係る半導体装置1から、第1の外周構造101が実施の形態2に係る第1の外周構造に変更され、第2の外周構造102が実施の形態2に係る第2の外周構造に変更されて構成される実施の形態2に係る半導体装置について説明する。
【0176】
ここでは、実施の形態2に係る半導体装置について、半導体装置1と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、半導体装置1との相違点を中心に説明する。
【0177】
なお、実施の形態1において、半導体装置1が備える保護膜35は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよいとして説明したが、実施の形態2においては、実施の形態2に係る半導体装置が備える保護膜35は、多層構造であることが必須である。このため、以下では、実施の形態2に係る半導体装置が備える保護膜35は、第1の保護膜層35Aと第2の保護膜層35Bとが積層された多層構造(ここでは、2層構造)であるとして説明する。
【0178】
<構造>
図13は、実施の形態2に係る半導体装置1Aの構造の一例を示す平面図である。
【0179】
図14は、半導体装置1Aの構造の一例を示す断面図である。
図14は
図13におけるV-Vにおける切断面を示す。
【0180】
図13、14に示すように、半導体装置1Aは、実施の形態1に係る半導体装置1から、第1の外周構造101が実施の形態2に係る第1の外周構造101Aに変更され、第2の外周構造102が実施の形態2に係る第2の外周構造102Aに変更されて構成される。
【0181】
より具体的には、
図14に示すように、半導体装置1Aにおいて、第1の配線電極12の、半導体層40の平面視における外周部分に、第1のソース電極13と第1の保護膜層35Aと第1の配線電極12と第2の保護膜層35Bとがこの順で積層された第1の外周構造101Aが形成され、第2の配線電極52の、半導体層40の平面視における外周部分に、第1のゲート電極19と第1の保護膜層35Aと第2の配線電極52と第2の保護膜層35Bとがこの順で積層された第2の外周構造102Aが形成される。
【0182】
ここで、第1の外周構造101Aの最上層は、第2の保護膜層35Bであり、第2の外周構造102Aの最上層は、第2の保護膜層35Bである。
【0183】
上記の変更に伴い、実施の形態1に係る半導体装置1においては、第1の配線電極12の上面全体が半導体装置1の外部に露出し、第2の配線電極52の上面全体が半導体装置1の外部に露出していたのに対して、半導体装置1Aにおいては、第1の配線電極12の上面のうちの、第1の外周構造101Aに含まれない部分が半導体装置1Aの外部に露出し、第2の配線電極52の上面のうちの、第2の外周構造102Aに含まれない部分が半導体装置1Aの外部に露出することとなる。
【0184】
上述した通り、本開示において、第1の配線電極12の上面のうち、半導体装置1Aの外部に露出する部分を第1の配線電極露出部71と定義し、第2の配線電極52の上面のうち、半導体装置1Aの外部に露出する部分を第2の配線電極露出部72と定義する。
【0185】
このため、実施の形態2においては、第1の配線電極露出部71は、第1の配線電極12の上面のうちの、第1の外周構造101Aに含まれない部分であり、第2の配線電極露出部72は、第2の配線電極52の上面のうちの、第2の外周構造102Aに含まれない部分である。
【0186】
すなわち、実施の形態2においては、第1の配線電極12の上面のうちの、第1の外周構造101Aに含まれない部分である第1の配線電極露出部71は、半導体装置1Aの外部に露出し、第2の配線電極52の上面のうちの、第2の外周構造102Aに含まれない部分である第2の配線電極露出部72は、半導体装置1Aの外部に露出する。
【0187】
なお、半導体装置1Aにおいても、実施の形態1に係る半導体装置1と同様に、半導体層40の平面視において、第1の配線電極露出部71の面積は、第1の開口部61の面積よりも大きく、第2の配線電極露出部72の面積は、第2の開口部62の面積よりも大きい。
【0188】
図14に示すように、第1の外周構造101Aは、第1の配線電極露出部71の上面よりも上方に突出し、第2の外周構造102Aは、第2の配線電極露出部72の上面よりも上方に突出し、半導体装置1Aの最上方位置は、第1の外周構造101A、または/および、第2の外周構造102Aに存在する。
【0189】
ここで、第1の外周構造101Aを第1の配線電極露出部71の上面よりも上方に突出させるためには、第1の外周構造101Aにおける第1の配線電極12の厚さを第1の厚さとして、第1の外周構造101Aにおける第2の保護膜層35Bの厚さを第2の厚さとすると、第2の厚さは、第1の厚さ以下であることが望ましい。
【0190】
これは、仮に第2の厚さが第1の厚さを上回ると、第2の保護膜層35Bは、第1の配線電極12を一様に被覆してしまうため、第1の外周構造101Aが形成されにくくなるからである。
【0191】
第2の厚さが第1の厚さよりも大きくなればなるほど、第2の保護膜層35Bが第1の配線電極12を一様に被覆する傾向が強まる。このため、少なくとも、第2の厚さは第1の厚さ以下であることが望ましい。
【0192】
同様に、第2の外周構造102Aを第2の配線電極露出部72の上面よりも上方に突出させるためには、第2の外周構造102Aにおける第2の配線電極52の厚さを第3の厚さとして、第2の外周構造102Aにおける第2の保護膜層35Bの厚さを第4の厚さとすると、第4の厚さは、第3の厚さ以下であることが望ましい。
【0193】
一方で、発明者らは、半導体装置1Aを実装基板内に樹脂封止されてフェイスアップで実装する場合において、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aを、樹脂に十分食い込ませるために必要となる、第1の配線電極露出部71の上面を基準とする第1の外周構造101Aの高さ、および、第2の配線電極露出部72の上面を基準とする第2の外周構造102Aの高さについて、実験、検討を繰り返した。その結果、発明者らは、第1の配線電極露出部71の上面を基準とする第1の外周構造101Aの高さが、第1の開口部61における第1の配線電極12の厚さの50%であり、第2の配線電極露出部72の上面を基準とする第2の外周構造102Aの高さが、第2の開口部62における第2の配線電極52の厚さの50%であれば、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aを、樹脂に十分食い込ませることができるとの知見を得た。
【0194】
ここで、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aを、樹脂に十分食い込ませるとは、樹脂に食い込む第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aが、樹脂内における半導体装置1Aの位置を固定するアンカーの役目を果たす程度に食い込ませることを意味する。
【0195】
すなわち、発明者らは、実験、検討を通じて、第1の外周構造101Aによる樹脂への食い込みを強めるためには、樹脂の厚さに対して10%以上の食い込み量があると、安定して強固なアンカー効果を得る上で効果的であることがわかった。
【0196】
後述するが、第1の配線電極12の厚さは、後に行うレーザ加工等による樹脂への穴空け工程において十分なマージンを有していなければならないため、第1の配線電極12の厚さは、直上に封止される樹脂の厚さのおよそ1/3以上とすることが求められる。
【0197】
したがって、望ましい食い込み量(第1の配線電極露出部71の上面を基準とする第1の外周構造101Aの高さ、および、第2の配線電極露出部72の上面を基準とする第2の外周構造102Aの高さ)は、少なくとも第1の配線電極12の厚さの30%以上となるが、本開示においては、さらに安定して強固なアンカー効果を得るために、第1の配線電極12の厚さの50%以上とすることとした。
【0198】
また、発明者らは、第1の配線電極露出部71の上面を基準とする第1の外周構造101Aの高さが、第1の開口部61における第1の配線電極12の厚さの50%であり、第2の配線電極露出部72の上面を基準とする第2の外周構造102Aの高さが、第2の開口部62における第2の配線電極52の厚さの50%であれば、半導体装置1Aを封入した後に固形化した樹脂の上面に、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aを反映した突起が形成されるとの知見を得た。
【0199】
このため、発明者らは、半導体装置1Aに対して、第2の厚さは、第1の厚さの半分より大きく、かつ、第1の厚さ以下であり、第4の厚さは、第3の厚さの半分より大きく、かつ、第3の厚さ以下であることとした。
【0200】
ところで、第2の保護膜層35Bは、通常、粘性のあるポリイミドで形成される。このため、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aのような段差のある構造を有する部分に第2の保護膜層35Bを形成しようとする場合に、段差の上部側のポリイミドが段差の下部側へ流れてしまうことにより、所望の形状の第2の保護膜層35Bが形成されないことがある。
【0201】
このため、発明者らは、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aを形成するにあたって、段差の上部側のポリイミドが段差の下部側へ流れてしまうことを抑制することができる第2の保護膜層35Bの形状と、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aの形状とについて、実験、検討を繰り返した。その結果、発明者らは、第2の保護膜層35Bのうち、半導体層40の平面視において第1の配線電極12と重なる部分の最小の幅が、第2の保護膜層35Bのうち、半導体層40の平面視において第1の配線電極12または第2の配線電極52と重ならない部分の厚さよりも大きければ、第1の外周構造101Aを形成するにあたって、段差の上部側のポリイミドが段差の下部側へ流れてしまうことを抑制することができるとの知見、および、第2の保護膜層35Bのうち、半導体層40の平面視において第2の配線電極52と重なる部分の最小の幅が、第2の保護膜層35Bのうち、半導体層40の平面視において第1の配線電極12または第2の配線電極52と重ならない部分の厚さよりも大きければ、第2の外周構造102Aを形成するにあたって、段差の上部側のポリイミドが段差の下部側へ流れてしまうことを抑制することができるとの知見を得た。
【0202】
このため、発明者らは、半導体装置1Aに対して、第2の保護膜層35Bのうち、半導体層40の平面視において第1の配線電極12と重なる部分の最小の幅が、第2の保護膜層35Bのうち、半導体層40の平面視において第1の配線電極12または第2の配線電極52と重ならない部分の厚さよりも大きく、かつ、第2の保護膜層35Bのうち、半導体層40の平面視において第2の配線電極52と重なる部分の最小の幅が、第2の保護膜層35Bのうち、半導体層40の平面視において第1の配線電極12または第2の配線電極52と重ならない部分の厚さよりも大きくなることとした。
【0203】
<考察>
上記構成の半導体装置1Aによると、実施の形態1に係る半導体装置1の場合と同様に、この半導体装置1Aを実装基板内に樹脂封止されてフェイスアップで実装する場合、半導体装置1Aの上面において、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aが、樹脂に食い込む。
【0204】
このため、樹脂に食い込む第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aが、樹脂内における半導体装置1Aの位置を固定するアンカーの役目を果たし、その結果、実装基板における樹脂剥がれの抑制、および、実装基板内部における半導体装置1Aの位置の安定化が実現される。
【0205】
また、実施の形態1に係る半導体装置1の場合と同様に、半導体装置1Aを封入した後に固形化した樹脂の上面に、第1の外周構造101Aおよび第2の外周構造102Aを反映した突起が形成される。
【0206】
このため、樹脂に対して、樹脂の上面から第1の配線電極露出部71に到達する穴を空ける加工を行う場合に、樹脂の上面に形成される、第1の外周構造101Aに対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、樹脂の上面から第1の配線電極露出部71に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0207】
さらには、同様に、樹脂に対して、樹脂の上面から第2の配線電極露出部72に到達する穴を空ける加工を行う場合に、樹脂の上面に形成される、第2の外周構造102Aに対応する突起をガイドラインとして、この突起の内側に穴を空ける加工を行うことで、この突起が存在しない場合に比べて、より精度よく、樹脂の上面から第2の配線電極露出部72に到達する穴を空ける加工を行うことができる。
【0208】
このように、上記構成の半導体装置1Aによると、実施の形態1に係る半導体装置1の場合と同様に、実装基板に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置が提供される。
【0209】
上述した通り、半導体層40の平面視において、第1の配線電極露出部71の面積は、第1の開口部61の面積よりも大きく、第2の配線電極露出部72の面積は、第2の開口部62の面積よりも大きい。
【0210】
これにより、実施の形態1に係る半導体装置1の場合と同様に、半導体層40の平面視において、第1の配線電極露出部71の面積は、第1の開口部61の面積よりも大きくなく、第2の配線電極露出部72の面積は、第2の開口部62の面積よりも大きくない場合に比べて、樹脂の上面から第1の配線電極露出部71に到達する穴を空ける加工、および、樹脂の上面から第2の配線電極露出部72に到達する穴を空ける加工の自由度を高めることができる。
【0211】
また、実施の形態1に係る半導体装置1の場合と同様に、半導体装置1Aにおいて、S1/M1は、0.5以上にすることが好ましい、すなわち、S1/M1は、0.5以上1.0未満であることが好ましく、さらに言えば、半導体装置1Aにおいて、S1/M1は、0.9以上1.0未満であり、かつ、P1/M1は、0.9以上1.1以下であることがより好ましい。
【0212】
また、実施の形態1に係る半導体装置1の場合と同様に、半導体装置1Aにおいて、P2/M2は、0.9以上1.1以下であることは有効である。
【0213】
また、実施の形態1に係る半導体装置1の場合と同様に、半導体装置1Aにおいて、P2/S2は、1.27以上が好ましいと言える。
【0214】
また、実施の形態1に係る半導体装置1の場合と同様に、半導体装置1Aにおいて、半導体層40の平面視において、第1の配線電極12の形状と、第2の配線電極52の形状とを、中央線を対称軸とする線対称とし、中央線が、半導体装置1Aを面積において二等分する形状とすることで、半導体装置1Aは、第1の配線電極露出部71を、半導体装置1Aを封止する樹脂に空けた穴を介して半導体装置1Aの外部配線と良好に接続させ、かつ、第2の配線電極露出部72を、半導体装置1Aを封止する樹脂に空けた穴を介して半導体装置1Aの外部配線と良好に接続させる上で好ましい形状が実現される。
【0215】
なお、実施の形態2において、保護膜35は、第1の保護膜層35Aと第2の保護膜層35Bとの2つの層が積層された2層構造であるとして説明したが、保護膜35は、3つ以上の層が積層された多層構造であっても構わない。
【0216】
図15は、保護膜35が3層構造である場合における、第1の外周構造101Aの構造の一例を示す拡大断面図である。
【0217】
図15に示すように、保護膜35が3層構造である場合には、第1の保護膜層35Aと第2の保護膜層35Bとに加えて、さらに、第1の保護膜層35Aと第2の保護膜層35Bとに挟まれた第3の保護膜層35Cとが積層されて構成されるとしてもよい。
【0218】
なお、実施の形態2における<考察>の項目で論じたロジックは、第1の配線電極12および第2の配線電極52の厚さが10μmよりも過度に薄い場合には、成立しない可能性があることに注意する必要がある。
【0219】
(実施の形態3)
以下、実施の形態1に係る半導体装置1または実施の形態2に係る半導体装置1A、もしくは、半導体装置1または半導体装置1Aと、第1の配線電極12、第2の配線電極52、および、保護膜35の構成が同様である半導体装置(以下、「実装用半導体装置」とも称する)が層間絶縁膜内にフェイスアップで実装された、実施の形態3に係る実装基板について説明する。
【0220】
ここでは、実施の形態3に係る実装基板について、半導体装置1の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略する。
【0221】
なお、実施の形態3においては、実施の形態3に係る実装基板が実装する半導体装置が半導体装置1であるとして説明するが、実施の形態3に係る実装基板が実装する半導体装置が半導体装置1Aである場合、および、実装用半導体装置である場合も同様である。
【0222】
図16は、実施の形態3に係る実装基板70の構造の一例を示す平面図である。
図16に示すように、実装基板70は、長手方向を有する形状である。ここでは、
図16中のX軸方向が、実装基板70の長手方向となっている。
【0223】
図17は、実装基板70の構造の一例を示す断面図である。
図17は、
図16のVI-VIにおける切断面を示す。
【0224】
図16、
図17に示すように、実装基板70は、第1の配線層76と、層間絶縁膜78と、第2の配線層77とを備え、第1の配線層76と、層間絶縁膜78と、第2の配線層77とが、この順で積層されて構成される。
【0225】
なお、ここでは、実装基板70は、配線層として、第1の配線層76と第2の配線層77との2つの配線層を備えるとして説明するが、実装基板70は、配線層として、第1の配線層76と第2の配線層77との2つの配線層を備える構成に限定される必要はない。
【0226】
他の構成例として、実装基板70は、例えば、第1の配線層76よりも下層側、または/および、第2の配線層77よりも上層側に、さらなる1以上の配線層を備える構成であっても構わない。
【0227】
実装基板70は、さらに、層間絶縁膜78内に、半導体装置1と、電子部品81と、1以上の第1の接続配線91(ここでは、
図16、
図17中の第1の接続配線91A~第1の接続配線91Dの4つ第1の接続配線91)と、第2の接続配線92とを備え、第2の配線層77内に、第1の配線96と、第2の配線97とを備え、第2の配線層77上に、電子部品82と、電子部品83とを備える。
【0228】
ここでは、半導体装置1は、長手方向を有する矩形であり、電子部品83は、長手方向を有する矩形であるとして説明する。ここでは、
図16中のY軸方向が半導体装置1の長手方向であり、
図16中のX軸方向が電子部品83の長手方向となっている。
【0229】
なお、
図16において、半導体装置1と、電子部品81と、1以上の第1の接続配線91と、第2の接続配線92と、第1の配線電極12と、第2の配線電極52とを、破線によりあたかも視認することが出来るかの如く図示しているが、実際には、これらの構成要素を実装基板70の外部から視認することはできない。
【0230】
第1の配線層76と第2の配線層77とは、それぞれ、実装基板70に実装された部品、または/および、実装基板70の外部の部品間を電気的に接続するための配線を形成するための層である。
【0231】
層間絶縁膜78は、第1の配線層76と第2の配線層77との間に挟まれた絶縁膜である。ここでは、層間絶縁膜78は、樹脂からなるとして説明する。
【0232】
半導体装置1は、層間絶縁膜78内にフェイスアップで実装される。この際、半導体装置1は、実装基板70の平面視において、半導体装置1の長手方向(ここでは、
図16中のY軸方向)と、実装基板70の長手方向(ここでは、
図16中のX軸方向)とが互いに直交する向きに実装される。
【0233】
電子部品81は、層間絶縁膜78内に実装され、電子部品82は、第2の配線層77上に実装される。
【0234】
電子部品83は、第2の配線層77上に実装される。この際、電子部品83は、実装基板70の平面視において、少なくとも一部が半導体装置1と重なり、かつ、電子部品83の長手方向(ここでは、
図16中のX軸方向)と、半導体装置1の長手方向(ここでは、
図16中のY軸方向)とが互いに直交する向きに実装される。
【0235】
第1の配線96は、第2の配線層77内に形成された、例えば、銅、銀、または、これらの合金からなる配線である。
【0236】
第2の配線97は、第2の配線層77内に形成された、例えば、銅、銀、または、これらの合金からなる配線である。
【0237】
1以上の第1の接続配線91のそれぞれは、第1の配線96と、半導体装置1の第1の配線電極12の上面とを接続する、実装基板70に直交する方向(ここでは、
図16、
図17のZ軸方向)に延伸する配線であって、銅からなる。
【0238】
1以上の第1の接続配線91のそれぞれは、第1の配線電極12の上面とは、第1の配線電極12のうち、半導体層40の平面視において、第1の外周構造101に重ならない部分において接続する。
【0239】
1以上の第1の接続配線91のそれぞれは、例えば、層間絶縁膜78内に半導体装置1がフェイスアップで実装された後において、層間絶縁膜78に対して、例えば、レーザ加工により、層間絶縁膜78の上面から第1の配線電極12の上面にまで達する穴が形成され、その穴に銅が充填されることで形成される。
【0240】
1以上の第1の接続配線91のそれぞれの、1以上の第1の接続配線91のそれぞれが延伸する方向に直交する断面は円形である。
【0241】
なお、ここでは、1以上の第1の接続配線91は、第1の接続配線91A~第1の接続配線91Dの4つであるとして説明しているが、必ずしも4つに限定される必要はなく、1つであってもよいし、4つ以外の複数であってもよい。
【0242】
1以上の第1の接続配線91が複数であれば、複数の第1の接続配線91のうちの1つが断線したとしても、他の1以上の第1の接続配線91により、第1の配線電極12と第1の配線96との接続を維持することが出来る。
【0243】
また、1以上の第1の接続配線91が複数であれば、1以上の第1の接続配線91が1つの場合に比べて、1以上の第1の接続配線91における抵抗値の低減、および、1以上の第1の接続配線91を介してなされる放熱の高効率化を実現することができる。
【0244】
第2の接続配線92は、第2の配線97と、半導体装置1の第2の配線電極52の上面とを接続する、実装基板70に直交する方向(
図16、
図17のZ軸方向)に延伸する配線であって、銅からなる。
【0245】
第2の接続配線92は、第2の配線電極52の上面とは、第2の配線電極52のうち、半導体層40の平面視において、第2の外周構造102に重ならない部分において接続する。
【0246】
第2の接続配線92は、例えば、層間絶縁膜78内に半導体装置1がフェイスアップで実装された後において、層間絶縁膜78に対して、例えば、レーザ加工により、層間絶縁膜78の上面から第2の配線電極52の上面にまで達する穴が形成され、その穴に銅が充填されることで形成される。
【0247】
なお、1以上の第1の接続配線91のうちの少なくとも1つの断面は、後述する第2の接続配線92の断面よりも大きくてもよい。これは、第1の縦型MOSトランジスタ10において、第1のソース電極13に流れる電流の方が、第1のゲート電極19に流れる電流よりも大きいからである。
【0248】
図18は、半導体装置1が備える第1の配線電極12が複数である(ここでは、第1の配線電極12A~第1の配線電極12Fの6つである)場合における、実装基板70の構造の一例を示す拡大平面図である。
【0249】
なお、
図18において、半導体装置1、第1の配線電極12(ここでは、第1の配線電極12A~第1の配線電極12F)、第2の配線電極52、第1の接続配線91(ここでは、第1の接続配線91E~第1の接続配線91J)、第2の接続配線92等を、破線によりあたかも視認することが出来るかの如く図示しているが、実際には、これらの構成要素を実装基板70の外部から視認することができない。
【0250】
図18に示すように、半導体装置1が備える第1の配線電極12が複数である場合には、1以上の第1の接続配線91は、複数の第1の配線電極12のそれぞれと1対1で対応する複数である。この場合、複数の第1の配線電極12のそれぞれは、当該第1の配線電極12に1対1で対応する1の第1の接続配線91により、第1の配線96に接続する。
【0251】
この際、複数の第1の接続配線91のそれぞれの、複数の第1の接続配線91のそれぞれが延伸する方向に直交する断面は、互いに等しいとしてもよい。
【0252】
これにより、実装基板70の製造を、比較的容易なものとすることができる。
【0253】
<考察>
実施の形態1において説明した通り、半導体装置1は、実装基板70に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置である。
【0254】
このため、上記構成の実装基板70によると、実装基板70に埋め込んで実装される実装方法に適した構造を有する半導体装置1を実装する実装基板が提供される。
【0255】
なお、実装基板70が実装する半導体装置が、半導体装置1Aである場合、実装用半導体装置である場合も同様である。
【0256】
上述した通り、実装基板70の平面視において、実装基板70は、長手方向を有する形状であり、半導体装置1は、長手方向を有する形状であり、実装基板70の長手方向と、半導体装置1の長手方向とは、互いに直交する。
【0257】
これにより、実装基板70の製造過程における熱処理時に生じる、実装基板70の反りと、半導体装置1の反りとが互いに助長し合うことが抑制される。
【0258】
また、上述した通り、実装基板70の平面視において、少なくとも一部が半導体装置1と重なる電子部品83は、長手方向を有する形状であり、半導体装置1は、長手方向を有する形状であり、電子部品83の長手方向と、半導体装置1の長手方向とは、互いに直交する。
【0259】
これにより、実装基板70の製造過程における熱処理時に生じる、電子部品83の反りと、半導体装置1の反りとが互いに助長し合うことが抑制される。
【0260】
なお、実装基板70において、第1の配線電極12の上面のうちの最も低い位置を基準とする、半導体装置1の最上方位置までの高さは、実装基板70に直交する方向における、1以上の第1の接続配線91の長さの15%以上であるとしてもよい。
【0261】
第1の接続配線91の長さは、半導体装置1の直上に封止される樹脂の厚さと同等である。
【0262】
第1の配線電極12の上面のうちの最も低い位置を基準とする、半導体装置1の最上方位置までの高さは、樹脂への食い込み量であり、本開示においては、第1の配線電極12の厚さの50%を確保することを想定する。
【0263】
先に説明した通り、第1の配線電極12の厚さは、樹脂の厚さの1/3以上であるため、食い込み量は、樹脂の厚さの1/3×0.5(50%)=1/6≒0.15、すなわち、15%以上あれば、十分なアンカー効果を得られることとなる。
【0264】
これにより、層間絶縁膜78の上面に、第1の外周構造101を反映した突起が形成されると共に、第1の接続配線91の形成過程において、実装基板70に対して行うレーザ加工により、層間絶縁膜78の上面から第1の配線電極12の上面にまで達する穴を形成する際における、第1の配線電極12の厚さのマージンを十分に確保することができる。
【0265】
(補足)
以上、本開示の一態様に係る半導体装置、および、実装基板について、実施の形態1~実施の形態3に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形をこれら実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0266】
本開示は、半導体装置、および、実装基板等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0267】
1、1A 半導体装置
10 第1の縦型MOSトランジスタ
12、12A、12B、12C、12D、12E、12F 第1の配線電極
13 第1のソース電極
14 第1のソース領域
15 第1のゲート導体
16 第1のゲート絶縁膜
18 第1のボディ領域
19 第1のゲート電極
20 第2の縦型MOSトランジスタ
22 第3の配線電極
23 第2のソース電極
24 第2のソース領域
25 第2のゲート導体
26 第2のゲート絶縁膜
28 第2のボディ領域
29 第2のゲート電極
30 金属層
32 半導体基板
33 低濃度不純物層
34 酸化膜
35 保護膜
35A 第1の保護膜層
35B 第2の保護膜層
35C 第3の保護膜層
40 半導体層
52 第2の配線電極
54 第4の配線電極
61 第1の開口部
62 第2の開口部
63 第3の開口部
64 第4の開口部
70 実装基板
71 第1の配線電極露出部
72 第2の配線電極露出部
76 第1の配線層
77 第2の配線層
78 層間絶縁膜
81、82、83 電子部品
91、91A、91B、91C、91D、91E、91F、91G、91H、91I、91J 第1の接続配線
92 第2の接続配線
96 第1の配線
97 第2の配線
101、101A 第1の外周構造
102、102A 第2の外周構造
201 第1の壁面
202 第1のテーパ形状領域