(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/04817 20220101AFI20241007BHJP
【FI】
G06F3/04817
(21)【出願番号】P 2024111712
(22)【出願日】2024-07-11
【審査請求日】2024-07-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119585
【氏名又は名称】東田 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100203873
【氏名又は名称】浦部 弘章
(72)【発明者】
【氏名】ハーンストラ ベン
(72)【発明者】
【氏名】ペリー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン イジョ
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2023/084655(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0324615(US,A1)
【文献】国際公開第2020/152828(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00-3/18
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して提供されるサービスを受けるために利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムの表示画面の所定領域に表示されるp個のアイコンを、q個のアイコンの中から選択する情報処理装置であって(p<q、pとqは自然数)、
前記q個のアイコンのそれぞれは、利用者の操作に応じて前記サービスに関連する子サービスを提供可能にするものであり、
母集団となる利用者群における前記子サービスのそれぞれの利用状況に基づいて計算された初期指標値を、対象利用者の行動に応じて修正した、前記対象利用者ごとの事後指標値を計算する計算部と、
前記対象利用者ごとの事後指標値に基づいて、前記q個のアイコンについてランキング処理を行い、上位から順にp個のアイコンを前記対象利用者の利用する前記アプリケーションプログラムの前記所定領域に表示させるランキング処理部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記初期指標値と前記事後指標値のそれぞれは、前記初期指標値と前記事後指標値のそれぞれを推定した確率分布からサンプリングによって得られるものである、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記確率分布は、前記アイコンの操作状況を推定した第1確率分布と、前記子サービスの実績状況を推定した第2確率分布とを組み合わせたものである、
請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1確率分布は、CTR(Click Through Rate)を推定したものであり、クリック数を第1パラメータ、ビュー数を第2パラメータとしたベータ分布で定義される、
請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記計算部は、前記第1確率分布の前記事後指標値を求める際に、前記所定領域に前記p個のアイコンが表示されたが、前記p個のアイコンのいずれも操作されなかった場合、1よりも小さい値を前記ビュー数に加算する、
請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2確率分布は、前記子サービスにおけるGMV(Gross Merchandise Value)、対数正規分布で定義される、
請求項3または4記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ランキング処理部は、前記対象利用者が所定回数以上操作したアイコンについて、前記事後指標値よりも優先して上位にランキングする、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
ネットワークを介して提供されるサービスを受けるために利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムの表示画面の所定領域に表示されるp個のアイコンを、q個のアイコンの中から選択する情報処理装置が行う情報処理方法であって(p<q、pとqは自然数)、
前記q個のアイコンのそれぞれは、利用者の操作に応じて前記サービスに関連する子サービスを提供可能にするものであり、
母集団となる利用者群における前記子サービスのそれぞれの利用状況に基づいて計算された初期指標値を、対象利用者の行動に応じて修正した、前記対象利用者ごとの事後指標値を計算する処理と、
前記対象利用者ごとの事後指標値に基づいて、前記q個のアイコンについてランキング処理を行い、上位から順にp個のアイコンを前記対象利用者の利用する前記アプリケーションプログラムの前記所定領域に表示させる処理と、
を備える情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置に、ネットワークを介して提供されるサービスを受けるために利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムの表示画面の所定領域に表示されるp個のアイコンを、q個のアイコンの中から選択させるプログラムであって(p<q、pとqは自然数)、
前記q個のアイコンのそれぞれは、利用者の操作に応じて前記サービスに関連する子サービスを提供可能にするものであり、
前記情報処理装置に、
母集団となる利用者群における前記子サービスのそれぞれの利用状況に基づいて計算された初期指標値を、対象利用者の行動に応じて修正した、前記対象利用者ごとの事後指標値を計算する処理と、
前記対象利用者ごとの事後指標値に基づいて、前記q個のアイコンについてランキング処理を行い、上位から順にp個のアイコンを前記対象利用者の利用する前記アプリケーションプログラムの前記所定領域に表示させる処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子商取引や電子決済といったネットワークを介して提供されるサービスを受けるために、スマートフォンなどで動作するアプリケーションプログラムが多用されている。この種のサービスは派生的に色々なサービスを提供することが多く、アプリケーションプログラムの表示画面には、サービスを呼び出す(起動する)ためのアイコンが設けられる。なおサービスはミニアプリという形態のインターフェースを介して提供される場合がある。アプリケーションプログラムの表示画面の広さには限りがあるため、用意されたアイコンに比して表示可能なアイコンの数が少ないことがあり、どのアイコンを優先して表示すべきかについて研究が進められている。特許文献1には、商品またはサービスの総売上高を示す第1情報と、利用者によって選択された回数を示す第2情報とに基づいてアイコン(ミニアプリ)のランキングを行うことについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、利用者に固有の操作、行動の傾向をどのようにランキングに反映させるかについて考慮がなされていなかった。このように、従来の技術では、利用者に固有の傾向を反映させてアイコン選択を行うことができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、利用者に固有の傾向を反映させてアイコン選択を行うことが可能な情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ネットワークを介して提供されるサービスを受けるために利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムの表示画面の所定領域に表示されるp個のアイコンを、q個のアイコンの中から選択する情報処理装置であって(p<q、pとqは自然数)、前記q個のアイコンのそれぞれは、利用者の操作に応じて前記サービスに関連する子サービスを提供可能にするものであり、母集団となる利用者群における前記子サービスのそれぞれの利用状況に基づいて計算された初期指標値を、対象利用者の行動に応じて修正した、前記対象利用者ごとの事後指標値を計算する計算部と、前記対象利用者ごとの事後指標値に基づいて、前記q個のアイコンについてランキング処理を行い、上位から順にp個のアイコンを前記対象利用者の利用する前記アプリケーションプログラムの前記所定領域に表示させるランキング処理部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、利用者に固有の傾向を反映させてアイコン選択を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実店舗型電子決済の基本的な態様を示す図である。
【
図2】決済アプリを利用した電子決済(端末決済)を行うための構成の一例を示す図である。
【
図3】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
【
図4】加盟店/店舗情報174の内容の一例を示す図である。
【
図5】ユーザスキャンが行われる際の処理の流れの概要を示す図である。
【
図6】ストアスキャンが行われる際の処理の流れの概要を示す図である。
【
図7】決済カードを利用した電子決済(カード決済)を行うための構成の一例を示す図である。
【
図8】決済アプリ20のトップ画面IM1の一例を示す図である。
【
図9】表示アイコン制御の主要部分を実行する情報処理装置300の構成と使用環境の一例を示す図である。
【
図10】情報処理装置300による処理の概要を示す図である。
【
図11】3つのアイコンについて、カウントされるビュー数(およびクリック数)が増加するのに応じて確率分布が変化する様子を示す図である。
【
図12】ビュー数とクリック数のカウント方法を例示した図である。
【
図13】ランキング処理部330による処理の結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[概要]
以下、図面を参照し、本発明に係る情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。情報処理装置は、ネットワークを介して提供されるサービスを受けるためのアプリケーションプログラムの表示画面の所定領域に表示されるアイコンを選択する。サービスは、種々のサービスであってよいが、以下の説明では一例として電子決済サービスであるものとする。より具体的に、電子決済サービスは、実空間上の店舗(実店舗)での決済を行うものである。電子決済サービスに関連して、投資、利用者間通信、納税といった様々な子サービスが提供され得る。
【0010】
[実店舗型電子決済の態様]
図1は、実店舗型電子決済の基本的な態様を示す図である。基本的に実店舗型電子決済は、利用者Uが保持する媒体M、店舗設備E、決済システムSの三者によって実行される。媒体Mは、スマートフォンなどの可搬型コンピュータ装置やクレジットカードなどである。店舗設備Eは、実店舗(以下、単に店舗と称する)に存在するものであり、POS装置、無線通信装置、クレジットカードリーダ、QRコード(登録商標)などのコード画像の印刷物、またはコード画像を表示する表示装置などである。実店舗型電子決済では、まず媒体Mと店舗設備Eの間で、利用者の識別情報を認識可能な情報や決済額の情報などが一方向または双方向に共有される。この際に、媒体Mまたは店舗設備Eのうち一方が、他方が表示するコード画像から各種の情報を光学的に読み取ったり、NFC(Near Field Communication)通信によって情報提供が行われたり、PAN(Primary Account Number)がクレジットカードリーダによって読み取られたりする。そして、媒体Mまたは店舗設備Eの一方(他方から情報を取得した側)が、ネットワークNWを介して決済に必要な決済情報を決済システムSに送信する。なお、媒体Mと店舗設備Eの双方が何らかの情報を決済システムSに情報を送信してもよい。決済システムSは、利用者Uの各種情報を管理しており、種々の態様で店舗と利用者Uとの間の電子決済を行う。電子決済は、プリペイド方式と後払い(ポストペイ)のうち一方または双方で、或いは他の手法により行われる。この他、電子決済には、利用者の端末装置と決済システムの二者で実行される、いわゆるネットショッピングの態様も含まれ得る。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。以降に登場する、ネットワークNWを介して通信する各種装置は、ネットワークカードや無線通信モジュールなどの通信装置を有しているものとする。
【0011】
[構成(端末決済)]
図2は、決済アプリを利用した電子決済(端末決済)を行うための構成の一例を示す図である。この電子決済は、媒体Mの一つである利用者端末装置10において動作する決済アプリ20、店舗設備Eの一つである一以上の店舗決済端末装置30および一以上の店舗コード画像40、決済システムSの一部を構成する決済サーバ100などを中心として実行される。決済サーバ100は、利用者端末装置10、店舗決済端末装置30、および一以上の情報端末50とネットワークNWを介して通信する。
【0012】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリ配信サーバ(不図示)から利用者端末装置10にインストールされ、利用者端末装置10のカメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0013】
店舗決済端末装置30は、例えば、店舗に設置される。店舗決済端末装置30は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置(あるいはその集合体)である。店舗決済端末装置30は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置が商品価格取得機能や光学読取機能を有してもよい。
【0014】
店舗コード画像40は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像40は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンやタブレット端末等の端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0015】
情報端末50は、店舗を統括する加盟店の運営者によって使用される。電子決済サービスにおいて、商品またはサービスの提供者としての顧客は加盟店(ブランド)として扱われ、その傘下に一以上の店舗が存在する。一店舗のみ運営する加盟店が存在してもよい。情報端末50は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。情報端末50は、加盟店向けインターフェース55が動作する。加盟店向けインターフェース55は、加盟店向けアプリであってもよいし、汎用のブラウザによって表示されるウェブページであってもよい。加盟店向けインターフェース55は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。情報端末50は、加盟店向けインターフェース55を実行することで、店舗コード画像40に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有してもよい(後者の場合、光学読取機能が必要である)。
【0016】
決済サーバ100は、クレジットカードサーバ200とネットワークNWを介して通信する。決済サーバ100は、例えば、コンテンツ提供部110と、情報管理部120と、決済処理部130と、記憶部170とを有する。記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable
Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0017】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、加盟店/店舗情報174などの情報が格納される。
【0018】
コンテンツ提供部110は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。コンテンツ提供部110は、ウェブページの形式でコンテンツを利用者端末装置10に提供したり、決済アプリ20が画像をレンダリングするのに必要なパラメータを利用者端末装置10に提供したりする。
【0019】
情報管理部120は、利用者情報172や加盟店/店舗情報174の編集、追加、削除などを行い、これらを管理する。
【0020】
図3は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワード、登録日、チャージ残高、電子マネー種別、端末決済方法、カード決済方法、各種履歴情報、本人確認済フラグ、氏名・住所・生年月日、メールアドレス、銀行口座、後払い設定、後払い条件情報などの情報が互いに対応付けられたものである。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する場合がある。図中、「-」で示す項目は、未設定であることを示す。
【0021】
利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものである。登録日は利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)への入金、登録された銀行口座からの送金などがある。電子マネーの種別は、例えば、電子マネーが出金可能なものであるか、電子決済にのみ使用可能なものであるかを示す情報である。端末決済方法は、端末決済において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか(残高払い)、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。カード決済方法は、カード決済において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか(残高払い)、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。各種履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴であるチャージ履歴、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額、決済方法など)を決済ごとに示す決済履歴などを含む。
【0022】
本人確認済フラグは、利用者が身分証明書を利用して行う本人確認が済んでいるか否かを示す情報である。後払いは本人確認が済んでいる場合に選択可能になり、図中のアカウントIDが「002」である利用者は本人確認が済んでいないため、端末決済方法として残高払いしか選択することができない。銀行口座は、電子決済サービスに入金可能な銀行口座の口座番号である。後払い設定は、後払いを選択可能にするための設定操作が済んでいるか否かを示す情報である。後払い条件情報は、後払いにおける限度額、当月利用額などの各種条件を示す情報である。
【0023】
図4は、加盟店/店舗情報174の内容の一例を示す図である。加盟店/店舗情報174は、例えば、店舗URLに対して加盟店IDと店舗IDが対応付けられた第1テーブル174Aと、加盟店IDに対して加盟店名と売上金(前述)が対応付けられた第2テーブル174Bと、店舗IDに対して店舗IDが対応付けられた第3テーブル174Cとを含む。加盟店/店舗情報174には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。
【0024】
決済処理部130は、電子決済のための各種処理を行う。端末決済には、以下に説明する第1方式(ユーザスキャン)と第2方式(ストアスキャン)の二つの方式がある。
【0025】
図5は、ユーザスキャンが行われる際の処理の流れの概要を示す図である。まず、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像40を読み取り、デコードする(S1)。店舗コード画像40には、店舗URLの情報が含まれている。決済アプリ20は、店舗URLと利用者のアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDを用いて加盟店/店舗情報174を検索し、加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を決済アプリ20に入力する(S5)。そして、決済アプリ20は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。
【0026】
決済サーバ100の決済処理部130は、当該利用者の利用者情報172における「端末決済方法」が「残高払い」になっている場合、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7-1)。このとき、決済処理部130は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。一方、「端末決済方法」が「後払い」になっている場合、決済処理部130は、第1決済情報や第2決済情報をクレジットカードサーバ200に送信して電子決済を依頼する(S7-2)。クレジットカードサーバ200は、受信した情報に基づいて利用者の月ごと利用額に決済額を加算し、締め日の後に利用者の銀行口座から月ごと利用額を差し引くなどして電子決済を行う(S7-3)。
【0027】
そして、決済処理部130は、コンテンツ提供部110を介して、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像40が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像40には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0028】
図6は、ストアスキャンが行われる際の処理の流れの概要を示す図である。まず、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100の決済処理部130はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を店舗決済端末装置30に翳し(提示し)、店舗決済端末装置30は、光学読取機能によってコード画像を読み取ってデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、店舗決済端末装置30は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。
【0029】
決済サーバ100の決済処理部130は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、当該利用者の利用者情報172における「端末決済方法」が「残高払い」になっている場合、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S17-1)。このときの処理の内容は
図5のS7-1の処理と同様である。一方、「端末決済方法」が「後払い」になっている場合、決済サーバ100は、第1決済情報や第2決済情報をクレジットカードサーバ200に送信して電子決済を依頼する(S17-2)。クレジットカードサーバ200は、受信した情報に基づいて利用者の月ごと利用額に決済額を加算し、締め日の後に利用者の銀行口座から月ごと利用額を差し引くなどして電子決済を行う(S17-3)。
【0030】
そして、決済処理部130は、コンテンツ提供部110を介して、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0031】
なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、
図2で
説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば
電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省
略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表
示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特
定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
【0032】
なお、「後払い」決済をクレジットカードサーバ200の管理で行うのではなく、決済サーバ100の内部で行ってもよい。この場合、決済カード60、クレジットカードサーバ200などの構成は省略されてもよい。
【0033】
[構成(カード決済)]
図7は、決済カードを利用した電子決済(カード決済)を行うための構成の一例を示す図である。この電子決済は、媒体Mの一つである決済カード60、店舗設備Eの一つであるクレジット処理端末70、決済システムSの一部を構成する決済サーバ100およびクレジットカードサーバ200などを中心として実行される。クレジットカードサーバ200は、クレジット処理端末70とネットワークNWを介して通信する。
【0034】
クレジット処理端末70は、店舗決済端末装置30と同様に、店舗に設置される。クレジット処理端末70は、例えば、クレジット決済端末(クレジットカードリーダー)と、POS装置とを含む。クレジット決済端末は、挿入され又は翳されたクレジットカードからPIN(Personal Identification Number)を読み取って、利用者により入力されたPINと照合したり、クレジットカードから読み取ったPAN(Primary Account Number)を、POS装置を介してクレジットカードサーバ200に送信したりする。POS装置は、クレジット決済端末と協働して決済額等の情報をクレジットカードサーバ200に送信する。クレジット処理端末70とクレジットカードサーバ200との間に、立替払取次業者(acquirer)サーバが介在してもよいが、以下では説明を簡略化するために、立替払取次業者サーバについての記述を省略する。決済カード60は、例えば、一般的に普及しているクレジットカードと同様の態様のものであり、通信チップがカード基材に埋め込まれたものである。通信チップはPINを記憶した記憶媒体を内蔵し、コンタクタ(或いは無線アンテナ)を介して外部装置と通信する。これに代えて、決済カード60は、磁気カードであってもよい。なお、クレジットカードの使用に際して送受信される情報(電文)には、認証のためのオーソリ電文と、決済額を伝えるための売り上げ電文が存在するが、以下ではこれらを区別した詳細な説明を省略する。
【0035】
クレジットカードサーバ200は、決済サーバ100とネットワークNWを介して通信する。クレジットカードサーバ200は、例えば、情報管理部210と、クレジットインターフェース220と、決済振分部230と、クレジット決済処理部240と、記憶部270とを有する。記憶部270以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶部270には、カード利用者情報272などの情報が格納される。
【0036】
情報管理部210は、カード利用者情報272の編集、追加、削除などを行い、これらを管理する。カード利用者情報272は、例えば、利用者に固有の情報(例えばPAN)と、カード決済方法と、当該利用者のアカウントID(決済サーバ100が使用するもの)とが互いに対応付けられた情報である。カード決済方法は、カード決済において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか(残高払い)、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。
【0037】
クレジットインターフェース220は、クレジット処理端末70から受信した電文に含まれるPANの中のBIN(Bank Identification Number)が自社向けのコードであるか否かを判定し、自社向けのコードである場合はクレジット処理端末70から受信した電文を決済振分部230に渡し、自社向けのコードでない場合は受信した電文を破棄する。
【0038】
決済振分部230は、クレジットインターフェース220から取得した電文に対応する利用者のカード利用者情報272を参照し、「カード決済方法」が「後払い」に設定されているか否かを判定する。「カード決済方法」が「後払い」に設定されている場合、決済振分部230は、その旨をクレジットインターフェース220に通知すると共に、クレジットインターフェース220から取得した電文をクレジット決済処理部240に渡す。一方、「カード決済方法」が「残高払い」に設定されている場合、決済振分部230は、クレジットインターフェース220から取得した電文に当該利用者のアカウントIDを追加して決済サーバ100に送信し、電子決済を依頼する。電子決済を依頼された決済サーバ100は、
図5のS7-1、
図6のS17-1と同様の処理を行う。
【0039】
クレジットインターフェース220は、PANや有効期限を確認し、決済額の累計が当月の上限を超えていないかどうかなどを確認する。クレジット決済処理部240は、決済振分部230から取得した電文に含まれる情報に基づいて利用者の月ごと利用額に決済額を加算し、締め日の後に利用者の銀行口座から月ごと利用額を差し引くなどして電子決済を行う。
【0040】
[表示アイコン制御]
以下、決済アプリ20における表示アイコン制御について説明する。
図8は、決済アプリ20のトップ画面IM1の一例を示す図である。トップ画面IM1は、アプリケーションプログラムの表示画面の一例であるが、アプリケーションプログラムの表示画面は他の画面であってもよい。トップ画面IM1には、コード画像や現在の端末決済方法が表示される領域A1、スキャン、送る、といった電子決済サービスにおける主機能を起動するための主アイコンが並ぶ領域A2、クーポンや公共料金といった子サービスを提供可能にするためのアイコン(特許請求の範囲におけるp個のアイコン)が並ぶ領域A3(所定領域の一例)などが設けられる。図示する例では、アイコンの表示場所として、SL1~SL6の6つが用意されているため、n=6である。SL-1が最も視認性が高く操作されやすいと考えられており、次いでSL-の後の数字が小さい順に良い表示位置と定義される。したがって、後述するランキング処理において上位のアイコンほど、SL-の後の数字が小さい表示場所に割り当てられる。領域A3には、利用者のお気に入り表示画面への遷移を指示するためのアイコン、q個(n<m、nとmは自然数)のアイコンの全てが表示される画面へのアイコン(「すべて」と表記したもの)も表示されるが、これらはランキングの対象ではなく固定的に表示される。
【0041】
図9は、表示アイコン制御の主要部分を実行する情報処理装置300の構成と使用環境の一例を示す図である。情報処理装置300は、例えば、決済サーバ100および/または利用者端末装置10と通信する。図では情報処理装置300は決済サーバ100とは別体の装置としているが、情報処理装置300は決済サーバ100の一機能であってもよい(決済サーバ100に包含されてもよい)。また、以下に説明する構成のうちランキング処理部330のみが決済サーバ100に搭載されるなど、適宜に分散配置されてもよい。
【0042】
情報処理装置300は、例えば、情報収集部310と、計算部320と、ランキング処理部330と、記憶部370とを有する。記憶部370以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0043】
記憶部370は、HDDやフラッシュメモリ、RAMなどである。記憶部370は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS装置であってもよい。記憶部370には、サンプルデータ372、利用者ごと事後指標値374などの情報が格納される。
【0044】
情報収集部310は、計算部320が計算するのに必要な情報を決済サーバ100から収集する。例えば、情報収集部310は、アイコンの操作履歴を含む利用者の操作履歴、決済アプリ20の各画面の表示履歴、アイコンの操作によって提示される子サービスにおける商品またはサービスの購入履歴などを、なるべく多くの利用者について収集し、サンプルデータ372として記憶部370に記憶させる。これらの情報は、例えば、決済サーバ100の利用者情報における各種履歴情報、決済サーバ100が管理している子サービスごとの実績情報などから取得される。
【0045】
計算部320は、母集団となる利用者群における子サービスのそれぞれの利用状況に基づいて計算された初期指標値を、対象利用者の行動に応じて修正した、対象利用者ごとの事後指標値を計算する。初期指標値と事後指標値のそれぞれは、初期指標値と事後指標値のそれぞれを推定した確率分布からサンプリングによって得られるものである。つまり、例えば、計算部320は0~1の間の乱数を生成し、乱数を、確率分布を表す確率密度関数の入力値とすることで初期指標値と事後指標値のそれぞれを計算する。
【0046】
確率分布は、アイコンの操作状況を推定した第1確率分布と、子サービスの実績状況を推定した第2確率分布とを組み合わせたものである。より具体的に、計算部320は、第1確率分布からサンプリングによって得られる値と、第2確率分布からサンプリングによって得られる値とを乗算することで初期指標値と事後指標値のそれぞれを計算する。初期指標値は利用者に共通の値であり、事後指標値は利用者ごとに計算され、利用者ごと事後指標値374として記憶部370に格納される。
【0047】
アイコンの操作状況を推定した第1確率分布とは、例えば、CTR(Click Through Rate)を推定したものであり、クリック数(厳密にいうとタップ数、操作数、あるいは選択数)を第1パラメータ、ビュー数(表示された回数)を第2パラメータとしたベータ分布(Beta)で定義される。以下の説明において第1確率分布はCTRの確率分布であるものとする。
【0048】
一方、子サービスの実績状況を推定した第2確率分布とは、例えば、子サービスごとのGMV(Gross Merchandise Value)であり、対数正規分布(Lognormal)で定義される。GMVに代えて、子サービスにおけるコンバージョン(サービス提供者にとって好ましい行動)を数値化した任意の値が子サービスの実績状況として設定されてもよい。以下の説明において第2確率分布はGMVの確率分布であるものとする。
【0049】
先に、事後指標値について説明する。事後指標値V(ハット)u
mの確率分布(事後指標値を求めるための確率密度関数)は式(1)で表される。式中、CTRu
mは、対象利用者uのアイコンmのCTRを推定した第1確率分布である。GMVu
mは、対象利用者uのアイコンmに対応する子サービスのGMVを推定した第2確率分布である。cu
mは、対象利用者uのアイコンmのクリック数である。vu
mは、対象利用者uのアイコンmのビュー数(つまり、領域A3を含む画面の表示回数)である。μu
mは、対象利用者uのアイコンmに対応する子サービスのGMVの平均値であり、σ2u
mは、対象利用者uのアイコンmに対応する子サービスのGMVの分散である。
【0050】
【0051】
ランキング処理部330は、対象利用者ごとの事後指標値に基づいて、q個のアイコンについてランキング処理を行い、上位から順にp個のアイコンを選択し、決済サーバ100に処理結果を伝える。決済サーバ100は、処理結果に基づいて領域A3に表示するアイコンを決済アプリ20に伝える。これによって、ランキング処理部330は、選択したアイコンを、対象利用者の利用する決済アプリ20の領域A3に表示させる。
【0052】
図10は、情報処理装置300による処理の概要を示す図である。サンプルデータ372が取得されることについては前述の通りである。
【0053】
計算部320は、以下のように利用者の母集団に対するアイコンごとの処理を行って初期指標値を計算する。
【0054】
計算部320は、CTRの初期確率分布を求めるために、サンプルデータ372から対象アイコンのクリック数がk回(例えば5回程度)以上である利用者のデータを抽出し、第1母集団とする。そして、計算部320は、第1母集団におけるCTRの平均値を定数倍(例えば20倍)して疑似クリック数cmを計算し、その定数から疑似クリック数cmを差し引いて疑似ビュー数vmを計算する。計算部320は、Beta(cm,vm-cm)をCTRの初期確率分布とし、これに対して乱数を適用してサンプリングを行うことでCTRの初期指標値を算出する。
【0055】
一方、計算部320は、GMVの初期確率分布を求めるために、サンプルデータ372から対象アイコンに対応する子サービスで取引実績(支払い実績)がある利用者のデータを抽出し、第2母集団のデータとする。そして、計算部320は、第2母集団に含まれる利用者のGMVの平均値μmおよび分散値σ2
mを取得する。計算部320は、これらをパラメータとする対数正規分布をGMVの初期確率分布とし、これに対して乱数を適用してサンプリングを行うことでGMVの初期指標値を算出する。そして、計算部320は、CTRの初期指標値とGMVの初期指標値を乗算して初期指標値を算出する。初期指標値は、クリック実績やビュー実績が全く存在しない利用者に対して用いられる。
【0056】
また、計算部320は、クリック実績やビュー実績などが累積し始めた対象利用者に関して、対象利用者についてアイコンごとの処理を行って事後指標値を計算する。
【0057】
計算部320は、疑似クリック数cmに対象利用者の実際のクリック数を加算してクリック数cu
mを算出する。また、計算部320は、疑似ビュー数vm対象利用者の実際のビュー数を加算してビュー数vu
mを算出する。計算部320は、Beta(cu
m,vu
m-cu
m)をCTRの事後確率分布とし、これに対して乱数を適用してサンプリングを行うことでCTRの事後指標値を算出する。
【0058】
一方、計算部320は、式(2)に基づいて対象利用者についてのGMVの平均値μu
mおよび分散値σ2u
mを算出する。式中、Xu
m,kは対象利用者uがアイコンmに対応する子サービスにおいてk回目に支払った金額である。計算部320は、平均値μu
mおよび分散値σ2u
mをパラメータとする対数正規分布をGMVの事後確率分布とし、これに対して乱数を適用してサンプリングを行うことでGMVの事後指標値を算出する。
【0059】
【0060】
このようにしてCTRとGMVの事後指標値を算出すると、計算部320は。これらを乗算して対象利用者uのアイコンmに関する事後指標値V(ハット)u
mを算出し、利用者ごと事後指標値374として記憶部370に格納する。計算部320は、このような処理を利用者ごと、アイコンごとに繰り返し実行する。
【0061】
計算部320は、例えば、1週間に1回程度の頻度で定期的に上記の処理を行う。その際、「利用者の母集団に対するアイコンごとの処理」に関しては、「対象利用者についてのアイコンごとの処理」よりも低頻度に行われてもよい。前者の計算過程で得られた情報を、後者において使いまわしても特段、支障ないからである。
【0062】
CTRの事後指標値に着目すると、ベータ分布の性質上、クリック数c
u
mとビュー数v
u
mが大きくなるほど、確率分布の尖度が高くなり、サンプリングされた値の信頼度が高くなる。
図11は、3つのアイコンについて、カウントされるビュー数(およびクリック数)が増加するのに応じてベータ分布が変化する様子を示す図である。ビュー数が少ない時点では確率分布が比較的平坦であるが、ビュー数が増加するのに応じて各アイコンおよび対応する子サービスの特徴がピークとして現れることが分かる。
【0063】
ここで、計算部320は、第1確率分布の事後指標値を求めるためにクリック数c
u
m、ビュー数v
u
mをカウントする際に、領域A3にp個のアイコンが表示されたが、p個のアイコンのいずれも操作されなかった場合、1よりも小さい値をビュー数に加算するようにしてもよい。
図12は、ビュー数とクリック数のカウント方法を例示した図である。ここでは「1よりも小さい値」を0.1としている。図示するように、トップ画面IM1が表示された後(この時点で領域A3にp個のアイコンが表示されているのでビューが発生している)、領域A3以外への操作によって画面遷移が行われた場合、領域A3に表示されたp個のアイコンのビュー数に1を加算する。一方、トップ画面IM1が表示された後、領域A3に表示されたp個のアイコンのいずれかの操作によって画面遷移が行われた場合、操作されたアイコンのクリック数に1を、p個のアイコンのビュー数に1を加算する。これは、そもそも領域A3に表示されたアイコンに興味がなく、速やかにスキャンなどを行いたかった利用者について、トップ画面IM1が表示される度にビュー数を1加算していくのは過剰と考えられるからである。これによって、利用者の嗜好をより正確に事後指標値に反映させることができる。
【0064】
ランキング処理部330の処理について、より詳細に説明する。ランキング処理部330は、事後指標値V(ハット)u
mだけでなく、以下の優先順位に従ってランキング処理を行ってよい。
(1)所定回数(例えば2回程度)以上操作(クリック)されたアイコンを、そうでないアイコンよりも上位にする。
(2)(1)に従いつつ、事後指標値V(ハット)u
mの高い順に並べる。
(3)事後指標値V(ハット)u
mが同じ値であればアイコン名の順(50音順、或いはアルファベット順)にならべる。
【0065】
図13は、ランキング処理部330による処理の結果の一例を示す図である。図中、アイコン名(子サービス名)が「rr」であるアイコンは、事後指標値V(ハット)
u
mが、アイコン名(子サービス名)が「aa」、「dd」であるアイコンよりも小さいにも関わらず、クリック数が2回以上であるため、それらよりも上位にランキングされている。これによって、子サービスごとの商業規模よりも利用者の嗜好を優先することができ、よりユーザーフレンドリーなサービスを提供することができる。
【0066】
以上説明した実施形態によれば、利用者に固有の傾向を反映させてアイコン選択を行うことができる。
【0067】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0068】
E 店舗設備
M 媒体
S 決済システム
10 利用者端末装置
20 決済アプリ
30 店舗決済端末装置
40 店舗コード画像
60 決済カード
70 クレジット処理端末
100 決済サーバ
200 クレジットカードサーバ
300 情報処理装置
310 情報収集部
320 計算部
330 ランキング処理部
370 記憶部
【要約】
【課題】利用者に固有の傾向を反映させてアイコン選択を行うこと。
【解決手段】ネットワークを介して提供されるサービスを受けるために利用者の端末装置で動作するアプリケーションプログラムの表示画面の所定領域に表示されるp個のアイコンを、q個のアイコンの中から選択する情報処理装置であって(p<q、pとqは自然数)、q個のアイコンのそれぞれは、利用者の操作に応じてサービスに関連する子サービスを提供可能にするものであり、母集団となる利用者群における子サービスのそれぞれの利用状況に基づいて計算された初期指標値を、対象利用者の行動に応じて修正した、対象利用者ごとの事後指標値を計算し、対象利用者ごとの事後指標値に基づいて、q個のアイコンについてランキング処理を行い、上位から順にp個のアイコンを対象利用者の利用するアプリケーションプログラムの所定領域に表示させる情報処理装置。
【選択図】
図9