(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-04
(45)【発行日】2024-10-15
(54)【発明の名称】モータ制御装置及びモータ制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 6/10 20060101AFI20241007BHJP
H02P 27/08 20060101ALI20241007BHJP
【FI】
H02P6/10
H02P27/08
(21)【出願番号】P 2024530943
(86)(22)【出願日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 JP2023024109
(87)【国際公開番号】W WO2024005116
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2024-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2022106156
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】政光 寿彦
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113826(JP,A)
【文献】国際公開第2020/066184(WO,A1)
【文献】特開2017-135949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P6/00-6/34
21/00-25/03
25/04
25/10-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相モータの第1相端子、第2相端子及び第3相端子に夫々電気的に接続される第1アーム、第2アーム及び第3アームを含む、インバータ回路と、
第1期間では、前記第1アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオフに制御し、前記第2アームのハイサイド及びローサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオフに制御し、前記第3アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオンに制御し、
前記第1期間
と途切れなく連続する第2期間では、前記第1アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオンに制御し、第2アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオフに制御し、第3アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオンに制御する、制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする、モータ制御装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第2期間では、前記3相モータの第1相端子と前記3相モータの中性点との間の電圧がゼロになるように、前記第1アームのローサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてパルス幅変調制御する、
ことを特徴とする、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記第2期間
と途切れなく連続する第3期間では、前記第1アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第3期間の全部においてオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第3期間の全部においてオンに制御し、第2アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第3期間の全部においてオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第3期間の全部においてオフに制御し、第3アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第3期間の全部においてオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第3期間の全部においてオフに制御する、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記第3期間では、前記3相モータの第3相端子と前記3相モータの中性点との間の電圧がゼロになるように、前記第3アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第3期間の全部においてパルス幅変調制御する、
ことを特徴とする、請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
第1期間では、3相モータの第1相端子に電気的に接続された第1アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオフに制御し、前記3相モータの第2相端子に電気的に接続された第2アームのハイサイド及びローサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオフに制御し、前記3相モータの第3相端子に電気的に接続された第3アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第1期間の全部においてオンに制御し、
前記第1期間
と途切れなく連続する第2期間では、前記第1アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオンに制御し、第2アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオフに制御し、第3アームのハイサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子を
前記第2期間の全部においてオンに制御する、
ことを特徴とする、モータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ制御装置及びモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3相モータを備えた物として、EV(電動車。二輪車、四輪車を含む。)が例示される。EVは、停止又は後進から前進する際に、大きなトルクを早く発生させるため、120°矩形波制御を行い、その後、正弦波制御に移行する。特許文献1及び2には、矩形波制御から正弦波制御への切り替え時のトルク変動を抑制する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-285288号公報
【文献】特開2013-5618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3相モータでは、120°矩形波制御を行っている期間中に振動及び音が発生する。
【0005】
本開示は、120°矩形波制御の期間中に発生する振動及び音を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のモータ制御装置は、
3相モータの第1相端子、第2相端子及び第3相端子に夫々電気的に接続される第1アーム、第2アーム及び第3アームを含む、インバータ回路と、
第1期間では、前記第1アームのハイサイドのスイッチング素子をオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオフに制御し、前記第2アームのハイサイド及びローサイドのスイッチング素子をオフに制御し、前記第3アームのハイサイドのスイッチング素子をオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオンに制御し、
前記第1期間に引き続く第2期間では、前記第1アームのハイサイドのスイッチング素子をオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオンに制御し、第2アームのハイサイドのスイッチング素子をオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオフに制御し、第3アームのハイサイドのスイッチング素子をオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオンに制御する、制御回路と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0007】
本開示のモータ制御装置において、
前記制御回路は、
前記第2期間では、前記3相モータの第1相端子と前記3相モータの中性点との間の電圧がゼロになるように、前記第1アームのローサイドのスイッチング素子をパルス幅変調制御する、
ことを特徴とする。
【0008】
本開示のモータ制御装置において、
前記制御回路は、
前記第2期間に引き続く第3期間では、前記第1アームのハイサイドのスイッチング素子をオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオンに制御し、第2アームのハイサイドのスイッチング素子をオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオフに制御し、第3アームのハイサイドのスイッチング素子をオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオフに制御する、
ことを特徴とする。
【0009】
本開示のモータ制御装置において、
前記制御回路は、
前記第3期間では、前記3相モータの第3相端子と前記3相モータの中性点との間の電圧がゼロになるように、前記第3アームのハイサイドのスイッチング素子をパルス幅変調制御する、
ことを特徴とする。
【0010】
本開示のモータ制御方法は、
第1期間では、3相モータの第1相端子に電気的に接続された第1アームのハイサイドのスイッチング素子をオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオフに制御し、前記3相モータの第2相端子に電気的に接続された第2アームのハイサイド及びローサイドのスイッチング素子をオフに制御し、前記3相モータの第3相端子に電気的に接続された第3アームのハイサイドのスイッチング素子をオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオンに制御し、
前記第1期間に引き続く第2期間では、前記第1アームのハイサイドのスイッチング素子をオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオンに制御し、第2アームのハイサイドのスイッチング素子をオンに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオフに制御し、第3アームのハイサイドのスイッチング素子をオフに制御し、ローサイドのスイッチング素子をオンに制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、120°矩形波制御の期間中に発生する振動及び音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、比較例のモータ制御装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態のモータ制御装置の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態のモータ制御装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0014】
<実施形態>
実施形態及び比較例では、モータ制御装置及びモータを備えた物として、EVを例にとって説明するが、本開示はこれに限定されない。本開示は、モータ制御装置及びモータを備えた各種の物に適用可能である。
【0015】
以下、実施形態について説明するが、実施形態の理解を容易にするために、比較例について先に説明する。
【0016】
(比較例)
図1は、比較例のモータ制御装置の構成を示す図である。モータ制御装置101は、直流電源2から電圧Vinの供給を受けて、モータ7を動作させる。
【0017】
モータ制御装置101は、インバータ10と、制御回路102と、を含む。
【0018】
インバータ10は、第1アーム10Uと、第2アーム10Vと、第3アーム10Wと、を含む。インバータ10は、3個のアームを含む3相のインバータである。
【0019】
第1アーム10Uは、U相のアームである。第2アーム10Vは、V相のアームである。第3アーム10Wは、W相のアームである。第1アーム10Uと、第2アーム10Vとの間の位相差は、120度である。第2アーム10Vと、第3アーム10Wとの間の位相差は、120度である。第3アーム10Wと、第1アーム10Uとの間の位相差は、120度である。
【0020】
第1アーム10Uは、ハイサイドのトランジスタ11と、ローサイドのトランジスタ12と、を含む。
【0021】
本開示では、各トランジスタがMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)であることとしたが、これに限定されない。各トランジスタは、シリコンパワーデバイス、GaNパワーデバイス、SiCパワーデバイスなどでも良い。
【0022】
各トランジスタは、積極的に電流を流すことができる寄生ダイオード(ボディダイオード)を有する、又は、逆並列にダイオードが接続されている。寄生ダイオードとは、MOSFETのバックゲートとソース及びドレインとの間のpn接合である。ダイオードは、トランジスタのオフ時の過渡的な逆起電力を逃すためのフリーホイールダイオードとして利用可能である。
【0023】
各トランジスタが、本開示の「スイッチング素子」の一例に相当する。
【0024】
トランジスタ11は、ドレイン-ソース間に、ダイオード11Dを有する。トランジスタ12は、ドレイン-ソース間に、ダイオード12Dを有する。
【0025】
トランジスタ11のドレインは、モータ制御装置101の第1入力端子1aに電気的に接続されている。第1入力端子1aは、直流電源2の高電位側端に電気的に接続されている。
【0026】
トランジスタ11のソースは、トランジスタ12のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ12のソースは、モータ制御装置101の第2入力端子1bに電気的に接続されている。第2入力端子1bは、直流電源2の低電位側端に電気的に接続されている。
【0027】
トランジスタ11のソース及びトランジスタ12のドレインは、モータ制御装置101の第1出力端子1cに電気的に接続されている。第1出力端子1cは、モータ7の第1相端子7aに電気的に接続されている。モータ7の第1相端子7aは、U相端子である。
【0028】
第2アーム10Vは、ハイサイドのトランジスタ13と、ローサイドのトランジスタ14と、を含む。
【0029】
トランジスタ13は、ドレイン-ソース間に、ダイオード13Dを有する。トランジスタ14は、ドレイン-ソース間に、ダイオード14Dを有する。
【0030】
トランジスタ13のドレインは、第1入力端子1aに電気的に接続されている。トランジスタ13のソースは、トランジスタ14のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ14のソースは、第2入力端子1bに電気的に接続されている。
【0031】
トランジスタ13のソース及びトランジスタ14のドレインは、モータ制御装置101の第2出力端子1dに電気的に接続されている。第2出力端子1dは、モータ7の第2相端子7bに電気的に接続されている。モータ7の第2相端子7bは、V相端子である。
【0032】
第3アーム10Wは、ハイサイドのトランジスタ15と、ローサイドのトランジスタ16と、を含む。
【0033】
トランジスタ15は、ドレイン-ソース間に、ダイオード15Dを有する。トランジスタ16は、ドレイン-ソース間に、ダイオード16Dを有する。
【0034】
トランジスタ15のドレインは、第1入力端子1aに電気的に接続されている。トランジスタ15のソースは、トランジスタ16のドレインに電気的に接続されている。トランジスタ16のソースは、第2入力端子1bに電気的に接続されている。
【0035】
トランジスタ15のソース及びトランジスタ16のドレインは、モータ制御装置101の第3出力端子1eに電気的に接続されている。第3出力端子1eは、モータ7の第3相端子7cに電気的に接続されている。モータ7の第3相端子7cは、W相端子である。
【0036】
電圧センサ3は、電圧Vinを表す信号S1を、制御回路102に出力する。
【0037】
電流センサ4は、第1出力端子1cと第1相端子7aとの間に電気的に接続されている。電流センサ4は、第1出力端子1cから第1相端子7aに出力されるU相電流を表す信号S2を、制御回路102に出力する。
【0038】
電流センサ5は、第2出力端子1dと第2相端子7bとの間に電気的に接続されている。電流センサ5は、第2出力端子1dから第2相端子7bに出力されるV相電流を表す信号S3を、制御回路102に出力する。
【0039】
電流センサ6は、第3出力端子1eと第3相端子7cとの間に電気的に接続されている。電流センサ6は、第3出力端子1eから第3相端子7cに出力されるW相電流を表す信号S4を、制御回路102に出力する。
【0040】
モータ7は、第1相巻線7Uと、第2相巻線7Vと、第3相巻線7Wと、を含む。モータ7は、3個の巻線を含む3相モータである。第1相巻線7Uは、U相の巻線である。第2相巻線7Vは、V相の巻線である。第3相巻線7Wは、W相の巻線である。
【0041】
第1相巻線7Uは、インダクタンス成分7Uaと、抵抗成分7Ubと、を含む。第2相巻線7Vは、インダクタンス成分7Vaと、抵抗成分7Vbと、を含む。第3相巻線7Wは、インダクタンス成分7Waと、抵抗成分7Wbと、を含む。
【0042】
第1相巻線7Uの一端は、第1相端子7aに電気的に接続されている。第1相巻線7Uの他端は、モータ7の中性点7dに電気的に接続されている。
【0043】
第2相巻線7Vの一端は、第2相端子7bに電気的に接続されている。第2相巻線7Vの他端は、モータ7の中性点7dに電気的に接続されている。
【0044】
第3相巻線7Wの一端は、第3相端子7cに電気的に接続されている。第3相巻線7Wの他端は、モータ7の中性点7dに電気的に接続されている。
【0045】
位置センサ8は、モータ7のロータ(図示せず)の回転位置を表す信号S5を、制御回路102に出力する。位置センサ8は、ロータリエンコーダが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0046】
制御回路102は、信号S1から信号S5までに基づいて、駆動パルスP101をインバータ10に出力する。制御回路102は、EVを停止又は後進から前進させる際に、大きなトルクを早く発生させるため、120°矩形波制御を行い、その後、正弦波制御を行う。
【0047】
120°矩形波通電の通電相を切り替えるポイント数と、EVの搭乗者が体感できる振動数と、が同じであることから、振動及び音の原因は、通電相の切り替え時のトルクリップルであることがわかった。トルクリップルの原因は、通電相の切り替え時に発生する還流電流の減少(消費)速度が影響していることがわかった。
【0048】
図2は、比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。詳しくは、
図2は、モータ7の始動時の比較例の回路シミュレーション結果を示す図である。
【0049】
図2において、波形211は、U相電流を表し、波形212は、V相電流を表し、波形213は、W相電流を表す。波形214は、モータ7のトルクを表す。
【0050】
なお、
図2に示す数値は例示であり、本開示はこれらの数値に限定されない。
【0051】
制御回路102は、モータ7の始動のタイミングt100から、モータ7のロータの累計の回転角度が予め定められた角度(例えば、540°)に達するタイミングt104までは、120°矩形波制御を行い、タイミングt104以降は、正弦波制御を行う。
【0052】
タイミングt101は、モータ7のロータの回転角度が60°に達するタイミングである。
【0053】
タイミングt102は、タイミングt101以降のモータ7のロータの回転角度が60°(累計の回転角度が120°)に達するタイミングである。
【0054】
タイミングt103は、タイミングt102以降のモータ7のロータの回転角度が60°(累計の回転角度が180°)に達するタイミングである。
【0055】
制御回路102は、タイミングt100からタイミングt101までの期間221では、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオンし、インバータ10の第1アーム10Uのローサイドのトランジスタ12をオフする。また、制御回路102は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイド及びローサイドのトランジスタ13及び14をオフする。また、制御回路102は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオフし、ローサイドのトランジスタ16をオンする。
【0056】
これにより、波形211で示すように、正のU相電流が流れ、波形213で示すように、負のW相電流が流れる。
【0057】
制御回路102は、電圧Vinに基づいて、正のU相電流及び負のW相電流の絶対値が予め定められた電流値(例えば、定格電流値、許容最大電流値等)となるように、インバータ10を制御する。
【0058】
なお、本開示では、トランジスタをオンするとは、連続的にオンすることと、離散的(例えば、PWM)にオンすることと、を含む。
【0059】
制御回路102は、タイミングt101からタイミングt102までの期間222では、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイド及びローサイドのトランジスタ11及び12をオフする。また、制御回路102は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオンし、ローサイドのトランジスタ14をオフする。また、制御回路102は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオフし、ローサイドのトランジスタ16をオンする。
【0060】
これにより、波形212で示すように、正のV相電流が流れ、波形213で示すように、負のW相電流が流れる。
【0061】
制御回路102は、電圧Vinに基づいて、正のV相電流及び負のW相電流の絶対値が予め定められた電流値となるように、インバータ10を制御する。
【0062】
このとき、インバータ10の第1アーム10Uのローサイドのダイオード12D→モータ7の第1相巻線7U→モータ7の第3相巻線7W→インバータ10の第3アーム10Wのローサイドのトランジスタ16→インバータ10の第1アーム10Uのローサイドのダイオード12Dの経路に、還流電流が流れる。
【0063】
還流電流は、インバータ10の第1アーム10Uのダイオード12Dによって消費され、減少する。
【0064】
ダイオード12Dの消費電力は、トランジスタ12のオン抵抗の消費電力よりも大きいので、還流電流の減少速度が速い。これにより、大きなトルクリップルが発生する。
【0065】
制御回路102は、タイミングt102からタイミングt103までの期間223では、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオフし、ローサイドのトランジスタ12をオンする。また、制御回路102は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオンし、ローサイドのトランジスタ14をオフする。また、制御回路102は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイド及びローサイドのトランジスタ15及び16をオフする。
【0066】
これにより、波形212で示すように、正のV相電流が流れ、波形211で示すように、負のU相電流が流れる。
【0067】
制御回路102は、電圧Vinに基づいて、正のV相電流及び負のU相電流の絶対値が予め定められた電流値となるように、インバータ10を制御する。
【0068】
このとき、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのダイオード15D→インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13→モータ7の第2相巻線7V→モータ7の第3相巻線7W→インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのダイオード15Dの経路に、還流電流が流れる。
【0069】
還流電流は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのダイオード15Dによって消費され、減少する。
【0070】
ダイオード15Dの消費電力は、トランジスタ15のオン抵抗の消費電力よりも大きいので、還流電流の減少速度が速い。これにより、矢印231で示すように、大きなトルクリップルが発生する。
【0071】
本回路シミュレーション結果では、矢印231で表されるトルクリップルは、30Nm(ニュートンメートル)となった。但し、この値は、回路シミュレーションの一結果であり、本開示はこれに限定されない。
【0072】
(実施形態)
実施形態の構成要素のうち、比較例の構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
図3は、実施形態のモータ制御装置の構成を示す図である。モータ制御装置1は、直流電源2から電圧Vinの供給を受けて、モータ7を動作させる。
【0074】
モータ制御装置1は、インバータ10と、制御回路20と、を含む。
【0075】
制御回路20は、電圧検出部21と、位置検出部22と、電流検出部23と、インバータ駆動制御部24と、を含む。
【0076】
電圧検出部21は、電圧センサ3から信号S1を受け取って、インバータ駆動制御部24に出力する。
【0077】
位置検出部22は、位置センサ8から信号S5を受け取って、インバータ駆動制御部24に出力する。
【0078】
電流検出部23は、電流センサ4、5及び6から信号S2、S3及びS4を受け取って、インバータ駆動制御部24に出力する。
【0079】
インバータ駆動制御部24は、信号S1から信号S5までに基づいて、駆動パルスP1をインバータ10に出力する。インバータ駆動制御部24は、EVを停止又は後進から前進させる際に、大きなトルクを早く発生させるため、120°矩形波制御を行い、その後、正弦波制御を行う。
【0080】
図4は、実施形態の回路シミュレーション結果を示す図である。詳しくは、
図4は、モータ7の始動時の実施形態の回路シミュレーション結果を示す図である。
【0081】
図4において、波形111は、U相電流を表し、波形112は、V相電流を表し、波形113は、W相電流を表す。波形114は、モータ7のトルクを表す。
【0082】
なお、
図4に示す数値は例示であり、本開示はこれらの数値に限定されない。
【0083】
インバータ駆動制御部24は、モータ7の始動のタイミングt0から、モータ7のロータの累計の回転角度が予め定められた角度(例えば、540°)に達するタイミングt4までは、120°矩形波制御を行い、タイミングt4以降は、正弦波制御を行う。
【0084】
タイミングt1は、モータ7のロータの回転角度が60°に達するタイミングである。
【0085】
タイミングt2は、タイミングt1以降のモータ7のロータの回転角度が60°(累計の回転角度が120°)に達するタイミングである。
【0086】
タイミングt3は、タイミングt2以降のモータ7のロータの回転角度が60°(累計の回転角度が180°)に達するタイミングである。
【0087】
インバータ駆動制御部24は、タイミングt0からタイミングt1までの期間121では、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオンし、ローサイドのトランジスタ12をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイド及びローサイドのトランジスタ13及び14をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオフし、ローサイドのトランジスタ16をオンする。
【0088】
これにより、波形111で示すように、正のU相電流が流れ、波形113で示すように、負のW相電流が流れる。
【0089】
インバータ駆動制御部24は、電圧Vinに基づいて、正のU相電流及び負のW相電流の絶対値が予め定められた電流値(例えば、定格電流値、許容最大電流値等)となるように、インバータ10を制御する。
【0090】
なお、本開示では、トランジスタをオンするとは、連続的にオンすることと、離散的(例えば、PWM)にオンすることと、を含む。
【0091】
インバータ駆動制御部24は、タイミングt1からタイミングt2までの期間122では、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオフし、ローサイドのトランジスタ12をオンする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオンし、ローサイドのトランジスタ14をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオフし、ローサイドのトランジスタ16をオンする。
【0092】
これにより、波形112で示すように、正のV相電流が流れ、波形113で示すように、負のW相電流が流れる。
【0093】
インバータ駆動制御部24は、電圧Vinに基づいて、正のV相電流及び負のW相電流の絶対値が予め定められた電流値となるように、インバータ10を制御する。
【0094】
このとき、インバータ10の第1アーム10Uのローサイドのトランジスタ12→モータ7の第1相巻線7U→モータ7の第3相巻線7W→インバータ10の第3アーム10Wのローサイドのトランジスタ16→インバータ10の第1アーム10Uのローサイドのトランジスタ12の経路に、還流電流が流れる。
【0095】
還流電流は、インバータ10の第1アーム10Uのローサイドのトランジスタ12のオン抵抗によって消費され、減少する。
【0096】
トランジスタ12のオン抵抗の消費電力は、ダイオード12Dの消費電力よりも小さい。従って、
図2の期間222の波形211(比較例)と、
図4の期間122の波形111(実施形態)と、を比較すると、実施形態の還流電流の減少速度(波形111)は、比較例(波形211)よりも遅い。
【0097】
これにより、モータ制御装置1は、トルクリップルを抑制することができる。
【0098】
なお、還流電流の減少速度が遅いことは、換言すると、モータ7の第1相巻線7Uの電磁エネルギーの減少速度が遅いことである。
【0099】
更に、この際、120°矩形波通電とするために、モータ7の第1相巻線7Uに電流が流れないことが好ましい。そこで、インバータ駆動制御部24は、モータ7の第1相巻線7Uの一端(第1相端子7aに接続される端)と他端(中性点7dに接続される端)との間の電圧がゼロになるように、インバータ10の第1アーム10Uのローサイドのトランジスタ12をPWM(Pulse Width Modulation)制御する。
【0100】
これにより、モータ7の第1相巻線7Uに電流が流れなくなるので、120°矩形波通電が実現可能である。
【0101】
なお、モータ7の第1相巻線7Uに電流が流れなくなることは、換言すると、モータ7の第1相巻線7Uの電磁エネルギーの減少速度が遅いことである。
【0102】
インバータ駆動制御部24は、タイミングt2からタイミングt3までの期間123では、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオフし、ローサイドのトランジスタ12をオンする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオンし、ローサイドのトランジスタ14をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオンし、ローサイドのトランジスタ16をオフする。
【0103】
これにより、波形112で示すように、正のV相電流が流れ、波形111で示すように、負のU相電流が流れる。
【0104】
インバータ駆動制御部24は、電圧Vinに基づいて、正のV相電流及び負のU相電流の絶対値が予め定められた電流値となるように、インバータ10を制御する。
【0105】
このとき、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15→インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13→モータ7の第2相巻線7V→モータ7の第3相巻線7W→インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15の経路に、還流電流が流れる。
【0106】
還流電流は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15のオン抵抗によって消費され、減少する。
【0107】
トランジスタ15のオン抵抗の消費電力は、ダイオード15Dの消費電力よりも小さい。従って、
図2の期間223の波形213(比較例)と、
図4の期間123の波形113(実施形態)と、を比較すると、実施形態の還流電流の減少速度(波形113)は、比較例(波形213)よりも遅い。
【0108】
これにより、矢印131で示すように、トルクリップルが抑制される。
【0109】
本回路シミュレーション結果では、矢印131で表されるトルクリップルは、7Nmとなった。但し、この値は、回路シミュレーションの一結果であり、本開示はこれに限定されない。
【0110】
なお、還流電流の減少速度が遅いことは、換言すると、モータ7の第3相巻線7Wの電磁エネルギーの減少速度が遅いことである。
【0111】
更に、この際、120°矩形波通電とするために、モータ7の第3相巻線7Wに電流が流れないことが好ましい。そこで、インバータ駆動制御部24は、モータ7の第3相巻線7Wの一端(第3相端子7cに接続される端)と他端(中性点7dに接続される端)との間の電圧がゼロになるように、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をPWM制御する。
【0112】
これにより、モータ7の第3相巻線7Wに電流が流れなくなるので、120°矩形波通電が実現可能である。
【0113】
なお、モータ7の第3相巻線7Wに電流が流れなくなることは、換言すると、モータ7の第3相巻線7Wの電磁エネルギーの減少速度が遅いことである。
【0114】
(フローチャート)
図5は、実施形態のモータ制御装置のフローチャートである。詳しくは、
図5は、モータ制御装置1の120°矩形波制御のフローチャートである。
【0115】
モータ制御装置1は、
図5の120°矩形波制御の処理を実行中に、モータ7のロータの累計の回転角度が予め定められた角度(例えば、540°)に達したら、処理を終了(中止)し、正弦波制御に移行する。
【0116】
インバータ駆動制御部24は、ステップS100において、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオンし、ローサイドのトランジスタ12をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイド及びローサイドのトランジスタ13及び14をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオフし、ローサイドのトランジスタ16をオンする。
【0117】
インバータ駆動制御部24は、ステップS102において、モータ7のロータが60°回転したか否かを判定する。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転していないと判定したら(ステップS102でNo)、処理をステップS102に進める。つまり、インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転するまで待つ。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転したと判定したら(ステップS102でYes)、処理をステップS104に進める。
【0118】
インバータ駆動制御部24は、ステップS104において、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオフし、ローサイドのトランジスタ12をオンする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオンし、ローサイドのトランジスタ14をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオフし、ローサイドのトランジスタ16をオンする。
【0119】
インバータ駆動制御部24は、ステップS106において、モータ7のロータが60°回転(累計で120°回転、480°回転、・・・)したか否かを判定する。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転していないと判定したら(ステップS106でNo)、処理をステップS106に進める。つまり、インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転するまで待つ。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転したと判定したら(ステップS106でYes)、処理をステップS108に進める。
【0120】
インバータ駆動制御部24は、ステップS108において、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオフし、ローサイドのトランジスタ12をオンする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオンし、ローサイドのトランジスタ14をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオンし、ローサイドのトランジスタ16をオフする。
【0121】
インバータ駆動制御部24は、ステップS110において、モータ7のロータが60°回転(累計で180°回転、540°回転、・・・)したか否かを判定する。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転していないと判定したら(ステップS110でNo)、処理をステップS110に進める。つまり、インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転するまで待つ。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転したと判定したら(ステップS110でYes)、処理をステップS112に進める。
【0122】
インバータ駆動制御部24は、ステップS112において、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオフし、ローサイドのトランジスタ12をオンする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオフし、ローサイドのトランジスタ14をオンする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオンし、ローサイドのトランジスタ16をオフする。
【0123】
インバータ駆動制御部24は、ステップS114において、モータ7のロータが60°回転(累計で240°回転、600°回転、・・・)したか否かを判定する。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転していないと判定したら(ステップS114でNo)、処理をステップS114に進める。つまり、インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転するまで待つ。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転したと判定したら(ステップS114でYes)、処理をステップS116に進める。
【0124】
インバータ駆動制御部24は、ステップS116において、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオンし、ローサイドのトランジスタ12をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオフし、ローサイドのトランジスタ14をオンする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオンし、ローサイドのトランジスタ16をオフする。
【0125】
インバータ駆動制御部24は、ステップS118において、モータ7のロータが60°回転(累計で300°回転、660°回転、・・・)したか否かを判定する。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転していないと判定したら(ステップS118でNo)、処理をステップS118に進める。つまり、インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転するまで待つ。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転したと判定したら(ステップS118でYes)、処理をステップS120に進める。
【0126】
インバータ駆動制御部24は、ステップS120において、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオンし、ローサイドのトランジスタ12をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオフし、ローサイドのトランジスタ14をオンする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオフし、ローサイドのトランジスタ16をオンする。
【0127】
インバータ駆動制御部24は、ステップS122において、モータ7のロータが60°回転(累計で360°回転、720°回転、・・・)したか否かを判定する。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転していないと判定したら(ステップS122でNo)、処理をステップS122に進める。つまり、インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転するまで待つ。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転したと判定したら(ステップS122でYes)、処理をステップS124に進める。
【0128】
インバータ駆動制御部24は、ステップS124において、インバータ10の第1アーム10Uのハイサイドのトランジスタ11をオンし、ローサイドのトランジスタ12をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第2アーム10Vのハイサイドのトランジスタ13をオンし、ローサイドのトランジスタ14をオフする。また、インバータ駆動制御部24は、インバータ10の第3アーム10Wのハイサイドのトランジスタ15をオフし、ローサイドのトランジスタ16をオンする。
【0129】
インバータ駆動制御部24は、ステップS126において、モータ7のロータが60°回転(累計で420°回転、780°回転、・・・)したか否かを判定する。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転していないと判定したら(ステップS126でNo)、処理をステップS126に進める。つまり、インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転するまで待つ。インバータ駆動制御部24は、モータ7のロータが60°回転したと判定したら(ステップS126でYes)、処理をステップS104に進める。
【0130】
(効果)
モータ制御装置1は、モータ制御装置101と比較して、トルクリップルを抑制することができる。例えば、回路シミュレーションの一結果では、モータ制御装置101によるトルクリップルの最大値が30Nmであったところ、モータ制御装置1によるトルクリップルの最大値は7Nmである。つまり、モータ制御装置1は、モータ制御装置101と比較して、トルクリップルを約1/4に抑制できる。但し、この値は、回路シミュレーションの一結果であり、本開示はこれに限定されない。
【0131】
このように、モータ制御装置1は、トルクリップルを抑制することにより、120°矩形波制御の期間中に発生する振動及び音を抑制することができる。
【0132】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0133】
1、101 モータ制御装置
2 直流電源
3 電圧センサ
4、5、6 電流センサ
7 モータ
7U 第1相巻線
7V 第2相巻線
7W 第3相巻線
8 位置センサ
10 インバータ
10U 第1アーム
10V 第2アーム
10W 第3アーム
11、12、13、14、15、16 トランジスタ
11D、12D、13D、14D、15D、16D ダイオード
20、102 制御回路
21 電圧検出部
22 位置検出部
23 電流検出部
24 インバータ駆動制御部