IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 香港時代新能源科技有限公司の特許一覧

特許7567102電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法
<>
  • 特許-電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法 図1
  • 特許-電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法 図2
  • 特許-電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法 図3
  • 特許-電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法 図4
  • 特許-電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法 図5
  • 特許-電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法 図6
  • 特許-電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法 図7
  • 特許-電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/507 20210101AFI20241008BHJP
   H01M 50/519 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/284 20210101ALI20241008BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20241008BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/519
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/284
H01M50/296
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022541008
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 CN2020088877
(87)【国際公開番号】W WO2021223131
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】唐▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】謝名迪
(72)【発明者】
【氏名】孫占宇
(72)【発明者】
【氏名】游凱杰
(72)【発明者】
【氏名】陳興地
(72)【発明者】
【氏名】李竜
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-218797(JP,A)
【文献】特開2017-004741(JP,A)
【文献】特開2014-110233(JP,A)
【文献】特開2018-106800(JP,A)
【文献】特開2015-049932(JP,A)
【文献】特表2020-507903(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014001975(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第110710019(CN,A)
【文献】国際公開第2020/214383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-298
H01M 50/50-598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの電池セル(10)と、 2つの前記電池セル(10)を電気的に接続するための接続シート(20)と、
前記電池セル(10)に電気的に接続される回路基板(40)と、
前記接続シート(20)を覆うための第1の保護部(31)と、前記回路基板(40)を覆うための第2の保護部(32)とを備える保護層(30)と、
を備え、
前記保護層(30)は、前記接続シート(20)よりも融点が高い材料で作製され、前記第2の保護部(32)は、前記回路基板(40)における前記電池セル(10)から離れた上面を覆うための第2の上保護部(321)と、前記第2の上保護部(321)に対向するように設けられ、前記回路基板(40)における前記電池セル(10)寄りの下面を覆うための第2の下保護部(322)と、
前記保護層(30)と前記接続シート(20)の外部に設けられ、前記保護層(30)と前記接続シート(20)とを一体に固定するための固定層(50)と、を備え、
前記固定層(50)は、
前記接続シート(20)と前記保護層(30)の上方に設けられる上固定層(50A)と、
前記接続シート(20)と前記保護層(30)の下方に設けられる下固定層(50B)と、を備える電池モジュール。
【請求項2】
前記第1の保護部(31)は、
前記接続シート(20)の、前記電池セル(10)から離れた上面を覆うための第1の上保護部(311)と、
前記第1の上保護部(311)に対向するように設けられ、前記接続シート(20)の前記電池セル(10)寄りの下面を覆うための第1の下保護部(312)と、を備える、
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1の保護部(31)は、前記接続シート(20)の、その前記上面と前記下面との間に位置する外側面を覆うための第1の側部保護部(313)をさらに備える、請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記第1の側部保護部(313)は、前記第1の上保護部(311)及び/又は前記第1の下保護部(312)に接続される、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記第1の保護部(31)は、前記接続シート(20)に貼り合わされている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記第1の保護部(31)は、前記接続シート(20)に接着されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記第1の保護部(31)は、融点が660℃以上の絶縁材料で作成する、請求項1~6のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記第2の保護部(32)は、前記第1の保護部(31)と材料が同じである、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記第2の保護部(32)は、前記第1の保護部(31)に接続されている、請求項1又は8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記電池モジュールは、前記電池モジュール(10)の電気エネルギーを出力するための、第1の端(61A、62A)が前記電池セル(10)に電気的に接続される出力電極(61、62)をさらに備え、
前記保護層(30)は、前記出力電極(61、62)の前記第1の端(61A、62A)を覆うための第3の保護部(33)をさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記第3の保護部(33)は、前記第1の保護部(31)と材料が同じである、請求項10に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記第3の保護部(33)は、前記第1の保護部(31)に接続されている、請求項10又は11に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記第3の保護部(33)は、
前記出力電極(61、62)の前記第1の端(61A、62A)における前記電池セル(10)から離れた上面を覆うための第3の上保護部(331)と、
前記第3の上保護部(331)に対向するように設けられ、前記出力電極(61、62)の前記第1の端(61A、62A)の、前記電池セル(10)寄りの下面を覆うための第3の下保護部(332)と、を備える、請求項10~12のいずれか1項に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記第3の保護部(33)は、前記出力電極(61、62)の前記第1の端(61A、62A)の、その前記上面と前記下面との間に位置する外側面を覆うための第2の側部保護部(333)をさらに備える、請求項13に記載の電池モジュール。
【請求項15】
前記上固定層(50A)と前記下固定層(50B)とは、シール接続されている、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の電池モジュールを備える、電池パック。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の電池モジュールを備え、且つ前記電池モジュールを電源として用いる機器
【請求項18】
少なくとも2つの電池セル(10)を提供することと、
2つの前記電池セル(10)を電気的に接続する接続シート(20)を提供することと、
前記電池セル(10)に電気的に接続される回路基板(40)を提供することと、
前記接続シート(20)を覆う第1の保護部(31)と、前記回路基板(40)を覆うための第2の保護部(32)とを備えるように配置された保護層(30)を提供することと、
前記保護層(30)と前記接続シート(20)の外部に設けられ、前記保護層(30)と前記接続シート(20)とを一体に固定するための固定層(50)を提供することと、を含み、
前記保護層(30)は、前記接続シート(20)よりも融点が高い材料で作製され、前記第2の保護部(32)は、前記回路基板(40)における前記電池セル(10)から離れた上面を覆うための第2の上保護部(321)と、前記第2の上保護部(321)に対向するように設けられ、前記回路基板(40)における前記電池セル(10)寄りの下面を覆うための第2の下保護部(322)と、を備え、
前記固定層(50)は、前記接続シート(20)と前記保護層(30)の上方に設けられる上固定層(50A)と、前記接続シート(20)と前記保護層(30)の下方に設けられる下固定層(50B)と、を備える電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電池技術分野に関し、特に電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器、及び電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池モジュールは、互いに電気的に接続された複数の電池セルを有し、2つの電池セルの間は、接続シートによって互いに電気的に接続されている。電池モジュールは、使用中に、電池セルの1つが熱暴走を発生することにより、電池モジュール全体が熱暴走を発生することがある。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様は、
少なくとも2つの電池セルと、
2つの前記電池セルを電気的に接続するための接続シートと、
前記接続シートを覆うための、前記接続シートよりも融点が高い第1の保護部を含む保護層と、
を備える
電池モジュールを提供する。
【0004】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第1の保護部は、
前記接続シートの前記電池セルから離れた上面を覆うための第1の上保護部と、
前記第1の上保護部に対向するように設けられ、前記接続シートの前記電池セル寄りの下面を覆うための第1の下保護部と、を備える。
【0005】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第1の保護部は、前記接続シートのその前記上面と前記下面との間に位置する外側面を覆うための第1の側部保護部をさらに備える。
【0006】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第1の側部保護部は、前記第1の上保護部と前記第1の下保護部の少なくとも1つに接続されている。
【0007】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第1の保護部は、前記接続シートに貼り合わされている。
【0008】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第1の保護部は、前記接続シートに接着される。
【0009】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第1の保護部は、融点が660℃以上の絶縁材料で作成する。
【0010】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記電池モジュールは、前記電池セルに電気的に接続される回路基板をさらに備え、
前記保護層は、前記回路基板を覆うための第2の保護部をさらに備える。
【0011】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第2の保護部は、前記第1の保護部と材料が同じである。
【0012】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第2の保護部は、前記第1の保護部に接続されている。
【0013】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第2の保護部は、前記回路基板の前記電池セルから離れた上面を覆うための第2の上保護部と、
前記第2の上保護部に対向するように設けられ、前記回路基板の、前記電池セル寄りの下面を覆う第2の下保護部と、を備える。
【0014】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記電池モジュールは、前記電池モジュールの電気エネルギーを出力するための、第1の端が前記電池セルに電気的に接続される出力電極をさらに備え、
前記保護層は、前記出力電極の前記第1の端を覆うための第3の保護部をさらに備える。
【0015】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第3の保護部は、前記第1の保護部と材料が同じである。
【0016】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第3の保護部は、前記第1の保護部に接続されている。
【0017】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第3の保護部は、
前記出力電極の第1の端の、前記電池セルから離れた上面を覆うための第3の上保護部と、
前記第3の上保護部に対向するように設けられ、前記出力電極の第1の端の、前記電池セル寄りの下面を覆うための第3の下保護部と、を備える。
【0018】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記第3の保護部は、前記出力電極の第1の端の、その前記上面と前記下面との間に位置する外側面を覆うための第2の側部保護部をさらに備える。
【0019】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記電池モジュールは、前記保護層と前記接続シートの外部に設けられ、且つ前記保護層と前記接続シートとを一体に固定する固定層をさらに備える。
【0020】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記固定層は、
前記接続シートと前記保護層の上方に設けられる上固定層と、
前記接続シートと前記保護層の下方に設けられる下固定層と、を備える。
【0021】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、前記上固定層と前記下固定層とは、シール接続されている。
【0022】
本開示の第2の態様は、本開示の第1の態様に記載の電池モジュールを備える電池パックを提供する。
【0023】
本開示の第3の態様は、本開示の第1の態様に記載の電池モジュールを備える電池モジュールを電源として用いる機器を提供する。
【0024】
本開示の第4の態様は、
少なくとも2つの電池セルを提供することと、
2つの前記電池セルを電気的に接続する接続シートを提供することと、
前記接続シートよりも融点が高く、前記接続シートを覆う第1の保護部を有するように配置された保護層を提供することと、
を含む電池モジュールの製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に、本願の実施例に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の図面は、本願のいくつかの実施例のみである。当業者であれば、創造的労働をしない前提で、さらに図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0026】
図1】本開示の一実施例に係る電池モジュールを電源として用いる機器の模式構造図である。
図2】本開示の一実施例に係る電池パックの模式構造図である。
図3】本開示の一実施例に係る電池モジュールの模式構造図である。
図4図3に示した電池モジュールの分解図である。
図5図3に示した電池モジュールのバスバーアセンブリの模式構造図である。
図6図5に示したバスバーアセンブリの分解模式構造図である。
図7図6に示したバスバーアセンブリのC部拡大模式構造図である。
図8図6に示したバスバーアセンブリのD部拡大模式構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本開示の実施例における図面に合わせて、本開示の実施例における技術的解決手段を明確且つ完全に説明する。明らかに、述べられる実施例は、本開示の実施例の一部にすぎず、全ての実施例ではない。少なくとも1つの例示的な実施例の以下の説明は、実際には、単なる例示的であって、本開示とその適用又は使用を限定するものではない。本開示の実施例に基づいて、当業者によって創造的な労力なしに得られる他の全ての実施例は、何れも本開示の保護範囲内に属す。
【0028】
具体的な説明がない限り、これらの実施例に記載されている部品とステップの相対的な配置、数値表現及び数値は、本開示の範囲を限定するものではない。なお、説明を容易にするために、図面に示される各部のサイズは、実際の縮尺で描かれていないことは、明らかである。当業者に知られている技術、方法及び機器は、詳細には、説明されないかもしれないが、適切な場合には、記載の技術、方法及び機器は、許可された明細書の一部と見なされるべきである。ここで示され、説明される全ての例において、任意の具体的な値は、制限されず、単なる例示として解釈されるべきである。従って、例示的な実施例の他の例は、異なる値を有することができる。類似する符号とアルファベットは、以下の図面に類似する項目を表しているため、ある項目が1つの図面に定義されると、以下の図面にさらに説明する必要はないことに注意されるべきである。
【0029】
本開示の説明において、理解すべきことは、「第1」、「第2」等の用語を使用してパーツ又は物理量を限定することは、対応するパーツ又は物理量を容易に区別するためのみであり、特に断りがなければ、上記用語には、特別な意味がないため、本開示の保護範囲に対する限定と理解することができない。
【0030】
本開示の説明において、理解すべきことは、用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」、「横方向」、「縦方向」、「垂直」、「水平」と「頂」、「底」等が指示した方位又は位置関係は、一般的に、図面に示される方向又は位置関係に基づいたものであり、説明を簡略化するためのみであり、逆の説明を行わない場合、示された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構造・操作しなければならないことを指示又は暗示するものではないため、本願を限定するものと理解すべきではない。「内」、「外」という方位を示す用語は、各部品自体の輪郭に対する内部と外部を指す。
【0031】
本開示の実施例は、電池モジュール、電池パック、電池モジュールを電源として用いる機器及び電池モジュールの製造方法を提供する。
【0032】
ここで、電池モジュールを電源として用いる機器は、本開示の電池モジュールを備え、当該機器は、例えば、車両、船舶、エネルギー貯蔵機器などであってもよい。図1は、本開示の一実施例に係る電池モジュールを電源として用いる機器の模式構造図であり、当該機器は、具体的に、車両1である。
【0033】
電池パックは、電池パックケースと、電池パックケース内に設けられる電池モジュールと、を備える。ここで、電池モジュールは、本開示の電池モジュールである。電池パックの電池モジュールは、1つ以上のグループであってもよい。図2は、本開示の一実施例に係る電池パック2の模式構造図であり、ここで、電池パック2のケースは、上筐体2Aと下筐体2Bを備え、電池モジュールは、ケースの収容空間内に位置している。本開示の実施例に係る電池パックと電池モジュールを電源として用いる機器は、何れも本開示の実施例に係る電池モジュールの利点を有する。
【0034】
以下、本開示の実施例に係る電池モジュールの構造と利点について説明する。
【0035】
本開示を実施する際に、発明者らは、電池モジュールの電池セルのうちの1つが熱暴走を発生する場合、電池セルの噴出火炎が、2つの電池セルを電気的に接続する接続シートを溶断する可能性があり、接続シートが溶断されると、噴出された金属粒子が残りの電池セルの外部短絡を引き起こす可能性があり、さらに、外部短絡が発生した電池セルに熱暴走を発生させ、連鎖反応を起こし、電池モジュール全体に熱暴走を発生させる可能性があることを見出した。
【0036】
電池モジュールの熱暴走を低減するために、図2図8に示すように、本開示の実施例に係る電池モジュールは、2つ以上の電池セル10と、接続シート20(図2では、接続シートは、保護層30で覆われ、図示せず)と、保護層30とを備える。接続シート20は、2つの電池セル10を電気的に接続することに用いられる。保護層30は、接続シート20を覆うための、接続シート20よりも融点が高い第1の保護部31を備える。接続シート20の材質は、例えばアルミニウム、銅又はニッケル等の金属である。
【0037】
第1の保護部31が接続シート20を覆い、且つ第1の保護部31の融点が接続シート20の融点より高いことは、接続シート20が高温で溶断されることを防止し、接続シート20が熱暴走した電池セル10から噴出した金属粒子と接触することを防止することに有利であり、これによって、電池セル10の短絡を防止し、さらに電池モジュールの連鎖的な熱暴走を防止し、電池モジュールと当該電池モジュールを備える電池パックの安全性能を向上させることに有利である。
【0038】
図4図6に示すように、いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第1の保護部31は、第1の上保護部311と第1の下保護部312を備える。第1の上保護部311は、接続シート20の、電池セル10から離れた上面を覆うことに用いられる。第1の下保護部312は、第1の上保護部311に対向するように設けられ、接続シート20の、電池セル10寄りの下面を覆うことに用いられる。
【0039】
第1の保護部31は、第1の上保護部311と第1の下保護部312を備え、保護層30が接続シート20を全面的に覆うことに有利であり、保護層30の接続シート20に対する保護効果の達成に有利である。
【0040】
図4図6及び図7に示すように、いくつかの実施例に係るかかる電池モジュールにおいて、第1の保護部31は、接続シート20の、その上面と下面との間に位置する外側面を覆う第1の側部保護部313をさらに含む。
【0041】
第1の保護部31は、第1の側部保護部313を含み、保護層30が接続シート20を全面的に覆うことに有利であり、保護層30の接続シート20に対する保護効果の達成に有利である。
【0042】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第1の側部保護部313は、第1の上保護部311及び/又は第1の下保護部312に接続されている。当該設置は、保護層30の製造に有利であり、保護層30と電池モジュールの他の部品との組み立てに有利である。
【0043】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第1の保護部31は、接続シート20に貼り合わされている。第1の保護部31と接続シート20との貼り合わせは、第1の保護部31と接続シート20との間の距離を短縮させることに有利であるので、両者が占める空間を減少させ、電池モジュールのエネルギー密度を向上させ、同時に第1の保護部31と接続シート20との貼り合わせは、温度が高い時に接続シート20が元の形状を維持することを制限することに有利であり、さらに第1の保護部31が覆われた接続シート20をより良好に保護することに有利である。
【0044】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第1の保護部31は、接続シート20に貼り付けられる。第1の保護部31と接続シート20との貼り付けは、接続シート20に対する第1の保護部31の固定の実現に有利であり、第1の保護部31と接続シート20との離脱又は変位を防止することに有利であり、第1の保護部31が安定して保護作用を発揮することに有利である。
【0045】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第1の保護部31は、融点が660℃以上の絶縁材料からなる。例えば、第1の保護部31は、マイカペーパー、マイカシートやセラミック材質で作製されることができる。これらの材料は、いずれも耐熱性能、絶縁性能が良好な材料であり、第1の保護部31は、耐熱と絶縁の両方の役割を果たすことができ、接続シート20が高温で溶断されることを防止することに有利であり、接続シート20が熱暴走した電池セル10から噴出した金属粒子と接触することを防止することに有利であり、電池セル10が短絡することを防止することに有利であり、従って、第1の保護部31がより良好な保護作用を発揮することに有利である。
【0046】
図4図6に示すように、いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、電池モジュールは、電池セル10に電気的に接続される回路基板40をさらに含む。保護層30は、回路基板40を覆う第2の保護部32をさらに含む。保護層30に回路基板40を覆う第2の保護部32が設けられることにより、電池モジュールにが熱暴走した後に回路基板40が焼損してサンプリング機能を失効させることを防止することに有利であり、これによって、電池パックの電池管理システムが回路基板から伝送されたサンプリングデータに基づいて電池モジュールが故障した時に早急に警報信号を発することに有利である。
【0047】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第2の保護部32は、第1の保護部31と材料が同じである。当該設置は、保護層30の第1の保護部31と第2の保護部32の作製に有利であり、回路基板40に対する保護効果を確保することにも有利である。
【0048】
図4図6に示すように、いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第2の保護部32は、第1の保護部31に接続されている。当該設置は、保護層30の作製に有利であり、保護層30と電池モジュールの他の部品との組み立てにも有利である。
【0049】
図4図6に示すように、いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第2の保護部32は、第2の上保護部321と第2の下保護部322を備える。第2の上保護部321は、回路基板40における電池セル10から離れた上面を覆うことに用いられる。第2の下保護部322は、第2の上保護部321に対向するように設けられ、回路基板40の電池セル10寄りの下面を覆うことに用いられる。
【0050】
第2の保護部32は、第2の上保護部321と第2の下保護部322を備え、回路基板40を全面的に覆うことに有利であり、回路基板40に対する第2の保護部32の保護効果の達成に有利である。
【0051】
図4図6及び図8に示すように、いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、電池モジュールは、電池モジュール10の電気エネルギーを出力するための、第1の端が電池セル10に電気的に接続される出力電極を備える。保護層30は、出力電極の第1の端を覆う第3の保護部33をさらに備える。図4図6及び図8に示すように、電池モジュールは、正側出力電極61と負側出力電極62の2つの出力電極を備える・正側出力電極61の第1の端61Aと負側出力電極62の第1の端62Aは、電池セル10に電気的に接続されることに用いられる。
【0052】
保護層30は、出力電極の第1の端を覆う第3の保護部33を備えるので、出力電極の焼損又は短絡を防止し、電池モジュール又は当該電池モジュールを含む電池パックの安全性能を向上させることに有利である。
【0053】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第3の保護部33は第1の保護部31と材料が同じである。当該設置は、保護層30の各保護部の作製に有利であり、出力電極に対する保護効果の保証にも有利である。
【0054】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第3の保護部33は、第1の保護部31に接続されている。当該設置は、保護層30の作製に有利であり、保護層30と電池モジュールの他の部品との組み立てにも有利である。
【0055】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第3の保護部33は、第3の上保護部331と第3の下保護部332を備える。第3の上保護部331は、出力電極の第1の端の、電池セル10から離れた上面を覆うことに用いられる。第3の下保護部332は、第3の上保護部331に対向するように設けられ、出力電極の第1の端の、電池セル10寄りの下面を覆うことに用いられる。
【0056】
第3の保護部33は、第3の上保護部331と第3の下保護部332を備え、出力電極の第1の端を全面的に覆うことに有利であり、保護層30とその第3の保護部33の出力電極に対する保護効果の達成に有利である。
【0057】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、第3の保護部33は、出力電極の第1の端の、その上面と下面との間に位置する外側面を覆う第2の側部保護部333をさらに備える。
【0058】
第3の保護部33は、第2の側部保護部333を備え、出力電極の第1の端を全面的に覆うことに有利であり、保護層30とその第3の保護部33の出力電極に対する保護効果の達成に有利である。
【0059】
図4図6に示すように、いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、電池モジュールは、保護層30と接続シート20の外部に設けられ、且つ保護層30と接続シート20とを一体に固定する固定層50をさらに備える。
【0060】
固定層50は、保護機能を果たすことができ、一方では、保護層30を接続シート20により良好に固定することもできる。
【0061】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、固定層50は、上固定層50Aと下固定層50Bを備える。上固定層50Aは、接続シート20と保護層30の上方に位置するように設けられる。下固定層50Bは、接続シート20と保護層30の下方に位置するように設けられる。
【0062】
固定層50は上固定層50Aと下固定層50Bを備えるこれにより、固定層50がそれぞれ接続シートの上下両側の保護層30を固定することに有利であり、そのため、固定保護の役割をより良好に果たすことができる。
【0063】
いくつかの実施例に係る電池モジュールにおいて、上固定層50Aと下固定層50Bとは、シール接続されている。例えば、ホットプレスのプロセスによって上固定層50Aと下固定層50Bとのシール接続を実現することができるとともに、保護層30を接続シート20に貼り合わせて、固定層50を保護層30の外部に設置させる。当該設置は、加工プロセスを簡素化することができ、ホットプレスのプロセスによって、保護層30と固定層50との定型、保護層30及び固定層50と保護された部品との位置決め及び相対的な固定を同時に行うことができる。
【0064】
固定層50は、絶縁性を有するポリマー材料で作製することができる。絶縁性を有するポリマー材料で固定層50を作製し、固定層50が覆われた接続シート20のような導電性部品の絶縁性を強化することができる。また、上固定層50Aと下固定層50Bとはシール接続され、前述した絶縁性を有するポリマー材料で作製することで、撥水の役割を果たすこともできる。
【0065】
本開示の実施例は、2つ以上の電池セル10を提供することと、2つの電池セル10を電気的に接続する接続シート20を提供することと、接続シート20の融点より高く、接続シート20を覆う第1の保護部31を備えるように配置された保護層30を提供することと、を含む電池モジュールの作製方法をさらに提供する。
【0066】
当該作製方法は、各ステップの順序を限定するものではない。例えば、保護層30と接続シート20との組み立ては、接続シート20と電池セル10との組み立ての前に行ってもよく、接続シート20と電池セル10との組み立ての後に行ってもよい。
【0067】
本開示の実施例に係る電池モジュールの作製方法は、本開示の実施例に係る電池モジュールと同じの利点を有する。
【0068】
以下、図2図8を参照して本開示のいくつかの実施例に係る電池モジュールをさらに説明する。
【0069】
図2に示すように、いくつかの実施例において、電池パックの電池モジュールは、複数の電池セル10と、接続シート(図2では、接続シートは保護層30で覆われ、図示せず)と、保護層30と、を含む。接続シートは、2つの電池セル10を電気的に接続することに用いられる。保護層30は、接続シート20を覆うための、接続シート20の融点よりも高い第1の保護部31を含む。
【0070】
図3図8は、本開示の他の実施例に係る電池モジュールの構造を示す。図3図8に示した実施例の説明において、回路基板40と接続シート20の厚み方向とは、図3図6におけるz座標方向、即ち、図3図6における上下方向を指すものである。回路基板40と接続シート20の長手方向とは、図3図6におけるx座標方向、即ち、図3図6における左右方向を指すものである。回路基板40と接続シート20の幅方向とは、図3図6におけるy座標方向、即ち、図3図6における前後方向を指すものである。
【0071】
図3図6に示すように、本開示の実施例に係る電池モジュールは、複数の電池セル10とバスバーアセンブリを含む。バスバーアセンブリは、回路基板40と、回路基板40に電気的に接続された接続シート20と、出力電極と、保護層30と、固定層50と、を備える。
【0072】
接続シート20は、電池モジュールの2つの電池セル10を電気的に接続することに用いられる。出力電極の第1の端は、電池セル10の極柱11に電気的に接続され、出力電極の第2の端は、電池モジュールの外部に電気的に接続される。電池モジュールは、正側出力電極61と負側出力電極62の2つの出力電極を備える。
【0073】
図3図6に示すように、保護層30は、接続シート20、回路基板40、正側出力電極61の第1の端61A、負側出力電極62の第1の端62Aを覆うことに用いられる。
【0074】
保護層30は、接続シート20よりも融点が高い材料で作製される。例えば、保護層30の材料は、融点が660℃以上の絶縁材料であってもよい。保護層30は、例えば、マイカペーパー、マイカフレーク、又はセラミック材料で作製することができる。
【0075】
耐熱絶縁材料で作製された保護層30により接続シート20を覆うことは、接続シート20が高温で溶断されることを防止することに有利であり、接続シート20と熱暴走した電池セル10から噴出した金属粒子も隔離し、電池セル10の短絡を防止することに有利であり、これによって、電池モジュールが連鎖的な熱暴走反応を起こすことを防止し、電池モジュールと電池パックの安全性能を向上させることに有利である。保護層30が回路基板40を覆うことは、電池モジュールが熱暴走した後、回路基板40のサンプリング機能が失効することを防止することに有利であり、これによって、電池管理システムが回路基板から伝送されたサンプリングデータに基づいて、電池モジュールが故障した時、早急に警報信号を発することに有利である。保護層30は出力電極の第1の端を覆うことは、出力電極が焼損したり短絡したりすることを防止することに有利であり、電池モジュール又は当該電池モジュールを備える電池パックの安全性能を向上させることに有利である。
【0076】
図3図6に示すように、保護層30は、接続シート20を覆うための第1の保護部31と、回路基板40を覆うための第2のの保護部32と、正側出力電極61と負側出力電極62の第1の端を覆うための第3の保護部33と、を備える。
【0077】
図6図7に示すように、第1の保護部31は、第1の上保護部311と、第1の下保護部312と、第1の側部保護部313と、を備える。第1の上保護部311は、接続シート20の、電池セル10から離れた上面を覆うことに用いられる。第1の下保護部312は、第1の上保護部311に対向するように設けられ、接続シート20の、電池セル10寄りの下面を覆うことに用いられる。第1の側部保護部313は、接続シート20の、その上面と下面との間に位置する外側面を覆うことに用いられる。第1の側部保護部313は、第1の上保護部311に接続されている。第1の保護部31は、接続シート20に貼り合わされている。
【0078】
図6に示すように、第2の保護部32は、第2の上保護部321と第2の下保護部322を備える。第2の上保護部321は、回路基板40における電池セル10から離れた上面を覆うことに用いられる。第2の下保護部322は、第2の上保護部321と対向するように設けられ、回路基板40における電池セル10寄りの下面を覆うことに用いられる。第2の保護部32は、回路基板30に貼り合わされている。
【0079】
第3の保護部33は、第3の上保護部331と、第3の下保護部332と、第2の側部保護部333と、を備える。第3の上保護部331は、正側出力電極61の第1の端61Aにおける電池セル10から離れた上面と、負側出力電極62の第1の端62Aにおける電池セル10から離れた上面とを覆うことに用いられる。第3の下保護部332は、第3の上保護部331に対向するように設けられ、正側出力電極61の第1の端61Aにおける電池セル10寄りの下面と、負側出力電極62の第1の端62Aにおける電池セル10寄りの下面とを覆うことに用いられる。第2の側部保護部333は、正側出力電極61の第1の端61Aにおけるその上面と下面との間に位置する外側面と、負側出力電極62の第1の端62Aにおけるその上面と下面との間に位置する外側面とを覆うことに用いられる。第2の側部保護部333は、第3の上保護部331に接続されている。第3の保護部33は、2つの出力電極の第1の端に貼り合わされている。
【0080】
第1の保護部31、第2の保護部32及び第3の保護部33は、いずれもマイカペーパーで作製される。第1の保護部31、第2の保護部32及び第3の保護部33は、互いに接続されている。
【0081】
保護層30の厚さと構造は、保護層30の材料と電池モジュールの実際の使用需要に応じて調整することができる。
【0082】
図4図6に示すように、保護層30は、対向するように設けられた上保護層30Aと下保護層30Bを備える。図3に示した各電池セル10との組み立て状態では、接続シート20、回路基板40及び出力電極における保護層30で覆われた表面は、各電池セル10から隔離されている。保護層30の上保護層30Aと下保護層30Bは、それぞれに接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端の厚さ方向の両側を一体構造として覆っている。ここで、上保護層30Aは、接続シート20、回路基板40及び出力電極の上側に位置し、下保護層30Bは、接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端の下側に位置する。
【0083】
図6図8に示すように、上保護層30Aは、前述した第1の上保護部311、第1の側部保護部312、第2の上保護部321、第3の上保護部331及び第2の側部保護部333を備える。第1の上保護部311、第1の側部保護部312、第2の上保護部321、第3の上保護部331及び第2の側部保護部333は、一体に形成されている。
【0084】
図6に示すように、下保護層30Bは、前述した第1の下保護部312、第2の下保護部322及び第3の下保護部332を備える。第1の下保護部312、第2の下保護部322及び第3の下保護部332は、一体に形成されている。
【0085】
図3図4に示すように、電池モジュールは、アレイ状に配列された複数の電池セル10を備える。いくつかの実施例において、12個の電池セル10は、前後方向(Y座標方向)に沿って2列に配置され、列ごとに左右方向(X座標方向)に沿って6個を配置されている。各電池セル10の高さ方向は上下方向(Z座標方向)であり、長手方向は左右方向であり、幅方向は前後方向である。各電池セル10には、正極極柱と負極極柱の2つの極柱11が設けられ、接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端は、各電池セル10の上方に設けられ、各電池セル10を電池パックに接続するように、接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端は対応する電池セル10に組み立てるように接続される。
【0086】
回路基板40は、各接続シート20、正側出力電極61及び負側出力電極62に電気的に接続される。回路基板40は、FPC(Flexible Printed Circuit、フレキシブルプリント基板)であってもよい。FPCは、主にベースフィルム、銅配線及び耐熱保護フィルムからなり、FPCの一端には、信号収集端子が設けられる。
【0087】
接続シート20は、通常、アルミニウム、銅などの金属導電材料で作製され、異なる電池セル10を接続することに用いられる。正側出力電極61と負側出力電極62及び各接続シート20には、取付孔が設けられ、接続シート20、正側出力電極61及び負側出力電極62は、取付孔の位置で、対応する電池セル10の極柱11に溶接されている。正側出力電極61と負側出力電極62は、電池モジュールを外部と電気的に接続することに用いられる。ここで、正側出力電極61の第1の端61Aと負側出力電極62の第1の端62Aは、図4の右端に位置する電池セル10の一つの極柱11にそれぞれ電気的に接続され、正側出力電極61と負側出力電極62の第2の端は、出力電極の出力端とする。
【0088】
正側出力電極61と負側出力電極62は、いずれもL字状に折り曲げられている。2つの出力電極は、通常、アルミニウム、銅などの金属導電材料で作製される。
【0089】
保護層30には、接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端に取り付ける取付孔又は半田逃げ孔の位置に対応する位置決め孔が設けられ、これらの位置決め孔で接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端との位置合わせを実現している。本実施例において、保護層30は、マイカペーパーで作製される。
【0090】
図3図8に示した実施例において、保護層30は、接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端を保護することに用いられる。保護層30が接続シート20を覆うため、接続シート20を保護する役割を果たすことができ、電池モジュールが熱暴走した後に接続シート20が熱によって溶融し、熱暴走連鎖反応を引き起こすことを防止することに有利である。保護層30が回路基板40を覆うため、保護層30は、回路基板40を保護することにも用いられ、電池モジュールが熱暴走した後に回路基板40のサンプリング機能が失効することを防止することに有利である。保護層30が出力電極の第1の端を覆うため、電池モジュールの熱暴走後に出力電極が損傷したり短絡したりすることを防止するのにも有利である。
【0091】
図3図6に示すように、保護層30の上保護層30Aと下保護層30Bには、何れも位置決め孔が設けられる。
【0092】
図3図6に示すように、固定層50は、保護層30及び接続シート20、回路基板40、出力電極の第1の端の外部に設けられる。固定層50は、絶縁保護の役割を果たすことができ、一方では、保護層30と、接続シート20、回路基板40及び出力電極とを一体に固定することもできる。
【0093】
固定層50は、PET(Polyethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)、PI(Polyimide、ポリイミド)、PC(Polycarbonate、ポリカーボネート)及びPEN(Polyethylene naphthalate、ポリエチレンナフタレート)等の絶縁性を有するポリマー材料で作製することができる。
【0094】
固定層50は、バスバーアセンブリにおける固定層50によって覆われた部分を電池モジュールの他の部品から絶縁させ、一方では、保護層30の脱落又は変位を防止するために、保護層30と接続シート20、回路基板40及び出力電極とを固定することができる。
【0095】
図4図6に示すように、固定層50は、上固定層50Aと下固定層50Bを備える。上固定層50Aは、上保護層30Aの上方に位置し、下固定層50Bは、下保護層30Bの下方に位置する。上固定層50Aと下固定層50Bは、上保護層30Aと下保護層30Bを、接続パッド20、回路基板40及び出力電極に固定する。上固定層50Aは、上保護層30Aの形状に適合されている。下固定層50Bは、下保護層30Bの形状に適合されている。
【0096】
固定層50には、保護層30と同様に、接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端の取付孔又は半田逃げ孔の位置に対応する位置決め孔が設けられ、これらの位置決め孔で接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端との位置合わせ組み立てを実現する。図3図6に示すように、固定層50の上固定層50Aと下固定層50Bには、何れも位置決め孔が設けられる。
【0097】
保護層30をより良好に固定し、保護層30の脱落を防止するために、ホットプレスのプロセスによって保護層30と固定層50とを成形して固定し、上固定層50Aと下固定層50Bとをシール接続させる。ホットプレスのプロセスによって、接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端の上下両側に設けられた上保護層30Aと下保護層30Bを接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端の輪郭に合わせて接続シート20、回路基板40及び出力電極の第1の端に完全に貼り合わせることができ、一方では、ホットプレスのプロセスによって、上固定層50Aと下固定層50Bの縁部とを固定するように接続することができ、それにより、接続シート20、回路基板40、出力電極及び保護層30を固定層50内に設置させることができる。
【0098】
最後に説明すべきことに、上記実施例は、ただ本開示の技術的解決手段を説明するためのものであり、本開示を限定するものでは、なく、好ましい実施例を参照して本開示を詳細に説明したが、当業者であれば、本開示の具体的な実施形態を変更し、又は一部の技術的特徴を等価に置換することができ、本開示の技術的解決手段の精神から逸脱することなく、何れも本開示の請求を保護する技術的解決手段の範囲に含まれることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8