(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像表示装置
(51)【国際特許分類】
B66B 3/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B66B3/00 G
B66B3/00 L
(21)【出願番号】P 2023073857
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2021566769の分割
【原出願日】2019-12-27
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】502250178
【氏名又は名称】ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】二口 剛
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 和隆
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214478(JP,A)
【文献】特開2009-086732(JP,A)
【文献】特開2021-031301(JP,A)
【文献】特開2005-047689(JP,A)
【文献】特開2019-199314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00- 3/02
B66B 5/00- 5/28
B66B 11/00-11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのカゴ内に
後付により設置され、当該カゴ内で当該カゴの乗員に対して画像を表示する表示画面を有する画像表示装置であって、
前記カゴ内を撮影する撮影部と、
自装置に物体が接触したことを検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づいて、接触があった旨を示す内容と、前記撮影部によって撮影された前記カゴ内の状況を示す画像と、を含む報知画面を前記表示画面に表示する表示制御部と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーターのカゴ内を撮影する防犯カメラ装置および防犯カメラ装置制御プログラムに関する。またこの発明は、エレベーターのカゴ内で乗員に対して画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターのカゴ内における防犯を目的として、カゴ内を撮影する防犯カメラ装置を設置したエレベーターが数多く存在する。
【0003】
関連する技術として、具体的には、従来、たとえば、エレベーターのカゴ内に設置されたコンピュータ(情報処理装置)に、エレベーターの乗員に対して画像を表示する第1の処理と、第1の処理によって表示される画像を見ている乗員を撮影する第2の処理と、第2の処理によって撮影された情報を記憶する第3の処理と、を実行させることにより、エレベーターの乗員に対して情報を提供するとともに、エレベーター内で発生するおそれがある犯罪行為などを抑止し、エレベーター内の防犯に寄与するようにした防犯支援プログラムに関する技術があった。また、画像を表示する表示画面と、表示画面と同一面に、カゴ内を撮影する撮像部とを有する情報処理装置と、情報処理装置を支持する支持部材と、を備え、エレベーターのカゴの内壁面に設置され、エレベーターの乗員に対して画像を表示する表示装置に関する技術があった(たとえば、下記特許文献1、2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-151443号公報
【文献】特開2019-199314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、防犯カメラ装置は、新規に設置されるエレベーターに備え付けられていることが多く、設置時に防犯カメラ装置を備えているエレベーターは、一般的に、高価なエレベーターに限定される傾向にある。設置時において防犯カメラ装置を備えていないエレベーターに防犯カメラ装置を後付けするためには、大掛かりな工事が必要になり、工事のためにエレベーターを利用できない期間が長くなり、エレベーターの利用者の利便性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
一方で、費用の面から防犯カメラ装置の設置を先送りすることは、乗員の安全確保が不十分であり好ましくなく、また、エレベーターのカゴ内での犯罪やトラブルが発生しても特定や検証することができず、防犯面において問題がある。
【0007】
また、特許文献1、2の発明にかかる表示装置は、情報処理装置が、カゴ内を撮影する撮像部を有し、その撮像部によって防犯カメラとしても機能を備えている旨を開示しているが、当該情報処理装置では、当該撮像部へ供給される電源を管理することはできない。一般的に、災害の発生時や犯罪の発生時など、(自然発生的に、または、人為的に)通常供給される電源が停止される状況あるいは電源が不安定になる状況が生じる可能性があり、その状況にこそ、防犯カメラによるカゴ内の撮影映像を記録したり、管理センターなどの外部へ出力したりすることが有用になる。
【0008】
このように、防犯カメラにおいて電源を確保し撮影し続けることが重要な課題である。また、通常供給される電源が停止され、非常用の電源に切り替わった場合には、一刻も早く復旧させることが重要である。特許文献1の発明にかかる表示装置は、そのことについては何ら解決されていない。そもそも、特許文献1の発明にかかる表示装置を構成する情報処理装置がどのように電源を確保するかについて不明で、後付けの装置であるゆえに、十分に防犯カメラ付き表示装置としての機能を有してはおらず、当該装置では、エレベーター内における情報表示および防犯を果たすことができないという問題点がある。
【0009】
また、エレベーターのカゴ内に後付けの防犯カメラ装置は、取り外しが容易なゆえに、盗難にあったり、悪戯されたりする可能性が高い。一旦、盗まれたり、破壊されたりすると、復旧させるまでの間、防犯カメラが作動しないため、防犯の抑止力が低下する。また、防犯カメラ装置を広告表示装置としても使用する場合には、復旧するまでの間、広告が表示できないので、広告提供者(広告主)の広告活動にも支障を来すことになるという問題点がある。
【0010】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、後付けで取り外しが容易なゆえに、壊されたり、盗難にあったり、悪戯されたりする可能性が高い装置の当該可能性を低減させ、安定した撮影動作を確保することができる。それにより、乗員の安全確保に寄与することができる防犯カメラ装置および防犯カメラ装置制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明にかかる防犯カメラ装置は、エレベーターのカゴ内に後付けされ、当該カゴ内を撮影する防犯カメラ装置であって、前記カゴ内を撮影する撮影部と、前記カゴ内で当該カゴの乗員に対して広告を表示する表示画面を有する表示部と、前記撮影部および前記表示部を含む自装置に物体が接触したことを検知する検知部と、を備え、前記表示部が、前記検知部による検知結果に基づいて、パスワード入力画面を前記表示画面に表示することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置は、上記の発明において、前記物体が、人体を含むことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置は、上記の発明において、前記表示部によって前記パスワード入力画面が前記表示画面に表示された場合に、警報を出力する警報出力部を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置は、上記の発明において、パスワードの入力を受け付ける受付部を備え、前記受付部によって受け付けられたパスワードがあらかじめ登録されているパスワードと一致した場合に、前記表示部が、前記表示画面に表示した前記パスワード入力画面を消去し、前記広告の表示を再開することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置は、上記の発明において、前記パスワード入力画面が表示されたことを、ネットワークを介して所定のサーバへ送信する送信部を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置は、上記の発明において、前記自装置が、略平板形状をなし、平板の一面(以下「背面」という)を前記カゴの内壁面側に向けて設置され、前記表示画面が、前記背面とは反対の面(以下「正面」という)に設けられ、前記撮影部が、前記正面であって、前記表示画面の周辺に設けられることを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置は、上記の発明において、前記自装置が、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、カメラと、通信インタフェースと、ディスプレイと、電源制御ユニットと、を備えたタブレット型端末装置によって構成されることを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置制御プログラムは、エレベーターのカゴ内に後付けされ、当該カゴ内を撮影する撮影部と、当該カゴ内で当該カゴの乗員に対して広告を表示する表示画面と、を備える防犯カメラ装置に、前記自装置に物体が接触したことを検知し、検知結果に基づいて、パスワード入力画面を前記表示画面に表示する、処理を実行させることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置制御プログラムは、上記の発明において、前記パスワード入力画面が前記表示画面に表示された場合に、前記自装置に対するデータの入出力を制限することを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置制御プログラムは、上記の発明において、前記パスワード入力画面が前記表示画面に表示された場合に、前記自装置に記憶されているデータの全部または一部を消去することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる防犯カメラ装置は、上記の発明において、前記電源監視部が、前記電源供給用プラグを挿抜可能な電源コネクタに対する当該電源供給用プラグの挿抜の状態を監視し、前記電源供給制御部が、前記電源監視部による監視の結果、前記電源コネクタから前記電源供給用プラグが抜出されたことを検出した場合に、前記電源供給部からの前記自装置への電源の供給を、前記蓄電部からの供給へと、切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明にかかる防犯カメラ装置によれば、また、後付けで取り外しが容易なゆえに、壊されたり、盗難にあったり、悪戯されたりする可能性が高い装置の当該可能性を低減させ、安定した撮影動作を確保することができる。それにより、乗員の安全確保に寄与することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の外観構成を示す説明図(その1)である。
【
図2】
図2は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の外観構成を示す説明図(その2)である。
【
図3】
図3は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の外観構成を示す説明図(その3)である。
【
図4】
図4は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の外観構成を示す説明図(その4)である。
【
図5】
図5は、AC電源コネクタと電源供給用プラグとの接続状態を示す説明図(その1)である。
【
図6】
図6は、AC電源コネクタと電源供給用プラグとの接続状態を示す説明図(その2)である。
【
図7】
図7は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の設置例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の表示内容を含む外観の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、物体の接触の状況の一例を示す説明図である。
【
図12】
図12は、AC電源コネクタに対する電源供給用プラグの挿抜の状態を示す説明図である。
【
図13】
図13は、パスワード入力画面の一例を示す説明図である。
【
図14】
図14は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる防犯カメラ装置および防犯カメラ装置制御ブログラムの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0025】
(防犯カメラ装置の外観構成)
まず、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の外観構成について説明する。
図1~
図4は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の外観構成を示す説明図である。
図1においてはこの発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の正面図を示し、
図2においては背面図を示している。
図3においてはこの発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の正面側からの斜視図を示し、
図4においては背面側からの斜視図を示している。
【0026】
図1~
図4に示すように、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、平板形状をなす。具体的に、防犯カメラ装置100は、扁平な長方体形状をなす筐体101を備えており、当該筐体101によって平板形状をなす。防犯カメラ装置100は、平板形状をなす筐体101の一面(以下「背面」という)101aを、エレベーターのカゴの内壁面側に向けた状態で設置される(後述する
図7を参照)。このようにして、防犯カメラ装置100は、カゴ内に後付けすることができる。
【0027】
防犯カメラ装置100の筐体101において、背面101aとは反対の面(以下「正面101b」という)には、表示画面(ディスプレイ)102が設けられている。表示画面102は、具体的には、たとえば、液晶表示器(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、7セグメントディスプレイなどによって実現することができる。
【0028】
また、正面101bには、正面レンズ103(103a、103b)が設けられている。正面レンズ103aは、カゴ内に設置された状態において、筐体101における、表示画面102より鉛直方向下側に位置するように設けられている。また、正面レンズ103bは、
図1、
図3、
図6に示すように、筐体101における、表示画面102の左右のいずれか(
図1、
図3、
図6では、表示画面102に向かって右)の端部の外側に位置するように設けられるようにしてもよい。正面レンズ103は、103a、103bのどちらか1つだけ設けられていてもよく、また、103a、103bの両方が設けられていてもよい。また、正面レンズ103の数は、1つまたは2つに限らず、3つ以上であってもよい。正面レンズ103は、正面用撮像素子とともに、この発明にかかる撮影手段である正面カメラ(
図9における符号903を参照)を構成する。
【0029】
正面カメラは、正面レンズ103と撮像素子との間に1または複数のレンズや、当該複数のレンズのうちの少なくとも1つのレンズを光軸方向に沿って移動させる可動機構などを備えていてもよい。正面カメラは、具体的には、たとえば、コントラストAF(AutoFocus)や位相差AFなどのパッシブ方式により焦点を合わせるAFユニットによって実現される。
【0030】
また、正面レンズ103bは、正面の平面に対して所定の角度だけ下側を向くように構成されている。これにより、平板形状の筐体101を壁面に取り付けて、表示画面102が、壁面と平行になった場合であっても、カゴ内の下側の領域を確実に撮影することができる。
【0031】
なお、正面カメラの構成部品のうち、少なくとも正面レンズ103が、筐体101における、表示画面102より鉛直方向下側に位置、または、筐体101における、表示画面102の左右のいずれかの端部の外側に位置していればよく、筐体101の形状や筐体101内の部品の配置によっては、正面レンズ103以外の構成部品は、必ずしも表示画面102より鉛直方向下側に位置していなくてもよい。
【0032】
また、正面101bには、スピーカー104やステータス表示LED(Light Emitting Diode)105が設けられている。スピーカー104は、音声信号である電気信号によって振動板を振動させて音を発生させる。スピーカー104は、表示画面102の左右(カゴ内に設置された状態における左右)にそれぞれ設けられている。スピーカー104は、音声信号を出力する出力端子であってもよく、当該出力端子に外部スピーカーを接続して、音を発生させるようにしてもよい。接続する外部スピーカーは、1台であってもよく、2台以上であってもよい。スピーカー104の設置位置も、表示画面の左右には限定されない。
【0033】
ステータス表示LED105は、防犯カメラ装置100の動作状態を示す。具体的に、ステータス表示LED105は、たとえば、電源のON/OFF状態、リンクアップ状態、データ送受信の有無、エラー発生の有無、注意を促す警告などを示す。ステータス表示LED105は、複数のLEDランプ105aによって構成されている。複数のLEDランプ105aは、それぞれが異なる色で発光するものであってもよく、それぞれが複数色を適宜切り替えて発光するものであってもよい。ステータス表示LED105は、各LEDランプ105aの点灯の有無や発光色によって防犯カメラ装置100の動作状態を示す。
【0034】
背面101aには、電源ボタン201および操作ボタン202が設けられている。電源ボタン201は、操作されるごとに、防犯カメラ装置100の電源のON/OFFを切り替える。操作ボタン202は、複数のボタン202a~202fによって構成されている。
【0035】
具体的に、ボタン202a、202bは、たとえば、スピーカー104から出力される音声の音量の調整操作を受け付ける。ボタン202c、202dは、たとえば、防犯カメラ装置100の起動時に表示画面102に表示される設定画面に表示される複数の操作メニューの中から所望の操作メニューを選択する操作を受け付ける。ボタン202eは、選択された操作メニューの決定を受け付ける。
【0036】
ボタン202eは、防犯カメラ装置100の起動中に操作されることにより、表示画面102における表示内容の切り替え操作を受け付けてもよい。具体的には、防犯カメラ装置100の起動中におけるボタン202eの操作により、たとえば、広告などの表示内容を設定画面に切り替えることができる。
【0037】
ボタン202fは、防犯カメラ装置100の起動中に操作されることにより、撮影開始を受け付ける。正面カメラおよび背面カメラのいずれの撮影をおこなうかは、ボタン202a~202eの操作によって選択することができる。
【0038】
電源ボタン201および操作ボタン202は、少なくとも一方が背面101aに設けられていればよい。具体的には、たとえば、電源ボタン201を背面101aに設け、操作ボタン202を筐体101の側面(背面101aおよび正面101b以外の面)や正面101bに設けてもよい。また、表示画面102にタッチパネルを積層し、当該タッチパネルと表示画面102に表示する画像とによってソフトウェア的に再現されるソフトキーによって操作ボタン202を実現してもよい。
【0039】
また、背面101aには、背面蓋203、背面レンズ204、ポート用電源スイッチ205、外部アンテナ取付穴206、複数のビス穴207、AC電源コネクタ208、および、AC電源ケーブル固定用部材209が設けられている。背面蓋203は、筐体101に対して取り外し可能に取り付けられている。背面蓋203は、ネジなどを用いて筐体101に固定されている。
【0040】
背面蓋203を筐体101に固定するネジは、汎用的な工具では操作することができない特殊ネジを用いることが好ましい。また、背面蓋203は、少なくとも両脇の2ヵ所を含む複数箇所に設けることが好ましい。背面蓋203は、筐体101に取り付けられた状態において、背面101aに設けられたポートやスロット(いずれも図示を省略)を覆う。
【0041】
ポートは、防犯カメラ装置100の外部とのデータの入出力を担い、具体的には、たとえば、USB Type-Aポートによって実現することができる。ポートは、複数設けられていてもよい。ポートを複数設ける場合、たとえば、1つをエレベーターの遠隔監視装置などの外部装置とのインタフェースとして用い、別の1つを防犯カメラ機能により撮影したカゴ内の画像を記録(録画)するUSBメモリなどの記憶装置とのインタフェースとして用いることができる。これにより、外部装置と連携して動作しつつ、カゴ内の画像を記録(録画)することができる。スロットは、拡張ボードやメモリカードなどの挿入を受け付け、具体的には、たとえば、SIMカードスロットやMicroSDカードスロットによって実現することができる。
【0042】
背面蓋203には、スリット203aが設けられている。これにより、ポートおよびポートと端子との接続を保護しつつ、ポートを介して防犯カメラ装置100と外部装置などとを接続するケーブル(
図5および
図6における符号502を参照)をスリット203aから外部に引き出すことができる。そして、これにより、外部機器との接続の自由度を確保することができる。
【0043】
背面レンズ204は、背面用撮像素子とともに、背面カメラ(
図9における符号904を参照)を構成する。背面カメラは、防犯カメラ装置100の設置に際して、設置対象となるエレベーターに貼り付けてある物件コード(図示を省略する)の読み込みに用いる。物件コードは、たとえば、エレベーターのカゴの内壁面に貼り付けられた二次元コードによって実現することができる。背面カメラによる二次元コードの読み込みは、防犯カメラ装置100の設置時のみおこなってもよく、設置後も定期的あるいは所定の条件が整った場合におこなってもよい。
【0044】
防犯カメラ装置100の設置後に定期的あるいは所定の条件が整った場合に、背面カメラによる二次元コードの読み込みをおこなうことにより、防犯カメラ装置100が正規の位置に取り付けられていることを確認することができ、防犯カメラ装置100の不正な持ち出しを抑制することができる。
【0045】
ポート用電源スイッチ205は、操作されることにより、ポートの電源のON/OFFを切り替える。これにより、ポートを使わない場合は電源をOFFすることによって、省電力化を図ることができる。防犯カメラ装置100が複数のポートを備える場合、ポートごとにポート用電源スイッチ205を設けてもよい。これにより、ポートごとに電源のON/OFFを切り替えることができ、一層の省電力化を図ることができる。
【0046】
外部アンテナ取付穴206は、防犯カメラ装置100とは別体の外部アンテナの取り付けに用いる。具体的に、外部アンテナ取付穴206は、たとえば、F型コネクタによって実現することができる。F型コネクタは、筐体101の内部において、図示を省略する受信回路に接続されている。
【0047】
ビス穴207には、防犯カメラ装置100をカゴの内壁面に固定するためのビスが螺合される。防犯カメラ装置100は、ビスによって、カゴの内壁面に直接固定されるものであってもよく、カゴの内壁面に固定されるステーを介してカゴの内壁面に固定されるものであってもよい。
【0048】
AC電源コネクタ208は、電源供給用プラグ(
図5および
図6における符号501を参照)を挿抜可能であって、電源に接続された電源供給用プラグが挿入されることによって電力の供給を受け付ける。AC電源コネクタ208は、たとえば、AC(Alternating Current)アダプターなどと称される、AC電源(商用電源)より入力される交流から所定の直流電力を取り出す機器が備える電源供給用プラグの挿入を受け付ける。AC電源コネクタ208は、この発明にかかる電源コネクタを実現する。
【0049】
ACアダプターにおいて、電源供給用プラグは、AC電源に接続され、AC電源の交流から所定の直流電力を取り出す変圧回路、整流回路、安定化電源回路などによって構成される本体部に接続される。ACアダプターを介して給電を受けることにより、半導体素子を利用して動作する防犯カメラ装置100自体が、交流を直流に変換する回路を搭載していなくても動作することができる。これにより、防犯カメラ装置100の軽量化、低コスト化を図ることができる。なお、防犯カメラ装置100自体が、交流を直流に変換する回路を備えていてもよい。ACアダプターは、AC電源に常態的に接続されているものに限らず、コンセントに挿入されることによって給電を受けるコンセントプラグを備えていてもよい。
【0050】
AC電源ケーブル固定用部材209は、AC電源コネクタ208に挿入(接続)された電源供給用プラグに連続するケーブルの位置の固定に用いる。具体的に、AC電源ケーブル固定用部材209は、長さ方向における両端が背面101aに接して設けられた円弧形状をなし、円弧形状の内周面と背面101aとによって孔を形成する。
【0051】
AC電源ケーブル固定用部材209は、少なくとも長さ方向における一端が背面101aに固定されている。AC電源ケーブル固定用部材209の長さ方向における他端は、背面101aに固定されていなくてもよく、背面101aから離間していてもよい。AC電源ケーブル固定用部材209を利用したケーブルの固定方法については、後述する(
図5および
図6を参照)。
【0052】
さらに、防犯カメラ装置100がカゴ内に設置された状態における、筐体101の下部には、図示を省略する別のポートが設けられている。別のポートは、防犯カメラ装置100の外部とのデータの入出力を担い、具体的には、たとえば、上記のポートと同様に、USB Type-Aポートによって実現することができる。別のポートは、たとえば、防犯カメラ装置100が撮影した画像データ(防犯カメラ録画データ)を外部装置にエクスポートする際に使用する。別のポートを筐体101の下部に設けることにより、防犯カメラ装置100をカゴの内壁面から取り外したり、背面蓋203を筐体101から取り外したりすることなく、画像データを外部装置にエクスポートすることができる。
【0053】
筐体101には、別のポートを覆うカバー210が設けられていてもよい。このカバー210は、ネジなどを用いて筐体101に固定されていてもよい。カバー210を固定するネジも、上述した背面蓋203を固定するネジと同様に、特殊ネジを用いることが好ましい。これにより、良好な操作性を確保するために、筐体101の下部にポートを設ける場合にも、画像データが不正にエクスポートされることを防止できる。
【0054】
(AC電源コネクタ208と電源供給用プラグとの接続状態)
つぎに、AC電源コネクタ208と電源供給用プラグとの接続状態について説明する。
図5および
図6は、AC電源コネクタ208と電源供給用プラグとの接続状態を示す説明図である。防犯カメラ装置100は、
図5および
図6に示すように、AC電源コネクタ208に、AC電源に接続された電源供給用プラグ501が挿入(接続)されることによって給電され、動作することができる。
【0055】
電源供給用プラグ501に接続されたケーブル502は、たとえば、電源供給用プラグ501をAC電源コネクタ208に挿入(接続)した後、ケーブル502の断線防止や周囲の部材との干渉防止などを考慮した任意の位置に引き回す。そして、引き回したケーブル502が断線しないことや、当該ケーブル502が周囲の部材に干渉しないことなどを確認してから、当該ケーブル502を、結束バンドなどを用いてAC電源ケーブル固定用部材209に固定する。
【0056】
これにより、AC電源コネクタ208と電源供給用プラグ501との位置関係がある程度固定され、AC電源コネクタ208に対して電源供給用プラグ501が自由に移動することが抑制され、エレベーターのカゴが昇降することによる振動などに起因して不用意に給電が停止することを防止できる。また、ケーブル502の位置を固定することにより、ケーブル502が垂れ下がって美観を損ねたり、ケーブル502を引っ張って給電を停止させるなどの悪戯を防止することができる。
【0057】
(防犯カメラ装置100の設置例)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100の設置例について説明する。
図7は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100の設置例を示す説明図である。
図7においては、エレベーターのカゴ内の様子を示している。
【0058】
図7に示すように、エレベーターのカゴ701は、乗員が乗るための空間を内側に備え、当該空間と外部とを開閉し、カゴ701に対して乗員が出入りする出入り口部分の扉702を備えている。カゴ701の内壁面には、カゴ701に搭乗した乗員が操作する操作盤703が設けられている。操作盤703は、たとえば、行先階ボタン、扉開閉ボタン、非常ボタンなどを含む操作ボタン群や、カゴ701が位置する階床などを表示する表示器を備えている。操作盤703は、カゴ701の内面であって、扉702と同じ面に設けられている。
【0059】
図7において、防犯カメラ装置100は、扉702および操作盤703が設けられている壁面と同じ壁面であって、操作盤703より上側の天井近くに設置されている。これは、カゴ701内の乗員が、扉702側の壁面を向いて立つことが一般的であることを想定している。
【0060】
すなわち、通常、乗員は、カゴ701内に入った後、扉702側の壁面を向いて立つことが多く、このような位置に防犯カメラ装置100を設けることによって、カゴ701内の乗員が、表示画面102に表示される広告を容易に見ることができる。これにより、防犯カメラ装置100を介した高い広告効果を発揮させることができる。
【0061】
防犯カメラ装置100は、たとえば、正面カメラによって乗員の表情を撮影する。防犯カメラ装置100を天井近くに設置することにより、正面カメラによって乗員の表情を容易に撮影することができる。また、正面カメラは、カゴ701から降りる際の乗員の表情を撮影することができる。
【0062】
また、防犯カメラ装置100を天井付近に設置することにより、乗員は、通常の状態で手を伸ばしても防犯カメラ装置100に容易に触れることができない。したがって、乗員により、不用意に防犯カメラ装置100に触れられたり、不正に操作されたり、壊されたりすることを防止することができる。
【0063】
図示を省略するが、防犯カメラ装置100は、扉702および操作盤703が設けられている壁面に対向する壁面(カゴ701の奥側の壁面)に、それぞれ設けるようにしてもよい。カゴ701の奥側の壁面に設けることによって、乗員は、カゴ701内に入ってくる際に、防犯カメラ装置100(の表示画面102)を見ることができる。
【0064】
さらに、扉702および操作盤703が設けられている壁面と、その壁面に対向する壁面(カゴ701の奥側の壁面)とに、それぞれ防犯カメラ装置100を設けることにより、乗員は、カゴ701内に入る際、および、カゴ701内から出る際に、防犯カメラ装置100(の表示画面102)を見ることができる。
【0065】
また、防犯カメラ装置100は、扉702および操作盤703が設けられている壁面と同一の壁面の上側に代えて、側壁面に設けるようにしてもよい。この場合、防犯カメラ装置100は、カゴ701の側壁面において、天井に近い上側の位置に設けることが好ましい。また、防犯カメラ装置100は、カゴ701の隅のコーナー位置に設置してもよい。このように、防犯カメラ装置100は、カゴ701内の扉702の上端よりも上側の位置のどの位置に設置してもよい。
【0066】
防犯カメラ装置100は、エレベーターの設置後に、後付けすることができる。防犯カメラ装置100は、カゴ701の広さ(定員数)、カゴ701の天井の高さ、カゴ701の形状(床が正方形あるいは長方形など)、エレベーターの種類(シースルー型、壁面に鏡の有り無し)、外扉の種類(窓の有り無し)などを勘案した最適な位置に設置することができる。また、防犯カメラ装置100は、防犯カメラ装置100の設置後に、自由にその設置位置を変更できるようにしてもよい。
【0067】
防犯カメラ装置100は、たとえば、壁面へのネジ止めにより設置することができる。防犯カメラ装置100を壁面にネジ止めすることにより、落下を確実に防止することができる。ネジ止めは、壁面に限らず、ステーなどを介してカゴ701の天井に施してもよい。防犯カメラ装置100は、ネジ止め以外の方法(たとえばマグネットなどを使用するなど)によって設置してもよい。
【0068】
カゴ701には、ACアダプターが備えるコンセントプラグの挿入を受け付けるプラグソケット704が設けられている。プラグソケット704は、ACアダプターが備えるコンセントプラグが挿入されることによって当該コンセントプラグとともに配線用差込接続器を構成する。具体的には、たとえば、日本において汎用的に用いられているAタイプのプラグソケットを用いることができる。
【0069】
プラグソケット704は、Aタイプに限るものではない。具体的には、たとえば、インドやインドネシアなどにおいて広く用いられているB3タイプやCタイプのプラグソケットを用いてもよく、香港などにおいて広く用いられているBFタイプのプラグソケットを用いてもよい。
【0070】
あるいは、韓国などにおいて広く用いられているSEタイプのプラグソケットを用いてもよく、台湾などにおいて広く用いられているOタイプのプラグソケットを用いてもよい。中国など、複数タイプのプラグソケットが普及している国や地域においては、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプ、B3タイプ、BFタイプ、SEタイプ、Oタイプなど様々なタイプの中から、エレベーターを設置する地域に応じた任意のタイプのプラグソケットを用いることが好ましい。
【0071】
プラグソケット704は、カゴ上ボックスが収容する基板の電気回路に電気的に接続されている。これにより、プラグソケット704やACアダプターを介して防犯カメラ装置100に給電することができる。プラグソケット704は、カゴ上ボックスが収容する基板の電気回路の端子に直接結線されているものに限らず、当該端子に接続された電力線に接続されていてもよい。このような電力線にプラグソケット704を接続する場合、当該電力線に分岐用のコネクタを設け、当該コネクタにプラグソケット704を接続することができる。
【0072】
従来、後付けの情報処理装置において長時間にわたって画像を表示するためには、当該情報処理装置に対する常時給電が必須であるものの、仮に、情報処理装置に対して給電用のケーブル502を接続する場合、カゴ701に給電用のケーブル502を通すための孔を空けなくてはならず、作業が煩雑であって時間がかかるという問題があった。
【0073】
また、カゴ701に給電用のケーブル502を通すための孔を空けた場合、エレベーターの設置後にカゴ701内に取り付けた防犯カメラ装置100を撤去する際には、ケーブル502を通すためにカゴ701に空けた孔が露出した状態となることで美観を損ねるなどの不具合を回避するため、当該孔を塞ぐ補修作業をおこなう必要がある。このため、作業が煩雑であって時間がかかり、エレベーターを利用できない時間が長くなって、利用者の利便性に劣るという問題があった。
【0074】
これに対し、
図7に示すエレベーターにおいては、カゴ701にプラグソケット704が設けられているため、カゴ701に給電用のケーブル502を挿通するための孔を別途空けることなく防犯カメラ装置100に対して給電することができる。これにより、作業者に負担をかけることなく、防犯カメラ装置100を容易かつ速やかに設置することができ、電力不足によって停止させることなく、常時稼動させることができる。また、表示画面に広告などを表示する場合も、電力不足によって停止させてしまうことなく、安定して稼動させることができる。また、防犯カメラ装置100の設置にかかる作業時間の短縮を図り、エレベーターの利用者、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0075】
また、カゴ701にプラグソケット704が設けられているため、カゴ701に給電用のケーブル502を挿通するための貫通孔を埋め戻す作業が不要になり、撤去作業にかかる作業者の負担軽減を図ることができる。さらに、防犯カメラ装置100を撤去した後のカゴ701内の美観を確保することができる。
【0076】
なお、プラグソケット704がカゴ701内に露出している場合、当該プラグソケット704は、
図7に示すように、カゴ701内の高い位置に配置することが好ましい。具体的には、
図7に示すように、プラグソケット704は、カゴ701の側面や天井面に設けることが好ましい。このように、カゴ701内に露出したプラグソケット704をカゴ701内の高い位置に配置することにより、雨天時に傘や衣服から飛んだ水滴が付着することを防止でき、また、盗電や子供などによる悪戯をしにくくすることができる。
【0077】
プラグソケット704は、1つのカゴ701に1つ設けられていてもよく、1つのカゴ701に複数個設けられていてもよい。1つのカゴ701に複数のプラグソケット704を設ける場合、当該複数のプラグソケット704を並べて配置してもよく、複数箇所に分散して配置してもよい。プラグソケット704は、たとえば、当該プラグソケット704がカゴ701の内壁面(天井面)と同一面内に位置するように配置するとよい。
【0078】
また、カゴ701には、プラグソケット704に代えて、図示を省略する、接栓座を設けるようにしてもよい。接栓座は、図示を省略するカゴ上ボックスが収容する電気回路から供給される電源を、当該接栓座に接続された防犯カメラ装置100に対して供給する機能を備える。具体的には、たとえば、電源供給用の配線を備えたレセクタブルを用いることによって、接栓座に接続された電気機器に対して電源を供給することができる。なお、レセクタブルは、電源供給用の配線に加えて、信号伝送用の配線を備えていてもよい。
【0079】
接栓座を実現するレセクタブルは、当該レセクタブルに接続されている防犯カメラ装置100の動作中に抜き差しすることができるホットプラグによって実現することが好ましい。接栓座を実現するレセクタブルは、さらに、図示を省略する制御回路を介して防犯カメラ装置100への給電をおこなうようにしてもよい。
【0080】
また、接栓座は、たとえば、USBコネクタによって実現してもよい。接栓座を実現するレセクタブルとしてのUSBコネクタは、たとえば、USB Type-Aコネクタ、Micro USBコネクタ、Micro USB Type-Bコネクタ、USB Type-Cコネクタなど公知の各種のUSBコネクタのレセクタブルによって実現することができる。
【0081】
また、接栓座を実現するレセクタブルは、USBインタフェースのコネクタ(レセクタブル)に限るものではなく、たとえば、IEEE 1394コネクタ、PS/2コネクタ、D-Subコネクタ、DINコネクタ、同軸コネクタ、その他公知の各種の通信用のコネクタによって実現されるものであってもよい。
【0082】
接栓座を実現するレセクタブルは、1つのカゴ701に1つ設けられていてもよく、1つのカゴ701に複数設けられていてもよい。1つのカゴ701に複数の接栓座を実現するレセクタブルを設ける場合、通信I/Fのコネクタは1種類であってもよく、複数種類であってもよい。
【0083】
接栓座を実現するレセクタブルは、たとえば、当該レセクタブルの端部がカゴ701の内壁面と同一面内に位置するように配置することができる。また、接栓座を実現するレセクタブルは、たとえば、当該レセクタブルの端部がカゴ701の内壁面よりもカゴ701の内側に飛び出していてもよく、カゴ701の内壁面から凹んだ位置に配置してもよい。
【0084】
(防犯カメラ装置100の外観)
つぎに、防犯カメラ装置100の外観について説明する。
図8は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の表示内容を含む外観の一例を示す説明図である。
図8に示すように、防犯カメラ装置100の表示画面102は、横方向に長い長方形をなし、筐体101に囲まれている。
【0085】
表示画面102は、防犯カメラ映像表示領域801、管理情報表示領域802、各種情報表示領域803、広告表示領域(広告エリア)804などのように複数(この実施の形態においては4つ)の領域から構成されるものであってもよい。このように、4つの領域に区切って表示することによって、各種情報を効率よく乗員に伝えることができる。
【0086】
表示画面102の左下側の長方形の広告表示領域804を囲むように、上側から右側にかけて、防犯カメラ映像表示領域801、管理情報表示領域802、各種情報表示領域803が逆「L」字状に設けられている。防犯カメラ映像表示領域801は、左側に設けられ、それに続いて、管理情報表示領域802が横長に設けられる。防犯カメラ映像表示領域801には、正面カメラによって撮影された映像をリアルタイムで表示するようにしてもよい。
【0087】
また、この管理情報表示領域802では、長いメッセージである場合は、右側から左側に流れるようにメッセージが表示される。管理情報表示領域802を表示画面102の上側に設けたのは、表示画面102の上側は、乗員にとっては視認しやすく、それ故に、比較的重要な管理情報を確実に乗員に伝えることができる。
【0088】
また、右側の側面には、縦長に各種情報表示領域803が設けられており、
図8に示すような天気予報や、交通情報、ニュースなど、エレベーターの乗員に通知したい各種情報を表示する。各種情報表示領域803では、多くの情報を表示する場合は、下側から上側へ流れるように表示するようにしてもよい。具体的には、たとえば、各地域の天気予報を表示する場合は、新しい地域の情報は、順次下から表示され、古い地域の情報は上側へ移動してから、消去するようにしてもよい。また、その逆に、上側から、下側へ流れるように表示してもよい。また、左右どちらかへ流れるように表示してもよい。このように、各種情報表示領域803では、表示する情報の内容によって、表示形態を変えることができる。
【0089】
管理情報表示領域802と、各種情報表示領域803とでは、その境に明確な区切りはなくてもよい。これにより、表示する状況に応じて、管理情報表示領域802を右側に長くしたり、また、各種情報表示領域803を上側に長くしたりすることができる。また、表示する情報によっては、管理情報表示領域802と、各種情報表示領域803とを、一続きとして、使用することもできる。
【0090】
このように、表示画面102をレイアウトすることで、広告情報を表示しながら、それ以外の情報も同時に、乗員に伝えることができる。表示画面102は、通常は、
図8に示すようなレイアウトであるが、状況によって、このレイアウトを変更してもよい。たとえば、エレベーターの故障などの緊急事態が生じた場合は、広告エリアを消去して、必要な情報を表示するようにしてもよい。また、広告の表示演出として、表示画面102の全面を広告表示としてもよい。
【0091】
(防犯カメラ装置100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100のハードウエア構成について説明する。
図9は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、防犯カメラ装置100は、CPU(Central Processing Unit)901と、メモリ902と、正面カメラ903と、背面カメラ904と、通信インタフェース(I/F)905と、表示画面(ディスプレイ)102と、スピーカー104と、マイク906と、振動センサ907と、照度センサ908と、接触センサ909と、電源制御ユニット910と、電源ボタン201と、操作ボタン202と、を備えている。各構成部102,104,201,202,901~910は、バス900によって接続されている。
【0092】
このように、防犯カメラ装置100は、各構成部102,104,201,202,901~910を備える、タブレット型端末装置(タブレット端末、タブレットPC)、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ(モバイルPC)、デジタルカメラなどの情報処理装置を用いて実現するようにしてもよい。このように、多機能をひとまとめにしたオールインワンの、携帯性・可搬性のある情報処理装置を防犯カメラ装置として用いることができる。これにより、エレベーターに専用の機器を別途開発・製造することなく、汎用的な装置によって、防犯カメラ装置100を実現することができる。
【0093】
CPU901は、メモリ902に記憶されたプログラムを実行することによって、防犯カメラ装置100の装置全体の制御をつかさどる。メモリ902は、CPU901が実行するプログラムを含む各種情報を記憶することができる。また、メモリ902は、表示画面102に表示する広告情報や、正面カメラ903や背面カメラ904が撮影した画像データおよび撮影した日時に関する情報などを記憶していてもよい。メモリ902は、防犯カメラ装置100に内蔵される内部メモリ、たとえば、ハードディスクメモリのほか、ICメモリ、SSD(Solid State Drive)などであってもよい。
【0094】
また、メモリ902は、防犯カメラ装置100に対して、防犯カメラ装置100に設けられたカードスロットを介して着脱可能なメモリカードであってもよい。メモリカードは、たとえば、SD(Secure Digital)メモリカードなどのICカードによってその機能を実現することができる。メモリカードは、外付けハードディスク、USBメモリ、SSDなどによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0095】
正面カメラ903は、正面用撮像素子を備え、正面用撮像素子が正面レンズ103を通して受光した光を電気信号に変換することによって、画像情報(撮影データ)を取得する。正面カメラ903は、静止画を撮影するものであってもよく、動画を撮影するものであってもよい。動画は、所定時間間隔で撮影された静止画を連続して再生するものを含む。画像情報は、所定の動画・音声データの圧縮方式の標準規格(たとえば、MPEG(Moving Picture Experts Group)など)によって圧縮されたものであってもよい。
【0096】
背面カメラ904は、背面用撮像素子を備え、背面用撮像素子が背面レンズ204を通して受光した光を電気信号に変換することによって、画像情報(撮影データ)を取得する。背面カメラ904は、たとえば、静止画を撮影する。画像情報は、正面カメラ903と同様に、所定の動画・音声データの圧縮方式の標準規格(たとえば、MPEG(Moving Picture Experts Group)など)によって圧縮されたものであってもよい。
【0097】
通信I/F905は、通信回線を通じて防犯カメラ装置100とインターネットなどのネットワークNとを接続するインタフェースであって、ネットワークNと防犯カメラ装置100の内部とのインタフェースをつかさどり、外部装置からのデータの入力および外部装置へのデータの出力を制御する。
【0098】
CPU901は、通信I/F905を制御して、図示を省略する広告配信サーバあるいは広告主の情報端末装置から、ネットワークNを介して、広告情報を取得してもよい。また、CPU901は、通信I/F905を制御して、エレベーターの乗員が携行するスマートフォンなどの情報端末装置から広告情報を受信するようにしてもよい。
【0099】
通信I/F905は、たとえば、Wi-Fi(登録商標)による無線インタフェースである。また、通信I/F905は、携帯電話回線(たとえばLTE(Long Term Evolution))、PHS(Personal Handy-phone System)などの無線通信のインタフェースであってもよく、また、モデムやLANアダプターなどの有線通信のインタフェースを採用することができる。また、エレベーターが遠隔監視などのために有しているネットワークに接続し、そのネットワークを介して、情報の送受信をおこなうようにしてもよい。また、通信I/F905は、たとえば、USBインタフェースによって実現してもよい。
【0100】
表示画面102は、CPU901によって駆動制御されて、広告などを表示する。表示画面102は、メンテナンス予定などのエレベーターの管理情報を表示してもよい。管理情報は、たとえば、防犯カメラ装置100の管理者などによって適宜防犯カメラ装置100に送信される。広告情報や管理情報は、表示画面102に表示する期間(表示開始日時や表示終了日時など)を示す情報を含んでいてもよい。
【0101】
スピーカー104は、音声信号である電気信号によって振動板を振動させて音を発生させる。また、スピーカー104は、音声信号を出力する出力端子であってもよく、当該出力端子に外部スピーカー104を接続して、音を発生させるようにしてもよい。
【0102】
マイク906は、カゴ701内の音声を集音する。振動センサ907は、カゴ701の振動を検出する。振動センサ907は、たとえば、加速度センサなどによって実現することができる。照度センサ908は、カゴ701内の照度(明るさ)を検出する。照度センサ908は、たとえば、フォトトランジスタやフォトダイオードを用いて実現することができる。
【0103】
接触センサ909は、たとえば、表示画面102を含む、自装置(防犯カメラ装置100)の表面に物体が接触したことを検知する。接触センサ909は具体的には、たとえば、抵抗膜方式(接触による電圧変化の測定によって検知する方式)、静電容量方式(接触すると発生する微弱な電流である静電容量(電荷)の変化をセンサで感知する方式)、超音波方式」(接触を超音波表面弾性波の減衰によって検知する方式)、光学方式(赤外線イメージセンサなどを利用して、赤外光を遮断することで接触を検出する方式)などの方式によって、接触を検知することができる。
【0104】
また、これらのセンサに加えて、図示は省略するが、その他のセンサ、たとえば、接近センサ、温度センサ、湿度センサなどを備えていてもよい。
【0105】
電源制御ユニット910は、たとえば、ケーブル502を介して供給を受けたAC電源の電圧を調整する電圧調整部(電源ICなど)によって実現することができる。あるいは、電源制御ユニットは、たとえば、コンセントプラグ、当該コンセントプラグに接続されたケーブル、および、コンセントプラグを介して供給を受けたAC電源から所定の直流電力を取り出す変圧回路、整流回路、安定化電源回路などによって構成されるものであってもよい。
【0106】
また、防犯カメラ装置100は、リチウム電池などのバッテリー(蓄電池)を、さらに備えている。すなわち、電源制御ユニット910には、蓄電池が含まれていてもよい。あるいは、電源制御ユニット910は、蓄電池を接続する接続端子を備えていてもよい。これにより、蓄電池を容易に交換することができる。このように、電源制御ユニット910は、AC電源コネクタ208を有し、AC電源コネクタ208に供給された電源を、防犯カメラ装置100の各構成部へ供給する。
【0107】
電源ボタン201や操作ボタン202は、操作を受け付けるごとに、受け付けたボタンに応じた信号をCPU901に出力する。CPU901は、電源ボタン201や操作ボタン202から出力される信号に基づいて各部を駆動制御することにより、電源のON/OFFを切り替えたり、スピーカー104から出力する音声の音量を調整したり、表示画面102における表示内容を切り替えたりする。
【0108】
その他、図示は省略するが、防犯カメラ装置100は、メモリカードI/F、入出力デバイス、GNSS用受信機などを備えていてもよい。メモリカードI/Fは、カードスロットを介して防犯カメラ装置100と接続されるインタフェースである。メモリカードI/Fは、メモリカードと内部のインタフェースをつかさどり、メモリカードからのデータの入力およびメモリカードへのデータの出力を制御する。
【0109】
入出力デバイスは、たとえば、文字、数字、各種指示などの入力のためのキーまたはボタンによって実現することができる。また、入出力デバイスは、マイク、ディスプレイ(タッチパネル)、他の情報処理装置を接続可能な接続端子などによって実現されるものであってもよい。
【0110】
GNSS(全球測位衛星システム)は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)などの衛星測位システムの総称である。GNSS用受信機は、3つないし5つの人工衛星からの電波を受信し、人工衛星との幾何学的位置を求めるために、人工衛星からの電波を受信してGNSS測位データを出力する。GNSS用受信機により、防犯カメラ装置100の現在位置を把握することができる。現在位置は、たとえば、緯度経度に関する情報であってもよい。また、現在位置は、無線通信をおこなっている基地局に関する情報であってもよい。現在位置として基地局に関する情報を用いる場合は、GNSS用受信機を使用しなくてもよい。
【0111】
(防犯カメラ装置100の機能的構成)
図10は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
図10において、防犯カメラ装置100は、制御部1000と、撮影部1001と、撮影情報記憶部1002と、電源供給部1003と、蓄電部1004と、電源監視部1005と、電源供給制御部1006と、広告情報受信部1007と、広告情報記憶部1008と、表示部1009と、検知部1011と、警報出力部1012と、音声出力部1013と、受信部1014と、送信部1015と、を含む構成となっている。また、
図10において、矢印A~Eは、電源供給の流れを示している。
【0112】
制御部1000は、防犯カメラ装置100の全体を制御する。制御部1000は、具体的には、たとえば、
図9に示したCPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
【0113】
撮影部1001は、カゴ701内を撮影する。撮影部1001は、具体的には、たとえば、
図9に示した正面カメラ903、すなわち、正面レンズ103(103a、103b)などによって、その機能を実現することができる。
【0114】
撮影情報記憶部1002は、撮影部1001によって撮影された画像情報、映像情報を記憶する。撮影情報記憶部1002は、具体的には、たとえば、
図9に示したメモリ902などによってその機能を実現することができる。また、撮影情報記憶部1002は、図示を省略する外部メモリなどによってその機能を実現するようにしてもよい。また、撮影情報記憶部1002に記憶された画像情報は、
図9に示した通信I/F905を用いて、ネットワークNを介して、管理センターなどの外部装置へ送信するようにしてもよい。
【0115】
電源供給部1003は、撮影部1001を含む自装置(防犯カメラ装置100)の駆動に供される電源を供給する電源供給用プラグ501を介して(AC電源コネクタ208から)電源を受給し(矢印Aおよび矢印B)、受給した電源を自装置(防犯カメラ装置100)へ供給する(矢印C)。ここで、矢印Cは、制御部1000へ電源を供給しているように図示している。これは、制御部1000へ電源を供給することで、自装置(防犯カメラ装置100)の各構成部に対して電源を供給していることを示している(後述する矢印Eも同じである)。電源供給部1003は、蓄電部1004にも電源を供給する(矢印D)。電源供給部1003は、具体的には、たとえば、
図9に示した電源制御ユニット910などによって、その機能を実現することができる。また、電源供給部1003は、CPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0116】
蓄電部1004は、自装置(防犯カメラ装置100)に設けられて、電源供給部1003によって電源が供給される(矢印D)ことで蓄電する。蓄電部1004は、具体的には、たとえば、
図9に示した電源制御ユニット910などによって、その機能を実現することができる。
【0117】
電源監視部1005は、電源供給部1003に受給される電源の状況を監視する。電源の状況とは、具体的には、たとえば、電源供給部1003が受給する電源(矢印B)の電圧が急激に変化したことや、電圧が不安定になった状況などであり、電源供給部1003が、撮影部1001を含む自装置(防犯カメラ装置100)の各部へ安定した電源が供給できないなどの状況である。これにより、撮影部1001による撮影に支障を来した場合などが該当する。また、電源監視部1005は、電源供給用プラグ501を介した電源供給部1003への受給(矢印A、矢印B)が停止したことを検出する。また、電源監視部1005は、電源供給用プラグ501を挿抜可能なAC電源コネクタ208に対する当該電源供給用プラグ501の挿抜の状態を監視する。また、電源監視部1005は、蓄電部1004の蓄電量の状況を監視する。
【0118】
電源監視部1005は、具体的には、たとえば、
図9に示した電源制御ユニット910などによって、その機能を実現することができる。また、電源監視部1005は、CPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0119】
電源供給制御部1006は、電源監視部1005による電源監視の状況、具体的には、たとえば、電源供給部1003が、撮影部1001を含む自装置(防犯カメラ装置100)の各部へ安定した電源が供給できないなどの状況に応じて、電源供給部1003からの自装置(防犯カメラ装置100)への電源の供給(矢印C)を、蓄電部1004からの供給(矢印E)へと、切り替える。
【0120】
また、電源供給制御部1006は、電源監視部1005が電源供給部1003への受給(矢印B)が停止したことを検出した場合に、電源供給部1003からの自装置(防犯カメラ装置100)への電源の供給(矢印C)を、蓄電部1004からの供給(矢印E)へと、切り替えるようにしてもよい。電源供給部1003への受給の停止は、エレベーターの停電、ケーブル502の切断や接触不良などの原因(矢印Aの供給ができなくなるという原因)によるものを含む。また、電源供給制御部1006は、電源監視部1005による監視の結果、AC電源コネクタ208から電源供給用プラグ501が抜出されたことを検出した場合に、電源供給部1003からの自装置(防犯カメラ装置100)への電源の供給(矢印C)を、蓄電部1004からの供給(矢印E)へと、切り替えるようにしてもよい。
【0121】
また、電源供給制御部1006は、電源監視部1005によって、AC電源コネクタ208に電源供給用プラグ501が挿入されたことを検出した場合に、蓄電部1004からの自装置(防犯カメラ装置100)への電源の供給(矢印E)を、電源供給部1003からの供給(矢印C)へと、切り替えるようにしてもよい。その際、電源供給部1003から蓄電部1004への電源の供給(蓄電、矢印D)を再開するようにしてもよい。
【0122】
また、電源供給制御部1006は、蓄電部1004の蓄電量の状況に応じて、表示部1009への電源の供給を停止するようにしてもよい。蓄電部1004の蓄電量の状況は、たとえば、電源監視部1005の監視の監視結果に基づくようにしてもよい。
【0123】
電源供給制御部1006は、具体的には、たとえば、
図9に示したCPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。また、電源供給制御部1006は、CPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0124】
広告情報受信部1007は、エレベーターの乗員に対する広告に関する広告情報を受信する。広告情報受信部1007は、具体的には、たとえば、
図9に示した通信I/F905などによってその機能を実現することができる。広告情報受信部1007は、図示を省略する、広告配信サーバあるいは広告主の情報端末装置から、ネットワークNを介して、広告情報を受信することができる。また、広告情報受信部1007は、エレベーターの乗員が備える、後述する情報端末装置から広告情報を受信するようにしてもよい。
【0125】
広告情報記憶部1008は、広告情報受信部1007によって受信された広告情報を記憶する。広告情報記憶部1008は、具体的には、たとえば、
図9に示したメモリ902などによってその機能を実現することができる。広告情報記憶部1008は、広告情報受信部1007によって受信された広告情報をそのまま記憶してもよく、また、一旦、広告情報受信部1007によって受信された広告情報について、制御部1000によって表示用に加工されたものを記憶するようにしてもよい。
【0126】
表示部1009は、広告情報表示制御部1010と表示画面102とから構成される。表示画面102は、防犯カメラ装置100の正面に設けられて、カゴ701内で当該カゴ701の乗員に対して広告を表示する。
【0127】
広告情報表示制御部1010は、広告情報受信部1007によって受信され、広告情報記憶部1008に記憶された広告情報に基づいて、広告を表示画面102に表示する。また、広告情報表示制御部1010は、広告以外の情報を表示画面102に表示するようにしてもよい。広告情報表示制御部1010は、具体的には、たとえば、
図9に示したCPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。広告情報表示制御部1010は、広告情報記憶部1008に記憶された広告情報を表示画面102に表示するようにしてもよく、また、広告情報記憶部1008に記憶された広告情報について、制御部1000によって加工された後に、表示画面102に表示するようにしてもよい。
【0128】
検知部1011は、撮影部1001および表示部1009を含む自装置(防犯カメラ装置100)に物体が接触したことを検知する。その際、検知部1011は、自装置(防犯カメラ装置100)の機能障害の状況(たとえば、電源の供給異常、表示画面102の表示障害、自装置(防犯カメラ装置100)の姿勢異常、カメラ903、904による撮影映像の不良、マイク906による集音の不良など、物体が接触したことによって、付随して発生した故障についても検知するようにしてもよい。さらには、それらの故障の度合いについても、検知し、あるいは、解析するようにしてもよい。
【0129】
検知部1011は、具体的には、たとえば、
図9に示した接触センサ909や他のセンサによって、または、CPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。また、検知部1011は、1つのセンサ(たとえば接触センサ909)による感知ではなく、接触センサ909を含めた、あるいは、接触センサ900を除く、複数のセンサによる感知に基づいて、物体が自装置(防犯カメラ装置100)に接触したことを感知するようにしてもよい。
【0130】
検知部1011が、自装置(防犯カメラ装置100)に対して接触を検知する物体は、物、具体的には、カゴ内に搬送されあるいはカゴから搬出される荷物などであってもよい。自装置(防犯カメラ装置100)は、
図7などからもわかるように、人の身長よりも高い位置に取り付けられる。したがって、通常、乗員の乗り降りの際には、人体が、自装置(防犯カメラ装置100)に接触することはない。しかしながら、搬送業者などが背の高い荷物を搬送する場合、後述する
図11に示すように、搬送業者が、誤って、荷物を自装置(防犯カメラ装置100)にぶつけてしまう場合がある。
【0131】
また、検知部1011が、自装置(防犯カメラ装置100)に対して接触を検知する物体は、人体、具体的には、たとえば、人の手や指、その他の人体の部位であってもよい。防犯カメラ装置100を窃盗目的で取り外す場合には、手あるいは手に持った道具(たとえば、ドライバーなど)を使うのが一般的であると考えられる。したがって、人の手が接触したこと、あるいは、道具が接触したことが検知できれば、防犯カメラ装置100が取り外されそうになっている、あるいは、防犯カメラ装置100に悪戯がおこなわれようとしていると容易に判断することができる。
【0132】
そして、表示画面102を制御して、カゴの乗員に対して広告を表示する表示部1009(広告情報表示制御部1010)は、検知部1011による検知結果に基づいて、たとえば、自装置(防犯カメラ装置100)と物体が接触した場合に、パスワード入力画面(たとえば、後述する
図13のパスワード入力画面1300)を表示画面102に表示する。
【0133】
表示部1009は、具体的には、たとえば、広告情報表示制御部1010を制御して、それまで表示画面102に表示されていた内容を消去して、その代わりに、パスワード入力画面を表示してもよい。また、それまで表示画面102に表示されていた内容とともに、あるいは、それまで表示画面102に表示されていた内容の一部に代えて、パスワード入力画面を表示するようにしてもよい。パスワード入力画面の内容については、後述する
図13を用いて、詳細に説明する。
【0134】
また、表示部1009は、有効なパスワードが入力されない限り、表示画面102に表示したパスワード入力画面を消去せずに、表示し続けるようにしてもよい。また、表示部1009は、一旦、パスワード入力画面を表示した後は、有効なパスワードが入力されない限り、一旦、電源が落とされて、リセットされても、当該パスワード入力画面を消去することなく、表示し続けるようにしてもよい。このようにして、パスワードを知らない者には、パスワード入力画面を消去させないようにすることができる。パスワード入力画面が消去されないと、パスワード入力画面の表示が邪魔をして、表示画面102に他の表示画面を表示することができず、表示装置としての機能を十分に実現することができない。自装置(防犯カメラ装置100)がタブレット型端末装置によって構成されている場合には、パスワード入力画面が消去されないと、タブレット端末装置としての機能を十分に発揮できず、再利用することが難しい。したがって、たとえ盗んだとしても、転売の対象としての価値は低いものとなる。
【0135】
警報出力部1012は、表示部1009によってパスワード入力画面が表示画面102に表示された場合に、警報を出力する。具体的には、検知部1011が、物体の接触を検知した場合に、警報を出力する。警報出力部1012は、具体的には、たとえば、
図9に示したCPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。警報出力部1012は、音声出力部1013から警告音または所定の音声を出力する。
【0136】
音声出力部1013は、具体的には、たとえば、
図1、
図3、
図9などに示したスピーカー104によって、その機能を実現することができる。警告音は、アラームやサイレンなどであってもよい。また、所定の音声は、たとえば、表示画面102に表示されたパスワード入力画面の文字などであってもよく、別の言葉(たとえば、『接触を感知しました。速やかに管理センターに連絡してください。』)などであってもよい。また、警報出力部1012は、防犯カメラ装置100に設けられた、あるいは、別途外付けされた、図示を省略するライト(ランプ)を点灯させたり、点滅させたりすることで、警報を出力するようにしてもよい。
【0137】
このように、警報を出力するので、窃盗犯は、この警報に驚いて、自装置(防犯カメラ装置100)を持ち去るのを諦めるであろうことが予想できる。また、荷物の搬送業者が荷物を自装置(防犯カメラ装置100)にぶつけてしまったことに気がつかない場合があるので、警報を出力することによって、搬送業者そのことを気がつかせることができる。また、荷物の搬送業者が荷物を自装置(防犯カメラ装置100)にぶつけてしまったことに気づいているにもかかわらず、いわゆる当て逃げをしようとするのを、警報を出力することによって防止することができる。
【0138】
送信部1013は、警報出力部1012によって警報が出力された場合に、その旨を、前記撮影情報をネットワークを介して所定のサーバへ送信する。所定のサーバは、たとえば、管理センターのサーバを含む。識別情報の送信は、たとえば、ネットワークNを介して、所定のサーバへアップロードなどすることによりおこなうようにしてもよい。送信部1013は、具体的には、たとえば、
図9に示した通信I/F905などによってその機能を実現することができる。また、送信部1013は、CPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0139】
受付部1011は、パスワードの入力を受け付ける。パスワードは、ロックを解除できる権限を有する作業者(たとえば、エレベーターの保守管理者や建物の管理人など)のみが知っているようにするとよい。受付部1011は、具体的には、たとえば、
図9に示した電源ボタン201、操作ボタン202、通信I/F905などによってその機能を実現することができる。また、受付部1011は、CPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0140】
パスワードの入力は、自装置(防犯カメラ装置100)の操作ボタン202や、表示画面102に設けられたタッチパネルを操作することによって入力することができる。その際、表示画面102には、たとえば、ソフトキーボードなどを表示する。また、無線通信を用いて、遠隔操作によって、図示を省略する外部装置からパスワードを入力するようにしてもよい。
【0141】
また、ロックを解除できる権限を有する作業者のスマートフォンやタブレット端末に表示させたパスワードに関する情報が含まれる二次元コード(たとえば、バーコード、QRコード(登録商標))などを、正面カメラまたは背面カメラに読み込ませることによって、パスワードを入力するようにしてもよい。また、ロックを解除できる権限を有する作業者を撮影して、当該作業者の顔などの生体認証やジェスチャー認証などの各種認証処理によって、パスワードの入力に代えるようにしてもよい。その場合には、受付部1011は、具体的には、たとえば、
図9に示した正面カメラ903あるいは背面カメラ904およびCPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
【0142】
また、ロックを解除できる権限を有する作業者にパスワードを発声させ、その音声(言葉の内容や声紋など)を認識処理することによって、パスワードの入力に代えるようにしてもよい。その場合には、受付部1011は、具体的には、たとえば、
図9に示したマイク906およびCPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現することができる。
【0143】
そして、受付部1011によって受け付けられたパスワードが、あらかじめ登録されているパスワードと一致した場合、すなわち、入力されたパスワードが有効なパスワードである場合に、表示部1009は、表示画面102に表示したパスワード入力画面を消去するようにしてもよい。表示画面102に表示したパスワード入力画面を消去した後は、当該パスワード入力画面を表示する前の状態に戻すようにしてもよい。たとえば、表示画面102における広告の表示を再開するようにしてもよい。この場合、中断していた広告を再開してもよく、また、中断していた広告とは別の広告を表示するようにしてもよい。
【0144】
送信部1015は、自装置(防犯カメラ装置100)に物体が接触して、表示画面102にパスワード入力画面が表示されたことを示す通知情報を、たとえば、自装置(防犯カメラ装置100)の識別情報、発生日時(すなわち、パスワード入力画面1300を表示した日時)に関する情報などとともに、
図9に示したネットワークNを介して所定のサーバへ送信する。また、発生日時前後の所定時間における映像情報も、あわせて送信するようにしてもよい。これにより、接触が発生した原因の解析に供することができる。送信部1012は、具体的には、たとえば、
図9に示した通信I/F905などによってその機能を実現することができる。また、送信部1012は、CPU901が、メモリ902などに記憶されたプログラムを実行することによって、その機能を実現するようにしてもよい。
【0145】
送信部1015が送信する識別情報は、防犯カメラ装置100に固有のID番号などであってもよく、防犯カメラ装置100が取り付けられたエレベーターの識別番号などであってもよい。所定のサーバは、たとえば、管理センターのサーバを含む。識別情報の送信は、たとえば、ネットワークNを介して、所定のサーバへアップロードなどすることによりおこなうようにしてもよい。
【0146】
また、送信部1015は、送信先を宛先とする、通知情報、識別情報、発生日時に関する情報などの内容を含む電子メールを作成し、所定のサーバへ送信するようにしてもよい。より具体的には、たとえば、通知情報、識別情報、発生日時に関する情報を電子メールの本文としてもよく、また、通知情報、識別情報、発生日時に関する情報のファイルを添付ファイルとして電子メールを作成し、送信するようにしてもよい。その際、電子メールの本文あるいは添付ファイルを暗号化するようにしてもよい。このように、電子メールを作成して送信する場合には、複数の宛先を指定することによって、複数箇所へ同時配信することができる。また、電子メールアドレスの変更することによって、宛先を容易に変更することができる。
【0147】
また、送信部1015は、チャットを用いた通信によって、通知情報、識別情報、発生日時に関する情報などを送信するようにしてもよい。また、送信部1012は、SNS(Social Networking Service)を用いて、通知情報、識別情報、発生日時に関する情報などを送信するようにしてもよい。
【0148】
このように、送信部1015が、表示画面102にパスワード入力画面が表示されたことをネットワークNを介して所定のサーバへ送信するので、その旨を管理センターなどがより早く、より確実に把握できるとともに、どの防犯カメラ装置100において、パスワード入力画面が表示されたかを、管理センターなどが的確に把握することができる。パスワード入力画面の表示は、荷物などの物体が接近した際になされるだけでなく、盗難や悪戯目的で、(悪意のある)乗客が、防犯カメラ装置100に接近したり、接触したりする場合も想定される。その場合には、管理センターなどがその状況を迅速かつ的確に把握することは重要である。
【0149】
また、制御部1000は、パスワード入力画面が表示画面102に表示された場合に、自装置(防犯カメラ装置100)のロック処理の一例として、自装置に対するデータの入出力を制限するようにしてもよい。具体的には、たとえば、制御部1000は、広告情報受信部1007が、広告情報を受信する処理を無効化するようにしてもよい。したがって、広告情報受信部1007は、広告情報を受信することができなくなる。また、制御部1000は、広告情報記憶部1008が、広告情報を記憶する処理、記憶されたデータを抽出する処理を無効化するようにしてもよい。したがって、広告情報記憶部1008は、広告情報を記憶したり、記憶された広告情報を抽出することができなくなる。
【0150】
また、制御部1000は、パスワード入力画面が表示画面102に表示された場合に、自装置(防犯カメラ装置100)のロック処理の一例として、撮影部1001の機能、撮影情報記憶部1002の機能の全部または一部を無効化するようにしてもよい。したがって、撮影情報記憶部1002は、撮影情報を記憶したり、記憶された撮影情報を抽出することができなくなる。また、制御部1000は、送信部1012の機能の全部または一部を無効化するようにしてもよい。これにより、自装置(防犯カメラ装置100)に記憶されているデータを、外部装置へと取り出させることを防止することができる。また、制御部1000は、パスワード入力画面が表示された場合には、USBコネクタの使用もできないようにしてもよい。それにより、たとえば、USBコネクタにPCなどを接続し、OS設定の変更、インストール済みのソフトウェアの抜きだし、編集、削除、新たなソフトのインストール、デバッグモードを使用してのソフトの実行、解析をしようとすることを、確実に阻止することができる。
【0151】
また、制御部1000は、パスワード入力画面が表示画面102に表示された場合に、自装置(防犯カメラ装置100)のロック処理の一例として、撮影部1001の機能は継続して、撮影を続け、撮影部1001によって撮影された撮影情報を撮影情報記憶部1002に、引き続き、記憶するようにしてもよい。したがって、ロック中は、撮影処理を停止することができない。そして、当該撮影情報を、無線通信により、所定の送信先へ送信するようにしてもよい。また、制御部1000は、パスワード入力画面が表示画面102に表示された場合に、GNSS用受信機などを用いて、自装置(防犯カメラ装置100)の所在位置に関する情報を、無線通信により、所定の送信先へ送信するようにしてもよい。これらにより、窃盗犯の特定を容易にすることができる。
【0152】
また、制御部1000は、パスワード入力画面が表示画面102に表示された場合に、自装置(防犯カメラ装置100)のロック処理の一例として、自装置(防犯カメラ装置100)に記憶されているデータの全部または一部を消去するようにしてもよい。具体的には、制御部1000は、たとえば、広告情報記憶部1008に記憶されている広告情報の全部または一部を消去する。これにより、広告情報の著作権を含む広告主の知的財産権などを確実に保護することができる。また、制御部1000は、たとえば、撮影情報記憶部1002に記憶されている撮影情報の全部または一部を消去する。これにより、撮影情報に写っている人の肖像権やプライバシーなどを確実に保護することができる。したがって、自装置(防犯カメラ装置100)を盗み出して、自装置(防犯カメラ装置100)に記憶されているデータ(アプリケーション情報、広告情報、撮影情報など)の取得を目的とする犯行を阻止し、たとえば盗み出されたとしても、当該データの流出、悪用を確実に防止することができる。
【0153】
(物体の接触の状況の一例)
図11は、物体の接触の状況の一例を示す説明図である。
図11において、たとえば引っ越し業者や宅配業者などの搬送業者1100が、エレベーターを使って荷物1101を運搬することがある。特に大きな荷物や背の高い荷物などをカゴ内に搬入したり、また、カゴ内から搬出する際に、荷物1101の先端などを防犯カメラ装置100に接触してしまうことがある。これにより、防犯カメラ装置100が故障したり、破損したり事故が、実際に報告されている。
【0154】
また、図示は省略するが、防犯カメラ装置100を盗もうとしたり、あるいは、防犯カメラ装置100に悪戯をしようとする場合は、手を伸ばして防犯カメラ装置100に触れたり、場合によっては、カゴ内に持ち込んだ荷物や他の共犯者を踏み台にしてから手を伸ばして防犯カメラ装置100に触れることになる。
【0155】
このような盗難や悪戯が発生する可能性がある状況において、広告主から広告料を徴収して、防犯カメラ装置100の表示画面102に広告を表示する場合には、防犯カメラ装置100が持ち去られたり、破損が生じてしまうと、カゴ内における十分な広告効果が得られず、特に破損した表示画面102に広告が表示されることによって、かえって広告主のイメージや信用を毀損してしまう可能性もある。これらの悪質な行為の発生はできる限り抑制する必要がある。
【0156】
(AC電源コネクタ208に対する電源供給用プラグ501の挿抜の状態)
図12は、AC電源コネクタに対する電源供給用プラグの挿抜の状態を示す説明図である。
図12は、AC電源コネクタ208が、筐体101の背面ではなく、側面に設けられた例を示している。一般的な平板形状の表示装置(ディスプレイ装置、タブレット型端末装置、スマートフォンなど)においては、AC電源コネクタが、筐体の側面に設けられている場合が多い。
【0157】
図12(a)は、AC電源コネクタ208に対して、電源供給用プラグ501が抜出されている状態を示している。この状態では、防犯カメラ装置100への電源の供給はおこなわれていない。そして、矢印に示すよう、電源供給用プラグ501をAC電源コネクタ208に近づけることによって、電源供給用プラグ501をAC電源コネクタ208に挿入することができる。
【0158】
図12(b)は、電源供給用プラグ501がAC電源コネクタ208に挿入された状態を示している。この状態において、防犯カメラ装置100は、電源供給用プラグ501を介して電源の供給を受けることができる。このように、電源供給用プラグ501はAC電源コネクタ208に対して挿抜可能とすることができる。
【0159】
そして、電源監視部1005は、
図12に示すAC電源コネクタ208に対する電源供給用プラグ501の挿抜の状態を監視する。具体的には、たとえばAC電源コネクタ208に設けられるセンサなどにより、電源供給用プラグ501の挿抜の状態を監視するようにしてもよい。
【0160】
(パスワード入力画面の一例)
図13は、パスワード入力画面の一例を示す説明図である。
図13に示す、防犯カメラ装置100の表示画面102は、
図8に示した表示画面102と同じように、横方向に長い長方形をなしている。表示画面102には、パスワード入力画面1300の一例として、『お知らせ(発生日時:2019.12.10 21:48)』、『装置に接触されたため、装置をロックします』、『ロック中は、データの入出力が制限されます』、『また、記憶されているデータが削除されます』、『ロックを解除するには、パスワードを入力してください』などが表示され、パスワード入力欄『□□□□□□□□』が表示される(なお、パスワードの桁数(文字数)や種類などは、任意に設定することができる)。また、『※パスワードを正しく入力しないと、電源を切っても、リセットされません』と表示される。したがって、電源を切って、再起動しても、このパスワード入力画面1300が表示され、このパスワード入力画面1300が消去されない。
【0161】
窃盗犯は、通常、自装置(防犯カメラ装置100)を盗み出す際には、まず、自装置に接触することが想定される。そうすると、パスワード入力画面1300が表示される。仮に、自装置(防犯カメラ装置100)をカゴ内から盗み出した(持ち去った)としても、窃盗犯はパスワードを知らないので、ロックを解除することができない。したがって、盗んだ自装置(防犯カメラ装置100)を再利用したり、転売したりすることができない。そのことを窃盗犯が理解すれば、自装置(防犯カメラ装置100)を盗み出さなくなるであろうことが推測できる。
【0162】
また、『なお、防犯カメラは正常に作動しています』と表示されることや、防犯カメラ装置100の映像1301が表示画面102に表示されることにより、犯行の一部始終が録画されていることが事前にわかるので、ますます、盗み出しづらくなるであろうことが推測できる。同様に、犯行の一部始終が録画されていることがわかるので、自装置(防犯カメラ装置100)に接触することによる悪戯(破壊など)も減少することが期待できる。また、録画された映像データは、発生日時の情報とともに、犯人(窃盗犯や悪戯した者など)を特定する証拠として活用することができる。
【0163】
このように、パスワードの入力画面1300を表示して、自装置(防犯カメラ装置100)をロックすることにより、自装置(防犯カメラ装置100)に対する犯罪を抑止し、犯罪の可能性が高まる密室であるエレベーターのカゴ内における安定した撮影動作を確保し、また、安定した広告表示動作を確保することが期待できる。
【0164】
(防犯カメラ装置100の処理手順)
図14は、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
図14のフローチャートにおいて、まず、物体が自装置(防犯カメラ装置」100)に接触したか否かを判断する(ステップS1401)。この判断処理は、たとえば、検知部1011あるいは制御部1000によっておこなわれる。ここで、物体が自装置に接触するのを待って(ステップS1401:No)、接触した場合(ステップS1401:Yes)は、パスワード入力画面1300を表示画面102に表示し、自装置(防犯カメラ装置100)をロックする(ステップS1402)。この表示処理は、たとえば表示部1009(広告情報表示制御部1010)によっておこなわれる。また、ロック処理は、たとえば、制御部1000、撮影情報記憶部1002、広告情報記憶部1008、送信部1012などによっておこなわれる。
【0165】
そして、その際、具体的には、たとえば、アラーム音や音声などをスピーカー104から出力や、表示画面102の点滅表示などをおこなうことで、警報を出力する(ステップS1403)。この出力処理は、たとえば、警報出力部1012、音声出力部などによっておこなわれる。また、その際、その旨、すなわち、パスワード入力画面が表示され、自装置(防犯カメラ装置100)がロックされたことを、所定の送信先(サーバ)へ通報する(ステップS1404)。この送信処理は、たとえば、送信部1015などによっておこなわれる
【0166】
その後、パスワードが入力されたか否かを判断する(ステップS1405)。この判断処理は、たとえば受付部1011あるいは制御部1000によっておこなわれる。ここで、パスワードが入力されるのを待って(ステップS1405:No)、パスワードが入力された場合(ステップS1405:Yes)は、パスワードが一致するか否か、すなわち、入力されたパスワードが有効なパスワードであるか否かを判断する(ステップS1406)。この判断処理は、たとえば制御部1000によっておこなわれる。ここで、パスワードが一致しない場合(ステップS1406:No)は、ステップS1405へ戻り、ふたたび、パスワードの入力待ちとなる。
【0167】
一方、パスワードが一致した場合(ステップS1406:Yes)は、表示画面102に表示されているパスワード入力画面を消去し、自装置(防犯カメラ装置100)のロックを解除する(ステップS1407)。また、その際、パスワード入力画面が消去され、自装置(防犯カメラ装置100)のロックが解除されたことを所定の送信先に通報するようにしてもよい。この消去処理は、たとえば表示部1009(広告情報表示制御部1010)によっておこなわれる。また、ロックの解除処理は、たとえば制御部1000によっておこなわれる。また、この通報処理は、送信部1012によっておこなわれる。
【0168】
そして、ステップS1403において出力が開始された警報を停止する(ステップS1408)。この停止処理は、たとえば、警報出力部1012、音声出力部などによっておこなわれる。これにより、一連の処理を終了する。なお、警報が一旦、出力した後は、有効なパスワードが入力されるまで、出力が継続されるように構成したが、このような構成には限らない。警報が出力し続けると、一般の乗員にも迷惑がかかるため、所定時間経過後は、有効なパスワードの入力前であっても、警報の出力を停止するようにしてもよい。また、警告の出力が開始された直後は、比較的大音量による警告を出力し、所定時間経過後は、比較的小音量による警告に切り替えるようにしてもよい。警告の出力については、適宜、その音量や内容を時間経過とともに変更するようにしてもよい。
【0169】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、平板形状をなし、背面101aをエレベーターのカゴ701の内壁面側に向けて後付け設置する防犯カメラ装置100であって、正面101bに設けられてカゴ701内を撮影する正面カメラ903と、正面カメラ903を含む自装置の駆動に供される電源を供給する電源供給用プラグ501を挿抜可能なAC電源コネクタ208と、を備えることを特徴としている。
【0170】
この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、防犯カメラ装置100のカゴ701内への設置に際し、AC電源コネクタ208から電源供給用プラグ501を引き抜いた状態とすることにより、防犯カメラ装置100の取り扱い性を高め、容易かつ速やかに防犯カメラ装置100をカゴ701内に設置することができる。これにより、防犯カメラ装置100を設置する作業者の負担軽減および設置作業にかかる作業時間の短縮を図ることができるので、作業者の負担軽減を図ることができる。
【0171】
そして、カゴ701内における防犯カメラ装置100の位置が定まってから、AC電源コネクタ208に電源供給用プラグ501を挿入した状態とすることにより、常時起動している必要がある防犯カメラ装置100に安定して給電することができる。これにより、電力不足により撮影ができないなどの事態をなくし、カゴ701内を確実に撮影し、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0172】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、作業時間の短縮を図ることにより、作業のためにエレベーターが使用できない時間を短くすることができる。これにより、エレベーターの利用者の利便性が低下することを抑制し、利用者の利便性を確保することができる。このように、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、エレベーターの利用者の利便性を低下させることなく、容易かつ速やかにカゴ701内に設置することができ、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0173】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、AC電源コネクタ208は、背面101aに設けられていることを特徴としている。この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、防犯カメラをカゴ701内に設置した状態において乗員からAC電源コネクタ208を見づらくすることができる。これにより、乗員の悪戯などによって給電が停止することを防止し、カゴ701内を確実に撮影し、乗員の安全確保に寄与することができる。また、仮に、筐体101の側面にAC電源コネクタ208を設ける場合、乗員からAC電源コネクタ208が視認しやすくなって、悪戯を助長しやすくなることが懸念されるが、乗員からAC電源コネクタ208を見づらくすることにより、乗員の悪戯などによって給電が停止することを確実に防止するとともに、カゴ701内の美観を確保することができる。
【0174】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、背面101aに、電源ボタン201および操作ボタン202の少なくともいずれかが設けられていることを特徴としている。この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、防犯カメラをカゴ701内に設置した状態において、電源ボタン201や操作ボタン202など防犯カメラ装置100の動作にかかわる操作部を乗員から見づらくすることができる。これにより、乗員の悪戯などによって防犯カメラ装置100が正常に動作しなくなることを防止し、カゴ701内を確実に撮影し、乗員の安全確保に寄与することができる。また、仮に、筐体101の側面に電源ボタン201や操作ボタン202など防犯カメラ装置100の動作にかかわる操作部を設ける場合、操作部が乗員から視認しやすいため、悪戯などを助長しやすくなることが懸念されるが、乗員から操作部を見づらくすることにより、乗員の悪戯などによって防犯カメラ装置100が正常に動作しなくなることを確実に防止することができる。
【0175】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、正面101bに、画像または映像を表示する表示画面102が設けられていることを特徴としている。この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、エレベーターに専用の機器を別途開発・製造することなく、汎用的なタブレット型端末装置(タブレット端末、タブレットPCなど)によって実現することができる。タブレット型端末装置は、たとえば、CPU901と、メモリ902と、カメラ903、904と、通信インタフェース905と、表示画面(ディスプレイ)102と、電源制御ユニット910と、を備える。そして、乗員の注意を惹く画像や映像を表示画面102に表示することで、乗員の顔を防犯カメラ装置100に向かせやすくすることができる。これにより、乗員を確実に撮影し、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0176】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、正面カメラ903(少なくとも正面カメラ903を構成する正面レンズ103)が、カゴ701内に設置された状態において、表示画面102より鉛直方向下側に位置するように設けられていることを特徴としている。この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100によれば、正面カメラ903(少なくとも正面カメラ903を構成する正面レンズ103)が、表示画面102より鉛直方向下側に位置しているため、正面カメラ903の画角(撮影範囲)を調整しやすくすることができる。これにより、カゴ701の形状や大きさに左右されることなく、カゴ701内を確実に撮影し、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0177】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、エレベーターのカゴ701内に後付けされ、当該カゴ701内を撮影する防犯カメラ装置であって、カゴ701内を撮影する撮影部1001と、撮影部1001を含む自装置(防犯カメラ装置100)の駆動に供される電源を供給する電源供給用プラグ501を介して電源を受給し(矢印AおよびB)、受給した電源を当該自装置(防犯カメラ装置100)へ供給する(矢印C)電源供給部1003と、自装置(防犯カメラ装置100)に設けられて、電源供給部1003によって電源が供給される(矢印D)ことで蓄電する蓄電部1004と、電源供給部1003に受給される電源の状態を監視する電源監視部1005と、電源監視部1005による電源監視の状況に応じて、電源供給部1003からの自装置(防犯カメラ装置100)への電源の供給(矢印C)を、蓄電部1004からの供給(矢印E)へと、切り替える電源供給制御部1006と、を備える。これにより、撮影部1001への電源を確保し、防犯カメラとしての機能を安定して提供することができる。
【0178】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、電源供給制御部1006が、電源監視部1005が電源供給部1003への受給(矢印B)が停止したことを検出した場合に、電源供給部1003からの自装置(防犯カメラ装置100)への電源の供給(矢印C)を、蓄電部1004からの供給(矢印E)へと、切り替えるので、停電や、接続不調などが発生した場合であっても、防犯カメラ装置100の電源を確実に確保することができる。
【0179】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、電源監視部1005が、電源供給用プラグ501を挿抜可能なAC電源コネクタ208に対する当該電源供給用プラグ501の挿抜の状態を監視し、電源供給制御部1006は、電源監視部1005による監視の結果、AC電源コネクタ208から電源供給用プラグ501が抜出されたことを検出した場合に、電源供給部1003からの自装置(防犯カメラ装置100)への電源の供給を、蓄電部1004からの供給へと、切り替えるので、偶発的に、または、悪戯など人為的に電源供給用プラグ501が外れた場合であっても、防犯カメラ装置100の電源を確実に確保することができる。
【0180】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、電源供給制御部1006が、電源監視部1005によって、AC電源コネクタ208に電源供給用プラグ501が挿入されたことを検出した場合に、蓄電部1004からの自装置(防犯カメラ装置100)への電源の供給を、電源供給部1003からの供給へと、切り替えるので、蓄電部(蓄電池)1004の消耗を防止でき、次回の電源供給停止に備えることができる。
【0181】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、自装置(防犯カメラ装置100)が、略平板形状をなし、平板の一面(「背面」)をカゴ701の内壁面側に向けて設置され、撮影部1001が、背面とは反対の面(「正面」)に設けられるので、防犯カメラ装置100が、内壁面から突出せずに設置することができ、カゴ701内の空間を有効に利用することができる。
【0182】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、正面に設けられて、カゴ701内で当該カゴ701の乗員に対して広告を表示する表示画面102を有する表示部1009を備えるので、乗員に対して広告内容を効率よく伝えることができる。
【0183】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、撮影部および表示部を含む自装置に、人体を含む物体が接触したことを検知する検知部1011を備え、表示部1009(広告情報表示制御部1010)が、検知部1011による検知結果に基づいて、パスワード入力画面1300を表示画面102に表示するので、物体が自装置(防犯カメラ装置100)に接触したことが容易にわかるようなる。また、復旧には、パスワードの入力が必要であることを知らしめることができる。これにより、窃盗犯に対して、自装置(防犯カメラ装置100)を取り外して、持ち出したとしても、パスワードを知らないと、自装置を再利用できないことを知らしめることができる。このように、後付けで取り外しが容易なゆえに、盗難にあったり、悪戯されたりする可能性が高い装置の当該可能性を低減させ、安定した撮影動作を確保することができる。それにより、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0184】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、パスワードの入力を受け付ける受付部1014によって受け付けられたパスワードがあらかじめ登録されているパスワードと一致した場合に、表示部1009(広告情報表示制御部1010)が、表示画面102に表示したパスワード入力画面1300を消去し、広告の表示を再開するので、パスワードを知っている作業者による操作により、復旧処理を容易におこなうことができる。また、パスワードを知らないものによっては、復旧処理をおこなうことはできない。
【0185】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置100は、送信部1012が、パスワード入力画面1300が表示されたことを、ネットワークを介して所定のサーバへ送信するので、パスワードの入力操作が必要なことを、より迅速に関係者に知らしめることができる。また、どの防犯カメラ装置100が接触されたかを、的確に把握することができる。したがって、復旧のための迅速な対応が可能となり、より安定した撮影動作を確保することができる。それにより、乗員の安全確保に寄与することができる。
【0186】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置制御プログラムは、エレベーターのカゴ内に後付けされ、当該カゴ内を撮影する撮影部1001と、当該カゴ内で当該カゴの乗員に対して広告を表示する表示画面102と、を備える防犯カメラ装置100に、自装置(防犯カメラ装置100)に物体が接触したことを検知し、検知結果に基づいて、パスワード入力画面1300を表示画面102に表示する処理を実行させるので、自装置(防犯カメラ装置100に接触があったことが容易にわかるようなる。また、復旧には、パスワードの入力が必要であることを知らしめることができる。
【0187】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置制御プログラムは、パスワード入力画面1300が表示画面102に表示された場合に、自装置(防犯カメラ装置100)に対するデータの入出力を制限するので、たとえ自装置(防犯カメラ装置100)が盗難に遭ったとしても、自装置(防犯カメラ装置100)が悪用されるのを防止することができる。
【0188】
また、この発明にかかる実施の形態の防犯カメラ装置制御プログラムは、パスワード入力画面1300が表示画面102に表示された場合に、自装置(防犯カメラ装置100)に記憶されているデータの全部または一部を消去するので、記録されているデータが悪用されるのを防止し、当該データにかかる広告主の著作権などの知的財産権や乗員の肖像権などが不当に侵害されるのを確実に阻止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0189】
以上のように、この発明にかかる防犯カメラ装置は、防犯の目的でカゴ内を撮影する防犯カメラ装置に有用であり、特に、安定した防犯カメラ機能の動作を担保することができる防犯カメラ装置に適している。
【符号の説明】
【0190】
100 防犯カメラ装置
101 筐体
101a 背面
101b 正面
102 表示画面(ディスプレイ)
103 正面レンズ
104 スピーカー
105 ステータス表示LED
105a LEDランプ
201 電源ボタン
202 操作ボタン
203 背面蓋
204 背面レンズ
205 ポート用電源スイッチ
206 外部アンテナ取付穴
207 ビス穴
208 AC電源コネクタ
209 AC電源ケーブル固定用部材
210 カバー
501 電源供給用プラグ
502 ケーブル
701 (エレベーターの)カゴ
702 (カゴの)扉
703 操作盤
704 プラグソケット
901 CPU
902 メモリ
903 正面カメラ
904 背面カメラ
905 通信I/F
906 マイク
907 振動センサ
908 照度センサ
910 電源制御ユニット
1000 制御部
1001 撮影部
1002 撮影情報記憶部
1003 電源供給部
1004 蓄電部
1005 電源監視部
1006 電源供給制御部
1007 広告情報受信部
1008 広告情報記憶部
1009 表示部
1010 広告情報表示制御部
1011 検知部
1012 警告出力部
1013 音声出力部
1014 受付部
1015 送信部
1100 搬送業者
1101 荷物
1300 パスワード入力画面