(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】締固め作業管理システム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/06 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
E04G21/06 ESW
(21)【出願番号】P 2020147761
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000182030
【氏名又は名称】若築建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】秋山 哲治
(72)【発明者】
【氏名】小山 稔樹
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-53492(JP,A)
【文献】特開2020-86697(JP,A)
【文献】特開2018-109880(JP,A)
【文献】国際公開第2018/185892(WO,A1)
【文献】特開2008-144384(JP,A)
【文献】特開2018-159245(JP,A)
【文献】特開2019-35265(JP,A)
【文献】特開2014-74297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/06
E04G 21/02
E04G 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者を含む締固め作業の作業領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像を用いて前記作業者の骨格を推定する骨格推定部と、
前記骨格推定部により推定された骨格情報に基づき前記作業者の前記締固め作業の作業位置を推定する作業位置推定部と、
を備え
、
前記作業領域内のコンクリートの表面より上方の高さ位置に前記作業者が前記締固め作業を行う際に立つ足場板が設置され、
前記足場板は、前記作業領域内の全体に亘り前記高さ位置が一定となるよう設置され、
前記作業位置推定部は、前記骨格情報に基づき前記作業者の足下の位置を前記作業位置として推定する、
締固め作業管理システム。
【請求項2】
作業者を含む締固め作業の作業領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像を用いて前記作業者の骨格を推定する骨格推定部と、
前記骨格推定部により推定された骨格情報に基づき前記作業者の前記締固め作業の作業位置を推定する作業位置推定部と、
を備え
、
前記締固め作業の前記作業領域を所定領域に区分して複数の作業単位ブロックを設定し、前記作業単位ブロックごとに締固め時間を監視する監視部を備え、
前記複数の作業単位ブロックは矩形状であり、
前記監視部は、前記作業位置推定部により推定された前記作業者の前記作業位置の情報に基づいて、所定の前記作業単位ブロックにおける前記締固め時間を計測する、
締固め作業管理システム。
【請求項3】
作業者を含む締固め作業の作業領域を撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像を用いて前記作業者の骨格を推定する骨格推定部と、
前記骨格推定部により推定された骨格情報に基づき前記作業者の前記締固め作業の作業位置を推定する作業位置推定部と、
を備え
、
前記締固め作業の前記作業領域を所定領域に区分して複数の作業単位ブロックを設定し、前記作業単位ブロックごとに締固め時間を監視する監視部を備え、
前記監視部は、前記作業位置推定部により推定された前記作業者の前記作業位置の情報に基づいて、所定の前記作業単位ブロックにおける前記締固め時間を計測し、
計測した前記締固め時間に基づき、前記所定の作業単位ブロックにおける前記締固め時間が所定時間未満の場合には、前記所定の作業単位ブロックでの前記締固め作業が不十分なため再度の締固め作業を行う旨の警告を前記作業者に報知し、
計測した前記締固め時間が前記所定時間を超えた場合には、前記所定の作業単位ブロックでの前記締固め作業が十分に行われた旨と、他の前記作業単位ブロックに移動してもよい旨の報知を前記作業者に対して行う、
締固め作業管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、締固め作業管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート施工において、コンクリートを型枠内に流し込んだ際にコンクリート内に巻き込まれた気泡を除去して密度を高める作業を「締固め」という。この締固めは、例えばバイブレータをコンクリート中に挿入して、型枠内でコンクリートに直接振動を加えることで実施できる。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート打設の作業領域内に締固め作業が行われていない部分が残るとジャンカなどの初期欠陥が生じやすい。これを防ぐには、作業領域の全体に亘って締固め作業が万遍なく行われるように、締固め作業を精度良く管理できることが望ましい。管理精度を向上させるためには、締固め作業の位置を精度良く計測できることが望ましい。
【0005】
本開示は、締固め位置を精度良く計測できる締固め作業管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態の一観点に係る締固め作業管理システムは、作業者を含む締固め作業の作業領域を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像を用いて前記作業者の骨格を推定する骨格推定部と、前記骨格推定部により推定された骨格情報に基づき前記作業者の前記締固め作業の作業位置を推定する作業位置推定部と、を備え、前記作業領域内のコンクリートの表面より上方の高さ位置に前記作業者が前記締固め作業を行う際に立つ足場板が設置され、前記足場板は、前記作業領域内の全体に亘り前記高さ位置が一定となるよう設置され、前記作業位置推定部は、前記骨格情報に基づき前記作業者の足下の位置を前記作業位置として推定する。
同様に、本発明の実施形態の一観点に係る締固め作業管理システムは、作業者を含む締固め作業の作業領域を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像を用いて前記作業者の骨格を推定する骨格推定部と、前記骨格推定部により推定された骨格情報に基づき前記作業者の前記締固め作業の作業位置を推定する作業位置推定部と、を備え、前記締固め作業の前記作業領域を所定領域に区分して複数の作業単位ブロックを設定し、前記作業単位ブロックごとに締固め時間を監視する監視部を備え、前記複数の作業単位ブロックは矩形状であり、前記監視部は、前記作業位置推定部により推定された前記作業者の前記作業位置の情報に基づいて、所定の前記作業単位ブロックにおける前記締固め時間を計測する。
同様に、本発明の実施形態の一観点に係る締固め作業管理システムは、作業者を含む締固め作業の作業領域を撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像を用いて前記作業者の骨格を推定する骨格推定部と、前記骨格推定部により推定された骨格情報に基づき前記作業者の前記締固め作業の作業位置を推定する作業位置推定部と、を備え、前記締固め作業の前記作業領域を所定領域に区分して複数の作業単位ブロックを設定し、前記作業単位ブロックごとに締固め時間を監視する監視部を備え、前記監視部は、前記作業位置推定部により推定された前記作業者の前記作業位置の情報に基づいて、所定の前記作業単位ブロックにおける前記締固め時間を計測し、計測した前記締固め時間に基づき、前記所定の作業単位ブロックにおける前記締固め時間が所定時間未満の場合には、前記所定の作業単位ブロックでの前記締固め作業が不十分なため再度の締固め作業を行う旨の警告を前記作業者に報知し、計測した前記締固め時間が前記所定時間を超えた場合には、前記所定の作業単位ブロックでの前記締固め作業が十分に行われた旨と、他の前記作業単位ブロックに移動してもよい旨の報知を前記作業者に対して行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、締固め位置を精度良く計測できる締固め作業管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る締固め作業管理システムの概略構成図
【
図4】管理装置が推定する作業者の骨格モデルの一例を示す図
【
図5】管理装置による作業領域の管理態様の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る締固め作業管理システム1の概略構成図である。
図2は、締固め作業管理システム1の機能ブロック図である。
【0011】
図1に示すように、コンクリートの打設工事では、型枠内に打ち込まれた生コンクリート(生コン)から成る作業領域10に締固めが施される。
図1の例では、型枠は矩形状に形成され、作業領域10も型枠に沿った略直方体形状であり、その上面は矩形状の平面である。締固めでは、作業者Pがバイブレータ11等の振動発生機器を用いて作業領域10の生コン内部に振動を入力する(
図4参照)。これによりコンクリート内に巻き込まれた気泡を除去して密度を高めることができる。締固めの効果を作業領域の全体に亘って確保するためには、概ね50cm以下の間隔で締固めを行い、各位置での締固め時間が5~15秒程度であるのが好ましい。このように、打ち込みと締固めが所定高さの複数層ごとに繰り返し行われて、最終的に施工対象物が完成する。
【0012】
本実施形態の締固め作業管理システム1は、このようなコンクリート打設工事における締固め作業を、型枠内の作業領域10の全体に亘って万遍なく行われるように精度良く管理するためのシステムである。締固め作業管理システム1は、管理装置2と、カメラ3(撮像部)とを備える。
【0013】
カメラ3は、作業者Pを含む締固め作業の作業領域10の全体を撮像する。カメラ3は、管理装置2と通信可能に接続されており、撮像した作業領域10の撮像画像を管理装置2に送信する。なお、カメラ3は、作業領域10と、この作業領域10上で締固め作業を行っている作業者Pとの相対的な位置関係を取得可能な画像情報を撮像できるものであればよく、撮像手法は特に限定されない(例えば、ドローンなどでもよい)。また、撮像画像は、静止画でもよいし、動画でもよい。
【0014】
管理装置2は、カメラ3により撮像された作業領域10の撮像画像に基づき締固め作業の作業位置を計測して、各作業位置での締固め時間を管理する。特に本実施形態では、作業者Pの骨格を推定し、推定された骨格情報に基づき作業位置を推定する。
【0015】
図4は、管理装置2が推定する作業者Pの骨格モデルMの一例を示す図である。
図4に示すように、管理装置2は、作業領域10上で締固め作業を行っている作業者Pの画像を用いて、作業者Pの骨格モデルM(骨格情報)を推定することができる。
【0016】
また、管理装置2は、骨格情報に基づき推定した作業位置の情報に基づき、締固めが作業領域10の全体に亘って漏れなく実施されているかを管理できる。
図5は、管理装置2による作業領域10の管理態様の一例を示す図である。本実施形態では、管理装置2は、
図5に示すように、作業領域10をメッシュ化した複数のセル(以下では「作業単位ブロック」ともいう)12に区分し、個々の作業単位ブロック12ごとに、締固め作業の進捗を管理することができる。
【0017】
図2に示すように、管理装置2は、締固め作業の管理に関する機能として、骨格推定部21と、作業位置推定部22と、締固め監視部23と、を備える。
【0018】
骨格推定部21は、カメラ3により撮像された撮像画像を用いて作業者Pの骨格モデルMを推定する。骨格推定部21は、例えば
図4に示すような作業者Pが写っている撮像画像から、この作業者Pの骨格モデルMを推定する。作業者Pの画像に基づく骨格モデルMの推定には、例えば人物画像と骨格との対応関係をディープラーニングなどの機械学習手法によって獲得した、ディープニューラルネットワークなどの推論器を用いることができる。
【0019】
骨格モデルMは、例えば
図4に示すように、作業者Pの首、肩、肘、手首、腰、股、膝、足首などの主要な関節と、これらの関節を直線状のリンクで連結したリンクモデルとして表現される。また、1つの画像中に複数の作業者が写っている場合には、複数の作業者の骨格モデルを個別に推定できる。
【0020】
作業位置推定部22は、骨格推定部21により推定された骨格情報に基づき作業者Pの締固め作業の作業位置を推定する。作業位置推定部22は、例えば
図4に示す骨格モデルMの頭部、手部、足部に相当するリンクの先端部の位置座標を利用して、作業者Pの頭部や手部や足部の位置を算出できる。本実施形態では、作業位置推定部22は、骨格モデルMの左足のリンクの先端部13Lと、右足のリンクの先端部13Rの位置座標を、作業者Pの作業位置の推定に利用する。
図5に示すように、作業位置推定部22は、複数のセル12に区分された作業領域10において、作業者Pの両足13L、13Rの位置をプロットし、左足13Lと右足13Rが(あるいは、左足13Lと右足13Rとを連結した直線の中心位置などが)配置されている1つの特定のセル12Aが、現在作業者Pが締固め作業を行っている作業位置であると推定する。なお、障害物などの影響により、片足(左足13Lあるいは右足13R)しか認識できない場合においては、作業者Pの足下の位置は片足の情報のみを用いて作業位置を推定する。
【0021】
つまり、作業位置推定部22は、骨格推定部21により推定された骨格情報に基づき作業者Pの足下の位置を作業位置として推定する。なお、本実施形態で用いる「足下」とは、作業者Pが立っているときに当該作業者Pの足で隠れる範囲をいう。
【0022】
締固め監視部23は、締固め作業の作業領域10を所定領域に区分して複数の作業単位ブロック12を設定し、作業単位ブロック12ごとに締固め時間を監視する。締固め監視部23は、作業位置推定部22により推定された作業者の作業位置の情報に基づいて、所定の作業単位ブロック12Aにおける締固め時間を計測する。
【0023】
また、締固め監視部23は、特定の作業単位ブロック12Aにおける締固め時間が所定時間未満の場合には、締固めが不十分であるので、再度の締固め作業を作業者Pに促すように音や光などの任意の手法によって作業者Pに報知することもできる。
【0024】
図3は、管理装置2のハードウェア構成図である。
図3に示すように、管理装置2は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)101、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)102およびROM(Read Only Memory)103、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置104、ディスプレイ等の出力装置105、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール106、補助記憶装置107、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。
【0025】
図2に示す管理装置2の各機能は、CPU101、RAM102等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェア(締固め作業管理プログラム)を読み込ませることにより、CPU101の制御のもとで通信モジュール106、入力装置104、出力装置105を動作させるとともに、RAM102や補助記憶装置107におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。すなわち、本実施形態に係る締固め作業管理プログラムをコンピュータ上で実行させることで、管理装置2は、
図2の骨格推定部21、作業位置推定部22、締固め監視部23として機能する。
【0026】
本実施形態の締固め作業管理プログラムは、例えばコンピュータが備える記憶装置内に格納される。なお、締固め作業管理プログラムは、その一部又は全部が、通信回線等の伝送媒体を介して伝送され、コンピュータが備える通信モジュール等により受信されて記録(インストールを含む)される構成としてもよい。また、締固め作業管理プログラムは、その一部又は全部が、CD-ROM、DVD-ROM、フラッシュメモリなどの持ち運び可能な記憶媒体に格納された状態から、コンピュータ内に記録(インストールを含む)される構成としてもよい。
【0027】
管理装置2は、アナログ回路、デジタル回路又はアナログ・デジタル混合回路で構成された回路であってもよい。また、管理装置2の各機能の制御を行う制御回路を備えていてもよい。各回路の実装は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等によるものであってもよい。
【0028】
図6は、締固め作業管理処理のフローチャートである。
【0029】
ステップS1では、作業者Pにより作業領域10での締固め作業が開始され、締固め作業管理システム1も始動する。
【0030】
ステップS2では、カメラ3により、締固め作業中の作業者Pを含む作業領域10が撮影され、撮像画像が管理装置2に送信される。
【0031】
ステップS3では、管理装置2の骨格推定部21により、撮像画像内の作業者Pの骨格推定が行われる。骨格推定部21は、例えば人物画像と骨格との対応関係を機械学習により獲得した推論モデルを用いて、
図4を参照して説明した作業者Pの骨格モデルMを出力する。
【0032】
ステップS4では、作業位置推定部22により、骨格推定結果の足下の位置情報から、現在作業者Pが締固め作業をしている作業区画(作業領域10内の1つの作業単位ブロック12A)が判別される。
【0033】
ステップS5では、締固め監視部23により、作業単位ブロック12Aにおける締固め時間が計測される。締固め時間の計測は、例えば、作業者Pが特定のブロックに滞在している時間を締固め時間とすることができる。また、締固め時間の計測は、バイブレータ11の駆動時間と併用してもよい。この場合、例えば、作業者Pが特定のブロックに居づけている状態で、バイブレータ11が作動されてから停止されるまでの時間を、当該ブロックの締固め時間として出力できる。
【0034】
ステップS6では、締固め監視部23により、ステップS5にて計測した締固め時間に基づき、締固め作業が監視される。例えば、締固め監視部23は、特定の作業単位ブロック12Aにおける締固め時間が所定時間未満の場合には、このブロックでの締固めが不十分なため再度の締固めを行う旨の警告を作業者Pに報知する。または、締固め監視部23は、締固め時間が所定時間を超えた場合に、締固めが十分に行われた旨と、他のブロックに移動してもよい旨の報知を作業者Pに対して行うこともできる。
【0035】
ステップS6の締固め作業の監視は、作業領域10内のすべてのセル12において所定時間以上締固めが完了するまで行われる。
【0036】
このように、本実施形態に係る締固め作業管理システム1は、作業者Pを含む締固め作業の作業領域10を撮像するカメラ3と、カメラ3により撮像された撮像画像を用いて作業者Pの骨格を推定する骨格推定部21と、骨格推定部21により推定された骨格情報に基づき作業者Pの締固め作業の作業位置を推定する作業位置推定部22と、を備える。
【0037】
この構成により、撮像画像に基づき推定された作業者Pの骨格モデルMを利用して、作業領域10上の作業者Pの存在位置を精度良く推定できるので、このように精度良く推定された位置情報を利用することによって締固め作業の実施位置も精度良く把握することが可能となる。これにより、作業領域10の全体に亘って締固め作業が万遍なく行われるように、締固め作業を精度良く管理できることが可能となり、コンクリートの品質を向上できる。
【0038】
また、本実施形態の締固め作業管理システム1において、作業位置推定部22は、骨格情報に基づき作業者Pの足下の位置13L、13Rを締固め作業の作業位置として推定する。
【0039】
締固め作業の作業位置としては、骨格モデルMに基づく作業者Pの身体各部のいずれかの位置(例えば手先位置、体幹位置、頭部位置、胴体の重心位置など)を利用すればよいが、特に作業者Pの足下の位置13L、13Rを利用するのが好ましい。締固め作業では、作業領域10の生コンの表面より上方に設置される足場板などに立って作業を行うことが殆どである。足場板などの高さ位置は一定なので、足下の位置は作業領域10上の任意の位置に移動しても概ね一定である。一方、手先や頭部や体幹などは、作業者Pの姿勢の変化に応じて高さ位置も変動する。本実施形態では、カメラ3による作業領域10の撮像画像から作業位置を推定する構成のため、作業するブロック12が変わっても作業位置推定の基準となる高さ位置が一定であると、作業位置の座標を推定する際に誤差を小さく抑えることができ、より高精度に作業位置を推定できる。
【0040】
また、締固めの作業位置としてはバイブレータ11の位置を利用するのが理想的であるが、締固め作業中にはバイブレータ11は生コンの表面より内部に挿入されているため(
図4参照)、カメラ3の撮像画像からはバイブレータ11の位置情報を直接取得することができない。このため、本実施形態では、計測可能な作業員Pの体の各部位の位置に基づき作業位置を推定する。この場合、例えば手先位置を作業位置推定の基準とすると、作業者Pの身長や腕の長さなどの体格差を考慮する必要があり、また、把持のしかたなど姿勢の変化によってバイブレータ11との相対位置が変わるので、作業位置を精度良く推定しようとすると算出作業が煩雑になる。これに対して、足下位置は、バイブレータ11との相対的な位置関係は作業者Pの体格の影響を受けにくいので、より簡易な工程で精度良く作業位置を推定することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態の締固め作業管理システム1は、締固め作業の作業領域10を所定領域に区分して複数の作業単位ブロック12を設定し、作業単位ブロック12ごとに締固め時間を監視する締固め監視部23を備える。締固め監視部23は、作業位置推定部22により推定された作業者Pの作業位置の情報に基づいて、所定の作業単位ブロック12Aにおける締固め時間を計測する。
【0042】
この構成により、作業領域10を区分した複数の作業単位ブロック12ごとに締固めが所定の締固め時間実施されたかを監視することができるので、作業領域10の全域に亘って締固め作業の漏れを無くすことが可能となり、コンクリートの品質を向上できる。
【0043】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 締固め作業管理システム
2 管理装置
3 カメラ(撮像部)
21 骨格推定部
22 作業位置推定部
23 締固め監視部
10 作業領域
12 作業単位ブロック
13L、13R 足下位置
P 作業者
M 骨格モデル