(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】パウチシーリング装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/184 20210101AFI20241008BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20241008BHJP
【FI】
H01M50/184 C
H01M50/105
(21)【出願番号】P 2023508582
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 KR2022009735
(87)【国際公開番号】W WO2023282610
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0089407
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ジャ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ ホン
(72)【発明者】
【氏名】オー、セ ヨン
【審査官】窪田 陸人
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2011-0039011(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0072962(KR,A)
【文献】特開2012-022992(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187161(WO,A1)
【文献】特開2002-208383(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0045097(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部パウチ及び下部パウチを含み、電極組立体及び電解液を収容する電池用パウチのシーリング装置であって、
パウチ収容部が着座する装着部と、
前記上部パウチ及び前記下部パウチの開放端部から前記パウチ収容部側にローリング移動しながら前記電解液を前記パウチ収容部の内部に移動させるプレスローラーと、
前記上部パウチ及び前記下部パウチのシーリング部をシーリングするシーリングツールと、を含み、
前記プレスローラーはローリングしながら前記プレスローラーの一部に付加された加熱部によって前記上部パウチと前記下部パウチとを融着させる、パウチシーリング装置。
【請求項2】
前記プレスローラーは、前記上部パウチ及び前記下部パウチのシーリング部を中心に位置する上部プレスローラー及び下部プレスローラーを含む、請求項1に記載のパウチシーリング装置。
【請求項3】
前記上部プレスローラー及び前記下部プレスローラーのうちの一つ以上のプレスローラーの前記加熱部は250℃まで昇温可能であり、
前記上部プレスローラーと前記下部プレスローラーとの間には所定の間隔が形成される、請求項2に記載のパウチシーリング装置。
【請求項4】
上部パウチ及び下部パウチを含み、電極組立体及び電解液を収容する電池用パウチのシーリング装置であって、
パウチ収容部が着座する装着部と、
前記上部パウチ及び前記下部パウチの開放端部から前記パウチ収容部側にローリング移動しながら前記電解液を前記パウチ収容部の内部に移動させるプレスローラーと、
前記上部パウチ及び前記下部パウチのシーリング部をシーリングするシーリングツールと、を含み、
前記プレスローラーはローリングしながら前記プレスローラーの一部に付加された加熱部によって前記上部パウチと前記下部パウチとを融着させ、
前記プレスローラーは、前記上部パウチ及び前記下部パウチのシーリング部を中心に位置する上部プレスローラー及び下部プレスローラーを含み、
前記上部プレスローラーは所定の間隔で離隔して水平に位置する一対の上部レールの上端部に位置し、
前記下部プレスローラーは所定の間隔で離隔して水平に位置する一対の下部レールの上端部に位置し、
前記一対の上部レールと前記一対の下部レールとは上に下対応するように位置し、
前記上部プレスローラー及び前記下部プレスローラーはそれぞれ前記一対の上部レール及び前記一対の下部レール上で水平にローリング移動する
、パウチシーリング装置。
【請求項5】
前記上部レールと前記下部レールとの間の上下間隔を調節することで、前記上部プレスローラーと前記下部プレスローラーとの間の間隔を調節する、請求項4に記載のパウチシーリング装置。
【請求項6】
前記上部レールと前記下部レールとの間の間隔は前記電極組立体側に行くほど次第に小さくなる、請求項4に記載のパウチシーリング装置。
【請求項7】
前記上部プレスローラー及び前記下部プレスローラーのうちの一つ以上のプレスローラーの前記加熱部は250℃まで昇温可能であり、
前記上部プレスローラーと前記下部プレスローラーとの間には所定の間隔が形成される、請求項4から6のいずれか一項に記載のパウチシーリング装置。
【請求項8】
上部パウチ及び下部パウチを含み、電極組立体及び電解液を収容する二次電池用パウチをシーリングする方法であって、
(s1)前記電極組立体及び前記電解液を収容した前記上部パウチ及び前記下部パウチを装着部に水平に位置させ、パウチのガスポケット部を上下に離隔している一対のレール部の間に配置する段階と、
(s2)前記一対のレール部上で一対のプレスローラーを前記パウチのガスポケット部の端部から前記電極組立体の方向に移動させながら前記ガスポケット部を密着させる段階と、
(s3)前記一対のプレスローラーを、前記電極組立体から所定の距離で離隔するように、前記電極組立体の反対方向に移動させる段階と、
(s4)シーリングユニットを用いて前記プレスローラーと前記電極組立体との間の前記上部パウチ及び前記下部パウチをシーリングする段階と、を含む、パウチシーリング方法。
【請求項9】
前記(s2)段階で、前記プレスローラーを昇温して前記パウチの前記ガスポケット部を密着させる、請求項
8に記載のパウチシーリング方法。
【請求項10】
前記(s2)段階で、前記一対のレール部の間の間隔を調節して前記一対のプレスローラーの間の間隔を調節する、請求項
8に記載のパウチシーリング方法。
【請求項11】
パウチ型二次電池の製造方法であって、請求項
8から10のいずれか一項に記載のパウチシーリング方法を含む、パウチ型二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年7月8日付の韓国許出願第2021-0089407号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はパウチシーリング装置に関するものである。具体的には、電解液がガスポケット部の外部に漏出しないとともにパウチシーリング位置を確定して容易にシーリングすることができるようにするパウチシーリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、正極/分離膜/負極電極組立体の構造によって分類することができる。代表的には、長いシート状の正極と負極とを分離膜が介在された状態で巻き取った構造のゼリーロール型(巻取型)電極組立体、所定の大きさの単位に切り取った多数の正極と負極とを分離膜を介在した状態に順次積層したスタック型(積層型)電極組立体、所定の大きさの正極と負極を分離膜を介在した状態で積層したバイセル(Bi-cell)またはモノセル(Monol-cell)を分離フィルムなどで巻き取った構造のスタック/フォルディング型電極組立体などを挙げることができる。
【0004】
二次電池は、形状によって、円筒型電池、角型電池、パウチ型電池などに区分することができる。そのうち、パウチ型電池は、金属層(ホイル)及び前記金属層の上面及び下面にコーティングされる合成樹脂層の多層膜から構成されるパウチ外装材を使って外観を構成するから、金属缶を使う円筒型または角型より電池の重さを著しく減らすことができるので、電池の軽量化が可能であり、多様な形態への変化が可能であるという利点がある。
【0005】
パウチ外装材は、一般的に、電極組立体を収容する下部外装材と、下部外装材の上部を密封する上部外装材とからなる。電極組立体を下部外装材の収納部に収容した後、下部外装材の収納部の周囲の縁部とこれに対応する上部外装材の縁部とを密着させ、密着された部分を熱融着した後、電解液を入れ、残りの部分をシーリングすることで、二次電池を仮組立する。
【0006】
活性化工程では、電流の円滑な通電のために、所定のジグに二次電池を搭載し、活性化に必要な条件で充放電などの処理を遂行することになる。二次電池においては、その特性上、最初のサイクルの際、正極活物質の活性化及び負極での安定的な表面膜(SEI、Solid Electrolyte Interface)の生成のために、このような活性化過程を必須に先行しなければならない。活性化過程では、二次電池の内部に多量のガスが発生する。その後、発生したガスは開封されるか切開された排出口を通して除去され、ガス排出部位は再び熱融着してシーリングされる。前記のように二次電池の内部のガスを排出させる工程を通常デガシング(degassing)工程といい、デガシング工程の後、シーリングを遂行して二次電池を完成させる。
【0007】
二次電池の内部で発生したガスがガスポケット部に移動する過程で電解液の一部が二次電池の内部とガスポケット部との間の連結部に残り、前記連結部に残っている電解液によって前記連結部のシーリング力が大きく低下する問題点があった。一部の電解液はガスポケット部まで移動する。
【0008】
パウチ型二次電池は形態が変形しやすいので、シーリング基準部(datum)を正確に設定するのに困難がある。パウチ型二次電池を立てたときよりも横たえたときに形態変形が少ない。したがって、
図1に示すように、パウチ型二次電池を横たえた状態でシーリング装置の間に挿入し、シーリング装置の圧着によってシーリングする。上部パウチ11及び下部パウチ12を上部シーリング装置21(上部シーリングツール21)と下部シーリング装置22(下部シーリングツール22)との間に挿入し、上部シーリング装置21と下部シーリング装置22とが互いに向かって移動して圧着及び加熱することによってシーリングする。このような方法は、残余電解液がシーリング部に残ってシーリング品質が低下する問題がある。
【0009】
特許文献1は、パウチの連結部に残っている電解液をガスポケット部に押して除去する電解液除去装置、前記電解液除去装置によって電解液が除去された前記パウチの連結部をシーリングするシーリング装置、及び前記シーリング装置によって前記連結部がシーリングされたパウチを排出する排出装置を含む電解液除去装置及び二次電池の製造装置に関するものである。
【0010】
特許文献1は電解液除去装置によって電解液が除去されたパウチを後端に別に備えられたシーリング装置に移送した後、シーリング装置によってシーリングする装置であり、2段階の過程で電解液除去及びシーリングを遂行する。
【0011】
特許文献2もローラーを用いて残留電解液を除去しているが、特許文献1と同様に、電解液除去工程の後、別途の密封工程を遂行するように構成されている。
【0012】
特許文献3は、電解液による膠着シーリングの可能性を減らすために、ローラーで押圧する技術であるが、シーリングユニットとしてローラーのみを用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】韓国公開特許第2019-0072962号公報
【文献】特許第6204497号公報
【文献】韓国登録特許第1417152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、パウチ型二次電池のシーリング部から電解液を吐き出すかまたは除去し、パウチシーリング部の形態を維持しながら正確にシーリングすることができるパウチシーリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記のような目的を達成するための本発明による、上部パウチ及び下部パウチを含み、電極組立体及び電解液を収容する電池用パウチのシーリング装置は、パウチ収容部が着座する装着部と、前記上部パウチ及び前記下部パウチの開放端部から前記パウチ収容部側にローリング移動しながら前記電解液を前記パウチ収容部の内部に移動させるプレスローラーと、前記上部パウチ及び前記下部パウチのシーリング部をシーリングするシーリングツールとを含み、前記プレスローラーはローリングしながらローラーの一部に付加された加熱部によって上部パウチと下部パウチとを融着させることができる。
【0016】
前記プレスローラーは、前記上部パウチ及び前記下部パウチのシーリング部を中心に位置する上部プレスローラー及び下部プレスローラーを含むことができる。
【0017】
前記上部プレスローラー及び前記下部プレスローラーのうちの一つ以上のプレスローラーの前記加熱部は250℃まで昇温可能であり、前記上部プレスローラーと前記下部プレスローラーとの間には所定の間隔が形成されることができる。
【0018】
前記上部プレスローラーは所定の間隔で離隔して水平に位置する一対の上部レールの上端部に位置し、前記下部プレスローラーは所定の間隔で離隔して水平に位置する一対の下部レールの上端部に位置し、前記一対の上部レールと前記一対の下部レールとは上下方向において対応するように位置し、前記上部プレスローラー及び前記下部プレスローラーはそれぞれ前記一対の上部レール及び前記一対の下部レール上で水平にローリング移動することができる。
【0019】
前記上部レールと前記下部レールとの間の上下間隔を調節することで、前記上部プレスローラーと前記下部プレスローラーとの間の間隔を調節することができる。
【0020】
前記上部レールと前記下部レールとの間の間隔は前記電極組立体側に行くほど次第に小さくなることができる。
【0021】
本発明は、前記パウチシーリング装置によって製造されたパウチ型二次電池を提供することができる。
【0022】
本発明は、上部パウチ及び下部パウチを含み、電極組立体及び電解液を収容する二次電池用パウチをシーリングする方法であって、(s1)前記電極組立体及び前記電解液を収容した前記上部パウチ及び前記下部パウチを装着部に水平に位置させ、パウチのガスポケット部を上下に離隔している一対のレール部の間に配置する段階と、(s2)前記一対のレール部上で一対のプレスローラーを前記パウチのガスポケット部の端部から前記電極組立体の方向に移動させながら前記ガスポケット部を密着させる段階と、(s3)前記一対のプレスローラーを、前記電極組立体から所定の距離で離隔するように、前記電極組立体の反対方向に移動させる段階と、(s4)シーリングユニットを用いて前記プレスローラーと前記電極組立体との間の前記上部パウチ及び前記下部パウチをシーリングする段階とを含むパウチシーリング方法を提供することができる。
【0023】
前記(s2)段階で、前記プレスローラーを昇温して前記パウチの前記ガスポケット部を密着させることができる。
【0024】
前記(s2)段階で、前記一対のレール部の間の間隔を調節して前記一対のプレスローラーの間の間隔を調節することができる。
【0025】
また、本発明は前記課題の解決手段を多様に組み合わせた形態としても提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上で説明したように、本発明によるパウチシーリング装置は、既存のパウチシーリング装置に最小限の構成を付け加えることで、装置の体積増加を最小化しながら電解液の漏出を減少させるか防止することができる効果がある。
【0027】
また、本発明によるパウチシーリング装置は、シーリング部の電解液を除去してシーリング効率を向上させる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来のパウチシーリングの原理を示す概要図である。
【
図2】本発明の一実施例によるパウチシーリング装置の概要図である。
【
図3】本発明の一実施例によるパウチシーリング過程を示す概要図である。
【
図4】本発明の一実施例によるプレスローラーの概要図である。
【
図5】
図4によるプレスローラーを使う1次シーリング及びシーリングツールを使う2次シーリングを遂行したパウチの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0030】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0031】
また、構成要素を限定するか付け加えて具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用可能であり、特定の発明に限定されない。
【0032】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0033】
また、本発明の説明及び特許請求の範囲全般にわたって「または」は、別に言及しない限り、「及び」を含むものである。したがって、「AまたはBを含む」はAを含むか、Bを含むか、A及びBの両者を含む3種の場合を意味する。
【0034】
また、すべての数値範囲は、はっきりと除くという記載がない限り、両端の値とその間のすべての中間値とを含む。
【0035】
図面を参照して詳細な実施例に基づいて本発明を説明する。
【0036】
図2は本発明の一実施例によるパウチシーリング装置の概要図である。
【0037】
図2を参照すると、本発明の一実施例によるパウチシーリング装置10は、パウチ収容部110が水平に着座する装着部500、パウチのガスポケット部120の所定位置において対面状態で圧着しながらシーリングするシーリングツール200、間に位置させたパウチのガスポケット部120を圧着しながら水平に移動するプレスローラー300、及び前記プレスローラー300を支持し、水平に移動経路を形成するレール部400を含むことができる。
【0038】
本発明において、シーリング前のパウチ型二次電池は、電極組立体(図示せず)を収納する収容部110と電極リード111とを含む。
【0039】
電極組立体は、長いシート状の正極及び負極の間に分離膜を介在してから巻き取ることによってなる構造を有するゼリーロ-ル型組立体、または長方形の正極及び負極が分離膜を間に介在した状態で積層された構造のスタック型組立体、単位セルが長い分離フィルムによって巻き取られるスタック-フォルディング型組立体、または電池セルが分離膜を間に介在した状態で積層されることで相互間に付着されるラミネーション-スタック型組立体などからなるが、これらに限定されない。
【0040】
また、電解質は、一般的に通用される液体電解質の他にも、固体電解質、または固体電解質に添加剤を付け加えることで、液体と固体との中間形態を有するゲル状の準固体固体電解質を使っても問題ないというのは言うまでもない。
【0041】
前記のような電極組立体は収容部110に収納され、パウチは通常に内部層/金属層/外部層のラミネートシートの構造を有する。内部層は電極組立体と直接的に接触するので、絶縁性及び耐電解液性を有しなければならなく、さらに外部に対する密閉のために、シーリング性、すなわち、内部層同士が熱接着されたシーリング部位は優れた熱接着強度を有しなければならない。このような内部層の材料としては、耐化学性に優れながらもシーリング性が良いポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンアクリル酸、ポリブチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリイミド樹脂から選択することができるが、これらに限定されなく、引張強度、剛性、表面硬度、耐衝撃強度などの機械的物性と耐化学性に優れたポリプロピレンが最も好ましい。
【0042】
内部層と接している金属層は外部から水分や各種のガスが電池の内部に浸透することを防止するバリア層に相当し、このような金属層の好適な材料としては、軽いながらも成形性に優れたアルミニウム薄膜を使うことができる。
【0043】
そして、金属層の他側面には外部層を備える。このような外部層は、電極組立体を保護しながら耐熱性及び耐化学性を確保することができるように、引張強度、透湿防止性及び空気透過防止性に優れた耐熱性ポリマーを使うことができ、一例としてナイロンまたはポリエチレンテレフタレートを使うことができるが、これらに限定されない。
【0044】
本発明において、シーリング前のパウチは、電極組立体及び電解液を収容する収容部110と、活性化過程で発生するガスを捕集するガスポケット部120とを含む。
【0045】
装着部500は作業台または地面に固定される水平の支持板(図示せず)を含み、上端に位置するパウチ収容部110を水平に安定的に支持することができれば、その材質及び形態は特に限定されない。シーリング過程でパウチ収容部110が移動するか歪むことを防止することができる垂直隔壁が位置することができ、上端に配置されたパウチ収容部110を固定させる固定手段をさらに備えることができる。
【0046】
次に、シーリングツール200について説明する。
【0047】
本発明において、シーリングツール200は当該技術分野によく知られたシーリング装置であり、パウチのガスポケット部120の上部及び下部に上部シーリング装置210(上部シーリングツール210)及び下部シーリング装置220(下部シーリングツール220)を装着し、前記上部シーリング装置210と下部シーリング装置220とを互いに向けて移動させることで、その間に位置するガスポケット部120を圧着及び加熱してシーリングする。シーリングツール200は、上部シーリング装置210と下部シーリング装置220とが上下に移動するように駆動させる駆動シリンダー230を含むことができる。
【0048】
次に、プレスローラー300について説明する。
【0049】
本発明において、プレスローラー300は、所定の間隔で離隔して水平に位置する上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320を含むことができる。
【0050】
パウチ収容部110から延設され、パウチ収容部110と対向して位置するガスポケット部120の端部(図示せず)から始め、上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320はパウチ収容部110側に移動しながら電解液をパウチ収容部110に流入させる。ここで、前記ガスポケット部120の前記端部は上部プレスローラー310と下部プレスローラー320との間に位置することができる。
【0051】
図面に示されていないが、ガスポケット部120を水平に平たく展開させるガイド部(図示せず)を含むことができる。
【0052】
前記上部プレスローラー310と下部プレスローラー320との間の離隔間隔は本発明でパウチをなすラミネートシートの厚さの80%~150%であり得る。上部プレスローラー310と下部プレスローラー320との間の離隔間隔がラミネートシートの厚さの90%より小さい場合、圧着及びローリングする過程でガスポケット部120をなすラミネートシートが破損されることがあり、150%より大きい場合、ガスポケット部120に残存する電解液を完全に除去することができなくなる。
【0053】
ここで、上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320は弾性材から構成されることができる。これは、ガスポケット部120を構成するラミネートシートを圧着する過程で前記ラミネートシートの破損を防止するのに有利である。
【0054】
上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320は加熱部材(図示せず)を含むことで、上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320の外表面を250℃まで加熱することができ、運転条件によって加熱温度を調節することができる。高温に加熱された上部プレスローラー310と下部プレスローラー320とはその間に位置する対面して位置するラミネートシートを加熱することで、互いに対面する層が融着するようにする。このように、ガスポケット部120が融着することにより、前述したシーリングツール200を用いてメインシーリングを遂行する過程で電解液がガスポケット部120に再流入することを防止することができる。これは効率的なシーリングに有利である。
【0055】
本発明において、パウチシーリング装置10は、上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320を支持し、移動経路を形成するレール部400を含むことができる。レール部400は水平に位置する上部レール410及び下部レール420を含み、上部レール410及び下部レール420はガスポケット部120がパウチ収容部110から外側に延びる方向にガスポケット部120の両側に対応するようにそれぞれ位置することができる。
【0056】
ここで、上部レール410及び下部レール420は、ガスポケット部120の端部からパウチ収容部110側に間隔が小さくなる形態を有するように構成されることができる。これは、ガスポケット部120を安定的に密着させながら電解液をパウチ収容部110側に効率的に移動させるのに有利である。
【0057】
ここで、上部レール410及び下部レール420は幅方向(y軸方向)において中間が凹んでいる溝状に形成されることができ、上部レール410及び下部レール420の上部に位置する上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320には、前記溝に挿入される突出部(図示せず)が形成されることができる。これは、上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320が対応する上部レール410及び下部レール420上でパウチ収容部110を基準に前後方向(x軸方向)にのみ移動することができるが左右方向(y軸方向)には移動できないようにすることで、上部プレスローラー310と下部プレスローラー320との間に位置するガスポケット部120が歪むかまたは破損されることを防止することができる。
【0058】
図面に示されていないが、上部レール410と下部レール420との間の間隔を調節することができる間隔調節部(図示せず)を備えることができる。前記間隔調節部は上部レール410及び/または下部レール420を上下に動かして離隔間隔を調節することができる。このように、上部レール410と下部レール420との間の間隔調節によって上部プレスローラー310と下部プレスローラー320との間の間隔を調節してガスポケット部120に対する圧着力を調節することができる。
【0059】
図3は本発明の一実施例によるパウチシーリング過程を示す概要図である。
【0060】
図3を参照して本発明の一実施例によるパウチシーリング方法を説明する。
【0061】
本発明の一実施例によるパウチシーリング方法は、電極組立体をパウチ収容部110に収容したパウチを準備した後、パウチ収容部110を装着部500に水平に着座させ、前記パウチ収容部110から延設されるガスポケット部120の端部がプレスローラー300の上部プレスローラー310と下部プレスローラー320との間に位置するように水平に配置する。
【0062】
図3の(a1)に示すように、上部プレスローラー310と下部プレスローラー320とはガスポケット部120の端部のA位置の上部及び下部に位置する。
図3にはA位置がパウチ収容部110の反対側のガスポケット部120の端部からパウチ収容部110側に所定の距離だけ離れているものとして示されているが、A位置が前記ガスポケット部120の端部または前記ガスポケット部120の端部から離隔したパウチ収容部110の反対側外部に位置することができる。ガスポケット部120の内部の電解液をパウチ収容部110に押して流入させることができれば、特に限定されない。
【0063】
所定の温度まで加熱された上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320はその間に配置されたガスポケット部120を圧着しながらパウチ収容部110側にローリングしながら、パウチ収容部110に最も近接したB位置まで移動する(a2)。この過程で、ガスポケット部120は上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320によって加熱圧着されて融着する。また、ガスポケット部120に残存する電解液は上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320の圧着によってパウチ収容部110側に移動し、最終にパウチ収容部110の内部に流入する。
【0064】
本発明において、上部プレスローラー310と下部プレスローラー320とは互いに対面する状態で反対方向に回転する。
【0065】
次いで、B位置に位置する上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320はパウチ収容部110から遠くなるガスポケット部120の延長方向に所定の距離だけ移動してC位置に位置する(a3)。ここで、C位置は前記A位置と前記B位置との間に位置し、上部プレスローラー310と下部プレスローラーと320とはその間に位置するガスポケット部120を固定する役割を果たす。
【0066】
前記B位置に位置する上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320とパウチ収容部110との間の空間で、所定の温度まで加熱された上部シーリング装置210及び下部シーリング装置220が対向した状態で移動しながら、その間に位置するガスポケット部120のシーリング部をシーリングすることにより、パウチのシーリング力を向上させ、不良発生を防止することができる(a4)。
【0067】
図4は本発明の一実施例によるプレスローラーを示す概要図であり、
図5は
図4に示すプレスローラーを使う1次シーリング及びシーリングツールを使う2次シーリングを遂行したパウチを示す模式図である。
【0068】
図4及び
図5を参照して本発明の一実施例によるプレスローラー300について詳細に説明する。
【0069】
図4の(b1)はプレスローラー300の側面図であり、(b2)はプレスローラー300の正面図である。
図4を参照すると、本発明において、プレスローラー300は、中心軸を形成するローラー部301及び前記ローラー部301の外側曲面部を取り囲む外被部(図示せず)を含むことができる。前記外被部は放熱部302及び加熱部303を含むことができ、加熱部303はプレスローラー300の中心軸に平行に前記外被部の一部に形成されることができる。前記加熱部303は更なる加熱部材を備えて加熱部303を加熱することができる。ここで、加熱部303の外表面はプレスローラー300がローリングするときにガスポケット部120と対面し、前記ガスポケット部120の対面部位を1次シーリングすることができる。また、加熱部303の外周辺には放熱部302が位置することで、加熱部303の熱がプレスローラー300の外被部から加熱部303の他の部分に伝達されることを防止することができる。
【0070】
プレスローラー300の直径は5mm~100mmであり得る。
図4の(b1)で、前記加熱部303の最外周長はプレスローラー300の周長の1/30~1/2であり得る。これは、プレスローラー300の一部にのみ加熱部303を形成することで、ガスポケット部120が過度に加熱されて損傷することを防止するのに有利である。また、加熱部303はプレスローラー300の外周面に所定の間隔で離隔して一つ以上が配置されることができる。
【0071】
本発明において、前記加熱部303は上部プレスローラー310または下部プレスローラー320のうちの一方に備えられることができ、または前記上部プレスローラー310及び下部プレスローラー320の両方に備えられることができる。
【0072】
図5を参照すると、プレスローラー300はガスポケット部120の端部からパウチ収容部110側にローリングしながら、加熱部303と対面するガスポケット部120の部分を1次シーリングして1次シーリング部201を形成することができる。プレスローラー300がガスポケット部120の外表面でローリングするとき、ガスポケット部120を構成するパウチがパウチ収容部110側に圧着されるのに伴い、ガスポケット部120の間に残存する電解液がパウチ収容部110側に移動する。また、加熱部303によって1次シーリング部201が形成されることにより、電解液が外部に移動することを防止することができる。プレスローラー300がガスポケット部120の外部でローリングしながら一つ以上の1次シーリング部201を形成することができる。本発明において、シーリングツール200はパウチ収容部110に最も近接して形成される1次シーリング部201に対して2次シーリングして2次シーリング部202を形成することができる。したがって、パウチに対して一定した厚さ及び幅を有し、均一で品質の保障されたシーリングを完成する。
【0073】
本発明において、プレスローラー300に形成された加熱部303のシーリング温度はシーリングツール200のシーリング温度より低くてもよく、プレスローラー300のガスポケット部120に対する押圧力はシーリングツール200のガスポケット部120に対する押圧力より低くてもよい。
【0074】
以上で本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当該分野で通常の知識を有する者にこのような具体的技術はただ好適な実施様態であるだけで、これによって本発明の範囲が限定されるものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であるというのは当業者に明らかなものであり、このような変形及び修正も添付の特許請求の範囲に属するものであるというのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0075】
10 パウチシーリング装置
11 上部パウチ
12 下部パウチ
21 上部シーリングツール
22 下部シーリングツール
110 パウチ収容部
111 電極リード
120 ガスポケット部
200 シーリングツール
201 1次シーリング部
202 2次シーリング部
210 上部シーリングツール
220 下部シーリングツール
230 シリンダー
300 プレスローラー
301 ローラー部
302 放熱部
303 加熱部
310 上部プレスローラー
320 下部プレスローラー
400 レール部
410 上部レール
420 下部レール
500 装着部