(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】射出成形用磁性材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/032 20060101AFI20241008BHJP
B29C 45/00 20060101ALI20241008BHJP
B29B 9/06 20060101ALI20241008BHJP
B29B 7/00 20060101ALI20241008BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20241008BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241008BHJP
C08L 81/02 20060101ALI20241008BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20241008BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20241008BHJP
H01F 1/03 20060101ALI20241008BHJP
H01F 1/34 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01F1/032
B29C45/00
B29B9/06
B29B7/00
C08J3/20 B CER
C08J3/20 CEZ
C08L101/00
C08L81/02
C08K3/34
C08K5/54
H01F1/03 115
H01F1/34
(21)【出願番号】P 2022573718
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 CN2022103101
(87)【国際公開番号】W WO2024000503
(87)【国際公開日】2024-01-04
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】517366220
【氏名又は名称】横店集団東磁股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】フー,ジァンピン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ユーピン
(72)【発明者】
【氏名】ジン,ヂーホン
【審査官】古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許第271929(EP,B1)
【文献】中国特許出願公開第106409453(CN,A)
【文献】国際公開第2016/171099(WO,A1)
【文献】特開2017-197417(JP,A)
【文献】特開平6-10100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B 7/00- 11/14
B29B 13/00- 15/06
B29C 31/00- 31/10
B29C 37/00- 37/04
B29C 45/00- 45/24
B29C 45/46- 45/63
B29C 45/70- 45/72
B29C 45/74- 45/84
B29C 71/00- 71/02
C08J 3/00- 3/28
C08J 99/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
H01F 1/00- 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量部で、磁性粉末80~85部と、高分子粘着剤10~15部と、第1カップリング剤0.5~1部と、第2カップリング剤0.5~1部と、ウォラストナイト2~5部と、助剤0.1~1部とを含む、ことを特徴とする射出成形用磁性材料。
【請求項2】
前記磁性粉末は、フェライト磁性粉末及び/又は射出成形用希土類磁性粉末であり、好ましくは前記フェライト磁性粉末は、Srフェライト及び/又はBaフェライト磁性粉末であり、より好ましくは前記フェライト磁性粉末はSrフェライトであり、好ましくは前記磁性粉末の平均粒径D50が1.8μm~2.0μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形用磁性材料。
【請求項3】
前記高分子粘着剤はポリフェニレンサルファイドであり、
さらに好ましくは前記ポリフェニレンサルファイドのメルトフローレートが500g/10min~3000g/10minである、ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形用磁性材料。
【請求項4】
前記助剤はフッ素添加剤と滑剤との組成物であり、好ましくは前記フッ素添加剤はポリフタルアミドであり、好ましくは前記滑剤はエルカミドであり、
さらに好ましくは前記フッ素添加剤と前記滑剤との重量比が2:3~3:2である、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の射出成形用磁性材料。
【請求項5】
前記ウォラストナイトは超微細ウォラストナイトであり、より好ましくは前記ウォラストナイトの粒度が800メッシュ~1200メッシュである、ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の射出成形用磁性材料。
【請求項6】
前記第1カップリング剤はシランカップリング剤であり、好ましくは前記シランカップリング剤はKH550及び/又はKH560であり、好ましくは前記第2カップリング剤はリン酸エステルカップリング剤である、ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の射出成形用磁性材料。
【請求項7】
重量部で、磁性粉末83~85部と、高分子粘着剤12~15部と、第1カップリング剤0.5~1部と、第2カップリング剤0.5~1部と、ウォラストナイト2~5部と、助剤0.1~1部と、を含み、
より好ましくは、重量部で、磁性粉末83部と、高分子粘着剤12部と、第1カップリング剤0.5部と、第2カップリング剤0.5部と、ウォラストナイト3部と、助剤1部とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形用磁性材料。
【請求項8】
磁性粉末、第1カップリング剤及び高分子粘着剤を第1混合に供し、第1混合物を得るステップS1と、
前記第1混合物を第1押出造粒に供し、射出成形用磁性母材を得るステップS2と、
前記射出成形用磁性母材、第2カップリング剤、ウォラストナイト、助剤を第2混合に供し、第2混合物を得るステップS3と、
前記第2混合物を第2押出造粒に供し、前記射出成形用磁性材料を得るステップS4とを含む、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の射出成形用磁性材料の製造方法。
【請求項9】
前記第1混合と第2混合の温度は独立して80℃~120℃であり、前記第1混合と前記第2混合の時間は独立して30min~60minである、ことを特徴とする請求項8前記の製造方法。
【請求項10】
前記第1押出造粒及び前記第2押出造粒は全て二軸押出機を用い、好ましくは前記第1押出造粒と前記第2押出造粒の温度は独立して290℃~310℃である、ことを特徴とする請求項8又は9前記の製造方法。
【請求項11】
前記ステップS3では、前記第1カップリング剤及び前記第2カップリング剤は使用前に有機溶媒と混合し、好ましくは前記有機溶媒はイソプロピルアルコールであり、好ましくは前記第2カップリング剤と前記有機溶媒は1:5~1:10の重量比で混合する、ことを特徴とする請求項8
又は9に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形用磁性材料の技術分野に関し、具体的には、射出成形用磁性材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形磁性製品は、寸法精度が高く、加工性能が良く、量産しやすいなどの利点があるため、自動車、家電、電動工具などの分野に広く適用されている。近年、ターボ車の発展に力を入れること及び新エネルギー車が絶えずに普及することに伴い、ターボチャージャー、電池パック液冷システム用のマイクロ電子ウォーターポンプが急速に発展している。現段階では、このマイクロ電子ウォーターポンプは、主に永久磁性直流モータを採用しており、モータのロータには、寸法精度が高く、機械的強度が高く、動作寿命が長く、高温(180℃以上)に強い射出成形磁性体を採用している。ウォーターポンプ類のロータは、作動の過程で、中心軸部材周りに高速運転を行う必要があり、射出成形磁性体では、高速で摩擦した場合に、ロータの内側の円は摩損されやすく、摩損されたロータでは動的バランスに関する問題が生じやすく、その結果として、モータの揺れや異音などの問題が生じる。
【0003】
現在よく使われている解決策は、通常、ロータ磁性体の中に、例えば、複合黒鉛インサート、PPS+30%GFインサートなど耐摩耗性材料を嵌め込むことで、ロータの耐摩耗性を向上させることであるが、この手段を採用するには二次射出成形が必要とされ、また、インサートの材料、特に黒鉛類インサートは一般的に高価であり、これもウォーターポンプのロータの製造コストを大幅に増加し、しかも、この手段では、インサートと射出成形磁性体との寸法収縮率が一致ではない問題もあるため、冷熱衝撃により磁性体にひび割れ現象が現れることを招きやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、射出成形材料の耐摩耗性が低く、ひび割れが発生しやすいという従来技術の問題を解決するために、射出成形用磁性材料及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成させるために、本発明の一態様によれば、
重量部で、磁性粉末80~85部と、高分子粘着剤10~15部と、第1カップリング剤0.5~1部と、第2カップリング剤0.5~1部と、ウォラストナイト2~5部と、助剤0.1~1部とを含む、射出成形用磁性材料を提供する。
【0006】
さらに、磁性粉末は、フェライト磁性粉末及び/又は射出成形用希土類磁性粉末であり、好ましくはフェライト磁性粉末は、Srフェライト及び/又はBaフェライト磁性粉末であり、より好ましくはフェライト磁性粉末はSrフェライトであり、好ましくは磁性粉末の平均粒径D50が1.8~2.0μmである。
【0007】
さらに、高分子粘着剤はポリフェニレンサルファイドであり、好ましくはポリフェニレンサルファイドのメルトフローレートが500~3000g/10minである。
【0008】
さらに、助剤は、フッ素添加剤と滑剤との組成物であり、好ましくはフッ素添加剤はポリフタルアミドであり、好ましくは滑剤はエルカミドであり、さらに好ましくはフッ素添加剤と滑剤との重量比が2:3~3:2である。
【0009】
さらに、ウォラストナイトは、超微細ウォラストナイトであり、より好ましくはウォラストナイトの粒度が800~1200メッシュである。
【0010】
さらに、第1カップリング剤はシランカップリング剤であり、好ましくはシランカップリング剤はKH550及び/又はKH560であり、好ましくは第2カップリング剤はリン酸エステルカップリング剤である。
【0011】
さらに、射出成形用磁性材料は、
重量部で、磁性粉末83~85部と、高分子粘着剤12~15部と、第1カップリング剤0.5~1部と、第2カップリング剤0.5~1部と、ウォラストナイト2~5部と、助剤0.1~1部とを含み、
より好ましくは、射出成形用磁性材料は、
重量部で、磁性粉末83部と、高分子粘着剤12部と、第1カップリング剤0.5部と、第2カップリング剤0.5部と、ウォラストナイト3部と、助剤1部とを含む。
【0012】
上記目的を達成させるために、本発明の一態様は、
磁性粉末、第1カップリング剤及び高分子粘着剤を第1混合に供し、第1混合物を得るステップS1と、第1混合物を第1押出造粒に供し、射出成形用磁性母材を得るステップS2と、射出成形用磁性母材、第2カップリング剤、ウォラストナイト、助剤を第2混合に供し、第2混合物を得るステップS3と、第2混合物を第2押出造粒に供し、射出成形用磁性材料を得るステップS4とを含む、上記射出成形用磁性材料の製造方法を提供する。
【0013】
さらに、第1混合と第2混合の温度は独立して80~120℃であり、第1混合と第2混合の時間は独立して30~60minである。
【0014】
さらに、第1押出造粒及び第2押出造粒は全て二軸押出機を用い、好ましくは第1押出造粒と第2押出造粒の温度は独立して290~310℃である。
【0015】
さらに、ステップS3では、第1カップリング剤及び第2カップリング剤は使用前に有機溶媒と混合し、好ましくは有機溶媒はイソプロピルアルコールであり、好ましくは第2カップリング剤と有機溶媒は1:5~1:10の重量比で混合する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の技術的解決手段によれば、本願の射出成形用磁性材料において、射出成形用磁性材料の表面にウォラストナイトが充填されることにより、各成分間の界面の結合効果が効果的に向上し、また、助剤及びウォラストナイトが使用されることにより、射出成形用磁性材料の成形性及び耐摩耗特性が確保され、第1カップリング剤は磁性粉末と粘着剤との間の適合性を向上させ、第2カップリング剤はウォラストナイトの付着力を向上させ、ウォラストナイトと磁性粉末との間の結合力を高め、これにより、射出成形用磁性材料の耐摩耗性を向上させることができる。各成分の配合比が上記範囲であることにより、各成分が相乗作用を果たし、各成分間の界面の結合効果が高まり、射出成形用磁性材料の耐摩耗特性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本願の一部となる明細書の図面は本発明をさらに理解するために提供されるものであり、本発明の例示的な実施例及びこれらの説明は本発明を解釈するものであり、本発明を不当に限定するものではない。図面は、下記の通りである。
【
図1】本発明の1つの具体的な実施形態で使用される磁気デバイスを示す。
【
図2】本発明の比較例4で使用される磁気デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
なお、矛盾しない限り、本願の実施例及び実施例の特徴は互いに組み合わせられてもよい。以下、図面を参照しながら実施例と結合して本発明について詳細に説明する。
【0019】
背景技術において分析した通り、従来技術による射出成形材料では、耐摩耗性が低く、ひび割れが発生しやすいという問題が存在する。この問題を解決するために、本願は、射出成形用磁性材料及びその製造方法を提供する。
【0020】
本願の代表的な実施形態では、
重量部で、磁性粉末80~85部と、高分子粘着剤10~15部と、第1カップリング剤0.5~1部と、第2カップリング剤0.5~1部と、ウォラストナイト2~5部と、助剤0.1~1部とを含む、射出成形用磁性材料を提供する。
【0021】
本願の射出成形用磁性材料において、射出成形用磁性材料の表面にウォラストナイトが充填されることにより、各成分間の界面の結合効果が効果的に向上し、また、助剤及びウォラストナイトが使用されることにより、射出成形用磁性材料の成形性及び耐摩耗特性が確保され、第1カップリング剤は磁性粉末と粘着剤との間の適合性を向上させ、第2カップリング剤はウォラストナイトの付着力を向上させ、ウォラストナイトと磁性粉末との間の結合力を高め、これにより、射出成形用磁性材料の耐摩耗性を向上させることができる。各成分の配合比が上記範囲であることにより、各成分が相乗作用を果たし、各成分間の界面の結合効果が高まり、射出成形用磁性材料の耐摩耗特性がさらに向上する。
【0022】
上記各成分のうち、高分子粘着剤及びウォラストナイトの含有量が高いほど、射出成形用磁性材料の粘度が低く、流動性が劣化し、その結果、射出成形用磁性材料の性能が下降する。
【0023】
従来技術では、寸法収縮の不一致が主に異種材料間で発生し、例えば黒鉛インサートの外に磁性体を射出成形した場合、黒鉛インサートと磁性体との間で程度の異なる収縮が発生し、一方、本願では、複数の成分を十分に混合して混練することにより、射出成形用磁性材料の耐摩耗性を向上させており、ウォーターポンプのロータの製造に用いる場合、寸法収縮が一致ではない問題を解決する。
【0024】
本願の射出成形用磁性材料は、高耐摩耗性の、ウォーターポンプロータのロータに一体射出成形されることができ、耐摩耗性嵌め込み二次射出成形を採用することを必要とせず、これにより、二次射出成形及びインサートによる製造コストを大幅に削減させつつ、インサートと射出成形磁性体との寸法収縮率が一致ではないことに起因して製品でクラックが生じるリスクを低減させる。
【0025】
本願では、磁性粉末の種類は特に制限されず、本分野でよく使用される磁性粉末であれば、本願に適用できる。いくつかの実施例では、磁性粉末はフェライト磁性粉末又は射出成形用希土類磁性粉末であり、好ましくはフェライト磁性粉末はSrフェライト及び/又はBaフェライト磁性粉末であり、より好ましくはフェライト磁性粉末はSrフェライトである。磁性粉末の平均粒径が大きすぎると射出成形用磁性材料の流動性が低下し、射出成形用磁性材料の流動性と機械的強度とを両立させるために、好ましくは磁性粉末の平均粒径D50は1.8~2.0μmとする。
【0026】
高分子粘着剤の種類は、具体的には射出成形磁気デバイスのニーズに応じて選択される。コストを考慮し、射出成形用磁性材料の流動性を維持するために、いくつかの実施例では、高分子粘着剤はポリフェニレンサルファイドであり、好ましくはポリフェニレンサルファイドのメルトフローレートは500~3000g/10minで、より好ましくは1100~2500g/10minである。メルトフローレートはISO1133に準じて316℃、5Kgで測定される。
【0027】
射出成形用磁性材料の成形性及び耐摩耗性を確保するために、いくつかの実施例では、助剤はフッ素添加剤と滑剤との組成物であり、好ましくはフッ素添加剤はポリフタルアミド(PPA)であり、好ましくはフッ素添加剤の型番はDA310ST、好ましくは滑剤はエルカミドであり、さらに好ましくはフッ素添加剤と滑剤との重量比が2:3~3:2である。
【0028】
いくつかの実施例では、ウォラストナイトは超微細ウォラストナイトであり、より好ましくはウォラストナイトの粒度は800~1200メッシュである。ウォラストナイトの粒度がこの範囲であることにより、射出成形用磁性材料の耐摩耗性が大幅に向上し、ウォラストナイトの粒度が高すぎると、粉末が必要以上微細になり、必要な粘着剤が多くなり、射出成形用磁性材料の流動性が低下し、射出成形用磁性材料の耐摩耗特性にマイナスの影響を与え、ウォラストナイトの粒度が低すぎると、粉体が落ちることが発生する。
【0029】
カップリング剤は系中の磁性粉末に良好な分散性を付与し、射出成形用磁性材料に良好な適合性を持たせ、各成分の結合力を高める。より優れたカップリング処理効果を得るために、いくつかの実施例では、第1カップリング剤はシランカップリング剤であり、好ましくはシランカップリング剤はKH550及び/又はKH560であり、好ましくは第2カップリング剤はリン酸エステルカップリング剤である。
【0030】
各成分同士の相乗作用をさらに高め、射出成形用磁性材料の耐摩耗特性を向上させるために、いくつかの実施例では、射出成形用磁性材料は、
重量部で、磁性粉末83~85部と、高分子粘着剤12~15部と、第1カップリング剤0.5~1部と、第2カップリング剤0.5~1部と、ウォラストナイト2~5部と、助剤0.1~1部とを含み、より好ましくは、射出成形用磁性材料は、
重量部で、磁性粉末83部と、高分子粘着剤12部と、第1カップリング剤0.5部と、第2カップリング剤0.5部と、ウォラストナイト3部と、助剤1部とを含む。
【0031】
本願の別の代表的な実施形態では、上記射出成形用磁性材料の製造方法が提供されており、該製造方法は、磁性粉末、第1カップリング剤及び粘着剤を第1混合に供し、第1混合物を得るステップS1と、第1混合物を第1押出造粒に供し、射出成形用磁性母材を得るステップS2と、射出成形用磁性母材、第2カップリング剤、ウォラストナイト、助剤を第2混合に供し、第2混合物を得るステップS3と、第2混合物を第2押出造粒に供し、射出成形用磁性材料を得るステップS4とを含む。
【0032】
本願では、原料を上記各成分の割合で秤量し、第1カップリング化処理を行うことにより、磁性粉末と粘着剤との間の適合性が向上し、第2カップリング化処理を行うことにより、ウォラストナイトの付着力が向上し、ウォラストナイトと磁性粉末との結合力が向上し、これにより、射出成形用磁性材料の耐摩耗性を向上させることができる。本願の製造方法で製造された射出成形用磁性材料は、優れた耐摩耗性を有し、ひび割れが発生しにくい。
【0033】
いくつかの実施例では、磁性粉末に対してカップリング化処理を行うために、ステップS1は、磁性粉末、第1カップリング剤を第3混合に供し、第3混合物を得ることと、第3混合物及び粘着剤を第1混合に供し、第1混合物を得ることとを含む。
【0034】
いくつかの実施例では、射出成形用磁性母材に対してカップリング化処理を行うために、ステップS3は、射出成形用磁性母材、第2カップリング剤を第4混合に供し、第4混合物を得ることと、第4混合物、ウォラストナイト、助剤を第2混合に供し、第2混合物を得ることとを含む。
【0035】
上記第3混合と第4混合の温度は独立して80~120℃であり、第1混合と第2混合の時間は独立して30~60minである。
【0036】
本願では、混合条件は特に制限されず、いくつかの実施例では、第1混合と第2混合の温度は独立して80~120℃であり、第1混合と第2混合の時間は独立して30~60minである。
【0037】
本分野でよく使用される押出造粒条件は全て本願に適用でき、いくつかの実施例では、第1押出造粒及び第2押出造粒は全て二軸押出機を用い、好ましくは第1押出造粒と第2押出造粒の温度は独立して290~310℃である。
【0038】
射出成形用磁性母材及び第2カップリング剤をより均一に混合するために、いくつかの実施例では、ステップS3において、第1カップリング剤及び第2カップリング剤は使用前に有機溶媒と混合し、好ましくは有機溶媒はイソプロピルアルコールであり、好ましくは第2カップリング剤と有機溶媒は1:5~1:10の重量比で混合する。
【0039】
いくつかの実施例では、上記第1混合及び第2混合は全て高速混合機にて高速で混合されてもよく、第1混合と第2混合の速度は独立して600~1000rpmである。
【0040】
以下、具体的な実施例を結合しながら本願についてさらに詳細に説明したが、これらの実施例は本願の保護しようとする範囲を制限するものではない。
【0041】
本発明では、特に断らない限り、全ての装置及び原料は市販品として入手したり本分野でよく使用されるものであってもよく、下記の実施例に記載の方法は、特に断らない限り、本分野の一般的な方法である。
【0042】
永久磁性Srフェライト磁性粉末の平均粒径(フィッシャー空気透過法)D50:1.8~2.0μm;
ポリフェニレンサルファイドI:溶融指数(316℃、Kg)500g/10min;
ポリフェニレンサルファイドII:溶融指数(316℃、Kg)1100g/10min;
ポリフェニレンサルファイドIII:溶融指数(316℃、Kg)2500g/10min;
ウォラストナイトA:粒度500メッシュ;
ウォラストナイトB:粒度800メッシュ;
ウォラストナイトC:粒度1200メッシュ;
ウォラストナイトD:粒度1500メッシュ;
助剤A:フッ素添加剤PPA
0.5部、エルカミド0.5部;
助剤B:フッ素添加剤PPA
0.6部、エルカミド0.4部;
助剤C:フッ素添加剤PPA
0.4部、エルカミド0.6部;
助剤D:フッ素添加剤PPA
0.05部、エルカミド0.05部。
【0043】
試験方法:
330℃の温度でダンベル状の強度試験片及び短冊状物を射出成形し、次に、Instron
Universal 6633試験機を用いて、材料の引張強度及び曲げ強度を評価する。
【0044】
以下の各実施例における射出成形用磁性材料を射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとし、比較例4の射出成形用磁性材料を射出成形し、
図2に示す磁気デバイスとし、磁気デバイスをウォーターポンプのモータに取り付け、回転数1000回転/分で、300h高速運転させ、運転前後の内孔の寸法の変化率を試験する。
【0045】
ISO 1133に準じて、330℃、10Kgの圧力で各グループの実施例及び比較例の流動性を試験する。
【0046】
実施例1
(1)Srフェライト磁性粉末83部(D50が1.8μmである。)、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、100℃、800rpmの回転数で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0047】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)500g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに800rpmの回転数で30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0048】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて造粒温度300℃で押出造粒し、射出成形用磁性母材を得た。
【0049】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃、800rpmの回転数で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0050】
(5)第3混合物に500メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.5部とエルカミド0.5部とを含む複合助剤1部を添加し、800rpmの回転数で、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0051】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0052】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとし、ここで、aはマグネットであった。
【0053】
実施例2
ステップ(5)では、第3混合物に800メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合した以外、実施例1と同様であった。
【0054】
実施例3
ステップ(5)では、第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合した以外、実施例1と同様であった。
【0055】
実施例4
ステップ(5)では、第3混合物に1500メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合した以外、実施例1と同様であった。
【0056】
実施例5
ステップ(5)では、複合助剤はフッ素添加剤PPA
0.6部とエルカミド0.4部であった以外、実施例2と同様であった。
【0057】
実施例6
ステップ(5)では、複合助剤はフッ素添加剤PPA
0.4部とエルカミド0.6部であった以外、実施例2と同様であった。
【0058】
実施例7
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)83部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、100℃で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0059】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)1100g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0060】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0061】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0062】
(5)第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.6部とエルカミド0.4部を含む複合助剤1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0063】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0064】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0065】
実施例8
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)85部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を100℃で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0066】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)1100g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0067】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0068】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0069】
(5)第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト1部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.6部とエルカミド0.4部を含む複合助剤1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0070】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0071】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0072】
実施例9
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)81部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、100℃で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0073】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)1100g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0074】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0075】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0076】
(5)第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト5部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.6部とエルカミド0.4部を含む複合助剤1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0077】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0078】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0079】
実施例10
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)81部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、100℃で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0080】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)1100g/10minのポリフェニレンサルファイド14部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0081】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0082】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0083】
(5)第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.6部とエルカミド0.4部を含む複合助剤1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0084】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0085】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0086】
実施例11
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)85部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、100℃で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0087】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)1100g/10minのポリフェニレンサルファイド10部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0088】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0089】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0090】
(5)第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.6部とエルカミド0.4部を含む複合助剤1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0091】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0092】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0093】
実施例12
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)83部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、100℃で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0094】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)2500g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0095】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0096】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0097】
(5)第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.6部とエルカミド0.4部を含む複合助剤1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0098】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0099】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0100】
実施例13
(1)Baフェライト磁性粉末(D50が2.0μmである。)80部、KH560カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを重量比1:10混合)1部を、120℃、600rpmの回転数で30min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0101】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)500g/10minのポリフェニレンサルファイド10部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0102】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を290℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0103】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)1部を混合し、100℃、800rpmの回転数で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0104】
(5)第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト2部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.05部とエルカミド0.05部を含む複合助剤0.1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0105】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を290℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0106】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1の磁気デバイスとした。
【0107】
実施例14
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)83部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、80℃、1000rpmの回転数で60min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0108】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)500g/10minのポリフェニレンサルファイド15部を加え、さらに60minブレンドし、第1混合物を得た。
【0109】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0110】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、80℃で60min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0111】
(5)第3混合物に1200メッシュの超微細ウォラストナイト3部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.5部とエルカミド0.5部を含む複合助剤1部を添加し、1000rpmの回転数でさらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0112】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0113】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0114】
比較例1
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)87部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)1部を、100℃で40min高速ブレンドし、混合物を得た。
【0115】
(2)混合物に溶融指数(316℃、Kg)500g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、高速混合物を得た。
【0116】
(3)上記高混物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0117】
(4)上記射出成形用磁性材料を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0118】
比較例2
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)87部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)1部を、100℃で40min高速ブレンドし、混合物を得た。
【0119】
(2)混合物に溶融指数(316℃、Kg)1100g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、高速混合物を得た。
【0120】
(3)上記高混物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0121】
(4)上記射出成形用磁性材料を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0122】
比較例3
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)87部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)1部を、100℃で40min高速ブレンドし、混合物を得た。
【0123】
(2)混合物に溶融指数(316℃、Kg)2500g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、高速混合物を得た。
【0124】
(3)上記高混物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0125】
(4)上記射出成形用磁性材料を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0126】
比較例4
日本東レ社製A673(PPS+30%GF)材料を射出成形してインサートとし、次に、比較例1で製造された材料を二次射出成形してマグネットとし、最終的には、
図2に示すデバイスを射出成形し、ここで、bはインサート、cはマグネットであった。
【0127】
比較例5
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)83部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、100℃で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0128】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)500g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0129】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0130】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0131】
(5)第3混合物にフッ素添加剤PPA
0.5部とエルカミド0.5部を含む複合助剤1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0132】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0133】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0134】
比較例6
(1)Srフェライト磁性粉末(D50が1.8μmである。)83部、KH550カップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を、100℃で40min高速ブレンドし、第4混合物を得た。
【0135】
(2)第4混合物に溶融指数(316℃、Kg)500g/10minのポリフェニレンサルファイド12部を加え、さらに30minブレンドし、第1混合物を得た。
【0136】
(3)上記第1混合物を二軸押出機にて押出造粒し、造粒温度を300℃とし、射出成形用磁性母材を得た。
【0137】
(4)上記射出成形用磁性母材粒子にリン酸エステルカップリング剤(カップリング剤とイソプロピルアルコールとを1:6の重量比で混合したもの)0.5部を混合し、100℃で40min高速ブレンドし、第3混合物を得た。
【0138】
(5)第3混合物に500メッシュの超微細ウォラストナイト7部を混合するとともに、フッ素添加剤PPA
0.5部とエルカミド0.5部を含む複合助剤1部を添加し、さらに20min高速混合し、第2混合物を得た。
【0139】
(6)第2混合物を二軸押出機に加えて造粒を行い、造粒温度を310℃とし、射出成形用磁性材料を得た。
【0140】
(7)上記射出成形用磁性材料粒子を335℃で射出成形し、
図1に示す磁気デバイスとした。
【0141】
上記各実施例及び比較例の成分及び割合を表1に示し、上記各実施例及び比較例の試験結果を表2に示す。
【0142】
【0143】
【表2】
実施例10では、粘着剤PPSの割合が高いため、耐摩耗性は実施例3よりも劣化した。
【0144】
実施例11では、粘着剤の割合が低いため、流動性は0であった。
【0145】
実施例12では、使用される粘着剤の粘度が低いため、磁性体の強度及び耐摩耗性が低下した。
【0146】
比較例6では、ウォラストナイトの割合が高すぎるため、ウォラストナイトは粘着剤で繰り返して被覆できず、この結果、僅かな粉体落ちが認められた。
【0147】
以上の説明から分かるように、本発明の上記実施例によって下記技術的効果が得られる。本願の射出成形用磁性材料において、射出成形用磁性材料の表面にウォラストナイトが充填されることにより、各成分間の界面の結合効果が効果的に向上し、また、助剤及びウォラストナイトが使用されることにより、射出成形用磁性材料の成形性及び耐摩耗特性が確保され、第1カップリング剤は磁性粉末と粘着剤との間の適合性を向上させ、第2カップリング剤はウォラストナイトの付着力を向上させ、ウォラストナイトと磁性粉末との間の結合力を高め、これにより、射出成形用磁性材料の耐摩耗性を向上させることができる。各成分の配合比が上記範囲であることにより、各成分が相乗作用を果たし、各成分間の界面の結合効果が高まり、射出成形用磁性材料の耐摩耗特性がさらに向上する。
【0148】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、当業者であれば、本発明ではさまざまな変更や変化が可能である。本発明の主旨及び原則を逸脱することなく行われる全ての修正、同等置換や改良などは、本発明の特許範囲に含まれるものとする。