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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241008BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G21/16 171
G03G21/16 133
G03G21/18 153
G03G21/16 120
G03G15/00 651
G03G21/18 117
G03G21/16 176
G03G15/08 390Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019208131
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021081555
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正吾
(72)【発明者】
【氏名】石田 美穂
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097285(JP,A)
【文献】特開2014-071362(JP,A)
【文献】特開2011-197408(JP,A)
【文献】特開2017-032761(JP,A)
【文献】実開昭60-140961(JP,U)
【文献】特開2018-055066(JP,A)
【文献】特開2009-031771(JP,A)
【文献】特開2009-031770(JP,A)
【文献】特開2010-054836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/18
G03G 15/00
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する筐体と、
前記開口部を介して、前記筐体内に収容される内側位置と、一部が前記筐体外に露出す
る外側位置との間で移動可能なドロアと、
ドラム軸を有する感光ドラムと前記感光ドラムを支持するドラムフレームとを有し、前
記ドロアに着脱可能なドラムカートリッジと、
トナー収容部と現像ローラとを有し、前記ドラムフレームに着脱可能な現像カートリッ
ジと、
前記筐体に設けられ、前記ドラムフレームを押圧する押圧部材と、を備え、
前記ドロアに前記ドラムカートリッジが装着され、前記ドラムカートリッジに前記現像
カートリッジが装着され、前記ドロアが前記内側位置にある状態において、
前記ドラムフレームは、下端部において前記感光ドラムの一端部を支持する第1サイド
フレームと、下端部において前記感光ドラムの他端部を支持する第2サイドフレームと、
前記第1サイドフレームの上端部と前記第2サイドフレームの上端部とを繋ぐ上フレーム
とを有し、
前記現像カートリッジは、前記感光ドラムと前記上フレームとの間に位置し、
前記現像カートリッジの上端部におけるドラム軸方向の中央にはハンドルが形成され、
前記押圧部材は、前記上フレームの上方に位置し、前記上フレームの上部における前記
ドラム軸方向の両端を下方へ押圧し、
前記押圧部材は、前記ドラム軸方向に延びる支持部材と、前記支持部材の前記ドラム軸
方向における両端部にバネを介して設けられ、前記ドラムフレームの前記上フレームに当
接する押圧部とを有し、
前記上フレームと前記押圧部とが当接した状態で、前記ハンドルと前記押圧部とは、上下方向において、同じ高さとなる部分を持ち、前記ドラム軸方向において重ならないようにずれた位置にあることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開口部を覆う閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で移動可能なカバーと、
前記カバーの開閉に連動して前記押圧部材を移動させる連動機構と、を備え、
前記連動機構は、
前記カバーが前記開位置にあるとき、前記押圧部材を前記上フレームから離間した離間
位置に保持し、
前記カバーが前記閉位置にあるとき、前記押圧部材を前記上フレームを押圧可能な押圧
位置に保持することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ドラムカートリッジから突出する突出位置と前記ドラムカートリッジから突出しな
い収納位置との間で移動可能な脚部と、
前記脚部を前記収納位置から前記突出位置に向かって付勢する付勢部材と、を備え、
前記脚部は、前記ドラムカートリッジが前記ドロアから取り外された状態において前記
突出位置に位置し、前記ドラムカートリッジが前記ドロアに装着された状態において前記
収納位置に位置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ドロアに前記ドラムカートリッジが装着され、前記ドロアが前記内側位置にある状
態において、
前記筐体は、前記ドラムフレームを下方から支持する支持プレートを有することを特徴
とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ドラムカートリッジは、前記現像ローラが前記感光ドラムに当接する方向に前記現
像カートリッジを押圧して固定する押圧固定部を有することを特徴とする請求項1から請
求項4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ドラムカートリッジは、前記感光ドラムに残った残トナーを回収するドラムクリー
ナと、前記ドラムクリーナによって回収された残トナーを搬送する残トナー搬送部とを有
し、
前記現像カートリッジは、前記残トナー搬送部によって搬送されたトナーを収容する残
トナー収容部を有し、
前記ドロアに前記ドラムカートリッジが装着され、前記ドラムカートリッジに前記現像
カートリッジが装着され、前記ドロアが前記内側位置にある状態において、前記押圧部材
は前記残トナー搬送部の上端部よりも上方に位置することを特徴とする請求項1から請求
項5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、前記上フレームの前記第1サイドフレームおよび前記第2サイドフレ
ームと重なる位置を押圧する請求項1から請求項6の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーレーザプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置において、高精度な印刷を実現するためには感光ドラムの位置決めが重要となる。例えば特許文献1には、感光ドラムを備えるドロアに、トナー収容部及び現像ローラを備える現像カートリッジを装着した画像形成装置において、ドロアを筐体の位置決め部に押し当てることにより、感光ドラムを位置決めする構成が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ドロアに、トナー収容部、現像ローラ及び感光ドラムを備えるプロセスカートリッジを装着した画像形成装置において、筐体のカバーの閉動作に連動して押圧部材がプロセスカートリッジを押圧することにより、感光ドラムを位置決めする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-248295号公報
【文献】特開2014-106392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成によれば、4つの感光ドラムは全てドロアに支持されているため、何れかの感光ドラムが劣化した場合、その感光ドラムを個別に交換することはできず、ドロアごと交換する必要がある。したがって、交換の必要がない感光ドラムもまとめて交換することになり、コストが高くなる。
【0006】
また、特許文献2の構成によれば、4つの感光ドラムを個別に交換することはできる。しかしながら、感光ドラムと現像ローラとを別々に交換することはできない。さらに、トナー容量を増やすためにトナー収容部を大型化すると、押圧部材をトナー収容部を避けて感光ドラム近傍を押圧するように配置することが難しくなる。
【0007】
本発明は、感光ドラムと現像ローラとを別々に交換可能にするとともに、感光ドラムを押圧する押圧部材を配置しやすい画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成装置は、開口部を有する筐体と、前記開口部を介して、前記筐体内に収容される内側位置と、一部が前記筐体外に露出する外側位置との間で移動可能なドロアと、感光ドラムと前記感光ドラムを支持するドラムフレームとを有し、前記ドロアに着脱可能なドラムカートリッジと、トナー収容部と現像ローラとを有し、前記ドラムフレームに着脱可能な現像カートリッジと、前記筐体に設けられ、前記ドラムフレームを押圧する押圧部材と、を備える。前記ドロアに前記ドラムカートリッジが装着され、前記ドラムカートリッジに前記現像カートリッジが装着され、前記ドロアが前記内側位置にある状態において、前記ドラムフレームは、下端部において前記感光ドラムの一端部を支持する第1サイドフレームと、下端部において前記感光ドラムの他端部を支持する第2サイドフレームと、前記第1サイドフレームの上端部と前記第2サイドフレームの上端部とを繋ぐ上フレームとを有し、前記現像カートリッジは、前記感光ドラムと前記上フレームとの間に位置し、前記押圧部材は、前記上フレームの上方に位置し、前記上フレームの上部を下方へ押圧する。
【0009】
上記の構成によれば、感光ドラムを有するドラムカートリッジに対して現像ローラを有する現像カートリッジを着脱可能とすることにより、感光ドラムと現像ローラとを別々に交換可能にしている。また、ドラムフレームが上フレームを有することにより、押圧部材を上フレームの上方に配置することでドラムフレームを押圧して感光ドラムを位置決めすることができる。よって、押圧部材を現像カートリッジの上方の配置しやすいスペースに配置することができる。
【0010】
上記の構成において、前記開口部を覆う閉位置と前記開口部を開放する開位置との間で移動可能なカバーと、前記カバーの開閉に連動して前記押圧部材を移動させる連動機構と、を備えていてもよい。前記連動機構は、前記カバーが前記開位置にあるとき、前記押圧部材を前記上フレームから離間した離間位置に保持し、前記カバーが前記閉位置にあるとき、前記押圧部材を前記上フレームを押圧可能な押圧位置に保持する。
【0011】
上記の構成によれば、押圧部材の移動をカバーの開閉に連動させることにより、押圧部材を移動させる手間を省くことができる。
【0012】
また上記の構成において、前記ドラムカートリッジから突出する突出位置と前記ドラムカートリッジから突出しない収納位置との間で移動可能な脚部と、前記脚部を前記収納位置から前記突出位置に向かって付勢する付勢部材と、を備えていてもよい。前記脚部は、前記ドラムカートリッジが前記ドロアから取り外された状態において前記突出位置に位置し、前記ドラムカートリッジが前記ドロアに装着された状態において前記収納位置に位置する。
【0013】
上記の構成によれば、ドロアから取り外したドラムカートリッジを作業台に置いたとき、脚部によってドラムカートリッジを安定して支持することができる。
【0014】
また上記の構成において、前記ドロアに前記ドラムカートリッジが装着され、前記ドロアが前記内側位置にある状態において、前記筐体は、前記ドラムフレームを下方から支持する支持プレートを有していてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、押圧部材に押圧されたドラムフレームが支持プレートで支持されることで位置決めされる。これにより、感光ドラムが精度よく位置決めされる。
【0016】
また上記の構成において、前記ドラムカートリッジは、前記現像ローラが前記感光ドラムに当接する方向に前記現像カートリッジを押圧して固定する押圧固定部を有していてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、現像ローラを感光ドラムに対して位置決めすることができる。
【0018】
また上記の構成において、前記ドラムカートリッジは、前記感光ドラムに残った残トナーを回収するドラムクリーナと、前記ドラムクリーナによって回収された残トナーを搬送する残トナー搬送部とを有し、前記現像カートリッジは、前記残トナー搬送部によって搬送されたトナーを収容する残トナー収容部を有していてもよい。前記ドロアに前記ドラムカートリッジが装着され、前記ドラムカートリッジに前記現像カートリッジが装着され、前記ドロアが前記内側位置にある状態において、前記押圧部材は前記残トナー搬送部の上端部よりも上方に位置する。
【0019】
上記の構成によれば、残トナー搬送部が押圧部材と干渉しない。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、感光ドラムと現像ローラとを別々に交換可能にするとともに、感光ドラムを押圧する押圧部材を配置しやすい画像形成装置を提供することができる。
【0021】
詳しくは、感光ドラムを有するドラムカートリッジに対して現像ローラを有する現像カートリッジを着脱可能とすることにより、感光ドラムと現像ローラとを別々に交換可能にしている。また、ドラムフレームが上フレームを有することにより、押圧部材を上フレームの上方に配置することでドラムフレームを押圧して感光ドラムを位置決めすることができる。よって、押圧部材を現像カートリッジの上方の配置しやすいスペースに配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態の画像形成装置の側面断面図である。
図2】現像カートリッジの斜視図である。
図3】現像カートリッジの正面図である。
図4】現像カートリッジの右側面図である。
図5図3の現像カートリッジのB-B断面図であり、(a)は受入口シャッタが閉じた状態を示し、(b)は受入口シャッタが開いた状態を示している。
図6】ドラムカートリッジの斜視図である。
図7図1のA-A位置で切断したドラムカートリッジの後面断面図である。
図8図7のC-C断面図である。
図9図7のD-D断面図である。
図10図7のE-E断面図である。
図11】水平面に置いた状態のドラムカートリッジの側面断面であり、現像カートリッジが第2位置にある状態を説明する図である。
図12】水平面に置いた状態のドラムカートリッジの側面断面であり、ロック部材がロック解除位置にある状態を説明する図である。
図13】水平面に置いた状態のプロセスカートリッジの側面断面であり、現像カートリッジが第2位置にある状態を説明する図である。
図14】水平面に置いた状態のプロセスカートリッジの側面断面であり、現像カートリッジが第1位置にある状態を説明する図である。
図15図1のA-A位置で切断した画像形成装置の後面断面図である。
図16図15のF-F位置で切断した画像形成装置の側面断面図である。
図17図16において前面カバーが開位置にある状態を示す図である。
図18図16においてドロアが外側位置にある状態を示す図である。
図19】外側位置にあるドロアに装着された第1プロセスカーリッジから第4プロセスカーリッジを示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[画像形成装置の全体構成]
図1に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、用紙Sに複数色の画像を形成する電子写真式のタンデム型カラープリンタである。
【0024】
以下の説明では、図1における左側を画像形成装置1の後側、図1における右側を画像形成装置1の前側と規定し、図1における紙面手前側を画像形成装置1の左側、図1における紙面奥側を画像形成装置1の右側と規定する。また、図1における上側および下側を、それぞれ画像形成装置1の上側および下側と規定する。
【0025】
画像形成装置1は、装置本体を構成する筐体2と、用紙Sを支持する給紙トレイ10と、用紙Sに画像を形成する画像形成部5とを備えている。
【0026】
筐体2は略直方体形状に形成されており、給紙トレイ10および画像形成部5を収容している。筐体2の前面21には開口部2Aが形成されている。筐体2は、開口部2Aを開閉可能な前面カバー22を有している。
【0027】
前面カバー22は、下端部の回動軸22Aを中心として回動可能に構成されている。前面カバー22は、開口部2Aを覆う閉位置(図1に示す位置)と開口部2Aを開放する開位置(図17に示す位置)との間で回動可能である。筐体2の上面23には前側から後側へ向かうにつれて下方に傾斜する排紙トレイ23Aが形成されている。
【0028】
筐体2内には、給紙トレイ10から画像形成部5を経由して排紙トレイ23Aへ至る用紙Sの搬送経路Pが構成されている。筐体2内には、給紙ローラ11と、分離ローラ12と、分離パッド12Aとが備えられている。給紙トレイ10に支持される用紙Sは、給紙ローラ11、分離ローラ12および分離パッド12Aにより1枚ずつ分離されて搬送経路Pに送り出される。搬送経路Pに送り出された用紙Sは、画像形成部5に向けて搬送される。
【0029】
画像形成部5は給紙トレイ10の上方に配置されており、前後方向に並設される4つのプロセスカートリッジ50を備えている。各プロセスカートリッジ50は、筐体2に着脱可能に装着されており、それぞれブラック、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各色に対応して設けられている。
【0030】
筐体2はドロア80を有しており、プロセスカートリッジ50はドロア80に支持されている。プロセスカートリッジ50は、ドラムカートリッジ51および現像カートリッジ52を有している。ドラムカートリッジ51は、ドロア80に着脱可能に装着されており、現像カートリッジ52はドラムカートリッジ51に着脱可能に装着されている。
【0031】
ドラムカートリッジ51は、感光ドラム54と、帯電ローラ58と、ドラムクリーナ59とを有している。感光ドラム54は、左右方向を軸方向とする略円筒形状に形成されており、ドラムカートリッジ51に回転可能に支持されている。帯電ローラ58は、左右方向に延出しており、感光ドラム54の後上部に接触している。ドラムクリーナ59は、感光ドラム54の表面に接触するクリーニングブレード591(図8参照)を有している。クリーニングブレード591は、左右方向を長手方向とする平板形状に形成されており、その前下端部が感光ドラム54の後部に接触している。
【0032】
現像カートリッジ52は、現像ローラ55と、供給ローラ56と、トナーを収容するトナー収容部57と、層厚規制ブレード53とを有している。現像ローラ55は左右方向に延出しており、現像カートリッジ52の後下部から後下方へ露出するように設けられている。現像ローラ55は、感光ドラム54の前上部に接触している。供給ローラ56は左右方向に延出しており、現像ローラ55の前上部に接触している。トナー収容部57は、供給ローラ56の上方に配置されている。層厚規制ブレード53は、現像ローラ55の表面に接触するように配置されている。
【0033】
供給ローラ56にはトナー収容部57からトナーが供給され、供給ローラ56は現像ローラ55にトナーを供給する。このとき、トナー収容部57内のトナーは重力により供給ローラ56の周囲に流れて溜まる。そのためトナー収容部57内にトナーを供給ローラ56の周囲に搬送するための機構がなくても、重力を利用してトナーを供給ローラ56の周囲に搬送することができる。層厚規制ブレード53は、回転する現像ローラ55の表面に接触することにより、現像ローラ55の表面におけるトナー層を所定の厚みに調整する。現像ローラ55は、感光ドラム54にトナーを供給する。
【0034】
このように、感光ドラム54を有するドラムカートリッジ51に対して現像ローラ55を有する現像カートリッジ52を着脱可能とすることにより、感光ドラム54と現像ローラ55とを別々に交換可能にしている。
【0035】
プロセスカートリッジ50の上方には、感光ドラム54の表面を露光する露光ユニット60が設けられている。
【0036】
感光ドラム54の搬送経路Pを挟んだ下方には、ベルト31が対向配置されている。ベルト31は、駆動ローラ32と駆動ローラ32の前方に配置される従動ローラ33との間に掛け渡されている。ベルト31を挟んで各感光ドラム54と対向する位置には、それぞれ転写ローラ34が配置されている。ベルト31、駆動ローラ32、従動ローラ33、および転写ローラ34によりベルトユニット30が構成されている。
【0037】
画像形成部5においては、感光ドラム54の表面は、帯電ローラ58によって帯電された後、露光ユニット60によって所定の画像データに基づいて選択的に露光される。これにより、感光ドラム54の表面には、画像データに基づく静電潜像が形成される。
【0038】
一方、トナー収容部57に収容されるトナーは、供給ローラ56と現像ローラ55との間で帯電され、現像ローラ55の表面に担持される。そして、現像ローラ55に担持されるトナーが感光ドラム54の表面における静電潜像に供給されることにより、感光ドラム54の表面にトナー像が担持される。
【0039】
画像形成部5へ向けて搬送された用紙Sがベルト31上に到達すると、ベルト31により搬送されて、ベルト31と各感光ドラム54との間を順次通過する。そして、感光ドラム54の表面上のトナー像は、用紙Sと対向したときに、転写ローラ34に印加された転写バイアスによって用紙Sに転写される。このように、感光ドラム54が担持するトナー像は、ベルトユニット30により用紙Sに転写される。
【0040】
このとき、感光ドラム54の表面には、用紙Sに転写されなかったトナーが残存する場合がある。感光ドラム54の表面に残存する残トナーは、感光ドラム54の回転に伴ってドラムクリーナ59のクリーニングブレード591により感光ドラム54の表面から掻き落とされる。これにより、感光ドラム54の表面に残存した残トナーがドラムクリーナ59に回収される。
【0041】
なお、本実施形態におけるベルト31は、トナー像が転写される用紙Sを搬送する搬送ベルトに構成されているが、トナー像がベルト自身に転写され、ベルトに転写されたトナー像がさらに用紙Sに転写される中間転写ベルトに構成することも可能である。
【0042】
トナー像が転写された用紙Sは、画像形成部5の下流に配置される定着装置16に搬送される。定着装置16は加熱ローラ17と加熱ローラ17に圧接する加圧ローラ18とを備えており、定着装置16に搬送された用紙Sは、加熱ローラ17と加圧ローラ18との間を通過する間にトナー像が熱定着される。
【0043】
トナー像が熱定着された用紙Sは、定着装置16から搬送方向下流に搬送され、さらに排紙ローラ19により搬送されて排紙トレイ23Aに排紙される。
【0044】
[現像カートリッジ]
図2図5に示すように、現像カートリッジ52は、現像ローラ55を回転可能に支持する現像フレーム521を有している。現像ローラ55はローラ軸55Aを有しており、ローラ軸55Aが現像フレーム521に支持されている。現像フレーム521には、内部にトナー収容部57が形成されている。
【0045】
現像フレーム521の上端部には、ユーザが現像カートリッジ52をドラムカートリッジ51から取り外す際に把持することが可能なハンドル521Aが形成されている。ハンドル521Aは、ドラムカートリッジ51がドロア80に装着され、現像カートリッジ52がドラムカートリッジ51に装着された状態の前後方向において、現像フレーム521の後端部に配置されている。
【0046】
現像フレーム521には、ドラムクリーナ59が感光ドラム54の表面から回収した残トナーを収容する残トナー収容部522が形成されている。残トナー収容部522は、トナー収容部57の前上部に位置している。
【0047】
残トナー収容部522の上面には、残トナーを残トナー収容部522の内部に受け入れる受入口522Aが形成されている。現像カートリッジ52は、受入口522Aを開閉可能な受入口シャッタ523を有している。受入口シャッタ523は、残トナー収容部522の上方に配置されている。
【0048】
受入口シャッタ523は前後方向へ移動可能に構成されており、前後方向へ移動することにより、受入口522Aを閉鎖する受入口閉鎖位置(図5(a)に示す位置)と、受入口閉鎖位置よりも後方の位置であって受入口522Aを開放する受入口開放位置(図5(b)に示す位置)との間で移動可能である。
【0049】
現像カートリッジ52は、受入口シャッタ523を受入口閉鎖位置へ向けて付勢するバネ524を有している。受入口シャッタ523は、バネ524により付勢されることで受入口閉鎖位置に移動可能である。また、受入口シャッタ523は、バネ524の付勢力に抗して後方へ移動することにより、受入口開放位置に移動することが可能である。
【0050】
現像フレーム521の右面には、ドラムカートリッジ51のロック部材70(図9参照)に係合する第1突起521Bおよび第2突起521Cが設けられている。現像フレーム521の左面および右面には、ドラムカートリッジ51の押圧固定部(図9参照)に係合する第3突起521Dが設けられている。
【0051】
このような現像カートリッジ52は、ドラムカートリッジに装着された状態において、ドラムカートリッジに着脱可能な位置である第1位置(図14に示す位置)と、現像ローラ55が感光ドラム54にトナーを供給可能な位置に支持される第2位置(図13に示す位置)との間で移動可能である。
【0052】
[ドラムカートリッジ]
<ドラムフレーム>
図6図10に示すように、ドラムカートリッジ51は、感光ドラム54を回転可能に支持するドラムフレーム511を有している。感光ドラム54は、ドラム本体541と、ドラム本体541から左方に突出するドラム軸542Aと、ドラム本体541から右方に突出するドラム軸542Bとを有しており、ドラム軸542A、542Bがドラムフレーム511に支持されている。ドラム軸542Aは感光ドラムの一端部の一例であり、ドラム軸542Bは感光ドラムの他端部の一例である。
【0053】
ドラムフレーム511は、左側に配置される第1サイドフレーム511Aと、右側に配置される第2サイドフレーム511Bと、上フレーム511Cと、前フレーム511Dとを有している。
【0054】
第1サイドフレーム511Aは、感光ドラム54の回転軸と直交する方向に延び、ドラム軸542Aを回転可能に支持している。第1サイドフレーム511Aは、ドラム軸542Aを回転可能に支持する支持孔512Aを下端部に有している。
【0055】
第2サイドフレーム511Bは、感光ドラム54の回転軸と直交する方向に延び、ドラム軸542Bを回転可能に支持している。第2サイドフレーム511Bは、ドラム軸542Bを回転可能に支持する支持孔512Bを下端部に有している。
【0056】
上フレーム511Cは、左右方向および前後方向に延び、第1サイドフレーム511Aの上端部と第2サイドフレーム511Bの上端部とを繋ぐフレームである。前フレーム511Dは、左右方向および上下方向に延び、第1サイドフレーム511Aの前端部と第2サイドフレーム511Bの前端部とを繋ぐとともに、図8に示すように上フレーム511Cの前端部から脚部63の手前まで延びるフレームである。
【0057】
なお、前フレーム511Dは、第1サイドフレーム511Aの前端部に繋がっていなくてもよい。また、前フレーム511Dは、左右方向に延びる複数のフレームで構成されていてもよい。ドラムフレーム511は、第1サイドフレーム511Aと、第2サイドフレーム511Bと、上フレーム511Cと、前フレーム511Dと、感光ドラム54とで囲まれる空間に現像カートリッジ52を収容することができる。
【0058】
<ガイド溝>
第1サイドフレーム511Aにおける左右方向の内側面にはガイド溝513Aが形成され、第2サイドフレーム511Bにおける左右方向の内側面にはガイド溝513Bが形成されている。ガイド溝513A、513Bは、略上下方向に延びるとともに、上方から下方へ向かって後側に湾曲している。ガイド溝513A、513Bは、感光ドラム54の上方に形成されている。
【0059】
ガイド溝513A、513Bの上端は開放されており、ガイド溝513A、513Bには現像ローラ55のローラ軸55Aが上方から挿入可能となっている。ローラ軸55Aをガイド溝513A、513Bに挿入することで、現像カートリッジ52をドラムカートリッジ51に装着することが可能である。
【0060】
<残トナー搬送部>
ドラムカートリッジ51は、感光ドラム54からドラムクリーナ59によって回収された残トナーを、現像カートリッジ52の残トナー収容部522へ搬送する残トナー搬送部61を有している。残トナー搬送部61は、縦搬送ケース611と、横搬送ケース612と、コンベア613と、スクリュー614と、残トナー搬送シャッタ615と、第1当接片616と、第2当接片617と、バネ618とを有している。
【0061】
縦搬送ケース611は、ドラムカートリッジ51の左端部における下端部から上端部にかけて配置されている。横搬送ケース612は、ドラムカートリッジ51の左端部かつ上端部に配置されており、縦搬送ケース611と連結されている。横搬送ケース612の下端部には、残トナーが通過可能な残トナー排出口612Aが形成されている。
【0062】
コンベア613は縦搬送ケース611の内部に設けられており、上下方向において縦搬送ケース611の下端部に位置するドラムクリーナ59によって回収された残トナーを、縦搬送ケース611の上端部に搬送可能に構成されている。スクリュー614は、軸方向が左右方向となる姿勢で横搬送ケース612の内部に設けられている。スクリュー614は、コンベア613によって縦搬送ケース611の上端部に搬送された残トナーを残トナー排出口612Aに向けて搬送可能に構成されている。
【0063】
残トナー搬送シャッタ615は、残トナー排出口612Aを開閉可能なシャッタである。残トナー搬送シャッタ615は、略円筒状部材にて形成されており、横搬送ケース612の外周に環装されている。残トナー搬送シャッタ615は、連通口615Aを有しており、横搬送ケース612に対して回動可能に構成されている。
【0064】
残トナー搬送シャッタ615は横搬送ケース612に対して回動することにより、残トナー排出口612Aと連通口615Aとが連通して残トナー排出口612Aが開放される排出口開放位置と、残トナー排出口612Aと連通口615Aとが連通せずに残トナー排出口612Aが閉鎖される排出口閉鎖位置との間を移動可能である。
【0065】
残トナー搬送シャッタ615は、バネ618により、残トナー搬送シャッタ615が排出口閉鎖位置に位置する側へ付勢されている。第1当接片616は残トナー搬送シャッタ615に設けられており、残トナー搬送シャッタ615と一体的に回動可能に構成されている。第1当接片616は、現像カートリッジ52に当接可能に構成されている。
【0066】
残トナー搬送部61においては、ドラムカートリッジ51に装着された現像カートリッジ52が第1位置(図14に示す位置)にあるときには、第1当接片616が現像カートリッジ52に当接せずに、残トナー搬送シャッタ615はバネ618の付勢力により排出口閉鎖位置に移動する。一方、ドラムカートリッジ51に装着された現像カートリッジ52が第2位置(図13に示す位置)にあるときには、第1当接片616が現像カートリッジ52に当接して、残トナー搬送シャッタ615はバネ618の付勢力に抗して排出口開放位置に位置する。
【0067】
第2当接片617は残トナー搬送シャッタ615に設けられており、残トナー搬送シャッタ615と一体的に回動可能に構成されている。第2当接片617は、現像カートリッジ52の受入口シャッタ523に当接可能に構成されている。
【0068】
<ロック部材>
図9に示すように、ドラムカートリッジ51は、現像カートリッジ52の第2位置から第1位置への回動を阻止するロック位置(図9において実線で示す位置)と、現像カートリッジ52の第2位置から第1位置への回動を許容するロック解除位置(図9において二点鎖線で示す位置)との間で移動可能なロック部材70を有している。
【0069】
ドラムカートリッジ51の第2サイドフレーム511Bは、左右方向に延出する回動軸514を有している。ロック部材70は、回動軸514に回動可能に支持されており、係合部の一例としてのロック爪71と、操作部の一例としての操作レバー72と、押圧レバー73とを有している。ロック爪71、操作レバー72、および押圧レバー73は、回動軸514を中心として一体的に回動可能に構成されている。ロック部材70は、回動軸514を中心として回動することにより、ロック位置とロック解除位置との間を移動可能である。
【0070】
ロック爪71は、現像カートリッジ52の第1突起521Bに係合可能である。押圧レバー73は、現像カートリッジ52の第2突起521Cに当接可能である。ドラムカートリッジ51は、ロック部材70をロック解除位置からロック位置へ向かって付勢するバネ74を有している。
【0071】
ドラムカートリッジ51の第2サイドフレーム511Bは、ロック部材70に当接可能なストッパ515を有している。ストッパ515は、ロック爪71に当接可能な第1当接面515Aと、押圧レバー73に当接可能な第2当接面515Bとを有している。
【0072】
第1当接面515Aは、ロック部材70がロック位置側へ向けて回動してロック位置に達すると、ロック爪71に当接してロック部材70がそれ以上回動しないように規制する。第2当接面515Bは、ロック部材70がロック解除位置側へ向けて回動してロック解除位置に達すると、押圧レバー73に当接してロック部材70がそれ以上回動しないように規制する。これにより、ロック部材70がロック位置とロック解除位置との間で移動可能となっている。
【0073】
ロック部材70がロック位置にあるときには、図11に示すように、ロック爪71と第1突起521Bとが係合して、現像カートリッジ52は第2位置から第1位置へ移動することを阻止される。一方、ロック部材70がロック解除位置にあるときには、図12に示すように、ロック爪71と第1突起521Bとの係合が解除されて、現像カートリッジ52は第2位置から第1位置へ移動することを許容される。
【0074】
操作レバー72は、ロック部材70のロック位置とロック解除位置との切り替えを操作する操作部材である。操作レバー72が操作されておらず、操作レバー72に回動方向の力が加わっていないときには、ロック部材70はバネ74の付勢力によりロック位置に移動する。また、ロック位置にあるロック部材70の操作レバー72をロック解除位置側へ向けて操作することにより、ロック部材70はバネ74の付勢力に抗してロック解除位置に移動することが可能である。
【0075】
このように、ロック部材70を設けることにより、現像カートリッジ52が第2位置から第1位置へ移動することを阻止することができ、現像カートリッジ52がドラムカートリッジ51から意図せず外れることを抑制できる。
【0076】
<脚部>
ドラムカートリッジ51は、ドラムカートリッジ51から突出する突出位置(図8図10において二点鎖線示す位置)と、ドラムカートリッジ51から突出しない収納位置(図8図10において実線で示す位置)との間で移動可能な脚部63を有している。脚部63は、付勢部材の一例としてのバネ64によって収納位置から突出位置に向かって付勢されている。脚部63は、ドラムカートリッジ51がドロア80に装着された状態では、バネ64の付勢力に抗して収納位置に移動し、ドラムカートリッジ51が筐体2から取り外された状態では、バネ64の付勢力により突出位置に移動する。
【0077】
これにより、ドロア80から取り外したドラムカートリッジ51を作業台に置いたとき、脚部63によってドラムカートリッジ51が安定して支持される。
【0078】
<押圧固定部>
図8および図9に示すように、ドラムカートリッジ51は、現像ローラ55が感光ドラム54に当接する方向に現像カートリッジ52を押圧して固定する押圧固定部65を有している。図7に示すように、押圧固定部65は、前フレーム511Dの内側に左右両端部に設けられている。
【0079】
押圧固定部65は、前フレーム511Dに回動可能に支持されるロックアーム651と、ロックアーム651を前下方向に付勢するバネ652とを有している。ロックアーム651は、バネ652と反対側に現像カートリッジ52の第3突起521Dと係合可能な爪を有している。
【0080】
図11に示すように、現像フレーム521は、第3突起521Dが押圧固定部65に押圧されて固定されることで、現像ローラ55は感光ドラム54に圧接する方向に移動可能に固定される。よって、現像フレーム521に支持される現像ローラ55とドラムフレーム511に支持される感光ドラム54との位置関係を、現像に適する適切な位置関係に維持することが可能となる。例えば、現像ローラ55が多少変形した場合でも、現像ローラ55と感光ドラム54との位置関係を維持することができる。
【0081】
図7図9に示すように、前フレーム511Dの押圧固定部65の上方にはコロ66が設けられている。コロ66は現像ローラ55のローラ軸55Aと平行な回転軸を有している。コロ66は、現像カートリッジ52が第2位置にあるときに現像フレーム521の前面に接触して現像フレーム521を支持するとともに、押圧固定部65による現像カートリッジ52の移動時の負荷を軽減する。
【0082】
[現像カートリッジのドラムカートリッジへの装着]
図11図14は、ドロア80から取り外したプロセスカートリッジ50を、ドロア80に装着された状態での上下方向を水平方向にして、ドラムフレーム511の前フレーム511Dが下向きになる姿勢で水平な作業台に置いた状態を示している。このとき、脚部63はバネ64の付勢力により突出位置に位置している。よって、プロセスカートリッジ50は、ドラムフレーム511の前フレーム511Dと脚部63とによって作業台上に安定して支持される。
【0083】
図11および図13は、現像カートリッジ52が第2位置にある状態を示し、図12は、現像カートリッジ52が押圧レバー73により押し上げられた位置にある状態を示し、図14は現像カートリッジ52が第1位置にある状態を示している。
【0084】
ドラムカートリッジ51に装着された状態の現像カートリッジ52は、ガイド溝513Aに支持される現像ローラ55のローラ軸55Aを回動軸心として、第1位置と第2位置との間で回動可能である。よって、現像カートリッジ52が第1位置と第2位置との間で回動するとき、その回動に伴って現像ローラ55と感光ドラム54とが擦れ合って傷つく可能性を小さくできる。
【0085】
第2位置にある現像カートリッジ52は、ドラムフレーム511の第1サイドフレーム511Aと第2サイドフレーム511Bと上フレーム511Cと前フレーム511Dとで囲まれる空間に収容されている。そして、現像カートリッジ52を第2位置から第1位置へ回動させた場合、現像カートリッジ52は前フレーム511Dから離れる上向きに回動する。よって、前フレーム511Dを下にしてプロセスカートリッジ50を作業台に載置した状態で現像カートリッジ52の着脱作業をし易くすることができる。
【0086】
第2位置にある現像カートリッジ52は、図11に示すように、ロック部材70および押圧固定部65によってドラムカートリッジ51に固定され、図13に示すように、残トナー搬送部61と連結されている。第2位置と第1位置との間にある現像カートリッジ52は、図12に示すように、ロック部材70によって押し上げられ、押圧固定部65から離間している。第1位置にある現像カートリッジ52は、図14に示すように、現像カートリッジ52は残トナー搬送部61から離間する。以下に、現像カートリッジ52が第1位置と第2位置との間で移動するときの各部の動作について説明する。
【0087】
<ロック部材の動作>
図11に示すように、プロセスカートリッジ50を水平面に置いた状態で、操作レバー72はロック爪71よりも上方に位置しており、操作レバー72を押し下げることによりロック位置にあるロック部材70をロック解除位置に移動させることができる。操作レバー72を押し下げるだけなので、ロック部材70のロックを解除しやすい。
【0088】
そして、ロック部材70がロック位置からロック解除位置に移動する過程で、図12に示すように、押圧レバー73が第2突起521Cに当接して、第2突起521Cを上方へ押し上げる。第2突起521Cが上方へ押し上げられることにより、第2位置にある現像カートリッジ52が現像ローラ55のローラ軸55Aを中心として上方へ回動する。
【0089】
図14に示すように、ユーザは、上方へ移動したハンドル521Aを把持して、現像カートリッジ52をさらに上方へ第1位置まで回動させて、現像カートリッジ52をドラムカートリッジ51から離脱させることができる。
【0090】
逆に、第1位置にある現像カートリッジ52を第2位置へ移動させる場合、ユーザは現像カートリッジ52を押し下げるだけでよい。これにより、第2突起521Cが押圧レバー73を押し下げ、ロック部材70がロック解除位置からロック位置へ回動し、ロック爪71が第1突起521Bに係合する。
【0091】
<押圧固定部の動作>
図11に示すように、プロセスカートリッジ50を水平面に置いた状態で、押圧固定部65は、現像フレーム521の第3突起521Dを押圧するとともに固定している。この状態から操作レバー72が押し下げられ現像カートリッジ52が上方へ回動すると、第3突起521Dは押圧固定部65の固定力に抗して押圧固定部65から上方へ離間する。
【0092】
逆に、第1位置にある現像カートリッジ52を第2位置へ移動させる場合、ユーザにより現像カートリッジ52が押し下げられることにより、押圧固定部65は下降する第3突起521Dに押されて係合する。
【0093】
<受入口シャッタおよび残トナー搬送シャッタの動作>
図14に示すように、ドラムカートリッジ51に装着された現像カートリッジ52が第1位置にあるときには、受入口シャッタ523はバネ524の付勢力により受入口閉鎖位置に移動している。また、第1当接片616は現像カートリッジ52に当接しておらず、残トナー搬送シャッタ615は排出口閉鎖位置に移動している。
【0094】
この状態から、現像カートリッジ52をドラムカートリッジ51に対して第2位置まで回動させると、図13に示すように、第2当接片617が受入口シャッタ523に当接して、受入口シャッタ523をバネ524の付勢力に抗して受入口開放位置に移動させる。これにより、受入口522Aが開放される。
【0095】
また、第1当接片616が現像カートリッジ52に当接して、残トナー搬送シャッタ615が付勢部材の付勢力に抗して排出口開放位置に移動され、残トナー排出口612Aが開放される。これにより、残トナー排出口612Aと受入口522Aとが連通して、残トナー排出口612Aの位置まで搬送されてきた残トナーが、残トナー排出口612Aおよび受入口522Aを通じて残トナー収容部522の内部に排出される。
【0096】
逆に、第2位置にある現像カートリッジ52をドラムカートリッジ51に対して第1位置まで回動させると、第2当接片617が受入口シャッタ523から離間して、受入口シャッタ523がバネ524の付勢力により受入口閉鎖位置に移動し、受入口522Aが閉鎖される。また、第1当接片616が現像カートリッジ52から離間して、残トナー搬送シャッタ615がバネ618の付勢力により排出口閉鎖位置に移動し、残トナー排出口612Aが閉鎖される。
【0097】
図13の状態において、残トナー収容部522に収容された残トナーは、重力により受入口522Aから離れた残トナー収容部522の下部に溜まる。そのため、現像カートリッジ52をドラムカートリッジ51に対して着脱するときに、残トナー収容部522内の残トナーが受入口522Aからこぼれにくい。
【0098】
[ドロア]
ドロア80は、筐体2内に収容される内側位置(図1に示す位置)と、一部が筐体2外に露出する外側位置(図18に示す位置)との間を前後方向に沿って移動可能に構成されている。図1に示すように、ドロア80にプロセスカートリッジ50が装着されている状態でドロア80が内側位置にある場合には、プロセスカートリッジ50が筐体2内に収容されている。
【0099】
また、図18に示すように、ドロア80にプロセスカートリッジ50が装着されている状態でドロア80が外側位置にある場合には、プロセスカートリッジ50の少なくとも一部が筐体2外に露出している。ドロア80が外側位置にある場合、筐体2外に露出している。
【0100】
プロセスカートリッジ50は、ドロア80に対して着脱可能となっている。ドロア80のサイドフレーム81にはそれぞれ4つのガイド溝81Aが形成されている。ガイド溝81Aは、略上下方向に延びるとともに、上方から下方へ向かって後側に湾曲している。
【0101】
ガイド溝81Aの上端はドロア80の上端において開放されており、ガイド溝81Aにはドラムフレーム511の支持孔512A、512Bが上方から挿入可能となっている。支持孔512A、512Bをガイド溝81Aに挿入することで、プロセスカートリッジ50をドロア80に装着することが可能である。
【0102】
[プロセスカートリッジおよび現像カートリッジの離脱]
ここで、図19に示すように、ドロア80に装着される4つのプロセスカートリッジ50について、前後方向における最も前方に位置するプロセスカートリッジ50を第1プロセスカートリッジ50-1とし、第1プロセスカートリッジ50-1の後方に位置するプロセスカートリッジ50を第2プロセスカートリッジ50-2とし、第2プロセスカートリッジ50-2の後方に位置するプロセスカートリッジ50を第3プロセスカートリッジ50-3とし、第3プロセスカートリッジ50-3の後方に位置するプロセスカートリッジ50を第4プロセスカートリッジ50-4とする。
【0103】
第1プロセスカートリッジ50-1は、第1ドラムカートリッジ51-1および第1現像カートリッジ52-1を有している。第2プロセスカートリッジ50-2は、第2ドラムカートリッジ51-2および第2現像カートリッジ52-2を有している。第3プロセスカートリッジ50-3は、第3ドラムカートリッジ51-3および第3現像カートリッジ52-3を有している。第4プロセスカートリッジ50-4は、第4ドラムカートリッジ51-4および第4現像カートリッジ52-4を有している。
【0104】
第1ドラムカートリッジ51-1は第1ドラムフレーム511-1、第1感光ドラム54-1および第1ロック部材70-1を有している。第2ドラムカートリッジ51-2は第2ドラムフレーム511-2、第2感光ドラム54-2および第2ロック部材70-2を有している。第3ドラムカートリッジ51-3は第3ドラムフレーム511-3、第3感光ドラム54-3および第3ロック部材70-3を有している。第4ドラムカートリッジ51-4は第4ドラムフレーム511-4、第4感光ドラム54-4および第4ロック部材70-4を有している。
【0105】
第1ロック部材70-1は第1ロック爪71-1および第1操作レバー72-1を有している。第2ロック部材70-2は第2ロック爪71-2および第2操作レバー72-2を有している。第3ロック部材70-3は第3ロック爪71-3および第1操作レバー72-3を有している。第4ロック部材70-4は第4ロック爪71-4および第1操作レバー72-4を有している。
【0106】
第1現像カートリッジ52-1は第1現像フレーム521-1および第1現像ローラ55-1を有し、第2現像カートリッジ52-2は第2現像フレーム521-2および第2現像ローラ55-2を有し、第3現像カートリッジ52-3は第3現像フレーム521-3および第3現像ローラ55-3を有し、第4現像カートリッジ52-4は第4現像フレーム521-4および第4現像ローラ55-4を有している。
【0107】
第2プロセスカートリッジ50-2は、ドロア80に着脱可能に装着されるとともに、ドロア80に装着された第1プロセスカートリッジ50-1に隣接して配置されている。画像形成装置1は、第1プロセスカートリッジ50-1に加えて、第2プロセスカートリッジ50-2、第3プロセスカートリッジ50-3、および第4プロセスカートリッジ50-4を有することにより、多色画像を形成することが可能となっている。
【0108】
図18に示すように、画像形成装置1においては、前面カバー22が開位置し、ドロア80を外側位置に移動させた状態で、ドロア80に装着されたプロセスカートリッジ50を、ドロア80から離脱させることが可能である。このとき、ユーザは、ハンドル521Aを持って、現像カートリッジ52を装着したドラムカートリッジ51をドロア80から離脱させることができる。
【0109】
このような構成において、図19に示すように、第1現像カートリッジ52-1を装着して第2位置に位置させた第1プロセスカートリッジ50-1と、第2プロセスカートリッジ50-2とをドロア80に装着した状態で第1現像カートリッジ52-1を第2位置(図19において実線で示す位置)から第1位置(図19において二点鎖線で示す位置)へ向かって移動させた場合を想定する。この場合、第1現像カートリッジ52-1が第1位置に到達する前に第1現像カートリッジ52-1と第2プロセスカートリッジ50-2の第2ドラムフレーム511-2とが干渉して第1現像カートリッジ52-1が第1位置に到達しない。
【0110】
よって、「プロセスカートリッジをドロアに装着したままの状態で現像カートリッジを交換する方法」では第1現像カートリッジ52-1の交換を不可能にすることにより、ユーザを確実に「プロセスカートリッジをドロアから取り外してから現像カートリッジを交換する方法」に導くことができる。つまり、ユーザに「プロセスカートリッジをドロアに装着したままの状態で現像カートリッジを交換する方法」と「プロセスカートリッジをドロアから取り外してから現像カートリッジを交換する方法」のどちらが正しい操作か迷わせることがない。
【0111】
また、第1現像カートリッジ52-1を装着した第1プロセスカートリッジ50-1と第2プロセスカートリッジ50-2をドロア80に装着した状態で第1現像カートリッジ52-1を第2位置から第1位置へ向かって移動させた場合に、第1現像カートリッジ52-1と第2プロセスカートリッジ50-2とが干渉する程度に第1プロセスカートリッジ50-1と第2プロセスカートリッジ50-2との間隔が狭いため、画像形成装置1全体の小型化につながる。
【0112】
なお、第2プロセスカートリッジ50-2と第3プロセスカートリッジ50-3との関係、第3プロセスカートリッジ50-3と第4プロセスカートリッジ50-4との関係についても同様である。第4プロセスカートリッジ50-4については、第4現像カートリッジ52-4を第2位置から第1位置へ向かって移動させた場合、第4現像カートリッジ52-4が第1位置に到達する前に第4現像カートリッジ52-4とドロア80とが干渉して第4現像カートリッジ52-4が第1位置に到達しない。
【0113】
また、図19において画像形成装置1は、ドロア80が外側位置にあり、第1プロセスカートリッジ50-1および第2プロセスカートリッジ50-2がドロア80に支持され、第1ロック部材70-1がロック位置にある。この状態において、第1ロック部材70-1の第1操作レバー72-1は、第1ドラムカートリッジ51-1よりも後方に突出しており、前後方向において第1プロセスカートリッジ50-1と第2プロセスカートリッジ50-2とに挟まれた位置に配置されている。
【0114】
このように構成することで、第1プロセスカートリッジ50-1がドロア80に装着された状態において、第1操作レバー72-1を操作しにくくなり、第1ロック部材70-1のロックが解除されることを抑制することができる。
【0115】
また、図19の状態にある画像形成装置1おいては、ロック解除位置(図19において二点鎖線で示す位置)にある第1操作レバー72-1は、ロック位置(図19において実線で示す位置)にある第1操作レバー72-1よりも上方に位置している。
【0116】
また、図19の状態にある画像形成装置1おいては、第1ドラムカートリッジ51-1の上フレーム511Cは第1現像カートリッジ52-1の上面の少なくとも一部を覆っている。
【0117】
このように構成することで、ドロア80が外側位置にあるとき、第1現像カートリッジ52-1の上面の少なくとも一部が第1ドラムカートリッジ51-1の上フレーム511Cに覆われて隠されるため、ユーザは第1現像カートリッジ52-1を掴みにくくなる。その結果、ユーザをより確実に「プロセスカートリッジをドロアから取り外してから現像カートリッジを交換する方法」に導くことができる。
【0118】
ところで、図18及び図19の状態にある画像形成装置1において、もし操作レバー72が操作しやすい構成であれば、ユーザが操作レバー72を操作することに伴いドロア80が下向きに押されてしまう場合がある。この場合、ドロア80が下向きに押されることにより、画像形成装置1全体が前側に転倒しやすくなるという問題がある。
【0119】
これに対して本実施形態の構成では、ドロア80が外側位置にある状態でプロセスカートリッジ50を上向きに引き出して外し、その後、プロセスカートリッジ50を単体で作業台に置いて操作レバー72を操作しドラムカートリッジ51と現像カートリッジ52を分離する。したがって、ドロア80が外側位置にある状態でユーザが操作レバー72を操作することに伴いドロア80が下向きに押されてしまうことがない。よって、画像形成装置1全体が前側に転倒しにくいという利点がある。
【0120】
[ドラムカートリッジおよびドロアの支持構造]
図15に示すように、筐体2は、前後方向および上下方向に延出する縦フレーム24を有している。縦フレーム24は、筐体2内における左右端部に配置されている。図15図18に示すように、縦フレーム24は、ガイド孔24Aを有している。ガイド孔24Aは、略前後方向へ延びる長孔形状に形成されており、後方から前方へ向かうに従って上方へ傾斜している。ガイド孔24Aは前後方向に沿って2箇所に形成されている。
【0121】
筐体2内における縦フレーム24の左右内側には、左右一対のドロアガイド85が設けられている。ドロアガイド85は、前後方向に延出するレール部材である。ドロアガイド85上には、ドロア80のサイドフレーム81が前後移動可能に支持されている。
【0122】
ドロアガイド85は、左右外側に突出するガイドピン85Aを有している。ガイドピン85Aはガイド孔24Aに対応して設けられており、ガイド孔24Aに摺動可能に挿入されている。ガイドピン85Aがガイド孔24Aに挿入されることにより、ドロアガイド85が縦フレーム24に支持されている。ドロアガイド85は、ガイドピン85Aがガイド孔24A内で摺動可能な範囲において、縦フレーム24に対して前後方向および上下方向へ移動可能に構成されている。
【0123】
ドロアガイド85の前端部には左右外側へ突出する係合ピン85Bが形成されている。筐体2の前面カバー22は、リンクアーム27を有している。リンクアーム27は、前面カバー22が閉位置にある状態において、前面カバー22から後方かつ下方へ向かって湾曲する円弧形状に形成されている。リンクアーム27は、係合ピン85Bと係合可能な係合孔27Aを有している。係合孔27Aは、前面カバー22が閉位置にある状態において、前方から後方へ向かうに従って下方へ湾曲する円弧形状に形成されている。
【0124】
このような構成により、ドロア80は、内側位置(図17に示す位置)と外側位置(図8に示す位置)との間を前後方向に沿って移動可能とされている。つまり、ドロア80の移動方向は前後方向であって、ドロア80の移動方向における外側位置の側が前方であり、ドロア80の移動方向における内側位置の側が後方である。
【0125】
ドロアガイド85は、プロセスカートリッジ50が筐体2に対して位置決めされる位置決め位置(図16に示す位置)と、プロセスカートリッジ50の筐体2に対する位置決めが解除され、ドロア80が前後方向へ移動可能となる位置決め解除位置(図17に示す位置)との間で、前後方向に沿って移動可能に構成されている。
【0126】
図16に示すように、筐体2の前面カバー22が閉じているときには、ドロア80が内側位置に位置するとともに、ドロアガイド85が位置決め位置に位置している。ドロアガイド85が位置決め位置にあるときには、ガイドピン85Aはガイド孔24Aの後端部に位置している。従って、ドロアガイド85は、移動可能な範囲における後方かつ下方に位置している。
【0127】
筐体2は、左右の縦フレーム24の間において水平方向に延出する横フレーム25を有している。横フレーム25は、ドロアガイド85の下方に配置されている。横フレーム25には、前後方向に延出するプレート状部材である左右一対の支持プレート26が立設されている。支持プレート26は、ドロア80のサイドフレーム81よりも左右内側に配置されている。
【0128】
図15および図16に示すように、支持プレート26の上端には、プロセスカートリッジ50の前後方向の位置に合わせて位置決め凹部26Aが形成されている。ドロアガイド85が位置決め位置にあるときには、図15に示すように、ドラムカートリッジ51のドラムフレーム511における第1サイドフレーム511Aの下端部および第2サイドフレーム511Bの下端部が位置決め凹部26Aによって下方から支持されている。ドラムフレーム511が位置決め凹部26Aによって支持されることにより、ドラムカートリッジ51の筐体2に対する位置決めがなされている。
【0129】
なお、左右の支持プレート26は、同一の金型でプレス加工して作った板金製部材にて形成されており、同一の形状に形成されている。よって、ドラムカートリッジ51が位置決めされた際に感光ドラム54が精度よく位置決めされる。
【0130】
このように、プロセスカートリッジ50は、ドロアガイド85が位置決め位置にあるときに、支持プレート26によって下方から支持されることで、筐体2に対する位置決めがなされている。
【0131】
図16に示す状態から筐体2の前面カバー22を開くと、図17に示すように、リンクアーム27が前方へ移動して、係合ピン85Bが係合孔27Aの後端縁に係合し、ドロアガイド85が前方へ引っ張られる。前方へ引っ張られたドロアガイド85は、前方へ移動して位置決め解除位置に移動する。
【0132】
この場合、ドロアガイド85の前方移動に伴って、ガイドピン85Aはガイド孔24Aの後端部から前端部に摺動するため、ドロアガイド85は上方にも移動する。
【0133】
ドロアガイド85が前方および上方へ移動することによって、ドロアガイド85に支持されるドロア80がプロセスカートリッジ50とともに上方へ移動する。これにより、プロセスカートリッジ50は支持プレート26から上方へ離間して、プロセスカートリッジ50が支持プレート26に支持された状態が解除される。
【0134】
ドロアガイド85が前方および上方へ移動するにつれて、ドロア80は前方へ移動することなくまっすぐ上方へ移動する。ドロア80に支持されたプロセスカートリッジ50もまっすぐ上方へ移動する。そのため、プロセスカートリッジ50に設けられた感光ドラム54がベルト31と前後方向に擦れ合うことがなく、感光ドラム54とベルト31に傷がつきにくい。
【0135】
このように、ドロアガイド85が位置決め解除位置にあるときには、プロセスカートリッジ50の支持プレート26による支持状態が解除される。これにより、プロセスカートリッジ50の筐体2に対する位置決めが解除され、ドロア80が前後方向へ移動可能となる。
【0136】
前面カバー22を開いてドロア80が前後方向へ移動可能となった状態において、ユーザが内側位置にあるドロア80を前方へ引き出すことにより、図18に示すように、ドロア80を外側位置に移動させることが可能である。
【0137】
ドロア80が外側位置にある状態では、筐体2外に露出したプロセスカートリッジ50のドラムカートリッジ51および現像カートリッジ52をドロア80に対して着脱することが可能である。
【0138】
また、外側位置にあるドロア80を後方へ押し込むことにより内側位置に移動させることができる。さらに、前面カバー22が開かれてドロアガイド85が位置決め解除位置に移動した状態から前面カバー22を閉じると、係合ピン85Bが係合孔27Aの前端縁に係合し、ドロアガイド85が後方へ押圧される。後方へ押圧されたドロアガイド85は、後方へ移動して位置決め位置に移動する。
【0139】
[押圧部材および連動機構]
図15図18に示すように、画像形成装置1は、ドラムフレーム511を押圧する押圧部材90と、前面カバー22の開閉に連動して押圧部材90を移動させる連動機構95とを備えている。
【0140】
<押圧部材>
図16に示すように、押圧部材90は、各プロセスカートリッジに対して1つずつ設けられている。図15に示すように、押圧部材90は、ドラムフレーム511に当接する半球状の押圧部91と、下端が押圧部91に固定されるバネ92と、左右方向に延びる棒状部材であってバネ92の上端を支持する支持部材93とを有している。押圧部91およびバネ92は、支持部材93の左右両端部付近に設けられている。
【0141】
支持部材93は、その左右両端部が筐体2の縦フレーム24に形成されたガイド孔24Bに挿入されることにより、縦フレーム24に支持されている。図16に示すように、ガイド孔24Bは、上下方向に延びる長孔形状に形成されている。ガイド孔24Bは、上下方向において露光ユニット60とプロセスカートリッジ50との間に配置されている。ガイド孔24Bは、図16の状態にあるドラムフレーム511の上フレーム511Cにおける左右両端部の直上に配置され、前後方向に沿って4箇所に形成されている。
【0142】
支持部材93がガイド孔24Bに挿入されることにより、押圧部材90が縦フレーム24に支持されている。押圧部材90は、支持部材93がガイド孔24B内で摺動可能な範囲において、縦フレーム24に対して上下方向へ移動可能に構成されている。
【0143】
このような構成によれば、押圧部材90がガイド孔24Bの上端部に位置するとき、押圧部材90は上フレーム511Cから離間した離間位置(図17に示す位置)に位置する。一方、押圧部材90がガイド孔24Bの下端部に位置するとき、押圧部材90は上フレーム511Cを押圧可能な押圧位置(図16に示す位置)に位置する。
【0144】
<連動機構>
図16に示すように、連動機構95は、前面カバー22に設けられる第1ラック96と、縦フレーム24の外側に沿って配置される第2ラック97と、縦フレーム24の外側に設けられ第1ラック96に噛合する第1ピニオン98と、縦フレーム24の外側に設けられ第1ピニオン98および第2ラック97に噛合する第2ピニオン99とを有している。連動機構95は、画像形成装置1内部の左右両側に設けられている。
【0145】
第1ラック96は、図16の状態において、前面カバー22の内面における左右両端部から前面カバー22の回転半径に沿って円弧状に略後方へ延びる平板部材である。第1ラック96の歯96Aは、図16の状態において、円弧の外側となる上面に沿って形成されている。
【0146】
第2ラック97は、図16の状態において、筐体2の前端部からドロア80の後端部近傍まで水平に延びる略矩形の平板部材である。第2ラック97の歯97Aは、前端部付近の下面に沿って形成されている。
【0147】
第2ラック97は、ガイド孔97Bを有している。ガイド孔97Bは、略前後方向へ延びる長孔形状に形成されており、前方から後方へ向かうに従って上方へ傾斜している。ガイド孔97Bの上下方向の長さは、縦フレーム24のガイド孔24Bの上下方向の長さと等しい。ガイド孔97Bは、押圧部材90に対応して前後方向に沿って4箇所に形成されている。
【0148】
ガイド孔97Bは、縦フレーム24の左右外側において、押圧部材90の支持部材93の左右両端部に摺動可能に挿入されている。ガイド孔97Bが支持部材93に挿入されることにより、第2ラック97が支持部材93に支持されている。よって、第2ラック97が前後方向に移動することにより、支持部材93は、ガイド孔97Bに沿って案内され、縦フレーム24に対して上下方向に移動する。
【0149】
第1ピニオン98は、縦フレーム24の外側の前端部に設けられ、図16の状態において、第1ラック96の歯96Aの前端部に噛合している。第1ピニオン98は、第1ラック96の移動によって回転する。つまり、第1ピニオン98は、前面カバー22の開閉に連動して回転する。
【0150】
第2ピニオン99は、縦フレーム24の外側の前端部に設けられ、図16の状態において、その下端部が第1ピニオン98に噛合し、その上端部が第2ラック97の歯97Aの前端部に噛合している。第2ピニオン99は、第1ピニオン98の回転によって回転する。そして、第2ピニオン99の回転によって第2ラック97が前後方向に移動する。つまり、第2ラック97は、前面カバー22の開閉に連動して移動する。
【0151】
<押圧部材および連動機構の動作>
図16に示すように、ドロア80にドラムカートリッジ51が装着され、ドラムカートリッジ51に現像カートリッジ52が装着され、ドロア80が内側位置にあり、前面カバー22が閉位置にある状態において、押圧部材90はドラムカートリッジ51の上フレーム511Cの上部を下方へ押圧している。
【0152】
詳しくは、第2ラック97が前後の移動範囲の最後部に位置しているため、支持部材93がガイド孔97Bの前端部まで案内されることでガイド孔24Bの下端部に位置している。この状態において、支持部材93はガイド孔97Bによって上下方向の移動が規制されている。これにより、押圧部91が上フレーム511Cの上部に当接し、バネ92の付勢力によって上フレーム511Cを下方へ押圧している。
【0153】
ドラムフレーム511が下方へ押圧されることにより、ドラムフレーム511の第1サイドフレーム511Aの下端部および第2サイドフレーム511Bの下端部が支持プレート26の位置決め凹部26Aに位置決めされる(図15参照)。このように、押圧部材90を上フレーム511Cの上方に配置することで、ドラムフレーム511を押圧して感光ドラム54を位置決めすることができる。このような構成によれば、押圧部材90を現像カートリッジ52の上方の配置しやすいスペースに配置することができる。
【0154】
また、図16の状態において、押圧部材90は残トナー搬送部61の上端部よりも上方に位置している。よって、押圧部材90は残トナー搬送部61と干渉することがない。
【0155】
図16の状態から前面カバー22を開位置へ向かって移動させると、第1ラック96が前方へ移動することにより、第1ピニオン98および第2ピニオン99が回転し、第2ラック97が前方へ移動する。第2ラック97が前方へ移動することにより、支持部材93はガイド孔97Bの前端部から後端部に向けて案内されるとともに、ガイド孔24Bの下端部から上端部へ向かって上昇する。
【0156】
そして、前面カバー22が開位置へ到達する途中において第1ラック96の後端部が第1ピニオン98から離間し、第1ピニオン98および第2ピニオン99の回転が停止し、第2ピニオン99が第2ラック97の歯97Aの後端部に位置した状態で第2ラック97が停止する。その後、図17に示すように、前面カバー22は開位置へ到達する。
【0157】
第2ラック97が停止するとき、ガイド孔97Bの後端部が支持部材93に到達し、支持部材93はガイド孔24Bの上端部まで上昇する。これにより、押圧部材90は上フレーム511Cから離間した離間位置(図17に示す位置)に位置する。なお、前面カバー22が開位置から閉位置へ移動する場合は、上記と逆の動作となる。
【0158】
このように、連動機構95は、前面カバー22が開位置にあるとき、押圧部材90を上フレーム511Cから離間した離間位置に保持し、一方、前面カバー22が閉位置にあるとき、押圧部材90を上フレーム511Cを押圧可能な押圧位置に保持する。よって、押圧部材90の移動を前面カバー22の開閉に連動させることにより、押圧部材90を移動させる手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0159】
1 画像形成装置
2 筐体
2A 開口部
22 前面カバー(カバー)
26 支持プレート
50 プロセスカートリッジ
50-1 第1プロセスカートリッジ
50-2 第2プロセスカートリッジ
51 ドラムカートリッジ
51-1 第1ドラムカートリッジ
52 現像カートリッジ
52-1 第1現像カートリッジ
54 感光ドラム
54-1 第1感光ドラム
55 現像ローラ
55-1 第1現像ローラ
57 トナー収容部
59 ドラムクリーナ
61 残トナー搬送部
63 脚部
64 バネ(付勢部材)
65 押圧固定部
70 ロック部材
70-1 第1ロック部材
71 ロック爪(係合部)
71-1 第1ロック爪(第1係合部)
72 操作レバー(操作部)
72-1 第1操作レバー(第1操作部)
80 ドロア
90 押圧部材
95 連動機構
511 ドラムフレーム
511-1 第1ドラムフレーム
511A 第1サイドフレーム
511B 第2サイドフレーム
511C 上フレーム
511D 前フレーム
521 現像フレーム
521-1 第1現像フレーム
522 残トナー収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
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図19