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特許7567169デバイス管理システム、サーバー、およびデバイス管理システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】デバイス管理システム、サーバー、およびデバイス管理システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20241008BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241008BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241008BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20241008BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q10/087
B41J29/38 401
B41J29/38 204
G03G21/00 396
G06Q30/0601 304
G06F3/12 335
G06F3/12 310
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020012397
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021117877
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2023-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 佳秋
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116168(JP,A)
【文献】特開2019-132958(JP,A)
【文献】特開2006-011715(JP,A)
【文献】特開2008-123166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて印刷を行うプリンターを使用するユーザーの個人情報に基づいて判断された前記ユーザーの第1属性と、前記ユーザーが使用する前記プリンターで印刷の対象となった前記画像データの解析結果と、前記プリンターの使用状況と、の少なくとも一方に基づいて推測された前記ユーザーの第2属性と、に基づいて推測された前記ユーザーの属性を示す属性情報と、前記プリンターの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、
第1のユーザーの前記属性情報を取得する取得部と、
前記第1のユーザーの前記属性情報と、前記関係情報と、に基づいて、前記第1のユーザーが使用する前記プリンターの前記消耗品の予測消費量を算出する予測消費量算出部と、を備え
前記第1のユーザーの個人情報に基づいて前記第1のユーザーの前記第1属性を判断し、前記第1のユーザーが使用する前記プリンターで印刷の対象となった前記画像データの解析結果と、前記プリンターの使用状況と、の少なくとも一方に基づいて、前記第1のユーザーの前記第2属性を推測し、前記第1属性および前記第2属性に基づいて前記第1のユーザーの属性を推測する第1属性推測部をさらに備え、
前記取得部は、前記第1属性推測部により推測された前記属性を示す前記属性情報を取得することを特徴とするデバイス管理システム。
【請求項2】
前記予測消費量に基づいて、前記第1のユーザーに配送する、前記消耗品の量又は前記消耗品を収容する収容体の個数を決定する配送決定部、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のデバイス管理システム。
【請求項3】
前記消耗品には、複数の種類があり、
前記配送決定部は、前記消耗品の種類ごとの前記予測消費量に基づいて、前記第1のユーザーに配送する前記消耗品の種類を決定することを特徴とする請求項2に記載のデバイス管理システム。
【請求項4】
複数のユーザーについての、前記属性情報と、前記消耗品の消費実績である消費実績情報と、の組み合わせをデータセットとして機械学習した学習モデルを生成する学習モデル生成部をさらに備え、
前記記憶制御部は、生成された前記学習モデルを、前記関係情報として前記記憶部に記憶させ、
前記予測消費量算出部は、前記学習モデルに、前記第1のユーザーの前記属性情報を入力し、前記学習モデルからの出力として、前記予測消費量を得ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のデバイス管理システム。
【請求項5】
前記関係情報は、前記属性情報に基づいてクラスタリングされたセグメントごとに、前記予測消費量を示したものであり、
前記予測消費量算出部は、前記第1のユーザーの前記属性情報に対応する前記セグメントを特定し、特定した前記セグメントが示す前記予測消費量を得ることを特徴とする請求項4に記載のデバイス管理システム。
【請求項6】
前記複数のユーザーについて、それぞれのユーザーの前記個人情報に基づいてそれぞれのユーザーの前記第1属性を判断し、それぞれのユーザーが使用する前記プリンターで印刷の対象となった前記画像データの解析結果と、前記プリンターの使用状況と、の少なくとも一方に基づいて、それぞれのユーザーの前記第2属性を推測し、前記第1属性および前記第2属性に基づいてそれぞれのユーザーの前記属性を推測する第2属性推測部をさらに備え、
前記学習モデル生成部は、前記第2属性推測部により推測された前記属性を示す前記属性情報を用いて前記学習モデルを生成することを特徴とする請求項4または5に記載のデバイス管理システム。
【請求項7】
前記消耗品は、前記プリンターの印刷に用いられる着色剤であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一項に記載のデバイス管理システム。
【請求項8】
画像データに基づいて印刷を行うプリンターを使用するユーザーの個人情報に基づいて判断された前記ユーザーの第1属性と、前記ユーザーが使用する前記プリンターで印刷の対象となった前記画像データの解析結果と、前記プリンターの使用状況と、の少なくとも一方に基づいて推測された前記ユーザーの第2属性と、に基づいて推測された前記ユーザーの属性を示す属性情報と、前記プリンターの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、
第1のユーザーの前記属性情報を取得する取得部と、
前記第1のユーザーの前記属性情報と、前記関係情報と、に基づいて、前記第1のユーザーが使用する前記プリンターの前記消耗品の予測消費量を算出する予測消費量算出部と、を備え
前記第1のユーザーの個人情報に基づいて前記第1のユーザーの前記第1属性を判断し、前記第1のユーザーが使用する前記プリンターで印刷の対象となった前記画像データの解析結果と、前記プリンターの使用状況と、の少なくとも一方に基づいて、前記第1のユーザーの前記第2属性を推測し、前記第1属性および前記第2属性に基づいて前記第1のユーザーの属性を推測する第1属性推測部をさらに備え、
前記取得部は、前記第1属性推測部により推測された前記属性を示す前記属性情報を取得することを特徴とするサーバー。
【請求項9】
コンピューターが、
画像データに基づいて印刷を行うプリンターを使用するユーザーの個人情報に基づいて判断された前記ユーザーの第1属性と、前記ユーザーが使用する前記プリンターで印刷の対象となった前記画像データの解析結果と、前記プリンターの使用状況と、の少なくとも一方に基づいて推測された前記ユーザーの第2属性と、に基づいて推測された前記ユーザーの属性を示す属性情報と、前記プリンターの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させるステップと
第1のユーザーの個人情報に基づいて前記第1のユーザーの前記第1属性を判断し、前記第1のユーザーが使用する前記プリンターで印刷の対象となった前記画像データの解析結果と、前記プリンターの使用状況と、の少なくとも一方に基づいて、前記第1のユーザーの前記第2属性を推測し、前記第1属性および前記第2属性に基づいて前記第1のユーザーの属性を推測するステップと、
推測された前記第1のユーザーの前記属性を示す前記属性情報を取得するステップと、
前記第1のユーザーの前記属性情報と、前記関係情報と、に基づいて、前記第1のユーザーが使用する前記プリンターの前記消耗品の予測消費量を算出するステップと、を実行することを特徴とするデバイス管理システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス管理システム、サーバー、およびデバイス管理システムの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、以下の印刷消耗品管理システムが開示されている。印刷消耗品管理システムは、プリンターの第一消耗品の消費量に関する消耗品情報と第一閾値とを比較して、第一消耗品の交換の要否を決定し、第一消耗品の交換を決定した場合、プリンターの第二消耗品の消費量に関する消耗品情報と第二閾値とを比較して、第二消耗品の交換の要否を決定する。印刷消耗品管理システムは、第二消耗品の交換を決定した場合、第一消耗品と第二消耗品の配送を指示する。この印刷消耗品管理システムは、第一消耗品および第二消耗品の交換を決定した場合、第一消耗品と第二消耗品を同送するため、第一消耗品と第二消耗品を分けて配送する場合と比較して、消耗品の配送コストを削減できる効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-045550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、消耗品情報と閾値との比較だけで、消耗品の交換の要否を決定しており、消耗品の消費量予測を行っていないため、消耗品の配送コストの削減効果が不十分である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のデバイス管理システムは、デバイスのユーザーの属性を示す属性情報と、デバイスの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、第1のユーザーの属性情報を取得する取得部と、第1のユーザーの属性情報と、関係情報と、に基づいて、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を算出する予測消費量算出部と、を備える。
【0006】
本発明のサーバーは、デバイスのユーザーの属性を示す属性情報と、デバイスの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させる記憶制御部と、第1のユーザーの属性情報を取得する取得部と、第1のユーザーの属性情報と、関係情報と、に基づいて、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を算出する予測消費量算出部と、を備える。
【0007】
本発明のデバイス管理システムの制御方法は、コンピューターが、デバイスのユーザーの属性を示す属性情報と、デバイスの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させるステップと、第1のユーザーの属性情報を取得するステップと、第1のユーザーの属性情報と、関係情報と、に基づいて、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を算出するステップと、を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】デバイス管理システムのシステム構成図である。
図2】ユーザー端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】プリンターのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】サーバーのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】収集データの説明図である。
図6】学習モデルの説明図である。
図7】サーバーの機能構成を示すブロック図である。
図8】ニューラルネットワークの基本的な構造例を示す図である。
図9】学習モデル生成処理の流れを示すフローチャートである。
図10】配送決定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態に係るデバイス管理システム、サーバー、およびデバイス管理システムの制御方法について、添付図面を参照して説明する。図1はデバイス管理システムSYのシステム構成図である。デバイス管理システムSYは、1台以上のユーザー端末1と、1台以上のプリンター2と、サーバー3と、これらを接続するネットワークNWと、を備える。プリンター2は、「デバイス」の一例である。
【0010】
ネットワークNWとしては、例えばインターネット通信網を採用可能である。また、ユーザー端末1とプリンター2は、通信線5を介して接続される。通信線5としては、例えばケーブルを採用可能である。本実施形態では、通信線5として、USB規格のケーブルを例示する。なお、通信線5に代え、LAN(Local Area Network)等のネットワークや無線通信を介して、ユーザー端末1とプリンター2を接続してもよい。
【0011】
デバイス管理システムSYは、プリンター2を使用するユーザーに対し、プリンター2の消耗品の配送サービスを行うシステムである。ユーザーは、ユーザー端末1を用いて、プリンター2に印刷指示を行う。また、サーバー3は、配送サービスを提供するサービス提供会社によって運用される。
【0012】
ユーザーは、配送サービスを受けるにあたり、サービス提供会社に契約者情報を提供する。契約者情報は、ユーザーの識別情報と、ユーザーが使用するユーザー端末1の識別情報と、ユーザーが使用するプリンター2の識別情報と、消耗品の配送先を示す配送先情報と、を含む。サーバー3は、この契約者情報を、収集データ52(図4参照)の一部として記憶する。
【0013】
なお、ユーザーは、配送サービスのサービス利用料を、月単位や年単位など所定期間単位でサービス提供会社に支払う。また、配送サービスはサブスクリプション型のサービスとなっており、サービス利用料は、消耗品の配送量によって料金が変動するものではなく、固定料金である。したがって、ユーザーは、消耗品の消費量を気にすることなく、プリンター2を使用することができる。なお、ユーザーが支払うサービス利用料に、プリンター2のリース料やレンタル料が含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0014】
ユーザー端末1は、プリンター2に対して印刷指示を行う際、プリンター2およびサーバー3に対し画像データを送信する。なお、画像データは、画像ファイル形式や印刷コマンド形式など、データ形式は問わない。また、プリンター2に送信される画像データと、サーバー3に送信される画像データは、異なるデータ形式であってもよい。サーバー3は、ユーザー端末1から送信された画像データを、収集データ52(図4参照)の一部として記憶する。詳細については後述するが、サーバー3は、収集した画像データを、ユーザーの属性を推測するために用いる。なお、本実施形態では、ユーザー端末1として、スマートフォンを例示するが、PC(Personal Computer)やタブレット端末など、各種情報処理端末をユーザー端末1として用いてもよい。
【0015】
プリンター2は、ユーザー端末1から送信された画像データに基づいて、用紙等の印刷媒体に印刷を行う。本実施形態に係るプリンター2は、インクジェット方式により印刷を行う。つまり、プリンター2は、インクジェット方式により印刷を行うことで、印刷を行うための着色剤であるインクを消費する。また、本実施形態に係るプリンター2は、インクをインクタンクに貯留し、インクタンクから印刷ヘッドにインクを供給する。インクは、「消耗品」の一例である。サービス提供会社は、インクを収容したインクボトルを、ユーザーに配送する。インクボトルは、「収容体」の一例である。ユーザーは、インクタンクのインク残量が少なくなると、サービス提供会社から配送されたインクボトルから、適量のインクをインクタンクに注ぎ込む。なお、プリンター2は、色別に複数のインクタンクを備えており、インクボトルも、各インクタンクに対応して複数色が準備されている。なお、インクの色は、「消耗品の種類」の一例である。
【0016】
サーバー3は、プリンター2における色別のインク消費量を監視し、その監視結果に基づいて、契約者情報の一部として記憶されている配送先情報に基づく住所に、インクボトルの配送指示を行う。なお、上記のとおり、デバイス管理システムSYが実現する配送サービスは、ユーザーがインク消費量を気にすることなくプリンター2を使用できることが大きなメリットであるため、サーバー3は、プリンター2のインクを切らさないように、インクボトルの配送を行う必要がある。
【0017】
サーバー3は、プリンター2から、色別のインク消費量を示すインク消費情報を収集し、収集したインク消費情報を、収集データ52(図4参照)の一部として記憶する。インク消費情報は、画像データの印刷時に印刷ヘッドから吐出されたインク吐出回数と、印刷ヘッドのクリーニングのために印刷ヘッドから吐出されたインク吐出回数とを示す情報を含む。また、印刷ヘッドのクリーニングとしてインク吸引が行われる場合、インク吸引量を示す情報をインク消費情報に含めてもよい。なお、インク消費情報は、プリンター2からサーバー3にプッシュ送信されてもよいし、プル送信されてもよい。
【0018】
サーバー3は、プリンター2から送信されたインク消費情報に基づいて、ユーザーの元にあるインク残量を算出する。また、サーバー3は、算出したインク残量が所定の閾値を下回った場合、インクボトルの配送を決定する。さらに、サーバー3は、インクボトルの配送を決定した場合、ユーザーの属性によって、現在から所定期間経過後までのインクの予測消費量を算出し、算出した予測消費量に応じて、インクボトルの配送個数を決定する。ユーザーの属性に応じた予測消費量の算出方法については、後に詳述する。
【0019】
次に、図2ないし図4を参照し、ユーザー端末1、プリンター2およびサーバー3のハードウェア構成について説明する。図2は、ユーザー端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。ユーザー端末1は、例えばスマートフォンであり、端末CPU(Central Processing Unit)11と、端末ROM(Read Only Memory)12と、端末RAM(Random Access Memory)13と、端末操作部14と、端末メモリー15と、端末ネットワークインターフェース16と、端末USBインターフェース17と、を備える。
【0020】
端末CPU11は、端末ROM12や端末メモリー15に記憶されている各種プログラムを端末RAM13に展開することにより、ユーザー端末1内の各部を制御する。なお、端末CPU11に代わるプロセッサーとして、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア回路を用いてもよい。また、プロセッサーは、1以上のCPUとASIC等のハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0021】
端末操作部14は、画像データの編集などユーザーが各種操作を行うものであり、例えばタッチパネルである。端末メモリー15は、不揮発性の記憶媒体であり、印刷アプリケーション41を記憶している。印刷アプリケーション41は、プリンター2およびサーバー3と通信するためのアプリケーションであり、プリンター2を制御する印刷ドライバーの機能も有する。端末CPU11は、この印刷アプリケーション41を実行することにより、プリンター2およびサーバー3に対して画像データを送信する。
【0022】
端末ネットワークインターフェース16は、ネットワークNWを介してサーバー3と通信する。端末USBインターフェース17は、USBケーブルである通信線5を介して、プリンター2と通信する。
【0023】
図3は、プリンター2のハードウェア構成を示すブロック図である。プリンター2は、プリンターCPU21と、プリンターROM22と、プリンターRAM23と、プリンターエンジン24と、プリンターネットワークインターフェース25と、プリンターUSBインターフェース26と、を備える。
【0024】
プリンターCPU21は、プリンターROM22に記憶されているファームウェア等のプログラムをプリンターRAM23に展開することにより、プリンター2内の各部を制御する。ファームウェアは、ユーザー端末1およびサーバー3と通信を行うための通信制御プログラムを含む。なお、プリンター2のプロセッサーは、CPU以外にASIC等のハードウェア回路を用いてもよいし、CPUとハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0025】
プリンターエンジン24は、印刷媒体に印刷を行う印刷機構である。プリンターエンジン24には、インクジェット方式の印刷ヘッド、ヘッド駆動機構、印刷媒体搬送機構などが含まれる。
【0026】
プリンターネットワークインターフェース25は、ネットワークNWを介してサーバー3と通信する。プリンターUSBインターフェース26は、USBケーブルである通信線5を介して、ユーザー端末1と通信する。
【0027】
図4は、サーバー3のハードウェア構成を示すブロック図である。サーバー3は、サーバーCPU31と、サーバーROM32と、サーバーRAM33と、サーバーHDD(Hard Disk Drive)34と、サーバーネットワークインターフェース35と、を備える。サーバーCPU31は、「コンピューター」の一例である。
【0028】
サーバーCPU31は、サーバーROM32やサーバーHDD34に記憶されている各種プログラムをサーバーRAM33に展開することにより、サーバー3内の各部を制御する。なお、サーバー3のプロセッサーは、CPU以外にASIC等のハードウェア回路を用いてもよいし、CPUとハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0029】
サーバーHDD34は、不揮発性の補助記憶媒体であり、管理アプリケーション51と、収集データ52と、学習モデル53と、を記憶する。サーバーHDD34は、「記憶部」の一例である。また、学習モデル53は、「関係情報」の一例である。管理アプリケーション51は、図7にて後述する各機能をサーバーCPU31が実現するためのアプリケーションである。また、管理アプリケーション51は、プリンター2の遠隔監視を行う遠隔監視プログラムを含む。サーバーCPU31は、この遠隔監視プログラムを実行することにより、プリンター2からインク消費情報をはじめ、エラー情報や印刷ログなど各種情報を取得する。
【0030】
収集データ52は、収集した情報をユーザー別に記憶したものである。図5は、収集データ52の説明図である。同図に示すように、収集データ52は、契約者情報と、画像データと、インク消費情報と、を含む。契約者情報は、ユーザーがサービス提供会社と契約した際に提供する情報である。契約者情報は、上記のとおり、ユーザーの識別情報、ユーザー端末1の識別情報、プリンター2の識別情報および配送先情報の他、ユーザーの個人情報を含む。個人情報とは、例えば職業、年齢、住所、趣味および家族構成などを示す情報である。
【0031】
画像データは、ユーザー端末1から取得する。上記のとおり、ユーザー端末1は、プリンター2に画像データを送信する際、サーバー3にも画像データを送信する。つまり、収集データ52として記憶される画像データは、プリンター2で印刷が行われた画像データである。画像データは、ユーザーとの契約時以降に印刷されたものを全てサーバーHDD34に記憶しておいてもよいが、記憶容量に限界があるため、過去所定期間分のみ記憶しておくことが好ましい。
【0032】
なお、ユーザー端末1は、画像データをサーバー3に送信する際、自端末の識別情報と、印刷先となるプリンター2の識別情報と、を付加して送信する。サーバー3は、ユーザー端末1の識別情報とプリンター2の識別情報との組み合わせを示す契約者情報がサーバーHDD34に記憶されている場合、送信された画像データを、その契約者情報が示すユーザーの収集データ52として記憶する。言い換えれば、ユーザー端末1から契約外のプリンターに対して送信された画像データは、収集データ52として収集されない。
【0033】
インク消費情報は、プリンター2から取得する。上記のとおり、インク消費情報は、色別のインク消費量を示す情報である。サーバー3は、このインク消費情報に基づいて、ユーザーの元にあるインク残量を算出すると共に、インクの消費実績を示す消費実績情報を生成する。消費実績情報とは、例えば月別且つ色別のインク消費実績を示す情報であり、後述する学習モデル53の生成に用いられる。インク消費情報は、ユーザーとの契約時以降に印刷およびクリーニングされたものを全てサーバーHDD34に記憶しておいてもよいが、記憶容量に限界があるため、過去所定期間分のみ記憶しておくことが好ましい。なお、画像データを記憶する所定期間と、インク消費情報を記憶する所定期間は、同じ期間でもよいし、異なる期間でもよい。
【0034】
一方、学習モデル53は、ユーザーの属性を考慮して、ユーザーが使用するプリンター2のインクの予測消費量を算出するための統計モデルである。より具体的には、学習モデル53は、複数のユーザーについて、ユーザーの属性を示す属性情報と、消費実績情報と、の組み合わせをデータセットとして機械学習したものである。なお、「ユーザーが使用するプリンター2」とは、契約情報によって、ユーザーの識別情報と紐づけされている識別情報のプリンター2を指す。
【0035】
図6は、学習モデル53の説明図である。同図に示すように、学習モデル53は、属性情報に基づいてクラスタリングされたセグメントSごとに、インクの予測消費量を示したものである。同図の例では、2種類の属性パラメーターに基づいてクラスタリングされた4つのセグメントSを示している。
【0036】
また、同図の例において、サーバー3は、画像データの解析結果に基づいて、文書を多めに印刷するか、写真を多めに印刷するかの属性パラメーターを推測している。以下、この属性パラメーターを、「属性パラメーターX」と称する。なお、「文書を多めに印刷する」とは、全体の印刷に対して文書を印刷する割合が所定値よりも大きいことを指す。同様に、「写真を多めに印刷する」とは、全体の印刷に対して写真を印刷する割合が所定値よりも大きいことを指す。また、サーバー3は、契約者情報に含まれるユーザーの個人情報に基づいて、自営業であるか、会社員であるかの属性パラメーターを判断している。以下、この属性パラメーターを、「属性パラメーターY」と称する。サーバー3は、このように推測および判断した複数の属性パラメーターに基づいて、最終的に、ユーザーの属性を推測する。言い換えれば、「属性パラメーター」の組み合わせが「属性」である。つまり、同図の例では、サーバー3は、自営業・文書多めという第1属性、自営業・写真多めという第2属性、会社員・文書多めという第3属性、会社員・写真多めという第4属性のいずれであるかを推測する。この推測結果が「属性情報」である。また、同図に示す学習モデル53は、属性情報に基づいて、第1属性に対応する第1セグメントS1、第2属性に対応する第2セグメントS2、第3属性に対応する第3セグメントS3、第4属性に対応する第4セグメントS4、の4つのセグメントSにクラスタリングされている。
【0037】
各セグメントSは、月別の予測消費量である月別予測消費量60を示している。なお、同図の例では、色別の月別予測消費量60の図示を省略しているが、サーバー3は、月別且つ色別にインクの予測消費量を算出する。このように、各セグメントSは、その属性のユーザーが、月別且つ色別に、どのようなインクの消費傾向があるかを示している。例えば、同図の例において、第1セグメントS1に対応する第1属性のユーザーは、2月から3月にかけて、インクの消費量が多くなる傾向があることを示している。
【0038】
このように学習モデル53は、複数のユーザーについて、それぞれのユーザーのー属性を示す属性情報と、それぞれのユーザーが使用するプリンター2の消費実績情報と、を組み合わせて機械学習したことにより得られたものである。サーバー3は、この学習モデル53を用いることにより、任意のユーザーの属性に応じて、任意のユーザーが使用するプリンター2の将来的なインク消費量を予測することが可能となっている。
【0039】
次に、図7を参照し、サーバー3の機能構成について説明する。サーバー3は、主な機能構成として、第1属性推測部110と、取得部120と、第2属性推測部130と、学習モデル生成部140と、記憶制御部150と、予測消費量算出部160と、配送決定部170と、を備える。これらは、サーバーCPU31が、管理アプリケーション51を実行することにより実現される機能である。
【0040】
なお、以下の説明では、予測消費量算出部160による予測消費量の算出対象となるプリンター2が、「プリンターA」で、プリンターAのユーザーが「ユーザーA」であるものとする。また、ユーザーAの識別情報と、プリンターAの識別情報と、ユーザーAの個人情報と、を含む契約者情報と、過去所定期間分の画像データと、過去所定期間分のインク消費情報と、が収集データ52としてサーバーHDD34に記憶されているものとする。なお、ユーザーAは、「第1のユーザー」の一例である。また、図6に示した学習モデル53がサーバーHDD34に記憶されているものとする。
【0041】
第1属性推測部110は、プリンターAで印刷の対象となった画像データの解析結果に基づいて、ユーザーAの属性を推測する。画像データの解析結果に基づいて推測されるユーザーAの属性は、図6に示した「属性パラメーターX」である。第1属性推測部110は、サーバーHDD34に記憶されている、プリンターAから取得した過去所定期間分の画像データを画像解析し、印刷物の種類や印刷内容を判断する。印刷物の種類は、例えば文書、写真、その他に分類され、そのいずれであるかが判断される。また、例えば印刷物の種類が写真の場合、印刷内容として、人物の有無、人物の性別、人物の年齢層および撮影場所などが判断される。また、例えば印刷物の種類が文書の場合、印刷内容として、帳票系、原稿系、その他のいずれに該当するかなどが判断される。第1属性推測部110は、画像データの画像解析結果に基づいて印刷物の種類や印刷内容を判断すると、その判断結果に基づいて、ユーザーAの「属性パラメーターX」を推測する。
【0042】
一方、第1属性推測部110は、サーバーHDD34に記憶されているユーザーAの個人情報に基づいて、ユーザーAの属性を判断する。個人情報に基づいて判断されるユーザーAの属性は、図6に示した「属性パラメーターY」である。第1属性推測部110は、個人情報に含まれるユーザーの職業、年齢、趣味および家族構成に基づいて、ユーザーAの「属性パラメーターY」を判断する。
【0043】
また、第1属性推測部110は、画像データの解析結果から推測した「属性パラメーターX」と、個人情報から判断した「属性パラメーターY」と、に基づいて、4つのセグメントSに対応する4つの属性のうち、ユーザーAがどの属性に該当するかを推測する。なお、本実施形態において、第1属性推測部110は、2種類の属性パラメーターに基づいてユーザーAの属性を推測しているが、1種類または3種類以上の属性パラメーターに基づいてユーザーAの属性を推測してもよい。
【0044】
取得部120は、第1属性推測部110により推測された属性を示す属性情報を取得する。
【0045】
第2属性推測部130は、第1属性推測部110と同様に、ユーザーAを含む複数のユーザーについて、それぞれのユーザーの属性を推測する。つまり、第2属性推測部130は、複数のユーザーがそれぞれ使用するプリンター2で印刷の対象となった画像データの解析結果に基づいて、それぞれのユーザーの「属性パラメーターX」を推測する。
【0046】
また、第2属性推測部130は、サーバーHDD34に記憶されている複数のユーザーの個人情報に基づいて、それぞれのユーザーの「属性パラメーターY」を判断する。そして、第2属性推測部130は、画像データの解析結果から推測した「属性パラメーターX」と、個人情報から判断した「属性パラメーターY」と、に基づいて、それぞれのユーザーの属性を推測する。
【0047】
学習モデル生成部140は、複数のユーザーについて、属性情報と、各ユーザーが使用するプリンター2の消費実績である消費実績情報と、の組み合わせをデータセットとして機械学習することにより、学習モデル53を生成する。ここで、学習モデル53の生成に用いられる属性情報は、第2属性推測部130により推測された属性を示す情報である。
【0048】
ここで、機械学習の具体例として、ニューラルネットワークを用いた機械学習について説明する。図8は、ニューラルネットワークの基本的な構造例を示す図である。ニューラルネットワークは、脳機能を計算機上でシミュレーションする数学モデルである。図8の1つの円をノード又はニューロンと呼ぶ。図8の例では、ニューラルネットワークは、入力層と、2つの中間層と、出力層を有する。入力層がIであり、中間層がH1及びH2であり、出力層がOである。また図8の例においては、入力層のニューロン数が3、2つの中間層のニューロン数がそれぞれ4、出力層のニューロン数が1である。ただし、中間層の層数や、各層に含まれるニューロンの数は種々の変形実施が可能である。入力層に含まれるニューロンは、それぞれ第1中間層であるH1のニューロンと結合される。第1中間層に含まれるニューロンはそれぞれ第2中間層であるH2のニューロンと結合され、第2中間層に含まれるニューロンはそれぞれ出力層のニューロンと結合される。なお中間層は隠れ層と言い換えてもよい。
【0049】
入力層は、それぞれ入力値を出力するニューロンである。図8の例では、ニューラルネットワークはx1,x2,x3を入力として受け付け、入力層の各ニューロンは、それぞれx1,x2,x3を出力する。なお、入力値に対して何らかの前処理を行い、入力層の各ニューロンは、前処理後の値を出力してもよい。
【0050】
中間層以降の各ニューロンでは、脳の中で電気信号として情報が伝達される様子を模した演算が行われる。脳では、シナプスの結合強度に応じて情報の伝わりやすさが変わるため、ニューラルネットワークでは当該結合強度を重みWで表現する。図8のW1は、入力層と第1中間層の間の重みである。W1は入力層に含まれる所与のニューロンと、第1中間層に含まれる所与のニューロンとの間の重みの集合を表す。入力層のp番目のニューロン数と、第1中間層のq番目のニューロンの間の重みをw pqと表現した場合、図8のW1は、w 11~w 34の12個の重みを含む情報である。より広義には、重みW1は、入力層のニューロン数と第1中間層のニューロン数の積だけの個数の重みからなる情報である。
【0051】
第1中間層のうち、1番目のニューロンでは、下式(1)に示した演算が行われる。1つのニューロンでは、当該ニューロンに接続される1つ前の層の各ニューロンの出力を積和し、さらにバイアスを加算する演算を行う。下式(1)におけるバイアスはb1である。
【数1】
【0052】
また、上式(1)に示したように、1つのニューロンでの演算では、非線形関数である活性化関数fが用いられる。活性化関数fは、例えば下式(2)に示すReLU関数が用いられる。ReLU関数は、変数が0以下であれば0であり、0より大きければ変数自体の値となる関数である。ただし、活性化関数fは種々の関数を利用可能であることが知られており、シグモイド関数を用いてもよいし、ReLU関数を改良した関数を用いてもよい。上式(1)では、h1についての演算式を例示したが、1つめの中間層の他のニューロンでも同様の演算を行えばよい。
【数2】
【0053】
また、これ以降の層についても同様である。例えば、第1中間層と第2中間層の間の重みをW2とした場合、第2中間層のニューロンでは、第1中間層の出力と重みW2を用いた積和演算を行い、バイアスを加算し、活性化関数を適用する演算を行う。出力層のニューロンでは、その1つ前の層の出力を重み付け加算し、バイアスを加算する演算を行う。図8の例であれば、出力層の1つ前の層とは、第2中間層である。ニューラルネットワークは、出力層での演算結果を、当該ニューラルネットワークの出力とする。
【0054】
以上の説明からわかるように、入力から所望の出力を得るためには、適切な重みとバイアスを設定する必要がある。なお、以下では重みを重み付け係数とも表記する。また重み付け係数にはバイアスが含まれてもよいものとする。学習では、所与の入力xと、当該入力での正しい出力とを対応付けたデータセットを用意しておく。正しい出力は正解ラベルである。ニューラルネットワークの学習処理とは、当該データセットに基づいて、最も確からしい重み付け係数を求める処理と考えることが可能である。なお、ニューラルネットワークの学習処理では、誤差逆伝播法(Backpropagation)等の学習手法が種々知られている。本実施形態においては、それらの学習手法を広く適用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0055】
また、ニューラルネットワークは、図8に示した構成には限定されない。例えば本実施形態の学習処理、及び推論処理において、広く知られている畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional neural network)が用いられてもよい。CNNは、畳み込み層及びプーリング層を有する。畳み込み層は、畳み込み演算を行う。ここでの畳み込み演算とは、具体的にはフィルター処理である。プーリング層は、データの縦横のサイズを縮小する処理を行う。CNNは、例えば画像情報が入力される場合において、所与の画素と、その周辺の画素との関係を考慮した処理が可能である。CNNにおいては、誤差逆伝播法等を用いた学習処理を行うことによって、畳み込み演算に用いられるフィルターの特性が学習される。即ち、ニューラルネットワークにおける重み付け係数には、CNNにおけるフィルター特性が含まれる。
【0056】
なお、以上では学習済モデルがニューラルネットワークを用いたモデルである例について説明した。しかし本実施形態における機械学習はニューラルネットワークを用いる手法に限定されない。例えば本実施形態の手法には、SVM(support vector machine)等、広く知られた種々の方式の機械学習、或いはそれらの方式を発展させた方式の機械学習を適用することが可能である。
【0057】
記憶制御部150は、学習モデル生成部140により生成された学習モデル53を、サーバーHDD34に記憶させる。
【0058】
予測消費量算出部160は、取得部120により取得したユーザーAの属性情報と、サーバーHDD34に記憶されている学習モデル53と、に基づいて、ユーザーAが使用するプリンターAのインクの予測消費量を算出する。つまり、予測消費量算出部160は、学習モデル53に、ユーザーAの属性情報を入力し、学習モデル53からの出力として予測消費量を得る。また、予測消費量算出部160は、インクの種類ごと、すなわち色別に、インクの予測消費量を算出する。
【0059】
配送決定部170は、予測消費量算出部160により算出された予測消費量に基づいて、ユーザーAに配送するインクボトルの個数および色を決定する。本実施形態において、配送決定部170は、予測消費量算出部160により算出された予測消費量に基づいて、現在から所定期間経過後までにインク残量がなくなると推測される色について、所定期間分の予測消費量に対応した個数のインクボトルの配送を決定する。なお、配送決定部170は、インクの量として、例えば「インクを100ml配送する」など、インクの体積を決定してもよい。
【0060】
次に、図9のフローチャートを参照し、サーバー3による学習モデル生成処理の流れを説明する。サーバー3は、定期的に、または収集データ52が更新されたときなど所定のトリガーが発生したときに、学習モデル生成処理を行う。
【0061】
S01において、第2属性推測部130は、サーバーHDD34に記憶されている収集データ52内の契約者情報および画像データに基づいて、各ユーザーの属性を推測する。
【0062】
S02において、学習モデル生成部140は、S01で推測した各ユーザーの属性を示す各ユーザーの属性情報と、各ユーザーが使用するプリンター2の消費実績を示す消費実績情報と、をユーザーごとに組み合わせてデータセットを生成する。
【0063】
S03において、学習モデル生成部140は、S02で生成したデータセットを用いて機械学習し、学習モデル53を生成する。サーバー3は、生成した学習モデル53をサーバーHDD34に記憶する。また、既に、サーバーHDD34に学習モデル53が記憶されている場合、サーバー3は、生成した学習モデル53を用いて、学習モデル53を更新する。
【0064】
次に、図10のフローチャートを参照し、サーバー3による配送決定処理の流れを説明する。サーバー3は、定期的に配送決定処理を行う。なお、学習モデル生成処理を定期的に行う場合、学習モデル生成処理の周期と、配送決定処理の周期は、同じ期間でもよいし異なる期間でもよい。
【0065】
S11において、第1属性推測部110は、サーバーHDD34に記憶されているユーザーAの収集データ52内の契約者情報および画像データに基づいて、ユーザーAの属性を推測する。
【0066】
S12において、配送決定部170は、ユーザーAの収集データ52内のインク消費情報、すなわちプリンターAのインク消費情報に基づいて、ユーザーAの元にあるインク残量を算出する。例えば配送決定処理が1カ月ごとに行われる場合、サーバー3は、1か月前に算出したインク残量から、インク消費情報から得られるインク消費量を差し引くことにより、インク残量を算出する。このため、サーバー3は、S12において算出したインク残量を、インク消費情報の一部として記憶しておく。なお、S12におけるインク残量の算出や、後述する予測消費量の算出は、プリンターAで使用される全ての色について行われるものとする。
【0067】
S13において、配送決定部170は、S12で算出したインク残量と、判定スレッシュホールドを比較し、インク配送の要否を判断する。判定スレッシュは、予め定められているインク量の閾値である。例えば、判定スレッシュが30mlの場合、サーバー3は、インク残量が30mlを下回ると、インク配送が必要と判断する。
【0068】
S14において、配送決定部170は、S13でインク配送が必要と判断した場合、S15に進む。また、サーバー3は、S13でインク配送が不要と判断した場合、配送決定処理を終了する。なお、S14では、プリンターAで使用される複数色のうち、インク配送が必要と判断した色が1色でもある場合、インク配送が必要と判断する。
【0069】
S15において、予測消費量算出部160は、学習モデル53を参照し、S11で推測したユーザーAの属性に基づいて、3か月後までの予測消費量を算出する。つまり、サーバー3は、学習モデル53において、ユーザーAの属性に対応するセグメントSを参照し、現在の日付から3か月後までの予測消費量を算出する。
【0070】
S16において、配送決定部170は、3か月以内にインク残量がなくなるインクの配送を決定する。ここでは、サーバー3は、配送するインクボトルの色と個数を決定する。例えば、プリンターAで使用される色にブラックが含まれ、ブラックのインクボトル1本あたりのインク収容量が100ml、3カ月後までの予測消費量が250mlの場合、サーバー3は、少なくとも3か月間はブラックのインク残量が判定スレッシュを下回らないように、ブラックのインクボトルを3本配送することを決定する。また、S16において、サーバー3は、3か月以内にインク残量がなくなるインクが複数色あると判断した場合、色別に配送個数を決定し、各色決定した個数のインクボトルをまとめて配送することを決定する。
【0071】
以上説明したとおり、本実施形態に係るデバイス管理システムSYは、ユーザーAの属性情報と、学習モデル53と、に基づいて、ユーザーAが使用するプリンターAのインクの予測消費量を算出することができる。これにより、サービス提供会社は、配送するインクボトルの個数を適切に決定することができる。つまり、インク消費情報と閾値との比較だけで、インク配送を行うと、インク消費量が多い時期には、頻繁にインク配送を行う必要があるが、ユーザーの属性に応じたインクの予測消費量を考慮してインク配送を行うことにより、インク配送回数を減らすことができ、ひいては配送コストを削減できる。また、サービス提供会社は、このように配送コストを削減できることで、ユーザーに対し、配送サービスをより安価に提供することができる。
【0072】
また、デバイス管理システムSYは、複数のユーザーについて、属性情報と、消費実績情報と、の組み合わせをデータセットとして機械学習した学習モデル53を生成するため、学習モデル53に、ユーザーAの属性情報を入力するだけで、プリンターAのインクの予測消費量を得ることができる。また、デバイス管理システムSYは、定期的または所定のトリガーが発生したときに学習モデル生成処理を行い、その都度各ユーザーの属性の推測と、学習モデル53の更新とを行うため、信頼性の高い予測消費量を得ることができる。
【0073】
また、デバイス管理システムSYは、プリンター2で印刷の対象となった画像データの解析結果に基づいて、ユーザーの属性を推測するため、ユーザーの契約情報のみでユーザーの属性を推測する場合と比べて、より適切にユーザーの属性を推測することができる。
【0074】
なお、上記の実施形態によらず、以下の変形例を採用可能である。また、各変形例は、適宜組み合わせ可能である。
[変形例1]
第1属性推測部110は、画像データの解析結果に代えて、または画像データの解析結果に加えて、プリンター2の使用状況に基づいて、ユーザーAの属性を推測してもよい。同様に、第2属性推測部130は、画像データの解析結果に代えて、または画像データの解析結果に加えて、複数のユーザーが使用するそれぞれのプリンター2の使用状況に基づいて、それぞれのユーザーの属性を推測してもよい。この場合、サーバー3は、プリンター2の使用状況を特定するための使用状況情報を、プリンター2から取得し、取得した使用状況情報を収集データ52の一部として記憶する。そして、サーバー3は、使用状況情報に基づいて、ユーザーの属性を推測する。使用状況情報としては、印刷日時や印刷枚数を示す情報を取得することが考えられる。また、使用状況情報の一部として、上記のインク消費情報を取得してもよい。この場合、サーバー3は、プリンター2の使用状況として、例えば月末に印刷ショット数が多い、年度末にモノクロ印刷が多い、春ごろに印刷枚数が多い、など、時期や季節と印刷量との組み合わせを、ユーザーの属性として推測可能である。
【0075】
[変形例2]
第1属性推測部110による属性推測方法と、第2属性推測部130による属性推測方法とは異なる方法でもよい。また、第2属性推測部130および学習モデル生成部140を省略してもよい。この場合、記憶制御部150は、プリンター2を使用するユーザーの属性を示す属性情報と、インクの消費量を示す消費量情報と、の関係を示す情報であって、機械学習しない関係情報を、学習モデル53に代えてサーバーHDD34に記憶させておけばよい。また、第1属性推測部110および第2属性推測部130の少なくとも一方を省略してもよい。この場合、契約者情報の一部として、ユーザーの属性情報をサーバーHDD34に記憶しておけばよい。
【0076】
[変形例3]
予測消費量算出部160は、予測消費量を算出する季節や、予測消費量を算出する時期のイベントなど、時期情報に基づいて予測消費量を算出してもよい。例えば、属性情報が「子供がいるユーザー」を示す場合、運動会シーズン後には写真の印刷量が増えると予測されるため、予測消費量算出部160は、9月から11月の予測消費量を割り増しして算出する、などの算出方法が考えられる。この場合、記憶制御部150は、属性情報と、月別の予測消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報をサーバーHDD34に記憶しておけばよい。
【0077】
[変形例4]
予測消費量算出部160は、配送決定処理(図10参照)において、インク配送が必要と判断した後に予測消費量を算出するのではなく、ユーザーAの元にあるインク残量と、現在から所定期間経過後までの予測消費量と、に基づいて、インク配送の要否と、インク配送の量および種類とを同時に決定してもよい。
【0078】
[変形例5]
プリンター2が、自装置内のインク残量を検出可能な場合、サーバー3は、プリンター2が検出したインク残量を示す情報を取得し、取得した情報に基づいてインク残量を判断してもよい。
【0079】
[変形例6]
サーバー3は、インク消費量を、プリンター2から取得したインク消費情報から判断するのではなく、ユーザー端末1から取得した画像データの解析結果に基づいて判断してもよい。この場合、サーバー3は、ユーザー端末1から画像データだけでなく、モノクロ印刷またはカラー印刷を示すカラー情報や、用紙サイズを示す用紙サイズ情報などを含む印刷指示情報を取得し、画像データおよび印刷指示情報に基づいて、インク消費量を判断することが好ましい。
【0080】
[変形例7]
サーバー3は、ユーザー端末1から画像データを取得するのではなく、プリンター2から取得してもよい。この場合、プリンター2は、ユーザー端末1から画像データを取得したとき、または取得した画像データに基づく印刷を終了したとき、取得した画像データをサーバー3に送信すればよい。また、この場合、契約者情報に、ユーザー端末1の識別情報を含める必要はない。
【0081】
[変形例8]
第2属性推測部130を省略し、予測消費量算出部160は、ユーザーAの過去のインク消費情報のみに基づいて、プリンターAのインクの予測消費量を算出してもよい。この場合、ユーザーの属性を示す属性情報は、ユーザーを特定する情報、例えばユーザーの識別情報を含む概念である。また、学習モデル生成部140は、ユーザーの識別情報ごとに、ユーザーの月別および色別のインク消費傾向を、消費実績情報として機械学習すればよい。
【0082】
[変形例9]
デバイス管理システムSYは、インクボトルに代えて、プリンター2に着脱可能なインクカートリッジを配送するようにしてもよい。インクカートリッジは、「収容体」の一例である。この場合、ユーザーは、インク残量が少なくなったとき、インクカートリッジの交換を行う。また、この場合、サーバー3は、インクカートリッジの交換を示す情報をプリンター2から取得して、ユーザーの元にあるインクカートリッジの在庫を判断してもよい。また、プリンター2が電子写真方式の場合、デバイス管理システムSYは、インクに代えてトナーカートリッジを配送するようにしてもよい。その他、プリンター2の印刷方式や使用用途に応じて、インクやトナー以外の着色剤を配送するようにしてもよい。
【0083】
[変形例10]
配送決定部170は、プリンター2の消耗品として、インクに代えて印刷媒体の配送を決定してもよい。この場合、サーバー3は、消費実績情報として、印刷媒体の消費量、すなわち使用枚数を示す情報を取得する。また、印刷媒体の種類としては、用紙サイズ、用紙種類などが考えられる。
【0084】
[変形例11]
プリンター2以外に、消耗品を消費する電子機器をデバイスとして用いてもよい。消耗品を消費する電子機器としては、印刷媒体および着色剤を消費するコピー機や、プリンター機能、コピー機能、FAX機能およびスキャナー機能を有する複合機、などが考えられる。
【0085】
[変形例12]
以上、実施形態および各変形例を示したが、実施形態と各変形例を組み合わせた構成としてもよい。また、実施形態および各変形例に示したユーザー端末1、プリンター2またはサーバー3の各処理を実行する方法、各処理を実行するためのプログラム、またそのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体も、発明の権利範囲に含まれる。その他、発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0086】
[付記]
以下、デバイス管理システム、サーバー、およびデバイス管理システムの制御方法について付記する。
デバイス管理システムSYは、デバイスのユーザーの属性を示す属性情報と、デバイスの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させる記憶制御部150と、第1のユーザーの属性情報を取得する取得部120と、第1のユーザーの属性情報と、関係情報と、に基づいて、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を算出する予測消費量算出部160と、を備える。
【0087】
サーバー3は、デバイスのユーザーの属性を示す属性情報と、デバイスの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させる記憶制御部150と、第1のユーザーの属性情報を取得する取得部120と、第1のユーザーの属性情報と、関係情報と、に基づいて、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を算出する予測消費量算出部160と、を備える。
【0088】
デバイス管理システムSYの制御方法は、コンピューターが、デバイスのユーザーの属性を示す属性情報と、デバイスの消耗品の消費量を示す消費量情報と、の関係を示す関係情報を記憶部に記憶させるステップと、第1のユーザーの属性情報を取得するステップと、第1のユーザーの属性情報と、関係情報と、に基づいて、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を算出するステップと、を実行する。
【0089】
この構成によれば、デバイス管理システムSYは、第1のユーザーの属性情報と、関係情報と、に基づいて、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を算出することができる。これにより、デバイス管理システムSYは、消耗品の予測消費量に基づいて、消耗品の配送を行うことができ、ひいては配送コストの削減効果が期待できる。
【0090】
上記のデバイス管理システムSYにおいて、予測消費量に基づいて、第1のユーザーに配送する、消耗品の量又は消耗品を収容する収容体の個数を決定する配送決定部170、をさらに備えることが好ましい。
【0091】
この構成によれば、デバイス管理システムSYは、消耗品の予測消費量に基づいて、第1のユーザーに配送する、消耗品の量又は消耗品を収容する収容体の個数を決定することができる。
【0092】
上記のデバイス管理システムSYにおいて、消耗品には、複数の種類があり、配送決定部170は、消耗品の種類ごとの予測消費量に基づいて、第1のユーザーに配送する消耗品の種類を決定することが好ましい。
【0093】
この構成によれば、デバイス管理システムSYは、消耗品の予測消費量に基づいて、第1のユーザーに配送する消耗品の種類を決定することができる。
【0094】
上記のデバイス管理システムSYにおいて、複数のユーザーについての、属性情報と、消耗品の消費実績である消費実績情報と、の組み合わせをデータセットとして機械学習した学習モデル53を生成する学習モデル生成部140をさらに備え、記憶制御部150は、生成された学習モデル53を、関係情報として記憶部に記憶させ、予測消費量算出部160は、学習モデル53に、第1のユーザーの属性情報を入力し、学習モデル53からの出力として、予測消費量を得ることが好ましい。
【0095】
この構成によれば、デバイス管理システムSYは、学習モデル53を生成し、生成した学習モデル53に、第1のユーザーの属性情報を入力することで、学習モデル53からの出力として、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を得ることができる。
【0096】
上記のデバイス管理システムSYにおいて、学習モデル53は、属性情報に基づいてクラスタリングされたセグメントSごとに、予測消費量を示したものであり、予測消費量算出部160は、第1のユーザーの属性情報に対応するセグメントSを特定し、特定したセグメントSが示す予測消費量を得ることが好ましい。
【0097】
この構成によれば、デバイス管理システムSYは、学習モデル53の、第1のユーザーの属性情報に対応するセグメントSを特定することにより、第1のユーザーが使用するデバイスの消耗品の予測消費量を得ることができる。
【0098】
上記のデバイス管理システムSYにおいて、デバイスは、画像データに基づいて印刷を行うことにより、消耗品を消費するプリンター2であり、第1のユーザーが使用するプリンター2で印刷の対象となった画像データの解析結果と、プリンター2の使用状況と、の少なくとも一方に基づいて、第1のユーザーの属性を推測する第1属性推測部110をさらに備え、取得部120は、第1属性推測部110により推測された属性を示す属性情報を取得することが好ましい。
【0099】
この構成によれば、デバイス管理システムSYは、プリンター2で印刷の対象となった画像データの解析結果と、プリンター2の使用状況と、の少なくとも一方に基づいて、第1のユーザーの属性を推測することができる。
上記のデバイス管理システムSYにおいて、複数のユーザーについて、それぞれのユーザーが使用するプリンター2で印刷の対象となった画像データの解析結果と、プリンター2の使用状況と、の少なくとも一方に基づいて、それぞれのユーザーの属性を推測する第2属性推測部130をさらに備え、学習モデル生成部140は、第2属性推測部130により推測された属性を示す属性情報を用いて学習モデル53を生成することが好ましい。
【0100】
この構成によれば、デバイス管理システムSYは、複数のユーザーについて、それぞれのユーザーが使用するプリンター2で印刷の対象となった画像データの解析結果と、プリンター2の使用状況と、の少なくとも一方に基づいて、それぞれのユーザーの属性を推測し、これを学習モデル53の生成に利用することができる。
【0101】
上記のデバイス管理システムSYにおいて、消耗品は、プリンター2の印刷に用いられる着色剤であることが好ましい。
【0102】
この構成によれば、デバイス管理システムSYは、プリンター2の印刷に用いられる着色剤の予測消費量を算出することができる。
【符号の説明】
【0103】
3…サーバー、110…第1属性推測部、120…取得部、130…第2属性推測部、140…学習モデル生成部、150…記憶制御部、160…予測消費量算出部、170…配送決定部。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10