(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】光デバイス及び光デバイスの試験方法
(51)【国際特許分類】
G01M 11/00 20060101AFI20241008BHJP
G02B 6/124 20060101ALI20241008BHJP
G02B 6/34 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01M11/00 T
G02B6/124
G02B6/34
(21)【出願番号】P 2020035319
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2022-11-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-021015(JP,A)
【文献】特開2020-030356(JP,A)
【文献】特開2019-211538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 11/00- G01M 11/02
G02B 6/12- G02B 6/14
G02B 6/26- G02B 6/27
G02B 6/30- G02B 6/34
G02B 6/42- G02B 6/43
G02F 1/01
H04B 10/00- H04B 10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光回路と、当該光回路と光接続する試験回路とを有し、
前記試験回路は、
試験光を入力する入力用グレーティングカプラと、
当該入力用グレーティングカプラを通過した前記試験光を参照光として出力する参照用グレーティングカプラと、
前記入力用グレーティングカプラの出力と接続する入力用分岐カプラと、
前記参照用グレーティングカプラの入力と接続する参照用分岐カプラと、を有し、
前記入力用分岐カプラは、
一方の出力を前記光回路の入力に接続し、前記入力用グレーティングカプラからの試験光を前記光回路に分岐出力すると共に、他方の出力を前記参照用グレーティングカプラの入力に接続し、前記入力用グレーティングカプラからの試験光を前記参照用グレーティングカプラに分岐出力すると共に、
前記参照用分岐カプラは、
前記入力用分岐カプラの他方の出力と接続し、前記入力用分岐カプラからの試験光を前記参照用グレーティングカプラに出力する
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
光回路と、当該光回路と光接続する試験回路とを有し、
前記試験回路は、
第1の偏波の試験光を入力する
第1の入力用グレーティングカプラ
及び第2の入力用グレーティングカプラと、
前記第1の入力用グレーティングカプラ
又は前記第2の入力用グレーティングカプラを通過した前記
第1の偏波の試験光を参照光として出力する
第1の参照用グレーティングカプラ
及び第2の参照用グレーティングカプラと、
前記
第1の入力用グレーティングカプラの出力と接続する
第1の入力用分岐カプラと、
前記第2の入力用グレーティングカプラの出力と接続する第2の入力用分岐カプラと、
前記
第1の参照用グレーティングカプラの入力と接続する
第1の参照用分岐カプラと、
前記第2の参照用グレーティングカプラの入力と接続する第2の参照用分岐カプラと、
前記第2の入力用分岐カプラの一方の出力と接続し、前記第2の入力用分岐カプラからの前記第1の偏波の試験光を第2の偏波の試験光に偏波する第1の偏波回転部と、
前記第2の入力用分岐カプラの他方の出力と接続し、前記第2の入力用分岐カプラからの前記第1の偏波の試験光を第2の偏波の試験光に偏波する第2の偏波回転部と、
前記
第1の入力用分岐カプラの一方の出力と接続
すると共に、前記第1の偏波回転部の出力と接続し、前記
第1の入力用分岐カプラからの前記
第1の偏波の試験光
と、前記第1の偏波回転部からの第2の偏波の試験光とを結合して前記光回路に出力する第1の結合分離部と、
前記
第1の入力用分岐カプラの他方の出力と接続
すると共に、前記第2の偏波回転部の出力と接続し、前記
第1の入力用分岐カプラからの
前記第1の偏波の試験光
と前記第2の偏波回転部からの前記第2の偏波の試験光とを結合して出力する第2の結合分離部と、
前記第2の結合分離部の出力と
接続し、前記第2の結合分離部からの前記試験光を
前記第1の偏波の試験光と前記第2の偏波の試験光とに分離して出力する第3の結合分離部と、
前記第3の結合分離部の他方の出力と接続し、前記第3の結合分離部からの前記第2の偏波の試験光を前記第1の偏波の試験光に偏波して前記第2の参照用分岐カプラに出力する第3の偏波回転部と、
前記第3の結合分離部の一方の出力と接続し、前記第3の結合分離部からの前記第1の偏波の試験光を前記第1の参照用グレーティングカプラに出力する前記第1の参照用分岐カプラと、有し、
前記第1の入力用グレーティングカプラから前記第1の参照用グレーティングカプラまでの光導波路の距離は、
前記第1の入力用グレーティングカプラから前記光回路までの光導波路の距離の2倍とすると共に、
前記第2の入力用グレーティングカプラから前記第2の参照用グレーティングカプラまでの光導波路の距離は、
前記第2の入力用グレーティングカプラから前記光回路までの光導波路の距離の2倍とする
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項3】
前記入力用グレーティングカプラから前記参照用グレーティングカプラまでの光導波路の距離は、
前記入力用グレーティングカプラから前記光回路までの光導波路の距離の2倍とすることを特徴とする請求項1
に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記試験回路は、
前記試験回路の表面から、前記試験光を入力する前記入力用グレーティングカプラと、
前記試験回路の表面から、前記試験光を前記参照光として出力する前記参照用グレーティングカプラと
を有することを特徴とする請求項1
に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記試験回路は、
前記試験回路の表面から、前記試験光を入力する前記第1の入力用グレーティングカプラ及び前記第2の入力用グレーティングカプラと、
前記試験回路の表面から、前記試験光を前記参照光として出力する前記第1の参照用グレーティングカプラ及び前記第2の参照用グレーティングカプラと
を有することを特徴とする請求項2に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記第1の
入力用グレーティングカプラ、前記第2の
入力用グレーティングカプラ、前記
第1の参照用グレーティングカプラ及び前記
第2の参照用グレーティングカプラが前記試験回路の表面に等間隔に配置されることを特徴とする請求項
2に記載の光デバイス。
【請求項7】
光回路と、当該光回路と光接続する試験回路とを有する光デバイスの試験方法を実行する試験装置は、
当該試験装置からの試験光を前記試験回路内の入力用グレーティングカプラに入力し、
前記試験回路内の入力用分岐カプラを用いて前記入力用グレーティングカプラからの試験光を前記光回路及び、前記試験回路内の参照用分岐カプラに分岐出力し、
前記参照用分岐カプラを用いて前記入力用分岐カプラからの試験光を参照光として前記試験回路内の参照用グレーティングカプラに出力し、
前記参照用グレーティングカプラで出力した参照光のパワーを計測する
処理を実行することを特徴とする光デバイスの試験方法。
【請求項8】
光回路と、当該光回路と光接続する試験回路とを有する光デバイスの試験方法を実行する試験装置は、
当該試験装置からの第1の偏波の試験光を前記試験回路内の第1の入力用グレーティングカプラ及び第2の入力用グレーティングカプラに入力し、
前記試験回路内の第1の入力用分岐カプラを用いて前記第1の入力用グレーティングカプラからの前記第1の偏波の試験光を前記試験回路内の第1の結合分離部及び第2の結合分離部に分岐出力し、
前記試験回路内の第2の入力用分岐カプラを用いて前記第2の入力用グレーティングカプラからの前記第1の偏波の試験光を前記試験回路内の第1の偏波回転部及び第2の偏波回転部に分岐出力し、
前記第1の偏波回転部を用いて前記第2の入力用分岐カプラからの前記第1の偏波の試験光を第2の偏波の試験光に偏波し、
前記第2の偏波回転部を用いて前記第2の入力用分岐カプラからの前記第1の偏波の試験光を第2の偏波の試験光に偏波し、
前記第1の結合分離部を用いて、前記第1の入力用分岐カプラからの前記第1の偏波の試験光と、前記第1の偏波回転部からの前記第2の偏波の試験光とを結合して前記光回路に出力し、
前記第2の結合分離部を用いて、前記第1の入力用分岐カプラからの前記第1の偏波の試験光と、前記第2の偏波回転部からの前記第2の偏波の試験光とを結合して前記試験回路内の第3の結合分離部に出力し、
前記第3の結合分離部を用いて前記第2の結合分離部の出力から前記第1の偏波の試験光及び前記第2の偏波の試験光を分離し、分離された前記第1の偏波の試験光を参照光として前記試験回路内の第1の参照用グレーティングカプラに出力すると共に、分離された前記第2の偏波の試験光を前記試験回路内の第3の偏波回転部に出力し、
前記第3の偏波回転部を用いて前記第2の偏波の試験光を前記第1の偏波の試験光に偏波し、前記第1の偏波の試験光を参照光として前記試験回路内の第2の参照用グレーティングカプラに出力し、
前記第1の参照用グレーティングカプラ及び前記第2の参照用グレーティングカプラから出力した参照光のパワーを計測し、
前記第1の入力用グレーティングカプラから前記第1の参照用グレーティングカプラまでの光導波路の距離を、前記第1の入力用グレーティングカプラから前記光回路までの光導波路の距離の2倍とし、
前記第2の入力用グレーティングカプラから前記第2の参照用グレーティングカプラまでの光導波路の距離を、前記第2の入力用グレーティングカプラから前記光回路までの光導波路の距離の2倍とする
処理を実行することを特徴とする光デバイスの試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス及び光デバイスの試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の試験システム200の一例を示す説明図である。
図6に示す試験システム200は、光チップ210と、試験装置220とを有する。試験装置220は、第1の光源221Aと、第1の偏波コントローラ222Aと、第2の光源221Bと、第2の偏波コントローラ222Bとを有する。
【0003】
第1の光源221Aは、例えば、受信光対応の第3の試験光を発光する光源である。第1の偏波コントローラ222Aは、第1の光源221Aからの第3の試験光を偏波し、光ファイバ230Aを用いて偏波後の第3の試験光を光チップ210内の受信光ポート212に出力する。尚、第1の偏波コントローラ222Aは、第3の試験光を偏波制御し、TM偏波又はTM偏波の第3の試験光を生成する。第2の偏波コントローラ222Bは、第2の光源221Bからの第4の試験光を偏波し、光ファイバ230Bを用いて偏波後の第4の試験光を光チップ210内の局発光ポート221に出力する。尚、第2の偏波コントローラ222Bは、第4の試験光を偏波制御し、TM偏波又はTM偏波の第4の試験光を生成する。受信光ポート212及び局発光ポート211は、光チップ210の側面端部に配置されるものである。
【0004】
光チップ210は、例えば、デジタルコヒーレント受信部等の光ICチップである。光チップ210は、ウエハから切出された光チップである。光チップ210は、局発光ポート211と、受信光ポート212と、BS(Beam Splitter)213と、PBS(Polarization Beam Splitter)214と、PR(Polarization Rotator)215とを有する。更に。光チップ210は、第1の光ハイブリッド回路216Aと、第2の光ハイブリッド回路216Bと、第1~第4のPD(Photo Diode)217A~217Dと、第1~第4の出力ポート218A~218Dとを有する。
【0005】
局発光ポート211は、光チップ210内の側面端部に形成され、例えば、局発光又は局発光対応の第4の試験光を入力するポートである。尚、局発光ポート211は、ウエハをチップ化することで、光チップ210の側面端部に表出することになる。受信光ポート212は、光チップ210内の側面端部に形成され、例えば、受信光又は受信光対応の第3の試験光を入力するポートである。尚、受信光ポート212は、ウエハをチップ化することで、光チップ210の側面端部に表出することになる。BS213は、局発光ポート211からの局発光を分離して第1の光ハイブリッド回路216A及び第2の光ハイブリッド回路216Bに出力する。PBS214は、受信光ポート212から入力した受信光を直交する2つの偏波状態、例えば、X偏波成分及びY偏波成分に分離する。尚、X偏波成分は水平偏波成分、Y偏波成分は垂直偏波成分である。PBS214は、受信光からX偏波成分を第1の光ハイブリッド回路216Aに出力する。更に、PR215は、PBS214からの受信光からY偏波成分を第2の光ハイブリッド回路216Bに出力する。
【0006】
第1の光ハイブリッド回路216Aは、受信光のX偏波成分に局発光を干渉させてI成分及びQ成分の光信号を取得する。尚、I成分は同相軸成分、Q成分は直交軸成分である。第1の光ハイブリッド回路216Aは、X偏波成分の内、I成分の光信号を第1のPD217Aに出力する。第1の光ハイブリッド回路216Aは、X偏波成分の内、Q成分の光信号を第2のPD217Bに出力する。
【0007】
第2の光ハイブリッド回路216Bは、受信光のY偏波成分に局発光を干渉させてI成分及びQ成分の光信号を取得する。第2の光ハイブリッド回路216Bは、Y偏波成分の内、I成分の光信号を第3のPD217Cに出力する。第2の光ハイブリッド回路216Bは、Y偏波成分の内、Q成分の光信号を第4のPD217Dに出力する。
【0008】
第1のPD217Aは、第1の光ハイブリッド回路216AからのX偏波成分のI成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を第1の出力ポート218Aに出力する。第2のPD217Bは、第1の光ハイブリッド回路216AからのX偏波成分のQ成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を第2の出力ポート218Bに出力する。
【0009】
第3のPD217Cは、第2の光ハイブリッド回路216BからのY偏波成分のI成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を第3の出力ポート218Cに出力する。第4のPD217Dは、第2の光ハイブリッド回路216BからのY偏波成分のQ成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を第4の出力ポート218Dに出力する。
【0010】
従来の光チップ210の試験方法では、ウエハから光チップ210を切り出し、単一の光チップ210毎にステージに載せる。更に、試験装置220の第1の偏波コントローラ222Aの出力と光チップ210の側面端部にある受信光ポート212との間を光ファイバ230Aで接続する。更に、第2の偏波コントローラ222Bと光チップ210の側面端部にある局発光ポート211との間を光ファイバ230Bで接続する。そして、図示せぬパワーメータを用いて第3の試験光のパワー及び第4の試験光のパワーが計測し、その計測結果から計測評価可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第9459177号明細書
【文献】米国特許第10365435号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の光チップ210の試験方法では、光チップ210毎に、受信光ポート212と光ファイバ230Aとの光軸、局発光ポート211と光ファイバ230Bとの光軸を合せる調芯作業が必要となる。その結果、光チップ210と試験装置との間を光接続して入力光に対する試験光のパワーを計測する際の作業負荷が大となる。
【0013】
また、光チップ210をチップ化する前にウエハ状態で試験できると作業効率が高くなることも考えられるが、ウエハ状態で試験を行う場合、ウエハ表面方向から光ファイバで光を入力する必要もある。
【0014】
一つの側面では、光チップと試験装置との間を光接続して入力光に対する試験光のパワーを計測する際の作業効率の向上を図る光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一つの態様の光デバイスは、光回路と、当該光回路と光接続する試験回路とを有する。前記試験回路は、試験光を入力する第1のグレーティングカプラと、当該第1のグレーティングカプラを通過した前記試験光を参照光として出力する第2のグレーティングカプラと、前記第1のグレーティングカプラの出力と接続する第1の分岐カプラとを有する。前記第1の分岐カプラは、一方の出力を前記光回路の入力に接続し、前記第1のグレーティングカプラからの試験光を前記光回路に分岐出力する。前記第1の分岐カプラは、他方の出力を前記第2のグレーティングカプラの入力に接続し、前記第1のグレーティングカプラからの試験光を前記第2のグレーティングカプラに分岐出力する。
【発明の効果】
【0016】
一つの側面によれば、光チップと試験装置との間を光接続して入力光に対する試験光のパワーを計測する際の作業効率の向上を図る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本実施例の試験システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、光チップが形成されたウエハの一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、試験装置の一例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、光ファイバアレイの一例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、光チップを搭載した光通信デバイスの一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、従来の試験システムの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本願の開示する試験システム等の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例1】
【0019】
図1は、本実施例の試験システム1の一例を示す説明図である。試験システム1は、複数の光チップ10が形成された、例えば、シリコン等のウエハ2と、試験装置3とを有する。
図2は、光チップ10が形成されたウエハ2の一例を示す平面図である。
【0020】
図2に示すウエハ2には、複数の光チップ10が格子状に配列した状態で形成されている。光チップ10は、光回路11と、試験回路12と、光回路11と試験回路12との間で切断可能なダイシングライン13とを有する光デバイスである。試験回路12は、複数のGC(Grating Coupler)を有する。
【0021】
光回路11は、局発光ポート21と、受信光ポート22と、BS(Beam Splitter)23と、PBS(Polarization Beam Splitter)24と、PR(Polarization Rotator)25とを有する。光回路11は、第1及び第2の光ハイブリッド回路26と、第1~第4のPD(Photo Diode)27と、第1~第4の出力ポート28とを有する。
【0022】
局発光ポート21は、例えば、局発光源から発光された局発光LOを入力するポートである。受信光ポート22は、例えば、受信光Rx-Sigを入力するポートである。BS23は、局発光ポート21からの局発光を分離して第1の光ハイブリッド回路26A及び第2の光ハイブリッド回路26Bに出力する。PBS24は、受信光ポート22から入力した受信光を直交する2つの偏波状態、例えば、TE(Transverse Electric)偏波のX偏波成分及びTM(Transverse Magnetic)偏波のY偏波成分に分離する。尚、X偏波成分は水平偏波成分、Y偏波成分は垂直偏波成分である。PBS24は、受信光からX偏波成分を第1の光ハイブリッド回路26Aに出力する。更に、PR25は、PBS24からの受信光からY偏波成分を偏波し、偏波後のY偏波成分を第2の光ハイブリッド回路26Bに出力する。
【0023】
第1の光ハイブリッド回路26Aは、受信光のX偏波成分に局発光を干渉させてI成分及びQ成分の光信号を取得する。尚、I成分は同相軸成分、Q成分は直交軸成分である。第1の光ハイブリッド回路26Aは、X偏波成分の内、I成分の光信号を第1のPD27Aに出力する。第1の光ハイブリッド回路26Aは、X偏波成分の内、Q成分の光信号を第2のPD27Bに出力する。
【0024】
第2の光ハイブリッド回路26Bは、受信光のY偏波成分に局発光を干渉させてI成分及びQ成分の光信号を取得する。第2の光ハイブリッド回路26Bは、Y偏波成分の内、I成分の光信号を第3のPD27Cに出力する。第2の光ハイブリッド回路26Bは、Y偏波成分の内、Q成分の光信号を第4のPD27Dに出力する。
【0025】
第1のPD27Aは、第1の光ハイブリッド回路26AからのX偏波成分のI成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を第1の出力ポート28Aに出力する。第2のPD27Bは、第1の光ハイブリッド回路26AからのX偏波成分のQ成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を第2の出力ポート28Bに出力する。
【0026】
第3のPD27Cは、第2の光ハイブリッド回路26BからのY偏波成分のI成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を第3の出力ポート28Cに出力する。第4のPD27Dは、第2の光ハイブリッド回路26BからのY偏波成分のQ成分の光信号を電気変換して利得調整し、利得調整後の電気信号を第4の出力ポート28Dに出力する。
【0027】
試験装置3は、第1及び第2の光源41と、第1及び第2の偏波コントローラ42と、第1及び第2の光スイッチ43と、パワーメータ44と、光ファイバアレイ45とを有する。第1の光源41Aは、受信光対応の第1の試験光を発光するLDである。第1の偏波コントローラ42Aは、第1の光源41Aからの第1の試験光を偏波する。尚、第1のGC31A及び第2のGC31Bの入力光がTM偏波の入力光の場合は、結合損失が大きくなる傾向にあるため、入力光はTE偏波であることが望ましい。そこで、第1の偏波コントローラ42Aは、第1の光源41Aからの第1の試験光をTE偏波してTE偏波の第1の試験光を出力する。第1の光スイッチ43Aは、第1の偏波コントローラ42AからのTE偏波の第1の試験光をウエハ2上の光チップ10内の試験回路12上の第1のGC31A又は第2のGC31Bに切替出力する。
【0028】
第2の光源41Bは、局発光対応の第2の試験光を発光するLDである。第2の偏波コントローラ42Bは、第2の光源41Bからの第2の試験光を偏波する。尚、第6のGC31Fの入力光がTM偏波の入力光の場合は、結合損失が大きくなる傾向にあるため、入力光はTE偏波であることが望ましい。そこで、第2の偏波コントローラ42Bは、第2の光源41Bからの第2の試験光をTE偏波してTE偏波の第2の試験光を出力する。第2の光スイッチ43Bは、パワーメータ44の入力と接続すると共に、試験回路12内の第3~第5のGC31C、31D及び31Eの出力と接続し、第3~第5のGC31C、31D及び31Eからの試験光に対する参照光をパワーメータ44に出力する。パワーメータ44は、第2の光スイッチ43Bの切替動作に応じて各参照光のパワーを計測する。
【0029】
図3は、試験装置3の一例を示す説明図である。第1及び第2の光源41、第1及び第2の偏波コントローラ42、第1及び第2の光スイッチ43及びパワーメータ44は、例えば、ラック等に搭載されているものとする。
【0030】
図4は、光ファイバアレイ45の一例を示す説明図である。
図4に示す光ファイバアレイ45は、第1~第6の光ファイバ45A~45Fを内蔵し、第1の光ファイバ45Aと第1のGC31Aとの間を光接続する。更に、光ファイバアレイ45は、第2の光ファイバ45Bと第2のGC31Bとの間、第3の光ファイバ45Cと第3のGC31Cとの間を光接続する。光ファイバアレイ45は、第4の光ファイバ45Dと第4のGC31Dとの間、第5の光ファイバ45Eと第5のGC31Eとの間、第6の光ファイバ45Fと第6のGC31Fとの間を光接続する。光ファイバアレイ45は、GC31と光ファイバとの間を調芯作業なく自動的に光接続できる部品である。尚、光ファイバアレイ45は、ウエハプローバ4との間で所定距離を離間した状態でウエハプローバ4上に固定し、ウエハプローバ4上に搭載されたウエハ2が上下左右に移動する。
【0031】
第1の光ファイバ45Aは、第1の光スイッチ43Aの一方の出力と第1のGC31Aの入力との間を光接続する光ファイバである。第2の光ファイバ45Bは、第1の光スイッチ43Aの他方の出力と第2のGC31Bの入力との間を光接続する光ファイバである。第3の光ファイバ45Cは、第2の光スイッチ43Bの入力と第3のGC31Cの出力との間を光接続する光ファイバである。第4の光ファイバ45Dは、第2の光スイッチ43Bの入力と第4のGC31Dの出力との間を光接続する光ファイバである。第5の光ファイバ45Eは、第2の光スイッチ43Bの入力と第5のGC31Eの出力との間を光接続する光ファイバである。第6の光ファイバ45Fは、第2の偏波コントローラ42Bの出力と第6のGC31Fの入力との間を光接続する光ファイバである。
【0032】
試験回路12は、第1~第6のGC31と、第1~第6の分岐カプラ32と、第1~第3の結合分離部33と、第1~第3の偏波回転部(PR:Polarization Rotator)34とを有する。第1~第6のGC31は、試験回路12上に所定間隔で整列配置されている。第1のGC31Aは、受信光ポート22の入力と光導波路で接続し、光ファイバアレイ45内の第1の光ファイバ45Aからの第1の試験光を光導波路に結合するデバイスである。第2のGC31Bは、受信光ポート22の入力と光導波路で接続し、光ファイバアレイ45内の第2の光ファイバ45Bからの第1の試験光を光導波路に結合するデバイスである。第6のGC31Fは、局発光ポート21の入力と光導波路で接続し、光ファイバアレイ45内の第6の光ファイバ45Fからの第2の試験光を光導波路に結合するデバイスである。第3のGC31Cは、光導波路と接続し、光導波路からの第1の参照光を光ファイバアレイ45内の第3の光ファイバ45Cに結合するデバイスである。第4のGC31Dは、光導波路と接続し、光導波路からの第1の参照光を光ファイバアレイ45内の第4の光ファイバ45Dに結合するデバイスである。第5のGC31Eは、光導波路と接続し、光導波路からの第2の参照光を光ファイバアレイ45内の第5の光ファイバ45Eに結合するデバイスである。GC31は、例えば、光ファイバに出射光を導くためのグレーティング部を有する。第1~第6のGC31は、ほぼ同一の光損失量である。第1~第6の分岐カプラ32は、1×2の入出力ポートを備え、出力ポート比が1:1の対称カプラである。第1~第6の分岐カプラ32は、ほぼ同一の光損失量である。
【0033】
第1~第3の結合分離部33は、2×2の入出力ポートを備えた、例えば、PBS(Polarization Beam Splitter)/PBC(Polarization Beam Combiner)である。第1~第3の結合分離部33は、ほぼ同一の光損失量である。第1~第3のPR34は、1×1の入出力ポートを備え、例えば、入力光がTE偏波の受信光の場合、TE偏波の受信光をTM偏波の受信光に偏波すると共に、入力光がTM偏波の受信光の場合、TM偏波の受信光をTE偏波の受信光に偏波する。第1~第3のPR34は、ほぼ同一の光損失量である。
【0034】
第1のGC31Aから第3のGC31Cまでの光導波路と、第1のGC31Aから受信光ポート22までの光導波路との所定距離単位の伝搬損失は、ほぼ同一とする。第1のGC31Aから第3のGC31Cまでの光導波路の距離は、第1のGC31Aから受信光ポート22までの光導波路の距離の2倍とする。
【0035】
第2のGC31Bから第4のGC31Dまでの光導波路と、第2のGC31Bから受信光ポート22までの光導波路との所定距離単位の伝搬損失は、ほぼ同一とする。第2のGC31Bから第4のGC31Dまでの光導波路の距離は、第2のGC31Bから受信光ポート22までの光導波路の距離の2倍とする。
【0036】
第6のGC31Fから第5のGC31Eまでの光導波路と、第6のGC31Fから局発光ポート21までの光導波路との所定距離単位の伝搬損失は、ほぼ同一とする。第6のGC31Fから第5のGC31Eまでの光導波路の距離は、第6のGC31Fから局発光ポート21までの光導波路の距離の2倍とする。
【0037】
第1のGC31Aは、試験装置3の第1の光スイッチ43Aの出力と接続し、第1の光スイッチ43Aからの受信光対応の第1の試験光を入力する。尚、第1のGC31Aの受信光対応の第1の試験光は、TE偏波の受信光を評価する際に使用する試験光である。第2のGC31Bは、試験装置3の第1の光スイッチ43Aの出力と接続し、第1の光スイッチ43Aからの第1の試験光を入力する。尚、第2のGC31Bの受信光対応の第1の試験光は、TM偏波の受信光を評価する際に使用する試験光である。第1の光スイッチ43Aは、試験装置3からの第1の試験光を第1のGC31A又は第2のGC31Bに切替出力するスイッチである。
【0038】
第3のGC31Cは、試験装置3内の第2の光スイッチ43Bの入力と接続し、第1のGC31A対応の第1の試験光に対する第1の参照光を第2の光スイッチ43Bに出力する。尚、第3のGC31Cの受信光対応の第1の参照光は、TE偏波の受信光を評価するための参照光である。第4のGC31Dは、第2の光スイッチ43Bの入力と接続し、第2のGC31B対応の第1の試験光に対する第1の参照光を第2の光スイッチ43Bに出力する。尚、第4のGC31Dの受信光対応の第1の参照光は、TM偏波の受信光を評価するための参照光である。第2の光スイッチ43Bは、参照光を切替出力するスイッチである。
【0039】
第6のGC31Fは、試験装置3内の第2の偏波コントローラ42Bの出力と接続し、第2の偏波コントローラ42Bからの局発光対応の第2の試験光を入力する。尚、第6のGC31Fの局発光対応の第2の試験光は、局発光を評価する際に使用する試験光である。第5のGC31Eは、第2の光スイッチ43Bの入力と接続し、第6のGC31F対応の第2の試験光に対する第2の参照光を第2の光スイッチ43Bに出力する。尚、第5のGC31Eの局発光対応の第2の参照光は、局発光を評価するための参照光である。
【0040】
第1の分岐カプラ32Aは、第1のGC31Aの出力と接続し、第1のGC31Aからの第1の試験光を入力する。第1の分岐カプラ32Aは、第1の結合分離部33Aの入力及び第2の結合分離部33Bの入力と接続し、第1のGC31Aからの第1の試験光を第1の結合分離部33A及び第2の結合分離部33Bに分岐出力する。尚、第1の分岐カプラ32Aの出力分岐比は、1:1である。
【0041】
第2の分岐カプラ32Bは、第2のGC31Bの出力と接続し、第2のGC31Bからの第1の試験光を入力する。第2の分岐カプラ32Bは、第1のPR34Aの入力及び第2のPR34Bの入力と接続し、第2のGC31Bからの第1の試験光を第1のPR34A及び第2のPR34Bに分岐出力する。尚、第2の分岐カプラ32Bの出力分岐比は、1:1である。
【0042】
第1のPR34Aは、第2の分岐カプラ32Bの一方の出力と接続し、第2の分岐カプラ32Bから分岐出力された第1の試験光をTM偏波する。第1のPR34Aは、第1の結合分離部33Aの入力と接続し、TM偏波の第1の試験光を第1の結合分離部33Aに出力する。
【0043】
第1の結合分離部33Aは、第1の分岐カプラ32Aの出力と接続し、第1の分岐カプラ32Aから分岐出力されたTE偏波の第1の試験光を入力する。第1の結合分離部33Aは、第1のPR34Aの出力と接続し、第1のPR34Aから出力されたTM偏波の第1の試験光を入力する。更に、第1の結合分離部33Aは、光回路11内の受信光ポート22と接続し、第1の分岐カプラ32AからのTE偏波の第1の試験光と第1のPR34AからのTM偏波の第1の試験光とを結合する。第1の結合分離部33Aは、結合後の第1の試験光を受信光ポート22に出力する。
【0044】
第2のPR34Bは、第2の分岐カプラ32Bの他方の出力と接続し、第2の分岐カプラ32Bから分岐出力されたTE偏波の第1の試験光をTM偏波する。第2のPR34Bは、第2の結合分離部33Bの入力と接続し、TM偏波の第1の試験光を第2の結合分離部33Bに出力する。
【0045】
第2の結合分離部33Bは、第1の分岐カプラ32Aの他方の出力と接続し、第1の分岐カプラ32Aから分岐出力されたTE偏波の第1の試験光を入力する。第2の結合分離部33Bは、第2のPR34Bの出力と接続し、第2のPR34Bから出力された偏波後のTM偏波の第1の試験光を入力する。そして、第2の結合分離部33Bは、第3の結合分離部33Cの入力と接続し、TE偏波の第1の試験光とTM偏波の第1の試験光とを結合し、結合後の第1の試験光を第3の結合分離部33Cに出力する。
【0046】
第3の結合分離部33Cは、第2の結合分離部33Bの出力と接続し、第2の結合分離部33Bからの第1の試験光を入力する。第3の結合分離部33Cは、第3の分岐カプラ32Cの入力及び第3のPR34Cの入力と接続し、第2の結合分離部33Bからの第1の試験光をTE偏波の第1の試験光及びTM偏波の第1の試験光に分離する。そして、第3の結合分離部33Cは、TE偏波の第1の試験光を第3の分岐カプラ32Cに出力すると共に、TM偏波の第1の試験光を第3のPR34Cに出力する。第3のPR34Cは、第3の結合分離部33Cの他方の出力と接続し、第3の結合分離部33Cから分離出力されたTM偏波の第1の試験光を入力し、TM偏波の第1の試験光をTE偏波する。第3のPR34Cは、第4の分岐カプラ32Dの入力と接続し、TE偏波の第1の試験光を第4の分岐カプラ32Dに出力する。
【0047】
第3の分岐カプラ32Cは、第3の結合分離部33Cの一方の出力と接続し、第3の結合分離部33Cから分離出力されたTE偏波の第1の試験光を入力する。第3の分岐カプラ32Cは、第3のGC31Cの入力と接続し、TE偏波の第1の試験光を第1の参照光として第3のGC31Cに出力する。第4の分岐カプラ32Dは、第3のPR34Cの出力と接続し、第3のPR34CからのTE偏波の第1の試験光を第4のGC31Dに出力する。
【0048】
第6の分岐カプラ32Fは、第6のGC31Fの出力と接続し、第6のGC31Fからの局発光対応の第2の試験光を入力する。第6の分岐カプラ32Fは、第5の分岐カプラ32Eの入力及び光回路11内の局発光ポート21と接続し、第2の試験光を第5の分岐カプラ32E及び局発光ポート21に分岐出力する。尚、第6の分岐カプラ32Fの出力分岐比は、1:1である。
【0049】
第5の分岐カプラ32Eは、第6の分岐カプラ32Fの他方の出力と接続し、第5の分岐カプラ32Eから分岐出力された第2の試験光を入力すると共に、第5のGC31Eの入力と接続し、第2の試験光を第2の参照光として第5のGC31Eに入力する。そして、第5のGC31Eは、第5の分岐カプラ32Eの出力と接続し、第2の参照光を入力すると共に、第2の光スイッチ43Bの入力と接続し、第2の参照光を第2の光スイッチ43Bに出力する。
【0050】
第2の光スイッチ43Bは、第3のGC31Cからの第1のGC31A対応の第1の参照光、第4のGC31Dからの第2のGC31B対応の第1の参照光、第5のGC31Eからの第6のGC31F対応の第2の参照光をパワーメータ44に切替出力する。パワーメータ44は、第2の光スイッチ43Bの切替動作に応じて、第1のGC31A対応の第1の参照光、第2のGC31B対応の第1の参照光及び第6のGC31F対応の第2の参照光のパワーを計測できる。
【0051】
次に本実施例の試験システム1の動作について説明する。先ず、ウエハプローバ4上にウエハ2を載置する。そして、ウエハ2上の光チップ10内の試験回路12が移動することで、試験回路12内の第1~第6のGC31A~31Fと光ファイバアレイ45内の第1~第6の光ファイバ45A~45Fとの間で光接続した状態で試験動作を開始することになる。
【0052】
第1の偏波コントローラ42Aは、第1の光源41Aからの第1の試験光をTE偏波し、TE偏波の第1の試験光を第1の光スイッチ43Aに入力する。第1の光スイッチ43Aは、切替動作に応じて、TE偏波の第1の試験光を第1のGC31A及び第2のGC31Bに入力する。TE偏波の第1の試験光を第1のGC31A又は第2のGC31Bに入力するため、結合損失を小さくすることができる。
【0053】
先ず、第1のGC31Aは、入力したTE偏波の第1の試験光を第1の分岐カプラ32Aに出力する。第1の分岐カプラ32Aは、TE偏波の第1の試験光を第1の結合分離部33A及び第2の結合分離部33Bに分岐出力する。第2のGC31Bは、入力したTE偏波の第1の試験光を第2の分岐カプラ32Bに出力する。第2の分岐カプラ32Bは、TE偏波の第1の試験光を第1のPR34A及び第2のPR34Bに分岐出力する。第1のPR34Aは、第2の分岐カプラ32Bから分岐出力されたTE偏波の第1の試験光をTM偏波し、TM偏波の第1の試験光を第1の結合分離部33Aに出力する。そして、第1の結合分離部33Aは、第1の分岐カプラ32AからのTE偏波の第1の試験光と、第1のPR34AからのTM偏波の第1の試験光とを結合し、結合後の第1の試験光を光回路11内の受信光ポート22に出力する。
【0054】
第2のPR34Bは、第2の分岐カプラ32Bから分岐出力されたTE偏波の第1の試験光をTM偏波し、TM偏波の第1の試験光を第2の結合分離部33Bに出力する。第2の結合分離部33Bは、第1の分岐カプラ32AからのTE偏波の第1の試験光と第2のPR34BからのTM偏波の第1の試験光とを結合し、結合後の第1の試験光を第3の結合分離部33Cに出力する。
【0055】
第3の結合分離部33Cは、第2の結合分離部33Bからの第1の試験光を偏波分離し、偏波分離後のTE偏波の第1の試験光を第3の分岐カプラ32Cに出力すると共に、偏波分離後のTM偏波の第1の試験光を第3のPR34Cに出力する。第3のPR34Cは、第3の結合分離部33CからのTM偏波の第1の試験光をTE偏波し、TE偏波の第1の試験光を第4の分岐カプラ32Dに出力する。
【0056】
第3の分岐カプラ32Cは、第3の結合分離部33CからのTE偏波の第1の試験光を第3のGC31Cに出力する。尚、第3のGC31Cは、第1のGC31A対応の第1の試験光に対する第1の参照光を出力することになる。また、第4の分岐カプラ32Dは、第3のPR34CからのTE偏波の第1の試験光を第4のGC31Dに出力する。尚、第4のGC31Dは、第2のGC31B対応の第1の試験光に対する第1の参照光を出力することになる。
【0057】
また、第2の偏波コントローラ42Bは、第2の光源41Bからの局発光対応の第2の試験光をTE偏波し、TE偏波の第2の試験光を第6の光ファイバ45Fを通じて第6のGC31Fに出力する。第6のGC31Fは、TE偏波の第2の試験光を第6の分岐カプラ32Fに出力する。第6の分岐カプラ32Fは、TE偏波の第2の試験光を光回路11の局発光ポート21及び第5の分岐カプラ32Eに分岐出力する。第5の分岐カプラ32Eは、第6の分岐カプラ32FからのTE偏波の第2の試験光を第5のGC31Eに出力する。尚、第5のGC31Eは、第6のGC31F対応の第2の試験光に対する第2の参照光を出力することになる。
【0058】
つまり、第3のGC31Cは、第1のGC31A対応の第1の参照光を出力し、第4のGC31Dは、第2のGC31B対応の第1の参照光を出力し、第5のGC31Eは、第6のGC31F対応の第2の参照光を出力する。第2の光スイッチ43Bは、切替動作に応じて、第3のGC31Cから第1の参照光、第4のGC31Dから第1の参照光、第5のGC31Eから第2の参照光をパワーメータ44に切替出力する。
【0059】
パワーメータ44は、第2の光スイッチ43Bの切替動作に応じて、TE偏波の受信光対応の第1の参照光、TM偏波の受信光対応の第1の参照光及び局発光対応の第2の参照光の出力パワーを計測できる。
【0060】
そして、ウエハ2上の光チップ10毎の参照光のパワー、例えば、
図2の左から右への列単位で光チップ10毎の参照光のパワーを計測し、計測結果から評価する。列単位の全光チップ10の参照光のパワーの計測及び評価動作が完了した場合、列単位の全光チップ10のダイシングライン13に沿ってダイシングする。そして、次の列単位の光チップ10毎の参照光のパワーの計測動作を開始し、ウエハ2上の全ての光チップ10の計測動作が完了するまで続けることになる。また、ウエハ2の光チップ10毎のダイシングライン13に沿ってダイシングすることで、光チップ10内の光回路11と試験回路12とを分断し、光回路11のみの光チップ10を取得できる。
【0061】
図5は、光通信デバイス100の一例を示す説明図である。
図5に示す光通信デバイス100は、LD101と、光通信パッケージ102と、DSP103とを有する。LD101は、局発光を発光するローカル光源である。光通信パッケージ102は、例えば、デジタルコヒーレント送受信器である。光通信パッケージ102は、信号光を送信する送信部102Aと、信号光を受信する受信部102Bとを有する。受信部102Bは、例えば、デジタルコヒーレント受信器等の試験回路12を切断した後の光チップ10である。DSP103は、受信部102B内の第1~第4の出力ポート28A~28Dから入力した各電気信号をデジタル変換する。DSP103は、デジタル変換後のX偏波成分内のI成分及びQ成分と、Y偏波成分内のI成分及びQ成分に対してデジタル信号処理を施し、X偏波成分及びY偏波成分を復調信号に復調する。
【0062】
尚、GCを用いる場合はGCの結合損失を考慮する必要があるので、GCに入力した試験光の一部をタップカプラで分岐した後、GCで取り出し、パワーメータで計測した値を参照光とすることも考えられる。参照光の値からタップカプラの分岐による損失と光導波路の伝搬損失を引いたものがGC2個分の損失となる。
【0063】
しかしながら、タップ導波路の出力分岐比が偏波により異なるためにTE光とTM光で参照光のパワーが異なる。また、タップ導波路の出力分岐比が波長依存性をもつため、両偏波の光が全ての波長範囲で計測に必要とされる出力分岐比で分岐されるようにタップ導波路を設計する必要がある。また、GCを使った計測では、GCから光チップまでの損失を校正データとし、実測の損失から校正データを引いたものを光チップの損失とする。タップカプラの出力分岐比、光導波路の伝搬損失等を考慮して計測値を校正する必要があるため、校正が複雑となり、計測精度が悪くなる。
【0064】
これに対して本実施例では、タップ導波路ではなく、第1のGC31A、第2のGC31B及び第6のGC31F等の入力用GC31の出力段に、第1の分岐カプラ32A、第2の分岐カプラ32B及び第6の分岐カプラ32F等の分岐カプラ32を配置する。更に、例えば、第3のGC31C、第4のGC31D及び第5のGC31E等の参照用GC31の入力段に、例えば、第3の分岐カプラ32C、第4の分岐カプラ32D及び第5の分岐カプラ32E等の分岐カプラ32を配置する。更に、入力用GC31から参照用GC31までの光導波路の総延長が、入力用GC31から光回路11までの光導波路の総延長の2倍となるようにする。その結果、第1~第6の分岐カプラ31は1×2の入出力ポートを使用するため、出力分岐比の波長依存性がなくなるため、計測精度が向上する。さらに、タップカプラを使用しなくても、参照用GC31の前にも同じ分岐カプラ32を挿入することで、校正が容易となり、計測精度が上がる。しかも、偏波多重信号を扱う光チップ10の試験をウエハ2の状態で精度よく行うことができる。
【0065】
本実施例の光チップ10は、入力用GC31に分岐カプラ32が接続され、分岐カプラ32の2出力の一方が光回路11に接続され、他方が参照用GC31に接続される。例えば、第6のGC31Fに第6の分岐カプラ32Fが接続され、第6の分岐カプラ32Fの2出力の一方が局発光ポート21に接続され、他方が第5のGC31Eに接続される。第1のGC31Aに第1の分岐カプラ32Aが接続され、第1の分岐カプラ32Aの2出力の一方が受信光ポート22に接続され、他方が第3のGC31Cに接続される。第2のGC31Bに第2の分岐カプラ32Bが接続され、第2の分岐カプラ32Bの2出力の一方が受信光ポート22に接続され、他方が第4のGC31Dに接続される。つまり、分岐カプラ32は全ての波長、TE、TM両偏波で出力分岐比は1:1であるので、波長、偏波によらず計測対象である光回路11への入力光パワーと参照用GC31に入る光パワーとが等しくなる。その結果、校正が容易となり、また計測精度が向上する。
【0066】
例えば、第2の試験光は、第6のGC31Fと局発光ポート21との間で1個の分岐カプラ32(第6の分岐カプラ32F)を通過する。これに対して、第2の試験光に対する第2の参照光は、第6のGC31Fと第5のGC31Eとの間で2個の分岐カプラ32(第5の分岐カプラ32E及び第6の分岐カプラ32F)を通過する。すなわち、第2の試験光の損失は、第2の参照光の損失の半分を校正データとすることができる。
【0067】
例えば、TE偏波の受信光対応の第1の試験光は、第1のGC31Aと受信光ポート22との間で1個の分岐カプラ32(第1の分岐カプラ32A)を通過する。これに対して、TE偏波の受信光対応の第1の試験光に対する第1の参照光は、第1のGC31Aと第3のGC31Cとの間で2個の分岐カプラ32(第1の分岐カプラ32A及び第3の分岐カプラ32C)を通過する。すなわち、TE偏波の受信光対応の第1の試験光の損失は、第1の参照光の損失の半分を校正データとすることができる。
【0068】
例えば、TM偏波の受信光対応の第1の試験光は、第2のGC31Bと受信光ポート22との間で1個の分岐カプラ32(第2の分岐カプラ32B)を通過する。これに対して、TM偏波の受信光対応の第1の試験光に対する第1の参照光は、第2のGC31Bと第4のGC31Dとの間で2個の分岐カプラ32(第2の分岐カプラ32B及び第4の分岐カプラ32D)を通過する。すなわち、TM偏波の受信光対応の第1の試験光の損失は、第1の参照光の損失の半分を校正データとすることができる。
【0069】
例えば、TE偏波の受信光対応の第1の試験光は、第1のGC31Aと受信光ポート22との間で1個の結合分離部33(第1の結合分離部33A)を通過する。これに対して、TE偏波の受信光対応の第1の試験光に対する第1の参照光は、第1のGC31Aと第3のGC31Cとの間で2個の結合分離部33(第2の結合分離部33B及び第3の結合分離部33C)を通過する。すなわち、結合分離部33の損失が無視できない場合でも、TE偏波の受信光対応の第1の試験光の損失は、第1の参照光の損失の半分を校正データとすることができる。
【0070】
例えば、TE偏波の受信光対応の第1の試験光は、第1のGC31Aと受信光ポート22との間で1個のPR34(第1のPR34A)を通過する。これに対して、TE偏波の受信光対応の第1の試験光に対する第1の参照光は、第1のGC31Aと第3のGC31Cとの間で2個のPR34(第2のPR34B及び第3のPR34C)を通過する。すなわち、PR34の損失が無視できない場合でも、TE偏波の受信光対応の第1の試験光の損失は、第1の参照光の損失の半分を校正データとすることができる。
【0071】
第1のGC31Aから第3のGC31Cまでの光導波路の距離は、第1のGC31Aから受信光ポート22までの光導波路の距離の2倍とする。第2のGC31Bから第4のGC31Dまでの光導波路の距離は、第2のGC31Bから受信光ポート22までの光導波路の距離の2倍とする。また、第6のGC31Fから第5のGC31Eまでの光導波路の距離は、第6のGC31Fから局発光ポート21までの光導波路の距離の2倍とする。その結果、光導波路の伝搬損失が無視できない場合でも、試験光の損失は、参照光の損失の半分を校正データとすることができる。
【0072】
試験回路12は、試験回路12の表面から、第1の試験光を入力する第1のGC31Aと、試験回路12の表面から、第1の試験光を第1の参照光として出力する第3のGC31Cとを有する。つまり、試験回路12の表面にGC31を配置したので、光チップ10の試験をウエハ2の状態で精度よく行うことができる。
【0073】
例えば、局発光対応の第2の試験光LO―inに対する第2の参照光は、第6のGC31Fと第5のGC31Eとの間で2個の分岐カプラ32(第6の分岐カプラ32F及び第5の分岐カプラ32E)を通過する。これに対して、局発光対応の第2の試験光は、第6のGC31Fと局発光ポート21との間で1個の分岐カプラ32(第6の分岐カプラ32F)を通過する。その結果、局発光対応の第2の試験光の損失は、第2の参照光の損失を半分にしたものが校正データとなる。
【0074】
また、TE偏波の受信光対応の第1の試験光Rx-TE-inの第1の参照光は、第1のGC31Aと第3のGC31Cとの間で2個の分岐カプラ32(第1の分岐カプラ32A及び第3の分岐カプラ32C)及び2個の結合分離部33(第2の結合分離部33B及び第3の結合分離部33C)を通過する。これに対して、TE偏波の受信光対応の第1の試験光は、第1のGC31Aと受信光ポート22との間で1個の分岐カプラ32(第1の分岐カプラ32A)及び1個の結合分離部33(第1の結合分離部33A)を通過する。その結果、TE偏波の受信光対応の第1の試験光の損失は、第1の参照光の損失を半分にしたものが校正データとなる。
【0075】
また、TM偏波の受信光対応の第1の試験光Rx-TM-inの第1の参照光は、第2のGC31Bと第4のGC31Dとの間で2個の分岐カプラ32(第2の分岐カプラ32B及び第4の分岐カプラ32D)、2個のPR34(第2のPR34B及び第3のPR34C)及び2個の結合分離部33(第2の結合分離部33B及び第3の結合分離部33C)を通過する。これに対して、TM偏波の受信光対応の第1の試験光は、第2のGC31Bと受信光ポート22との間で1個の分岐カプラ32(第2の分岐カプラ32B)、1個のPR34(第1のPR34A)及び1個の結合分離部33(第1の結合分離部33A)を通過する。その結果、TM偏波の受信光対応の第1の試験光の損失は、第1の参照光の損失を半分にしたものが校正データとなる。
【0076】
試験回路12は、第1のGC31A、第2のGC31B、第3のGC31C及び第4のGC31Dが試験回路12の表面に等間隔に配置される。その結果、試験回路12内にGC31を使用するため、ウエハ表面方向から光ファイバアレイ45をGC31に近づけて試験光を入射し、光回路11に試験光を入力できるので、ウエハ状態での試験が可能となる。光ファイバアレイ45を用いた評価が可能となり、評価時の光軸の調整がしやすくなる。
【0077】
尚、説明の便宜上、第2の分岐カプラ32Bと第1の結合分離部33Aとの間に第1のPR34A、第2の分岐カプラ32Bと第2の結合分離部33Bとの間に第2のPR34B、第3の分岐カプラ32Cと第3の結合分離部33Cとの間に第3のPR34Cを配置する場合を例示したが、これら第1のPR34A、第2のPR34B及び第3のPR34Cを配置しなくても良く、適宜変更可能である。
【0078】
また、光ファイバアレイ45は、ウエハプローバ4上に固定し、ウエハプローバ4上に搭載されたウエハ2が光ファイバアレイ45に対して上下左右に移動する場合を例示した。しかしながら、光ファイバアレイ45がウエハ2上を上下左右に移動しても良く、適宜変更可能である。
【0079】
また、光回路11は、デジタルコヒーレント光受信回路を例示したが、デジタルコヒーレント方式に限定されるものではなく、他の方式の光受信回路でも良く、適宜変更可能である。また、光回路11は、光受信回路に限定されるものではなく、光送信回路でも良く、適宜変更可能である。
【0080】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0081】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
3 試験装置
10 光チップ
11 光回路
12 試験回路
21 局発光ポート
22 受信光ポート
31A~31F 第1~第6のGC
32A~32F 第1~第6の分岐カプラ
33A~33C 第1~第3の結合分離部
34A~34C 第1~第3のPR