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特許7567183音入出力制御装置、音入出力制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】音入出力制御装置、音入出力制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20241008BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20241008BHJP
   H04Q 9/02 20060101ALI20241008BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20241008BHJP
   H04R 3/12 20060101ALI20241008BHJP
   H04R 5/033 20060101ALI20241008BHJP
   H04S 1/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H04R1/10 104E
H04Q9/00 301E
H04Q9/02 B
H04R3/00 310
H04R3/12 Z
H04R5/033 Z
H04S1/00 500
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020052621
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021153243
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】崔 丁珠
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】富澤 克美
(72)【発明者】
【氏名】宮口 涼
(72)【発明者】
【氏名】竹原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】小俣 成史
【審査官】渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0166428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0023417(US,A1)
【文献】特開2009-152666(JP,A)
【文献】特開2004-120313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03J 9/00- 9/06
H04Q 9/00- 9/16
H04R 1/10
H04R 3/00- 3/14
H04R 5/00- 5/04
H04S 1/00- 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する複数の音出力装置を制御する音入出力制御装置であって、
前記音出力装置のそれぞれにおいて検出される姿勢信号に基づいて前記音出力装置のそれぞれの姿勢を算出する姿勢算出部と、
前記姿勢算出部によって算出された複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期しているか否かを判定する同期性判定部と、
前記音出力装置のそれぞれの動作を制御する動作制御部と、
を備え、
前記音出力装置の少なくとも1つは、当該音出力装置が装着されたユーザの音声を収音する音入力部を備え、
前記同期性判定部によって複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していないと判定された場合に、前記動作制御部は、前記姿勢算出部によって算出された前記音出力装置のそれぞれの姿勢に基づいて、それぞれの前記音出力装置が異なるユーザの左耳と右耳のどちらに装着されているかを判定し、それぞれの前記音出力装置のうち少なくとも2つが異なるユーザの異なる側に装着されている場合、前記音出力装置のそれぞれにモノラル方式の音を出力させる制御、又は前記音出力装置のそれぞれの音量を個別に調整する制御の少なくとも一方を行い、それぞれの前記音出力装置が異なるユーザの同じ側に装着されている場合、一の前記音出力装置から当該音出力装置の前記音入力部によって収音された音声を他の前記音出力装置に出力させる制御を行う、音入出力制御装置。
【請求項2】
前記姿勢信号は、前記音出力装置の方角に関する信号であり、
前記姿勢算出部は、前記音出力装置のそれぞれの方角を算出する、請求項に記載の音入出力制御装置。
【請求項3】
ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する複数の音出力装置を音入出力制御装置によって制御する音入出力制御方法であって、
前記音入出力制御装置が、
前記音出力装置のそれぞれにおいて検出される姿勢信号に基づいて前記音出力装置のそれぞれの姿勢を算出し、
算出した複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期しているか否かを判定し、
前記音出力装置のそれぞれの動作を制御し、
前記音出力装置の少なくとも1つは、当該音出力装置が装着されたユーザの音声を収音する音入力部を備え、
前記音入出力制御装置が、複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していないと判定した場合に、算出した前記音出力装置のそれぞれの姿勢に基づいて、それぞれの前記音出力装置が異なるユーザの左耳と右耳のどちらに装着されているかを判定し、それぞれの前記音出力装置のうち少なくとも2つが異なるユーザの異なる側に装着されている場合、前記音出力装置のそれぞれにモノラル方式の音を出力させる制御、又は前記音出力装置のそれぞれの音量を個別に調整する制御の少なくとも一方を行い、それぞれの前記音出力装置が異なるユーザの同じ側に装着されている場合、一の前記音出力装置から当該音出力装置の前記音入力部によって収音された音声を他の前記音出力装置に出力させる制御を行う、音入出力制御方法。
【請求項4】
音入出力制御装置に、ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する複数の音出力装置を制御する処理を実行させるプログラムであって、
前記音入出力制御装置に、
前記音出力装置のそれぞれにおいて検出される姿勢信号に基づいて前記音出力装置のそれぞれの姿勢を算出する処理と、
算出した複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期しているか否かを判定する処理と、
前記音出力装置のそれぞれの動作を制御する処理と、
を実行させ、
前記音出力装置の少なくとも1つは、当該音出力装置が装着されたユーザの音声を収音する音入力部を備え、
前記音入出力制御装置に、複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していないと判定した場合に、算出した前記音出力装置のそれぞれの姿勢に基づいて、それぞれの前記音出力装置が異なるユーザの左耳と右耳のどちらに装着されているかを判定し、それぞれの前記音出力装置のうち少なくとも2つが異なるユーザの異なる側に装着されている場合、前記音出力装置のそれぞれにモノラル方式の音を出力させる制御、又は前記音出力装置のそれぞれの音量を個別に調整する制御の少なくとも一方を行い、それぞれの前記音出力装置が異なるユーザの同じ側に装着されている場合、一の前記音出力装置から当該音出力装置の前記音入力部によって収音された音声を他の前記音出力装置に出力させる制御を行う処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音入出力制御装置、音入出力制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドホンの左右のイヤホンのそれぞれの角度方位を測定し、測定された当該角度方位に従って、ヘッドホンがユーザの頭部に装着されているか否か、どちらのイヤホンがユーザの左耳と右耳のどちらを覆っているかを判定する技術が記載されている。また、特許文献1には、上記の判定結果に従って、音楽の再生とスタンバイとを切り替えたり、どちらのイヤホンに左耳用と右耳用のどちらの音声信号を出力するかを切り替えたりすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-180082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年、左右のイヤホンが完全にワイヤレスな、フルワイヤレスイヤホン(TWS:True Wireless Stereo)が普及しつつある。フルワイヤレスイヤホンは、左右のイヤホンによってステレオ方式で音を出力する。本発明者らは、フルワイヤレスイヤホンのように、独立して使用可能な複数の音出力装置における、ステレオ方式の音の出力という通常の動作モード以外の動作モードも可能にする技術に想到した。
【0005】
本発明は、音出力装置により広い用途を付与できる音入出力制御装置、音入出力制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る音入出力制御装置は、ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する複数の音出力装置を制御する音入出力制御装置であって、前記音出力装置のそれぞれにおいて検出される姿勢信号に基づいて前記音出力装置のそれぞれの姿勢を算出する姿勢算出部と、前記姿勢算出部によって算出された複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期しているか否かを判定する同期性判定部と、前記音出力装置のそれぞれの動作を制御する動作制御部と、を備え、前記同期性判定部によって複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していると判定された場合に、前記動作制御部は、第1の動作を行うように前記音出力装置のそれぞれを制御し、前記同期性判定部によって複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していないと判定された場合に、前記動作制御部は、第2の動作を行うように前記音出力装置のそれぞれを制御する。
【0007】
本発明に係る音入出力制御方法は、ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する複数の音出力装置を音入出力制御装置によって制御する音入出力制御方法であって、前記音入出力制御装置が、前記音出力装置のそれぞれにおいて検出される姿勢信号に基づいて前記音出力装置のそれぞれの姿勢を算出し、算出した複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期しているか否かを判定し、複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していると判定した場合に、第1の動作を行うように前記音出力装置のそれぞれを制御し、複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していないと判定した場合に、第2の動作を行うように前記音出力装置のそれぞれを制御するものである。
【0008】
本発明に係るプログラムは、音入出力制御装置に、ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する複数の音出力装置を制御する処理を実行させるプログラムであって、前記音入出力制御装置に、前記音出力装置のそれぞれにおいて検出される姿勢信号に基づいて前記音出力装置のそれぞれの姿勢を算出する処理と、算出した複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期しているか否かを判定する処理と、複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していると判定した場合に、第1の動作を行うように前記音出力装置のそれぞれを制御し、複数の前記音出力装置のうち少なくとも2つの姿勢の変化が同期していないと判定した場合に、第2の動作を行うように前記音出力装置のそれぞれを制御する処理と、を実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、音出力装置により広い用途を付与できる音入出力制御装置、音入出力制御方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る音入出力制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態2に係る音入出力制御装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態1又は2に係る音入出力制御方法の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態1又は2に係る音入出力制御方法の他の例を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施の形態1又は2に係る音入出力制御方法の他の例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態1又は2に係る音入出力制御方法の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る音入出力制御装置200の構成を模式的に示すブロック図である。音入出力制御装置200は、図1に示す音出力装置100の動作を制御する。具体的には、音入出力制御装置200は、ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する複数の音出力装置100を制御する。これにより、音入出力制御装置200は、音出力装置100に、より広い用途を付与することができる。
【0012】
音出力装置100は、フルワイヤレスイヤホン、フルワイヤレス骨伝導イヤホン等の完全に独立した個々のイヤホン等であり、例えばユーザの左右の耳に独立して装着される。すなわち、複数の音出力装置100は、互いに完全に独立して、ユーザに装着される。通常、フルワイヤレスイヤホン、フルワイヤレス骨伝導イヤホン等は、2個の完全に独立したイヤホンが1組となっている。しかし、本発明では、3個以上の音出力装置100が1組となっていてもよい。複数の音出力装置100は、ユーザの頬骨などに左右独立して装着されてもよく、首掛けスピーカやウェアラブルスピーカであってもよい。音出力装置100は、フルワイヤレス型に限定されず、その一部が有線接続であってもよい。
【0013】
本実施の形態1に係る音出力装置100は、図1に示すように、姿勢センサ101、音出力部102、音入力部103、通信部104、装着センサ105等を備える。なお、1組の音出力装置100のうち、少なくとも1つの音出力装置100が音入力部103を備えていればよく、他の音出力装置100は音入力部103を備えていなくてもよい。また、音出力装置100は、装着センサ105を備えていなくてもよい。また、1組の音出力装置100のすべてが音入力部103を備えない形態であってもよい。
【0014】
姿勢センサ101は、当該姿勢センサ101が備えられた音出力装置100の姿勢を検出するセンサであり、例えば、3軸方位センサ(地磁気センサ)、3軸角速度センサ(ジャイロセンサ)、3軸加速度センサ、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機等である。姿勢センサ101が検出した姿勢信号は、通信部104によって、音入出力制御装置200に送信される。姿勢センサ101が3軸方位センサである場合、姿勢センサ101は音出力装置100の方角に関する姿勢信号を検出する。また、姿勢センサ101が3軸角速度センサである場合、姿勢センサ101は音出力装置100の3軸回りの回転角に関する姿勢信号を検出する。また、姿勢センサ101が3軸加速度センサである場合、姿勢センサ101は音出力装置100の重力加速度方向に直交する2軸回りの回転角に関する姿勢信号を検出する。また、姿勢センサ101がGNSS受信機である場合、姿勢センサ101は音出力装置100の進行方向に関する姿勢信号を検出する。
【0015】
音出力部102は、スピーカ、又は、骨伝導スピーカ等を備え、スマートフォン等の携帯機器、DAP(Digital Audio Player)、CDプレーヤ等の音楽再生装置(図示省略)から取得する音声信号に従って、ユーザに向けて音を出力する。音楽再生装置からの音声信号は、音入出力制御装置200を介して通信部104によって受信されてもよいし、音入出力制御装置200を介さずに、直接、通信部104によって受信されてもよい。
また、音出力部102は、他の音出力装置100から通信部104が受信した音声信号に従って、ユーザに向けて音を出力する形態があってもよい。具体的には、他の音出力装置100の音入力部103が音声を収音することにより音声信号を取得し、音出力部102は、当該他の音出力装置100から通信部104が受信した当該音声信号に従って、当該音声を出力する。
【0016】
音入力部103は、マイク等であり、音出力装置100が装着したユーザの音声を収音して音声信号を取得する。なお、音入力部103は、ユーザが当該音出力装置100を耳に装着した状態で、ユーザの音声を収音可能となっている。音入力部103が取得した音声信号は、通信部104によって、音入出力制御装置200又は他の音出力装置100に送信される。なお、音入力部103は、1組の音出力装置100のうち、全ての音出力装置100に備えられていてもよいし、少なくとも1つの音出力装置100に備えられていてもよい。1組の音出力装置100のうち、1台の音出力装置100にのみ音入力部103が備えられる場合、音入力部103が備えられた音出力装置100をマスター装置とし、他の音出力装置100をスレーブ装置としてもよい。
【0017】
通信部104は、当該通信部104が備えられる音出力装置100と、他の音出力装置100及び音入出力制御装置200、又は上述した音楽再生装置(図示省略)との間の通信を行う。
音出力装置100間の通信は、近接場磁気誘導(NFMI:Near Field Magnetic Induction)通信、及び、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN、赤外線通信、NFC(Near Field Communication)等の近距離無線通信等である。音出力装置100間の通信として何れの通信を用いるのか、音出力装置100間の距離に応じて切り替えられてもよい。
音出力装置100と音入出力制御装置200との間の通信は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN、赤外線通信、NFC等の近距離無線通信等である。音出力装置100と音入出力制御装置200との間の通信として何れの通信を用いるのか、音出力装置100と音入出力制御装置200との間の距離に応じて切り替えられてもよい。
【0018】
装着センサ105は、音出力装置100がユーザに装着されたことを検出するセンサである。具体的には、装着センサ105は、赤外線センサ、感圧センサ等である。装着センサ105が検出した装着検出信号は、通信部104によって、音入出力制御装置200に送信される。
【0019】
音入出力制御装置200は、上述したように、ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する複数の音出力装置100を制御する。例えば、音入出力制御装置200は、1組の音出力装置100のうち、少なくとも2台の音出力装置100を制御する。音入出力制御装置200は、図1に示すように、姿勢算出部201、同期性判定部202、動作制御部203、音入出力処理部204、通信部205等を備える。
【0020】
姿勢算出部201は、音出力装置100のそれぞれにおいて検出される姿勢信号に基づいて当該音出力装置100のそれぞれの姿勢を算出する。すなわち、姿勢算出部201は、1組の音出力装置100のそれぞれから、姿勢信号を個別に取得し、当該姿勢信号に基づいて、当該音出力装置100のそれぞれの姿勢を算出する。
具体的には、音出力装置100の姿勢センサ101が3軸方位センサである場合、姿勢算出部201は、それぞれの音出力装置100の方角を算出する。また、音出力装置100の姿勢センサ101が3軸角速度センサである場合、姿勢算出部201は、それぞれの音出力装置100の動きの角速度を算出する。また、音出力装置100の姿勢センサ101が3軸加速度センサである場合、姿勢算出部201は、それぞれの音出力装置100の重力方向に対する姿勢、又は、それぞれの音出力装置100の動きの加速度を算出する。また、姿勢センサ101がGNSS受信機である場合、姿勢算出部201は、それぞれの音出力装置100の進行方向や移動距離、移動速度を算出する。
【0021】
同期性判定部202は、姿勢算出部201によって算出された複数の音出力装置100の姿勢の変化が同期しているか否かを判定する。すなわち、同期性判定部202は、姿勢算出部201が算出した1組の音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期しているか否かを判定する。
複数の音出力装置100が同一のユーザの左右の耳に装着されている場合、例えばユーザが歩行している場合には、複数の音出力装置100は、ユーザから見て前後方向に同一速度かつ同一方向の動き(姿勢の変化)を、上下方向にはほぼ同一のリズムでの振動の動きを検出し、左右方向には共にほとんど姿勢の変化を検出しない。また、たとえばユーザが首をひねる動作をした場合、複数の音出力装置100は、ユーザから見て前後および左右方向には同一の速度で正反対方向に動くような回転の動きを検出し、上下方向には共にほとんど姿勢の変化を検出しない。ユーザがうつむく、ジャンプする、寝転がるなど、それぞれの動きによって、同一速度でかつ同一方向、または同一速度でかつ正反対方向などの動きを判定でき、これらを姿勢の変化が同期していると判定する。
また、複数の音出力装置100が同一のユーザの左右の耳に装着されている場合でも、斜めにひねるような動き、ユーザの左肩や右肩を中心とする回転の動きなど、速度が一致しない場合もあるため、機械学習などによって判定精度を向上させる機能を有することが好ましい。
ここで、「姿勢の変化」とは、複数の音出力装置100が同一のユーザに装着されている際の当該複数の音出力装置100のそれぞれの姿勢からの変化を意味している。例えば、姿勢算出部201が、同一のユーザの例えば左耳と右耳に正対するように装着された音出力装置100のそれぞれの方角は、正反対の方角として検出される可能性がある。また、ユーザの右耳の穴の軸方向と左耳の穴の軸方向とが一致していない場合もありうる。そのため、同期性判定部202は、2台の音出力装置100がユーザの右耳と左耳に装着された際の姿勢の初期値を予め記憶しておき、当該姿勢の初期値に基づいて、姿勢算出部201によって算出された2台の音出力装置100の姿勢の値を補正する、キャリブレーション機能を備えることが好ましい。具体的には、姿勢算出部201が音出力装置100の方角を算出する場合、同期性判定部202は、一方に装着された音出力装置100の算出値を上記初期値の差分を用いて補正することにより、ユーザの左右差に伴う方角差を補正して、2台の音出力装置100が同一のユーザの右耳と左耳に装着された際に同一の姿勢であると判断できるよう校正することができる。これにより、同期性判定部202は、複数の音出力装置100が同一のユーザに装着されている際の当該複数の音出力装置100のそれぞれの姿勢からの変化を精度よく比較することができる。同様に、同期性判定部202は、姿勢算出部201によって算出された他の姿勢についても初期値を用いて補正を行う。
具体的には、例えば、姿勢算出部201によって音出力装置100のそれぞれの方角が算出された場合、同期性判定部202は、複数の音出力装置100の方角の変化が一致するか否かに基づいて、複数の音出力装置100の姿勢の変化が同期しているか否かを判定する。また、姿勢算出部201によって音出力装置100のそれぞれの動きの角速度が算出された場合、同期性判定部202は、複数の音出力装置100の動きの角速度の変化が一致するか否かに基づいて、複数の音出力装置100の姿勢の変化が同期しているか否かを判定する。また、姿勢算出部201によって音出力装置100のそれぞれの重力に対する姿勢や動きの加速度が算出された場合、同期性判定部202は、複数の音出力装置100の重力に対する姿勢や動きの加速度の変化が一致するか否かに基づいて、複数の音出力装置100の姿勢の変化が同期しているか否かを判定する。また、姿勢算出部201によって音出力装置100のそれぞれの進行方向が算出された場合、同期性判定部202は、複数の音出力装置100の進行方向や移動距離、移動速度の変化が一致するか否かに基づいて、複数の音出力装置100の姿勢の変化が同期しているか否かを判定する。
【0022】
動作制御部203は、1組の音出力装置100のそれぞれの動作を制御する。
具体的には、同期性判定部202によって複数の音出力装置100の姿勢の変化が同期していると判定された場合に、動作制御部203は、音出力装置100のそれぞれが同一のユーザに装着されている場合に適した第1の動作、例えば音楽再生装置から取得する音声信号をステレオモードで再生する動作を行うように音出力装置100のそれぞれを制御する。動作制御部203は、音出力装置100のそれぞれから取得された姿勢の変化が同期していると判定された場合に、特定された動作を第1の動作として行うことなく、ユーザ指定の動作を行う、または通常動作を継続する形態であってもよい。言い換えると、第1の動作は、特に指定された動作でなくともよい。
また、同期性判定部202によって複数の音出力装置100の姿勢の変化が同期していないと判定された場合に、動作制御部203は、音出力装置100のそれぞれが異なるユーザに装着されている場合に適した第2の動作、例えば音楽再生装置から取得する音声信号をモノラルモードで再生する動作を行うように音出力装置100のそれぞれを制御する。
上記第1の動作及び上記第2の動作の詳細については、後述する。
【0023】
したがって、本実施の形態1に係る音入出力制御装置200は、1組の音出力装置100が2台の音出力装置100からなる場合、当該2台の音出力装置100の姿勢の変化が同期している場合、当該2台の音出力装置100は同一のユーザに装着されていると判断する。そして、音入出力制御装置200は、上記第1の動作を行うように当該2台の音出力装置100を制御する。
また、音入出力制御装置200は、1組の音出力装置100が2台の音出力装置100からなる場合、当該2台の音出力装置100の姿勢の変化が同期していない場合、当該2台の音出力装置100は異なるユーザに装着されていると判断する。そして、音入出力制御装置200は、上記第2の動作を行うように当該2台の音出力装置100を制御する。
【0024】
また、音入出力制御装置200は、1組の音出力装置100が3台以上の音出力装置100からなり、1組の音出力装置100のうち2台の音出力装置100の姿勢の変化が同期している場合、当該2台の音出力装置100は同一のユーザに装着されていると判断する。同時に、音入出力制御装置200は、1組の音出力装置100のうち姿勢の変化が同期していない他の音出力装置100がある場合、1組の音出力装置100のうち他の音出力装置100は異なるユーザに装着されていると判断する。そして、音入出力制御装置200は、上記第1の動作を行うように当該2台の音出力装置100を制御するとともに、上記第2の動作を行うように他の音出力装置100を制御する。
また、音入出力制御装置200は、1組の音出力装置100が3台以上の音出力装置100からなり、これらの音出力装置100の姿勢の変化がいずれも同期していない場合、これらの音出力装置100はいずれも異なるユーザに装着されていると判断する。そして、音入出力制御装置200は、上記第2の動作を行うようにこれらの音出力装置100を制御する。
【0025】
音入出力処理部204は、通信部205が音楽再生装置(図示省略)から受信した音声信号に所定の処理を行って、それぞれの音出力装置100に送信する音声信号を生成する。例えば、音入出力処理部204は、ステレオ方式の音声信号又はモノラル方式の音声信号を生成する。そして、音入出力処理部204が生成した音声信号は、通信部205によって、それぞれの音出力装置100に送信される。
例えば、1組の音出力装置100が、右耳用の音出力装置100、左耳用の音出力装置100からなり、これらの音出力装置100が同一のユーザに装着されている場合、第1の動作として、音入出力処理部204は、右耳用の音声信号と左耳用の音声信号を生成し、通信部205は、音入出力処理部204が生成した右耳用の音声信号を右耳用の音出力装置100に送信し、音入出力処理部204が生成した左耳用の音声信号を左耳用の音出力装置100に送信する。言い換えると、第1の動作とは、ステレオ方式の音声信号の再生動作(一人モード)である。
また、1組の音出力装置100が異なるユーザに装着されている場合、第2の動作として、音入出力処理部204は、モノラル方式の音声信号を生成し、通信部205は、モノラル方式の音声信号をそれぞれの音出力装置100に送信する。言い換えると、第2の動作とは、モノラル方式の音声信号の再生動作(二人モード)である。
1組の音出力装置100が異なるユーザに装着されている場合、第2の動作として、音入出力処理部204は、音入力部103が収音した音声信号を取得し、通信部205は、収音した音声信号を他の音出力装置100に送信してもよい。言い換えると、第2の動作とは、音出力装置100による異なるユーザ間の通信動作(トランシーバモード)であってもよい。トランシーバモードは、片方向の送受信のみであってもよく、双方向に送受信が可能であってもよい。
第2の動作とは、後述するように、音声出力の音量または音質調整などを別個に設定可能な動作モードであってもよい。
【0026】
通信部205は、音入出力制御装置200と音出力装置100及び音楽再生装置(図示省略)との間の通信を行う。
音入出力制御装置200と音出力装置100及び音楽再生装置との間の通信は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN、赤外線通信、NFC等の近距離無線通信等である。音入出力制御装置200と音出力装置100及び音楽再生装置との間の通信として何れの通信を用いるのか、音入出力制御装置200と音出力装置100及び音楽再生装置との間の距離に応じて切り替えられてもよい。
【0027】
なお、音入出力制御装置200は、スマートフォン等の携帯機器、DAP、CDプレーヤ等の音楽再生装置と一体であってもよい。この場合通信部205は、音入出力制御装置200と音出力装置100との通信を行う。また、音楽再生装置に音入出力制御装置200の上記機能を実行させるアプリーケーションプログラムがインストールされてもよい。
【0028】
また、姿勢センサ101として、3軸方位センサ(地磁気センサ)、3軸角速度センサ(ジャイロセンサ)、3軸加速度センサ、GNSS受信機等のうち2種以上のセンサが音出力装置100に搭載されていてもよい。音出力装置100に2種以上のセンサを姿勢センサ101として搭載することにより、複数の音出力装置100の姿勢をより精度高く検出することができる。例えば、姿勢センサ101として、3軸角速度センサだけを搭載している場合、2人のユーザに1台ずつ音出力装置100が装着されていたとしても当該2人のユーザが所定の位置に留まっていると、2台の音出力装置100の動きの角速度の変化はゼロになってしまう。そのため、同期性判定部202は、2台の音出力装置100の姿勢の変化は同期しており、音入出力制御装置200は、当該2台の音出力装置100は同一のユーザに装着されていると判断してしまう。しかし、姿勢センサ101として、3軸角速度センサだけでなく3軸方位センサも搭載している場合、2人のユーザの向いている方角が違っていれば、当該2人のユーザが所定の位置に留まっていたとしても、当該2台の音出力装置100の方角の変化が一致しないことを検出することができる。
また、姿勢センサ101として、3軸方位センサ又は3軸加速度センサのみが搭載されてもよい。
【0029】
また、姿勢センサ101として3軸加速度センサを備える場合、姿勢算出部201は、音出力装置100の位置が変化することによる3軸の移動に基づいて、音出力装置100の移動も算出してもよい。そして、同期性判定部202は、複数の音出力装置100の移動が一致しているか否かに基づいて、複数の音出力装置100の姿勢の変化が同期しているか否かを判定してもよい。
【0030】
実施の形態2
図2は、本発明の実施の形態2に係る音入出力制御装置としてのヒアラブルデバイス300の構成を模式的に示すブロック図である。実施の形態2に係るヒアラブルデバイス300は、実施の形態1に係る音出力装置100と音入出力制御装置200とが一体化したものでる。したがって、ヒアラブルデバイス300に備えられる、姿勢センサ301、音出力部302、音入力部303、装着センサ304、姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307、音入出力処理部308の機能は、図1に示す姿勢センサ101、音出力部102、音入力部103、装着センサ105、姿勢算出部201、同期性判定部202、動作制御部203、音入出力処理部204と同様である。また、ヒアラブルデバイス300に備えられる通信部309の機能は、図1に示す通信部104の機能と通信部205の機能とを合わせたものと同様である。そのため、姿勢センサ301、音出力部302、音入力部303、装着センサ304、姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307、音入出力処理部308、通信部309の機能のうち、姿勢センサ101、音出力部102、音入力部103、装着センサ105、姿勢算出部201、同期性判定部202、動作制御部203、音入出力処理部204、通信部104、通信部205と同一の機能については、その説明を省略する。
【0031】
また、ヒアラブルデバイス300は、実施の形態1に係る音出力装置100と同様に、ユーザに独立して装着され、当該ユーザに向けて音を出力する。具体的には、ヒアラブルデバイス300は、フルワイヤレスイヤホン、フルワイヤレス骨伝導イヤホン等の完全に独立した個々のイヤホン等であり、ユーザの左右に独立して装着される。すなわち、複数のヒアラブルデバイス300は、互いに完全に独立して、ユーザに装着される。通常、フルワイヤレスイヤホン、フルワイヤレス骨伝導イヤホン等は、2個の完全に独立したイヤホンが1組となっている。しかし、本発明では、3個以上のヒアラブルデバイス300が1組となっていてもよい。
【0032】
本実施の形態2に係るヒアラブルデバイス300は、図2に示すように、姿勢センサ301、音出力部302、音入力部303、装着センサ304、姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307、音入出力処理部308、通信部309等を備える。なお、1組のヒアラブルデバイス300のうち、少なくとも1つのヒアラブルデバイス300が音入力部303、姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307を備えていればよく、他のヒアラブルデバイス300は音入力部303、姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307を備えていなくてもよい。1組のヒアラブルデバイス300のうち、1台のヒアラブルデバイス300にのみ音入力部303、姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307が備えられる場合、音入力部303、姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307が備えられたヒアラブルデバイス300をマスター装置とし、他のヒアラブルデバイス300をスレーブ装置としてもよい。
また、ヒアラブルデバイス300は、装着センサ304を備えていなくてもよい。
【0033】
姿勢センサ301が検出した姿勢信号は、姿勢算出部305に入力される。また、姿勢センサ301が検出した姿勢信号は、通信部309によって、他のヒアラブルデバイス300に送信される。
【0034】
音出力部302は、音楽再生装置としての携帯機器400から通信部309が受信した音声信号に従って、ユーザに向けて音を出力する。
また、音出力部302は、他のヒアラブルデバイス300から通信部309が受信した音声信号に従って、ユーザに向けて音を出力する。
【0035】
音入力部303が取得した音声信号は、通信部309によって、他のヒアラブルデバイス300に送信される。
【0036】
姿勢算出部305は、1組のヒアラブルデバイス300のそれぞれにおいて姿勢センサ301によって検出される姿勢信号に基づいてヒアラブルデバイス300のそれぞれの姿勢を算出する。
例えば、1組のヒアラブルデバイス300の全てに姿勢算出部305が備えられる場合、姿勢算出部305は、当該姿勢算出部305が備えられるヒアラブルデバイス300の姿勢センサ301が検出した姿勢信号に基づいて当該ヒアラブルデバイス300の姿勢を算出する。そして、姿勢算出部305が算出した当該ヒアラブルデバイス300の姿勢は通信部309によって他のヒアラブルデバイス300に送信される。
また、1組のヒアラブルデバイス300のうち、1台のヒアラブルデバイス300にのみ姿勢算出部305が備えられる場合、当該姿勢算出部305は、当該姿勢算出部305が備えられるヒアラブルデバイス300の姿勢センサ301が検出した姿勢信号に基づいて当該ヒアラブルデバイス300の姿勢を算出する。また、当該姿勢算出部305は、通信部309が受信した他のヒアラブルデバイス300の姿勢センサ301が検出した姿勢信号に基づいて当該他のヒアラブルデバイス300の姿勢を算出する。
【0037】
同期性判定部306は、姿勢算出部305によって算出された1組のヒアラブルデバイス300のそれぞれの姿勢に基づいて、当該1組のヒアラブルデバイス300のそれぞれの姿勢の変化が同期しているか否かを判定する。1組のヒアラブルデバイス300の全てにおいて、それぞれ、同期性判定部306による同期判定が行われてもよい。また、1組のヒアラブルデバイス300のうち、1台のヒアラブルデバイス300にのみ姿勢算出部305、同期性判定部306が備えられる場合、他のヒアラブルデバイス300から姿勢算出部305によって算出された姿勢が当該1台のヒアラブルデバイス300に送信されて、当該1台のヒアラブルデバイス300の同期性判定部306による同期判定が行われてもよい。
【0038】
動作制御部307は、ヒアラブルデバイス300の動作を制御する。
1組のヒアラブルデバイス300の全てにおいて、それぞれ、動作制御部307による動作制御が行われてもよい。例えば、1組のヒアラブルデバイス300のうち、2台のヒアラブルデバイス300において、一方のヒアラブルデバイス300の姿勢の変化と他方のヒアラブルデバイス300の姿勢の変化とが同期している場合、当該2台のヒアラブルデバイス300の動作制御部307は、上記第1の動作を行うように当該ヒアラブルデバイス300を制御する。また、1組のヒアラブルデバイス300の上記2台以外のヒアラブルデバイス300のそれぞれの動作制御部307は、上記第2の動作を行うように当該ヒアラブルデバイス300を制御する。
また、1組のヒアラブルデバイス300の全てにおいて、それぞれのヒアラブルデバイス300の姿勢の変化が同期していない場合、それぞれのヒアラブルデバイス300の動作制御部307は、第2の動作を行うように当該ヒアラブルデバイス300を制御する。
また、1組のヒアラブルデバイス300のうち、1台のヒアラブルデバイス300にのみ姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307が備えられる場合、当該1台のヒアラブルデバイス300の動作制御部307が、他のヒアラブルデバイス300の動作を制御してもよい。例えば、1組のヒアラブルデバイス300のうち、2台のヒアラブルデバイス300において、一方のヒアラブルデバイス300の姿勢の変化と他方のヒアラブルデバイス300の姿勢の変化とが同期している場合、動作制御部307は、上記第1の動作を行うように当該2台のヒアラブルデバイス300を制御する。また、動作制御部307は、上記第2の動作を行うように、1組のヒアラブルデバイス300の上記2台以外のヒアラブルデバイス300を制御する。
また、1組のヒアラブルデバイス300の全てにおいて、それぞれのヒアラブルデバイス300の姿勢の変化が同期していない場合、動作制御部307は、第2の動作を行うようにそれぞれのヒアラブルデバイス300を制御する。
ここで、第1の動作と第2の動作とは、実施の形態1と同等の動作である。
【0039】
音入出力処理部308は、通信部309が音楽再生装置としての携帯機器400から受信した音声信号に所定の処理を行って、音出力部302に入力する音声信号を生成する。
例えば、1組のヒアラブルデバイス300が、右耳用のヒアラブルデバイス300、左耳用のヒアラブルデバイス300からなり、これらのヒアラブルデバイス300が同一のユーザに装着されている場合、右耳用のヒアラブルデバイス300の音入出力処理部308は右耳用の音声信号を生成し、左耳用のヒアラブルデバイス300の音入出力処理部308は左耳用の音声信号を生成する。
また、1組のヒアラブルデバイス300が異なるユーザに装着されている場合、それぞれのヒアラブルデバイス300の音入出力処理部308は、モノラル方式の音声信号を生成する。
【0040】
通信部309は、当該通信部309が備えられるヒアラブルデバイス300と他のヒアラブルデバイス300との間の通信を行う。また、通信部309は、当該通信部309が備えられるヒアラブルデバイス300と音楽再生装置としての携帯機器400との間の通信を行う。
ヒアラブルデバイス300間の通信は、近接場磁気誘導通信、及び、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN、赤外線通信、NFC等の近距離無線通信等である。ヒアラブルデバイス300間の通信として何れの通信を用いるのか、ヒアラブルデバイス300間の距離に応じて切り替えられてもよい。
ヒアラブルデバイス300と携帯機器400との間の通信は、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN、赤外線通信、NFC等の近距離無線通信等である。ヒアラブルデバイス300と携帯機器400との間の通信として何れの通信を用いるのか、ヒアラブルデバイス300と携帯機器400との間の距離に応じて切り替えられてもよい。
【0041】
なお、音楽再生装置は、上記に挙げたスマートフォン等の携帯機器400だけでなく、DAP、CDプレーヤ等であってもよい。また、ヒアラブルデバイス300は、音楽再生装置と一体であってもよい。
【0042】
次に、図3乃至図6を参照しながら、本発明の実施の形態1又は2に係る音入出力制御方法の例について説明する。なお、以下の説明では、1組の音出力装置100又は1組のヒアラブルデバイス300が2台の音出力装置100又は2台のヒアラブルデバイス300からなり、一方の音出力装置100又はヒアラブルデバイス300がマスター装置となり、他方の音出力装置100又はヒアラブルデバイス300がスレーブ装置となる場合を例に挙げて説明する。
また、以下の説明では、実施の形態1に係る音入出力制御装置200における処理フローを例に挙げて説明する。実施の形態2に係るヒアラブルデバイス300における処理フローの説明は、姿勢センサ101、音出力部102、音入力部103、装着センサ105、姿勢算出部201、同期性判定部202、動作制御部203、音入出力処理部204、通信部104、通信部205による処理を、それぞれ、姿勢センサ301、音出力部302、音入力部303、装着センサ304、姿勢算出部305、同期性判定部306、動作制御部307、音入出力処理部308、通信部309による処理に読み換えれば同様となるため、その説明を省略する。
【0043】
最初に、図3に示す音入出力制御方法の例について説明する。
まず、姿勢算出部201は、1組の音出力装置100のそれぞれによって検出される音出力装置100の姿勢信号に基づいて、それぞれの音出力装置100の姿勢を算出する(ステップS101)。すなわち、姿勢算出部201は、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢を算出する。
【0044】
次に、同期性判定部202は、姿勢算出部201によって算出された、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期しているか否かを判定する(ステップS102)。
【0045】
ステップS102において、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期している場合(ステップS102;Yes)、動作制御部203は、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100を一人モード(第1の動作)で動作するように制御する(ステップS103)。
【0046】
そして、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100において通常動作が行われる(ステップS104)。具体的には、音入出力処理部204が右耳用の音声信号と左耳用の音声信号を生成し、通信部205が右耳用の音声信号を右耳用の音出力装置100に送信し、左耳用の音声信号を左耳用の音出力装置100に送信する。そして、右耳用の音出力装置100の音出力部102が当該右耳用の音声信号に従ってユーザに向けて音を出力し、左耳用の音出力装置100の音出力部102が当該左耳用の音声信号に従ってユーザに向けて音を出力する。
【0047】
ステップS102において、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期していない場合(ステップS102;No)、動作制御部203は、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100を二人モード(第2の動作)で動作するように制御する(ステップS105)。
【0048】
そして、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100においてモノラル方式で音楽の再生が行われる(ステップS106)。具体的には、音入出力処理部204がモノラル方式の音声信号を生成し、通信部205が当該モノラル方式の音声信号を右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100とに送信する。そして、右耳用の音出力装置100音出力部102と左耳用の音出力装置100の音出力部102とが、それぞれ、当該モノラル方式の音声信号に従ってユーザに向けて音を出力する。
【0049】
次に、図4に示す音入出力制御方法の例について説明する。図4に示す音入出力制御方法において、ステップS201、ステップS202、ステップS204の処理は、それぞれ、図3に示す音入出力制御方法のステップS101、ステップS102、ステップS104の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0050】
ステップS202において、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期している場合(ステップS202;Yes)、動作制御部203は、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100を音声出力モード(第1の動作)で動作するように制御する(ステップS203)。
【0051】
ステップS202において、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期していない場合(ステップS202;No)、動作制御部203は、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100をトランシーバモード(第2の動作)で動作するように制御する(ステップS205)。
【0052】
そして、一方の音出力装置100のマイク(音入力部)103で収音したユーザの音声信号が他方の音出力装置100へ送信され、他方の音出力装置100が当該音声信号を受信し、他方の音出力装置100の音出力部102は、当該音声信号に従って、ユーザに向けて音を出力する(ステップS206)。例えば、右耳用の音出力装置100を装着したユーザの音声が当該右耳用の音出力装置100のマイク(音入力部)103によって収音され、左耳用の音出力装置100へ送信される。そして、左耳用の音出力装置100の音出力部102は、当該音声信号に従って、当該左耳用の音出力装置100を装着したユーザに向けて音を出力する。反対に、左耳用の音出力装置100を装着したユーザの音声が当該左耳用の音出力装置100のマイク(音入力部)103によって収音され、右耳用の音出力装置100へ送信される。そして、右耳用の音出力装置100の音出力部102は、当該音声信号に従って、当該右耳用の音出力装置100を装着したユーザに向けて音を出力する。これにより、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100とが異なるユーザに装着された場合に、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100とをトランシーバとして用いることができる。
【0053】
なお、上記トランシーバモードにおいて、動作制御部203は、音出力部102による音声信号に基づく音の出力を停止させるように、又は、音声信号に基づく音の出力の音量を低下させるように音出力装置100を制御してもよい。また、上記トランシーバモードにおいて、動作制御部203は、右耳用の音出力装置100又は左耳用の音出力装置100の何れか一方における音入力部103による収音を停止させるように音出力装置100を制御してもよい。
【0054】
次に、図5に示す音入出力制御方法の例について説明する。図5に示す音入出力制御方法において、ステップS301、ステップS302、ステップS303、ステップS305の処理は、それぞれ、図3に示す音入出力制御方法のステップS101、ステップS102、ステップS103、ステップS105の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0055】
ステップS303において、右耳用及び左耳用の音出力装置100が一人モード(第1の動作)で動作するように制御された後、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100において音量や音質等の同時調整(通常動作)が行われる(ステップS304)。具体的には、音入出力処理部204が右耳用の音声信号と左耳用の音声信号を生成し、通信部205が右耳用の音声信号を右耳用の音出力装置100に送信し、左耳用の音声信号を左耳用の音出力装置100に送信する。また、動作制御部203は、例えば、右耳用及び左耳用の音出力装置100における音出力部102が音を出力する音量や音質を実質的に同じ音量や音質となるように同時に調整する。そして、右耳用の音出力装置100の音出力部102が当該右耳用の音声信号に従ってユーザに向けて音を出力し、左耳用の音出力装置100の音出力部102が当該左耳用の音声信号に従ってユーザに向けて音を出力する。
【0056】
ステップS305において、右耳用及び左耳用の音出力装置100が二人モード(第2の動作)で動作するように制御された後、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100において音量や音質の個別調整が行われる(ステップS306)。具体的には、音入出力処理部204が右耳用の音声信号と左耳用の音声信号を生成し、通信部205が右耳用の音声信号を右耳用の音出力装置100に送信し、左耳用の音声信号を左耳用の音出力装置100に送信する。また、動作制御部203は、例えば、右耳用及び左耳用の音出力装置100における音出力部102が音を出力する音量や音質を個別に調整可能とする。例えば、音入出力制御装置200又は音楽再生装置が、自身の表示部(図示省略)に、右耳用の音量や音質を調整するための設定画面と左耳用の音量や音質を調整するための設定画面を別々に表示する。これにより、右耳用の音出力装置100を装着したユーザ及び左耳用の音出力装置100を装着したユーザがそれぞれの設定画面を操作することにより、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100の音量や音質をそれぞれのユーザごとに好みのものに設定できる。そして、右耳用の音出力装置100の音出力部102が当該右耳用の音声信号に従ってユーザに向けて音を出力し、左耳用の音出力装置100の音出力部102が当該左耳用の音声信号に従ってユーザに向けて音を出力する。
【0057】
次に、図6に示す音入出力制御方法の例について説明する。図6に示す音入出力制御方法において、ステップS401、ステップS402の処理は、それぞれ、図3に示す音入出力制御方法のステップS101、ステップS102の処理と同様であるため、その説明を省略する。
【0058】
ステップS402において、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期している場合(ステップS402;Yes)、ステップS103又はS203又はS303の処理へ進む(ステップS403)。
【0059】
ステップS402において、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期していない場合(ステップS402;No)、動作制御部203は、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100が異なるユーザの同じ側に装着されているか否かを判定する(ステップS404)。具体的には、動作制御部203は、装着センサ105によって検出された装着検出信号と、姿勢算出部201によって算出された右耳用及び左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢に基づいて、右耳用及び左耳用の音出力装置100が異なるユーザの同じ側に装着されているか否かを判定する。なお、動作制御部203は、装着センサ105によって検出された装着検出信号を用いずに、姿勢算出部201によって算出された右耳用及び左耳用の音出力装置100のそれぞれの姿勢のみに基づいて、判定を行ってもよい。
【0060】
ステップS404において、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100とが異なるユーザの異なる側に装着されている場合(ステップS404;No)、動作制御部203は、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100を二人モードで動作するように制御する(ステップS405)。そして、ステップS106又はS306の処理へ進む(ステップS406)。
【0061】
ステップS404において、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100とが異なるユーザの同じ側に装着されている場合(ステップS404;Yes)、動作制御部203は、右耳用の音出力装置100と左耳用の音出力装置100をトランシーバモードで動作するように制御する(ステップS407)。そして、一方の音出力装置100のマイク(音入力部)103で収音したユーザの音声信号が他方の音出力装置100へ送信され、他方の音出力装置100が当該音声信号を受信し、他方の音出力装置100の音出力部102は、当該音声信号に従って、ユーザに向けて音を出力する(ステップS408)。
【0062】
以上に説明した、実施の形態1に係る音入出力制御装置200によれば、同期性判定部202によって、姿勢算出部201によって算出された音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期しているか否かが判定される。また、同期性判定部202によって音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期していると判定された場合に、動作制御部203は、音出力装置100のそれぞれが同一のユーザに装着されている場合に適した第1の動作を行うように音出力装置100のそれぞれを制御する。また、同期性判定部202によって音出力装置100のそれぞれの姿勢の変化が同期していないと判定された場合に、動作制御部203は、音出力装置100のそれぞれが異なるユーザに装着されている場合に適した第2の動作を行うように音出力装置100のそれぞれを制御する。
また、音入出力制御装置200は、1組の音出力装置100の姿勢の変化がいずれも同期していない場合、これらの音出力装置100はいずれも異なるユーザに装着されていると判断する。そして、音入出力制御装置200は、上記第2の動作を行うようにこれらの音出力装置100を制御する。
そのため、ユーザに独立して装着される複数の音出力装置100に、ステレオ方式の音を出力する等の通常の動作である第1の動作以外の、音出力装置100のそれぞれが異なるユーザに装着されている場合に適した第2の動作も付与することができる。よって、音出力装置100により広い用途を付与することができる。
実施の形態2に係るヒアラブルデバイス300も同様である。
【0063】
上述の実施の形態では、本発明をハードウェアの構成として説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明は、図3乃至6のフローチャートに記載の処理手順を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0064】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0065】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 音出力装置
200 音入出力制御装置
300 ヒアラブルデバイス(音入出力制御装置)
101、301 姿勢センサ
102、302 音出力部
103、303 音入力部
104、309 通信部
201、305 姿勢算出部
202、306 同期性判定部
203、307 動作制御部
204、308 音入出力処理部
205、309 通信部
400 携帯機器(音楽再生装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6