(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/06 20060101AFI20241008BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G03G15/06 101
G03G15/08 235
(21)【出願番号】P 2020052743
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】上邨 静也
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-004986(JP,A)
【文献】特開2016-014814(JP,A)
【文献】特開昭55-149953(JP,A)
【文献】特開平07-271139(JP,A)
【文献】特開2017-075996(JP,A)
【文献】特開平05-333685(JP,A)
【文献】特開2011-170156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/06
G03G 15/08
G03G 15/02
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムと、
前記感光体ドラムを帯電させる帯電部と、
前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像してトナー像を前記感光体ドラムに形成する現像ローラーと、
前記トナー像が形成されるときの前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間に流れる現像電流を検知して、前記現像電流の電流値を示す検知信号を出力する電流検知回路と、
前記帯電部に電圧を印加する電源部と、
前記電圧の変化が前記検知信号に示される電流値の変化に対して負の相関関係を有するように、前記電源部を制御する電源制御部と、
前記検知信号を出力するように前記電流検知回路を制御する回路制御部と
を備え、
前記現像ローラーを含む現像機と前記感光体ドラムとが画像形成装置から取り外されるまで、前記電源制御部は、前記電圧の変化が前記検知信号に示される前記電流値の変化に対して負の相関関係を有するように、前記電源部を制御し、
前記現像機と前記感光体ドラムとが前記画像形成装置に装着されることに応じて、前記回路制御部は、前記検知信号を出力するように前記電流検知回路を制御する
、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、トナーでシートに画像を形成する画像形成装置において、一定の濃度でシートに画像を形成することが求められている。特許文献1に記載の画像形成装置は、感光体ドラムと、現像ローラーと、現像電流センサーと、CPU(Central Processing Unit)とを備える。現像電流センサーは、帯電された感光体ドラムと、現像バイアス(電圧)を一定時間印加された現像ローラーとの間に流れる現像電流の電流値を検出する。CPUは、現像電流センサーの検出値から、トナーの単位質量当たりの帯電量を算出する。そして、CPUは、トナーの単位質量当たりの帯電量と、目標とする画像濃度に対応するトナー像を現像する際に流れるべき現像電流との比が一定になるように、現像ローラーに印加する現像バイアスを調整することによって、画像の濃度を一定にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、感光体ドラムと現像ローラーとの少なくとも1つの形状のばらつき(公差)によって、回転する感光体ドラムと、回転する現像ローラーとの間の距離が周期的に変化する可能性がある。現像バイアス及び帯電バイアスが一定である場合、現像電流の大きさは、感光体ドラムと現像ローラーとの距離に応じて変化する。つまり、一定の現像バイアスを現像ローラーに印加し、一定の帯電バイアスを感光体ドラムに印加する場合であっても、感光体ドラムと現像ローラーとの距離の変化に応じて、現像電流の大きさが変化する。現像電流の大きさが変化することは、現像ローラーから感光体ドラムに供給されるトナーの量が変化することに相当する。しかしながら、特許文献1に記載の画像形成装置では、感光体ドラムと現像ローラーとの少なくとも1つの形状のばらつきを考慮していないため、現像電流を一定にすることが困難である。その結果、現像ローラーから感光体ドラムに供給されるトナーの量が変化し、シートに形成される画像の濃度が変化する可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、一定の濃度でシートに画像を形成できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面によれば、画像形成装置は、感光体ドラムと、現像ローラーと、電流検知回路と、電源部と、電源制御部とを備える。現像ローラーは、前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像してトナー像を前記感光体ドラムに形成する。電流検知回路は、前記トナー像が形成されるときの前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間に流れる現像電流を検知して、前記現像電流の電流値を示す検知信号を出力する。電源部は、前記現像部に電圧を印加する。電源制御部は、前記電圧の変化が前記検知信号の変化に対して負の相関関係を有するように、前記電源部を制御する。
【0007】
本発明の第2の局面によれば、画像形成装置は、感光体ドラムと、帯電部と、現像ローラーと、電流検知回路と、電源部と、電源制御部とを備える。帯電部は、前記感光体ドラムを帯電させる。現像ローラーは、前記感光体ドラムに形成された静電潜像を現像してトナー像を前記感光体ドラムに形成する。電流検知回路は、前記トナー像が形成されるときの前記感光体ドラムと前記現像ローラーとの間に流れる現像電流を検知して、前記現像電流の電流値を示す検知信号を出力する。電源部は、前記帯電部に電圧を印加する。電源制御部は、前記電圧の変化が前記検知信号の変化に対して負の相関関係を有するように、前記電源部を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一定の濃度でシートに画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成部の構成の一例を示す断面図である。
【
図3】検知信号に示される電流値の一例と、電流値の変化に対して負の相関関係を有する現像バイアスとを示す図である。
【
図4】本実施形態の電源制御部に制御された高圧電源が現像バイアスを印加するときの現像電流の電流値を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態におけるコンピューターが実行する処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。実施形態において、X軸及びY軸は水平方向に沿っており、Z軸は鉛直方向に沿っており、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交する。
【0011】
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る画像形成装置100の構成について説明する。
図1は、画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は、例えば、カラー複合機である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成ユニット10、給送部30、搬送部40、定着部50、及び、排出部60を備える。
【0013】
給送部30は、シートPを搬送部40へ供給する。搬送部40は、シートPを画像形成ユニット10、及び定着部50を経由して排出部60まで搬送する。画像形成ユニット10は、シートPに画像を形成する。定着部50は、シートPを加熱、及び加圧し、シートPに形成された画像をシートPに定着する。排出部60は、シートPを画像形成装置100の外部へ排出する。
【0014】
次に、引き続き
図1を参照して、画像形成ユニット10の構成について説明する。画像形成ユニット10は、複数の画像形成部11、露光部13、及び転写部12を備える。
【0015】
複数の画像形成部11には、それぞれ、互いに異なる色の複数のトナーが供給される。トナーは多数のトナーを含む。複数の画像形成部11の各々は感光体ドラム101を含む。例えば、複数の画像形成部11は、シアン色のトナーが供給される画像形成部11c、マゼンタ色のトナーが供給される画像形成部11m、イエロー色のトナーが供給される画像形成部11y、及び、ブラック色のトナーが供給される画像形成部11kを含む。画像形成部11c、画像形成部11m、画像形成部11y及び画像形成部11kの構成は、互いに略同一である。
【0016】
露光部13は、感光体ドラム101の表面を露光する。具体的には、露光部13は、画像データに基づいて、複数の感光体ドラム101の各々に光を照射する。その結果、複数の感光体ドラム101の各々に静電潜像が形成される。露光部13は、例えば、光源、ポリゴンミラー、反射ミラー、及び偏向ミラーを有する。
【0017】
そして、複数の画像形成部11の各々は、感光体ドラム101に形成された静電潜像を現像して、感光体ドラム101にトナー像を形成する。その結果、複数の感光体ドラム101に、それぞれ、互いに異なる複数色のトナー像が形成される。
【0018】
転写部12は、中間転写ベルト12aと駆動ローラー12bとを備える。中間転写ベルト12aは、駆動ローラー12bによって回転方向RAに回転駆動される。複数の画像形成部11が、中間転写ベルト12a上に、互いに異なる複数色のトナー像を転写する。複数色のトナー像が中間転写ベルト12a上で重畳されることで、中間転写ベルト12a上にトナー像(具体的にはカラー画像)が形成される。転写部12は、中間転写ベルト12a上に形成されたトナー像をシートP上に転写する。その結果、シートPに画像が形成される。
【0019】
次に、
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る画像形成部11の構成について説明する。
図2は、画像形成部11の構成の一例を示す断面図である。
【0020】
図2に示すように、画像形成部11は、感光体ドラム101に加えて、クリーニング部103、現像機110、及び帯電部102を更に備える。
【0021】
感光体ドラム101は、略円柱形状または略円筒形状を有する。感光体ドラム101は、感光体ドラム101の回転軸線AXを中心として回転方向RBに回転する。感光体ドラム101は、例えばアモルファスシリコン(α-Si)感光体ドラム101または有機感光体(OPC:Organic Photo Conductor)ドラムである。
【0022】
帯電部102は、感光体ドラム101の表面を所定電位に帯電させる。帯電部102は、例えば、帯電ローラーを含む。帯電部102が感光体ドラム101の表面を所定電位に帯電させた後、露光部13が感光体ドラム101の所定領域に露光することで、感光体ドラム101の所定領域に静電潜像が形成される。
【0023】
現像機110は、トナーによってトナー像を感光体ドラム101に形成する。具体的には、現像機110は、回転する感光体ドラム101に形成された静電潜像をトナーによって現像し、感光体ドラム101にトナー像を形成する。
【0024】
現像機110は、現像ハウジング111と、現像ローラー112と、第1スクリューフィーダー113と、第2スクリューフィーダー114と、規制ブレード115と、吸引ファン(不図示)とを備える。
【0025】
現像ハウジング111は、現像剤を収容する。本実施形態において、現像ハウジング111は、2成分現像剤を収容する。現像ハウジング111は、第1搬送部131と第2搬送部132とを含む。第1搬送部131では、2成分現像剤が現像ローラー112の軸方向の一端側から他端側に向かう第1搬送方向に搬送される。第2搬送部132は、現像ローラー112の軸方向の両端部において第1搬送部131に連通される。第2搬送部132では、第1搬送方向とは逆の第2搬送方向に2成分現像剤が搬送される。本実施形態において、第1搬送方向及び第2搬送方向は、X軸方向に沿っている。
【0026】
具体的には、第2搬送部132は第2スクリューフィーダー114を含む。第2スクリューフィーダー114は、回転方向REに回転され、2成分現像剤を第2搬送方向に搬送する。第1搬送部131は第1スクリューフィーダー113を含む。第1スクリューフィーダー113は、回転方向RDに回転され、2成分現像剤を第1搬送方向に搬送する。第1スクリューフィーダー113は、2成分現像剤を第1搬送方向に搬送しながら、現像ローラー112に2成分現像剤を供給する。
【0027】
2成分現像剤は、複数のトナー(具体的には多数のトナー)と、複数のキャリア(具体的には多数のキャリア)を含む。複数のトナーは粉体であり、複数のキャリアは粉体である。トナーは、例えば正帯電性トナーである。正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。キャリアは、磁性を有する。キャリアは、例えば、樹脂被覆型のキャリアである。樹脂被覆型のキャリアのコアは、例えば、フェライトまたはマグネタイトである。
【0028】
現像ローラー112は、トナーを担持する。現像ローラー112は、感光体ドラム101に対向して配置される。また、現像ローラー112は、感光体ドラム101から距離Lだけ離れて配置される。現像ローラー112は、スリーブ112Sと磁石112Mとを備える。現像ローラー112は、所定の速度で回転する。
【0029】
スリーブ112Sは、非磁性の筒体(例えば、アルミニウムパイプ)である。スリーブ112Sは、例えばモーターによって駆動されて、磁石112Mの周りを回転方向RCに回転する。
【0030】
磁石112Mは、スリーブ112Sの内部に配置されている。磁石112Mは、キャリアを磁石112Mの磁力により引き付ける。その結果、キャリアによる磁気ブラシがスリーブ112Sの表面に形成される。トナーはキャリアの表面に担持される。すなわち、トナーは磁気ブラシに担持された状態で現像ローラー112の表面に担持される。
【0031】
規制ブレード115は、現像ローラー112に対して所定間隔をおいて配置される。規制ブレード115は、現像ローラー112の表面に形成された磁気ブラシの長さを規制する。
【0032】
吸引ファン(不図示)は、感光体ドラム101と現像ローラー112との間で浮遊するトナーを吸引する。
【0033】
クリーニング部103は、感光体ドラム101の表面に付着しているトナーを除去する。クリーニング部103は、クリーニングブレード103aを含む。
【0034】
クリーニングブレード103aは、感光体ドラム101の表面と摺接する。感光体ドラム101の表面とクリーニングブレード103aの先端とが摺接することで、感光体ドラム101の表面に残留するトナーが除去される。
【0035】
また、クリーニング部103は、感光体ドラム101の表面を研磨する。具体的には、クリーニング部103のクリーニングブレード103aは、感光体ドラム101の表面に形成された矩形状のトナー像を感光体ドラム101の表面に押し付け、トナー像を構成するトナーを移動させる。この結果、感光体ドラム101の表面を研磨できる。
【0036】
次に、
図2を参照して制御基板CBと高圧電源基板PSBとを説明する。制御基板CBは、マイクロコンピューター20を有する。
【0037】
マイクロコンピューター20は、画像形成ユニット10、給送部30、搬送部40、定着部50、及び排出部60のような画像形成装置100の各要素を制御する。マイクロコンピューター20は、CPU(Central Processing Unit)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなプロセッサー、及び記憶部23を含む。
【0038】
記憶部23は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部23は、半導体メモリーのような主記憶装置、並びに、半導体メモリー及び/またはハードディスクドライブのような補助記憶装置を含む。記憶部23は、リムーバルメディアを含んでもよい。記憶部23は、例えば、電流検知回路70が出力する検知信号SGを記憶する。電流検知回路70及び検知信号SGについては後述する。
【0039】
マイクロコンピューター20のプロセッサーは、記憶部23の記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、電源制御部21、及び回路制御部22として機能する。つまり、マイクロコンピューター20は、電源制御部21、及び回路制御部22を含む。電源制御部21、及び回路制御部22の詳細については後述する。
【0040】
高圧電源基板PSBは、高圧電源24と、電流検知回路70とを有する。高圧電源24は、「電源部」の一例である。
【0041】
高圧電源24は、現像ローラー112に電圧を印加する。具体的には、高圧電源24は、電源制御部21に制御されて、現像ローラー112に現像バイアスを印加する。すなわち、電源制御部21は、高圧電源24を制御する。以下、本明細書において、高圧電源24が現像ローラー112に印加する電圧を、「現像バイアスVd」と記載する。
【0042】
また、高圧電源24は、帯電部102に電圧を印加する。具体的には、高圧電源24は、電源制御部21に制御されて、帯電部102に帯電バイアスを印加する。以下、本明細書において、高圧電源24が帯電部102に印加する電圧を、「帯電バイアスVM」と記載する。高圧電源24は、現像ローラー112に現像バイアスVdを印加し、帯電部102に帯電バイアスVMを印加することで、感光体ドラム101と現像ローラー112との間に電位差を付与する。
【0043】
感光体ドラム101と現像ローラー112との間が所定の電位差になると、現像ローラー112に担持されたトナーが、電気的に引き付けられる。具体的には、本実施形態において、感光体ドラム101と現像ローラー112との間が所定の電位差であって、現像バイアスVdよりも帯電バイアスVMの方が大きい場合、現像ローラー112に担持されたトナーが、電気的に引き付けられる。そして、トナーが現像ローラー112から感光体ドラム101の静電潜像に向かって飛翔し、現像ローラー112から感光体ドラム101に向けてトナーが移動する。この結果、感光体ドラム101の表面にトナー像が形成される。
【0044】
本実施形態において、電流検知回路70は、トナー像が形成されるときの感光体ドラム101と現像ローラー112との間に流れる現像電流を検知して、現像電流の電流値を示す検知信号SGを出力する。具体的には、電流検知回路70は、回路制御部22に制御されて、現像電流を検知し、検知信号SGを出力する。すなわち、回路制御部22は、検知信号SGを出力するように、電流検知回路70を制御する。
【0045】
本実施形態において、電流検知回路70は、入力される電流に比例する電圧を出力する。また、本実施形態において、比例定数は負の値を示す。つまり、本実施形態において、電流検知回路70は、入力される現像電流の電流値が小さくなればなるほど、大きな電圧値を出力する。一方、電流検知回路70は、入力される電流値が大きくなればなるほど、小さな電圧値を出力する。例えば、電流検知回路70は、電流検知用抵抗素子を含み、電流検知用抵抗素子を流れる電流に比例する電圧を出力する。以上のことから、本実施形態において、検知信号SGは、現像電流の電流値を電圧で示す電圧信号である。電流検知回路70が出力した検知信号SGは、電源制御部21に送信される。
【0046】
次に、
図2~
図4を参照して、電源制御部21に制御されて高圧電源24が印加する現像バイアスVdについて説明する。
【0047】
現像ローラー112に印加される現像バイアスVdと、感光体ドラム101に印加される帯電バイアスVMとの各々が一定である場合、現像電流の大きさは、感光体ドラム101と現像ローラー112との間の距離Lに応じて変化する。一方、感光体ドラム101と現像ローラー112との少なくとも1つの形状のばらつき(公差)によって、回転する感光体ドラム101と、回転する現像ローラー112との間の距離Lが周期的に変化する可能性がある。つまり、現像バイアスVdと、帯電バイアスVMとの各々が一定である場合、回転する感光体ドラム101と、回転する現像ローラー112との間に流れる現像電流の大きさが、周期的に変化する可能性がある。
【0048】
図3は、検知信号SGに示される電流値Cv1の一例と、電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有する現像バイアスVdとを示す図である。グラフG1は、検知信号SGに示される電流値Cv1の一例を示す。グラフG1において、横軸は時間(t)を示し、縦軸は電流値(I)を示す。グラフG1に示す例では、現像バイアスVdと帯電バイアスVMとの各々は一定である。
【0049】
グラフG1に示すように、電流値Cv1は周期的に変化している。具体的には、電流値Cv1は、周期TIごとに、同様に変化している。周期TIは、例えば、感光体ドラム101の回転周期の開始時刻及び現像ローラー112の回転周期の開始時刻が一致してから、感光体ドラム101の回転周期の終了時刻及び現像ローラー112の回転周期の終了時刻が一致するまでの時間に相当する。
【0050】
本実施形態において、感光体ドラム101と現像ローラー112との間の距離Lが最も小さいとき、すなわち、感光体ドラム101と現像ローラー112とが互いに最も近くに位置するとき、電流値Cv1は最大値Imaxを示す。また、感光体ドラム101と現像ローラー112との間の距離Lが最も大きいとき、すなわち、感光体ドラム101と現像ローラー112とが互いに最も遠くに位置するとき、電流値Cv1は最小値Iminを示す。
【0051】
電源制御部21は、現像バイアスVdの変化が検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように、高圧電源24を制御する。グラフG2は、検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有する現像バイアスVdの変化を示す。グラフG2において、横軸は時間(t)を示し、縦軸は電圧値(V)を示す。
【0052】
グラフG2に示すように、電源制御部21は、検知信号SGに示される電流値Cv1の変化の周期TIと略同一の周期TVで高圧電源24を制御する。すなわち、電源制御部21は、現像バイアスVdが周期TVごとに同様に変化するように高圧電源24を制御する。従って、電源制御部21は、1つの周期TVにおける現像バイアスVdの変化を決定し、周期TVごとに決定した現像バイアスVdを繰り返し印加するように高圧電源24を制御することができる。その結果、高圧電源24を制御する電源制御部21の負荷が軽減する。
【0053】
具体的には、電源制御部21は、例えば、検知信号SGに基づいて、検知信号SGに示される電流値Cv1の変化の周期TIを算出する。そして、電源制御部21は、算出した周期TIと略同一の周期TVを決定する。また、電源制御部21は、電流値Cv1の最大値Imaxに基づいて、現像バイアスVdの最小値Vminを決定する。また、電源制御部21は、電流値Cv1の最小値Iminに基づいて、現像バイアスVdの最大値Vmaxを決定する。電源制御部21は、決定した周期TV、決定した最小値Vmin、及び決定した最大値Vmaxに基づいて、現像バイアスVdが変化するように高圧電源24を制御する。
【0054】
図4は、電源制御部21に制御された高圧電源24が現像バイアスVdを印加するときの現像電流の電流値Cv2を示す図である。
図4において、横軸は時間(t)を示し、縦軸は電流値(I)を示す。
【0055】
図4に示すように、電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように変化する現像バイアスVdが現像ローラー112に印加されるときの現像電流の電流値Cv2は一定である。本実施形態において、電流値Cv2は、
図3のグラフG1で示した電流値Cv1の平均値Iaveを示す。すなわち、電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように変化する現像バイアスVdが現像ローラー112に印加されることによって、感光体ドラム101と現像ローラー112との間に流れる現像電流が一定となる。すなわち、現像バイアスVdの変化が検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように、電源制御部21が高圧電源24を制御することによって、現像電流が一定となる。その結果、現像ローラー112から感光体ドラム101に供給されるトナー量が一定になるため、一定の濃度でシートPに画像を形成できる。
【0056】
ここで、画像形成装置100の組み立て時に、感光体ドラム101及び現像機110は、画像形成装置100に装着される。また、感光体ドラム101は、感光体ドラム101の状態に応じて交換される場合がある。同様に、現像機110は、現像機110の状態に応じて交換される場合がある。つまり、感光体ドラム101と現像機110との少なくとも1つが画像形成装置100に装着される度に、感光体ドラム101と現像ローラー112との少なくとも1つの形状のばらつき(公差)によって、回転する感光体ドラム101と、回転する現像ローラー112との間の距離Lの周期的な変化が、更に変化する可能性がある。よって、現像バイアスVdと帯電バイアスVMとの各々が一定である場合に流れる現像電流の周期的な変化が、更に変化する可能性がある。そこで、回路制御部22は、本実施形態において、感光体ドラム101と現像機110との少なくとも1つが画像形成装置100に装着されることに応じて、検知信号SGを出力するように電流検知回路70を制御する。
【0057】
回路制御部22は、電流検知回路70が出力した検知信号SGを記憶部23に記憶させる。そして、感光体ドラム101と現像機110との少なくとも1つが画像形成装置100から取り外されるまで、電源制御部21は、現像バイアスVdの変化が、記憶部23に記憶された検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように、高圧電源24を制御する。すなわち、距離Lの周期的な変化に応じた現像電流の周期的な変化が継続する限り、電源制御部21は、現像バイアスVdの変化が、記憶部23に記憶された検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように、高圧電源24を制御する。従って、感光体ドラム101と現像ローラー112との少なくとも1つが新たに画像形成装置100に装着される場合であっても、現像電流の変化を抑制できる。その結果、感光体ドラム101に、一定量のトナーを安定して供給でき、シートPに形成される画像の濃度が安定する。
【0058】
次に、
図5を参照して、マイクロコンピューター20が実行する処理を説明する。
図5は、マイクロコンピューター20が実行する処理のフローチャートを示す図である。マイクロコンピューター20が実行する処理は、ステップS5からステップS25を含む。
【0059】
ステップS5において、マイクロコンピューター20は、現像機110と感光体ドラム101との少なくとも1つが画像形成装置100に装着されることを検したか否かを判定する。ステップS5において否定的判定(No)がされる場合、処理はステップS5に戻る。すなわち、現像機110と感光体ドラム101との少なくとも1つが画像形成装置100に装着されることを検出するまで、マイクロコンピューター20は待機する。一方、ステップS5において肯定的判定(Yes)がされる場合、処理はステップS10に進む。すなわち、現像機110と感光体ドラム101との少なくとも1つが画像形成装置100に装着されることをマイクロコンピューター20が検出することに応じて、処理はステップS10に進む。
【0060】
ステップS10において、回路制御部22は、感光体ドラム101と現像ローラー112との現像電流を検知して、現像電流の電流値を示す検知信号SGを出力するように電流検知回路70を制御する。すなわち、電流検知回路70は、現像電流を検知して、現像電流の電流値を示す検知信号SGを出力する。
【0061】
ステップS15において、回路制御部22は、電流検知回路70が出力した検知信号SGを記憶部23に記憶させる。すなわち、記憶部23は、電流検知回路70が出力した検知信号SGを記憶する。
【0062】
ステップS20において、電源制御部21は、現像バイアスVdの変化が、ステップS15で記憶部23に記憶させた検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように、高圧電源24を制御する。すなわち、高圧電源24は、ステップS15で記憶部23に記憶させた検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように、現像バイアスVdを変化させる。
【0063】
ステップS25において、マイクロコンピューター20は、現像機110と感光体ドラム101との少なくとも1つが画像形成装置100から取り外されることを検出したか否かを判定する。ステップS25において否定的判定(No)がされる場合、すなわち、現像機110及び感光体ドラム101が継続して画像形成装置100に装着されている場合、処理はステップS20に戻る。すなわち、現像機110及び感光体ドラム101が継続して画像形成装置100に装着されている場合、引き続き、高圧電源24は、ステップS15で記憶部23に記憶させた検知信号SGの変化に対して相関関係を有するように、現像バイアスVdを変化させる。
【0064】
一方、ステップS25において肯定的判定(Yes)がされる場合、すなわち、現像機110と感光体ドラム101との少なくとも1つが画像形成装置100から取り外された場合、処理はステップS5に戻る。
【0065】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様(例えば、下記に示す態様)において実施することが可能である。また、上記の各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の速度、材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0066】
(1)
図2を参照して説明したように、本実施形態によれば、電源制御部21は、現像バイアスVdの変化が検知信号SGの変化に対して負の相関関係を有するように、高圧電源24を制御した。ただし、現像電流の周期的な変化を抑制できる限り、電源制御部21は、帯電バイアスVMの変化が検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように高圧電源24を制御してもよい。具体的には、電源制御部21は、帯電部102に印加される帯電バイアスVMの変化が検知信号SGに示される電流値Cv1の変化に対して負の相関関係を有するように高圧電源24を制御する。
【0067】
(2)
図5のステップS5~ステップS25の順番は、適宜変更し得る。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
21 電源制御部
22 回路制御部
23 記憶部
24 高圧電源(電源部)
70 電流検知回路
100 画像形成装置
101 感光体ドラム
102 帯電部
110 現像機
112 現像ローラー
Cv1 電流値
SG1 検知信号
Vd 現像バイアス(電圧)
VM 帯電バイアス(電圧)