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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B65D1/02 221
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020080771
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021172431
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内山 剛志
(72)【発明者】
【氏名】木下 裕貴
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-147609(JP,A)
【文献】特開2014-156272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部、胴部、及び底部を備え、ラベルが装着される合成樹脂製容器であって、
前記胴部の周面に、複数の減圧吸収パネルが周方向に沿って配設され、
前記減圧吸収パネルが、
前記減圧吸収パネルの横幅方向中央に位置し、横断面形状が容器内方に凸の円弧状に形成されたパネル底部と、
前記パネル底部の横幅方向両端側に位置し、横断面形状が容器外方に凸に形成されたパネル側部と
を有し、
前記パネル側部の横幅方向両端部が、それぞれ前記パネル底部と前記胴部の周面との接続部とされ、前記接続部を除く前記パネル側部の主部に対して、前記接続部の横断面における曲率半径を小さくすることにより、前記パネル底部と前記胴部の周面との間が周方向に沿って滑らかに連続するように形成されており、
前記減圧吸収パネルの横幅に対する中心角θ が、13.5~33.1°であり、
前記パネル底部の横幅に対する中心角θが、前記中心角θの29~60%であり、
横断面における前記パネル側部の主部の曲率半径Raと、前記胴部の半径Rdとの間に、Ra≧3Rdなる関係が成り立つことを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記パネル側部の主部の横幅に対する中心角θが、前記パネル側部の横幅に対する中心角θの4.5~54.3%である請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
横断面における前記パネル底部の曲率半径が、20~1000mmである請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記胴部の周面に対する前記減圧吸収パネルの深さdと、前記減圧吸収パネルの横幅wとの比d/wが、0.048~0.090である請求項1~3のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【請求項5】
前記胴部が円筒状に形成され、前記胴部の周面に、四つの前記減圧吸収パネルが周方向に沿って等角度間隔で配設されている請求項1~4のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【請求項6】
前記減圧吸収パネルを含む範囲にシュリンクラベルが装着されている請求項1~5のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて、射出成形や圧縮成形などによって有底筒状のプリフォームを作製し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形によってボトル状に成形してなる合成樹脂製容器が、各種飲料品、各種調味料等を内容液とする容器として広い分野で利用されている。
【0003】
また、この種の容器に内容液を充填する際には、容器の殺菌処理を兼ねて、加熱殺菌された内容液を高温(例えば、約85℃程度)のまま充填(ホット充填)するか、薬液で滅菌処理した容器に、無菌状態に管理された環境下で内容液を常温で充填(アセプティック充填)するかして、充填後の菌の繁殖が抑制されるようにすることが知られている。
【0004】
ホット充填に際しては、内容液を充填した後に、常温に冷却された容器内が減圧状態となることから、一般に、冷却に伴って容器内方に変形して当該容器の容積を減じて内圧の減少分を吸収する減圧吸収パネルが、容器胴部に周方向に沿って配設された容器が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、アセプティック充填では、充填直後の容器内の圧力変化は無視し得るが、充填された内容液の水分が徐々に容器を透過して漏出したり、ヘッドスペース内の酸素が内容液に溶け込んだりして、経時的に容器内の圧力が低下することがある。このため、アセプティック充填の場合にも、必要に応じて所定の減圧吸収性能を有する容器が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-206331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、この種の容器には、多くの場合、所望の印刷が施された熱収縮性のフィルム材からなる、いわゆるシュリンクラベルが装着される。その際、容器胴部に減圧吸収パネルが配設されていると、減圧吸収パネルがシュリンクラベルの表面に浮き上がるように透けて見えてしまう。
【0008】
この種の容器の利用が、より一般的なものとなってきた近年の状況下にあっては、他の商品との差別化を図るために、デザイン上の特徴を備えたものが望まれるようになってきており、例えば、ガラス瓶に似せた外観が得られるようにする試みがなされている。そのためには、減圧吸収パネルが目立たないようにすることが要求される。
【0009】
このような事情に鑑みて、本発明者らは、シュリンクラベルなどのラベルが装着された状態で、容器胴部に配設された減圧吸収パネルが目立ち難いようにしつつ、所定の減圧吸収性能が発揮されるようにするべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る合成樹脂製容器は、口部、肩部、胴部、及び底部を備え、ラベルが装着される合成樹脂製容器であって、前記胴部の周面に、複数の減圧吸収パネルが周方向に沿って配設され、前記減圧吸収パネルが、前記減圧吸収パネルの横幅方向中央に位置し、横断面形状が容器内方に凸の円弧状に形成されたパネル底部と、前記パネル底部の横幅方向両端側に位置し、横断面形状が容器外方に凸に形成されたパネル側部とを有し、前記パネル側部の横幅方向両端部が、それぞれ前記パネル底部と前記胴部の周面との接続部とされ、前記接続部を除く前記パネル側部の主部に対して、前記接続部の横断面における曲率半径を小さくすることにより、前記パネル底部と前記胴部の周面との間が周方向に沿って滑らかに連続するように形成されており、前記減圧吸収パネルの横幅に対する中心角θ が、13.5~33.1°であり、前記パネル底部の横幅に対する中心角θが、前記中心角θの29~60%であり、横断面における前記パネル側部の主部の曲率半径Raと、前記胴部の半径Rdとの間に、Ra≧3Rdなる関係が成り立つ構成としてある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る合成樹脂製容器によれば、シュリンクラベルなどのラベルが装着された状態で、容器胴部に配設された減圧吸収パネルが目立ち難いようにしつつ、所定の減圧吸収性能が発揮されるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
図3図2のA-A端面図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5図2のB-B端面図である。
図6図2のC-C端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図、図2は、同正面図である。
また、図3は、図2のA-A端面図、図4は、図3の要部拡大端面図、図5は、図2のB-B端面図、図6は、図2のC-C端面図であり、これらの端面図にあっては、端面にあらわれる肉厚を省略している。
【0014】
これらの図に示す容器1は、口部2、肩部3、胴部4、及び底部5を備えており、胴部4を円筒状に形成することで、ガラス瓶に似せた外観が得られるようにしている。
【0015】
このような容器1は、熱可塑性樹脂を使用して射出成形や圧縮成形などにより有底筒状のプリフォームを作製し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などにより所定の容器形状に成形することによって製造することができる。
【0016】
使用する熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な任意の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸,ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステルが使用でき、特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが好適に使用できる。これらの樹脂は二種以上混合してもよく、他の樹脂をブレンドしてもよい。ポリカーボネート,アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン-エチレン共重合体,ポリエチレンなども使用できる。
また、プリフォームは、単層に成形するに限らず、容器1に求められる特性に応じて、ガスバリヤー層などを含む多層に成形することもできる。
【0017】
口部2は、内容液の注ぎ口となる円筒状の部位であり、かかる口部2には、容器内を密封する図示しない蓋体が取り付けられる。
【0018】
このような口部2の下端は、胴部4に向かって拡径して口部2と胴部4との間をつなぐ肩部3に連接している。図示する例において、肩部3は、円錐台状に成形されているが、肩部3の形状は、これに限定されない。例えば、いわゆるつる首状に形成したりすることもできる。
【0019】
また、胴部4は、容器1の高さ方向の大半を占める部位であり、上端が肩部3に連接し、下端が底部5に連接している。
【0020】
ここで、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向をいうものとし、この状態(図2に示す状態)で容器1の上下左右及び縦横の方向を規定するものとする。
また、図2には、中心軸Cを一点鎖線で示しているが、特に断りのない限り、中心軸Cに直交する面で切断した断面を横断面というものとする。
【0021】
胴部4の周面には、容器1の内圧が減少するにつれて、容器内方に向かって撓むように変形することによって、容器内の容積を減じて内圧の減少分を吸収する複数の減圧吸収パネル6が、周方向に沿って配設されている。減圧吸収パネル6の数は、特に限定されないが、それぞれの減圧吸収パネル6が均等に容器1の中心軸Cに向かって変形するようにして、容器1の不定形な変形を抑止するとともに、減圧吸収時における容器1の見た目の印象が大きく変わってしまわないようにする上で、四つの減圧吸収パネル6を周方向に沿って等角度間隔で配設するのが好ましい。
【0022】
胴部4の周面に配設される減圧吸収パネル6のそれぞれは、図示するように、比較的細幅の縦長矩形状を基調として、その四隅のコーナー部が、それぞれ上下の端部中央に向かって弧を描くように丸められた左右対称の輪郭を以て形成されるのが好ましい。
【0023】
減圧吸収パネル6は、所定の横幅wを以て形成され、当該横幅wに対する中心角θ、すなわち、横断面において、減圧吸収パネル6の横幅方向両端縁のそれぞれと、中心軸Cとを結ぶ線のなす角度θ図3及び図4参照)が、13.5~33.1°となるように形成され
なお、図4は、図3に一点鎖線で囲む範囲を拡大して示している。
【0024】
また、減圧吸収パネル6は、減圧吸収パネル6の横幅方向中央に位置し、横断面形状が容器内方に凸の円弧状に形成されたパネル底部7と、このパネル底部7の横幅方向両端側に位置し、横断面形状が容器外方に凸に形成されたパネル側部8とを有している。
【0025】
このようにして減圧吸収パネル6を形成するにあたり、胴部4の周面に対する減圧吸収パネル6の深さd(図4参照)が、所定の深さを以て形成されるようにするのが好ましい。
【0026】
例えば、横断面におけるパネル底部7の曲率半径は、胴部4の半径Rdに対して、(1/3)Rd~3Rdであるのが好ましく、一般的な胴部4の半径Rdを考慮して具体的な数値で示すと、20~1000mmであるのが好ましく、30~100mmであるのがより好ましい。
そして、横断面におけるパネル底部7の曲率半径に応じて、減圧吸収パネル6の横幅wに対する比d/wは0.048~0.090であるのが好ましく、0.050~0.076であるのがより好ましい。
【0027】
また、図3図6に示すように、減圧吸収パネル6は、パネル底部7と胴部4の周面との間が滑らかに連続するように形成するのが好ましい。特に、周方向に沿って滑らかに連続するように形成されているのが好ましい。
【0028】
特に、図3及び図4に示すように例えば、パネル側部8の横幅方向両端部を、それぞれパネル底部7と胴部4の周面との接続部8b,8cとして、当該接続部8b,8cを除く主部8aに対して、当該接続部8b,8cの横断面における曲率半径が小さくなるようにすることで、パネル底部7と胴部4の周面との間が周方向に沿って滑らかに連続するように形成することができる(図3及び図4参照)。このような態様とする場合、横断面における接続部8b,8cの曲率半径は、5mm以上であるのが好ましく、特に好ましくは10mm程度である。
なお、図3及び図4では、パネル底部7、接続部8b、主部8a、接続部8c、胴部4の周面のそれぞれの境界となる部位を容器1の中心軸Cから延びる鎖線で示している。
【0029】
このようにすることで、容器1に、所望の印刷が施された熱収縮性のフィルム材を筒状にして被せ、これを加熱して容器1の周面に密着するように収縮させることによって装着される、いわゆるシュリンクラベルLを装着した際に、減圧吸収パネル6が目立ち難いようにして、ガラス瓶に似せた外観が得られるようにすることができる。特に、シュリンクラベルLは、通常、周方向に収縮しながら胴部4に密着して装着されることから、上記したようにして、パネル底部7と胴部4の周面との間が周方向に沿って滑らかに連続するように形成することで、減圧吸収パネル6を前述した範囲で比較的細幅とするとともに、パネル側部8の横断面形状を容器外方に凸としたことと相俟って、減圧吸収パネル6の輪郭が、シュリンクラベルLの表面に浮き上がって透けて見えてしまうのを有効に回避することができる。
【0030】
なお、図1では、シュリンクラベルLを鎖線で示しており、肩部3の下端側から底部5にわたる範囲に、シュリンクラベルLが装着されているが、減圧吸収パネル6を含む範囲にシュリンクラベルLを装着して、減圧吸収パネル6が目立たないようにすることで、ガラス瓶に似せた外観を得ることができれば、シュリンクラベルLが装着される範囲は、特に限定されない。
【0031】
また、本実施形態では、アセプティック充填に用いる容器の一例を示しており、充填された内容液の水分が徐々に容器を透過して漏出したり、ヘッドスペース内の酸素が内容液に溶け込んだりして、経時的に容器内の圧力が低下する際に、所定の減圧吸収性能が発揮されるようにすることが要求される。
【0032】
このような要求に応えるために、本実施形態にあっては、パネル底部7の横幅wに対する中心角θ、すなわち、横断面において、パネル底部7の横幅方向両端縁のそれぞれと、中心軸Cとを結ぶ線のなす角度θ図3図4参照)が、減圧吸収パネル6の横幅wに対する中心角θの28~60%となるようにし、かつ、横断面におけるパネル側部8の主部8aの曲率半径Raと、胴部4の半径Rdとの間に、Ra≧3Rdなる関係が成り立つように、減圧吸収パネル6を形成してある。
なお、θ,θの有効数字は3桁、θに対するθの百分率の有効数字は2桁、RaとRdとの関係を示す上記式中「3」の有効数字は1桁とする。
【0033】
このようにすることで、減圧吸収パネル6を前述した範囲で比較的細幅に形成しながらも、所定の減圧吸収性能が発揮されるようにすることができる。
【0034】
減圧吸収パネル6は、所定の減圧吸収性能が発揮されるようにする上で、減圧吸収パネル6の縦方向の長さは、胴部4の縦方向の長さの70%以上を占めるように形成するのが好ましい。
【0035】
また、前述したように、シュリンクラベルLを装着した際に、減圧吸収パネル6が目立ち難いようにするには、パネル側部8の横幅方向両端部を接続部8b,8cとして、パネル底部7と胴部4の周面との間が周方向に沿って滑らかに連続するように形成するのが好ましいが、このような態様とする場合、減圧吸収性能とのバランスを考慮して、パネル側部8に占める主部8aの割合を定めるのが好ましい。
【0036】
例えば、パネル側部8の主部8aの横幅wに対する中心角θ、すなわち、横断面において、パネル側部8の主部8aの横幅方向両端縁のそれぞれと、中心軸Cとを結ぶ線のなす角度θ図3図4参照)が、パネル側部8の横幅wに対する中心角θ、すなわち、横断面において、パネル側部8の横幅方向両端縁のそれぞれと、中心軸Cとを結ぶ線のなす角度θ図3図4参照)の4.5~54.3%となるように、パネル側部8に占める主部8aの割合を定めるのが好ましい。
なお、θ,θの有効数字は3桁、θに対するθの百分率の有効数字は2桁とする。
【0037】
以上のような本実施形態によれば、シュリンクラベルLなどのラベルが装着された状態で、胴部4に配設された減圧吸収パネル6が目立ち難いようにしつつ、所定の減圧吸収性能が発揮されるようにすることができる。
【実施例
【0038】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0039】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート系樹脂を用い、重量約20gのプリフォームを射出成形により作製した。作製したプリフォームを加熱して軟化させた後、ブロー成形型にセットして、二軸延伸ブロー成形により図1及び図2に示す容器形状となるように、容器1を成形した。
次いで、常温下で約500mLの水を内容液として充填し、口部2に蓋体を取り付けて容器内を密封した後に、図1に示すように、肩部3の下端側から底部5にわたる範囲にシュリンクラベルLを装着した。
なお、蓋体の天板には、容器内の密封性を維持したまま注射針を穿刺可能なゴム栓を設けておいた。
【0040】
容器1の高さHは190mm、胴部4の半径Rdは33mmであり、プリフォームの重量から算出した容器1の平均肉厚は約0.29mmであった。
また、減圧吸収パネル6の横幅Wに対する中心角θは33.1°、パネル底部8の横幅Wに対する中心角θは13.0°(θ×39%)であり、横断面におけるパネル側部8の主部8aの曲率半径Raは300mm(Rd×9)、横断面におけるパネル側部8の接続部8b,cの曲率半径は10mm、横断面におけるパネル底部7の曲率半径Rbは60mmであった。
【0041】
[実施例2,3、比較例1~3]
減圧吸収パネル6の横幅Wに対する中心角θ、パネル底部8の横幅Wに対する中心角θ、横断面におけるパネル側部8の主部8aの曲率半径Ra、横断面におけるパネル底部7の曲率半径Rbを、それぞれ表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして容器1を成形した。
なお、比較例1では、減圧吸収パネル6を設けなかった。
【0042】
[評価]
蓋体に設けたゴム栓に注射針を穿刺して、シリンジを用いて容器内から水を抜き取って、容器内の圧力を徐々に減じていった。本実施例で用いた容器1のサイズでは、概ね一年間で7mL程度の減容が認められることから、7mL以上の水を抜き取っても不定形な変形が認められず、かつ、減圧吸収パネル6が目立ち難いままであったものを「〇」、7mLに達しないうちに不定形に変形してしまったものを「×」とした。不定形に変形したときの水の抜き取り量とともに、評価結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0045】
例えば、容器1の表面には、ブロー成形型のキャビティ面をローレット状又は網目状に凹凸に加工して、これを転写してなる加飾を施すなどしてもよい。これにより、シュリンクラベルLなどのラベルが装着された状態で、胴部4に配設された減圧吸収パネル6がより目立ち難いようにすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 容器
2 口部
3 肩部
4 胴部
5 底部
6 減圧吸収パネル
7 パネル底部
8 パネル側部
L シュリンクラベル
減圧吸収パネルの横幅
パネル底部の横幅
パネル側部の横幅
パネル側部の主部の横幅
θ 減圧吸収パネルの横幅に対する中心角
θ パネル底部の横幅に対する中心角
θ パネル側部の横幅に対する中心角
θ パネル側部の主部の横幅に対する中心角
d 胴部の周面に対する減圧吸収パネルの深さ
Ra 横断面におけるパネル側部の主部の曲率半径
Rd 胴部の半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6