(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】船舶推進装置用動力源の冷却装置
(51)【国際特許分類】
B63H 20/28 20060101AFI20241008BHJP
B63H 21/38 20060101ALI20241008BHJP
F01P 11/06 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B63H20/28 100
B63H21/38 A
F01P11/06 Z
(21)【出願番号】P 2020098484
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】松本 心吾
(72)【発明者】
【氏名】渥美 雄大
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-096107(JP,A)
【文献】特開昭61-295191(JP,A)
【文献】特開昭62-006893(JP,A)
【文献】特開平08-210133(JP,A)
【文献】米国特許第10233818(US,B1)
【文献】実公昭50-004148(JP,Y1)
【文献】中国実用新案第206841694(CN,U)
【文献】特開平04-274991(JP,A)
【文献】実開昭50-018069(JP,U)
【文献】米国特許第10336428(US,B1)
【文献】特開昭61-222516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 20/00 - 20/36
B63H 21/38
F01P 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中から汲み上げた水を冷却水路に供給して動力源を冷却し、冷却後の冷却水を前記冷却水路から外部に排出する冷却水経路を備え、
前記冷却水経路を流れる冷却水は、前記冷却水経路を目詰まりさせる大きさの異物が除去されている船舶推進装置用動力源の冷却装置であって、
前記冷却水経路における第1の水路の途中に、冷却水中に残留している異物を濾過するフィルタを内蔵したカートリッジ式の濾過装置を備え、
前記第1の水路から分岐して、前記フィルタに目詰まりが発生した場合に弁部材が開いて冷却水を流す第2の水路を備え
、
前記弁部材を前記濾過装置よりも上方に配置し、前記弁部材の上方と前記フィルタの上方で、前記第1の水路と前記第2の水路を中継水路で連通させ、
前記中継水路は、前記第1の水路と前記第2の水路が分岐する箇所よりも下方で、前記第2の水路に接続していることを特徴とする船舶推進装置用動力源の冷却装置。
【請求項2】
水中から汲み上げた水を冷却水路に供給して動力源を冷却し、冷却後の冷却水を前記冷却水路から外部に排出する冷却水経路を備え、
前記冷却水経路を流れる冷却水は、前記冷却水経路を目詰まりさせる大きさの異物が除去されている船舶推進装置用動力源の冷却装置であって、
前記冷却水経路における第1の水路の途中に、冷却水中に残留している異物を濾過するフィルタを内蔵したカートリッジ式の濾過装置を備え、
前記第1の水路から分岐して、前記フィルタに目詰まりが発生した場合に弁部材が開いて冷却水を流す第2の水路を備え、
船舶推進装置を、前記動力源が内燃機関である船外機とし、前記内燃機関の排気管路内に触媒を備え、
前記触媒の後方に前記濾過装置を配置し、前記濾過装置の後方に前記第2の水路を配置したことを特徴とする船舶推進装置用動力源の冷却装置。
【請求項3】
水中から汲み上げた水を冷却水路に供給して動力源を冷却し、冷却後の冷却水を前記冷却水路から外部に排出する冷却水経路を備え、
前記冷却水経路を流れる冷却水は、前記冷却水経路を目詰まりさせる大きさの異物が除去されている船舶推進装置用動力源の冷却装置であって、
前記冷却水経路における第1の水路の途中に、冷却水中に残留している異物を濾過するフィルタを内蔵したカートリッジ式の濾過装置を備え、
前記第1の水路から分岐して、前記フィルタに目詰まりが発生した場合に弁部材が開いて冷却水を流す第2の水路を備え、
船舶推進装置を、前記動力源が内燃機関である船外機とし、前記内燃機関の吸気管路とシリンダブロックとの間に前記濾過装置を配置したことを特徴とする船舶推進装置用動力源の冷却装置。
【請求項4】
水中から汲み上げた水を冷却水路に供給して動力源を冷却し、冷却後の冷却水を前記冷却水路から外部に排出する冷却水経路を備え、
前記冷却水経路を流れる冷却水は、前記冷却水経路を目詰まりさせる大きさの異物が除去されている船舶推進装置用動力源の冷却装置であって、
前記冷却水経路における第1の水路の途中に、冷却水中に残留している異物を濾過するフィルタを内蔵したカートリッジ式の濾過装置を備え、
前記第1の水路から分岐して、前記フィルタに目詰まりが発生した場合に弁部材が開いて冷却水を流す第2の水路を備え、
前記濾過装置は、前記フィルタの表面に沿う旋回した冷却水の流れを発生させる旋回流発生部材を備え、
前記旋回流発生部材は、前記濾過装置の周方向に進むにつれて、上下方向と半径方向の位置が変化する捻り形状の面を有する羽根部を備え、
前記フィルタは、上端側から下端側へ進むにつれて、側壁に囲まれる内側面積を徐々に小さくする捕集部を有することを特徴とする船舶推進装置用動力源の冷却装置。
【請求項5】
水中から汲み上げた水を冷却水路に供給して動力源を冷却し、冷却後の冷却水を前記冷却水路から外部に排出する冷却水経路を備え、
前記冷却水経路を流れる冷却水は、前記冷却水経路を目詰まりさせる大きさの異物が除去されている船舶推進装置用動力源の冷却装置であって、
前記冷却水経路における第1の水路の途中に、冷却水中に残留している異物を濾過するフィルタを内蔵したカートリッジ式の濾過装置を備え、
前記第1の水路から分岐して、前記フィルタに目詰まりが発生した場合に弁部材が開いて冷却水を流す第2の水路を備え、
前記濾過装置は、前記冷却水経路のうち、前記動力源を冷却した後の冷却水を前記冷却水路から外部に排水するための排水側水路の途中に設けられることを特徴とする船舶推進装置用動力源の冷却装置。
【請求項6】
前記濾過装置は、冷却水の流れる方向に分割可能なケースと、前記ケースを組み立て状態で固定する固定部材とを備え、分割状態の前記ケースに対して前記フィルタを着脱可能であることを特徴とする請求項1
から5のいずれか1項に記載の船舶推進装置用動力源の冷却装置。
【請求項7】
前記フィルタに目詰まりが発生した場合に、報知手段で表示又は音による報知を行うことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の船舶推進装置用動力源の冷却装置。
【請求項8】
前記濾過装置は、目視可能な最小の大きさの残留異物を前記フィルタによって捕捉可能な濾過機能を有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の船舶推進装置用動力源の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶推進装置用動力源の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、海、湖、河川等の水域でゴミによる汚染が重大な環境問題になっており、ゴミの回収対策が求められている。一般的に、ゴミは大きさが小さいほど回収が難しい。特に、微小な(例えば、大きさが5mm以下の)マイクロプラスチック等は、捕捉し難く水棲生物への影響や環境への負荷が大きいため、積極的に回収することが望まれている。
【0003】
船舶推進装置の動力源であるエンジンや電動モータを冷却する水冷式の冷却装置では、水中から汲み上げた水を冷却水路に取り込んで冷却水として利用し、動力源の発熱部分を冷却した後の冷却水を外部に排水している。しかしながら、既存の冷却装置は、一度汲み上げた冷却水をそのまま外部に戻すだけであり、汲み上げた後の冷却水に対する浄化の観点(環境対策)が見落とされていた。
【0004】
船舶推進装置用動力源の冷却装置では、外部から冷却水を取り入れる取入口又はその付近に、ゴミ除去手段として多孔状のストレーナ等が設けられており(例えば、特許文献1)、ペットボトルの蓋のような大きなゴミは、ストレーナによって冷却水路への進入が遮られる。しかしながら、ストレーナのメッシュの大きさを下回る微細な異物(例えば、1mm~2mm程度のもの)は、ストレーナによっては除去されずに冷却水路内にそのまま吸い込まれる可能性が高くなる。従って、回収が難しいマイクロプラスチック等を捕捉することなく、浄化の機会を逸していた。
【0005】
また、特許文献2のように、冷却水路中にフィルタを設けた例があるが、このフィルタは、小石や藻等の比較的大きな異物の除去を目的としており、機能としては特許文献1のストレーナと同様のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開昭61-184198号公報
【文献】特開2003-63497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、従来の船舶推進装置用動力源の冷却装置は、外部から取り入れた冷却水に対して積極的に環境対策を行うという着眼が無かった。例えば、特許文献1のように取入口にストレーナを設ける構成では、ストレーナのメッシュを細かくして微細な物体の通過を規制するとしても、ストレーナを通過した微細な物体は、回収されずに再び水中に戻ってしまう。
【0008】
また、仮に外部から取り入れた冷却水中の環境汚染物質を捕捉して取り除くとしても、船舶推進装置の動力性能が犠牲になったり、高価で複雑な装置を付加したりすることは、船舶推進装置の商品価値の低下につながり、現実的な対策とは言えない。
【0009】
例えば、特許文献2のような冷却装置で冷却水路中に内装したフィルタが目詰まりすると、冷却水の流れが滞って冷却性能が悪化し、動力源の出力低下やオーバーヒートが発生してしまう。また、冷却水路中に単にフィルタを組み込むだけでは、フィルタが目詰まりした際に、冷却装置の大掛かりな分解整備が必要になるおそれがある。
【0010】
船舶推進装置が船外機である場合、冷却水から環境汚染物質を回収するための装置を付加して船外機が大型化すると、複数の船外機を並列配置する多数機掛けが制約されるという問題もある。
【0011】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、動力性能を犠牲にせずに簡単な構成で、水中に存在するマイクロプラスチック等の環境汚染物質を回収して効率的に除去することができる船舶推進装置用動力源の冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、水中から汲み上げた水を冷却水路に供給して動力源を冷却し、冷却後の冷却水を前記冷却水路から外部に排出する冷却水経路を備え、前記冷却水経路を流れる冷却水は、前記冷却水経路を目詰まりさせる大きさの異物が除去されている船舶推進装置用動力源の冷却装置であって、前記冷却水経路における第1の水路の途中に、冷却水中に残留している異物を濾過するフィルタを内蔵したカートリッジ式の濾過装置を備え、前記第1の水路から分岐して、前記フィルタに目詰まりが発生した場合に弁部材が開いて冷却水を流す第2の水路を備える。
一つの態様では、前記弁部材を前記濾過装置よりも上方に配置し、前記弁部材の上方と前記フィルタの上方で、前記第1の水路と前記第2の水路を中継水路で連通させ、前記中継水路は、前記第1の水路と前記第2の水路が分岐する箇所よりも下方で、前記第2の水路に接続している。
一つの態様では、船舶推進装置を、前記動力源が内燃機関である船外機とし、前記内燃機関の排気管路内に触媒を備え、前記触媒の後方に前記濾過装置を配置し、前記濾過装置の後方に前記第2の水路を配置している。
一つの態様では、船舶推進装置を、前記動力源が内燃機関である船外機とし、前記内燃機関の吸気管路とシリンダブロックとの間に前記濾過装置を配置している。
一つの態様では、前記濾過装置は、前記フィルタの表面に沿う旋回した冷却水の流れを発生させる旋回流発生部材を備え、前記旋回流発生部材は、前記濾過装置の周方向に進むにつれて、上下方向と半径方向の位置が変化する捻り形状の面を有する羽根部を備え、前記フィルタは、上端側から下端側へ進むにつれて、側壁に囲まれる内側面積を徐々に小さくする捕集部を有する。
一つの態様では、前記濾過装置は、前記冷却水経路のうち、前記動力源を冷却した後の冷却水を前記冷却水路から外部に排水するための排水側水路の途中に設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の船舶推進装置用動力源の冷却装置によれば、動力性能を犠牲にせずに簡単な構成で、水中に存在するマイクロプラスチック等の環境汚染物質を回収して効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態に係る船外機用のエンジン及び冷却装置の斜視図である。
【
図2】船外機用のエンジン及び冷却装置で、冷却装置の一部を断面視で示した側面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】船外機用のエンジン及び冷却装置で、冷却装置と排気構造の一部を断面視で示した側面図である。
【
図8】船外機用のエンジン及び冷却装置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本実施の形態は、船舶推進装置の一例として船外機に適用したものであり、
図1から
図7は船外機に適用した一形態を示し、
図8及び
図9は変形例を示している。以下の説明における前後、左右、上下は、船外機が取り付けられる船舶の船体における各方向を意味する。左右方向は、船外機における横幅方向である。なお、船外機は、操舵軸を中心とする揺動やチルト軸を中心とする揺動によって船体に対する向きが変化するが、以下では、船外機が船体に対して一定の位置(操舵やチルトによる揺動を行っていない初期状態の位置)にあるものとして各方向を説明する。
【0016】
船外機の動力源としてエンジン1を備え、船外機の外装を構成するエンジンケース2(
図3及び
図5に一部を示す)内のエンジンルームにエンジン1が取り付けられている。船外機におけるエンジン1以外の動力系については図示を省略しているが、エンジン1が発生する力によって回転駆動されるドライブシャフトが上下方向に延び、ドライブシャフトから回転が伝達されるプロペラシャフトが前後方向に延び、プロペラシャフトに取り付けたプロペラの回転によって推進力が発生する。
【0017】
船外機は、大きく分けて、エンジン1を含む上部ユニット、プロペラやプロペラシャフトを含む下部ユニット、上部ユニットと下部ユニットの間にある中間ユニットを有する。下部ユニットは、通常の航走状態で水面下に位置している。ドライブシャフトは、中間ユニット内を通されて、上部ユニット側のクランク軸10(
図3及び
図5参照)と下部ユニット側のプロペラシャフト(図示略)を接続する。下部ユニットには、ドライブシャフトからプロペラシャフトに動力を伝達するギヤが設けられ、ギヤを囲むギヤケース(図示略)が、下部ユニットの外装を構成する。
【0018】
図3及び
図5に示すように、エンジン1は、前方から順に並ぶ関係で、クランクケース11と、シリンダブロック12と、シリンダヘッド13と、ヘッドカバー14を有している。クランクケース11とシリンダブロック12の境界である合わせ面S1と、シリンダブロック12とシリンダヘッド13の境界である合わせ面S2と、シリンダヘッド13とヘッドカバー14の境界である合わせ面S3の位置を、
図3に示した。クランクケース11とシリンダブロック12の間に形成されたクランク室内には、上下方向に延びるクランク軸10が設けられている。
【0019】
シリンダブロック12の内部には筒状のシリンダ15が形成されている。シリンダ15は、上下方向に位置を異ならせて複数設けられている。つまり、エンジン1は、上下方向にシリンダ15が並列する多気筒エンジンであり、以下に説明する吸排気用のポート類やバルブ類も、シリンダ15の数に対応して複数設けられている。
【0020】
各シリンダ15内には、ピストン16が前後方向に摺動自在に挿入されている。ピストン16は、コンロッド17を介してクランク軸10に連結されている。ピストン16が前後方向に進退移動すると、クランク軸10が回転する。クランク軸10の回転はドライブシャフトに伝わり、上述のようにドライブシャフトとプロペラシャフトを介してプロペラが回転駆動される。
【0021】
シリンダヘッド13には、各シリンダ15に連通する燃焼室18と、燃焼室18に連通する吸気ポート19及び排気ポート20とが設けられている。吸気ポート19は、燃焼室18に対して概ね右方に延びており、排気ポート20は、燃焼室18に対して概ね左方に延びている。
【0022】
エンジンルーム内には、外部から取り込んだ空気を吸気ポート19に導く吸気管路を構成するインテークマニホールド21が設けられている。インテークマニホールド21は、クランクケース11の前方から、シリンダブロック12の側方(右側)を通って後方に延びており、後端部側が上下方向に分岐した複数の分岐管21aになっている。複数の分岐管21aはそれぞれ、シリンダブロック12の右斜め後方で、対応する吸気ポート19に接続している。
【0023】
排気ポート20は、燃焼室18から左斜め後方に延びて途中で左斜め前方へ向きを変える湾曲した形状であり、排気ポート20の先端部(燃焼室18に連通する側とは反対側の端部)が、排気管路を構成するエキゾーストマニホールド22に接続している。エキゾーストマニホールド22は、シリンダ15の左側に位置して上下方向に延びており、複数のシリンダ15に対応する複数の排気ポート20が集合してエキゾーストマニホールド22に接続している。エキゾーストマニホールド22内には触媒23が配されている(
図4及び
図5参照)。触媒23は、エキゾーストマニホールド22に沿って長手方向を上下に向けた形状である。
【0024】
シリンダヘッド13とヘッドカバー14との間に形成される左右の動弁室24内には、上下方向に延びる軸を中心として回転可能な吸気用カムシャフト25と排気用カムシャフト26が支持されている。吸気用カムシャフト25は吸気ポート19の後方に位置し、排気用カムシャフト26は排気ポート20の後方に位置する。吸気ポート19が燃焼室18に連通する部分は、吸気バルブ27により開閉される。吸気バルブ27の開閉は、吸気用カムシャフト25に設けられたカムにより制御される。排気ポート20が燃焼室18に連通する部分は、排気バルブ28により開閉される。排気バルブ28の開閉は、排気用カムシャフト26に設けられたカムにより制御される。
【0025】
船外機の外部から取り込まれた空気は、サイレンサー(図示略)を通過した後、インテークマニホールド21を通じて吸気ポート19に流入する。フューエルインジェクタ(図示略)によって吸気ポート19内に燃料が噴射され、流入した空気と噴射された燃料により混合気が生成される。吸気バルブ27の開弁によって混合気が燃焼室18に流入する。なお、フューエルインジェクタから燃焼室18内に燃料を噴射して混合気を生成するタイプのエンジンであってもよい。
【0026】
点火プラグ(図示略)によって、燃焼室18内の混合気に所定のタイミングで点火すると、混合気の燃焼によってピストン16が前方に押圧移動されて、コンロッド17を介してクランク軸10を回転させる力が伝達される。燃焼後の排気ガスは、排気バルブ28の開弁によって燃焼室18から排気ポート20に流出してエキゾーストマニホールド22に進む。エキゾーストマニホールド22は、エンジンルームから下方に延びる下部排気管(図示略)に接続している。エキゾーストマニホールド22内の触媒23によって浄化された排気ガスは、下部排気管を通って、排気口(図示略)から船外機の外部に排出される。排気口は、プロペラシャフトの後端部等の船外機の下部ユニットに設けられており、排気ガスは水中に排出される。
【0027】
エンジン1は水冷式の冷却装置を有している。冷却装置は、航走する水域の水を汲み上げて冷却水として利用してエンジン1を冷却するものである。
図3及び
図5に示すように、エンジン1で高温となる発熱部分の周囲に、冷却水を通す冷却水路30が形成されている。冷却水路30は、シリンダブロック12やシリンダヘッド13の一部からなるウォータージャケット31(
図3)や、ウォータージャケット31に対して取り付けられるウォータージャケットカバー32(
図1及び
図2)によって、水密構造の水路として構成されている。
【0028】
船外機の外部(水中)から冷却水を取り入れて冷却水路30に供給するための取入側水路(図示略)と、エンジン1を冷却した後の冷却水を冷却水路30から外部に排水するための排水側水路35が設けられている。これらの取入側水路、冷却水路30及び排水側水路35によって、冷却装置における冷却水経路が構成されている。ドライブシャフトの回転によって駆動されるウォーターポンプ(図示略)を用いて、外部から取入側水路を経由する冷却水の汲み上げと、冷却水路30での冷却水の流通と、排水側水路35を経由する冷却水の排水を行わせる。
【0029】
取入側水路は、船外機の外面側に開口する取水口(図示略)を最上流としている。取水口は、船外機の下部ユニットの外面(ギヤケースの外面)に形成されている。取水口にはストレーナ(図示略)が設けられており、冷却水経路を目詰まりさせるレベルの大きさの小石や藻等の異物は、ストレーナによって冷却水経路内への進入が防がれる。取入側水路は、取水口からエンジンルーム内まで延びて冷却水路30に接続している。取水口から取入側水路に取り込まれた冷却水は、ウォーターポンプの駆動によって吸い上げられて冷却水路30内に送られる。
【0030】
図3及び
図5に示すように、冷却水路30は、シリンダ15及び燃焼室18の周囲に形成されたシリンダ周囲水路33と、排気ポート20及びエキゾーストマニホールド22の周囲に形成された排気周囲水路34と、を含んでいる。
図4及び
図5に示すように、エキゾーストマニホールド22は二重筒構造であり、内側筒の内部に触媒23が配置され、外側筒と内側筒の間に排気周囲水路34の一部が形成されている。シリンダ周囲水路33及び排気周囲水路34に供給された冷却水は、燃焼室18での混合気の燃焼や燃焼後の排気ガスの通過によって高温になった部位から熱を奪って冷却させる。
【0031】
図1及び
図2に示すように、排水側水路35は、排水ホース36と下部排水管路37とバイパス管路38を有している。エンジンルーム内において、排水ホース36は、冷却水が通常流れるメインの水路(第1の水路)を構成しており、排水ホース36の途中に濾過装置40が配置されている。バイパス管路38は、排水ホース36から分岐して、濾過装置40を経由しない迂回用の水路(第2の水路)を構成している。排水ホース36とバイパス管路38はそれぞれ可撓性を有する材質で形成されている。排水ホース36の一端である上流側端部36aは、シリンダブロック12の上面側で冷却水路30に接続している。排水ホース36の他端である下流側端部36bは、シリンダヘッド13及びヘッドカバー14の側方(左側)で下部排水管路37に接続している。下部排水管路37は、エンジンルームから下方に延びている。
【0032】
排水ホース36は、上流側端部36aから左斜め後方に延びる上側管部36cと、上側管部36cから屈曲して下方に延びる上下方向管部36dとを有する。上下方向管部36dは、シリンダヘッド13の左側方を通っている(
図3参照)。
【0033】
より詳しくは、
図4及び
図5に示すように、シリンダ15の左方に位置するエキゾーストマニホールド22は、触媒23を内蔵する部分で直径が大きくなっている。また、シリンダ15を挟んでエキゾーストマニホールド22及び触媒23の反対側では、インテークマニホールド21が右方に張り出している。そのため、エンジン1は、シリンダ15の左右に触媒23とインテークマニホールド21を配した箇所で、左右方向の幅が最も大きくなっている。排水ホース36の上下方向管部36dは、このエンジン1の最大幅部分よりも後方に配置され、特にエキゾーストマニホールド22及び触媒23の後方の位置で、エキゾーストマニホールド22と略平行に延びている。
【0034】
排水ホース36の途中にバイパス管路38が接続している。上述したように、バイパス管路38は、濾過装置40を経由しない迂回用の水路を形成するものである。バイパス管路38の上流側端部38aは、上下方向管部36dの上端付近(上側管部36cと上下方向管部36dの境界付近)で排水ホース36に接続しており、この上流側端部38aの接続箇所は、濾過装置40よりも上方に位置する。バイパス管路38の下流側端部38bは、上下方向管部36dの下部で排水ホース36に接続しており、この下流側端部38bの接続箇所は、濾過装置40よりも下方に位置する。すなわち、バイパス管路38は、濾過装置40よりも上流側で排水ホース36から分岐して、濾過装置40よりも下流側で排水ホース36に合流している。
【0035】
バイパス管路38は、上流側端部38aから後方に延びて下方に屈曲する屈曲部38cと、屈曲部38cから下方に延びる上下方向管部38dと、上下方向管部38dの下端から前方に屈曲して下流側端部38bに至る屈曲部38eとを有する。従って、バイパス管路38は、排水ホース36の上下方向管部36dの後方に位置し、上下方向管部38dが概ね上下方向管部36dと平行に延びている。
【0036】
図3及び
図5に示すように、エキゾーストマニホールド22及び触媒23の後方では、排気ポート20と冷却水路30(特に、排気周囲水路34)の箇所よりも、動弁室24の箇所の方が、左方への張り出し量が小さい。これに対応して、排気ポート20及び排気周囲水路34の側方(左方)に位置する排水ホース36の上下方向管部36dよりも、動弁室24の側方(左方)に位置するバイパス管路38の上下方向管部38dの方が、エンジン1の幅方向の内側寄り(右方)に位置するように構成している。つまり、排水ホース36の後方にバイパス管路38を配置した上で、さらに、排水ホース36とバイパス管路38をそれぞれ、左右方向でエンジン1の本体部分に可能な限り近づけて配置し、エキゾーストマニホールド22及び触媒23の後方にスペース効率良く収めている。
【0037】
排水側水路35の最下流には、船外機の外面側に開口する排水口(図示略)が形成されている。排水口は、下部ユニット(プロペラシャフトの後端部付近等)に設けられており、下部排水管路37の端部が排水口に接続している。
【0038】
冷却水路30と排水側水路35(排水ホース36)の間には、冷却水の水温変化に応じて開閉する制御弁(図示略)が設けられている。冷却水路30内の冷却水温が低い状態では、制御弁が閉じて排水側水路35側に排水させずに冷却水路30内で冷却水を循環させる。冷却水路30内の冷却水温が高くなると、制御弁が開いて排水側水路35側に排水し、取入側水路から低温の冷却水を取り入れる。排水側水路35に送られた冷却水は、排水ホース36(場合によりバイパス管路38)と下部排水管路37を通って、排水口から外部(水中)に排出される。排水側水路35を通る冷却水の一部は、下部排水管路37の途中(水面よりも上方)に設けた検出孔39(
図2及び
図4参照)から放出され、その放出状態を見ることによって、冷却水経路での冷却水の流通状況を確認することができる。
【0039】
上述したように、小石や藻等の比較的大きな異物は、取入側水路の取水口に設けたストレーナによって遮られるので、冷却水経路を流れる冷却水は、当該冷却水経路を目詰まりさせる大きさの異物が除去されたものとなっている。本実施形態の冷却装置では、このような冷却性能(冷却水のスムーズな流通)の確保とは別に、環境対策として、冷却水に残留しているより微細な異物(特に環境汚染物質)を濾過して回収するための濾過装置40を、冷却水経路中に備えている。濾過装置40は、
図6及び
図7に詳細を示すカートリッジ式のユニットであり、排水ホース36における上下方向管部36dの途中に着脱可能である。濾過装置40は、ストレーナよりも細かいメッシュや不織布等の内側フィルタ45及び外側フィルタ46を内蔵しており、冷却水が外部に排出される前に、冷却水中に残留している微細な異物を捕捉することができる。
【0040】
主に
図6及び
図7を参照して、濾過装置40の具体的な構成を説明する。濾過装置40は、上下方向に長い筒状であり、上下(冷却水の流れる方向)に2分割可能なケース半体であるアッパケース41とロアケース42を備えている。アッパケース41とロアケース42を固定(結合)させる固定部材として、キャップ43を備える。
【0041】
アッパケース41及びロアケース42の内部に、旋回流発生部材44と、濾過用の内側フィルタ45及び外側フィルタ46が支持される。ロアケース42の外側にはクッション部材47が取り付けられる。アッパケース41、ロアケース42、キャップ43、旋回流発生部材44はそれぞれ金属や合成樹脂等で形成されており、海水に対する耐腐食性を有している。クッション部材47は、ゴム等の弾性体からなっている。
【0042】
アッパケース41は、上下方向に貫通する内部空間を有する円筒状の部材であり、上方に向けて突出する入口筒部41aが上端に設けられている。入口筒部41aよりも下方のアッパケース41の外周部分には、外面から側方に突出する鍔部41bと、その下方に位置する環状溝41cが形成されている。環状溝41cには、非通水性の弾性体からなるOリング48が装着される。また、入口筒部41aよりもやや下方の位置に、側方に向けて貫通するバイパス接続筒41dが突出している。
【0043】
ロアケース42は、上下方向に貫通する内部空間を有する円筒状の部材であり、下方に向けて突出する出口筒部42aが下端に設けられている。ロアケース42の上端側には、内径サイズを拡大した拡径部42bが形成され、拡径部42bの外面に雄ネジ42cが形成されている。拡径部42bの内側には、上方に向く環状の面である段差部42dが形成されている。拡径部42bよりも下方のロアケース42の外面には、側方に突出する環状の嵌合リブ42eが形成されている。
【0044】
アッパケース41の下端部は、ロアケース42の拡径部42b内に挿入可能であり、且つ拡径部42bよりも下方には進入しない(段差部42dを通過しない)外径サイズになっている。また、アッパケース41の鍔部41bの外径サイズは、拡径部42bの内径サイズよりも大きく、拡径部42bの内部に挿入されない。
【0045】
キャップ43は、平面視でC字状の環状部材であり、周方向の一部がスリット43aとして開放している。スリット43aは、アッパケース41のバイパス接続筒41dが上下方向に通過可能な幅を有している。キャップ43の上端部には、内側に突出してキャップ43の開口径を小さくさせる環状の押さえ部43bが形成されている。押さえ部43bよりも下方のキャップ43の内面には、ロアケース42の雄ネジ42cに対して螺合する雌ネジ43cが形成されている。
【0046】
旋回流発生部材44は、上下方向に貫通する貫通部44bを内側に有する円環状の台座部44aと、台座部44aから上方へ突出する羽根部44cとを有している。台座部44aの外径サイズは、ロアケース42の拡径部42bの内径サイズに対応しており、ロアケース42に対して拡径部42bよりも下方には進入しない(段差部42dを通過しない)ようになっている。羽根部44cは、台座部44aの周方向に進むにつれて、上下方向と半径方向の位置が変化する捻り形状の面を備えている。
【0047】
内側フィルタ45と外側フィルタ46のそれぞれの上端には、側方へ突出する環状の鍔部45a,46aが設けられている。鍔部45a,46aの外径サイズは、ロアケース42の拡径部42bの内径サイズに対応しており、段差部42dを通過せずに段差部42dに載るようになっている。各フィルタ45,46の鍔部45a,46aの下部には、袋状(有底の円錐台状)の捕集部45b,46bが設けられている。捕集部45b,46bは、上下方向に延びて上端が鍔部45a,46aに接続する側壁45c,46cと、側壁45c,46cの下端を塞ぐ底壁45d,46dと、によって構成されている。
【0048】
各フィルタ45,46の捕集部45b,46bはそれぞれ、鍔部45a,46aに接続する上端側から、底壁45d,46dに接続する下端側へ進むにつれて、側壁45c,46cに囲まれる内側面積を徐々に小さくする形状を有している。つまり、側壁45c,46cは、円錐の側面のような形状である。内側フィルタ45の側壁45cと外側フィルタ46の側壁46cは、上下方向に対する傾きが互いに異なっており、側壁46cよりも側壁45cの方が大きい傾斜角を有する。また、鍔部45a,46aに接続する最大径の箇所で、側壁46cの直径よりも側壁45cの直径の方が小さい。さらに、鍔部46aから底壁46dまでの上下方向への長さは、鍔部45aから底壁45dまでの上下方向への長さ以上に設定されている。従って、
図7に示すように、鍔部45aと鍔部46aを上下に重ねた状態で、捕集部46bの内側に捕集部45bが位置し、側壁45cと側壁46cの間、底壁45dと底壁46dの間には、それぞれ隙間がある。
【0049】
捕集部45bと捕集部46bはいずれも、取入側水路の取水口に設けたストレーナよりも細かい孔が多数形成されたメッシュ材や不織布等からなる。捕集部45bと捕集部46bとは、目の細かさが異なっており、捕集部45bの方が目が粗く(孔が大きく)、捕集部46bの方が目が細かい(孔が小さい)。
【0050】
クッション部材47は、上下方向に貫通する内部空間を有する筒状の部材であり、ロアケース42の外側を囲む(ロアケース42の外面にフィットする)寸法を有している。クッション部材47の下端部には、内側に突出してクッション部材47の開口径を小さくする規制部47aが形成されている。クッション部材47の上端側には、ロアケース42の拡径部42bの外径サイズに対応する内径サイズの拡径部47bが形成されている。規制部47aと拡径部47bの間のクッション部材47の内面には、ロアケース42の嵌合リブ42eに対して嵌合する環状の嵌合凹部47cが形成されている。
【0051】
濾過装置40は次のように組み立てられる。まず、アッパケース41とロアケース42を分割した状態で、内側フィルタ45と外側フィルタ46をロアケース42の内部に組み付ける。底壁46dを先頭にして、外側フィルタ46をロアケース42の上端側からロアケース42内に挿入すると、段差部42dへの鍔部46aの当接によって、それ以上の外側フィルタ46の挿入が制限される。続いて、底壁45dを先頭にして、内側フィルタ45をロアケース42の上端側からロアケース42内に挿入すると、鍔部45aが鍔部46aの上に重なって、それ以上の内側フィルタ45の挿入が制限される。つまり、段差部42dを介して、上下方向での内側フィルタ45と外側フィルタ46の位置が定まる。また、鍔部45a及び鍔部46aの外周部分が拡径部42bの内面に接することで、前後方向や左右方向での内側フィルタ45及び外側フィルタ46の位置が定まる。
【0052】
この状態で、捕集部45bと捕集部46bが、拡径部42bよりも下方でロアケース42の内部空間に位置する。
図7に示すように、ロアケース42の内面と外側フィルタ46の側壁46cの間には、側壁46cの傾斜形状によって隙間が形成される。この隙間は下方に進むほど広くなる。また、内側フィルタ45の側壁45cと外側フィルタ46の側壁46cの間にも隙間が形成される。外側フィルタ46の底壁46dは、ロアケース42の底部(出口筒部42aの基端部)に対して上方に離間して位置する。内側フィルタ45の底壁45dは、底壁46dに対して上方に僅かに隙間を空けて位置する。つまり、拡径部42bよりも下方のロアケース42の内部空間は、捕集部45bの内側空間、捕集部45bと捕集部46bの間の空間、捕集部46bの外側空間(ロアケース42の内面と捕集部46bの間)という3重の空間に仕切られる。
【0053】
続いて、ロアケース42の拡径部42bの内部に上方からスペーサ49(
図7参照)を挿入する。スペーサ49は、鍔部45a及び鍔部46aに対応する直径の環状部材であり、鍔部46a上に重ねた鍔部45aに対して上方から当接する。スペーサ49の内側は上下方向に貫通している。スペーサ49は可撓性を有している。
【0054】
続いて、ロアケース42の拡径部42bの内部に上方から旋回流発生部材44を挿入する。台座部44aの下面がスペーサ49に当接して、上下方向での旋回流発生部材44の位置が定まる。台座部44aの外周部分が拡径部42bの内面に接することで、前後方向や左右方向での旋回流発生部材44の位置が定まる。
【0055】
なお、ロアケース42の拡径部42b内に挿入する各部材(旋回流発生部材44、内側フィルタ45、外側フィルタ46、スペーサ49)は、順次個別に挿入するのではなく、複数の部材をまとめて挿入してもよい。例えば、鍔部45aと鍔部46aを予め重ねた上で、内側フィルタ45と外側フィルタ46をまとめてロアケース42内に挿入してもよい。さらに、内側フィルタ45と外側フィルタ46に加えて、スペーサ49や旋回流発生部材44まで含む形態にしてロアケース42内に挿入してもよい。
【0056】
続いて、ロアケース42の拡径部42bに対して、上方からアッパケース41を挿入する。この挿入に先立って、Oリング48を環状溝41cに取り付けておく。鍔部41bの下面がロアケース42(拡径部42b)の上端面に当接すると、それ以上のアッパケース41の挿入が規制される。この状態で、拡径部42b内に挿入されたアッパケース41の下端が、台座部44aの上面に当接し、アッパケース41の下端面と段差部42dとの間に、台座部44aとスペーサ49と鍔部45aと鍔部46aが挟まれる。また、アッパケース41の外周部分が拡径部42bの内面により規制されて、前後方向や左右方向(ロアケース42の中心軸に対して垂直な方向)でのアッパケース41の位置が定まり、入口筒部41aと出口筒部42aが同軸上に位置する。拡径部42bの内面に押し込まれて圧縮変形したOリング48によって、アッパケース41の外面とロアケース42(拡径部42b)の内面の間が水密に塞がれる。
【0057】
続いて、アッパケース41の上端側から下方に向けてキャップ43を挿入する。その際、アッパケース41の周方向でスリット43aとバイパス接続筒41dの位置を合わせて、バイパス接続筒41dをスリット43aが通過するようにする。そして、雄ネジ42cに雌ネジ43cを螺合させて、締め込み方向にキャップ43を回転させる。キャップ43の回転は手動操作で行うことができる。押さえ部43bが鍔部41bの上面に当接した状態で、キャップ43に対して締め込み方向に所定のトルクをかけると、拡径部42bの上端面と押さえ部43bの下面との間に鍔部41bが挟まれて保持され、ロアケース42に対してアッパケース41が固定された状態になる。アッパケース41の固定に伴って、アッパケース41の下端面と段差部42dとの間に挟まれる旋回流発生部材44、内側フィルタ45、外側フィルタ46、スペーサ49も固定される。このとき、可撓性を有するスペーサ49が僅かに上下方向に圧縮されることによって、各部品間の精度誤差を吸収すると共に、鍔部45aと鍔部46aを段差部42dへ確実に押し付けるように設定されている。
【0058】
ロアケース42に対して下方からクッション部材47を取り付ける。クッション部材47は、規制部47aがロアケース42の底部(出口筒部42aの基端部)に当接する位置まで挿入される。この状態で、嵌合リブ42eに嵌合凹部47cが嵌合して、ロアケース42に対する下方へのクッション部材47の脱落が規制される。また、拡径部47bが拡径部42bの一部を外側から覆い、拡径部47bの上端面とキャップ43の下端面が近接して対向する関係になる。つまり、出口筒部42aと雄ネジ42cを除いたロアケース42の大部分の外側を、キャップ43とクッション部材47で覆っている。
【0059】
なお、ロアケース42へのクッション部材47の取り付けは、ロアケース42に対する他の各部材の取り付けの後に行ってもよいし、他の各部材の取り付けの前に行ってもよい。
図7に示すように、クッション部材47の取り付け位置は、キャップ43とは干渉しない位置であるため、クッション部材47を先にロアケース42に取り付けても、他の各部材の取り付けを妨げない。
【0060】
以上の工程を経て濾過装置40が完成する。
図7に示すように、完成した状態の濾過装置40は、入口筒部41aを上流側、出口筒部42aを下流側とする流路を有し、この流路内に旋回流発生部材44と内側フィルタ45と外側フィルタ46を保持した構造になる。ロアケース42に対して各部材を挿入した上で、手作業でキャップ43による固定を行えるので、特別な工具を用いずに簡単に濾過装置40を組み立てることができる。
【0061】
クッション部材47の外径サイズは、アッパケース41とロアケース42とキャップ43のいずれの外径サイズよりも大きく、濾過装置40を組み立てた状態で、クッション部材47が最も外径側に突出した状態になる。
【0062】
以上のようにして各部品を組み合わせて構成した濾過装置40は、排水ホース36の途中に取り付けられる。排水ホース36の上下方向管部36dは、上流側に位置する上半部分と、下流側に位置する下半部分に分割されており、上下方向管部36dの上半部分と下半部分の間に濾過装置40が取り付けられる。上下方向管部36dの上半部分の端部に入口筒部41aを挿入し、上下方向管部36dの下半部分の端部に出口筒部42aを挿入して、排水ホース36に対して濾過装置40を接続させる。これらの接続部分は凹凸の嵌合形状を有し、嵌合によって、入口筒部41aと出口筒部42aが排水ホース36から脱落しないようになっている。また、これらの接続部分は、所定のシール構造によって水密にされる。
【0063】
上下方向管部36dの上半部分から入口筒部41aを通って濾過装置40内に流入した冷却水は、旋回流発生部材44の羽根部44cに沿って、旋回しながら下方へ進む旋回流(サイクロン流)を形成し、貫通部44b及びスペーサ49の開口部を通って内側フィルタ45及び外側フィルタ46の設置領域に進み、各フィルタ45,46の捕集部45b,46bを通過して、下流側の出口筒部42aから上下方向管部36dの下半部分に抜ける。
【0064】
濾過装置40に流入した冷却水に含まれる異物は、内側フィルタ45の捕集部45bや外側フィルタ46の捕集部46bによって捕捉されて下流側への進行が遮られて、濾過装置40内に貯留される。旋回流発生部材44によって冷却水の旋回流を生じさせることで、捕集部45bや捕集部46bの表面に沿うように冷却水の流れを導き、異物の捕捉効率を高めることができる。
【0065】
本実施形態の濾過装置40では、内側フィルタ45と外側フィルタ46は目の粗さ(細かさ)が異なっており、内側フィルタ45の捕集部45bよりも外側フィルタ46の捕集部46bの方が目が細かい。濾過装置40が回収対象とする冷却水中の残留異物として、特にマイクロプラスチックが挙げられる。一般的に、5mm以下の大きさのプラスチック片等がマイクロプラスチックと呼ばれる。目が細かい外側フィルタ46の捕集部46bは、さらに微細な、肉眼で目視可能な最小レベルの大きさ(一般的には0.1mm~0.2mm程度)の残留異物を捕捉して回収可能な濾過機能を有しており、マイクロプラスチックを確実に回収することができる。また、内側フィルタ45の捕集部45bは、取水口のストレーナと外側フィルタ46の捕集部46bの中間の異物捕集性能を備えており、ストレーナを通り抜けて冷却水経路に入り込んだ異物のうち、比較的大きなものを回収することができる。
【0066】
例えば、冷却水経路の内部で目詰まりを生じさせないという条件を満たすべく、取水口のストレーナでは、1mm~2mm程度以上の大きさの異物の通過を規制できるようにメッシュの大きさを設定したとする。これよりも小さい異物は、ストレーナのメッシュを通り抜けて冷却水経路に入り込む可能性があるが、当該異物が冷却水経路内で詰まるおそれは低いため、冷却性能を確保するという観点では支障がない。しかしながら、冷却水に含まれる微細な異物を回収せずにそのまま外部に放出してしまうと、ストレーナでは捕捉できない微細な環境汚染物質を回収する機会を逸することになる。
【0067】
このような環境対策の機会を活かすべく、ストレーナで捕捉されずに冷却水経路内に進入した微細な異物を捕捉可能な濾過装置40を、冷却装置の冷却水経路中に備えている。これにより、エンジン1を駆動した状態で、外部から取り込まれた冷却水に含まれるマイクロプラスチック等の微細な環境汚染物質を取り除き、環境汚染物質が除去された冷却水を外部に戻すことができる。一般的に、水中に拡散した微細な環境汚染物質は回収が難しいが、外部(航走水域)から冷却水を取り込んで排出することを繰り返すという船舶推進装置用動力源の冷却装置の特性に着目して、外部から取り込んだ冷却水の流れを利用しながら微細な環境汚染物質を捕集するように濾過装置40を構成している。これにより、エンジン1を動力源とする船舶での航走中に、冷却水の通常の循環以外の特別な動作や制御を要さずに、効率的且つ積極的に環境対策を実施することができる。
【0068】
特に、排水量が大きく出力が高い船外機では、高度な冷却性能を持たせるべく、冷却水経路に取り込む冷却水の流量が大きくなる。一例として、排気量4000cc強で出力300psレベルの船外機の場合、毎分100リットル(1時間あたり6000リットル)程度の冷却水を流す性能を有する。従って、冷却水経路中に濾過装置40を備えることで、一回の航海ごとに大量の冷却水から環境汚染物質の除去処理を行うことができる。
【0069】
濾過装置40は、冷却水経路のうち、排水側水路35の途中に配置されている。冷却水経路では、外部から取入側水路に汲み上げられて冷却水路30に達するまでの冷却水の水温よりも、冷却水路30でエンジン1から熱を奪った後に排水側水路35を流れる冷却水の水温の方が高くなる。温水は冷水よりも粘性が低下するので、温水が流れる排水側水路35の途中に濾過装置40を設けることで、内側フィルタ45や外側フィルタ46があっても冷却水を抵抗無く流しやすくなる。これにより、マイクロプラスチック等の異物を効率良く捕集可能になる。
【0070】
また、排水側水路35を通る冷却水には、船外機外部の水中に元々含まれていた異物の他に、エンジン1の内部に滞留したゴミ等が混入する可能性もある。このような冷却水経路の途中で混入した異物についても、濾過装置40の各フィルタ45,46による捕集が可能である。従って、エンジン1内に滞留した異物の回収という観点からも、下流側の排水側水路35に濾過装置40を設けることが好ましい。
【0071】
濾過装置40は、マイクロプラスチック以外の水中物質を回収することも可能である。例えば、生け簀を使用する養殖業者が、エンジン1を動力源とする船舶によって生け簀の周りを周回することで、養殖の際に水中に撒かれた餌の残り等を、濾過装置40によって効率的に捕集して、海洋汚染防止に貢献できる。
【0072】
濾過装置40では、内側フィルタ45と外側フィルタ46の2層構造にしている。目の粗い内側フィルタ45によって、冷却水に含まれている比較的大きい異物を捕捉し、目の細かい外側フィルタ46によって、内側フィルタ45を通過したさらに微細な異物を捕捉する。これにより、マイクロプラスチックを含む環境汚染物質を効率よく確実に回収することができる。また、濾過装置40を通る冷却水を、内蔵した旋回流発生部材44によって旋回流にすることで、内側フィルタ45や外側フィルタ46による異物の捕捉効率を向上させることができる。
【0073】
バイパス管路38の途中にバルブユニット50が設けられる。
図7に示すように、バルブユニット50は、アッパケース51とロアケース52を組み合わせて構成した筐体内に、リリーフバルブ53を保持した構成である。
【0074】
アッパケース51は、内部に流入空間Q1を有し、上方に突出する入口筒部51aと、側方に突出する側方管部51bが設けられている。入口筒部51aと側方管部51bはそれぞれ流入空間Q1に連通している。また、アッパケース51の下端は開放されている。
【0075】
ロアケース52は、内部に排出空間Q2を有し、排出空間Q2に連通して下方に突出する出口筒部52aが設けられている。ロアケース52の上端は蓋部54で塞がれており、蓋部54には上下方向に貫通する開口54aが形成されている。蓋部54は、ロアケース52と一体的に形成してもよいし、ロアケース52とは別部材として形成した上でロアケース52に取り付けてもよい。
【0076】
蓋部54にリリーフバルブ53が取り付けられる。リリーフバルブ53は、開口54a内に固定される筐体53aと、筐体53aに対して上下に移動可能な弁体53bを備え、圧縮バネ53cによって弁体53bが閉じ方向(
図7の上方)に付勢されている。
【0077】
アッパケース51の下端とロアケース52の上端の互いの合わせ面を当接させて、アッパケース51とロアケース52を組み合わせる。アッパケース51とロアケース52は、複数のボルト57(
図1参照)によって締結固定される。アッパケース51とロアケース52の互いの合わせ面の間にシール部材55が挟まれ、シール部材55によって、アッパケース51とロアケース52の間が水密に塞がれる。
【0078】
アッパケース51内の流入空間Q1とロアケース52内の排出空間Q2は、蓋部54によって隔てられており、リリーフバルブ53の開閉によって、流入空間Q1と排出空間Q2の間の連通状態が変化する。リリーフバルブ53は、圧縮バネ53cの付勢力により弁体53bを閉じさせる常閉式の弁部材であり、流入空間Q1の圧力(水圧)が所定値以下の状態では、弁体53bが閉じて流入空間Q1から排出空間Q2への冷却水の進行を遮断する。
図7は、リリーフバルブ53が閉じた状態を示している。流入空間Q1の圧力(水圧)が所定値以上になると、圧縮バネ53cの付勢力に抗して弁体53bが押し下げられ、排出空間Q2へ冷却水が流れる。
【0079】
以上のように構成したバルブユニット50を、バイパス管路38の途中に取り付ける。バイパス管路38の上下方向管部38dは、上流側に位置する上半部分と、下流側に位置する下半部分に分割されており、上下方向管部38dの上半部分と下半部分の間にバルブユニット50が取り付けられる。上下方向管部38dの上半部分の端部に入口筒部51aを挿入し、上下方向管部38dの下半部分の端部に出口筒部52aを挿入して、バイパス管路38に対してバルブユニット50を接続させる。これらの接続部分は、所定のシール構造によって水密にされる。
【0080】
濾過装置40のバイパス接続筒41dとバルブユニット50の側方管部51bは、中継管56によって接続されている。中継管56は、バイパス管路38及びバルブユニット50内でリリーフバルブ53よりも上方に滞留する水を、濾過装置40側に流すためのものである。
【0081】
濾過装置40において冷却水が円滑に流れている状態では、流入空間Q1内の圧力(水圧)が高くならず、常閉タイプのリリーフバルブ53は閉じた状態を維持する。従って、仮にバイパス管路38に冷却水が入ってもバルブユニット50で遮断されて、リリーフバルブ53よりも下流側には進まない。バルブユニット50内へ部分的に冷却水が入った場合は、中継管56が形成する中継水路を経由して濾過装置40へ流れ落ちる。故に、バイパス管路38を通って濾過装置40の下流側に回り込む冷却水の流れが生じず、冷却水の全量が濾過装置40の各フィルタ45,46を通り、濾過装置40による異物の回収漏れが生じない。
【0082】
内側フィルタ45や外側フィルタ46により捕集した異物の量が増大して濾過装置40での目詰まりが発生すると、排水ホース36での冷却水の流れが滞る。目詰まりで進行を遮られた冷却水が上下方向管部36dの上半部分に溜まって上流側端部38aの位置まで達すると、バイパス管路38に冷却水が流れるようになる。バイパス管路38を通してバルブユニット50に進んだ冷却水によって、流入空間Q1内の圧力(水圧)が高くなる。流入空間Q1内の圧力が所定以上になった場合に、圧縮バネ53cの付勢力に抗して弁体53bが開いて、流入空間Q1から排出空間Q2へ冷却水が流れるようになる。
【0083】
排出空間Q2から下方に流れた冷却水は、バイパス管路38の下流側端部38bに達し、下流側端部38bが合流する上下方向管部36dの下半部分に流れ込む。この合流箇所は濾過装置40よりも下方に位置するので、濾過装置40の目詰まりに影響されずに、バイパス管路38経由で下部排水管路37へ冷却水を排出することができる。これにより、濾過装置40の各フィルタ45,46で捕集した異物の量に関わりなく、状況に応じて排水ホース36とバイパス管路38を自動的に選択して冷却水を上流側から下流側に支障なく流すことができ、冷却水の循環不良によるエンジン1の冷却性能の低下を防止できる。
【0084】
バイパス管路38は、排水ホース36の上下方向管部36dと概ね平行に延びる上下方向管部38dと、上下方向管部38dから前方に屈曲して上下方向管部36dに接続する上下の屈曲部38c,38eからなるシンプルな形状である。従って、冷却水はバイパス管路38を滞りなく円滑に通過することができる。また、シンプルな構造のバイパス管路38は、低コストに得ることができる。
【0085】
濾過装置40は、排水ホース36の上下方向管部36dと略同軸上(上下方向に向く直線的な流路上)に位置している。これに対し、バイパス管路38は上下方向管部36dから後方にオフセットした位置にある。従って、濾過装置40で各フィルタ45,46が目詰まりしていない状態では、排水側水路35に入る冷却水は、濾過装置40を通る直線的な経路によって効率的に通過させることができる。
【0086】
各フィルタ45,46の捕集部45b,46bは、下方に進むほど、側壁45c,46cに囲まれる内側面積を小さくするように絞られた形状である。そのため、捕集した異物が捕集部45b,46b内で下端(底壁45d,46d)側から順次溜まった場合に、その上方ではロアケース42の内面と捕集部45b,46bとの間に冷却水を流す隙間が確保されており、濾過装置40での各フィルタ45,46の目詰まりが生じにくい。言い換えれば、捕集部45b,46bの大部分が異物で埋まる状態になるまで、濾過装置40での冷却水の進行を妨げにくく、各フィルタ45,46の交換頻度を低くして効率良く異物を捕集できる。
【0087】
濾過装置40での目詰まりの発生は、例えば、排水側水路35において濾過装置40よりも上流側に設置した圧力センサ61(
図2に模式的に示す)によって検出される。圧力センサ61からの信号は、船外機又は船舶に搭載した制御部60(
図2に模式的に示す)に送信される。濾過装置40の目詰まりが生じると、濾過装置40よりも上流側で排水側水路35の水圧が上昇する。
【0088】
基本的に、濾過装置40が目詰まりした状態でも、バイパス管路38を経由する冷却水の流れが確保されるので冷却性能は損なわれないが、バルブユニット50でリリーフバルブ53が開弁するまでの間、濾過装置40の上流側で水圧が一時的に上昇する。この水圧上昇の影響を圧力センサ61によって検出することができる。
【0089】
圧力センサ61の検出値が所定以上になった場合、制御部60は、濾過装置40での目詰まりが発生したと判定して、乗員(操船者)への警告の報知を実行させる。報知する手段として、船舶の操船用計器や船外機外面の表示灯等の表示手段62への表示(視認)や、スピーカー63から発する警報音や音声を用いる。また、これ以外の報知手段を用いてもよい。例えば、乗員が携帯する携帯情報端末に報知用の信号を送信してもよい。
【0090】
なお、エンジン1のオーバーヒートをより確実に防止するべく、冷却水の水温を測定する水温センサの検出値に基づくエンジン温度警告を、圧力センサ61の検出値に基づく目詰まり警告と併せて報知してもよい。
【0091】
濾過装置40の目詰まりが報知されたり、所定のメンテナンスサイクルが経過したりした場合、作業者が濾過装置40における回収物の除去作業を行う。濾過装置40では、雄ネジ42cと雌ネジ43cの緩み方向にキャップ43を回転させて取り外すことで、アッパケース41とロアケース42の固定を解除して分割させることができる。これにより、濾過装置40に内蔵した旋回流発生部材44、内側フィルタ45及び外側フィルタ46が露出して抜き取り可能になる。そして、各フィルタ45,46の交換を行い、再び濾過装置40を組み立てる。各フィルタ45,46の交換は、回収物を取り除いた各フィルタ45,46を再装着するものでもよいし、新たな各フィルタ45,46に換装するものでもよい。あるいは、濾過装置40全体を新たなものに交換することも可能である。
【0092】
濾過装置40の分解は、排水ホース36に接続したままで行うことが可能である。例えば、上下方向管部36dの上半部分に入口筒部41aを接続し、上下方向管部36dの下半部分に出口筒部42aを接続した状態で、キャップ43による固定を解除させてアッパケース41とロアケース42を分離させることができる。
【0093】
あるいは、排水ホース36から濾過装置40を取り外した上で、フィルタ交換を含むメンテナンスを行ってもよい。上下方向管部36dから入口筒部41aと出口筒部42aを引き抜くことで、濾過装置40を簡単に取り外すことができる。
【0094】
バルブユニット50では、ボルト57による固定を解除してアッパケース51とロアケース52を分割して、リリーフバルブ53のメンテナンス等を行うことができる。アッパケース51とロアケース52の分割は、バイパス管路38に接続したまま(上下方向管部38dの上半部分に入口筒部51aを接続し、上下方向管部38dの下半部分に出口筒部52aを接続した状態)で行うことが可能である。あるいは、上下方向管部38dから入口筒部51aと出口筒部52aを引き抜き、バイパス管路38からバルブユニット50を取り外した状態でメンテナンスを行ってもよい。
【0095】
図1及び
図2に示すように、バルブユニット50は濾過装置40よりも上方に位置している。濾過装置40の目詰まりが解消して排水ホース36経由で冷却水が流れるようになると、流入空間Q1での圧力が低下してリリーフバルブ53が閉じるので、バイパス管路38においてバルブユニット50よりも先(下方)へ冷却水が流れなくなる。ここで、バイパス管路38内でリリーフバルブ53よりも上方(上流側端部38aから流入空間Q1までの間)にある水は、中継管56を通って、重力によって濾過装置40のアッパケース41内に流れ落ちる。これにより、迂回用の水路として使用されていないときのバイパス管路38の上部に継続して水が滞留する状態を防ぎ、部品の腐食防止や耐久性向上の効果を得ることができる。
図7に示すように、中継管56の上流側端部が接続する側方管部51bは、流入空間Q1の最下部に連通しているので、バイパス管路38及びバルブユニット50のうちリリーフバルブ53よりも上方の部分から確実に水抜きすることができる。
【0096】
濾過装置40は、内側フィルタ45と外側フィルタ46を内蔵したカートリッジ式である。そのため、既存の冷却装置に対する大掛かりな変更を行わずに、濾過装置40を搭載することができる。また、冷却装置の大掛かりな分解を要さずに、濾過装置40を分解したり、濾過装置40の部分のみを着脱したりして、フィルタ交換等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0097】
ユニットとしての濾過装置40については、排水ホース36の上下方向管部36dから入口筒部41a及び出口筒部42aを引き抜くことで、エンジン1から容易に取り外しが可能である。
【0098】
濾過装置40の分解については、キャップ43の回転操作によって、アッパケース41とロアケース42の固定が解除され、この状態で内側フィルタ45や外側フィルタ46をロアケース42から簡単に引き抜くことができる。旋回流発生部材44もアッパケース41内から簡単に取り外すことができる。キャップ43による固定解除は手作業で行うことがきる。従って、特殊な工具や技能等を要さずに、作業者が容易に各フィルタ45,46や旋回流発生部材44の取り外しや交換を行うことが可能である。
【0099】
メンテナンス後の濾過装置40の組み立て時には、キャップ43を締め込んでアッパケース41とロアケース42に固定させることで、Oリング48によってアッパケース41とロアケース42の間の水密性が得られる。また、アッパケース41の下端部とロアケース42の段差部42dとの間に台座部44a、鍔部45a、鍔部46a、スペーサ49を挟んで、旋回流発生部材44と内側フィルタ45と外側フィルタ46が固定される。従って、キャップ43を用いてアッパケース41とロアケース42を固定するだけで、濾過装置40を水密構造にできると共に、旋回流発生部材44と各フィルタ45,46の固定も完了し、手間をかけずにカートリッジ式の濾過装置40を組むことができる。
【0100】
以上のように、冷却水経路中に濾過装置40を備えることで、エンジン1の通常運転中に環境対策活動を同時に行うことができる。また、濾過装置40よりも上流側で排水ホース36から分岐するバイパス管路38を設け、バイパス管路38の途中にバルブユニット50を備えているので、濾過装置40側で内側フィルタ45や外側フィルタ46が目詰まりする状況でも冷却水の流れが阻害されず、エンジン1の動力性能が犠牲になることが無い。また、複雑な装置を付加することなく、簡単な構成でメンテナンス容易なカートリッジ式の濾過装置40や、バルブユニット50付きのバイパス管路38を設けるだけであるため、冷却装置をコンパクトに保ちながら、低コストに環境対策活動を実現できる。
【0101】
濾過装置40は、排水ホース36の上下方向管部36dに連続する筒状であり、設置に要するスペースが小さくて済む。濾過装置40の内部構造は、旋回流発生部材44と内側フィルタ45及び外側フィルタ46とが上下方向に並ぶものであり、濾過装置40を上下に細長い形状にして外径サイズの増大を抑えている。内側フィルタ45と外側フィルタ46は、捕集部46bの内側に捕集部45bを収めており、コンパクトさと、2層構造による異物捕捉性能の高さとを両立している。
【0102】
濾過装置40の外周部分はクッション部材47で覆われている。振動等で排水ホース36が振れた場合に、周囲の構造物に対してクッション部材47が接触して衝撃を吸収するので、濾過装置40と周囲の構造物の双方を保護すると共に、衝突による異音の発生を抑制できる。
【0103】
図3や
図5に示すように、エンジン1は、シリンダ15、エキゾーストマニホールド22、触媒23等が形成されている前後方向の中央付近において左右方向の幅が大きい。特に、
図5に示すように、触媒23は大きな容積を有し、且つ触媒23の周囲を冷却水路30の排気周囲水路34で囲んでいるため、シリンダ15の左側で必要なスペースが大きくなっている。エキゾーストマニホールド22及び触媒23を上下方向に延びる細長い形状とすることにより、左側へのエンジン1の張り出し量をできるだけ抑えているが、触媒23付近がエンジン1の左右方向幅が最大になる部分である。一方、触媒23の後方の領域は、エンジン1が左右方向に占める幅が小さい。
【0104】
排水側水路35における上下方向管部36dは、触媒23の後方に位置し、且つ排気ポート20の側方(左側)に配置されて上下方向に延びている。これに伴い、上下方向管部36dの途中に取り付けられる濾過装置40は、上下方向に細長い筒状に構成されて、触媒23の後方における段差形状のスペースに収まっている。特に、それぞれが上下方向に細長い触媒23と濾過装置40を前後方向に並べて配置することで、スペースに無駄の無い高密度な部品配置を実現している。従って、濾過装置40は、排気系を含めたエンジン1周りの構造を利用してスペース効率良く配置されており、船外機の大型化を防ぎながら、異物回収用の内部容積を確保できる。
【0105】
さらに、排水ホース36の上下方向管部36dや濾過装置40の後方に、バイパス管路38及びバルブユニット50を配置している。濾過装置40に目詰まりが生じた場合に冷却水を迂回させる機能を、濾過装置40とは別体として設けたバイパス管路38及びバルブユニット50が担うので、濾過装置40については、異物回収機能に特化した小型(小径)な構成にして、設置の自由度を高めることができる。迂回用の水路は、メインの水路である上下方向管部36dと並列するバイパス管路38及びバルブユニット50により構成しているので、省スペースに配置が可能である。
【0106】
図3及び
図5に示すように、バイパス管路38及びバルブユニット50は、上下方向管部36d及び濾過装置40の後方で、動弁室24の側方(左側)のスペースに収まっている。これにより、バイパス管路38では、排水ホース36と同等の排水性能(管路径の大きさ)を確保しながら、スペース効率に優れた配置を実現している。
【0107】
また、バルブユニット50が濾過装置40とは上下方向に位置をずらせて配置されているので、濾過装置40とバルブユニット50を干渉させずに、排水ホース36の上下方向管部36dとバイパス管路38を前後方向で接近させることができ(
図2及び
図4参照)、排水側水路35全体を前後方向にコンパクトにすることが可能になっている。
【0108】
船外機特有の課題として、複数の船外機を並列して取り付ける多数機掛けを行う場合を想定して、船外機の横幅をできるだけ小さくしたいという要求がある。特に、船外機ではエンジン部分の幅が最も大きくなるのが一般的であり、エンジン周りの横幅をできるだけコンパクトにすることが重要である。
図3及び
図5に示すように、シリンダ15や触媒23が設けられている箇所で左右方向の幅が最大になっているエンジン1に対応させて、エンジンケース2は、船外機の前後方向の中央付近から後方に進むにつれて、徐々に左右方向の幅を狭くする形状に設定されている。これにより、エンジン1だけでなくエンジンケース2を含めた全体として、エンジン周りの横幅を最小限に抑えている。
【0109】
上述のように、本実施形態の冷却装置は、上下方向管部36dにより構成されるメインの水路と、バイパス管路38により構成される迂回用の水路とを、前後に並列させた構成である。これにより、濾過装置40を含む冷却装置の左右方向の幅を抑えている。さらに、冷却装置では、上下方向管部36dよりもバイパス管路38を、左右方向で船外機の中心寄り(右側)にずらした配置にしている。
図3及び
図5に示すように、上下方向管部36dの側方(右側)に位置する排気ポート20や排気周囲水路34よりも、バイパス管路38の側方(右側)に位置する動弁室24の方が、船外機の左方への張り出し量が小さい。これに対応させて、バイパス管路38を船外機の中心に寄せた配置にしている。
【0110】
以上の配置によって、後方側で左右方向の幅が小さくなるように絞り込まれたエンジンケース2の形状(船外機の外面形状)に影響を及ぼさず、つまり船外機を左右方向で大型化させることなく、エンジン1の左後方のスペースに上下方向管部36d及び濾過装置40とバイパス管路38及びバルブユニット50を収めることを実現している。
【0111】
また、冷却装置では、高温の排気ガスが通る排気ポート20、エキゾーストマニホールド22及び触媒23に近い前側の位置に、上下方向管部36d及び濾過装置40を配し、熱源から相対的に遠い後側の位置に、バイパス管路38及びバルブユニット50を配している。上述のように、水温が高い方が流体としての粘性が低くなり、冷却水が流れやすくなる。そのため、熱源に近い側に上下方向管部36d及び濾過装置40を配することで、内側フィルタ45と外側フィルタ46を内蔵したメインの水路において、内部を通る冷却水の粘性を低下させて、冷却水を流しやすくする効果が得られる。
【0112】
エンジン1の前後方向において、濾過装置40が配置される部分は、バイパス管路38が配置される部分よりも、左右へのエンジンケース2の幅が広いので、バイパス管路38の前方に濾過装置40を配置することで、各フィルタ45,46を大きくして異物の回収量を増やす効果も得られる。
【0113】
カートリッジ式の濾過装置40は、船舶推進装置用の動力源の機種ごとに、濾過性能、スペース効率、他部品との配置関係等を最適化した専用設計とすることができる。また、カートリッジ式の濾過装置40は、冷却水経路中に容易に着脱可能である。
【0114】
濾過装置40やバルブユニット50は、冷却装置全体のレイアウトや機能性に及ぼす影響が少ない。例えば、内部に濾過機能を備えていない既存の冷却装置に対して、後付けで濾過装置40やバルブユニット50を搭載させることも容易である。
【0115】
図8及び
図9は、冷却装置の変形例を示している。この変形例において、
図1から
図7における既述の構成と共通する箇所については、同じ符号で示して説明を省略する。
【0116】
排水側水路70は、メインの水路(第1の水路)である排水ホース71と、排水ホース71から分岐する迂回用の水路(第2の水路)であるバイパス管路72を備えている。排水ホース71の上下方向管部71aの途中に、濾過装置73が設けられている。濾過装置73の構造は、上述の濾過装置40と同様である。バイパス管路72は、濾過装置73よりも上流側で上下方向管部71aから分岐し、濾過装置73よりも下流側で上下方向管部71aに合流する。図示を省略しているが、バイパス管路72には、濾過装置73よりも上方の位置にバルブユニットが設けられている。バルブユニットの構造は、上述のバルブユニット50と同様である。また、濾過装置73とバルブユニットは、上述した中継管56と同様の管路で接続されている。
【0117】
シリンダ15の左方に、上下方向に延びる排気管路75が設けられ、排気管路75の内部に触媒76が配置されている。排気管路75は、シリンダブロック12の一部として形成されている。排水ホース71の上下方向管部71a、濾過装置73、バイパス管路72は、シリンダ15を挟んで排気管路75及び触媒76と反対側に配置されている。より詳しくは、シリンダブロック12とインテークマニホールド21との間に配置され、上下方向管部71a及び濾過装置73が前側に位置し、バイパス管路72(及びバルブユニット)が後側に位置している。
【0118】
インテークマニホールド21は、エンジンケース2の内面(右側面)に沿って前後方向に延び、シリンダブロック12の右斜め後方で左方に屈曲して、各分岐管21aが吸気ポート19(
図3及び
図5参照)に接続している。このインテークマニホールド21の形状により、シリンダブロック12の右側面とインテークマニホールド21との間にスペースが形成される。当該スペースに、濾過装置73を含む排水側水路70の構成要素を配置することで、スペース効率に優れた構成を実現できる。排水ホース71及び濾過装置73を含む異物回収用の構造と、バイパス管路72及びバルブユニットを含む冷却水迂回用の構造とを、別体として構成したことにより、シリンダブロック12とインテークマニホールド21の間のような狭い空間に振り分けて配置することが可能になっている。
【0119】
図9に示すように、シリンダブロック12の上部には、クランク軸10(
図3及び
図5参照)と共に回転するフライホイール77と、フライホイール77に近接したバッテリーチャージコイル78が設けられている。バッテリーチャージコイル78は、フライホイール77の回転に伴って発電する発電機を構成している。
【0120】
フライホイール77とバッテリーチャージコイル78によって発電する際に、バッテリーチャージコイル78が発熱する。この発熱により温度上昇した空気が、フライホイール77の回転に伴って、エンジン1本体(シリンダブロック12)とインテークマニホールド21の間の空間に入る。当該空間に、濾過装置73を含む排水側水路70の構成要素を配置したことにより、排水ホース71を通る冷却水の水温を高める効果が得られ、フィルタ45,46を内蔵した濾過装置73において冷却水を抵抗無く流しやすくなる。
【0121】
図8及び
図9の構成とは異なる別の変形例として、バイパス管路72を、シリンダブロック12とインテークマニホールド21の間以外に配置することも可能である。一例として、バイパス管路72が、インテークマニホールド21の分岐管21aの後方を通るようにしてもよい。メインと迂回用の2つの水路を分岐させることで、このような自由度の高い配置を実現できる。
【0122】
以上のように、本実施形態(変形例を含む)の冷却装置は、簡単な構成で、動力源(エンジン1)の動力性能を犠牲にせずに、マイクロプラスチック等の環境汚染物質を回収して効率的に除去することができる。また、小型で軽量なカートリッジ式の濾過装置(40,73)を用いることで、冷却装置の設計や配置の自由度を高めることができ、様々なタイプの船舶推進装置への搭載が可能である。
【0123】
以上、実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態や変形例に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状等については、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0124】
例えば、上記実施の形態は、船舶推進装置の一例として船外機に適用しているが、本発明の適用対象は船外機に限定されるものではなく、船体内部に配置されるタイプを含む船舶推進装置全般に適用が可能である。
【0125】
また、上記実施の形態は、船舶推進装置(船外機)の動力源として内燃機関であるエンジンを用いているが、電動モータ等の別種の動力源を備えた船舶推進装置にも適用が可能である。すなわち、水冷式の冷却装置により動力源の冷却を行う船舶推進装置であれば適用が可能である。
【0126】
上記実施の形態では、冷却水経路の取水口に設けたストレーナによって、冷却水経路を目詰まりさせるレベルの異物を除去しているが、ストレーナを設ける代わりに、取水口自体を小型の孔が集積した多孔性の構造にすることも可能である。
【0127】
上記実施の形態では、濾過装置40に2層構造のフィルタ45,46を内蔵して異物の回収効率を高めているが、2層構造以外のフィルタを用いることも可能である。
【0128】
上記実施の形態では、冷却水経路のうち、排水側水路35,70の途中に濾過装置40,73を設けているが、冷却水経路のうち、取水口から冷却水路30に至るまでの取入側水路の途中に、濾過装置40,73のような濾過装置を設けることも可能である。
【0129】
上記実施の形態では、バイパス管路38,72(第2の水路)が、排水ホース36,71(第1の水路)から分岐した後で、排水ホース36,71に合流している。これとは異なり、第1の水路から分岐した第2の水路が、第1の水路に合流せずに排水口に至るように排水側水路を構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の船舶推進装置用動力源の冷却装置は、動力性能を犠牲にせずに簡単な構成で、水中に存在するマイクロプラスチック等の環境汚染物質を回収して効率的に除去することが可能であり、特に、冷却装置で汲み上げる冷却水の量が多い高出力の船舶推進装置に有用である。
【符号の説明】
【0131】
1 :エンジン(動力源)
2 :エンジンケース
11 :クランクケース
12 :シリンダブロック
13 :シリンダヘッド
14 :ヘッドカバー
15 :シリンダ
16 :ピストン
18 :燃焼室
19 :吸気ポート
20 :排気ポート
21 :インテークマニホールド(吸気管路)
22 :エキゾーストマニホールド(排気管路)
23 :触媒
24 :動弁室
30 :冷却水路
33 :シリンダ周囲水路
34 :排気周囲水路
35 :排水側水路
36 :排水ホース(第1の水路)
36d :上下方向管部
37 :下部排水管路
38 :バイパス管路(第2の水路)
40 :濾過装置
41 :アッパケース(濾過装置のケース)
42 :ロアケース(濾過装置のケース)
43 :キャップ(固定部材)
44 :旋回流発生部材
45 :内側フィルタ(フィルタ)
45b :捕集部
46 :外側フィルタ(フィルタ)
46b :捕集部
47 :クッション部材
50 :バルブユニット
51 :アッパケース
52 :ロアケース
53 :リリーフバルブ(弁部材)
56 :中継管(中継水路)
60 :制御部
61 :圧力センサ
62 :表示手段(報知手段)
63 :スピーカー(報知手段)
70 :排水側水路
71 :排水ホース(第1の水路)
71a :上下方向管部
72 :バイパス管路(第2の水路)
73 :濾過装置
75 :排気管路
76 :触媒