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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】キルン稼働状況診断装置
(51)【国際特許分類】
   F27B 7/42 20060101AFI20241008BHJP
   F27B 7/22 20060101ALI20241008BHJP
   F27D 21/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
F27B7/42
F27B7/22
F27D21/00 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020099172
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193321
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】末永 慎一
(72)【発明者】
【氏名】松永 隆昌
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-218141(JP,A)
【文献】実開昭58-051190(JP,U)
【文献】特表2008-520914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 7/42
F27B 7/22
F27D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーキルン稼働中のキルン胴体のローラタイヤを回転自在に4点支持する支持ローラのラジアル軸受とスラスト軸受に掛かるラジアル荷重とスラスト荷重を測定する荷重測定部と、
前記荷重測定部による適正位置の前記ラジアル軸受とスラスト軸受の前記ラジアル荷重とスラスト荷重の測定値と、所定時間経過後の前記荷重測定部の測定値の変化に基づいて、前記キルン胴体の位置変化を判断する判断部と、
前記荷重測定部の測定値と、前記測定値に紐付けした前記キルン胴体の位置変化の基準表を作成し記憶する記憶部を有し、
前記判断部は、前記記憶部の記録データに基づいて、前記ラジアル荷重とスラスト荷重の測定値の組合せによって、前記4点支持する支持ローラのいずれか2つの前記ラジアル荷重とスラスト荷重が変化したとき前記キルン胴体の移動又は捩じれと判断し、前記4点支持する支持ローラの前記ラジアル荷重のいずれかが変化したとき前記ラジアル軸受の損傷と判断し、前記4点支持する支持ローラの前記スラスト荷重のいずれかが変化したとき前記スラスト軸受の損傷と判断することを特徴とするキルン稼働状況診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント製造や廃棄物処理、各種原料の精錬や攪拌などに用いられるロータリーキルンのキルン稼働状況診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリーキルンは、直径数メートルの長尺円筒状のキルン胴体と、キルン胴体を回転させるガースギア及びピニオンギアを備えている。ガースギアはキルン胴体の膨張や内部の攪拌物による胴体変形を許容できるように、キルン胴体の外周に固定している。ピニオンギアはモータなどの駆動源からの回転動力を噛み合い構造のガースギアに伝達させている。またキルン胴体の外周には、軸方向に沿って所定間隔で複数のタイヤ(ローラタイヤともいう)を取り付け、各タイヤの下部に2個一対の支持ローラ(以下、単にローラということあり)を取り付けて回転自在に支持している。
【0003】
またロータリーキルンは入口側が高所で出口側が低所となる傾斜配置され、内部の攪拌物は回転によって攪拌流動しながらキルン胴体の下方側へ移動する。このキルン胴体を支持する少なくとも4か所のローラにはラジアル荷重とスラスト荷重(主に出口側の軸受)が作用し、それぞれ荷重の大きさが異なっている。
このような構成のロータリーキルンは、キルン胴体と隙間をもって取り付けたタイヤとこれを支持するローラとの間に継続的な負荷が長期に渡って繰り返し作用するため、摩耗や経年劣化により胴体の落ち込み(ローラを設置する架台の垂直方向の低下)やローラの片当たりなどが生じることがある。
【0004】
またキルン胴体は円筒断面であるため、内部の攪拌物の重量やキルン内部の熱によって回転時に胴体自体に断面方向に変形が繰り返し生じている。その結果、経年劣化でキルン胴体の変形量が大きくなるとキルン内部のレンガ等の耐熱材料が脱落し、胴体の変形によってギアの噛み合いが少なくなって駆動に支障を来たすことがある。また支持ローラは負荷のアンバランスが発生することにより、ローラ踏み面の損傷や、軸受が摩耗するなど短命の原因となっていた。
従来のロータリーキルンのメンテナンス方法は、各支持ローラとタイヤの回転、その接触状況、異音発生の有無、支持ローラの垂直方向の設置高さの変化(例えば特許文献1では軸受等に設置した傾斜センサで測定)などから、稼働による経年劣化を判断して定期的に補修していた。
しかしながらこれらのメンテナンス方法はいずれも結果に対する処置であり、異常の確認、対策立案、補修品の手配の間はキルンを停止しなければならなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4903152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、傾斜配置したキルン胴体の適正な配置が稼働によって位置変化したことを判断できるキルン稼働状況診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、ロータリーキルン稼働中のキルン胴体のローラタイヤを回転自在に4点支持する支持ローラのラジアル軸受とスラスト軸受に掛かるラジアル荷重とスラスト荷重を測定する荷重測定部と、
前記荷重測定部による適正位置の前記ラジアル軸受とスラスト軸受の前記ラジアル荷重とスラスト荷重の測定値と、所定時間経過後の前記荷重測定部の測定値の変化に基づいて、前記キルン胴体の位置変化を判断する判断部と、
前記荷重測定部の測定値と、前記測定値に紐付けした前記キルン胴体の位置変化の基準表を作成し記憶する記憶部を有し、
前記判断部は、前記記憶部の記録データに基づいて、前記ラジアル荷重とスラスト荷重の測定値の組合せによって、前記4点支持する支持ローラのいずれか2つの前記ラジアル荷重とスラスト荷重が変化したとき前記キルン胴体の移動又は捩じれと判断し、前記4点支持する支持ローラの前記ラジアル荷重のいずれかが変化したとき前記ラジアル軸受の損傷と判断し、前記4点支持する支持ローラの前記スラスト荷重のいずれかが変化したとき前記スラスト軸受の損傷と判断することを特徴とするキルン稼働状況診断装置を提供することにある。
上記第1の手段によれば、キルン胴体を4点支持する支持ローラを適正配置した後のキルン稼働によってラジアル荷重とスラスト荷重の測定値の変化の組み合わせからキルン胴体の中心位置の変化による中心軸の移動又は傾きを判断できる。また支持ローラを適正配置した後のキルン稼働によってラジアル荷重とスラスト荷重の測定値の変化からラジアル軸受とスラスト軸受の摩耗、損傷などの不具合を判断できる。
また、荷重判定部の測定値と、記憶部の記録データを参照して過去のキルン胴体の位置変化、例えば、キルン胴体の中心軸の移動、中心軸の傾きなどを判断でできる
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、支持ローラを適正位置に配置した後にキルン稼働によってラジアル荷重とスラスト荷重の測定値に基づくキルン胴体の中心位置変化から移動変化を判断して、支持ローラの設定調整、交換時期、軸受又は架台の損傷などを想定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のキルン稼働状況診断装置の構成概略図である。
図2】キルン支持装置の断面図である。
図3】スラスト荷重を測定する荷重測定部の説明図である。
図4】ローラ摩耗時のキルン胴体及び支持ローラの断面図である。
図5】支持ローラBがラジアル方向に下降時のキルン胴体及び支持ローラの断面図である。
図6】キルン胴体の中心軸の移動及び位置ズレの説明図である。
図7】荷重測定値と異常判断の基準表の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のキルン稼働状況診断装置の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0012】
[キルン稼働状況診断装置10]
図1は、本発明のキルン稼働状況診断装置の構成概略図であり、(1)は平面図、(2)は側面図である。図2はキルン支持装置の断面図である。図3はスラスト荷重を測定する荷重測定部の説明図である。図1に示すように本発明のキルン稼働状況診断装置10は、ロータリーキルン稼働中のキルン胴体6のタイヤローラ8を回転自在に支持する支持ローラ12のラジアル軸受20とスラスト軸受30に掛かるラジアル荷重とスラスト荷重を測定する荷重測定部50,50Aと、適正位置のラジアル軸受20とスラスト軸受30のラジアル荷重とスラスト荷重の荷重測定部50,50Aの測定値と、所定時間経過後の荷重測定部50,50Aの測定値の変化に基づいてキルン胴体の位置変化又は軸受の不具合を判断する判断部60と、荷重測定部50,50Aの測定値と、測定値の組合せに紐付けしたキルン胴体6の位置変化を記憶する記憶部70を有している。
【0013】
荷重測定部50,50Aを取り付けるキルン支持装置は、支持ローラ12の回転軸14を支持する軸受及び架台16である(図2参照)。回転軸14の出口側(以下、本実施形態の出口側とはキルン胴体6の出口側と同じ側をいう)と入口側(以下、本実施形態の入口側とはキルン胴体6の入口側と同じ側をいう)は同一構造であり、以下の本実施形態ではスラスト荷重の掛かる出口側の構造について説明する。
軸受となるラジアル軸受20及びスラスト軸受30を内部に有する筒状の軸受ケーシング18は架台16の上面に取り付けている。
ラジアル軸受20は、内輪22、ころ24、外輪26を有し、内輪22が回転軸14の周面に接し、外輪26が軸受ケーシング18の内面に接している。内輪22及び外輪26の間にはころ24を配置している。このようなラジアル軸受20は、回転軸14を回転自在に支持し、支持ローラ12に作用するラジアル荷重を受ける。またラジアル軸受20は外輪26ところ24の接する面が曲面形状の自動調心ころ軸受の構造を採用し、支持ローラ12の軸直角に作用せず軸方向に沿って荷重が作用する場合に曲面を揺動して軸方向の荷重をベアリングに作用させないようにしている。
【0014】
ラジアル荷重を測定する荷重測定部50は、架台16と軸受ケーシング18の間に取り付けた歪みゲージである。このような構成により、ラジアル軸受20に負荷が掛かっているときに荷重を検出できる。加えて、ローラタイヤ8又は支持ローラ12の調整不備による偏角により増加するラジアル力や、ラジアル軸受20の摩耗、変形、損傷などを予測できる。
スラスト軸受30は、内輪32、ころ34、外輪36を有し、内輪32が回転軸14の軸端の周面及びスペーサ38に接し、外輪36が後述する隙間スペーサ42に接している。スペーサ38は、ラジアル軸受20とスラスト軸受30の間に密着するように取り付けて、支持ローラ12にスラスト荷重が作用したときに、ラジアル軸受20からスラスト軸受30へ荷重を伝達する部材である。内輪32及び外輪36の間にはころ34を配置している。このようなスラスト軸受30は、回転軸14の軸端を回転自在に支持し、支持ローラ12に作用するスラスト荷重を受ける。そして軸受ケーシング18の一方の開口を覆う蓋体43と外輪36の間に隙間スペーサ42を取り付けている。隙間スペーサ42は、外輪36の端面とほぼ同じ端面の環状部材である。蓋体43は、ボルト41dを用いて軸受ケーシング18の端面に固定している。
【0015】
スラスト荷重の荷重測定部50Aは、隙間スペーサ42に取り付けてスラスト軸受30に作用するスラスト荷重を測定できる歪みゲージである。荷重測定部50Aは、隙間スペーサ42の端面又は内部に取り付けて環状に形成できる。このような構成により、スラスト軸受30に負荷が掛かっているときに荷重を検出できる。加えて、ローラタイヤ8又は支持ローラ12の調整不備による偏角により増加するスラスト力や、スラスト軸受30の摩耗、変形、損傷などを予測できる。
記憶部70は、判断部60と電気的に接続し、荷重測定部50,50Aの適正位置と稼働中の測定値を記憶する。図7は荷重測定値と異常判断の基準表の説明図である。記憶部70は、4点支持する支持ローラA,B,C,Dのラジアル荷重(AR,BR,CR,DR)とスラスト荷重(AT,BT,CT,DT)を記憶しその測定値の組合せからキルン胴体の位置変化を紐づけした基準表を作成し記憶している。図7はその一例を示しており、AR,ATが移動変化なし(ラジアル荷重AR±0と表す、以下他の支持ローラについても同様)、BR,BTが-(支持ローラBの下方移動、以下同じ)、CR,CTが±0、DR,DTが-の組合せの場合には稼働後にキルン胴体が支持ローラB,D側に移動、支持ローラB,Dの架台の垂直方向に変形(低下)したと判断した結果を紐付けして記憶している(図7中の(1)参照)。
判断部60は、荷重測定部50,50Aと記憶部70と電気的に接続し、支持ローラ12の新規又はメンテナンス後の設定などの適正位置のラジアル荷重及びスラスト荷重の測定値をあらかじめ基準値として記憶している。ロータリーキルンの稼働中は、荷重測定部50,50Aによる支持ローラ12の軸受に掛かるラジアル荷重とスラスト荷重の測定値が入力され続け、基準値と稼働中の測定値の変化を取り、軸受、キルン胴体6の位置変化、換言するとキルン胴体6の中心軸の状態を判断する。
【0016】
(作用)
上記構成による本発明のキルン稼働状況診断装置の作用について以下説明する。
荷重測定部50,50Aはロータリーキルン稼働中、常にラジアル軸受20とスラスト軸受30に掛かるラジアル荷重及びスラスト荷重を測定している。
判断部60は、適正位置の基準値と稼働中の測定値の変化を常時監視して、異常に至る経時変化を早期に発見する。具体的には支持ローラ12の荷重(ラジアル荷重とスラスト荷重)を電気信号に変換して常時監視する。4点支持の支持ローラの測定値からキルン胴体6の経時変化を判断する。判断の基準となる支持ローラ12の荷重分布と異常判断の内容を紐付けした基準表を作成し記憶部70に記憶する。実測値と基準表を照合して異常を判断する。単位時間当たりの異常変化が大きいときには、制御室内の表示画面に表示したり、警報(音声)を発したりするようにしても良い。
各支持ローラの荷重測定部50,50Aの測定値は、次のように判断できる。
図4はローラ摩耗時のキルン胴体(ローラタイヤ)及び支持ローラA,Bの断面図である。図4中の一点破線は適正位置、実線はローラ摩耗時の位置を示す。キルン胴体6(ローラタイヤ8)を回転支持する支持ローラA,Bのうち支持ローラBが僅かに摩耗すると、支持ローラAは中心軸の移動変化なし(ラジアル荷重AR±0と表す、以下他の支持ローラについても同様)で、支持ローラBの中心軸が下方移動(ラジアル荷重BR(-))して、キルン胴体6の中心軸が支持ローラB側の斜め下方に移動する。なおラジアル荷重BR(-)とは、測定値の減少の意味ではなく、支持ローラBの下方移動を示している(実際には支持ローラBの下方移動に伴ってラジアル荷重BRは増加している)。
図5は支持ローラBがラジアル方向に下降時のキルン胴体及び支持ローラA,Bの断面図である。図5中の一点破線は適正位置、実線は中心軸の支持ローラB側へ下方移動時の位置を示す。支持ローラBが垂直方向変形(架台低下)、損傷などすると、支持ローラAはAR±0(支持ローラAの中心軸の移動変化なし=異常なし)で、支持ローラBの中心軸が下方移動(ラジアル荷重BR(-))して、キルン胴体6も支持ローラB側へ胴体の落ち込みが生じる。
【0017】
図6はキルン胴体の中心軸の移動及び位置ズレの説明図であり、(1)は中心軸が支持ローラB,D側へ移動、(2)は中心軸の捩じれ(位置ズレ)を示している。
キルン胴体6が支持ローラA,B,C,Dで4点支持されているときに、各支持ローラA,B,C,Dの荷重測定部50,50Aの測定値の組合せ(パターン)によって、判断部60はキルン胴体の移動、捩じれなどを判断できる。
(1)に示すように、支持ローラA,B,C,Dのラジアル荷重(AR,BR,CR,DR)とスラスト荷重(AT,BT,CT,DT)が支持ローラA,Cで中心軸の移動変化なし(異常なし:AR,AT,CR,CTが±0)で、支持ローラB,Dで下方移動(BR,BT,DR,DTが-)した組合せ(パターン)の場合、支持ローラAとB、支持ローラCとDの間で前述の図6に示す状態が発生し、キルン胴体6は適正位置(破線)から支持ローラB,D側に移動(実線)したと判断できる(図7中の(1)参照)。
(2)に示すように、支持ローラA,B,C,Dのラジアル荷重(R)とスラスト荷重(T)が支持ローラA,Dで中心軸の移動なし(AR,AT,DR,DTが±0)で、支持ローラB,Cが摩耗、軸受損傷、回転時の荷重変動の有無などで下方移動(BR,BT,CR,CTが-)した組合せ(パターン)の場合、支持ローラAとB、支持ローラCとDの間で前述の図5に示す状態が発生し、キルン胴体6は適正位置(破線)から、出口側の支持ローラAからBへ、入口側の支持ローラDからCへ移動して捩じれたと判断できる(図7中の(2)参照)。
その他、図7中の(3)は、AR,BR,CR,DRのいずれかが変化(-:下方移動)した場合に、検出された支持ローラのラジアル軸受の損傷(ローラ回転時の荷重変動の有無)を判断できる。
図7中の(4)は、AT,BT,CT,DTのいずれかが変化(-:下方移動)した場合に、検出された支持ローラのスラスト軸受の損傷(ローラ回転時の荷重変動の有無)を判断できる。
図7に示す基準表の支持ローラA,B,C,Dの組合せによるキルン胴体の移動、位置ズレは一例を示し、この他の移動、位置ズレの状態もある。記憶部70は、荷重測定部の測定値を蓄積してこのようなキルン胴体の移動、位置ズレのパターンをデータ化し基準表を作成することにより、測定値の変化のパターンからキルン胴体の状態(キルン胴体の移動、中心軸の捩じれなど)を判断することが容易となる。
【0018】
このような本発明によれば、支持ローラを適正位置に配置した後にキルン稼働によってラジアル荷重とスラスト荷重の測定値の変化から支持ローラの設定調整、交換時期、軸受又は架台の損傷などを判断できる。
なお、本発明のキルン稼働状況診断装置は、ロータリーキルンの他、キルン形状を有するロータリードライヤー等の横型回転機であっても適用することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0019】
6 キルン胴体
8 ローラタイヤ
10 キルン稼働状況診断装置
12 支持ローラ
14 回転軸
16 架台
18 軸受ケーシング
20 ラジアル軸受
22 内輪
24 ころ
26 外輪
30 スラスト軸受
32 内輪
34 ころ
36 外輪
38 スペーサ
40,40A 隙間調整部
41d ボルト
42 隙間スペーサ
50,50A 荷重測定部
60 判断部
70 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7