(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】行動情報解析方法、プログラム、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20240101AFI20241008BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241008BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20241008BHJP
A61B 5/113 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G06Q50/22
G08B21/02
A61B5/0245 100A
A61B5/113
(21)【出願番号】P 2020101566
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福井 匠
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-170566(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0111569(US,A1)
【文献】特表2012-516487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
G08B 21/02
A61B 5/0245
A61B 5/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置によって実行される行動情報
解析方法であって、
被介護者の状態を検出する1以上のセンサーの一定期間における検出出力を利用して、前記一定期間における1以上の種類の、前記被介護者に割り当てられた居室における行動の情報として、居室内の行動情報を取得するステップと、
前記1以上のセンサーの前記一定期間における検出出力を利用して、前記一定期間における1以上の種類の、前記居室の外における行動の情報として、居室外の行動情報を取得するステップと、
1以上の種類の前記居室内の行動情報および1以上の種類の前記居室外の行動情報の中で、種類間の相関を導出するステップと、を備え、
前記居室内の行動情報は、前記居室における行動に関する統計値を含み、
前記統計値は、行動範囲、寝床以外の滞在時間、所与の移動パターンが繰り返された回数、および、移動が停止された時間のうち少なくとも1つを含む、行動情報解析方法。
【請求項2】
情報処理装置によって実行される行動情報
解析方法であって、
被介護者の状態を検出する1以上のセンサーの一定期間における検出出力を利用して、前記一定期間における1以上の種類の、前記被介護者に割り当てられた居室における行動の情報として、居室内の行動情報を取得するステップと、
前記1以上のセンサーの前記一定期間における検出出力を利用して、前記一定期間における1以上の種類の、前記居室の外における行動の情報として、居室外の行動情報を取得するステップと、
1以上の種類の前記居室内の行動情報および1以上の種類の前記居室外の行動情報の中で、種類間の相関を導出するステップと、を備え、
前記居室内の行動情報は、前記居室内の歩行の性質を表す情報を含む、行動情報解析方法。
【請求項3】
前記居室内の歩行の性質を表す情報は、歩行速度、高頻度の移動経路からはみ出した面積、および、高頻度の移動経路からはみ出した距離のうち少なくとも1つを含む、請求項2に記載の行動情報解析方法。
【請求項4】
情報処理装置によって実行される行動情報
解析方法であって、
被介護者の状態を検出する1以上のセンサーの一定期間における検出出力を利用して、前記一定期間における1以上の種類の、前記被介護者に割り当てられた居室における行動の情報として、居室内の行動情報を取得するステップと、
前記1以上のセンサーの前記一定期間における検出出力を利用して、前記一定期間における1以上の種類の、前記居室の外における行動の情報として、居室外の行動情報を取得するステップと、
1以上の種類の前記居室内の行動情報および1以上の種類の前記居室外の行動情報の中で、種類間の相関を導出するステップと、を備え、
前記居室外の行動情報は、前記居室外の歩数を含む、行動情報解析方法。
【請求項5】
前記1以上のセンサーは、前記被介護者に装着される活動量計を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の行動情報解析方法。
【請求項6】
前記活動量計は、位置情報検出機能を有する、請求項5に記載の行動情報解析方法。
【請求項7】
前記1以上のセンサーは、前記居室を撮影するカメラを含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の行動情報解析方法。
【請求項8】
前記居室内の行動情報は、睡眠時間を含む、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の行動情報解析方法。
【請求項9】
前記居室内の行動情報は、前記居室における行動に関する統計値を含む、請求項2~請求項8のいずれか1項に記載の行動情報解析方法。
【請求項10】
前記統計値は、行動範囲、寝床以外の滞在時間、所与の移動パターンが繰り返された回数、および、移動が停止された時間のうち少なくとも1つを含む、請求項9に記載の行動情報解析方法。
【請求項11】
前記居室外の行動情報は、前記被介護者が前記居室外に位置した時間、および、前記被介護者が前記居室外で所与の状態にあった時間、のうち少なくとも一方を含む、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の行動情報解析方法。
【請求項12】
前記所与の状態は、立位状態、座位状態、および、臥床状態のうち少なくとも1つを含む、請求項11に記載の行動情報解析方法。
【請求項13】
情報処理装置のプロセッサーによって実行されることにより、前記情報処理装置に請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の方法を実施させる、プログラム。
【請求項14】
プロセッサーと、
請求項13に記載のプログラムを格納したメモリーと、を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被介護者の行動に関する情報の解析に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被介護者が居住する介護施設において、各種のセンサーを利用して被介護者の行動を検出することにより、被介護者に必要な介護サービスを確実に提供するための技術が提案されている。たとえば、特開2001-307257号公報(特許文献1)は、介護の必要性(深刻さ、緊急性、危険性等)を検出するために、病院、施設、自宅等の被介護者が居住する居室に設置される居室検出装置を利用して、被介護者の状態を検出する介護支援システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
介護施設では、介護の提供だけでなく、被介護者の生活の質の向上も重要な意味を有すると考えられる。被介護者の生活の質を向上させることができれば、被介護者にとっても、また、提供すべき介護サービスの量の低減という観点から介護施設にとっても、利益が生じ得る。したがって、被介護者の状態の検出出力を被介護者の生活の質の向上に利用するための技術が求められている。
【0005】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、被介護者の状態の検出出力を被介護者の生活の質の向上に利用するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある局面に従うと、被介護者の状態を検出する1以上のセンサーの一定期間における検出出力を利用して、一定期間における1以上の種類の、被介護者に割り当てられた居室における行動の情報として、居室内の行動情報を取得するステップと、1以上のセンサーの一定期間における検出出力を利用して、一定期間における1以上の種類の、居室の外における行動の情報として、居室外の行動情報を取得するステップと、1以上の種類の居室内の行動情報および1以上の種類の居室外の行動情報における種類間の相関を導出するステップと、を備える、行動情報解析方法が提供される。
【0007】
1以上のセンサーは、被介護者に装着される活動量計を含んでいてもよい。
活動量計は、位置情報検出機能を有していてもよい。
【0008】
1以上のセンサーは、居室を撮影するカメラを含んでいてもよい。
居室内の行動情報は、睡眠時間を含んでいてもよい。
【0009】
居室内の行動情報は、居室における行動に関する統計値を含んでいてもよい。
統計値は、行動範囲、寝床以外の滞在時間、所与の移動パターンが繰り返された回数、および、移動が停止された時間のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0010】
居室内の行動情報は、居室内の歩行の性質を表す情報を含んでいてもよい。
居室内の歩行の性質を表す情報は、歩行速度、高頻度の移動経路からはみ出した面積、および、高頻度の移動経路からはみ出した距離のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0011】
居室外の行動情報は、居室外の歩数を含んでいてもよい。
居室外の行動情報は、被介護者が居室外に位置した時間、および、被介護者が居室外で所与の状態にあった時間、のうち少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0012】
所与の状態は、立位状態、座位状態、および、臥床状態のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0013】
本開示の他の局面に従うと、情報処理装置のプロセッサーによって実行されることにより、情報処理装置に上記方法を実施させる、プログラムが提供される。
【0014】
本開示のさらに他の局面に従うと、プロセッサーと、上記プログラムを格納したメモリーと、を備える情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、入居者についての1以上の種類の居室内の行動情報および1以上の種類の居室外の行動情報が生成され、種類間の相関が導出される。これにより、本開示は、ある種類の行動を向上させるために他のどの種類の行動を変更すればよいかについての知見を提供することができ、これにより、入居者の生活の質の向上に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】見守りシステムの構成の一例を示す図である。
【
図2】居室900におけるセンサーの検出範囲の一例を説明するための図である。
【
図3】見守りシステムのセンサーボックス100、管理サーバー200、および、携帯端末300のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】クラウドサーバー400のハードウェア構成を示す図である。
【
図6】居室内の行動情報の各項目の内容を示す図である。
【
図7】項目「行動範囲」の算出方法の一例を説明するための図である。
【
図8】項目「ふらつき度」の算出方法の一例を説明するための図である。
【
図9】居室外の行動情報の各項目の内容を示す図である。
【
図11】管理サーバー200の行動情報を生成するための情報の取得態様の一例を示す図である。
【
図12】各入居者の相関情報を生成するための処理のフローチャートである。
【
図13】相関関係を導出された項目の組合せの一例を示す図である。
【
図14】相関関係を導出された項目の組合せの他の例を示す図である。
【
図15】相関関係を導出された項目の組合せのさらに他の例を示す図である。
【
図16】相関関係を導出された項目の組合せのさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照しつつ、見守りシステムにおいて実施される行動情報解析方法の一実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0018】
[見守りシステムの構成]
図1は、見守りシステムの構成の一例を示す図である。見守り対象の一例として、施設の居室領域RMに設けられた各居室内の入居者が採用される。
図1の見守りシステムでは、居室領域RMに、居室900A,900Bが設けられている。居室900Aは、入居者800Aに割当てられている。居室900Bは、入居者800Bに割当てられている。
図1の例では、見守りシステムに含まれる居室の数は2であるが、当該数はこれに限定されない。
【0019】
見守りシステムでは、居室900Aに設置されたセンサーボックス100Aと、居室900Bに設置されたセンサーボックス100Bと、管理センターSTに設置された管理サーバー200と、アクセスポイントAPとが、ネットワークNTを介して接続される。
【0020】
見守りシステムでは、スタッフNAが携帯する携帯端末300A、および、スタッフNBが携帯する携帯端末300Bは、アクセスポイントAPを介してネットワークNTに接続される。さらに、センサーボックス100A,100B、管理サーバー200、および、アクセスポイントAPは、ネットワークNTを介して、クラウドサーバー400と通信可能である。
【0021】
居室900Aは、設備として、ベッド901A、トイレ902A、および、家具903Aを含む。居室900Aのドアには、当該ドアの開閉を検出するドアセンサー510Aが設置されている。トイレ902Aのドアには、トイレ902Aの開閉を検出するトイレセンサー520Aが設置されている。ベッド901Aには、入居者800Aの排泄情報を取得する臭いセンサー530Aが設置されている。入居者800Aは、当該入居者800Aのバイタル情報を検出するバイタルセンサー540Aを装着している。検出されるバイタル情報の一例は、入居者の体温である。他の例は、入居者の呼吸である。さらに他の例は、入居者の心拍数である。さらに他の例は、これらの情報の中の2以上の種類の情報である。居室900Aでは、入居者800Aはケアコール子機500Aを操作することができる。
【0022】
本明細書では、複数のセンサーボックス100A,100Bに共通する事項を言及する場合には、センサーボックス100A,100Bを総称する用語「センサーボックス100」が利用される。同様に、入居者800A,800B、居室900A,900B、ベッド901A,901B、トイレ902A,902B、家具903A,903B、ケアコール子機500A,500B、ドアセンサー510A,510B、トイレセンサー520A,520B、臭いセンサー530A,530B、バイタルセンサー540A,540Bのそれぞれについても同様に、用語「入居者800」、「居室900」、「トイレ902」、「家具903」、「ケアコール子機500」、「ドアセンサー510」、「トイレセンサー520」、「臭いセンサー530」、「バイタルセンサー540」が利用される。
【0023】
センサーボックス100Aは、居室900A内の物体の挙動を検出するためのセンサーを内蔵する。センサーの一例は、物体の動作を検出するためのドップラーセンサーである。他の例は、カメラである。さらに他の例は、ケアコール子機500、ドアセンサー510、トイレセンサー520、臭いセンサー530、または、バイタルセンサー540である。センサーボックス100Aは、センサーとして、これらのセンサー中の少なくとも一つを含む。
【0024】
図2は、居室900におけるセンサーの検出範囲の一例を説明するための図である。
図2の例では、センサーボックス100は、居室900の天井CLに設置される。
【0025】
範囲ARは、センサーの検出範囲を概略的に表わす。センサーがドップラーセンサーである場合、当該ドップラーセンサーは、範囲AR内で生じた挙動を検出する。センサーがカメラである場合、当該カメラは、範囲AR内の画像を撮影する。
【0026】
図1に戻って、管理センターSTに設置された管理サーバー200は、ディスプレイ206および入力デバイス209に接続される。入力デバイス209は、たとえばキーボードである。
【0027】
図1の見守りシステムでは、アクセスポイントAPを介してネットワークNTに接続する携帯端末の数は2(携帯端末300A,300B)とされているが、当該数はこれに限定されない。本明細書では、携帯端末300A,300Bに共通する事項を言及する場合には、携帯端末300A,300Bを総称する用語「携帯端末300」が利用される。
【0028】
図1の見守りシステムにおける各要素間の通信は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0029】
なお、センサーボックス100は、カメラ105および/またはドップラーセンサー106を必ずしも備えていなくてもよい。カメラ105および/またはドップラーセンサー106は、ドアゲートセンサー510等と同様に、センサーボックス100外に設けられてもよい。制御装置101は、センサーボックス100外に設けられたカメラ105および/またはドップラーセンサー106の検出出力を、所与のインターフェイスを介して取得してもよい。
【0030】
バイタルセンサー540は、必ずしも入居者に装着されていなくてもよい。一例では、バイタルセンサー540は、入居者から離間して設置された赤外線センサー等によって実現され、入居者の温度を検出することによってバイタル情報(体温)を出力する。他の例では、バイタルセンサー540は、ドップラーセンサー106によって実現される。ドップラーセンサー106は、入居者に向けてマイクロ波を照射する。当該マイクロ波は、入居者の心臓の拍動による胸部の僅かな変位によってドップラー効果を起こし、その周波数を変動させる。ドップラーセンサー106は、当該周波数の変動に基づいて、入居者の心拍を検出する。さらに他の例では、ドップラーセンサー106は、入居者の呼吸を検出する。
【0031】
[見守りシステムの各要素の構成]
図3は、見守りシステムのセンサーボックス100、管理サーバー200、および、携帯端末300のハードウェア構成を示す図である。
図4は、クラウドサーバー400のハードウェア構成を示す図である。以下、
図3および
図4を参照して、見守りシステムにおける各装置の構成の一例を説明する。
【0032】
(センサーボックス100)
センサーボックス100は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、カメラ105と、ドップラーセンサー106と、無線通信装置107と、記憶装置120とを備える。
【0033】
制御装置101は、センサーボックス100を制御する。制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。
【0034】
通信インターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。センサーボックス100は、当該アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、管理サーバー200、携帯端末300、アクセスポイントAP、クラウドサーバー400、その他の通信端末などを含む。
【0035】
カメラ105は、一実現例では、近赤外カメラである。近赤外カメラは、近赤外光を投光するIR(Infrared)投光器を含む。近赤外カメラが用いられることにより、夜間でも居室900の内部を表わす画像が撮影され得る。他の実現例では、カメラ105は、可視光のみを受光する監視カメラである。さらに他の実現例では、カメラ105として、3Dセンサやサーモグラフィーカメラが用いられてもよい。センサーボックス100およびカメラ105は、一体的に構成されてもよいし、別体で構成されてもよい。
【0036】
ドップラーセンサー106は、たとえばマイクロ波ドップラーセンサーであり、電波を放射及び受信して、居室900内の物体の挙動(動作)を検出する。これにより、居室900内の入居者800の生体情報が検出され得る。一例では、ドップラーセンサー106は、24GHz帯のマイクロ波を各居室900のベッド901に向けて放射し、入居者800で反射した反射波を受信する。反射波は、入居者800の動作により、ドップラーシフトしている。ドップラーセンサー106は、当該反射波から、入居者800の呼吸状態や心拍数を検出し得る。
【0037】
無線通信装置107は、ケアコール子機500、ドアセンサー510、トイレセンサー520、臭いセンサー530、および、バイタルセンサー540からの信号を受信し、当該信号を制御装置101へ送信する。たとえば、ケアコール子機500は、ケアコールボタン501を備え、当該ケアコールボタン501を操作されると、当該操作があったことを示す信号を無線通信装置107へ送信する。ドアセンサー510、トイレセンサー520、臭いセンサー530、および、バイタルセンサー540のそれぞれは、それぞれの検出出力を無線通信装置107へ送信する。
【0038】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。記憶装置120は、制御装置101によって実行されるプログラム、および、当該プログラムの実行に利用される各種のデータを格納する。各種のデータは、入居者800の行動情報を含んでいてもよい。
【0039】
上記のプログラムおよびデータのうち少なくとも一方は、制御装置101がアクセス可能な記憶装置であれば、記憶装置120以外の記憶装置(たとえば、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリーなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、管理サーバー200や携帯端末300、など)に格納されていてもよい。
【0040】
(行動情報)
上記の行動情報について、説明する。行動情報は、たとえば入居者800が所定の行動を実行したことを表わす情報である。一例では、所定の行動は、入居者800が起きたことを表わす「起床」、入居者800が寝具から離れたことを表わす「離床」、入居者800が寝具から落ちたことを表わす「転落」、および、入居者800が倒れたことを表わす「転倒」の4つの行動を含む。
【0041】
一実施の形態では、制御装置101が、各居室900に設置されたカメラ105が撮像した画像に基づいて、各居室900に関連付けられた入居者800の行動情報を生成する。制御装置101は、たとえば、上記画像から入居者800の頭部を検出し、この検出した入居者800の頭部における大きさの時間変化に基づいて、入居者800の「起床」、「離床」、「転倒」および「転落」を検出する。以下、行動情報の生成の一具体例を、より詳細に説明する。
【0042】
まず、記憶装置120に、居室900におけるベッド901の所在領域、第1閾値Th1、第2閾値Th2、および、第3閾値Th3が格納される。第1閾値Th1は、ベッド901の所在領域内において、横臥姿勢にあるときと座位姿勢にあるときとの間で入居者の頭部の大きさを識別する。第2閾値Th2は、ベッド901の所在領域を除く居室900内において、入居者の頭部の大きさに基づいて、当該入居者が立位姿勢にあるか否かを識別する。第3閾値Th3は、ベッド901の所在領域を除く居室RM内において、入居者の頭部の大きさに基づいて、当該入居者が横臥姿勢にあるか否かを識別する。
【0043】
制御装置101は、対象画像から、例えば背景差分法やフレーム差分法によって、入居者800の人物の領域として、動体領域を抽出する。制御装置101は、さらに、当該抽出した動体領域から、例えば円形や楕円形のハフ変換によって、予め用意された頭部のモデルを用いたパターンマッチングによって、頭部検出用に学習したニューラルネットワークによって導出された閾値を用いて、入居者800の頭部領域を抽出する。制御装置101は、当該抽出された頭部の位置および大きさから、「起床」、「離床」、「転倒」および「転落」を検出する。
【0044】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド901の所在領域内にあり、かつ、上記のように抽出された頭部の大きさが第1閾値Th1を用いることによって横臥姿勢の大きさから座位姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合に、行動「起床」が発生したことを決定してもよい。
【0045】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド901の所在領域内からベッド901の所在領域外へ移動した場合であって、上記のように抽出された頭部の大きさが第2閾値Th2を用いることによって或る大きさから立位姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合に、行動「離床」が発生したことを決定してもよい。
【0046】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド901の所在領域内からベッド901の所在領域外へ移動した場合であって、上記のように抽出された頭部の大きさが第3閾値Th3を用いることによって或る大きさから横臥姿勢の大きさへ時間変化した場合には、行動「転落」が発生したと決定してもよい。
【0047】
制御装置101は、上記のように抽出された頭部の位置がベッド901の所在領域を除く居室900内に位置し、かつ、抽出された頭部の大きさが第3閾値Th3を用いることによって或る大きさから横臥姿勢の大きさへと変化したことを検出した場合には、行動「転倒」が発生したと決定してもよい。
【0048】
以上説明されたように、一具体例では、センサーボックス100の制御装置101が、入居者800の行動情報を生成する。なお、見守りシステムでは、居室900内の画像を用いて、他の要素が入居者800の行動情報を生成してもよい。
【0049】
(管理サーバー200)
管理サーバー200は、制御装置201と、ROM202と、RAM203と、通信インターフェイス204と、表示インターフェイス205と、操作インターフェイス207と、記憶装置220とを含む。
【0050】
制御装置201は、管理サーバー200を制御する。制御装置201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。
【0051】
通信インターフェイス204には、アンテナ(図示しない)などが接続される。管理サーバー200は、当該アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、センサーボックス100を含む。
【0052】
表示インターフェイス205は、ディスプレイ206と接続され、制御装置201などからの指令に従って、ディスプレイ206に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。
【0053】
操作インターフェイス207は、たとえば、USB(Universal Serial Bus)端子であり、入力デバイス209に接続される。操作インターフェイス207は、入力デバイス209からのユーザー操作を示す信号を受ける。入力デバイス209、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザーの入力操作を受け付けることが可能なその他の装置である。
【0054】
記憶装置220は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。一実現例では、記憶装置220は、制御装置201によって実行されるプログラムを格納するが、当該プログラムは、制御装置201がアクセス可能な他の記憶装置に格納されていてもよい。
【0055】
(携帯端末300)
携帯端末300は、制御装置301と、RAM303と、通信インターフェイス304と、ディスプレイ305と、入力デバイス306と、内蔵メモリー320とを含む。
【0056】
制御装置301は、携帯端末300を制御する。制御装置301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0057】
通信インターフェイス304には、アンテナ(図示しない)などが接続される。携帯端末300は、当該アンテナおよびアクセスポイントAP(
図1)を介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、センサーボックス100、管理サーバー200などを含む。
【0058】
ディスプレイ305は、たとえば有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイによって実現される。入力デバイス306は、たとえばディスプレイ305に重ねられたタッチセンサーによって実現される。当該タッチセンサーは、携帯端末300に対する各種操作をタッチ操作で受け付け、当該操作の内容を制御装置301へ出力する。
【0059】
内蔵メモリー320は、たとえば、eMMC(Embedded MultiMediaCard)などの記憶媒体である。一例として、内蔵メモリー320は、制御装置301によって実行されるプログラムを格納するが、当該プログラムは、制御装置301がアクセス可能な記憶装置であれば、内蔵メモリー320以外の記憶装置に格納されていてもよい。
【0060】
(クラウドサーバー400)
クラウドサーバー400は、制御装置401と、ROM402と、RAM403と、通信インターフェイス404と、記憶装置420とを含む。
【0061】
制御装置401は、クラウドサーバー400を制御する。制御装置401は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。
【0062】
通信インターフェイス404には、アンテナ(図示しない)などが接続される。クラウドサーバー400は、当該アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、センサーボックス100、管理サーバー200を含む。
【0063】
記憶装置420は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。一実現例では、記憶装置420は、制御装置401によって実行されるプログラムを格納するが、当該プログラムは、制御装置401がアクセス可能な他の記憶装置に格納あされていてもよい。
【0064】
(本明細書における「プログラム」という用語の意義)
見守りシステムにおいて、各種の「プログラム」は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供される場合があり得る。各種の「プログラム」は、任意の複数のプログラムが協働することによって実現され得る。一例では、センサーボックス100の制御装置101が第1のプログラムを実行することによって本明細書において説明される機能を実現する際に、当該第1のプログラムは、第2のプログラムの一部のモジュールを利用していてもよい。第1のプログラムは、当該機能の実現のための一部のモジュールを含まない場合であっても、当該機能の実現に主に貢献する場合、当該機能を実現するためのプログラムとしての趣旨から逸脱するものではない。また、本明細書において説明される機能は、その一部または全部が専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、本明細書において説明される機能を提供する装置は、その機能の一部または全部を外部装置から所謂クラウドサービスとして提供される場合もあり得る。
【0065】
[入居者の行動情報]
管理サーバー200は、1以上のセンサーの検出出力を利用して、各入居者の行動に関する情報(以下、「行動情報」という)を生成し、格納する。
図5は、行動情報のデータ構造例を示す図である。各入居者の行動情報は、たとえば記憶装置220に格納される。
【0066】
図5には、ID「0001」を割り当てられた入居者の行動情報が示される。行動情報は、1日ごとのデータによって構成され、居室における入居者の行動情報(居室内の行動情報)と、居室の外における入居者の行動情報(居室外の行動情報)とを含む。
【0067】
居室内の行動情報は、8つの項目(「睡眠」「行動範囲」「行動量」「歩行速度」「移動経路変化」「ふらつき度」「繰り返し行動」「立ち止まり」)を含む。居室外の行動情報は、5つの項目(「歩数」「活動時間」「立位時間」「座位時間」「臥床時間」)を含む。
図5では、各日の情報が示され、2020年5月1日の「睡眠」「行動範囲」…の行動情報の値が、「Va(1)」「Va(2)」…などの符号で示されている。
【0068】
図6は、居室内の行動情報の各項目の内容を示す図である。
図6を参照して、居室内の行動情報において、「睡眠」は、各日の睡眠時間を表す。
【0069】
「行動範囲」は、居室において入居者が移動した軌跡に基づいて算出される面積を表す。
図7を参照して、「行動範囲」の算出方法の一例を説明する。
【0070】
図7は、項目「行動範囲」の算出方法の一例を説明するための図である。
図7では、居室に対して規定された方眼1600と、入居者の移動の軌跡T1とが示される。また、方眼1600を構成する144個(12x12)のマス目のうち、軌跡T1を含む9個のマス目にハッチングが施されている。
図7の例では、軌跡T1を含むマス目の面積が、「行動範囲」として算出される。
【0071】
図6に戻って、「行動量」は、入居者がベッド外で滞在した時間を表す。「歩行速度」は、ベッド外の所与の距離以上の歩行の速度を表す。
【0072】
「移動経路変化」は、ベッド外の、高頻度で移動する経路の始点から終点までの移動において、高頻度で移動する経路から外れて移動した回数を表す。
【0073】
管理サーバー200は、居室における2以上の要素(棚、テレビ、居室のドア、トイレのドア、など)のそれぞれの位置を特定する情報を記憶装置220に格納していてもよく、入居者の位置情報の履歴を用いて居室内の複数の要素の間の入居者の移動経路を特定してもよい。さらに、管理サーバー200は、上記2以上の要素のうち任意の2つの要素(要素Aと要素B)の移動経路のうち、完全にまたは所与の割合以上一致する経路を、要素Aと要素Bの間の移動について高頻度で移動する経路と特定してもよい。そして、管理サーバー200は、要素Aと要素Bの間の移動について、上記高頻度で移動する経路とは異なる経路で入居者が移動した回数を、「移動経路変化」として特定してもよい。
【0074】
「ふらつき度」は、ある始点からある終点までの移動において、当該始点から当該終点までの直線の軌道からはみ出した距離を表す。
図8を参照して、「ふらつき度」の算出方法の一例を説明する。
【0075】
図8は、項目「ふらつき度」の算出方法の一例を説明するための図である。
図8では、入居者の移動の軌跡T2と、軌跡T2の始点(点P21)と、終点(点P22)とが示されて、さらに、点21と点P22を結ぶ直線(線L2)が示されている。管理サーバー200は、「ふらつき度」として、軌跡T2の各点と線L2との距離(線L2の垂線上での、線L2の各点から軌跡T2の各点までの距離)の履歴を特定してもよい。管理サーバー200は、「ふらつき度」の特定において、入居者が一定時間(たとえば、10秒間)以上静止した位置を、上記始点とし利用し、当該始点から移動を開始した後で入居者が一定時間(たとえば、10秒間)以上静止した位置を、上記終点として利用してもよい。管理サーバー200は、「ふらつき度」として、上記距離の履歴(距離の時間変化)の代わりに、または、上記の距離の履歴に加えて、上記距離の履歴を統計値を特定してもよい。統計値は、一定期間ごと(1日ごと、1時間ごと、など)の、最大値であってもよいし、平均値であってもよいし、中央値であってもよい。
【0076】
図6に戻って、「繰り返し行動」は、一定時間内に同じ始点から同じ終点までの移動を繰り返した回数を表す。管理サーバー200は、入居者の位置情報を用いて、繰り返し行動の値を特定してもよい。
【0077】
「立ち止まり」は、入居者が、予め定められた場所(たとえば、居室内の棚などが配置されている場所)以外の場所で一定時間(たとえば、30秒間)以上立ち止まった場合の、立ち止まった時間を表す。
【0078】
「行動範囲」「行動量」「繰り返し行動」「立ち止まり」のそれぞれは、居室における入居者の行動に関する統計値の一例である。統計値の他の例は、特定の行動(トイレのドアの開閉、窓の開閉、など)を繰り返す回数であってもよい。管理サーバー200は、各所のドアの開閉を検出するセンサーが特定の時間の長さ以下の間隔で開閉が繰り返された回数をこれらの統計値として特定してもよい。「歩行速度」「移動経路変化」「ふらつき度」のそれぞれは、入居者の歩行の性質を表す情報の一例である。歩行の性質の他の例は、歩幅であってもよい。
【0079】
管理サーバー200は、入居者に装着された活動量計の検出出力を利用して、居室内の行動情報を生成してもよいし、各居室の画像など、カメラ105等の要素の検出出力を利用して、居室内の行動情報を生成してもよい。
【0080】
図9は、居室外の行動情報の各項目の内容を示す図である。
図9を参照して、居室外の行動情報において、「歩数」は、歩数を表す。管理サーバー200は、入居者の位置情報と、入居者にかかる加速度情報とを利用して、「歩数」を特定してもよい。
【0081】
「活動時間」は、入居者が居室外に位置していた時間を表す。管理サーバー200は、入居者の位置情報を利用して、「活動時間」を特定してもよい。
【0082】
「立位時間」は、入居者が居室外で立っていた時間を表す。「座位時間」は、入居者が居室外で座っていた時間を表す。「臥床時間」は、入居者が居室外で横になっていた時間を表す。管理サーバー200は、入居者にかかる加速度情報を利用して、入居者の鉛直方向にかかる加速度の履歴を取得し、当該履歴を用いて、「立位時間」「座位時間」および「臥床時間」を特定してもよい。
【0083】
「立位時間」「座位時間」「臥床時間」のそれぞれは、入居者の居室外での状態の一例である。居室外での状態の他の例は、発声している時間であってもよい。活動量計600はマイクを備えていてもよく、管理サーバー200は、活動量計600のマイクに入居者の音声が入力された時間として、「発声している時間」を特定してもよい。「発声している時間」を特定するために、管理サーバー200には、入居者の声を表す音声情報が予め格納されていてもよい。
【0084】
管理サーバー200は、入居者に装着された活動量計の検出出力を利用して、居室外の行動情報を生成してもよい。
【0085】
[関連情報]
管理サーバー200は、複数項目の行動情報の間で相関を有する項目の組を導出する。管理サーバー200は、ある項目の行動情報の改善の提案のために、当該行動情報に相関を有する他の行動情報の項目を利用提案してもよい。管理サーバー200は、導出された相関を表す情報を、関連情報として記憶装置220に格納していてもよい。
【0086】
図10は関連情報のデータ構造例を示す図である。
図10の例では、関連情報では、居室内の行動情報の各項目(
図10の表の左側)に対して、関連項目として、関連を有するとして導出された他の項目が示されている。たとえば、項目「睡眠」の関連項目として、項目「歩数」が示されている。
【0087】
関連情報では、さらに、関連項目に対して、関連性を表す情報が付記されている。
図10の例では、項目「睡眠」の関連項目である項目「歩数」に対して、「上昇に伴って上昇」という付記が示されている。この付記は、関連項目「歩数」の値の上昇に伴って、「睡眠」の値が上昇する(睡眠時間が長くなる)ことを表す。
【0088】
図10の例における付記は、相関の導出において利用された関数に基づく。連情報は、付記として、関数を表す関数そのものなど他の形態の情報を含んでいてもよい。
【0089】
関連情報は、付記として、関連性を表す情報の条件を含んでいてもよい。
図10の例では、項目「行動量」に対して、関連項目として項目「活動時間」を含み、さらに、付記として「VXまでは増加、VXを超えると減少」を含む。この付記は、活動時間の値が値VXまでの領域は活動時間の増加とともに行動量の値が増加し、活動時間の値がVXを超えた領域では活動時間の増加とともに行動量の値が減少することを表す。
【0090】
[行動情報を生成するためのデータの取得]
管理サーバー200は、入居者が装着する活動量計を、行動情報の取得にセンサーとして利用してもよい。
図11は、管理サーバー200の行動情報を生成するための情報の取得態様の一例を示す図である。
図11の例では、管理サーバー200は、入居者800の腕に装着された活動量計600から取得した検出出力を利用して、入居者800の行動情報を生成する。
【0091】
活動量計600は、入居者800の、1日ごとの、歩数、歩行速度、歩行距離、睡眠時間、脈拍を計測し得る。活動量計600は、通信機能を有していてもよく、活動量計600における計測結果を管理サーバー200に送信してもよい。活動量計600は、GPS(Global Positioning System)レシーバーを含んでいても良く、GPSレシーバーを利用して特定される活動量計600の位置情報を計測してもよい。
【0092】
管理サーバー200は、居室のカメラ105によって生成される画像から行動情報を生成してもよく、この意味において、カメラ105をセンサーとして利用してもよい。管理サーバー200は、カメラ105によって生成された画像に入居者の外形のパターンに相当する画像パターンを検出した場合、入居者が居室に位置すると判断し、当該画像パターンを検出できなかった場合、入居者が居室外に位置すると判断してもよい。管理サーバー200は、上記画像パターンがベッドの位置として予め定められた領域内に位置する状態が継続する時間を入居者の睡眠時間として特定するなど、カメラ105によって生成される画像を処理することによって入居者の行動情報を生成してもよい。
【0093】
[処理の流れ]
図12は、各入居者の相関情報(
図10)を生成するための処理のフローチャートである。管理サーバー200は、たとえば制御装置201のプロセッサーに所与のプログラムを実行させることによって、
図12の処理を実現する。管理サーバー200において、ASIC等の専用回路によって
図12の処理が実行されてもよい。
【0094】
ステップS100にて、管理サーバー200は、各日のデータ生成のタイミングが到来したか否かを判断したか否かを判断する。管理サーバー200は、当該タイミングが到来したと判断するまでステップS100に制御を留め(ステップS100にてNO)、当該タイミングが到来したと判断すると(ステップS100にてYES)、ステップS102へ制御を進める。見守りシステムでは、たとえば各日の午前1時に前日の行動情報および相関情報を生成するように設定されていれば、午前1時になると、ステップS102へ制御が進められる。
【0095】
ステップS102にて、管理サーバー200は、各入居者の居室内の活動時間帯を特定する。管理サーバー200は、各入居者に関連付けられた活動量計から取得した位置情報を利用して、各入居者が居室内に位置した時間帯を各入居者の居室内の活動時間帯として特定してもよい。管理サーバー200は、各居室のカメラ105によって生成された画像に入居者として特定される物体が存在する時間を、各入居者が居室内に位置した時間帯を各入居者の居室内の活動時間帯として特定してもよい。管理サーバー200は、スタッフ(
図1のスタッフ810A,810Bなど)が各入居者が居室に居た時間帯として入力した時間を、各入居者が居室内に位置した時間帯を各入居者の居室内の活動時間帯として特定してもよい。
【0096】
ステップS104にて、管理サーバー200は、ステップS102において特定された時間帯のセンサーからの検出出力を利用して、処理対象の日の、居室内の行動情報(
図6)を生成し、記憶装置220に格納する(
図5)。見守りシステムでは、活動量計600等のセンサーからの検出出力が管理サーバー200の記憶装置220に格納されていてもよい。管理サーバー200は、記憶装置220に格納されている検出出力を利用して、各日の居室内の行動情報を生成してもよい。
【0097】
ステップS106にて、管理サーバー200は、ステップS102において特定された時間帯以外の時間帯のセンサーからの検出出力を利用して、処理対象の日の、居室外の行動情報(
図9)を生成し、記憶装置220に格納する(
図5)。管理サーバー200は、記憶装置220に格納されている検出出力を利用して、各日の居室外の行動情報を生成してもよい。
【0098】
ステップS108にて、管理サーバー200は、関連情報を生成する対象期間を取得する。管理サーバー200には、見守りシステム内の管理者などから指定された、関連情報を生成する対象期間(一週間、一ヶ月、など)が格納されている。管理サーバー200は、ステップS108において、指定された期間を読み出してもよい。
【0099】
ステップS110にて、管理サーバー200は、ステップS108において取得した期間の各日の、居室内の行動情報および居室外の行動情報を利用して、2つの項目の総当たりの組合せのそれぞれについて相関関係を導出する。管理サーバー200は、各組合せについて、データ間の関係を近似する関数を、相関関係として導出する。
【0100】
ステップS112にて、管理サーバー200は、ステップS110にて導出された相関係を、相関情報(
図10)として記憶装置220に格納する。その後、管理サーバー200は
図12の処理を終了させる。
【0101】
図13は、相関関係を導出された項目の組合せの一例を示す図である。
図13には、22日分の行動情報を用いて導出された結果が示されている。
図13では、縦軸は項目「睡眠時間」の値を表し、横軸は項目「歩数」の値を表し、グラフ内の各点は各日の行動情報の値を表す。
図13には、さらに、項目「睡眠時間」と項目「歩数」の間の関係を近似する直線L1が示される。
【0102】
図13の例では、管理サーバー200は、項目「睡眠時間」と項目「歩数」との間に直線L1で近似される相関関係を導出する。すなわち、
図13の例では、直線L1で示されるように、「歩数」の増加とともに「睡眠時間」が増加する関係が導出される。
【0103】
図14は、相関関係を導出された項目の組合せの他の例を示す図である。
図14には、
図13と同様に、22日分の行動情報を用いて導出された結果が示されている。管理サーバー200は、直線L2として、項目「歩行速度」と項目「座位時間」の関係を近似する線を生成する。
図14の例では、直線L2で示されるように、座位時間が変化しても歩行速度には大きな変化が見られないという関係が導出される。
【0104】
図15は、相関関係を導出された項目の組合せのさらに他の例を示す図である。
図15には、
図13および
図14と同様に、22日分の行動情報を用いて導出された結果が示されている。管理サーバー200は、線L3として、項目「行動量」と項目「活動時間」の関係を近似する線を生成する。
図15の例では、線L3で示されるように、活動時間の値VXまでの範囲では、活動時間の増加に伴って行動量が増加し、値VX以降の範囲では、活動時間の増加に伴って行動量が減少する、という関係が導出される。
【0105】
図16は、相関関係を導出された項目の組合せのさらに他の例を示す図である。
図16には、
図13~
図15と同様に、22日分の行動情報を用いて導出された結果が示されている。管理サーバー200は、線L4として、項目「立ち止まり」と項目「立位時間」の関係を近似する線を生成する。
図16の例では、線L4で示されるように、立位時間の値VPまでの範囲では、立位時間は立ち止まりに大きな影響を与えないが、値VP以降の範囲では、立位時間の増加に伴って立ち止まりが減少する、という関係が導出される。
【0106】
図12の例では、管理サーバー200は、各日の所定の時刻に、前日の入居者の行動情報および関連情報を生成するが、行動情報および関連情報の生成タイミングはこれに限定されない。たとえば、管理サーバー200は、一週間ごとに、一ヶ月ごとに、または、見守りシステムの管理者から実行を指示された時点で、各日の行動情報および関連情報を生成してもよい。
【0107】
図12の例では、管理サーバー200は、毎日、行動情報および関連情報を生成するが、各日は行動情報のみを生成し、指定された日にのみ関連情報を生成してもよい。
【0108】
以上説明された本実施の形態では、各入居者について、居室外の行動情報のどの項目が、どのように、居室内の行動情報に影響を与えるかについての情報(関連情報)が生成される。このような情報を参照することにより、入居者自身またはスタッフは、特定の居室内の行動情報の向上を希望する場合に、居室外のどの項目の行動情報をどのように変更すればよいかについて知見を得ることができる。
【0109】
たとえば、
図13等を参照して生成された関連情報によれば、当該関連情報の対象となった入居者については、居室での睡眠時間を延ばしたい場合、(居室外での)歩数を増やすことが好ましい旨の知見が得られる。
図15等を参照して生成された関連情報によれば、当該関連情報の対象となった入居者については、居室での行動量を増やしたい場合、居室外での活動量を値VXを上限として増やすことが好ましい旨の知見が得られる。スタッフは、入居者に対して当該知見に基づくアドバイスを提供する場合、
図13等に示されたグラフそのものを提示してもよい。
【0110】
居室は基本的に入居者にとってのプライベートな空間であるため、居室における入居者の行動を調整するための客観的な情報を得ることは困難であった。しかしながら、本開示によれば、居室内の行動情報と居室外の行動情報の相関関係から導き出される情報が提供されるため、居室における入居者の行動を調整するための客観的な情報を提供することができ、これにより、従来は提供が困難であった、居室における入居者の行動が調整され得る。結果として、本開示は、居室における入居者の生活の質の向上に寄与し得る。
【0111】
また、
図16等を参照して生成された関連情報によれば、(居室内での)立ち止まりが少ない入居者については、(居室外での)立位時間が長くなるため、入居者本人またはスタッフは、立位でのリクリエーションへの参加の促進のために、居室での移動を促す工夫(手すりを設置する、手すりを増やす、など)をすることが好ましい旨の知見が得られる。
【0112】
すなわち、本開示によれば、居室内の行動情報と居室外の行動情報の相関関係から導き出される情報が提供されるため、居室外の行動を調整するための情報として、プライベートな空間である居室内の行動に基づいた情報が提供され得る。これにより、従来は提供が困難であった、居室における入居者の行動に基づく情報が提供され得る。結果として、本開示は、居室外における入居者の生活の質の向上にも寄与し得る。
【0113】
また、本実施の形態では、居室内の行動情報の項目間の相関関係、および、居室外の行動情報の項目間の相関関係が導出され得る。これにより、入居者が直接的に変更することが難しいと想定される項目(たとえば、ふらつき度)の向上のために、他の項目(たとえば、行動範囲)の行動を変更(行動範囲を広めるまたは狭める)することが好ましいなどの知見が提供され得る。結果として、本開示は、入居者が直接的に変更することが難しかった項目の行動を、他の項目の行動の変更によって改善するための情報を提供し、これにより、入居者の生活の質の向上に寄与し得る。
【0114】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0115】
200 管理サーバー、600 活動量計、T1,T2 軌跡。