(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】量子デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20241008BHJP
H01R 33/76 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L23/12 K
H01R33/76 Z
(21)【出願番号】P 2020106148
(22)【出願日】2020-06-19
【審査請求日】2023-05-10
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/次世代コンピューティング技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】菊池 克
(72)【発明者】
【氏名】宮田 明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 秀
(72)【発明者】
【氏名】西 教徳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英行
(72)【発明者】
【氏名】難波 兼二
(72)【発明者】
【氏名】山口 彩未
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09836699(US,B1)
【文献】国際公開第2019/132963(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/041630(WO,A1)
【文献】特開2009-230897(JP,A)
【文献】特開2010-267502(JP,A)
【文献】特開2007-012475(JP,A)
【文献】特開2009-217969(JP,A)
【文献】国際公開第2020/035672(WO,A1)
【文献】特開2000-258519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H10N 60/80
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子チップと、
前記量子チップが実装されたインターポーザと、
前記インターポーザに対向して配置され、前記インターポーザの端子に電気的に接触した可動ピン及び前記可動ピンを支持するハウジングを含むソケットと、
を備え、
前記インターポーザ、及び、前記ソケットのうち、少なくともいずれかの一部は、冷却機能を有する試料台に接した、
量子デバイス。
【請求項2】
前記量子チップは、冷却機能を有する試料台に形成された凹部の内部に配置され、
前記インターポーザの一部は、前記試料台に接した、
請求項1に記載の量子デバイス。
【請求項3】
前記量子チップは、前記インターポーザに実装された第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2面の少なくとも一部は、前記凹部の内面に接した、
請求項
2に記載の量子デバイス。
【請求項4】
前記量子チップは、前記インターポーザに実装された第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2面の少なくとも一部は、前記凹部の内面に接着または接合された、
請求項
2に記載の量子デバイス。
【請求項5】
前記量子チップは、前記インターポーザに実装された第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2面は、前記凹部の内面との間に空間を介して配置された、
請求項
2に記載の量子デバイス。
【請求項6】
前記量子チップは、前記インターポーザに実装された第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2面は、前記凹部の底から突出するように可動なチップピンに接した、
請求項
2に記載の量子デバイス。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記可動ピンの一端が突出した一端面と、前記可動ピンの他端が突出した他端面と、前記一端面の周縁と前記他端面の周縁とを接続する側面と、を有し、
前記一端面、前記他端面及び前記側面のうち、少なくともいずれかの一部は、冷却機能を有する試料台に接した、
請求項1に記載の量子デバイス。
【請求項8】
前記ソケットは、前記ハウジングの前記一端面、前記他端面及び前記側面の少なくともいずれかに露出して前記試料台に接した放熱層を有する、
請求項
7に記載の量子デバイス。
【請求項9】
前記可動ピンにおける前記インターポーザの端子に電気的に接触した一端及び前記一端の反対側の他端のうち、少なくとも前記一端は、前記ハウジングに対して可動であり、
前記他端は、外部への入出力となるコネクタが形成されたボードの端子に電気的に接触した、
請求項1~8のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、量子状態を利用した量子チップをインターポーザにフリップチップ実装した量子デバイスが記載されている。このような量子デバイスを超電導状態で用いるためには、量子デバイスを極低温まで冷却する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
量子チップを極低温まで冷却させた場合には、外部へ接続する端子との接点が、冷却時における体積変化を起因とした応力及び歪みによって断線する恐れがある。また、上述した量子デバイスにおいて、インターポーザの片面を試料台による冷却に使用した場合には、外部へ接続する端子数に限界がある。
【0005】
本開示の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、外部へ接続する端子の断線を抑制し、外部へ接続する端子を確保することができる量子デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる量子デバイスは、量子ビットが構成された量子チップと、前記量子チップが実装されたインターポーザと、前記インターポーザに対向して配置され、可動ピン及び前記可動ピンを支持するハウジングを含むソケットと、を備え、前記可動ピンにおける前記インターポーザの端子に電気的に接触した一端及び前記一端の反対側の他端のうち、少なくとも前記一端は、前記ハウジングに対して可動であり、前記他端は、外部への入出力となるコネクタが形成されたボードの端子に電気的に接する。
【0007】
また、本開示にかかる量子デバイスは、量子ビットが構成された量子チップと、前記量子チップが実装されたインターポーザと、前記インターポーザに対向して配置され、前記インターポーザの端子に電気的に接した可動ピン及び前記可動ピンを支持するハウジングを含むソケットと、を備え、前記量子チップ、前記インターポーザ、及び、前記ソケットのうち、少なくともいずれかの一部は、冷却機能を有する試料台に接する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、外部へ接続する端子の断線を抑制し、外部へ接続する端子を確保することができる量子デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図2】実施形態1に係る量子デバイスにおいて、量子チップ及びインターポーザを例示した分解斜視図である。
【
図3】実施形態2に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図4】実施形態2の変形例1に係る接着層または接合層を例示した断面図である。
【
図5】実施形態2の変形例2に係る量子チップと凹部の内面との間の空間を例示した断面図である。
【
図6】実施形態2の変形例3に係る試料台の凹部から突出したチップピンを例示した断面図である。
【
図7】実施形態2の変形例4に係る試料台の凹部及び抑え部材を例示した斜視図である。
【
図8】実施形態2の変形例4に係る試料台の凹部及び抑え部材を例示した平面図である。
【
図9】実施形態2の変形例5に係る冷却部材及びサーマルビアを例示した断面図である。
【
図10】実施形態2の変形例6に係る試料台の凹部の底に形成された凹みを例示した断面図である。
【
図11】実施形態2の変形例6に係る試料台の凹部の底に形成された凹みを例示した平面図である。
【
図12】実施形態2の変形例7に係る試料台の凹部の底に形成された凹みを例示した断面図である。
【
図13】実施形態2の変形例8に係る試料台の凹部の底に形成された凹みを例示した断面図である。
【
図14】実施形態2の変形例9に係る試料台の凹部の底に形成された凹み及びピラーを例示した断面図である。
【
図15】実施形態2の変形例10に係る試料台の凹部の底に形成された貫通孔を例示した断面図である。
【
図16】実施形態2の変形例11に係る試料台の凹部を例示した断面図である。
【
図17】実施形態2の変形例12に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図18】実施形態2の変形例13に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図19】実施形態2の変形例13に係る試料台の凹部及びザグリを例示した平面図である。
【
図20】実施形態2の変形例14に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図21】実施形態2の変形例15に係るスペーサを例示した断面図である。
【
図22】実施形態2の変形例16に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図23】実施形態2の変形例17に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図24】実施形態3に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図25】実施形態4に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【
図26】実施形態5に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
量子コンピューティングとは量子力学的な現象(量子ビット)を用いてデータを操作する領域である。量子力学的な現象とは、複数の状態の重ね合わせ(量子変数が複数の異なる状態を同時にとる)、もつれ(複数の量子変数が空間または時間に関わらず関係する状態)などとなる。量子チップは、量子ビットを生成する量子回路が設けられている。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0011】
(実施形態1)
実施形態1に係る量子デバイスを説明する。
図1は、実施形態1に係る量子デバイスを例示した断面図である。
図2は、実施形態1に係る量子デバイスにおいて、量子チップ及びインターポーザを例示した分解斜視図である。
図1及び
図2に示すように、量子デバイス1は、量子チップ10と、インターポーザ20と、ソケット40と、を備えている。
【0012】
量子チップ10は、チップ基板15と、配線層16とを含んでいる。チップ基板15は、例えば、シリコン(Si)を含んでいる。なお、チップ基板15は、量子チップ10が量子ビットを構成することができれば、シリコンを含むものに限らず、サファイアや化合物半導体材料(IV族、III-V族、II-VI族)等の他の電子材料を含んでもよい。また、単結晶である方が望ましいが、多結晶やアモルファスでも構わない。
【0013】
チップ基板15の形状は、例えば、板状であり、一方の板面及び一方の板面の反対側の他方の板面を有している。一方の板面を第1面11と呼び、他方の板面を第2面12と呼ぶ。したがって、量子チップ10及びチップ基板15は、第1面11と、第2面12とを有している。例えば、第1面11及び第2面12は、矩形である。量子デバイス1において、第1面11は、インターポーザ20側に向いている。第1面11は、インターポーザ20にバンプBPによって実装されている。
【0014】
配線層16は、チップ基板15の第1面11側に設けられている。配線層16は、例えば、ニオブ(Nb)等の超電導材料を含んでいる。なお、配線層16に用いられる超電導材料は、例えば、ニオブ(Nb)に限らず、ニオブ窒化物、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、鉛(Pb)、錫(Sn)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、及び、これらのうちの少なくともいずれかを含む合金でもよい。
【0015】
配線層16は、量子回路17を含む。量子回路17には、超電導材料がジョセフソン接合17aによって環状に接続されたループ回路17bを有する共振器17cが形成されている。ジョセフソン接合に用いる材料は、Alが好ましいが、他の超電導材料でもよい。量子回路17は、超電導における量子状態において、共振器17cを用いた処理を行う。このように、量子チップ10は、量子回路17を含み、量子状態を用いた処理を行う。
【0016】
配線層16は、バンプBPを介して、インターポーザ20に実装されている。よって、量子チップ10は、インターポーザ20にフリップチップ実装されている。
【0017】
バンプBPは、上述した超電導材料を含んでもよい。バンプBPは、配線層16と同じ超電導材料を含んでもよいし、配線層16と異なる超電導材料を含んでもよい。また、バンプBPが複数の金属層を含む場合には、少なくとも1層は、超電導材料を含むことが好ましい。バンプBPは、Nb(量子チップ10の配線表面)/In(Sn、Pb及びこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金)/Ti/Nb(インターポーザ20の配線表面)/Cuを含む層状でもよいし、Nb(量子チップ10の配線表面)/Nb(インターポーザ20の配線表面)/Cuを含む層状でもよいし、Nb(量子チップ10の配線表面)/In(Sn、Pb及びこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金)/Ta(インターポーザ20の配線表面)/Cuを含む層状でもよい。また、Al及びInを含むバンプBPの場合には、AlとInとの間の合金化を防ぐために、TiNをバリア層に用いてもよい。その場合には、バンプBPは、Al(量子チップ10の配線表面)/Ti/TiN/In(Sn、Pb及びこれらのうちの少なくともいずれかを含む合金)/TiN/Ti/Al(インターポーザ20の配線表面)/Cuを含む層状でもよい。ここで、Tiは密着層である。好ましいフリップチップ接続は、Nb(量子チップ10の配線)/In/Ti/Nb(インターポーザ20の配線表面)/Cu、または、Nb(量子チップ10の配線)/Nb(インターポーザ20の配線表面)/Cuである。Cuの厚みを、インターポーザ配線層23の2μm厚に、2~10μmの範囲で追加してφ100μmのバンプを設けることが好ましい。
【0018】
インターポーザ20は、インターポーザ配線層23及び24と、インターポーザ基板25と、貫通ビア(Though Via、以下、TV26と呼ぶ)を含んでいる。なお、
図1では、図が煩雑にならないように、TV26を省略している。
【0019】
インターポーザ基板25は、例えば、板状である。インターポーザ基板25は、例えば、シリコン(Si)を含んでいる。なお、インターポーザ基板25は、量子チップ10を実装することができれば、シリコンを含むものに限らず、サファイアや化合物半導体材料(IV族、III-V族、II-VI族)、ガラス、セラミック等の他の電子材料を含んでもよい。インターポーザ基板25の表面は、シリコン酸化膜(SiO2、TEOS膜等)で覆われていることが好ましい。インターポーザ基板25及びインターポーザ20は、量子チップ10が実装された実装面21と、実装面21の反対側の反対面22と、を有している。
【0020】
ここで、量子デバイス1の説明の便宜のため、XYZ直交座標軸を導入している。インターポーザ20の反対面22に平行な面をXY平面とし、反対面22に直交する方向をZ軸方向とする。+Z軸方向を上方とし、-Z軸方向を下方とする。なお、上方及び下方は、説明の便宜のためであり、実際の量子デバイス1を使用する際の配置される方向を示すものではない。
【0021】
例えば、インターポーザ20の-Z軸方向側に量子チップ10が配置されている。量子チップ10の+X軸方向側に配置された配線層16と、インターポーザ20の-Z軸方向側に配置された実装面21とはバンプBPを介して接続されている。
【0022】
インターポーザ配線層23は、インターポーザ20の実装面21側、すなわち、インターポーザ20の-Z軸方向側に形成されている。インターポーザ配線層23は、上述した超電導材料を含んでいる。インターポーザ配線層23は、配線層16と同じ超電導材料を含んでもよいし、配線層16と異なる超電導材料を含んでもよい。例えば、インターポーザ配線層23は、表面からインターポーザ基板25まで順に、Nb(0.1μm厚)、Cu(2μm厚)、Tiを含むことが好ましい。例えば、インターポーザ基板25がシリコンを含む場合には、インターポーザ20の実装面21側は、Nb/Cu/Ti/SiO2/Si(インターポーザ基板25)という構成が好ましい。インターポーザ配線層23は、バンプBPを介して、量子チップ10の配線層16に接続されている。
【0023】
インターポーザ配線層23は、単層でも多層でもよい。インターポーザ配線層23は、磁場印加回路23a及び読み出し部23bを含んでもよい。磁場印加回路23aは、ループ回路17bに印加する磁場を生成する。ループ回路17bに磁場を印加することにより、量子回路17を発信器として機能させることができる。読み出し部23bは、量子回路17から情報を読み出す。
【0024】
インターポーザ配線層24は、インターポーザ基板25の反対面22側、すなわち、インターポーザ20の+Z軸方向側に形成されている。インターポーザ配線層24は、上述した超電導材料を含んでもよい。インターポーザ配線層24は、配線層16及びインターポーザ配線層23と同じ超電導材料を含んでもよいし、配線層16及びインターポーザ配線層23と異なる超電導材料を含んでもよい。また、インターポーザ配線層24は、常電導材料を含んでもよい。常電導材料は、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、及び、これらのうちの少なくともいずれかを含む合金である。例えば、インターポーザ配線層24は、表面からインターポーザ基板25まで順に、Cu、Tiを含むことが好ましい。例えば、インターポーザ基板25がシリコンを含む場合には、インターポーザ20の反対面22側は、Cu/Ti/SiO2/Si(インターポーザ基板25)という構成が好ましい。
【0025】
インターポーザ配線層24は、単層でも多層でもよい。インターポーザ配線層24は、量子チップ10からTV26を介して情報を取り出すための端子24aを含んでいる。
図2では、1つの端子24aのみ示しているが、複数の端子24aが形成されてもよい。本実施形態の量子デバイス1では、反対面22を、情報を取り出すための端子24aに最大限に活用することができる。
【0026】
TV26は、インターポーザ基板25の実装面21側から反対面22側まで貫通する。インターポーザ配線層23とインターポーザ配線層24とは、TV26によって接続されている。
【0027】
TV26は、上述した超電導材料を含んでもよい。TV26は、配線層16等と同じ超電導材料を含んでもよいし、配線層16等と異なる超電導材料を含んでもよい。また、TV26は、上述した常電導材料を含んでもよい。TV26は、インターポーザ配線層24と同じ常電導材料を含んでもよいし、インターポーザ配線層24と異なる常電導材料を含んでもよい。例えば、TV26は、φ50μmの貫通孔の側壁にSiO2(例えば、熱酸化膜)を形成し、Tiを密着層としてCuを充填されたものである。
【0028】
ソケット40は、インターポーザ20に対向して配置されている。例えば、本実施形態では、ソケット40は、インターポーザ20の反対面22に対向して配置されている。ソケット40は、ハウジング45及び可動ピン47を含んでいる。なお、
図1では、図が煩雑にならないように、いくつかの符号を省略している。
【0029】
ハウジング45は、一端面41及び一端面41の反対側の他端面42を有している。また、ハウジング45は、一端面41の周縁と他端面42の周縁とを接続する側面43を有している。一端面41は、例えば、インターポーザ20側を向いて下方に面し、他端面42は、上方を向いている。ハウジング45は、可動ピン47を保持する。ハウジング45は、複数の可動ピン47を保持してもよい。
【0030】
ハウジング45は、絶縁性の材料を含むことが好ましい。ハウジング45は、少なくとも可動ピン47と接する部分は、絶縁性の材料を含んでいる。また、ハウジング45は、非磁性の材料を含むことが好ましい。さらに、ハウジング45は、インターポーザ20の熱膨張係数と同等の材料を含むことが好ましい。
【0031】
ハウジング45は、酸化アルミニウム(Al2O3、アルミナとも呼ぶ。)、マイカ系マシナブルセラミック、窒化アルミニウム(AlN)、ジルコニア(ZrO2)、マコール系マシナブルセラミック、ガラス、樹脂及びシリカフィラーを含んだ低線熱膨張の複合材料を含んでもよいし、可動ピン47との絶縁が取れるのであれば、超電導材料を含んでもよい。
【0032】
可動ピン47は、ハウジング45に保持されている。可動ピン47は、一端及び一端の反対側の他端を有する。可動ピン47は、Z軸方向に延び、一端は、下方に向き、他端は、上方を向いている。よって、可動ピン47の一端は、ハウジング45の一端面41から突出している。可動ピン47の一端は、例えば、インターポーザ20の端子24aに電気的に接する。可動ピン47の他端は、他端面42から突出し、ボード50の端子に電気的に接する。このように、ハウジング45は、可動ピン47の一端が突出した一端面41と、可動ピン47の他端が突出した他端面42と、を有する。
図1では、ハウジング45の一端面41とインターポーザ20との間に空間が形成されているが、可動ピン47の一端が端子24aに接することができれば、空間は形成されなくてもよい。同様に、ハウジング45の他端面42とボード50との間に空間が形成されているが、可動ピン47の他端がボード50の端子に接することができれば、空間は形成されなくてもよい。
【0033】
可動ピン47の一端及び他端は、コイルバネ、板バネ等の弾性手段を挟んで導通状態で接続されている。可動ピン47におけるインターポーザ20の端子に電気的に接触した一端及び他端のうち、少なくとも、一端は、ハウジング45に対して可動である。可動ピン47の他端もハウジング45に対して可動でもよい。可動ピン47の他端は、例えば、外部への入出力となるコネクタ51が形成されたボード50の端子に電気的に接している。
【0034】
可動ピン47は、超電導材料を含んでもよいし、常電導材料を含んでもよい。可動ピン47は、配線層16等と同じ超電導材料を含んでもよいし、配線層16等と異なる超電導材料を含んでもよい。また、可動ピン47は、インターポーザ配線層24と同じ常電導材料を含んでもよいし、インターポーザ配線層24と異なる常電導材料を含んでもよい。可動ピン47は、非磁性材料であることが好ましい。可動ピン47は、例えば、パラジウム合金、金合金、ベリリウム銅(BeCu)、金(メッキ仕上げ)、ニオブ(Nb)、ニオブチタン(Nb-Ti)、チタン(Ti)を含むことが好ましい。
【0035】
ソケット40は、位置決めピン48を有してもよい。位置決めピン48は、ソケット40の配置位置を決めるピンである。位置決めピン48は、ハウジング45に保持されている。位置決めピン48は、例えば、一端面41から突出した一端を有している。位置決めピン48は、インターポーザ20の反対面22の所定の位置に一端を接触させることにより、ソケット40の配置位置を決める。なお、インターポーザ20の反対面22に穴を形成し、位置決めピン48を穴に挿入することにより、ソケット40の配置位置を決めてもよい。これにより、ソケット40の位置ずれを抑制することができる。
【0036】
ボード50は、ソケット40の他端面42に対向して配置されている。ボード50は、コネクタ51と、ボード基板55と、端子とを含んでいる。ボード基板55は、例えば、板状であり、上面及び下面を有している。ボード基板55の下面は、ソケット40に対向している。ボード基板55の下面には端子が設けられている。ボード基板55の上面には外部への入出力となるコネクタ51が形成されている。ボード50のコネクタ51は、ボード50の端子と接続されている。可動ピン47の他端は、ボード50の端子に電気的に接している。
【0037】
外部からの入力及び外部への出力となるコネクタ51が形成されたボード50は、ソケット40及びインターポーザ20を介して、量子チップ10との間で、電源及び信号等の入出力を行う。
【0038】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の量子デバイス1は、インターポーザ20に対向して配置されたソケット40を有している。ソケット40は、ハウジング45に対して可動な可動ピン47を有しており、インターポーザ20の端子24aに電気的に接している。よって、量子デバイス1を極低温へ冷却する際に生じる端子等の体積変化に追随して可動ピン47は可動なので、インターポーザ20と接続する端子の断線を抑制することができる。可動ピン47は、前述の通り、可動ピン47の一端及び他端を、コイルバネ、板バネ等の弾性手段を挟んで導通状態で接続されており、インターポーザ20とボード50の間で押し込まれた状態で設置されている。よって、可動ピン47としては、それぞれインターポーザ20、ボード50に対して弾性手段により圧力がかかっている状態となる。この圧力がかかる状態により、可動ピン47は、冷却に伴う収縮等の体積変化に対応して可動し、端子等への接触を維持することができ、断線を効果的に防ぐことができる。
【0039】
また、ソケット40は、可動ピン47の他端を、外部への入出力となるコネクタ51が形成されたボード50の端子に電気的に接触させている。よって、外部へ接続する端子を確保することができる。
【0040】
位置決めピン48を設けることにより、ソケット40の配置位置を容易に決めることができる。また、位置決めピン48を反対面22の穴に挿入することにより、ソケット40の位置ずれを抑制することができる。
【0041】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る量子デバイスを説明する。本実施形態の量子デバイスは、冷却機能を有する試料台に接している。
図3は、実施形態2に係る量子デバイスを例示した断面図である。
図3に示すように、量子デバイス2において、量子チップ10、インターポーザ20、及び、ソケット40のうち、少なくともいずれかの一部は、冷却機能を有する試料台30に接している。例えば、本実施形態では、インターポーザ20の少なくとも一部は、試料台30に接している。具体的には、インターポーザ20の実装面21の一部は、試料台30に接している。
【0042】
試料台30は、冷却機能を有する。例えば、試料台30は、冷凍機によって、10[mK]程度の極温度に冷却可能なコールドステージである。試料台30は、例えば、Cu、Cu合金、Al等の金属を含むことが好ましい。Alを含む試料台30の場合には、アルマイト処理による絶縁化を施してもよい。本実施形態の量子デバイス1は、例えば、量子チップ10の超電導材料として、Nbを含む場合には9.2[K]以下、Alを含む場合には、1.2[K]以下の極低温における超電導現象を用いる。このため、このような極温度に冷却可能な試料台30を用いる。
【0043】
試料台30には、凹部31が形成されている。例えば、試料台30の所定面32には、凹部31が形成されている。所定面32は、例えば、+Z軸方向に面した上面である。凹部31は、+Z軸方向側に開口している。上方から見て、凹部31は、例えば、矩形である。
【0044】
量子チップ10は、上方からインターポーザ20を透過させて見ると、凹部31よりも小さい。一方、インターポーザ20は、上方から見ると、凹部31よりも大きい。量子チップ10は、冷却機能を有する試料台30に形成された凹部31の内部に配置されている。例えば、量子チップ10の第2面12は、試料台30の凹部31の内面に接してもよい。一方、インターポーザ20の量子チップ10が実装された実装面21の一部は、試料台30の上面に接している。
【0045】
インターポーザ20の実装面21の試料台30に接した部分は、インターポーザ配線層23が形成されていなくてもよい。また、実装面21の試料台30に接した部分に、試料台30との電気的導通を防ぐために、絶縁膜が形成されていれば、インターポーザ配線層23が形成されていてもよい。量子チップ周囲の温度変化を低減する断熱性を向上させるため、量子チップ10の周囲を真空状態または減圧雰囲気にすることが好ましい。
【0046】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の量子デバイス2では、インターポーザ20の少なくとも一部を試料台30に接触させている。これにより、インターポーザ20を熱流路として用いることで、量子チップ10における量子回路17を極低温に冷却し、超電導現象を利用することができる。
【0047】
また、量子チップ10は、冷却機能を有する試料台30の内部に配置されている。また、量子チップ10の第2面12は、試料台30の凹部31の内面に接している。なお、第2面12の少なくとも一部が、凹部31の内面に接してもよい。このような構成とすることにより、量子チップ10を第2面12側から試料台30の熱伝導によって冷却することができ、冷却性能を向上させることができる。よって、量子チップ10における量子回路17を安定動作させることができる。
【0048】
また、第2面12が凹部31の内面に移動可能に接することにより、極低温への温度変化によって生じる量子チップ10及び試料台30の収縮差による応力及びひずみを抑制することができる。
【0049】
インターポーザ20の反対面22は試料台30に接していないので、インターポーザ20の反対面22を、量子チップ10から情報を取り出すための端子24aに最大限用いることができる。よって、情報取り出し端子数を増加させることができる。
【0050】
(変形例1)
次に、実施形態2の変形例1を説明する。本変形例は、量子チップ10と、凹部31の内面との間に、接着層または接合層を有する。
図4は、実施形態2の変形例1に係る接着層または接合層を例示した断面図である。
図4に示すように、変形例1の量子デバイス2aにおいて、量子チップ10の第2面12の少なくとも一部は、凹部31の内面に接着または接合されてもよい。例えば、第2面12は、ワニス、グリス等の接着層BLによって、試料台30に接着されてもよい。また、第2面12は、チップ基板15と試料台30との間に形成された金属層等の接合層MLによって接合されてもよい。このような構成とすることにより、量子チップ10の設置安定性を向上させ、位置精度を向上させることができる。また、試料台30との熱的接続を向上させることができる。
【0051】
接着層BLまたは接合層MLは、第2面12全面に配置されてもよいし、第2面12の周辺部または第2面12の中央部等、第2面12の少なくとも一部に配置されてもよい。例えば、上方から見て、量子回路17が形成された領域を避けるように、接着層BLまたは接合層MLを形成してもよい。接着層BLが絶縁材料の場合には、キャパシタとして量子回路17と共振し、全体的なエネルギーを損失する恐れが考えられる。量子回路17が形成された領域を避けるように接着層BLを配置することにより、共振を抑制することができる。
【0052】
また、接合層MLが金属層のような導電性を有する場合には、量子チップ10のグランド電位を、接合層MLを介して試料台30から取得するようにしてもよく、試料台30で規定している電位を取得してもよい。
【0053】
(変形例2)
次に、実施形態2の変形例2を説明する。本変形例は、量子チップ10と、凹部31の内面との間に空間を有する。
図5は、実施形態2の変形例2に係る量子チップ10と凹部31の内面との間の空間を例示した断面図である。
図5に示すように、変形例2の量子デバイス2bにおいて、量子チップ10は、試料台30に接触しなくてもよい。すなわち、量子チップ10の第2面12は、試料台30の凹部31の内面との間に空間を介して配置されてもよい。このような構成とすることにより、極低温への温度変化によって生じる量子チップ10及び試料台30の収縮差による応力及びひずみを抑制することができる。
【0054】
(変形例3)
次に、実施形態2の変形例3を説明する。本変形例は、試料台30の凹部31の底から突出するように可動なチップピンを有する。
図6は、実施形態2の変形例3に係る試料台30の凹部31から突出したチップピンを例示した断面図である。
図6に示すように、変形例3の量子デバイス2cにおいて、量子チップ10の第2面12は、試料台30の凹部31の底から突出するように可動なチップピン19に接している。
【0055】
例えば、凹部31の底には、1本または複数のチップピン19が設けられている。チップピン19は、第2面12に直交する方向に延びている。チップピン19は、凹部31の底に形成された孔の内部に配置されている。チップピン19の一端は、量子チップ10の第2面12に接している。
【0056】
チップピン19は、熱伝導性が高い材料を含むことが好ましい。チップピン19は、試料台30と同じ材料を含んでもよいし、上述の超電導材料を含んでもよい。チップピン19は、配線層16等と同じ超電導材料を含んでもよいし、配線層16等と異なる超電導材料を含んでもよい。また、チップピン19は、上述した常電導材料を含んでもよい。チップピン19は、インターポーザ配線層24等と同じ常電導材料を含んでもよいし、インターポーザ配線層24等と異なる常電導材料を含んでもよい。また、チップピン19は、窒化アルミニウム等の熱伝導性が高いセラミックを含んでもよい。
【0057】
チップピン19に、一定の電位を印加してもよい。例えば、グランド電位を印加してもよい。これにより、量子チップ10は、グランド電位をチップピン19からとることができる。なお、この場合には、チップピン19は、熱伝導性が高く、導電性の材料を含むことが好ましい。
【0058】
チップピン19は、孔の内部にバネ等の弾性体を介して配置されている。このような構成とすることにより、チップピン19は、量子チップ10の第2面12に接するので、冷却性能を向上させることができる。また、極低温への温度変化によって生じる量子チップ10及び試料台30の収縮差による応力及びひずみを抑制することができる。
【0059】
(変形例4)
次に、実施形態2の変形例4を説明する。本変形例は、試料台30の所定面32上に抑え部材を有する。
図7は、実施形態2の変形例4に係る試料台30の凹部31及び抑え部材を例示した斜視図である。
図8は、実施形態2の変形例4に係る試料台30の凹部31及び抑え部材を例示した平面図である。
図7及び
図8に示すように、変形例4の量子デバイス2dにおいて、凹部31は、試料台30の所定面32、例えば、試料台30の上面に形成されている。そして、凹部31の周辺における所定面32上には、複数の抑え部材33が設けられている。例えば、4つの抑え部材33は、所定面32上に設けられている。
【0060】
インターポーザ20の側面の少なくとも一部は、所定面32上に設けられた抑え部材33に接している。例えば、インターポーザ20は、上方から見て矩形である場合には、複数の抑え部材33は、インターポーザ20における各角部の近傍の側面を平面部分で抑えている。このような構成とすることにより、複数の抑え部材33は、インターポーザ20の側面を対角部分で非連続的かつ平面部分で押さえつけることができる。よって、インターポーザ20または抑え部材33が低温で収縮した場合に、直線状にスライド移動することを可能とし、収縮を均等化することができる。
【0061】
(変形例5)
次に、実施形態2の変形例5を説明する。本変形例は、インターポーザ20の反対面22上に冷却部材を有するとともに、インターポーザ20の内部にサーマルビアを有する。
図9は、実施形態2の変形例5に係る冷却部材及びサーマルビアを例示した断面図である。
図9において、図が煩雑にならないように、インターポーザ20のTV26を省略している。
図9に示すように、変形例5の量子デバイス2eにおいて、インターポーザ20の反対面22は、冷却部材34に接してもよい。冷却部材34は、冷却機能を有している。例えば、冷却部材34は、試料台30に接続することによって冷却機能を有してもよい。このような構成とすることにより、インターポーザ20の反対面22は、冷却部材34の熱伝導によって冷却することができ、冷却性能を向上させることができる。
【0062】
インターポーザ20の反対面22に冷却部材34が配置された場合には、ソケット40は、上方から見て、冷却部材34の周りに、ロの字状、または、コの字状等のように、冷却部材34を避けて配置される。
【0063】
また、インターポーザ20は、サーマルビア27を含んでもよい。サーマルビア27は、インターポーザ基板25の実装面21に直交する方向に延びた部材でもよい。例えば、サーマルビア27は、インターポーザ基板25を貫通してもよい。このように、インターポーザ20は、インターポーザ基板25の実装面21側から反対面22側まで貫通したサーマルビア27を含んでもよい。サーマルビア27は、例えば、実装面21に直交する方向に延びた中心軸を有する円柱状または角柱状等の柱状でもよい。サーマルビア27は、実装面21側と反対面22側との間で熱を移動させることができる。
【0064】
サーマルビア27は、熱伝導性が高い材料を含むことが好ましい。サーマルビア27は、上述の超電導材料を含んでもよい。サーマルビア27は、配線層16等と同じ超電導材料を含んでもよいし、配線層16等と異なる超電導材料を含んでもよい。また、サーマルビア27は、上述した常電導材料を含んでもよい。サーマルビア27は、インターポーザ配線層24等と同じ常電導材料を含んでもよいし、インターポーザ配線層24等と異なる常電導材料を含んでもよい。また、サーマルビア27は、窒化アルミニウム等の熱伝導性が高いセラミックを含んでもよい。
【0065】
サーマルビア27は、冷却部材34に接続させてもよい。このような構成とすることにより、量子デバイス1dの冷却性能を向上させることができる。なお、量子デバイス1dは、サーマルビア27を設けず、冷却部材34のみ設けてもよし、冷却部材34を設けず、サーマルビア27のみ設けてもよい。また、冷却部材34及びサーマルビア27の両方を設けてもよい。
【0066】
また、図の吹き出しに示すように、サーマルビア27は、実装面21側の径よりも反対面22側の径の方が大きいテーパが形成された部分を含んでもよい。すなわち、サーマルビア27は、反対面22側に向かってビア断面が大きくなる略円錐台状の部分を含んでもよい。テーパ形状を含むことで熱容量を増加させることができ、急激な温度変化を緩和することができる。よって、サーマルビア27の温度に対する安定性を向上させることができる。また、サーマルビア27を冷却部材34と接触させた場合には、冷却部材34との熱的接合面積が増加する。よって、より効果的に熱移動を促進させることができる。なお、サーマルビア27と貫通孔との界面において、常温から極低温に温度を変化させた場合に、界面の密着力が低下することがあり得る。例えば、熱収縮によりサーマルビア27と貫通孔との界面において密着力以上の力がかかったり、低弾性率の材料を壁面に使用した場合には、極低温下において、弾性率が高くなる(分子が動かなくなる)ので、密着力を失ったりすることで剥離が発生する可能性がある。剥離してしまう場合は、サーマルビア27の位置が動くことが想定されるが、テーパ形状を含むことで、上下の位置が移動しても、サーマルビア27と貫通孔との界面での接触面を維持することができる。サーマルビア27が移動する場合において、冷却部材34との接触を維持させる凸形状をあらかじめ冷却部材34に形成し、冷却部材34とサーマルビア27との接触を維持するようにしてもよい。
【0067】
さらに、図の別の吹き出しに示すように、インターポーザ20は、複数のサーマルビア27を接続する共通の接続部材28を含んでもよい。例えば、実装面21に平行な板状の接続部材28で複数のサーマルビア27を接続させてもよい。接続部材28は、熱伝導性が高い材料を含むことが好ましく、サーマルビア27と同様の材料を含んでもよい。接続部材28で接続された複数のサーマルビア27は、熱容量を大きくすることができ、温度変化を抑制することができる。
【0068】
また、接続部材28で接続された複数のサーマルビア27に、一定の電位を印加してもよい。例えば、グランド電位を印加してもよい。これにより、量子チップ10またはインターポーザ20は、グランド電位をサーマルビア27からとることができる。なお、この場合には、サーマルビア27及び接続部材28は、熱伝導性が高く、導電性の材料を含むことが好ましい。
【0069】
インターポーザ20において、量子回路17に接続された配線または信号線が実装された領域は、それ以外の領域よりも熱を発生する。よって、そのような領域のサーマルビア27の密度を、それ以外の領域の密度よりも大きくすることが好ましい。例えば、インターポーザ基板25を上方から見て、量子チップ10がインターポーザ20の中央に実装された場合には、中央領域のサーマルビア27の密度を、周辺領域のサーマルビア27の密度よりも大きくする。また、インターポーザ20において、量子回路17からの信号を伝達するTV26の近傍でも、サーマルビア27の密度を、それ以外の領域の密度よりも大きくすることが好ましい。これにより、冷却性能を向上させることができる。
【0070】
(変形例6)
次に、実施形態2の変形例6を説明する。本変形例は、試料台30の凹部31の底に凹みを有する。
図10は、実施形態2の変形例6に係る試料台30の凹部31の底に形成された凹みを例示した断面図である。
図11は、実施形態2の変形例6に係る試料台30の凹部31の底に形成された凹みを例示した平面図である。
図10及び
図11に示すように、変形例6の量子デバイス2fにおいて、凹部31の底には凹み35が形成されている。
図11に示すように、上方から見て、凹み35の領域は、量子回路17が形成された領域18よりも大きい。よって、量子回路17が形成された領域18は、凹み35の領域に含まれている。量子チップ10の第2面12の周辺部は、凹部31の底に接してもよい。量子チップ10の第2面12の中央部は、凹み35を覆っている。
【0071】
上方から見て、凹み35の領域は、量子チップ10よりも大きくてもよい。この場合には、量子チップ10の第2面12は、凹部31の底に接しない。
【0072】
量子デバイス2fでは、上方から見て、凹み35の領域は、量子回路17が形成された領域18よりも大きいので、量子回路17が形成された領域18と、金属等を含む試料台30との間の距離を大きくすることができる。これにより、疑似的なキャパシタの生成を抑制し、チップ基板15のシリコン等の主材に発生する共振の影響を低減することができる。よって、量子回路17の動作周波数に与える影響を低減することができる。
【0073】
(変形例7)
次に、実施形態2の変形例7を説明する。本変形例は、量子チップ10の第2面12の周辺部を凹み35の周囲に接着または接合する。
図12は、実施形態2の変形例7に係る試料台30の凹部31の底に形成された凹み35を例示した断面図である。
図12に示すように、変形例7の量子デバイス2gでは、量子チップ10の第2面12の周辺部は、凹部31の底に接着層BLによって接着してもよいし、金属層等の接合層MLによって接合してもよい。このような構成とすることにより、共振の影響を低減しつつ、量子チップ10の設置安定性を向上させ、位置精度を向上させることができる。また、試料台30との熱的接続を向上させることができる。
【0074】
(変形例8)
次に、実施形態2の変形例8を説明する。本変形例は、量子チップ10の第2面12の周辺部と、凹み35の周囲との間に空間を有する。
図13は、実施形態2の変形例8に係る試料台30の凹部31の底に形成された凹み35を例示した断面図である。
図13に示すように、変形例8の量子デバイス2hでは、量子チップ10の第2面12の周辺部は、試料台30に接触しなくてもよい。すなわち、量子チップ10の第2面12の周辺部は、凹部31の底との間に空間を介して配置されてもよい。このような構成とすることにより、共振の影響を低減しつつ、極低温への温度変化によって生じる量子チップ10及び試料台30の収縮差による応力及びひずみを抑制することができる。
【0075】
(変形例9)
次に、実施形態2の変形例9を説明する。本変形例は、凹み35にピラーを有する。
図14は、実施形態2の変形例9に係る試料台30の凹部31の底に形成された凹み35及びピラーを例示した断面図である。
図14に示すように、変形例9の量子デバイス2iにおいて、凹部31の底には凹み35が形成されている。そして、凹み35には、1本または複数のピラー36が設けられている。ピラー36は、第1面11及び第2面12に直交する方向に延びている。ピラー36の一端は、凹み35の底に接続し、ピラー36の他端は、量子チップ10の第2面12に接している。このように、量子チップ10は、凹み35の底から第1面11に直交する方向に延びたピラー36に接している。ピラー36は、円柱でもよいし、柱状でもよい。ピラー36は、チップピン19と同様の材料を含んでもよい。1本または複数のピラー36と、第2面12とは、接着層BLによって接着されてもよいし、金属層によって接合されてもよい。
【0076】
量子デバイス2iでは、上方から見て、凹み35の領域は、量子回路17が形成された領域18よりも大きいので、量子回路17が形成された領域18と、金属等を含む試料台30との間の距離を大きくすることができる。これにより、チップ基板15のシリコン等の主材に発生する共振の影響を低減することができる。それとともに、ピラー36は量子チップ10の第2面12に接するので、冷却性能を向上させることができる。
【0077】
なお、ピラー36を、凹み35の底から可動としてもよい。すなわち、ピラー36を、チップピン19に置き換えてもよい。
【0078】
(変形例10)
次に、実施形態2の変形例10を説明する。本変形例は、試料台30の凹部31の底に貫通孔を有する。
図15は、実施形態2の変形例10に係る試料台30の凹部31の底に形成された貫通孔を例示した断面図である。
図15に示すように、変形例10の量子デバイス2jにおいて、凹部31の底には貫通孔37が形成されている。上方から見て、貫通孔37の領域は、量子回路17が形成された領域18よりも大きい。よって、量子回路17が形成された領域18は、貫通孔37の領域に含まれている。量子チップ10の第2面12の周辺部は、凹部31の底に接してもよいし、凹部31の底に接着または接合してもよい。量子チップ10の第2面12の中央部は、貫通孔37を覆っている。
【0079】
量子デバイス2jでは、上方から見て、貫通孔37の領域は、量子回路17が形成された領域18よりも大きいので、量子回路17が形成された領域18と、金属等を含む試料台30との間の距離を大きくすることができる。これにより、チップ基板15のシリコン等の主材に発生する共振の影響を低減することができる。よって、量子回路17の動作周波数に与える影響を低減することができる。
【0080】
(変形例11)
次に、実施形態2の変形例11を説明する。本変形例は、極低温時において、量子チップ10が凹部31に嵌入する。
図16は、実施形態2の変形例11に係る試料台30の凹部31を例示した断面図である。
図16に示すように、変形例11の量子デバイス2kにおいて、量子チップ10は、極低温時において、凹部31に嵌入する。よって、量子チップ10の側面は、凹部31の内面に接している。これにより、量子チップ10は、側面からの熱伝導により冷却されるので、冷却性能を向上させることができる。
【0081】
なお、量子デバイス2kを室温から数[mK]の極低温まで冷却する際に、量子チップ10、インターポーザ20及び試料台30は、体積変化を生じる。よって、予め、体積変化を考慮し、極低温時において、量子チップ10の側面が凹部31に接するようにする。また、量子チップ10のグランド電位を、量子チップ10の側面を介して試料台30から取得するようにしてもよい。
【0082】
(変形例12)
次に、実施形態2の変形例12を説明する。本変形例は、インターポーザ20の側面を、凹部31の内面に接するようにする。
図17は、実施形態2の変形例12に係る量子デバイスを例示した断面図である。
図17に示すように、本変形例の量子デバイス2lにおいて、インターポーザ20の側面の少なくとも一部は、凹部31の内面に接している。
【0083】
このような構成とすることにより、インターポーザ20の実装面21は、試料台30に接しなくてもよいので、実装面21を最大限に活用することができる。例えば、実装面21に最大限にインターポーザ配線層23を形成することができる。
【0084】
(変形例13)
次に、実施形態2の変形例13を説明する。本変形例は、凹部31にザグリが形成されている。
図18は、実施形態2の変形例13に係る量子デバイスを例示した断面図である。
図19は、実施形態2の変形例13に係る試料台30の凹部31及びザグリを例示した平面図である。
図18及び
図19に示すように、量子デバイス2mにおいて、試料台30の凹部31は、試料台30の所定面32に形成されている。そして、凹部31の開口部の周囲には、ザグリ38が形成されている。これにより、凹部31の開口部の周囲に所定面32と段差を有する段差面39が形成されている。よって、ザグリ38は、段差面39を含んでいる。
【0085】
段差面39は、例えば、所定面32に平行である。段差面39は、凹部31の周りに形成されている。段差面39は、凹部31を囲んでいる。量子チップ10は、凹部31の内部に配置されている。インターポーザ20の実装面21の一部は、段差面39に接している。
【0086】
インターポーザ20における実装面21の段差面39に接した部分は、段差面39との電気的導通を防ぐために、絶縁膜が形成されてもよい。また、実装面21の段差面39に接した部分は、インターポーザ配線層23が形成されていなくてもよい。
【0087】
図19に示すように、凹部31は、量子チップ10を配置できるように、4辺に空間を有するようにしてもよい。また、凹部31は、4隅にRまたは円形を追加した形状としてもよい。これにより、極低温まで冷却時の体積変化による応力及びひずみの発生を抑制することができる。特に、直角及び鋭角の形状による4隅の応力集中を避けることができる。
【0088】
本変形例の量子デバイス2mでは、インターポーザ20は、ザグリ38の内部に配置されるので、試料台30に囲まれている。よって、冷却性能を向上させることができる。また、インターポーザ20の実装面21の一部は、段差面39に接しているので、これによっても、冷却性能を向上させることができる。また、所定面32と反対面22との段差を小さくすることができるので、量子デバイス2mの配置の自由度を向上させることができる。
【0089】
(変形例14)
次に、実施形態2の変形例14を説明する。本変形例の量子デバイスは、ザグリ38の側面にインターポーザ20が接している。
図20は、実施形態2の変形例14に係る量子デバイスを例示した断面図である。
図20に示すように、量子デバイス2nにおいて、試料台30の凹部31は、試料台30の所定面32に形成されている。そして、凹部31の開口部の周囲には、ザグリ38が形成されている。これにより、凹部31の開口部の周囲に所定面32と段差を有する段差面39が形成されている。
【0090】
本変形例の量子デバイス2nにおいて、インターポーザ20の側面の少なくとも一部は、段差面39と所定面32との間のザグリ38の側面に接している。そして、インターポーザ20の実装面21の一部は、段差面39との間に空間を介して配置されている。これにより、インターポーザ20の実装面21は、試料台30に接しなくてもよいので、実装面21を最大限に活用することができる。
【0091】
(変形例15)
次に、実施形態2の変形例15を説明する。本変形例は、インターポーザ20の実装面21と段差面39との間にスペーサを有する。
図21は、実施形態2の変形例15に係るスペーサを例示した断面図である。
図21に示すように、量子デバイス2oにおいて、インターポーザ20の実装面21の一部は、段差面39との間にスペーサSPを介して配置されている。すなわち、スペーサSPは、実装面21と段差面39との間に配置されている。スペーサSPは、熱伝導性が高い絶縁材料、例えば、窒化アルミ、炭化ケイ素、サファイア、シリコン、アルミナなどを含むことが好ましい。
【0092】
量子デバイス2oは、スペーサSPを有しているので、量子チップ10の設置安定性を向上させ、位置精度を向上させることができる。また、試料台30との熱的接続を向上させることができる。さらに、インターポーザ配線層23を形成することにより、実装面21を最大限に活用することができる。
【0093】
(変形例16)
次に、実施形態2の変形例16を説明する。本変形例は、インターポーザ20の一部のみ試料台30に接する。
図22は、実施形態2の変形例16に係る量子デバイスを例示した断面図である。
図22に示すように、量子デバイス2pにおいて、インターポーザ20の側面は、冷却機能を有する試料台30に接している。試料台30は、例えば、板状の部分30aを含んでいる。板状の部分30aは、インターポーザ20の側面を挟んでいる。
【0094】
量子デバイス2pでは、インターポーザ20を熱流路として用いている。よって、インターポーザ20の側面からの熱伝導によって、量子デバイス2pを冷却することができる。また、インターポーザ20の実装面21及び反対面22を最大限に端子に活用することができる。
【0095】
(変形例17)
次に、実施形態2の変形例17を説明する。本変形例は、ソケット40の一部のみ試料台30に接する。
図23は、実施形態2の変形例17に係る量子デバイスを例示した断面図である。
図23に示すように、量子デバイス2qにおいて、ハウジング45の側面43は、冷却機能を有する試料台30に接している。試料台30は、例えば、板状の部分30aを含んでいる。板状の部分30aは、ハウジング45の側面43を挟んでいる。なお、量子デバイス2qにおいて、ハウジング45の側面43に限らず、ハウジング45の一端面41の一部が試料台30に接してもよいし、ハウジング45の他端面42の一部が試料台30に接してもよい。
【0096】
量子デバイス2qでは、ハウジング45の一端面41、他端面42及び側面43のうち、少なくともいずれかの一部は、冷却機能を有する試料台30に接するので、試料台30からの熱伝導によって、量子デバイス2qを冷却することができる。これにより、量子デバイス2qの冷却性能を向上させることができる。実施形態2の変形例1~17のいくつかを適宜組み合わせてもよい。
【0097】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る量子デバイスを説明する。本実施形態は、量子チップ10の少なくとも一部、インターポーザ20の少なくとも一部、及び、ソケット40の少なくともの一部は、それぞれ冷却機能を有する試料台30に接している。
図24は、実施形態3に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【0098】
図24に示すように、量子デバイス3において、量子チップ10の少なくとも一部、インターポーザ20の少なくとも一部、及び、ソケット40の少なくともの一部は、試料台30に接している。具体的には、例えば、量子チップ10、インターポーザ20及びソケット40は、試料台30の凹部31の内部に配置されている。そして、量子チップ10の第2面12、インターポーザ20の側面、及び、ソケット40の側面43は、試料台30の凹部31の内面に接している。なお、さらに、インターポーザ20の実装面21及び反対面22の一部、ソケット40の一端面41及び他端面42の一部のうち、少なくともいずれかを接するようにしてもよい。
【0099】
量子デバイス3では、量子チップ10、インターポーザ20及びソケット40の各一部が、試料台30に接しているので、量子デバイス3の冷却性能を向上させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0100】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る量子デバイスを説明する。本実施形態のソケット40は、試料台30に接した放熱層を有している。
図25は、実施形態4に係る量子デバイスを例示した断面図である。
図25に示すように、量子デバイス4において、ソケット40は、冷却機能を有する試料台30に接した放熱層44a、44b及び44cを有する。
【0101】
放熱層44a等は、熱伝導性が高い材料を含むことが好ましい。放熱層44a等は、上述の超電導材料を含んでもよい。放熱層44a等は、配線層16等と同じ超電導材料を含んでもよいし、配線層16等と異なる超電導材料を含んでもよい。また、放熱層44a等は、上述した常電導材料を含んでもよい。放熱層44a等は、インターポーザ配線層24等と同じ常電導材料を含んでもよいし、インターポーザ配線層24等と異なる常電導材料を含んでもよい。また、放熱層44a等は、窒化アルミニウム等の熱伝導性が高いセラミックを含んでもよい。放熱層44a等は、導電性の材料を含む場合には、可動ピン47との絶縁を保つために絶縁膜で覆われていることが好ましい。
【0102】
放熱層44aは、ハウジング45の一端面41に配置されている。よって、放熱層44aは、一端面41に露出している。放熱層44bは、ハウジング45の他端面42に配置されている。よって、放熱層44bは、他端面42に露出している。放熱層44cは、ハウジング45の中央にXY面に平行に配置されている。放熱層44cは、ハウジング45の側面43に露出している。量子デバイス4は、放熱層44a、44b及び44cのうち、少なくともいずれかが配置されてもよい。
【0103】
放熱層44a、44b及び44cは、試料台30に接してもよい。例えば、放熱層44a、44b及び44cは、試料台30の凹部31の内面に接している。このように、ソケット40は、ハウジング45の一端面41、他端面42及び側面43の少なくともいずれかに露出して試料台30に接した放熱層を有する。
【0104】
量子デバイス4では、ソケット40は、放熱層44a、44b及び44cを有するので、量子デバイス4の冷却性能を向上させることができる。放熱層44a、44b及び44cが試料台30に接する場合には、さらに、量子デバイス4の冷却性能を向上させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~3の記載に含まれている。
【0105】
(実施形態5)
次に、実施形態5に係る量子デバイスを説明する。本実施形態のソケット40は、インターポーザ20の実装面21に配置されている。
図26は、実施形態5に係る量子デバイスを例示した断面図である。
【0106】
図26に示すように、量子デバイス5において、ソケット40は、インターポーザ20の実装面21に配置されている。よって、ソケット40は、量子チップ10と同じ実装面21側に配置されている。なお、
図26においては、実装面21に直交する方向をZ軸方向とし、実装面21側を+Z軸方向、反対面22側を-Z軸方向とする。説明の便宜上、+Z軸方向側を上方とし、-Z軸方向側を下方とする。よって、本実施形態の量子デバイス4では、ソケット40は、インターポーザ20の上方(+Z軸方向側)に配置されている。
【0107】
インターポーザ20の反対面22は、試料台30に接してもよい。これにより、インターポーザ20を介して量子チップ10を冷却することができる。なお、量子チップ10及びインターポーザ20の少なくともいずれかのグランド電位を、インターポーザ20のTV26を介して試料台30から取得してもよい。
【0108】
ソケット40は、+Z軸方向側から見て、量子チップ10の周りに、ロの字状、または、コの字状等のように、量子チップ10を避けて配置される。可動ピン47の一端は、インターポーザ20の実装面21の端子に電気的に接している。可動ピン47の一端は、ハウジング45に対して可動である。可動ピン47の他端は、外部への入出力となるコネクタ51が形成されたボード50の端子に電気的に接している。
【0109】
ボード50は、前述の実施形態と同様に、ソケット40の他端面42に対向して配置されている。本実施形態において、試料台30上に、インターポーザ20と並んで、ボード50aが配置されてもよい。ボード50aにおけるボード基板55aの下面は、試料台30に接している。ボード基板55aの上面には、コネクタ51a及び端子が形成されている。ソケット40は、インターポーザ20の実装面21とボード50aの上面とに跨って配置されてもよい。そして、ボード50の下面に形成された複数の端子が相互に接続されてもよい。この場合には、インターポーザ20の実装面21に形成された端子から、可動ピン47aの一端、可動ピン47aの他端、ボード50の端子、ボード50の他の端子、可動ピン47bの他端、可動ピン47bの一端、ボード50aの端子の順に経由して、ボード50aのコネクタ51aに接続してもよい。
【0110】
外部からの入力及び外部への出力となるコネクタ51及び51aが形成されたボード50及び50aは、ソケット40及びインターポーザ20を介して、量子チップ10との間で、電源及び信号等の入出力を行う。
本実施形態の量子デバイス5によれば、外部からの入出力となるコネクタ51aを増やすことができるので、外部と接続する端子数を増加させることができる。また、インターポーザ20の反対面22を試料台30に接するようにすることができるので、量子デバイス5の冷却性能を向上させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~4の記載に含まれている。
【0111】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、実施形態1~5及び各変形例の各構成を適宜組み合わせたもの、複数の量子チップ10がインターポーザ20に接続されたもの、複数のインターポーザ20がソケット40に接続されたものも、本実施形態の技術的思想の範囲に含まれる。
【0112】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0113】
(付記1)
量子チップと、
前記量子チップが実装されたインターポーザと、
前記インターポーザに対向して配置され、可動ピン及び前記可動ピンを支持するハウジングを含むソケットと、
を備え、
前記可動ピンにおける前記インターポーザの端子に電気的に接触した一端及び前記一端の反対側の他端のうち、少なくとも前記一端は、前記ハウジングに対して可動であり、
前記他端は、外部への入出力となるコネクタが形成されたボードの端子に電気的に接した、
量子デバイス。
【0114】
(付記2)
前記量子チップ、前記インターポーザ、及び、前記ソケットのうち、少なくともいずれかの一部は、冷却機能を有する試料台に接した、
付記1に記載の量子デバイス。
【0115】
(付記3)
前記量子チップは、冷却機能を有する試料台に形成された凹部の内部に配置され、
前記インターポーザの一部は、前記試料台に接した、
付記1に記載の量子デバイス。
【0116】
(付記4)
前記量子チップは、前記インターポーザに実装された第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2面の少なくとも一部は、前記凹部の内面に接した、
付記3に記載の量子デバイス。
【0117】
(付記5)
前記量子チップは、前記インターポーザに実装された第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2面の少なくとも一部は、前記凹部の内面に接着または接合された、
付記3に記載の量子デバイス。
【0118】
(付記6)
前記量子チップは、前記インターポーザに実装された第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2面は、前記凹部の内面との間に空間を介して配置された、
付記3に記載の量子デバイス。
【0119】
(付記7)
前記量子チップは、前記インターポーザに実装された第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、を有し、
前記第2面は、前記凹部の底から突出するように可動なチップピンに接した、
付記3に記載の量子デバイス。
【0120】
(付記8)
前記凹部は、前記試料台の所定面に形成され、
前記インターポーザの前記量子チップが実装された実装面の一部は、前記所定面に接した、
付記3~7のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0121】
(付記9)
前記インターポーザの側面の少なくとも一部は、前記所定面上に設けられた複数の抑え部材に接した、
付記8に記載の量子デバイス。
【0122】
(付記10)
前記インターポーザは、前記実装面に直交する方向から見て矩形であり、
複数の前記抑え部材は、前記インターポーザにおける各角部の近傍の側面を平面部分で抑える、
付記9に記載の量子デバイス。
【0123】
(付記11)
前記インターポーザは、前記量子チップが実装された実装面と、前記実装面の反対側の反対面と、を有し、
前記反対面は、冷却機能を有する冷却部材に接した、
付記3~10のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0124】
(付記12)
前記インターポーザは、前記量子チップが実装された実装面と、前記実装面の反対側の反対面と、を有し、
前記インターポーザは、インターポーザ基板と、前記インターポーザ基板の前記実装面側から前記反対面側まで貫通したサーマルビアと、を含む、
付記3~11のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0125】
(付記13)
前記サーマルビアは、前記実装面側の径よりも前記反対面側の径の方が大きいテーパが形成された部分を含む、
付記12に記載の量子デバイス。
【0126】
(付記14)
前記インターポーザは、複数の前記サーマルビアを接続する共通の接続部材をさらに含む、
付記12または13に記載の量子デバイス。
【0127】
(付記15)
前記量子チップは、超電導材料がジョセフソン接合によって環状に接続されたループ回路を有する共振器が形成された量子回路を含み、
前記凹部の底には凹みが形成され、
前記量子チップの前記インターポーザに実装された第1面に直交する方向から見て、前記量子回路が形成された領域は、前記凹みの領域に含まれた、
付記3~14のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0128】
(付記16)
前記量子チップは、前記凹みの底から前記第1面に直交する方向に延びたピラーに接した、
付記15に記載の量子デバイス。
【0129】
(付記17)
前記量子チップは、超電導材料がジョセフソン接合によって環状に接続されたループ回路を有する共振器が形成された量子回路を含み、
前記凹部の底には貫通孔が形成され、
前記量子チップの前記インターポーザに実装された第1面に直交する方向から見て、前記量子回路が形成された領域は、前記貫通孔の領域に含まれた、
付記3~14のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0130】
(付記18)
前記量子チップの側面は、前記凹部の内面に接した、
付記3~17のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0131】
(付記19)
前記凹部は、前記試料台の所定面に形成され、
前記インターポーザの側面の少なくとも一部は、前記凹部の内面に接した、
付記3~18のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0132】
(付記20)
前記凹部は、前記試料台の所定面に形成され、
前記凹部の開口部の周囲に前記所定面に対して段差を有する段差面が形成され、
前記インターポーザの前記量子チップが実装された実装面の一部は、前記段差面に接した、
付記3~18のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0133】
(付記21)
前記凹部は、前記試料台の所定面に形成され、
前記凹部の開口部の周囲に前記所定面に対して段差を有する段差面が形成され、
前記インターポーザの側面の少なくとも一部は、前記段差面と前記所定面との間の側面に接した、
付記3~18のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0134】
(付記22)
前記インターポーザの前記量子チップが実装された実装面の一部は、前記段差面との間に空間を介して配置された、
付記21に記載の量子デバイス。
【0135】
(付記23)
前記インターポーザの前記量子チップが実装された実装面の一部は、前記段差面との間にスペーサを介して配置された、
付記21に記載の量子デバイス。
【0136】
(付記24)
前記インターポーザは、前記量子チップが実装された実装面と、前記実装面の反対側の反対面と、を有し、
前記ソケットは、前記反対面に対向して配置された、
付記1~23のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0137】
(付記25)
前記インターポーザは、前記量子チップが実装された実装面と、前記実装面の反対側の反対面と、を有し、
前記ソケットは、前記実装面に実装された、
付記1または2に記載の量子デバイス。
【0138】
(付記26)
前記量子チップの少なくとも一部、前記インターポーザの少なくとも一部、及び、前記ソケットの少なくともの一部は、冷却機能を有する試料台に接した、
付記1~25のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0139】
(付記27)
前記ハウジングは、前記可動ピンの一端が突出した一端面と、前記可動ピンの他端が突出した他端面と、前記一端面の周縁と前記他端面の周縁とを接続する側面と、を有し、
前記一端面、前記他端面及び前記側面のうち、少なくともいずれかの一部は、冷却機能を有する試料台に接した、
付記1~26のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0140】
(付記28)
前記ソケットは、前記ハウジングの前記一端面、前記他端面及び前記側面の少なくともいずれかに露出して前記試料台に接した放熱層を有する、
付記27に記載の量子デバイス。
【0141】
(付記29)
前記ソケットは、前記ソケットの配置位置を決める位置決めピンを有する、
付記1~28のいずれか1項に記載の量子デバイス。
【0142】
(付記30)
量子チップと、
前記量子チップが実装されたインターポーザと、
前記インターポーザに対向して配置され、前記インターポーザの端子に電気的に接した可動ピン及び前記可動ピンを支持するハウジングを含むソケットと、
を備え、
前記量子チップ、前記インターポーザ、及び、前記ソケットのうち、少なくともいずれかの一部は、冷却機能を有する試料台に接した、
量子デバイス。
【符号の説明】
【0143】
1、2、2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2i 量子デバイス
2j、2k、2l、2m、2n、2o、2p、2q、3、4、5 量子デバイス
10 量子チップ
11 第1面
12 第2面
15 チップ基板
16 配線層
17 量子回路
17a ジョセフソン接合
17b ループ回路
17c 共振器
18 領域
19 チップピン
20 インターポーザ
21 実装面
22 反対面
23 インターポーザ配線層
23a 磁場印加回路
23b 読み出し部
24 インターポーザ配線層
24a 端子
25 インターポーザ基板
26 TV
27 サーマルビア
28 接続部材
30 試料台
30a 板状の部分
31 凹部
32 所定面
33 抑え部材
34 冷却部材
35 凹み
36 ピラー
37 貫通孔
38 ザグリ
39 段差面
40 ソケット
41 一端面
42 他端面
43 側面
44a、44b、44c 放熱層
45 ハウジング
47 可動ピン
48 位置決めピン
50、50a ボード
51、51a コネクタ
55、55a ボード基板
BL 接着層
BP バンプ
ML 金属層
SP スペーサ