(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】脳機能検出装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
A61B10/00 E
(21)【出願番号】P 2020115041
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 拓
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ コンティニ
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 雅志
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ダッラ モーラ
(72)【発明者】
【氏名】ラウラ ディ シエノ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ ピッフェリ
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ トリチェリ
(72)【発明者】
【氏名】リナルド クベドゥ
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-089369(JP,A)
【文献】特開2018-094400(JP,A)
【文献】特開2006-043169(JP,A)
【文献】特開2017-136182(JP,A)
【文献】特開2006-325766(JP,A)
【文献】特開2008-203234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00- 5/01、
5/06- 5/22
A61B 10/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象者(2)において照射領域(3)に位置する頭部(2a)により拡散反射の可能なビーム光を発生する光源部(12)を有し、前記光源部の発生した前記ビーム光を前記照射領域へ向けて前方から出射する照射ユニット(10)と、
前記照射領域から拡散反射された前記ビーム光を受光する複数の受光部(222a,222b,222c)を有し、前記受光部の受光した前記ビーム光に基づき、前記頭部における脳機能を検出する検出ユニット(20)とを、備え、
前記照射ユニットから出射される前記ビーム光の光軸(Al)を含むと共に前記照射領域の上下方に広がる縦平面(Sv)と、当該縦平面に直交する横軸線(Lh)とが、仮想定義されるとすると、
複数の前記受光部は、前記縦平面に含まれる前記光軸と前記横軸線との交点(Ic)を中心として前記横軸線から上下方45度の特定角度範囲(Rθ)に、重畳配置され、
前記検出ユニットは、前記ビーム光の前記照射領域におけるスポット径(φ)全体の面積に対して、前記頭部における頭髪(2c)の前記スポット径内での合計面積が占める割合を頭髪割合(Ph)として
割り出して、前記脳機能の検出対象となる前記ビーム光を受光する有効受光部(522)を、
割り出した前記頭髪割合
での受光効率が最大となるように、複数の前記受光部の中から切り替える制御部
を、さらに有し、
前記照射ユニットは、出射する前記ビーム光の前記照射領域における前記スポット径を前記頭髪割合に合わせて可変調整する出射部を、さらに有し、
前記出射部は、前記頭髪割合が閾値以下となる場合には前記スポット径を保持調整し、前記頭髪割合が閾値を超過する場合には前記スポット径を拡大調整する脳機能検出装置。
【請求項2】
前記光軸に直交する直交平面(So)が、仮想定義されるとすると、
前記受光部は、前記照射ユニットを通る前記直交平面上において、前記特定角度範囲に重畳配置される請求項1に記載の脳機能検出装置。
【請求項3】
前記出射
部は、前記スポット径の寸法変化に応じた、前記受光部による前記ビーム光の受光量変化に合わせて、前記スポット径を可変調整する請求項
1又は2に記載の脳機能検出装置。
【請求項4】
前記頭髪割合は、前記照射領域の撮影画像から割り出される請求項1~
3のいずれか一項に記載の脳機能検出装置。
【請求項5】
前記頭髪割合は、前記受光部による前記ビーム光の受光量から割り出される請求項1~
3のいずれか一項に記載の脳機能検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脳機能検出装置に、関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示される技術は、光源部の発生したビーム光を検出対象者の頭部により拡散反射させて検出部により受光することで、当該頭部における脳機能を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、検出対象者の頭部における頭髪の存在は、ビーム光を減衰させる。そのため、特許文献1の開示技術において検出対象者の頭髪状態によっては、受光部によるビーム光の受光量が脳機能の検出にとって不足して、検出不良を招くおそれがあった。
【0005】
本開示の課題は、検出不良を解消する脳機能検出装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、
検出対象者(2)において照射領域(3)に位置する頭部(2a)により拡散反射の可能なビーム光を発生する光源部(12)を有し、光源部の発生したビーム光を照射領域へ向けて前方から出射する照射ユニット(10)と、
照射領域から拡散反射されたビーム光を受光する複数の受光部(222a,222b,222c)を有し、受光部の受光したビーム光に基づき、頭部における脳機能を検出する検出ユニット(20)とを、備え、
照射ユニットから出射されるビーム光の光軸(Al)を含むと共に照射領域の上下方に広がる縦平面(Sv)と、当該縦平面に直交する横軸線(Lh)とが、仮想定義されるとすると、
複数の受光部は、縦平面に含まれる光軸と横軸線との交点(Ic)を中心として横軸線から上下方45度の特定角度範囲(Rθ)に、重畳配置され、
検出ユニットは、ビーム光の照射領域におけるスポット径(φ)全体の面積に対して、頭部における頭髪(2c)のスポット径内での合計面積が占める割合を頭髪割合(Ph)として割り出して、脳機能の検出対象となるビーム光を受光する有効受光部(522)を、割り出した頭髪割合での受光効率が最大となるように、複数の受光部の中から切り替える制御部を、さらに有し、
照射ユニットは、出射するビーム光の照射領域におけるスポット径を頭髪割合に合わせて可変調整する出射部を、さらに有し、
出射部は、頭髪割合が閾値以下となる場合にはスポット径を保持調整し、頭髪割合が閾値を超過する場合にはスポット径を拡大調整する。
【0008】
第一態様の検出ユニットにおいて受光部は、照射領域前方の照射ユニットから出射されるビーム光の光軸を含む縦平面に対して、直交する横軸線との交点を中心とした、当該横軸線から上下方45度の特定角度範囲に、重畳配置される。これによれば、照射領域に位置する検出対象者の頭部が正位置から通常傾く範囲では、当該頭部において拡散反射したビーム光が頭髪間を抜けて、特定角度範囲に重畳配置の受光部に受光され易くなる。故に、受光部によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態を、解消することが可能となる。
【0009】
本開示の第二態様は、
検出対象者(2)において照射領域(3)に位置する頭部(2a)により拡散反射の可能なビーム光を発生する光源部(12)を有し、光源部の発生したビーム光を照射領域へ向けて前方から出射する照射ユニット(10)と、
照射領域から拡散反射されたビーム光を受光する受光部(22)を有し、受光部の受光したビーム光に基づき、頭部における脳機能を検出する検出ユニット(20)とを、備え、
照射ユニットは、出射するビーム光の照射領域におけるスポット径(φ)を可変調整する出射部(314,414)を、さらに有する脳機能検出装置である。
【0010】
第二態様の照射ユニットにおいて出射部は、前方から出射するビーム光の照射領域におけるスポット径を可変調整する。これによれば、照射領域に位置する検出対象者の頭部において拡散反射したビーム光が受光部により受光され易くなるスポット径を、設定することができる。故に、受光部によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態を、解消することが可能となる。
【0011】
本開示の第三態様は、
検出対象者(2)において照射領域(3)に位置する頭部(2a)により拡散反射の可能なビーム光を発生する光源部(12)を有し、光源部の発生したビーム光を照射領域へ向けて前方から出射する照射ユニット(10)と、
照射領域から拡散反射されたビーム光を受光する複数の受光部(522a,522b,522c)を有し、受光部の受光したビーム光に基づき、頭部における脳機能を検出する検出ユニット(20)とを、備え、
検出ユニットは、ビーム光の照射領域におけるスポット径(φ)全体の面積に対して、頭部における頭髪(2c)のスポット径内での合計面積が占める割合を頭髪割合(Ph)として、脳機能の検出対象となるビーム光を受光する有効受光部(522)を、当該頭髪割合に基づき複数の受光部の中から切り替える制御部(524)を、さらに有する脳機能検出装置である。
【0012】
第一及び第三態様の検出ユニットにおいて制御部は、脳機能の検出対象となるビーム光の有効受光部を、複数の受光部の中から切り替える。このとき切り替えは、前方から出射されるビーム光の照射領域におけるスポット径全体の面積に対して、頭部における頭髪の同径内での合計面積が占める頭髪割合に、基づく。これによれば、照射領域に位置する検出対象者の頭部において拡散反射したビーム光が受光され易い有効受光部を、当該頭部の頭髪状態に応じて選択することができる。故に、ビーム光の受光量が不足する他の受光部に起因して脳機能の検出不良を招く事態を、解消することが可能となる。
【0013】
本開示の第四態様は、
検出対象者(2)において照射領域(3)に位置する頭部(2a)により拡散反射の可能なビーム光を発生する光源部(12)を有し、光源部の発生したビーム光を照射領域へ向けて前方から出射する照射ユニット(10)と、
照射領域から拡散反射されたビーム光を受光する複数の受光部(522a,522b,522c)を有し、受光部の受光したビーム光に基づき、頭部における脳機能を検出する検出ユニット(20)とを、備え、
照射ユニットは、出射するビーム光の光軸方向(Dl)を可変調整する出射部(614)を、さらに有し、
検出ユニットは、脳機能の検出対象となるビーム光を受光する有効受光部(522)を、光軸方向に合わせて複数の受光部の中から切り替える制御部(624)を、さらに有する脳機能検出装置である。
【0014】
第四態様の検出ユニットにおいて制御部は、照射ユニットにおける出射部が前方から出射して可変調整するビーム光の光軸方向に合わせて、脳機能の検出対象となるビーム光の有効受光部を、複数の受光部の中から切り替える。これによれば、照射領域に位置する検出対象者の頭部における頭髪状態と光軸方向との適合度に応じて、拡散反射したビーム光が受光され易くなる有効受光部を、選択することができる。故に、ビーム光の受光量が不足する他の受光部に起因して脳機能の検出不良を招く事態を、解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第一実施形態による脳機能検出装置の全体構成を示す側面図である。
【
図2】第一実施形態による脳機能検出装置の車両への搭載例を示す側面図である。
【
図3】第一実施形態による脳機能検出装置の特性を説明するためのグラフである。
【
図4】第一実施形態による脳機能検出装置の特性を説明するためのグラフである。
【
図5】第一実施形態による脳機能検出装置の特性を説明するためのグラフである。
【
図6】第一実施形態による脳機能検出装置の特性を説明するためのグラフである。
【
図8】
図7の変形例を示すVII-VII線矢視図である。
【
図9】
図7の変形例を示すVII-VII線矢視図である。
【
図10】
図7の変形例を示すVII-VII線矢視図である。
【
図11】第一実施形態による脳機能検出装置の詳細構成を説明するための模式図である。
【
図12】第一実施形態による脳機能検出装置の詳細構成を説明するための模式図である。
【
図13】第二実施形態による脳機能検出装置の全体構成を示す側面図である。
【
図15】第三実施形態による脳機能検出装置の全体構成を示す側面図である。
【
図16】第三実施形態による脳機能検出装置の作動を説明するための模式図である。
【
図17】第三実施形態による脳機能検出装置の特性を説明するためのグラフである。
【
図18】第四実施形態による脳機能検出装置の全体構成を示す側面図である。
【
図19】第五実施形態による脳機能検出装置の全体構成を示す側面図である。
【
図21】第五実施形態による脳機能検出装置の特性を
図20に対応させて説明するための模式図である。
【
図22】第六実施形態による脳機能検出装置の全体構成を示す側面図である。
【
図23】
図7の変形例を示すVII-VII線矢視図である。
【
図24】
図7の変形例を示すVII-VII線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、複数の実施形態を図面に基づき説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0017】
(第一実施形態)
図1に示す第一実施形態の脳機能検出装置1は、検出対象者2の脳機能を検出する。脳機能検出装置1は特に、NIRSと呼ばれる近赤外線スペクトロスコピー(near‐infrared spectroscopy)により、検出対象者2の頭部2a内において大脳皮質部分の脳活動に応じた脳血流を、非接触で検出する。このために脳機能検出装置1は、照射ユニット10及び検出ユニット20を備えている。
【0018】
照射ユニット10は、光源部12及び出射部14を有している。光源部12は、検出対象者2の頭部2aにより拡散反射の可能なビーム光を発生する、レーザ素子又は発光ダイオード素子である。特に光源部12は、例えば650~950nmの範囲で単一波長又は複数波長の近赤外光を、ビーム光として発生する。ここで、複数波長のビーム光を発生する光源部12は、波長可変光源から構成されてもよいし、複数個の異波長光源から構成されてもよい。
【0019】
出射部14は、光源部12の発生したビーム光を、前方から照射領域3へ向けて出射する、光学系である。特に出射部14は、ビーム光をコリメート及びアライメントする、例えばレンズ及びミラーの組み合わせにより構成される。ここで照射領域3には、脳機能の検出に際して、検出対象者2の頭部2aが位置する。例えば
図2の如く脳機能検出装置1が車両4に搭載される場合、検出対象者2の着座する座席4aに対して、頭部2aの位置にマッチする照射領域3の位置が、設定される。
【0020】
そこで
図1,2に示すように出射部14は、照射領域3における検出対象者2の頭部2aのうち、額2bの表面と対応する位置を狙って、同領域3の前方から指向性のビーム光を出射する。このとき第一実施形態の出射部14は、例えば水平面HP上の車両4内(
図2参照)における水平方向のうち前後方向に、出射するビーム光の光軸方向Dl(即ち、出射方向)を固定する。あるいは出射部14は、例えば水平面HP上の車両4内における水平方向のうち、前後方向に対して傾斜した斜め上方若しくは斜め下方に、ビーム光の光軸方向Dlを固定する。さらに出射部14は、照射領域3における検出対象者2の頭部2aのうち、額2bの表面と対応する位置でのビーム光のスポット径φも、固定する。ここで、所謂ガウシアンスポット径φであるビームの直径(即ち、最大強度の1/e
2幅)は、例えば頭部2aのうち額2bに重なる頭髪2cの厚さ等も考慮して、
図3~6に示すように適宜設定可能であるが、好ましくは
図5,6の値以上となる10mm以上に設定される。
【0021】
図1に示すように検出ユニット20は、受光部22及び制御部24を有している。受光部22は、照射領域3に位置する検出対象者2の頭部2aにより拡散反射されたビーム光を、同領域3から受光面において受光する、半導体センサ素子である。受光部22は、照射領域3の頭部2a内で拡散反射されてから受光部22に到達したビーム光のパワーに応じて、当該ビーム光の受光量を表す信号を出力する。
【0022】
第一実施形態の受光部22は、
図1,3~7に示す特定角度範囲Rθに重畳して、単一配置される。ここで
図1,2,7に示すように、照射ユニット10の出射部14から出射されるビーム光の光軸Alを含んで、照射領域3の上下方に広がる縦平面Svが、仮想定義される。例えば水平面HP上の車両4内(
図2参照)における縦平面Svは、鉛直面と実施一致する。さらに第一実施形態では、縦平面Svに直交して照射領域3の横方向に沿う横軸線Lhが、仮想定義される。例えば水平面HP上の車両4内における横軸線Lhは、水平軸線と実施一致する。これらの仮想定義の下、縦平面Svのうち特に光軸Alと横軸線Lhとの交点Icを中心として第一実施形態では、当該縦平面Svの左右両側において横軸線Lhから上下方45度の角度範囲に、特定角度範囲Rθが規定される。
【0023】
そこで、特定角度範囲Rθに対して受光面の少なくとも一部が重畳する位置に、単一の受光部22は配置されている。特に
図1,7は、頭部2aが照射領域3に位置する検出対象者2から視た場合(即ち、光軸方向Dlとは逆方向に視た場合)での縦平面Svの左方において、横軸線Lhから下方45度の位置に受光部22の受光面中心が配置された検出ユニット20の例を、代表的に示している。勿論、上述の規定を満たす限りにおいて、この例以外の配置態様が採用されてもよい。
【0024】
例えば
図8に示すように、特定角度範囲Rθのうち検出対象者2から視た場合での縦平面Svの左方において横軸線Lhから上方45度の位置、又は検出対象者2から視た場合での縦平面Svの右方において横軸線Lhから上方若しくは下方45度の位置に、受光部22の受光面中心が配置されてもよい(同図は、右方且つ上方に45度の例)。あるいは
図9に示すように、特定角度範囲Rθのうち検出対象者2から視た場合での縦平面Svの左方又は右方において、横軸線Lhから上方若しくは下方に0度超過且つ45度未満の位置に、受光部22の受光面中心が配置されてもよい(同図は、左方且つ下方30度の例)。あるいは
図10に示すように、特定角度範囲Rθのうち検出対象者2から視た場合での縦平面Svの左方又は右方において、横軸線Lhから0度の位置、即ち横軸線Lh上の位置に、受光部22の受光面中心が配置されてもよい(同図は、右方且つ0度の例)。
【0025】
さらに第一実施形態では
図1,7~10に示すように、照射ユニット10の出射部14から出射されるビーム光の光軸Alに直交する直交平面Soが、仮想定義される。この仮想定義及び先述の仮想定義の下、受光部22の受光面中心が配置される特定角度範囲Rθは、照射ユニット10のうち出射部14を通る直交平面So上に規定される。これにより単一の受光部22は、出射部14の周囲において特定角度範囲Rθに重畳配置された状態となる。
【0026】
さて、照射領域3において検出対象者2の縦方向に沿った頭部2aが正位置にある場合、
図11に示すように、当該頭部2aのうち額2bに重なる頭髪2cの毛流れは、縦方向に沿った状態となり易い。一方で、照射領域3に位置する頭部2aが正位置から傾くと、
図12に示すように、当該頭部2aのうち額2bに重なる頭髪2cの毛流れは、縦方向に対して頭部2aと実質同程度傾き易い。これらいずれの場合でも、光軸Alを起点として毛流れの方向に位置すると仮定される受光部では、頭髪2cによって阻害及び減衰されるビーム光の受光量が、激減してしまう。ここで通常、頭部2aが傾く角度範囲は、縦方向に対して左右に45度未満となる。そこで光軸Alを起点として、頭部2aが通常傾く範囲での毛流れ方向には、受光部22の配置が回避されるように、以上の如く特定角度範囲Rθが規定されるのである。
【0027】
図1に示す制御部24は、マイクロコンピュータを主体に構成されている。制御部24は、照射ユニット10の光源部12と検出ユニット20の受光部22とに、電気接続されている。制御部24は、光源部12によるビーム光の発生と共に、それに応じた受光部22によるビーム光の受光を、制御する。制御部24は、受光部22の受光したビーム光の受光量に基づくことで、脳機能としての脳血流を検出する。制御部24は、こうした検出結果又は検出結果から判断される脳活動の状態を、脳機能検出装置1の内部又は外部の表示装置(図示しない)に、出力してもよい。
【0028】
(作用効果)
以上説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0029】
第一実施形態の検出ユニット20において受光部22は、照射領域3前方の照射ユニット10から出射されるビーム光の光軸Alを含む縦平面Svに対して、直交する横軸線Lhとの交点Icを中心とした、当該横軸線Lhから上下方45度の特定角度範囲Rθに、重畳配置される。これによれば、照射領域3に位置する検出対象者2の頭部2aが正位置から通常傾く範囲では、当該頭部2aにおいて拡散反射したビーム光が頭髪2cの間を抜けて、特定角度範囲Rθに重畳配置の受光部22に受光され易くなる。故に、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態を、解消することが可能となる。
【0030】
第一実施形態の受光部22は、照射ユニット10から出射されるビーム光の光軸Alと横軸線Lhとの交点Icを中心として、当該横軸線Lhから上下方45度の特定角度範囲Rθに重畳配置される。これによれば、検出対象者2の頭部2aが正位置から通常傾く範囲では、当該頭部2aにおいて拡散反射したビーム光が頭髪2c間を抜けて、光軸Alまわりの受光部22により受光され易くなる。これによれば、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態を、簡素な構成により解消することが可能となる。
【0031】
第一実施形態の受光部22は、照射ユニット10から出射されるビーム光の光軸Alに直交して照射ユニット10を通る直交平面So上において、当該光軸Alと横軸線LhとのIcを中心とした特定角度範囲Rθに重畳配置される。これによれば、検出対象者2の頭部2aが正位置から通常傾く範囲では、当該頭部2aにおいて拡散反射したビーム光が頭髪2c間を抜けて、照射ユニット10周囲の受光部22により受光され易くなる。これによれば、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態を、簡素且つ小型な構成により解消することが可能となる。
【0032】
第一実施形態によると、検出対象者2の頭部2aが正位置から通常傾く範囲では、当該頭部2aにおいて拡散反射したビーム光が頭髪2c間を抜けることで、特定角度範囲Rθに重畳配置の単一受光部22によっては受光量が増大し易くなる。これによれば、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態を、簡素且つ小型な構成により解消することが可能となる。
【0033】
第一実施形態の照射ユニット10は、出射するビーム光の照射領域3におけるスポット径φを、10mm以上に設定する。これによれば、検出対象者2の頭部2aにおいてスポット径φの大きなビーム光が拡散反射されることで、頭髪2c間を抜け易くなるので、受光部22によって受光され易くもなる。故に、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態の解消につき、信頼性を高めることが可能となる。
【0034】
(第二実施形態)
第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
図13,14に示すように第二実施形態では、特定角度範囲Rθに対して受光面の少なくとも一部が重畳する位置に、複数の受光部222a,222b,222cが配置されている。ここで第二実施形態の特定角度範囲Rθについても、縦平面Svのうち光軸Alと横軸線Lhとの交点Icを中心として、横軸線Lhから上下方45度の角度範囲であって、照射ユニット10のうち出射部14を通る直交平面So上に規定される。
【0035】
そこで、特に
図13,14の特定角度範囲Rθは、照射領域3に頭部2aの位置する検出対象者2から視た場合での縦平面Svの左方において、横軸線Lhから上方45度、下方45度及び0度の位置に、それぞれ受光部222a,222b,222cの受光面中心が配置された例を、代表的に示している。勿論、上述の規定を満たす限りにおいて、この例以外の配置態様が採用されてもよい。
【0036】
このような第二実施形態において制御部224は、光源部12によるビーム光の発生と共に、それに応じた各受光部222a,222b,222cによるビーム光の受光を、個別に制御する。制御部224は、各受光部222a,222b,222cの受光したビーム光の受光量に基づくことで、脳機能としての脳血流を検出する。
【0037】
(作用効果)
以上説明した第二実施形態の第一実施形態とは異なる作用効果を、以下に説明する。
【0038】
第二実施形態によると、検出対象者2の頭部2aが正位置から通常傾く範囲では、当該頭部2aにおいて拡散反射したビーム光が頭髪2c間を抜けることで、特定角度範囲Rθに重畳配置の複数受光部222a,222b,222cの全体で受光量が増大し易くなる。これによれば、脳機能の検出不良を招く事態の解消につき、信頼性を高めることが可能となる。
【0039】
(第三実施形態)
第三実施形態は、第一実施形態の変形例である。
図15に示す第三実施形態の出射部314は、光軸方向Dlを固定して前方から出射するビーム光の照射領域3でのスポット径φを、制御部324からの制御に従って可変調整する。そのために第三実施形態の制御部324は、
図16に示すスポット径φの調整を合わせる頭髪割合Phを、演算する。ここで頭髪割合Phは、照射領域3におけるビーム光のスポット径φ全体の面積(以下、スポット面積という)に対して、同領域3に位置する検出対象者2の頭部2aのうち、額2bにおける頭髪2cの当該スポット径φ内での合計面積が、占める割合である。
【0040】
そこで制御部324は、脳機能検出装置1の内部又は外部の撮像装置(図示しない)により照射領域3が前方から撮影されてなる撮影画像を、取得してもよい。この場合に制御部324は、撮影画像に対する画像処理から、初期条件のスポット径φ内において頭髪2cが占めると想定される面積の合計を推定し、当該初期条件のスポット径φ内でのスポット面積に対して頭髪割合Phを割り出す。あるいは制御部324は、初期条件のスポット径φで出射部314から出射させたビーム光の拡散反射を、受光部22により受光させてもよい。この場合に制御部324は、受光部22によるビーム光の受光量に関しての分析処理から、初期条件のスポット径φ内において頭髪2cが実際に占める面積の合計を算出し、当該初期条件のスポット径φ内でのスポット面積に対して頭髪割合Phを割り出す。
【0041】
いずれの場合であっても制御部324は、脳機能の本検出作動に入る前の初期作動として撮影画像の画像処理又は受光量の分析処理を実行するために、初期条件のスポット径φを
図17に示す10mmに初期設定する。ここで
図17は、頭髪2cの厚さが1mmの場合に、初期設定のスポット径φに対応する頭髪割合Phが0.4以下になると、受光部22による受光効率が50%を超過することを、示している。
【0042】
そこで特に第三実施形態の制御部324は、初期条件のスポット径φに関して割り出した頭髪割合Phが、例えば0.4である閾値に対してそれ以下となる場合には、本検出作動での出射部314にスポット径φを初期設定のまま保持調整させる。一方で頭髪割合Phが、そうした閾値を超過する場合に制御部324は、本検出作動での出射部314にスポット径φを初期設定超過の寸法に拡大調整させる。
【0043】
こうした本検出作動の制御部324は、光源部12によるビーム光の発生と、出射部314によるスポット径φの調整と共に、それらに応じた特定角度範囲Rθの受光部22によるビーム光の受光を制御する。制御部324は、受光効率50%超過の受光部22で受光したビーム光の受光量に基づくことで、脳機能としての脳血流を検出する。
【0044】
(作用効果)
以上説明した第三実施形態の第一実施形態とは異なる作用効果を、以下に説明する。
【0045】
第三実施形態の照射ユニット10において出射部314は、前方から出射するビーム光の照射領域3におけるスポット径φを可変調整する。これによれば、照射領域3に位置する検出対象者2の頭部2aにおいて拡散反射したビーム光が受光部22により受光され易くなるスポット径φを、設定することができる。故に、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態を、解消することが可能となる。
【0046】
第三実施形態の出射部314は、照射領域3におけるスポット径φ全体のスポット面積に対して、頭部2aにおける頭髪2cの同径φ内での合計面積が占める頭髪割合Phに合わせて、スポット径φを可変調整する。これによれば、ビーム光が受光部22により受光され易くなるスポット径φを、当該頭部2aの頭髪状態に応じて設定することができる。故に、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態の解消につき、信頼性を高めることが可能となる。
【0047】
第三実施形態の出射部314は、照射領域3の撮影画像から割り出される頭髪割合Phに基づくことで、スポット径φを可変調整してもよい。これによれば、受光部22による受光量が頭部2aの頭髪状態に応じて大きくなるように、スポット径φを実際の撮影画像から適確に設定することができる。故に、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態の解消につき、高い信頼性を担保することが可能となる。
【0048】
第三実施形態の出射部314は、受光部22によるビーム光の受光量から割り出される頭髪割合Phに基づくことで、スポット径φを可変調整してもよい。これによれば、受光部22による受光量が頭部2aの頭髪状態に応じて大きくなるように、スポット径φを実際の受光結果から適確に設定することができる。故に、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態の解消につき、高い信頼性を担保することが可能となる。
【0049】
(第四実施形態)
第四実施形態は、第三実施形態の変形例である。
図18に示すように第四実施形態の出射部414は、スポット径φの連続的又は離散的な可変調整を、制御部324からの制御に従う初期作動において実行する。そのために初期作動の制御部424は、第三実施形態に準じた初期作動として照射領域3の撮影画像又は受光部22によるビーム光の受光量から、スポット径φを出射部414に変化させる毎の頭髪割合Phを、割り出す。
【0050】
そこで特に初期作動の制御部424は、割り出した頭髪割合Phに対する受光効率が最大となる有効スポット径φeを、選択する。さらに本検出作動の制御部424は、光源部12によるビーム光の発生と、出射部414による有効スポット径φeへの調整と共に、それらに応じた特定角度範囲Rθの受光部22によるビーム光の受光を制御する。制御部424は、受光部22により最大受光効率で受光したビーム光の受光量に基づくことで、脳機能としての脳血流を検出する。
【0051】
(作用効果)
以上説明した第四実施形態の第一及び第三実施形態とは異なる作用効果を、以下に説明する。
【0052】
第四実施形態の出射部414は、スポット径φの寸法変化に応じた、受光部22によるビーム光の受光量変化に合わせて、スポット径φを可変調整する。これによれば、検出対象者2の頭部2aにおいて拡散反射したビーム光の受光部22による受光量が、当該頭部2aの頭髪状態に応じて大きくなるように、有効スポット径φeを適確に設定することができる。故に、受光部22によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態の解消につき、高い信頼性を担保することが可能となる。
【0053】
(第五実施形態)
第五実施形態は、第三実施形態の変形例である。
図19,20に示すように第五実施形態では、特定角度範囲Rθの要件が外されて、複数の受光部522a,522b,522cが配置されている。具体的に第五実施形態では、縦平面Svのうち光軸Alと横軸線Lhとの交点Icを中心として横軸線Lhから任意の角度範囲であって、照射ユニット10のうち出射部14を通る直交平面So上に各受光部522a,522b,522cが配置されている。
【0054】
そこで、特に
図19,20の特定角度範囲Rθは、照射領域3に頭部2aの位置する検出対象者2から視た場合での縦平面Svの少なくとも左方において、横軸線Lhから0度、下方45度及び下方90度の位置に、それぞれ受光部522a,522b,522cの受光面中心が配置された例を、代表的に示している。勿論、この例以外の配置態様が採用されてもよい。
【0055】
第五実施形態では、光軸方向Dlを固定且つスポット径φを可変調整する第三実施形態の出射部314に代えて、光軸方向Dl及びスポット径φを固定する第一実施形態の出射部14が、採用されている。また第五実施形態では、スポット径φの可変調整を制御する第三実施形態の制御部324に代えて、頭髪割合Phに基づき受光部522a,522b,522cの切り替えを制御する制御部524が、採用されている。
【0056】
具体的に第五実施形態の制御部524は、第三実施形態に準じた初期作動として照射領域3の撮影画像又は各受光部522a,522b,522cによるビーム光の受光量から、固定のスポット径φに対する頭髪割合Phを割り出す。そこで特に本検出作動の制御部524は、例えば
図21に示すように、割り出した頭髪割合Phに対する受光効率が最大となる有効受光部522を、受光部522a,522b,522cの中から選択する。さらに本検出作動の制御部524は、光源部12によるビーム光の発生と共に、それに応じた有効受光部522によるビーム光の受光を制御する。制御部324は、最大受光効率の有効受光部522で受光したビーム光の受光量に基づくことで、脳機能としての脳血流を検出する。このように制御部524は、脳機能の検出対象となるビーム光を受光する有効受光部522を、複数の受光部522a,522b,522cの中から切り替えるのである。
【0057】
(作用効果)
以上説明した第五実施形態の第一及び第三実施形態とは異なる作用効果を、以下に説明する。
【0058】
第五実施形態の検出ユニット20において制御部524は、脳機能の検出対象となるビーム光の有効受光部522を、複数の受光部522a,522b,522cの中から切り替える。このとき切り替えは、前方から出射されるビーム光の照射領域3におけるスポット径φ全体での面積に対して、頭部2aにおける頭髪2cの同径φ内での合計面積が占める頭髪割合Phに、基づく。これによれば、照射領域3に位置する検出対象者2の頭部2aにおいて拡散反射したビーム光が受光され易い有効受光部522を、当該頭部2aの頭髪状態に応じて選択することができる。故に、ビーム光の受光量が不足する他の受光部に起因して脳機能の検出不良を招く事態を、解消することが可能となる。
【0059】
第五実施形態の制御部524は、照射領域3の撮影画像から割り出される頭髪割合Phに基づくことで、有効受光部522を切り替えてもよい。これによれば、頭部2aの頭髪状態に応じて受光量が大きくなるように、有効受光部522を実際の撮影画像から適確に選択することができる。故に、有効受光部522以外の受光部によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態の解消につき、高い信頼性を担保することが可能となる。
【0060】
第五実施形態の制御部524は、受光部522a,522b,522cによるビーム光の受光量から割り出される頭髪割合Phに基づくことで、有効受光部522を切り替えてもよい。これによれば、頭部2aの頭髪状態に応じて受光量が大きくなるように、有効受光部522を実際の受光結果から適確に選択することができる。故に、有効受光部522以外の受光部によるビーム光の受光量が不足して脳機能の検出不良を招く事態の解消につき、高い信頼性を担保することが可能となる。
【0061】
(第六実施形態)
第六実施形態は、第五実施形態の変形例である。
図22に示すように第六実施形態では、光軸方向Dl及びスポット径φを固定する第五実施形態の出射部314に代えて、光軸方向Dlを可変調整且つスポット径φを固定する出射部614が、採用されている。ここで第六実施形態の出射部614は、例えば水平面HP上の車両4内における水平方向のうち前後方向に対して、斜め上方及び斜め下方の少なくとも一方に、ビーム光の光軸方向Dl(即ち、出射方向)を振る。あるいは出射部614は、例えば水平面HP上の車両4内における水平方向のうち前後方向に対して、斜め左方及び斜め右方の少なくとも一方に、ビーム光の光軸方向Dl(即ち、出射方向)を振る。勿論、これら双方の振り方が採用されてもよい。
【0062】
第六実施形態ではさらに、頭髪割合Phに基づき受光部522a,522b,522cの切り替えを制御する制御部524に代えて、光軸方向Dlに合わせて受光部522a,522b,522cの切り替えを制御する制御部624が、採用されている。
【0063】
具体的に第六実施形態の制御部624は、照射領域3において頭部2a内をスキャンするビーム光の光軸方向Dlが変化するのに合わせて、受光が最大となる有効受光部522を、受光部522a,522b,522cの中から選択する。そこで特に制御部624は、光源部12によるビーム光の発生と、出射部614による光軸方向Dlの可変調整と共に、それらに応じた有効受光部522によるビーム光の受光を制御する。制御部624は、最大受光効率の有効受光部522で受光したビーム光の受光量に基づくことで、脳機能としての脳血流を検出する。このように制御部624は、脳機能の検出対象となるビーム光を受光する有効受光部522を、第五実施形態とは異なる視点で複数の受光部522a,522b,522cの中から切り替えるのである。
【0064】
(作用効果)
以上説明した第六実施形態の第一、第三及び第五実施形態とは異なる作用効果を、以下に説明する。
【0065】
第六実施形態の検出ユニット20において制御部624は、照射ユニット10における出射部614が前方から出射して可変調整するビーム光の光軸方向Dlに合わせて、有効受光部522を複数の受光部522a,522b,522cの中から切り替える。これによれば、照射領域3に位置する検出対象者2の頭部2aにおける頭髪状態と光軸方向Dlとの適合度に応じて、拡散反射したビーム光が受光され易くなる有効受光部522を、選択することができる。故に、ビーム光の受光量が不足する他の受光部に起因して脳機能の検出不良を招く事態を、解消することが可能となる。
【0066】
(他の実施形態)
【0067】
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0068】
第一~第四実施形態の変形例では、
図23に示すように(同図は第一実施形態の変形例)、縦平面Svのうち光軸Al以外の箇所と横軸線Lhとの交点Icを中心として、特定角度範囲Rθが規定されてもよい。第一~第四実施形態の変形例では、
図24に示すように(同図は第一実施形態の変形例)、特定角度範囲Rθの規定により受光部22,222a,222b,222cの配置される直交平面So上から、照射ユニット10の出射部14,314,414が外れていてもよい。
【0069】
第五及び第六実施形態の変形例では、縦平面Svのうち光軸Al以外の箇所と横軸線Lhとの交点Icを中心とした任意の角度範囲に、受光部522a,522b,522cが配置されてもよい。第五及び第六実施形態の変形例では、受光部522a,522b,522cの配置される直交平面So上から、照射ユニット10の出射部14,614が外れていてもよい。
【0070】
第三及び第四実施形態では、第二実施形態に準じて特定角度範囲Rθに重畳配置された複数受光部により、スポット径φの調整されたビーム光が受光されてもよい。第三及び第四実施形態では、第五実施形態に準じて特定角度範囲Rθの要件を外して配置された単一又は複数の受光部により、スポット径φの可変調整されたビーム光が受光されてもよい。第五及び第六実施形態では、第二実施形態に準じて特定角度範囲Rθに重畳配置された複数受光部の中から、切り替えが実行されてもよい。第五及び第六実施形態の変形例では、第三又は第四実施形態に準じてスポット径φも可変調整されてもよい。第六実施形態の変形例では、第五実施形態に準じた頭髪割合Phにも基づくように、光軸方向Dlに合わせた切り替えが実行されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
2 検出対象者、2a 頭部、3 照射領域、10 照射ユニット、12 光源部、14,314,414,614 出射部、20 検出ユニット、22,222a,222b,222c,522a,522b,522c 受光部、522 有効受光部、24,224,324,424,524,624 制御部、Al 光軸、Dl 光軸方向、Ic 交点、Lh 横軸線、Ph 頭髪割合、Rθ 特定角度範囲、So 直交平面、Sv 縦平面、φ スポット径