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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】トナー収容容器、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
G03G15/08 343
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020123757
(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公開番号】P2022020329
(43)【公開日】2022-02-01
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】中村 優里
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049053(JP,A)
【文献】特開2010-008884(JP,A)
【文献】特開2001-265112(JP,A)
【文献】特開2013-029570(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0044719(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/00
13/08
13/095
15/00
15/08
15/095
21/00
21/04
21/10-21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にトナーが収容される容器本体と、
前記容器本体に設けられ、回転されることによりトナーを移動させる回転部材と、
前記回転部材を回転可能に支持する支軸部と、
前記支軸部を挿通して前記支軸部を回転可能に支持する軸受孔を有する軸受部と、
前記支軸部に設けられ、前記回転部材の回転に応じて、前記軸受孔に進入したトナーを前記軸受孔の外側へ向かう外方向へ戻すトナー戻し部と、を備え、
前記トナー戻し部は、前記支軸部の外周面に形成され、前記外周面と前記軸受孔との隙間に進入したトナーを前記外方向へ移動可能な複数の傾斜溝又は複数の傾斜リブであり、
前記複数の傾斜溝又は前記複数の傾斜リブは、ストレート形状に形成されており、前記支軸部の周方向に等間隔で配置されている、トナー収容容器。
【請求項2】
前記支軸部は、前記支軸部の軸方向の端面から前記支軸部の内部に穿孔された内孔を有し、
前記トナー戻し部は、前記内孔の内周面に形成され、前記内孔に進入したトナーを前記外方向へ移動可能な傾斜溝又は傾斜リブを更に含む、請求項1に記載のトナー収容容器。
【請求項3】
前記支軸部は、前記支軸部の前記外周面から前記内孔に貫通し、前記内孔から前記支軸部の外部にトナーを排出可能な貫通孔を有する、請求項2に記載のトナー収容容器。
【請求項4】
前記回転部材は、回転されることにより前記容器本体内に存在するトナーを撹拌する撹拌部材である、請求項1から3のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項5】
前記容器本体は、底面にトナー排出口を有し、
前記回転部材は、回転されることにより前記容器本体内に存在するトナーを前記トナー排出口へ向けて搬送する搬送部材である、請求項1から3のいずれかに記載のトナー収容容器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のトナー収容容器を備え、
前記トナー収容容器に収容されたトナーを用いてシート部材に画像を形成する画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられるトナーを収容可能なトナー収容容器、及びトナー収容容器を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式によって印刷用紙などのシート材に画像を形成する複写機やプリンター等の画像形成装置には現像装置(トナー収容容器の一例)が搭載されている。現像装置の内部にはトナーを含む現像剤が収容されている。現像装置は、感光体ドラム等の像担持体上に形成された静電潜像を前記現像剤に含まれるトナーによって現像する。現像装置内のトナーが減少すると、トナーコンテナからトナーが補給される。
【0003】
現像装置やトナー容器の内部には、トナーを撹拌するための撹拌部材や、トナーを搬送するための搬送部材が設けられている。撹拌部材及び搬送部材は、現像装置やトナー容器の筐体に回転可能に支持されている。撹拌部材や搬送部材などの回転部材の回転軸と軸受部との間にトナーが入り込むと、回転軸の回転による回転摩擦によってトナーが溶融して、回転軸を固着させる場合がある。従来、回転部材の回転軸と軸受部との間に進入したトナーを外部に排出可能に構成された画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-201373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前掲の従来技術は、回転軸の軸端部に排出スクリューが設けられ、更に、軸受部内に排出口が設けられた構成であるため、筐体の軸受部の構成が複雑化し、筐体の成形加工が容易ではない。かかる問題は、内部にトナーが収容された現像装置だけでなく、内部にトナーを収容可能なトナーカートリッジ(トナーコンテナ)にも生じうる。
【0006】
本発明の目的は、簡単な構成でありながら、回転軸の軸端部と軸受部との隙間に進入したトナーを前記隙間から排出することが可能なトナー収容容器、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係るトナー収容容器は、容器本体と、回転部材と、支軸部と、軸受部と、トナー戻し部と、を備える。前記容器本体は、内部にトナーを収容可能に構成されている。前記回転部材は、前記容器本体に設けられ、回転されることによりトナーを移動させる。前記支軸部は、前記回転部材を回転可能に支持する。前記軸受部は、前記支軸部を挿通して前記支軸部を回転可能に支持する軸受孔を有する。前記トナー戻し部は、前記支軸部の外周面に設けられ、前記回転部材の回転に応じて、前記軸受孔に進入したトナーを前記軸受孔の外側へ向かう外方向へ戻す。
【0008】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記トナー収容容器を備え、前記トナー収容容器に収容されたトナーを用いてシート部材に画像を形成する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、簡単な構成でありながら、回転軸の軸端部と軸受部との隙間に進入したトナーを前記隙間から排出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係るトナーコンテナを備える画像形成装置を示す模式図である。
図2図2は、画像形成装置が備える画像形成ユニットの構成を示す図である。
図3図3は、トナーコンテナを示す斜視図である。
図4図4は、搬送部材の回転中心線を含む鉛直切断面IV-IVでトナーコンテナを切断した場合の断面図である。
図5図5は、撹拌部材の回転中心線を含む鉛直切断面でトナーコンテナを切断した場合の断面図である。
図6図6は、搬送部材の軸端部の構成を示す部分拡大図である。
図7図7は、搬送部材の軸端部の断面図である。
図8図8は、搬送部材の軸端部の変形例の構成を示す部分拡大図である。
図9図9は、搬送部材の軸端部の変形例の構成を示す断面図である。
図10図10は、搬送部材の軸端部の他の変形例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、以下の説明では、図中に示す上下方向D1、前後方向D2、左右方向(又は幅方向)D3を用いる場合がある。
【0012】
[画像形成装置10]
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。図1に示すように、画像形成装置10は複合機であり、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能、及びスキャン機能などの各機能を備える。画像形成装置10は複合機に限られず、プリント機能を有する装置であればよく、例えば、プリンターや複写機、FAX装置などであってもよい。
【0013】
画像形成装置10は筐体11を備える。筐体11は、全体として略直方体形状である。筐体11の内部に、画像形成装置10を構成する各構成要素が設けられている。
【0014】
画像形成装置10は、複数の画像形成ユニット15(15Y,15C,15M,15K)、中間転写ユニット16、光走査装置17、一次転写ローラー18、二次転写ローラー19、定着装置20、シートトレイ21、給紙カセット22、搬送路24、コンテナ装着部30、ベルトクリーニング装置29、及び画像形成装置10の各部を制御する制御部(不図示)などを備える。また、画像形成装置10は、筐体11の内部に着脱可能に構成された複数のトナーコンテナ3(本発明のトナー収容容器の一例)を備えている。
【0015】
画像形成ユニット15は、電子写真方式に基づいてトナー像を形成する処理を行う。複数の画像形成ユニット15は、筐体11の内部において前後方向D2に沿って並設されており、対応する色に応じたトナー像を形成する。これにより、カラー画像が形成される。具体的に、画像形成ユニット15Yはイエロー色のトナー像を形成し、画像形成ユニット15Cはシアン色のトナー像を形成し、画像形成ユニット15Mはマゼンタ色のトナー像を形成し、画像形成ユニット15Kは黒色のトナー像を形成する。
【0016】
図2は、画像形成ユニット15の中央部分の断面図であり、画像形成ユニット15の構成を示す。図2に示すように、画像形成ユニット15各々は、感光体ドラム41、ドラムクリーニング装置42、帯電装置32、現像装置43(本発明のトナー収容容器の一例)などを備えている。なお、図1では、紙面の関係上、符号32及び符号42の図示を一部省略している。
【0017】
感光体ドラム41は、現像装置43によって現像されるトナー像を保持するものであり、筒状に形成された部材である。感光体ドラム41は、筐体11などに回転可能に支持されている。
【0018】
画像形成ユニット15各々において、帯電装置32によって感光体ドラム41が所定の電位に一様に帯電されると、光走査装置17により感光体ドラム41各々の表面に画像データに基づくレーザー光が照射される。これにより、感光体ドラム41各々の表面に静電潜像が形成される。そして、その静電潜像は現像装置43によってトナー像として現像(可視像化)される。感光体ドラム41に形成された各色のトナー像は、一次転写ローラー18各々によって転写ベルト161に順に重ね合わせて転写される。次に、転写ベルト161上のカラー像は、二次転写ローラー19によって印刷用紙(シート部材)に転写される。印刷用紙に転写されたカラー像は、定着装置20によって印刷用紙に定着され、その後、シート排出口28からシートトレイ21に排出される。
【0019】
現像装置43は、感光体ドラム41の表面の静電線像にトナーを付着させて現像し、感光体ドラム41の表面にトナー像を形成する現像処理を行う。現像装置43は、筐体11の内部に着脱可能に構成されており、現像装置43が故障するか、或いは寿命が尽きると、新しい現像装置43に交換される。
【0020】
現像装置43は、ハウジング50、第1撹拌部材52、第2撹拌部材53、現像ローラー54などを備えている。ハウジング50の内部の底部にトナー(現像剤)が収容されている。第1撹拌部材52及び第2撹拌部材53は、各回転軸52A,53Aに螺旋形状の羽根(スパイラル羽根)が設けられたスパイラル部材であり、ハウジング50の内部に回転可能に支持されている。第1撹拌部材52及び第2撹拌部材53は、回転駆動力が伝達されて回転することによって、ハウジング50内のトナーを撹拌しつつ、予め定められた方向へ向けて搬送する部材である。第1撹拌部材52及び第2撹拌部材53それぞれの回転軸52A,53Aの軸端部は、ハウジング50の左右方向D3の両側壁に設けられた円筒状の軸孔を有する軸受部に回転可能に支持されている。
【0021】
第1撹拌部材52の上部に位置するハウジング50の壁面51には、補給口56(開口)が形成されている。補給口56には、補給口56を開閉するためのシャッター57(開閉部材)が設けられている。現像装置43が筐体11に装着されると、シャッター57が補給口56を閉塞する閉位置から開位置に移動され、補給口56を開放する。現像装置43が筐体11から抜き出されると、シャッター57が開位置から閉位置へ移動して、補給口56を閉塞する。
【0022】
図1に示すように、画像形成装置10には、複数のトナーコンテナ3(3Y,3C,3M,3K)が装着されている。本実施形態では、4つのトナーコンテナ3が筐体11の内部に設けられたコンテナ装着部30に着脱可能に取り付けられている。また、4つのトナーコンテナ3は、前後方向D2に沿って並んだ状態でコンテナ装着部30に装着されており、最も後方の位置に、黒色用のトナーコンテナ3Kが配置されている。
【0023】
図1に示すように、コンテナ装着部30は、中間転写ユニット16の上側に設けられている。筐体11の内部には、中間転写ユニット16とシートトレイ21との間に収容スペース25が形成されており、コンテナ装着部30は、収容スペース25に設けられている。
【0024】
コンテナ装着部30は、筐体11の内部フレームに固定されている。コンテナ装着部30は、複数のトナーコンテナ3を着脱可能に装着する。つまり、トナーコンテナ3は、コンテナ装着部30によって画像形成装置10に着脱可能に装着される。コンテナ装着部30は、各色のトナーコンテナ3を収容する4つの収容室31を有している。コンテナ装着部30は、収容室31それぞれにおいてトナーコンテナ3を左右方向D3へスライド可能に支持する。
【0025】
各収容室31の底面の奥側には、トナーコンテナ3から供給されるトナーを受ける受入口(不図示)が設けられている。収容室31にトナーコンテナ3が装着されると、トナーコンテナ3のトナー排出口63A(図4参照)と前記受入口とが位置合わせされ、トナー排出口63Aから前記受入口へトナーが供給可能となる。
【0026】
[トナーコンテナ3]
以下、図3乃至図10を参照して、トナーコンテナ3の構成について説明する。
【0027】
トナーコンテナ3は、現像装置43に供給されるトナーを内部に収容している。トナーコンテナ3は、コンテナ装着部30に対して着脱可能に構成されている。トナーコンテナ3は、コンテナ装着部30に対して挿抜可能なように左右方向D3に沿う挿抜方向へスライド可能にコンテナ装着部30に支持されている。トナーコンテナ3は、筐体11の右側面に形成された開口からコンテナ装着部30の収容室31に挿入されて、コンテナ装着部30の各収容室31に装着される。
【0028】
なお、黒色のトナーを収容するトナーコンテナ3Kは、他のトナーコンテナ3(3Y,3C,3M)に比べて容積が大きく形成されている。そのため、黒色のトナーコンテナ3Kと他のトナーコンテナ3(3Y,3C,3M)とは、容器形状が異なっているが、それ以外の構成は共通している。
【0029】
図3は、トナーコンテナ3を示す斜視図である。図3に示すように、トナーコンテナ3は、左右方向D3に長い形状に形成された容器本体61(本発明の容器本体の一例)を備えている。なお、図3では、トナーコンテナ3がコンテナ装着部30に装着された状態を基準にして、上下方向D1、前後方向D2、左右方向D3を定めている。
【0030】
容器本体61は、トナーコンテナ3の筐体であり、例えば、ABS樹脂やPET樹脂などの合成樹脂により構成されている。容器本体61は、内部にトナーを収容可能に構成されている。容器本体61は、左右方向D3に長い略直方体形状に形成されている。容器本体61の内部に、現像装置43による現像処理に使用されるトナーが収容される。
【0031】
容器本体61は、コンテナ装着部30の底板34に支持される底面63を有する。トナーコンテナ3の底面63には、内部のトナーを外部に排出(流出)するためのトナー排出口63A(本発明のトナー排出口の一例、図4参照)が形成されている。また、底面63には、トナー排出口63Aを開閉するためのシャッター部材62(図4参照)が設けられている。
【0032】
トナー排出口63Aは、容器本体61の底板を上下方向D1に貫通する貫通開口である。トナー排出口63Aは、底面63における右端部の付近に配置されている。トナー排出口63Aは、トナーコンテナ3がコンテナ装着部30の装着位置に装着されたときに、トナーコンテナ3に収容されたトナーを現像装置43へ供給するための開口(供給口)である。
【0033】
図4に示すように、トナーコンテナ3は、搬送部材71(本発明の回転部材の一例)を備える。図4は、搬送部材71の回転中心線を含む鉛直切断面IV-IV(図3参照)でトナーコンテナ3を切断した場合の断面図である。図4には、搬送部材71の右端部の詳細拡大図が示されている。搬送部材71は、トナーをトナー排出口63Aへ向けて搬送する部材であり、容器本体61の内部に回転可能に設けられている。
【0034】
搬送部材71は、回転されることによって容器本体61内のトナーを移動させる部材である。具体的には、搬送部材71は、回転されることによってトナーをトナー排出口63Aへ向かう搬送方向D31(図4参照)へ搬送する。搬送部材71は、容器本体61の底部に配置されている。容器本体61の底部の形状は、搬送部材71が備えるスパイラル羽根73の回転軌跡に対応して円弧形状に形成されている。
【0035】
搬送部材71は、容器本体61の長手方向に長い形状に形成された部材である。搬送部材71は、回転軸72と、回転軸72の軸方向に延びるスパイラル羽根73と、を有する。スパイラル羽根73は、回転軸72の軸方向に連続して設けられた螺旋形状を有する。つまり、搬送部材71は、回転軸72に螺旋形状の羽根(スパイラル羽根)73が設けられたスパイラル部材である。搬送部材71が回転された場合に、スパイラル羽根73の側面がトナーを搬送方向D31へ押し付けることにより、トナーがトナー排出口63Aへ搬送される。
【0036】
搬送部材71の回転軸72の両端部は、容器本体61の幅方向D3の両側壁に回転可能に支持される。容器本体61の左側壁64には、搬送部材71に回転駆動力を伝達するための軸継手74が設けられている。軸継手74は、左側壁64に回転可能に支持されている。トナーコンテナ3がコンテナ装着部30に装着された状態で、画像形成装置10に設けられたモーターなどを含む駆動伝達部に軸継手74が連結する。これにより、前記駆動伝達部から前記回転駆動力が軸継手74を介して搬送部材71に入力可能となる。
【0037】
軸継手74は、左側壁64を貫通して容器本体61の内部に延出する突出軸74Aを有する。搬送部材71の回転軸72の一方側(左側)の軸端部72Aには、突出軸74Aが挿入される挿通孔が形成されている。前記挿通孔に突出軸74Aが挿入されることにより、軸端部72Aが回転可能に支持される。
【0038】
容器本体61の右側壁65には、搬送部材71の回転軸72の他方側(右側)の軸端部72B(本発明の支軸部の一例)を回転可能に支持する軸受部66(本発明の軸受部の一例)が設けられている。軸端部72Bは、軸受部66によって回転可能に支持される。軸受部66には、軸端部72Bを回転可能に支持する軸受孔67が形成されている。軸受孔67に軸端部72Bが挿通されることにより、軸端部72Bが回転可能に支持される。
【0039】
図4及び図5に示すように、トナーコンテナ3は、撹拌部材75(本発明の回転部材の一例)を備える。図5は、撹拌部材75の回転中心線を含む鉛直切断面でトナーコンテナ3を切断した場合の断面図である。図5には、撹拌部材75の両端部それぞれの詳細拡大図が示されている。撹拌部材75は、容器本体61内のトナーを撹拌させる部材であり、容器本体61の内部に回転可能に設けられている。
【0040】
撹拌部材75は、回転されることによって容器本体61内のトナーを移動させる部材である。具体的には、撹拌部材75は、回転されることによってトナーを撹拌部材75の回転方向へ移動させて当該トナーを撹拌する。撹拌部材75は、搬送部材71の上側に配置されており、トナーコンテナ3の長手方向から見て概ね中央に配置されている。
【0041】
図5に示すように、撹拌部材75は、容器本体61の長手方向に長い形状に形成された部材である。撹拌部材75は、回転軸76と、回転軸76に取り付けられたパドル部材77と、を有する。パドル部材77は、パドル形状に形成されており、PET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂などの弾性材料で構成されている。パドル部材77は、具体的には、矩形状に形成された厚みの薄いフィルム部材である。
【0042】
回転軸76は、トナーコンテナ3の内部に回転可能に設けられている。回転軸76は、パドル部材77を保持する軸本体78と、軸本体78の左端部に設けられた軸受部76A(本発明の軸受部の一例)と、軸本体78の右端部から側方へ突出する軸端部76B(本発明の支軸部の一例)と、を有する。回転軸76の軸方向の両端部それぞれは、軸受部76A及び軸端部76Bによって、容器本体61の幅方向D3の両側壁に回転可能に支持される。
【0043】
容器本体61の左側壁64には、撹拌部材75に回転駆動力を伝達するための軸継手79が設けられている。軸継手79は、左側壁64に回転可能に支持されている。トナーコンテナ3がコンテナ装着部30に装着された状態で、画像形成装置10に設けられたモーターなどを含む駆動伝達部に軸継手79が連結する。これにより、前記駆動伝達部から前記回転駆動力が軸継手79を介して撹拌部材75に入力可能となる。
【0044】
軸継手79は、左側壁64を貫通して容器本体61の内部に延出する突出軸79A(本発明の支軸部の一例)を有する。突出軸79Aは、軸受部76Aによって回転可能に支持される。撹拌部材75の回転軸76の一方側(左側)の軸受部76Aには、突出軸79Aが挿入される挿通孔76A1が形成されている。挿通孔76A1は、突出軸79Aを回転可能に支持する。挿通孔76A1に突出軸79Aが挿入されることにより、回転軸76の左端部が回転可能に支持される。
【0045】
容器本体61の右側壁65には、撹拌部材75の回転軸76の他方側(右側)の軸端部76Bを回転可能に支持する軸受部68(本発明の軸受部の一例)が設けられている。軸受部68には、軸端部76Bを回転可能に支持する軸受孔69が形成されている。軸受孔69に軸端部76Bが挿通されることにより、軸端部76Bが回転可能に支持される。
【0046】
ところで、搬送部材71の軸端部72Bを軸支する軸受部66において、軸端部72Bと軸受部66との隙間にトナーが入り込むと、軸端部72Bの回転による回転摩擦によってトナーが溶融して、搬送部材71の軸端部72Bが固着するおそれがある。かかる問題は、撹拌部材75の軸端部76Bにも生じうる。これに対して、本実施形態に係るトナーコンテナ3では、後述するトナー戻し機構80(本発明のトナー戻し部の一例)が設けられている。そのため、簡単な構成でありながら、搬送部材71の軸端部72Bと軸受部66との隙間に進入したトナーを前記隙間から排出することが可能である。
【0047】
[トナー戻し機構80]
トナーコンテナ3は、トナー戻し機構80(図6参照)を更に備える。トナー戻し機構80は、は、軸受部66の軸受孔67に入り込んだトナーを軸受孔67から外側へ戻すことが可能に構成されている。搬送部材71が回転することにより、トナー戻し機構80は軸受部66からトナーを外部へ戻す方向へ排出する。
【0048】
以下、図6及び図7を参照して、トナー戻し機構80の一実施例について説明する。ここで、図6及び図7は、トナー戻し機構80の一実施例を示す図であり、図6は、搬送部材71の回転軸72の軸端部72Bの構成を示す部分拡大図であり、図7は、軸端部72Bを軸方向に垂直な切断面で切断した場合の断面図である。
【0049】
図6に示すように、トナー戻し機構80は、搬送部材71の軸端部72Bの外周面に形成された二本の傾斜溝81である。二本の傾斜溝81は、軸端部72Bの周方向に等間隔で配置されている。軸端部72Bは、スパイラル羽根73の軸方向の端部に設けられた円盤部材73Aの側面から軸方向外側へ突出しており、傾斜溝81は、軸端部72Bの外周面において、円盤部材73Aの側面から軸端部72Bの先端まで延在している。トナーを搬送方向D31へ搬送させるために搬送部材71が回転方向D4に回転した場合に、傾斜溝81がトナーを搬送方向D31と同じ方向へ排出可能なように、傾斜溝81は、搬送方向D31に対して傾斜している。これにより、搬送部材71が回転方向D4に回転すると、傾斜溝81は、軸端部72Bの外周面と軸受孔67の内周面との隙間に入り込んだトナーを掻き取って溝内に導き、溝内のトナー(掻き取ったトナー)が傾斜溝81における回転方向D4の上流側の内側面81A(図7参照)によって搬送方向D31へ押し付けられ、これにより、トナーが軸受部66の軸受孔67から外部へ排出される。
【0050】
このように、軸端部72Bの外周面に傾斜溝81が設けられているため、軸端部72Bの外周面と軸受孔67の内周面との隙間に入り込んだトナーを当該隙間から外部に排出することができる。その結果、軸受孔67にトナーが溜まりにくくなり、トナーの溶融やトナーの凝集に起因する回転軸72の回転不良や回転軸72のロックなどを防止することができる。また、軸端部72Bだけに傾斜溝81を設けるだけで上記効果を奏することができ、簡単な構成により回転不良やロックなどの不具合を防止することができる。
【0051】
なお、傾斜溝81は、直線的に延びるストレート溝であってもよく、あるいは、円弧形状又は螺旋状に形成されていてもよい。また、傾斜溝81は、軸端部72Bの外周面に一本以上形成されていればよい。なお、傾斜溝81が複数本設けられている場合は、各傾斜溝81は、軸端部72Bの周方向に等間隔で配置されている。また、傾斜溝81は、搬送部材71の軸端部72Bの外周面に螺旋形状に形成された一本の螺旋溝であってもよい。
【0052】
次に、図8及び図9を参照して、トナー戻し機構80の変形例について説明する。ここで、図8及び図9は、トナー戻し機構80の変形例を示す図であり、図8は、搬送部材71の回転軸72の軸端部72Bの構成を示す部分拡大図であり、図9は、軸端部72Bを軸方向に垂直な切断面で切断した場合の断面図である。
【0053】
図8に示すように、トナー戻し機構80は、搬送部材71の軸端部72Bの外周面に形成された二本の傾斜リブ82である。二本の傾斜リブ82は、軸端部72Bの周方向に等間隔で配置されている。二本の傾斜リブ82を含む軸端部72Bが軸受孔67に挿入されて、回転可能に軸支される。軸端部72Bは、スパイラル羽根73の軸方向の端部に設けられた円盤部材73Aの側面から軸方向外側へ突出しており、傾斜リブ82は、軸端部72Bの外周面において、円盤部材73Aの側面から軸端部72Bの先端まで延在している。トナーを搬送方向D31へ搬送させるために搬送部材71が回転方向D4に回転した場合に、傾斜リブ82がトナーを搬送方向D31と同じ方向へ排出可能なように、傾斜リブ82は、搬送方向D31に対して傾斜している。これにより、搬送部材71が回転方向D4に回転すると、傾斜リブ82は、軸端部72Bの外周面と軸受孔67の内周面との隙間に入り込んだトナーを掻き取り、傾斜リブ82における回転方向D4の下流側の側面82A(図8参照)によってそのトナー(掻き取ったトナー)を搬送方向D31へ押し付け、これにより、トナーが軸受部66の軸受孔67から外部へ排出される。
【0054】
このように、軸端部72Bの外周面に傾斜リブ82が設けられているため、軸端部72Bの外周面と軸受孔67の内周面との隙間に入り込んだトナーを当該隙間から外部に排出することができる。その結果、軸受孔67にトナーが溜まりにくくなり、トナーの溶融やトナーの凝集に起因する回転軸72の回転不良や回転軸72のロックなどを防止することができる。また、軸端部72Bだけに傾斜リブ82を設けるだけで上記効果を奏することができ、簡単な構成により回転不良やロックなどの不具合を防止することができる。
【0055】
なお、傾斜リブ82は、直線的に延びるストレートリブであってもよく、あるいは、円弧形状又は螺旋状に形成されていてもよい。また、傾斜リブ82は、軸端部72Bの外周面に一本以上形成されていればよい。なお、傾斜リブ82が複数本設けられている場合は、各傾斜リブ82は、軸端部72Bの周方向に等間隔で配置されている。また、傾斜リブ82は、搬送部材71の軸端部72Bの外周面に螺旋形状に形成された一本の螺旋リブであってもよい。
【0056】
次に、図10を参照して、トナー戻し機構80の他の変形例について説明する。ここで、図10は、トナー戻し機構80の他の変形例を示す図であって、軸中心線を含む鉛直切断面で軸端部72Bを切断した場合の断面図である。
【0057】
図10に示すように、回転軸72には内孔85が形成されている。内孔85は、搬送部材71の軸端部72Bの先端面から回転軸72の内部へ向けて穿孔された筒状の孔である。内孔85の穿孔深さは、少なくとも軸端部72Bの長さ以上であればよい。トナー戻し機構80は、内孔85の内周面に形成された螺旋溝86である。螺旋溝86は、内孔85に進入したトナーを内孔85の内部を通って搬送方向D31と同じ方向へ搬送させるべく、回転軸72の軸方向に沿って螺旋状に形成されている。トナーを搬送方向D31へ搬送させるために搬送部材71が回転方向D4に回転すると、螺旋溝84は、軸端部72Bの外周面と軸受孔67の内周面との隙間に入り込み、更に内孔85に進入したトナーを搬送方向D31と同じ方向へ移動させる。
【0058】
また、回転軸72には、内孔85に貫通する貫通孔87が形成されている。貫通孔87は、螺旋溝86によって内孔85内を搬送方向D31へ搬送されたトナーを内孔85から回転軸72の外部へ排出する。
【0059】
このように、回転軸72の内孔85に螺旋溝86が形成されているため、螺旋溝84は、軸端部72Bの外周面と軸受孔67の内周面との隙間に入り込み、更に内孔85に進入したトナーを搬送方向D31と同じ方向へ移動させることができる。その結果、軸受孔67にトナーが溜まりにくくなり、トナーの溶融やトナーの凝集に起因する回転軸72の回転不良や回転軸72のロックなどを防止することができる。また、回転軸72だけに内孔85や螺旋溝86を設けるだけで上記効果を奏することができ、簡単な構成により回転不良やロックなどの不具合を防止することができる。
【0060】
なお、螺旋溝86に換えて、1本以上の傾斜溝が内孔85の内周面に形成されていてもよい。また、螺旋溝86に換えて、回転軸72の軸方向に沿って螺旋状に形成された螺旋リブ、または1本以上の傾斜リブが内孔85の内周面に設けられてもよい。また、回転軸72の軸端部72Bは、内孔85の内周面に形成された螺旋溝86だけでなく、その外周面に上述の傾斜溝81(図参照)又は傾斜リブ82(図8参照)が設けられていてもよい。
【0061】
上述の実施形態では、搬送部材71の回転軸72の軸端部72Bにトナー戻し機構80が設けられた構成について例示したが、トナー戻し機構80は、他方側の軸端部72Aに設けられていてもよい。また、トナー戻し機構80は、撹拌部材75の回転軸76を回転可能に支持する突出軸79Aや、軸端部76Bに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0062】
3 :トナーコンテナ
10 :画像形成装置
30 :コンテナ装着部
61 :容器本体
63A :トナー排出口
66 :軸受部
67 :軸受孔
68 :軸受部
69 :軸受孔
71 :搬送部材
72 :回転軸
72A :軸端部
72B :軸端部(支軸部)
73 :スパイラル羽根
75 :撹拌部材
76 :回転軸
76A :軸受部
76B :軸端部(支軸部)
77 :パドル部材
78 :軸本体
79 :軸継手
79A :突出軸(支軸部)
80 :トナー戻し機構
81 :傾斜溝
81A :内側面
82 :傾斜リブ
82A :側面
84 :螺旋溝
85 :内孔
86 :螺旋溝
87 :貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10