(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20241008BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241008BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20241008BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B65H5/06 D
G03G21/16 147
B41J11/00 A
G03G15/00 446
(21)【出願番号】P 2020124930
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩洋
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-117887(JP,A)
【文献】実開昭61-119558(JP,U)
【文献】特開2020-100461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02、5/06、5/22
B41J 11/00
G03G 15/00、21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成部と、
第1ローラと、
前記第1ローラの端部に配置され、前記第1ローラと一体に回転する第1ギヤと、
前記第1ローラとの間でシートを挟んで前記画像形成部へ搬送する第2ローラであって、前記第1ローラとの軸間距離が変化できるように移動可能な第2ローラと、
前記第2ローラの端部に配置され、前記第2ローラと一体に回転する第2ギヤと、
前記第2ローラを前記第1ローラに向けて付勢する付勢部材と、
モータと、
ギヤ歯を有し、前記モータから駆動力を受けて回転する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤから前記第2ギヤを介さずに前記第1ギヤへ駆動を伝達する第1駆動伝達部と、
前記駆動ギヤから前記第1ギヤを介さずに前記第2ギヤへ駆動を伝達する第2駆動伝達部と、
を備え
、
前記第2駆動伝達部は、両端に自在継手を構成する端部を有するジョイントシャフトを有し、
前記ジョイントシャフトの一方の端部は、前記駆動ギヤと連結され、
前記ジョイントシャフトは、前記駆動ギヤの軸方向に対して傾斜しても前記駆動ギヤの駆動力を前記第2ギヤに伝達可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動ギヤは、前記ジョイントシャフトの前記一方の端部が入り込む第1凹部を有し、
前記ジョイントシャフトの前記一方の端部は、前記駆動ギヤの前記ギヤ歯の径方向内側に位置することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第2駆動伝達部は、
前記第2ギヤと噛み合う第1アイドルギヤであって、前記ジョイントシャフトの他方の端部と連結される第2凹部を有する第1アイドルギヤと、
前記第2ギヤと前記第1アイドルギヤを保持し、前記第1ローラに対して移動可能なギヤホルダと、を有することを特徴とする請求項
1または請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像形成部と、
第1ローラと、
前記第1ローラの端部に配置され、前記第1ローラと一体に回転する第1ギヤと、
前記第1ローラとの間でシートを挟んで前記画像形成部へ搬送する第2ローラであって、前記第1ローラとの軸間距離が変化できるように移動可能な第2ローラと、
前記第2ローラの端部に配置され、前記第2ローラと一体に回転する第2ギヤと、
前記第2ローラを前記第1ローラに向けて付勢する付勢部材と、
モータと、
ギヤ歯を有し、前記モータから駆動力を受けて回転する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤから前記第2ギヤを介さずに前記第1ギヤへ駆動を伝達する第1駆動伝達部と、
前記駆動ギヤから前記第1ギヤを介さずに前記第2ギヤへ駆動を伝達する第2駆動伝達部と、
を備え
、
前記第1ギヤは、前記駆動ギヤの軸方向において、前記駆動ギヤと前記第2ギヤの間に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
画像形成部と、
第1ローラと、
前記第1ローラの端部に配置され、前記第1ローラと一体に回転する第1ギヤと、
前記第1ローラとの間でシートを挟んで前記画像形成部へ搬送する第2ローラであって、前記第1ローラとの軸間距離が変化できるように移動可能な第2ローラと、
前記第2ローラの端部に配置され、前記第2ローラと一体に回転する第2ギヤと、
前記第2ローラを前記第1ローラに向けて付勢する付勢部材と、
モータと、
ギヤ歯を有し、前記モータから駆動力を受けて回転する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤから前記第2ギヤを介さずに前記第1ギヤへ駆動を伝達する第1駆動伝達部と、
前記駆動ギヤから前記第1ギヤを介さずに前記第2ギヤへ駆動を伝達する第2駆動伝達部と、
を備え
、
前記第1ローラは、前記第2ローラとの間でシートを挟むローラ部を有し、
前記第1ローラを回転可能に支持する軸受けをさらに備え、
前記軸受けは、前記第1ギヤと、前記第1ローラの前記ローラ部の間に位置することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
画像形成部と、
第1ローラと、
前記第1ローラの端部に配置され、前記第1ローラと一体に回転する第1ギヤと、
前記第1ローラとの間でシートを挟んで前記画像形成部へ搬送する第2ローラであって、前記第1ローラとの軸間距離が変化できるように移動可能な第2ローラと、
前記第2ローラの端部に配置され、前記第2ローラと一体に回転する第2ギヤと、
前記第2ローラを前記第1ローラに向けて付勢する付勢部材と、
モータと、
ギヤ歯を有し、前記モータから駆動力を受けて回転する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤから前記第2ギヤを介さずに前記第1ギヤへ駆動を伝達する第1駆動伝達部と、
前記駆動ギヤから前記第1ギヤを介さずに前記第2ギヤへ駆動を伝達する第2駆動伝達部と、
を備え
、
本体筐体と、
前記本体筐体内の第1位置と、前記本体筐体外の第2位置と、の間で移動可能なドロワと、をさらに備え、
前記第1ローラは、前記ドロワに設けられ、
前記第2ローラは、前記本体筐体に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記本体筐体は、前記ドロワを装着する際に前記ドロワが入り込む開口を有し、
前記第1駆動伝達部は、前記第1ギヤと直接噛み合う第2アイドルギヤを有し、
前記第2アイドルギヤは、前記第1ギヤに駆動力を伝達する際に、前記ドロワを前記開口とは反対の方向へ付勢することを特徴とする請求項
6に記載に画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを画像形成部に搬送するローラを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートを画像形成部に搬送するローラを備えた画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。この画像形成装置には、一対のレジストローラから構成されるレジストローラ対が設けられる。レジストローラ対は、一方のレジストローラが加圧バネによって他方のレジストローラへ加圧されている。一対のレジストローラの端部にはそれぞれギヤが設けられ、2つのギヤが噛合うことで2つのレジストローラが同期して回転するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、一対のローラの各端部に配置したギヤを互いに噛み合わせることによってそれぞれのローラへ駆動力を入力する場合、各ギヤは、他方のギヤから径方向への反力を受けるので、一対のローラは、ギヤに近い部分においてシートを挟む力が弱くなってしまう。このように、一対のローラの接触圧力が不均一となると、ギヤに近い部分と遠い部分とでシートの搬送速度に差が発生し、シートが斜行するという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、画像形成部に搬送するシートが斜行するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、画像形成部と、第1ローラと、第1ギヤと、第2ローラと、第2ギヤと、付勢部材と、モータと、駆動ギヤと、第1駆動伝達部と、第2駆動伝達部と、を備える。第1ギヤは、第1ローラの端部に配置され、第1ローラと一体に回転する。第2ローラは、第1ローラとの間でシートを挟んで画像形成部へ搬送し、第1ローラとの軸間距離が変化できるように移動可能である。第2ギヤは、第2ローラの端部に配置され、第2ローラと一体に回転する。付勢部材は、第2ローラを第1ローラに向けて付勢する。駆動ギヤは、ギヤ歯を有し、モータから駆動力を受けて回転する。第1駆動伝達部は、駆動ギヤから第2ギヤを介さずに第1ギヤへ駆動を伝達する。第2駆動伝達部は、駆動ギヤから第1ギヤを介さずに第2ギヤへ駆動を伝達する。
【0007】
このように構成された画像形成装置によれば、第1ギヤが第2ギヤを介さずに駆動され、第2ギヤが第1ギヤを介さずに駆動されるので、第1ギヤと第2ギヤが互いに他方から反力を受けない。このため、第1ローラと第2ローラの接触圧力が不均一となることを抑制でき、画像形成部に搬送するシートが斜行するのを抑制することができる。
【0008】
また、前記した構成において、第2駆動伝達部は、両端に自在継手を構成する端部を有するジョイントシャフトを有し、ジョイントシャフトの一方の端部は、駆動ギヤと連結され、ジョイントシャフトは、駆動ギヤの軸方向に対して傾斜しても駆動ギヤの駆動力を第2ギヤに伝達可能である構成としてもよい。
【0009】
これによれば、第1ローラと第2ローラとの軸間距離が変化できるように第2ローラが移動しても、駆動ギヤから第2ギヤに駆動力を伝達できる。
【0010】
また、前記した構成において、駆動ギヤは、ジョイントシャフトの一方の端部が入り込む第1凹部を有し、ジョイントシャフトの一方の端部は、駆動ギヤのギヤ歯の径方向内側に位置する構成としてもよい。
【0011】
これによれば、ジョイントシャフトを長くできる。このため、第1ローラと第2ローラとの軸間距離が変化できるように第2ローラが移動しても、ジョイントシャフトの駆動ギヤの軸方向に対する傾きを抑制することができる。この結果、駆動ギヤと第2ギヤの間の駆動における速度変動を抑制できる。
【0012】
また、前記した構成において、第2駆動伝達部は、第2ギヤと噛み合う第1アイドルギヤであって、ジョイントシャフトの他方の端部と連結される第2凹部を有する第1アイドルギヤと、第2ギヤと第1アイドルギヤを保持し、第1ローラに対して移動可能なギヤホルダと、を有する構成としてもよい。
【0013】
これによれば、ギヤホルダによって、ジョイントシャフトと連結される第1アイドルギヤと、第2ギヤとが一体となって第1ローラに対して移動可能となる。
【0014】
また、前記した構成において、第1ギヤは、駆動ギヤの軸方向において、駆動ギヤと第2ギヤの間に位置する構成としてもよい。
【0015】
また、前記した構成において、第1ローラは、第2ローラとの間でシートを挟むローラ部を有し、第1ローラを回転可能に支持する軸受けをさらに備え、軸受けは、第1ギヤと、第1ローラのローラ部の間に位置する構成としてもよい。
【0016】
また、前記した構成において、本体筐体と、本体筐体内の第1位置と本体筐体外の第2位置との間で移動可能なドロワとをさらに備え、第1ローラはドロワに設けられ、第2ローラは本体筐体に設けられている構成としてもよい。
【0017】
また、前記した構成において、本体筐体は、ドロワを装着する際にドロワが入り込む開口を有し、第1駆動伝達部は、第1ギヤと直接噛み合う第2アイドルギヤを有し、第2アイドルギヤは、第1ギヤに駆動力を伝達する際に、ドロワを開口とは反対の方向へ付勢する構成としてもよい。
【0018】
これによれば、ドロワが開口側に移動するのを抑制できるので、ドロワの本体筐体に対する位置が安定する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、画像形成部に搬送するシートが斜行するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を簡略的に示す図であり、ドロワが本体筐体内に位置する状態を示す図である。
【
図2】ドロワが本体筐体外に位置する状態を示す図である。
【
図5】カバーが開いた状態における押圧部材周辺を示す図である。
【
図6】カバーが閉じた状態における押圧部材周辺を示す図(a)と、押圧部材がシャフトを押圧する作用を説明する図(b)である。
【
図7】第1ローラおよび第2ローラと、第1ローラおよび第2ローラを支持する部材を説明する斜視図である。
【
図8】駆動ギヤ、第1ギヤ、第2ギヤ、第1アイドルギヤ、第2アイドルギヤなどを示す斜視図である。
【
図9】第1ローラと第2ローラが接触している状態におけるギヤ列を示す断面図である。
【
図10】第1ローラと第2ローラが
図9の状態より離間している状態を示す断面図である。
【
図11】本実施形態の作用効果を説明する図であり、本実施形態のギヤ列を示す図(a)と、比較例のギヤ列を示す図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、カラープリンタである。画像形成装置1は、本体筐体10と、カバー11と、供給部20と、画像形成部30と、排出部90とを備えている。
【0022】
本体筐体10は、開口10Aを有する。開口10Aは、後述するドロワ50が入り込む際に通過する。カバー11は、
図1で示した開口10Aを閉鎖する閉鎖位置と、
図2で示した開口10Aを開放する開放位置との間で移動可能である。
【0023】
供給部20は、本体筐体10内の下部に位置する。供給部20は、シートSを収容するシートトレイ21と、シートトレイ21からシートSを画像形成部30に供給する供給機構22とを備えている。シートトレイ21は、本体筐体10から引き出して取り外し可能に構成されている。供給機構22は、供給ローラ23と、分離ローラ24と、分離パッド25と、第1ローラ26と、第2ローラ27とを備えている。シートSは、画像形成装置1が画像を形成することができる媒体であって、普通紙、封筒、葉書、薄紙、厚紙、光沢紙、樹脂シート、シール等を含む。
【0024】
供給部20では、シートトレイ21内のシートSが供給ローラ23により送り出された後、分離ローラ24と分離パッド25との間でシートSが1枚ずつに分離される。その後、シートSは、回転が停止した状態の第1ローラ26および第2ローラ27によって先端位置が規制された後、第1ローラ26および第2ローラ27が回転することで画像形成部30に供給される。
【0025】
第1ローラ26および第2ローラ27にはそれぞれ駆動力が入力される。第1ローラ26は、ドロワ50に設けられている。第2ローラ27は、本体筐体10に設けられている(
図2参照)。第1ローラ26は、ドロワ50が本体筐体10に装着された場合に、第2ローラ27と向かい合って、第2ローラ27に接触可能となる。
【0026】
画像形成部30は、シートSに画像を形成する。画像形成部30は、スキャナユニット40と、ドロワ50と、転写ユニット70と、定着ユニット80とを備えている。
【0027】
スキャナユニット40は、本体筐体10内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズおよび反射鏡などを備えている。そして、スキャナユニット40からレーザビームが出射され、
図1の2点鎖線で示す経路を通って、ドロワ50の各感光ドラム51の表面上に高速走査にて照射される。
【0028】
ドロワ50は、本体筐体10内の第1位置(
図1の位置)と本体筐体外の第2位置(
図2の位置)との間で移動可能である。詳しくは、ドロワ50は、カバー11が開放位置に位置する状態で、開口10Aを介して、本体筐体10へ装着または本体筐体10から取り外し可能である。ドロワ50は、4つの感光ドラム51と、4つの現像カートリッジ52とを備えている。
【0029】
各感光ドラム51は、軸方向に延びる回転軸について回転可能に支持されている(以下の説明では、感光ドラム51の軸方向を単に「軸方向」という。感光ドラム51の軸方向は、後述する駆動ギヤG3の軸方向と同じ方向である。)。各感光ドラム51は、ドロワ50の装着方向(以下の説明では、単に「装着方向」という。)に並んでいる。ドロワ50には、感光ドラム51の他、帯電器などが設けられている(図示省略)。
【0030】
現像カートリッジ52は、各感光ドラム51に対応してドロワ50に着脱可能に設けられている。現像カートリッジ52は、感光ドラム51にトナーを供給する現像ローラ53の他、トナー収容室、供給ローラ等が設けられている(図示省略)。
【0031】
転写ユニット70は、供給部20とドロワ50との間に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、転写ローラ74とを備えている。
【0032】
駆動ローラ71および従動ローラ72は、装着方向に離間して配置され、その間にエンドレスベルトからなる搬送ベルト73が張設されている。搬送ベルト73は、外側面が感光ドラム51に接している。また、搬送ベルト73の内側には、感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟持する転写ローラ74が4つ配置されている。
【0033】
定着ユニット80は、ドロワ50と排出部90との間に配置されている。定着ユニット80は、加熱ローラ81と加圧ローラ82とを備えている。加圧ローラ82は、加熱ローラ81に向かい合って設けられ、加熱ローラ81を押圧する。
【0034】
このように構成される画像形成部30では、まず、各感光ドラム51の表面が、帯電器により一様に帯電された後、スキャナユニット40で露光される。これにより、露光された部分の電位が下がって、各感光ドラム51上に画像データに基づく静電潜像が形成される。その後、現像ローラ53によって、現像カートリッジ52内のトナーが、感光ドラム51の静電潜像に供給されることで、感光ドラム51上にトナー像が担持される。
【0035】
次に、搬送ベルト73上に供給されたシートSが各感光ドラム51と各転写ローラ74との間を通過することで、各感光ドラム51上に形成されたトナー像がシートS上に転写される。そして、シートSが加熱ローラ81と加圧ローラ82との間を通過することで、シートS上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0036】
排出部90は、画像が形成されたシートSを排出する。排出部90は、シートSを搬送する複数の搬送ローラ91を備えている。トナー像が転写され、熱定着されたシートSは、搬送ローラ91によって搬送され、本体筐体10の外部に排出される。
【0037】
次に、ドロワ50が本体筐体10に対して位置決めされる構成について説明する。ドロワ50は、本体筐体10内に装着され、カバー11を閉じると本体筐体10に位置決めがされる。ドロワ50は、装着方向の奥側と手前側の2ヵ所で位置決めがされる。
【0038】
まず、ドロワ50の奥側に位置決めについて説明する。
図3に示すように、ドロワ50は、矩形の枠状に形成され、その内側に4つの感光ドラム51と4つの現像カートリッジ52をそれぞれ装着方向に並べて保持している。
具体的に、ドロワ50は、一対の側壁110と、一対の側壁110の一端を連結する第1ビーム120と、一対の側壁110の他端を連結する第2ビーム130と、一対の板金140と、シャフト150とを備える。
【0039】
第1ビーム120には、取手部121と、第1ローラ26とが設けられている。取手部121は、第1ビーム120の外面に設けられている。これにより、ユーザが、取手部121を把持することで、ドロワ50を第1位置と第2位置の間で移動させることが可能となっている。第1ローラ26は、第1ビーム120の下側に位置している。
【0040】
図3および
図4に破線で示すように、一対の板金140は、装着方向に長い金属板である。この一対の板金140は、一対の側壁110の内側にそれぞれ配置されており、4つの感光ドラム51を回転可能に支持している。なお、一対の板金140は、左右対称の形状であり、
図3、
図4には片側の板金140のみが図示されている。
【0041】
図4に示すように、一対の板金140は、装着方向奥側の縁部に、切欠き140Aを有している。一方、本体筐体10には、軸方向に延びる位置決めシャフトISが設けられている。切欠き140Aは、ドロワ50が本体筐体10内に装着された場合に、本体筐体10の位置決めシャフトISと接触する。板金140の切欠き140Aが位置決めシャフトISに当接することで、ドロワ50の奥側の部分は、上下方向と装着方向に位置決めされる。
【0042】
次に、ドロワ50の手前側の位置決めについて説明する。
図3に示すように、シャフト150は、軸方向に延びている。シャフト150の両端は、一対の側壁110から外側へ突出している。シャフト150は、ドロワ50の一対の板金140に固定されている。シャフト150は、ドロワ50が第1位置に位置する状態において、本体筐体10が有する支持台10Bの上に載る。これにより、ドロワ50の手前側の部分が上下方向に位置決めされる。
【0043】
図5に示すように、本体筐体10は、一対のサイドフレーム320と、直動カム330とを備えている。一対のサイドフレーム320は、ドロワ50の軸方向の外側に配置されている。一対のサイドフレーム320の軸方向の内側には、ドロワ50の装着を案内するガイドが形成されている(図示省略)。
【0044】
直動カム330は、ベース部材331と、スライド部材332と、コイルバネ333とを有している。ベース部材331は、サイドフレーム320に取り付けられており、サイドフレーム320に対して上下にスライド移動可能である。スライド部材332は、ベース部材331の上側に取り付けられており、ベース部材331に対して上下にスライド移動可能である。コイルバネ333は、スライド部材332に取り付けられており、一端がベース部材331と接触し、他端がスライド部材332と接触している。コイルバネ333は、スライド部材332を常時上方に付勢する。
【0045】
ベース部材331は、切欠き溝331Aを有している。切欠き溝331Aは、開口10Aから装着方向の奥側に延びている。切欠き溝331Aは、ドロワ50が本体筐体10に装着されたときにシャフト150が入り込む。切り欠き溝331Aは、第1傾斜面331Bと、第2傾斜面331Cとを有している。第1傾斜面331Bは、装着方向の奥側に進むにつれて上方に位置するように傾斜している。第1傾斜面331Bは、斜め下に向いている。第2傾斜面331Cは、第1傾斜面331Bの下に位置し、第1傾斜面331Bと略平行に延びている。第2傾斜面331Cは、斜め上に向いている。
【0046】
カバー11は、第1押圧部11Aと、第2押圧部11Bと、回動軸11Cとを有している。
第1押圧部11Aは、カバー11を開けると、開口10Aの外側に位置し、カバー11を閉じると、開口10Aの中に入り込むように突出している。カバー11を閉じた状態において、第1押圧部11Aは、回動軸11Cより上に位置する。
第2押圧部11Bは、カバー11を開けると、回動軸11Cより上に位置し、カバー11を閉じると、回動軸11Cより下に位置するように配置されている。
【0047】
図5に示すように、カバー11を開けると、第2押圧部11Bが直動カム330と接触して、下から上に押し上げる。すると、第1傾斜面331Bがシャフト150から上に離れる。これにより、ドロワ50を本体筐体10から引き出すことが可能となる。
【0048】
図6(a),(b)に示すように、カバー11を閉めると、第1押圧部11Aがスライド部材332と接触して、スライド部材332を下に押し下げる。すると、スライド部材332がベース部材331を下に押す。ベース部材331が下方にスライド移動すると、第1傾斜面331Bがシャフト150と接触して、第1傾斜面331Bがシャフト150を下方かつ装着方向奥側に押圧する。
このようにして、カバー11が閉められると、ドロワ50は、装着方向奥側かつ下方へ付勢されるので、板金140の切欠き140Aが位置決めシャフトISにしっかりと当たって装着方向および上下方向に位置決めされるとともに、シャフト150が支持台10Bにしっかりと当たって上下方向に位置決めされる。
【0049】
次に、第1ローラ26および第2ローラ27をそれぞれ駆動させるための構成について説明する。
【0050】
図7に示すように、第1ローラ26は、シャフト26Aと、ローラ部26Bとを有する。ローラ部26Bは、第2ローラ27との間でシートSを挟む部分である。
【0051】
ドロワ50は、一対の軸受けH1,H2をさらに備える。一対の軸受けH1,H2は、第1ローラ26を回転可能に支持する。
【0052】
第2ローラ27は、シャフト27Aと、ローラ部27Bを有する。ローラ部27Bは、第1ローラ26の間でシートSを挟む部分である。本実施形態では、ローラ部27Bが軸方向において2つの部分に分かれているが、ローラ部27Bは、一体でもよく、3つ以上に分かれていてもよい。
【0053】
本体筐体10は、第2ローラ27を回転可能に支持する一対の軸受けH3,H4と、一対の付勢部材SP1(
図11(a)参照)をさらに備える。一対の軸受けH3,H4は、第2ローラ27を軸支する構成は同様であるので、ここでは、軸受けH3についてのみ説明する。
図9に示すように、軸受けH3は、軸穴H31、長孔H32およびバネ受け部H33を有する。
軸穴H31は、第2ローラ27のシャフト27Aを回転可能に軸支する。長孔H32は、第1ローラ26の軸線と第2ローラ27の軸線を結ぶ方向に延びる孔である。本体筐体10は、長孔H32に入る突起10Cを有している。軸受けH3は、長孔H32に突起10Cが係合した状態で、突起10Cに対して長孔H32の長手方向に移動することができる。すなわち、軸受けH3は、第1ローラ26と第2ローラ27の軸間方向に移動可能である。これにより、第2ローラ27は、第1ローラ26との軸間距離が変化できるように移動可能である(
図1も参照)。
バネ受け部H33は、下方に突出する突起である。バネ受け部H33は、付勢部材SP1の上端を受ける。一方、本体筐体10は、上方に突出するバネ受け部10Dを有している。バネ受け部10Dは、付勢部材SP1の下端を受ける。
【0054】
付勢部材SP1は、圧縮バネであり、バネ受け部H33と本体筐体10との間に配置されている。付勢部材SP1は、軸受けH3を、常時、上方に付勢している。これにより、第2ローラ27は、常時、第1ローラ26に向けて付勢されている。
【0055】
また、軸受けH3は、軸受けH4と異なり、第1アイドルギヤG5を回転可能に支持する。軸受けH3は、軸方向に突出する軸部H35を有している。軸部H35は、後述する第1アイドルギヤG5を回転可能に軸支する。すなわち、軸受けH3は、第2ギヤG2と第1アイドルギヤG5を保持し、第1ローラ26に対して移動可能なギヤホルダの一例である。
【0056】
図7、
図8に示すように、画像形成装置1は、第1ギヤG1と、第2ギヤG2と、モータMと、クラッチCLと、駆動ギヤG3と、第1駆動伝達部と、第2駆動伝達部と、を備える。
【0057】
第1ギヤG1は、第1ローラ26の端部に配置され、第1ローラ26と一体に回転する。
図9に示すように、第1ギヤG1は、駆動ギヤG3の軸方向において、駆動ギヤG3と第2ギヤG2の間に位置する。また、第1ローラ26を支持する一方の軸受けH1は、駆動ギヤG3の軸方向において、第1ギヤG1と、第1ローラ26のローラ部26Bの間に位置する。
【0058】
第2ギヤG2は、第2ローラ27の端部に配置され、第2ローラ27と一体に回転する。
【0059】
駆動ギヤG3は、モータMからクラッチCLを介して駆動力を受けて回転する(
図8参照)。駆動ギヤG3は、ギヤ歯G31と、第1凹部G32とを有する。第1凹部G32は、後述するジョイントシャフトJSの一方の端部J1が入り込む。
【0060】
第1駆動伝達部は、駆動ギヤG3の駆動力を第1ギヤG1へ伝達する。第1駆動伝達部は、駆動ギヤG3から第2ギヤG2を介さずに第1ギヤG1へ駆動を伝達する。本実施形態では、第1駆動伝達部は、第1ギヤG1と直接噛み合う第2アイドルギヤG4を有する。すなわち、第2アイドルギヤG4は、第1ギヤG1および駆動ギヤG3に直接噛み合っている。
【0061】
図4に示すように、第2アイドルギヤG4は、第1ギヤG1の下に位置する。このため、第2アイドルギヤG4が
図4の矢印方向(反時計回り)に回転すると、第2アイドルギヤG4が第1ギヤG1を
図4の左側に向かって押す。言い換えると、第2アイドルギヤG4は、第1ギヤG1に駆動力を伝達する際に、ドロワ50を開口10Aとは反対の方向へ付勢する。
【0062】
図9に示すように、第2駆動伝達部は、駆動ギヤG3の駆動力を第2ギヤG2へ伝達する。第2駆動伝達部は、駆動ギヤG3から第1ギヤG1を介さずに第2ギヤG2へ駆動を伝達する。本実施形態では、第2駆動伝達部は、第1アイドルギヤG5と、ジョイントシャフトJSと、ギヤホルダとしての軸受けH3とを有する。
【0063】
第1アイドルギヤG5は、第2ギヤG2と噛み合うギヤ歯G51と、第2凹部G52とを有する。
【0064】
ジョイントシャフトJSは、軸方向に延びるシャフトであり、両端に自在継手を構成する端部J1,J2を有する。
【0065】
一方の端部J1は、駆動ギヤG3の第1凹部G32に入り込み、駆動ギヤG3と連結されている。これにより、一方に端部J1は、第1凹部G32と共に自在継手を構成する。また、一方の端部J1は、駆動ギヤG3のギヤ歯G31の径方向内側に位置する。
【0066】
他方の端部J2は、第2凹部G52に入り込み、第1アイドルギヤG5と連結されている。これにより、他方の端部J2は、第2凹部G52と共に自在継手を構成する。このような構成により、
図10に示すように、厚紙の印刷時などにおいて、第2ローラ27が第1ローラ26に対して下がり、ジョイントシャフトJSが、駆動ギヤG3の軸方向に対して傾斜しても駆動ギヤG3の駆動力を第2ギヤG2に伝達可能である。
【0067】
以上によれば、本実施形態において次のような作用および効果を得ることができる。
図11(a)に示すように、本実施形態の画像形成装置1によれば、モータMで駆動ギヤG3を回転させると、第2アイドルギヤG4を介して第1ギヤG1が回転し、第1ローラ26が回転する。一方、駆動ギヤG3が回転すると、ジョイントシャフトJSを介して第1アイドルギヤG5が回転し、第1アイドルギヤG5から第2ギヤG2に駆動力が伝達されて第2ギヤG2および第2ローラ27が回転する。
このとき、第1ギヤG1は、第2ギヤG2を介さずに駆動され、第2ギヤG2が第1ギヤG1を介さずに駆動されるので、第1ギヤG1と第2ギヤG2が互いに他方から反力を受けない。第2ギヤG2は、第1ギヤG1に対して上下に移動可能であるので、仮に、
図11(b)に示すような比較例のように、第1ギヤG1と第2ギヤG2を直接噛み合わせることで、第2ギヤG2が第1ギヤG1から反力を受けると、第2ギヤG2が下方に押し下げられるおそれがある。しかし、本実施形態の画像形成装置1では、このような反力を受けないため、第1ローラ26と第2ローラ27の接触圧力が不均一となることを抑制でき、画像形成部30に搬送するシートSが斜行するのを抑制することができる。
【0068】
なお、第1ローラ26と第2ローラ27の接触圧を均一とするために、
図11(b)における比較例において、第2ギヤG2側の付勢部材SP3の付勢力をもう一方の付勢部材SP4の付勢力より強くするという対策も可能であるが、さまざまな厚さのシートSに対応して接触圧を均一とするように設定するのは困難である。
これに対し、本実施形態に係る画像形成装置1によれば、一対の付勢部材SP1を同じ部品とすることができるため、
図11(b)の形態に比べて、さまざまな厚さのシートSに対応して接触圧を均一とすることが可能となる。
【0069】
なお、第2ギヤG2は、第1アイドルギヤG5から径方向に反力を受けるが、第2ギヤG2と第1アイドルギヤG5は、ともに、軸受けH3によって軸支されているので、第2ギヤG2と第1アイドルギヤG5の間で相互に発生する反力は、軸受けH3が、軸穴H31の部分と軸部H35の間(
図9参照)で受ける。すなわち、
図11(b)の形態のように、軸受けH3が外部から下方に力を受けるわけではないので、第2ギヤG2と第1アイドルギヤG5の間で相互に発生する反力は、第1ローラ26と第2ローラ27の接触圧に影響を与えない。
【0070】
また、第2駆動伝達部を構成するジョイントシャフトJSは、駆動ギヤG3の軸方向に対して傾斜しても駆動ギヤG3の駆動力を第2ギヤG2に伝達可能である。このため、第1ローラ26と第2ローラ27との軸間距離が変化できるように第2ローラ27が移動しても、駆動ギヤG3から第2ギヤG2に駆動力を伝達できる。
【0071】
また、ジョイントシャフトJSの一方の端部J1は、駆動ギヤG3のギヤ歯G31の径方向内側に位置するので、ジョイントシャフトJSを長くできる。このため、第1ローラ26と第2ローラ27との軸間距離が変化できるように第2ローラ27が移動しても、ジョイントシャフトJSの駆動ギヤG3の軸方向に対する傾きを抑制することができる。この結果、駆動ギヤG3と第2ギヤG2の間の駆動における速度変動を抑制できる。
【0072】
また、第2駆動伝達部は、第2ギヤG2と第1アイドルギヤG5を保持し、第1ローラ26に対して移動可能なギヤホルダとしての軸受けH3を有する。このため、ギヤホルダH3によって、第1アイドルギヤG5と、第2ギヤG2とが一体となって第1ローラ26に対して移動可能となる。
【0073】
また、第2アイドルギヤG4は、第1ギヤG1に駆動力を伝達する際に、ドロワ50を開口10Aとは反対の方向へ付勢する。このため、ドロワ50が開口10A側に移動するのを抑制できるので、ドロワ50の本体筐体10に対する位置が安定する。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0075】
前記実施形態では、第1駆動伝達部は、1つのアイドルギヤで構成されていたが、複数のアイドルギヤを有する構成であってもよいし、アイドルギヤ以外の伝達部材を有していてもよい。
【0076】
前記実施形態では、第2駆動伝達部は、1つのアイドルギヤと1つのジョイントシャフトで構成されていたが、ジョイントシャフトを備えなくてもよいし、他の伝達部材を有していてもよい。
【0077】
前記実施形態では、第2ローラを第1ローラに向けて付勢する付勢部材が圧縮バネであったが、板バネやトーションバネなどであってもよい。
【0078】
前記実施形態では、駆動ギヤG3の軸方向と感光ドラム51の軸方向は同じ方向であったが、異なる方向であってもよい。
【0079】
前記実施形態では、画像形成装置1がカラープリンタであったが、モノクロプリンタでもよく、その他の画像形成装置、例えば複写機や複合機などに本発明を適用してもよい。
【0080】
上述のした各実施形態および各変形例の各要素は、任意に組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 画像形成装置
10 本体筐体
10A 開口
11 カバー
26 第1ローラ
27 第2ローラ
30 画像形成部
50 ドロワ
51 感光ドラム
G1 第1ギヤ
G2 第2ギヤ
G3 駆動ギヤ
G4 第2アイドルギヤ
G5 第1アイドルギヤ
H3 ギヤホルダ
JS ジョイントシャフト
M モータ