(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20241008BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20241008BHJP
H05K 1/18 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H05K1/18 C
H05K1/18 D
(21)【出願番号】P 2020129336
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】谷山 昌喜
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/066833(WO,A1)
【文献】特開平08-162582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L25/00-25/07
H01L25/10-25/11
H01L25/16-25/18
H02M 7/42- 7/98
H05K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を含み、回路パターンを有する基板と、
前記回路パターン上に配置される半導体チップと、
前記第1主面に交差する方向に立ち上がる壁部を含み、前記基板の外周を取り囲む樹脂製の枠体と、
棒状であって、一方の端部が前記回路パターンに取り付けられ、前記回路パターンから立ち上がるよう配置される導電性の端子ピンと、を備え、
前記壁部は、前記基板の厚さ方向に見て、前記枠体によって取り囲まれた空間側に膨らむ厚肉領域を含み、
前記厚肉領域は、前記基板の厚さ方向に貫通し、前記端子ピンを貫通させる貫通孔を含み、
前記端子ピンは、前記端子ピンの延びる方向と交差する方向に突出し、前記貫通孔内に配置される第1突出部を含み、
前記端子ピンは、
中空円筒状であって、両端部に鍔部を有し、一方の前記鍔部が前記回路パターンに接合されるスリーブと、
前記スリーブ内に圧入される軸部と、を含み、
前記第1突出部は、他方の前記鍔部を含む、半導体装置。
【請求項2】
第1主面を含み、回路パターンを有する基板と、
前記回路パターン上に配置される半導体チップと、
前記第1主面に交差する方向に立ち上がる壁部を含み、前記基板の外周を取り囲む樹脂製の枠体と、
棒状であって、一方の端部が前記回路パターンに取り付けられ、前記回路パターンから立ち上がるよう配置される導電性の端子ピンと、を備え、
前記壁部は、前記基板の厚さ方向に見て、前記枠体によって取り囲まれた空間側に膨らむ厚肉領域を含み、
前記厚肉領域は、前記基板の厚さ方向に貫通し、前記端子ピンを貫通させる貫通孔を含み、
前記端子ピンは、前記端子ピンの延びる方向と交差する方向に突出し、前記貫通孔内に配置される第1突出部を含み、
前記端子ピンは、前記第1突出部と前記端子ピンの他方の端部との間であって、前記貫通孔の外に配置され、前記端子ピンの延びる方向と交差する方向に突出する第2突出部を含み、
前記貫通孔は、前記第2突出部を受け入れる形状である、半導体装置。
【請求項3】
前記第1突出部と前記貫通孔を構成する壁面とは、接触している、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1突出部と前記貫通孔を構成する壁面との間に、隙間を有する、請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記基板の厚さ方向に見て、前記第1突出部の突出する方向と前記第2突出部の突出する方向とは、異なる、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記端子ピンは、
中空円筒状であって、両端部に鍔部を有し、一方の前記鍔部が前記回路パターンに接合されるスリーブと、
前記スリーブ内に圧入される軸部と、を含み、
前記第1突出部は、他方の前記鍔部を含む、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板と、プリント基板に圧入された複数の端子ピンと、樹脂ブロックと、を含む半導体装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に開示の半導体装置に含まれる樹脂ブロックには、複数の貫通孔が形成されている。複数の貫通孔には、それぞれ複数の端子ピンがそれぞれ圧入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によると、まず、貫通孔が形成された樹脂ブロックを樹脂ケースとは別部材として製造している。そして、樹脂ブロックの貫通孔に端子ピンを圧入して端子ピンを固定した後、基板と、樹脂ブロックと、端子ピンとを一体成型している。しかし、このような構成では、樹脂ブロックを予め製造しておく必要があり、製造工程が増加することとなる。その結果、製造コストが大きくなるおそれがあり、生産性の向上を図ることが困難となる。
【0005】
また、半導体装置に含まれる端子ピンについては、たとえばはんだにより一方の端部が基板側に取り付けられる場合がある。この時、先端側となる他方側の端部は、自由端となっており、フリーな状態である。そうすると、端子ピンの先端に横方向から荷重が負荷された際に、基板側に取り付けられた端子ピンの根元となる一方の端部に応力がかかってしまう。その結果、はんだにクラックが生じ、端子ピンが基板から外れてしまうおそれがある。このような半導体装置では、信頼性の向上を図ることができない。
【0006】
そこで、信頼性の向上を図ると共に、生産性の向上を図ることができる半導体装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従った半導体装置は、第1主面を含み、回路パターンを有する基板と、回路パターン上に配置される半導体チップと、第1主面に交差する方向に立ち上がる壁部を含み、基板の外周を取り囲む枠体と、棒状であって、一方の端部が回路パターンに取り付けられ、回路パターンから立ち上がるよう配置される導電性の端子ピンと、を備える。壁部は、基板の厚さ方向に見て、枠体によって取り囲まれた空間側に膨らむ厚肉領域を含む。厚肉領域は、基板の厚さ方向に貫通し、端子ピンを貫通させる貫通孔を含む。端子ピンは、端子ピンの延びる方向と交差する方向に突出し、貫通孔内に配置される第1突出部を含む。
【発明の効果】
【0008】
上記半導体装置によれば、信頼性の向上を図ると共に、生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1における半導体装置の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す半導体装置を放熱板の厚さ方向に見た場合の概略平面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す領域において、後述する枠体を破線で示した図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す領域において、枠体の図示を省略した図である。
【
図7】
図7は、端子ピンの一部を示す拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7中のVIII-VIIIで切断した場合の断面図である。
【
図9】
図9は、端子ピンに含まれるスリーブを示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2における半導体装置の一部を示す概略斜視図である。
【
図15】
図15は、
図12に示す半導体装置において、枠体の一部のみを示す概略平面図である。
【
図16】
図16は、実施の形態3における半導体装置の一部を示す概略斜視図である。
【
図20】
図20は、
図16に示す領域において、実施の形態3の半導体装置に含まれる枠体のみを示す概略斜視図である。
【
図21】
図21は、さらに他の実施の形態に係る半導体装置に含まれる端子ピンの一部を示す概略斜視図である。
【
図23】
図23は、さらに他の実施の形態に係る半導体装置に含まれる端子ピンの一部を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る半導体装置は、本開示に従った半導体装置は、第1主面を含み、回路パターンを有する基板と、回路パターン上に配置される半導体チップと、第1主面に交差する方向に立ち上がる壁部を含み、基板の外周を取り囲む枠体と、棒状であって、一方の端部が回路パターンに取り付けられ、回路パターンから立ち上がるよう配置される導電性の端子ピンと、を備える。壁部は、基板の厚さ方向に見て、枠体によって取り囲まれた空間側に膨らむ厚肉領域を含む。厚肉領域は、基板の厚さ方向に貫通し、端子ピンを貫通させる貫通孔を含む。端子ピンは、端子ピンの延びる方向と交差する方向に突出し、貫通孔内に配置される第1突出部を含む。
【0011】
本開示の半導体装置によると、枠体に含まれる壁部は、端子ピンを貫通させる貫通孔が形成された厚肉領域を含む。貫通孔内には、第1突出部が配置される。よって、端子ピンの先端に横方向から荷重が負荷された場合、第1突出部と貫通孔を構成する壁面とが接触して、この接触部分に応力がかかることになる。そうすると、基板に取り付けられた側の端部である端子ピンの一方の端部にかかる応力を低減することができる。よって、基板と端子ピンとを接合するはんだにクラックが発生するおそれを低減することができる。また、枠体に含まれる壁部が厚肉領域を含むため、端子ピンを支持する部分を枠体として一体とすることができる。よって、このような半導体装置によると、信頼性の向上を図ると共に、生産性の向上を図ることができる。
【0012】
上記半導体装置において、第1突出部と貫通孔を構成する壁面とは、接触していてもよい。このようにすることにより、端子ピンに横方向の荷重が負荷された際に、確実に第1突出部と貫通孔を構成する壁面とが接触する部分に応力がかかるようにすることができる。よって、端子ピンの一方の端部に応力がかかるおそれをより低減することができ、より、信頼性の向上を図ることができる。
【0013】
上記半導体装置において、第1突出部と貫通孔を構成する壁面との間に、隙間を有してもよい。このようにすることにより、製造時において、貫通孔に端子ピンを貫通させる際に、より容易に端子ピンを貫通させることができる。よって、より生産性の向上を図ることができる。
【0014】
上記半導体装置において、端子ピンは、第1突出部と端子ピンの他方の端部との間であって、貫通孔の外に配置され、端子ピンの延びる方向と交差する方向に突出する第2突出部を含んでもよい。貫通孔は、第2突出部を受け入れる形状であってもよい。このようにすることにより、端子ピンと他の部材とを接続する際に、第2突出部を利用することができる。貫通孔は、第2突出部を受け入れる形状であるため、端子ピンを貫通孔に貫通させる際に、貫通孔を構成する壁面と第2突出部とが干渉することがない。よって、利便性の向上を図ることができる。
【0015】
上記半導体装置において、基板の厚さ方向に見て、第1突出部の突出する方向と第2突出部の突出する方向とは、異なってもよい。このようにすることにより、第2突出部の突出する方向を任意に定めることができ、より利便性の向上を図ることができる。
【0016】
上記半導体装置において、端子ピンは、中空円筒状であって、両端部に鍔部を有し、一方の鍔部が回路パターンに接合されるスリーブと、スリーブ内に圧入される軸部と、を含んでもよい。第1突出部は、他方の鍔部を含んでもよい。このようにすることにより、スリーブの他方の鍔部を利用して、スリーブの他方の鍔部と貫通孔を構成する壁面とを接触させ、端子ピンの一方の端部に応力がかかるおそれを低減することができる。よって、信頼性の向上を図ることができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の半導体装置の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0018】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における半導体装置の構成について説明する。
図1は、実施の形態1における半導体装置の概略斜視図である。
図2は、
図1に示す半導体装置を放熱板の厚さ方向に見た場合の概略平面図である。
図3は、
図1に示す半導体装置の分解斜視図である。
図4は、
図1中のIVで示す領域の拡大図である。
図5は、
図4に示す領域において、後述する枠体を破線で示した図である。
図6は、
図4に示す領域において、枠体の図示を省略した図である。
【0019】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5および
図6を参照して、実施の形態1における半導体装置11aは、放熱板12と、放熱板12上に配置される枠体13と、放熱板12上に配置される基板17a,17bと、板状の電極(バスバー)19a,19b,19c,19dと、コンデンサ18a,18bと、半導体チップ21a,21b,21c,21d,21e,21f,22a,22b,22c,22d,22e,22fと、端子ピン41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hと、を備える。放熱板12および枠体13によって、半導体装置11aに備えられるケース20が構成される。放熱板12および枠体13によって構成されるケース20内の空間30には、図示しない樹脂が充填される。樹脂の種類としては、たとえばエポキシ樹脂やシリコーンゲル、ウレタン樹脂が選択される。
【0020】
放熱板12は、金属製である。放熱板12は、たとえば銅製である。放熱板12の表面には、ニッケル等のめっき処理が施されてもよい。放熱板12の外形形状は、厚さ方向に見て、X方向に延びる辺を長辺とし、Y方向に延びる辺を短辺とした長方形である。基板17a,17bはそれぞれ、放熱板12の一方の主面12a上に図示しないはんだ等によって接合される。放熱板12の他方の主面12bには、たとえば、放熱を効率的に行う放熱フィン(図示しない)等が取り付けられる場合がある。放熱板12の厚さ方向および基板17aの厚さ方向は、Z方向である。
【0021】
基板17aは、絶縁性を有する絶縁板14aと、導電性を有する回路パターン16aと、を有する。基板17aは、第1主面31aを有する(特に
図4参照)。第1主面31aは、絶縁板14aの厚さ方向において、放熱板12と反対側に位置する主面である。回路パターン16aは、絶縁板14aの上に配置される。基板17aは、絶縁板14aの上に回路パターン16aを積層した構成である。回路パターン16aは、複数の回路板から構成される。本実施形態においては、回路パターン16aは、第1回路板15aと、第2回路板15bと、第3回路板15cと、第4回路板15dと、第5回路板15eと、第6回路板15fと、を含む。本実施形態においては、回路パターン16aは、銅配線である。基板17aと同様に、基板17bは、絶縁性を有する絶縁板14bと、銅配線である回路パターン16bと、を有する。基板17bは、第1主面31bを有する(特に
図4参照)。回路パターン16bは、第7回路板15gと、第8回路板15hと、第9回路板15iと、第10回路板15jと、第11回路板15kと、を含む。
【0022】
コンデンサ18aは、一方の電極と、他方の電極とを含む。一方の電極が、第5回路板15eと接合され、他方の電極が、第6回路板15fと接合される。コンデンサ18bも同様に、一方の電極および他方の電極を含み、一方の電極が第10回路板15jと接合され、他方の電極が第11回路板15kと接合される。
【0023】
半導体チップ21a,21b,21c,22a,22b,22cは、第1回路板15a上に配置される。半導体チップ21d,21e,21f,22d,22e,22fは、第7回路板15g上に配置される。半導体チップ21a,21b,21c,21d,21e,21f,22a,22b,22c,22d,22e,22fは、ワイドバンドギャップ半導体チップである。ワイドバンドギャップ半導体チップとは、バンドギャップがシリコンよりも大きい材質から構成される半導体層を動作層として有する半導体チップをいう。ワイドバンドギャップ半導体チップは、たとえば、炭化ケイ素、窒化ガリウムまたは酸化ガリウムから構成される半導体層を動作層として有する。このようなワイドバンドギャップ半導体チップは、絶縁破壊電圧が高く、ドリフト層の抵抗を小さくできることからオン抵抗を小さくすることができる。半導体チップ21a,21b,21c,21d,21e,21fは、たとえばショットキーバリアダイオード(SBD)である。半導体チップ22a,22b,22c,22d,22e,22fは、たとえば金属-酸化物-半導体電界効果型トランジスタ(MOSFET)である。
【0024】
枠体13は、放熱板12の一方の主面12aから立ち上がり、基板17aの厚さ方向に見て、基板17a,17bを取り囲むように放熱板12に取り付けられる。枠体13は、たとえば接着剤により放熱板12に固定される。枠体13は、たとえば絶縁性を有する樹脂製である。枠体13は、第1の壁部13aと、第2の壁部13bと、第3の壁部13cと、第4の壁部13dと、を含む。第1の壁部13aと第2の壁部13bとは、放熱板12の厚さ方向に見て放熱板12の短辺に対応する方向(Y方向)において対向して配置される。第3の壁部13cと第4の壁部13dとは、放熱板12の厚さ方向に見て放熱板12の長辺に対応する方向(X方向)において対向して配置される。枠体13に含まれる壁部13a,13b,13c,13dはそれぞれ、第1主面31aに交差する方向に立ち上がる。具体的には、壁部13a,13b,13c,13dは、第1主面31a,31bに対して垂直に立ち上がる。枠体13の具体的な構成については、後に詳述する。枠体13は、壁部13aの内壁面27aと、内壁面27aに対向する壁部13cの内壁面27bと、内壁面27aおよび内壁面27bと連なる壁部13bの内壁面27cと、内壁面27aおよび内壁面27bと連なり、内壁面27cと対向する壁部13dの内壁面27dと、を含む。
【0025】
電極19a,19b,19c,19dはそれぞれ、板状であって、金属製である。電極19a,19bは、第3の壁部13cに取り付けられている。電極19c,19dは、第4の壁部13dに取り付けられている。電極19a,19b,19c,19dは、それぞれ屈曲した帯状の形状を有する。本実施形態においては、電極19a,19b,19c,19dは、それぞれたとえば、帯状の銅板を折り曲げて形成される。半導体装置11aは、電極19a,19b,19c,19dによって外部との電気的な接続を確保する。
【0026】
電極19aと第1回路板15aとは、ワイヤ23aで接続されている。電極19bと第2回路板15bとは、ワイヤ23bで接続されている。電極19cと第7回路板15gとは、ワイヤ23cで接続されている。電極19dと第7回路板15gとは、ワイヤ23dで接続されている。半導体チップ21aと半導体チップ22aとは、ワイヤ24aで接続されている。半導体チップ21bと半導体チップ22bとは、ワイヤ24bで接続されている。半導体チップ21cと半導体チップ22cとは、ワイヤ24cで接続されている。半導体チップ21dと半導体チップ22dとは、ワイヤ24dで接続されている。半導体チップ21eと半導体チップ22eとは、ワイヤ24eで接続されている。半導体チップ21fと半導体チップ22fとは、ワイヤ24fで接続されている。半導体チップ22aと第4回路板15dとは、ワイヤ25aで接続されている。半導体チップ22bと第4回路板15dとは、ワイヤ25bで接続されている。半導体チップ22cと第4回路板15dとは、ワイヤ25cで接続されている。半導体チップ22dと第8回路板15hとは、ワイヤ25dで接続されている。半導体チップ22eと第8回路板15hとは、ワイヤ25eで接続されている。半導体チップ22fと第8回路板15hとは、ワイヤ25fで接続されている。
【0027】
第2回路板15bと第8回路板15hとは、ワイヤ29aで接続されている。第4回路板15dと第7回路板15gとは、ワイヤ29bで接続されている。半導体チップ22a,22b,22cと第3回路板15cとは、それぞれワイヤ26aで接続されており、半導体チップ22d,22e,22fと第9回路板15iとは、それぞれワイヤ26bで接続されている(特に
図3参照)。ワイヤとして、アルミニウム太線を採用してもよいし、リボンワイヤを採用してもよい。
【0028】
端子ピン41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hは、外部との電気的な接続を確保するために設けられている。端子ピン41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hはそれぞれ、導電性であって、棒状である。端子ピン41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hはそれぞれ、回路パターン16a,16bから立ち上がるように回路パターン16a,16bに取り付けられている。具体的には、端子ピン41aの一方の端部は、第3回路板15cに接合されている。端子ピン41bの一方の端部は、第4回路板15dに接合されている。端子ピン41cの一方の端部は、第5回路板15eに接合されている。端子ピン41dの一方の端部は、第6回路板15fに接合されている。端子ピン41eの一方の端部は、第9回路板15iに接合されている。端子ピン41fの一方の端部は、第8回路板15hに接合されている。端子ピン41gの一方の端部は、第10回路板15jに接合されている。端子ピン41hの一方の端部は、第11回路板15kに接合されている。回路パターン16aに接合される端子ピン41a,41b,41c,41dはそれぞれ、X方向に間隔をあけて配置される。回路パターン16bに接合される端子ピン41e,41f,41g,41hはそれぞれ、X方向に間隔をあけて配置される。なお、端子ピン41e,41f,41g,41hのそれぞれの他方の端部である先端部42e,42f,42g,42hはそれぞれ自由端であり、フリーな状態となっている。他の端子ピン41a,41b,41c,41dについても同様である。端子ピン41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hの延びる方向は、Z方向である。
【0029】
次に、端子ピン41hの具体的な構成について説明する。
図7は、端子ピン41hの一部を示す拡大斜視図である。
図8は、
図7中のVIII-VIIIで切断した場合の断面図である。
図9は、端子ピン41hに含まれるスリーブを示す概略斜視図である。
図7、
図8および
図9を併せて参照して、端子ピン41hは、端子ピン41hの延びる方向であるZ方向に延びる軸部43hと、第1突出部44hと、第2突出部45h(特に
図5および
図6参照)と、スリーブ51hと、を含む。第1突出部44hは、端子ピン41hの延びる方向と交差する方向に突出する。本実施形態においては、第1突出部44hは、軸部43に対してX方向に突出している。第1突出部44hは、端子ピン41hの延びる方向に垂直な平面(X-Y平面)で切断した断面において、S字状となるように形成されている(特に
図8参照)。第1突出部44hは、X方向に弾性変形することができる。本実施形態においては、第1突出部44hは、後述する貫通孔36hに圧入される第1プレスフィット部となっている(特に
図5参照)。
【0030】
第2突出部45hは、Z方向において、第1突出部44hと先端部42hとの間に配置される。第2突出部45hは、端子ピン41hの延びる方向と交差する方向に突出する。本実施形態においては、第2突出部45hは、軸部43に対してX方向に突出している。すなわち、第1突出部44hおよび第2突出部45hはそれぞれ、同じX方向に突出している。また、第1突出部44hおよび第2突出部45hの突出する長さも同じである。第2突出部45hについても第1突出部44hと同様に、断面がS字状となるように形成されており、X方向に弾性変形することができる。本実施形態においては、第2突出部45hについても、他の部品に設けられた貫通孔に圧入される第2プレスフィット部となっている。
【0031】
スリーブ51hは、中空円筒状であって、筒状部52hと、筒状部52hの一方側の端部に形成され、径方向に延びる平板状の鍔部53hと、筒状部52hの他方側の端部に形成され、径方向に延びる平板状の鍔部54hと、を含む。鍔部53hは、Z方向の一方に位置する端面56hを含み、鍔部54hは、Z方向の他方に位置する端面57hを含む。筒状部52hの内壁面55hには、肉厚を減ずるようにZ方向に延びる複数の切り欠き58hが周方向に間隔をあけて形成されている。端子ピン41hは、筒状部52h内に軸部43hの一方の端部側が圧入されて構成されている。端子ピン41hは、スリーブ51hの鍔部54hの端面57hおよび軸部43hの一方の端部が、図示しないはんだにより第11回路板15kに接合されている。他の端子ピン41e,41f,41gも同様の構成である。すなわち、端子ピン41eは、軸部43eと、第1突出部44eと、第2突出部45eと、スリーブ51eと、を含む。端子ピン41fは、軸部43fと、第1突出部44fと、第2突出部45fと、スリーブ51fと、を含む。端子ピン41gは、軸部43gと、第1突出部44gと、第2突出部45gと、スリーブ51gと、を含む。また、他の端子ピン41a,41c,41dも同様の構成である。
【0032】
次に、枠体13の具体的な構成について説明する。枠体13に含まれる第2の壁部13bは、基板17a,17bの厚さ方向に見て、枠体13によって取り囲まれた空間30側に膨らむ厚肉領域33bを含む。
図10は、
図2中のXで示す領域を拡大して示す図である。
図11は、
図10で示す半導体装置11aにおいて、枠体13のみを示す図である。
図10および
図11を併せて参照して、厚肉領域33bは、基板17a,17bの厚さ方向に見て、長方形の形状となるように膨らんでいる。厚肉領域33bの上面34bは、第2の壁部13bの上面と連なっている。厚肉領域33bの下面35bは、基板17,17bの厚さ方向において回路パターン16bにまで至っておらず、内壁面27bと連なっている。厚肉領域33bは、基板17a,17bの厚さ方向に貫通する貫通孔36e,36f,36g,36hを含む。貫通孔36e,36f,36g,36hはそれぞれ、X方向に間隔をあけて厚肉領域33bに形成されている。貫通孔36e,36f,36g,36hを構成する壁面37e,37f,37g,37hの形状はそれぞれ、基板17a,17bの厚さ方向に見て、X方向の長さが長い長方形の形状である(特に
図10および
図11参照)。貫通孔36e,36f,36g,36hはそれぞれ、端子ピン41e,41f,41g,41hの第1突出部44e,44f,44g,44hおよび第2突出部45e,45f,45g,45hを受け入れる形状である。貫通孔36e,36f,36g,36hはそれぞれ、端子ピン41e,41f,41g,41hを貫通させる。第1突出部44e,44f,44g,44hはそれぞれ、貫通孔36e,36f,36g,36h内に配置される。この時、第1突出部44e,44f,44g,44hと貫通孔36e,36f,36g,36hを構成する壁面37e,37f,37g,37hとは、接触している。本実施形態においては、第1突出部44e,44f,44g,44hはそれぞれ、貫通孔36e,36f,36g,36hに圧入されている。
【0033】
また、枠体13に含まれる第1の壁部13aは、基板17a,17bの厚さ方向に見て、枠体13によって取り囲まれた空間30側に膨らむ厚肉領域33aを含む。上面34aおよび下面35aを有する厚肉領域33aの構成は、厚肉領域33bの構成と同様であり、厚肉領域33aは、基板17a,17bの厚さ方向に貫通し、端子ピン41a,41b,41c,41dを貫通させる貫通孔36a,36b,36c,36dを含む。端子ピン41a,41b,41c,41dの第1突出部はそれぞれ、厚肉領域33aの貫通孔36a,36b,36c,36dに圧入されている。
【0034】
次に、半導体装置11aの製造方法について、簡単に説明する。実施の形態1における半導体装置11aの製造方法では、基板搭載工程が実施される。この工程では、絶縁板14a,14bの回路パターン16a,16bに半導体チップ21a~21f,22a~22fを取り付けた基板17a,17bが放熱板12上に搭載される。この場合、基板17a,17bは、放熱板12上にはんだ等により接合される。なお、この時に、端子ピン41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hもそれぞれ、はんだにより回路パターン16a,16bに接合される。
【0035】
その後、別途製造された枠体13を取り付ける枠体取り付け工程が実施される。この工程では、基板17a,17bを取り囲むようにして枠体13が取り付けられる。枠体13は、放熱板12上に接着剤等により取り付けられる。ここで、枠体13の取り付けに際しては、回路パターン16a,16bに取り付けられた端子ピン41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hをそれぞれ、厚肉領域33a,33bに形成された貫通孔36a,36b,36c,36d,36e,36f,36g,36hに貫通させるようにして枠体13を取り付ける。この時、端子ピン41e,41f,41g,41hの第1突出部44e,44f,44g,44hはそれぞれ、厚肉領域33bの貫通孔36e,36f,36g,36hに圧入され、貫通孔36e,36f,36g,36h内に配置される。また、この時、端子ピン41a,41b,41c,41dの第1突出部はそれぞれ、厚肉領域33aの貫通孔36a,36b,36c,36dに圧入され、貫通孔36a,36b,36c,36d内に配置される。
【0036】
その後、各部材を電気的に接続する工程として、ワイヤ接合工程が実施される。この工程では、ワイヤボンディング等を利用して、ワイヤ23aにより電極19aと第1回路板15aとを接合して、電極19aと第1回路板15aとを電気的に接続する。その他、ワイヤ23b等により各部材を接合する。
【0037】
次に、放熱板12および枠体13によって構成されるケース20内の空間30に樹脂を注入し、注入した樹脂を硬化させる。硬化完了後、実施の形態1における半導体装置11aを得る。
【0038】
このような半導体装置11aによると、枠体13に含まれる壁部13bは、端子ピン41e,41f,41g,41hを貫通させる貫通孔36e,36f,36g,36hが形成された厚肉領域33bを含む。貫通孔36e,36f,36g,36h内には、第1突出部44e,44f,44g,44hが配置される。よって、端子ピン41e,41f,41g,41hの先端に横方向から荷重が負荷された場合、第1突出部44e,44f,44g,44hと貫通孔36e,36f,36g,36hを構成する壁面37e,37f,37g,37hとが接触して、この接触部分に応力がかかることになる。そうすると、基板17bに取り付けられた側の端部である端子ピン41e,41f,41g,41hの一方の端部にかかる応力を低減することができる。よって、基板17bと端子ピン41e,41f,41g,41hとを接合するはんだにクラックが発生するおそれを低減することができる。同様に、枠体13に含まれる壁部13aは、端子ピン41a,41b,41c,41dを貫通させる貫通孔36a,36b,36c,36dが形成された厚肉領域33aを含むため、基板17aと端子ピン41a,41b,41c,41dとを接合するはんだにクラックが発生するおそれを低減することができる。また、枠体13に含まれる壁部13bが厚肉領域33a,33bを含むため、端子ピン41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hを支持する部分を枠体13として一体とすることができる。よって、このような半導体装置11aによると、信頼性の向上を図ると共に、生産性の向上を図ることができる。
【0039】
本実施形態においては、端子ピン41e,41f,41g,41hの第1突出部44e,44f,44g,44hと貫通孔36e,36f,36g,36hを構成する壁面37e,37f,37g,37hとは、接触している。よって、端子ピン41e,41f,41g,41hに横方向の荷重が負荷された際に、確実に第1突出部44e,44f,44g,44hと貫通孔36e,36f,36g,36hを構成する壁面37e,37f,37g,37hとが接触する部分に応力がかかるようにすることができる。よって、端子ピン41e,41f,41g,41hの一方の端部に応力がかかるおそれをより低減することができる。同様に、端子ピン41a,41b,41c,41dの第1突出部と貫通孔36e,36f,36g,36hを構成する壁面とは、接触しているため、端子ピン41a,41b,41c,41dの一方の端部に応力がかかるおそれをより低減することができる。したがって、このような半導体装置11aは、より信頼性の向上を図ることができる半導体装置となっている。
【0040】
本実施形態においては、端子ピン41e,41f,41g,41hは、第1突出部44e,44f,44g,44hと端子ピン41e,41f,41g,41hの他方の端部との間であって、貫通孔36e,36f,36g,36hの外に配置され、端子ピン41e,41f,41g,41hの延びる方向と交差する方向に突出する第2突出部45e,45f,45g,45hを含む。よって、端子ピン41e,41f,41g,41hと他の部材とを接続する際に、第2突出部45e,45f,45g,45hを利用することができる。貫通孔36e,36f,36g,36hは、第2突出部45e,45f,45g,45hを受け入れる形状であるため、端子ピンを貫通孔36e,36f,36g,36hに貫通させる際に、貫通孔36e,36f,36g,36hを構成する壁面37e,37f,37g,37hと第2突出部45e,45f,45g,45hとが干渉することがない。同様に、端子ピン41a,41b,41c,41dは、第1突出部と端子ピン41a,41b,41c,41dの他方の端部との間であって、貫通孔36a,36b,36c,36dの外に配置され、端子ピン41a,41b,41c,41dの延びる方向と交差する方向に突出する第2突出部を含む。よって、端子ピン41a,41b,41c,41dと他の部材とを接続する際に、第2突出部を利用することができる。よって、このような半導体装置11aは、利便性の向上を図ることができる半導体装置となっている。
【0041】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図12は、実施の形態2における半導体装置の一部を示す概略斜視図である。
図13は、
図12に示す半導体装置において、枠体の図示を省略した図である。
図14は、
図12に示す半導体装置の一部を拡大して示す概略平面図である。
図15は、
図12に示す半導体装置において、枠体の一部のみを示す概略平面図である。実施の形態2の半導体装置は、第1突出部の突出する方向と第2突出部突出する方向とが異なる点および貫通孔の形状が異なる点において実施の形態1の場合と異なっている。
【0042】
図12、
図13、
図14および
図15を参照して、実施の形態2における半導体装置11bに含まれる端子ピン41e,41f,41g,41hはそれぞれ、第1突出部46e,46f,46g,46hと、第2突出部45e,45f,45g,45hと、を含む。基板17a,17bの厚さ方向に見て、第1突出部46e,46f,46g,46hの突出する方向はそれぞれ、実施の形態1における半導体装置11aの場合とは異なり、第2突出部45e,45f,45g,45hの突出する方向と異なる。具体的には、第1突出部46e,46f,46g,46hの突出する方向は、Y方向であり、第2突出部45e,45f,45g,45hの突出する方向と直交する。
【0043】
上面34bおよび下面35bを有する厚肉領域33bに形成される貫通孔38e,38f,38g,38hの形状は、基板17a,17bの厚さ方向に見て、X方向に長い長方形の形状を有する壁面39e,39f,39g,39hとY方向に長い長方形の形状を有する壁面40e,40f,40g,40hとが組み合わされた形状である。貫通孔38e,38f,38g,38hは、第1突出部46e,46f,46g,46hおよび第2突出部45e,45f,45g,45hを受け入れる形状である。具体的には、第1突出部46e,46f,46g,46hは、貫通孔38e,38f,38g,38hの壁面39e,39f,39g,39hと接触している。また、Z方向に見て、第2突出部45e,45f,45g,45hの外形形状よりも壁面40e,40f,40g,40hで囲まれる空間の方が大きく構成されている。
【0044】
このような半導体装置11bによれば、第2突出部45e,45f,45g,45hの突出する方向を任意に定めることができる。したがって、このような半導体装置11bは、より利便性の向上を図ることができる半導体装置となっている。また、本実施形態によると、Z方向に見て、壁面40e,40f,40g,40hで囲まれる空間の方が第2突出部5e,45f,45g,45hの外形形状よりも大きい。よって、枠体13の取り付け時において端子ピン41e,41f,41g,41hを貫通孔38e,38f,38g,38hに貫通させる際に、第2突出部5e,45f,45g,45hと壁面40e,40f,40g,40hとの干渉を回避して、より円滑に端子ピン41e,41f,41g,41hを貫通孔38e,38f,38g,38hに貫通させることができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、第1突出部46e,46f,46g,46hの突出する方向は、第2突出部45e,45f,45g,45hの突出する方向と直交することとしたが、これに限らず、基板17a,17bの厚さ方向に見て、第1突出部46e,46f,46g,46hの突出する方向と第2突出部45e,45f,45g,45hの突出する方向とのなす角度が、たとえば鋭角であってもよい。
【0046】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。
図16は、実施の形態3における半導体装置の一部を示す概略斜視図である。
図17は、
図16に示す領域の概略断面図である。
図17は、X-Z平面に平行な平面で切断した場合の断面図である。
図18は、
図17中のXVIIIで示す領域の拡大図である。
図19は、
図16に示す領域において、枠体の図示を省略した図である。
図20は、
図16に示す領域において、実施の形態3の半導体装置に含まれる枠体のみを示す概略斜視図である。実施の形態3の半導体装置は、第1突出部の構成および貫通孔の構成が実施の形態1の場合と異なっている。
【0047】
図16、
図17、
図18、
図19および
図20を参照して、実施の形態3における半導体装置11cに含まれる端子ピン41e,41f,41g,41hは、端子ピン41e,41f,41g,41hの延びる方向であるZ方向に延びる軸部43e,43f,43g,43hと、第2突出部45e,45f,45g,45hと、スリーブ51e,51f,51g,51hと、を含む。第2突出部45e,45f,45g,45hは、X方向に突出している。第2突出部45e,45f,45g,45hは、X方向に弾性変形することができる。本実施形態においては、第2突出部45e,45f,45g,45hについても、他の部品に設けられた貫通孔に圧入される第2プレスフィット部となっている。スリーブ51e,51f,51g,51hの構成は、実施の形態1に示す場合と同様である。
【0048】
上面34cおよび下面35cを有する厚肉領域33cに含まれ、基板17a,17bの厚さ方向に貫通する貫通孔61e,61f,61g,61hはそれぞれ、第1の壁面62e,62f,62g,62hと、第2の壁面63e,63f,63g,63hと、第3の壁面64e,64f,64g,64hとから構成されている。第1の壁面62e,62f,62g,62hは、上面35cからZ方向に真っ直ぐに延びている。第2の壁面63e,63f,63g,63hは、第1の壁面62と連なり、X-Y平面と平行である。第3の壁面64e,64f,64g,64hは、円錐面の一部を構成し、テーパ状である。第3の壁面64e,64f,64g,64hは、下面35cに向かって徐々に開口面積が大きくなっている。なお、実施の形態1および実施の形態2の場合と異なり、厚肉領域33cの上面34cは、内壁面27bと連なっている。
【0049】
半導体装置11cに含まれる端子ピン41e,41f,41g,41hの第1突出部は、他方の鍔部53e,53f,53g,53hを含む。本実施形態においては、半導体装置11cに含まれる端子ピン41e,41f,41g,41hの第1突出部は、スリーブ51e,51f,51g,51hの他方の鍔部53e,53f,53g,53hである。この場合、鍔部53e,53f,53g,53hの径方向の端部59e,59f,59g,59hが第3の壁面64e,64f,64g,64hと接触する。また、鍔部53e,53f,53g,53hの端面56e,56f,56g,56hが第2の壁面63e,63f,63g,63hと接触する。
【0050】
本実施形態においては、スリーブ51e,51f,51g,51hの他方の鍔部53e,53f,53g,53hを利用して、スリーブ51e,51f,51g,51hの他方の鍔部53e,53f,53g,53hと貫通孔61e,61f,61g,61hを構成する第2の壁面63e,63f,63g,63hとを接触させ、端子ピン41e,41f,41g,41hの一方の端部に応力がかかるおそれを低減することができる。よって、このような半導体装置11cは、信頼性の向上を図ることができる半導体装置となっている。なお、鍔部53e,53f,53g,53hと第3の壁面64e,64f,64g,64hとは接触していてもよいし、接触していなくともよい。本実施形態においては、鍔部53e,53f,53g,53hと第3の壁面64e,64f,64g,64hとは接触している。鍔部53e,53f,53g,53hと第3の壁面64e,64f,64g,64hとを接触させることにより、端子ピン41e,41f,41g,41hの厚肉領域33cに対するZ方向の移動を規制することができる。
【0051】
(他の実施の形態)
なお、実施の形態1および実施の形態2における第1突出部は、断面がS字状であることとしたが、これに限らず、第1突出部は、断面が長方形の形状を有していてもよい。
図21は、さらに他の実施の形態に係る半導体装置に含まれる端子ピンの一部を示す概略斜視図である。
図22は、
図21に示す端子ピンに含まれる第1突出部の概略断面図である。
【0052】
図21および
図22を参照して、実施の形態4に係る半導体装置に含まれる端子ピン41iは、第1突出部44iを含む。第1突出部44iは、断面が長方形の形状を有する。第1突出部44iは、X方向である長手方向に弾性変形が可能である。このような構成であってもよい。
【0053】
また、第1突出部は、断面が円形の形状を有していてもよい。
図23は、さらに他の実施の形態に係る半導体装置に含まれる端子ピンの一部を示す概略側面図である。
図24は、
図23中のXXIVで示す領域を拡大した概略斜視図である。
図25は、
図23に示す端子ピンに含まれる第1突出部の概略断面図である。
【0054】
図23、
図24および
図25を参照して、端子ピン41jは、軸部43jに対して突出する第1突出部44jを含む。第1突出部44jは、断面が円形の形状を有する。第1突出部44jは、径方向に弾性変形が可能である。このような構成であってもよい。
【0055】
なお、上記の実施の形態において、第1突出部と貫通孔を構成する壁面との間に、隙間を有してもよい。このようにすることにより、製造時において、貫通孔に端子ピンを貫通させる際に、より容易に端子ピンを貫通させることができる。よって、より生産性の向上を図ることができる。
【0056】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示の半導体装置は、生産性の向上および信頼性の向上を図ることが求められる場合に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0058】
11a,11b,11c 半導体装置
12 放熱板
12a,12b 主面
13 枠体
13a,13b,13c,13d 壁部
14a,14b 絶縁板
15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g,15h,15i,15j,15k 回路板
16a,16b 回路パターン、
17a,17b 基板
18a,18b コンデンサ
19a,19b,19c,19d 端子
20 ケース
21a,21b,21c,21d,21e,21f,22a,22b,22c,22d,22e,22f 半導体チップ
23a,23b,23c,23d,24a,24b,24c,24d,24e,24f,25a,25b,25c,25d,25e,25f,26a,26b,29a,29b ワイヤ
27a,27b,27c,27d,55h 内壁面
30 空間
31a,31b 第1主面
33a,33b,33c 厚肉領域
34a,34b,34c 上面
35a,35b,35c 下面
36a,36b,36c,36d,36e,36f,36g,36h,38e,38f,38g,38h,61e,61f,61g,61h 貫通孔
37a,37b,37c,37d,37e,37f,37g,37h,39e,39f,39g,39h,40e,40f,40g,40h,62e,62f,62g,62h,63e,63f,63g,63h,64e,64f,64g,64h 壁面
41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41h,41i,41j 端子ピン
42e,42f,42g,42h 先端部
43e,43f,43g,43h 軸部
44e,44f,44g,44h,44i,44j,46e,46f,46g,46h 第1突出部
45e,45f,45g,45h 第2突出部
51e,51f,51g,51h スリーブ
52h 筒状部
53e,53f,53g,53h,54h 鍔部
56e,56f,56g,56h,57h 端面
58h 切り欠き
59e,59f,59g,59h 端部