(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】量子デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H10N 60/80 20230101AFI20241008BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20241008BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H10N60/80 A
H01L21/60 301A
H01L23/12 F
(21)【出願番号】P 2020130625
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-06-07
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発/次世代コンピューティング技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山道 智博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英行
(72)【発明者】
【氏名】橋本 義仁
(72)【発明者】
【氏名】内山 愛子
【審査官】脇水 佳弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0178018(US,A1)
【文献】特開昭60-170944(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0340336(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 60/80
H01L 21/60
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座の主面に形成された凹部において吸引口が量子チップの底面に位置するように、前記台座に吸引管を取り付けるステップと、
前記凹部に対向するように前記台座の主面に前記量子チップを配置するステップと、
前記吸引管を介して前記量子チップを吸引することにより、前記吸引管の吸引口に前記量子チップを吸着させるステップと、
前記量子チップの信号線と、前記台座に配置された導波路とを、
ボンディングワイヤによって電気的に接続するステップと、
前記台座から前記吸引管を取りはずすステップと、
を備えた、
量子デバイスの製造方法であって、
前記量子チップを配置するステップでは、平面視して前記量子チップの全てが前記凹部の開口部に含まれるように、且つ、前記量子チップが前記吸引管のみによって支持されるように、当該量子チップを配置する、
量子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記吸引管は、前記台座と同じ金属材料によって構成されている、
請求項1に記載の量子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記台座から前記吸引管を取りはずすステップの後、前記量子チップは、ボンディングワイヤのみによって支持されている、
請求項1に記載の量子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記量子チップは、少なくとも一部が超伝導材料によって構成されている、
請求項1に記載の量子デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダ、量子デバイス、及び、量子デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、量子計算機を構成する超伝導回路は、超伝導体と当該超伝導体が蒸着された絶縁体とを備えた量子チップに実装される。そして、量子チップは、外部の電磁的な擾乱を受けないようにするため、金属製のホルダに格納される。このとき、量子チップは、接着剤等によってホルダに固定され、量子チップの信号線と、ホルダ上に設けられた導波路(又は、ホルダ上に設けられたPCBに含まれる導波路)とは、ボンディングワイヤ等によって電気的に接続される。
【0003】
しかしながら、このような構造では、量子チップに接するホルダの金属面と、量子チップに形成された超伝導体と、によってキャパシタが形成されてしまうため、誘電ロスによって内部Q値が低下したりボックス共振が発生したりしてしまうという課題があった。つまり、このような構造では、量子チップの品質が低下してしまうという課題があった。
【0004】
このような課題に対する解決策は、例えば非特許文献1に開示されている。非特許文献1には、量子チップに形成された超伝導体に対向するホルダの金属面のうち、量子チップの四隅を支える金属面以外の金属面を座繰り加工によって削減することが開示されている。座繰り加工により、量子チップに接するホルダの金属面と、量子チップに形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成が抑制されるため、誘電ロスによって内部Q値が低下したりボックス共振が発生したりするのを防ぐことができる。
【0005】
しかしながら、非特許文献1の構造では、量子チップが、座繰り加工によって形成された空間領域に落下したり、傾いて配置されたりする恐れがある。つまり、非特許文献1の構造では、量子チップの安定性を確保するのが困難であるという課題があった。
【0006】
このような課題に対する解決策は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1には、チップ搭載面に開口する真空吸着孔が設けられたボンディングステージが開示されている。このボンディングステージは、真空ポンプを用いて真空吸着孔を介して真空吸着を行うことにより、チップ搭載面に搭載されたチップを固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】B. Lienhard, et. al., arXiv:1906.05425v1 [quant-ph] 12 Jun 2019, Microwave Packaging for Superconducting Qubits
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の構造では、真空吸着孔を形成する周囲の金属と、量子チップに形成された超伝導体と、によってキャパシタが形成されてしまうため、依然として、誘電ロスによって内部Q値が低下したりボックス共振が発生したりしてしまうという課題があった。つまり、特許文献1では、依然として量子チップの品質が低下してしまう、という課題があった。
【0010】
本開示の目的の一つは、上述した課題を解決するホルダ、量子デバイス、及び、量子デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施の形態によれば、量子デバイスは、量子チップと、ホルダと、を備え、前記ホルダは、台座と、前記量子チップに対向するように前記台座の主面に形成された凹部と、前記凹部において開口部が前記量子チップの底面に位置するように設けられた管と、を備える。
【0012】
一実施の形態によれば、ホルダは、台座と、前記量子チップに対向するように前記台座の主面に形成された凹部と、前記凹部において開口部が前記量子チップの底面に位置するように設けられた管と、を備える。
【0013】
一実施の形態によれば、量子デバイスの製造方法は、台座の主面に形成された凹部において吸引口が量子チップの底面に位置するように、前記台座に吸引管を取り付けるステップと、前記凹部に対向するように前記台座の主面に前記量子チップを配置するステップと、前記吸引管を介して前記量子チップを吸引することにより、前記吸引管の吸引口に前記量子チップを吸着させるステップと、前記量子チップの信号線と、前記台座に配置された導波路とを、電気的に接続するステップと、前記台座から前記吸引管を取りはずすステップと、を備える。
【発明の効果】
【0014】
前記一実施の形態によれば、搭載される量子チップの安定性を確保しつつ、量子チップの品質を向上させることが可能なホルダ、量子デバイス、及び、量子デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態1に係るホルダの一例を示す概略平面図及び概略断面図である。
【
図2】
図1に示すホルダを用いた量子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図1に示すホルダを用いた量子デバイスの製造方法を説明するための概略断面図である。
【
図4】実施の形態2に係るホルダの一例を示す概略平面図及び概略断面図である。
【
図5】
図4に示すホルダを用いた量子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】
図4に示すホルダを用いた量子デバイスの製造方法を説明するための概略断面図である。
【
図7】実施の形態3に係るホルダの第1形態を示す概略平面図及び概略断面図である。
【
図8】実施の形態3に係るホルダの第2形態を示す概略平面図及び概略断面図である。
【
図9】
図7及び
図8に示すホルダを用いた量子デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図7及び
図8に示すホルダを用いた量子デバイスの製造方法を説明するための概略断面図である。
【
図11】
図8に示すホルダの変形例を示す概略平面図及び概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について説明する。なお、図面は簡略的なものであるから、この図面の記載を根拠として実施の形態の技術的範囲を狭く解釈してはならない。また、同一の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。ただし、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0018】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(動作ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0019】
以下、量子コンピューティングとは、量子力学的な現象(量子ビット)を用いてデータを操作する領域のことである。量子力学的な現象とは、複数の状態の重ね合わせ(量子変数が複数の異なる状態を同時にとること)、もつれ(複数の量子変数が空間または時間に関わらず関係する状態)などである。量子チップには、量子ビットを生成する量子回路が設けられている。
【0020】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係るホルダ1の一例を示す概略平面図及び概略断面図である。なお、
図1の概略断面図は、
図1の概略平面図のI―I’部分を切り出して横方向(x軸方向)から見たものである。
【0021】
ホルダ1は、量子チップ51を格納する装置であって、外部の電磁的な攪乱から量子チップ51を保護する役割を果たす。量子チップ51は、超伝導体と、当該超伝導体が蒸着された絶縁体と、を少なくとも備え、極低温の環境下に置かれることで、超伝導現象を利用した動作を実現することができる。以下、具体的に説明する。
【0022】
なお、以下の説明において、超伝導材料とは、例えば、ニオブ(Nb)、ニオブ窒化物(NbN)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、チタン窒化物(TiN)、タンタル(Ta)、及び、これらの何れかを含む合金等の金属材料のことである。
【0023】
図1に示すように、ホルダ1は、台座11と、吸引管13と、を少なくとも備える。
【0024】
台座11は、軸方向が鉛直方向(z軸方向)の円柱形状を有し、その上面(主面)には、量子チップ51等の配置が可能となっている。
【0025】
本例では、台座11が、台座底部11aと、台座上部11bと、によって構成されている。台座底部11aは、軸方向が鉛直方向の円柱形状を有し、その中心軸には、底面から上面にかけて貫通する貫通孔が設けられている。この貫通孔には、吸引管13が挿入可能になっている。台座上部11bは、台座底部11aと同じく軸方向が鉛直方向の円柱形状を有し、台座底部11aの上面に配置されている。台座上部11bの上面(主面)のうち、中央領域には、量子チップ51の配置が可能となっており、その周辺領域には、導波路を含むPCB(Printed Circuit Board)52の配置が可能となっている。なお、導波路を含むPCB52の代わりに、導波路が直接配置されても良い。
【0026】
台座11は、例えば、銅(Cu)又はアルミニウム(Al)を主成分とする金属材料によって構成されている。銅を主成分とする場合、当該銅には、磁化防止のため、無酸素銅が用いられることが好ましい。さらに、無酸素銅の表面には、酸化防止のため、金めっきされることが好ましい。なお、金めっき化により、PCBとの密着性を向上させることもできる。また、アルミニウムを主成分とする場合、当該アルミニウムは、アルマイト処理によって絶縁化されても良い。
【0027】
ここで、台座11の上面(台座上部11bの上面)のうち、量子チップ51の配置領域には、座繰り加工が施されている。換言すると、台座11の上面のうち、量子チップ51の配置領域には、凹形状の凹部(空間領域)12が形成されている。
【0028】
本例では、凹部12が、台座上部11bの中心軸を含む領域において、台座上部11bの対面から上面にかけて、且つ、台座底部11aの貫通孔に連なるようにして形成されている。また、凹部12は、平面視して、その形成領域が量子チップ51の配置領域の一部を含まないように(換言すると、台座上部11bの一部がチップ支持部11cとして量子チップ51を部分的に支持するように)、形成されている。本例では、台座上部11bの一部が、チップ支持部11cとして、矩形状の量子チップ51の4つの角部を支持するように形成されている。それにより、量子チップ51の4つの角部以外の領域下には、台座11の金属面は形成されなくなるため、台座11の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成は抑制される。
【0029】
なお、台座底部11a及び台座上部11bは、一つの部材によって一体形成されていても良い。
【0030】
吸引管13は、台座11に対して着脱可能に構成されている。吸引管13は、台座11に取り付けられた状態では、台座11の底面から台座底部11aの貫通孔を介して凹部12にかけて、且つ、凹部12において吸引口(開口部)が量子チップ51の底面に位置するように、取り付けられている。なお、吸引管13は、例えば台座11と同じ金属材料によって構成されている。
【0031】
例えば、量子チップ51のホルダ1への格納時、吸引管13は、台座11に取り付けられる。その後、台座11の上面に量子チップ51が配置されると、吸引管13を介して量子チップ51を吸引(真空引き)することにより、吸引管13の吸引口に量子チップ51を吸着させる。それにより、量子チップ51は、チップ支持部11cによって4つの角部が支持されるだけでなく、吸引管13による吸着によって固定される。そのため、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路との間のワイヤボンディングは、量子チップ51の安定性が確保された状態で実施することができる。
【0032】
量子チップ51のホルダ1への格納後(ワイヤボンディング後)、吸引管13は、台座11から取り外される。それにより、台座11の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成が抑制されるだけでなく、吸引管13を構成する金属材料と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成も抑制される。それにより、誘電ロスによる内部Q値の低下やボックス共振の発生が抑制されるため、測定中の量子チップ51の回路特性は向上する。なお、吸引管13が取り外された後は、量子チップ51は、チップ支持部11c及びボンディングワイヤ53によって支持されることになる。
【0033】
(量子デバイス100の製造方法)
続いて、
図2及び
図3を用いて、ホルダ1を用いた量子デバイス100の製造方法を説明する。
図2は、ホルダ1を用いた量子デバイス100の製造方法を示すフローチャートである。
図3は、ホルダ1を用いた量子デバイス100の製造方法を説明するための概略断面図である。
【0034】
まず、ホルダ1に吸引管13を取り付ける(ステップS101)。なお、このとき、吸引管13は、台座11の底面から台座底部11aの貫通孔を介して凹部12にかけて、且つ、凹部12において吸引口13aが量子チップ51の底面に位置するように、取り付けられる。
【0035】
その後、台座11の上面に、凹部12に対向するように量子チップ51を配置する(ステップS102)。また、量子チップ51の周辺領域には、導波路を含むPCB52を配置する。なお、導波路を含むPCB52の代わりに、導波路が直接配置されても良い。
【0036】
その後、吸引管13を介して量子チップ51を吸引することにより、吸引管13の吸引口13aに量子チップ51を吸着させる(ステップS103)。そして、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路とをボンディングワイヤ53によって接続する(ステップS104)。ここで、量子チップ51は、チップ支持部11cによって4つの角部が支持されているだけでなく、吸引管13による吸着によって固定されている。そのため、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路との間のワイヤボンディングは、量子チップ51の安定性が確保された状態で実施することができる。
【0037】
ワイヤボンディング後(即ち、量子チップ51のホルダ1への格納後)、吸引管13は、ホルダ1から取り外される(ステップS105)。それにより、台座11の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成が抑制されるだけでなく、吸引管13を構成する金属材料と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成も抑制される。それにより、誘電ロスによる内部Q値の低下やボックス共振の発生が抑制されるため、測定中の量子チップ51の回路特性は向上する。
【0038】
このような工程を経て、量子チップ51及びそれを格納するホルダ1を備えた量子デバイス100が製造される。
【0039】
このように、本実施の形態に係るホルダ1は、量子チップ51に対向するように台座11の主面に形成された凹部12と、着脱可能に構成され、且つ、凹部12において吸引口が量子チップ51の底面に位置するように設けられた吸引管13と、を備える。それにより、量子チップ51のホルダ1への格納時には、吸引管13による吸着によって量子チップ51を固定することができるため、量子チップ51の安定性が向上する。また、量子チップ51のホルダ1への格納後には、吸引管13をホルダ1から取り外すことにより、吸引管13を構成する金属材料と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成が抑制されるため、量子チップ51の回路特性が向上する。即ち、本実施の形態に係るホルダ1は、搭載される量子チップ51の安定性を確保しつつ、量子チップ51の品質を向上させることができる。
【0040】
本実施の形態では、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路とがボンディングワイヤ53によって接続された場合を例に説明したが、これに限られず、例えばプローブピンなどの他の部品を用いて接続されても良い。
【0041】
なお、ホルダ1には、量子チップ51を支持するための着脱可能な支持部材がさらに設けられても良い。この支持部材は、吸引管13とともに取り外されたり取り付けられたりする。
【0042】
<実施の形態2>
図4は、実施の形態2に係るホルダ2の一例を示す概略平面図及び概略断面図である。なお、
図4の概略断面図は、
図4の概略平面図のIV-IV’部分を切り出して横方向(x軸方向)から見たものである。
【0043】
図4に示すように、ホルダ2は、台座21と、吸引管23と、を少なくとも備える。
【0044】
台座21は、台座底部21aと、台座上部21bと、を有する。なお、ホルダ2における台座21及び吸引管23は、それぞれ、ホルダ1における台座11及び吸引管13に対応する。また、台座21における台座底部21a及び台座上部21bは、それぞれ、台座11における台座底部11a及び台座上部11bに対応する。
【0045】
また、台座21の上面(台座上部21bの上面)のうち、量子チップ51の配置領域には、座繰り加工が施されている。換言すると、台座21の上面のうち、量子チップ51の配置領域には、凹形状の凹部(空間領域)22が形成されている。なお、凹部22は、ホルダ1における凹部12に対応する。
【0046】
ここで、凹部22は、平面視して、その形成領域が量子チップ51の配置領域の全部を含むように、形成されている。即ち、台座上部21bには、量子チップ51を支持するためのチップ支持部11cが形成されない。それにより、量子チップ51の領域下には、台座21の金属面が形成されなくなるため、台座21の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成は、ホルダ1の場合よりもさらに抑制される。
【0047】
なお、台座底部21a及び台座上部21bは、一つの部材によって一体形成されていても良い。
【0048】
吸引管23は、台座21に対して着脱可能に構成されている。吸引管23は、台座21に取り付けられた状態では、台座21の底面から台座底部21aの貫通孔を介して凹部22にかけて、且つ、凹部22において吸引口が量子チップ51の底面に位置するように、取り付けられている。なお、吸引管23は、例えば台座21と同じ金属材料によって構成されている。
【0049】
例えば、量子チップ51のホルダ2への格納時、吸引管23は、台座21に取り付けられる。その後、台座21の上面に量子チップ51が配置されると、吸引管23を介して量子チップ51を吸引(真空引き)することにより、吸引管23の吸引口に量子チップ51を吸着させる。それにより、量子チップ51は、吸引管23による吸着によって固定される。そのため、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路との間のワイヤボンディングは、量子チップ51の安定性が確保された状態で実施することができる。
【0050】
量子チップ51のホルダ2への格納後(ワイヤボンディング後)、吸引管23は、台座21から取り外される。それにより、台座21の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成が抑制されるだけでなく、吸引管23を構成する金属材料と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成も抑制される。それにより、誘電ロスによる内部Q値の低下やボックス共振の発生が抑制されるため、測定中の量子チップ51の回路特性は向上する。なお、吸引管23が取り外された後は、量子チップ51は、ボンディングワイヤ53のみによって支持されることになる。
【0051】
ホルダ2のその他の構造については、ホルダ1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0052】
(量子デバイス200の製造方法)
続いて、
図5及び
図6を用いて、ホルダ2を用いた量子デバイス200の製造方法を説明する。
図5は、ホルダ2を用いた量子デバイス200の製造方法を示すフローチャートである。
図6は、ホルダ2を用いた量子デバイス200の製造方法を説明するための概略断面図である。
【0053】
まず、ホルダ2に吸引管23を取り付ける(ステップS201)。なお、このとき、吸引管23は、台座21の底面から台座底部21aの貫通孔を介して凹部22にかけて、且つ、凹部22において吸引口23aが量子チップ51の底面に位置するように、取り付けられる。
【0054】
その後、台座21の上面に、凹部22に対向するように量子チップ51を配置する(ステップS202)。また、量子チップ51の周辺領域には、導波路を含むPCB52を配置する。なお、導波路を含むPCB52の代わりに、導波路が直接配置されても良い。
【0055】
その後、吸引管23を介して量子チップ51を吸引することにより、吸引管23の吸引口23aに量子チップ51を吸着させる(ステップS203)。そして、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路とをボンディングワイヤ53によって接続する(ステップS204)。ここで、量子チップ51は、吸引管23による吸着によって固定されている。そのため、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路との間のワイヤボンディングは、量子チップ51の安定性が確保された状態で実施することができる。
【0056】
ワイヤボンディング後(即ち、量子チップ51のホルダ2への格納後)、吸引管23は、ホルダ2から取り外される(ステップS205)。それにより、台座21の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成が抑制されるだけでなく、吸引管23を構成する金属材料と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成も抑制される。それにより、誘電ロスによる内部Q値の低下やボックス共振の発生が抑制されるため、測定中の量子チップ51の回路特性は向上する。なお、吸引管23が取り外された後は、量子チップ51は、ボンディングワイヤ53のみによって支持されることになる。
【0057】
このような工程を経て、量子チップ51及びそれを格納するホルダ2を備えた量子デバイス200が製造される。
【0058】
このように、本実施の形態に係るホルダ2は、量子チップ51に対向するように台座11の主面に形成された凹部22と、着脱可能に構成され、且つ、凹部22において吸引口が量子チップ51の底面に位置するように設けられた吸引管23と、を備える。それにより、量子チップ51のホルダ2への格納時には、吸引管23による吸着によって量子チップ51を固定することができるため、量子チップ51の安定性が向上する。また、量子チップ51のホルダ2への格納後には、吸引管23をホルダ2から取り外すことにより、吸引管23を構成する金属材料と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成が抑制されるため、量子チップ51の回路特性が向上する。即ち、本実施の形態に係るホルダ2は、搭載される量子チップ51の安定性を確保しつつ、量子チップ51の品質を向上させることができる。
【0059】
なお、ホルダ2には、量子チップ51を支持するための着脱可能な支持部材がさらに設けられても良い。この支持部材は、吸引管23とともに取り外されたり取り付けられたりする。
【0060】
<実施の形態3>
続いて、実施の形態3に係るホルダ3について説明する。
図7は、実施の形態3に係るホルダ3の第1形態を示す概略平面図及び概略断面図である。
図8は、実施の形態3に係るホルダ3の第2形態を示す概略平面図及び概略断面図である。なお、
図7の概略断面図は、
図7の概略平面図のVII-VII’部分を切り出して横方向から見たものである。
図8の概略断面図は、
図8の概略平面
図VIII-VIII’部分を切り出して横方向から見たものである。本実施の形態に係るホルダ3では、台座の一部が付け替え可能に構成されている。以下、具体的に説明する。
【0061】
(ホルダ3の第1形態)
まず、
図7を用いて、ホルダ3の第1形態について説明する。なお、
図7に示すホルダ3の第1形態は、量子チップ51格納時におけるホルダ構造を表している。
【0062】
図7に示すように、ホルダ3の第1形態は、軸方向が鉛直方向(z軸方向)の円柱形状を有する台座31を備える。具体的には、台座31は、台座上部(台座本体)33と、着脱可能な台座底部32と、によって構成されている。
【0063】
台座上部33は、リング形状を有しており、中心軸を含む領域には、底面から上面にかけて貫通する空間領域33aが設けられている。台座底部32は、軸方向が鉛直方向の円柱形状を有する本体部32aと、本体部32aの上面において、台座上部33の空間領域33aに嵌合するように形成された凸部32bと、を有する。なお、台座底部32に設けられた凸部32bの上面は、台座11の上面の一部であって、量子チップ51を支持するチップ支持部としての役割を果たす。また、台座底部32には、台座31の底面から上面にかけて貫通する吸引管32cが設けられている。
【0064】
(ホルダ3の第2形態)
次に、
図8を用いて、ホルダ3の第2形態について説明する。なお、
図8に示すホルダ3の第2形態は、量子チップ51格納後のホルダ構造を表している。
【0065】
図8に示すように、ホルダ3の第2形態は、軸方向が鉛直方向の円柱形状を有する台座34を備え、さらに、台座34の上面のうち、量子チップ51の配置領域には、凹形状の凹部(空間領域)35cが設けられている。
【0066】
具体的には、台座34は、台座上部33と、着脱可能な台座底部35と、によって構成されている。ここで、台座34は、台座31の台座底部32を台座底部35に付け替えたものである。
【0067】
台座上部33は、既に説明したように、リング形状を有しており、中心軸を含む領域には、底面から上面にかけて貫通する空間領域33aが設けられている。台座底部35は、軸方向が鉛直方向の円柱形状を有する本体部35aと、本体部35aの上面において、台座上部33の空間領域33aに嵌合するように形成された凸部35bと、を有する。さらに、凸部35bの上面のうち、量子チップ51の配置領域には、凹形状の凹部35cが設けられている。
【0068】
この凹部35cは、平面視して、その形成領域が量子チップ51の配置領域の一部を含まないように(換言すると、台座底部35の凸部35bの一部がチップ支持部35dとして量子チップ51を部分的に支持するように)、形成されている。本例では、凸部35bの一部が、チップ支持部35dとして、矩形状の量子チップ51の4つの角部を支持するように形成されている。
【0069】
例えば、量子チップ51のホルダ3への格納時、台座上部33には、吸引管32cを持つ台座底部32が取り付けられる(即ち、台座31が用いられる)。その後、台座31の上面に量子チップ51が配置されると、吸引管32cを介して量子チップ51を吸引(真空引き)することにより、吸引管32cの吸引口に量子チップ51を吸着させる。それにより、量子チップ51は、凸部32bによって支持されるだけでなく、吸引管32cによる吸着によって固定される。そのため、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路との間のワイヤボンディングは、量子チップ51の安定性が確保された状態で実施することができる。
【0070】
量子チップ51のホルダ3への格納後(ワイヤボンディング後)、台座上部33には、凹部35cを持つ台座底部35が取り付けられる(即ち、台座34が用いられる)。それにより、量子チップ51の領域下には、凹部35cが形成され、台座34の金属面が形成されなくなるため、台座34の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成は抑制される。それにより、誘電ロスによる内部Q値の低下やボックス共振の発生が抑制されるため、測定中の量子チップ51の回路特性は向上する。なお、このとき、量子チップ51は、チップ支持部35d及びボンディングワイヤ53によって支持される。
【0071】
(量子デバイス300の製造方法)
続いて、
図9及び
図10を用いて、ホルダ3を用いた量子デバイス300の製造方法を説明する。
図9は、ホルダ3を用いた量子デバイス300の製造方法を示すフローチャートである。
図10は、ホルダ3を用いた量子デバイス300の製造方法を説明するための概略断面図である。
【0072】
まず、ホルダ3の台座上部33に、吸引管32cを持つ台座底部32を取り付ける(ステップS301)。即ち、
図7に示すような台座31を用意する。
【0073】
その後、台座31の上面に、量子チップ51を配置する(ステップS302)。また、量子チップ51の周辺領域には、導波路を含むPCB52を配置する。なお、導波路を含むPCB52の代わりに、導波路が直接配置されても良い。
【0074】
その後、吸引管32cを介して量子チップ51を吸引することにより、吸引管32cの吸引口に量子チップ51を吸着させる(ステップS303)。そして、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路とをボンディングワイヤ53によって接続する(ステップS304)。ここで、量子チップ51は、チップ支持部35dによって支持されるだけでなく、吸引管32cによる吸着によって固定されている。そのため、量子チップ51の信号線とPCB52の導波路との間のワイヤボンディングは、量子チップ51の安定性が確保された状態で実施することができる。
【0075】
ワイヤボンディング後(即ち、量子チップ51のホルダ3への格納後)、ホルダ3の台座上部33には、吸引管32cを持つ台座底部32の代わりに、凹部35cを持つ台座底部35が取り付けられる(ステップS305)。即ち、
図8に示すような台座34を用意する。
【0076】
それにより、量子チップ51の領域下には、凹部35cが形成され、台座34の金属面が形成されなくなるため、台座34の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成は抑制される。それにより、誘電ロスによる内部Q値の低下やボックス共振の発生が抑制されるため、測定中の量子チップ51の回路特性は向上する。なお、このとき、量子チップ51は、チップ支持部35d及びボンディングワイヤ53によって支持される。
【0077】
このような工程を経て、量子チップ51及びそれを格納するホルダ3を備えた量子デバイス300が製造される。
【0078】
このように、本実施の形態に係るホルダ3では、台座が、吸引管32cを持つ台座底部32(第1台座部品)と、凹部35cを持つ台座底部35(第2の台座部品)と、を交換可能に構成されている。それにより、量子チップ51のホルダ3への格納時には、吸引管32cによる吸着によって量子チップ51を固定することができるため、量子チップ51の安定性が向上する。また、量子チップ51のホルダ3への格納後には、量子チップ51の領域下に凹部35c(空間領域)を設けることにより、台座の金属面と、量子チップ51に形成された超伝導体と、によるキャパシタの形成が抑制されるため、量子チップ51の回路特性が向上する。即ち、本実施の形態に係るホルダ3は、搭載される量子チップ51の安定性を確保しつつ、量子チップ51の品質を向上させることができる。
【0079】
(ホルダ3の第2形態の変形例)
図11は、
図8に示すホルダ3の第2形態の変形例をホルダ3aとして示す概略平面図及び概略断面図である。なお、
図11の概略断面図は、
図11の概略平面図のXI-XI’部分を切り出して横方向から見たものである。
【0080】
図11に示すように、ホルダ3aでは、量子チップ51の4つの角部を支持するチップ支持部35dの代わりに、量子チップ51の中央部を支持する円柱形状のチップ支持部35eが設けられている。
図11に示すホルダ3aのその他の構造については、
図8に示すホルダ3の構造と同様であるため、その説明を省略する。
【0081】
このように、チップ支持部は、量子チップ51を支持できる範囲内で適宜変更可能である。
【0082】
以上、図面を参照して、本開示の実施の形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等が可能である。
【0083】
例えば、上述した各ホルダには、平面視して非対称なチップ支持部が追加で設けられても良い。それにより、対称性の高いボックス共振の発生が抑制される。その結果、量子チップ51の回路特性が向上するとともに、量子チップ51の冷却性能も向上する。
【0084】
また、台座の全体形状は、円柱形状に限られず、長円柱状、楕円柱状、多角形状などの他の形状であってもよい。同様に、吸引管の形状は、円筒形状に限られず、他の筒状の形状であってもよい。
【0085】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0086】
(付記1)
量子チップと、
ホルダと、
を備え、
前記ホルダは、
台座と、
前記量子チップに対向するように前記台座の主面に形成された凹部と、
前記凹部において開口部が前記量子チップの底面に位置するように設けられた管と、
を備えた、量子デバイス。
【0087】
(付記2)
前記管は、前記台座に対して着脱可能に構成されている、
付記1に記載の量子デバイス。
【0088】
(付記3)
前記台座に配置された導波路と、
前記量子チップと前記導波路とを接続するボンディングワイヤと、
をさらに備えた、
付記1又は2に記載の量子デバイス。
【0089】
(付記4)
前記凹部は、平面視して、前記量子チップの配置領域の全部を含むように形成されている、
付記3に記載の量子デバイス。
【0090】
(付記5)
前記凹部は、前記台座の一部が前記量子チップを支持するように形成されている、
付記1~3の何れか一項に記載の量子デバイス。
【0091】
(付記6)
前記量子チップは、少なくとも一部が超伝導材料によって構成されている、
付記1~5の何れか一項に記載の量子デバイス。
【0092】
(付記7)
台座と、
量子チップに対向するように前記台座の主面に形成された凹部と、
前記凹部において開口部が前記量子チップの底面に位置するように設けられた管と、
を備えた、ホルダ。
【0093】
(付記8)
前記管は、前記台座に対して着脱可能に構成されている、
付記7に記載のホルダ。
【0094】
(付記9)
台座の主面に形成された凹部において吸引口が量子チップの底面に位置するように、前記台座に吸引管を取り付けるステップと、
前記凹部に対向するように前記台座の主面に前記量子チップを配置するステップと、
前記吸引管を介して前記量子チップを吸引することにより、前記吸引管の吸引口に前記量子チップを吸着させるステップと、
前記量子チップの信号線と、前記台座に配置された導波路とを、電気的に接続するステップと、
前記台座から前記吸引管を取りはずすステップと、
を備えた、量子デバイスの製造方法。
【0095】
(付記10)
前記量子チップの信号線と、前記台座に配置された導波路とを、電気的に接続するステップでは、前記量子チップの信号線と、前記台座に配置された導波路とを、ボンディングワイヤによって接続する、
付記9に記載の量子デバイスの製造方法。
【0096】
(付記11)
前記凹部は、平面視して、前記量子チップの配置領域の全部を含むように形成されている、
付記10に記載の量子デバイスの製造方法。
【0097】
(付記12)
前記凹部は、前記台座の一部が前記量子チップを支持するように形成されている、
付記9又は10に記載の量子デバイスの製造方法。
【0098】
(付記13)
量子チップと、
台座を有するホルダと、
を備え、
前記台座は、
台座本体と、
前記台座本体に対して着脱可能に構成され、且つ、前記台座本体に取り付けられた場合において開口部が前記量子チップの底面に位置するように形成された管を有する第1台座部品と、
前記第1台座部品と付け替え可能に構成され、且つ、前記台座本体に取り付けられた場合において前記量子チップに対向するように形成された凹部を有する第2台座部品と、
を備えた、量子デバイス。
【0099】
(付記14)
前記台座に配置された導波路と、
前記量子チップと前記導波路とを接続するボンディングワイヤと、
をさらに備えた、
付記13に記載の量子デバイス。
【0100】
(付記15)
前記凹部は、平面視して、前記量子チップの配置領域の全部を含むように形成されている、
付記14に記載の量子デバイス。
【0101】
(付記16)
前記凹部は、前記台座の一部が前記量子チップを支持するように形成されている、
付記13又は14に記載の量子デバイス。
【0102】
(付記17)
前記量子チップは、少なくとも一部が超伝導材料によって構成されている、
付記13~16の何れか一項に記載の量子デバイス。
【0103】
(付記18)
台座を備え、
前記台座は、
台座本体と、
前記台座本体に対して着脱可能に構成され、且つ、前記台座本体に取り付けられた場合において開口部が前記量子チップの底面に位置するように形成された管を有する第1台座部品と、
前記第1台座部品と付け替え可能に構成され、且つ、前記台座本体に取り付けられた場合において前記量子チップに対向するように形成された凹部を有する第2台座部品と、
を備えた、ホルダ。
【0104】
(付記19)
吸引管を有する第1台座部品を、当該吸引管の吸引口が量子チップの底面に位置するように、台座の台座本体に取り付けるステップと、
前記台座に前記量子チップを配置するステップと、
前記吸引管を介して前記量子チップを吸引することにより、前記吸引管の吸引口に前記量子チップを吸着させるステップと、
前記量子チップの信号線と、前記台座に配置された導波路とを、電気的に接続するステップと、
前記台座の台座本体から前記第1台座部品を取り外すステップと、
凹部を有する第2台座部品を、当該凹部が前記量子チップに対向するように、前記台座の台座本体に取り付けるステップと、
を備えた、量子デバイスの製造方法。
【0105】
(付記20)
前記量子チップの信号線と、前記台座に配置された導波路とを、電気的に接続するステップでは、前記量子チップの信号線と、前記台座に配置された導波路とを、ボンディングワイヤによって接続する、
付記19に記載の量子デバイスの製造方法。
【0106】
(付記21)
前記凹部は、平面視して、前記量子チップの配置領域の全部を含むように形成されている、
付記20に記載の量子デバイスの製造方法。
【0107】
(付記22)
前記凹部は、前記台座の一部が前記量子チップを支持するように形成されている、
付記19又は20に記載の量子デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0108】
1 ホルダ
2 ホルダ
3 ホルダ
3a ホルダ
11 台座
11a 台座底部
11b 台座上部
11c チップ支持部
12 凹部
13 吸引管
13a 吸引口
21 台座
21a 台座底部
21b 台座上部
22 凹部
23 吸引管
23a 吸引口
31 台座
32 台座底部
32a 本体部
32b 凸部
32c 吸引管
33 台座上部
33a 空間領域
34 台座
35 台座底部
35a 本体部
35b 凸部
35c 凹部
35d チップ支持部
35e チップ支持部
51 量子チップ
52 PCB
53 ボンディングワイヤ
100 量子デバイス
200 量子デバイス
300 量子デバイス