(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2020138609
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達郎
【審査官】小松崎 里沙
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-300447(JP,A)
【文献】特開2013-141201(JP,A)
【文献】特開2014-177162(JP,A)
【文献】特開2007-334115(JP,A)
【文献】特開2005-175901(JP,A)
【文献】特開2015-080247(JP,A)
【文献】特開2007-028239(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0183687(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111212259(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00
3/16- 3/20
3/38- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
G06F21/00
21/30-21/46
G06Q50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
H03J 9/00- 9/06
H04B 7/24- 7/26
H04N 7/10
7/14- 7/173
7/20- 7/56
21/00-21/858
H04Q 9/00- 9/16
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置の現在の位置情報を取得し、取得した位置情報
および現在時刻に基づいて前記端末装置に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御
する際に、
離れた場所にいる利用者のスケジュール情報を取得し、当該利用者のスケジュールにおいて、現在の時刻が、他の利用者との間で会話を行うような予定が設定されている時間帯に含まれる場合、前記端末装置のカメラ機能、マイク機能、音声出力機能を有効な状態に切り替えるよう制御する、
情報処理装置。
【請求項2】
メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置の現在の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて前記端末装置に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御する
際に、
前記端末装置が接続している近距離無線通信の通信装置に、予め設定された特定の利用者が保持している端末装置が接続された場合に、当該特定の利用者が前記端末装置の現在の位置情報と同じ場所に存在していると判定して、本来無効な状態とすべき機能を有効な状態に切り替えるよう制御する、
情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記端末装置に備えられたカメラ機能、マイク機能、音声出力機能および認証機能のうちの少なくとも1つの機能または複数の機能を、取得した位置情報に基づいて切り替えるよう制御する請求項
2記載の情報処理装置。
【請求項4】
離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置の現在の位置情報を取得するステップと、
取得した位置情報
および現在時刻に基づいて前記端末装置に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御
する際に、離れた場所にいる利用者のスケジュール情報を取得し、当該利用者のスケジュールにおいて、現在の時刻が、他の利用者との間で会話を行うような予定が設定されている時間帯に含まれる場合、前記端末装置のカメラ機能、マイク機能、音声出力機能を有効な状態に切り替えるよう制御するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項5】
離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置の現在の位置情報を取得するステップと、
取得した位置情報に基づいて前記端末装置に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御
する際に、前記端末装置が接続している近距離無線通信の通信装置に、予め設定された特定の利用者が保持している端末装置が接続された場合に、当該特定の利用者が前記端末装置の現在の位置情報と同じ場所に存在していると判定して、本来無効な状態とすべき機能を有効な状態に切り替えるよう制御するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者が利用権限を有するユーザであると認証できない場合や、現在の場所が閲覧を許可されている場所以外の場所であると判定された場合に、液晶表示デバイスの表示を消去して、表示された情報が特定の個人以外に漏洩することを防止するようにした電子情報端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、働き方改革により在宅勤務等のテレワークと呼ばれる働き方が増えつつある。このテレワークでは、在宅勤務を行っているユーザの座席に、周囲の音声を取得する機能や、カメラにより画像を撮影する機能を備えた端末装置を設置して、在宅勤務を行っているユーザとの間で音声や画像の送受信を行うような場合がある。
【0005】
そのような端末装置を他のユーザが保持して移動した場合、その端末装置のカメラ機能やマイク機能等を常に有効な状態としたのでは、本来送信すべきでない不要な情報が離れた場所にいるユーザに送信されてしまうことになる。
【0006】
本発明の目的は、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置を他の利用者が保持して移動する際に、端末装置に備えられた機能が有効となるべき場所以外で有効になってしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[情報処理装置]
請求項1に係る本発明は、メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置の現在の位置情報を取得し、取得した位置情報および現在時刻に基づいて前記端末装置に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御する際に、
離れた場所にいる利用者のスケジュール情報を取得し、当該利用者のスケジュールにおいて、現在の時刻が、他の利用者との間で会話を行うような予定が設定されている時間帯に含まれる場合、前記端末装置のカメラ機能、マイク機能、音声出力機能を有効な状態に切り替えるよう制御する情報処理装置である。
請求項2に係る本発明は、メモリとプロセッサを備え、
前記プロセッサは、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置の現在の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて前記端末装置に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御する際に、
前記端末装置が接続している近距離無線通信の通信装置に、予め設定された特定の利用者が保持している端末装置が接続された場合に、当該特定の利用者が前記端末装置の現在の位置情報と同じ場所に存在していると判定して、本来無効な状態とすべき機能を有効な状態に切り替えるよう制御する情報処理装置である。
【0010】
請求項3に係る本発明は、前記プロセッサが、前記端末装置に備えられたカメラ機能、マイク機能、音声出力機能および認証機能のうちの少なくとも1つの機能または複数の機能を、取得した位置情報に基づいて切り替えるよう制御する請求項2記載の情報処理装置である。
【0013】
[プログラム]
請求項4に係る本発明は、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置の現在の位置情報を取得するステップと、
取得した位置情報および現在時刻に基づいて前記端末装置に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御する際に、離れた場所にいる利用者のスケジュール情報を取得し、当該利用者のスケジュールにおいて、現在の時刻が、他の利用者との間で会話を行うような予定が設定されている時間帯に含まれる場合、前記端末装置のカメラ機能、マイク機能、音声出力機能を有効な状態に切り替えるよう制御するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
請求項5に係る本発明は、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置の現在の位置情報を取得するステップと、
取得した位置情報に基づいて前記端末装置に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御する際に、前記端末装置が接続している近距離無線通信の通信装置に、予め設定された特定の利用者が保持している端末装置が接続された場合に、当該特定の利用者が前記端末装置の現在の位置情報と同じ場所に存在していると判定して、本来無効な状態とすべき機能を有効な状態に切り替えるよう制御するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によれば、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置を他の利用者が保持して移動する際に、端末装置に備えられた機能が有効となるべき場所以外で有効になってしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置を提供することができる。
また、請求項1に係る本発明によれば、端末装置が置かれている位置および現在時刻に応じて、端末装置に備えられた複数の機能のうちどの機能を有効にしどの機能を無効にするのかを切り替えることが可能となる。
さらに、請求項1に係る本発明によれば、端末装置の利用者のスケジュールに応じて、端末装置に備えられたカメラ機能、マイク機能、音声出力機能のうちどの機能を有効にしどの機能を無効にするのかを切り替えることが可能となる。
請求項2に係る本発明によれば、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置を他の利用者が保持して移動する際に、端末装置に備えられた機能が有効となるべき場所以外で有効になってしまうことを防ぐことが可能な情報処理装置を提供することができる。
また、請求項2に係る本発明によれば、特定の利用者が端末装置と同じ場所に存在しているか否かに応じて、端末装置に備えられた複数の機能のうちどの機能を有効にしどの機能を無効にするのかを切り替えることが可能となる。
さらに、請求項2に係る本発明によれば、近距離無線通信の通信装置を利用して、特定の利用者が端末装置と同じ場所に存在しているか否かを判定することが可能となる。
【0017】
請求項3に係る本発明によれば、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置を他の利用者が保持して移動する際に、端末装置に備えられたたカメラ機能、マイク機能、音声出力機能および認証機能のうち有効となるべきでない機能が有効となるべき場所以外で有効になってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0020】
請求項4に係る本発明によれば、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置を他の利用者が保持して移動する際に、端末装置に備えられた機能が有効となるべき場所以外で有効になってしまうことを防ぐことが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項4に係る本発明によれば、端末装置が置かれている位置および現在時刻に応じて、端末装置に備えられた複数の機能のうちどの機能を有効にしどの機能を無効にするのかを切り替えることが可能となる。
さらに、請求項4に係る本発明によれば、端末装置の利用者のスケジュールに応じて、端末装置に備えられたカメラ機能、マイク機能、音声出力機能のうちどの機能を有効にしどの機能を無効にするのかを切り替えることが可能となる。
請求項5に係る本発明によれば、離れた場所にいる利用者に対して周囲の情報を取得して送信する端末装置を他の利用者が保持して移動する際に、端末装置に備えられた機能が有効となるべき場所以外で有効になってしまうことを防ぐことが可能なプログラムを提供することができる。
また、請求項5に係る本発明によれば、特定の利用者が端末装置と同じ場所に存在しているか否かに応じて、端末装置に備えられた複数の機能のうちどの機能を有効にしどの機能を無効にするのかを切り替えることが可能となる。
さらに、請求項5に係る本発明によれば、近距離無線通信の通信装置を利用して、特定の利用者が端末装置と同じ場所に存在しているか否かを判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムのシステム構成を示す図である。
【
図2】ユーザAが移動端末10のカメラ機能、マイク機能、スピーカ等の音声出力機能、表示機能を用いて、ユーザB、Cとの間で会話を行ってコミュニケーションを行う様子を示す図である。
【
図3】複合機90やドアゲート91に対して認証処理を実行する様子を説明するための図である。
【
図4】ユーザBが自分のICカード80を用いてドアゲート91を解錠して、ユーザBの権限で特定のエリアに入室した場合の様子を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態における権限管理サーバ20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の一実施形態における権限管理サーバ20の機能構成を示すブロック図である。
【
図7】権限管理テーブル記憶部35に記憶されている権限管理テーブルの一例を示す図である。
【
図8】権限管理サーバ20が移動端末10の各機能の状態を切り替える際の動作を示すシーケンスチャートである。
【
図9】移動端末10がユーザBしか入室が許可されていないエリアに持ち込まれた場合の様子を説明するための図である。
【
図10】移動端末10がユーザA、ユーザBの両方とも入室が許可されているエリアに持ち込まれた場合の様子を説明するための図である。
【
図11】ユーザBしか入室が許可されていないエリアに移動端末10のみが持ち込まれた場合の様子を説明するための図である。
【
図12】ユーザBしか入室が許可されていないエリアにユーザBが移動端末10を持ちこんだ場合の様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施形態の情報処理システムのシステム構成を示す図である。
【0024】
本発明の一実施形態の情報処理システムは、
図1に示されるように、在宅勤務を行うテレワーク利用者の端末装置60と、オフィス内において使用される移動端末10とが、無線LANターミナル70、インターネット50、ルータ30、社内ネットワーク、無線LANターミナル40を経由して相互に接続された構成となっている。
【0025】
移動端末10は、Wi-Fi(登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energyの略)等の近距離無線通信回線を介して無線LANターミナル40と接続可能なスマートフォン等の情報処理装置である。なお、無線LANターミナル40は、Wi-Fi(登録商標)回線等を介して周囲の装置との間でデータの送受信を行う近距離無線通信の通信装置である。
【0026】
図1に示した情報処理システムでは、ユーザAが自宅において在宅勤務を行う様子が示されている。そして、ユーザAは、在宅勤務を行う際に自身の移動端末10を、オフィス内において勤務するユーザBに託しているものとして説明する。
【0027】
なお、オフィス内の社内ネットワークには、権限管理サーバ20が接続されている。この権限管理サーバ20は、移動端末10に備えられたカメラ機能、マイク機能、音声出力機能、NFC(Near Field Communicationの略)による認証機能等の各種機能の権限を管理している。具体的には権限管理サーバ20は、移動端末10に備えられたカメラ機能、マイク機能、音声出力機能、NFCによる認証機能等の各種機能をオン状態にするのかオフ状態にするのかの管理を行っている。
【0028】
そして、移動端末10は、
図2に示すように、オフィスから離れた場所の自宅等において勤務しているテレワーク利用者の代わりにオフィス内に設置することにより、本人に代わって会議や打ち合わせに参加したり、オフィス内の他の利用者と会話をしたりすることができるようになっている。つまり、自宅に勤務しているユーザAは、オフィス内に勤務しているユーザBに移動端末10を預けることにより、オフィス内における他のユーザとの間におけるコミュニケーションを実現できるようになっている。
【0029】
図2では、ユーザAが移動端末10のカメラ機能、マイク機能、スピーカ等の音声出力機能、表示機能を用いて、ユーザB、Cとの間で会話を行ってコミュニケーションを行う様子が示されている。
【0030】
また、近年ではセキュリティ意識の高まりから、複合機の認証制御や、ドアゲートによる特定エリアへの入退室を特定の利用者に限定するような認証制御が一般的になっている。
【0031】
このような認証制御の代表例が、非接触式のICカードを利用した認証制御であり、社員証や学生証等を複合機やドアゲートに備えられたICカードリーダにタッチすることにより、その利用者を特定するような認証制御が行われている。具体的には、社員証等のICカードを複合機等のICカードリーダにタッチすることにより、ICカード内に保持されている認証情報が読み出されて認証処理が実行され、そのユーザが特定されるようになっている。このICカードは、NFCと呼ばれる近距離無線通信によって、内蔵されたICチップ内に書き込まれた情報を用いて外部の通信機器との間でデータの送受信を行う機能を有している。
【0032】
そして、本実施形態における移動端末10は、上記のような認証情報が記憶されており、ユーザAの社員証と同様な認証処理を実行することができるように構成されている。
【0033】
このような認証制御の様子を
図3に示す。
図3では、複合機90やドアゲート91に対して、ユーザBが自己のICカード80により認証処理を実行するだけでなく、ユーザAの移動端末10を保持したユーザBが、ユーザAの権限により複合機90やドアゲート91に対する認証処理を実行する様子が示されている。
【0034】
つまり、ユーザBは、ユーザAの認証情報が記憶された移動端末10を用いて複合機90に対する認証処理を実行することにより、ユーザAの代理としてコピーやプリント等の各種操作を実行することができるようになっている。
【0035】
このようにユーザBは、ユーザAに託された移動端末10を保持することにより、ユーザAの代わりにユーザAの権限で複合機10に対する操作を行うことができる。また、ユーザAとユーザBが一緒に参加すべき会議がある場合に、ユーザBが移動端末10とともに参加することにより、ユーザAも移動端末10を介して参加することができる。
【0036】
このようにユーザAの移動端末10をユーザBが持ち歩くことを前提となっている。しかし、このような移動端末10のカメラ機能、マイク機能、音声出力機能、NFCによる認証機能等の各種機能を常にオン状態としたのでは、問題が発生する場合がある。
【0037】
例えば、
図4に示すように、ユーザBが自分のICカード80を用いてドアゲート91を解錠して、ユーザBの権限で特定のエリアに入室した場合について説明する。この特定エリアはユーザBのみの入室が許可されていて、ユーザAの入室は許可されていないものとする。ここで、ユーザBがこの特定のエリアにユーザAの移動端末10を持ち込んだものとする。
【0038】
このような場合、ユーザAの移動端末10の各種機能がオン状態となっていると、ユーザAはこの特定エリアへの入室が許可されていないにもかかわらず、この特定エリアの画像や音声を端末装置60に送信してしまうのはセキュリティ上好ましくない。
【0039】
そこで、本実施形態では、権限管理サーバ20が下記において説明するような制御を行うことにより、離れた場所にいるユーザAに対して周囲の情報を取得して送信する移動端末10を、ユーザBのような他のユーザが保持して移動する際に、移動端末10に備えられた各種機能が有効となるべき場所以外で有効になってしまうことを防ぐようにしている。
【0040】
次に、本実施形態の情報処理システムにおける権限管理サーバ20のハードウェア構成を
図4に示す。
【0041】
権限管理サーバ20は、
図5に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、ネットワークを介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ等のユーザインタフェース(UIと略す。)装置15を有する。これらの構成要素は、制御バス16を介して互いに接続されている。
【0042】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、権限管理サーバ20の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU11に提供することも可能である。
【0043】
図6は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される権限管理サーバ20の機能構成を示すブロック図である。
【0044】
本実施形態の権限管理サーバ20は、
図6に示されるように、スケジュール情報取得部31と、位置情報取得部32と、データ送受信部33と、切替制御部34と、権限管理テーブル記憶部35とを備えている。
【0045】
スケジュール情報取得部31は、制御対象のユーザAのスケジュール情報を取得する。例えば、複数のユーザのスケジュール情報を管理している共有サーバが社内ネットワークに接続されているような場合、スケジュール情報取得部31は、この共有サーバにアクセスして、ユーザAのスケジュール情報を取得する。
【0046】
位置情報取得部32は、離れた場所にいるユーザに対して周囲の情報を取得して送信する端末装置である移動端末10の現在の位置情報を取得する。例えば、位置情報取得部32は、移動端末10が接続中の無線LANターミナル40を特定することにより、移動端末10の位置情報を取得する。
図1では、無線LANターミナル40が1つしか図示されていないが、実際には数多くの無線LANターミナル40が、オフィス内の様々な場所に設置されており、移動端末10がこの数多くの無線LANターミナル40のうちのある特定の無線LANターミナル40と無線接続したことが確認された場合、移動端末10はその無線LANターミナル40の周囲に存在すると判定して、位置情報取得部32は、その無線LANターミナル40の位置情報を移動端末10の位置情報として取得する。
【0047】
データ送受信部33は、社内ネットワーク等の通信回線経由にて、移動端末10や端末装置60等の外部の装置との間でデータの送受信を行う。
【0048】
切替制御部34は、位置情報取得部32により取得された位置情報に基づいて移動端末10に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御する。
【0049】
具体的には、切替制御部34は、移動端末10に備えられたカメラ機能、マイク機能、音声出力機能および認証機能のうちの少なくとも1つの機能または複数の機能を、取得した位置情報に基づいて切り替えるよう制御する。
【0050】
権限管理テーブル記憶部35は、移動端末10が存在する場所や現在に時刻に応じて、移動端末10に備えられた各機能を有効状態(またはオン状態)とするのか無効状態(またはオフ状態)とするのかを切り替える際の条件が設定された権限管理テーブルを記憶している。権限管理テーブル記憶部35に記憶されている権限管理テーブルの一例を
図7に示す。
【0051】
図7を参照すると、ユーザAの移動端末10における各機能を有効状態とするのか無効状態とするのかが、位置情報であるエリア情報、有効時間帯毎に設定されているのが分かる。なお、
図7に示した権限管理テーブルでは、移動端末10の位置情報を無線LANターミナル40の識別情報であるAP(Access Point)の番号として管理している。
【0052】
例えば、移動端末10がAP11という識別情報が設定された無線LANターミナル40と接続されている場合、カメラ機能、マイク機能、スピーカ機能、NFCタグによる認証機能の全ての機能を無効状態とするよう設定されている。また、例えば、移動端末10がAP30という識別情報が設定された無線LANターミナル40と接続されている場合、2020年5月10日の13:00~14:00までの間だけ、マイク機能とスピーカ機能のみを有効状態とするよう設定されている。
【0053】
なお、移動端末10がAP41という識別情報が設定された無線LANターミナル40と接続されている場合、ユーザBと一緒であることが確認できない場合には、カメラ機能、マイク機能、スピーカ機能、NFCタグによる認証機能の全ての機能を無効状態とするよう設定されている。そして、移動端末10がAP41という識別情報が設定された無線LANターミナル40と接続されている場合、ユーザBと一緒であることが確認できた場合には、カメラ機能、マイク機能、スピーカ機能、NFCタグによる認証機能の全ての機能を有効状態とするよう設定されている。
【0054】
このように、切替制御部34は、権限管理テーブルを参照することにより、位置情報取得部32により取得された位置情報および現在時刻に基づいて、移動端末10に備えられた複数の機能のうち有効な状態にする機能を切り替えるよう制御する。
【0055】
さらに、切替制御部34は、スケジュール情報取得部31により取得されたユーザAのスケジュール情報において、現在の時刻が、他のユーザとの間で会話を行うような予定、例えば会議や打ち合わせ等の予定が設定されている時間帯に含まれる場合、移動端末10のカメラ機能、マイク機能、スピーカ機能を有効な状態に切り替えるよう制御する。
【0056】
さらに、切替制御部34は、移動端末10の現在の位置情報と同じ場所に予め設定された特定のユーザが存在する場合に、本来無効な状態とすべき機能を有効な状態に切り替えるよう制御する。なお、切替制御部34は、移動端末10が接続している無線LANターミナル40に、その特定のユーザが保持している移動端末が接続された場合に、その特定のユーザが移動端末10の現在の位置情報と同じ場所に存在していると判定する。
【0057】
次に、本実施形態の権限管理サーバ20の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0058】
まず、権限管理サーバ20が移動端末10の各機能の状態を切り替える際の動作を
図8のシーケンスチャートに示す。
【0059】
まず、権限管理サーバ20は、ステップS101において、移動端末10の位置情報を取得する。すると、権限管理サーバ20では、ステップS102において、記憶されている権限管理テーブルを参照する。
【0060】
そして、権限管理サーバ20は、ステップS103において、移動端末10に対して各機能の状態の切り替え指示を行う。すると、移動端末10では、ステップS104において、権限管理サーバ20からの指示に基づいて、カメラ機能、マイク機能、スピーカ機能、認証機能等の状態を、それぞれ有効状態または無効状態に切り替える。
【0061】
次に、移動端末10がユーザBしか入室が許可されていないエリアに持ち込まれた場合の様子を
図9に示す。
図9では、移動端末10が、識別番号がAP11の無線LANターミナル40が設けられたエリアに持ち込まれた場合が示されている。そのため、権限管理サーバ20の切替制御部34は、
図7に示した権限管理サーバを参照して、全ての機能を無効状態とすべきと判定する。そして、切替制御部34が、移動端末10に対して全ての機能を無効状態とすべき指示を送信することにより、移動端末10では全ての機能が無効状態、つまりオフ状態となる。
【0062】
次に、移動端末10がユーザA、ユーザBの両方とも入室が許可されているエリアに持ち込まれた場合の様子を
図10に示す。
図10では、移動端末10が、識別番号がAP21の無線LANターミナル40が設けられたエリアに持ち込まれた場合が示されている。そのため、権限管理サーバ20の切替制御部34は、
図7に示した権限管理サーバを参照して、全ての機能を有効状態とすべきと判定する。そのため、切替制御部34は、移動端末10に対して全ての機能を有効状態とすべき指示を送信することにより、移動端末10では全ての機能が有効状態、つまりオン状態となる。
【0063】
なお、
図10に示すような場合、移動端末10では、認証機能を含めた全ての機能がオン状態となっているため、このエリアに複合機90が設置されている場合、複合機90に対する認証処理を実行してユーザAの権限で複合機90に対する操作を実行することが可能である。
【0064】
次に、識別番号がAP41の無線LANターミナル40が設けられているエリアに、移動端末10が持ち込まれた場合について、
図11、
図12を参照して説明する。
【0065】
なお、
図11は、ユーザBしか入室が許可されていないエリアに移動端末10のみが持ち込まれた場合の様子を説明するための図であり、
図12は、ユーザBしか入室が許可されていないエリアにユーザBが移動端末10を持ちこんだ場合の様子を説明するための図である。
【0066】
この識別番号がAP41の無線LANターミナル40が設けられているエリアは、ユーザBしか入室が許可されていないエリアである。そのため、権限管理サーバ20は、移動端末10がこのエリアに持ち込まれた場合には、
図11に示すように全ての機能を無効状態とするような指示を移動端末10に送信する。
【0067】
ただし、
図7に示した権限管理テーブルを参照すると、エリア情報がAP41の欄では、特別条件である「ユーザBと一緒の場合」という条件が満たされた場合には、ユーザAの移動端末10でも全ての機能を有効状態としても良いという内容が設定されている。
【0068】
そのため、
図12に示すように、ユーザBがこのエリアに存在する場合、つまりユーザBの移動端末100が、識別番号がAP41の無線LANターミナル40と接続されていることが確認できた場合、権限管理サーバ20は、移動端末10に対して全ての機能を有効状態とするような指示を送信する。
【0069】
その結果、ユーザBが、ユーザAの移動端末10を保持した状態で、
図12に示すようなエリアに入室した場合には、移動端安津10のカメラ機能、マイク機能、スピーカ機能、認証機能は全て有効状態、つまりオン状態となる。
【0070】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0071】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0072】
[変形例]
上記実施形態では、権限管理サーバ20が移動端末装置10の各種機能を有効状態とするのか無効状態にするのかを切り替えるような場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、権限管理サーバ20以外の情報処理装置が移動端末装置10の各種機能を有効状態とするのか無効状態にするのかを切り替えるような制御を行う場合でも本発明を同様に適用することができるものである。
【符号の説明】
【0073】
10 移動端末
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 制御バス
20 権限管理サーバ
30 ルータ
31 スケジュール情報取得部
32 位置情報取得部
33 データ送受信部
34 切替制御部
35 権限管理テーブル記憶部
40 無線LANターミナル
50 インターネット
60 端末装置
70 無線LANターミナル
80 ICカード
90 複合機
91 ドアゲート
100 移動端末