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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/20 20190101AFI20241008BHJP
   G07F 19/00 20060101ALI20241008BHJP
   G06K 7/00 20060101ALI20241008BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20241008BHJP
   G06Q 20/40 20120101ALI20241008BHJP
   G11B 5/80 20060101ALI20241008BHJP
   G11B 5/02 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G07D11/20
G07F19/00
G06K7/00 004
G06K7/08 040
G06Q20/40
G11B5/80
G11B5/02 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020162584
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022055148
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 辰士
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035284(JP,A)
【文献】特開2019-074775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
G07F 19/00
G06Q 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、利用者の顔画像の特徴データ、媒体の口座情報、及び当該媒体の磁気格納部に書き込むための磁気データを含むコード情報を読み取るコード情報読取手段と、
挿入された前記媒体の磁気格納部の磁気データの読み込み及び書き込み、並びに前記媒体のICチップに格納されたデータの読み込みを行うカード処理手段と、
前記カード処理手段を用いて読み取った前記媒体のICチップ内の口座情報と、前記コード情報読取手段で読み取ったコード情報に含まれる前記媒体の口座情報とを比較して前記媒体の正当性を判断する第1の制御手段と、
利用者の顔画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段で撮影した利用者の顔画像の特徴データと、前記コード情報読取手段で読み取ったコード情報に含まれる顔画像の特徴データとを比較して、本人確認を行う第2の制御手段と、
前記第1の制御手段で前記媒体の正当性の確認及び前記第2の制御手段で利用者の本人確認がされた場合、前記カード処理手段を制御して、挿入された前記媒体の磁気格納部の磁気データを、前記コード情報読取手段で読み取ったコード情報に含まれる磁気データに書き換える第3の制御手段と
を有することを特徴とする自動取引装置
【請求項2】
前記コード情報読取手段で読み取ったコード情報には、有効期限が含まれ、当該有効期限が現在時刻を超過している場合、磁気データを書き換える取引を中断する第4の制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の自動取引装置
【請求項3】
前記媒体はキャッシュカード、又はクレジット一体型のキャッシュカードあることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動取引装置
【請求項4】
前記コード情報は、セキュリティ機能搭載型の2次元バーコードであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の自動取引装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び自動取引装置に関し、例えば、ICキャッシュカード等に備わる磁気ストライプの磁気データの自動修復を行う情報処理装置及び自動取引装置に適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、キャッシュカード、クレジットカード等の媒体には、磁気ストライプが備わっている。これら媒体の磁気ストライプは、物理的に破壊される他に、磁石の接近でデータが壊れることもある。特に最近は身の回りのスマートフォン、タブレット等の電子機器やそのケース類に磁石を内蔵した製品が多数流通しており、磁気ストライプのデータが破壊(消失を含む)されるリスクが増大している。
【0003】
ところで、ICチップを内蔵したキャッシュカードを使用する場合も、磁気ストライプ情報の読取をATM(Automatic Teller Machine)では必須としているため、磁気データが破壊された場合、金融機関の窓口でカードを再発行しなければならず手間が掛かっていた(例えば、特許文献1)。
【0004】
再発行されるまで利用者(顧客)はキャッシュカードを使用できなくなるという問題もある。この問題は、クレジットカード機能とキャッシュカード機能を備える一体型のカード(磁気ストライプにクレジットカード情報を備えるカード)の場合も同様であり、この場合、磁気データが破壊されると、両方の機能がATM上で使用できなくなってしまう。
【0005】
上記問題を解決するために、キャッシュカードの磁気データをATM上で自動的に修復して取引を開始させる技術が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-101363号公報
【文献】特開2009-146014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の技術は、キャッシュカードにICチップが備わっていることを利用者に確認させる工程が含まれているため、利用者がICチップのことを理解できず、コールセンタに通話することで、金融機関側の手間が掛かっていた。特に、コールセンタに通話しても利用者がICチップのことが理解できない場合には、磁気データ修復の取引を中止して、カード再発行の手続きを行うことになるため、最初からカード再発行の手続きを行った方が良かったことになる。
【0008】
そのため、媒体が備える磁気データが破壊された場合でも、利用者及び金融機関側の双方にとって、効率的に対応できる情報処理装置及び自動取引装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の自動取引装置は、(1)少なくとも、利用者の顔画像の特徴データ、媒体の口座情報、及び当該媒体の磁気格納部に書き込むための磁気データを含むコード情報を読み取るコード情報読取手段と、(2)挿入された前記媒体の磁気格納部の磁気データの読み込み及び書き込み、並びに前記媒体のICチップに格納されたデータの読み込みを行うカード処理手段と、(3)前記カード処理手段を用いて読み取った前記媒体のICチップ内の口座情報と、前記コード情報読取手段で読み取ったコード情報に含まれる前記媒体の口座情報とを比較して前記媒体の正当性を判断する第1の制御手段と、(4)利用者の顔画像を撮影する撮影手段と、(5)前記撮影手段で撮影した利用者の顔画像の特徴データと、前記コード情報読取手段で読み取ったコード情報に含まれる顔画像の特徴データとを比較して、本人確認を行う第2の制御手段と、(6)前記第1の制御手段で前記媒体の正当性の確認及び前記第2の制御手段で利用者の本人確認がされた場合、前記カード処理手段を制御して、挿入された前記媒体の磁気格納部の磁気データを、前記コード情報読取手段で読み取ったコード情報に含まれる磁気データに書き換える第3の制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、媒体が備える磁気データが破壊された場合でも、利用者及び金融機関側の双方にとって、効率的に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係るATMの内部構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。
図3】第1の実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
図4】第1の実施形態に係る携帯端末の詳細構成を示すブロック図である。
図5】第1の実施形態に係るカード処理部の詳細構成を示すブロック図である。
図6】第1の実施形態に係る携帯端末の特徴動作(磁気修復コードデータの生成処理)を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態に係る取引システムにおけるATMの特徴動作(磁気修復コードデータを使用して行うカード磁気修復取引処理)を示すフローチャートである。
図8】第1の実施形態に係る取引選択画面の一例を示す説明図である。
図9】第2の実施形態に係る携帯端末3の特徴動作(磁気修復コードデータの生成処理)を示すフローチャートである。
図10】第3の実施形態に係る取引システムにおけるATMの特徴動作(クレジットカード情報からキャッシュカード情報に磁気データを書き換えることによって修復を行う処理)を示すフローチャートである。
図11】第3の実施形態に係る磁気データ変更説明画面の一例を示す説明図である。
図12】第3の実施形態に係る磁気データ修復説明画面の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下では、本発明による自動取引装置の第の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
第1の実施形態では、ATMで顔の特徴データや磁気データの修復に必要なデータを含むセキュリティ機能搭載の2次元バーコードを使用して、本人確認、金融機関の口座番号の特定、カードの正当性確認を行い、ICキャッシュカードの磁気データを自動修復する例を示す。従来、ATMで磁気データが破損しているICキャッシュカードの磁気データを修復する場合、ATMは挿入されたカードの正当性を確認する必要がある。そのため、ATMは、カードのICチップ内の口座情報(金融機関コード、店番号、科目番号、口座番号等)を読み取り、ホストコンピュータに送信していた。ホストコンピュータは、ATMから受信した口座情報をもとに、口座の有無や口座の各種情報を確認し、カードの正当性及びカードの磁気データの修復可否を判定し、磁気データ修復可の場合、磁気データをATMに送信していた。上記の処理完了後、ATMは、ホストコンピュータから受信した磁気データをカードの磁気ストライプに書き込む必要があった。
【0015】
しかしながら、上記カード磁気書き込み方法では、以下の問題があった。
【0016】
第1にカードの正当性確認である。ATMに挿入された磁気データが破損したカードに対して、カードの正当性を確認するために、ICカード内の口座情報をホストコンピュータに送信し、ホストコンピュータで口座の有無等を確認する必要があった。
【0017】
第2に、磁気修復を行う対象カードがATMによって制限される問題がある。ATMを使用して金融機関の間で取引をする場合、統合ATMスイッチングサービス等の中継システムを使用している。現状では、この中継システムでカードの磁気データを送受信する機能(インタフェース)が存在しないため、磁気修復が可能なカードはATMを管理する金融機関の口座情報を持つカードのみが対象であった。金融機関同士で個別に磁気データを送受信するためには、中継システムとは別のネットワークの構築や、共通システムの開発、運用等が必要であり、他の金融機関のカードの磁気データを修復するためには膨大な費用が必要であった。
【0018】
第1の実施形態では、上記問題を解決し、媒体が備える磁気データが破壊された場合でも、利用者及び金融機関側の双方にとって、効率的に対処できる例を示すものとする。
【0019】
(A-1)第1の実施形態の構成
(A-1-1)全体構成
図2は、第1の実施形態に係る取引システムの全体構成を示す全体構成図である。図2において、取引システム1000は、ATM1、ホストコンピュータ2、及び携帯端末3を有して構成される。
【0020】
ネットワークNは、金融取引に関するデータを通信することができる通信網であり、例えば、専用網を適用することができる。また、ネットワークNは、金融取引に関するデータを通信することができるのであれば公衆網としても良い。
【0021】
ATM1は、例えば、金融機関、駅、コンビニエンスストア、ホテル等に設けられている現金自動預け払い装置である。なお、ATM1は、ATMに限らず、例えば、POSレジ、セミセルフ機、券売機等でも良い。なお、図2では、説明を容易にするために、1台のATM1のみ図示している。しかし、実際には、複数台のATM1のそれぞれが、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続する。
【0022】
ATM1は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と通信可能であり、例えば、振り込み取引、預け入れ取引(入金取引)、引き出し取引(出金取引)、カード磁気修復取引等を行うものである。第1の実施形態のATM1では、後述するようにICキャッシュカードの磁気データを修復する「カード磁気修復取引」に特徴を有する。
【0023】
ホストコンピュータ2は、金融機関のホストコンピュータであり、ATM1から取引に関する情報を取得すると、取得した取引に関する情報に基づいて、利用者が行なった取引の内容を管理するものである。
【0024】
携帯端末3は、金融機関から提供されるアプリケーションが搭載され、ホストコンピュータ2と通信可能である。携帯端末3では、利用者の生体情報(顔の特徴データ)や、利用者のICキャッシュカードの磁気データを修復するための磁気データ等をコード化して生成し、当該生成した情報(以下、「磁気修復コードデータ」とも呼ぶ)を利用者に提供する。生成した磁気修復コードデータは、例えば、利用者の携帯端末3の記憶部に画像として記憶される。
【0025】
携帯端末3は、ATM1を用いてカード磁気修復取引を行う際、磁気修復コードデータをATM1に読み取らせることにより、磁気データ修復に係る一連の処理が開始される。携帯端末3は、種々様々な端末を適用することができ、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話機、ゲーム端末、電子書籍端末、ウェラブル端末等を適用できる。
【0026】
なお、磁気修復コードデータの生成自体は携帯端末3とは別の端末で行い、携帯端末3には、別の端末で生成された磁気修復コードデータがメール等で送信され、内部に記憶されていても良い。
【0027】
(A-1-2)携帯端末3の詳細な構成
図4は、第1の実施形態に係る携帯端末の詳細構成を示すブロック図である。図4において、携帯端末3は、制御部31、記憶部32、通信部33、カメラ34、及び表示部35を有する。
【0028】
制御部31は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、記憶部32から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して磁気修復に係る種々の処理を行う。
【0029】
記憶部32は、制御部31が実行する処理プログラム等を記憶するものあり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等により構成される。記憶部32には、金融機関連携処理部311で生成した磁気修復コードデータDが記憶される。
【0030】
通信部33は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続するためのネットワークインタフェースである。
【0031】
カメラ34は、外部の映像(利用者の顔等)を、レンズを通して例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementar Metal OxideSemiconductor)などの撮像素子に結像させ、静止画像又は動画像を撮影する機能を有する。
【0032】
表示部35は、磁気修復コードデータD等を表示するための機能部であって、例えば、液晶ディスプレイ等である。
【0033】
制御部31は、金融機関(ホストコンピュータ2)と利用者が保持するキャッシュカードの口座に関して、情報のやりとりが可能な金融機関連携処理部311を有する。金融機関連携処理部311は、認証部312、カード情報登録部313、磁気修復コードデータ生成部314、及び磁気修復コードデータ発行部315を備える。
【0034】
認証部312は、金融機関から提供されたアプリケーション起動時に本人確認を行う処理部である。本人認証の方法は、例えば、暗証番号、顔認証、指紋認証等、セキュリティ強度がある方法を適用する。
【0035】
カード情報登録部313は、利用者のキャッシュカード情報を登録する機能部である。利用者が保有しているカードが複数ある場合には、複数登録できる。
【0036】
磁気修復コードデータ生成部314は、カード情報登録部313で登録されたキャッシュカードの磁気修復用の磁気データをコード化して生成するものである。例えば、磁気修復コードデータ生成部314は、ICキャッシュカードの磁気修復のための「磁気データ」、当該カードの「口座情報」、カメラ34で取得した利用者の顔画像から人物の目、鼻、口の位置関係等の特徴を抽出した「特徴データ」、本コードデータの「有効期限」(例えば、生成日時から数時間から数日)を含む磁気修復コードデータDを生成する。
【0037】
なお、磁気修復コードデータDのデータ形式は、種々様々なデータ形式を採用することができるが、例えば、QRコード(登録商標)等の2次元バーコードやSQRC(登録商標)等のセキュリティ機能搭載2次元バーコードを適用することができる。この実施形態では、磁気修復コードデータDのデータ形式は、SQRCに準拠することを前提とする。SQRCは、データを公開部と非公開部に分けることでデータの読み取りを制限することが可能な構成の二次元コードである。例えば、磁気修復コードデータDでは、公開部に口座情報と有効期限を格納し、非公開部に修復用の磁気データや顔特徴データを暗号化して格納する。これにより、第三者の不正な情報取得やなりすましを防止し、セキュリティ性の高い取引を利用者に提供できる。
【0038】
磁気修復コードデータ発行部315は、磁気修復コードデータ生成部314で生成した磁気修復コードデータDを表示部35に表示する制御を行う。また、磁気修復コードデータ発行部315は、生成した磁気修復コードデータDを利用者の指定するメールアドレス宛に送信しても良い。
【0039】
(A-1-3)ATM1の詳細な構成
図3は、第1の実施形態に係るATMの外観構成を示す外観斜視図である。
【0040】
図3において、第1の実施形態のATM1は、操作表示部12、カード入出口13、紙幣入出口14、硬貨入出口15、レシート排出口16、コードデータ読取部17、通帳入出口18、及びカメラ19を有する。
【0041】
カメラ19は、外部の映像(利用者の顔等)を、レンズを通して例えばCCDやCMOSなどの撮像素子に結像させ、静止画像又は動画像を撮影する機能を有する。
【0042】
操作表示部12は、例えば、取引種類の選択メニュー画面、各取引の操作画面、取引内容の確認画面等を表示したり、利用者が入力した入力情報を取り込んだりするものである。操作表示部12は、例えば、タッチパネル方式の操作表示部を適用することができる。なお、操作表示部12は、操作部と表示部とが一体となったタッチパネル方式のものに限らず、操作部と表示部とがそれぞれ物理的に別の構成のものであっても良い。
【0043】
カード入出口13は、利用者がキャッシュカードを挿入したり又はキャッシュカードを取り出したりするものである。
【0044】
紙幣入出口14は、利用者が紙幣を挿入したり又は紙幣を取り出したりするものである。紙幣入出口14は、例えば、開閉可能な開閉体を有するバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いることができる。利用者が紙幣を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、利用者はバケットの開口部に紙幣を投入し、その後ATM1は、開閉体が閉じて投入された紙幣を取り込む。またATM1が紙幣を返却するときには、ATM1はバケットに紙幣を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、紙幣入出口14は、紙幣を投入する紙幣入口と紙幣を放出する紙幣出口とが一体となったものに限らず、紙幣入口と紙幣出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであっても良い。
【0045】
硬貨入出口15は、利用者が硬貨を投入したり又は硬貨を取り出したりするものである。硬貨入出口15も、例えば、開閉体が開口部を開閉可能なバケットタイプのものを用いても良いし、若しくは、開閉体を有しないバケットタイプのものを用いても良い。この場合も、紙幣入出口14と同様に、利用者が硬貨を投入するときには、例えば、開閉体を有するバケットタイプの場合、開閉体がバケットの開口部を開けた後、利用者はバケットの開口部に硬貨を投入し、その後ATM1は、開閉体を閉じて投入された硬貨を取り込む。またATM1が硬貨を返却するときには、ATM1はバケットに硬貨を繰り出し、その後、開閉体が開放する。なお、硬貨入出口15は、硬貨を投入する硬貨入口と硬貨を放出する硬貨出口とが一体となったものに限らず、硬貨入口と硬貨出口とがそれぞれ物理的に別の構成のものであっても良い。
【0046】
レシート排出口16は、取引内容を印刷したレシートを排出するものである。
【0047】
コードデータ読取部17は、携帯端末3を介して磁気修復コードデータDを読み取るものである。この実施形態では、コードデータ読取部17は、バーコードリーダであり、携帯端末3に表示された2次元バーコード(磁気修復コードデータD)を読み取るものである。その他にも、コードデータ読取部17は、例えば、ICリーダーであり、携帯端末3が備えるICチップに接触して電気回路を駆動させることによって、又は非接触式のICチップのアンテナと通信することによって、ICチップのデータ(磁気修復コードデータD)を読み取っても良い。
【0048】
通帳入出口18は、利用者により挿入される通帳を受け入れたり又は通帳を排出したりするものである。
【0049】
図1は、第1の実施形態に係るATMの内部構成を示すブロック図である。図1において、ATM1は、制御部10、記憶部20、通信部40、操作表示制御部50、コードデータ処理部60、カード処理部70、通帳処理部80、紙幣入出金部90、硬貨入出金部100、及び明細票発行部110を有する。
【0050】
制御部10は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、記憶部20から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引、収納処理や出金取引、カード磁気修復取引等の種々の処理を行う。
【0051】
記憶部20は、制御部10が実行する処理プログラム等を記憶するものあり、例えば、HDDやSSD等により構成される。
【0052】
通信部40は、ネットワークNを介して、ホストコンピュータ2と接続するためのネットワークインタフェースである。
【0053】
操作表示制御部50は、制御部10の制御の下、操作表示部12の動作を制御するものである。操作表示制御部50は、制御部10から画面情報に基づいて、操作表示部12に画面を表示させたり、又は操作表示部12から入力された情報を制御部10に与えたりするものである。
【0054】
コードデータ処理部60は、コードデータ読取部17を介して読み取った磁気修復コードデータDを、制御部10へ与えるものである。なお、磁気修復コードデータDの非公開のデータは、復号した状態で制御部10へ与えられる。
【0055】
カード処理部70は、制御部10の制御の下、カード入出口13からキャッシュカードを取り込んだり又は排出したりするものである。また、カード処理部70は、カード入出口13から挿入されたキャッシュカードの格納部(例えば、磁気格納部やICチップ等)に格納されているカード情報を読み取り、そのカード情報を制御部10に与えるものである。
【0056】
図5は、第1の実施形態に係るカード処理部の詳細構成を示すブロック図である。カード処理部70は、磁気読取部71、磁気書込部72、磁気レベル検出部73、IC読取部74、及び上述のカード入出口13を有する。
【0057】
磁気読取部71は、カードに設けられた磁気ストライプに対して磁気データの読取りを行うものである。磁気読取部71により読み取られたデータは制御部10に送付され、制御部10は、このデータに基づいて取引を制御する。
【0058】
磁気書込部72は、カードに設けられた磁気ストライプに対して磁気データの書き込みを行うものである。なお、書き込みは、例えば、当初とは異なる情報に変更して書き込む他にも、同一情報を書き込んでも良い。
【0059】
磁気レベル検出部73は、カードに設けられた磁気ストライプの磁気レベルを検出するものである。磁気レベル検出部73は、所定の基準にしたがった磁気レベルを検出できるものであれば、種々様々な構成を採用するこができるが、例えば、電圧センサであり、磁気ストライプに格納された磁気情報を読み出したとき(又は書き込みしたとき)の磁気読取部71(磁気書込部72)の出力(出力電圧)を測定する。このとき、磁気レベル検出部73は、例えば、測定した出力の振幅の平均値を用いて磁気レベルを判定しても良い。制御部10では、検出した磁気レベルと所定の閾値との比較により、磁気読取部71による磁気情報の読み出し、又は磁気書込部72による書き込みの成否を判定して良い。
【0060】
IC読取部74は、収容しているカードのICにアクセスしてデータ読取等の処理を行うものである。IC読取部74により読み取られたデータは制御部10に送付され、制御部10は、このデータに基づいて取引を制御する。
【0061】
通帳処理部80は、制御部10の制御の下、通帳入出口18から通帳を取り込んだり又は排出したりするものである。また、通帳処理部80は、通帳入出口18から挿入された通帳の格納部(例えば、磁気データ格納部やICチップ等)に格納されている通帳情報(例えば、磁気ストライプデータ)を読み取り、その通帳情報を制御部10に与えるものである。
【0062】
紙幣入出金部90は、制御部10の制御の下、紙幣を金種別に収納・管理するものである。
【0063】
硬貨入出金部100は、制御部10の制御の下、硬貨を金種別に収納・管理するものである。
【0064】
明細票発行部110は、制御部10の制御の下、取引明細票に取引結果を印刷して、レシート排出口16から発行(排出)を行うものである。
【0065】
取引処理部11は、顧客(利用者)との取引処理を行うための情報処理(利用者の操作画面の提示や操作受付に伴う処理を含む)や取引処理に伴ってATM1内の各構成要素の制御等を行うものである。
【0066】
第1の実施形態のATM1(取引処理部11)は、ICキャッシュカードの磁気ストライプに格納される磁気データの修復を行う取引(カード磁気修復取引)を行う際に、携帯端末3を用いて生成した磁気修復コードデータDを利用して、修復対象のカードの正当性の確認、顔認証による利用者の本人確認、及び磁気データの書き込みを行う。これ以上の取引処理部11の詳細は動作の項で述べる。
【0067】
(A-2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態に係る取引システム1000における特徴動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0068】
(A-2-1)携帯端末3の特徴動作(磁気修復コードデータDの生成処理)
図6は、第1の実施形態に係る携帯端末の特徴動作(磁気修復コードデータの生成処理)を示すフローチャートである。なお、携帯端末3には事前にキャッシュカードを発行した金融機関のアプリケーションがインストールされ、金融機関連携処理部311として機能を発揮できる状態であるものとする。
【0069】
認証部312は、上記アプリケーション起動時(金融機関連携処理部311の起動時)には、所定の認証処理を行い、利用者の本人確認を行う(S101)。ここでは、認証は成功したものとする。
【0070】
カード情報登録部313は、キャッシュカード情報を登録する(S102)。なお、利用者が保有しているカードが複数の場合には、複数のカード情報を登録しても良い。
【0071】
磁気修復コードデータ生成部314は、上記アプリケーションを介して、利用者からカード磁気修復取引の申し込み手続の開始を受け付ける(S103)。なお、このステップS103の処理は、上述のステップS102の直後に実行する必要は無く、利用者のタイミング(例えば、キャッシュカードの磁気データが壊れたことを利用者が認識したタイミング)で行って良い。
【0072】
磁気修復コードデータ生成部314は、カード磁気修復取引を行う対象カードの選択を利用者から受け付ける(S104)。上述のステップS102で、複数のカード情報を登録している場合には、利用者は、表示部35に表示された所定の選択画面を介して選択して良い。なお、上述のステップS102で、登録したカード情報が一つの場合には、当該ステップS104を省略しても良い。
【0073】
磁気修復コードデータ生成部314は、カメラ34を用いて、本人確認用の利用者の顔画像を撮影する(S105)。
【0074】
磁気修復コードデータ生成部314は、対象カードの口座情報に基づき、対象カードを管理する金融機関(ホストコンピュータ)に照会を行い、口座情報及び対象カードの磁気データの特定を行う(S106)。即ち、磁気修復コードデータ生成部314は、携帯電話ネットワークを介して、対象カードの口座を管理するホストコンピュータに直接アクセスして磁気データを取得する。即ち、あるホストコンピュータから別のホストコンピュータを経由して磁気データを取得する訳では無い。
【0075】
磁気修復コードデータ生成部314は、上述のステップS106で取得した対象カードの磁気データ、上述のステップS102で登録した対象カードの口座情報、上述のステップS105で撮影した利用者の顔画像から抽出した特徴データ、及び本コードデータの有効期限を含む磁気修復コードデータDを生成する(S107)。
【0076】
磁気修復コードデータ発行部315は、上述のステップS107で生成した磁気修復コードデータDを表示部35に表示する(S108)。また、磁気修復コードデータ発行部315は、生成した磁気修復コードデータDを利用者の指定するメールアドレス宛に送信しても良い。
【0077】
(A-2-2)ATM1の特徴動作(磁気修復コードデータDを使用して行うカード磁気修復取引処理)
図7は、第1の実施形態に係る取引システムにおけるATMの特徴動作(磁気修復コードデータを使用して行うカード磁気修復取引の処理)を示すフローチャートである。なお、ATM1で使用するキャッシュカードは、磁気ストライプ付ICカードであることを前提とする。
【0078】
まず、ATM1では、初期状態(利用者待ち状態)として、取引処理部11の制御に基づいて、操作表示部12に、取引の種類を選択することが可能な操作画面(以下、「取引選択画面」と呼ぶ)が表示されているものとする。例えば、図8に示すような取引選択画面T1である。そして、ここでは、利用者により、上述の取引選択画面で、「カード磁気修復(カード磁気修復取引)」が押下(選択)されたものとする(S151)。
【0079】
次に、取引処理部11は、操作表示部12に磁気修復コードデータDの読み取りを要求する画面(例えば、「携帯端末3にアプリケーションで登録した磁気修復コードデータを表示した状態で、コードデータ読取部17に携帯端末3を翳してください」等のメッセージを表示した画面)を表示させたものとする。ここでは、取引処理部11は、コードデータ読取部17を介して利用者の保持する携帯端末3から磁気修復コードデータDを正常に読み取ったものとする(S152)。
【0080】
次に、取引処理部11は、操作表示部12にキャッシュカードの挿入を要求する画面(例えば、「磁気修復対象のキャッシュカードを挿入してください」等のメッセージを表示した画面)を表示させたものとする。ここでは、利用者により、カード入出口13にキャッシュカードが挿入されたものとする(S153)。
【0081】
次に、取引処理部11は、挿入されたキャッシュカードの正当性を判定する(S154)。具体的には、取引処理部11は、磁気修復コードデータDに格納している金融機関の口座情報がキャッシュカードのICチップ内に存在していることを確認し、磁気修復コードデータDに格納している金融機関の口座情報とカードのICチップ内に格納している口座情報が一致していることを判定する。取引処理部11は、ICチップ内に口座情報が存在しない、又は、口座情報が存在する磁気修復コードデータDに格納している口座情報と異なる場合には、ATM1に挿入されたカードが磁気修復対象のカードと異なるため、取引を中断する。一方、取引処理部11は、カードの正当性が確認された場合、以下の処理を行う。
【0082】
次に、取引処理部11は、操作表示部12に利用者の顔を撮影することを要求する画面(例えば、「ATMの正面カメラにお客様の顔を向けてください」等のメッセージを表示した画面)を表示させたものとする。ここでは、ATM1は、カメラ19を介して利用者の顔を正常に撮影したものとする(S155)。
【0083】
次に、取引処理部11は、磁気修復コードデータDに格納している利用者の顔画像の特徴データと、上述のステップS155で撮影した顔画像の特徴データとに基づき、利用者の顔認証を行う(S156)。取引処理部11は、本人確認ができた場合(認証がOK)の場合には次の処理を実行し、一方、認証がNGの場合には、再度ステップS155からやり直す。なお、認証がNGの場合には、取引を中断しても良い。
【0084】
次に、取引処理部11は、操作表示部12に暗証番号の入力を要求する画面(例えば、「キャッシュカードの暗証番号を入力ください」等のメッセージを表示した画面)を表示させたものとする。ここでは、利用者により、正当な暗証番号が入力されたものとする(S157)。なお、当該ステップS157の処理は省略しても良い。また、他の生体認証を実施しても良い。
【0085】
次に、取引処理部11は、カード処理部70を制御して、磁気修復コードデータDに格納している修復用の磁気データを、キャッシュカードの磁気ストライプに書き込む処理を行う。ここでは、カード処理部70によって、キャッシュカードの磁気ストライプに正常に磁気データが書き込まれたものとする(S158)。
【0086】
そして、取引処理部11は、カード処理部70を制御して、磁気データが書き込まれたキャッシュカードを、カード入出口13から排出して、利用者に返却する(S159)。
【0087】
また、取引処理部11は、磁気修復コードデータDに格納している有効期限が現在時刻を超過している場合、ステップS152の後、所定のタイミングで取引を中断しても良い。
【0088】
(A-3)第1の実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、即ち、顔の特徴データとカード情報を含む磁気修復コードデータDを使用して、ATM1が本人確認とカードの正当性確認を行い、キャッシュカードの磁気修復を行うことで、以下の効果が得られる。
【0089】
(1)ホストコンピュータを介さずにカードの正当性が確認可能
ATM1は、磁気修復コードデータDの内部に格納している口座情報を使用し、キャッシュカードのICチップ内の口座情報が一致することを確認することにより、ホストコンピュータ2とデータの送受信をせずに、カードの正当性を確認できる。
【0090】
(2)各金融機関のICキャッシュカードに対応可能
ATM1は、磁気修復コードデータDの内部に格納している口座情報を使用し、キャッシュカードのICチップ内の口座情報が一致することを確認することにより、他金融機関のカードもホストコンピュータ、及び中継システムとのデータの送受信を実施せずに磁気修復の対象とすることができる。
【0091】
(3)ホストコンピュータや中継システムとの通信不要
磁気修復コードデータDの内部(非公開部)に暗号化したキャッシュカードの磁気データを使用することにより、ホストコンピュータや中継システムに接続することなくカードの磁気ストライプを修復することができる。そのため、中継システムとは別のネットワークの構築や、共通システムの開発、運用等の費用を抑えることができる。
【0092】
(4)なりすましの防止
本人認証に顔画像を使用することにより、本人のみカード磁気修復取引が可能となり、なりすまし防止等、高いセキュリティ性を確保することができる。
【0093】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による自動取引装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0094】
第2の実施形態では、顔の特徴データや磁気データの修復に必要なデータを含むセキュリティ機能搭載の2次元バーコードを使用して、本人確認、金融機関の口座番号の特定、及びクレジット情報の特定を行い、クレジット一体型ICキャッシュカードの磁気データ(クレジットカードに関する磁気データ)を自動修復する例を示す。
【0095】
(B-1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態のATM、携帯端末、ホストコンピュータ、及び取引システムの構成については、第1の実施形態と同様に上述の図1図5を用いて説明することができる。
【0096】
第1の実施形態では、磁気データを修復する対象として、キャッシュカードを例に挙げて説明したが、第2の実施形態では、クレジット一体型ICキャッシュカードを例に挙げて説明を行う。なお、ここでのクレジット一体型ICキャッシュカードは、磁気ストライプに、磁気データとしてクレジットカード情報を備える構成のものである。また、クレジットカード部分の支払口座(引き落とし口座)は、当該一体型カードのキャッシュカード部分の口座と同一である。
【0097】
第2の実施形態の携帯端末3等における各構成における特有の処理については、動作の項で述べるものとする。
【0098】
(B-2)第2の実施形態の動作
次に、第2の実施形態に係る取引システム1000における特徴動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0099】
(B-2-1)携帯端末3の特徴動作(磁気修復コードデータDの生成処理)
図9は、第2の実施形態に係る携帯端末3の特徴動作(磁気修復コードデータの生成処理)を示すフローチャートである。なお、携帯端末3には事前にクレジット一体型カードのカード発行会社のアプリケーションがインストールされ、金融機関連携処理部311として機能を発揮できる状態であるものとする。
【0100】
認証部312は、上記アプリケーション起動時(金融機関連携処理部311の起動時)には、所定の認証処理を行い、利用者の本人確認を行う(S201)。ここでは、認証は成功したものとする。
【0101】
カード情報登録部313は、利用者のクレジットカード情報を登録する(S202)。なお、利用者が保有しているカードが複数の場合には、複数のカード情報を登録しても良い。
【0102】
磁気修復コードデータ生成部314は、上記アプリケーションを介して、利用者からカード磁気修復取引の申し込み手続の開始を受け付ける(S203)。なお、このステップS203の処理は、上述のステップS202の直後に実行する必要は無く、利用者のタイミング(例えば、クレジット一体型ICキャッシュカードの磁気データが壊れたことを利用者が認識したタイミング)で行って良い。
【0103】
磁気修復コードデータ生成部314は、カード磁気修復取引を行う対象カードの選択を利用者から受け付ける(S204)。上述のステップS202で、複数のカード情報を登録している場合には、利用者は、表示部35に表示された所定の選択画面を介して選択して良い。また、クレジットカードの会員番号の入力から対象カードの選択を受け付けても良い。なお、上述のステップS202で、登録したカード情報が1枚の場合には、当該ステップS204を省略しても良い。
【0104】
磁気修復コードデータ生成部314は、カメラ34を用いて、本人確認用の利用者の顔画像を撮影する(S205)。
【0105】
磁気修復コードデータ生成部314は、対象カード(クレジットカード)の会員番号に基づきカード発行会社に照会を行い、支払い用の金融機関の口座情報(金融機関コード、店番、科目、口座番号等)及び対象カードの磁気データの特定を行う(S206)。即ち、磁気修復コードデータ生成部314は、携帯電話ネットワークを介して、対象カードを管理するサーバ(クレジットカードを管理するサーバ等)にアクセスして磁気データを取得する。
【0106】
磁気修復コードデータ生成部314は、上述のステップS206で取得した対象カードの磁気データ、上述のステップS202で登録した対象カードの支払い用の口座情報、上述のステップS205で撮影した利用者の顔画像から抽出した特徴データ、及び本コードデータの有効期限を含む磁気修復コードデータDを生成する(S207)。
【0107】
磁気修復コードデータ発行部315は、上述のステップS207で生成した磁気修復コードデータDを表示部35に表示する(S208)。また、磁気修復コードデータ発行部315は、生成した磁気修復コードデータDを利用者の指定するメールアドレス宛に送信しても良い。
【0108】
(B-2-2)ATM1の特徴動作(磁気修復コードデータDを使用して行うカード磁気修復取引の処理)
ATM1において、携帯端末3が保持する磁気修復コードデータDを使用して行うカード磁気修復取引の処理は、対象がクレジット一体型ICキャッシュカードとなるだけで、上述の図7のフローチャートと基本的に同様である。よって、ここでは詳細な説明を省略する。
【0109】
(B-3)第2の実施形態の効果
以上のように、第2の実施形態によれば、即ち、顔の特徴データとカード情報を含む磁気修復コードデータDを使用して、ATM1が本人確認とカードの正当性確認を行い、クレジット一体型キャッシュカードの磁気修復を行うことで、以下の効果が得られる。
【0110】
(1)各金融機関のクレジット一体型ICキャッシュカードに対応可能
ATMを保有する金融機関のホストコンピュータは、ATMから受信した金融機関の口座情報から、クレジットカード発行の有無やクレジットカードの発行会社等の各種情報を特定する必要があった。そのため、磁気修復が可能なカードはATMを保有する金融機関の口座情報を持つカードのみが対象であった。
【0111】
しかしながら、第2の実施形態のATM1は、磁気修復コードデータDの内部に格納している口座情報を使用して挿入されたカードの正当性が確認できる。また、磁気修復コードデータDの内部に格納しているクレジットカードの磁気データを使用することにより、クレジットカードの発行会社等の各種情報の取得が不要となる。
【0112】
(2)ホストコンピュータやクレジットカードの発行会社のシステムとの通信不要
従来のシステムでは、ATMはクレジットカードの磁気データをホストコンピュータから受信する必要があった。ホストコンピュータは、クレジットカードの磁気データを取得するために、クレジットカードの発行会社のシステムにネットワークを介して接続し、クレジットカードの磁気データを受信する必要がある。
【0113】
しかしながら、第2の実施形態では、磁気修復コードデータDの内部に暗号化したクレジットカードの磁気データを使用することにより、ホストコンピュータやクレジットカードの発行会社のシステムに接続することなくカードの磁気ストライプを修復することができる。そのため、ホストコンピュータとのデータ送受信に係るシステムの開発、運用等の費用を抑えることができる。
【0114】
(C)第3の実施形態
以下では、本発明による自動取引装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0115】
第2の実施形態では、クレジット一体型ICキャッシュカードの磁気ストライプの磁気データを修復する例を示したが、第3の実施形態では、磁気データが破損しているクレジット一体型ICキャッシュカードの磁気データをキャッシュカードの磁気データに書き換えることによって修復する例について示す。
【0116】
上述したように、カードの磁気ストライプのデータが破損している場合、ATMはクレジットカードの情報を読み取ることができないため、クレジットカードの取引を行うことができない。さらに、ATMは磁気データを読み取ることができないため、ICチップ内に金融機関の口座があることを確認することができない(より具体的には、磁気データが保持する有効性コードが確認できない)。そのため、金融機関の口座を使用した取引もできなくなる。
【0117】
また、ATMでカードの磁気ストライプのデータを修復する機能もあるが、クレジット一体型ICキャッシュカードの磁気データを修復する場合、ATMおよびホストコンピュータがクレジットカードの磁気データを取得するために、クレジットカードの発行会社のシステムにネットワークを介して接続し、クレジットカードの磁気データを受信する必要がある。
【0118】
上記の方法でATMがクレジットカードの磁気データを送受信するためには、金融機関とクレジットカード発行会社との間で、ネットワークの構築や、共通システムの開発、運用の連携、システム維持費用等が必要であり、機能を実現するためには膨大な費用が必要であった。
【0119】
第3の実施形態では、上記問題を解決し、媒体が備える磁気データが破壊された場合でも、利用者及び金融機関側の双方にとって、効率的に対処できる例を示すものとする。
【0120】
(C-1)第3の実施形態の構成
第3の実施形態のATM、ホストコンピュータ、及び取引システムの構成については、第1の実施形態と同様に上述の図1図3図5を用いて説明することができる。ただし、第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態で使用した携帯端末3は使用しない。即ち、利用者が事前に磁気修復コードデータDを生成する必要は無い。第3の実施形態では、ATM1(制御部10)の取引処理部11の処理が第1及び第2の実施形態と異なるので、以下ではこの点を中心に説明を行う。
【0121】
第3の実施形態の取引処理部11は、磁気データが壊れたクレジット一体型ICキャッシュカードの挿入を受け付けると、当該カードの磁気データを、当初のクレジットカードからキャッシュカードの磁気情報に書き換える。これ以上の取引処理部11の詳細については動作の項で述べる。
【0122】
(C-2)第3の実施形態の動作
次に、第3の実施形態に係る取引システム1000における特徴動作を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0123】
図10は、第3の実施形態に係る取引システムにおけるATMの特徴動作(クレジットカード情報からキャッシュカード情報に磁気データを書き換えることによって修復を行う処理)を示すフローチャートである。なお、ATM1で使用するキャッシュカードは、クレジット一体型ICキャッシュカードであることを前提とする。
【0124】
まず、ATM1では、初期状態(利用者待ち状態)として、取引処理部11の制御に基づいて、操作表示部12に、取引選択画面が表示されているものとする。例えば、上述の図8に示すような取引選択画面T1である。そして、ここでは、利用者により、上述の取引選択画面で、カードを用いて行う何らかの取引(出金取引等、又は専用取引である「カード磁気修復取引」)が押下(選択)されたものとする(S301)。
【0125】
次に、取引処理部11は、操作表示部12にカードの挿入を要求する画面(例えば、「キャッシュカードを挿入してください」等のメッセージを表示した画面)を表示させたものとする。ここでは、利用者により、カード入出口13にクレジット一体型ICキャッシュカードが挿入されたものとする(S302)。
【0126】
次に、取引処理部11は、カード処理部70を制御して、クレジット一体型ICキャッシュカードの磁気ストライプから磁気データを読み込む(S303)。
【0127】
次に、取引処理部11は、磁気データの読み取り処理が正常に行われたか否か確認を行う(S304)。取引処理部11は、正常に磁気データの読み取りが行われた場合には、後述するステップS305に移行し、一方、正常に磁気データの読み取りが行われなかった場合には、後述するステップS306に移行する。
【0128】
なお、磁気データの読み取りに失敗した場合には、操作表示部12にカードの磁気データの修復を試みることを利用者に通知する画面を表示しても良い。
【0129】
次に、取引処理部11は、上述のステップS304で、磁気データの読み取り処理が正常に行われた場合には、カードの磁気データが正常であることが判明したため、通常の取引へ移行する(S305)。
【0130】
一方、上述のステップS304で、磁気データの読み取り処理が正常に行われなかった場合(読み取りに失敗した場合)、挿入されたカードが磁気修復対象のカードか否か判定するために、カード処理部70を制御して、ICチップの有無を確認し、ICチップが存在する場合は、ICチップ内のデータを読み込む(S306)。
【0131】
次に、取引処理部11は、上述のステップS306の処理結果の確認を行う(S307)。即ち、取引処理部11は、カードにICチップが存在しない、又はICチップが破損等によりデータの読み込みができない場合には、磁気修復対象のカードであることが確認できないため、カードを含む各種媒体を返却し、取引を終了するステップS315に移行する。この場合、取引処理部11は、カード磁気の修復不可の理由が記されたエラー画面を操作表示部12に表示しても良い。一方、取引処理部11は、カードにICチップの存在を確認して、データの読み込みが行えた場合には、次の処理を行う。
【0132】
取引処理部11は、ICチップから読み込んだデータから、金融機関の口座情報(金融機関コード、支店番号、科目番号、口座番号、カード発行回数、有効期限など)を取得し、カードが磁気修復対象のカードか否か判定する(S308)。
【0133】
次に、取引処理部11は、上述のステップS308の処理結果の確認を行う(S309)。即ち、取引処理部11は、カードが磁気修復対象外の場合、上述のステップS315に移行する。一方、取引処理部11は、カードが磁気修復対象の場合、次の処理を行う。
【0134】
取引処理部11は、カードの磁気修復の実行にあたり、他人がカードの磁気修復を行わないように、所定の認証処理(例えば、暗証番号、生体認証、パスワード等による認証)を行う(S310)。取引処理部11は、認証に失敗した場合には、上述のステップS315に移行し、認証に成功した場合には、次の処理を行う。
【0135】
取引処理部11は、上述のステップS308でカードのICチップから取得した口座情報をホストコンピュータ2に送信する(S311)。ホストコンピュータ2はATM1から受信した口座情報から口座の状況やカードの正当性等を総合的に確認後、カードの磁気書き換えの可否を判断して、その結果(書き換え可の場合には修復用の磁気データを含む)をATM1へ送信する。
【0136】
次に、取引処理部11は、ホストコンピュータ2からの応答結果が、カードの磁気書き換え不可の場合には、上述のステップS315に移行し、一方、カードの磁気書き換え可の場合には、次の処理を行う(S312)。
【0137】
取引処理部11は、上述のステップS312でホストコンピュータ2から、カード磁気書き換え可、及びカードの磁気データ(キャッシュカードの磁気データ)を受信した場合には、カード処理部70を制御して、受信した磁気データをカードの磁気ストライプに書き込む(S313)。
【0138】
次に、取引処理部11は、上述のステップS313の処理結果の確認を行う(S314)。即ち、取引処理部11はカードの磁気部分の劣化、又は物理的破損等によりでカードの磁気書き込みが失敗した場合、上述のステップS315に移行して取引を終了する。この場合、取引処理部11は、カードの磁気ストライプの一部のデ一タが書き込まれている可能性があるため、不正な状態を防ぐために、カード処理部70を制御して、磁気データ全体を無効な磁気データに再書き込みしても良い。
【0139】
一方、取引処理部11は、カードの磁気書き込みが正常終了した場合には次の処理を行う。なお、カードの磁気書き込みが正常終了したことにより、カードの磁気データは当初のクレジットカード情報からキャッシュカードの情報に書き変わっている。
【0140】
次に、取引処理部11は、当初はATM1で取引可能であったクレジット関連の取引ができなくなることから、その旨を利用者に伝えるための画面(以下、「磁気データ変更説明画面」とも呼ぶ)を操作表示部12に表示する(S316)。
【0141】
図11は、第3の実施形態に係る磁気データ変更説明画面の一例を示す説明図である。
【0142】
図11において、磁気データ変更説明画面T2は、利用者が保持するカード(クレジット一体型ICキャッシュカード)の磁気情報が破損していたために、修復を試みた旨を示すメッセージM1と、クレジットカードの磁気データは修復できていない旨を示すメッセージM2と、クレジットカードの磁気ストライプを使用したい場合には、カード再発行の手続きが必要な旨を示すメッセージM3と、上記メッセージM1~M3の内容の確認を受け付ける確認ボタンB1とを備える。なお、図11で示しているメッセージM1~M3は一例であり、表示する文言は種々様々である。また、全てのメッセージを表示する必要も無く、例えば、メッセージM3は省略しても良い。
【0143】
次に、取引処理部11は、カードの磁気データの書き込みが完了し、利用者から上記磁気データ変更説明画面を介して確認を受け付けたら、継続取引の有無を確認する(S317)。取引処理部11は、継続取引がある場合にはステップS319へ移行する。一方、継続取引が無い場合(上述のS301でカード磁気修復のための専用取引(カード磁気修復取引)を選択した場合)には、ステップSS18へ移行する。
【0144】
取引処理部11は、カード磁気修復取引を選択していた場合、カードを含む各種媒体を返却し、取引を終了する(S318)。
【0145】
一方、取引処理部11は、継続取引(上述のステップS301で出金取引等を選択していた場合)がある場合、選択した取引を開始する(S319)。
【0146】
なお、上述のステップS301~S319では、磁気修復を行う媒体として、クレジット一体型ICキャッシュカードを例に挙げて説明したが、通常のキャッシュカードの磁気修復を行う場合でも、上述のステップS301~S319の処理を適用できる。この場合、上述のステップS316では、例えば、図12に示すような磁気データ修復説明画面を操作表示部12に表示する。
【0147】
図12において、磁気データ修復説明画面T3は、利用者が保持するカード(キャッシュカード)の磁気情報が破損していたために、修復を試みた旨を示すメッセージM2と、上記メッセージM2の内容の確認を受け付ける確認ボタンB2とを備える。なお、図11で示しているメッセージM4は一例であり、表示する文言は種々様々である。
【0148】
(C-3)第3の実施形態の効果
以上のように、第3の実施形態によれば、即ち、ATM1が、磁気データが破損しているクレジット一体型ICキャッシュカードの磁気データを金融機関のキャッシュカードの磁気データに書き換えることにより、以下の効果が得られる。
【0149】
第1に、磁気データ書き換え後のクレジット一体型ICキャッシュカードは、ATM1でのクレジット取引が不可となるが、キャッシュカードとして金融機関の口座を使用した取引が引き続き可能となる。
【0150】
第2に、ホストコンピュータ2がクレジットカード発行会社と通信することなく、クレジット一体型ICキャッシュカードの磁気データを修復することができる。
【0151】
(D)他の実施形態
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0152】
(D-1)上記第1の実施形態では、磁気データを修復する媒体として、ICキャッシュカードを、上記第2の実施形態では、クレジット一体型ICキャッシュカードを例に挙げて、本発明の説明を行ったが、変形例として、ICチップを備えるクレジットカードの磁気データを修復する場合でも、本発明を適用できる。この場合、携帯端末3には、クレジットカード発行会社のアプリケーションをインストールして、同様の手順で磁気修復コードデータDを生成する。そして、磁気データの修復処理は、ATM1が行っても良いし、磁気修復コードデータDの読み取り処理、媒体の処理(ICチップの読み取り、磁気ストライプの読み込み、書き込み等)、本人確認処理が行える構成を備える情報処理端末でも良い。
【0153】
(D-2)上記第1の実施形態では、磁気データを修復する媒体として、ICキャッシュカードを、上記第2の実施形態では、クレジット一体型ICキャッシュカードを例に挙げて、本発明の説明を行ったが、変形例として、通帳の磁気データを修復する場合でも、本発明を適用できる。この場合、通帳は、ICチップを備えないため、通帳と同時にキャッシュカードもATM1に挿入して、キャッシュカードのICチップのデータを使用すれば、第1の実施形態の手法を適用できる。
【0154】
(D-3)上記第1の実施形態では、磁気修復コードデータDを生成する際に、ホストコンピュータ2から受信した磁気データをそのまま使用していたが、登録したキャッシュカードの口座情報から磁気データの規格に沿った磁気データを作成し、当該磁気データを含む磁気修復コードデータDを生成しても良い。また、登録したキャッシュカードの口座情報から磁気データの規格に沿ったデータを作成するには、不足する情報がある場合、不足する情報については、ホストコンピュータ等から情報を取得した上で、磁気データを完成させても良い。
【0155】
(D-4)変形例として、ATM1及び携帯端末3は、上記各実施形態、(D-1)~(D-3)で述べた変形例の構成及び/又は機能の全部又は一部を組み合わせて使用しても良い。また、ATM1及び携帯端末3は、上記各実施形態及び(D-1)~(D-3)で述べた変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を省略しても良い。または上記各実施形態及び(D-1)~(D-3)で述べた変形例の構成及び/又は機能のうち少なくとも一部を、他の実施形態及び(D-1)~(D-3)で述べた他の変形例の構成及び/又は機能と置き換えても良い。
【符号の説明】
【0156】
1…ATM、2…ホストコンピュータ、3…携帯端末、10…制御部、11…取引処理部、12…操作表示部、13…カード入出口、14…紙幣入出口、15…硬貨入出口、16…レシート排出口、17…コードデータ読取部、18…通帳入出口、19…カメラ、20…記憶部、31…制御部、32…記憶部、33…通信部、34…カメラ、35…表示部、40…通信部、50…操作表示制御部、60…コードデータ処理部、70…カード処理部、71…磁気読取部、72…磁気書込部、73…磁気レベル検出部、74…IC読取部、80…通帳処理部、90…紙幣入出金部、100…硬貨入出金部、110…明細票発行部、311…金融機関連携処理部、312…認証部、313…カード情報登録部、314…磁気修復コードデータ生成部、315…磁気修復コードデータ発行部、1000…取引システム、D…磁気修復コードデータ、T1…取引選択画面、T2…磁気データ変更説明画面、T3…磁気データ修復説明画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12