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  • 特許-ガスバリア積層体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ガスバリア積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20241008BHJP
   B32B 15/082 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B32B15/08 D
B32B15/082 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020164881
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056893
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】小島 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】神永 純一
(72)【発明者】
【氏名】越山 良樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 里佳
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-026010(JP,A)
【文献】特開2003-291296(JP,A)
【文献】特開2005-187969(JP,A)
【文献】特開平10-139032(JP,A)
【文献】特開2004-225213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 15/08
B32B 15/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙基材と、アンカーコート層と、アルミニウム蒸着層と、水溶性高分子からなるオーバーコート層と、をこの順で備え
前記水溶性高分子がポリビニルアルコールであり、
前記アンカーコート層が、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレア系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂及びポリオレフィン系樹脂からなる群から選ばれる樹脂を含み、
前記紙基材と前記アンカーコート層が直接接しており、
前記アンカーコート層と前記アルミニウム蒸着層が直接接している、ガスバリア積層体(但し、前記アンカーコート層が脂肪族ポリエステル樹脂を含むガスバリア積層体を除く。)
【請求項2】
前記紙基材が前記アンカーコート層と接する側に設けられたコート層を有する、請求項1に記載のガスバリア積層体。
【請求項3】
前記コート層がスチレン・ブタジエン系樹脂、スチレン・アクリル系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂及びパラフィンからなる群から選ばれる少なくとも一種のバインダー樹脂を含む、請求項2に記載のガスバリア積層体。
【請求項4】
前記コート層がクレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク及びマイカからなる群から選ばれる少なくとも一種の填料を含む、請求項2又は3に記載のガスバリア積層体。
【請求項5】
紙の質量が当該ガスバリア積層体の全体の質量を基準として50質量%以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のガスバリア積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、飲料、医薬品及び化学品等の多くの分野では、それぞれの内容物に応じた包装材が使用されている。包装材は、内容物の変質の原因となる酸素及び水蒸気等の透過防止性(ガスバリア性)が求められる。特許文献1は、特定の処理が施された熱可塑性樹脂基材フィルムの少なくとも片面上に、ガスバリア性コート層を積層してなるガスバリア性フィルムを開示している。このガスバリア性コート層は、特定の鱗片状シリカとポリビニルアルコール系樹脂とからなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-138289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、海洋プラスチックごみ問題等に端を発する環境意識の高まりから、脱プラスチックの機運が高まっている。プラスチック材料の使用量削減の観点から、種々の分野において、プラスチック材料の代わりに、紙を使用することが検討されている。包装材を構成する材料の一部をプラスチックフィルムから紙に変更すれば、包装材の分野においてプラスチック材料の使用量を削減することができる。
【0005】
紙は折り目保持性(デッドホールド性とも称される。)を有することから、加工がしやすいという特徴を有する。従来、紙にガスバリア性を付与する検討もなされている。例えば、特開2004-204366号公報(以下、特許文献2という。)は、紙又は板紙のコート面に、蒸着アンカー層、蒸着薄膜層、オーバーコート層が順に設けられている防湿紙を開示している。特許文献2は、オーバーコート層の一態様として、ポリビニルアルコールと無機層状化合物(例えば、モンモリロナイト、ヘクライト、サポナイト)の混合物からなる層を開示している(特許文献2の段落[0039]参照)。特許文献2の段落[0027]の記載によれば、この防湿紙はコピー用紙の梱包紙又はたばこの紙製包装袋(ソフトタイプ)若しくは紙製箱(ボックスタイプ)として好適に使用できる。
【0006】
しかし、本発明者らの検討によれば、より鋭角な折り目がある包装(例えば、ピロー包装、三方シール包装及びガゼット包装)に特許文献2に記載の防湿紙を適用した場合、蒸着薄膜層及びオーバーコート層にクラックが生じてガスバリア性が低下する点において今で改善の余地があることが判明した。これに加え、紙は水分を吸収すると伸びる性質があるため、この伸びにオーバーコート層が追従できず、ガスバリア性が低下し得る。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、紙の特徴である折り目保持性を有し且つ折り曲げられた後においても十分なガスバリア性を有するとともに、プラスチック材料の使用量削減に寄与するガスバリア積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、紙基材と、アンカーコート層と、アルミニウム蒸着層と、水溶性高分子からなるオーバーコート層と、をこの順で備えるガスバリア積層体を提供する。
【0009】
水溶性高分子は、ポリビニルアルコールであってよい。
【0010】
ポリビニルアルコールのケン化度は90以上であってよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、紙の特徴である折り目保持性を有し且つ折り曲げられた後においても十分なガスバリア性を有するとともに、プラスチック材料の使用量削減に寄与するガスバリア積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、場合により図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではない。
【0014】
<ガスバリア積層体>
図1は、一実施形態に係るガスバリア積層体を示す模式断面図である。一実施形態に係るガスバリア積層体10は、紙基材1と、アンカーコート層2と、アルミニウム蒸着層3と、水溶性高分子からなるオーバーコート層4と、をこの順で備える。
【0015】
[紙基材]
紙基材1としては、特に限定されるものではなく、ガスバリア積層体10が適用される包装袋の用途に応じて適宜選択すればよく、植物由来のパルプを主成分としている紙であってよい。紙基材1の具体例として、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙及びクラフト紙、グラシン紙等が挙げられる。紙基材1の厚さは、例えば、20g/m以上500g/m以下であることが好ましく、30g/m以上100g/m以下であることがより好ましい。
【0016】
紙基材1には、少なくとも後述するアンカーコート層2と接する側にコート層を設けてあってもよい。コート層を設けることで、紙にアンカーコート層が染み込みことを防ぐことができるほか、紙の凹凸を埋める目止めの役割を果たすこともでき、アンカーコート層を欠陥なく均一に製膜することができる。コート層には、例えば、バインダー樹脂として、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系等の各種共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、セルロース系樹脂、パラフィン(WAX)等を用い、填料としてクレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、マイカ等が含まれていてもよい。
【0017】
コート層の厚みは、特に制限されるものではないが、例えば、1μm以上10μm以下、又は3μm以上8μm以下であってよい。
【0018】
紙の重量は、ガスバリア積層体全体を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。紙の重量がガスバリア積層体全体を基準として、50質量%以上であれば、プラスチック材料の使用量を十分に削減することができ、ガスバリア積層体全体として紙製であるということができるとともに、リサイクル性に優れる。
【0019】
[アンカーコート層]
アンカーコート層2は、紙基材の表面張に設けられ、紙基材1と後述するアルミニウム蒸着層3との間の密着性向上や、ガスバリア積層体のガスバリア性の向上のために設けられるものである。アンカーコート層2には、例えば、ポリアクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリカーボネート系、ポリウレア系、ポリアミド系、ポリイミド系、メラミン系、フェノール系、ポリオレフィン系等の樹脂があげられる。添加剤として、シランカップリング剤、有機チタネート等の添加剤を混合してもよい。
【0020】
アンカーコート層2の厚みは、例えば、1μm以上であってよく、2μm以上であってもよく、20μm以下であってよく、10μm以下であってもよく、5μm以下であってもよい。アンカーコート層2の厚みが1μm以上であれば、上述した紙基材の凹凸を効率的に埋めることができ、後述するアルミニウム蒸着層を均一に積層させることができる。また、アンカーコート層2の厚みが20μm以下であれば、コストを抑えつつ蒸着層を均一に積層させることができる。
【0021】
アンカーコート層2の溶液に含まれる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、特性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また環境の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。アンカーコート層2を設ける方法としては、紙基材上に少なくとも上述した溶媒を含む塗液を塗布し、乾燥させることで得ることができる。
【0022】
[アルミニウム蒸着層]
アルミニウム蒸着層3は、金属アルミニウムを蒸着した層である。金属アルミニウムは極性基が少なく水蒸気を通さず、さらに遮光性もあるため、本実施形態に係る蒸着層として好ましい。
【0023】
アルミニウム蒸着層3の厚みは、使用用途によって適宜設定すればよいが、好ましくは10~300nmであり、より好ましくは30~100nmである。アルミニウム蒸着層3の厚みを10nm以上とすることでアルミニウム蒸着層3の連続性を十分なものとしやすく、300nm以下とすることでカールやクラックの発生を十分に抑制でき、十分なガスバリア性能及び可撓性を達成しやすい。
【0024】
アルミニウム蒸着層3は、真空成膜手段によって成膜することが、酸素ガスバリア性能や膜均一性の観点から好ましい。成膜手段には、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法(CVD法)などの公知の方法があるが、成膜速度が速く生産性が高いことから真空蒸着法が好ましい。また真空蒸着法の中でも、特に電子ビーム加熱による成膜手段は、成膜速度を照射面積や電子ビーム電流などで制御しやすいことや蒸着材料への昇温降温が短時間で行えることから有効である。
【0025】
[水溶性高分子からなるオーバーコート層]
水溶性高分子からなるオーバーコート層4は、アルミニウム蒸着層3の表面上に、アルミニウム蒸着層3に接するように設けられるものである。このような水溶性高分子は、柔軟性に優れ、屈曲後(折り曲げ後)にアルミニウム蒸着層の割れを抑制することができるとともに、アルミニウム蒸着層との密着性に優れる。蒸着層を割れにくくするとともに、例え蒸着層が割れたとしても、水溶性高分子の持つ水酸基により緻密さが保たれるため、ガスバリア性(酸素バリア性)を維持できる。
【0026】
オーバーコート層には、水溶性高分子が例えば、98質量%以上含まれていてよく、99質量%以上含まれていてよく、水溶性高分子のみを含んでいてもよい。オーバーコート層には、水溶性高分子以外の材料として、例えば、金属アルコキシドとその加水分解物、シランカップリング剤とその加水分解物、シリカ粒子、カオリン、マイカ、タルク、モンモリロナイト等の無機物等の材料が2質量%以下、1質量%以下含まれていてもよく、これらの材料が含まれていなくともよい。
【0027】
水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、およびその変性体、でんぷん、セルロース類などを挙げることができる。これらの中でもポリビニルアルコール(以下、PVAともいう)は、ガスバリア性を優れたものとできるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものであり、例えば、酢酸基が数十パーセント残存している、いわゆる部分ケン化PVAから、酢酸基が数%しか残存していない完全ケン化PVA等を用いることができる。PVAは例えばケン化度が70以上の部分ケン化PVAを用いてもよいが、ガスバリア積層体が折り曲げられた後においても十分な水蒸気バリア性を維持する観点から、完全ケン化PVAを用いることが好ましく、例えばPVAのケン化度は90以上であってよく、95以上であってよい。また、PVAの水酸基の一部は疎水性基に変性されていてもよい。
【0028】
水溶性高分子からなるオーバーコート層の厚みは、例えば、0.05μm以上であってよく、0.5μm以上であってよく、1μm以上であってよく、20μm以下であってよく、10μm以下であってよく、5μm以下であってよい。水溶性高分子からなるオーバーコート層4の厚みが0.05μm以上であれば、初期のバリア性が良好であり、ガスバリア積層体の折り曲げによる蒸着層の割れを防ぐことができる。また、水溶性高分子からなるオーバーコート層4の厚みが20μm以下であれば、コストや基材のカールを抑えることができる。
【0029】
上述したガスバリア積層体は、折り曲げられた後においても十分なガスバリア性を維持できるため、例えばガゼット袋等に使用することができる。このため、内容物の変質を十分に長期にわたって抑制することができる。また、プラスチック材料で全体が構成された容器と比較して、プラスチックの使用量を削減することができる。
【実施例
【0030】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】
以下の材料を準備した。
【0032】
[水溶性高分子]
・PVA1:ポリビニルアルコール(ケン化度:98~99、重合度:500)
・PVA2:ポリビニルアルコール(ケン化度:87~89、重合度:500)
・PVA3:変性PVA(エクセバール、株式会社クラレ製)
【0033】
[ガスバリア積層体の作製]
(実施例1)
完全ケン化ポリビニルアルコールの溶液として、PVA1の溶液(固形分:5質量%、溶媒:水/IPA=90/10(質量比))を調製した。紙(厚さ:55g/m)の表面上にアンカーコート層(アクリルポリオール、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、脂肪族系キシレンジイソシアネートの混合溶液、厚さ:1μm)を形成し、次いで、アンカーコート層の表面上に、アルミニウム蒸着層(50nm)を形成した。アルミニウム蒸着層の表面上に、上記PVA1の溶液をバーコーターで塗工し、塗膜をオーブンで120℃、1分乾燥させることによって、水溶性高分子を含む層(厚さ:1μm)を形成した。これらの工程を経て、ガスバリア積層体(層構成:紙/アンカーコート層/アルミニウム蒸着層/水溶性高分子からなるオーバーコート層(PVA1))を得た。
【0034】
(実施例2)
部分ケン化ポリビニルアルコールの溶液として、PVA2の溶液(固形分:5質量%、溶媒:水/IPA=90/10(質量比))を調製した。上記PVA2の溶液をバーコーターで塗工した以外は、実施例1と同様の手順によってガスバリア積層体(層構成:紙/アンカーコート層/アルミニウム蒸着層/水溶性高分子からなるオーバーコート層(PVA2))を調製した。
【0035】
(実施例3)
変性PVAの溶液として、PVA3の溶液(5質量%、溶媒:水/IPA=90/10(質量比))を調製した。上記PVA3の溶液をバーコーターで塗工した以外は、実施例1と同様の手順によってガスバリア積層体(層構成:紙/アンカーコート層/アルミニウム蒸着層/水溶性高分子からなるオーバーコート層(PVA3))を調製した。
【0036】
(比較例1)
TEOS(テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.05N)89.6gを加えた後、30分間撹拌することによって加水分解させた固形分3質量%(SiO換算)の液)を調製した。PVA1の溶液(固形分:5質量%、溶媒:水/IPA=90/10(質量比))に上記TEOS加水分解物を70/30(固形分比)で混ぜたものを、準備した。紙(厚さ:55g/m)の表面上に実施例1に記載のアンカーコート層(厚さ:1μm)を形成し、次いで、アンカーコート層の表面上に、アルミニウム蒸着層(50nm)を形成した。アルミニウム蒸着層の表面上に、上記PVA1とTEOS加水分解物を70/30(固形分比)で混ぜた溶液をバーコーターで塗工し、塗膜をオーブンで120℃、1分乾燥させることによって、オーバーコート層(厚さ:1μm)を形成し、ガスバリア積層体を得た。
【0037】
(比較例2)
PVA1の溶液(固形分:5質量%、溶媒:水/IPA=90/10(質量比))に層状化合物(サンラブリーHN-050、AGCエスアイテック社製)をPVA1と層状化合物が70/30(固形分比)となるように混ぜたものを準備した。紙(厚さ:55g/m)の表面上に実施例1に記載のアンカーコート層(厚さ:1μm)を形成し、次いで、アンカーコート層の表面上に、アルミニウム蒸着層(50nm)を形成した。アルミニウム蒸着層の表面上に、上記PVA1と層状化合物を70/30(固形分比)で混ぜた溶液をバーコーターで塗工し、塗膜をオーブンで120℃、1分乾燥させることによって、オーバーコート層(厚さ:1μm)を形成し、ガスバリア積層体を得た。
【0038】
(比較例3)
実施例1において、アルミニウム蒸着層を、シリカ(SiO)蒸着層とした以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0039】
(比較例4)
比較例1において、アルミニウム蒸着層を、シリカ(SiO)蒸着層とした以外は比較例1と同様の操作を行った。
【0040】
(比較例5)
比較例2において、アルミニウム蒸着層を、シリカ(SiO)蒸着層とした以外は比較例2と同様の操作を行った。
【0041】
(比較例6)
実施例1において、アルミニウム蒸着層を、アルミナ(Al)蒸着層とした以外は実施例1と同様の操作を行った。
【0042】
(比較例7)
比較例1において、アルミニウム蒸着層を、アルミナ(Al)蒸着層とした以外は比較例1と同様の操作を行った。
【0043】
(比較例8)
比較例2において、アルミニウム蒸着層を、アルミナ(Al)蒸着層とした以外は比較例2と同様の操作を行った。
【0044】
[水蒸気透過度の測定]
実施例及び比較例に係るガスバリア積層体の水蒸気透過度をMOCON法で測定した。測定条件は、温度40℃、相対湿度90%とした。600gのローラーを300mm/分の速さで転がしながら、ガスバリア積層体に折り目を付け、開いた後のガスバリア積層体の水蒸気透過度も同様に測定した。折り曲げは各実施例及び比較例ともに、紙基材側からみてガスバリア積層体を山折りした後の水蒸気透過度を示す。下記表1~表3に結果を単位[g/m・day]で表記した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【符号の説明】
【0048】
1…紙基材、2…アンカーコート層、3…アルミニウム蒸着層、4…水溶性高分子からなるオーバーコート層、10…ガスバリア積層体。
図1