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特許7567358フリクション機構、定着装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】フリクション機構、定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
G03G15/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020178326
(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公開番号】P2022069244
(43)【公開日】2022-05-11
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】上出 建太
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-016734(JP,A)
【文献】特開2020-034698(JP,A)
【文献】特開平03-271787(JP,A)
【文献】特開2009-282401(JP,A)
【文献】特開2015-011232(JP,A)
【文献】特開2009-161267(JP,A)
【文献】特開2020-121467(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 15/08
G03G 15/00
G03G 21/16
B41J 23/00
B41J 25/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦負荷により回転体に所定の回転抵抗を付加するフリクション機構であって、
前記回転体を軸支する第1の回転軸と、
前記第1の回転軸を支持する支持部材と、
前記支持部材と前記回転体との間に設けられて前記摩擦負荷のためのバネ荷重を生じる加圧手段と、
前記第1の回転軸と平行に支持される掛止部材と、
前記回転体の端面と対応する位置にネジ貫通孔を有し、かつ前記掛止部材と対応する位置に案内孔を有する封止部材とを設け、
前記封止部材の前記ネジ貫通孔を前記回転体に位置付け、前記封止部材の前記案内孔に前記掛止部材を挿通させ、前記封止部材を前記掛止部材が挿通している前記案内孔を中心に傾斜可能とし、前記加圧手段の前記バネ荷重を前記封止部材で受止め可能とし、
前記封止部材は前記ネジ貫通孔を介して、前記第1の回転軸に固着可能とし、前記封止部材と前記回転体との間に前記摩擦負荷が発生可能とする
ことを特徴とするフリクション機構。
【請求項2】
前記掛止部材は、前記支持部材により支持される第2の回転軸であることを特徴とする請求項1記載のフリクション機構。
【請求項3】
前記封止部材は板状であり、上方には前記第1の回転軸に固着するための前記ネジ貫通孔を有し、下方には前記掛止部材に掛止される前記案内孔を設けたことを特徴とする請求項1記載のフリクション機構。
【請求項4】
前記封止部材は表裏の取付方向を規制する形状とすることを特徴とする請求項3記載のフリクション機構。
【請求項5】
前記掛止部材は、先端付近の周囲に仮固定溝を設け、
前記封止部材は、前記案内孔が前記仮固定溝に掛止する状態では、前記ネジ貫通孔が前記支持部材から離間する方向に傾斜することを特徴とする請求項3記載のフリクション機構。
【請求項6】
前記仮固定溝の側面形状は、先端側に溝垂直部が形成され、前記支持部材側に溝斜面部が形成されることを特徴とする請求項5記載のフリクション機構。
【請求項7】
請求項1乃至のいずれか一記載のフリクション機構を備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項に記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフリクション機構、そのフリクション機構を備えた定着装置及びその定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置は、静電潜像担持体としての感光ドラムと、感光ドラムを所定の極性・電位に帯電する帯電装置及び帯電された感光ドラム上に静電潜像を形成する露光装置を有する。加えて、静電潜像をトナーによりトナー像として顕像化する現像装置、トナー像を印刷媒体に転写する転写装置及びトナー像を印刷媒体上に定着させる定着装置を備えている。
【0003】
このような定着装置を有する画像形成装置としては、特許文献1(特開2020-16734号公報)に開示されたものがある。この定着装置は、ベルトユニットが加圧ローラに押し付けられたときに所定のニップ部を形成するニップ領域、ニップ部を解除するリリース領域等を形成するためのカム部材を有する。このカム部材を所定の位置で停止させる回転抑制部材(スプリング)を配したものである(段落番号0038、0039)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-16734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、回転抑制部材(スプリング)の組立作業工程において、スプリングを押し付けながら封止部材(ギアカバー)を固定する必要があるため組立作業工程における作業時間の短縮が難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、回転抑制部材(スプリング)の組立作業工程における作業時間の短縮が可能な定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するために、摩擦負荷により回転体に所定の回転抵抗を付加するフリクション機構であって、前記回転体を軸支する第1の回転軸と、前記第1の回転軸を支持する支持部材と、前記支持部材と前記回転体との間に設けられて前記摩擦負荷のためのバネ荷重を生じる加圧手段と、前記第1の回転軸と平行に支持される掛止部材と、前記回転体の端面と対応する位置にネジ貫通孔を有し、かつ前記掛止部材と対応する位置に案内孔を有する封止部材とを設け、前記封止部材の前記ネジ貫通孔を前記回転体に位置付け、前記封止部材の前記案内孔に前記掛止部材を挿通させ、前記封止部材を前記掛止部材が挿通している前記案内孔を中心に傾斜可能とし、前記加圧手段の前記バネ荷重を前記封止部材で受止め可能とし、前記封止部材は前記ネジ貫通孔を介して、前記第1の回転軸に固着可能とし、前記封止部材と前記回転体との間に前記摩擦負荷が発生可能とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記のように、封止部材のネジ貫通孔を回転体に位置付け、封止部材の案内孔に掛止部材を挿通させ、封止部材を掛止部材が挿通している案内孔を中心に傾斜可能とし、加圧手段のバネ荷重を封止部材で受止め可能とする。従って、本発明によれば、カム部材のオーバーラン対策で、加圧手段によるバネ荷重Tが掛けられた回転体を仮固定することが可能となる。従って、次工程における本固定としてのネジによる固定作業が容易となり、回転体を容易に組立てることができる定着装置を得ることができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に関わる画像形成装置おける定着装置のフリクション機構の組立説明図(2)である。
図2】第1の実施の形態に関わる画像形成装置の構成を示す概略構成図である。
図3】第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置の斜視図である。
図4】第1の実施の形態に関わる定着装置における第2のシャフトの説明図である。
図5】第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置の図3の矢印U方向から見た要部斜視図である。
図6】第1の実施の形態に関わる定着装置におけるギアプレートの表面を示す斜視図である。
図7】第1の実施の形態に関わる定着装置のフリクション機構の組立完了状態の断面を示す説明図である。要部説明図である。
図8】第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置のフリクション機構の組立説明図(1)である。
図9】第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置のフリクション機構の組立説明図(3)である。
図10】第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置のフリクション機構の組立説明図(4)である。
図11】第1の実施の形態の変形例に関わるギアプレートの表面を示す斜視図である。
図12】第1の実施の形態の変形例に関わる定着装置の要部説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態の構成)
以下、第1の実施の形態について図面を用いて説明する。図2は第1の実施の形態に関わる画像形成装置の構成を示す概略断面図である。画像形成装置1は、カラー画像用印刷装置であり、媒体収納繰出部10に収納されている印刷媒体Pを1枚づつ繰り出し、カラー印刷処理を行う。
【0011】
媒体収納繰出部10は給紙カセット11を配し、複数枚の印刷媒体Pを積層状態で保有する。媒体収納繰出部10は、印刷処理時に、所定の画像形成のタイミングに合わせたホッピングローラ12及びレジストローラ13の回転動作により、印刷媒体Pを媒体搬送部14に供給する。媒体搬送部14は、先ずその下流に配置された現像装置20に印刷媒体Pを搬送する。現像装置20は、印刷媒体Pに対し各色の画像を形成する。
【0012】
現像装置20の下方に、現像装置20に対向して配置されたベルト式の転写装置30が設けられている。転写装置30は、現像装置20によって形成された画像を印刷媒体Pに転写する。更に現像装置20の下流側に印刷媒体P上に形成されたトナー像を定着させる定着装置40を配設する。このように画像形成装置1は、媒体収納繰出部10から現像装置20、転写装置30及び定着装置40まで印刷媒体Pを搬送するために媒体搬送部14が構築されている。
【0013】
媒体搬送部14は複数の搬送ローラ15を配設し、搬送ローラ15は図示しない駆動源により回転駆動される。定着装置40の下流側に配した搬送ローラ15は、回転することによりトナー像が定着された印刷媒体Pを印刷媒体排出口16から放出する。放出された印刷媒体Pは、画像形成装置1の上部カバー上に形成した排紙積載部17に積載される。
【0014】
現像装置20は、媒体搬送部14に沿って4個の画像形成部20BK、20Y、20M及び20Cを並設する。これらの各画像形成部は印刷媒体P上に、それぞれブラック(BK )、イエロー( Y )、マゼンタ( M )及びシアン( C )の4色のトナー像を形成する。
【0015】
各画像形成部20BK、20Y、20M 及び20Cは、それぞれブラック、イエロー、マゼンダ及びシアンの各色の現像を行うものであり、これらは同様の構成である。よって、ブラックのトナー像を形成する画像形成部20BKを代表例として構成を説明する。
画像形成部20BKは、その表面に静電潜像を担持する静電潜像担持体としての感光ドラム21BKを有する。更に感光ドラム21BKは矢印Aで示す方向に回転し、感光ドラム21BKの周囲は、ブラックのトナー像を形成するための帯電部22BK、露光部23BK、現像剤供給部24BK及びクリーニング部25BKを有している。
【0016】
画像形成部20BKは、帯電部22BKと現像剤供給部24BKの間に配設された露光部23BKからの露光を受ける。なお、静電潜像担持体は感光ドラム21BKのようなドラム状に限定するものではなく、環状ベルト状であってもよい。
【0017】
転写装置30は、エンドレス転写ベルト31を張架した転写ベルト張架ローラ32及び33を回転可能に軸支している。転写装置30は、転写ベルト張架ローラ32を回転させるための図示しない駆動源を有し、エンドレス転写ベルト31上の印刷媒体Pを矢印Bで示す方向に搬送し、印刷媒体Pの表面にトナー像を転写する。
【0018】
定着装置40は、加圧ローラ41及び定着ベルト42で印刷媒体Pを挟持する。更に加圧ローラ41は、駆動ギア列を介して接続される定着モータ18が回転駆動することで回転する。これにより加圧ローラ41は定着ベルト42と共に印刷媒体Pを搬送する。カムモータ19は後述する定着ベルト42のリリース動作を行うための駆動源である。定着装置40は、印加電圧により発熱するヒータ及びサーミスタにより測定された装置内の温度に基づき、印加電圧のON/OFF制御が行われる。なお、リリース動作の詳細については後述する。以上の各部は、図示しない搬送監視センサやモータ類が配設されて、制御部100により制御される。
【0019】
図3は第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置の斜視図である。図は定着装置40において、概ね装置内部を覆うカバー部を取り外した状態を示すものである。定着装置40における加圧ローラ41及び定着ベルト42は、支持フレーム43により各々回転可能に支持される。支持フレーム43は、支持部材としてのライトサイドフレーム431、レフトサイドフレーム433及び下部シャーシ435で構築する。ライトサイドフレーム431及びレフトサイドフレーム433は、下部シャーシ435を底面として、垂直方向に起立し、かつ平行状態で形成され略対称形状となる。
【0020】
ライトサイドフレーム431に、回転軸としての第1のシャフト441、後述する掛止部材としての第2のシャフト442及び段付スタッド447が溶接又はカシメ付けにより、X方向に植設される。第2のシャフト442は第1のシャフト441から所定の距離だけ離間している。なお、段付スタッド447は、レフトサイドフレーム433側にも植設される。
加圧ローラ41の回転軸である加圧ローラシャフト411及びリリースシャフト45は、ライトサイドフレーム431及びレフトサイドフレーム433間に渡設され、軸受け部材(ベアリング)により回転可能に軸支される。
【0021】
リリースシャフト45の軸にカム部材としてのリリースカム46が挿入され、図示しない圧入ピンでリリースシャフト45と一体化される。このリリースカム46は、ライトサイドフレーム431及びレフトサイドフレーム433の両面に対称位置関係で配設される。なお、図3において、各シャフトの先端に設けられ後に図5で説明する各ギアの図示は省略してある。
更に、定着装置40は、レフトサイドフレーム433側に突出させたリリースシャフト45の軸に、リリースカム46の回転方向における位置を検出するため図示しない検出部を設ける。この検出部は、円板状の一部領域に光反射部を配し、光センサで光反射部を検出する。なお、検出部はスリット円板を用いたものでもよい。
【0022】
保持アーム47の一端は前述した段付スタッド447に挿入され、回動可能に軸支される。なお、ライトサイドフレーム431側に取付けられる保持アーム47は右保持アーム47Rと称し、レフトサイドフレーム433側に取付けられる保持アームは図示しない左保持アームと称する場合がある。右保持アーム47R及び図示しない左保持アームは、略対称形状であり同機能を有する。
【0023】
段付スタッド447により一端が軸支される保持アーム47の他端部に、略L字状の下折曲部471を形成する。この下折曲部471は、前述したリリースカム46のカム面と当接する。また、ライトサイドフレーム431の上部は、下折曲部471と対面する上折曲部432を形成する。下折曲部471及び上折曲部432間は、加圧バネ48を介在させる。なお、同様にレフトサイドフレーム433側も図示しない加圧バネを介在させる。
【0024】
ライトサイドフレーム431及びレフトサイドフレーム433間は、ニップ部形成部材49を配設する。ニップ部形成部材49は定着ベルト42の他にヒータ部及びサーミスタ等を有し、更にそれらの保持部材で構成する両端部は、左右の保持アームにより保持される。従って、加圧バネ48のバネ荷重は保持アーム47を介して、ニップ部形成部材49に作用する。これにより、ニップ部形成部材49は加圧ローラ41を押し付け、定着ニップを形成する。
なお、図示するX方向は印刷媒体Pの横幅方向を示し、Y方向は印刷媒体Pの搬送方向であり、Z方向は印刷媒体Pの厚さ方向を意味する。
【0025】
カムモータ19(図2参照)によりリリースシャフト45を回転させると、リリースカム46により加圧バネ48のバネ荷重に抗して保持アーム47が上下動する。この時の定着装置40は、カムモータ19の回転量を制御することにより、リリース動作を実行できる。リリース動作とは、「ニップ状態」から「ニップ解除状態(リリース状態)」への状態移行を意味するもので、状態移行中は減圧ニップ状態とする。本実施の形態では、リリースカム46は通常印刷モードのときはニップ状態であり、特殊印刷モードのときは減圧ニップ状態であり、更に離間モードのときはリリース状態の3ポジションを構築できる。
【0026】
以上説明したように、定着装置40は、リリースカム46の停止位置によりニップ状態(通常印刷モード)、減圧ニップ状態(特殊印刷モード)及びリリース状態(離間モード)を構築する。ニップ状態(通常印刷モード)は、加圧ローラ41及び定着ベルト42との境界に定着ニップが形成される。減圧ニップ状態(特殊印刷モード)は、加圧ローラ41に対する定着ベルト42の押し付け力が通常印刷モードより弱くなり、印刷媒体Pに紙しわが生じやすい薄紙、薬包などの特殊媒体に対応する。リリース状態(離間モード)は、待機状態であり定着動作を行なわず、定着ベルト42は加圧ローラ41から離間している。また、定着動作中に図示しない検知手段がジャム検知した場合に、制御部100の制御によりリリース状態に移行することもある。
【0027】
図4は第1の実施の形態に関わる定着装置における第2のシャフトの説明図である。図4(a)は第2のシャフト442の斜視図であり、図4(b)は第2のシャフト442の縦断面図である。第2のシャフト442は後述するアイドルギア52(図5参照)を軸着するとともに、第1の実施の形態に関わる後述するギアプレート55を引っ掛ける掛止部材として機能する。
掛止部材としての第2のシャフト442は仮固定溝部443、直径方向の横断面が略英大文字Dの形状としたDカット部444及び先端面取部445を形成する。真円部446は、後述するアイドルギア52(図5参照)が軸着される部位である。
【0028】
仮固定部としての仮固定溝部443は、図6において後述する封止部材としてのギアプレート55のガイド孔552が掛合する部位である。図4に示すように第2のシャフト442の外周に連続して設けた溝からなる仮固定溝部443は、溝部形状として直径が急激に減少する形状となる仮固定溝垂直面443a及び直径が徐々に減少する形状となる仮固定溝斜面443bを有する。仮固定溝部443の配設位置は、フリクション機構60の組立完了状態(図7図10参照)におけるギアプレート55が垂直に配置された結果、ギアプレート55より先端側に位置する。即ち、ライトサイドフレーム431(図3参照)からの距離は、ギアプレート55までの距離より仮固定溝部443までの距離の方が大である。また、仮固定溝垂直面443aは先端側に形成され、一方、仮固定溝斜面443bはライトサイドフレーム431側となる。
【0029】
なお、仮固定溝部443の諸元は、ギアプレート55の板厚、ガイド孔552の直径、傾き量及び使用するネジ56のネジ部の長さ等を考慮して決定する。
Dカット部444はギアプレート55の略英大文字Dの形状としたガイド孔552が嵌合する。この嵌合によりギアプレート55の組立方向(表裏)が規制される。先端面取部445は、はギアプレート55のガイド孔552の挿入を容易にするためのものである。ギアプレート55については後に詳述する。
【0030】
図5は第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置の図3の矢印U方向から見た要部斜視図である。定着装置40のリリースシャフト45は図示しない圧入ピンによりカムギア50と一体化し、このカムギア50が回転されることにより同軸上のリリースカム46が回転する。回転体としてのアイドル2段ギア51は、大径ギア511及び小径ギア512(図7参照)を形成する2段ギアである。アイドル2段ギア51は第1のシャフト441(図3参照)に挿入、軸着される。
一方、アイドルギア52は第2のシャフト442に挿入、軸着される。各ギアは一方向のみに回転するはすば歯車(ヘリカルギア)である。このアイドルギア52の回転により発生するスラスト力はライトサイドフレーム431側に作用させるので、抜け防止とする止め輪等は不要となる。
【0031】
連結2段ギア53は加圧ローラシャフト411に挿入、軸着される。連結2段ギア53は、大径ギア531及び小径ギア532(図7参照)で形成される。更に連結2段ギア53に併設される連結ギア54が加圧ローラシャフト411に挿入され、固着される。アイドル2段ギア51及び連結2段ギア53は、本装置構成上において大径ギアと小径ギアを有するが、これに限定するものではない。
【0032】
封止部材としてのギアプレート55は、図示Z方向において、アイドル2段ギア51を軸着してる第1のシャフト441及びアイドルギア52を軸着してる第2のシャフト442間まで伸長されている。ギアプレート55の下端部は第2のシャフト442に嵌合され、上端部は第1のシャフト441にネジ56により固定される。ネジ56は第1のシャフト441に形成された雌ネジ部441aに螺合して固定する。
【0033】
図6は第1の実施の形態に関わる定着装置におけるギアプレートの表面を示す斜視図である。定着装置におけるギアプレート55は、定着装置40のフリクション機構60の組立に際し、第1のシャフト441に固定され、ギア加圧バネ57からのバネ荷重T(図8(b)参照)が掛かっているアイドル2段ギア51を仮固定及び本固定するために使用する。
ギアプレート55は金属板であり、形状は上部は半円形で下部は方形からなり全体が略長方形である。ギアプレート55はネジ56を通して第1のシャフト441に固定するための取付孔としてのネジ貫通孔551と、第2のシャフト442に嵌合するための案内部としてのガイド孔552を設ける。ネジ貫通孔551はギアプレート55の上部に設けられ、後述する仮固定時に直線的にネジ56を通せるように長孔になっている。ネジ貫通孔551はギアプレート55の下部に設けられ、その穴径は締結のためにネジ56の呼び径以上、第1のシャフト441の直径未満とする。なお、ギアプレート55の表裏に関し、ネジ56を挿入する方の面を表面とし、アイドル2段ギア51に当接する面を裏面とする。
【0034】
本実施の形態におけるギアプレート55のガイド孔552の内径は、第2のシャフト442の外径φ6mmよりもわずかに大きいφ6.12mmとしてあり、第2のシャフト442が遊着できる。更にガイド孔552の形状は、ギアプレート55が回動しないように、第2のシャフト442の断面形状に合わせて略英大文字Dの形状とする。以後、Dカット形状と称する。ガイド孔552のDカット形状は、図4に示した第2のシャフト442のDカット部444と対応し、これにより、ギアプレート55の表裏の取付方向が規制される。
【0035】
図7は第1の実施の形態に関わる定着装置のフリクション機構の組立完了状態の断面を示す説明図である。図7(a)に示すように、連結2段ギア53は前述した通り大径ギア531及び小径ギア532で構成され、大径ギア531は図示しないギア列を介してカムモータ19(図2参照)の駆動力が伝達される。連結2段ギア53の小径ギア532は、アイドルギア52と噛み合う。そのアイドルギア52は、小径ギア532の他にアイドル2段ギア51の大径ギア511とも噛み合う。アイドル2段ギア51の小径ギア512は、カムギア50と噛み合っている。従って、カムモータ19の回転は、カムギア50を固着したリリースシャフト45の回転となりリリースカム46の回転となる。
連結ギア54は前述した通り、加圧ローラシャフト411に固着されている。連結ギア54は図示しないギア列を介して定着モータ18(図2参照)の駆動力が伝達される。従って、定着モータ18は、加圧ローラ41を回転駆動する。
【0036】
第1のシャフト441に軸着されているアイドル2段ギア51とライトサイドフレーム431の間に加圧手段としてのギア加圧バネ57が組み込まれる。詳述するとアイドル2段ギア51の大径ギア511は、ホイールに相当する部分にライトサイドフレーム431側から軸に平行にリング状の深溝部513が形成され、そこにギア加圧バネ57が組込まれる。ネジ56によりギアプレート55の取り付けが行われると、ギア加圧バネ57によるライトサイドフレーム431から離間する方向に掛かるバネ荷重Tによって、アイドル2段ギア51の端面とギアプレート55の間で摩擦負荷が発生する。ギア加圧バネ57の両端面は、対応するアイドル2段ギア51とライトサイドフレーム431に食い付き等が生じないような端面加工が行われている。一方、アイドルギア52が軸着される第2のシャフト442にギアプレート55の下部が位置付けられる。
【0037】
このように、摩擦負荷により回転体(本実施の形態ではアイドル2段ギア51)に一定の回転抵抗を付加するものをフリクション機構60と称する。このフリクション機構60により、リリースカム46のオーバーラン防止を行うことができる。従って、定着装置40は、リリースシャフト45に最も近い位置である第1のシャフト441、即ちカムギア50と噛合するアイドル2段ギア51を軸支するの第1のシャフト441にこのフリクション機構60を構築する。図7(a)はこのフリクション機構60の組立完了状態を示す。なお、加圧手段はコイルバネに限定するものではなく、複数枚の皿バネを組み合わせたものでも良い。
【0038】
図7(b)は第2のシャフト442の先端部の形状を示すものであり、図7(a)における破線枠Cで示す部位の拡大図である。フリクション機構60の組立完了状態において、ライトサイドフレーム431からギアプレート55までの距離より、ライトサイドフレーム431から仮固定溝部443までの距離の方が大となるように、第2のシャフト442の先端側の位置に仮固定溝部443が設けられている。仮固定溝部443は図4に示した通り、仮固定溝垂直面443a及び仮固定溝斜面443bを有する。
【0039】
以下、本実施の形態におけるフリクション機構60の組立作業工程(ステップ)を、第1ステップ乃至第3ステップに分けて図1及び図8乃至図10により説明する。図8は第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置のフリクション機構の組立説明図(1)である。図8(a)は定着装置40の要部を示す斜視図であり、図8(b)は定着装置40のフリクション機構60の詳細断面を示す。
組立作業工程の第1ステップとして図8(a)に示すように、作業者は第1のシャフト441にギア加圧バネ57及びアイドル2段ギア51を軸着し、第2のシャフト442にギアプレート55のガイド孔552を位置づける。
【0040】
即ち、図8(b)に示すように、作業者は先ずギア加圧バネ57をアイドル2段ギア51の深溝部513に挿入し、その状態を維持したままアイドル2段ギア51をライトサイドフレーム431側の方向としての矢印Eで示す方向から第1のシャフト441に挿入する。次に、作業者はギアプレート55の裏面をアイドル2段ギア51のライトサイドフレーム431から離間する方向としての矢印X方向側の側面に重ね合わせる。続けて、作業者はアイドル2段ギア51をギア加圧バネ57のバネ荷重Tに抗してライトサイドフレーム431側に押し込む。作業者は押込み操作を維持したまま、第2のシャフト442をギアプレート55のガイド孔552に挿入する。ギアプレート55の挿入方向はDカット形状により規制される。
【0041】
作業者がギアプレート55を挿入する際、第2のシャフト442に設けられている先端面取部445により、ガイド孔552の挿入が容易となる。作業者はギアプレート55のガイド孔552が仮固定溝部443を超える位置までギア加圧バネ57のバネ荷重Tに抗して矢印Eで示す方向から押し込み、そして、第2ステップに移行する。
【0042】
図1は第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置のフリクション機構の組立説明図(2)である。図1(a)は定着装置40の要部を示す斜視図であり、図1(b)はフリクション機構60に関係する部位の詳細断面を示す。図1(c)はギアプレート55と第2のシャフト442との掛合状態を示す断面図で、図1(b)に示す破線枠Gで示す部位の拡大図である。
【0043】
前記第1ステップにおいて、作業者はギアプレート55及びアイドル2段ギア51の押込みを実行している。第2ステップでは、作業者は押込み作業に続けて押込み力を弱める。すると、ギアプレート55及びアイドル2段ギア51は、ギア加圧バネ57のバネ荷重Tを受けてライトサイドフレーム431から離間する方向としてのX方向へ戻され、図1(a)に示す状態になる。即ち、ギアプレート55の上部のネジ貫通孔551はX方向へ戻され、下部のガイド孔552は、仮固定溝垂直面443aが直径が急激に増加する溝部形状であるので、仮固定溝垂直面443aに引掛かる。そして、ギアプレート55はギア加圧バネ57のバネ荷重Tを受けて、仮固定溝部443を回動中心としてライトサイドフレーム431から離間する方向としての矢印Rで示す方向に回動し、傾斜した掛止状態となる。
【0044】
図1(b)に示すように、傾斜するギアプレート55はガイド孔552で破線枠Gで示すように仮固定溝部443により仮固定される。一方、ギアプレート55の略中央部は、アイドル2段ギア51の先端下部としての当接部Qにおいて、ギア加圧バネ57のバネ荷重Tを受止める。これにより、ギアプレート55はライトサイドフレーム431から離間する方向としての矢印Rで示す方向に回動した傾斜状態としての掛止状態を維持する。従って、作業者は次の第3ステップおけるネジ56の締付け作業を容易に行うことができる。
なお、傾斜状態はアイドル2段ギア51とアイドルギア52とのギア歯の噛み合わせが外れない程度とする。
【0045】
図1(c)に示す破線枠Gは、ギアプレート55の下部のガイド孔552が仮固定溝部443の仮固定溝垂直面443aに引っかかり、ガイド孔552の下端側は第2のシャフト442の外周面に当接した状態を示す。第2ステップはこの状態が維持される。アイドル2段ギア51とライトサイドフレーム431との隙間L2は、破線枠Gにおける掛止力、ギアプレート55の強度及びギア加圧バネ57のバネ荷重Tとのバランスで決定される。以後、作業者は第3ステップおけるネジ56の締付け作業を行う。
【0046】
図9は第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置のフリクション機構の組立説明図(3)である。図9(a)は定着装置40の要部を示す斜視図を示し、第3ステップとしてのネジ56によるギアプレート55の締付け作業の途中の状態を示すものである。図9(b)は同じくフリクション機構60の構築途中の状態の断面を示す。図9(c)はギアプレート55と仮固定溝部443との掛合状態を示すもので、図9(b)における破線枠Hで示す部位の拡大図である。第3ステップでは図9(a)に示すように、アイドル2段ギア51は、ギアプレート55をネジ56により固定することで前述のフリクション機構60を構築する。この時は、ガイド孔552が第2のシャフト442の仮固定溝部443と嵌合することで、ギアプレート55は自身で起立状態となる。
【0047】
図9(b)に示すように、作業者は第1のシャフト441にアイドル2段ギア51、ギア加圧バネ57及びギアプレート55を介在させてネジ56を矢印Eで示す方向から継続的に締め付ける。この際、図9(c)に示すように、第2のシャフト442とギアプレート55のガイド孔552は、仮固定溝部443の位置からライトサイドフレーム431側の方向としての矢印Eで示す方向へ移動していくことになる。この移動時、仮固定溝斜面443bは直径が徐々に増加する溝部形状であるので、ギアプレート55が滑らかに移動し、かつ上方にも微動する。図9(b)で、ネジ56の締上げ余長Sがあるのでライトサイドフレーム431とアイドル2段ギア51との隙間L1は最小値には至らない。
【0048】
図10は第1の実施の形態に関わる画像形成装置における定着装置のフリクション機構の組立説明図(4)である。図10(a)は定着装置40の要部を示す斜視図であり、第3ステップとしてのネジ56によるギアプレート55の本固定としての締付け作業の終了の状態を示すものである。図10(b)は本実施の形態におけるフリクション機構60の詳細の断面を示している。なお、図10(b)において、フリクション機構60に関わる部位のみを図示する。
第1ステップ乃至第2ステップにおいて、第1のシャフト441にアイドル2段ギア51が挿入され、第1のシャフト441の先端部にギアプレート55のネジ貫通孔551が位置付けられた。また、第2のシャフト442の先端部にギアプレート55のガイド孔552が嵌合された。図10(a)はネジ56の締上げが終了した固着状態を示す。
【0049】
作業者は、第3ステップにおいてネジ56によりギアプレート55を、第1のシャフト441の先端部に穿設してある雌ネジ部441aを使用してネジ締めする。図10(b)に示すように、このネジ締めによりライトサイドフレーム431とアイドル2段ギア51との隙間L0は最小値となり、ギア加圧バネ57は所定量だけ圧縮され、所望の反発力が発生する。
【0050】
ギア加圧バネ57による反発力は、ライトサイドフレーム431側の当接面K及びアイドル2段ギア51の深溝部513の当接面Mに作用する。アイドル2段ギア51の深溝部513の当接面Mに加わる反発力は、アイドル2段ギア51とギアプレート55との当接面Nに作用し摩擦力となり、アイドル2段ギア51の回転抵抗となる。これにより、回転体としてのアイドル2段ギア51に対するフリクション機構60を提供する。
【0051】
(第1の実施の形態の動作)
本実施の形態における画像形成装置1の動作説明を図2を使用して行う。画像形成装置1の電源が投入されると、定着装置40はウオームアップ動作を行い、良好な定着を行うことができる状態、即ちニップ状態にして立ち上がりが完了する。これにより定着装置40による定着及び画像形成装置1による画像形成が可能な状態となる。
【0052】
画像形成装置1の制御部100は、図示せぬ上位装置から印刷命令を受けると、媒体収納繰出部10の各部を動作させる。先ず制御部100は、給紙カセット11内に積載した印刷媒体Pをホッピングローラ12及びレジストローラ13の駆動により分離し、媒体搬送部14に繰り出す。更に制御部100は媒体搬送部14に繰り出された印刷媒体Pを搬送ローラ15により搬送するよう指示する。この搬送ローラ15の回転により印刷媒体Pは転写装置30へ搬送される。
【0053】
この時、制御部100は現像装置20の各部を動作するよう指示する。即ち、画像形成部20BKの感光ドラム21BKは、その回転に伴って帯電部22BKにより帯電され、露光部23BKからの露光により画像情報に応じた静電潜像を形成する。この静電潜像が現像剤供給部24BKにより現像される。
その後、制御部100は転写装置30の各部を動作するよう指示する。即ち、印刷媒体Pが転写装置30上に搬送されると、感光ドラム21BKに形成されたトナー像が印刷媒体Pに転写される。感光ドラム21BKは、転写後に残留している現像剤がクリーニング部25BKによって掻き取られてクリーニングされた後、次の帯電に供される。
【0054】
次に、転写装置30は搬送される印刷媒体Pに対して、先ず画像形成部20BKによりブラックの現像剤を転写する。転写動作と共に印刷媒体Pは定着装置40に向けて搬送される。続けて、転写装置30は画像形成部20BKにおける前述の画像形成工程と同様に、画像形成部20Y 、画像形成部20M及び画像形成部20Cにより、それぞれイエロー、マゼンタ及びシアンの現像剤を転写する。印刷媒体Pは転写装置30で画像形成に必要な全てのトナー像が転写された後、定着装置40へと搬送される。この時に、印刷媒体Pの先端側から転写と定着が同時並行的に行われる。
【0055】
定着装置40は印刷媒体Pのトナー像を定着させる際に、トナー像を定着(熱圧着)させるために十分な熱量を有するようヒータに電流を流すように(オン状態に)することによりヒータは発熱する。ヒータが発生した熱は、ヒータに近接している定着ベルト42に伝わるため、定着ベルト42が加熱される。また、制御部100はヒータを発熱させると同時又はその制御に前後して、加圧ローラ41を駆動するよう定着モータ18の回転を開始する。加圧ローラ41がギア系を介して回転運動を開始することで、駆動力が定着ベルト42に伝達され、定着ベルト42も同時に回転運動を開始する。
【0056】
なお、定着装置40は定着動作開始前に次のウオームアップ動作を実行する。まず制御部100はサーミスタが検知した温度情報に基づき、定着ベルト42が通常の印刷に十分な熱量を有する状態であるか否かを判定する。制御部100は、十分な熱量を有する状態になったと判定した場合、定着モータ18の回転運動を開始する。定着装置40は、ニップ状態、減圧ニップ状態及びリリース状態の3ポジションのいづれか一の状態を構築するため、リリースカム46をカムモータ19で回転する。通常印刷モードでは前述した通りニップ状態とする。制御部100は指定された印刷モードにより、リリースカム46の位置を検出する検出部からの情報でカムモータ19を所定量だけ回転させる。
【0057】
制御部100は媒体搬送部14を制御して、定着装置40でトナー像が定着された印刷媒体Pを印刷媒体排出口16から放出させる。放出された印刷媒体Pは、画像形成装置1の上部カバー上に形成した排紙積載部17に積載される。制御部100は、この動作を印刷部数を充足するまで繰り返して実行する。
【0058】
本実施の形態によれば、ギアプレート55のネジ貫通孔551をアイドル2段ギア51に位置付け、ギアプレート55のガイド孔552に第2のシャフト442を挿通させ、ギアプレート55を第2のシャフト442が挿通しているガイド孔552を中心にライトサイドフレーム431から離間する方向に傾斜可能とし、ギア加圧バネ57のバネ荷重Tをギアプレート55で受止め可能とする。従って、本実施の形態によれば、カム部材のオーバーラン対策で、ギア加圧バネ57によるバネ荷重Tが掛けられたアイドル2段ギア51を仮固定することが可能となる。従って、次工程における本固定としてのネジによる固定作業が容易となり、回転体を容易に組立てることができる。
本実施の形態のフリクション機構60として、ガイド孔552と仮固定溝部443の位置関係が、ライトサイドフレーム431から仮固定溝垂直面443aまでの距離がガイド孔552までの距離より離間していることを維持すれば、ギアプレート55は平板面でなくてもよく、段付きや折曲部などがあってもよい。
【0059】
本実施の形態では、アイドルギア52を軸着する回転軸としての第2のシャフト442を延長すればギアプレート55の掛止部として兼用することができる。
また、図4に示したように第2のシャフト442にアイドルギア52を軸着しない部位のみをDカット形状とした。しかしながら掛止部の形状としては、Dカットに限定するものではなく、ガイド孔552と第2のシャフト442をそれぞれ同じ多角形としても良く、更にライトサイドフレーム431の一部を折曲した平板部分などでも良い。
【0060】
ギア加圧バネ57によって、ギアプレート55とアイドル2段ギア51の間に摩擦負荷が発生するため、リリース動作時にリリースカム46が慣性等によってオーバーランすることなく、正確な位置で回転停止させることができる。また、落下等の振動及び衝撃が加わってもフリクション機構60によりリリースカム46が回転することなく、停止位置を維持することができる。
【0061】
ギアプレート55がアイドル2段ギア51とギア加圧バネ57の中心である第1のシャフト441にネジ56で固定されるため、円周上に発生する摩擦負荷を中心で支えることができ、偏心が発生しにくい。よって、角度に寄らず均一な摩擦負荷の発生を得て、異音や摩耗、リリーストルクの変動を抑えられる。また、ネジ56の締付力を利用してギア加圧バネ57を縮めることで、組立に必要な力を低減できる。なお、第1のシャフト441及び第2のシャフト442を水平方向に配設したが、自重を利用しない実装である限り上下方向での配設も可能である。
【0062】
(第1の実施の形態の変形例)
前記第1の実施の形態における第2のシャフト442の断面は英大文字D字形(Dカット)であり、ギアプレート55のガイド孔552も同様にDカット孔である。このため、Dカット同士の嵌合となるので、第1のシャフト441に対するネジ貫通孔551の形成は、第2のシャフト442の植設角度に所定の精度を必要とする。そこで本変形例においては、封止部材としてのギアプレート75のガイド孔752を真円とし、かつ掛止部材としての第2のシャフト442における仮固定溝部443を不要とするものである。
【0063】
図11は第1の実施の形態の変形例に関わるギアプレートの表面を示す斜視図である。ギアプレート75は、上部にネジ貫通孔751を設ける。このネジ貫通孔751は、第1の実施の形態におけるネジ貫通孔551と同様である。ギアプレート75の下部に設ける案内部としてのガイド孔752は、真円形状であり第2のシャフト753が緩嵌できる寸法である。その真円の直径はギアプレート75の傾斜量を考慮して決定するが、第2のシャフト753の直径をΦ6mmとすれば、ガイド孔752の直径をΦ6.2mm程度とする。
【0064】
図12は第1の実施の形態の変形例に関わる定着装置の要部説明図である。本変形例におけるアイドル2段ギア51、ギア加圧バネ57及び回転軸としての第1のシャフト441は第1の実施の形態と同一である。掛止部材としての第2のシャフト753は前述のような仮固定溝部443を設けず仮固定部754の機能を有する。
【0065】
組立作業ステップとして、作業者は先ずギア加圧バネ57及びアイドル2段ギア51を第1のシャフト441に挿入する。更に作業者は、アイドル2段ギア51をギア加圧バネ57のバネ荷重Tに抗してライトサイドフレーム431側の方向としての矢印E方向へ所定量だけ押し込む。作業者は押込み状態を維持したまま、ギアプレート75の下部に設けたガイド孔752をライトサイドフレーム431側の方向としての矢印Eで示す方向へ移動し、第2のシャフト753をガイド孔752に挿入する。挿入後、作業者は第2のシャフト753とガイド孔752との孔ガタ分だけギアプレート75を矢印Rで示す方向に傾斜させ、ガイド孔752の上下端を第2のシャフト753に当接させる。
【0066】
続けて作業者は傾斜させたギアプレート75に対して、押込み状態であるアイドル2段ギア51への押込み力を弱め、アイドル2段ギア51の先端下部としての当接部Qでアイドル2段ギア51のギア部と当接させる。この時にアイドル2段ギア51とアイドルギア52のギア歯の噛み合わせ状態を維持させる。
アイドル2段ギア51の先端下部としての当接部Qにおいて圧接したギアプレート75はライトサイドフレーム431から離間する方向に回動する傾斜状態を維持する。この傾斜状態ではギア加圧バネ57のバネ荷重Tが当接部Qを介しガイド孔752の上下端に伝わり、ガイド孔752の上下端がより強固に第2のシャフト753に食い付く。アイドル2段ギア51とライトサイドフレーム431との隙間L3は、図1に示した隙間L2と同等とする。
【0067】
必要とする食い付き強さ(ロック力)とギア加圧バネ57のバネ荷重Tとのバランスにより、ギアプレート75の仮固定部754を生成する。なお、ネジ貫通孔751を第1のシャフト441の中心と略一致する位置で挿入するが、Y方向(図1(a)参照)への多少の位置ズレは許容できる。また、ギアプレート75及びアイドル2段ギア51の先端下部の圧接箇所としての当接部Qにおいては、アイドル2段ギア51はギア歯形状(凹凸)であるので滑り難くなる。最後に作業者はネジ56のネジ締めを完了することにより、ギアプレート75と第1のシャフト441を密着させる。
【0068】
以上により、第2のシャフト753に仮固定溝部443を設ける必要がないので、植設角度の管理が不要となる。また、第1のシャフト441をライトサイドフレーム431に植設し回転不能としギアプレート75を螺着固定したが、これに限定されずシャフト自身を回転体として、その回転体に摩擦抵抗を付加するものでも良い。
更に、本変形例は第1のシャフト441を上部に設け、第2のシャフト753を下部に設けたがこの逆であってもよい。即ち、第2のシャフト753は上部に設けられ、第1のシャフト441は下部に設けられる。そして、ギアプレート75は下部にネジ貫通孔751を設け、上部に案内部としてのガイド孔752を設ける。こうすることにより本変形例は、上部に設けた第2のシャフト753をDカット形状としなくても、重力を利用してギアプレート75を垂直に維持できるのでより安定した組立作業とすることができる。
【0069】
以上のように、本実施の形態によれば、ギアプレート55を仮固定することで、ギア加圧バネを組込む組立作業工程(第1ステップ)と、ギア加圧バネ57を圧縮しつつギアプレート55を本固定する組立作業工程(第3ステップ)を分割することができ、ギアプレートの固定が容易になるという効果がある。
本実施の形態ではフリクション機構を定着装置に配設したが、これに限定されずフリクション機能を必要とする他の機器に利用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置 40 定着装置
41 加圧ローラ 42 定着ベルト
431 ライトサイドフレーム 441 第1のシャフト
442 第2のシャフト 443 仮固定溝部
48 加圧バネ 51 アイドル2段ギア
55 ギアプレート 57 ギア加圧バネ
551 ネジ貫通孔 552 ガイド孔
60 フリクション機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12