(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20241008BHJP
【FI】
B41J2/14 611
(21)【出願番号】P 2020181650
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐介
(72)【発明者】
【氏名】松山 徹
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-136823(JP,A)
【文献】特開2015-099694(JP,A)
【文献】特開2019-169370(JP,A)
【文献】特開2003-273487(JP,A)
【文献】特開2020-157709(JP,A)
【文献】特開2018-051821(JP,A)
【文献】特開昭60-140688(JP,A)
【文献】特開平10-134907(JP,A)
【文献】国際公開第2020/044561(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0157004(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
H01R 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号の供給に伴い駆動する圧電素子を含み、前記圧電素子の駆動により液体を吐出するヘッドユニットと、
前記駆動信号を出力する駆動信号出力ユニットと、
を備え、
前記ヘッドユニットは、前記液体を吐出する吐出部と、前記駆動信号を前記吐出部に伝搬する第1リジット基板と、前記駆動信号が入力される第1コネクターと、を有し、
前記駆動信号出力ユニットは、第2リジット基板と、前記駆動信号を出力する第2コネクターと、を有し、
前記第1コネクターは、
信号を伝搬せず前記第1リジット基板に固定される第1固定部と、前記駆動信号が伝搬する第1端子とを含み、
前記第2コネクターは、
信号を伝搬せず前記第2リジット基板に固定される第2固定部と、前記駆動信号が伝搬する第2端子とを含み、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとの内の一方の形状は、レセプタクル形状であり、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとの内の他方の形状は、プラグ形状であり、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとは、前記第1端子と前記第2端子とが直接接触するように嵌合し、
前記第1固定部、及び前記第2固定部の少なくとも一方には、錫メッキが施されている、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第1固定部、及び前記第2固定部の少なくとも一方は、錫メッキが施された銅合金を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1端子、及び前記第2端子の少なくとも一方は、銅合金を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1端子、及び前記第2端子の少なくとも一方には、金メッキが施されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第1コネクター、及び前記第2コネクターの少なくとも一方は、フローティングコネクターである、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第1コネクターは、第1インシュレーター部を含み、
前記第2コネクターは、第2インシュレーター部を含み、
前記第1インシュレーター部、及び前記第2インシュレーター部の少なくとも一方は、ガラス繊維を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第1インシュレーター部、及び前記第2インシュレーター部には、接着剤が使用されていない、
ことを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記液体の溶剤には、1-メチル-2-ピロリドンが含まれる、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置は、ヘッドユニットが有するプリントヘッドに設けられた駆動素子としての圧電素子を駆動信号により駆動することで、キャビティーに充填されたインク等の液体をノズルから吐出し、媒体上に文字や画像を形成する。圧電素子は、電気的にみればコンデンサーのような容量性負荷であるので、各ノズルの圧電素子を動作させるためには十分な電流を供給する必要がある。そのため、上述のインクジェットプリンターにおいては、駆動回路が増幅回路によって増幅した高電圧の駆動信号をヘッドに供給して、圧電素子を駆動する構成となっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、駆動信号生成回路が出力する駆動信号を吐出モジュールが有する圧電素子に供給することで、圧電素子を駆動し、ノズルから液体を吐出させるインクジェットプリンターが開示されている。また、特許文献2には、駆動回路が出力する駆動信号をヘッドモジュールが有する圧電素子に供給することで、圧電素子を駆動し、ノズルから液体を吐出させるインクジェットプリンターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-051772号公報
【文献】特開2019-130821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の特許文献1、特許文献2に記載されるような液体吐出装置では、その使用用途の多様化に伴い、多種多様なインクが使用される。そのため、液体吐出装置で使用されるインクの物性も多岐にわたり、液体吐出装置が有する各構成には、吐出されるインクが付着することに起因した腐食などが生じるおそれを低減するために、高い耐腐食性が求められている。特に、駆動信号出力回路とヘッドユニットとを電気的に接続することで、駆動信号をヘッドユニットに供給するコネクターがインクに起因して腐食した場合、ヘッドユニットに駆動信号を供給することができず、その結果、液体吐出装置からインクが吐出されないおそれがある。しかしながら、特許文献1、及び特許文献2に記載の発明は、このような液体吐出装置で使用されるインクの物性に起因してコネクターに生じる問題に対する対策が十分ではなく、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
駆動信号の供給に伴い駆動する圧電素子を含み、前記圧電素子の駆動により液体を吐出するヘッドユニットと、
前記駆動信号を出力する駆動信号出力ユニットと、
を備え、
前記ヘッドユニットは、前記液体を吐出する吐出部と、前記駆動信号を前記吐出部に伝搬する第1リジット基板と、前記駆動信号が入力される第1コネクターと、を有し、
前記駆動信号出力ユニットは、第2リジット基板と、前記駆動信号を出力する第2コネクターと、を有し、
前記第1コネクターは、前記第1リジット基板に固定される第1固定部と、前記駆動信
号が伝搬する第1端子とを含み、
前記第2コネクターは、前記第2リジット基板に固定される第2固定部と、前記駆動信号が伝搬する第2端子とを含み、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとの内の一方の形状は、レセプタクル形状であり、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとの内の他方の形状は、プラグ形状であり、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとは、前記第1端子と前記第2端子とが直接接触するように嵌合し、
前記第1固定部、及び前記第2固定部の少なくとも一方には、錫メッキが施されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】駆動信号COMA,COMBの波形の一例を示す図である。
【
図3】駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
【
図5】デコーダーにおけるデコード内容を示す図である。
【
図6】吐出部の1個分に対応する選択回路の構成を示す図である。
【
図7】駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。
【
図9】液体吐出装置の概略構造を示す説明図である。
【
図10】ヘッドユニット、及び駆動信号出力ユニットを-Z側から見た場合の分解斜視図である。
【
図11】ヘッドユニット、及び駆動信号出力ユニットを+Z側から見た場合の分解斜視図である。
【
図12】ヘッドユニットを+Z側から見た場合の底面図である。
【
図13】吐出ヘッドの構造を示す分解斜視図である。
【
図14】ヘッドチップを切断した場合の断面図である。
【
図15】
図10及び
図11に示すヘッドユニット、及び駆動信号出力ユニットを+Z側から見た場合の平面図である。
【
図16】
図10及び
図11に示すヘッドユニットに含まれる配線基板420、及び駆動信号出力ユニットに含まれる配線基板501を-X側から見た場合の側面図である。
【
図21】コネクター424とコネクター513とが嵌合された状態を示す図である。
【
図22】変形例のヘッドユニット、及び駆動信号出力ユニットを-Z側から見た場合の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1.液体吐出装置の機能構成
まず、本実施形態における液体吐出装置1の機能構成について
図1を用いて説明する。本実施形態における液体吐出装置1は、液体の一例としてインクを媒体に吐出することに
より、媒体に所望の画像を形成するインクジェットプリンターを例に挙げ説明を行う。このような液体吐出装置1は、外部に設けられたコンピューター等の外部機器から有線通信、又は無線通信によって伝搬される画像データを受信し、受信した画像データに基づくタイミングで、媒体にインクを吐出することで、媒体に所望の画像を形成する。
【0010】
図1は、液体吐出装置1の機能構成を示す図である。
図1に示すように液体吐出装置1は、制御ユニット10、ヘッドユニット20、及び駆動信号出力ユニット50を備える。
【0011】
制御ユニット10は、不図示の外部機器から供給される画像データに基づいて、ヘッドユニット20、及び駆動信号出力ユニット50を制御する各種信号を生成し、出力する。制御ユニット10は、メイン制御回路11と電源電圧生成回路12とを有する。電源電圧生成回路12には、液体吐出装置1の外部に設けられた不図示の商用交流電源から交流電圧である商用電圧が入力される。そして、電源電圧生成回路12は、入力される商用電圧に基づいて、例えば、電圧値が42Vの直流電圧である電圧VHVを生成し、ヘッドユニット20に出力する。このような電源電圧生成回路12は、交流電圧を直流電圧に変換するAC/DCコンバーターであって、例えば、フライバック回路等と、当該フライバック回路が出力する直流電圧の電圧値を変換するDC/DCコンバーター等を含んで構成される。この電源電圧生成回路12で生成された電圧VHVは、ヘッドユニット20に供給されることでヘッドユニット20が有する各種構成の電源電圧として用いられるとともに、ヘッドユニット20を介して駆動信号出力ユニット50にも供給される。なお、電源電圧生成回路12は、電圧VHVの他に、制御ユニット10、ヘッドユニット20、及び駆動信号出力ユニット50を含む液体吐出装置1の各部で使用される電圧値の電圧信号を生成し、対応する各構成に出力してもよい。
【0012】
メイン制御回路11には、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等の外部機器から不図示のインターフェース回路を介して画像データが入力される。そして、メイン制御回路11は、入力される画像データに応じた画像を媒体に形成するための各種信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0013】
具体的には、メイン制御回路11は、外部機器から入力される画像データに対して所定の画像処理を施した後、当該画像処理を施した信号を画像情報信号IPとしてヘッドユニット20に出力する。このメイン制御回路11から出力される画像情報信号IPは、差動信号等の電気信号であって、例えばPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)の通信規格に準拠した高速通信信号として出力される。また、メイン制御回路11で実行される画像処理は、例えば、外部機器から入力される画像信号を赤、緑、青の色彩情報に変換した後、液体吐出装置1から吐出されるインクの色彩に対応する色彩情報に変換する色彩変換処理や、色彩変換処理がなされた色彩情報を二値化するハーフトーン処理等が挙げられる。なお、メイン制御回路11が実行する画像処理は、上述した色変換処理やハーフトーン処理に限るものではない。
【0014】
以上のようにメイン制御回路11は、ヘッドユニット20の動作を制御する画像情報信号IPを生成しヘッドユニット20に出力する。このようなメイン制御回路11は、例えば、複数の機能を備えた1又は複数の半導体装置を含むSoC(System on a Chip)を含んで構成されている。
【0015】
ヘッドユニット20は、ヘッド制御回路21、差動信号復元回路22、電圧変換回路23、及び吐出ヘッド100-1~100-nを備える。
【0016】
電圧変換回路23には、電圧VHVが入力される。そして、電圧変換回路23は、入力される電圧VHVを所定の電圧値であって、例えば5Vの直流電圧である電圧VDDを生
成し、出力する。このような電圧変換回路23としては、例えば、DC/DCコンバーター等を含んで構成される。そして、電圧変換回路23で生成された電圧VDDは、ヘッドユニット20の各部に供給されるとともに、駆動信号出力ユニット50にも供給される。
【0017】
ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、ヘッドユニット20の各部を制御するための制御信号を出力する。具体的には、ヘッド制御回路21は、画像情報信号IPに基づいて、吐出ヘッド100-1~100-nのそれぞれからのインクの吐出を制御する制御信号を差動信号に変換した差動信号dSCKと、吐出ヘッド100-1~100-nのそれぞれに対応する差動信号dSIa1~dSIam,…,dSIn1~dSInmを生成し、差動信号復元回路22に出力する。
【0018】
差動信号復元回路22は、入力される差動信号dSCK、及び差動信号dSIa1~dSIam,…,dSIn1~dSInmのそれぞれを、クロック信号SCK、及び対応する印刷データ信号SIa1~SIam,…,SIn1~SInmに復元し、対応する吐出ヘッド100-1~100-nに出力する。
【0019】
詳細には、ヘッド制御回路21は、一対の信号dSCK+,dSCK-を含む差動信号dSCKを生成し、差動信号復元回路22に出力する。差動信号復元回路22は、入力される差動信号dSCKを復元することでシングルエンドの信号であるクロック信号SCKを生成し、吐出ヘッド100-1~100-nに出力する。
【0020】
また、ヘッド制御回路21は、一対の信号dSIa1+~dSIam+,dSIa1-~dSIam-を含む差動信号dSIa1~dSIamを生成し、差動信号復元回路22に出力する。差動信号復元回路22は、入力される差動信号dSIa1~dSIamを復元することでシングルエンドの信号である印刷データ信号SIa1~SIamを生成し、吐出ヘッド100-1に出力する。
【0021】
また、ヘッド制御回路21は、一対の信号dSIn1+~dSInm+,dSIn1-~dSInm-を含む差動信号dSIn1~dSInmを生成し、差動信号復元回路22に出力する。差動信号復元回路22は、入力される差動信号dSIn1~dSInmを復元することでシングルエンドの信号である印刷データ信号SIn1~SInmを生成し、吐出ヘッド100-nに出力する。
【0022】
すなわち、ヘッド制御回路21は、吐出ヘッド100-1~100-nに共通に入力されるクロック信号SCKの基となる差動信号dSCKと、吐出ヘッド100-1~100-nに個別に入力される印刷データ信号SI11~SI1m,…,SIn1~SInmの基となる差動信号dSI11~dSI1m,…,dSIn1~dSInmとを生成し、差動信号復元回路22に出力する。そして、差動信号復元回路22は、差動信号dSCKと、差動信号dSI11~dSI1m,…,dSIn1~dSInmとを復元することで、シングルエンドのクロック信号SCKと、印刷データ信号SI11~SI1m,…,SIn1~SInmとを、生成し、対応する吐出ヘッド100-1~100-nに出力する。
【0023】
ここで、ヘッド制御回路21から出力される差動信号dSCKと、差動信号dSIa1~dSIam,…,dSIn1~dSInmとは、それぞれが、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)転送方式の差動信号であってもよく、また、LVDS以外のLVPECL(Low Voltage Positive Emitter Coupled Logic)やCML(Current Mode Logic)等の各種の高速通信方式の差動信号であってもよい。
【0024】
また、ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、吐出ヘッド100-1~100-nからのインクの吐出タイミングを制御する
制御信号としてラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHを生成し、吐出ヘッド100-1~100-nに出力する。
【0025】
さらに、ヘッド制御回路21は、メイン制御回路11から入力される画像情報信号IPに基づいて、吐出ヘッド100-1~100-nを駆動させる駆動信号COMA,COMBの基となる基駆動データdA,dBを生成し、駆動信号出力ユニット50に出力する。
【0026】
駆動信号出力ユニット50は、駆動回路51a,51bを含む。駆動回路51aには、基駆動データdAが入力される。駆動回路51aは、入力される基駆動データdAをアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動信号COMAを生成し、ヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100-1~100-nに出力する。また、駆動回路51bには、基駆動データdBが入力される。駆動回路51bは、入力される基駆動データdBをアナログ信号に変換した後、変換されたアナログ信号を電圧VHVに基づいてD級増幅することで、駆動信号COMBを生成し、吐出ヘッド100-1~100-nに出力する。また、駆動信号出力ユニット50は、電圧VDDを昇圧又は降圧することで、吐出ヘッド100-1~100-nからインクが吐出される場合における基準電位となる基準電圧信号VBSを生成し、吐出ヘッド100-1~100-nに出力する。すなわち、駆動信号出力ユニット50は、駆動信号COMA,COMBを生成する2個のD級増幅回路と、基準電圧信号VBSを生成する降圧回路又は昇圧回路とを含む。
【0027】
ここで、本実施形態では、駆動回路51aが駆動信号COMAを生成し、吐出ヘッド100-1~100-nに出力し、駆動回路51bが駆動信号COMBを生成し、吐出ヘッド100-1~100-nに出力するとして説明を行うがこれに限るものではない。例えば、駆動信号出力ユニット50は、吐出ヘッド100-1~100-nのそれぞれに対応する駆動信号COMAを出力するn個の駆動回路51aと、吐出ヘッド100-1~100-nのそれぞれに対応する駆動信号COMBを出力するn個の駆動回路51bとを含んで構成されてもよい。また、駆動回路51a,51bは、入力される基駆動データdA,dBに対応するアナログ信号を電圧VHVに基づいて増幅することができればよく、A級増幅回路、B級増幅回路、又はAB級増幅回路を含んで構成されていてもよい。
【0028】
ヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100-1は、駆動信号選択回路200-1~200-mと、駆動信号選択回路200-1~200-mのそれぞれに対応するヘッドチップ300-1~300-mと、を有する。
【0029】
吐出ヘッド100-1に含まれる駆動信号選択回路200-1には、印刷データ信号SIa1、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号COMA,COMBが入力される。そして、吐出ヘッド100-1に含まれる駆動信号選択回路200-1は、印刷データ信号SIa1に基づいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHで規定されるタイミングで、駆動信号COMA,COMBに含まれる波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、吐出ヘッド100-1に含まれるヘッドチップ300-1に供給する。これにより、ヘッドチップ300-1が有する後述する圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に伴い対応するノズルからインクが吐出される。
【0030】
同様に、吐出ヘッド100-1に含まれる駆動信号選択回路200-mには、印刷データ信号SIam、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号COMA,COMBが入力される。そして、吐出ヘッド100-1に含まれる駆動信号選択回路200-mは、印刷データ信号SIamに基づいて、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHで規定されるタイミングで、駆動信号COMA,COMBに含まれる波形を
選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成し、吐出ヘッド100-1に含まれるヘッドチップ300-mに供給する。これにより、ヘッドチップ300-mが有する後述する圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に伴い対応するノズルからインクが吐出される。
【0031】
すなわち、駆動信号選択回路200-1~200-mのそれぞれは、駆動信号COMA,COMBを駆動信号VOUTとして対応するヘッドチップ300-1~300-mに含まれる圧電素子60に供給するか否かを切り替える。
【0032】
ここで、吐出ヘッド100-1と吐出ヘッド100-2~100-nとでは、入力される信号が異なるのみであり、構成、及び動作は同様である。したがって、吐出ヘッド100-1~100-nの詳細な構成の図示、及び動作の説明は省略する。また、以下の説明において、吐出ヘッド100-1~100-nを特に区別する必要がない場合、単に吐出ヘッド100と称する場合がある。さらに、吐出ヘッド100に含まれる駆動信号選択回路200-1~200-mはいずれも同様の構成であり、さらに、ヘッドチップ300-1~300-mはいずれも同様の構成である。したがって、駆動信号選択回路200-1~200-mを区別する必要がない場合、単に駆動信号選択回路200と称し、さらに、駆動信号選択回路200は、ヘッドチップ300に対して駆動信号VOUTを供給するとして説明を行う。そして、駆動信号選択回路200には、印刷データ信号SI、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び駆動信号COMA,COMBが入力されるとして説明を行う。
【0033】
2.駆動信号選択回路の構成、及び動作
次に駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。前述の通り、駆動信号選択回路200は、入力される駆動信号COMA,COMBの波形を選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成し、対応するヘッドチップ300に出力する。そこで、駆動信号選択回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COMA,COMBの波形の一例、及び駆動信号選択回路200が出力する駆動信号VOUTの波形の一例について説明する。
【0034】
図2は、駆動信号COMA,COMBの波形の一例を示す図である。
図2に示すように、駆動信号COMAは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間T1に配置された台形波形Adp1と、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形である。台形波形Adp1が、ヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量のインクが吐出され、台形波形Adp2が、ヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量よりも多い中程度の量のインクが吐出される。
【0035】
また、
図2に示すように、駆動信号COMBは、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形である。台形波形Bdp1が、ヘッドチップ300に供給された場合、ヘッドチップ300が有する対応するノズルからインクは吐出されない。この台形波形Bdp1は、ノズルの開孔部付近のインクを微振動させて、インク粘度の増大を防止するための波形である。また、台形波形Bdp2が、ヘッドチップ300に供給された場合、台形波形Adp1が供給された場合と同様に、ヘッドチップ300が有する対応するノズルから小程度の量のインクが吐出される。
【0036】
ここで、
図2に示すように、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれの開始タイミング、及び終了タイミングでの電圧値は、いずれも電圧Vcで共通である。すなわち、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のそれぞれは、電圧V
cで開始し電圧Vcで終了する波形である。そして、期間T1と期間T2とからなる周期Taが、媒体に新たなドットを形成する印刷周期に相当する。
【0037】
なお、
図2では、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが同じ波形であるとして図示しているが、台形波形Adp1と台形波形Bdp2とが異なる波形であってもよい。また、台形波形Adp1がヘッドチップ300に供給された場合と、台形波形Bdp1がヘッドチップ300に供給された場合とで、共に対応するノズルから小程度の量のインクが吐出されるとして説明を行うが、これに限るものではない。すなわち、駆動信号COMA,COMBの波形は、
図2に示す一例に限られるものではなく、ヘッドチップ300が有するノズルから吐出されるインクの性質や、インクが着弾する媒体の材質等に応じて、様々な波形の組み合わせの信号が用いられてもよい。また、駆動信号COMA1と、駆動信号COMA2とは、異なる波形であってもよく、同様に、駆動信号COMB1と、駆動信号COMB2とは、異なる波形であってもよい。
【0038】
図3は、媒体に形成されるドットの大きさが大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのそれぞれに対応する駆動信号VOUTの波形の一例を示す図である。
【0039】
図3に示すように、媒体に大ドットLDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Adp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから、小程度の量のインクと中程度の量のインクとが吐出される。したがって、周期Taにおいて、それぞれのインクが媒体に着弾し合体することで、媒体には、大ドットLDが形成される。
【0040】
また、媒体に中ドットMDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された台形波形Bdp2とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから、小程度の量のインクが2回吐出される。したがって、周期Taにおいて、それぞれのインクが媒体に着弾し合体することで、媒体には、中ドットMDが形成される。
【0041】
媒体に小ドットSDが形成される場合の駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Adp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルから、小程度の量のインクが1回吐出される。したがって、周期Taにおいて、このインクが媒体に着弾し、媒体には、小ドットSDが形成される。
【0042】
媒体にドットを形成しない非記録NDに対応する駆動信号VOUTは、周期Taにおいて、期間T1に配置された台形波形Bdp1と、期間T2に配置された電圧Vcで一定の波形とを連続させた波形となっている。この駆動信号VOUTがヘッドチップ300に供給された場合、対応するノズルの開孔部付近のインクが微振動するのみで、インクは吐出されない。したがって、周期Taにおいて、インクが媒体に着弾せず、媒体には、ドットが形成されない。
【0043】
ここで、電圧Vcで一定の波形とは、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択されていない場合にヘッドチップ300に供給される電圧であって、具体的には、台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2の直前の電圧Vcがヘッドチップ300に保持された電圧値の波形である。そのため、駆動信号VOUTとして台形波形Adp1,Adp2,Bdp1,Bdp2のいずれも選択さ
れていない場合には、電圧Vcが駆動信号VOUTとしてヘッドチップ300に供給されることとなる。
【0044】
次に、駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。
図4は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。
図4に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路210と、複数の選択回路230とを含む。また、
図4には、駆動信号選択回路200から出力される駆動信号VOUTが供給されるヘッドチップ300の一例を図示している。
図4に示すように、ヘッドチップ300は、それぞれが圧電素子60を有するp個の吐出部600を含む。
【0045】
選択制御回路210には、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKが入力される。選択制御回路210には、シフトレジスター(S/R)212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、ヘッドチップ300が有するp個の吐出部600の各々に対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、ヘッドチップ300が有するp個の吐出部600と同数のシフトレジスター212とラッチ回路214とデコーダー216との組を含む。
【0046】
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期した信号であって、p個の吐出部600の各々に対して、大ドットLD、中ドットMD、小ドットSD、及び非記録NDのいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を含む、合計2pビットの信号である。入力される印刷データ信号SIは、p個の吐出部600に対応して、印刷データ信号SIに含まれる2ビット分の印刷データ[SIH,SIL]毎に、シフトレジスター212に保持される。具体的には、選択制御回路210は、p個の吐出部600に対応したp段のシフトレジスター212が互いに縦続接続されるとともに、印刷データ信号SIとしてシリアルで入力された印刷データ[SIH,SIL]が、クロック信号SCKに従って順次後段に転送される。なお、
図4では、シフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが入力されるシフトレジスター212を、上流側から順に1段、2段、…、p段と表記している。
【0047】
p個のラッチ回路214の各々は、p個のシフトレジスター212の各々で保持された2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をラッチ信号LATの立ち上がりでラッチする。
【0048】
図5は、デコーダー216におけるデコード内容を示す図である。デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]に従い選択信号S1,S2を出力する。例えば、デコーダー216は、2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1の論理レベルを、期間T1,T2においてH,Lレベルとして出力し、選択信号S2の論理レベルを、期間T1,T2においてL,Hレベルとして選択回路230に出力する。
【0049】
選択回路230は、吐出部600のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200が有する選択回路230の数は、対応するヘッドチップ300が有する吐出部600と同じp個である。
図6は、吐出部600の1個分に対応する選択回路230の構成を示す図である。
図6に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232a,232bとトランスファーゲート234a,234bとを有する。
【0050】
選択信号S1は、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232aによって論理反転されて、トランスファーゲート234aにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲ
ート234aの入力端には、駆動信号COMAが供給される。選択信号S2は、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付されていない正制御端に入力される一方で、インバーター232bによって論理反転されて、トランスファーゲート234bにおいて丸印が付された負制御端に入力される。また、トランスファーゲート234bの入力端には、駆動信号COMBが供給される。そして、トランスファーゲート234a,234bの出力端が共通に接続され、この出力端から駆動信号VOUTが出力される。
【0051】
具体的には、トランスファーゲート234aは、選択信号S1がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S1がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。また、トランスファーゲート234bは、選択信号S2がHレベルの場合、入力端と出力端との間を導通とし、選択信号S2がLレベルの場合、入力端と出力端との間を非導通とする。すなわち、選択回路230は、入力される選択信号S1,S2に基づいて駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、選択した波形の駆動信号VOUTを出力する。
【0052】
図7を用いて、駆動信号選択回路200の動作について説明する。
図7は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、クロック信号SCKに同期してシリアルで入力されて、吐出部600に対応するシフトレジスター212において順次転送される。そして、クロック信号SCKの入力が停止すると、各シフトレジスター212には、p個の吐出部600のそれぞれに対応した2ビットの印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、シフトレジスター212のp段、…、2段、1段の吐出部600に対応した順に入力される。
【0053】
そして、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、シフトレジスター212に保持されている2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、
図7において、LT1、LT2、…、LTpは、1段、2段、…、p段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]を示している。
【0054】
デコーダー216は、ラッチされた2ビットの印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間T1,T2のそれぞれにおいて、選択信号S1,S2の論理レベルを
図5に示す内容で出力する。
【0055】
具体的には、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Hレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2を選択する。その結果、
図3に示した大ドットLDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0056】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[1,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Hレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Bdp2を選択する。その結果、
図3に示した中ドットMDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0057】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,1]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてH,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてL,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Adp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選
択しない。その結果、
図3に示した小ドットSDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0058】
また、デコーダー216は、入力される印刷データ[SIH,SIL]が[0,0]の場合、選択信号S1を期間T1,T2においてL,Lレベルとし、選択信号S2を期間T1,T2においてH,Lレベルとする。この場合、選択回路230は、期間T1において台形波形Bdp1を選択し、期間T2において台形波形Adp2,Bdp2のいずれも選択しない。その結果、
図3に示した非記録NDに対応する駆動信号VOUTが生成される。
【0059】
以上のように、駆動信号選択回路200は、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及びクロック信号SCKに基づいて、駆動信号COMA,COMBの波形を選択し、駆動信号VOUTとして出力する。そして、駆動信号選択回路200が、駆動信号COMA,COMBの波形を選択又は非選択とすることによって、媒体に形成されるドットのサイズが制御され、その結果、液体吐出装置1において、媒体に所望のサイズのドットが形成される。
【0060】
ここで、駆動信号出力ユニット50が出力する駆動信号COMA,COMBが駆動信号の一例である。また、駆動信号選択回路200が、駆動信号COMA,COMBに含まれる波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成している点に鑑みると、駆動信号VOUTも駆動信号の一例である。
【0061】
3.駆動回路の構成
次に、駆動信号出力ユニット50が有する駆動回路51a,51bの構成について説明する。なお、駆動回路51aと駆動回路51bとは、入力される信号及び出力する信号が異なるのみであり、同様の構成である。そのため、以下の説明では、基駆動データdAが入力され、駆動信号COMAを出力する駆動回路51aを例に構成について説明し、駆動回路51bの構成の説明については省略する。
【0062】
図8は、駆動回路51aの構成を示す図である。駆動回路51aは、駆動信号COMAの基となるデジタル信号である基駆動データdAをアナログ信号である基駆動信号aAに変換するDAC(Digital to Analog Converter)510と、基駆動信号aAに基づく信号を増幅し駆動信号COMAを生成する出力回路550とを有する。
【0063】
図8に示すように、駆動回路は、集積回路500、出力回路550、及び複数の回路素子を含む。集積回路500は、入力される基駆動データdAに基づいて、出力回路550の増幅回路570が有するトランジスターM1,M2を駆動するためのゲート駆動信号Hgd,Lgdを出力する。集積回路500は、DAC510、変調回路520及びゲートドライブ回路530を含む。
【0064】
DAC510には、基駆動データdAが入力される。そして、DAC510は、基駆動データdAをデジタル/アナログ変換することで、アナログ信号の基駆動信号aAを生成する。この基駆動信号aAの電圧を増幅した信号が、駆動信号COMAとなる。すなわち、基駆動信号aAは、デジタル信号の基駆動データdAで規定された駆動信号COMAの増幅前の目標となる信号である。
【0065】
変調回路520は、コンパレーター521及びインバーター522を含む。コンパレーター521には、基駆動信号aAが入力される。コンパレーター521は、基駆動信号aAの電圧値が上昇している場合に所定の電圧閾値Vth1以上となった場合にHレベルとなり、基駆動信号aAの電圧値が下降している場合に所定の電圧閾値Vth2を下回った
場合にLレベルとなる変調信号Msを出力する。
【0066】
コンパレーター521から出力された変調信号Msは、変調回路520において分岐される。分岐された一方の変調信号Msは、変調信号Ms1としてゲートドライブ回路530に出力される。また、分岐された他方の変調信号Msは、インバーター522を介して変調信号Ms2としてゲートドライブ回路530に出力される。すなわち、変調回路520は、排他的な論理レベルの2つの変調信号Ms1,Ms2を生成し、ゲートドライブ回路530に出力する。ここで、排他的な論理レベルの2つの信号とは、互いの信号の論理レベルが、同時にHレベルとはならないように、不図示の遅延回路等によりタイミングが制御された信号を含む。すなわち、排他的な論理レベルの2つの信号とは、同時にHレベルとはならない信号を含む。
【0067】
ゲートドライブ回路530は、ゲートドライバー531,532を含む。ゲートドライバー531は、変調回路520から出力される変調信号Ms1の電圧値をレベルシフトすることでゲート駆動信号Hgdを生成し、端子Hdrから出力する。具体的には、ゲートドライバー531の電源電圧のうち、高電位側には端子Bstを介して電圧が供給され、低電位側には端子Swを介して電圧が供給される。端子Bstは、集積回路500の外部に設けられたコンデンサーC5の一端及び逆流防止用のダイオードD1のカソード端子と共通に接続される。また、コンデンサーC5の他端は端子Swと接続される。また、ダイオードD1のアノード端子は、端子Gvdと接続される。そして、端子Gvdには、前述した所定の電圧値の電圧GVDDが供給される。したがって、端子Bstと端子Swとの電位差は、コンデンサーC5の両端の電位差、すなわち電圧GVDDとおよそ等しくなる。そして、ゲートドライバー531は、入力される変調信号Ms1に従って、端子Swに対して電圧値が電圧GVDDだけ大きなゲート駆動信号Hgdを生成し、端子Hdrから出力する。
【0068】
ゲートドライバー532は、ゲートドライバー531よりも低電位側で動作する。ゲートドライバー532は、変調回路520から出力される変調信号Ms2の電圧値をレベルシフトすることでゲート駆動信号Lgdを生成し、端子Ldrから出力する。具体的には、ゲートドライバー532の電源電圧のうち、高電位側には電圧GVDDが供給され、低電位側にはグラウンド信号が供給される。そして、ゲートドライバー532は、入力される変調信号Ms2に従って、端子Gndに対して電圧値が電圧GVDDだけ大きなゲート駆動信号Lgdを生成し、端子Ldrから出力する。
【0069】
ここで、電圧GVDDは、例えば、電圧VDDを昇圧することにより生成される。具体的には、電圧GVDDは、電圧値が後述する増幅回路570が有するトランジスターM1,M2のゲート駆動閾値電圧よりも大きな電圧値であって、例えば、DC7.5Vとなるように、電圧VDDが昇圧されることにより生成される。
【0070】
出力回路550は、増幅回路570と平滑回路560とを含む。また、増幅回路570は、トランジスターM1,M2を有する。なお、
図8に示すトランジスターM1,M2のそれぞれは、例えば、表面実装タイプのNチャンネル型のFET(Field Effect Transistor)であってもよい。
【0071】
トランジスターM1のドレイン電極には、電圧VHVが供給される。また、トランジスターM1のゲート電極は抵抗R1の一端と接続される。そして、抵抗R1の他端は端子Hdrと接続される。また、トランジスターM1のソース電極は端子Swと接続される。以上のように接続されたトランジスターM1は、端子Hdrから出力されるゲート駆動信号Hgdに応じて動作する。
【0072】
トランジスターM2のドレイン電極は、トランジスターM1のソース電極と接続される。また、トランジスターM2のゲート電極は抵抗R2の一端と接続される。そして、抵抗R2の他端は端子Ldrと接続される。また、トランジスターM2のソース電極にはグラウンド信号が供給される。以上のように接続されたトランジスターM2は、端子Ldrから出力されるゲート駆動信号Lgdに応じて動作する。
【0073】
以上のように構成された増幅回路570において、トランジスターM1がオフに制御され、トランジスターM2がオンに制御されている場合、端子Swが接続される接続点はグラウンド電位となる。したがって、端子Bstには電圧GVDDが供給される。一方、トランジスターM1がオンに制御され、トランジスターM2がオフに制御されている場合、端子Swが接続される接続点には電圧VHVが供給される。したがって、端子Bstには電圧VHV+電圧GVDDが供給される。
【0074】
ここで、トランジスターM1を駆動させるゲートドライバー531は、コンデンサーC5をフローティング電源として駆動する。そして、トランジスターM1,M2の動作に応じて、コンデンサーC5の一端が接続される端子Swの電圧が、グラウンド電位又は電圧VHVに変化することで、ゲートドライバー531は、Lレベルが電圧VHV、Hレベルが電圧VHV+電圧GVDDのゲート駆動信号Hgdを生成し、トランジスターM1のゲート電極に供給する。トランジスターM1は、ゲート電極に供給されるゲート駆動信号Hgdに基づいて、スイッチング動作を行う。また、トランジスターM2を駆動させるゲートドライバー532は、トランジスターM1,M2の動作に関係なく、Lレベルがグラウンド電位、Hレベルが電圧GVDDのゲート駆動信号Lgdを生成し、トランジスターM2のゲート電極に供給する。トランジスターM2は、ゲート電極に供給されるゲート駆動信号Lgdに基づいて、スイッチング動作を行う。
【0075】
これにより、トランジスターM1のソース電極とトランジスターM2のドレイン電極との接続点には、変調信号Msを電圧VHVに基づいて増幅した増幅変調信号Msaが生成される。
【0076】
平滑回路560は、コイルL1及びコンデンサーC1を含む。コイルL1の一端は、トランジスターM1のソース電極及びトランジスターM2のドレイン電極と共通に接続される。また、コイルL1の他端は、駆動信号COMAが出力される端子Out及びコンデンサーC1の一端と共通に接続される。また、コンデンサーC1の他端にはグラウンド信号が供給される。すなわち、平滑回路560は、コイルL1とコンデンサーC1とでローパスフィルター回路を構成する。以上のように接続された平滑回路560は、トランジスターM1,M2との接続点に供給される増幅変調信号Msaを平滑する。これにより、増幅変調信号Msaが復調されて駆動信号COMAが生成される。そして、生成された駆動信号COMAが、端子Outから出力される。
【0077】
なお、
図8では図示を省略しているが、駆動回路51aは、出力する駆動信号COMAを帰還する帰還回路を含んで構成されてもよい。これにより、駆動回路51の動作特性が安定し、駆動回路51aが出力する駆動信号COMAに波形歪みが生じるおそれを低減することができる。
【0078】
4.液体吐出装置の構造
次に、液体吐出装置1の概略構造について説明を行う。
図9は、液体吐出装置1の概略構造を示す説明図である。
図9には、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を示す矢印を示している。Y方向は媒体Pが搬送される方向に相当し、X方向はY方向と直交し水平面に平行な方向であって主走査方向に相当し、Z方向は液体吐出装置1の上下方向であって鉛直方向に相当する。ここで、以下の説明において、X方向、Y方向、及びZ方向
に沿った向きを特定する場合、X方向を示す矢印の先端側を+X側、起点側を-X側と称し、Y方向を示す矢印の先端側を+Y側、起点側を-Y側と称し、Z方向を示す矢印の先端側を+Z側、起点側を-Z側と称する場合がある。
【0079】
図9に示すように、液体吐出装置1は、上述した制御ユニット10、及びヘッドユニット20に加えて、液体容器5、ポンプ8、及び搬送機構40を備える。ここで、
図9では、図示を省略しているが、駆動信号出力ユニット50は、ヘッドユニット20の-Z側に位置している。なお、以下の説明では、ヘッドユニット20が6個の吐出ヘッド100を有する場合を例示し説明を行う。
【0080】
制御ユニット10は、前述したとおりメイン制御回路11と電源電圧生成回路12とを備え、ヘッドユニット20を含む液体吐出装置1の動作を制御する。また、制御ユニット10は、メイン制御回路11と電源電圧生成回路12に加えて、各種情報を記憶する記憶回路や液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューターと通信を行うためのインターフェース回路などを備えてもよい。
【0081】
制御ユニット10は、液体吐出装置1の外部に設けられたホストコンピューター等から入力される画像信号を受信し、受信した画像信号に対して所定の画像処理を施した後、当該画像処理を施した信号を画像情報信号IPとしてヘッドユニット20に出力する。また、制御ユニット10は、媒体Pを搬送する搬送機構40に対して搬送制御信号TCを出力することで、媒体Pの搬送を制御するとともに、ポンプ8にポンプ制御信号ACを出力することで、ポンプ8の動作を制御する。
【0082】
液体容器5は、媒体Pに吐出されるインクが貯留されている。具体的には、液体容器5は、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKの4色のインクが個別に貯留される4個の容器を含む。そして、液体容器5に貯留されているインクは、チューブ等を介して、ヘッドユニット20に供給される。なお、液体容器5が備えるインクが貯留される容器は4個に限られるものではなく、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックK以外の色のインクが貯留される容器を含んでもよく、また、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックKのいずれかの容器を複数個含んでもよい。
【0083】
ここで、本実施形態における液体容器5に貯留されているインクの溶剤には、1-メチル-2-ピロリドンが含まれる。そして、当該1-メチル-2-ピロリドンを含む溶剤に、吐出される媒体Pの種類に応じた染料や顔料などが含まれることで、シアンC、マゼンタM、イエローY、ブラックK等の所望の色彩のインクが構成される。そして、当該インクが媒体Pに吐出され着弾することで、媒体Pに所望の色彩の画像が形成される。この1-メチル-2-ピロリドンは、非常に高い溶解性を持ち、且つ高沸点、低凝固点であるが故に、インクの溶剤に用いた場合、インクの染料や顔料として多種多様な物質を選択することが可能となる。それ故に、1-メチル-2-ピロリドンは、液体吐出装置1が使用される用途に応じた多種多様な物性のインクの溶剤に含まれる。
【0084】
ヘッドユニット20は、X方向に並んで配置された吐出ヘッド100-1~100-6を備える。ヘッドユニット20が備える吐出ヘッド100-1~100-6は、X方向に沿って、媒体Pの幅以上となるように、-X側から+X側に向かって、吐出ヘッド100-1、吐出ヘッド100-2、吐出ヘッド100-3、吐出ヘッド100-4、吐出ヘッド100-5、吐出ヘッド100-6の順に並んで配置されている。そして、ヘッドユニット20は、液体容器5から供給されたインクを吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれに分配するとともに、吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれが制御ユニット10から入力される画像情報信号IP、及び駆動信号出力ユニット50が出力する駆動信号COMA,COMBに基づいて動作することで、吐出ヘッド100-1~100-6
のそれぞれから媒体Pに向かって、液体容器5から供給されたインクを吐出させる。
【0085】
搬送機構40は、制御ユニット10から入力される搬送制御信号TCに基づいて、媒体PをY方向に沿って搬送する。このような搬送機構40は、例えば、媒体Pを搬送するための不図示のローラーや、当該ローラーを回転させるモーター等を含んで構成される。
【0086】
ポンプ8は、制御ユニット10から入力されるポンプ制御信号ACに基づいて、ヘッドユニット20に空気Aを供給するか否か、及びヘッドユニット20に空気Aの供給量を制御する。ポンプ8は、例えば、2本のチューブを介して、ヘッドユニット20に接続されている。そして、ポンプ8は、各チューブに流れる空気Aを制御することで、ヘッドユニット20が有するバルブの開閉を制御する。
【0087】
以上のように、液体吐出装置1は、制御ユニット10が、ホストコンピューター等から入力される画像信号に基づく画像情報信号IPを生成し、生成した画像情報信号IPにより、ヘッドユニット20の動作を制御するとともに、搬送制御信号TCにより搬送機構40における媒体Pの搬送を制御する。これにより、液体吐出装置1は、媒体Pの所望の位置にインクを着弾させることが可能となり、したがって、媒体Pに所望の画像を形成することができる。
【0088】
5.ヘッドユニットの構造
次に、ヘッドユニット20、及び駆動信号出力ユニット50の構造について説明する。
図10は、ヘッドユニット20、及び駆動信号出力ユニット50を-Z側から見た場合の分解斜視図であり、
図11は、ヘッドユニット20、及び駆動信号出力ユニット50を+Z側から見た場合の分解斜視図である。
【0089】
図10及び
図11に示すように、ヘッドユニット20は、液体容器5からインクを導入する流路構造体G1と、導入されたインクの吐出ヘッド100への供給を制御する供給制御部G2と、供給されたインクを吐出する吐出ヘッド100を有する液体吐出部G3と、吐出ヘッド100からのインクの吐出を制御する吐出制御部G4と、を備える。そして、流路構造体G1、供給制御部G2、液体吐出部G3、及び吐出制御部G4は、ヘッドユニット20においてZ方向に沿って、-Z側から+Z側に向かい、吐出制御部G4、流路構造体G1、供給制御部G2、液体吐出部G3の順に積層される共に、不図示の固定手段によって互いに固定される。
【0090】
図10及び
図11に示すように、流路構造体G1は、ヘッドユニット20に供給されるインクの種類に応じた複数の液体導入口SI1と、当該インクの種類及び吐出ヘッド100の数に応じた複数の液体排出口DI1と、を有する。複数の液体導入口SI1は、流路構造体G1の-Z側の面に位置し、液体容器5と不図示のチューブ等を介して接続されている。また、複数の液体排出口DI1は、流路構造体G1の+Z側の面に位置している。そして、流路構造体G1の内部には、1個の液体導入口SI1と、当該液体導入口SI1に対応する複数の液体排出口DI1とを連通するインク流路が形成されている。
【0091】
また、流路構造体G1には、複数の空気導入口SA1と、複数の空気排出口DA1とが設けられている。複数の空気導入口SA1は、流路構造体G1の-Z側の面に設けられ、ポンプ8と不図示のチューブを介して接続されている。また、複数の空気排出口DA1は、流路構造体G1の+Z側の面に設けられている。そして、流路構造体G1の内部には、1個の空気導入口SA1と、当該空気導入口SA1に対応する複数の空気排出口DA1とを連通する空気流路が形成されている。
【0092】
図10及び
図11に示すように、供給制御部G2は、吐出ヘッド100の数に応じた複
数の圧力調節ユニットU2を有する。また、複数の圧力調節ユニットU2は、それぞれが、ヘッドユニット20に供給されるインクの種類に応じた複数の液体導入口SI2と、ヘッドユニット20に供給されるインクの種類に応じた複数の液体排出口DI2と、ポンプ8と接続されるチューブの数に応じた複数の空気導入口SA2と、を有する。
【0093】
複数の液体導入口SI2は、圧力調節ユニットU2の-Z側に位置し、流路構造体G1が有する複数の液体排出口DI1と1対1で接続される。すなわち、供給制御部G2は、流路構造体G1が有する液体排出口DI1のそれぞれに対応する液体導入口SI2を有する。また、複数の液体排出口DI2は、圧力調節ユニットU2の-Z側に位置している。そして、圧力調節ユニットU2の内部には、1個の液体導入口SI2と1個の液体排出口DI2とを連通するインク流路が形成されている。
【0094】
複数の空気導入口SA2は、圧力調節ユニットU2の-Z側に位置し、流路構造体G1が有する複数の空気排出口DA1と1対1で接続される。すなわち、供給制御部G2は、流路構造体G1が有する空気排出口DA1のそれぞれに対応する空気導入口SA2を有する。また、圧力調節ユニットU2のそれぞれの内部には、インク流路を開閉するバルブや、インク流路を流れるインクの圧力を調節するバルブ等を含む、吐出ヘッド100へのインクの供給を制御する不図示の供給制御手段が設けられている。そして、圧力調節ユニットU2の内部には、1個の空気導入口SA2と1個の供給制御手段とを接続する空気流路が形成されている。
【0095】
以上のように構成された圧力調節ユニットU2は、内部に形成された空気流路を介して供給される空気Aに基づいて、供給制御手段に含まれるバルブの動作を制御することで、圧力調節ユニットU2の内部に形成されたインク流路に流れるインクの量を制御する。
【0096】
図10及び
図11に示すように、液体吐出部G3は、吐出ヘッド100-1~100-6と、支持部材35とを有する。吐出ヘッド100-1~100-6は、それぞれが支持部材35の+Z側に位置する。そして、吐出ヘッド100-1~100-6は、ネジ等の固定手段によって支持部材35に固定されている。
【0097】
吐出ヘッド100-1~100―6のそれぞれの-Z側には、複数の液体導入口SI3が位置している。また、支持部材35には、複数の液体導入口SI3に対応する開口部が形成されている。そして、複数の液体導入口SI3のそれぞれが支持部材35に形成された対応する開口部を挿通することで、複数の液体導入口SI3のそれぞれが液体吐出部G3の-Z側に露出する。液体吐出部G3の-Z側に露出した複数の液体導入口SI3は、供給制御部G2が有する複数の液体排出口DI2と1対1で接続される。すなわち、液体吐出部G3は、供給制御部G2が有する液体排出口DI2のそれぞれに対応する液体導入口SI3を有する。
【0098】
ここで、液体容器5から供給されるインクが吐出ヘッド100に到達するまでのインクの流れについて説明する。まず、液体容器5に貯留されているインクは、不図示のチューブ等を介して、流路構造体G1が有する複数の液体導入口SI1に供給される。複数の液体導入口SI1に供給されたインクは、流路構造体G1の内部に設けられた不図示のインク流路によって分配された後、液体排出口DI1を介して圧力調節ユニットU2が有する液体導入口SI2に供給される。液体導入口SI2に供給されたインクは、圧力調節ユニットU2の内部に設けられたインク流路、及び液体排出口DI2を介して、液体吐出部G3が有する吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれが有する液体導入口SI3に供給される。すなわち、流路構造体G1は、ヘッドユニット20が有する複数の吐出ヘッド100のそれぞれにインクを分配し供給する分配流路部材として機能し、供給制御部G2が有する圧力調節ユニットU2により流量、及び圧力が調整されたインクが、液体吐出部
G3が有する吐出ヘッド100-1~100-6に供給される。
【0099】
ここで、ヘッドユニット20における吐出ヘッド100-1~100-6の配置の一例について説明する。
図12は、ヘッドユニット20を+Z側から見た場合の底面図である。
図12に示すように、ヘッドユニット20が有する吐出ヘッド100-1~100-6は、それぞれがX方向に並んで配置された6個のヘッドチップ300を有する。各ヘッドチップ300は、インクを吐出する複数のノズルNを有する。この各ヘッドチップ300が有する複数のノズルNは、Z方向に垂直な方向であって、且つX方向とY方向とが成す平面において、X方向及びY方向とは異なる列方向RDに沿って並んで配置されている。ここで、以下の説明において、列方向RDに沿って並んで配置された複数のノズルNのことをノズル列と称する場合がある。
【0100】
ここで、
図12には、ヘッドチップ300が列方向RDに沿って2列のノズル列を有する場合を図示しているが、吐出ヘッド100が有するノズル列は、2列に限られるものではない。また、
図12には、吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれが、6個のヘッドチップ300を有する場合を図示しているが、吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれが有するヘッドチップ300の数は、2個以上であればよく、6個に限られるものではない。
【0101】
次に、吐出ヘッド100の構造について説明する。
図13は、吐出ヘッド100の構造を示す分解斜視図である。吐出ヘッド100は、フィルター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、6個のヘッドチップ300、及び固定板150を備える。そして、吐出ヘッド100は、Z方向に沿って-Z側から+Z側に向かい、フィルター部110、シール部材120、配線基板130、ホルダー140、固定板150の順に重ね合されて構成されるとともに、6個のヘッドチップ300が、ホルダー140と固定板150との間に収容される。
【0102】
フィルター部110は、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。フィルター部110は、複数の液体導入口SI3と、複数の液体導入口SI3のそれぞれに対応した複数のフィルター113と、を備える。このフィルター113は、液体導入口SI3のそれぞれから供給されるインクに含まれる気泡や異物を捕集する。
【0103】
シール部材120は、フィルター部110の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。シール部材120の四隅には、フィルター部110から供給されたインクが流れる貫通孔125が設けられている。このようなシール部材120は、例えば、ゴム等の弾性部材によって形成されている。そして、シール部材120は、フィルター部110の+Z側の面に形成されているフィルター113を介して液体導入口SI3と連通する不図示の液体排出穴と、後述するホルダー140の液体導入口145との間を液密に連通させる。
【0104】
配線基板130は、シール部材120の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。また、配線基板130の四隅には、切欠部135が形成されている。この切欠部135には、シール部材120が有する貫通孔125によって連通された、液体導入口SI3と連通する不図示の液体排出穴と、後述するホルダー140の液体導入口145との間に形成されたインク流路が位置する。このような配線基板130には、吐出ヘッド100に供給された駆動信号COMA,COMBや電圧VHV等の各種信号を伝搬するための配線が形成されている。
【0105】
ホルダー140は、配線基板130の+Z側に位置し、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。ホルダー140は、ホルダー部材141,142,143を有する。ホルダー部材141,142,143は、Z方向に沿って、-Z側から+Z側に向かいホルダー部材141、ホルダー部材142、ホルダー部材143の順に積層されている。
【0106】
ホルダー部材143の内部には、+Z側に開口部を有し、ヘッドチップ300を収容するための不図示の収容空間が形成されている。このホルダー部材143の内部に形成された収容空間に6個のヘッドチップ300が収容される。また、ホルダー140には、6個のヘッドチップ300のそれぞれに対応するスリット孔146が設けられている。スリット孔146には、ヘッドチップ300に駆動信号COMA,COMBや電圧VHV等の各種信号を伝搬するためのフレキシブル配線基板346が挿通される。これにより、ホルダー部材143の内部に形成された収容空間に収容された6個のヘッドチップ300に、駆動信号COMA,COMBや電圧VHV等の各種信号が供給される。なお、ホルダー部材143の内部に形成された収容空間は、6個のヘッドチップ300に対応した6個の空間であってもよく、また、6個のヘッドチップ300に共通に設けられた1個の空間であってもよい。
【0107】
また、ホルダー140の上面の四隅には、4個の液体導入口145が設けられている。前述の通り、液体導入口145のそれぞれは、シール部材120に設けられた貫通孔125と接続されている。これにより、液体導入口145にインクが供給される。そして、液体導入口145に導入されたインクが、ホルダー140の内部に設けられたインク流路によって6個のヘッドチップ300に分配される。
【0108】
固定板150は、ホルダー140の+Z側に位置し、ホルダー部材143の内部に形成された収容空間を封止する。固定板150は、平面部151と、折曲部152,153,154を有する。平面部151は、向かい合う2辺がX方向に沿って延在し、向かい合う2辺が列方向RDに沿って延在する略平行四辺形状である。平面部151は、ヘッドチップ300に対応した6個の開口部155を有する。6個のヘッドチップ300は、ホルダー140のホルダー部材143と固定された状態で、平面部151に形成された対応する開口部155を介して2列のノズル列が露出するように平面部151にも固定される。
【0109】
折曲部152は、平面部151のX方向に沿って延在する一方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材であり、折曲部153は、平面部151の列方向RDに沿って延在する一方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材であり、折曲部154は、平面部151の列方向RDに沿って延在する他方の辺と接続し-Z側に折り曲げられた平面部151と一体の部材である。
【0110】
次に、ヘッドチップ300の構造の一例について説明する。
図14は、ヘッドチップ300の概略構造を示す図であって、少なくとも1つのノズルNを含むように列方向RDと垂直な方向にヘッドチップ300を切断した場合の断面図である。
図14に示すように、ヘッドチップ300は、インクを吐出する複数のノズルNが設けられたノズルプレート310と、連通流路355、個別流路353、及びリザーバーRを画定する流路形成基板321と、圧力室Cを画定する圧力室基板322と、保護基板323と、コンプライアンス部330と、振動板340と、圧電素子60と、フレキシブル配線基板346と、リザーバーR及び液体導入口351を画定するケース324と、を有する。ヘッドチップ300には、ホルダー140に設けられた不図示の液体排出口から液体導入口351を介してインクが供給される。ヘッドチップ300に供給されたインクは、リザーバーR、個別流路353、圧力室C、及び連通流路355を含み構成されたインク流路350を介して、ノズルNに到達し、圧電素子60が駆動することで、ノズルNから吐出される。ここで、圧
電素子60、振動板340、ノズルN、個別流路353、圧力室C、及び連通流路355を含みインクを吐出する構成を吐出部600と称する場合がある。
【0111】
ヘッドチップ300の構造について具体的に説明する。インク流路350は、流路形成基板321、圧力室基板322、ケース324が、Z方向に沿って積層されることで構成されている。液体導入口351からケース324の内部に導入されたインクは、リザーバーRに貯留される。リザーバーRは、ノズル列を構成する複数のノズルNのそれぞれに対応する複数の個別流路353に連通する共通流路である。
【0112】
リザーバーRに貯留されたインクは、個別流路353を介して圧力室Cに供給される。圧力室Cでは、貯留されるインクに圧力を加えることで、インクを連通流路355を介してノズルNから吐出する。圧力室Cの-Z側には、圧力室Cを封止するように振動板340が位置し、振動板340の-Z側には、圧電素子60が位置している。
【0113】
圧電素子60は、圧電体と、圧電体の両面に形成された一対の電極とによって構成されている。そして、圧電素子60が有する一対の電極の一方にフレキシブル配線基板346を介して駆動信号VOUTが供給され、圧電素子60が有する一対の電極の他方にフレキシブル配線基板346を介して基準電圧信号VBSが供給されると、圧電体は一対の電極間に生じた電位差により変位し、その結果、圧電体を含む圧電素子60が駆動する。この圧電素子60の駆動に伴い、圧電素子60が設けられた振動板340が変形し、その結果、圧力室Cの内圧が変化する。そして、圧力室Cの内圧が変化することで、圧力室Cに貯留されているインクが、連通流路355を介してノズルNから吐出される。
【0114】
また、流路形成基板321の+Z側には、ノズルプレート310と、コンプライアンス部330と、が固定されている。ノズルプレート310は、連通流路355の+Z側に位置している。ノズルプレート310には、複数のノズルNが列方向RDに沿って並設されている。コンプライアンス部330は、リザーバーR及び個別流路353の+Z側に位置し、封止膜331と、支持体332と、を含む。封止膜331は、可撓性を有する膜状部材であり、リザーバーR及び個別流路353の+Z側を封止する。そして、封止膜331の外周縁が枠状の支持体332によって支持されている。また、支持体332の+Z側は、固定板150の平面部151に固定されている。以上のように構成されたコンプライアンス部330は、ヘッドチップ300を保護するとともに、リザーバーRの内部や個別流路353の内部におけるインクの圧力変動を低減する。
【0115】
図13に戻り、以上のように吐出ヘッド100は、液体容器5から供給されるインクを複数のノズルNに対して分配するとともに、フレキシブル配線基板346を介して供給される駆動信号VOUTに基づき生じる圧電素子60の駆動によりノズルNからインクを吐出する。ここで、駆動信号選択回路200は、配線基板130に設けられていてもよく、ヘッドチップ300のそれぞれに対応するフレキシブル配線基板346に設けられていてもよい。
【0116】
図10及び
図11に戻り、吐出制御部G4は、流路構造体G1の-Z側に位置し、配線基板420を含む。配線基板420は、面422と、面422の反対側に位置し、面422と向かい合う面421とを含む。そして、配線基板420は、面422が流路構造体G1、供給制御部G2、及び液体吐出部G3側を向き、面421が流路構造体G1、供給制御部G2、及び液体吐出部G3とは反対側を向くように配置される。
【0117】
配線基板420の面421の内、-X側の領域には、半導体装置423が設けられている。半導体装置423は、ヘッド制御回路21の少なくとも一部を構成する回路部品であって、例えば、SoCを含んで構成されている。すなわち、半導体装置423には、制御
ユニット10からヘッドユニット20に入力された画像情報信号IPが入力される。そして、半導体装置423は、入力される画像情報信号IPに基づく各種信号を生成し、ヘッドユニット20に含まれる各種の構成に対して、対応する制御信号を出力するとともに、駆動信号出力ユニット50に基駆動データdA,dBを出力する。
【0118】
また、配線基板420の面421の内、半導体装置423よりも+X側の領域であって、-Y側に位置する配線基板420の端辺に沿ってコネクター424が設けられている。このコネクター424は、駆動信号出力ユニット50と電気的に接続する。これにより、半導体装置423が出力する基駆動データdA,dBが駆動信号出力ユニット50に供給されるとともに、駆動信号出力ユニット50が出力する駆動信号COMA,COMBが吐出ヘッド100が有する吐出部600に伝搬される。
【0119】
ここで、配線基板420は、例えば、硬質複合部材やガラスエポキシ樹脂などの基材に銅箔などにより配線パターンが形成された後、ソルダーレジストなどにより銅箔部が保護された所謂硬質(リジット:rigid)基板である。この配線基板420が第1リジット基板の一例であり、配線基板420に設けられたコネクター424が第1コネクターの一例である。
【0120】
以上のように構成されたヘッドユニット20は、圧電素子60を含みインクを吐出する吐出部600と、駆動信号COMA,COMBを吐出部600に伝搬する配線基板420と、駆動信号COMA,COMBが入力されるコネクター424と、を有する。そして、ヘッドユニット20は、駆動信号出力ユニット50からの駆動信号COMA,COMBの供給に伴い駆動する圧電素子60を含み、圧電素子60の駆動により液体としてのインクを吐出する。
【0121】
次に駆動信号出力ユニット50の構成について説明する。
図10及び
図11に示すように、駆動信号出力ユニット50は、吐出制御部G4の-Z側に位置し、配線基板501を含む。配線基板501は、面512と、面512の反対側に位置し、面512と向かい合う面511とを含む。そして、配線基板501は、面512が吐出制御部G4側を向き、面511が吐出制御部G4とは反対側を向くように配置される。すなわち、面421と面512との最短距離は、面422と面512との最短距離よりも短く、面512と面421との最短距離は、面511と面421との最短距離よりも短い。換言すれば、配線基板420の面421と配線基板501の面512とが向かい合って位置している。
【0122】
配線基板501の面511には、駆動信号COMA,COMBを出力する駆動回路51a,51bが設けられている。具体的には、面511には、駆動回路51aが有するD級増幅回路であって、駆動回路51aに含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、コイルL1及びコンデンサーC1と、駆動回路51bが有するD級増幅回路であって、駆動回路51bに含まれる集積回路500、トランジスターM1,M2、コイルL1及びコンデンサーC1と、が設けられている。
【0123】
また、配線基板501の面512には、コネクター513が設けられている。コネクター513は、駆動回路51a,51bで生成される駆動信号COMA,COMBの基となる基駆動データdA,dBを駆動信号出力ユニット50に入力するとともに、駆動回路51a,51bが出力する駆動信号COMA,COMBをヘッドユニット20に出力する。
【0124】
以上のように、駆動信号出力ユニット50は、駆動信号COMA,COMBを出力する。具体的には、駆動信号出力ユニット50は、配線基板501と、駆動信号を出力するコネクター513と、デジタル信号である基駆動データdAをアナログ信号である基駆動信号aAに変換するDAC510、及び基駆動信号aAを増幅し駆動信号COMAを出力す
る出力回路550とを含む駆動回路51aと、デジタル信号である基駆動データdBをアナログ信号である基駆動信号aBに変換するDAC510、及び基駆動信号aBを増幅し駆動信号COMBを出力する出力回路550とを含む駆動回路51bと、を有し、駆動信号COMA,COMBをヘッドユニット20に出力する。
【0125】
ここで、配線基板501は、例えば、硬質複合部材やガラスエポキシ樹脂などの基材に銅箔などにより配線パターンが形成された後、ソルダーレジストなどにより銅箔部が保護された所謂リジット基板である。この配線基板501が第2リジット基板の一例であり、配線基板501に設けられたコネクター513が第2コネクターの一例である。
【0126】
以上のように、本実施形態において駆動信号出力ユニット50は、ヘッドユニット20がインクを吐出する+Z側とは反対側であるヘッドユニット20の-Z側に位置する。換言すれば、ヘッドユニット20は、インクが吐出されるノズルNが形成されたノズルプレート310を含み、配線基板420と配線基板501とは、配線基板420の面422とノズルプレート310に形成されたノズルNからインクが吐出される+Z側の面との最短距離が、面421とノズルプレート310に形成されたノズルNからインクが吐出される+Z側の面との最短距離よりも短く、面422と配線基板501との最短距離が、面421と配線基板501との最短距離よりも短くなるように設けられている。
【0127】
すなわち、駆動回路51a,51bが実装された配線基板501をノズルNから離して配置される。これにより、ノズルNから吐出されたインクの一部がミスト化し、インクミストとして液体吐出装置1の内部に浮遊している場合であっても、駆動回路51a,51bがノズルNから離れて位置するが故に、当該インクミストが駆動回路51a,51bに付着するおそれが低減する。その結果、駆動回路51a,51bの動作にインクミストが影響を及ぼすおそれが低減し、駆動回路51a,51bの動作が安定する。よって、駆動回路51a,51bが出力する駆動信号COMA,COMBの波形精度が向上する。
【0128】
さらに、駆動信号出力ユニット50において、駆動回路51a,51bを構成する電子部品は、配線基板501の面511に実装されている。換言すれば、配線基板420の面421と向かい合って位置する配線基板501の面512には、駆動回路51a,51bを構成する電子部品が実装されない。すなわち、配線基板420の面421と向かい合って位置する配線基板501の面512には、コネクター513を除く電子部品が設けられていない。
【0129】
これにより、駆動回路51a,51bをノズルNからさらに離して配置することが可能となり、ノズルNから吐出されたインクの一部がミスト化し液体吐出装置1の内部を浮遊している場合であっても、当該インクミストが駆動回路51a,51bに付着するおそれがさらに低減する。したがって、駆動回路51a,51bの動作にインクミストが影響を及ぼすおそれがさらに低減し、駆動回路51a,51bの動作がさらに安定し、駆動回路51a,51bが出力する駆動信号COMA,COMBの波形精度がさらに向上する。
【0130】
また、駆動回路51a,51bは、ヘッドユニット20が有する複数のノズルNに対して駆動信号COMA,COMBを供給するが故に、発熱が大きくなる。このような大きな発熱が生じるおそれがある駆動回路51a,51bを、配線基板420の面421と向かい合って位置する配線基板501の面512に設けないことで、駆動回路51a,51bで生じた熱が配線基板420の面421と配線基板501の面512との間で滞留するおそれが低減し、駆動回路51a,51bの放熱効率を高めることができるとともに、大きな発熱が生じるおそれがある駆動回路51a,51bをインクが貯留されている吐出ヘッド100から離して配置することが可能となり、その結果、駆動回路51a,51bで生じた熱がインクに伝搬されるおそれが低減する。したがって、熱によりインクの物性が変
化するおそれが低減し、その結果、ヘッドユニット20から吐出されるインクの吐出精度が向上する。
【0131】
次に、ヘッドユニット20が有する配線基板420と駆動信号出力ユニット50が有する配線基板501との配置、及び電気的接続の詳細について説明する。
図15は、
図10及び
図11に示すヘッドユニット20、及び駆動信号出力ユニット50を+Z側から見た場合の平面図である。
図16は、
図10及び
図11に示すヘッドユニット20に含まれる配線基板420、及び駆動信号出力ユニット50に含まれる配線基板501を-X側から見た場合の側面図である。
【0132】
図15及び
図16に示すように、本実施形態における液体吐出装置1では、ヘッドユニット20が有する配線基板420と、駆動信号出力ユニット50が有する配線基板501とは、配線基板420の面421と配線基板501の面512とが向かい合った状態で、配線基板420の面421に位置するコネクター424と、配線基板501の面512に位置するコネクター513とが嵌合することで、電気的に接続する。換言すれば、配線基板420と配線基板501とは、コネクター424が有する端子とコネクター513が有する端子とが直接接触するようにコネクター424とコネクター513とが嵌合することよりスタック接続される。すなわち、本実施形態におけるコネクター424とコネクター513とは、それぞれがBtoB(Board to Board)コネクターであって、当該BtoBコネクターによって配線基板420と配線基板501とがスタック接続されることにより、配線基板420と配線基板501との間で基駆動データdA,dB、及び駆動信号COMA,COMBが伝搬される。
【0133】
ここで、
図15に示すように、吐出部600からインクが吐出されるZ方向に沿って、+Z側から-Z側に向かいヘッドユニット20及び駆動信号出力ユニット50を平面視した場合に、駆動信号出力ユニット50が有する配線基板501は、ヘッドユニット20が有する配線基板420と重なるように位置している。これにより、ノズルNから吐出されたインクの一部がミスト化したインクミストが液体吐出装置1の内部を浮遊している場合であっても、ヘッドユニット20が有する配線基板420が、インクミストが駆動回路51a,51bに付着するおそれを低減するための保護部材として機能する。したがって、当該インクミストが駆動回路51a,51bに付着するおそれがさらに低減し、その結果、駆動回路51a,51bの動作にインクミストが影響を及ぼすおそれがさらに低減し、駆動回路51a,51bの動作がさらに安定し、駆動回路51a,51bが出力する駆動信号COMA,COMBの波形精度がさらに向上する。
【0134】
そのため、吐出部600からインクが吐出されるZ方向に沿って、+Z側から-Z側に向かいヘッドユニット20及び駆動信号出力ユニット50を平面視した場合に、駆動信号出力ユニット50が有する配線基板501の少なくとも一部は、ヘッドユニット20が有する配線基板420と重なるように位置していればよいが、
図15に示すように、吐出部600からインクが吐出されるZ方向に沿って、+Z側から-Z側に向かいヘッドユニット20及び駆動信号出力ユニット50を平面視した場合に、駆動信号出力ユニット50が有する配線基板501の全てが、ヘッドユニット20が有する配線基板420に重なるように位置していることがさらに好ましい。これにより、駆動回路51a,51bの動作にインクミストが影響を及ぼすおそれがさらに低減し、駆動回路51a,51bの動作がさらに安定し、駆動回路51a,51bが出力する駆動信号COMA,COMBの波形精度がさらに向上することができる。
【0135】
ここで、ヘッドユニット20が有する配線基板420と、駆動信号出力ユニット50が有する配線基板501とを電気的に接続するコネクター424,513の具体例について説明する。
【0136】
図17は、コネクター424の構造を示す図である。また、
図18は、
図17に示すa-A断面図である。
図17及び
図18に示すように、第1実施形態におけるコネクター424は、形状がストレートタイプのレセプタクル形状であって、インシュレーター710,720、固定部730、複数の基板接続端子742、複数の基板接続端子752、複数の接触端子744、及び複数の接触端子754を含む。ここで、
図18では、(1)として、コネクター424の複数の基板接続端子742、及び複数の基板接続端子752が配線基板420に接続されている場合に、当該配線基板420の法線方向からコネクター424を見た場合を図示し、(2)として、コネクター424を、配線基板420の法線方向と直交し、コネクター424を長手方向から見た場合を図示し、(3)として、コネクター424を、配線基板420の法線方向と直交し、コネクター424を短手方向から見た場合を図示している。
【0137】
インシュレーター710,720は、複数の基板接続端子742の間、複数の基板接続端子752の間、複数の接触端子744の間、及び複数の接触端子754の間を絶縁する絶縁部材として機能する。また、インシュレーター720には、突起部722とプラグ取付部724とが形成されている。プラグ取付部724は、コネクター424において複数の基板接続端子742、及び複数の基板接続端子752と向かい合う面が開口し、コネクター424の長手方向に沿って形成された略直方体形状の挿入孔であって、後述するコネクター513が挿入される。突起部722は、プラグ取付部724の内部において、コネクター424の長手方向に沿って形成された略直方体形状の突起であり、プラグ取付部724に挿入されるコネクター513を所定の位置に導くためのガイドとして機能する。このようなインシュレーター710,720は、少なくとも一方がガラス繊維を含む液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)で構成される。換言すれば、インシュレーター710,720は、ガラス繊維を含む。
【0138】
液体吐出装置1は、紙や衣類等の生地を含む繊維素材、さらには金属やプラスチック等の多種多様な媒体に液体を吐出することで、当該媒体に所望の画像を形成する。そのため、使用される媒体の種類に応じてインクの種類も、染料系インクや顔料系インクなどの水系インク、紫外線の照射により硬化するUV硬化インク、油系インク等、多岐にわたる。特に近年、インクジェット技術を用いた半導体製造技術の開発も進み、液体吐出装置1が使用される技術分野はより広くなり、その結果、液体吐出装置1で使用され得る液体の種類も増加している。
【0139】
このような、多種多様な液体が使用され得る液体吐出装置1では、使用されるインクの種類に応じて物性が異なるが故に、コネクター424には高い耐腐食性能が求められる。特に、信号を伝搬する端子間の絶縁性能を担保するインシュレーター710,720には、絶縁性能の低下により信号精度が低下するおそれを低減するとの観点において、高い耐腐食性能が求められる。このような高い耐腐食性が求められるインシュレーター710,720において、その材質にガラス繊維を含むことで、インシュレーター710,720がプリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)樹脂やポリプロピレン(PP:polypropylene)樹脂のみで構成されている場合と比較して、高い耐腐食性能を実現することができ、その結果、コネクター424の絶縁性能が低下するおそれが低減し、コネクター424で伝搬される信号精度が低下するおそれも低減される。すなわち、インシュレーター710,720がガラス繊維を含んで構成されることで、多種多様なインクが使用される液体吐出装置1であっても、コネクター424の信頼性が低下するおそれを低減することができる。
【0140】
また、インシュレーター710,720には、接着剤が使用されていないことが好ましい。ここで、接着剤とは、化学反応を利用してインシュレーター710,720のそれぞ
れを構成する部材を接着する構成である。インシュレーター710,720に接着剤が用いられている場合、液体吐出装置1で使用されるインクと当該接着剤とが化学反応を起こし、その結果、当該接着剤における接着効果が損なわれる可能性がある。このような問題に対して、インシュレーター710,720が、接着剤を使用せず例えばカシメや嵌合により各構成が組み上げられていることで、インクと接着剤との間に化学反応が生じ、その結果、コネクター424に異常が生じるおそれが低減する。ここで、インシュレーター710,720に接着剤が使用されていなければよく、当然ながら、インシュレーター710,720が、1つの成型品で構成されていてもよい。
【0141】
ここで、コネクター424に含まれるインシュレーター710,720の少なくとも一方が第1インシュレーター部の一例である。
【0142】
複数の基板接続端子742は、コネクター424の長手方向に位置する一方の辺に沿って並設されている。そして、複数の基板接続端子742は、ハンダ等によって配線基板420と電気的に接続されている。また、複数の基板接続端子752は、コネクター424の長手方向に位置する他方の辺に沿って並設されている。そして、複数の基板接続端子752は、ハンダ等によって配線基板420と電気的に接続されている。複数の接触端子744は、コネクター424の長手方向に沿って形成された略直方体形状の突起部722の複数の基板接続端子742側の面において、コネクター424の長手方向に沿って並設されている。また、複数の接触端子754は、コネクター424の長手方向に沿って形成された略直方体形状の突起部722の複数の基板接続端子752側の面において、コネクター424の長手方向に沿って並設されている。
【0143】
そして、
図18に示すように、複数の基板接続端子742と複数の接触端子744とは、インシュレーター710,720の内部において1対1で電気的に接続し、複数の基板接続端子752と複数の接触端子754とは、インシュレーター710,720の内部において1対1で電気的に接続している。ここで、以下の説明において、1対1で対応する基板接続端子742と接触端子744とを総称して接続端子740と称し、1対1で対応する基板接続端子752と接触端子754とを総称して接続端子750と称する場合がある。すなわち、コネクター424は、長手方向に位置する一方の辺に沿って並設され複数の接続端子740と、長手方向に位置する他方の辺に沿って並設され複数の接続端子750とを含む。
【0144】
このようなコネクター424に含まれる複数の接続端子740、及び複数の接続端子750は、それぞれが銅合金に金メッキが施されることで構成されている。前述の通り、コネクター424は、多種多様なインクが使用され得る液体吐出装置1で用いられるが故に、高い耐腐食性能が求められる。仮に、複数の接続端子740、及び複数の接続端子750に腐食が生じた場合、複数の接続端子740、及び複数の接続端子750のインピーダンスが変化し、その結果、複数の接続端子740、及び複数の接続端子750で伝搬される信号精度が低下する。そして、複数の接続端子740、及び複数の接続端子750で伝搬される信号精度の低下に起因して、液体吐出装置1におけるインクの吐出特性が悪化するおそれがある。このような問題に対して、複数の接続端子740、及び複数の接続端子750のそれぞれが銅合金を含んで構成されることで、複数の接続端子740、及び複数の接続端子750がインクにより腐食するおそれを低減することが可能となり、コネクター424で伝搬される信号の精度が低下するおそれを低減することができる。
【0145】
また、銅合金を含んで構成された複数の接続端子740、及び複数の接続端子750には、抵抗値の小さな金属でメッキ処理を施すことが好ましい。複数の接続端子740、及び複数の接続端子750は、駆動信号出力ユニット50に供給される基駆動データdA,dB、及び駆動信号出力ユニット50が出力する駆動信号COMA,COMBを伝搬する
。このような複数の接続端子740、及び複数の接続端子750に対して、抵抗値の小さな金属によりメッキ処理を施すことで、信号の伝搬経路のインピーダンスを小さくすることができ、その結果、基駆動データdA,dB、及び駆動信号COMA,COMBの信号精度をさらに向上することができる。
【0146】
ここで、銅合金を含んで構成された複数の接続端子740、及び複数の接続端子750に対して施されるメッキ処理に使用される金属としては、金、銀、アルミ等を用いることが好ましく、特に低効率の小さな金を用いてメッキ処理を施すこと好ましい。これにより、高い耐腐食性能と高い導電性能との双方が実現できる。
【0147】
ここで、複数の接続端子740、及び複数の接続端子750の内、駆動信号COMA,COMBを伝搬する端子が第1端子の一例である。
【0148】
固定部730は、コネクター424の長手方向において向かい合って位置する2つの短辺のそれぞれに沿って位置している。固定部730は、配線基板420と嵌合することで、コネクター424を配線基板420に固定する。換言すれば、固定部730は、配線基板420に固定される。これにより、コネクター424に意図しない応力が加わった場合であっても、固定部730により当該応力が吸収される。よって、基駆動データdA,dB、及び駆動信号COMA,COMBが伝搬される接続端子740,750に当該応力に起因する意図しない応力が加わるおそれが低減し、その結果、接続端子740,750が接続される配線基板420にパターン剥離等の不具合が生じるおそれが低減する。
【0149】
このような固定部730は、それぞれが銅合金に錫メッキが施されることで構成されている。前述の通り、コネクター424は、多種多様なインクが使用され得る液体吐出装置1で用いられるが故に、高い耐腐食性能が求められる。そして、仮に固定部730に腐食が生じた場合、上述のようなパターン剥離等の不具合が生じるおそれがあり、その結果、信号精度が低下するおそれがある。このような問題に対して、固定部730が銅合金を含んで構成されることで、固定部730がインクにより腐食するおそれを低減することが可能となる。
【0150】
また、固定部730は、コネクター424を配線基板420に固定することを目的とする構成であり、そのため、グラウンド電位等の一定電位の信号を除く信号を伝搬するために用いられる構成ではない。そのため、固定部730には、変形し難く安価な錫によりメッキ処理を施すことが好ましい。これにより、固定部730により配線基板420への固定の強度を高めることができる。また、固定部730は、ハンダにより配線基板420に固定されてもよい。この場合において、固定部730に錫によるメッキ処理が施されていることで、固定部730と配線基板420との接合強度を高めることができる。
【0151】
ここで、配線基板420に固定される固定部730が第1固定部の一例である。
【0152】
図19は、コネクター513の構造を示す図である。また、
図20は、
図19に示すb-B断面図である。
図19及び
図20に示すように、第1実施形態におけるコネクター513は、形状がストレートタイプのプラグ形状であって、インシュレーター810、固定部830、複数の基板接続端子842、複数の基板接続端子852、複数の接触端子844、及び複数の接触端子854を含む。ここで、
図19では、(1)として、コネクター513の複数の基板接続端子842、及び複数の基板接続端子852が配線基板501に接続されている場合に、当該配線基板501の法線方向からコネクター513を見た場合を図示し、(2)として、コネクター513を、配線基板501の法線方向と直交し、コネクター513を長手方向から見た場合を図示し、(3)として、コネクター513を、配線基板501の法線方向と直交し、コネクター513を短手方向から見た場合を図示し
ている。
【0153】
インシュレーター810は、複数の基板接続端子842の間、複数の基板接続端子852の間、複数の接触端子844の間、及び複数の接触端子854の間を絶縁する絶縁部材として機能する。また、インシュレーター810には、レセプタクル取付部824が形成されている。レセプタクル取付部824は、コネクター513において複数の基板接続端子842、及び複数の基板接続端子852と向かい合う面が開口し、コネクター513の長手方向に沿って形成された略直方体形状の挿入孔であって、前述したコネクター424が有する突起部722が挿入される。このようなインシュレーター810は、ガラス繊維を含む液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)で構成される。換言すれば、インシュレーター810は、ガラス繊維を含む。
【0154】
コネクター424と同様に、多種多様な液体が使用され得る液体吐出装置1において、信号を伝搬する端子間の絶縁性能を担保するインシュレーター810には、絶縁性能の低下により信号精度が低下するおそれを低減するとの観点において、高い耐腐食性能が求められる。このような高い耐腐食性が求められるインシュレーター810において、その材質にガラス繊維を含むことで、インシュレーター810がPET樹脂やPP樹脂のみで構成されている場合と比較して、高い耐腐食性能を実現することができ、その結果、コネクター513の絶縁性能が低下するおそれが低減し、コネクター513で伝搬される信号精度が低下するおそれも低減される。すなわち、インシュレーター810がガラス繊維を含んで構成されることで、多種多様なインクが使用される液体吐出装置1であっても、コネクター513の信頼性が低下するおそれを低減することができる。
【0155】
また、インシュレーター810には、接着剤が使用されていないことが好ましい。ここで、接着剤とは、化学反応を利用してインシュレーター810を構成する部材を接着する構成である。インシュレーター810に接着剤が用いられている場合、液体吐出装置1で使用されるインクと当該接着剤とが化学反応を起こし、その結果、当該接着剤における接着効果が損なわれる可能性がある。このような問題に対して、インシュレーター810が、接着剤を使用せず例えばカシメや嵌合により各構成が組み上げられていることで、インクと接着剤との間に化学反応が生じ、その結果、コネクター513に異常が生じるおそれが低減する。ここで、インシュレーター810に接着剤が使用されていなければよく、当然ながら、インシュレーター810が、1つの成型品で構成されていてもよい。
【0156】
ここで、コネクター513に含まれるインシュレーター810が第2インシュレーター部の一例である。
【0157】
複数の基板接続端子842は、コネクター513の長手方向に位置する一方の辺に沿って並設されている。そして、複数の基板接続端子842は、ハンダ等によって配線基板501と電気的に接続されている。また、複数の基板接続端子852は、コネクター513の長手方向に位置する他方の辺に沿って並設されている。そして、複数の基板接続端子852は、ハンダ等によって配線基板501と電気的に接続されている。そして、複数の接触端子844は、コネクター513の長手方向に沿って形成された略直方体形状のレセプタクル取付部824の複数の基板接続端子842側の面において、コネクター513の長手方向に沿って並設されている。また、複数の接触端子854は、コネクター513の長手方向に沿って形成された略直方体形状のレセプタクル取付部824の複数の基板接続端子852側の面において、コネクター513の長手方向に沿って並設されている。
【0158】
そして、
図20に示すように、複数の基板接続端子842と複数の接触端子844とは、インシュレーター810の内部において1対1で電気的に接続し、複数の基板接続端子852と複数の接触端子854とは、インシュレーター810の内部において1対1で電
気的に接続している。ここで、以下の説明において、1対1で対応する基板接続端子842と接触端子844とを総称して接続端子840と称し、1対1で対応する基板接続端子852と接触端子854とを総称して接続端子850と称する場合がある。すなわち、コネクター513は、長手方向に位置する一方の辺に沿って並設され複数の接続端子840と、長手方向に位置する他方の辺に沿って並設され複数の接続端子850とを含む。
【0159】
このようなコネクター513に含まれる複数の接続端子840、及び複数の接続端子850は、それぞれが銅合金に金メッキが施されることで構成されている。前述の通り、コネクター513は、多種多様なインクが使用され得る液体吐出装置1で用いられるが故に、高い耐腐食性能が求められる。仮に、複数の接続端子840、及び複数の接続端子850に腐食が生じた場合、複数の接続端子840、及び複数の接続端子850のインピーダンスが変化し、その結果、複数の接続端子840、及び複数の接続端子850で伝搬される信号精度が低下する。そして、複数の接続端子840、及び複数の接続端子850で伝搬される信号精度の低下に起因して、液体吐出装置1におけるインクの吐出特性が悪化するおそれがある。このような問題に対して、複数の接続端子840、及び複数の接続端子850のそれぞれが銅合金を含んで構成されることで、複数の接続端子840、及び複数の接続端子850がインクにより腐食するおそれを低減することが可能となり、コネクター513で伝搬される信号の精度が低下するおそれを低減することができる。
【0160】
また、銅合金を含んで構成された複数の接続端子840、及び複数の接続端子850には、抵抗値の小さな金属でメッキ処理を施すことが好ましい。複数の接続端子840、及び複数の接続端子850は、駆動信号出力ユニット50に供給される基駆動データdA,dB、及び駆動信号出力ユニット50が出力する駆動信号COMA,COMBを伝搬する。このような複数の接続端子840、及び複数の接続端子850に対して、抵抗値の小さな金属によりメッキ処理を施すことで、信号の伝搬経路のインピーダンスを小さくすることができ、その結果、基駆動データdA,dB、及び駆動信号COMA,COMBの信号精度をさらに向上することができる。
【0161】
ここで、銅合金を含んで構成された複数の接続端子840、及び複数の接続端子850に対して施されるメッキ処理に使用される金属としては、金、銀、アルミ等を用いることが好ましく、特に低効率の小さな金を用いてメッキ処理を施すことが好ましい。これにより、高い耐腐食性能と高い導電性能との双方が実現できる。
【0162】
ここで、複数の接続端子840、及び複数の接続端子850の内、駆動信号COMA,COMBを伝搬する端子が第2端子の一例である。
【0163】
固定部830は、コネクター513の長手方向において向かい合って位置する2つの短辺のそれぞれに沿って位置している。固定部830は、配線基板501と嵌合することで、コネクター513を配線基板501に固定する。換言すれば、固定部830は、配線基板501に固定される。これにより、コネクター513に意図しない応力が加わった場合であっても、固定部830により当該応力が吸収される。よって、基駆動データdA,dB、及び駆動信号COMA,COMBが伝搬される接続端子840,850に当該応力に起因する意図しない応力が加わるおそれが低減し、その結果、接続端子840,850が接続される配線基板501にパターン剥離等の不具合が生じるおそれが低減する。
【0164】
このような固定部830は、それぞれが銅合金に錫メッキが施されることで構成されている。前述の通り、コネクター513は、多種多様なインクが使用され得る液体吐出装置1で用いられるが故に、高い耐腐食性能が求められる。そして、仮に固定部830に腐食が生じた場合、上述のようなパターン剥離等の不具合が生じるおそれがあり、その結果、信号精度が低下するおそれがある。このような問題に対して、固定部830が銅合金を含
んで構成されることで、固定部830がインクによる腐食するおそれを低減することが可能となる。
【0165】
また、固定部830は、コネクター513を配線基板501に固定することを目的とする構成であり、そのため、グラウンド電位等の一定電位の信号を除く信号を伝搬するために用いられる構成ではない。そのため、固定部830には、変形し難く安価な錫によりメッキ処理を施すことが好ましい。これにより、固定部830により配線基板501への固定の強度を高めることができる。また、固定部830は、ハンダにより配線基板501に固定されてもよい。この場合において、固定部830に錫によるメッキ処理が施されていることで、固定部830と配線基板501との接合強度を高めることができ。
【0166】
ここで、配線基板501に固定される固定部830が第2固定部の一例である。
【0167】
そして、以上のように構成されたコネクター424とコネクター513とは、接続端子740と接続端子840とが直接接触し、接続端子750と接続端子850とが直接接触するように嵌合することで、配線基板420と配線基板501とを電気的に接続する。
【0168】
図21は、コネクター424とコネクター513とが嵌合された状態を示す図である。
図21に示すように、コネクター424の接続端子740,750の一端は、配線基板420と電気的に接続されている。また、コネクター424のプラグ取付部724には、コネクター513のインシュレーター810が挿入される。また、コネクター424の突起部722は、コネクター513のレセプタクル取付部824に挿入される。これにより、コネクター424とコネクター513とが嵌合する。
【0169】
この場合において、コネクター424の突起部722に設けられた接続端子740は、コネクター513のレセプタクル取付部824に設けられた接続端子840と接触し、コネクター424の突起部722に設けられた接続端子750は、コネクター513のレセプタクル取付部824に設けられた接続端子850と接触する。これにより、コネクター424が固定されている配線基板420と、コネクター513が固定されている配線基板501とが電気的に接続し、基駆動データdA,dBが配線基板501を含む駆動信号出力ユニット50に供給されるととともに、駆動信号出力ユニット50が出力する駆動信号COMA,COMBが配線基板420を含むヘッドユニット20に供給される。
【0170】
そして、ヘッドユニット20に共有された駆動信号COMA,COMBは、配線基板420で伝搬された後、吐出ヘッド100-1~100-6のそれぞれに供給され、駆動信号選択回路200において、駆動信号COMA,COMBに含まれる信号波形を選択又は非選択とされることで、駆動信号VOUTが生成され、ヘッドチップ300に含まれる吐出部600が有する圧電素子60に供給される。
【0171】
ここで、
図21に示すように、コネクター424が有する接続端子740とインシュレーター720との間、及び接続端子750とインシュレーター720との間には、干渉空間SPが形成されている。この干渉空間SPによって、インシュレーター710に対して、接続端子740,750、及びインシュレーター720が移動可能な可動領域が形成される。コネクター424が当該可動領域を有することで、コネクター424とコネクター513とが嵌合する際に、コネクター424とコネクター513との間に位置ずれが生じた場合であっても、接続端子740と接続端子840とが直接接触し、接続端子750と接続端子850とが直接接触するようにコネクター424とコネクター513とが嵌合することができる。すなわち、コネクター424は、コネクター424とコネクター513とが嵌合する際に生じる誤差を吸収するフローティングコネクターとして構成されている。
【0172】
ここで、本実施形態では、コネクター424がフローティングコネクターであるとして説明したが、コネクター513がフローティングコネクターであってもよく、また、コネクター424とコネクター513の双方がフローティングコネクターであってもよい。
【0173】
また、本実施形態では、コネクター424の形状が、ストレートタイプのレセプタクル形状であり、コネクター513の形状が、ストレートタイプのプラグ形状であるとして説明を行ったが、コネクター513の形状が、ストレートタイプのレセプタクル形状であり、コネクター424の形状が、ストレートタイプのプラグ形状であってもよい。すなわち、コネクター424とコネクター513との内の一方の形状が、レセプタクル形状であり、コネクター424とコネクター513との内の他方の形状が、プラグ形状である。
【0174】
6.作用効果
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1では、コネクター424が有する端子とコネクター513が有する端子とが直接接触するようにコネクター424とコネクター513とが嵌合する所謂BtoBコネクターによって駆動信号COMA,COMBに基づいてインクを吐出するヘッドユニット20と、ヘッドユニット20に駆動信号COMA,COMBを出力する駆動信号出力ユニット50とが電気的に接続される。そして、BtoBコネクターとしてのコネクター424を配線基板420に固定する固定部730には、錫メッキが施されている。この錫メッキにより、固定部730が腐食から保護されることで、液体吐出装置1で使用されるインクが固定部730に付着することに起因して固定部730に腐食が生じるおそれが低減し、その結果、多種多様なインクが使用される液体吐出装置1であっても、コネクター424の配線基板420への固定の信頼性が向上し、その結果、駆動信号出力ユニット50とヘッドユニット20との電気的接続の信頼性が向上する。したがって、コネクター424の電気的接続の不良に起因してヘッドユニット20に駆動信号COMA,COMBが供給されなくなるおそれが低減する。
【0175】
同様に、BtoBコネクターとしてのコネクター513を配線基板501に固定する固定部830に錫メッキを施すことで、液体吐出装置1で使用されるインクが固定部830に付着することに起因して固定部830に腐食が生じるおそれが低減し、その結果、コネクター513の配線基板501への固定の信頼性が向上する。その結果、駆動信号出力ユニット50とヘッドユニット20との電気的接続の信頼性が向上する。したがって、コネクター513の電気的接続の不良に起因してヘッドユニット20に駆動信号COMA,COMBが供給されなくなるおそれが低減する。
【0176】
また、本実施形態における液体吐出装置1では、ヘッドユニット20が有する配線基板420と、駆動信号出力ユニット50が有する配線基板501とをBtoBコネクターであるコネクター424,513により電気的に接続することで、ヘッドユニット20が有する配線基板420と、駆動信号出力ユニット50が有する配線基板501とをFFC等のケーブルにより電気的に接続する場合と比較して、ヘッドユニット20の近傍に駆動信号出力ユニット50を配置することが可能となる。これにより、FFC等のケーブルを使用してヘッドユニット20と駆動信号出力ユニット50とを電気的に接続し駆動信号COMA,COMBをヘッドユニット20に供給する構成と比較して、液体吐出装置1の内部におけるヘッドユニット20と駆動信号出力ユニット50とが占める領域を小さくすることができる。その結果、液体吐出装置1の小型化が可能となる。
【0177】
さらに、配線基板420、及び配線基板501が共にリジット基板で構成されているが故に、コネクター424とコネクター513と用いて配線基板420と配線基板501とを接続した場合において、配線基板420,501が変形するおそれが低減する。その結果、コネクター424とコネクター513と用いて配線基板420と配線基板501とを
接続する前後において、配線基板420,501における配線インピーダンスが変動するおそれが低減される。すなわち、駆動信号COMA,COMBが伝搬する伝搬経路の配線インピーダンスが変動するおそれが低減し、駆動信号COMA,COMBに配線インピーダンスの変動に起因する波形ひずみが生じるおそれも低減する。
【0178】
また、このような駆動信号COMA,COMBが伝搬する伝搬経路の配線インピーダンスは、配線基板420と配線基板501とをFFC等のケーブルで接続した場合には、当該ケーブルの変形によっても変動する。しかしながら、本実施形態における液体吐出装置1では、FFC等のケーブルを用いずに、コネクター424が有する端子とコネクター513が有する端子とが直接接触するようにコネクター424とコネクター513とが嵌合する所謂BtoBコネクターによってヘッドユニット20と駆動信号出力ユニット50とを電気的に接続するが故に、このようなケーブルで生じる配線インピーダンスの変動が生じるおそれがなく、駆動信号COMA,COMBに配線インピーダンスの変動に起因する波形ひずみが生じるおそれも低減する。
【0179】
以上のように、本実施形態における液体吐出装置1では、コネクター424,513に液体吐出装置1が吐出するインクに起因した不具合が生じるおそれを低減するとともに、液体吐出装置1の小型化を可能としたうえで、ヘッドユニット20からインクを吐出させるための駆動信号COMA,COMBに波形ひずみが生じるおそれを低減することで、液体吐出装置1の高い信頼性を確保することができる。
【0180】
また、本実施形態における液体吐出装置1では、コネクター424が有するインシュレーター710,720、及びコネクター513が有するインシュレーター810がガラス繊維を含み構成され、コネクター424が有する複数の接続端子740,750、及びコネクター513が有する複数の接続端子840,850が、金メッキが施された銅合金を含み構成さている。これにより、幅広い分野で応用的に利用され、吐出する液体の種類も多岐にわたる液体吐出装置1であっても、コネクター424,513が吐出される液体の物性により腐食し、その結果、液体吐出装置1の動作に異常が生じるおそれが低減される。
【0181】
7.変形例
以上に説明した本実施形態における液体吐出装置1において、駆動信号出力ユニット50に含まれる配線基板501がヘッドユニット20に含まれる配線基板420に対して略垂直となるように設けられていてもよい。
【0182】
図22は、変形例のヘッドユニット20、及び駆動信号出力ユニット50を-Z側から見た場合の分解斜視図である。
図22に示すように、配線基板501は、コネクター424、513によって、配線基板420に対して垂直に接続される。具体的には、コネクター424、又はコネクター513の一方の形状がライトアングルタイプであってもよい。
【0183】
変形例における液体吐出装置1の場合、配線基板501が、コネクター424,513によって、配線基板420に対して略垂直に接続されることで、配線基板501と配線基板420との間に熱が滞留するおそれが低減し、その結果、駆動信号出力ユニット50が有する駆動回路51a,51bの放熱効率が向上するとともに、駆動信号出力ユニット50が有する駆動回路51a,51bで生じた熱が、吐出ヘッド100に貯留されるインクの物性に影響するおそれが低減する。
【0184】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0185】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0186】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0187】
液体吐出装置の一態様は、
駆動信号の供給に伴い駆動する圧電素子を含み、前記圧電素子の駆動により液体を吐出するヘッドユニットと、
前記駆動信号を出力する駆動信号出力ユニットと、
を備え、
前記ヘッドユニットは、前記液体を吐出する吐出部と、前記駆動信号を前記吐出部に伝搬する第1リジット基板と、前記駆動信号が入力される第1コネクターと、を有し、
前記駆動信号出力ユニットは、第2リジット基板と、前記駆動信号を出力する第2コネクターと、を有し、
前記第1コネクターは、前記第1リジット基板に固定される第1固定部と、前記駆動信号が伝搬する第1端子とを含み、
前記第2コネクターは、前記第2リジット基板に固定される第2固定部と、前記駆動信号が伝搬する第2端子とを含み、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとの内の一方の形状は、レセプタクル形状であり、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとの内の他方の形状は、プラグ形状であり、
前記第1コネクターと前記第2コネクターとは、前記第1端子と前記第2端子とが直接接触するように嵌合し、
前記第1固定部、及び前記第2固定部の少なくとも一方には、錫メッキが施されている。
【0188】
この液体吐出装置によれば、第1コネクターを第1リジット基板に固定する第1固定部、及び第2コネクターを第2リジット基板に固定する第2固定部の少なくとも一方に錫メッキを施すことで、多種多様な液体が使用される液体吐出装置であっても、第1固定部、及び第2固定部の少なくとも一方が、液体により腐食するおそれが低減し、その結果、第1コネクター及び第2コネクターに異常が生じるおそれが低減し、第1固定部、及び第2固定部により固定される第1コネクター及び第2コネクターで伝搬する信号の信頼性が向上する。
【0189】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1固定部、及び前記第2固定部の少なくとも一方は、錫メッキが施された銅合金を含んでもよい。
【0190】
この液体吐出装置によれば、多種多様な液体が用いられる液体吐出装置であっても、第1固定部、及び第2固定部の少なくとも一方を、錫メッキが施された銅合金を含む構成とすることで、第1固定部、及び第2固定部の耐腐食性がさらに向上し、第1固定部、及び第2固定部により固定される第1コネクター及び第2コネクターで伝搬する信号の信頼性が向上する。
【0191】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1端子、及び前記第2端子の少なくとも一方は、銅合金を含んでもよい。
【0192】
この液体吐出装置によれば、多種多様な液体が用いられる液体吐出装置であっても、第1端子、及び第2端子の少なくとも一方を、銅合金を含む構成とすることで、第1端子、及び第2端子の耐腐食性が向上し、第1端子、及び第2端子で伝搬する信号の信頼性が向上する。
【0193】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1端子、及び前記第2端子の少なくとも一方には、金メッキが施されていてもよい。
【0194】
この液体吐出装置によれば、第1端子、及び第2端子の少なくとも一方に抵抗率の小さな金メッキを施すことで、第1端子、及び第2端子のインピーダンスに起因する信号歪が低減し、第1端子、及び第2端子で伝搬する信号の信頼性が向上する。
【0195】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1コネクター、及び前記第2コネクターの少なくとも一方は、フローティングコネクターであってもよい。
【0196】
この液体吐出装置によれば、第1コネクターと第2コネクターとを嵌合する際に生じる誤差を吸収できることから、第1コネクターと第2コネクターとをさらに容易に接続することができる。
【0197】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1コネクターは、第1インシュレーター部を含み、
前記第2コネクターは、第2インシュレーター部を含み、
前記第1インシュレーター部、及び前記第2インシュレーター部の少なくとも一方は、ガラス繊維を含んでもよい。
【0198】
この液体吐出装置によれば、多種多様な液体が用いられる液体吐出装置であっても、第1インシュレーター部、及び第2インシュレーター部の少なくとも一方をガラス繊維とすることで、第1コネクター及び第2コネクターの耐腐食性が向上し、その結果、第1コネクター及び第2コネクターの信頼性が向上し、第1コネクター及び第2コネクターで伝搬する信号の信頼性が向上する。
【0199】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記第1インシュレーター部、及び前記第2インシュレーター部には、接着剤が使用されていなくてもよい。
【0200】
この液体吐出装置によれば、第1インシュレーター部、及び第2インシュレーター部が接着剤を含まないことで、多種多様な液体が用いられる液体吐出装置であっても、当該液体と接着剤とが反応し、第1インシュレーター部、及び第2インシュレーター部の耐腐食性が低下するおそれが低減する。したがって、第1コネクター及び第2コネクターの信頼性が向上し、第1コネクター及び第2コネクターで伝搬する信号の信頼性が向上する。
【0201】
前記液体吐出装置の一態様において、
前記液体の溶剤には、1-メチル-2-ピロリドンが含まれてもよい。
【0202】
この液体吐出装置によれば、多種多様な液体が用いられる液体吐出装置であって当該多種多様な液体を実現するに際して、非常に高い溶解性を持つ1-メチル-2-ピロリドン
を溶剤として使用した場合であっても、第1固定部、及び第2固定部の耐腐食性が向上しているが故に、第1コネクター及び第2コネクターの信頼性が向上し、第1コネクター及び第2コネクターで伝搬する信号の信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0203】
1…液体吐出装置、5…液体容器、8…ポンプ、10…制御ユニット、11…メイン制御回路、12…電源電圧生成回路、20…ヘッドユニット、21…ヘッド制御回路、22…差動信号復元回路、23…電圧変換回路、35…支持部材、40…搬送機構、50…駆動信号出力ユニット、51a,51b…駆動回路、60…圧電素子、100…吐出ヘッド、110…フィルター部、113…フィルター、120…シール部材、125…貫通孔、130…配線基板、135…切欠部、140…ホルダー、141,142,143…ホルダー部材、145…液体導入口、146…スリット孔、150…固定板、151…平面部、152,153,154…折曲部、155…開口部、200…駆動信号選択回路、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232a,232b…インバーター、234a,234b…トランスファーゲート、300…ヘッドチップ、310…ノズルプレート、321…流路形成基板、322…圧力室基板、323…保護基板、324…ケース、330…コンプライアンス部、331…封止膜、332…支持体、340…振動板、346…フレキシブル配線基板、350…インク流路、351…液体導入口、353…個別流路、355…連通流路、420…配線基板、421,422…面、423…半導体装置、424…コネクター、500…集積回路、501…配線基板、511,512…面、513…コネクター、520…変調回路、521…コンパレーター、522…インバーター、530…ゲートドライブ回路、531,532…ゲートドライバー、550…出力回路、560…平滑回路、570…増幅回路、600…吐出部、710,720…インシュレーター、722…突起部、724…プラグ取付部、730…固定部、740…接続端子、742…基板接続端子、744…接触端子、750…接続端子、752…基板接続端子、754…接触端子、810…インシュレーター、824…レセプタクル取付部、830…固定部、840…接続端子、842…基板接続端子、844…接触端子、850…接続端子、852…基板接続端子、854…接触端子、A…空気、C…圧力室、C1,C5…コンデンサー、D1…ダイオード、DA1…空気排出口、DI1,DI2…液体排出口、G1…流路構造体、G2…供給制御部、G3…液体吐出部、G4…吐出制御部、L1…コイル、M1,M2…トランジスター、N…ノズル、P…媒体、R…リザーバー、R1,R2…抵抗、SA1,SA2…空気導入口、SI1,SI2,SI3…液体導入口、SP…干渉空間、U2…圧力調節ユニット