IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/263 20220101AFI20241008BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20241008BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
G01F23/263
B41J2/175 101
B41J2/01 303
B41J2/175 301
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020183187
(22)【出願日】2020-10-30
(65)【公開番号】P2022073294
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新川 修
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-255335(JP,A)
【文献】特開昭53-099973(JP,A)
【文献】特開2003-057097(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F23/00、23/14-23/2965、23/80
B41J2/01、2/165-2/20、2/21-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する吐出部と、
第1面と、前記第1面に対して第1方向に離間する第2面とを有し、前記第1面と前記第2面との間に液体を貯蔵可能な貯蔵部と、
前記第1面に設けられた送信電極と、
前記第2面に設けられた受信電極と、
前記受信電極から供給される電気信号から所定の周波数成分を除去するフィルター回路と、
前記フィルター回路からの出力に基づいて前記貯蔵部に貯蔵された前記液体の貯蔵量を検出する検出回路と、
を備える液体吐出装置。
【請求項2】
前記フィルター回路は、入力される電気信号から高周波成分を除去するローパスフィルター回路を含む請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記フィルター回路は、入力される電気信号のうち所定の帯域の周波数成分を通過させるバンドパスフィルター回路を含む請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記フィルター回路の後段に接続され、入力される電気信号であるアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換するA/Dコンバーターを更に備える請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記フィルター回路の後段に接続され、入力される電気信号を増幅する増幅回路を更に備える請求項1~4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記受信電極はグランド電位でシールドされていない請求項1~5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記受信電極は、
第1受信電極と、
第2受信電極と、を含み、
前記液体吐出装置は、
出力端子と、
前記出力端子を、前記第1受信電極及び前記第2受信電極の少なくとも1つに電気的に接続するか否かを切り替えるセレクター回路とを更に備え、
前記フィルター回路は、前記セレクター回路の後段に接続される請求項1~6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記液体吐出装置は、シリアル型のインクジェット方式の印刷装置である請求項1~7のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
往復動可能なキャリッジを備え、
前記キャリッジに、前記吐出部及び前記貯蔵部が設けられる
請求項8に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の内容物の残量を検出する残量検知センサーが知られている(例えば、特許文献1)。この残量検知センサーは、容器に対向して配置された検知電極と、この検知電極と対向して配置され基準電位に接続されたガード電極とを備え、この検知電極によって計測される静電容量に基づいて、容器の内容物の残量を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-230227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、容器の内容物の液面が揺れると、静電容量が変化してしまい、液面が正確に検出できないという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出する吐出部と、第1面と、前記第1面に対して第1方向に離間する第2面とを有し、前記第1面と前記第2面との間に液体を貯蔵可能な貯蔵部と、前記第1面に設けられた送信電極と、前記第2面に設けられた受信電極と、前記受信電極から供給される電気信号から所定の周波数成分を除去するフィルター回路と、 前記フィルター回路からの出力に基づいて前記貯蔵部に貯蔵された前記液体の貯蔵量を検出する検出回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。
図2】第1実施形態に係る貯蔵量検出装置の概略図である。
図3】貯蔵部の断面図である。
図4】液面レベルと、コンデンサーからの出力電圧との関係を示すグラフである。
図5】貯蔵量検出装置の回路図である。
図6】貯蔵量検出装置のブロック図である。
図7】セレクター回路の動作を示すフローチャートである。
図8】セレクター回路を含む回路図である。
図9】出力端子と接続されていない受信電極と、定電圧端子との接続関係を示す回路図である。
図10】出力端子と接続されていない受信電極と、定電圧端子との接続関係を示す回路図である。
図11】出力端子と接続されていない受信電極と、定電圧端子との接続関係を示す回路図である。
図12】シールド電極が設けられた貯蔵部を示す断面図である。
図13図12中のA-A線に沿う断面図である。
図14】送信電極及びシールド電極を示す図である。
図15】受信電極及びシールド電極を示す図である。
図16】貯蔵部の断面図であり、送信電極から放出される電気力線を示す図である。
図17】受信電極に受信される電気力線を示す図である。
図18】複数の貯蔵部の断面図であり、複数の送信電極から放出された電気力線を示す図である。
図19】貯蔵量検出装置の処理手順を示すフローチャートである。
図20】ノイズ検出モードにおける手順を示すフローチャートである。
図21】液面測定モードにおける手順を示すフローチャートである。
図22】第1変形例に係る貯蔵量検出装置の処理手順を示すフローチャートである。
図23】第2変形例に係るセレクター回路の動作を示す回路図である。
図24】第2変形例に係るセレクター回路の動作を示す回路図である。
図25】第2変形例に係るセレクター回路の動作を示す回路図である。
図26】第2実施形態に係る液体吐出装置の概略図である。
図27】第2実施形態に係る貯蔵量検出装置の概略図である。
図28】第3変形例に係るセレクター回路の動作を示す回路図である。
図29】第3変形例に係るセレクター回路の動作を示す回路図である。
図30】第3変形例に係る検出回路におけるエラー判定の手順を示すフローチャートである。
図31】出力電圧Voutと検出結果との関係について示す表である。
図32】出力電圧Voutと検出結果との関係について示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
図1は、貯蔵量検出装置20Aを備える液体吐出装置1Aの概略図である。液体吐出装置1Aは、インク2を吐出して記録用紙Pに画像を形成するインクジェットプリンターである。インク2とは「液体」の一例であり、記録用紙Pとは「媒体」の一例である。貯蔵量検出装置20Aは、貯蔵部21Aに貯蔵されるインク2の貯蔵量を検出する。
【0009】
液体吐出装置1Aには、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等のホストコンピューターから、液体吐出装置1Aが形成すべき画像を示す印刷データが供給される。液体吐出装置1Aは、ホストコンピューターから供給される印刷データの示す画像を記録用紙Pに形成する印刷処理を実行する。
【0010】
液体吐出装置1Aはシリアルプリンターである。具体的には、液体吐出装置1Aは、印刷処理を実行する場合、副走査方向に記録用紙Pを搬送しつつ、副走査方向に交差する主走査方向にヘッドユニット3を往復動させながら、吐出部4からインク2を吐出させることで、記録用紙P上に、印刷データに応じたドットを形成する。
【0011】
図1では、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向が図示される。X軸方向は副走査方向に沿う方向である。Y軸方向は主走査方向に沿う方向である。Z軸方向は高さ方向に沿う方向である。Y軸方向は、高さ方向に交差する第1方向の一例である。
【0012】
液体吐出装置1Aは、筐体5と、キャリッジ6と、搬送ユニット7とを備える。搬送ユニット7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ6をY軸方向に往復動させるとともに、記録用紙PをX軸方向に搬送することで、記録用紙Pのヘッドユニット3に対する相対位置を変化させ、記録用紙Pの全体に対するインク2の着弾を可能とする。搬送ユニット7は、キャリッジ6を往復動させるためのキャリッジ搬送機構8と、記録用紙Pを搬送するための媒体搬送機構9と、を具備する。
【0013】
液体吐出装置1Aは、記録用紙Pを貯留する媒体貯留部10を備える。記録用紙Pは、媒体貯留部10から、媒体搬送機構9に供給され、ヘッドユニット3近傍に搬送される。
【0014】
液体吐出装置1Aは、報知部11を備える。報知部11は、液晶表示装置を含む。報知部11は、音声により報知する構成でもよく、振動により報知する構成でもよく、ランプの点滅パターンにより報知する構成でもよい。パソコンの画面やスマートフォンのような通信機能を有する装置が報知部として機能してもよい。報知部11は、後述する検出回路63による検出結果を表示する。報知部11は、その他の情報を表示できる。
【0015】
図2は、貯蔵量検出装置20Aの概略図である。図3は、貯蔵部21Aの断面図である。図2に示されるように、貯蔵量検出装置20Aは、貯蔵部21Aと、送信電極22と、受信電極30と、検出部50と、制御部60とを備える。制御部60は、液体吐出装置1Aの各部の制御部を兼ねる。
【0016】
図3に示されるように、貯蔵部21Aは、筒体25、底板26及び天板27を有する。筒体25は、Y軸方向に離間する側板28及び側板29を含む。筒体25は、X軸方向に離間する図示しない複数の側板を含む。底板26は、筒体25の底部の開口を閉じるように配置される。天板27は、筒体25の上部の開口を閉じる。筒体25の内側の空間は、液体を収容する空間である。
【0017】
貯蔵部21Aの構成材料としては、インク2を透過せず、かつ、誘電体で構成されていれば特に限定されず、例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル等のような各種樹脂材料や各種ガラス材料を用いることができる。また、貯蔵部21Aは、硬質のものであってもよく、軟質のものであってもよく、一部が硬質で残部が軟質のものであってもよい。
【0018】
底板26には、図示しない排出口が形成される。貯蔵部21Aに貯留される液体は、排出口を通じて排出される。排出口は、ヘッドユニット3の吐出部4に連通される。ヘッドユニット3からインク2が吐出されると、貯蔵部21A内のインク2の貯蔵量が減少し、液面Lが低下する。貯蔵量検出装置20Aでは、インク2の液面Lを検出して、インク2の残量を把握できる。報知部11により、インク2の残量を表示して、使用者に報知することで、不本意なタイミングでインク2が無くなることを防止する。
【0019】
貯蔵部21Aの側板28の外面28aには、送信電極22が設けられる。側板28の外面28aは、貯蔵部21Aの第1面の一例である。貯蔵部21Aの側板29の外面29aには、受信電極30が設けられる。側板29の外面29aは、貯蔵部21Aの第2面の一例である。貯蔵部の第1面及び第2面は、X軸方向に離間してもよく、Y軸方向に離間してもよく、その他の方向に離間するものでもよい。
【0020】
受信電極30は、受信電極31~33を含む。受信電極31は第1受信電極の一例である。受信電極32は第2受信電極の一例である。受信電極33は第3受信電極の一例である。
【0021】
送信電極22及び受信電極31~33は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、アルミ、鉄、ニッケル、コバルト、またはこれらを含む合金等の金属材料で構成されている。送信電極22及び受信電極31~33は、例えば、めっき、蒸着、印刷等により側板28,29の外面に直接形成されていてもよく、図示しない粘着剤層を介して側板28,29の外面に貼り付けられていてもよく、図示しない支持部材により側板28,29に接触または非接触で支持されていてもよい。
【0022】
受信電極31~33は、X軸方向から見て、送信電極22と重なる位置に配置される。受信電極31~33は、高さ方向において互いに異なる位置に配置される。受信電極31は、受信電極32,33よりも高い位置に配置され、受信電極32は、受信電極33よりも高い位置に配置される。なお、受信電極31が、受信電極32,33よりも低い位置に配置され、受信電極32が、受信電極33よりも低い位置に配置されてもよい。なお、「高さ方向」は、液体吐出装置1Aの通常の使用状態において上下方向に沿う方向である。
【0023】
受信電極31は、高さ位置H1に配置される。高さ位置H1は、第1高さ位置の一例である。例えば、高さ方向において、受信電極31の中央の位置が、高さ位置H1に配置される。なお、受信電極31の下端が、高さ位置H1に配置されてもよく、受信電極31のその他の部分が、高さ位置H1に配置されてもよい。
【0024】
受信電極32は、高さ位置H2に配置される。高さ位置H2は、第2高さ位置の一例である。例えば、高さ方向において、受信電極32の中央の位置が、高さ位置H2に配置される。なお、受信電極32の下端が、高さ位置H2に配置されてもよく、受信電極32のその他の部分が、高さ位置H2に配置されてもよい。
【0025】
受信電極33は、高さ位置H3に配置される。高さ位置H3は、第3高さ位置の一例である。例えば、高さ方向において、受信電極33の中央の位置が、高さ位置H3に配置される。なお、受信電極33の下端が、高さ位置H3に配置されてもよく、受信電極33のその他の部分が、高さ位置H3に配置されてもよい。
【0026】
送信電極22及び受信電極31は、平行平板を成し、コンデンサー71を構成する。送信電極22及び受信電極32は、平行平板を成し、コンデンサー72を構成する。送信電極22及び受信電極33は、平行平板を成し、コンデンサー73を構成する。コンデンサー71~73は、同じ構造でもよく、異なる構造でもよい。
【0027】
コンデンサー71~73の静電容量C[F]は、下記式(1)によって表現される。
C=εεS/d…(1)
εは真空の誘電率である。εはコンデンサー71~73の電極間に存在する物体による比誘電率である。コンデンサー71~73の静電容量Cは、コンデンサー71~73の電極間に存在する物体の比誘電率εによって異なる。比誘電率εは、コンデンサー71~73の電極間に存在するインク2と空気との割合によって変化する。インク2の比誘電率εinkは、空気の比誘電率εairより大きい。インク2の比誘電率εairは、例えば80であり、空気の比誘電率εairは、ほぼ0である。
【0028】
送信電極22には、交流電源12が電気的に接続される。交流電源12は、送信電極22に送信信号として、例えば3.3[V]のパルス波を出力する。図4は、インク2の液面レベルとコンデンサー71~73の出力電圧との関係を示すグラフである。横軸にインク2の液面レベルが示され、図示右側ほど、液面レベルが高いことを示す。縦軸にコンデンサーの出力電圧[V]が示され、図示上側ほど、電圧が高いことを示す。
【0029】
液面レベル範囲LV1は、高さ方向において、コンデンサー71の下端から上端までの範囲である。液面レベル範囲LV2は、高さ方向において、コンデンサー72の下端から上端までの範囲である。液面レベル範囲LV3は、高さ方向において、コンデンサー73の下端から上端までの範囲である。液面レベル範囲LV1が最も高い位置に設定され、液面レベル範囲LV2、液面レベル範囲LV3の順に低い位置となる。
【0030】
コンデンサー71~73の電極間に空気が存在し、インク2が存在しない場合、コンデンサー71~73からの出力電圧Voutは、V[V]である。コンデンサー71~73の電極間に存在するインク2の割合が増加するにつれて、出力電圧Voutは増加する。コンデンサー71~73の電極間がインク2で満たされ、空気が存在しない場合、出力電圧Voutは、V[V]である。例えば、出力電圧Voutが所定の閾値Vthとなる場合に、インク2の液面Lは、コンデンサー71~73が配置された高さ位置H1~H3を含む液面レベル範囲LV1~LV3に存在するとみなすことができる。閾値Vthは、V以上、V以下の値である。例えば、Vを0[%]、Vを100[%]とした場合、閾値Vthは、50%の値でもよく、30%の値でもよく、70%の値でもよく、その他の値でもよい。
【0031】
コンデンサー71からの出力電圧V31が閾値Vthである場合には、インク2の液面Lは、液面レベル範囲LV1に存在する。コンデンサー72からの出力電圧V32が閾値Vthである場合には、インク2の液面Lは、液面レベル範囲LV2に存在する。コンデンサー73からの出力電圧V33が閾値Vthである場合には、インク2の液面Lは、液面レベル範囲LV3に存在する。
【0032】
次に、検出部50について説明する。図5は、貯蔵量検出装置20Aの回路図である。図6は、貯蔵量検出装置20Aのブロック図である。図5に示されるように、検出部50は、セレクター回路36Aと、バッファー回路51と、BPF52と、S/H53と、LPF54と、増幅回路55と、を備える。検出部50は、入力される電気信号から所定の周波数成分を除去するフィルター回路37を有する。検出部50は、フィルター回路37として、BPF52、LPF54を有する。
【0033】
セレクター回路36Aは、入力端子41~43、及び出力端子40Aと電気的に接続される。入力端子41は、第1入力端子の一例である。入力端子42は、第2入力端子の一例である。入力端子43は、第3入力端子の一例である。入力端子41は、受信電極31と電気的に接続される。入力端子42は、受信電極32と電気的に接続される。入力端子43は、受信電極33と電気的に接続される。
【0034】
セレクター回路36Aは、出力端子40Aを、入力端子41~43の少なくとも1つに電気的に接続するか否かを切り替える。出力端子40Aは、入力端子41~43の少なくとも1つに電気的に接続される。セレクター回路36Aは、入力端子41と出力端子40Aとを電気的に接続することで、受信電極31と出力端子40Aとを電気的に接続する。セレクター回路36Aは、入力端子42と出力端子40Aとを電気的に接続することで、受信電極32と出力端子40Aとを電気的に接続する。セレクター回路36Aは、入力端子43と出力端子40Aとを電気的に接続することで、受信電極33と出力端子40Aとを電気的に接続する。このように、セレクター回路36Aは、受信電極31~33の少なくとも1つに電気的に接続するか否かを切り替える。セレクター回路36Aの後段には、バイアス回路48が電気的に接続される。
【0035】
バッファー回路51は、セレクター回路36Aの後段に電気的に接続される。バッファー回路51は、セレクター回路36Aの出力端子40Aに電気的に接続される。受信電極31~33のインピーダンスが高いので、バッファー回路51はインピーダンス変換を行う。
【0036】
BPF52は、バンドパスフィルター回路を含む。BPF52は、バッファー回路51の後段に電気的に接続される。BPF52は、入力される電気信号のうち所定の帯域の周波数成分を通過させ、その他の帯域の周波数成分を除去する。
【0037】
S/H53は、サンプルホールド回路を含む。S/H53は、BPF52の後段に電気的に接続される。S/H53は、BPF52から出力される電気信号を入力する。S/H53は、所定の周期ごとに電気信号をサンプリングし、A/D変換の動作が終了するまで一定値に保持する。また、S/H53は交流電源12と電気的に接続される。S/H53には、交流電源12から3.3Vのパルス波が入力される。
【0038】
LPF54は、ローパスフィルター回路を含む。LPF54は、S/H53の後段に電気的に接続される。LPF54は、S/H53から出力される電気信号を入力する。LPF54は、入力される電気信号から高周波成分を除去する。高周波成分に含まれるノイズは、LPF54によって除去される。
【0039】
増幅回路55は、LPF54の後段に電気的に接続される。LPF54から出力される電気信号は、増幅回路55に入力される。増幅回路55は、入力される電気信号を増幅する。増幅された電気信号は後段の制御部60に入力される。
【0040】
検出部50は、A/Dコンバーター38を含む。A/Dコンバーター38は、入力される電気信号であるアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換する。A/Dコンバーター38に入力されるアナログ電気信号は、デジタル電気信号に変換されて出力される。A/Dコンバーター38は、増幅回路55の後段に接続される。A/Dコンバーター38から出力されるデジタル電気信号は、制御部60に入力される。
【0041】
次に、制御部60について説明する。図6に示されるように、制御部60は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路61と半導体メモリー等の記憶回路62とを具備する。記憶回路62には、制御プログラム及びインク2の貯蔵量を算出するために用いる各種のパラメータが記憶される。また、記憶回路62は、処理回路61の作業領域として機能する。処理回路61は、記憶回路62から制御プログラムを読み出す。処理回路61は読み出した制御プログラムを実行することによって、液体吐出装置1Aの制御中枢として機能する。
【0042】
制御部60は、検出回路63を備える。検出回路63は、出力端子40Aからの出力に基づいて貯蔵部21Aにおけるインク2の貯蔵量を検出する。検出回路63は、出力端子40Aと受信電極31とが接続された状態における出力端子40Aからの出力に基づく判定結果と、出力端子40Aと受信電極32とが接続された状態における出力端子40Aからの出力に基づく判定結果と、出力端子40Aと受信電極33とが接続された状態における出力端子40Aからの出力に基づく判定結果と、に基づいて、インク2の貯蔵量を検出する。なお、検出回路63によるインク2の貯蔵量の検出結果については、図31を参照しながら後述する。
【0043】
次に、出力端子40Aと受信電極31とが接続された状態における出力端子40Aからの出力に基づく判定結果について説明する。検出回路63は、受信電極31が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第1量以上であるか否かを判定する。検出回路63は、コンデンサー71の出力電圧V31が、閾値Vthを超える場合に、液面Lが高さ位置H1以上であり、インク2の貯蔵量が第1量以上であると判定する。検出回路63は、液面Lが高さ位置H1以上である場合に、第1量以上であると判定する。検出回路63は、液面Lが高さ位置H1未満である場合に、第1量未満であると判定する。インク2の液面Lの高さ位置を検出することにより、インク2の貯蔵量を検出することができる。なお、検出回路63は、閾値Vthの値に応じて、液面Lの高さ位置を任意に設定してもよい。検出回路63は、出力電圧V31が、閾値Vthを超える場合に、インク2の貯蔵量が第1量であると判定してもよい。
【0044】
次に、出力端子40Aと受信電極32とが接続された状態における出力端子40Aからの出力に基づく判定結果について説明する。検出回路63は、受信電極32が接続された状態の出力端子40Aからの出力に基づいて、インク2の貯蔵量が第2量以上であるか否かを判定する。検出回路63は、コンデンサー72の出力電圧V32が、閾値Vthを超える場合に、液面Lが高さ位置H2以上であり、インク2の貯蔵量が第2量以上であると判定する。検出回路63は、液面Lが高さ位置H2以上である場合に、第2量以上であると判定する。検出回路63は、液面Lが高さ位置H2未満である場合に、第2量未満であると判定する。
【0045】
次に、出力端子40Aと受信電極33とが接続された状態における出力端子40Aからの出力に基づく判定結果について説明する。検出回路63は、受信電極33が接続された状態の出力端子40Aからの出力に基づいて、インク2の貯蔵量が第3量以上であるか否かを判定する。検出回路63は、コンデンサー73の出力電圧V33が、閾値Vthを超える場合に、液面Lが高さ位置H3以上であり、インク2の貯蔵量が第3量以上であると判定する。検出回路63は、液面Lが高さ位置H3以上である場合に、第3量以上であると判定する。検出回路63は、液面Lが高さ位置H3未満である場合に、第3量未満であると判定する。
【0046】
次に、貯蔵量の検出結果がエラーとなる場合について説明する。例えば、出力端子40Aからの出力に基づく判定結果にエラーが含まれる場合には、この判定結果に基づく貯蔵量の検出結果は、エラーとなる。検出回路63は、受信電極31が接続された状態の出力端子40Aからの出力に基づいて、インク2の貯蔵量が第1量以上であると判定され、且つ、受信電極32が接続された状態の出力端子40Aからの出力に基づいて、インク2の貯蔵量が第3量未満であると判定される場合に、貯蔵量の検出結果がエラーであると判定する。
【0047】
検出回路63は、受信電極31が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第1量未満であると判定され、且つ、受信電極32が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第2量以上であると判定され、且つ、受信電極33が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第3量未満であると判定される場合に、貯蔵量の検出結果がエラーであると判定する。
【0048】
報知部11は、制御部60と電気的に接続され、検出回路63による検出結果を表示する。報知部11は、インク2の貯蔵量を表示する。報知部11は、貯蔵量の検出結果がエラーであることを示すエラーメッセージを表示する。
【0049】
次に図7を参照して、セレクター回路36Aにおける動作について説明する。図7は、セレクター回路36Aを含む回路図である。セレクター回路36Aは、スイッチSW1~SW3を有する。セレクター回路36Aは、選択信号SG1~SG3を受信し、受信した選択信号SG1~SG3に応じて、液面Lの検出に使用される受信電極31~33を切り替える。なお、セレクター回路36Aは、選択信号SG1~SG3によらず、その他の状態に応じて、受信電極31~33を切り替えてもよい。
【0050】
スイッチSW1は、入力端子41と出力端子40Aとの間に設けられる。スイッチSW2は、入力端子42と出力端子40Aとの間に設けられる。スイッチSW3は、入力端子43と出力端子40Aとの間に設けられる。
【0051】
セレクター回路36Aには、デコーダーDC1が電気的に接続される。制御部60は、デコーダーDC1に対して、インク2の液面Lの測定に使用される受信電極31~33の何れかを指定する指令信号SG―A及びSG―Bを送信する。
【0052】
指令信号SG―A及びSG―Bが受信電極31を指定する場合、デコーダーDC1は、選択信号SG1をHレベルとし、選択信号SG2及びSG3をLレベルとする。指令信号SG―A及びSG―Bが受信電極32を指定する場合、デコーダーDC1は、選択信号SG2をHレベルとし、選択信号SG1及びSG3をLレベルとする。指令信号SG―A及びSG―Bが受信電極33を指定する場合、デコーダーDC1は、選択信号SG3をHレベルとし、選択信号SG1及びSG2をLレベルとする。
【0053】
スイッチSW1は、選択信号SG1がHレベルのときにオンして入力端子41と出力端子40Aを電気的に接続する。スイッチSW1は、選択信号SG1がLレベルのときにオフして入力端子41と出力端子40Aを電気的に切断する。
【0054】
スイッチSW2は、選択信号SG2がHレベルのときにオンして入力端子42と出力端子40Aを電気的に接続する。スイッチSW2は、選択信号SG2がLレベルのときにオフして入力端子42と出力端子40Aを電気的に切断する。
【0055】
スイッチSW3は、選択信号SG3がHレベルのときにオンして入力端子43と出力端子40Aを電気的に接続する。スイッチSW3は、選択信号SG3がLレベルのときにオフして入力端子43と出力端子40Aを電気的に切断する。
【0056】
次に図8を参照して、検出回路63におけるエラー判定の手順について説明する。図8は、検出回路63におけるエラー判定の手順を示すフローチャートである。まず、検出回路63は、ステップS21として、受信電極31が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第1量以上であるか否かを判定する。貯蔵量が第1量以上である場合に、ステップS22に進み、貯蔵量が第1量以上ではない場合に、第1量未満であると判定し、ステップS24に進む。
【0057】
ステップS22では、検出回路63は、受信電極32が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第2量未満であるか否かを判定する。貯蔵量が第2量未満である場合に、ステップS23に進み、貯蔵量の検出がエラーであると判定する。貯蔵量が第2量以上である場合には、検出回路63は、ここでの処理を終了する。
【0058】
ステップS24では、検出回路63は、受信電極32が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第2量以上であるか否かを判定する。貯蔵量が第2量以上である場合に、ステップS25に進み、貯蔵量が第2量以上ではない場合に、検出回路63は、ここでの処理を終了する。
【0059】
ステップS25では、検出回路63は、受信電極33が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第3量未満であるか否かを判定する。貯蔵量が第3量未満である場合に、ステップS26に進み、貯蔵量の検出がエラーであると判定する。貯蔵量が第3量以上である場合には、検出回路63は、ここでの処理を終了する。なお、図8に示される処理手順は、任意に変更可能である。例えば、検出回路63は、貯蔵量が第3量以上であるか否かを判定した後に、貯蔵量が第2量以上であるか否かを判定してもよい。
【0060】
このような第1実施形態に係る貯蔵量検出装置20Aでは、セレクター回路36Aを備えるので、受信電極31~33の少なくとも1つに電気的に接続するか否かを切り替えることができる。貯蔵量検出装置20Aでは、受信電極31~33に対して、それぞれ判定回路を設ける必要がないので、回路基板の小型化を図ることができる。貯蔵量検出装置20Aでは、複数の判定回路を用いた場合に生じる回路特性のばらつきを抑制するための補正を行う必要がなく、回路基板の小型化を図るとともに、貯蔵量の検出精度の向上を図ることができる。
【0061】
貯蔵量検出装置20Aでは、セレクター回路36Aの後段に、フィルター回路37を備えるので、出力端子40Aから出力された電気信号からノイズを除去することができる。貯蔵量検出装置20Aでは、ノイズが除去された電気信号に基づいて、貯蔵量の検出を行うことができるので、貯蔵量の検出精度の向上を図ることができる。
【0062】
シリアル型のインクジェット方式の印刷装置である液体吐出装置1Aは、キャリッジ6が往復動することにより、貯蔵部21Aに貯蔵されたインク2の液面Lが揺れる。液面Lが揺れると、コンデンサー71~73の静電容量が変化してしまう。貯蔵量検出装置20Aによれば、フィルター回路37によって、液面Lの揺れに起因するノイズを除去することができ、貯蔵量の検出精度の向上を図ることができる。
【0063】
次に、接続回路80について説明する。図2示されるように、貯蔵量検出装置20Aは、接続回路80を備える。接続回路80は、出力端子40Aに電気的に接続されない受信電極31~33の少なくとも1つを定電圧端子14に接続する。接続回路80は、受信電極31~33のうち出力端子40Aと電気的に接続されない受信電極31~33を定電圧端子14に接続する。接続回路80は、出力端子40Aに接続された受信電極31~33を定電圧端子14に接続しない。
【0064】
接続回路80は、スイッチ回路81~83を含む。スイッチ回路81は、第1スイッチ回路の一例である。スイッチ回路82は、第2スイッチ回路の一例である。スイッチ回路83は、第3スイッチ回路の一例である。スイッチ回路81は、入力端子41と定電圧端子14とを電気的に接続するか否かを切り替える。スイッチ回路82は、入力端子42と定電圧端子14とを接続するか否かを切り替える。スイッチ回路83は、入力端子43と定電圧端子14とを接続するか否かを切り替える。接続回路80は、インク2の液面Lの検出に使用しない受信電極31~33と、定電圧端子14とを電気的に接続する。接続回路80は、液面Lの検出に使用する受信電極31~33を、定電圧端子14と電気的に切断する。
【0065】
接続回路80には、デコーダーDC2が電気的に接続される。制御部60は、デコーダーDC2に対して、インク2の液面Lの測定に使用される受信電極31~33の何れかを示す指令信号SG―C及びSG―Dを送信する。指令信号SG-C及びSG-Dを受信したデコーダーDC2は、スイッチ回路81に選択信号SG4を供給し、スイッチ回路82に選択信号SG5を供給し、スイッチ回路83に選択信号SG6を供給する。
【0066】
指令信号SG―C及びSG―Dによって受信電極31が示される場合、デコーダーDC2は、選択信号SG4をLレベルとし、選択信号SG5及びSG6をHレベルとする。 指令信号SG―C及びSG―Dによって受信電極32が示される場合、デコーダーDC2は、選択信号SG5をLレベルとし、選択信号SG4及びSG6をHレベルとする。指令信号SG―C及びSG―Dによって受信電極33が示される場合、デコーダーDC2は、選択信号SG6をLレベルとし、選択信号SG4及びSG5をHレベルとする。
【0067】
スイッチ回路81は、選択信号SG4がHレベルのときにオンして受信電極31と定電圧端子14とを電気的に接続する。スイッチ回路81は、選択信号SG4がLレベルのときにオフして受信電極31と定電圧端子14とを電気的に切断する。
【0068】
スイッチ回路82は、選択信号SG5がHレベルのときにオンして受信電極32と定電圧端子14とを電気的に接続する。スイッチ回路82は、選択信号SG5がLレベルのときにオフして受信電極32と定電圧端子14とを電気的に切断する。
【0069】
スイッチ回路83は、選択信号SG6がHレベルのときにオンして受信電極33と定電圧端子14とを電気的に接続する。スイッチ回路83は、選択信号SG6がLレベルのときにオフして受信電極33と定電圧端子14とを電気的に切断する。
【0070】
図9図11は、出力端子40Aに接続されない受信電極31~33と、定電圧端子14との接続関係を示す回路図である。接続回路80は、受信電極31~33のうち、出力端子40Aと電気的に接続されない全ての受信電極31~33を定電圧端子14と電気的に接続するように切り替える。接続回路80は、受信電極31~33のうちの1つのみを定電圧端子14と電気的に切断するか否かを切り替える。
【0071】
図9に示されるように、インク2の液面Lを検出するために、受信電極31が選択される場合には、セレクター回路36Aは、入力端子41と出力端子40Aとを電気的に接続し、入力端子42及び入力端子43を、出力端子40Aと接続しない。スイッチ回路82は、入力端子42と定電圧端子14とを電気的に接続し、スイッチ回路83は、入力端子43と定電圧端子14とを電気的に接続する。受信電極31は、定電圧端子14に電気的に接続されない。出力端子40Aと電気的に接続される受信電極31は、グランド電位でシールドされていない。
【0072】
図10に示されるように、インク2の液面Lを検出するために、受信電極32が選択される場合には、セレクター回路36Aは、入力端子42と出力端子40Aとを電気的に接続し、入力端子41及び入力端子43を、出力端子40Aと接続しない。スイッチ回路81は、入力端子41と定電圧端子14とを電気的に接続し、スイッチ回路83は、入力端子43と定電圧端子14とを電気的に接続する。受信電極32は、定電圧端子14に電気的に接続されない。出力端子40Aと電気的に接続される受信電極32は、グランド電位でシールドされていない。
【0073】
図11に示されるように、インク2の液面Lを検出するために、受信電極33が選択される場合には、セレクター回路36Aは、入力端子43と出力端子40Aとを電気的に接続し、入力端子41及び入力端子42を、出力端子40Aと接続しない。スイッチ回路81は、入力端子41と定電圧端子14とを電気的に接続し、スイッチ回路82は、入力端子42と定電圧端子14とを電気的に接続する。受信電極33は、定電圧端子14に電気的に接続されない。出力端子40Aと電気的に接続される受信電極33は、グランド電位でシールドされていない。
【0074】
このような貯蔵量検出装置20Aによれば、出力端子40Aと電気的に接続される受信電極30は、定電圧端子14に電気的に接続されず、出力端子40Aと電気的に接続されない受信電極30は、定電圧端子14に電気的に接続される。これにより、液面Lの検出に使用しない受信電極30を電気的に浮いた状態にしないようにできる。使用しない受信電極30が浮いた状態であると、この受信電極30が出力端子40Aに電気的に接続されるときに、残留電荷等が、他の受信電極30による液面Lの検出に影響してしまうおそれがある。貯蔵量検出装置20Aでは、使用しない状態の受信電極30が定電圧端子14に電気的に接続されるので、残留電荷等による影響を回避できる。その結果、貯蔵量検出装置20Aでは、液面Lの検出精度の向上が図られる。
【0075】
次に図12図15を参照して、送信電極22及び受信電極30を覆うシールド電極91~98について説明する。図12は、貯蔵部21Aの断面図であり、送信電極22及び受信電極30を覆うシールド電極91~98を示す図である。図13は、図12中のA-A線に沿う断面図である。図14は、送信電極22及びシールド電極92,93を示す図である。図15は、受信電極30及びシールド電極95~98を示す図である。
【0076】
図12に示されるように、送信電極22は、シールド電極91~93によってシールドされる。シールド電極91~93はグランド電位に接続される。受信電極30は、シールド電極94~98によってシールドされる。シールド電極94~98はグランド電位に接続される。シールド電極91~98の構成材料としては、送信電極22及び受信電極31~33の構成材料と同様のものを用いることができる。
【0077】
送信電極22は、Y軸方向に離間する第1面22a及び第2面22bを有する。第1面22aは、貯蔵部21A側の面であり、第2面22bは、貯蔵部21Aとは反対側の面である。送信電極22は、Z軸方向に離間する第3面22c及び第4面22dを有する。第3面22cは、上面あり、第4面22dは、下面である。
【0078】
シールド電極91は、送信電極22の第2面22bを覆うように配置される。シールド電極91と送信電極22とは、Y軸方向に離間する。シールド電極91と送信電極22との間には隙間が形成される。シールド電極91と送信電極22との間に、絶縁体が配置されていてもよい。シールド電極91は、送信電極22より大きな面積を有する。シールド電極91は、送信電極22の第2面22bの全面を覆うように配置される。シールド電極91は、送信電極22の第2面22bの一部を覆うものでもよい。
【0079】
シールド電極92は、送信電極22の第3面22cを覆うように配置される。シールド電極92は、第3面22cの上方に配置される。シールド電極92と送信電極22との間には、絶縁体が配置される。シールド電極92と送信電極22との間に隙間が形成されていてもよい。シールド電極91は、第3面22cの全面を覆うように形成されていてもよく、第3面22cの一部を覆うように形成されていてもよい。
【0080】
シールド電極93は、送信電極22の第4面22dを覆うように配置される。シールド電極93は、第4面22dの下方に配置される。シールド電極93と送信電極22との間には、絶縁体が配置される。シールド電極93と送信電極22との間に隙間が形成されていてもよい。シールド電極93は、第4面22dの全面を覆うように形成されていてもよく、第4面22dの一部を覆うように形成されていてもよい。シールド電極は、X軸方向において、送信電極22の両側に配置されていてもよい。
【0081】
受信電極31は、Y軸方向に離間する第1面31a及び第2面31bを有する。第1面31aは、貯蔵部21A側の面であり、第2面31bは、貯蔵部21Aとは反対側の面である。受信電極31は、Z軸方向に離間する第3面31c及び第4面31dを有する。第1面31aは、貯蔵部21A側の面であり、第2面31bは、貯蔵部21Aとは反対側の面である。第3面31cは、上面あり、第4面31dは、下面である。
【0082】
同様に、受信電極32は、第1面32a、第2面32b、第3面32c、及び第4面32dを有する。第1面32a及び第2面32bは、Y軸方向に離間する。第3面32c及び第4面32dは、Z軸方向に離間する。第1面32aは、貯蔵部21A側の面であり、第2面32bは、貯蔵部21Aとは反対側の面である。第3面32cは、上面あり、第4面32dは、下面である。
【0083】
受信電極33は、第1面33a、第2面33b、第3面33c、及び第4面33dを有する。第1面33a及び第2面33bは、Y軸方向に離間する。第3面33c及び第4面33dは、Z軸方向に離間する。第1面33aは、貯蔵部21A側の面であり、第2面33bは、貯蔵部21Aとは反対側の面である。第3面33cは、上面あり、第4面33dは、下面である。
【0084】
シールド電極94は、受信電極31の第2面31bと、受信電極32の第2面32bと、受信電極33の第2面33bとを覆うように配置される。シールド電極94と受信電極30とは、Y軸方向に離間する。シールド電極91と受信電極30との間には隙間が形成される。シールド電極94と受信電極30との間に、絶縁体が配置されていてもよい。シールド電極94は、受信電極31の第2面31b、受信電極32の第2面32b及び受信電極33の第2面33bの全面を覆うように配置される。シールド電極94は、受信電極31の第2面33b、受信電極32の第2面32b及び受信電極33の第2面33bの一部を覆うものでもよい。
【0085】
シールド電極95は、受信電極31の第3面31cを覆うように配置される。シールド電極95は、第3面31cの上方に配置される。シールド電極95と受信電極31との間には、絶縁体が配置される。シールド電極95と受信電極31との間に隙間が形成されていてもよい。シールド電極95は、第3面31cの全面を覆うように形成されていてもよく、第3面31cの一部を覆うように形成されていてもよい。
【0086】
シールド電極96は、Z軸方向において、受信電極31と受信電極32との間に配置される。シールド電極96は、受信電極31の第4面31dと、受信電極32の第3面32cとを覆うように配置される。シールド電極96と受信電極31との間には絶縁体が配置される。シールド電極96と受信電極32との間には絶縁体が配置される。シールド電極96と受信電極31との間に隙間が形成されていてもよい。シールド電極96と受信電極32との間に隙間が形成されていてもよい。シールド電極96は、受信電極31の第4面31d及び受信電極32の第3面32cの全面を覆うように形成されていてもよく、第4面31d及び第3面32cの一部を覆うように形成されていてもよい。
【0087】
シールド電極97は、Z軸方向において、受信電極32と受信電極33との間に配置される。シールド電極97は、受信電極32の第4面32dと、受信電極33の第3面33cとを覆うように配置される。シールド電極97と受信電極32との間には絶縁体が配置される。シールド電極97と受信電極33との間には絶縁体が配置される。シールド電極97と受信電極32との間に隙間が形成されていてもよい。シールド電極97と受信電極33との間に隙間が形成されていてもよい。シールド電極97は、受信電極32の第4面32d及び受信電極33の第3面33cの全面を覆うように形成されていてもよく、第4面32d及び第3面33cの一部を覆うように形成されていてもよい。
【0088】
シールド電極98は、受信電極33の第4面33dを覆うように配置される。シールド電極98は、第4面33dの下方に配置される。シールド電極98と受信電極33との間には、絶縁体が配置される。シールド電極98と受信電極33との間に隙間が形成されていてもよい。シールド電極98は、第4面33dの全面を覆うように形成されていてもよく、第4面33dの一部を覆うように形成されていてもよい。
【0089】
このような貯蔵量検出装置20Aによれば、送信電極22及び受信電極30がシールド電極91~98によって覆われているので、ノイズによる影響が低減される。
【0090】
次に、図16図18を参照して、ノイズによる影響について説明する。図16は、貯蔵部21Aの断面図であり、送信電極22から放出される電気力線を示す図である。図17は、受信電極30を拡大して示す図であり、受信電極30に受信される電気力線を示す図である。図18は、複数の貯蔵部21A,21Bの断面図であり、複数の送信電極22から放出された電気力線を示す図である。なお、各図において電気力線は、矢印付きの破線で示されている。
【0091】
図16に示されるように、送信電極22の第1面22a、第2面22b、第3面22c、及び第4面22dから電気力線が放出される。第1面22aから放出されたY軸方向に延びる電気力線は、受信電極31、受信電極32、及び受信電極33に受信され得る。第3面22c及び第4面22dから放射された電気力線は、周辺の導体と干渉してしまう場合があり、ノイズが生じる。干渉するおそれがある周辺の導体としては、筐体接地がある。
【0092】
図17では、受信電極33が示され、インク2の液面Lは、受信電極33の第4面33dより下方で、第4面33dに近い位置に存在する。液面Lは液面レベル範囲LV3の範囲外に存在する。送信電極22の第3面22c及び第4面22dから放射された電気力線が、周辺の導体と干渉する場合、インク2を通過した電気力線の一部が、受信電極33の近傍で、受信電極33側に湾曲し、第4面33dで受信されるおそれがある。これにより、液面Lが液面レベル範囲LVより下方にあるにも関わらず、出力電圧Lout値が、VL[V]よりも下がらない場合がある。そのため、液面Lが、液面レベル範囲LV3内に存在すると誤検出するおそれがある。このようなノイズによる影響が生じるおそれがある。受信電極31及び受信電極32においても、受信電極33と同様にノイズよる影響が生じるおそれがある。
【0093】
前述したように、貯蔵量検出装置20Aでは、送信電極22の第2面22b、第3面22c、及び第4面22dがシールド電極91~93に覆われている。シールド電極91~93によって、第2面22b、第3面22c、及び第4面22dから放出される電気力線が抑制されて、周辺の導体と干渉するおそれが低減される。
【0094】
貯蔵量検出装置20Aでは、受信電極33の第2面33b、第3面33c、及び第4面33dがシールド電極94,97,98によって覆われている。これにより、受信電極33の周囲の電気力線が、第2面33b、第3面33c、及び第4面33dから受信されることが抑制される。前述したように、液面Lが第4面33dより下方に存在する場合に、インク2を通過した電気力線が第4面33dに受信されることが抑制される。これにより、出力電圧Voutの値の検出精度の低下が抑制される。その結果、液面Lの高さ位置の検出精度が向上される。受信電極31及び受信電極32においても、同様にシールド電極94~97によって覆われるので、出力電圧Voutの値の検出精度の低下が抑制され、液面Lの高さ位置の検出精度が向上される。これらにより、貯蔵量検出装置20Aでは、インク2の貯蔵量が精度良く検出できる。また、貯蔵量検出装置20Aでは、その他の導体から放出される電気力線が、受信電極31~33によって受信されることが防止される。
【0095】
次に図18を参照して、複数の貯蔵部21A,21Bを備える場合のノイズの影響について説明する。図18に示されるように、Y軸方向に離間して、貯蔵部21A及び貯蔵部21Bが配置されている。貯蔵部21Bの送信電極21は、貯蔵部21Aの受信電極31~33の隣に配置される。
【0096】
図18に示されるように、貯蔵部21Bの送信電極22の第1面22a、第2面22b、第3面22c、及び第4面22dから電気力線が放出される。第1面22aから放出されたY軸方向に延びる電気力線は、受信電極31、受信電極32、及び受信電極33に受信され得る。貯蔵部21Bの第2面22b放出された電気力線一部は、貯蔵部21Aの受信電極30によって受信されるおそれがある。
【0097】
貯蔵量検出装置20Aでは、受信電極33の第2面33b、第3面33c、及び第4面33dがシールド電極94,97,98によって覆われている。これにより、隣接する貯蔵部21Bの送信電極22から放出された電気力線が、貯蔵部21Aの受信電極33から受信されることが抑制される。これにより、出力電圧Voutの値の検出精度の低下が抑制される。その結果、液面Lの高さ位置の検出精度が向上される。受信電極31及び受信電極32においても、同様にシールド電極によって覆われるので、出力電圧Voutの値の検出精度の低下が抑制され、液面Lの高さ位置の検出精度が向上される。これらにより、貯蔵量検出装置20Aでは、インク2の貯蔵量が精度良く検出できる。
【0098】
次に、スイッチ回路13及びノイズ検出モードについて説明する。図2に示されるように、貯蔵量検出装置20Aは、交流電源12と送信電極22との間に接続されたスイッチ回路13を備える。貯蔵量検出装置20Aは、ノイズを検出するノイズ検出モードと、インク2の貯蔵量を検出する液面検出モードとを切り替えることができる。貯蔵量検出装置20Aは、受信電極31~33を切り替えて、各受信電極31~33について、ノイズ検出モード及びノイズ検出モードを実行する。貯蔵量検出装置20Aは、測定モードと、ノイズ検出モードとを交互に実行できる。
【0099】
制御部60は、貯蔵量検出装置20Aの動作モードを指定する指定信号を出力する。スイッチ回路13は、指定信号を受信した場合に、スイッチOFFとして、交流電源12と送信電極22との接続を遮断し、ノイズ検出モードを実行する。スイッチ回路13は、ノイズ検出モードの実行後、スイッチONとして、交流電源12と送信電極22とを接続して導通させ、測定モードを実行する。
【0100】
次に図19図21を参照して、貯蔵量検出装置20Aにおける処理手順について説明する。図19は、貯蔵量検出装置20Aの処理手順を示すフローチャートである。図20は、ノイズ検出モードにおける手順を示すフローチャートである。図21は、液面測定モードにおける手順を示すフローチャートである。
【0101】
図19に示されるように、貯蔵量検出装置20Aは、ステップS31として、ノイズ検出モードを実行する。ノイズ検出モードでは、図20に示されるステップS41からステップS48の処理が実行される。ステップS41において、スイッチ回路13は、スイッチOFFとして、交流電源12と送信電極22との接続を遮断する。
【0102】
ステップS42では、受信電極が選択される。セレクター回路36Aは、入力端子41~43の少なくとも1つを出力端子40Aと接続することで、受信電極31~33を選択する。ステップS43において、交流電源12は、S/H53に送信パルスを出力する。
【0103】
ステップS44では、制御部60は、選択された受信電極31~33からの出力に基づいて、出力電圧Voutを計測する。受信電極31~33から出力された電気信号は、バッファー回路51、BPF52、S/H53、LPF54、増幅回路55を通過して、制御部60に入力される。制御部60の検出回路63は、増幅回路55からの出力に基づいて、出力電圧Voutを算出する。
【0104】
ステップS45では、検出回路63は、出力電圧Voutが閾値VthN未満であるか否かを判定する。閾値VthNは、出力電圧Voutのノイズの有無を判定するための判定閾値である。出力電圧Voutが閾値VthN未満である場合には、ステップS46に進み、制御部60は、ノイズなしと記録し、出力電圧Voutが閾値VthN以上である場合には、ステップS47に進み、ノイズありと記録する。つづくステップS48において、交流電源12は、S/H53への送信パルスの出力を停止する。
【0105】
ステップS48の実行後、ノイズ検出モードを終了し、図19に示されるステップS32を実行する。ステップS32では、ノイズ検出モードにおいてノイズを検出したか否かを判定する。ステップS46でノイズなしと記録した場合には、ステップS33に進み、液面検出モードを実行し、ステップS47でノイズありと記録した場合には、ステップS34に進み、測定エラーであると記録し、液面検出モードを実行しない。測定エラーである場合には、貯蔵量検出装置20Aは、報知部11によって表示することで、使用者に報知できる。
【0106】
ステップS33のインク液面検出モードでは、図21に示されるステップS51からステップS58までの処理が実行される。ステップS51において、スイッチ回路13は、スイッチONとして、交流電源12と送信電極22とを接続して導通させる。
【0107】
ステップS52では、受信電極31~33が選択される。セレクター回路36Aは、入力端子41~43の少なくとも1つを出力端子40Aと接続することで、受信電極31~33を選択する。ステップS53において、交流電源12は、S/H53に送信パルスを出力する。
【0108】
ステップS54では、制御部60は、選択された受信電極31~33からの出力に基づいて、出力電圧Voutを計測する。受信電極31~33から出力された電気信号は、バッファー回路51、BPF52、S/H53、LPF54、増幅回路55を通過して、制御部60に入力される。制御部60の検出回路63は、出力電圧Voutを計測する。
【0109】
ステップS55では、検出回路63は、出力電圧Voutが閾値Vth未満であるか否かを判定する。閾値Vthは、インク2の液面Lが対応する高さ位置に存在するいか否かを判定するための判定閾値である。出力電圧Voutが閾値Vth未満である場合には、ステップS56に進み、制御部60は、液面Lが選択された受信電極の高さ位置に満たないと記録する。出力電圧Voutが閾値Vth以上である場合には、ステップS57に進み、制御部60は、液面Lが選択された受信電極の高さ位置以上であると記録する。つづくステップS58において、交流電源12は、S/H53への送信パルスの出力を停止する。制御部60は、ステップS58の実行後、液面検出モードを終了する。
【0110】
このような貯蔵量検出装置20Aでは、スイッチ回路13を備え、交流電源12と送信電極22とを遮断して、ノイズ検出モードを実行できる。貯蔵量検出装置20Aでは、ノイズ検出モードで測定エラーとなった場合に、液面検出モードを実行しないので、ノイズの影響による誤検出が防止される。貯蔵量検出装置20Aでは、ノイズの影響による誤検出が防止されるので、検出精度の低下が回避される。
【0111】
貯蔵量検出装置20Aは、セレクター回路36Aを備えるので、ノイズ検出モードを実行するために、受信電極31~33に対してそれぞれ検出回路を設ける必要がないので、回路基板の小型化を図ることができる。
【0112】
次に図22を参照して、第1変形例に係る貯蔵量検出装置20Aの処理手順について説明する。図22は、第1変形例に係る貯蔵量検出装置20Aの処理手順を示すフローチャートである。第1変形例に係る貯蔵量検出装置20Aが、第1実施形態に係る貯蔵量検出装置20Aと異なる点は、図19に示される処理手順に代えて、図22に示される処理手順を実行する点である。
【0113】
まず、ステップS61として、貯蔵量検出装置20Aの制御部60は、NG数カウントをリセットする。NGカウント数は、ノイズ検出モードでノイズありと記録された回数である。NGカウント数は、後述するステップS62でカウントされる。ステップS61の実行後、ステップS32に進み、貯蔵量検出装置20Aは、図20に示されるノイズ検出モードを実行する。
【0114】
ノイズ検出モードを実行後、ステップS33に進み、ノイズをしない場合には、ステップS34の液面検出モードを実行する。ノイズ検出モードでノイズを検出した場合には、ステップS62に進み、NG数をカウントする。制御部60は、NG数に「1」加算する。
【0115】
続く、ステップS63では、制御部60は、NG数がリミットに達したか否かを判定する。NG数のリミットは任意に設定できる。NG数がリミットに達した場合には、ステップS34に進み、測定エラーと記録し、液面検出モードを実行しない。
【0116】
NG数がリミットに達しない場合には、ステップS64に進み待機時間をセットする。次に、ステップS65では、待機時間が経過したか否かを判定する。待機時間が経過しない場合には、ステップS65の処理を繰り返し、待機時間が経過した場合には、ステップS31に戻り、ノイズ検出モードを実行する。
【0117】
このような第1変形例に係る貯蔵量検出装置20Aでは、ノイズを検出した場合に、待機時間の経過を待って、ノイズ検出モードを再度実行できるので、ノイズを検出した場合であっても、その後、ノイズが検出されなくなるのを待って、液面検出モードを実行できる。これにより、装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0118】
次に第2変形例に係る貯蔵量検出装置20Aについて説明する。図23図25は、第2変形例に係る貯蔵量検出装置20Aのセレクター回路63Aの概略図である。第2変形例に係る貯蔵量検出装置が、第1実施形態に係る貯蔵量検出装置20Aと異なる点は、セレクター回路36Aの動作が違う点である。
【0119】
第2変形例に係る貯蔵量検出装置20Aのセレクター回路36Aは、出力端子40Aを、入力端子41~43の少なくとも2つに電気的に接続するか否かを切り替える。図23に示されるように、セレクター回路36Aは、入力端子41と出力端子40Aとが電気的に接続され、且つ、入力端子42と出力端子40Aとが電気的に接続された状態に切り替えることができる。図24に示されるように、セレクター回路36Aは、入力端子42と出力端子40Aとが電気的に接続され、且つ、入力端子43と出力端子40Aとが電気的に接続された状態に切り替えることができる。図25に示されるように、セレクター回路36Aは、入力端子41と出力端子40Aとが電気的に接続され、且つ、入力端子42と出力端子40Aとが電気的に接続された状態に切り替えることができる。
【0120】
第2変形例の貯蔵量検出装置20Aでは、入力端子41及び入力端子42と、出力端子40Aとが接続された状態において、受信電極31及び受信電極32を受信電極とするコンデンサー74が構成される。コンデンサー74による出力電圧が閾値Vthを超える場合に、検出回路63は、液面Lが液面レベル範囲LV1又は液面レベル範囲LV2に存在すると判定する。
【0121】
この貯蔵量検出装置20Aでは、入力端子42及び入力端子43と、出力端子40Aとが接続された状態において、受信電極32及び受信電極33を受信電極とするコンデンサー75が構成される。コンデンサー75による出力電圧が閾値Vthを超える場合に、検出回路63は、液面Lが液面レベル範囲LV2又は液面レベル範囲LV3に存在すると判定する。
【0122】
この貯蔵量検出装置20Aでは、入力端子41及び入力端子43と、出力端子40Aとが接続された状態において、受信電極31及び受信電極33を受信電極とするコンデンサー76が構成される。コンデンサー76による出力電圧が閾値Vthを超える場合に、検出回路63は、液面Lが液面レベル範囲LV1又は液面レベル範囲LV3に存在すると判定する。
【0123】
このような第2変形例に係る貯蔵量検出装置20Aにおいても第1実施形態の貯蔵量検出装置20Aと同様の作用効果を奏する。
【0124】
次に、図26及び図27を参照して、第2実施形態に係る液体吐出装置1Bについて説明する。なお、第2実施形態の説明において、前述の実施形態と同様の説明は省略する。
【0125】
図26は、第2実施形態に係る液体吐出装置1Bの概略図である。図27は、第2実施形態に係る貯蔵量検出装置20Bの概略図である。液体吐出装置1Bは、貯蔵量検出装置20Bを備える。液体吐出装置1Bはシリアル型のインクジェット方式のプリンターである。液体吐出装置1Bは、往復動可能なキャリッジ6を備える。キャリッジ6は、4色のインクと1対1に対応する4個のインクカートリッジ15A~15Dを格納する。キャリッジ6には、4個のインクカートリッジ15A~15Dに対して、それぞれ吐出部4が設けられる。
【0126】
インクカートリッジ15Aは、イエローのインク2を貯蔵する貯蔵部21Aを有する。インクカートリッジ15Bは、マゼンダのインク2を貯蔵する貯蔵部21Bを有する。インクカートリッジ15Cは、シアンのインク2を貯蔵する貯蔵部21Cを有する。インクカートリッジ15Dは、ブラックのインク2を貯蔵する貯蔵部21Dを有する。
【0127】
図27に示される貯蔵量検出装置20Bが第1実施形態に係る20Aと違う点は、複数の貯蔵部21A~21Dを備える点、及び貯蔵部選択回路45を備える点である。貯蔵部21A~21Dは、第1実施形態の貯蔵部21Aと同じ構成である。4個の貯蔵部21A~21Dに対してそれぞれ、セレクター回路36A~36Dが設けられる。セレクター回路36A~36Dは、それぞれ出力端子40A~40Dを有する。セレクター回路36B~36Dは、前述の実施形態のセレクター回路36Aと同じ構成であり、出力端子40B~40Dは、前述の実施形態の出力端子40Aと同じ構成である。
【0128】
貯蔵部選択回路45は、複数のスイッチ回路46A~46Dを含む。貯蔵部選択回路45の出力端子47は、後段のバッファー回路51と電気的に接続される。
【0129】
貯蔵部選択回路45は、出力端子47を、複数のセレクター回路36A~36Dのうちの1つに接続するか否かを切り替える。スイッチ回路46Aは、セレクター回路36Aと出力端子47とを電気的に接続するか否かを切り替える。スイッチ回路46Aは、セレクター回路36Aと出力端子47とを電気的に接続するか否かを切り替える。スイッチ回路46Bは、セレクター回路36Bと出力端子47とを電気的に接続するか否かを切り替える。スイッチ回路46Cは、セレクター回路36Cと出力端子47とを電気的に接続するか否かを切り替える。スイッチ回路46Dは、セレクター回路36Dと出力端子47とを電気的に接続するか否かを切り替える。
【0130】
制御部60は、スイッチ回路46A~46DのON/OFFを示す指令信号を出力する。貯蔵部選択回路45には、指令信号が入力される。貯蔵部選択回路45は、貯蔵部選択信号に基づいて、スイッチ回路46A~46Dを切り替える。貯蔵部21Aに貯蔵されたインク2の液面Lを検出する場合、貯蔵部選択回路45は、スイッチ回路46AをスイッチONして、セレクター回路36Aと出力端子47とを電気的に接続する。この場合、貯蔵部選択回路45は、残りのセレクター回路36B~38DをスイッチOFFして、セレクター回路36B~36Dと、出力端子47とを電気的に切断する。これにより、セレクター回路36A~36Dのうち、セレクター回路36Aのみが出力端子47と電気的に接続される。
【0131】
同様に、貯蔵部21Bに貯蔵されたインク2の液面Lを検出する場合、貯蔵部選択回路45は、セレクター回路36Bと出力端子47とを電気的に接続し、セレクター回路36A,36C,36Dと出力端子47とを電気的に切断する。
【0132】
貯蔵部21Cに貯蔵されたインク2の液面Lを検出する場合、貯蔵部選択回路45は、セレクター回路36Cと出力端子47とを電気的に接続し、セレクター回路36A,36B,36Dと出力端子47とを電気的に切断する。
【0133】
貯蔵部21Dに貯蔵されたインク2の液面Lを検出する場合、貯蔵部選択回路45は、セレクター回路36Dと出力端子47とを電気的に接続し、セレクター回路36A,36B,36Cと出力端子47とを電気的に切断する。
【0134】
このような第2実施形態に係る貯蔵量検出装置20Bによれば、貯蔵部選択回路45を備え、出力端子47を、複数のセレクター回路36A~36Dのうちの1つに接続するか否かを切り替えることができる。貯蔵量検出装置20Bでは、複数の貯蔵部21A~21Dに対して、それぞれ検出回路を設ける必要がないので、回路基板の小型化を図ることができる。貯蔵量検出装置20Bでは、複数の検出回路を用いた場合に生じる回路特性のばらつきを抑制するための補正を行う必要がなく、回路基板の小型化を図るとともに、貯蔵量の検出精度の向上を図ることができる。
【0135】
次に図28及び図29を参照して、第3変形例に係る貯蔵量検出装置20Cについて説明する。第3変形例に係る貯蔵量検出装置が、第1実施形態の貯蔵量検出装置20Aと異なる点は、受信電極30が、4つの受信電極31~34を有する点である。セレクター回路36Aは、受信電極34と電気的に接続される入力端子44を備える。受信電極34は、受信電極31~33よりも低い高さ位置に配置される。
【0136】
図28に示されるように、貯蔵量検出装置20Cのセレクター回路36Aは、入力端子41~44のうちの少なくとも1つ入力端子41~44と、出力端子40Aとを電気的に接続するか否かを切り替える。液面Lを検出するために、受信電極34が選択される場合には、セレクター回路36Aは、出力端子40Aと受信電極34とを電気的に接続し、出力端子40Aと受信電極31~33とを電気的に切断する。
【0137】
検出回路63は、受信電極34が接続された状態の出力端子40Aからの出力に基づいて、インク2の貯蔵量が第4量以上であるか否かを判定する。第4量は、第3量よりも少ない。
【0138】
貯蔵量検出装置20Cのセレクター回路36Aは、入力端子41~44のうちの少なくとも2つの入力端子41~44と、出力端子40Aとを電気的に接続するか否かを切り替えることができる。セレクター回路36Aは,入力端子43,44と、出力端子40Aと電気的に接続するとともに、入力端子41,43と、出力端子40Aとを電気的に切断することができる。
【0139】
図29に示されるように、貯蔵量検出装置20Cのセレクター回路36Aは、入力端子41~44のうちの少なくとも2つ入力端子41~44と、出力端子40Aとを電気的に接続するか否かを切り替える。セレクター回路36Aは,入力端子41~43と、出力端子40Aと電気的に接続するとともに、入力端子44と、出力端子40Aとを電気的に切断する。セレクター回路36Aは、入力端子41~44のうち1つのみを出力端子40Aと電気的に切断する。
【0140】
セレクター回路36Aは、複数の入力端子41~44のうち、2つの入力端子41~44を出力端子40Aと電気的に接続し、残りの2つの入力端子41~44を出力端子40Aと電気的に切断してもよい。例えば、セレクター回路36Aは、入力端子43,44を出力端子40Aと電気的に接続し、残りの入力端子41,42を出力端子40Aと電気的に切断することができる。
【0141】
次に、図30を参照して、第3変形例の貯蔵量検出装置20Cにおけるエラー判定について説明する。図30は、貯蔵量検出装置20Cの検出回路63におけるエラー判定の手順を示すフローチャートである。貯蔵量検出装置20Cでは、低い位置に配置された受信電極を用いて、液面Lの検出を行い、順次、より高い位置に配置された受信電極を用いて、液面Lの検出を行う。貯蔵量検出装置20Cでは、受信電極34、受信電極33、受信電極32、受信電極31の順に、液面Lの検出を行う。
【0142】
図30に示されるように、まず、検出回路63は、ステップS71として、受信電極34が電気的に接続された状態の出力端子40Aからの出力に基づいて、インク2の貯蔵量が第4量以上であるか否かを判定する。貯蔵量が第4量以上である場合に、ステップS42に進み、貯蔵量が第4量以上ではない場合に、第4量未満であると判定し、ステップS74に進む。
【0143】
ステップS72では、検出回路63は、受信電極31~33が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第3量未満であるか否かを判定する。受信電極31~33が出力端子40Aに電気的に接続された状態において、受信電極34は出力端子40Aに対して電気的に切断される。受信電極31~33によって液面Lが検出される場合には、検出回路63は、貯蔵量は第3量以上であると判定する。受信電極31~33によって液面Lが検出されない場合には、検出回路63は、貯蔵量は第3量未満であると判定する。
【0144】
貯蔵量が第3量未満である場合に、検出回路63は、ステップS73に進み、貯蔵量の検出がエラーであると判定する。ステップS73に進む場合は、貯蔵量が第4量以上であると判定され、且つ、貯蔵量が第3量未満であると判定される場合であるので、貯蔵量の検出は、エラーと判定される。貯蔵量が第3量以上である場合には、検出回路63は、ここでの処理を終了する。
【0145】
ステップS74では、検出回路63は、受信電極33が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第3量以上であるか否かを判定する。受信電極33が出力端子40Aと電気的に接続された状態において、受信電極31,32,34は出力端子40Aに対して電気的に切断される。検出回路63は、貯蔵量が第3量以上である場合に、ステップS75に進み、貯蔵量が第3量以上ではない場合に、ステップS77に進む。
【0146】
ステップS75では、検出回路63は、受信電極31,32が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第2量未満であるか否かを判定する。受信電極31,32が出力端子40Aに電気的に接続された状態において、受信電極33,34は出力端子40Aに対して電気的に切断される。受信電極31、32によって液面Lが検出される場合には、検出回路63は、貯蔵量は第2量以上であると判定する。受信電極31,32によって液面Lが検出されない場合には、検出回路63は、貯蔵量は第2量未満であると判定する。
【0147】
貯蔵量が第2量未満である場合に、検出回路63は、ステップS76に進み、貯蔵量の検出がエラーであると判定する。ステップS76に進む場合は、貯蔵量が第3量以上であると判定され、且つ、貯蔵量が第2量未満であると判定される場合であるので、貯蔵量の検出は、エラーと判定される。貯蔵量が第2量以上である場合には、検出回路63は、ここでの処理を終了する。
【0148】
ステップS77では、検出回路63は、受信電極32が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第2量以上であるか否かを判定する。受信電極32が出力端子40Aと電気的に接続された状態において、受信電極32,32,34は出力端子40Aに対して電気的に切断される。貯蔵量が第2量以上である場合に、ステップS78に進み、貯蔵量が第2量以上ではない場合に、検出回路63は、ここでの処理を終了する。
【0149】
ステップS75では、検出回路63は、受信電極31が接続された状態の出力端子40Aから出力された電気信号に基づいて、インク2の貯蔵量が第1量未満であるか否かを判定する。受信電極31が出力端子40Aに電気的に接続された状態において、受信電極32~34は出力端子40Aに対して電気的に切断される。受信電極31によって液面Lが検出される場合には、検出回路63は、貯蔵量は第1量以上であると判定する。受信電極31によって液面Lが検出されない場合には、検出回路63は、貯蔵量は第1量未満であると判定する。
【0150】
貯蔵量が第1量未満である場合に、検出回路63は、ステップS79に進み、貯蔵量の検出結果がエラーであると判定する。ステップS78に進む場合は、貯蔵量が第2量以上であると判定され、且つ、貯蔵量が第1量未満であると判定される場合であるので、貯蔵量の検出結果は、エラーと判定される。貯蔵量が第1量以上である場合には、検出回路63は、ここでの処理を終了する。
【0151】
このような第3変形例に係る貯蔵量検出装置20Cによれば、セレクター回路36Aによって複数の受信電極31~34を出力端子40Aに対して電気的に接続して、液面Lを検出することができる。複数の受信電極31~34を接続して液面Lを検出して、貯蔵量の検出結果がエラーであるか否かを判定するので、各受信電極31~34ごとに、液面Lの測定を実施する必要がない。そのため、エラー判定を迅速に行うことができ、検出回路63における処理負荷の増大が抑制される。
【0152】
次に図31を参照して、受信電極31~33の出力電圧Voutと、貯蔵量の検出結果との関係について説明する。図31は、出力電圧Voutと検出結果との関係について示す表である。図31では、3つの受信電極31~33を備える貯蔵量検出装置20Aにおける貯蔵量の検出結果が、正常であるか、エラーであるかを示す。図31に示されるように、「H」は、出力電圧Voutが閾値Vth以上である場合を示し、「L」は、出力電圧Voutが閾値Vth未満である場合を示し、「H/L」は、「H」または「L」であることを示す。
【0153】
ケース1では、受信電極31~33の出力電圧Voutが全て「H」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果が正常であると判定する。ケース1では、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第1量以上であると決定する。ケース2では、受信電極31の出力電圧Voutが「H」であり、受信電極32が「L」であり、受信電極33の出力電圧Voutによらず、検出回路63は、貯蔵量の検出結果はエラーであると判定する。ケース3では、受信電極31の出力電圧Voutが「H」であり、受信電極32が「H」であり、受信電極33の出力電圧Voutが「L」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果はエラーであると判定する。
【0154】
ケース4では、受信電極31の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極32の出力電圧Voutが「H/L」であり、受信電極33の出力電圧Voutが「H」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果が正常であると判定する。ケース4において、受信電極32の出力電圧Voutが「H」である場合、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第2量以上であると決定する。ケース4において、受信電極32の出力電圧Voutが「L」である場合、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第3量以上であると決定する。ケース5では、受信電極31の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極32の出力電圧Voutが「H」であり、受信電極33が「L」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果がエラーであると判定する。ケース6では、受信電極31の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極32の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極33の出力電圧Voutが「L」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果が正常であると判定する。ケース6では、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第3量未満であると決定する。
【0155】
次に図32を参照して、受信電極31~34の出力電圧Voutと、貯蔵量の検出結果との関係について説明する。図31は、出力電圧Voutと検出結果との関係について示す表である。図32では、図28及び図29に示される4つの受信電極31~34を備える貯蔵量検出装置20Cにおける貯蔵量の検出結果が、正常であるか、エラーであるかを示す。
【0156】
図32では、4つの受信電極31~34のうち2つ以上を出力端子40Aに電気的に接続して、エラー判定を行う場合について説明する。図32では、2つ以上の受信電極31~34を出力端子40Aに接続する場合の一部について説明する。図32に示す場合は、図30に示されるように、低い位置に配置された受信電極34を用いた測定を最初に行い、順に、より高い位置に配置された受信電極33,受信電極32,受信電極31を用いた測定を行う。
【0157】
ケース1~3では、貯蔵量検出装置20Cは、受信電極34を用いた測定を先に行い、そのあとに、受信電極31~33を用いた測定を行う。このケース1~3では、受信電極31~33が出力端子40Aに同時に接続している状態の出力に基づいて、検出回路63はエラー判定を行う。ケース7では、受信電極34の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極31~33の出力電圧Voutが「L」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果が正常であると判定する。ケース7では、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第4量未満であると決定する。ケース2では、受信電極34の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極31~33の出力電圧Voutが「H」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果はエラーであると判定する。ケース3では、受信電極34の出力電圧Voutが「H」であり、受信電極31~33の出力電圧Voutが「L」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果が正常であると判定する。ケース3では、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第4量以上であると決定する。
【0158】
ケース4~6では、貯蔵量検出装置20Cは、受信電極33,34を用いた測定を先に行い、そのあとに、受信電極31,32を用いた測定を行う。受信電極33,34を用いた測定では、受信電極33,34が出力端子40Aに同時に接続している状態の出力に基づいて、検出回路63はエラー判定を行う。受信電極31,32を用いた測定では、受信電極31,32が出力端子40Aに同時に接続している状態の出力に基づいて、検出回路63はエラー判定を行う。
【0159】
ケース4では、受信電極33,34の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極31,32の出力電圧Voutが「L」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果が正常であると判定する。ケース4では、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第4量未満であると決定する。ケース5では、受信電極33,34の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極31,32の出力電圧Voutが「H」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果がエラーであると判定する。ケース6では、受信電極33,34の出力電圧Voutが「H」であり、受信電極31,32の出力電圧Voutが「L」であり、検出回路63は、貯蔵量の検出結果が正常であると判定する。ケース6では、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第3量以上、又は第4量以上であると決定する。
【0160】
ケース7~9では、貯蔵量検出装置20Cは、受信電極32~34を用いた測定を先に行い、そのあとに、受信電極31を用いた測定を行う。受信電極32~34を用いた測定では、受信電極32~34が出力端子40Aに同時に接続している状態の出力に基づいて、検出回路63はエラー判定を行う。
【0161】
ケース7では、受信電極32~34の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極31の出力電圧Voutが「H」であり、検出回路63は貯蔵量の検出結果がエラーであると判定する。ケース8では、受信電極32~34の出力電圧Voutが「L」であり、受信電極31の出力電圧Voutが「L」であり、検出回路63は貯蔵量の検出結果が正常であると判定する。ケース8では、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第4量未満であると決定する。ケース9では、受信電極32~34の出力電圧Voutが「H」であり、受信電極31の出力電圧Voutが「H/L」であり、検出回路63は貯蔵量の検出結果が正常あると判定する。ケース9において、受信電極31の出力電圧Voutが「H」である場合には、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第1量以上であると決定する。ケース9において、受信電極31の出力電圧Voutが「L」である場合には、検出回路63は、貯蔵量の検出結果として、貯蔵量は第2量以下であると決定する。
【0162】
このような貯蔵量検出装置20Cによれば、複数の受信電極31~34を出力端子40Aに接続した状態の出力電圧Voutを用いて、貯蔵量の検出結果がエラーであるか否かを判定することができる。これにより、受信電極31~34について個別に受信電極31~34を切り替えて測定を行う必要がない。貯蔵量検出装置20Cによれば、エラー判定を行う際の制御部60の処理負荷の増大が抑制される。
【0163】
なお、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更、付加が可能である。
【0164】
前述の実施形態では、貯蔵量検出装置20Aは、3つの受信電極31~33を備える構成としているが、貯蔵量検出装置20Aは、3つの受信電極30を備える構成に限定されない。貯蔵量検出装置20Aは、1つの受信電極30を備える構成でもよく、2つの受信電極30を備える構成でもよく、4つ以上の受信電極30を備える構成でもよい。
【0165】
前述の実施形態では、受信電極31~33は、互いに異なる高さ位置に配置される構成としているが、同じ高さ位置に複数の受信電極31~33が配置される構成でもよい。
【0166】
前述の実施形態では、貯蔵部21A~21Dに貯蔵される物体として、インク2を例示しているが、貯蔵部21A~21Dに貯蔵される物体は、その他の液体でもよく、固体でもよく、気体でもよい。
【0167】
前述の実施形態では、吐出部4及び貯蔵部21A~21Dがキャリッジ6に搭載された液体吐出装置1A,1Bについて説明しているが、液体吐出装置1A,1Bは、これに限定されず、吐出部4及び貯蔵部21Aがキャリッジ6に搭載されていないものでもよい。また、液体吐出装置1A,1Bは、シリアル型のインクジェット式プリンターに限定されず、その他の印刷装置でもよい。
【0168】
前述の実施形態では、貯蔵部21A~21Dは、液体吐出装置1A,1Bのインクカートリッジとして例示されているが、貯蔵部21A~21Dは、その他の印刷装置で使用されるインク2を貯留するインクタンクでもよい。貯蔵部21A~21Dは、印刷装置にインク2を供給するインクサーバーに搭載されるものでもよい。
【符号の説明】
【0169】
1A,1B…液体吐出装置、2…インク、4…吐出部、6…キャリッジ、14…定電圧端子、20A,20B,20C…貯蔵量検出装置、21A~21D…貯蔵部、22…送信電極、28a…側板の外面(貯蔵部の第1面)、29a…側板の外面(貯蔵部の第2面)、30…受信電極、31…受信電極(第1受信電極)、32…受信電極(第2受信電極)、33…受信電極(第3受信電極)、34…受信電極、36A~36D…セレクター回路、37…フィルター回路、38…A/Dコンバーター、40A~40D…出力端子、41…入力端子(第1入力端子)、42…入力端子(第2入力端子)、43…入力端子(第3入力端子)、52…BPF(バンドパスフィルター回路)、53…S/H、54…LPF(ローパスフィルター回路)、55…増幅回路、63…検出回路、80…接続回路、81…スイッチ回路(第1スイッチ回路)、82…スイッチ回路(第2スイッチ回路)、83…スイッチ回路(第3スイッチ回路)、L…液面、X…X軸方向、Y…Y軸方向(第1方向)、Z…Z軸方向(高さ方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32