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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】車両側部の構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20241008BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
B62D25/06 A
B62D25/04 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020188048
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077269
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】今田 光彦
(72)【発明者】
【氏名】三崎 利次
(72)【発明者】
【氏名】白木 悠貴
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-187587(JP,A)
【文献】特開2012-076616(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0187409(US,A1)
【文献】特開2017-039331(JP,A)
【文献】特開2010-162974(JP,A)
【文献】特開2019-098952(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1458706(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/06
B62D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延びるルーフレールに車両上下方向に延びるセンターピラーの上部が結合される車両側部の構造であって、
前記ルーフレールは、ルーフレールインナと、ルーフレールインナの車幅方向外側に位置するルーフレールアウタリンフォースと、を備え、
前記センターピラーは、上部が前記ルーフレールインナと接合されるピラーインナと、上部が前記ルーフレールアウタリンフォースの車幅方向外側の面に接合されるピラーアウタリンフォースと、前記ピラーインナと前記ピラーアウタリンフォースとの間に設けられて前記ピラーインナに接合されるピラーインナリンフォースと、を備え、
前記ピラーインナリンフォースの上部は、前記ピラーアウタリンフォースとの間に前記ルーフレールアウタリンフォースを挟んだ状態で前記ルーフレールアウタリンフォースの車幅方向内側の面に接合され、
前記ピラーアウタリンフォースと前記ルーフレールアウタリンフォースと前記ピラーインナリンフォースとが同一の接合点で接合されている
ことを特徴とする車両側部の構造。
【請求項2】
前記ピラーアウタリンフォースの上端は、前記ルーフレールアウタリンフォースの上端よりも下側の途中部に位置している
ことを特徴とする請求項1に記載の車両側部の構造。
【請求項3】
前記ピラーインナリンフォースは、横断面が車幅方向外側に凸となる略ハット形状に形成されて前記ピラーインナに沿って上下方向に延設され、前記略ハット形状の鍔部を成す前後フランジが前記ピラーインナに接合されるとともに、前記略ハット形状の頂部を成す車幅方向外側の頂壁が前記ルーフレールアウタリンフォースおよび前記ピラーアウタリンフォースに前記同一の接合点で接合される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両側部の構造。
【請求項4】
前記ルーフレールアウタリンフォースは、上下の端縁に前記ルーフレールインナと接合される上下フランジを有し、
前記ルーフレールアウタリンフォースの前記下フランジは、前記センターピラーの上部が結合される箇所に対応する部位が、前記ルーフレールインナから車幅方向外側に離間されて、前記ルーフレールインナとの間に隙間を有して形成され、
前記ピラーインナの上部は、前記ルーフレールインナの車幅方向外側の面に接合され、前記ピラーインナリンフォースの上部は、前記ピラーインナとともに前記ルーフレールインナと前記ルーフレールアウタリンフォースの前記下フランジとの間に位置して、前記ピラーアウタリンフォースとの間に前記下フランジを挟んだ状態で、前記下フランジの前記部位および前記ピラーアウタリンフォースに前記同一の接合点で接合される
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の車両側部の構造。
【請求項5】
前記ピラーアウタリンフォースは、横断面が車幅方向外側に凸となる略ハット形状に形成されて車両の上下方向に延設される本体部と、前記本体部の上端から上方に延び、前記ルーフレールアウタリンフォースの前記下フランジより上方の部位に接合される板状の上部取付部と、前記本体部の前記略ハット形状の頂部であるアウタ本体板部の上部に形成され、車幅方向内側に向かって凹設された凹部と、を有し、
前記凹部の底壁が前記下フランジの前記部位および前記ピラーインナリンフォースに接合される
ことを特徴とする請求項に記載の車両側部の構造。
【請求項6】
前記ピラーアウタリンフォースの前記本体部の上端側は、上方に向かうに従って車両前後方向に広がる拡幅形状とされ、
前記凹部の前後で上下方向に延在される前後壁が、前記ピラーアウタリンフォースの前記本体部の形状に合わせて上方に向かうに従って車両前後方向に広がるよう形成され、
前記凹部の前記底壁と前記前後壁の交差する箇所に形成された上下方向に延びる2つの境界線R2が、それぞれ下方に向かうに従って前記ピラーインナリンフォースの頂壁の前後端で上下方向に延びる2つの稜線に近づくよう傾斜して延びている
ことを特徴とする請求項に記載の車両側部の構造。
【請求項7】
前記底壁の前記2つの境界線の下端が、車幅方向から見て前記ピラーインナリンフォースの頂壁の前記2つの稜線とほぼ一致する位置とされている
ことを特徴とする請求項に記載の車両側部の構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両側部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の両側部に、車両骨格部材として、ルーフパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在するルーフレールと、フロアパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在するサイドシルと、上下方向に延在しルーフレールの中間部とサイドシルの中間部とを連結するセンターピラーが設けられた車両が提供されている。
センターピラーは、車幅方向内側に位置するセンターピラーインナと車幅方向外側に位置するセンターピラーリンフォースとを含んで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-76616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような車両が例えば横転してルーフクラッシュし、車両側方の斜め上方からの荷重がルーフレールに加わった場合、その荷重は、ルーフレールからセンターピラーリンフォースに伝達される。
この場合、車体の重量が大きくなるほど、センターピラーリンフォースだけでは荷重の伝達を効率よく行なう上で不利があり、ルーフレールとセンターピラーの変形を抑制する上で改善の余地がある。
本発明は前記事情に鑑み案出されたもので、本発明の目的は、荷重の伝達を効率よく行なう上で有利な車両側部の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の一実施の形態は、車両前後方向に延びるルーフレールに車両上下方向に延びるセンターピラーの上部が結合される車両側部の構造であって、前記ルーフレールは、ルーフレールインナと、ルーフレールインナの車幅方向外側に位置するルーフレールアウタリンフォースと、を備え、前記センターピラーは、上部が前記ルーフレールインナと接合されるピラーインナと、上部が前記ルーフレールアウタリンフォースの車幅方向外側の面に接合されるピラーアウタリンフォースと、前記ピラーインナと前記ピラーアウタリンフォースとの間に設けられて前記ピラーインナに接合されるピラーインナリンフォースと、を備え、前記ピラーインナリンフォースの上部は、前記ピラーアウタリンフォースとの間に前記ルーフレールアウタリンフォースを挟んだ状態で前記ルーフレールアウタリンフォースの車幅方向内側の面に接合され、前記ピラーアウタリンフォースと前記ルーフレールアウタリンフォースと前記ピラーインナリンフォースとが同一の接合点で接合されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態によれば、ピラーインナリンフォースの上部は、センターピラーアウタリンフォースとの間にルーフレールアウタリンフォースを挟んだ状態でルーフレールアウタリンフォースの車幅方向内側の面に接合され、センターピラーアウタリンフォースとルーフレールアウタリンフォースとセンターピラーインナリンフォースとが同一の接合点で接合されている。
したがって、車両の横転したときのようなルーフクラッシュ時に車両側方の斜め上方からの荷重がルーフレールに加わった場合、その荷重は、同一の接合点を介してセンターピラーアウタと、インナリンフォースとの2つの部材に分散して伝達される。
これにより荷重がセンターピラーアウタだけに伝達される場合に比較して荷重の伝達が効率よくなされ、重量の大きな車体が横転した場合であっても、ルーフレールと共にセンターピラーが変形することを抑制する上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態の車両側部の構造が適用された車両の斜視図である。
図2】実施の形態の車両側部の構造の分解斜視図であり、主に車幅方向外側の部材を示す。
図3】実施の形態の車両側部の構造の分解斜視図であり、主に車幅方向内側の部材を示す。
図4】センターピラーインナリンフォースとルーフレールアウタとの結合箇所を車幅方向外側から見た斜視図である。
図5】センターピラーインナリンフォースとルーフレールアウタとセンターピラーアウタリンフォースの結合箇所を車幅方向外側から見た斜視図である。
図6図5のA-A線断面図である。
図7図5のB-B線断面図である。
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
以下の図面において符号UPは車両上方を示し、符号FRは車両前方を示し、符号INは車幅方向内側、符号OUTは車幅方向外側を示す。
図1に示すように、車両の車体10の両側部には、車両骨格部材として、ルーフレール12、フロントピラー14、センターピラー16、リアピラー18、サイドシル20がそれぞれ設けられている。
ルーフレール12は、車室空間の上方を覆うルーフパネル22の車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在している。ルーフレール12の詳細については後述する。
フロントピラー14は、上下方向に延在しルーフレール12の前端とサイドシル20の前端とを連結している。
センターピラー16は、上下方向に延在しルーフレール12の中間部とサイドシル20の中間部とを連結し、したがって、センターピラー16の上部はルーフレール12に結合されている。センターピラー16の詳細については後述する。
リアピラー18は、上下方向に延在しルーフレール12の後端とサイドシル20の後端とを連結している。
サイドシル20は、フロアパネルの車幅方向両側に沿って車両前後方向に延在している。
センターピラー16の上端に位置する車体10の両側のルーフレール12の間にわたって梁部材を構成するルーフボウ24が架け渡されている。
ルーフボウ24は図6に示すようにルーフボウアッパ2402とルーフボウロア2404とが接合されて構成されている。
【0009】
図6図7に示すように、ルーフレール12は、ルーフレールインナ26と、ルーフレールインナ26の車幅方向外側に位置するルーフレールアウタリンフォース28とが接合されて構成され、断面中空状を呈している。
【0010】
ルーフレールインナ26は、ルーフレールアウタリンフォース28の車幅方向内側に配置されている。
図6に示すように、ルーフレールインナ26は、インナ本体板部2602と、インナ本体板部2602の上端から車幅方向内側に突設されたインナ上フランジ部2604と、インナ本体板部2602の下端に設けられ車幅方向外側に突出して車両前後方向に延在するリブ部2606と、リブ部2606の下端から下方に突出するインナ下フランジ部2608とを備えている。
【0011】
図2図6に示すように、ルーフレールアウタリンフォース28は車幅方向外側の斜め上方に凸状を呈している。
ルーフレールアウタリンフォース28は、インナ本体板部2602に対向するアウタ本体板部2802と、アウタ本体板部2802の上端から車幅方向内側に突設されたアウタ上フランジ部2804と、アウタ本体板部2802の下端から車幅方向内側に屈曲されたアウタ下板部2806と、アウタ下板部2806の下端から下方に突設されたアウタ下フランジ部2808とを備えている。
言い換えると、ルーフレールアウタリンフォース28は、上下の端縁にルーフレールインナ26と接合される上フランジ2804と下フランジ2808とを有している。
図2図4図6に示すように、下フランジ2808は、センターピラー16の上部が結合される箇所に対応する部位2808Aが、ルーフレールインナ26から車幅方向外側に離間されて、ルーフレールインナ26との間に隙間を有して形成されている。
【0012】
図6に示すように、インナ上フランジ部2604の外面とアウタ上フランジ部2804の内面とが重ね合わされて溶接により接合されると共に、インナ下フランジ部2608の外面とアウタ下フランジ部2808の内面とが、後述するインナリンフォース36およびセンターピラーインナ32を介して溶接により接合されている。
【0013】
ここでルーフパネル22とルーフレール12との接合構造について説明する。
図6に示すように、ルーフパネル22の車幅方向の両側の端部2202は、後述するサイドアウターパネル39の端部と、ルーフボウロア2404の端部2404Aと、ルーフレールアウタリンフォース28のアウタ上フランジ部2804と、ルーフレールインナ26のインナ上フランジ部2604とにそれらの順に2枚或いは3枚合わせで接合されることにより、4枚のパネルが重ね合わせで配置されている。
また、図中、符号30は、その両端がルーフボウロア2404とルーフレールインナ26のインナ下フランジ部2608とに接合された補強部材としてのインナエクステンションボウを示す。
【0014】
図2図3図6図7に示すように、センターピラー16は、センターピラーインナ32と、インナロアパネル34と、センターピラーインナリンフォース36と、ヒンジリンフォース38と、センターピラーアウタリンフォース40とを含んで構成され、断面中空状を呈している。
【0015】
図3図6図7に示すように、センターピラーインナ32は、センターピラー16のうち車幅方向の最も内側に位置する部材であり、上下方向に延在するインナ本体板部3202と、インナ本体板部3202の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する一対のインナ突条部3204と、一対のインナ突条部3204の互いに離れた端部から車両前後方向に突出する一対のインナフランジ部3206とを備えている。
また、センターピラーインナ32の上部(一対のインナ突条部3204)は、ルーフレールインナ26(インナ下フランジ部2608)と接合されている。
【0016】
図3に示すように、インナロアパネル34は、センターピラーインナ32の下部に接合される部材である。
インナロアパネル34は、センターピラーインナ32のインナ本体板部3202と連続するロア本体板部3402と、ロア本体板部3402の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出しつつ上下方向に延在する一対のロア突条部3404と、一対のロア突条部3404の端部から車両前後方向に突出する一対のロアフランジ部3406と、ロア本体板部3402、一対のロア突条部3404、一対のロアフランジ部3406の下部に設けられた取り付け部3408とを備えている。
インナロアパネル34のロア本体板部3402、一対のロア突条部3404、一対のロアフランジ部3406は、車幅方向内側からセンラーピラーインナの下部のインナ本体板部3202、一対のインナ突条部3204、一対のインナフランジ部3206に重ね合わされて接合されている。
インナロアパネル34の取り付け部3408は、車幅方向内側からサイドシル20に重ね合わせて接合されている。
【0017】
図3図6に示すように、センターピラーインナリンフォース36は、センターピラーインナ32の車幅方向外側に配置される部材であり、センターピラーインナ32の全長よりも若干短い長さの全長で形成されている。
センターピラーインナリンフォース36は、その横断面が車幅方向外側に凸となる略ハット形状に形成され、センターピラーインナ32に沿って上下方向に延設されている。
すなわち、センターピラーインナリンフォース36は、ハット形状の頂部をなして車幅方向外側に位置しセンターピラーインナ32のインナ本体板部3202に対向して上下方向に延在する頂壁3602と、頂壁3602の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出する一対のリンフォース側板部3604と、一対のリンフォース側板部3604の端部から車両前後方向に突出する一対のリンフォースフランジ部3606とを備えている。
図3図4図7に示すように、一対のリンフォース側板部3604と頂壁3602とが交わる箇所にそれぞれ上下方向に延在する稜線R1が形成されている。言い換えるとそれら2つの稜線R1は、頂壁3602の車両前後端に位置して上下方向に延在している。
図6に示すように、センターピラーインナリンフォース36は、センターピラーインナ32とセンターピラーアウタリンフォース40との間に設けられてピラーインナ32に接合されている。
詳細に説明すると、センターピラーインナリンフォース36とセンターピラーインナ32は、センターピラーインナリンフォース36の上端をセンターピラーインナ32の上端から下方に変位させた状態で、図7に示すように、センターピラーインナリンフォース36の一対のリンフォースフランジ部3606が車幅方向外側からセンターピラーインナ32のインナ突条部3204の外面に重ね合わされて接合されている。
また、図6に示すように、センターピラーインナリンフォース36の頂壁3602の上部の外面は、ルーフレールアウタリンフォース28のアウタ下フランジ部2808の車幅方向内側の面である内面に接合されている。
【0018】
図2に示すように、ヒンジリンフォース38は、センターピラーインナリンフォース36の車幅方向外側に配置される部材であり、言い換えると、センターピラーインナ32とセンターピラーアウタリンフォース40との間に配置される部材である。
ヒンジリンフォース38は、上下方向に延在するヒンジ本体板部3802と、ヒンジ本体板部3802の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出する一対のヒンジ側板部3804とを備えている。
ヒンジリンフォース38の全長は、センターピラーアウタリンフォース40の全長よりも短く、ヒンジリンフォース38の上端は、センターピラーアウタリンフォース40の上端よりも低い箇所に位置している。そのため、ヒンジリンフォース38は、図6図7の断面図には示されていない。
【0019】
図2図6図7に示すように、センターピラーアウタリンフォース40は、ヒンジリンフォース38の車幅方向外側に位置し、したがって、センターピラー16のうち車幅方向の最も外側に位置する部材である。
なお、図6図7においてルーフレールアウタリンフォース28及びセンターピラーアウタリンフォース40の車幅方向外側を覆う符号39の部材は、車両の側部全体の外板(化粧板)を構成するサイドアウターパネルであり、このサイドアウターパネル39は車両骨格部材としての機能は備えていない。
【0020】
図2図6に示すように、センターピラーアウタリンフォース40は、横断面が車幅方向外側に凸となる略ハット形状に形成されて車両の上下方向に延設された本体部42を備え、本体部42の上部42Aはルーフレールアウタリンフォース28に結合される。
本体部42は、ヒンジリンフォース38のヒンジ本体板部3802に対向するアウタ本体板部4202と、アウタ本体板部4202の車両前後方向の端部から車幅方向内側に突出する一対のアウタ側板部4204と、一対のアウタ側板部4204の端部から車両前後方向に突出する一対のアウタフランジ部4206とを備えている。
車幅方向外側に凸のハット形状は、アウタ本体板部4202と、一対のアウタ側板部4204と、一対のアウタフランジ部4206とにより構成されている。
本体部42の車幅方向内側において、不図示ではあるが本体部42のアウタ本体板部4202とヒンジリンフォース38のヒンジ本体板部3802とが重ね合わされて接合され、本体部42の一対のアウタ側板部4204とヒンジリンフォース38の一対のヒンジ側板部3804とがそれぞれ重ね合わされて接合されている。
また、図7に示すように、本体部42の一対のアウタフランジ部4206とセンターピラーインナ32の一対のインナフランジ部3206とが重ね合わされて接合されている。
また、不図示ではあるがセンターピラーアウタリンフォース40(本体部42)の下部はサイドシル20に接合されている。
【0021】
図6に示すように、センターピラーアウタリンフォース40の上部は、ルーフレールアウタリンフォース28の車幅方向外側の面に接合されている。
詳細に説明すると、図5に示すように、ルーフレールアウタリンフォース28に結合される本体部42の上部42Aは、上方に至るにつれて車両前後方向の幅が次第に大きくなるように形成されたアウタ本体板部4202の上部と、このアウタ本体板部4202の両側の一対のアウタ側板部4204の上部と、アウタ側板部4204の両側のアウタフランジ部4206の上部と、それらアウタ本体板部4202、アウタ側板部4204、アウタフランジ部4206の上端に接続された下取り付け板部4208と、下取り付け板部4208の上端に屈曲部を介して接続された上取り付け板部4210とを含んで構成されている。
【0022】
図5図6図7に示すように、アウタ本体板部4202の上部は、この上部の車両前後方向の中間部に設けられた底壁4212と、底壁4212の車両前方と車両後方に位置する前後の突条4214とを含んで構成されている。
図5に示すように、底壁4212は、下辺よりも上辺の寸法が大きい台形を呈している。
前後の突条4214の外面は、アウタ本体板部4202に連続しており、底壁4212は前後の突条4214の外面よりも車幅方向内側に窪んだ箇所に位置している。
前後の突条4214は車両前後方向において対向しつつ車幅方向外側に突出して上下方向に延在し、底壁4212はそれら前後の突条4214の車幅方向内側部分を接続している。
底壁4212の上端は、下取り付け板部4208に接続している。
【0023】
言い換えると、本体部42の略ハット形状の頂部であるアウタ本体板部4202の上部に底壁4212を有する凹部4211が形成され、凹部4211は、車幅方向内側に向かって凹設されている。
センターピラーアウタリンフォース40の本体部42の上端側は、上方に向かうに従って車両前後方向に広がる拡幅形状とされている。
前後の突条4214は、凹部4211の前後で上下方向に延在される前後壁4214を構成しており、この前後壁4214は、センターピラーアウタリンフォース40の本体部42の形状に合わせて上方に向かうに従って車両前後方向に広がるよう形成されている。
凹部4211の底壁4212と前後壁4214の交差する箇所に形成された上下方向に延びる2つの境界線R2が形成されている。
図5に示すように、2つの境界線R2は、それぞれ下方に向かうに従ってセンターピラーインナリンフォース36の2つの稜線R1に近づくよう傾斜して延びている。
図4図5に示すように、底壁4212の2つの境界線R2の下端が、車幅方向から見てセンターピラーインナリンフォース36の頂壁3602の2つの稜線R1とほぼ一致する位置とされている。
【0024】
図5に示すように、アウタフランジ部4206の上端は、ルーフレールアウタリンフォース28のアウタ下フランジ部2808に接合されている。
下取り付け板部4208は、ルーフレールアウタリンフォース28のアウタ下板部2806に接合され、上取り付け板部4210はルーフレールアウタリンフォース28のアウタ本体板部2802に接合されている。
言い換えると、下取り付け板部4208と上取り付け板部4210は、本体部42の上端から上方に延び、ルーフレールアウタリンフォース28の下フランジ2808より上方の部位に接合される板状の上部取付部を構成している。
そして、図6図7に示すように、底壁4212の箇所はルーフレールアウタリンフォース28のアウタ下フランジ部2808とセンターピラーインナリンフォース36の頂壁3602に重ね合わされ、それら底壁4212、アウタ下フランジ部2808、頂壁3602は溶接により一体に接合されている。
すなわち、図6に示すように、センターピラーインナリンフォース36の上部は、センターピラーアウタリンフォース40との間にルーフレールアウタリンフォース28を挟んだ状態でルーフレールアウタリンフォース28の車幅方向内側の面に接合され、センターピラーアウタリンフォース40とルーフレールアウタリンフォース28とセンターピラーインナリンフォース36とが同一の接合点Pで接合されている。
本実施の形態では、センターピラーインナリンフォース36の上部と、センターピラーアウタリンフォース40の上部と、ルーフレールアウタリンフォース28とが同一の接合点Pにおいて3枚打ちでスポット溶接により接合されている。
【0025】
言い換えると、センターピラーインナリンフォース36は、略ハット形状の鍔部を成す前後フランジ3606がセンターピラーインナ32に接合されるとともに、略ハット形状の頂部を成す車幅方向外側の頂壁3602がルーフレールアウタリンフォース28およびセンターピラーアウタリンフォース40に同一の接合点Pで接合されている。
【0026】
言い換えると、センターピラーインナ32の上部は、ルーフレールインナ26の車幅方向外側の面に接合され、センターピラーインナリンフォース36の上部は、センターピラーインナ32とともにルーフレールインナ26とルーフレールアウタリンフォース28の下フランジ2808との間に位置しており、センターピラーインナリンフォース36の上部は、センターピラーアウタリンフォース40との間に下フランジ2808を挟んだ状態で、下フランジ2808の部位2808Aおよびセンターピラーアウタリンフォース28に同一の接合点Pで接合されている。
【0027】
言い換えると、凹部4211の底壁4212は、下フランジ2808およびピラーインナリンフォース36に接合されている。
【0028】
次に作用効果について説明する。
本実施の形態では、センターピラーインナリンフォース36の上部は、センターピラーアウタリンフォース40との間にルーフレールアウタリンフォース28を挟んだ状態でルーフレールアウタリンフォース28の車幅方向内側の面に接合され、センターピラーアウタリンフォース40とルーフレールアウタリンフォース28とセンターピラーインナリンフォース36とが同一の接合点Pで接合されている。
したがって、図6に示すように、例えば車両の横転したときのようなルーフクラッシュ時に車両側方の斜め上方からの荷重Fがルーフレール12に加わった場合、図中矢線で示すその荷重は、同一の接合点Pを介してセンターピラーアウタリンフォース40と、センターピラーインナリンフォース36との2つの部材に分散して伝達される。
したがって、荷重Fがセンターピラーアウタリンフォース40だけに伝達される場合に比較して荷重の伝達が効率よくなされ、重量の大きな車体10が横転した場合であっても、ルーフレール12と共にセンターピラー16が変形することを抑制する上で有利となる。
【0029】
また、本実施の形態では、センターピラーインナリンフォース36の略ハット形状の鍔部を成す前後フランジ3606がセンターピラーインナ32に接合されるとともに、センターピラーインナリンフォース36の頂壁3602がルーフレールアウタリンフォース28およびセンターピラーアウタリンフォース40に同一の接合点Pで接合されている。
そのため、同一の接合点Pを介してセンターピラーインナリンフォース36に伝達された荷重は、センターピラーインナリンフォース36の頂壁3602に伝達される荷重と、頂壁3602から前後フランジ3606を介してセンターピラーインナ32に伝達される荷重とに分散され、荷重の伝達がより効率よくなされるので、ルーフレール12と共にセンターピラー16が変形することを抑制する上でより有利となる。
【0030】
また、本実施の形態では、ルーフレールアウタリンフォース28の下フランジ2808は、センターピラー16の上部が結合される箇所に対応する部位2808Aが、ルーフレールインナ26から車幅方向外側に離間されて、ルーフレールインナ26との間に隙間を有して形成され、センターピラーインナリンフォース36の上部は、センターピラーアウタリンフォース40との間に下フランジ2808の部位2808Aを挟んだ状態で、下フランジ2808およびセンターピラーアウタリンフォース40に同一の接合点Pで接合されている。
そのため、ルーフクラッシュ時に車両側方の斜め上方からの荷重Fがルーフレール12に加わった場合、ルーフレールアウタリンフォース28の下フランジ2808の部位2808Aから同一の接合点Pを介してセンターピラーインナリンフォース36に効率よく荷重Fが伝達され、センターピラーアウタリンフォース40と、センターピラーインナリンフォース36との2つの部材に分散して伝達されるので、ルーフレール12と共にセンターピラー16が変形することを抑制する上で有利となる。
【0031】
また、本実施の形態では、センターピラーアウタリンフォース40に凹部4211が形成されることで凹部4211の強度、剛性が確保されており、凹部4211の底壁4212がルーフレールアウタリンフォース28の下フランジ2808の部位2808Aおよびセンターピラーインナリンフォース36に接合されている。
そのため、ルーフクラッシュ時に車両側方の斜め上方からの荷重Fがルーフレール12に加わった場合、ルーフレールアウタリンフォース28の下フランジ2808の部位2808Aから強度、剛性が確保された凹部4211の底壁4212を介してセンターピラーインナリンフォース36に効率よく荷重Fが伝達され、センターピラーアウタリンフォース40と、センターピラーインナリンフォース36との2つの部材に分散して伝達されるので、ルーフレール12と共にセンターピラー16が変形することを抑制する上で有利となる。
【0032】
また、本実施の形態では、凹部4211の前後で上下方向に延在される前後壁4214が、センターピラーアウタリンフォース40の本体部42の形状に合わせて上方に向かうに従って車両前後方向に広がるよう形成され、凹部4211の底壁4212と前後壁4214の交差する箇所に形成された上下方向に延びる2つの境界線R2が、それぞれ下方に向かうに従ってセンターピラーインナリンフォース36の頂壁3602の前後端で上下方向に延びる2つの稜線R1に近づくよう傾斜して延びている。
そのため、ルーフレール12に加わった荷重Fは、底壁4212の2つの境界線R2とセンターピラーインナリンフォース36の2つの稜線R1とに沿って効率よく伝達され、荷重の伝達がより効率よくなされ、ルーフレール12と共にセンターピラー16が変形することを抑制する上でより一層有利となる。
【0033】
また、本実施の形態では、底壁4212の2つの境界線R2の下端が、車幅方向から見てセンターピラーインナリンフォース36の頂壁3602の2つの稜線R1とほぼ一致する位置とされている。
そのため、ルーフレール12に加わった荷重Fは、底壁4212の2つの境界線R2とセンターピラーインナリンフォース36の2つの稜線R1とに沿ってより一層効率よく伝達され、荷重の伝達がより効率よくなされ、ルーフレール12と共にセンターピラー16が変形することを抑制する上でより一層有利となる。
【符号の説明】
【0034】
10 車体
12 ルーフレール
16 センターピラー
20 サイドシル
22 ルーフパネル
2202 端部
28 ルーフレールアウタ
2802 アウタ本体板部
2804 アウタ上フランジ部(上フランジ)
2806 アウタ下板部
2808 アウタ下フランジ部(下フランジ)
2808A 下フランジの部位
36 センターピラーインナリンフォース
3602 頂壁
3604 リンフォース側板部
3606 リンフォースフランジ部(前後フランジ)
40 センターピラーアウタリンフォース
42 本体部
42A 上部
4202 アウタ本体板部
4204 アウタ側板部
4206 アウタフランジ部
4208 下取り付け板(上部取付部)
4210 上取り付け板(上部取付部)
4211 凹部
4212 底壁
4214 突条(前後壁)
P 同一の接合点
R1 稜線
R2 境界線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7