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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】減速装置及びブレーキ装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/023 20120101AFI20241008BHJP
   B60T 13/74 20060101ALI20241008BHJP
   F16D 65/18 20060101ALI20241008BHJP
   H02K 7/102 20060101ALI20241008BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20241008BHJP
   F16D 121/24 20120101ALN20241008BHJP
   F16D 125/40 20120101ALN20241008BHJP
   F16D 125/50 20120101ALN20241008BHJP
【FI】
F16H57/023
B60T13/74 G
F16D65/18
H02K7/102
H02K7/116
F16D121:24
F16D125:40
F16D125:50
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020188748
(22)【出願日】2020-11-12
(65)【公開番号】P2022077762
(43)【公開日】2022-05-24
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝山 智徳
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 優一
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-062639(JP,A)
【文献】特開2020-112221(JP,A)
【文献】特開2020-159401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/023
B60T 13/74
F16D 65/18
H02K 7/102
H02K 7/116
F16D 121/24
F16D 125/40
F16D 125/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に開放された孔、が設けられ、前記孔の内周面と、前記第1の方向における前記孔の端から前記第1の方向の反対の第2の方向に離間した位置で前記内周面から張り出した壁部と、前記内周面の第1の周方向の第1の端部と、を有する、ハウジングと、
前記孔に収容され、前記内周面に面する外周面と、前記外周面の内側に設けられて互いに噛み合う複数のギヤと、前記第1の端部から前記第1の周方向に離間した、前記第1の周方向の反対の第2の周方向の第2の端部と、を有する、ギヤアセンブリと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在して前記ハウジングと前記ギヤアセンブリとが前記第1の端部と前記第2の端部とが近づく方向に相対的に移動することを制限するベースと、前記第1の方向における前記ベースの端部に設けられるとともに前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリのうち一方に設けられた第1の係合部に少なくとも部分的に面して前記ベースが前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリに対して前記第1の方向に移動することを制限する第2の係合部と、を有する回り止め部材と、
を備え
前記回り止め部材は、前記第1の方向における前記ベースの端部から前記第1の方向に延びた二つの突出部を有し、
前記第2の係合部は、前記二つの突出部の間に位置する、
減速装置。
【請求項2】
第1の方向に開放された孔、が設けられ、前記孔の内周面と、前記第1の方向における前記孔の端から前記第1の方向の反対の第2の方向に離間した位置で前記内周面から張り出した壁部と、前記内周面の第1の周方向の第1の端部と、を有する、ハウジングと、
前記孔に収容され、前記内周面に面する外周面と、前記外周面の内側に設けられて互いに噛み合う複数のギヤと、前記第1の端部から前記第1の周方向に離間した、前記第1の周方向の反対の第2の周方向の第2の端部と、を有する、ギヤアセンブリと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在して前記ハウジングと前記ギヤアセンブリとが前記第1の端部と前記第2の端部とが近づく方向に相対的に移動することを制限するベースと、前記第1の方向における前記ベースの端部に設けられるとともに前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリのうち一方に設けられた第1の係合部に少なくとも部分的に面して前記ベースが前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリに対して前記第1の方向に移動することを制限する第2の係合部と、を有する回り止め部材と、
を備え、
前記回り止め部材は、前記第1の方向における前記ベースの端部から前記第1の方向に延びた突出部を有し、
前記突出部は、前記第2の係合部から前記第1の周方向又は前記第2の周方向に離間しており、
前記第1の周方向における前記突出部と前記第2の係合部との間の間隔は、前記第1の周方向における前記突出部の最小の長さよりも短く、且つ前記第1の周方向における前記第2の係合部の最小の長さよりも短い、
減速装置。
【請求項3】
前記回り止め部材は、前記第1の方向における前記ベースの端部から前記第1の方向に延びた二つの前記突出部を有し、
前記第2の係合部は、前記二つの突出部の間に位置する、
請求項2の減速装置。
【請求項4】
前記第2の係合部は、前記第1の方向における前記ベースの端部から延びるスナップフィットアームと、前記スナップフィットアームに設けられるとともに前記第1の係合部に面して前記ベースが前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリに対して前記第1の方向に移動することを制限する係合面と、を有し、
前記スナップフィットアームは、弾性変形することで、前記ベースが前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリに対して前記第1の方向に移動することを許容する位置に前記係合面を移動させることが可能な、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つの減速装置。
【請求項5】
前記係合面は、前記第1の方向における前記スナップフィットアームの端部に設けられる、請求項4の減速装置。
【請求項6】
前記第1の係合部の色が、前記第2の係合部の色と異なる、請求項1乃至請求項5のいずれか一つの減速装置。
【請求項7】
前記複数のギヤがモータにより駆動される請求項1乃至請求項6のいずれか一つの減速装置と、
前記複数のギヤによって回転させられる回転部材と、当該回転部材の回転に応じて直動する直動部材と、を有した回転直動変換機構と、
前記直動部材の直動に応じてブレーキロータに押し付けられる制動部材と、
を備えたブレーキ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、減速装置及びブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、緩衝材により固定歯車の突出部を周方向に保持することで、固定歯車における回転力を緩衝することができる減速装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-129374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構成では、製造時において、減速装置における部品同士の係合を確実に行うことが困難になる場合がある。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、製造時における部品同士の係合を確実にすることを可能とする減速装置及びブレーキ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る減速装置は、一例として、第1の方向に開放された孔、が設けられ、前記孔の内周面と、前記第1の方向における前記孔の端から前記第1の方向の反対の第2の方向に離間した位置で前記内周面から張り出した壁部と、前記内周面の第1の周方向の第1の端部と、を有する、ハウジングと、前記孔に収容され、前記内周面に面する外周面と、前記外周面の内側に設けられて互いに噛み合う複数のギヤと、前記第1の端部から前記第1の周方向に離間した、前記第1の周方向の反対の第2の周方向の第2の端部と、を有する、ギヤアセンブリと、前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在して前記ハウジングと前記ギヤアセンブリとが前記第1の端部と前記第2の端部とが近づく方向に相対的に移動することを制限するベースと、前記第1の方向における前記ベースの端部に設けられるとともに前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリのうち一方に設けられた第1の係合部に少なくとも部分的に面して前記ベースが前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリに対して前記第1の方向に移動することを制限する第2の係合部と、を有する回り止め部材と、を備え、前記回り止め部材は、前記第1の方向における前記ベースの端部から前記第1の方向に延びた二つの突出部を有し、前記第2の係合部は、前記二つの突出部の間に位置する。よって、一例としては、開放された第1の方向における孔の端を通じて、第1の係合部と第2の係合部とが係合しているか否かが視認可能となる。従って、製造時において第1の係合部と第2の係合部とがより確実に係合可能となり、減速装置の生産効率が向上し得る。また、一例としては、回り止め部材が第1の端部と第2の端部との間の空間に挿入される際に、突出部が挿入作業の荷重を受けることができる。従って、荷重が第2の係合部に作用することが抑制される。また、一例としては、二つの突出部が第2の係合部を囲み、挿入作業の荷重が第2の係合部に作用することが抑制される。
また、本発明の他の実施形態に係る減速装置は、一例として、第1の方向に開放された孔、が設けられ、前記孔の内周面と、前記第1の方向における前記孔の端から前記第1の方向の反対の第2の方向に離間した位置で前記内周面から張り出した壁部と、前記内周面の第1の周方向の第1の端部と、を有する、ハウジングと、前記孔に収容され、前記内周面に面する外周面と、前記外周面の内側に設けられて互いに噛み合う複数のギヤと、前記第1の端部から前記第1の周方向に離間した、前記第1の周方向の反対の第2の周方向の第2の端部と、を有する、ギヤアセンブリと、前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在して前記ハウジングと前記ギヤアセンブリとが前記第1の端部と前記第2の端部とが近づく方向に相対的に移動することを制限するベースと、前記第1の方向における前記ベースの端部に設けられるとともに前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリのうち一方に設けられた第1の係合部に少なくとも部分的に面して前記ベースが前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリに対して前記第1の方向に移動することを制限する第2の係合部と、を有する回り止め部材と、を備え、前記回り止め部材は、前記第1の方向における前記ベースの端部から前記第1の方向に延びた突出部を有し、前記突出部は、前記第2の係合部から前記第1の周方向又は前記第2の周方向に離間しており、前記第1の周方向における前記突出部と前記第2の係合部との間の間隔は、前記第1の周方向における前記突出部の最小の長さよりも短く、且つ前記第1の周方向における前記第2の係合部の最小の長さよりも短い。よって、一例としては、開放された第1の方向における孔の端を通じて、第1の係合部と第2の係合部とが係合しているか否かが視認可能となる。従って、製造時において第1の係合部と第2の係合部とがより確実に係合可能となり、減速装置の生産効率が向上し得る。また、一例としては、回り止め部材が第1の端部と第2の端部との間の空間に挿入される際に、突出部が挿入作業の荷重を受けることができる。従って、荷重が第2の係合部に作用することが抑制される。また、一例としては、一つの回り止め部材の突出部又は第2の係合部が、他の回り止め部材の突出部と第2の係合部との間の間隔に入ってしまうことが抑制される。
上記減速装置では、一例として、前記回り止め部材は、前記第1の方向における前記ベースの端部から前記第1の方向に延びた二つの前記突出部を有し、前記第2の係合部は、前記二つの突出部の間に位置する。よって、一例としては、二つの突出部が第2の係合部を囲み、挿入作業の荷重が第2の係合部に作用することが抑制される。
【0007】
上記減速装置では、一例として、前記第2の係合部は、前記第1の方向における前記ベースの端部から延びるスナップフィットアームと、前記スナップフィットアームに設けられるとともに前記第1の係合部に面して前記ベースが前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリに対して前記第1の方向に移動することを制限する係合面と、を有し、前記スナップフィットアームは、弾性変形することで、前記ベースが前記ハウジング及び前記ギヤアセンブリに対して前記第1の方向に移動することを許容する位置に前記係合面を移動させることが可能である。よって、一例としては、ハウジング及びギヤアセンブリの形状が複雑になることが抑制され、減速装置の生産効率が向上し得る。
【0008】
上記減速装置では、一例として、前記係合面は、前記第1の方向における前記スナップフィットアームの端部に設けられる。よって、一例としては、第1の係合部と第2の係合部とが係合しているか否かが容易に視認可能となる。従って、製造時において第1の係合部と第2の係合部とがより確実に係合可能となり、減速装置の生産効率が向上し得る。
【0009】
上記減速装置では、一例として、前記第1の係合部の色が、前記第2の係合部の色と異なる。よって、一例としては、第1の係合部と第2の係合部とが係合しているか否かが容易に視認可能となる。従って、製造時において第1の係合部と第2の係合部とがより確実に係合可能となり、減速装置の生産効率が向上し得る。
【0013】
本発明の実施形態に係るブレーキ装置は、一例として、前記複数のギヤがモータにより駆動される上記減速装置と、前記複数のギヤによって回転させられる回転部材と、当該回転部材の回転に応じて直動する直動部材と、を有した回転直動変換機構と、前記直動部材の直動に応じてブレーキロータに押し付けられる制動部材と、を備える。よって、一例としては、製造時において第1の係合部と第2の係合部とがより確実に係合可能となり、ブレーキ装置の生産効率が向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一つの実施形態に係るブレーキ装置の一部を示す斜視図である。
図2図2は、上記実施形態のブレーキ装置の一部を示す平面図である。
図3図3は、上記実施形態のブレーキ装置を図2のF3-F3線に沿って示す断面図である。
図4図4は、上記実施形態のブレーキキャリパを示す断面図である。
図5図5は、上記実施形態のギヤアセンブリとケーシングとを模式的に示す断面図である。
図6図6は、上記実施形態の回り止め部材を示す斜視図である。
図7図7は、上記実施形態のブレーキ装置の一部を示す断面図である。
図8図8は、上記実施形態の製造時におけるハウジング及びギヤアセンブリを模式的に示す断面図である。
図9図9は、上記実施形態の製造時におけるハウジング、ギヤアセンブリ、及び回り止め部材を模式的に示す断面図である。
図10図10は、上記実施形態のブレーキ装置を第2の方向に見た平面図である。
図11図11は、上記実施形態の第1の変形例に係るブレーキ装置の一部を示す断面図である。
図12図12は、上記実施形態の第2の変形例に係るブレーキ装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一つの実施形態について、図1乃至図10を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0016】
図1は、一つの実施形態に係るブレーキ装置10の一部を示す斜視図である。図2は、本実施形態のブレーキ装置10の一部を示す平面図である。図3は、本実施形態のブレーキ装置10を図2のF3-F3線に沿って示す断面図である。
【0017】
ブレーキ装置10は、液圧ブレーキ及び電動ブレーキとして作動することが可能であり、自動車のような車両1に搭載される。なお、ブレーキ装置10は、この例に限られない。図1及び図3に示すように、ブレーキ装置10は、ハウジング11と、モータ12と、回転伝達機構13と、回転直動変換機構14と、ブレーキキャリパ15と、を有する。回転直動変換機構14は、例えば、ブレーキキャリパ15に内蔵される。なお、回転直動変換機構14は、この例に限られない。
【0018】
ブレーキキャリパ15は、液圧ブレーキとしてのブレーキ装置10に含まれる。モータ12、回転伝達機構13、回転直動変換機構14、及びブレーキキャリパ15は、電動ブレーキとしてのブレーキ装置10に含まれる。電動ブレーキは、いわゆる電動パーキングブレーキである。すなわち、ブレーキ装置10は、電動ブレーキ機能による制動状態が駐車時に維持されるよう、構成されている。なお、電動ブレーキは、走行時や一時停止時に作動しても良い。
【0019】
ハウジング11は、モータ12及び回転伝達機構13を収容する。図3に示すように、ハウジング11は、ケーシング21と、アウタカバー22とを有する。ケーシング21及びアウタカバー22は、例えば、合成樹脂により作られる。なお、ケーシング21及びアウタカバー22の材料は、他の材料により作られても良い。
【0020】
図1に示すように、ケーシング21に、第1の凹部25と、第2の凹部26とが設けられる。また、図3に示すように、ケーシング21に第3の凹部27が設けられる。第2の凹部26は、孔の一例である。
【0021】
図1に示すように、第1の凹部25及び第2の凹部26はそれぞれ、第1の方向D1におけるケーシング21の端面21aから窪む略円形の凹部である。言い換えると、第1の凹部25及び第2の凹部26は、第1の方向D1に開放された凹部である。なお、第1の凹部25及び第2の凹部26は、他の部品に覆われていても良い。
【0022】
図3に示すように、第3の凹部27は、第2の方向D2におけるケーシング21の端面21bにから窪む凹部である。言い換えると、第3の凹部27は、第2の方向D2に開放された凹部である。なお、第3の凹部27は、他の部品に覆われていても良い。第2の方向D2は、第1の方向D1の反対方向である。
【0023】
図1に示すように、第1の凹部25は、第1の中心軸Ax1に沿って延びる略円柱状の空間である。第1の中心軸Ax1は、第1の凹部25の略中心に位置し、第1の方向D1及び第2の方向D2に延びる仮想的な中心軸(軸心)である。
【0024】
第2の凹部26は、第2の中心軸Ax2に沿って延びる略円柱状の空間である。第2の中心軸Ax2は、第2の凹部26の略中心に位置し、第1の方向D1及び第2の方向D2に延びる仮想的な中心軸(軸心)である。
【0025】
以下の説明において、第2の中心軸Ax2に沿う方向が軸方向、第2の中心軸Ax2と直交する方向が径方向、第2の中心軸Ax2まわりに回転する方向が周方向と、それぞれ定義される。軸方向は、第1の方向D1と、第2の方向D2とを含む。
【0026】
図2に示すように、周方向は、第1の周方向Da1と、第2の周方向Da2とを含む。第1の周方向Da1は、第2の中心軸Ax2まわりに回転する一方向である。第2の周方向Da2は、第1の周方向Da1の反対方向である。
【0027】
第1の中心軸Ax1と第2の中心軸Ax2とは、互いに略平行に延びている。第1の中心軸Ax1は、第2の中心軸Ax2から径方向に離間している。また、第1の凹部25は、第2の凹部26から径方向に離間している。言い換えると、第1の凹部25と第2の凹部26とは、互いに隔てられている。
【0028】
第1の凹部25に、モータ12の少なくとも一部が収容される。モータ12の駆動軸12aは、第1の凹部25の底部に開口する貫通孔を通り、部分的に第3の凹部27に配置される。駆動軸12aは、第1の中心軸Ax1に沿って延びている。モータ12は、駆動されることで、駆動軸12aを第1の中心軸Ax1まわりに回転させる。駆動軸12aは、シャフト又はロータとも称され得る。
【0029】
回転伝達機構13は、ピニオン31と、中間ギヤ32と、遊星歯車機構33とを有する。ピニオン31は、第3の凹部27に位置し、モータ12の駆動軸12aに固定されている。中間ギヤ32は、第1の中心軸Ax1及び第2の中心軸Ax2と略平行な中心軸まわりに回転可能に、第3の凹部27に収容されている。中間ギヤ32は、ピニオン31と噛み合っている。
【0030】
図3に示すように、遊星歯車機構33は、サンギヤ35と、プラネタリキャリア36と、リングギヤ37とを有する。サンギヤ35は、ギヤの一例である。なお、本実施形態において、遊星歯車機構33は、一組のサンギヤ35、プラネタリキャリア36、及びリングギヤ37を有する遊星歯車機構であるが、複数組のサンギヤ35、プラネタリキャリア36、及びリングギヤ37を有する遊星歯車機構であっても良い。
【0031】
サンギヤ35及びプラネタリキャリア36は、ケーシング21に対して第2の中心軸Ax2まわりに回転可能である。リングギヤ37は、第2の中心軸Ax2の周方向に延びる略円筒状に形成され、ケーシング21に実質的に固定される。なお、リングギヤ37は、ケーシング21に対して若干移動可能であっても良い。
【0032】
サンギヤ35の一部は、第3の凹部27に収容されている。第3の凹部27は、ケーシング21に取り付けられたアウタカバー22により覆われる。サンギヤ35は、第2の中心軸Ax2まわりに回転可能に、アウタカバー22に支持される。
【0033】
サンギヤ35は、インプットギヤ35aと、アウトプットギヤ35bとを有する。インプットギヤ35aとアウトプットギヤ35bとは、第2の中心軸Ax2まわりに一体的に回転可能である。
【0034】
インプットギヤ35aは、第3の凹部27に位置し、中間ギヤ32と噛み合っている。なお、中間ギヤ32のうち、インプットギヤ35aと噛み合うギヤの歯数は、ピニオン31と噛み合うギヤの歯数よりも少ない。このため、中間ギヤ32は、モータ12の回転を減速してサンギヤ35に伝達する。アウトプットギヤ35bは、第2の凹部26に位置し、プラネタリキャリア36を駆動する。
【0035】
プラネタリキャリア36は、第2の凹部26に収容されている。プラネタリキャリア36は、キャリアベース36aと、複数のピニオンシャフト36bと、複数のピニオンギヤ36cと、出力軸36dとを有する。ピニオンギヤ36cは、ギヤの一例である。
【0036】
キャリアベース36a、ピニオンシャフト36b、及び出力軸36dは、例えば、合成樹脂により作られる。ピニオンギヤ36cは、例えば、金属により作られる。なお、プラネタリキャリア36の材料は、この例に限られない。
【0037】
キャリアベース36aは、第2の中心軸Ax2まわりに回転可能である。キャリアベース36aとサンギヤ35とは、相対的に第2の中心軸Ax2まわりに回転することができる。
【0038】
複数のピニオンシャフト36bは、キャリアベース36aから第2の方向D2に突出している。複数のピニオンシャフト36bは、第2の中心軸Ax2から径方向に離間するとともに、周方向に互いに離間して配置される。ピニオンシャフト36bは、キャリアベース36aと一体的に形成される。なお、ピニオンシャフト36bは、この例に限られない。
【0039】
ピニオンギヤ36cは、対応するピニオンシャフト36bの中心軸まわりに回転可能に、ピニオンギヤ36cに支持される。ピニオンシャフト36bの中心軸は、第2の中心軸Ax2と略平行に延びている。
【0040】
出力軸36dは、第2の中心軸Ax2に沿って、キャリアベース36aから第1の方向D1に突出している。出力軸36dは、キャリアベース36aと一体に第2の中心軸Ax2まわりに回転することができる。
【0041】
リングギヤ37は、例えば、合成樹脂により作られる。なお、リングギヤ37の材料は、この例に限られない。リングギヤ37は、アウターギヤ37aを有する。アウターギヤ37aは、リングギヤ37の内周面に設けられる。ピニオンギヤ36cは、サンギヤ35のアウトプットギヤ35bと噛み合うとともに、リングギヤ37のアウターギヤ37aと噛み合う。
【0042】
モータ12が駆動軸12a及びピニオン31を回転させると、中間ギヤ32がピニオン31の回転をサンギヤ35に伝達する。サンギヤ35が第2の中心軸Ax2まわりに回転すると、ピニオンギヤ36cは、ピニオンシャフト36bの中心軸まわりに自転するとともに、第2の中心軸Ax2まわりに公転する。これにより、キャリアベース36a及び出力軸36dが第2の中心軸Ax2まわりに回転する。このため、遊星歯車機構33は、中間ギヤ32の回転を減速させ、出力軸36dから出力する。
【0043】
ブレーキ装置10は、モータ12の駆動軸12aの回転を減速させて出力軸36dから出力する、減速装置10aを有する。ハウジング11と、回転伝達機構13とが、減速装置10aに含まれる。
【0044】
図4は、本実施形態のブレーキキャリパ15を示す断面図である。ブレーキキャリパ15は、ハウジング11に取り付けられる。図4に示すように、ブレーキキャリパ15は、ボディ41と、ピストン42と、シール43とを有する。
【0045】
ボディ41に、シリンダ44が設けられる。シリンダ44は、第2の中心軸Ax2に沿って延び、第1の方向D1に開放された凹部である。シリンダ44に、ピストン42が軸方向に移動可能に収容されている。
【0046】
シリンダ44において、ピストン42と、第2の方向D2におけるシリンダ44の底部44aと、の間に液圧室46が設けられる。液圧室46における液圧が上昇すると、ピストン42が第1の方向D1に押される。
【0047】
ピストン42は、外周面42aと、当接面42bとを有する。外周面42aは、第2の中心軸Ax2に沿って延びる略円筒状に形成される。当接面42bは、第1の方向D1におけるピストン42の端面である。
【0048】
外周面42aは、微小な隙間を介してシリンダ44の内周面44bに面している。外周面42aは、当該隙間に作動液が存在する潤滑状態で、内周面44bと摺動する。シール43が、ボディ41とピストン42との間に介在し、液圧室46から上記隙間を通じて作動液が漏れることを抑制する。
【0049】
ピストン42に、凹部42cと、複数の溝42dとが設けられる。凹部42cは、第2の方向D2に開口した略円形の凹部である。凹部42cは、シリンダ44の液圧室46に連通している。溝42dは、凹部42cの内周面から径方向の外側に窪むとともに、軸方向に延びている。複数の溝42dは、周方向に間隔を介して配置される。
【0050】
ブレーキ装置10は、ブレーキキャリパ15に組みつけられたブレーキパッド51と、車両1のホイールに取り付けられたディスクロータ52とをさらに有する。ブレーキパッド51は、制動部材の一例である。ディスクロータ52は、ブレーキロータの一例である。ブレーキパッド51は、ブレーキキャリパ15に含まれても良い。
【0051】
ブレーキパッド51は、裏板55と、ライニング56とを有する。裏板55は、ピストン42の当接面42bに当接している。液圧室46の液圧に押されたピストン42は、裏板55を第1の方向D1に押すことで、ライニング56をディスクロータ52に押し付ける。これにより、車両1のホイールが制動され、液圧ブレーキによる制動状態が得られる。
【0052】
シール43は、液圧室46における液圧の下降に伴って弾性力によってピストン42を第2の方向D2に引き込み、ピストン42の当接面42bをブレーキパッド51から離間させるリトラクト機能を、有している。すなわち、液圧室46の液圧の低下に伴って、ピストン42の裏板55への押圧が解除されると、ピストン42によるライニング56のディスクロータ52への押し付けが解除され、これにより液圧ブレーキによる制動解除状態が得られる。以上のように、ブレーキキャリパ15は、液圧ブレーキとして作動することができる。
【0053】
上述のように、回転直動変換機構14は、ブレーキキャリパ15に設けられる。回転直動変換機構14は、回転部材61と、スラストベアリング62と、直動部材63とを有する。
【0054】
回転部材61は、第2の中心軸Ax2まわりに回転可能に、ブレーキキャリパ15のボディ41に支持されている。回転部材61は、結合部61aと、フランジ61bと、シャフト61cとを有する。
【0055】
結合部61aは、シリンダ44の底部44aに開口した挿通孔44cを通り、遊星歯車機構33の出力軸36dに結合される。フランジ61b及びシャフト61cは、シリンダ44に配置される。フランジ61bは、結合部61aとシャフト61cとの間に位置し、結合部61a及びシャフト61cの外周面から径方向の外側に張り出している。シャフト61cは、第2の中心軸Ax2に沿ってフランジ61bから第2の方向D2に延びている。シャフト61cの外周面に、雄ネジ61dが設けられる。
【0056】
スラストベアリング62は、シリンダ44の底部44aと、回転部材61のフランジ61bとの間に介在する。これにより、フランジ61bは、スラストベアリング62を介して、第2の中心軸Ax2まわりに回転可能にシリンダ44の底部44aに支持される。
【0057】
直動部材63は、筒部63aと、複数の突起63bとを有する。筒部63aは、第2の中心軸Ax2に沿って延びる略円筒状に形成される。筒部63aの内面に、雌ネジ63cが設けられる。雌ネジ63cは、回転部材61の雄ネジ61dと噛み合っている。突起63bは、筒部63aの外周面から径方向の外側に突出している。複数の突起63bは、周方向に間隔を介して配置される。
【0058】
回転直動変換機構14の少なくとも一部は、ピストン42の凹部42cに収容される。直動部材63の筒部63aは、軸方向に移動可能に凹部42cに収容される。また、突起63bが、軸方向に移動可能に溝42dに収容される。溝42dの側面は、突起63bに当接することで、直動部材63が第2の中心軸Ax2まわりに回転することを制限する。また、本実施形態では、ピストン42とシール43及びブレーキパッド51との摩擦により、ピストン42が第2の中心軸Ax2まわりに回転することが制限される。
【0059】
回転部材61が第2の中心軸Ax2まわりに回転すると、回転部材61の回転に応じて、直動部材63が軸方向に移動(直動)する。例えば、モータ12が駆動軸12aを一方向に回転させると、回転伝達機構13が当該回転を出力軸36dから回転部材61に伝達する。すなわち、モータ12により駆動された回転伝達機構13のピニオン31と、中間ギヤ32と、遊星歯車機構33のサンギヤ35及びピニオンギヤ36cとにより、回転部材61が回転させられる。これにより、直動部材63が第2の方向D2へ移動し、ピストン42を第2の方向D2へ押す。
【0060】
第2の方向D2へ押されたピストン42は、ブレーキパッド51をディスクロータ52へ押し付ける。すなわち、ブレーキパッド51は、直動部材63の直動に応じてディスクロータ52に押し付けられる。これにより、ディスクロータ52と一体に回転する車両1のホイールが制動された、電動ブレーキ機能による制動状態が得られる。
【0061】
一方、モータ12が駆動軸12aを他方向に回転させると、回転伝達機構13が当該回転を出力軸36dから回転部材61に伝達する。これにより、直動部材63が第1の方向D1へ移動し、ピストン42が第1の方向D1へ移動する。
【0062】
ピストン42が移動することで、ピストン42のブレーキパッド51への押圧が解除され、ピストン42によるブレーキパッド51のディスクロータ52への押し付けが解除される。これにより電動ブレーキ機能による制動の解除状態が得られる。以上のように、モータ12、回転伝達機構13、回転直動変換機構14、及びブレーキキャリパ15は、電動ブレーキとして作動することができる。
【0063】
以上説明したブレーキ装置10は、図3に示すギヤアセンブリ70を有する。ギヤアセンブリ70は、遊星歯車機構33のプラネタリキャリア36及びリングギヤ37を有する。なお、ギヤアセンブリ70は、他のギヤを有しても良い。ギヤアセンブリ70は、ケーシング21の第2の凹部26に収容される。
【0064】
以下、ギヤアセンブリ70とケーシング21とについて詳しく説明する。ギヤアセンブリ70のリングギヤ37は、周壁71と、底壁72とを有する。また、上述のように、リングギヤ37は、アウターギヤ37aを有する。
【0065】
周壁71は、第2の中心軸Ax2の周方向に延びる略円筒状に形成される。周壁71は、外周面71aと、内周面71bとを有する。外周面71aは、径方向の外側に向く略円筒状の面である。内周面71bは、外周面71aの反対側に位置し、径方向の内側に向く略円筒状の面である。言い換えると、内周面71bは、第2の中心軸Ax2に向く。
【0066】
外周面71aの中心軸と、第2の中心軸Ax2とは、略一致する。このため、軸方向は、外周面71aの中心軸に沿う方向、すなわち外周面71aの軸方向でもある。また、径方向は、外周面71aの中心軸と直交する方向、すなわち外周面71aの径方向でもある。また、周方向(第1の周方向Da1及び第2の周方向Da2)は、外周面71aの中心軸まわりに回転する方向、すなわち外周面71aの周方向でもある。
【0067】
周壁71の内周面71bに、アウターギヤ37aが設けられる。また、周壁71の内側に、サンギヤ35のアウトプットギヤ35bと、プラネタリキャリア36のピニオンギヤ36cとが位置している。
【0068】
周壁71の外周面71aは、ギヤアセンブリ70の外周面である。サンギヤ35のアウトプットギヤ35bと、プラネタリキャリア36のピニオンギヤ36cと、リングギヤ37のアウターギヤ37aとは、外周面71aの内側に設けられて、互いに噛み合う。
【0069】
底壁72は、第1の方向D1における周壁71の内周面71bの端から張り出した、略円環状の壁である。底壁72は、プラネタリキャリア36のキャリアベース36aを、第2の方向D2に支持している。また、プラネタリキャリア36の出力軸36dが、底壁72の内側を通ってリングギヤ37の外部へ突出している。
【0070】
図5は、本実施形態のギヤアセンブリ70とケーシング21とを模式的に示す断面図である。図5は、周方向を平面状に展開して、ギヤアセンブリ70とケーシング21とを示している。すなわち、図5における左方向が第1の周方向Da1であり、図5における右方向が第2の周方向Da2である。
【0071】
図5に示すように、ギヤアセンブリ70のリングギヤ37は、第1のスライダ75と、第2のスライダ76と、第1の係合部77とをさらに有する。本実施形態のリングギヤ37は、周方向に間隔を介して配置された複数の第1のスライダ75、複数の第2のスライダ76、及び第1の係合部77を有する。
【0072】
第1のスライダ75は、周壁71の外周面71aから、径方向の外側に突出している。軸方向において、第1の方向D1における第1のスライダ75の端面75aは、第1の方向D1における周壁71の端面71cと略同一位置に配置される。さらに、軸方向において、第2の方向D2における第1のスライダ75の端面75bは、第2の方向D2における周壁71の端面71dと略同一位置に配置される。すなわち、軸方向における周壁71の長さと、軸方向における第1のスライダ75の長さとは、略等しい。なお、第1のスライダ75は、この例に限られない。
【0073】
第1のスライダ75は、側面75c,75dを有する。側面75dは、第2の端部の一例である。側面75cは、第1の周方向Da1における第1のスライダ75の端部であり、第1の周方向Da1に向く。側面75dは、側面75cの反対側に位置する。側面75dは、第2の周方向Da2における第1のスライダ75の端部であり、第2の周方向Da2に向く。
【0074】
径方向における周壁71が設けられた位置では、周壁71が無端状に延びている。しかし、径方向における第1のスライダ75が設けられた位置では、側面75cは、第1の周方向Da1におけるギヤアセンブリ70の端部の一つである。また、側面75dは、第2の周方向Da2におけるギヤアセンブリ70の端部の一つである。
【0075】
第2のスライダ76は、周壁71の外周面71aから径方向の外側に突出している。第2のスライダ76は、第1のスライダ75から周方向に離間している。第2のスライダ76は、第1の方向D1における周壁71の端面71cよりも、第2の方向D2における周壁71の端面71dの方に近い。なお、軸方向における第2のスライダ76の位置は、この例に限られない。
【0076】
第1の係合部77は、周方向において、第1のスライダ75と第2のスライダ76との間に位置する。軸方向において、第1の係合部77は、第2の方向D2における周壁71の端面71dよりも、第1の方向D1における周壁71の端面71cの方に近い。本実施形態において、第1の係合部77は、端面71cに隣接している。
【0077】
本実施形態において、第1の係合部77は、周壁71の外周面71aから、径方向の外側に突出している。なお、第1の係合部77は、この例に限られず、例えば外周面71aから径方向の内側に窪んだ凹部が設けられても良い。
【0078】
ケーシング21は、図3に示す内周面81及び壁部82と、図5に示す第1のストッパ83、第2のストッパ84、及び保持部85と、をさらに有する。図3の内周面81は、第2の凹部26の内周面であり、径方向の内側に向く略円筒状の面である。言い換えると、内周面81は、第2の中心軸Ax2に向く。
【0079】
内周面81の中心軸と、第2の中心軸Ax2とは、略一致する。このため、軸方向は、内周面81の中心軸に沿う方向、すなわち内周面81の軸方向でもある。また、径方向は、内周面81の中心軸と直交する方向、すなわち内周面81の径方向でもある。また、周方向(第1の周方向Da1及び第2の周方向Da2)は、内周面81の中心軸まわりに回転する方向、すなわち内周面81の周方向でもある。
【0080】
壁部82は、第1の方向D1における第2の凹部26の端26aから第2の方向D2に離間した位置で、内周面81から張り出した略円環状の壁である。第2の凹部26の端26aは、ケーシング21の端面21aに開口する。
【0081】
壁部82は、第2の凹部26と第3の凹部27との間を隔てる。壁部82は、サンギヤ35のインプットギヤ35aを、第2の方向D2に支持している。また、サンギヤ35のアウトプットギヤ35bが、略円環状の壁部82の内側を通って第2の凹部26へ突出している。
【0082】
壁部82は、底面82aを有する。底面82aは、第2の凹部26の底部であり、第1の方向D1に向く。底面82aは、プラネタリキャリア36のピニオンギヤ36cを、第1の方向D1に支持している。
【0083】
第2の凹部26にギヤアセンブリ70が収容されることで、ギヤアセンブリ70の外周面71aが、内周面81に面している。また、ギヤアセンブリ70の端面71dが、壁部82の底面82aに面している。
【0084】
図5に示すように、第1のストッパ83は、内周面81から径方向の内側に突出するとともに、軸方向に延びている。第1のストッパ83は、側面83aと、端部83bとを有する。側面83aは、第1の端部の一例である。
【0085】
側面83aは、第1の周方向Da1における第1のストッパ83の端部であり、第1の周方向Da1に向く。径方向における第1のストッパ83が設けられた位置では、側面83aは、第1の周方向Da1におけるケーシング21の端部の一つである。端部83bは、第1の方向D1における第1のストッパ83の端である。
【0086】
第2のストッパ84は、第1のストッパ83から第1の周方向Da1に離間した位置に設けられる。第2のストッパ84は、内周面81から径方向の内側に突出するとともに、軸方向に延びている。第2のストッパ84は、側面84aを有する。側面84aは、第2の周方向Da2における第2のストッパ84の端部であり、第2の周方向Da2に向く。
【0087】
保持部85は、内周面81から径方向の内側に突出している。保持部85は、略L字状に形成されており、レール85aと、ストッパ85bとを有する。レール85aは、壁部82から第1の方向D1に離間した位置に設けられ、周方向に延びている。ストッパ85bは、第1の周方向Da1におけるレール85aの端から、第2の方向D2に延びている。ストッパ85bは、壁部82に接続されても良い。
【0088】
ギヤアセンブリ70の第2のスライダ76は、壁部82と保持部85のレール85aとの間に位置する。保持部85のレール85aは、第2のスライダ76に当接することで、ギヤアセンブリ70がケーシング21に対して第1の方向D1に移動することを制限する。
【0089】
ギヤアセンブリ70の周壁71の端面71dは、壁部82の底面82aに面する。壁部82の底面82aは、周壁71の端面71dに当接することで、ギヤアセンブリ70がケーシング21に対して第2の方向D2に移動することを制限する。
【0090】
ギヤアセンブリ70の第1のスライダ75は、周方向において、第1のストッパ83と第2のストッパ84との間に位置する。第1のスライダ75の側面75cは、第2のストッパ84の側面84aに面する。第2のストッパ84の側面84aは、第1のスライダ75の側面75cに当接することで、ギヤアセンブリ70がケーシング21に対して第1の周方向Da1に移動することを制限する。
【0091】
ギヤアセンブリ70の第1のスライダ75の側面75dは、第1のストッパ83の側面83aから第1の周方向Da1に離間している。このため、第1のスライダ75の側面75dと、第1のストッパ83の側面83aと、の間に、空間Sが設けられる。径方向において、空間Sは、ギヤアセンブリ70の外周面71aと、ケーシング21の内周面81との間に設けられる。
【0092】
ブレーキ装置10は、空間Sに挿入される回り止め部材90をさらに有する。回り止め部材90は、例えば、合成樹脂により作られる。回り止め部材90の弾性係数は、リングギヤ37の弾性係数以下である。なお、回り止め部材90は、この例に限られない。
【0093】
図6は、本実施形態の回り止め部材90を示す斜視図である。図6に示すように、回り止め部材90は、ベース91と、第2の係合部92と、二つの突出部93とを有する。ベース91、第2の係合部92、及び突出部93は、一体に形成される。なお、ベース91、第2の係合部92、及び突出部93のうち少なくとも一つが他の部品と別の部品として形成されても良い。
【0094】
ベース91は、略四角形の板状に形成される。ベース91は、端部91a,91bと、側面91c,91dと、内面91eと、外面91fとを有する。なお、ベース91は、この例に限られず、他の形状を有しても良い。
【0095】
図5に示すように、端部91aは、第1の方向D1におけるベース91の端部である。端部91bは、第2の方向D2におけるベース91の端部である。側面91cは、第1の周方向Da1におけるベース91の端部である。側面91dは、第2の周方向Da2におけるベース91の端部である。内面91eは、径方向の内側に向く。外面91fは、径方向の外側に向く。
【0096】
ベース91は、第1のストッパ83の側面83aと、第1のスライダ75の側面75dとの間に介在する。周方向におけるベース91の長さは、周方向における空間Sの長さと同一か、僅かに短い。このため、ベース91は、周方向において空間Sを実質的に埋めている。
【0097】
側面91cは、第1のスライダ75の側面75dに面する。側面91dは、第1のストッパ83の側面83aに面する。側面91cが第1のスライダ75の側面75dに当接し、側面91dが第1のストッパ83の側面83aに当接することで、ベース91は、ギヤアセンブリ70がケーシング21に対して第2の周方向Da2に移動することを制限する。言い換えると、ベース91は、ハウジング11とギヤアセンブリ70とが、側面75dと側面83aとが近づく方向に相対的に移動することを制限する。
【0098】
端部91bは、壁部82の底面82aに面している。壁部82の底面82aは、端部91bに当接することで、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第2の方向D2へ移動することを制限する。
【0099】
図6に示すように、内面91eは、ギヤアセンブリ70の外周面71aに面する。外面91fは、ケーシング21の内周面81に面する。外周面71a及び内周面81は、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して径方向へ移動することを制限する。
【0100】
第2の係合部92は、ベース91の端部91aに設けられる。第2の係合部92は、スナップフィットアーム95と、係合面96とを有する。なお、第2の係合部92は、この例に限られない。
【0101】
スナップフィットアーム95は、ベース91の端部91aから、第2の中心軸Ax2に向かって斜めに延びている。このため、第1の方向D1におけるスナップフィットアーム95の端部95aは、第2の方向D2におけるスナップフィットアーム95の端部95bよりも、径方向の内側に位置する。
【0102】
係合面96は、スナップフィットアーム95の端部95aに設けられる。なお、係合面96は、スナップフィットアーム95の他の位置に設けられても良い。係合面96は、少なくとも部分的に第1の方向D1に向く曲面である。なお、係合面96は、この例に限られず、例えば他の方向に向いても良い。
【0103】
図7は、本実施形態のブレーキ装置10の一部を示す断面図である。図7に示すように、係合面96は、ギヤアセンブリ70に設けられた第1の係合部77に面する。係合面96は、第1の係合部77に当接することで、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを制限する。言い換えると、係合面96は、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを制限するように、第1の係合部77に引っかかる。
【0104】
以上のように、第1のスライダ75及び第1のストッパ83は、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して周方向に移動することを制限する。また、壁部82と、第1の係合部77及び第2の係合部92とは、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して軸方向に移動することを制限する。これにより、回り止め部材90は、空間Sから脱落することを抑制され、空間Sに保持される。
【0105】
スナップフィットアーム95は、係合面96が径方向の外側に移動するように弾性変形することができる。スナップフィットアーム95が弾性変形することで、係合面96が第1の係合部77から外れる。言い換えると、スナップフィットアーム95は、弾性変形することで、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを許容する位置へ係合面96を移動させる。
【0106】
図5に示すように、突出部93は、ベース91の端部91aから第1の方向D1に延びている。二つの突出部93は、略平行に延びている。第2の係合部92は、二つの突出部93の間に位置する。
【0107】
一方の突出部93は、第2の係合部92から第1の周方向Da1に離間している。他方の突出部94は、第2の係合部92から第2の周方向Da2に離間している。周方向(第1の周方向Da1)における突出部93と第2の係合部92との間の間隔は、周方向(第1の周方向Da1)における突出部93の最小の長さよりも短い。また、周方向における突出部93と第2の係合部92との間の間隔は、周方向(第1の周方向Da1)における第2の係合部92の最小の長さよりも短い。
【0108】
二つの突出部93は、周方向において、ベース91の側面91c,91dから内側に離間している。二つの突出部93は、第1のスライダ75の側面75dから離間するとともに、第1のストッパ83の側面83aから離間している。これにより、突出部93は、第1のスライダ75及び第1のストッパ83から荷重を受けることを抑制できる。
【0109】
軸方向において、回り止め部材90の長さは、周壁71の長さ以下である、より短い。また、軸方向において、第1の方向D1における突出部93の端部93aは、周壁71の端面71cと同一位置に配置されるか、端面71cから第2の方向D2に離間している。すなわち、突出部93は、周壁71の端面71cを越えて第1の方向D1に突出していない。なお、突出部93は、この例に限られない。
【0110】
回り止め部材90の色は、ケーシング21及びリングギヤ37の色と異なる。例えば、回り止め部材90は白色であり、ケーシング21及びリングギヤ37は黒色である。このため、リングギヤ37の第1の係合部77の色は、回り止め部材90の第2の係合部92の色と異なる。なお、第1の係合部77の色と第2の係合部92の色とが互いに異なれば、回り止め部材90、ケーシング21、及びリングギヤ37が同一色の部分を有しても良い。
【0111】
図8は、本実施形態の製造時におけるハウジング11及びギヤアセンブリ70を模式的に示す断面図である。図9は、本実施形態の製造時におけるハウジング11、ギヤアセンブリ70、及び回り止め部材90を模式的に示す断面図である。以下、ブレーキ装置10の製造時における、ハウジング11、ギヤアセンブリ70、及び回り止め部材90の組み立ての一例について説明する。
【0112】
まず、図8に示すように、第2の凹部26にギヤアセンブリ70が収容される。例えば、第1のスライダ75の側面75dが、第1のストッパ83の側面83aを摺動するように、ギヤアセンブリ70が第2の凹部26に第2の方向D2に挿入される。
【0113】
次に、ギヤアセンブリ70が、ケーシング21に対して第1の周方向Da1に回転させられる。これにより、第1のスライダ75が第1のストッパ83から離間し、第1のスライダ75の側面75cが第2のストッパ84の側面84aに近づく。さらに、第2のスライダ76が壁部82と保持部85のレール85aとの間に挿入され、レール85aを摺動する。
【0114】
軸方向において、第1の方向D1における第1のストッパ83の端部83bは、第1の係合部77から第2の方向D2に離間している。このため、ギヤアセンブリ70が第1の周方向Da1に回転する間、第1のストッパ83が第1の係合部77に干渉することが抑制される。
【0115】
図9に示すように、第1のスライダ75の側面75cが第2のストッパ84の側面84aに当接することで、ギヤアセンブリ70のさらなる回転が制限される。さらに、第2のスライダ76がレール85aに当接することで、ギヤアセンブリ70が第2の凹部26から第1の方向D1へ脱落することが制限される。
【0116】
次に、回り止め部材90が、第1のスライダ75と第1のストッパ83との間の空間Sへ、第2の方向D2に挿入される。すなわち、第2の方向D2は、回り止め部材90の挿入方向である。
【0117】
図6に示すように、ベース91の内面91eに、溝91gが設けられる。溝91gは、内面91eから径方向の外側に窪むとともに、端部91aから端部91bまで設けられている。回り止め部材90が空間Sに挿入される際、ベース91に溝91gが設けられることで、第1の係合部77がベース91に干渉することが抑制される。
【0118】
回り止め部材90が空間Sへ挿入される間、スナップフィットアーム95が、第1の係合部77によって径方向の外側へ押される。これにより、スナップフィットアーム95が弾性変形し、係合面96が第1の係合部77を乗り越える。
【0119】
図7に示すように、係合面96が第1の係合部77を乗り越えると、スナップフィットアーム95の弾性変形が解除され、スナップフィットアーム95の端部95aが周壁71の外周面71aに当接する。さらに、係合面96が第1の係合部77に面する。これにより、係合面96は、回り止め部材90がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを制限する。これにより、ハウジング11、ギヤアセンブリ70、及び回り止め部材90の組み立てが完了する。
【0120】
図10は、本実施形態のブレーキ装置10を第2の方向D2に見た平面図である。第2の係合部92は、第2の凹部26が開放された第1の方向D1におけるベース91の端部91aに設けられる。このため、回り止め部材90が空間Sへ挿入される間、第1の方向D1における第2の凹部26の端26aから、第2の係合部92が視認可能となっている。
【0121】
ブレーキ装置10を第2の方向D2に見ると、第1の係合部77に引っかかった係合面96は、第1の係合部77に覆われる。このため、作業者は、係合面96が第1の係合部77に覆われているか否かを視認することで、第1の係合部77と第2の係合部92とが確実に係合しているか否かを判断することができる。
【0122】
また、カメラが、第1の係合部77及び第2の係合部92を撮影しても良い。例えば、検査装置のコンピュータが、カメラにより撮影された画像を解析する。当該コンピュータは、画像から、係合面96が第1の係合部77に覆われることで当該画像に映っていないことを判定することで、第1の係合部77と第2の係合部92とが確実に係合しているか否かを判定することができる。
【0123】
上述のように、第2の係合部92が白色であり、第1の係合部77が黒色である。このため、コンピュータは、画像の輝度に基づき、第2の係合部92の係合面96が第1の係合部77に覆われているか否かを判定しやすい。
【0124】
第2の凹部26の端26aの近傍の空間は、ギヤアセンブリ70を第2の凹部26に挿入するために空けられている。このため、当該空間にカメラを配置することは容易であり、カメラによる検査のためにブレーキ装置10を回転させたりする必要はない。
【0125】
回り止め部材90が空間Sに挿入されるとき、例えば、治具が突出部93の端部93aに当接する。当該治具は、突出部93を第2の方向D2に押し、第2の係合部92からは離間する。このため、第2の係合部92が治具から荷重を受けることが抑制される。
【0126】
以上説明された実施形態に係るブレーキ装置10において、回り止め部材90のベース91は、ハウジング11の第1のストッパ83の側面83aと、ギヤアセンブリ70の第1のスライダ75の側面75dと、の間に介在して、ハウジング11とギヤアセンブリ70とが側面83aと側面75dとが近づく方向に相対的に移動することを制限する。回り止め部材90の第2の係合部92は、第1の方向D1におけるベース91の端部91aに設けられるとともに、ハウジング11及びギヤアセンブリ70のうち一方に設けられた第1の係合部77に少なくとも部分的に面してベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを制限する。すなわち、第1の係合部77に係合する第2の係合部92が、第1の方向D1におけるベース91の端部91aに設けられる。ハウジング11が収容される第2の凹部26は、第1の方向D1に開放される。このため、例えば作業者又はカメラは、開放された第1の方向D1における第2の凹部26の端26aを通じて、第1の係合部77と第2の係合部92とが係合しているか否かを視認することができる。例えば、第2の係合部92が第2の方向D2におけるベース91の端部91bに設けられる場合、第2の凹部26の内周面81から張り出した壁部82が当該第2の係合部92を覆うため、壁部82に孔を設けない限り、第1の係合部77と第2の係合部92との係合は視認困難となる。以上より、本実施形態のブレーキ装置10は、製造時に第1の係合部77と第2の係合部92とをより確実に係合可能とし、当該ブレーキ装置10の生産効率を向上させることができる。
【0127】
第1の係合部77は、スナップフィットアーム95と係合面96とを有する。スナップフィットアーム95は、弾性変形することで、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを許容する位置に係合面96を移動させることが可能である。このように、本実施形態のブレーキ装置10は、回り止め部材90に弾性変形するスナップフィットアーム95を設けることで、ハウジング11及びギヤアセンブリ70の形状が複雑になることを抑制でき、当該ブレーキ装置10の生産効率を向上させることができる。
【0128】
係合面96は、第1の方向D1におけるスナップフィットアーム95の端部95aに設けられる。これにより、例えば作業者又はカメラが、第1の係合部77と第2の係合部92とが係合しているか否かを容易に視認することができる。従って、本実施形態のブレーキ装置10は、製造時に第1の係合部77と第2の係合部92とをより確実に係合可能とし、当該ブレーキ装置10の生産効率を向上させることができる。
【0129】
第1の係合部77の色が、第2の係合部92の色と異なる。これにより、例えば作業者又はカメラが、第1の係合部77と第2の係合部92とが係合しているか否かを容易に視認することができる。従って、本実施形態のブレーキ装置10は、製造時に第1の係合部77と第2の係合部92とをより確実に係合可能とし、当該ブレーキ装置10の生産効率を向上させることができる。
【0130】
回り止め部材90は、第1の方向D1におけるベース91の端部91aから第1の方向D1に延びた突出部93を有する。これにより、例えば、回り止め部材90が第1のストッパ83の側面83aと第1のスライダ75の側面75dとの間の空間Sに挿入される際に、突出部93は、例えば治具から挿入作業の荷重を受け、当該荷重が第2の係合部92に作用することを抑制できる。従って、本実施形態のブレーキ装置10は、当該荷重により第2の係合部92が損傷することを抑制できるとともに、当該荷重により第1の係合部77と第2の係合部92との係合が阻害されることを抑制できる。
【0131】
回り止め部材90は、第1の方向D1におけるベース91の端部91aから第1の方向D1に延びた二つの突出部93を有する。第2の係合部92は、二つの突出部93の間に位置する。これにより、二つの突出部93が第2の係合部92を囲み、挿入作業の荷重が第2の係合部92に作用することを抑制できる。従って、本実施形態のブレーキ装置10は、当該荷重により第2の係合部92が損傷することを抑制できるとともに、当該荷重により第1の係合部77と第2の係合部92との係合が阻害されることを抑制できる。
【0132】
第1の周方向Da1における突出部93と第2の係合部92との間の間隔は、第1の周方向Da1における突出部93の最小の長さよりも短く、且つ第1の周方向Da1における第2の係合部92の最小の長さよりも短い。これにより、例えば、一つの回り止め部材90の突出部93又は第2の係合部92が、他の回り止め部材90の突出部93と第2の係合部92との間の間隔に入ってしまうことが抑制される。従って、本実施形態のブレーキ装置10は、複数の回り止め部材90が互いに絡み合うことを抑制し、当該ブレーキ装置10の生産効率を向上させることができる。
【0133】
図11は、本実施形態の第1の変形例に係るブレーキ装置10の一部を示す断面図である。図11の変形例では、第1の係合部77がギヤアセンブリ70に設けられる代わりに、第1の係合部100がケーシング21の内周面81に設けられる。第1の係合部100は、内周面81から径方向の内側へ突出している。
【0134】
第2の係合部92の係合面96は、ハウジング11の内周面81に設けられた第1の係合部100に面する。係合面96は、第1の係合部100に当接することで、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを制限する。以上のように、第1の係合部77,100は、ハウジング11に設けられても良いし、ギヤアセンブリ70に設けられても良い。また、第1の係合部77,100は、ハウジング11及びギヤアセンブリ70に設けられても良い。
【0135】
図12は、本実施形態の第2の変形例に係るブレーキ装置10の一部を示す断面図である。図12の変形例では、ギヤアセンブリ70は、第1の係合部77の代わりに、第1の係合部101を有する。第1の係合部101は、スナップフィットアームであり、弾性変形可能である。
【0136】
回り止め部材90は、第2の係合部92の代わりに、第2の係合部102を有する。第2の係合部102は、ベース91の端部91aに設けられる。第2の係合部102は、第1の係合部101に面して、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを制限する。
【0137】
第1の係合部101は、ベース91がハウジング11及びギヤアセンブリ70に対して第1の方向D1に移動することを許容するように、弾性変形することができる。回り止め部材90が空間Sへ挿入される間、第1の係合部101は、例えばベース91に押されて弾性変形する。
【0138】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0139】
10…ブレーキ装置、10a…減速装置、11…ハウジング、12…モータ、13…回転伝達機構、14…回転直動変換機構、26…第2の凹部(孔)、36c…ピニオンギヤ(ギヤ)、37a…アウターギヤ(ギヤ)、51…ブレーキパッド(制動部材)、52…ディスクロータ(ブレーキロータ)、61…回転部材、63…直動部材、70…ギヤアセンブリ、71a…外周面、75d…側面(第2の端部)、77,100,101…第1の係合部、81…内周面、82…壁部、83a…側面(第1の端部)、90…回り止め部材、91…ベース、91a…端部、92,102…第2の係合部、93…突出部、95…スナップフィットアーム、95a…端部、96…係合面、D1…第1の方向、D2…第2の方向、Da1…第1の周方向、Da2…第2の周方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12