(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-07
(45)【発行日】2024-10-16
(54)【発明の名称】ロータ、および回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 1/2706 20220101AFI20241008BHJP
H02K 1/22 20060101ALI20241008BHJP
【FI】
H02K1/2706
H02K1/22 A
(21)【出願番号】P 2020195512
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】田中 邦明
【審査官】北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-053757(JP,A)
【文献】特開2017-077044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
H02K 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータであって、
軸方向に延びるシャフトと、
前記シャフトが通された中央孔、および前記中央孔の径方向外側に位置する複数の収容穴を有し、前記シャフトに固定されたロータコアと、
前記複数の収容穴の内部にそれぞれ収容された複数のマグネットと、
を備え、
前記複数の収容穴は、周方向に互いに間隔を空けて配置された一対の収容穴を含み、
前記一対の収容穴は、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延び、
前記複数のマグネットは、前記一対の収容穴の内部にそれぞれ収容された一対のマグネットを含み、
前記一対のマグネットは、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延び、
前記一対の収容穴には、前記一対のマグネットのそれぞれに対して、軸方向に見て前記マグネットが延びる方向に沿った前記マグネットの径方向外側にはフラックスバリア部が設けられ、
前記一対のマグネットと前記フラックスバリア部と一対の前記収容
穴とを含む磁極部が周方向に沿って複数設けられ、
前記ロータコアは、周方向に隣り合う前記磁極部同士の間に位置する第1狭間部を有し、
前記第1狭間部は、周方向に隣り合う前記磁極部にそれぞれ含まれた前記フラックスバリア部によって周方向に挟まれており、
前記ロータコアの径方向外側面は、
前記第1狭間部を周方向に挟む一対の前記フラックスバリア部の径方向外側に位置する部分のそれぞれに設けられたコア凹部と、
前記一対のフラックスバリア部の径方向外側にそれぞれ位置する一対の前記コア凹部同士の周方向の間に位置するコア凸部と、
を有し、
前記第1狭間部は、周方向の寸法が径方向外側に向かって大きくなる拡幅部を有し、
前記拡幅部の径方向外端部は、前記コア凹部と前記フラックスバリア部との径方向の間に位置する第2狭間部と繋がっており、
前記ロータコアは、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数の貫通孔を有し、かつ、複数の板部材が軸方向に積層されて構成され、
前記複数の貫通孔は、前記中央孔よりも径方向外側で、かつ、前記収容穴よりも径方向内側に位置し、
積層された前記板部材同士は、前記板部材の一部がカシメられたカシメ部によって互いに固定され、
前記カシメ部は、周方向に隣り合う前記貫通孔同士の間の第1領域に位置し、かつ、前記一対の収容穴における径方向内端部同士の間に位置する第2領域の径方向内側に位置し、
前記第2領域の周方向の最大寸法は、前記第1領域の周方向の最小寸法よりも小さい、ロータ。
【請求項2】
前記第1狭間部の周方向両側の縁部は、軸方向に見て、
径方向外側に向かうに従って、前記第1狭間部の周方向両側の縁部のうち他方の縁部から周方向に離れる方向に延びる直線部と、
前記直線部の径方向外端部から前記他方の縁部に対して離れる向きに曲がり、前記第2狭間部の径方向内側の縁部に繋がる外側連結部と、
前記直線部の径方向内端部から前記他方の縁部に対して離れる向きに曲がり、前記収容穴の径方向内側の縁部に繋がる内側連結部と、
をそれぞれ有し、
前記外側連結部は、軸方向に見て、前記内側連結部よりも長い、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記内側連結部は、前記収容穴の内側に突出し前記マグネットを支持する支持部を有する、請求項2に記載のロータ。
【請求項4】
軸方向に見て、前記第1狭間部の周方向両側の縁部に設けられた各前記直線部のそれぞれに重なって延びる一対の第1仮想線が前記ロータコアの径方向外側面と交差する部分同士の周方向の距離は、前記コア凸部の径方向外側面における周方向の寸法と同じ、または前記コア凸部の径方向外側面における周方向の寸法よりも大きい、請求項2または3に記載のロータ。
【請求項5】
前記コア凸部の周方向両側の縁部は、前記第2狭間部の径方向外側の縁部に繋がる連結部を有し、
前記外側連結部は、軸方向に見て、前記連結部よりも長い、請求項2から4のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項6】
前記ロータコアの径方向外側面は、
前記ロータコアのうち半径が最大となる部分の径方向外側面であり、かつ、軸方向に見て前記中心軸を中心とする円弧状に延びる第1円弧部と、
軸方向に見て前記第1円弧部とは異なる曲率半径を有する円弧状に延びる第2円弧部と、
を有し、
前記コア凹部は、前記第2円弧部の周方向両端部に設けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項7】
前記コア凹部のうち最も径方向内側に位置する部分は、軸方向に見て、前記中心軸を通り前記第1狭間部の周方向一方側の縁部に接する第2仮想線と、前記第2仮想線との周方向の間で前記フラックスバリア部を挟み前記中心軸を通って前記フラックスバリア部の縁に接する第3仮想線との間に位置する、請求項1から6のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項8】
前記コア凹部のうち最も径方向内側に位置する部分は、軸方向に見て、前記中心軸を通り前記第2仮想線と前記第3仮想線とを周方向に二等分する第4仮想線よりも前記コア凹部に隣り合う前記コア凸部に近い位置に位置する、請求項7に記載のロータ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
を備える、回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、および回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータコアとロータコアに設けられた収容穴に配置されたマグネットとを備える回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、軸直交断面において外周側に向けて開いた態様の略V字状に配置された一対の永久磁石を備える回転電機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような回転電機のロータにおいては、トルクリップルの低減などの目的から、マグネットの径方向外側にフラックスバリア部が設けられ、かつ、フラックスバリア部の径方向外側に位置するロータコアの外周面に凹部が設けられる場合がある。このような場合、フラックスバリア部と凹部との間の部分が細くなり、ロータコアの剛性が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ロータコアの剛性を向上できる構造を有するロータ、および回転電機を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロータの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータであって、軸方向に延びるシャフトと、複数の収容穴を有し、前記シャフトに固定されたロータコアと、前記複数の収容穴の内部にそれぞれ収容された複数のマグネットと、を備える。前記複数の収容穴は、周方向に互いに間隔を空けて配置された一対の収容穴を含む。前記一対の収容穴は、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。前記複数のマグネットは、前記一対の収容穴の内部にそれぞれ収容された一対のマグネットを含む。前記一対のマグネットは、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。前記一対の収容穴には、前記一対のマグネットのそれぞれに対して、軸方向に見て前記マグネットが延びる方向に沿った前記マグネットの径方向外側にはフラックスバリア部が設けられている。前記一対のマグネットと前記フラックスバリア部とを含む磁極部が周方向に沿って複数設けられている。前記ロータコアは、周方向に隣り合う前記磁極部同士の間に位置する第1狭間部を有する。前記第1狭間部は、周方向に隣り合う前記磁極部にそれぞれ含まれた前記フラックスバリア部によって周方向に挟まれている。前記ロータコアの径方向外側面は、前記第1狭間部を周方向に挟む一対の前記フラックスバリア部の径方向外側に位置する部分のそれぞれに設けられたコア凹部と、前記一対のフラックスバリア部の径方向外側にそれぞれ位置する一対の前記コア凹部同士の周方向の間に位置するコア凸部と、を有する。前記第1狭間部は、周方向の寸法が径方向外側に向かって大きくなる拡幅部を有する。前記拡幅部の径方向外端部は、前記コア凹部と前記フラックスバリア部との径方向の間に位置する第2狭間部と繋がっている。
【0007】
本発明の回転電機の一つの態様は、上記のロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、ロータおよび回転電機において、ロータコアの剛性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態の回転電機を示す断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の回転電機の一部を示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の磁極部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のロータコアの一部を示す断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の第1狭間部および第2狭間部を示す断面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のロータにおける磁束の流れを示す断面図である。
【
図7】
図7は、一変形例のカシメ部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向、すなわち上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。各図に適宜示す矢印θは、周方向を示している。矢印θは、上側から見て中心軸Jを中心として時計回りの向きを向いている。以下の説明では、或る対象を基準として周方向のうち矢印θが向かう側、すなわち上側から見て時計回りに進む側を「周方向一方側」と呼び、或る対象を基準として周方向のうち矢印θが向かう側と逆側、すなわち上側から見て反時計回りに進む側を「周方向他方側」と呼ぶ。
【0011】
なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の回転電機1は、インナーロータ型の回転電機である。本実施形態において回転電機1は、モータである。回転電機1は、ハウジング2と、ロータ10と、ステータ60と、ベアリングホルダ4と、ベアリング5a,5bと、を備える。ハウジング2は、ロータ10、ステータ60、ベアリングホルダ4、およびベアリング5a,5bを内部に収容している。ハウジング2の底部は、ベアリング5bを保持している。ベアリングホルダ4は、ベアリング5aを保持している。ベアリング5a,5bは、例えば、ボールベアリングである。
【0013】
ステータ60は、ロータ10と隙間を介して対向している。ステータ60は、ロータ10の径方向外側に位置する。ステータ60は、ステータコア61と、インシュレータ64と、複数のコイル65と、を有する。ステータコア61は、環状のコアバック62と、コアバック62から径方向内側に突出する複数のティース63と、を有する。複数のコイル65は、インシュレータ64を介して複数のティース63にそれぞれ取り付けられている。
【0014】
ロータ10は、軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転可能である。
図2に示すように、ロータ10は、シャフト11と、ロータコア20と、複数のマグネット40と、を備える。シャフト11は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト11は、径方向に窪む凹部11aを有する。凹部11aは、シャフト11の外周面から径方向内側に窪んでいる。本実施形態において凹部11aは、中心軸Jを径方向に挟んで2つ設けられている。図示は省略するが、凹部11aは、例えば、軸方向に延びている。
図1に示すように、シャフト11は、ベアリング5a,5bによって中心軸J回りに回転可能に支持されている。
【0015】
ロータコア20は、磁性体である。ロータコア20は、シャフト11の外周面に固定されている。ロータコア20は、ロータコア20を軸方向に貫通する中央孔21を有する。
図2に示すように、中央孔21は、軸方向に見て、中心軸Jを中心とする略円形状である。中央孔21には、シャフト11が通されている。中央孔21は、径方向に突出する凸部22を有する。凸部22は、中央孔21の内周面から径方向内側に突出している。本実施形態において凸部22は、中心軸Jを径方向に挟んで2つ設けられている。2つの凸部22は、2つの凹部11aのそれぞれに嵌め合わされている。凸部22は、凹部11aに対して周方向に引っ掛かっている。これにより、シャフト11とロータコア20とが周方向に相対回転することが抑制されている。凸部22は、例えば、凹部11a内に圧入されている。
【0016】
ロータコア20は、中央孔21の径方向外側に位置する複数の収容穴30を有する。複数の収容穴30は、例えば、ロータコア20を軸方向に貫通している。複数の収容穴30の内部には、複数のマグネット40がそれぞれ収容されている。収容穴30内におけるマグネット40の固定方法は、特に限定されない。本実施形態では、収容穴30内のうちマグネット40が位置する部分以外の部分に樹脂が充填されることでマグネット40が収容穴30内に固定されている。複数の収容穴30は、一対の収容穴31a,31bを含む。
【0017】
複数のマグネット40の種類は、特に限定されない。マグネット40は、例えば、ネオジム磁石であってもよいし、フェライト磁石であってもよい。複数のマグネット40は、一対のマグネット41a,41bを含む。
【0018】
本実施形態において一対の収容穴31a,31bと一対のマグネット41a,41bとは、周方向に間隔を空けて複数ずつ設けられている。一対の収容穴31a,31bと一対のマグネット41a,41bとは、例えば、8つずつ設けられている。
【0019】
ロータ10には、一対の収容穴31a,31bと一対のマグネット41a,41bとを1つずつ含む磁極部70が周方向に沿って複数設けられている。磁極部70は、例えば、8つ設けられている。複数の磁極部70は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。複数の磁極部70は、ロータコア20の外周面における磁極がN極の磁極部70Nと、ロータコア20の外周面における磁極がS極の磁極部70Sと、を複数ずつ含む。磁極部70Nと磁極部70Sとは、例えば、4つずつ設けられている。4つの磁極部70Nと4つの磁極部70Sとは、周方向に沿って交互に配置されている。各磁極部70の構成は、ロータコア20の外周面の磁極が異なる点および周方向位置が異なる点を除いて、同様の構成である。
【0020】
図3に示すように、磁極部70において、一対の収容穴31a,31bは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。収容穴31aは、例えば、収容穴31bの周方向一方側(+θ側)に位置する。収容穴31a,31bは、例えば、軸方向に見て、径方向に対して斜めに傾いた方向に略直線状に延びている。一対の収容穴31a,31bは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、収容穴31aと収容穴31bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。収容穴31aは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向一方側に位置する。収容穴31bは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向他方側(-θ側)に位置する。一対の収容穴31a,31bは、例えば、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。収容穴31a,31bの径方向外側の端部は、ロータコア20の径方向外縁部に位置する。
【0021】
収容穴31aと収容穴31bとは、例えば、軸方向に見て、
図3に示す磁極中心線CL1を周方向に挟んで配置されている。磁極中心線CL1は、磁極部70の周方向中心と中心軸Jとを通り、径方向に延びる仮想線である。収容穴31aと収容穴31bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線CL1に対して線対称に配置されている。
【0022】
以下、磁極中心線CL1に対して線対称である点を除いて収容穴31aと同様の構成については、収容穴31bについての説明を省略する場合がある。また、以下の説明においては、各磁極部内において、或る対象を基準として周方向のうち磁極中心線CL1に近づく側を「周方向内側」と呼ぶ。
【0023】
収容穴31aは、本体部31cと、内端部31dと、外端部31eと、を有する。本体部31cは、軸方向に見て、収容穴31aが延びる方向に直線状に延びている。本体部31cは、例えば、軸方向に見て長方形状である。内端部31dは、本体部31cの径方向内側の端部に繋がっている。内端部31dは、収容穴31aの径方向内側の端部である。外端部31eは、本体部31cの径方向外側の端部に繋がっている。外端部31eは、収容穴31aの径方向外側の端部である。収容穴31bは、本体部31fと、内端部31gと、外端部31hと、を有する。
【0024】
一対のマグネット41a,41bは、一対の収容穴31a,31bの内部にそれぞれ収容されている。マグネット41aは、収容穴31aの内部に収容されている。マグネット41bは、収容穴31bの内部に収容されている。一対のマグネット41a,41bは、例えば、軸方向に見て長方形状である。図示は省略するが、マグネット41a,41bは、例えば、直方体状である。図示は省略するが、マグネット41a,41bは、例えば、収容穴31a,31b内の軸方向の全体に亘って設けられている。一対のマグネット41a,41bは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。マグネット41aは、例えば、マグネット41bの周方向一方側(+θ側)に位置する。
【0025】
マグネット41aは、軸方向に見て収容穴31aに沿って延びている。マグネット41bは、軸方向に見て収容穴31bに沿って延びている。マグネット41a,41bは、例えば、軸方向に見て、径方向に対して斜めに傾いた方向に略直線状に延びている。一対のマグネット41a,41bは、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、マグネット41aとマグネット41bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。
【0026】
マグネット41aは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向一方側(+θ側)に位置する。マグネット41bは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向他方側(-θ側)に位置する。一対のマグネット41a,41bは、例えば、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置されている。
【0027】
軸方向に見てV字形状に沿って配置されたマグネット41aとマグネット41bとの開き角度は、例えば、鈍角である。マグネット41aとマグネット41bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線CL1を周方向に挟んで配置されている。マグネット41aとマグネット41bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線CL1に対して線対称に配置されている。以下、磁極中心線CL1に対して線対称である点を除いてマグネット41aと同様の構成については、マグネット41bについての説明を省略する場合がある。
【0028】
マグネット41aは、収容穴31a内に嵌め合わされている。より詳細には、マグネット41aは、本体部31c内に嵌め合わされている。マグネット41aの側面のうち、本体部31cが延びる方向と直交する方向における径方向外側の面は、本体部31cの内側面と接触している。マグネット41aの側面のうち、本体部31cが延びる方向と直交する方向における径方向内側の面は、本体部31cの内側面から径方向外側に離れて配置されている。マグネット41aの側面のうち本体部31cが延びる方向と直交する方向における径方向内側の面と本体部31cの内側面との隙間には、例えば、樹脂が充填されている。
【0029】
軸方向に見て、マグネット41aの延伸方向の両端部は、収容穴31aの延伸方向の両端部からそれぞれ離れて配置されている。軸方向に見て、マグネット41aが延びる方向においてマグネット41aの両側には、内端部31dと外端部31eとがそれぞれ隣接して配置されている。
【0030】
内端部31dには樹脂が充填され、第1フラックスバリア部51aが構成されている。第1フラックスバリア部51aは、軸方向に見てマグネット41aが延びる方向に沿ったマグネット41aの径方向内側に設けられたフラックスバリア部である。外端部31eには樹脂が充填され、第2フラックスバリア部52aが構成されている。第2フラックスバリア部52aは、軸方向に見てマグネット41aが延びる方向に沿ったマグネット41aの径方向外側に設けられたフラックスバリア部である。つまり、ロータコア20は、軸方向に見て、マグネット41aが延びる方向においてマグネット41aを挟んで配置された第1フラックスバリア部51aおよび第2フラックスバリア部52aを有する。ロータコア20は、軸方向に見て、マグネット41bが延びる方向においてマグネット41bを挟んで配置された第1フラックスバリア部51bおよび第2フラックスバリア部52bを有する。
【0031】
このように、一対の収容穴31a,31bには、一対のマグネット41a,41bのそれぞれに対して、軸方向に見てマグネット41a,41bが延びる方向に沿ったマグネット41a,41bの径方向内側には第1フラックスバリア部51a,51bが設けられ、軸方向に見てマグネット41a,41bが延びる方向に沿ったマグネット41a,41bの径方向外側には第2フラックスバリア部52a,52bが設けられている。一対の第1フラックスバリア部51a,51bおよび一対の第2フラックスバリア部52a,52bは、それぞれ1つずつ各磁極部70に含まれている。
【0032】
なお、本明細書において「軸方向に見て、マグネットが延びる方向」とは、例えば本実施形態のマグネット41a,41bのようにマグネットが軸方向に見て長方形状の場合、長方形状のマグネットの長辺が延びる方向である。つまり、本実施形態において、軸方向に見て、マグネット41aが延びる方向とは、軸方向に見て長方形状のマグネット41aの長辺が延びる方向である。軸方向に見て、マグネット41bが延びる方向とは、軸方向に見て長方形状のマグネット41bの長辺が延びる方向である。
【0033】
また、本明細書において「フラックスバリア部」とは、磁束の流れを抑制できる部分である。つまり、各フラックスバリア部には、磁束が通りにくい。各フラックスバリア部は、磁束の流れを抑制できるならば、特に限定されず、空隙部を含んでもよいし、樹脂以外の非磁性部を含んでもよい。
【0034】
マグネット41aの磁極は、軸方向に見てマグネット41aが延びる方向と直交する方向に沿って配置されている。マグネット41bの磁極は、軸方向に見てマグネット41bが延びる方向と直交する方向に沿って配置されている。マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極とマグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、互いに同じである。マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極とマグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、互いに同じである。
【0035】
磁極部70Nにおいて、マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極とマグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、例えば、N極である。磁極部70Nにおいて、マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極とマグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、例えば、S極である。
【0036】
図示は省略するが、磁極部70Sにおいては、磁極部70Nに対して、各マグネット40の磁極が反転して配置されている。つまり、磁極部70Sにおいて、マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極とマグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、例えば、S極である。磁極部70Sにおいて、マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極とマグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、例えば、N極である。
【0037】
ロータコア20は、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第3フラックスバリア部53を有する。複数の第3フラックスバリア部53は、中央孔21よりも径方向外側で、かつ、収容穴30よりも径方向内側に位置するフラックスバリア部である。本実施形態において第3フラックスバリア部53は、ロータコア20を軸方向に貫通する貫通孔32である。
図2に示すように、複数の第3フラックスバリア部53は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。第3フラックスバリア部53は、例えば、8つ設けられている。なお、第3フラックスバリア部53は、ロータコア20を軸方向に貫通する貫通孔32の内部に樹脂が充填されて構成されてもよい。
【0038】
各第3フラックスバリア部53の周方向位置は、周方向に隣り合う磁極部70同士の間の周方向位置である。第3フラックスバリア部53の周方向中心は、例えば、周方向に隣り合う磁極部70同士の間の周方向中心と周方向位置が同じである。第3フラックスバリア部53は、周方向に隣り合う磁極部70のうち一方の磁極部70における収容穴31aの径方向内側と他方の磁極部70における収容穴31bの径方向内側とに跨って配置されている。
【0039】
本実施形態において第3フラックスバリア部53は、軸方向に見て、径方向外側に凸となる角丸の三角形状である。
図3に示すように、第3フラックスバリア部53の周方向の両縁部は、例えば、軸方向に見て、各縁部の径方向外側に位置する収容穴30に収容されたマグネット40が延びる方向と平行に延びている。第3フラックスバリア部53の径方向内側の縁部は、例えば、中心軸Jを中心とする円弧状である。
【0040】
図4に示すように、ロータコア20は、複数の板部材20aが軸方向に積層されて構成されている。板部材20aは、板面が軸方向を向く板状である。板部材20aは、例えば、電磁鋼板である。板部材20aは、板部材20aの一部が軸方向にカシメられたカシメ部23を有する。本実施形態においてカシメ部23は、板部材20aの一部がプレス加工などにより上側から下側にカシメられた部分である。カシメ部23は、板部材20aの下側の面において下側に突出している。カシメ部23が作られることで、板部材20aの上側の面には、下側に窪むカシメ凹部23aが設けられている。
【0041】
軸方向に隣り合って積層された板部材20aは、下側に位置する板部材20aのカシメ凹部23aに、上側に位置する板部材20aのカシメ部23が嵌め込まれて固定されている。このように積層された板部材20a同士は、板部材20aの一部がカシメられたカシメ部23によって互いに固定されている。カシメ部23は、ロータコア20のうちカシメ部23が設けられていない部分に比べて、磁気抵抗が高い。つまり、カシメ部23においては、ロータコア20のうちカシメ部23が設けられていない部分に比べて磁束が通りにくい。
【0042】
図3に示すように、本実施形態においてカシメ部23は、軸方向に見て、径方向に延びている。カシメ部23は、例えば、径方向に長い長方形状である。カシメ部23は、周方向に隣り合う第3フラックスバリア部53同士の間の第1領域24に位置する。第1領域24は、径方向位置が第3フラックスバリア部53の径方向位置に含まれる領域である。第1領域24は、軸方向に見て、周方向に隣り合う一対の第3フラックスバリア部53の周方向縁部のうち他方の第3フラックスバリア部53側に位置する各縁部と、仮想円IC1と、仮想円IC2とで囲まれた領域である。
【0043】
仮想円IC1は、中心軸Jを中心とし、第3フラックスバリア部53の径方向外端部に接する仮想円である。仮想円IC2は、中心軸Jを中心とし、第3フラックスバリア部53の径方向内端部に接する仮想円である。本実施形態において仮想円IC2は、軸方向に見て、第3フラックスバリア部53の円弧状の径方向内縁部と重なっている。本実施形態において第1領域24の径方向外側部分は、径方向外側に向かうに従って周方向の寸法が大きくなっている。第1領域24は、周方向に隣り合う第3フラックスバリア部53の間ごとに設けられている。つまり、第1領域24は、周方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0044】
本実施形態においてカシメ部23の少なくとも一部は、第1領域24の径方向の中心よりも径方向内側に位置する。第1領域24の径方向の中心は、第3フラックスバリア部53の径方向の中心と同じ径方向位置に位置する。第1領域24の径方向の中心は、
図3に示す仮想円IC3上に位置する。仮想円IC3は、仮想円IC1と仮想円IC2との間の径方向の中心を通る仮想円である。仮想円IC3は、仮想円IC1と仮想円IC2との間を径方向に二等分している。カシメ部23の少なくとも一部は、仮想円IC3よりも径方向内側に位置する。本実施形態では、カシメ部23のうち径方向外端部以外の部分が、第1領域24の径方向の中心、つまり仮想円IC3よりも径方向内側に位置する。つまり、本実施形態においてカシメ部23は、第1領域24において径方向内側寄りに配置されている。
【0045】
なお、本明細書において「カシメ部が第1領域において径方向内側寄りに配置されている」とは、カシメ部における径方向の中心が、第1領域の径方向の中心よりも径方向内側に位置していればよい。
【0046】
カシメ部23は、一対の収容穴31a,31bにおける径方向内端部同士の間に位置する第2領域25の径方向内側に位置する。第2領域25は、ロータコア20のうち、一対の収容穴31a,31bにおける周方向内側の縁部同士の間の領域である。第2領域25は、径方向に延びている。第2領域25は、ロータコア20のうち一対の収容穴31a,31bの径方向内側に位置する部分とロータコア20のうち一対の収容穴31a,31bの径方向外側に位置する部分とを径方向に繋いでいる。第2領域25の周方向の寸法は、例えば、径方向両端部を除いて均一である。第2領域25の径方向内端部は、径方向内側に向かうに従って周方向の寸法が大きくなっている。第2領域25の径方向外端部は、径方向外側に向かうに従って周方向の寸法が大きくなっている。第2領域25の周方向の最大寸法は、第1領域24の周方向の最小寸法よりも小さい。
【0047】
なお、本明細書において「或る対象が他の対象の径方向内側に位置する」とは、或る対象が他の対象よりも径方向内側に位置し、かつ、或る対象の少なくとも一部の周方向位置が、他の対象の周方向位置に含まれていればよい。つまり、本実施形態において「カシメ部23が第2領域25の径方向内側に位置する」とは、カシメ部23が第2領域25よりも径方向内側に位置し、かつ、カシメ部23の少なくとも一部の周方向位置が、第2領域25の周方向位置に含まれていればよい。本実施形態では、カシメ部23の全体の周方向位置が、第2領域25の周方向位置に含まれている。
【0048】
カシメ部23の周方向の最大寸法は、第2領域25の周方向の最小寸法よりも小さい。カシメ部23は、第2領域25の径方向内側の延長線上に配置されている。カシメ部23は、軸方向に見て、磁極中心線CL1上に配置されている。カシメ部23の周方向の中心には、軸方向に見て、磁極中心線CL1が通っている。
【0049】
本実施形態においてカシメ部23の少なくとも一部は、軸方向に見て、一対の収容穴31a,31bのうち一方の収容穴31aが延びる方向と平行で一方の収容穴31aの径方向内側の縁に沿った第1仮想線IL1aと、第1仮想線IL1aと平行で第3フラックスバリア部53の縁に径方向外側から接する第2仮想線IL1bとの径方向の間に位置する。第1仮想線IL1aは、軸方向に見て、収容穴31aの本体部31cにおける径方向内側の縁に沿って延びている。第1仮想線IL1aは、軸方向に見て、本体部31cにおける径方向内側の縁と重なっている。第2仮想線IL1bは、軸方向に見て、収容穴31aの径方向内側に位置する第3フラックスバリア部53の周方向内側(-θ側)の縁に沿って延びており、当該縁と重なっている。本実施形態においてカシメ部23は、全体が第1仮想線IL1aと第2仮想線IL1bとの径方向の間に位置する。
【0050】
本実施形態においてカシメ部23の少なくとも一部は、軸方向に見て、第1仮想線IL1aおよび第2仮想線IL1bと平行に延び第1仮想線IL1aと第2仮想線IL1bとの間を二等分する第3仮想線IL1cよりも径方向内側に位置する。本実施形態では、カシメ部23の全体が、第3仮想線IL1cよりも径方向内側に位置する。本実施形態においてカシメ部23の全体は、第2仮想線IL1bと第3仮想線IL1cとの径方向の間に位置する。
【0051】
図3に示す第1仮想線IL2a、第2仮想線IL2b、および第3仮想線IL2cは、一対の収容穴31a,31bのうち他方の収容穴31bと収容穴31bの径方向内側に位置する第3フラックスバリア部53とに対して、磁極中心線CL1を挟んで線対称である点を除いて、第1仮想線IL1a、第2仮想線IL1b、および第3仮想線IL1cのそれぞれと同様に設けられている。第1仮想線IL2a、第2仮想線IL2b、および第3仮想線IL2cに対するカシメ部23の配置関係は、磁極中心線CL1を挟んで線対称である点を除いて、第1仮想線IL1a、第2仮想線IL1b、および第3仮想線IL1cに対するカシメ部23の配置関係と同様である。
【0052】
カシメ部23は、板部材20aごとに複数ずつ設けられている。各板部材20aにおいて、複数のカシメ部23は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。カシメ部23は、複数の第1領域24ごとに1つずつ設けられている。
【0053】
本実施形態においてカシメ部23は、凸部22の径方向外側に位置するカシメ部23を含む。
図2に示すように、本実施形態では、中心軸Jを径方向に挟んで2つ設けられた凸部22のそれぞれの径方向外側に1つずつカシメ部23が設けられている。
【0054】
なお、本明細書において「或る対象が他の対象の径方向外側に位置する」とは、或る対象が他の対象よりも径方向外側に位置し、かつ、或る対象の少なくとも一部の周方向位置が、他の対象の周方向位置に含まれていればよい。つまり、本実施形態において「カシメ部23が凸部22の径方向外側に位置する」とは、カシメ部23が凸部22よりも径方向外側に位置し、かつ、カシメ部23の少なくとも一部の周方向位置が、第2領域25の周方向位置に含まれていればよい。本実施形態では、カシメ部23の全体の周方向位置が、凸部22の周方向位置に含まれている。カシメ部23の周方向中心と凸部22の周方向中心とは、例えば、周方向位置が同じである。
【0055】
図5に示すように、ロータコア20は、周方向に隣り合う磁極部70N,70S同士の間に位置する第1狭間部26を有する。第1狭間部26は、周方向に沿って複数設けられている。第1狭間部26は、周方向に隣り合う磁極部70N,70Sにそれぞれ含まれた第2フラックスバリア部52a,52bによって周方向に挟まれている。
図5の例では、第1狭間部26は、磁極部70Nの第2フラックスバリア部52bと、磁極部70Nの周方向他方側(-θ側)に隣り合う磁極部70Sの第2フラックスバリア部52aとによって周方向に挟まれている。第1狭間部26は、径方向に延びている。
【0056】
第1狭間部26は、周方向の寸法が径方向外側に向かって大きくなる拡幅部26iを有する。本実施形態において拡幅部26iは、第1狭間部26の径方向外側部分である。拡幅部26iの径方向外端部は、ロータコア20の外周面と第2フラックスバリア部52a,52bとの径方向の間に位置する第2狭間部27a,27bと繋がっている。
【0057】
第2狭間部27aは、ロータコア20の外周面と第2フラックスバリア部52bとの径方向の間に位置し、拡幅部26iの径方向外端部における周方向一方側(+θ側)の端部に繋がっている。第2狭間部27aは、後述するコア凹部29eと第2フラックスバリア部52bとの径方向の間に位置する。第2狭間部27bは、ロータコア20の外周面と第2フラックスバリア部52aとの径方向の間に位置し、拡幅部26iの径方向外端部における周方向他方側(-θ側)の端部に繋がっている。第2狭間部27bは、後述するコア凹部29fと第2フラックスバリア部52aとの径方向の間に位置する。第2狭間部27a,27bは、周方向に延びている。第2狭間部27a,27bは、第1狭間部26と一対のマグネット41a,41bの径方向外側に位置する部分とを周方向に繋いでいる。
【0058】
第1狭間部26の周方向両側の縁部26a,26bは、軸方向に見て、直線部26c,26fと、外側連結部26d,26gと、内側連結部26e,26hと、をそれぞれ有する。第1狭間部26の周方向一方側(+θ側)の縁部26aは、直線部26c、外側連結部26d、および内側連結部26eによって構成されている。第1狭間部26の周方向他方側(-θ側)の縁部26bは、直線部26f、外側連結部26g、および内側連結部26hによって構成されている。
【0059】
直線部26cは、軸方向に見て、径方向外側に向かうに従って、第1狭間部26の周方向両側の縁部26a,26bのうち他方の縁部26bから周方向に離れる方向に直線状に延びている。直線部26cは、拡幅部26iの周方向縁部の一部を構成している。外側連結部26dは、軸方向に見て、直線部26cの径方向外端部から他方の縁部26bに対して離れる向き(+θ向き)に曲がり、第2狭間部27aの径方向内側の縁部に繋がっている。本実施形態において外側連結部26dは、軸方向に見て、円弧状である。
【0060】
内側連結部26eは、直線部26cの径方向内端部から他方の縁部26bに対して離れる向きに曲がり、収容穴31bの径方向内側の縁部に繋がっている。内側連結部26eの形状は、板部材20aによって異なっている。具体的には、板部材20aは、内側連結部26eを構成する部分に支持部28aが設けられた板部材20aと、内側連結部26eを構成する部分に支持部28aが設けられていない板部材20aと、を含む。本実施形態では、これらの2種類の板部材20aは、軸方向に沿って交互に積層されている。支持部28aは、収容穴31bの内側に突出している部分である。支持部28aは、マグネット41bを、軸方向に見てマグネット41bが延びる方向に沿った径方向外側から支持している。このように、本実施形態において内側連結部26eは、収容穴31bの内側に突出しマグネット41bを支持する支持部28aを有する。支持部28aの一部は、例えば、直線部26cに設けられている。なお、上述の2種類の板部材20aは、それぞれ、複数枚ずつ積層された積層体が、交互に積層されてもよい。すなわち、支持部28aが設けられた複数の板部材20aが積層された積層体と、支持部28aが設けられていない複数の板部材20aが積層された積層体とが、軸方向に沿って積層されてもよい。
【0061】
ここで、本実施形態において内端部31gには、収容穴31bの内側に突出しマグネット41bを支持する支持部28bが設けられている。支持部28bは、マグネット41bを、軸方向に見てマグネット41bが延びる方向に沿った径方向内側から支持している。これにより、マグネット41bは、一対の支持部28a,28bによって、軸方向に見てマグネット41bが延びる方向の両側から支持されている。これは、マグネット41aについても同様である。
【0062】
内側連結部26eのうち支持部28aが設けられていない部分は、軸方向に見て、円弧状である。内側連結部26eの曲率半径は、外側連結部26dの曲率半径よりも小さい。言い換えれば、外側連結部26dの曲率半径は、内側連結部26eの曲率半径よりも大きい。これにより、本実施形態において外側連結部26dは、軸方向に見て、内側連結部26eよりも長い。
【0063】
縁部26bに設けられた直線部26fは、直線部26cに対して、中心軸Jおよび第1狭間部26の周方向中心を通って径方向に延びる中心線CL2を挟んで線対称に設けられている。縁部26bに設けられた外側連結部26gは、外側連結部26dに対して、中心線CL2を挟んで線対称に設けられている。縁部26bに設けられた内側連結部26hは、内側連結部26eに対して、中心線CL2を挟んで略線対称に設けられている。
図5の例に示す板部材20aにおいては、内側連結部26eには支持部28aが設けられているのに対して、内側連結部26hには支持部28aが設けられていない。
【0064】
ロータコア20の径方向外側面は、径方向内側に窪むコア凹部29e,29fと、径方向外側に突出するコア凸部29dと、を有する。コア凹部29e,29fは、第1狭間部26を周方向に挟む一対の第2フラックスバリア部52a,52bの径方向外側に位置する部分のそれぞれに設けられている。コア凹部29eは、第2フラックスバリア部52bの径方向外側に位置する。コア凹部29fは、第2フラックスバリア部52aの径方向外側に位置する。コア凸部29dは、一対の第2フラックスバリア部52a,52bの径方向外側にそれぞれ位置する一対のコア凹部29e,29f同士の周方向の間に位置する。コア凹部29e,29fおよびコア凸部29dは、例えば、ロータコア20の軸方向の全体に亘って設けられている。
【0065】
コア凹部29e,29fは、周方向に延びている。本実施形態においてコア凹部29e,29fの径方向位置は、コア凸部29dと周方向に隣り合う部分において最も径方向内側となり、当該最も径方向内側に位置する部分からコア凸部29dに対して周方向に離れていくに従って、径方向外側となる。コア凹部29e,29fの内縁形状は、軸方向に見て、曲線状に延びている。コア凸部29dを周方向に挟んで設けられた一対のコア凹部29e,29fは、軸方向に見て、中心線CL2を挟んで互いに線対称な形状である。そのため、以下の説明においては、一対のコア凹部29e,29fのうち代表して周方向一方側(+θ側)に位置するコア凹部29eについてのみ説明する場合がある。
【0066】
本実施形態においてコア凹部29eのうち最も径方向内側に位置する部分は、軸方向に見て、中心軸Jを通り第1狭間部26の周方向一方側(+θ側)の縁部26aに接する第2仮想線IL4aと、第2仮想線IL4aとの周方向の間で第2フラックスバリア部52bを挟み中心軸Jを通って第2フラックスバリア部52bの縁に接する第3仮想線IL4bとの間に位置する。本実施形態において第3仮想線IL4bは、軸方向に見て、マグネット41bの角部のうち周方向他方側(-θ側)かつ径方向外側に位置する角部を通っている。
【0067】
本実施形態においてコア凹部29eのうち最も径方向内側に位置する部分は、軸方向に見て、中心軸Jを通り第2仮想線IL4aと第3仮想線IL4bとを周方向に二等分する第4仮想線IL4cよりもコア凹部29eに隣り合うコア凸部29dに近い位置に位置する。本実施形態においてコア凹部29eのうち最も径方向内側に位置する部分は、第4仮想線IL4cよりも周方向他方側(-θ側)に位置する。
【0068】
本実施形態において、軸方向に見て、第1狭間部26の周方向両側の縁部26a,26bに設けられた各直線部26c,26fのそれぞれに重なって延びる一対の第1仮想線IL3a,IL3bがロータコア20の径方向外側面と交差する部分同士の周方向の距離は、コア凸部29dの径方向外側面における周方向の寸法と同じである。第1仮想線IL3aは、軸方向に見て、直線部26cに沿って延び、コア凸部29dの径方向外側面における周方向一方側(+θ側)の端部を通っている。第1仮想線IL3bは、軸方向に見て、直線部26fに沿って延び、コア凸部29dの径方向外側面における周方向他方側(-θ側)の端部を通っている。
【0069】
コア凸部29dの周方向両側の縁部は、第2狭間部27a,27bの径方向外側の縁部に繋がる連結部29cを有する。連結部29cは、コア凹部29e,29fの縁部の一部を構成している。本実施形態において連結部29cは、軸方向に見て、径方向内側に窪む円弧状である。連結部29cの曲率半径は、外側連結部26dの曲率半径よりも小さい。言い換えれば、外側連結部26dの曲率半径は、連結部29cの曲率半径よりも大きい。これにより、外側連結部26dは、軸方向に見て、連結部29cよりも長い。
【0070】
コア凸部29dおよび一対のコア凹部29e,29fは、周方向に沿って複数設けられている。コア凸部29dおよび一対のコア凹部29e,29fは、第1狭間部26ごとに設けられている。
【0071】
コア凹部29e,29fおよびコア凸部29dが設けられることで、ロータコア20の径方向外側面は、軸方向に見て、第1円弧部29aと、第2円弧部29bと、を有する形状になっている。第1円弧部29aは、ロータコア20のうち半径が最大となる部分の径方向外側面である。第1円弧部29aは、軸方向に見て中心軸Jを中心とする円弧状に延びている。本実施形態において第1円弧部29aは、コア凸部29dの径方向外側面によって構成されている。
【0072】
第2円弧部29bは、軸方向に見て第1円弧部29aとは異なる曲率半径を有する円弧状に延びている。第2円弧部29bの曲率半径は、第1円弧部29aの曲率半径よりも小さい。軸方向に見て、第2円弧部29bの周方向の中心には、磁極中心線CL1が通っている。第2円弧部29bの周方向中心における径方向位置は、第1円弧部29aの径方向位置と同じである。つまり、第2円弧部29bの周方向中心においても、ロータコア20の半径が最大となっている。
【0073】
第1円弧部29aと第2円弧部29bとは、複数ずつ設けられている。第1円弧部29aと第2円弧部29bとは、周方向に沿って交互に設けられている。本実施形態においてコア凹部29e,29fは、第2円弧部29bの周方向両端部にそれぞれ設けられている。
【0074】
図6に示すように、ステータ60に電力が供給されると、ステータ60からロータコア20内を通って再びステータ60に戻る磁束MF1,MF3が生じる。磁束MF1は、一対のマグネット41a,41bと第3フラックスバリア部53との径方向の間を通る磁束である。磁束MF1は、第1円弧部29aからロータコア20内に流入し、一対のマグネット41a,41bと第3フラックスバリア部53との径方向の間を径方向内側に凸となる曲線状に流れる。一対のマグネット41a,41bと第3フラックスバリア部53との径方向の間を流れる磁束MF1は、流入した第1円弧部29aに対して第2円弧部29bを挟んで隣り合う第1円弧部29aからロータコア20の外部に流出し、ステータ60に戻る。磁束MF3は、第2円弧部29bからロータコア20内に流入し、第2狭間部27a,27bを通って、第1円弧部29aからステータ60に戻る。
【0075】
また、マグネット40によって、ロータコア20とステータ60との間を流れる磁束MF2が生じる。磁束MF2は、異なる磁極部70に設けられ互いに周方向に間隔を空けて隣り合って配置されたマグネット41a,41bを径方向に通る。磁束MF2は、径方向内側に凸となる曲線状に、ロータコア20内を流れる。
図6の例では、磁束MF2は、第2円弧部29bからロータコア20の外部に流出し、ステータ60に流れる。
【0076】
本実施形態によれば、カシメ部23は、周方向に隣り合う貫通孔32同士の間の第1領域24に位置する。ここで、貫通孔32(第3フラックスバリア部53)は、磁束が通りにくい部分である。そのため、貫通孔32同士の周方向の間の第1領域24は、磁束が通る磁路となりにくい。これにより、第1領域24にカシメ部23を設ければ、カシメ部23がロータコア20内を流れる磁束を阻害しにくい。具体的には、第1領域24にカシメ部23を設ければ、
図6に示す磁束MF1がカシメ部23によって阻害されることを抑制できる。また、比較的磁気抵抗が高いカシメ部23によって、貫通孔32同士の間から径方向内側に磁束MF1が漏れることを抑制できる。これらにより、回転電機1の磁気効率が低下することを抑制できる。
【0077】
また、貫通孔32(第3フラックスバリア部53)が設けられた部分は、例えば、ロータコア20を軸方向に貫通する孔が設けられることなどにより、ロータコア20の他の部分よりも質量が小さくなりやすい。そのため、貫通孔32が設けられることでロータコア20を軽量化できる。
【0078】
また、貫通孔32(第3フラックスバリア部53)が設けられた部分は、例えば、ロータコア20を軸方向に貫通する貫通孔32が設けられることなどにより、剛性が低下しやすい。これに対して、カシメ部23は、一部が軸方向にカシメられた形状となることで、ロータコア20の他の部分よりも剛性が高くなりやすい。そのため、貫通孔32同士の間の第1領域24にカシメ部23を設けることで、ロータコア20のうち剛性が低下しやすい部分を補強することができる。
【0079】
また、ロータ10が回転した際、第1領域24には周方向の応力が発生しやすい。特に、本実施形態のようにロータコア20を軸方向に貫通する貫通孔32が設けられることなどにより、第1領域24の周辺においてロータコア20の剛性が低下していると、第1領域24において周方向のねじれ応力が発生しやすい。これに対して、第1領域24にカシメ部23を設けることで、ロータコア20のうち剛性が低下しやすい部分を補強することができるため、周方向の応力が生じても第1領域24が変形などすることを抑制できる。
【0080】
また、貫通孔32(第3フラックスバリア部53)同士の間の第1領域24は、ロータコア20のうちで比較的広く確保しやすい領域である。そのため、第1領域24には、カシメ部23を好適に設けやすい。これにより、カシメ部23によって、板部材20a同士を好適に固定できる。
【0081】
また、本実施形態によれば、カシメ部23の少なくとも一部は、第1領域24の径方向の中心よりも径方向内側に位置する。そのため、カシメ部23を径方向内側寄りに配置しやすく、カシメ部23が磁束MF1をより阻害しにくくできる。これにより、回転電機1の磁気効率が低下することをより抑制できる。
【0082】
また、本実施形態によれば、カシメ部23は、第1領域24において径方向内側寄りに配置されている。そのため、カシメ部23が磁束MF1をより阻害しにくくできる。これにより、回転電機1の磁気効率が低下することをより抑制できる。
【0083】
また、本実施形態によれば、カシメ部23は、軸方向に見て、径方向に延びている。そのため、カシメ部23の周方向の寸法を比較的小さくしやすい。これにより、カシメ部23と貫通孔32(第3フラックスバリア部53)との周方向の間隔を確保しつつ、貫通孔32同士の間隔を小さくしやすい。したがって、第1領域24における強度を確保しつつ、貫通孔32を大きくしやすい。そのため、ロータコア20の強度を確保しつつ、貫通孔32同士の間から径方向内側に磁束MF1が漏れることを抑制できる。そのため、回転電機1の磁気効率が低下することをより抑制できる。また、貫通孔32を大きくできることにより、ロータコア20をより軽量化できる。
【0084】
また、本実施形態によれば、カシメ部23は、一対の収容穴31a,31bにおける径方向内端部同士の間に位置する第2領域25の径方向内側に位置する。第2領域25は、比較的狭くなりやすく、剛性が比較的小さくなりやすい。そのため、第2領域25の径方向内側にカシメ部23を設けることで、第2領域25の剛性を補強しやすい。また、比較的狭い第2領域25を避けてカシメ部23を配置できることにより、カシメ部23によって好適に板部材20a同士を固定しやすい。
【0085】
また、本実施形態によれば、カシメ部23の少なくとも一部は、軸方向に見て、一対の収容穴31a,31bのうち一方の収容穴31aが延びる方向と平行で一方の収容穴31aの径方向内側の縁に沿った第1仮想線IL1aと、第1仮想線IL1aと平行で貫通孔32(第3フラックスバリア部53)の縁に径方向外側から接する第2仮想線IL1bとの径方向の間に位置する。そのため、カシメ部23が磁束MF1をより阻害しにくくできる。これにより、回転電機1の磁気効率が低下することをより抑制できる。
【0086】
また、本実施形態によれば、カシメ部23の少なくとも一部は、軸方向に見て、第1仮想線IL1aおよび第2仮想線IL1bと平行に延び第1仮想線IL1aと第2仮想線IL1bとの間を二等分する第3仮想線IL1cよりも径方向内側に位置する。そのため、カシメ部23をより径方向内側に配置しやすく、カシメ部23が磁束MF1をより阻害しにくくできる。これにより、回転電機1の磁気効率が低下することをより抑制できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、カシメ部23は、複数の第1領域24ごとに設けられている。そのため、板部材20a同士の固定をより強固にできる。
【0088】
また、本実施形態によれば、カシメ部23は、凸部22の径方向外側に位置するカシメ部23を含む。そのため、ロータ10の回転時において凸部22が設けられた部分に周方向の応力が加えられても、凸部22の径方向外側に位置するカシメ部23によって板部材20a同士が剥がれることを抑制しやすい。また、凸部22を凹部11a内に圧入する場合であっても、凸部22の圧入時に、板部材20a同士が剥がれることを抑制しやすい。
【0089】
また、本実施形態によれば、コア凹部29e,29fが設けられていることで、コア凹部29e,29fが設けられている部分とステータ60との径方向の間で流れる磁束を低減できる。これにより、
図6に示す磁束MF3を好適に流しやすくできる。したがって、ロータコア20とステータ60との間に不要な磁束の流れが生じることを抑制でき、トルクリップルを低減できる。
【0090】
また、本実施形態によれば、第1狭間部26は、周方向の寸法が径方向外側に向かって大きくなる拡幅部26iを有する。拡幅部26iの径方向外端部は、コア凹部29e,29fと第2フラックスバリア部52a,52bとの径方向の間に位置する第2狭間部27a,27bと繋がっている。そのため、第2狭間部27a,27bに繋がる拡幅部26iの径方向外端部の周方向幅を比較的大きくでき、拡幅部26iに応力を分散させやすくできる。これにより、第2狭間部27a,27bに応力が集中することを抑制できる。したがって、コア凹部29e,29fを設けてトルクリップルを低減しつつ、第2狭間部27a,27bが変形および損傷することなどを抑制できる。このようにして、本実施形態によれば、ロータコア20の剛性を向上できる。また、拡幅部26iの周方向幅を比較的大きくできるため、第1狭間部26に磁束を流しやすくできる。具体的には、
図6に示す磁束MF1を好適に流しやすくできる。これにより、回転電機1の磁気効率を向上できる。
【0091】
また、本実施形態によれば、外側連結部26d,26gは、軸方向に見て、内側連結部26e,26hよりも長い。そのため、内側連結部26e,26hよりも外側連結部26d,26gにおいて、応力を分散させやすくできる。これにより、第2狭間部27a,27bに応力が集中することをより抑制できる。また、内側連結部26e,26hよりも外側連結部26d,26gにおいて、第1狭間部26の周方向の寸法を大きくしやすい。これにより、生じる応力が大きくなりやすい径方向外側の部分においてロータコア20の剛性を大きくしやすい。したがって、ロータコア20の剛性をより向上できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、内側連結部26e,26hは、収容穴30の内側に突出しマグネット40を支持する支持部28aを有する。そのため、内側連結部26e,26hのうち支持部28aが設けられた部分において、第1狭間部26の周方向の寸法を大きくできる。これにより、第1狭間部26の径方向内側部分の剛性を向上できる。したがって、ロータコア20の剛性をより向上できる。
【0093】
また、本実施形態によれば、軸方向に見て、第1狭間部26の周方向両側の縁部24a,24bに設けられた各直線部26c,26fのそれぞれに重なって延びる一対の第1仮想線IL3a,IL3bがロータコア20の径方向外側面と交差する部分同士の周方向の距離は、コア凸部29dの径方向外側面における周方向の寸法と同じである。そのため、コア凸部29dの径方向外側面、つまり第1円弧部29aを通る磁束MF1を十分に第1狭間部26に流すことができる。これにより、回転電機1の磁気効率を向上できる。
【0094】
また、本実施形態によれば、コア凸部29dの周方向両側の縁部は、第2狭間部27a,27bの径方向外側の縁部に繋がる連結部29cを有する。外側連結部26d,26gは、軸方向に見て、連結部29cよりも長い。そのため、外側連結部26d,26gにおいて、より応力を分散させやすくできる。これにより、第2狭間部27a,27bに応力が集中することをより抑制できる。
【0095】
また、本実施形態によれば、ロータコア20の径方向外側面は、第1円弧部29aと、第2円弧部29bと、を有する。コア凹部29e,29fは、第2円弧部29bの周方向両端部に設けられている。このような形状とすることで、
図6に示す磁束MF3をより好適に流しやすくできる。これにより、トルクリップルをより低減できる。
【0096】
また、本実施形態によれば、コア凹部29eのうち最も径方向内側に位置する部分は、軸方向に見て、中心軸Jを通り第1狭間部26の周方向一方側の縁部26aに接する第2仮想線IL4aと、第2仮想線IL4aとの周方向の間で第2フラックスバリア部52bを挟み中心軸Jを通って第2フラックスバリア部52bの縁に接する第3仮想線IL4bとの間に位置する。そのため、第2フラックスバリア部52bの径方向外側に位置する第2狭間部27aをステータ60から径方向内側に離しやすく、第2狭間部27aから径方向外側に磁束MF3が漏れることを抑制できる。これにより、トルクリップルをより低減できる。
【0097】
また、本実施形態によれば、コア凹部29eのうち最も径方向内側に位置する部分は、軸方向に見て、中心軸Jを通り第2仮想線IL4aと第3仮想線IL4bとを周方向に二等分する第4仮想線IL4cよりもコア凹部29eに隣り合うコア凸部29dに近い位置に位置する。これにより、コア凸部29dと周方向に隣り合う部分において磁束MF3が径方向外側に、より漏れにくくできる。したがって、トルクリップルをより好適に低減できる。
【0098】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。カシメ部は、いずれの位置に配置されていてもよい。カシメ部の形状は、特に限定されない。カシメ部は、軸方向に見て、円形状であってもよいし、四角形状以外の多角形状であってもよい。カシメ部は、設けられていなくてもよい。
【0099】
カシメ部は、
図7に示すロータコア120のカシメ部123のように、軸方向に見て、径方向と交差する方向に延びていてもよい。この構成によれば、カシメ部123の周方向の寸法を比較的大きくできる。そのため、比較的磁気抵抗が高いカシメ部123によって、貫通孔32(第3フラックスバリア部53)同士の間から径方向内側に磁束MF1が漏れることを抑制できる。また、カシメ部123の径方向の寸法を比較的小さくしやすいため、カシメ部123が磁束MF1の流れを阻害することをより抑制できる。これらにより、回転電機の磁気効率が低下することをより抑制できる。カシメ部123は、例えば、磁極中心線CL1が延びる径方向と直交する周方向に延びる長方形状である。カシメ部123は、全体が仮想円IC3よりも径方向内側に位置する。
【0100】
周方向に互いに間隔を空けて配置された複数の貫通孔(第3フラックスバリア部53)は、どのような形状であってもよい。当該複数の貫通孔は、軸方向に見て、四角以上の多角形状であってもよいし、円形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。
【0101】
第1狭間部は、拡幅部を有するならば、どのような形状であってもよい。第1狭間部において外側連結部および内側連結部は、軸方向に見て、直線状であってもよい。軸方向に見て、第1狭間部の周方向両側の縁部に設けられた各直線部のそれぞれに重なって延びる一対の第1仮想線がロータコアの径方向外側面と交差する部分同士の周方向の距離は、コア凸部の径方向外側面における周方向の寸法よりも大きくてもよい。
【0102】
各磁極部には、3つ以上のマグネットがそれぞれ配置されてもよい。例えば、各磁極部には、上述した実施形態の一対のマグネット41a,41bに加えて、マグネット41a,41bの径方向外側に位置し、軸方向に見て、径方向と直交する方向に延びるマグネットが配置されてもよい。この場合、各磁極部において、3つのマグネットが、軸方向に見て、∇形状に沿って配置される。また、マグネット41a,41bに加えて、マグネット41a,41bの径方向外側に位置し、軸方向に見て、径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びる一対のマグネットがさらに配置されてもよい。つまり、径方向外側に向かうに従って周方向に広がるV字形状に沿って配置された二対のマグネットが径方向に並んで配置されてもよい。
【0103】
シャフトと中央孔とに設けられる凸部および凹部は、上述した実施形態と逆に設けられていてもよい。つまり、中央孔が凹部を有し、シャフトが凹部に嵌め合わされた凸部を有してもよい。凹部および凸部は、設けられていなくてもよい。
【0104】
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、例えば、車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0105】
1…回転電機、10…ロータ、11…シャフト、20,120…ロータコア、26…第1狭間部、26c,26f…直線部、26d,26g…外側連結部、26e,26h…内側連結部、26i…拡幅部、27a,27b…第2狭間部、28a…支持部、29a…第1円弧部、29b…第2円弧部、29c…連結部、29d…コア凸部、29e,29f…コア凹部、30,31a,31b…収容穴、40,41a,41b…マグネット、52a,52b…第2フラックスバリア部(フラックスバリア部)、60…ステータ、70,70N,70S…磁極部、IL3a,IL3b…第1仮想線、IL4a…第2仮想線、IL4b…第3仮想線、IL4c…第4仮想線、J…中心軸